説明

展性キャリヤを備えた補強材、バッフル及びシール

展性キャリヤ(10)を備えた補強材、バッフル及びシールを形成する方法が開示される。この方法は、代表的には、活性化可能な材料(38)を展性キャリヤ(10)に取り付けるステップと、活性化可能な材料(38)又は若しくはこれら両方を輪郭付けするステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、シール、バッフル、補強又はこれらの組合せを、製品、例えば自動車に提供する部材に関する。
【0002】
なお、本願は、2005年8月4日に出願された米国仮特許出願第60/705,561号及び2006年8月1日に出願された米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号1001−218)の出願日に関する権利を主張する出願であり、これら両方の特許出願を参照により引用し、全ての目的に関しその記載内容を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、産業界、特に輸送業界は、バッフル、シール、構造的補強等を製品、例えば自動車に提供する部材の設計に関心がある。一例として、米国特許第5,755,486号明細書、同第4,901,500号明細書及び同第4,751,249号明細書は、先行技術の装置を記載している。一般に、かかる部材は、活性化可能な材料が被着されたキャリヤを有する。かかる部材の設計には、種々の要因が含まれる場合があり、これら要因は、互いに逆効果である場合がある。例えば、一般的には、かかる部材は、比較的安価であることが望ましい。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,755,486号明細書
【特許文献2】米国特許第4,901,500号明細書
【特許文献3】米国特許第4,751,249号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる部材の材料費及び加工費は、特に1つ又は2つ以上の輪郭を有するように部材を成形することが望ましい場合、コストを押し上げる場合がある。本発明は、互いに競合する設計上の要因に効果的に対処し又は以下の説明から明らかになる他の利点をもたらす、補強、バッフル又はシールを提供する部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シール、バッフル、補強又はこれら作用の組合せを製品、例えば自動車に提供する方法に関する。この方法によれば、展性キャリヤを用意し、活性化可能な材料を展性キャリヤに関連させ、それにより部材を形成する。好ましくは、活性化可能な材料の体積は、展性キャリヤの体積の少なくとも500%である。また、展性キャリヤ又は活性化可能材料若しくはこれら両方を本方法に従って成形し、この成形ステップは、代表的には、次のステップ、即ち、1)展性キャリヤを所定の形態に合わせて成形し、活性化可能材料を展性キャリヤ上にモールディングするステップ、2)活性化可能材料を展性キャリヤ上にモールディングして部材を形成し、部材を展性キャリヤ及び活性化可能材料の成形を含むやり方で物品の構造体に取り付けるステップ、又は、3)活性化可能材料を展性キャリヤに被着させ、展性キャリヤの少なくとも一部分を曲げて展性キャリヤ及び活性化可能材料を構造体に取り付けるステップのうち少なくとも1つのステップ又はこれらステップの組合せを含む。
【0007】
本発明の特徴及び新規事項は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面を参照すると、一層明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、シール、バッフル、補強又はこれら作用の組合せを製品の1つ又は2つ以上の構造体に提供するのに適した部材及びこの部材を形成し、この部材を製品の1つ又は2つ以上の構造体に被着させる方法の提供に関する。1つ又は2つ以上の構造体とかかる部材は、一緒になって、この部材により提供される機能的属性(例えば、騒音軽減、密封、強度、これらの組合せ等)に鑑みて、製品にとって全体として望ましいシステム又は組立体を形成する。部材を種々の製品、例えば船、列車、建物、電化製品、住居、家具等の種々の構造体と関連して利用できることが想定される。しかしながら、かかる部材は、輸送車両、例えば自動車の構造体又は組立体への利用に特に適していることが判明した。一般に、かかる部材を自動車の種々の構造体、例えば自動車の車体、フレーム、エンジン、ボンネット、トランク、バンパ、これらの組合せ等に取り付けるのが良いことが想定される。
【0009】
部材は、代表的には、次のもの、即ち
i)展性キャリヤ、
ii)展性キャリヤに被着された活性化可能な材料、及び
iii)オプションとして、キャリヤ又は活性化可能材料若しくはこれら両方に連結された1つ又は2つ以上のファスナのうち1つ又は2つ以上を含む。
【0010】
部材を形成する方法は、代表的には、次のステップ、即ち
i)展性キャリヤを用意するステップ
ii)活性化可能材料を展性キャリヤに関連させるステップ、
iii)活性化可能材料、又は展性キャリヤ材料若しくはこれら両方を成形するステップ、及び
iv)オプションとして、1つ又は2つ以上のファスナを活性化可能材料、又は展性キャリヤ若しくはこれら両方に連結するステップのうち1つ又は2つ以上を含む。
【0011】
本明細書においてキャリヤについて用いられる「展性」という用語は、一般に、キャリヤを成形し又は形成することができる程度の柔軟性をそのキャリヤが備えていることを意味する。本発明による展性のある材料は、約1000MPa以下であるが、これよりも大きくても良く、一般的には約700MPa以下、より一般的には約500MPa以下、更により一般的には約350MPa以下であるが、一般的には約10MPaよりも大きいが、これよりも小さくても良く、一般的には約70MPa以下、より一般的には約100MPa以上、更により一般的には約250MPa以上の降伏応力を有する。
【0012】
適当な展性キャリヤ材料としては、ポリマー材料(例えばエラストマー、プラスチック等)、金属、複合材料、繊維状材料、これらの組合せ等が挙げられるが、これらには限定されない。1種類又は2種類以上の金属を含み又は実質的に全体が1種類又は2種類以上の金属で構成された材料が、キャリヤ材料として用いるのに特に適している。例示の金属としては、アルミニウム、鋼、鉄、マグネシウム、亜鉛、鉛、錫、チタン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、クロム、銅、タングステン、ニッケル、銀、金、白金、これらの組合せ等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0013】
一般に、展性キャリヤは、種々の形態に形成できる。一実施形態では、キャリヤは、展性材料の1本又は2本以上のストリップで形成される。本明細書で言及される材料のストリップは、伸長長さ及び最大直径を有し、最大直径が伸長長さよりも実質的に小さい材料の任意の形態である。例えば、最大直径は、伸長長さの20%未満、一般的には10%未満、より一般的には2%未満、更により一般的には0.5%未満であるべきである。伸長長さは、ストリップを実質的に直線の状態に配置したときのストリップの長さであり、最大直径は、長さに実質的に垂直なストリップの最大寸法である。かくして、例えば、コイル状円筒形ワイヤは、ワイヤを広げて実質的に直線の状態に配置した場合、ストリップであると考えることができ、ワイヤの最大直径は、伸長長さよりも実質的に小さい。例示のストリップとしては、ワイヤ、コイル、ストラップ、これらの組合せ等が挙げられる。
【0014】
図1〜図3を参照すると、本発明に用いるのに適した適当なキャリヤ材料10,12,14の例が図示されている。これら材料は各々、材料10,12,14を形成するよう互いに撚り合わされた(例えば織編された)複数本(例えば、2本、3本、4本、5本又は6本以上)のストリップ18から成る。図2のキャリヤ材料12は、ハニカム構造の状態に形成された複数本のストリップ18(例えばワイヤ)から成る。さらに、図3のキャリヤ材料14は、比較的大きな開口部20及び比較的小さな開口部22を形成するよう配置された複数本のストリップ18(例えばワイヤ)から成る。一般に、ワイヤメッシュ及び特に金属又はプラスチックワイヤメッシュ製品をキャリヤ材料として採用するのが良い。
【0015】
本発明の部材を形成するため、代表的には、活性化可能な材料をキャリヤ材料に関連させる(例えば、連結、被着、包囲等を行わせる)。キャリヤ材料は、活性化可能材料をキャリヤ材料に関連させる前又は後にキャリヤの状態に形成するのが良い。例えば、キャリヤ材料を切断して所望の形状のキャリヤを形成するのが良く、しかる後、活性化可能材料をキャリヤに関連させるのが良い。変形例として、活性化可能材料をキャリヤ材料に関連させ、次に、キャリヤ材料を切断し又は違ったやり方で形成してキャリヤを形成するのが良い。
【0016】
本発明に関して用いられる「活性化可能(な)材料」という用語は、所与の条件にさらされると、硬化し(例えば熱硬化し)、膨張し(例えば発泡し)、軟化し、流動化し又はこれらの組合せを生じるよう活性化可能な材料を意味するようになっている。かくして、本発明に関し、別段の言及がなければ、活性化可能材料を上述の動作のうちの1つだけ又は上述の動作の任意の組合せを行うよう活性化できることが想定される。
【0017】
本発明の部材について種々の活性化可能材料を使用することができる。一実施形態では、活性化可能材料を熱活性化材料で形成するのが良く、かかる材料は、熱にさらされると、流動化、硬化(例えば熱硬化)、膨張(例えば発泡)又はこれらの組合せを生じることができる。活性化可能材料は、一般に、触った感じが乾燥状態であって実質的に非粘着性であるのが良く、又は、粘着性であっても良く、いずれの場合においても、かかる材料を所望のパターン、所望の配置状態又は所望の厚さの任意の形態に成形することができ、かかる材料は、実質的に一様な厚さ又は可変厚さを有することができる。例示の膨張性又は発泡性の材料としては、ミシガン州ロメオ所在のエル・アンド・エル・プロダクツ・インコーポレイテッド(L&L Products, Inc.)を介して入手できるL−7102及びL−7220フォームが挙げられる。別の例示の膨張性又は発泡性材料は、2004年6月15日に出願された米国特許出願第10/867,835号明細書(発明の名称:Expandable Material)に開示されている。なお、この米国特許出願を参照により引用し、全ての目的についてその記載内容を本明細書の一部とする。
【0018】
他の熱活性化材料の使用が可能であるが、好ましい熱活性化材料は、発泡性ポリマー又はプラスチックであり、好ましくは、発泡性の材料である。特に好ましい材料は、構造的作用、シール、バッフル、音響作用又はこれら作用の組合せを提供することができるEPDM、エラストマー、エポキシ樹脂、アクリレート、アセテート、これらの組合せ等を含む又はこれらを主成分とする発泡性又は密封性の材料である。例えば、フォームは、αオレフィンを含むのが良いエチレンコポリマー又はターポリマーを含むエポキシ系材料であるのが良いが、これには限定されない。コポリマー又はターポリマーとして、ポリマーは、互いに類似した分子と結合できる高い化学的反応性を備えた2種類又は3種類の互いに異なるモノマー、即ち小分子で構成される。
【0019】
多くのシール、バッフル又は音響作用フォームが、当該技術分野において知られており、本発明に利用できる。代表的なフォームとしては、適当な成分(代表的には、発泡硬化剤)と化合した場合、熱を受けると又は特定の周囲条件の発生時に、確実且つ予測可能なやり方で膨張して硬化するポリマーを主成分とする材料、例えばエポキシ樹脂又はエチレンを主成分とするポリマー(例えばEMA、EVA等)が挙げられる。熱的活性化材料に関する化学的観点からは、フォームは、まず最初に流動性、熱可塑性及び(又は)熱硬化性材料として処理されるのが通例である。代表的には、この材料は、硬化時に架橋し(例えば熱硬化し)、それにより、材料は、それ以上流動できなくなる。
【0020】
先行技術の材料と比較した場合の、好ましい発泡性の又は活性化可能な材料の一利点は、好ましい材料を幾つかのやり方で処理できるということにある。好ましい材料は、射出成形、押出し、圧縮成形により又は小型アプリケータを用いて処理できる。これにより、大抵の先行技術の部品の性能を超える設計の部品の形成及び創成が可能になる。
【0021】
好ましい材料を開示したが、他の材料も使用でき、特に、周囲条件(例えば水分、圧力、時間、化学反応等)により熱活性化され又は違ったやり方で活性化され、選択された用途に適した条件下で予測可能に且つ確実に硬化する材料を使用できる。当然のことながら、かかる材料は、非硬化性材料、非膨張性材料等で形成されても良い。かくして、活性時、材料は、軟化するのが良く、硬化するのが良く、膨張するのが良く、軟化して硬化するだけであるのが良く、硬化するだけであるのが良く、軟化するだけであるのが良く、或いは、活性化不能であっても良い。
【0022】
膨張性材料の一例は、米国特許第6,131,897号明細書に開示されたエポキシ系樹脂材料であり、この米国特許を参照により引用し、その教示を本明細書の一部とする。他の考えられる幾つかの材料としては、ポリオレフィン材料、高いガラス転移温度をもつ少なくとも1つのモノマータイプのαオレフィン、フェノール/ホルムアルデヒド材料、フェノキシ材料、ポリウレタン材料を含むコポリマー及びターポリマーが挙げられるが、これらには限定されない。これについては、米国特許第5,766,719号明細書、同第5,755,486号明細書、同第5,575,526号明細書、及び同第5,932,680号明細書も参照されたい(これら米国特許の各々を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする)。ブロックトイソシアネートを含むポリウレタン材料も使用できる。一般に、材料の望ましい特徴としては、ガラス転移温度が高いこと(代表的には摂氏70度よりも高い温度)及び付着耐久性が高いことが挙げられる。このように、材料は、一般に、自動車製造業者により採用されている材料系にとって邪魔になることはない。
【0023】
他の例示の膨張性材料としては、以下の材料、即ち、エポキシ樹脂、ポリスチレン、スチレンブタジエンスチレン(SBS)ブロックコポリマー、ブタジエンアクリロニトリルゴム、非晶質シリカ、ガラス微小球体、アゾジカーボンアミド、ウレア、ジシアンジアミドのうちの2つ又は3つ以上の組合せが挙げられる。かかる材料の例は、SIKAELASTOMER、SIKAREINFORCER及びSIKABAFFLEという商品名で販売されており、ミシガン州マジソンハイツ所在のサイカ・コーポレイション(Sika Corporation)から市販されている。
【0024】
材料が熱活性化熱膨張性材料である用途では、フォームを含む材料の選択及び形成に関する重要な検討事項は、材料反応又は材料膨張及び場合によっては硬化が起こる温度である。代表的には、高い処理温度、例えば、フォームが自動車用部品と一緒に高い温度で又は加えられた高いエネルギーレベルで、例えば、塗装、プライマ又はイーコート(e-coat)ベーキング又は硬化ステップの際、処理される場合に自動車組立て工場で遭遇する高い処理温度で反応性になる。自動車組立て作業で遭遇する温度は、約148.89℃〜204.44℃(約300°F〜400°F)の場合があるが、車体及び塗装ショップ用途は、一般に、約93.33℃(約200°F)又はこれよりも僅かに高い温度状態にある。必要ならば、発泡剤用活性剤を配合物中に混ぜ込んで上述の範囲を超える種々の温度状態での膨張を生じさせるのが良い。一般に、適当な膨張性又は発泡性フォームは、約0パーセントから100パーセントを超える範囲の体積膨張(例えば、材料の元々の非膨張状態の体積の50%以上、100%以上、200%以上又は500%以上の体積膨張)を示す。
【0025】
材料又は媒体は、バッフル技術の利用、当該技術分野において周知の教示によるダイカスト応用技術の利用、バッフル及びブラダ(袋)システムの使用を含むのが良い圧送型被着システムの利用及び吹付け型応用技術の利用により金型に沿って配置された減衰特性を備える活性ポリマー又は他の熱活性化ポリマー(例えば、発泡性ホットメルト接着剤系ポリマー又は膨張可能構造的フォーム、これらの例としては、オレフィン系ポリマー、ビニルポリマー、熱可塑性ゴム含有ポリマー、エポキシ、ウレタン等が挙げられる)で少なくとも部分的に被覆されるのが良い。
【0026】
形成
一般に、本発明の部材の形成は、多種多様な技術、例えば押出し、モールディング(例えば圧縮成形、射出成形、吹き込み成形等)、機械加工、これらの組合せ等を用いて達成できる。かかる形成では、一般に、一塊又は二塊の活性化可能材料をキャリヤ及び(又は)キャリヤ材料に関連させる。活性化可能材料をキャリヤに直接又は間接的に連結し又は取り付けることができる。しかしながら、代表的には、活性化可能材料をキャリヤの大部分の周りに配置する(即ち、前者が後者を包囲する)。かかる実施形態では、一般に、活性化可能材料がキャリヤの少なくとも30%であるが、場合によってはこれよりも少なくても良く、一般的には少なくとも50%、より一般的には少なくとも80%、更により一般的には少なくとも90%、或いは場合によっては100%包囲することが望ましい。
【0027】
好ましい一実施形態によれば、活性化可能材料は、キャリヤの周りに射出成形される。かかる実施形態では、キャリヤ材料をキャリヤを形成するための所望の形状及び(又は)寸法に合わせて形成する(例えば、切断する)。次に、キャリヤを射出成形機の金型内に配置し、金型をキャリヤの周りに閉じる。活性化可能材料を実質的に流体の状態で金型内に射出し、この活性化可能材料が、キャリヤを実質的に包囲してこれにくっつくようにする。次に、キャリヤ及び活性化可能材料を含む部材を金型から取り出す。
【0028】
図4及び図5には、射出成形を用いて形成できる部材30が図示されている。部材30を形成するため、キャリヤ32をキャリヤ材料から矩形の形に切断する。次に、キャリヤ32を、射出成形機の金型内に配置し、金型を閉じる。キャリヤ32が図5に示すような曲がり部34を備えていない場合、これをもう一度切断し、曲がり部を金型内へのキャリヤ32の挿入に先立って予備成形するのが良く又は曲がり部34を金型の閉鎖時に形成するのが良い。しかる後、活性化可能材料38を比較的流体の状態に維持するが、材料38を実質的に活性化させることはない高い温度(例えば、代表的には、30℃以上、40℃以上、60℃以上、80℃以上、それどころか100℃以上であるが、代表的には220℃以下、170℃以下、120℃以下、100℃以下、それどころか70℃以下の温度)で金型内にキャリヤの周りに射出する。次に、活性化可能材料を放冷して活性化可能材料がキャリヤ32にくっつくようにし、それにより部材30を形成する。
【0029】
好ましい一実施形態によれば、活性化可能材料をキャリヤ又はキャリヤ材料の周りに押出し又は同時押出し成形する。かかる実施形態では、キャリヤ材料を好ましくは押出し機を出ている活性化可能材料と一緒に押出しダイに供給し、それにより複合押出し物を形成する。このようにすると、活性化可能材料は、キャリヤ材料を実質的に包囲することができる。しかる後、キャリヤ材料、活性化可能材料又はこれら両方を含む押出し物を所望の形状又は形態に合わせて切断して部材、例えば図5に示す部材30を形成することができる。好ましくは、必要条件ではないが、活性化可能材料38を比較的流体又は粘弾性の状態に維持するが、この材料38を実質的に活性化させることはない高い温度(例えば、代表的には、30℃以上、40℃以上、60℃以上、80℃以上、それどころか100℃以上であるが、代表的には220℃以下、170℃以下、120℃以下、100℃以下、それどころか70℃以下の温度)で活性化可能材料38を押し出す。すると、冷却時、活性化可能材料は、冷えてこれがキャリヤ32にくっつくようになり、それにより部材30を形成する。
【0030】
有利には、これら技術を利用した部材の形成は、必要に応じ又は所望に応じて比較的複雑な又は単純な形状及び(又は)輪郭を部材に与えることができる。さらに、部材のキャリヤは、部材がこれらの形状を維持するのを助けると共に特に活性化可能材料がその形状を維持するのを助ける。
【0031】
本発明の上記実施形態のうちのどれにおいても、しかしながら、特にキャリヤが主として活性化可能材料を支持する役目を果たす状況において、活性化可能材料の体積は、キャリヤの体積よりも実質的に大きいことが好ましい。例えば、活性化可能材料の体積は、キャリヤの体積の少なくとも200%、一般的には少なくとも500%、より一般的には少なくとも800%であるのが良い。例示の計算を挙げると、10m3の体積の200%は、20m3である。
【0032】
さらに、本発明の部材は、これが製品(例えば自動車)の構造体に組み付けるのを助けるための1つ又は2つ以上のファスナ、例えば接着剤、機械的ファスナ、磁石等を有するのが良いことが想定される。かかるファスナは、キャリヤ、活性化可能材料又はこれら両方と同種の材料で一体形成(例えば、一体成形)されるのが良い。変形例として、1つ又は2つ以上のファスナを形成し、別々に部材に取り付けても良い。一例を挙げると、活性化可能材料の一部分を射出成形してこの部分が部材から外方に延びて製品の構造体の開口部内に締まり嵌め関係をなして入るようにするのが良い。変形例として、キャリヤの一部分が、部材から外方に延び、同様なやり方で取付け可能であっても良い。さらに別の変形例として、別個のファスナ、例えば両面テープ、磁石若しくはプッシュピン又は他の機械的ファスナを部材に取り付け、次にファスナを物品の構造体に取り付けても良い(例えば、くっつけ、磁気的に取り付け又は締まり嵌め関係をなして取り付けても良い)。
【0033】
取付け
本発明の部材を種々の製品の種々の構造体上の種々の場所に取り付けることができる。一般に、本発明の部材は、内部キャビティを構成する材料への取付けに極めて適している。かかる状況では、部材をキャビティ内に配置するのが良く、そして部材の活性化可能材料を或る条件、例えば熱への暴露時(例えば、イーコート、プライマ又は塗料ベークオーブン内において)活性化させてこれが、膨張すると共に(或いは)バッフル、シール又は補強を構造体に提供するためのキャビティを画定する構造体の壁にくっつくようにするのが良い。
【0034】
本発明の部材は、自動車の構造体への取付けに特に適していることが判明した。図6で理解できるように、自動車の構造体44(例えばピラー)が図示されており、この場合、構造体44は、内部キャビティ48を画定する壁46を有している。例示の目的のため、図5の部材30の形状は、その輪郭が図6の構造体44のキャビティ48の形状に一致するようなものである。かくして、部材30を、部材の外周部とキャビティ48を画定する壁46との間の隙間が比較的僅かな状態で(例えば、2.5cm未満、一般的には1.0cm未満、より一般的には0.4cm未満、更により一般的には0.2cm未満の状態で)キャビティ48内に配置できる。
【0035】
キャビティ48内への部材30の配置後、活性化可能材料を活性化させてこれが膨張し(例えば発泡し)、硬化し(熱硬化し)、そして構造体44の壁46にくっつくようにする。部材30がバッフル、シール及び(又は)騒音軽減作用を構造体44に提供するよう設計されている場合、活性化可能材料は、代表的には、その非膨張状態の体積の少なくとも500%(場合によってはこれよりも低いが)、一般的には少なくとも800%、より一般的には少なくとも1400%の体積まで膨張し、この部材及び特に活性化材料(例えばフォーム)が、キャビティ48の断面を実質的に完全に跨ぐようにする。部材が補強用に設計されている場合、活性化可能材料は、代表的には、その元の非膨張状態の体積の少なくとも5%(場合によってはそうでなくても良いが)であるが、一般に600%未満、より一般的に400%未満、更により一般的には250%未満の体積まで膨張することになる。当然のことながら、部材は、バッフル、シール及び補強の組合せを構造体に提供して構造体が上述した作用の任意の組合せを備えるようにしても良い。さらに、部材は、上述の機能的属性の組合せをもたらすのを助けるよう2種類又は3種類以上の互いに異なる活性化可能材料を含んでも良い。
【0036】
変形実施形態
図7及び図8は、本発明の別の実施形態としての部材50を示している。理解されるように、図7及び図8の部材50の特徴を上述の実施形態に加えて又はこれらに代えて用いることができ、又、先の実施形態の特徴を図7及び図8の部材50に用いても良い。図7及び図8の部材50は、展性キャリヤ52と、展性キャリヤ52の周りに配置されると共に実質的にこれを包囲した活性化可能な材料54と、オプションとして1つ又は2つ以上のファスナ58とを有する。
【0037】
展性可能キャリヤ52をキャリヤ52内に延び又はこれを貫通して延びる複数個(例えば2個、3個又は4個以上)の開口部62(例えば貫通穴)を備えた複数の幅広部分60を有する細長いストリップとして提供できる。キャリヤ52は、適当な展性キャリヤとして本明細書において説明した材料のうち任意のもので形成できる。
【0038】
ファスナ58は、機械的ファスナ、特にプッシュピンとして図示されている。ファスナ58をキャリヤ52、活性化可能材料又はこれら両方に取り付けるのが良い(例えば、くっつけ、これらと締まり嵌め関係をなして取り付けるのが良い)。図示の実施形態では、ファスナ58の各々の細長い部分64をキャリヤの開口部62にそれぞれ挿通させることによりキャリヤ52に締まり嵌め関係をなしてファスナ58を取り付ける。
【0039】
活性化可能材料54は、本明細書において説明した活性化可能材料のうちの任意のものであって良く、かかる活性化可能材料をキャリヤ52の周りに射出成形し、押出し成形し又は違ったやり方で成形すると共に(或いは)これに取り付けるのが良い。活性化可能材料を、図示の実施形態の場合のようにキャリヤ52及び1つ又は2つ以上のファスナ58の少なくとも一部分の周りに成形するのが好ましいが、これは必要条件ではない。
【0040】
部材50を種々の技術により製品の構造体に取り付けることができる。一例を挙げると、部材50のファスナ58を自動車の構造体(例えばピラー、例えば図6に示すピラー)の開口部(例えば貫通穴)内に締まり嵌め関係をなして入れて活性化可能材料が構造体のキャビティ内に配置されるようにするのが良い。変形例として、ファスナ58は、補助キャリヤの開口部内に締まり嵌め関係をなして入れ、補助キャリヤを部材50と一緒に構造体のキャビティ内に配置しても良い。
【0041】
有利には、展性キャリヤ52により、部材を取り付け中に成形して(例えば曲げて又は湾曲させて)これが構造体又は補助キャリヤの輪郭に適合するようにすることができ、それにより、部材を一層容易にこれに取り付けることができる。図8Aに示すように、部材50は、輪郭付けられた(異形の)又は湾曲した機材66(例えば構造体又は補助キャリヤ)に取り付けられ、部材50は、基材66の湾曲又は輪郭付け表面に適合するよう湾曲され又は輪郭付けられている。好ましくは、キャビティ内への配置後、活性化可能材料を上述したように活性化させて補強、バッフル又はシールを構造体に提供するのが良い。
【0042】
図9及び図10は、本発明の別の実施形態としての部材80を示している。理解されるように、図9及び図10の部材80の特徴を上述の実施形態に加えて又はこれらに代えて用いることができ、又、先の実施形態の特徴を図9及び図10の部材80に用いても良い。図9及び図10の部材80は、展性キャリヤ82と、展性キャリヤ82上又はその周りに配置された活性化可能な材料84と、オプションとして1つ又は2つ以上のファスナ8890とを有する。
【0043】
展性キャリヤ82を細長いストリップで作られたフレーム(矩形の状態で示されている)として提供できる。キャリヤ82は、適当な展性キャリヤとして本明細書において説明した材料のうち任意のもので形成することができる。
【0044】
ファスナ88,90は、機械的ファスナ、特にタブとして図示されており、タブは、好ましくは、曲げ可能であり、キャリヤ82と同種の材料で一体形成されている。図示のように、第1のファスナ88は、キャリヤ82の一方の側から延び、第2のファスナ90は、キャリヤ82の反対側から延びている。第1のファスナ88は、全体としてフックの形をしている。
【0045】
活性化可能材料84は、本明細書において説明した活性化可能材料のうちの任意のものであって良く、手動、自動的又は違ったやり方でキャリヤ82に取付け可能である。活性化可能材料84が粘着性である場合、材料の1つ又は2つ以上の表面を剥離紙で被覆することが望ましい場合があり、この剥離紙は、構造体への部材80の取付け直前に材料から除去されるのが良い。図示の実施形態では、活性化可能材料84は、全体としてキャリヤ82の形状に一致した形状(例えば矩形)を有し、材料84は、キャリヤ82の少なくとも1つの表面94にくっつけられる。
【0046】
部材80を種々の技術に従って製品の構造体に取り付けることができる。図11では、部材は、車両のピラー構造体98に取り付けられる。図示のように、ピラー構造体98は、車体の側部内側部材として示された第1の部材100と、車体の側部補強材として示された第2の部材102と、車体の側部外側部材として示された第3の部材104とを有している。第1のファスナ88を部材102に設けられている開口部に通し、第1のファスナ84を第2の部材102の縁部上に引っ掛けることにより部材80を構造体98の第2の部材102に取り付ける。しかる後、少なくとも一時的に部材80を構造体98、特に第2の部材102に締結するために第2のファスナ90を第2の部材102の遠位端部のところの縁部周りに曲げることにより第2のファスナ90を第2の部材102の遠位端部のところの縁部の周りに曲げてこれに引っ掛ける。
【0047】
好ましくは、キャビティ内への配置後、活性化可能材料を上述したように活性化させて補強、バッフル又はシール構造体に提供するのが良い。図示の特定の実施形態では、部材80を第1の部材100と第3の部材100との間に画定されたキャビティ110内で活性化させ、そして活性化可能材料を活性化させて補強(例えば座屈に対する補強)を構造体98に提供するだけでなく、2つの補強材、例えば第2の部材102と構造体98のための下側補強材112との間の連結状態を比較的強固に補強するのが良い。
【0048】
別段の言及がなければ、本明細書において説明した種々の構造体の寸法及び幾何学的形状は、本発明を限定するものではなく、他の寸法又は幾何学的形状の採用が可能である。複数の構造的コンポーネントは、単一の一体形構造体によって提供できる。変形例として、単一の一体形構造体を別々の複数のコンポーネントの状態に分割しても良い。加うるに、本発明の特徴は、図示の実施形態のうちの1つだけと関連して説明されているが、かかる特徴は、任意所与の用途に関し、他の実施形態の1つ又は2つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。また、上述のことから、本明細書における新規な構造体の製作及びその作用も又、本発明の方法を構成することは理解されよう。
【0049】
本発明の好ましい実施形態を開示した。しかしながら、当業者であれば、或る特定の改造例が本発明の教示の範囲内で相当できることは認識されよう。したがって、特許請求の範囲の記載は、本発明の真の範囲及び内容を定めるものとして検討されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の特徴による例示のキャリヤ材料の正面図である。
【図2】本発明の別の特徴による例示のキャリヤ材料の正面図である。
【図3】本発明の別の特徴による例示のキャリヤ材料の正面図である。
【図4】本発明の特徴による例示の部材の断面図である。
【図5】本発明の特徴による例示の部材の斜視図である。
【図6】本発明の特徴による例示の構造体の断面図である。
【図7】本発明の特徴による例示の部材の正面図である。
【図8】図7の例示の部材の断面図である。
【図8A】図7及び図8の部材の側面図であり、この部材が基材に取り付けられている状態を示す図である。
【図9】本発明の特徴による例示の部材の正面図である。
【図10】図9の例示の部材の側面図である。
【図11】図9及び図10の例示の部材の側面図であり、この部材が、自動車の例示の構造体に取り付けられた状態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の構造体をシール、バッフル、又は補強する部材を形成すると共に(或いは)取り付ける方法であって、
展性キャリヤを用意するステップと、
活性化可能な材料を前記展性キャリヤに関連させ、それにより前記部材を形成するステップであって、前記活性化可能な材料の体積は、前記展性キャリヤの体積の少なくとも500%であるステップと、
前記展性キャリヤ、前記活性化可能材料、またはこれら両方を成形するステップとを備え、
前記成形ステップは、次のステップ、即ち
i.前記展性キャリヤを所定の形態に合わせて成形し、前記活性化可能材料を前記展性キャリヤ上にモールディングするステップ、
ii.前記活性化可能材料を前記展性キャリヤ上にモールディングして前記部材を形成し、前記部材を前記展性キャリヤ及び前記活性化可能材料の成形を含むやり方で物品の構造体に取り付けるステップ、又は
iii.前記活性化可能材料を前記展性キャリヤに被着させ、前記展性キャリヤの少なくとも一部分を曲げて前記展性キャリヤ及び前記活性化可能材料を構造体に取り付けるステップの少なくとも1つのステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記展性キャリヤは、約700MPa以下、約100MPa以上の降伏応力を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記活性化可能材料は、全体的に乾燥し、実質的に非粘着性である、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記展性キャリヤは、金属で作られている、
請求項1、2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記展性キャリヤは、1本又は2本以上のストリップで作られている、
請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記活性化可能材料を前記展性キャリヤに関連させる前記ステップは、前記展性キャリヤを前記活性化可能材料で実質的に包囲するステップを含む、
請求項1、2、3、4又は5記載の方法。
【請求項7】
前記展性キャリヤは、互いに撚り合わされた複数本のストリップで形成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記展性キャリヤは、ワイヤメッシュで形成されている、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記展性キャリヤは、単一のストリップで形成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
i.前記展性キャリヤは、フレーム部分と、第1のタブと、第2のタブとを有し、前記第1のタブは、フックの形をしており、
ii.前記展性キャリヤを成形する前記ステップは、前記第1のタブを構造体の第1の縁部周りに引っ掛け、前記第2のタブを前記構造体の第2の縁部周りに曲げるステップを含む、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記部材を構造体又は補助キャリヤに取り付けるステップを有し、
該部材取付けステップは、前記展性キャリヤ及び前記活性化可能材料を含む前記部材を成形して前記構造体又は前記補助キャリヤの1つ又は2つ以上の輪郭に合わせるステップを含む、
請求項1又は6のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記成形ステップは、前記部材を曲げ又は湾曲させるステップを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記展性キャリヤは、複数個の貫通穴を備えた単一の細長いストリップの形態をしている、
請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記展性キャリヤは、複数の幅広部分を有し、前記複数個の貫通穴の各々が、前記幅広部分の各々をそれぞれ貫通して設けられている、
請求項11、12又は13記載の方法。
【請求項15】
複数個のファスナを前記複数個の貫通穴に通すステップを更に有し、前記部材の前記取付けステップは、前記ファスナを前記構造体又は前記補助キャリヤに取り付けるステップを含む、
請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
前記活性化可能材料は、前記複数個のファスナの少なくとも一部分の周りにモールディングされる、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記活性化可能材料は、イーコート(e-coat)オーブン又はベークオーブン内の温度にさらされると、発泡し、膨張し、そして硬化する熱活性化熱硬化性材料である、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−502592(P2009−502592A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525233(P2008−525233)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030480
【国際公開番号】WO2007/019330
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】