説明

密閉型圧縮機及び冷凍サイクル装置

【課題】電動機の巻線に安価なアルムニウム線を使用しながらも、生産性が高くかつ品質を高く保つことができる密閉型圧縮機及びその密閉型圧縮機を用いる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】この発明に係る密閉型圧縮機130は、密閉容器101内に固定子を有する電動要素103と、この電動要素103により駆動され、冷媒を圧縮する圧縮要素102とを収納する密閉型圧縮機130において、固定子1は、複数個の磁極歯を有する固定子鉄心と、磁極歯に挿入される絶縁部材3と、磁極歯に絶縁部材3を介して巻回され、少なくとも一部にアルムニウム線を用いる巻線4と、絶縁部材3に設けられ、巻線4の結線を行う巻線結線部と、巻線結線部に用いられる圧接端子とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮機を駆動する電動機にコストの安いアルムニウム線を用いながら、生産性が高く信頼性を高めた密閉型圧縮機及びその密閉型圧縮機を用いる冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の密閉型圧縮機は、一般的に圧縮機構を駆動する電動機の巻線に銅線を使用しているが、銅線はコストが高い為、アルムニウム線を使用しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−173001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の密閉型圧縮機はコスト削減の為、電動機の巻線にアルムニウム線を使用しているものがあるが、アルムニウム線は結線部等の溶接が難しいという課題がある。
【0005】
従来、銅線では巻線の結線部を接続する際に半田付けやロウ付けが一般的であったが、アルムニウムは酸化しやすくアルムニウム表面に酸化アルミニウムが生成されると、除去するのが難しい。アルムニウムの融点が660℃に対し酸化アルミニウムの融点が2030℃であり、フラックスを使用する必要がある。フラックスが残留すると密閉型圧縮機にとっては異物となり、密閉型圧縮機もしくは密閉型圧縮機を使用する冷凍サイクル装置に悪影響を与える可能性がある等の課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電動機の巻線に安価なアルムニウム線を使用しながらも、生産性が高くかつ品質を高く保つことができる密閉型圧縮機及びその密閉型圧縮機を用いる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る密閉型圧縮機は、密閉容器内に固定子を有する電動要素と、この電動要素により駆動され、冷媒を圧縮する圧縮要素とを収納する密閉型圧縮機において、
固定子は、
複数個の磁極歯を有する固定子鉄心と、
磁極歯に挿入される絶縁部材と、
磁極歯に絶縁部材を介して巻回され、少なくとも一部にアルムニウム線を用いる巻線と、
絶縁部材に設けられ、巻線の結線を行う巻線結線部と、
巻線結線部に用いられる圧接端子と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る密閉型圧縮機は、巻線の少なくとも一部にアルムニウム線を用いるように構成したので、安価に製造出来るという効果を有する。また、巻線結線部に圧接端子を用いるように構成したので、生産性が高くかつ品質を高く保つことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1を示す図で、固定子1の上面図。
【図2】実施の形態1を示す図で、絶縁部材3の構造を示す図((a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図)。
【図3】実施の形態1を示す図で、固定子1の巻線4の結線図。
【図4】実施の形態1を示す図で、固定子1の巻線4の回路図。
【図5】実施の形態1を示す図で、キャビティ51,52に圧接端子8が挿入されて巻線4と渡り線とが電気的に接続される態様を示す斜視図。
【図6】実施の形態1を示す図で、密閉型圧縮機130の縦断面図。
【図7】実施の形態1を示す図で、図6のA−A断面図。
【図8】実施の形態2を示す図で、絶縁部材3を示す図((a)は結線側絶縁部材3aの上面図、(b)は結線側絶縁部材3aの正面図、(c)は結線側絶縁部材3aの側面図、(d)は絶縁フィルム34の正面図、(e)は絶縁フィルム34の側面図、(f)は反結線側絶縁部材3bの上面図、(g)は反結線側絶縁部材3bの正面図、(h)は結線側絶縁部材3bの側面図)。
【図9】実施の形態2を示す図で、図7に相当する密閉型圧縮機130の断面図。
【図10】実施の形態3を示す図で、冷凍サイクル装置200の冷媒回路の概略構成図。
【図11】実施の形態3を示す図で、冷凍回路内で使用される冷媒、冷凍機油、絶縁材料の種類を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1乃至図7は、実施の形態1を示す図で、図1は固定子1の上面図、図2は絶縁部材3の構造を示す図((a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図)、図3は固定子1の巻線4の結線図、図4は固定子1の巻線4の回路図、図5はキャビティ51,52に圧接端子8が挿入されて巻線4と渡り線とが電気的に接続される態様を示す斜視図、図6は密閉型圧縮機130の縦断面図、図7は図6のA−A断面図である。
【0011】
先ず、本実施の形態の概要を説明する。密閉型圧縮機のコスト削減の為、電動機の巻線にアルムニウム線を使用する。しかし、既に述べたように、アルムニウム線は結線部等の溶接が難しいという課題がある。
【0012】
銅線と同じように、アルムニウム線を用いる巻線の結線部を接続する際にロウ付けを行うと、アルムニウムは酸化しやすくアルムニウム表面に酸化アルミニウムが生成される。アルムニウムの融点が660℃に対し酸化アルミニウムの融点は2030℃であり、除去するのが難しい。
【0013】
そのため、アルムニウム線のロウ付けにはフラックスを使用する必要がある。
【0014】
金属の表面は通常酸化皮膜によって覆われ、温度が上昇すると酸化作用が激しく進行し、酸化が進み酸化膜が厚くなる。ロウ付けは清浄な固体金属(母材)と溶融金属(ロウ材)が接触したときに起こる”ぬれ”現象よって行われるため、適切なロウ付けを行う為には、母材と溶融ロウの表面酸化皮膜の除去及び加熱中の酸化防止を行う必要がある。この為に酸化皮膜の除去と加熱中の酸化防止を目的に使用するのがフラックスである。フラックスは母材・ロウ材に合わせて最も適切なものを選定する必要がある。
【0015】
アルムニウム線のロウ付けに使用したフラックスが残留すると密閉型圧縮機にとっては異物となり、密閉型圧縮機もしくは密閉型圧縮機を使用する冷凍サイクル装置に悪影響を与える可能性がある等の課題がある。
【0016】
そこで、本実施の形態の密閉型圧縮機では、電動機の巻線の少なくとも一部にアルムニウム線を用い、巻線の結線を圧接端子を用いて行うものである。アルムニウム線の結線をロウ付けで行わないので、フラックスが残留する恐れがない。
【0017】
電動機の巻線の少なくとも一部にアルムニウム線を用いるということは、例えば2本巻の巻線の場合に、アルムニウム線と銅線を組み合わせるようなケースも含むことをいう。
【0018】
電動機の巻線の少なくとも一部にアルムニウム線を用い、巻線の結線を圧接端子を用いて行う場合、例えば圧接端子の材料が黄銅であると、アルムニウムと黄銅との接触による電解腐食が懸念される。しかし、密閉型圧縮機の水分量は厳しく管理されるので、密閉型圧縮機内であれば、アルムニウムと黄銅との接触による電解腐食の発生の恐れは少ない。
【0019】
先ず、巻線の結線を圧接端子を用いて行う固定子の一例を説明する。
【0020】
図1に示す固定子1は、固定子鉄心2が9個の磁極歯を有し、各磁極歯に集中巻方式の巻線4が施される。9個の独立した巻線4を接続して三相・六極の巻線を構成する。詳細は後述する。
【0021】
各磁極歯に集中巻方式の巻線4を施す場合、各磁極歯夫々に絶縁部材3を装着してから巻線を行う。
【0022】
各磁極歯の巻線4は独立しており、各磁極歯の巻線4の夫々が巻始め端末と巻終わり端末とを有する。
【0023】
従って、9個の独立した巻線4を接続して三相・六極の巻線を構成するには、各磁極歯の巻線4を接続する必要がある。各磁極歯の巻線4を接続する線を、渡り線(リード側渡り線、中性点側渡り線)で接続する。
【0024】
各磁極歯の絶縁部材3は、夫々が圧接端子を用いる巻線結線部を有し、その巻線結線部で各磁極歯の巻線4の巻始め端末と巻終わり端末、渡り線及びリード線(外部電源との接続用)の接続を行うものである。
【0025】
図1に示すように、固定子1は薄板電磁鋼板を打抜き形成されるコアシートを積層することで磁極歯を有する部材を構成し、それぞれの部材がコアシートに凹凸を形成して作られたカシメにより回転自在に連結し(ジョイントラップ方式という)、磁極歯が内周側に向いた状態で円環状に閉じられる固定子鉄心2と、この固定子鉄心2の各磁極歯に絶縁部材3を介して直接巻介される巻線4とを備える。
【0026】
ジョイントラップ方式の固定子鉄心2は、磁極歯が外周側に向き円環状に開いた状態(逆反り)で、各磁極歯に絶縁部材3を介して巻線4を、フライヤーを用いて直接巻介することができる。そのため、巻線4は整列して巻介されるとともに、占積率を高くすることができる。
【0027】
巻線4は各相3個ずつの合計9個のコイルu1〜u3、v1〜v3、w1〜w3が、回転方向(図1では、反時計方向)にu相、v相、w相の順で繰り返し配置される。
【0028】
そして固定子鉄心2の一方の端面には、夫々の絶縁部材3にワイヤの受けの役目を果たすキャビティ51,52が形成されている。絶縁部材3の材料は、例えばLCP(液晶ポリマー)である。
【0029】
図2に示すように、キャビティ51には2本のワイヤ拘束溝51a,51bが設けられている。また、キャビティ52にも2本のワイヤ拘束溝52a,52bが設けられている。
【0030】
また、絶縁部材3は、絶縁部材の胴体部31、絶縁部材の回転子側巻線保持部32、絶縁部材の磁極歯嵌合溝33を備える。固定子鉄心2の磁極歯の一方の軸方向端面から絶縁部材の磁極歯嵌合溝33を嵌め込む。
【0031】
また、図示はしないが、キャビティ51,52を備えない絶縁部材3が、固定子鉄心2の磁極歯の他方の軸方向端面から同様に嵌め込まれる。
【0032】
巻線4は、キャビティ51,52と絶縁部材の回転子側巻線保持部32との間の絶縁部材の胴体部31に巻回されることになる。
【0033】
図3の固定子1の結線図を示すように、各相毎に巻始め端末4a同士がリード側渡り線61〜66により接続される(尚、図4の回路図も参照)。
【0034】
詳しくは、u相のコイルu1の巻始め端末4aと、コイルu2の巻始め端末4aとがリード側渡り線61により接続され、コイルu2の巻始め端末4aと、コイルu3の巻始め端末4aとがリード側渡り線62により接続される。
【0035】
また、v相のコイルv1の巻始め端末4aと、コイルv2の巻始め端末4aとがリード側渡り線63により接続され、コイルv2の巻始め端末4aと、コイルv3の巻始め端末4aとがリード側渡り線64により接続される。
【0036】
さらに、w相のコイルw1の巻始め端末4aと、コイルw2の巻始め端末4aとがリード側渡り線65により接続され、コイルw2の巻始め端末4aと、コイルw3の巻始め端末4aとがリード側渡り線66により接続される。
【0037】
巻終わり端末4bは、隣り合うu相、v相、w相のコイル同士が中性点側渡り線71〜76により接続されている。
【0038】
詳しくは、コイルu1の巻終わり端末4bと、コイルv1の巻終わり端末4bとが中性点側渡り線71で接続され、コイルv1の巻終わり端末4bと、コイルw1の巻終わり端末4bとが中性点側渡り線72で接続される。
【0039】
また、コイルu2の巻終わり端末4bと、コイルv2の巻終わり端末4bとが中性点側渡り線73で接続され、コイルv2の巻終わり端末4bと、コイルw2の巻終わり端末4bとが中性点側渡り線74で接続される。
【0040】
さらに、コイルu3の巻終わり端末4bと、コイルv3の巻終わり端末4bとが中性点側渡り線75で接続され、コイルv3の巻終わり端末4bと、コイルw3の巻終わり端末4bとが中性点側渡り線76で接続される。
【0041】
固定子1の巻線4は、以上のように結線されるので、コイルu1,v1,w1で一つのY結線を形成し、コイルu2,v2,w2で他の一つのY結線を形成し、コイルu3,v3,w3でさらに他の一つのY結線を形成する。そして、それらの三つのY結線が並列に接続される。
【0042】
尚、コイルu1,u2,u3を直列に接続し、またコイルv1,v2,v3を直列に接続し、さらにコイルw1,w2,w3を直列に接続したもので一つのY結線を形成する等他の結線方法でもよい。
【0043】
再び図1に戻る。各コイルu1〜w3の絶縁部材3において、巻線4から引き出される巻始め端末4aが、キャビティ51のワイヤ拘束溝51aに装着され、巻終わり端末4bが、キャビティ52のワイヤ拘束溝52bに装着される(図5も参照)。
【0044】
また、リード側渡り線61がコイルu1〜u2、リード側渡り線62がコイルu2〜u3、リード側渡り線63がコイルv1〜v2、リード側渡り線64がコイルv2〜v3、リード側渡り線65がコイルw1〜w2、リード側渡り線66がコイルw2〜w3を結ぶようにキャビティ51のワイヤ拘束溝51bに装着される。
【0045】
このとき、コイルu2,v2,w2については、ワイヤ拘束溝51bに2本のリード側渡り線が装着されていることになる。
【0046】
即ち、コイルu2には、ワイヤ拘束溝51bにリード側渡り線61及びリード側渡り線62が装着される。
【0047】
また、コイルv2には、ワイヤ拘束溝51bにリード側渡り線63及びリード側渡り線64が装着される。
【0048】
さらに、コイルw2には、ワイヤ拘束溝51bにリード側渡り線65及びリード側渡り線66が装着される。
【0049】
さらに、中性点側渡り線71がコイルu1〜v1、中性点側渡り線72がコイルv1〜w1、中性点側渡り線73がコイルu2〜v2、中性点側渡り線74がコイルv2〜w2、中性点側渡り線75がコイルu3〜v3、中性点側渡り線76がv3〜w3を結ぶようにキャビティ52のワイヤ拘束溝52aに装着される。
【0050】
このとき、コイルv1,v2,v3については、ワイヤ拘束溝52aに2本の中性点側渡り線が装着されていることになる。
【0051】
即ち、コイルv1には、ワイヤ拘束溝52aに中性点側渡り線71及び中性点側渡り線72が装着される。
【0052】
また、コイルv2には、ワイヤ拘束溝52aに中性点側渡り線73及び中性点側渡り線74が装着される。
【0053】
さらに、コイルv3には、ワイヤ拘束溝52aに中性点側渡り線75及び中性点側渡り線76が装着される。
【0054】
コイルv2に関しては、以下に示す計6本のワイヤが集まることになる。
(1)コイルv2の巻始め端末4a;
(2)コイルv2の巻終わり端末4b;
(3)中性点側渡り線73;
(4)中性点側渡り線74;
(5)リード側渡り線63;
(6)リード側渡り線64。
【0055】
参考までに他の箇所についても説明する。リード線9は、u相リード線9a、v相リード線9b及びw相リード線9cを備える。
【0056】
u1に関しては、以下に示す計5本のワイヤが集まることになる。
(1)u相リード線9a;
(2)コイルu1の巻始め端末4a;
(3)コイルu1の巻終わり端末4b;
(4)リード側渡り線61;
(5)中性点側渡り線71。
【0057】
u2に関しては、以下に示す計5本のワイヤが集まることになる。
(1)コイルu2の巻始め端末4a;
(2)コイルu2の巻終わり端末4b;
(3)リード側渡り線61;
(4)リード側渡り線62;
(5)中性点側渡り線73。
【0058】
u3に関しては、以下に示す計4本のワイヤが集まることになる。
(1)コイルu3の巻始め端末4a;
(2)コイルu3の巻終わり端末4b;
(3)リード側渡り線62;
(4)中性点側渡り線75。
【0059】
v1に関しては、以下に示す計6本のワイヤが集まることになる。
(1)v相リード線9b;
(2)コイルv1の巻始め端末4a;
(3)コイルv1の巻終わり端末4b;
(4)リード側渡り線63;
(5)中性点側渡り線71;
(6)中性点側渡り線72。
【0060】
v3に関しては、以下に示す計6本のワイヤが集まることになる。
(1)コイルv3の巻始め端末4a;
(2)コイルv3の巻終わり端末4b;
(4)リード側渡り線64;
(5)中性点側渡り線75;
(6)中性点側渡り線76。
【0061】
w1に関しては、以下に示す計5本のワイヤが集まることになる。
(1)w相リード線9c;
(2)コイルw1の巻始め端末4a;
(3)コイルw1の巻終わり端末4b;
(4)リード側渡り線65;
(5)中性点側渡り線72。
【0062】
w2に関しては、以下に示す計5本のワイヤが集まることになる。
(1)コイルw2の巻始め端末4a;
(2)コイルw2の巻終わり端末4b;
(3)リード側渡り線65;
(4)リード側渡り線66;
(5)中性点側渡り線74。
【0063】
w3に関しては、以下に示す計4本のワイヤが集まることになる。
(1)コイルw3の巻始め端末4a;
(2)コイルw3の巻終わり端末4b;
(3)リード側渡り線66;
(4)中性点側渡り線76。
【0064】
そして、図5に示すように、キャビティ51,52に導通用溝8a,8bを有する圧接端子8が夫々挿入され、巻線4と渡り線或いはリード線9とが電気的に接続される。但し、図5ではリード線9については図示していない。
【0065】
図5に示すように、絶縁部材3のキャビティ51上に、巻線4の巻始め端末4aとリード側渡り線61〜66を配置し、この上からこれらワイヤ径よりも小さい幅の導通用溝8a,8bを一端に有した圧接端子8をキャビティ51内に押し込む。
【0066】
圧接端子8の材料は、例えば銅又はリン青銅にニッケル等のめっきを施したものである。
【0067】
巻線4の巻始め端末4aとリード側渡り線61〜66は、キャビティ51に設けられたワイヤ拘束溝51a、51bにより拘束されるから、巻始め端末4aとリード側渡り線61〜66の絶縁層は圧接端子8の導通用溝8a,8bにより除去される。
【0068】
これにより巻線4及び圧接端子8並びにリード側渡り線61〜66及び圧接端子8とが導通するため、巻線4とリード側渡り線61〜66とが接続状態になる。
【0069】
同様に、絶縁部材3のキャビティ52上に、巻線4の巻終わり端末4bと中性点側渡り線71〜76を配置し、別の圧接端子8をキャビティ52に挿入することにより、巻線4と中性点側渡り線71〜76とが接続状態になる。
【0070】
上述したように、
(1)巻線の巻始め端末4aとリード側渡り線61〜66の中の1本とリード線9の中の1本;
(2)巻線の巻始め端末4aとリード側渡り線61〜66の中の1本又は2本;
(3)巻終わり端末4bと中性点側渡り線71〜76の中の1本又は2本。
の結線を圧接端子8を用いて溶接することなく結線出来るため、巻線4にアルムニウム線を用いても容易に結線出来る。
【0071】
上述のように、絶縁部材3のキャビティ51,52に、巻線4、渡り線(リード側渡り線61〜66、中性点側渡り線71〜76)又はリード線9(u相リード線9a、v相リード線9b及びw相リード線9c)の所定の組み合わせのものを配置し、圧接端子8をキャビティ51,52に挿入することにより、それらを接続状態にする部分を、「巻線結線部」と定義する。
【0072】
ここでは、固定子鉄心2が回転自在に連結される、ジョイントラップ方式の固定子1について述べたが、連結機能を有しない分割型の鉄心の場合、もしくは全ての磁極歯が分割されること無く打ち抜かれた一体型の鉄心の場合でも同様の効果が得られる。
【0073】
また、ここでは磁極歯に直接巻回する集中巻方式について実施例を述べたが、数個の磁極歯を跨って巻回される分布巻方式についても同様の効果が得られる。
【0074】
次に密閉型圧縮機130について説明する。図6より密閉型圧縮機130の全体構成を説明する。図6に示す密閉型圧縮機130の一例は、1シリンダ型ロータリ圧縮機である。
【0075】
密閉型圧縮機130は、上部容器101aと下部容器101bとで構成される密閉容器101内に、冷媒を圧縮する圧縮要素102と、この圧縮要素102を駆動する電動要素103を収納している。また、密閉容器101内の底部に、圧縮要素102の摺動部を潤滑するための冷凍機油(図示せず)が貯留している。
【0076】
圧縮要素102は、シリンダ105、上軸受106、下軸受107、回転軸104、ローリングピストン109、吐出マフラ108、ベーン(図示せず)等で構成される。
【0077】
内部に圧縮室が形成されるシリンダ105は、外周が平面視略円形で、内部に平面視略円形の空間であるシリンダ室を備える。シリンダ室は、軸方向両端が開口している。シリンダ105は、側面視で所定の軸方向の高さを持つ。
【0078】
シリンダ105の略円形の空間であるシリンダ室に連通し、半径方向に延びる平行なベーン溝(図示せず)が軸方向に貫通して設けられる。
【0079】
また、ベーン溝の背面(外側)に、ベーン溝に連通する平面視略円形の空間である背圧室(図示せず)が設けられる。
【0080】
シリンダ105には、冷凍サイクルからの吸入ガスが通る吸入連結管128が、シリンダ105の外周面からシリンダ室に連結している。
【0081】
シリンダ105には、略円形の空間であるシリンダ室を形成する円の縁部付近(電動要素103側の端面)を切り欠いた吐出ポート(図示せず)が設けられる。
【0082】
ローリングピストン109が、シリンダ室内を偏心回転する。ローリングピストン109はリング状で、ローリングピストン109の内周が回転軸104の偏心軸部104cに摺動自在に嵌合する。
【0083】
ベーンがシリンダ105のベーン溝内に収納され、背圧室に設けられるベーンスプリング(図示せず)でベーンが常にローリングピストン109に押し付けられている。ロータリ圧縮機は、密閉容器101内が高圧であるから、運転を開始するとベーンの背面(背圧室側)に密閉容器101内の高圧とシリンダ室の圧力との差圧による力が作用するので、ベーンスプリングは主にロータリ圧縮機の起動時(密閉容器101内とシリンダ室の圧力に差がない状態)に、ベーンをローリングピストン109に押し付ける目的で使用される。
【0084】
ベーンの形状は、平たい(周方向の厚さが、径方向及び軸方向の長さよりも小さい)略直方体である。
【0085】
上軸受106は、回転軸104の主軸部104a(偏心軸部104cより上の部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ105のシリンダ室(ベーン溝も含む)の一方の端面(電動要素103側)を閉塞する。
【0086】
上軸受106に、吐出弁(図示せず)が取り付けられる。上軸受106は、側面視略逆T字状である。
【0087】
下軸受107が、回転軸104の副軸部104b(偏心軸部104cより下の部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ105のシリンダ室(ベーン溝も含む)の他方の端面(冷凍機油側)を閉塞する。下軸受107は、側面視略T字状である。
【0088】
上軸受106には、その外側(電動要素103側)に吐出マフラ108が取り付けられる。上軸受106の吐出弁から吐出される高温・高圧の吐出ガスは、一端吐出マフラ108に入り、その後吐出マフラ108の吐出穴108aから密閉容器101内に放出される。
【0089】
密閉容器101の横に、冷凍サイクルからの低圧の冷媒ガスを吸入し、液冷媒が戻る場合に液冷媒が直接シリンダ105のシリンダ室に吸入されるのを抑制する吸入マフラ127が設けられる。吸入マフラ127は、シリンダ105の吸入ポートに吸入連結管128を介して接続する。吸入マフラ127は、溶接等により密閉容器101の側面に固定される。
【0090】
圧縮要素200で圧縮された高温・高圧のガス冷媒は、吐出マフラ108の吐出穴108aから電動要素103を通過して、吐出管129から外部の冷媒回路(図示せず)へ吐出される。
【0091】
次に電動要素103について説明するが、図6以外に図7も参照しながら説明する。電動要素103は、固定子1と回転子5とを備える。電動要素103は、例えば、ブラシレスDCモータである。
【0092】
固定子1のリード線9は、密閉容器101の外部から電力を供給する為に上部容器101aに設けられたガラス端子119に接続される。
【0093】
また、固定子鉄心2は外径が下部容器101bの内径より大きく、下部容器101bに焼嵌めされて固定される。
【0094】
回転子5は、固定子1と同様に薄板電磁鋼板を打抜き形成される回転子コアシートを積層して回転子鉄心21が構成される。
【0095】
回転子鉄心21は、回転子鉄心21の外周縁部に沿って形成される磁石挿入孔22(6個)と、風穴23(9個)を有する。磁石挿入孔22には、夫々永久磁石24(6個)が挿入される。
【0096】
回転子鉄心21の軸方向両端部に、上バランスウェイト25a及び下バランスウェイト25bが夫々配置さる。
【0097】
上バランスウェイト25aは、回転子鉄心21の軸方向上端部(ガラス端子119側)に配置される。
【0098】
下バランスウェイト25bは、回転子鉄心21の軸方向下端部(圧縮要素102側)に配置される。
【0099】
上バランスウェイト25a及び下バランスウェイト25bは、永久磁石24の飛散を防止する役割を兼ねている。
【0100】
上バランスウェイト25a、下バランスウェイト25b及び回転子鉄心21は、リベット26(3本)で固定される。リベット26は、回転子鉄心21に設けられるリベット孔27に挿入される。
【0101】
回転子鉄心21に形成された風穴23は、圧縮要素102から吐出された冷媒ガスを密閉容器101の上部へ導くと共に、冷媒ガスと共に密閉容器101の上部に導かれた冷凍機油を密閉容器101の下部に落とすための役割を持つ。
【0102】
回転子鉄心21の軸方向上端部(ガラス端子119側)に、略円板状の油分離器40が設けられる。油分離器40は、遠心力により回転子鉄心21の風穴23を通過した冷凍機油を含む冷媒ガスから冷凍機油を分離する。
【0103】
回転子鉄心21の内径は回転軸104の主軸部104aの外径より小さく、回転子鉄心21は回転軸104の主軸部104aに焼嵌め固定される。
【0104】
密閉型圧縮機130は、低圧側が零度以下になる状況があり、密閉容器101内に水が入ると、水が凍結して冷媒の流れを阻害し密閉型圧縮機130の故障の原因となる。そのため、冷凍サイクル(密閉型圧縮機130他)の水分量は、例えば冷媒量の500ppm以下となるように厳しく管理される。
【0105】
水分量が極めて少ない密閉型圧縮機130内に、本実施の形態の固定子1は設けられる。そのため、圧接端子8の材料に銅又はリン青銅にニッケル等のめっきを施したもの等のアルムニウムが電解腐食を起こしやすい材料を用いても、固定子1の巻線4のアルミニウム線と圧接端子8との間で発生しやすい電解腐食を抑制することができる。
【0106】
ここでは密閉型圧縮機130の一例として、ロータリ型圧縮機を用いて説明したが、他のスクロール型、レシプロ型等電動要素103が密閉容器101内に配置されるものであればその構造は問わない。
【0107】
以上のように、本実施の形態によれば、密閉型圧縮機130に収納される電動要素103を構成する固定子1の巻線4の少なくとも一部にアルムニウム線を用いる。そして、少なくとも一部にアルムニウム線を用いる巻線4の結線を行う巻線結線部を、絶縁部材3のキャビティ51,52に巻線4等を配置しそこに圧接端子8を挿入することにより行う構成にしたので、少なくとも一部にアルムニウム線を用いる巻線4の結線をロウ付けで行わないので、フラックスが残留する恐れがない。また、水分量が極めて少ない密閉型圧縮機130内に、本実施の形態の固定子1は設けられるので、圧接端子8の材料に黄銅又はリン青銅にニッケル等のめっきを施したもの等のアルムニウムが電解腐食を起こしやすい材料を用いても、固定子1の巻線4のアルミニウム線と圧接端子8との間で発生しやすい電解腐食を抑制することができる。
【0108】
従って、電動要素103の固定子1の巻線4に安価なアルムニウム線を使用しながらも、生産性が高くかつ品質を高く保つことができる密閉型圧縮機130が得られる。
【0109】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、密閉型圧縮機130を構成する電動要素103の固定子1の巻線4の少なくとも一部に、アルムニウム線を用いるようにするようにしたが、本実施の形態2では、銅線に比べ導電率の劣るアルムニウム線を用いても、電動要素103の性能の悪化を抑えることができる例を説明する。
【0110】
図8、図9は実施の形態2を示す図で、図8は絶縁部材3を示す図((a)は結線側絶縁部材3aの上面図、(b)は結線側絶縁部材3aの正面図、(c)は結線側絶縁部材3aの側面図、(d)は絶縁フィルム34の正面図、(e)は絶縁フィルム34の側面図、(f)は反結線側絶縁部材3bの上面図、(g)は反結線側絶縁部材3bの正面図、(h)は反結線側絶縁部材3bの側面図)、図9は図7に相当する密閉型圧縮機130の断面図である。
【0111】
実施の形態1では、一部を図2に示したように、樹脂成型した2分割の絶縁部材3を用いたが、図8に示す絶縁部材3は、固定子鉄心2の外側に出る一方の結線側絶縁部材3aを樹脂成型で形成する(図8(a)、図8(b)、図8(c))。結線側絶縁部材3aは、実施の形態1における絶縁部材3の固定子鉄心2の外側に出る部分と同じ形状である。結線側絶縁部材3aに、キャビティ51,52が形成されている。
【0112】
固定子鉄心2の磁極歯で囲まれたスロット28内の部分については、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等のオリゴマ抽出量が少ない低オリゴマフィルムで構成される絶縁フィルム34を用いている(図8(d)、(e))。オリゴマとは、有限個(一般的には10個から100個)のモノマーが結合した比較的分子量が低い重合体を指す。絶縁フィルム34の20時間のクロロホルム抽出量によるオリゴマ抽出量は、1.5%以下が好ましい。
【0113】
また、図8に示す絶縁部材3は、固定子鉄心2の外側に出る他方の反結線側絶縁部材3bを樹脂成型で形成する(図8(f)、図8(g)、図8(h))。
【0114】
結線側絶縁部材3aと絶縁フィルム34とは、所定の方法で接合される。また、反結線側絶縁部材3bと絶縁フィルム34とは、所定の方法で接合される。
【0115】
絶縁部材3は、結線側絶縁部材3a、絶縁フィルム34及び反結線側絶縁部材3bにより構成される。
【0116】
実施の形態1で説明した絶縁部材3は、LCP(液晶ポリマー)等のエンジニアリングプラスチックを成型したものである。絶縁部材3を磁極歯に挿入する際、自動化がし易く製造性が良い反面、成型時に樹脂を流動させる為、薄肉化においては限界がある。
【0117】
磁極歯で囲まれたスロット28内における絶縁部材3が占める割合が多いほど、スロット28に巻回出来る電線の量が少なくな。そのため、スロット28内部において磁極歯と電線を絶縁する部材に、PETやPPS等の低オリゴマフィルムで構成される絶縁フィルム34を用いることで、絶縁部材3の薄肉部を1/10〜1/20程度まで低減し、電線が巻回出来る面積を大きく取ることが出来る。
【0118】
図9は図7に相当する密閉型圧縮機130の断面図である。図7に対して、スロット28内部の絶縁フィルム34は薄肉化され、巻線4を巻回出来る面積が大きくなり、同じ巻回数でも電線の線径が太くする事が可能である事が分かる。
【0119】
アルムニウムの伝導率は銅の60%しかなく、同じ線径の電線を使用した場合、ジュール熱による銅損が増加し、電動機の効率は悪化する。スロット28内部の絶縁を絶縁フィルム34にすることにより、巻線4を巻回出来る面積が増加し、銅線と同じ巻回数を得るのに太い巻線を用いる事が出来る為、アルムニウム線を用いても銅線の場合に比べ性能の悪化を抑える事が出来る。
【0120】
以上のように、絶縁部材3は、結線側絶縁部材3a、絶縁フィルム34及び反結線側絶縁部材3bにより構成することにより、スロット28内部の巻線4を巻回出来る面積が増加し、アルムニウム線を使用しても銅線に比べ太い電線を使用することができるので、性能の低下を抑制することができる。
【0121】
実施の形態3.
以上の実施の形態1、2では、密閉型圧縮機130について説明したが、ここではその密閉型圧縮機130を用いた冷凍サイクル装置200について説明する。
【0122】
図10は実施の形態3を示す図で、冷凍サイクル装置200の冷媒回路の概略構成図である。図10において、冷凍サイクル装置200は、実施の形態1、2で説明した密閉型圧縮機130、密閉型圧縮機130からの冷媒の流れを切換える四方切換弁131、室外側熱交換器132、電動膨張等の減圧装置133、室内側熱交換器134、密閉型圧縮機130の吸入側配管に接続され、冷媒を貯留するアキュムレータ135を配管により順次接続して構成される。
【0123】
図10において、暖房運転時は、冷媒は実線矢印の方向に流れる。また、冷房運転時は、冷媒は破線矢印の方向に流れる。
【0124】
次に、以上のように構成された冷凍サイクル装置200の動作について暖房運転、冷房運転の順で説明する。
【0125】
暖房運転が開始されると、四方切換弁131は図10の実線側に接続されるので、密閉型圧縮機130で圧縮された高温高圧の冷媒は室内側熱交換器134に流れ、室内側熱交換器134で凝縮して液化した後、減圧装置133で絞られ、低温低圧の二相冷媒となり、室外側熱交換器132へ流れ、室外側熱交換器132で蒸発してガス化し、その後四方切換弁131、アキュムレータ135を通って再び密閉型圧縮機130に戻る。即ち、図10の実線矢印に示すように冷媒は循環する。
【0126】
次に、冷房運転について説明する。冷房運転が開始されると、四方切換弁131は図10の点線側に接続されるので、密閉型圧縮機130で圧縮された高温高圧の冷媒は室外側熱交換器132に流れ、室外側熱交換器132で凝縮して液化した後、減圧装置133で絞られ、低温低圧の二相冷媒となり、室内側熱交換器134へ流れ、蒸発してガス化し、その後四方切換弁131、アキュムレータ135を通って再び密閉型圧縮機130に戻る。即ち、暖房運転から冷房運転に変わると、室内側熱交換器134が凝縮器から蒸発器に変わり、室外側熱交換器132が蒸発器から凝縮器に変わる。
【0127】
このような冷凍サイクル装置200において、密閉型圧縮機130の内部も含め冷媒回路は分解整備が出来ない構造である為、部品の信頼性を向上する必要があり、かつ異物が混入しないよう厳しく管理する必要がある。
【0128】
以上のように、冷凍サイクル装置200に、実施の形態1、2の密閉型圧縮機130を用いることで、固定子1の巻線4にアルムニウム線を用いても異物混入の少なくかつ信頼性の高い冷凍サイクル装置200を提供することが出来る。
【0129】
密閉型圧縮機では、図11に示す冷媒、圧縮機構を潤滑する冷凍機油、絶縁部材及び絶縁フィルムに用いられる材料の組み合わせが用いられる。
【符号の説明】
【0130】
1 固定子、2 固定子鉄心、3 絶縁部材、3a 結線側絶縁部材、3b 反結線側絶縁部材、4 巻線、4a 巻始め端末、4b 巻終わり端末、5 回転子、8 圧接端子、8a 導通用溝、8b 導通用溝、9 リード線、9a u相リード線、9b v相リード線、9c w相リード線、21 回転子鉄心、22 磁石挿入孔、23 風穴、24 永久磁石、25a 上バランスウェイト、25b 下バランスウェイト、26 リベット、27 リベット孔、28 スロット、31 絶縁部材の胴体部、32 絶縁部材の回転子側巻線保持部、33 絶縁部材の磁極歯嵌合溝、34 絶縁フィルム、40 油分離器、51 キャビティ、52 キャビティ、51a ワイヤ拘束溝、51b ワイヤ拘束溝、52a ワイヤ拘束溝、52b ワイヤ拘束溝、61〜66 リード側渡り線、71〜76 中性点側渡り線、101 密閉容器、101a 上部容器、101b 下部容器、102 圧縮要素、103 電動要素、104 回転軸、104a 主軸部、104b 副軸部、104c 偏心軸部、105 シリンダ、106 上軸受、107 下軸受、108 吐出マフラ、108a 吐出穴、109 ローリングピストン、119 ガラス端子、127 吸入マフラ、128 吸入連結管、129 吐出管、130 密閉型圧縮機、131 四方切換弁、132 室外側熱交換器、133 減圧装置、134 室内側熱交換器、135 アキュムレータ、200 冷凍サイクル装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器内に固定子を有する電動要素と、この電動要素により駆動され、冷媒を圧縮する圧縮要素とを収納する密閉型圧縮機において、
前記固定子は、
複数個の磁極歯を有する固定子鉄心と、
前記磁極歯に挿入される絶縁部材と、
前記磁極歯に前記絶縁部材を介して巻回され、少なくとも一部にアルムニウム線を用いる巻線と、
前記絶縁部材に設けられ、前記巻線の結線を行う巻線結線部と、
前記巻線結線部に用いられる圧接端子と、を備えたことを特徴とする密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記絶縁部材の前記巻線結線部に、前記圧接端子を収納するキャビティを設けたことを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記絶縁部材の一部に、オリゴマ抽出量が少ない低オリゴマフィルムで構成される絶縁フィルムを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
前記固定子鉄心の前記磁極歯で囲まれるスロット内の絶縁に、前記絶縁フィルムを用いることを特徴とする請求項3記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】
少なくとも請求項1乃至4のいずれかに記載の密閉型圧縮機、冷媒の流れを切換える四方切換弁、室外側熱交換器、減圧装置及び室内側熱交換器を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−166643(P2010−166643A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4833(P2009−4833)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】