説明

引き抜き成形法及び該方法によって製造される物品

本発明は、長繊維強化成形組成物の製造方法であって、以下の工程:
(a)張力下のマルチフィラメントの少なくとも一つのマルチフィラメントストランドを、表面を超えて送って(passing over a surface)、それにより、少なくとも一つのストランドにおいて、マルチフィラメントをばらばらにひろげて(spread apart)開かれたマルチフィラメントストランドを形成し;
(b)張力下の開かれた(opened)マルチフィラメントストランドを第1の含浸装置に導入し;
(c)第1の熱可塑性成形組成物を第1の含浸装置に導入し、ここで、第1の熱可塑性成形組成物は、少なくとも一つの熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリマーとマルチフィラメントの表面との間の共有結合の形成を触媒する少なくとも一つの触媒を含み、及び所望の場合には、触媒の活性に悪影響を与えない他の添加剤を含む;
(d)少なくとも一つの開かれたマルチフィラメントストランドに、可塑化された第1の熱可塑性成形組成物を含浸し;
(e)第1の含浸装置から形成された繊維強化ストランドをドローオフ(draw-off)し;
(f)繊維強化ストランドを第2のダイに送り;
(g)第1の熱可塑性成形組成物とは異なり、少なくとも一つの熱可塑性ポリマー及び添加剤を含む第2の熱可塑性成形組成物を第2のダイに導入し;
(h)繊維強化ストランドを、第2のダイにおいて可塑化された第2の熱可塑性成形組成物で被覆(sheathing)し;
(i)第2のダイから第2の熱可塑性成形組成物からなるシースを有する繊維強化ストランドをドローオフし;
(j)適当な場合には、第2の熱可塑性成形組成物からなるシースを有する繊維強化ストランドを、冷却し、成形し、ペレット化し、及び/又は更に加工する;
工程を包含することを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、繊維−プラスチック接着を改良したロッドを製造することができる引き抜き成形法と、同方法によって製造された生成物に関する。
熱可塑性樹脂に、例えば強度若しくは衝撃耐性のような機械的性質を改良するため又はそれらの価格を低下させるために、例えば強化材、充填剤、及び/又は耐衝撃性改良剤のような添加剤を組み合わせることができることは知られている。
【0002】
成形材料の性質に対する強化材の効果は、プラスチック・マトリックスへのそれらの結合によって影響される。それ故、一部の強化材は、しばしば、あらゆるプラスチックに対して適切ではないか、又はプラスチック・マトリックスへの改良された結合を生じるようなサイズ剤(sizes)を備えられる。
【0003】
強化繊維は、この場合に、サイズ剤を塗布され、該サイズ剤が乾燥した後に、溶融ポリマー中に組み入れられる。カップリング剤(coupling agent)もしばしば、サイズ剤の他に用いられ、強化材とポリマー・マトリックスとの間の界面における接着を改良するように意図される。しかし、この方法はしばしば不適当である。
【0004】
強化成形材料の製造におけるサイズ剤又はカップリング剤の使用に関する欠点は、しばしば、強化材に対するポリマー・マトリックスの不充分な結合である。成形材料のこれらの成分間の最大の結合が望ましい。
【0005】
引き抜き成形を用いる長繊維強化熱可塑性樹脂ロッドの製造は、それ自体知られている。これは、熱可塑性樹脂からのペレット又は成形材料の製造を可能にする。
WO−A−99/65,661(US−A−6,090,319に対応)は、別のプラスチックのシース(sheath)を有するロッドの、引き抜き法による製造を提案している。
【0006】
先願刊行物(prior publication)ではない、先のWO−A−03/74,612は、選択された添加剤のみでなく、熱可塑性ポリマーと該添加剤の表面との共有結合形成を触媒する触媒をも含む熱可塑性成形材料と、それから製造された成形品を開示している。この明細書は、長繊維強化成形材料をそれから製造することができ、該長繊維強化成形材料を例えば熱可塑性ポリマーのような、別の材料で被覆することができると、述べている。
【0007】
この先行技術から出発して、本発明の目的は、強化繊維に対する熱可塑性樹脂の改良された結合を有する長繊維強化熱可塑性樹脂ロッドを提供することである。
本発明の他の目的は、強化繊維に対する熱可塑性樹脂の結合を改良するための触媒が存在するが、該触媒の活性に不利に影響する可能性がある添加剤のこの場合の存在を排除する長繊維強化熱可塑性樹脂コアを有する、ロッド−又はペレット−形状半完成品を提供することにある。この種類の添加剤は、該熱可塑性樹脂コアの周囲のシース中に見出される。
【0008】
プラスチック・マトリックスに対する強化繊維の結合の改良は、界面接着の増強と、該半完成品及びそれから製造された成形品もの機械的性質の改良とに見られる。
本発明の他の目的は、これらの半完成品又は成形材料の製造方法を提供することにある。
【0009】
これらの目的は、以下に述べる方法及びそれから製造される生成物によって達成される。
本発明は、長繊維強化成形組成物の製造方法であって、以下の工程:
(a)張力下のマルチフィラメントの少なくとも一つのマルチフィラメントストランドを、表面を超えて送って(passing over a surface)、それにより、少なくとも一つのストランドにおいて、マルチフィラメントをばらばらにひろげて(spread apart)開かれたマルチフィラメントストランドを形成し;
(b)張力下の開かれた(opened)マルチフィラメントストランドを第1の含浸装置に導入し;
(c)第1の熱可塑性成形組成物を第1の含浸装置に導入し、ここで、第1の熱可塑性成形組成物は、少なくとも一つの熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリマーとマルチフィラメントの表面との間の共有結合の形成を触媒する少なくとも一つの触媒を含み、及び所望の場合には、触媒の活性に悪影響を与えない他の添加剤を含む;
(d)少なくとも一つの開かれたマルチフィラメントストランドに、可塑化された第1の熱可塑性成形組成物を含浸し;
(e)第1の含浸装置から形成された繊維強化ストランドをドローオフ(draw-off)し;
(f)繊維強化ストランドを第2のダイに送り;
(g)第1の熱可塑性成形組成物とは異なり、少なくとも一つの熱可塑性ポリマー及び添加剤を含む第2の熱可塑性成形組成物を第2のダイに導入し;
(h)繊維強化ストランドを、第2のダイにおいて可塑化された第2の熱可塑性成形組成物で被覆(sheathing)し;
(i)第2のダイから第2の熱可塑性成形組成物からなるシースを有する繊維強化ストランドをドローオフし;
(j)適当な場合には、第2の熱可塑性成形組成物からなるシースを有する繊維強化ストランドを、冷却し、成形し、ペレット化し、及び/又は更に加工する;
工程を包含することを特徴とする方法に関する。
【0010】
第1の含浸装置、及びマルチフィラメントの少なくとも1つのストランドのそれへの導入は、それ自体知られる引き抜きダイを必要とする。これらのダイは、EP−A−579,047又はUS RE 32,772を例として記載される。
【0011】
開口した条件で、及び張力に曝される補強繊維は、この引き抜きダイに導入され、それにより、第一の熱可塑性成形組成物を用いた浸漬が起こり得る。
補強繊維は、種々の素材から構成されるいずれかの所望されるマルチフィラメントのヤーンであり得る。
【0012】
これらの例は、高強力素材から構成されるロービングである。ロービングは、好ましくは、連続的なフィラメントから構成される。
好都合に使用されるマルチフィラメントは、鉱物繊維、例えば、ガラス繊維、ポリマー繊維、及び特に有機高弾性繊維、例えば、アラミド繊維、又は金属繊維、例えば、スチール繊維、又はカーボン繊維を含む。
【0013】
これらは、修飾又は未修飾の繊維であってよく、プラスチックへの付着を改善するために、例えば、サイズ剤で処理されていてもよく、又は化学的な処理がされていてもよい。
ガラス繊維は、特に好ましい。ガラス繊維を処理するために最も使用される素材は、有機シリカ、特にアミノシリカである。具体的な例として、使用してもよいアミノシリカは、3−トリメトキシシリルプロピルアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリメトキシシラニルプロピル)エタン−1,2−ジアミン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,2−エタン−ジアミンである。
【0014】
有利に使用してもよい他の素材は、ポリウレタンに基づくサイズである。
1ないし100の開かれた(opened)マルチフィラメントのストランドは第一の含浸装置に導入されることが好ましい。
【0015】
マルチフィラメントのストランドの開口(opening)は、上述したWO−A−99/65,661に記載されるように、それ自体知られる方法で行われる。
マルチフィラメントのストランドの第一の含浸装置への導入後、これは、第一の熱可塑性成形組成物が含浸され、そして、長繊維で補強されたストランドが形成される。これは、第一の含浸装置からドローオフ(draw-off)される。そのドローオフに基づいて、マルチフィラメントヤーン用のフィード装置との相互作用において、張力がこれらに発生する。
【0016】
第一の含浸装置を離れた後、長繊維で補強されたストランドは、第二のダイに導入され、WO−A−99/65,661に記載されるように、第二の熱可塑性成形組成物で被覆(sheath)される。
【0017】
シースが施された長繊維で補強されたロッドの第二のダイからの除去後、このロッドは、可塑化条件下で巻き上げられるか、又は予め決められた長さのロッドに切断され得る。
第二の熱可塑性成形組成物から構成されるシースを有する繊維補強ストランドは、第二のダイを脱離した後に、好ましくは、冷却され、成形され、ペレットに切断され、及び/又はさらに加工される。
【0018】
第一の熱可塑性成形組成物は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリマーとマルチフィラメントの表面との間の共有結合の形成を触媒する少なくとも1つの触媒を含み、そして、必要に応じて、触媒の活性を不利には影響を与えない他の添加物を含む。
【0019】
第一の熱可塑性成形組成物中の熱可塑性ポリマーの割合は、第一の熱可塑性成形組成物の重量に基づいて、通常、少なくとも60重量%、好ましくは60−99.5重量%である。
【0020】
第一の熱可塑性成形組成物中の触媒の割合は、第一の熱可塑性成形組成物の重量に基づいて、通常、1.0重量%未満、好ましくは0.00001−1.0重量%、及び特に0.001−0.5重量%である。
【0021】
必要に応じて、第一の熱可塑性成形組成物中に存在する添加物の割合は、第一の熱可塑性成形組成物の重量に基づいて、通常、40重量%まで、好ましくは0.1−15重量%、及び特に0.1−10重量%である。
【0022】
必要に応じて、第一の熱可塑性成形組成物に存在する添加物は、引き抜き半仕上げの製造物の加工中に有用であり得て、及び/又はその後の最終製造物に所望の性質を与えるいずれか所望の物質であり得る。しかしながら、添加物は、それらの存在が触媒の活性を不利には影響を与えないような方法で選択されるべきである。
【0023】
添加物の例は、以下の第2熱可塑性成形組成物の説明の後段に挙げられている。添加物の混合物を使用することも可能である。
特に好ましい第1熱可塑性成形組成物は、熱可塑性ポリマー、触媒だけでなく、適切な場合のカップリング剤、及び/又は適切な場合の安定剤、特に抗酸化剤、及び/又は、適切な場合のUV安定剤、及び/又は適切な場合のワックスなどの加工助剤、及び/又は適切な場合の核形成剤であってその存在が使用される触媒の活性に悪影響を及ぼさない添加物のような核形成剤を含んでなる組成物を含んでなる。
【0024】
抗酸化剤の例は、立体障害のあるフェノール化合物である。
UV安定剤の例は、ベンゾトリアゾール誘導体及びベンゾフェノン誘導体である。
第1熱可塑性成形組成物は、好ましくは、熱可塑性ポリマー、触媒、及び適切な場合の抗酸化剤から本質的に構成される。
【0025】
非常に特に好ましい第1熱可塑性成形組成物は、熱可塑性ポリマーのほかに、少なくとも1の触媒と少なくとも1の抗酸化剤のみから構成される。
ここでの触媒の割合は、第1熱可塑性成形組成物の割合を基準として、好ましくは0.00001〜0.5重量%であり、そして、ここでの抗酸化剤の割合は、好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0026】
第1成形組成物の構成成分の選択は、触媒の活性に悪影響を及ぼす構成成分を確実に含まないようにするべきである。このための選択基準は、当業者により日常的実験を介して決定されることができる。
【0027】
触媒の活性への添加物の悪影響を確認するのに役立ち得る実験は、同じ結果量の関連添加物、即ち、最終成形物中の同じ量の添加物が、第1熱可塑性成形組成物及び第2熱可塑性成形組成物それぞれに加えられる実験である。触媒の活性への悪影響が(第1成形組成物中に)存在するなら、同一量の触媒が添加されているのであれば、記載された方法によって製造されかつ第1熱可塑性成形組成物中に添加物を含むペレット又はそれから製造される成形物、例えば、棒状物は、第2熱可塑性成形組成物中にその添加物を含む対応するペレット又は成形物よりも乏しい機械的特性を有する。例として、当業者は、比較されるペレットの射出成形を介して製造される標準試験片の引張強度又は引張破壊歪み値を測定することによりこのことを確認しようとするであろう。第1グループの標準試験片(第1熱可塑性成形組成物中に添加物を含むペレットから誘導されたもの)の機械特性の少なくとも1が、第2グループの標準試験片(第2熱可塑性成形組成物中にその添加物を含むペレットから誘導されたもの)の対応する機械特性よりも顕著に乏しいなら、例えば、10%乏しいなら、その添加物はその触媒の活性に悪影響を及ぼしたと結論付けることができる。
【0028】
熱可塑性ポリマーとマルチフィラメント表面との間の共有結合の形成は、一般に、材料が第1含浸機を後にする前及び/又は引出された半仕上がり製品の更なる加工中起こる。
特に好ましいのは、ポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーから構成される第1熱可塑性成形組成物である。
【0029】
第1含浸機を後にするストランド中のマルチフィラメントの割合は、そのストランドの重量を基準として、一般に80重量%まで、好ましくは10〜80重量%である。
第1熱可塑性成形組成物に使用されることができる適する触媒は、原則として、マトリックスポリマーとマルチフィラメント材料の間で共有結合が生成する化学反応を触媒するあらゆる化合物である。これは、マトリックスポリマーの反応性基のマルチフィラメント表面上の反応性基との反応、使用されるカップリング剤とポリマーマトリックス及び/又はマルチフィラメント表面との間で共有結合が生成する他の反応、カップリング剤の2部分であってそれら部分の一方がマトリックスポリマーと適合性で他方がマルチフィラメント添加物の表面と適合性である2部分の間で共有結合が生成する反応のいずれをも包含することができる。
【0030】
熱可塑性マトリックスポリマーとマルチフィラメントとの間の共有結合形成のための不可避的な触媒反応の例は、同一または異なる反応性基の間に共有結合が生成する反応であればいずれでもよい。
【0031】
反応性基の例は、ヒドロキシル基、チオール基、メルカプタン基、アミン基、エステル基、アミド基、酸無水物基、カルボキシ基、カルボネート基、スルホン酸基、エポキシ基、ウレタン基、チオウレタン基、イソシアネート基、アロファネート基、尿素基、ビウレット基、ラクトン基、ラクタム基、オキサゾリジン基、およびカルボジイミド基、並びにハロゲン原子である。
【0032】
化学反応の例は、同一の反応性基の間の反応、例えばエステル交換反応、アミド基転移反応またはウレタン基転移反応;または、異なる反応性基の間の反応、例えばエステル形成、アミド形成、ウレタン形成若しくは炭素−炭素結合形成である。
【0033】
本発明により使用される触媒は、好ましくは、エステル交換反応、アミド基転移反応若しくはウレタン基転移反応を触媒する化合物、またはエステル基、アミド基およびウレタン基の形成を触媒する化合物である。
【0034】
ルイス酸を使用するのが有利であるが、これらはブレンステッド酸ではないことが特に好ましい。
本発明によれば、これらの触媒の通常の使用量は、第一の熱可塑性成形用組成物を基準として0.00001〜1.0重量%、有利には0.0005〜0.5重量%、特に有利には0.0007〜0.01重量%、特に0.0007〜0.005重量%である。
【0035】
好適な触媒の例は、MgX2, BiX3, SnX4, SbX5, FeX3, GaX3, HgX2, ZnX2, AlX3, PX3, TiX4, MnX2, ZrX4, [R4N]+qAq-, [R4P]+qAq‐であり、ここで、Xはハロゲン原子、すなわちI, Br, Cl, Fおよび/または−O−Rまたは−R基(ただし、Rはアルキルまたはアリールである。)であり、qは1〜3の整数であり、Aはq価アニオン、例えばハライド、スルフェートまたはカルボキシレートである。
【0036】
また、異なる触媒の混合物を使用することも可能である。他の特に有利な触媒は、ホスホニウム塩、ホスファン、アンモニウム塩、スルホニウム塩、チタネート、チタニル化合物、ジルコネート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
特に有利に使用できるチタネートおよびジルコネートは、テトラアルキルチタネートおよびテトラアルキルジルコネートであって、1〜20の炭素原子、有利には2〜10の炭素原子、特に3〜8の炭素原子を有する、同一または異なるアルキル基を有する化合物である。
【0038】
特に有利に使用できる化合物は、テトラブトキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトラペンチルチタネート、テトラペンチルジルコネート、テトラへキシルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトライソブチルジルコネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルジルコネート、トリブチルt−ブチルチタネートまたはトリブチルt−ブチルジルコネートである。
【0039】
好ましく使用され得るホスホニウム塩は、少なくとも1個のアリール基として、フェニルを少なくとも一個持つことが有利であり、これらの例は、テトラフェニルホスホニウムクロリドまたはテトラフェニルホスホニウムブロミドである。
【0040】
芳香族基のみならず脂肪族基を含むホスホニウム塩、特に、例えばフェニル基などのアリール基を3個含むことが特に好ましい。この最後の言及したグループの例は、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミドである。
【0041】
ホスホニウム塩に関して述べた事項はアンモニウム塩にも同様に当てはまる。
トリフェニルホスホファンP(C6H5)3は特に有利なホスファンとして使用される。
本発明の目的のために、熱可塑性ポリマーは、原則として、公知の、合成ポリマー、天然ポリマーおよび溶融押出を経て加工され得る変性天然ポリマーのいずれでもよい。これらの熱可塑性ポリマーは第一および第二の熱可塑性成形用組成物に使用される。
【0042】
例としては、次のものが挙げられる:
ポリ(ピバロラクトン)又はポリ(カプロラクトン)のようなポリラクトン類;
ジイソシアネート類、例えば、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルイソプロピリデン4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、又はジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートの、長鎖ジオール類、例えば、ポリ(アジピン酸テトラメチレン)、ポリ(アジピン酸エチレン)、ポリ(1,4−アジピン酸ブチレン)、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリ(2,3−コハク酸ブチレン)、ポリエーテルジオール類から誘導されるポリエステル類との、及び/又は、エチレングリコール、プロピレングリコールのような1又はそれを超えるジオール類との、及び/又は、1又はそれを超えるジオール類、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び/又はテトラエチレングリコールから誘導されるポリエーテルジオール類との重合生成物のようなポリウレタン類;
ポリ[メタンビス(4−炭酸フェニル)]、ポリ[1,1−エーテルビス(4−炭酸フェニル)]、ポリ[ジフェニルメタンビス(4−炭酸フェニル)]、及びポリ[1,1−シクロヘキサンビス(4−炭酸フェニル)]のようなポリ炭酸塩類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの又は4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルのナトリウム塩の、4,4’−ジシクロジフェニルスルホンとの反応生成物のようなポリスルホン類;
ヒドロキノンの、4,4’−ジヒドロキシビフェニルの、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンの、又は4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジベンゾフェノン、ビス(4,4’−ジハロベンゾイル)ベンゼン、及び4,4’−ジハロビフェニルに代表されるタイプの二ハロゲン化された、特に二フッ素化又は二塩素化された芳香族化合物との重合生成物のような、ポリエーテル類、ポリケトン類、及びポリエーテルケトン類;
ポリ(4−アミノブタノエート)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(6−アミノヘキサノエート)、ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(p−キシリレンセバカミド)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メタ−フェニレンイソフタラミド)(NOMEX)、及びポリ(p−フェニレンテレフタラミド)(KEVLAR)のようなポリアミド類;
ポリ(エチレン1,5−ナフタレート)、ポリ(シクロヘキサン−1,4−ジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)(A−TELL)、ポリ(パラヒドロキシベンゾエート)(EKONOL)、ポリ(シクロヘキシリデン−1,4−ジメチレンテレフタレート)(KODEL)、ポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル類;
ポリ(2,6−ジメチルフェニレン1,4−オキシド)及びポリ(2,6−ジフェニルフェニレン1,4−オキシド)のようなポリ(アリーレンオキシド)類;
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、及び4−アミノフェノールからなるモノマー類の群からの重縮合生成物のような液晶ポリマー類;
ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(フェニレンスルフィドケトン)、及びポリ(フェニレンスルフィドスルホン)のようなポリ(アリーレンスルフィド)類;
ポリエーテルイミド類;
ポリオキシメチレンホモ−又はコポリマー類;
ポリビニル酢酸、塩化ポリビニル、ポリビニルブチラール、塩化ポリビニリデン、及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー類のようなビニルポリマー類及びそれらのコポリマー類;
エステル類、例えば、ポリエチルアクリレート、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、水不溶性エチレン−アクリル酸コポリマー類、水不溶性エチレン−ビニルアルコールコポリマー類、アクリロニトリルコポリマー類、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー類、エチレン−エチルアクリレートコポリマー類、及びアクリル−ブタジエン−スチレンコポリマー類のようなポリアクリレート及びポリメタクリレート、及び、それらのコポリマー類及び誘導体類のようなポリアクリル酸誘導体類;
ポリ(エチレン)、例えば、低密度ポリ(エチレン)(LDPE)、線状低密度ポリ(エチレン)(LLDPE)、又は高密度ポリ(エチレン)(HDPE)のようなポリオレフィン類;
ポリ(プロピレン)、塩素化ポリ(エチレン)、例えば、塩素化低密度ポリ(エチレン);
ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、及び(ポリ)スチレン;
水不溶性イオノマー類:ポリ(エピクロロヒドリン);
ポリ(フラン)のようなフランポリマー類;
酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、及びプロピオン酸セルロースのようなセルロースエステル類;
ポリ(ジメチルシロキサン)及びポリ(ジメチルシロキサン−コ−フェニルメチルシロキサン)のようなシリコン類;
タンパク質熱可塑性物質類;
及び、言及したポリマー類の2又はそれを超えるものの全ての混合物及び合金類(混和性及び非混和性ブレンド類)。
【0043】
本発明の目的のために、熱可塑性ポリマー類は、例えば以下のポリマー類の1またはそれより多くに由来する熱可塑性エラストマー類も含む:
ポリウレタンエラストマー類、フルオロエラストマー類、ポリエステルエラストマー類、塩化ポリビニル、熱可塑性ブタジエン/アクリロニトリル エラストマー類、熱可塑性ポリ(ブタジエン)、熱可塑性ポリ(イソブチレン)、エチレン−プロピレン コポリマー類、熱可塑性エチレン−プロピレン−ジエン ターポリマー類、熱可塑性スルホン化エチレン−プロピレン−ジエン ターポリマー類、ポリ(クロロプレン)、熱可塑性ポリ(2,3−ジメチルブタジエン)、熱可塑性ポリ(ブタジエン−ペンタジエン)、塩化スルホン化ポリ(エチレン)、無晶形の若しくは(半)結晶のブロック(例えば、ポリ(スチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(tert−ブチルスチレン)及びポリエステル類)のセグメント、並びに、エラストマー性ブロック(例えば、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン))のセグメント、からなるブロックコポリマー、エチレン−プロピレン コポリマー類、エチレン−ブタジエン コポリマー類、エチレン−イソプレン コポリマー類、並びにそれらの水素化誘導体(例えば、SEBS、SEPS、SEEPS)、並びに、増加した割合の1,2−結合イソプレン、ポリエーテル類、スチレンポリマー類(例えば、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、若しくはPC/ABS(ポリカーボネート/ABS)など)を有する、水素化エチレン−イソプレンコポリマー類(例えば、Kraton Polymersからの商標KRATONを付した製品)、並びに、上述したポリマー類の2つ又はそれより多くの混合物又は合金(alloy)(混合できる、若しくは、混合できないブレンド)。
【0044】
付加物と反応可能な官能基を有するブロック類を含むブロックコポリマーは、有意に利用可能であり得る。
マトリックスポリマーとして、又は特にマトリックスポリマーへの付加物として同様に有意に利用しうる材料は、エステル交換反応等の、上述した反応の1つに関与することとなる官能基が、側鎖中に存在する、グラフトコポリマーである;それらは、特に修飾ポリオレフィン類、特に、修飾ポリエチレン若しくは修飾ポリプロピレンである。修飾ポリオレフィンは、好ましくは、以下のグループ:カルボキシ、無水カルボン酸、金属カルボキシレート、カルボン酸エステル、イミノ、アミノ、若しくはエポキシ基、の少なくとも1つを、有利には1ないし50重量%含む。
【0045】
官能基を有するこれらのポリオレフィン類の例は、例えば、以下に例示として挙げられた化合物の化学グラフティングによって製造された、修飾ポリオレフィンコポリマー類、又はグラフトコポリマー類を含む、化合物の例、無水マレイン酸、無水クエン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレインイミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルビニルベンゾエート、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド(AXE)、あるいは、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはエチレン−プロピレンコポリマー)又はポリアミド上のアルキル(メタ)アクリレート類。修飾ポリマーのポリマー化の程度に制限はなく、またオリゴマーであってもよい。
【0046】
特に好ましい修飾ポリオレフィン類は、無水マレイン酸−修飾ポリエチレン、無水マレイン酸−修飾ポリプロピレン、無水マレイン酸−修飾ポリエチレン−ポリプロピレン コポリマー、グリシジル−メタクリレート−修飾ポリプロピレン、AXE−修飾ポリエチレン、AXE−修飾ポリプロピレン及びポリアミド−グラフトポリオレフィン類、である
エステル交換反応、アミド基転移反応、又はウレタン転移反応(transurethanization)を介して得られるポリマー類、あるいは、その繰り返し単位がこれらの型の反応若しくは類似する反応に関与することとなり得る、少なくとも1つの基を含んでいるポリマー類を用いることが、非常に特に有意である。
【0047】
特に有意に使用することができ、エステル交換反応、アミド基転移反応、又はウレタン転移反応に関与することとなり得る官能基を含む可塑性ポリマー類は、これらの型の反応に関与し得ない官能基は含まず、よって、マルチフィラメントへのその結合を促進する、ポリマー類の混合物中で有利に使用されることができる。
【0048】
よって、ポリプロピレンを用いた、長繊維で補強された(long−fiber−reinforced)可塑性構造の製造のために、有利には、使用されるポリプロピレンに、少なくとも1種類の修飾ポリオレフィン及び/又はポリアミドを加えることが可能である。
【0049】
特に有利に使用される可塑性ポリマー類は、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアリーレンスルフィド類、並びに特に修飾ポリオレフィンと混合した、ポリアセタール類、ポリオレフィン類である。
【0050】
触媒、又は触媒混合物、及び適切ならば、使用される他の付加物は、現在までに知られている方法、例えば、押出機(extruder)若しくは揉捏機(kneader)の手段、によって、第1の熱可塑性成形組成物の熱可塑性へと取り込まれることができる。これは、第1の含浸機(impregnator)の上流で取り付けられているか、あるいは、早い段階で形成が生じている熱可塑性成形組成物からなるペレットが使用される。
【0051】
第2の熱可塑性成形組成物は第1の熱可塑性成形組成物と異なる。第2の熱可塑性成形組成物は一般に触媒を含まないが、触媒は第1の熱可塑性成形組成物中に存在していなければならない。
【0052】
第2の熱可塑性成形組成物は熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂の混合物からのみ構成されうるが、少なくとも1つの添加剤を含む。
添加剤は、引抜成形された半製品の加工中に有用である、および/またはその後の最終製品に所望の性質を与えるあらゆる所望の添加剤であってよい。
【0053】
添加剤の例としては、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑助剤、抗酸化剤、UV安定化剤、酸スカベンジャー、カップリング剤、離型剤、核剤、超高分子量ポリエチレン、耐衝撃性改良剤、特にエラストマーが挙げられる。添加剤の混合物を用いることも可能である。
【0054】
無機充填剤の例としては、チョーク、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、タルク、ウォラストナイト、ローム、二硫化モリブデンおよび/または黒鉛が挙げられる。
【0055】
抗酸化剤の例としては、立体障害フェノール化合物が挙げられる。UV安定化剤の例としては、ベンゾトリアゾール誘導体およびベンゾフェノン誘導体が挙げられる。
帯電防止剤、つまり導電率を与える添加剤の例としては、カーボンブラック、特に導電性カーボンブラックまたは金属粉が挙げられる。
【0056】
核剤の例はタルクである。
着色剤の例としては、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、コバルトブルーなどの無機顔料、または有機顔料、およびフタロシアニン、アントラキノンなどの染料が挙げられる。
【0057】
滑剤の例としては、石鹸およびエステル、例えばステアリルステアレート、モンタン酸エステル、部分加水分解モンタン酸エステル、ステアリン酸、極性および/または非極性ポリエチレンワックス、ポリ−α−オレフィンオリゴマー、シリコン油、ポリアルキレングリコールおよびパーフルオロアルキルエーテル、ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
【0058】
引抜成形された棒材の中心に問題のある添加剤が存在しないことによって、中心に位置する触媒の活性に及ぼす悪影響が排除される。
ある好ましい態様において、第2の熱可塑性成形組成物に用いる添加剤はポリマーマトリックス中に別の相で存在する。
【0059】
これらの添加剤は、熱可塑性ポリマーと添加剤表面との間の共有結合の形成を触媒する触媒と共に用いることが特に好ましく、これによって化学反応によって表面がポリマーマトリックスと共有結合される。
【0060】
添加剤は典型的な強化物質であってよく、例えば繊維、帯(ligaments)、フィルムもしくは繊維シート構造物、または経済的理由から主として用いられる典型的充填材、例えば鉱物充填材、または組成物に所望の性質、例えば強化効果を与えるためのその他の充填材、またはその他の耐衝撃性改良剤でありうる。
【0061】
これらの添加剤はサイズ剤と共に用いるか、あるいはプラスチックマトリックスへのカップリングを改良するために予め表面処理されるのが有利である。
これらの添加剤はサイズ剤と共に用いるか、あるいはプラスチックマトリックスへのカップリングを改良するために予め表面処理されるのが有利である。
【0062】
添加剤は第2の熱可塑性成形組成物の熱可塑性樹脂中にそれ自体は公知の方法、例えば押出機または混練機によって導入することができる。第2の含浸機の上流にこれを設置することが好ましく、あるいはそれ以前の段階で形成されている熱可塑性成形組成物からなるペレットを用いる。
【0063】
第2の熱可塑性成形組成物に用いる特に好ましい添加剤は耐衝撃性改良剤である。第2の熱可塑性成形組成物に用いる好ましく用いられる触媒もポリマーマトリックス中の耐衝撃性改良剤の融和性と分散性を改良し、その結果より高い耐衝撃性が得られる。
【0064】
これが起こる様式は、「in situ」で、すなわち溶解−練合手順の間、熱可塑性ポリマーと耐衝撃性改良剤(impact modifier)の利用可能な官能基(functionalities)との間のカップリング反応が触媒により促進され、これによりブロックコポリマーが製造されると考えられ得る。これが熱力学的混和性を改善し、その結果、相境界間の相溶剤として働くことで混合物との相溶性を改善する。
【0065】
好ましく用いられ得る耐衝撃性改良剤は、単独又は混合物の形態で、ポリウレタン類、ポリブタジエン及びスチレン/アクリロニトリルからなる二相混合物(ABS)、改質(modified)ポリシロキサン類並びに、それぞれ、ポリジエンベースの弾性単相コアおよび硬グラフトシェルからなる(コア−シェル構造)、シリコンゴム又はグラフトコポリマーである。
【0066】
本発明に用いられる第二の熱可塑性成形組成物は、第二の熱可塑性成形組成物に対し、通常40重量%までの量の添加剤を、単独又は混合物の形態で含むことができる。
第二の熱可塑性成形組成物中の熱可塑性ポリマーの割合は、通常、第二の熱可塑性成形組成物全重量に対し、40〜99.9重量%であり、好ましくは、60〜99重量%である。
【0067】
第二の熱可塑性成形組成物中の添加剤の割合は、好ましくは、第二の熱可塑性成形組成物全重量に対し、0.1〜60重量%であり、好ましくは、1.0〜40重量%である。
本発明は、前述の方法により得られ得る引抜成形外装ストランド(pultruded sheathed strand)もまた提供し、ここで、第一の熱可塑性成形組成物は、本質において、熱可塑性ポリマー、触媒、適切な場合カップリング剤、適切な場合抗酸化剤、及び/又は適切な場合UV安定剤からなり、並びに、第二の熱可塑性成形組成物は添加剤を含む。
【0068】
本発明の方法で得られ得る外装ストランドは、線維強化成形の製造のための半仕上げ(semifinished)製品として用いることが出来る。最終製品のためのアプリケーションセクターは多様であり、例えば、乗り物(例えば自動車)への適用のためのコンポネント、家庭用装置のためのコンポネントまたは運動器具のためのコンポネントに関する。
【0069】
図1は、フローダイアグラムの形態で、本発明の方法の一実施態様を示す。
マルチフィラメントストランド(1)および第一の熱可塑性成形組成物(3)を、第一のダイ(2)に導入し、ここでそれらは加工され、線維強化ストランド(4)を与える。これが第一のダイ(2)を離れ、第二のダイ(5)に導入され、ここで、第二の熱可塑性成形組成物(6)で外装され、最終製品(7)を製造する。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。
実験1〜2で用いる親物質は、Ticona GmbHからのポリオキシメチレン(POM)を含む。以下の表に述べる組成物に対応して用いられる他の補助剤は、成核剤、抗酸化剤および離型剤を含む混合物を含む。臭化エチルトリフェニルホスポニウムを触媒として用いた。
【0071】
実験1は比較実施例である。実験2は本発明の実施例である。
実施例1は、単段階引抜成形(pultrusion)である。実施例2は、図1に概略した、2つのダイの配置で行われた二段階引抜成形であり、ここで、「潤滑(tribological)添加剤」コンポネント及び「カーボンブラック」コンポネントの使用は、空間的及び時間的に分離し、第二のダイに到達するまで遅らせられる。
【0072】
それぞれのダイに加えた各投与量は、以下の表中のとおりである。ここで、以下の略記を用いた:
Fw1=ダイ1を離れる引抜成形ストランドに対する、ダイ1に導入したマルチフィラメントストランドの割合(重量%)である。
【0073】
Gw1=ダイ1に導入される第一の熱可塑性成形用組成物の割合(このダイから離れていく引き出し成形されるストランドの重量を基準とした重量%)。
Fw2=ダイ2に導入される引き出し成形されるストランドの割合(このダイから離れていく、覆われ(sheathed)、引き出し成形されるストランドの重量を基準とした重量%)。
【0074】
Gw2=ダイ2に導入される第二の熱可塑性成形用組成物の割合(このダイから離れていく、覆われ、引き出し成形されるストランドの重量を基準とした重量%)。
第一及び第二の熱可塑性成形用組成物を形成する混合用成分が混合され、その後二軸押出機内で溶融され、均質化され、ストランドの形に引き延ばされ、ペレット化された。その後、順番にこれらペレットは図1に概要を示した引き出し成形装置のダイ1及びダイ2に加えられ、押出機内で再溶融され、均質化され、その溶融物は引き出し成形ストランドへの注入(impregnation)のために適切なダイへと圧縮された。
【0075】
試験片を製造するために、切断された引き出し成形ストランドは射出成形によって加工されて標準試験片となり、以下に列挙する方法によって試験片の特性を測定した。
引張強度、破断時の引張変形及び引張弾性率は、ISO527の引張試験で測定した。
【0076】
シャルピーノッチ付き衝撃抵抗及び衝撃抵抗は、ISO176の引張衝撃試験で測定した。
以下の表中の量は重量%で示されている。引張強度及び引張弾性率はMPaで示され、破断時引張変形は%で示され、衝撃抵抗はkJ/mで示されている。これらの特性は表中に示されているDIN及びISO標準に従って測定された。
【0077】
表には、ダイ1及びダイ2のための混合物の組成、及び対応する試験結果が記載されている。
【0078】
【表1】

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長繊維強化成形材料の製造方法であって、下記工程:
(a)マルチフィラメントから成る、少なくとも1本のマルチフィラメント・ストランドにおいて、マルチフィラメントがバラバラに広がって、開いたマルチフィラメント・ストランドを形成するように、マルチフィラメントから成る、少なくとも1本のマルチフィラメント・ストランドを、表面上で、張力にさらして通過させる工程、
(b)該開いたマルチフィラメント・ストランドを張力にさらして、第1含浸機に導入する工程、
(c)第1熱可塑性成形材料を第1含浸機中に導入する工程、この場合、第1熱可塑性成形材料は、少なくとも1種類の熱可塑性ポリマーと、該熱可塑性ポリマーと該マルチフィラメントの表面との間の共有結合形成を触媒する、少なくとも1種類の触媒と、適切な場合には、該触媒の活性に不利に影響しない他の添加剤を含む、
(d)該少なくとも1本の開いたマルチフィラメント・ストランドに、可塑化した第1熱可塑性成形材料を含浸させる工程、
(e)繊維強化ストランドを第1含浸機から引き上げる工程、
(f)繊維強化ストランドを第2ダイ中に導く工程、
(g)第1熱可塑性成形材料以外の、少なくとも1種類の熱可塑性ポリマーと添加剤を含む第2熱可塑性成形材料を第2ダイ中に導入する工程、
(h)該第2ダイにおいて該繊維強化ストランドを可塑化した第2熱可塑性成形材料で被覆(sheath)する工程、
(i)第2熱可塑性成形材料から成るシースを備えた繊維強化ストランドを第2ダイから引き上げる工程、及び
(j)適切な場合には、第2熱可塑性成形材料から成るシースを備えた繊維強化ストランドを冷却し、成形し、ペレット化し、及び/又はさらに加工する工程
を含む方法。
【請求項2】
好ましくは1本〜100本の、複数の開いたマルチフィラメント・ストランドを第1含浸機中に導入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2熱可塑性成形材料から成るシースを備えた繊維強化ストランドを、第2ダイを出た後に、冷却し、成形し、ペレットに細断し、及び/又はさらに加工する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第1熱可塑性成形材料が実質的に、少なくとも1種類の熱可塑性ポリマーと、少なくとも1種類の触媒と、適切な場合には、少なくとも1種類の酸化防止剤から成り、マルチフィラメントの割合が、第1含浸機を出た繊維強化ロッドの重量を基準にして、10〜80重量%である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第1成形材料中の触媒が、エステル交換反応、トランスアミデーション(transamidation)反応若しくはトランスウレタニゼーション(transurethanization)反応を触媒する、又はエステル基、アミド基及びウレタン基の形成を触媒する触媒である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第1成形材料中の触媒がルイス酸である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第1成形材料中の触媒が、ホスホニウム塩、ホスファン、アンモニウム塩、スルホニウム塩、チタネート、チタニル化合物、ジルコネート、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第2成形材料中の添加剤が、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、摩擦学的補助剤(tribological auxiliaries)、酸化防止剤、UV安定剤、酸スキャベンジャー、カップリング剤、離型剤、成核剤、超高分子ポリエチレン、耐衝撃性改良剤、特にエラストマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第2の成形組成物において、ポリマーマトリクス中の別の相に存在する添加剤を用いる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第2の成形組成物及び/又は第2の成形組成物のための熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリエチレン又は変性ポリオレフィン;ポリアクリレート、ポリメタクリレート、並びに、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及び/又はアミドを重合することによって得られるポリマー、或いはこれらのコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンスルフィド、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1の成形組成物中の触媒が、エチルトリフェニルホルホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、ステアリルトリブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルホスファン、n−ブチルチタネート、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第2の熱可塑性成形組成物によって被覆(sheath)されており、請求項1に記載の方法によって得られる第1の繊維強化熱可塑性成形組成物から構成される繊維強化され熱可塑性材料によって被覆されている(sheathed)ストランドであって、ここで、第1の熱可塑性成形組成物は、実質的に熱可塑性ポリマー、触媒、適当な場合にはカップリング剤、適当な場合には酸化防止剤、及び/又は、適当な場合にはUV安定剤から構成され、第2の熱可塑性成形組成物は添加剤を含むことを特徴とするストランド。
【請求項13】
請求項12に記載の繊維強化され熱可塑性成形組成物によって被覆されている(sheathed)ストランドを成形するか、或いは、請求項12に記載の繊維強化され熱可塑性成形組成物によって被覆されている(sheathed)ストランドを細断する(comminute)ことによって得られるペレットを成形することによって得られる繊維強化成型品。
【請求項14】
自動車用途、家庭用具、或いはスポーツ用品の部品として用いるための繊維強化成型品を製造するための、請求項1に記載の方法によって得られる被覆された(sheathed)ストランドの使用。

【公表番号】特表2006−524594(P2006−524594A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505314(P2006−505314)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004519
【国際公開番号】WO2004/096528
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】