説明

微小電気機械システム用のパッケージングおよびその製造方法

本開示の実施の形態は、微小電気機械デバイスパッケージを製造するためのシステムおよび方法を提供する。簡単に述べると、構造において、中でも、システムの1つの実施の形態は、基板層に形成された微小電気機械デバイスと、微小電気機械デバイスの少なくとも一部を保護する熱分解可能な犠牲構造物と、を含み、犠牲構造物は基板層に形成され、微小電気機械デバイスの活性表面を取り囲むキャビティを囲繞する。他のシステムおよび方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に微小電気機械デバイスに関し、より詳細には、微小電気機械デバイスのパッケージングに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスパッケージを微小電気機械システム(MEMS)デバイスに適合させることは、いくつかの挑戦的なパッケージング要件を必要とする。多くのMEMSデバイスの典型的な三次元の可動要素は一般に、MEMSデバイスの活性表面の上に自由空間を提供するためにある種のキャビティパッケージを必要とする。キャビティの内部は一般に、材料の過剰ガス放出を含む汚染物質がないものでなければならない。MEMSデバイスはまた、パッケージ内の熱的分離、および、デバイスへの機械的応力を最小限にする装着方法を必要とすることもある。キャビティは、排気されてもよく、または、ゲッター等の大気制御剤で満たされてもよい。
【0003】
これらの要件に加えて、MEMSデバイスは、通常のマイクロパッケージング手順中に損傷を受けやすい。動くことができる三次元機械的構造物の存在は、パッケージされていないMEMSデバイスに脆弱性を加える。たとえば、可動MEMS構造物は、粗雑に扱われると、接触し永久的にくっついてしまう(吸着効果)。
【0004】
さらに、MEMSパッケージングのコストは、多くの用途で重大な問題になっている。たとえば、大半のMEMSデバイスを製造する際に、コストの50〜90%は、MEMSデバイスのパッケージングに費やされる。たとえば、MEMSデバイスの表面特徴およびキャビティ要件は、典型的には、大半の集積回路に使用される低コストの移送成形されたプラスチックパッケージングの適用を禁じる。さらに、射出成形等の共通の密閉技術は、高圧を必要とすることが多く、それは、微小構造物を容易に損傷することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、前述の欠陥および不適切さに対処するために、業界では、今までに取り組まれていない需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施の形態は、微小電気機械デバイスパッケージを製造するためのシステムおよび方法を提供する。簡単に述べると、構造面において、中でも、当該システムの1つの実施の形態は、基板層上に形成された微小電気機械デバイスと、微小電気機械デバイスの少なくとも一部を保護する熱分解可能な犠牲構造物と、を含み、犠牲構造物は基板層上に形成され、微小電気機械デバイスの活性表面を取り囲む気体キャビティを囲繞する。
【0007】
本開示の実施の形態はまた、微小電気機械デバイスパッケージを製造するための方法をも提供する。この点に関して、中でも、そのような方法の1つの実施の形態は、下記のステップに大ざっぱに要約することができる。すなわち、微小電気機械デバイスの基板に熱分解可能な犠牲層を形成するステップであって、犠牲層は微小電気機械デバイスの一部を密閉する気体キャビティを囲繞するステップと、犠牲層のまわりに保護層を形成するステップと、犠牲層を熱分解するステップであって、分解された分子が保護層を通って透過し、熱分解可能な犠牲層が形成された場所に気体キャビティが形成されるステップと、である。
【0008】
本開示の他のシステム、方法、特徴および利点は、下記の図面および詳細な説明を調べれば当業者には明らかであるかまたは明らかになる。すべてのそのような追加システム、方法、特徴および利点は、本説明に含まれ、本開示の範囲内であることが意図される。
【0009】
本開示の多くの態様は、下記の図面を参照して良好に理解されることができる。図面の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ、本開示の原理を明らかに例示することが重要視されている。さらに、図面において、類似の参照符号は、数枚の図面にわたって対応する部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本開示の1つの実施の形態にしたがったMEMSデバイスパッケージ100を示す。それに応じて、MEMSデバイスパッケージ100は、自立MEMS構造物110をパッケージするために使用され、一般に、基板層105と、基板層105に形成された1つまたはそれ以上のMEMS構造物(単/複)110と、自立MEMS構造物110を囲繞するキャビティまたはエアギャップまたは気体キャビティ108と、MEMSデバイスに機械的、電気的、化学的および/または環境的な保護を提供するためのキャビティ108のまわりのバリア層120と、キャビティの内部から外部へ延出する(電気信号を内部から外部へガイドするために、バリア層120を通って、または、その下で)複数の電気フィードスルーと、外部の点または端子へパッケージ100を接続するために基板105に形成されたコンタクト130と、を含む。自立または解放されたMEMS構造物110をMEMSパッケージ100内にパッケージした後に、パッケージ100は、次いで、下記に検討されるように、様々な独特で異なったアプローチで回路基板またはシステムに取り付けられてもよい。
【0011】
基板層105は、特定のMEMSシステムまたはデバイスに適切な材料から作ることができる。例示的な材料として、ガラス、ダイヤモンド、石英、サファイア、シリコン、シリコン化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウム化合物、ガリウム、ガリウム化合物、インジウム、インジウム化合物、または、他の半導体材料および/または化合物を含むが、それらに限定されない。加えて、基板層105は、いずれの誘電性材料、金属(たとえば、銅およびアルミニウム)、または、たとえばプリント配線板に見られるセラミックまたは有機の材料を含む非半導体基板材料を含むことができる。コンタクト130は、接着および熱特性等を適切に考慮して、金属および/または金属合金等の導体から形成される。
【0012】
先に述べたように、キャビティ108のまわりのバリア層120は、MEMSデバイス(単/複)に機械的、電気的、化学的および/または環境的な保護を提供する。特定のMEMSデバイスまたは特定の用途に依存して、異なるレベルの保護が望まれることがある。一般に、エアギャップまたはキャビティは、必ずしも呼吸気ではない気体を含む取り囲まれた領域であり、エアギャップは真空状態下にある。エアギャップまたはキャビティは、一般に、上部構造物によって取り囲まれる。
【0013】
一般に、MEMS構造物110は、デバイスを作業環境から保護し、かつ、環境をデバイス材料および操作から保護するのを確実にするようにパッケージされる。たとえば、保護の1つのレベルは、MEMS構造物110の構造的一体性を確実にするために、他の機械的構造物または物体から干渉されることから保護する。この種類のエンクロージャにおいて、バリア層120は、MEMSデバイスの特定の操作環境の一般的な厳しさに耐えることができる材料から作らなければならない。保護の別の追加レベルは、酸素または水への露出からの保護を提供する(たとえば、密封エンクロージャ)。それに応じて、この種類の保護では、バリア層120は、一般にエアキャビティ108のまわりに気密封止を提供する金属材料から作られる。加えて、いくつかのバリア層120はまた、いずれの外部気体への露出からの保護をさらに提供する追加レベルの保護を提供してもよい。この最後のレベルの保護では、エアキャビティ108内部に真空が生成され、バリア層20は、一般にエアキャビティ108内部に真空を維持する金属材料から作られる。
【0014】
本開示の1つの実施の形態にしたがって、MEMSデバイスパッケージ100を製造するためのプロセス200が、図2および図3に関して検討される。このプロセス200は、本願に記載されるように、犠牲材料の熱分解に基づいている。明瞭化のために、製造プロセスのいくつかは図2に含まれないことに留意されたい。このため、下記の製造プロセスは、MEMSデバイスパッケージ100を製造するために必要なすべてのステップを含む網羅的なリストであることは意図されない。加えて、プロセスのステップは、図2に例示された順番とは異なる順番で行われてもよく、または、いくつかのステップは同時に行われてもよいため、製造プロセスは柔軟性がある。
【0015】
次に図2および図3を参照すると、熱分解可能な犠牲ポリマー(たとえば、ユニティ200、プロメラス、LLC、オハイオ州ブレックスヴィル(Unity 200, Promerus, LLC, Brecksville, OH))が、解放されたMEMSデバイス310の表面に加えられて(210)、犠牲層325を有するMEMSデバイスパッケージ320を生成する。犠牲ポリマー材料は、MEMSデバイス310の表面または表面の一部を密閉するようにパターニングされて、犠牲層325を形成する。たとえば、光電性または感光性の犠牲ポリマー材料を使用して、犠牲層325を作ってもよい。それに応じて、感光性ポリマーは、たとえば、スピンコーティング、ドクターブレード法、スパッタリング、ラミネーション、スクリーンまたはステンシル印刷、溶融排出、化学蒸着(CVD)、および、プラズマ系蒸着システム等の技術を使用して、基板328に付着されることができる。
【0016】
次いで、犠牲材料325でパターニングした後に、MEMSデバイスは、犠牲層325の頂部およびMEMS構造物の他のいずれの所望の区域を、誘電性材料(たとえば、アバトレル(Avatrel)、ポリイミド、SU8)335で上塗りされる。このため、上塗り層が、MEMS構造物320に加えられて(220)、犠牲層325および上塗り層335を有するMEMSデバイスパッケージ330を形成する。上塗り層335は、たとえば、スピンコーティング、感光方法、ドクターブレード法、スパッタリング、ラミネーション、スクリーンまたはステンシル印刷、溶融排出、化学蒸着(CVD)、および、プラズマ系蒸着システム等の技術を使用して、基板328に付着されることができる。上塗り材料もまたパターニングすることができ、ボンドパッドまたはコンタクト等の特徴部を露出する。
【0017】
上塗り335が準備された後に、犠牲層325の犠牲ポリマー材料を、ポリマーを分解するのに十分な温度(たとえば、200〜250℃)へ加熱することによって、犠牲層325は分解される。たとえば、犠牲層325は、犠牲層325の熱分解温度を超えることによって、炉内で分解されてもよく(230)、上塗り層335によって囲繞され実質的に残留物がない低残留エアギャップかまたは残留物がないキャビティ348を有するMEMSデバイスパッケージ340を作る。「実質的」な値未満の残留物は、最終製品にほとんどまたはまったく影響を与えず、「残留物がない」とみなすことができる。たとえば、MEMSデバイスにおいて、10nm未満の残留物は典型的には最終製品に影響を与えず、残留物がないとみなされる。
【0018】
このプロセス中に、犠牲層325の分解生成物は、上塗り層335を通って拡散するかまたは透過する。追加ステップにおいて、追加の金属材料355が、上塗り層335上でMEMS構造物に加えられて(240)、MEMSデバイスの活性表面358を保護する金属キャップまたはバリア355を備えたMEMSデバイスパッケージ350を形成する。金属バリア355は、外部力または要素からMEMSデバイス310を保護する1つのタイプの保護を提供する。特に、金属は密封バリアを提供することが知られている。したがって、金属密封バリア355は、MEMSデバイスが大気条件にもたらされることを可能にする。
【0019】
いくつかの実施の形態においては、MEMSデバイスの真空パッケージングが望まれる。その中で、MEMSデバイスの真空パッケージングを実行するための1つの実施の形態は、先に記載されたプロセス200を使用する。しかし、ステップ335で追加金属を加えるために、MEMSデバイス340は、エバポレータ等の真空チャンバに配置され、エアキャビティ領域348内の空気は排気される。真空下で、次にが先にステップ255に述べられたように、上塗り材料上に付着される。金属バリア355は、金属によって密閉された領域に空気が入るのを防止し、したがって、MEMSデバイスに真空パッケージを提供する。いくつかの実施の形態では、犠牲層を除去するためのステップは、次に複数のステップが同時に行われてもよいように、真空チャンバで行われてもよいことに注意されたい。
【0020】
いくつかの実施の形態では、MEMSパッケージは、図2の前述のステップの各々を実行することなく作られて、下記に検討されるように、外部の点または端子へ電気接続を提供するためのさらなる処理をするのに依然として適切であることにさらに注意されたい。
【0021】
犠牲層325を作るのに使用される犠牲ポリマーは、ゆっくりと分解し、囲繞する材料内にエアキャビティ領域348を形成しながら過度の圧力蓄積を生成しないポリマーでありうる。加えて、犠牲ポリマーの分解は、上塗り層335を透過するのに十分小さな気体分子を生成する。さらに、犠牲ポリマーは、MEMS構造物および上塗り材料の分解または減成温度よりも低い分解温度を有する。さらに、犠牲材料は、上塗り材料の付着または硬化の温度よりも高いが、犠牲ポリマーが使用されている構造物の構成要素の劣化温度よりも低い分解温度を有するべきである。
【0022】
犠牲ポリマーは、たとえば、ポリノルボルネン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、各々の官能化化合物、および、それらの組み合わせ等であるが、それらに限定されない化合物を含むことができる。ポリノルボルネンは、アルケニル置換ノルボルネン(たとえば、シクロアクリレートノルボルネン)を含むことができるが、それに限定されない。ポリカーボネートは、ノルボルネンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリシクロヘキセンカーボネート、および、その組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0023】
加えて、犠牲ポリマーは、犠牲ポリマーの処理可能性を変える(たとえば、熱および/または光放射に対する犠牲ポリマーの安定性を増加するかまたは減少する)追加構成要素を含むことができる。これに関して、構成要素は、光開始剤および光酸開始剤を含むことができるが、それに限定されない。
【0024】
開示された犠牲組成物の実施の形態は、犠牲ポリマーおよび1つまたはそれ以上のポジ型またはネガ型の構成要素を含むが、それらに限定されない。ポジ型の構成要素は、光酸発生剤を含むことができる。
【0025】
たとえば、犠牲構成要素は、ネガ型の構成要素および/またはポジ型の構成要素を含むことができる。ネガ型の構成要素は、犠牲ポリマーに架橋を生じさせる反応剤を生成する構成要素を含むことができる。ネガ型の構成要素は、たとえば、光電性フリーラジカル発生剤等の化合物を含むことができるが、それに限定されない。代替のネガ型の構成要素は、光酸発生剤として(たとえば、エポキシド官能化システムに)使用されることができる。
【0026】
ネガ型の光電性フリーラジカル発生剤は、光に露出されるときに、少なくともその1つがフリーラジカルである2つまたはそれ以上の化合物になる化合物である。特に、ネガ型の光開始剤は、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィン酸化物(イルガキュア819(Irgacure 819)、チバスペシャルティケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Inc.)); 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369、チバ); 2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、チバ); 2−メチル−1[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ); ベンゾインエチルエーテル(BEE、アルドリッチ(Aldrich)); 2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノ−プロピオフェノン; 2,2’−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン(イルガキュア1300、チバ); 2、6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)、および、その組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。
【0027】
ポジ型の構成要素は、光酸発生剤(単/複)を含むことができるが、それに限定されない。より具体的には、ポジ型の光酸発生剤は、求核ハロゲン化物(nucleophilic halogenides)(たとえば、ジフェニルヨードニウム塩、ジフェニルフルオロニウム塩)、および、錯体金属ハライドアニオン(complex metal halide anions)(たとえば、トリフェニルスルホニウム塩)を含むことができるが、それらに限定されない。特に、光酸発生剤は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニル]ヨードニウム(DPI−TPFPB); トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TTBPS−TPFPB); トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロリン酸(TTBPS−HFP); トリフェニルスルホニウムトリフレート(TPS−Tf); ビス(4−ターシャルブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート(DTBPI−Tf); トリアジン(TAZ−101); トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(TPS−103); ロードシル(Rhodosil)(商標)光開始剤2074(FABA); トリフェニルスルホニウムビス(ペルフルオロメタンスルホニル)イミド(TPS−N1); ジ−(p−t−ブチル)フェニルヨードニウムビス(ペルフルオロメタンスルホニル)イミド(DTBPI−N1); トリフェニルスルホニウム; トリ(ペルフルオロメタンスルホニル)メチド(TPS−C1); ジ−(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリ(ペルフルオロメタンスルホニル)メチド(DTBPI−C1); およびその組み合わせであってもよい。
【0028】
光酸発生剤は、犠牲組成物の約0.5重量%から5重量%でありうる。特に、光酸発生剤は、犠牲組成物の約1重量%から3重量%でありうる。
【0029】
光酸発生剤および犠牲ポリマーを占めない犠牲組成物の残りのパーセンテージ(たとえば、約50%から約90%)は、溶剤から作ることができ、たとえば、メシチレン、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、アニソール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−ブチルアセテート、ジグリム、エチル3−エトキシプロピオネート、およびその組み合わせ等であるが、それらに限定されない。
【0030】
犠牲ポリマーの熱分解は、MEMSデバイスパッケージを犠牲ポリマーの分解温度へ加熱し一定の時間の間(たとえば、1〜2時間)その温度を保持することによって、行うことができる。その後、分解生成物が、上塗りポリマー層を通って拡散するかまたは透過し、実質的に残留物のない中空構造物(エアキャビティ)を残す。
【0031】
上塗り層335は、エアギャップまたはキャビティを形成しながら犠牲ポリマーの分解によって生成された分解気体へ透過性であるかまたは半透性であるという特性を含むいずれの分子ポリマーまたは蒸着膜(たとえば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等)であってもよい。加えて、上塗りポリマー層は、製造および使用状態下で破裂したり崩壊したりしないように、弾性特性を有する。さらに、上塗り層335は、犠牲ポリマーが分解する温度範囲で安定している。上塗り層335の例は、たとえば、ポリイミド、ポリノルボルネン、エポキシド、ポリアリーレンエーテルおよびパリレン等の化合物を含む。より具体的には、上塗り層335は、アモコウルトラデル(Amoco Ultradel)(商標)7501、BFグッドリッチ(BF Goodrich)アバトレル(Avatrel)(商標)ジーエレクトリック(Dieelectric)ポリマー、デュポン(DuPont)2611、デュポン2734、デュポン2771およびデュポン2555等の化合物を含む。上塗り層335は、たとえば、スピンコーティング、ドクターブレード法、スパッタリング、ラミネーション、スクリーンまたはステンシル印刷、化学蒸着(CVD)、プラズマ系蒸着システム等の技術を使用して、基板に付着されることができる。
【0032】
様々なアプローチを使用して熱分解可能な犠牲層および上塗り層をMEMSデバイスに加えてもよい。図4は、図5に表されるように、シリコンオンインシュレータ(SOI)共振器または小さな穴(たとえば、H>>gおよびt<<50μmであり、ただし、Hはエアキャビティの高さ、gは穴の幅、tは犠牲層の厚さである)を備えた他のMEMSデバイス等の表面微細加工されたMEMSデバイスをパッケージするのに適切である1つのそのようなプロセスを説明する図を示す。
【0033】
このパッケージング・バイア・パターニング(PVP)アプローチにおいて、感光性犠牲ポリマーユニティ200(プロメラス、LLC(Promerus, LLC)、オハイオ州ブレックスヴィル)が、まず、MEMSデバイス410の表面にスピンコーティングされて、薄い犠牲層412を生成し、MEMSデバイスは、軟焼付される(420)。次いで、深いUV露出(λ=248nm)が行われ(420)、薄い犠牲層412をパターニングする。犠牲層412は、約110℃で焼付展開され(430)、露出された区域を分解し、続いて、感光性ポリマー上塗りアバトレル(プロメウス、LLC)414を使用して犠牲材料を密閉する(440)。
【0034】
密閉(440)後に、上塗り材料414のフォトパターニング(450)によってボンドパッド416が開かれる。MEMS構造物を覆う上塗りの下の犠牲材料は、次いで、約200〜300℃で熱分解され(460)、エアキャビティ418を形成する。これは、このプロセスではもっとも高い温度のステップである。熱分解の副産物は、上塗り414を通ってキャビティ418から容易に拡散することができる。アルミニウム層417がスパッタリングされ(470)、パッケージされたMEMSデバイスを気密封止する。
【0035】
犠牲材料の分解後に、キャビティ418の内部には、犠牲材料がなく、デバイス構造物419は損なわれていず、デバイス上にいずれの残留物なしで自由に動く。たとえば、1つの実験において、1μmギャップを備えた25μm厚さのSOIビーム共振器(2.6MHz周波数)が、PVPによってユニティ犠牲材料でパッケージされた。ユニティ犠牲材料は、シリコン、酸化物および金属に良好に接着し低音で熱分解する感光性ポリカーボネートである。さらに、ユニティ犠牲材料は、狭い温度範囲できれいに分解することによって特徴づけられる。この実験において、Qファクター(Q=8000)は、このデバイスでは、犠牲材料をパッケージし除去した後に変わらなかった。
【0036】
代替として、図6は、熱分解可能な犠牲層を加えるためのパッケージング・バイア・ディスペンジング(PVD)アプローチを説明する。このアプローチは、図7に表されるように、脆弱な要素および広く深いキャビティ(たとえば、L>>gであり、ただし、Lはエアキャビティ710の高さを表し、gは穴720の幅を表す)で、嵩のある微細加工された構造物(たとえば、HARPSSジャイロ/加速度測定装置)をパッケージするのにより適切である。
【0037】
このアプローチにおいて、熱分解可能な犠牲材料610(感光性である必要はない)は、調整可能な小滴サイズ(たとえば、1mmから1cm)を備えたシリンジディスペンスツールによって(たとえば、手動でまたは自動的に)加えられ(620)、エアキャビティ612を覆う。犠牲材料610は、次いで、アバトレル上塗り材料を使用して上塗りされ(630)、プロセス順序はPVPプロセスに類似して進み、犠牲層610を分解するための熱解放ステップ(640)と、エアキャビティ616上に金属バリア層617を加えるための金属化ステップ(650)と、を含む。最終金属化ステップ(650)は、気密封止パッケージ618を可能にする。
【0038】
前述のプロセスは、犠牲材料105および/またはバリア材料120(たとえば、上塗り材料、金属層、他の保護バリア等)をMEMSデバイスに加えるための技術の例である。しかし、本開示は、図4〜7に関して検討されたプロセスに限定されない。たとえば、半導体製造プロセスに使用される他のリソグラフィおよびエッチング技術が使用されてもよい。このため、MEMSデバイスはまた、図8に表されるように、脆弱な要素または広く深い穴(たとえば、t>L>50μmであり、ただし、tは犠牲層810の厚さを表し、Lはエアキャビティ820の長さである)で、小型MEMSデバイス(たとえば、HARPSS共振器、RFスイッチ)をパックするのに適切である厚い犠牲材料にマスクエッチングプロセスを使用して、パッケージされることができる。酸素マスクを使用して、酸素プラズマで望ましくない区域から犠牲材料を除去してもよい。
【0039】
MEMSデバイスをパッケージするのに前述の方法を適用する実現可能性は、成功裏に実証されている。たとえば、図9Aに示されるように(SCSビームおよび分離溝を備えて)、1μmギャップ間隔あけで、15μm厚2.6MHzSOIビーム共振器(解放された)が、PVPによってパッケージされた。狭い溝が包埋酸化物までエッチングされ、共振器および検知/駆動パッドの形状を規定し、続いて、HF溶液内の包埋酸化物が除去された。図9Bは、PVP後の共振器の図を示す。図示のように、共振器は、20μm厚上塗り層を備えた15μm高さのキャビティを特徴とする。
【0040】
図9Cは、デバイスを気密封止するために金のDCスパッタリング後のパッケージされた共振器を示す。このデバイスにおいて、アバトレル上塗りは、分離溝上に延ばされた。図9Dは、破断されたパッケージされた共振器(SCSビーム)の断面図を示し、20μm厚アバトレルキャップ下の15μm高さ80μm幅のキャビティを示す。
【0041】
PVD法を評価するために、図10Aに示されるように、1μmギャップおよび200μm深さのキャビティを備えた50μm厚のポリシリコンHARPSSリングジャイロスコープが製造された。HARPSS順序は、窒化物アンカーをパターニングし溝を画成することで開始する。犠牲酸化物の薄い層が付着されて、溝の側壁を均一に覆い、SCSとポリシリコン電極との間に容量性ギャップを画成する。溝は、ドープされたポリシリコンが補充されて、リング、ばね、および、電極を形成する。最後に、センサが、DRIEツールに解放され、続いて、HF溶液内の犠牲酸化物が除去される。図10Bは、犠牲材料を手で排出した後の同一のデバイスの図を示す。図10Cは、厚い(120μm)上塗りキャップを形成しキャビティ内部から犠牲材料を分解した後のデバイスの図である。図10Dは、2mm幅のアバトレルカプセルを壊した後のデバイスを示し、非常にきれいなキャビティおよび損なわれていないデバイス構造物(デバイスは自由に振動する)を確認する。
【0042】
電極、1μm容量性ギャップ、および、4μm幅ポリシリコンリングおよびサポートばねのクローズアップ図が、図10Eおよび10Fに示される。これは、堅いキャップを形成するために、犠牲材料が非常に厚い上塗りを通って分解することができることを明らかに示す。空気分子がアバトレルキャップを通って真空チャンバの気体を抜くことができ且つ構造物が高いQファクターで共振を開始することができるまでに、室温で数時間かかる。
【0043】
図9A〜9Dのパッケージされた共振器は、真空プローブステーション内部でウェーハレベルで検査された。電極がネットワークアナライザに直接接続される間に、70〜80Vの範囲のDC分極電圧が加えられた。図11Aは、パッケージする前の真空における共振器の周波数応答を示し、図11Bは、パッケージした後の真空における共振器の周波数応答を示す。およそ5000の高いQファクターは、このデバイスでは変わらず、このことはパッケージング後にユニティ犠牲材料の熱分解がデバイスの性能に影響を与えないことを実証した。
【0044】
先に述べたように、様々なMEMSデバイスパッケージが、環境要素に対して様々な保護のレベルで製造されてもよい。それに応じて、MEMSパッケージの実施の形態の例は、下記を含むが、それらに限定されない。
【0045】
図12には、MEMSデバイスパッケージ1200の1つの実施の形態が示される。この実施の形態において、MEMSデバイスパッケージ1200は、基板層1210と、MEMSデバイスの活性領域1220と、真空パックされたエアキャビティ領域1225と、コンタクト1230と、上塗り層1240と、バリア層1250と、を含む。パッケージ1200は、図2のプロセスに関して記載されたものと類似のプロセスによって製造され、犠牲層325は除去されており、上塗り層1240およびバリア層1250を形成し、これは、MEMSデバイスに様々な程度の密封保護を提供してもよい。このプロセス中に、キャビティ1225内部の空気が排気され、キャビティ1225内部に真空を生成し、金属バリア1250は、空気がエアキャビティ領域1225に入るのを防止する。
【0046】
上塗り層1240を透過する気体状材料へ犠牲材料325を転換することによって、キャビティ1225には、いかなる残留犠牲材料を含む残留物もない。相応して、犠牲材料を除去するために上塗り層内に穿孔がドリル開けされていなかったため、上塗り層1240にもまた、残留物がなく、構造的一体性を維持する。
【0047】
MEMSパッケージ1200は、後述されるように、リードフレームパッケージング、表面実装パッケージング、セラミックパッケージング、または、他の高性能技術を使用して、ワイヤボンド技術、フリップチップ技術を含む様々な方法によって、外部の点に接続されるかまたはさらなるパッケージングを受けてもよい。異なる処理技術は異なる量の圧力および負担をマイクロエレクトロニクスデバイスにかけるため、MEMSデバイスに利用可能な特定の処理技術は、上塗り層およびバリア層によって提供される保護のレベルに依存してもよい。
【0048】
次に図13を参照すると、MEMSパッケージ1300の別の実施の形態が示される。図13において、MEMSデバイスパッケージ1300は、基板層1310と、MEMSデバイスの活性表面1320と、MEMSデバイスの活性表面を囲繞するエアキャビティ1325と、コンタクト1330と、上塗り層1340と、バリア層1350と、を含む。パッケージ1300は、図2に関して述べられたプロセスと類似したプロセスによって製造され、犠牲層325は除去されており、上塗り層1340およびバリア層1350を形成する。しかし、真空パッキングを必要としない多くのMEMSデバイスがあるため、この実施の形態では、エアキャビティ1325内部に真空を形成するプロセスは行われない。バリア層1350は依然として、バリア層1350(たとえば、金属層)によって密閉されたエアキャビティ領域1325に空気および湿分が入るのを防止してもよい。さらに、上塗り層1340を透過する気体状材料へ犠牲材料325を転換することによって、エアキャビティ1325には、いかなる残留犠牲材料を含む残留物もない。相応して、犠牲材料を除去するために上塗り層内に穿孔がドリル開けされていなかったため、上塗り層1340にもまた残留物がなく、構造的一体性を維持する。MEMSデバイスパッケージ1300は、後述されるように、リードフレームパッケージング、表面実装パッケージング、セラミックパッケージング、または、他の高性能技術を使用して、ワイヤボンド技術、フリップチップ技術を含む様々な方法によって、外部の点に接続されてもよい。異なる処理技術は異なる量の圧力および負担をマイクロエレクトロニクスデバイスにかけるため、MEMSデバイスに利用可能な特定の処理技術は、上塗り層およびバリア層によって提供される保護のレベルに依存してもよい。
【0049】
別の実施の形態において、図14は、基板層1410と、MEMSデバイスの活性表面1420と、MEMSデバイスの活性表面のまわりのエアキャビティ領域1425と、コンタクト1430と、保護層としても作用する上塗り層1440とを備えたMEMSデバイスパッケージ1400を示す。このパッケージ1400は、図2に関して述べられたプロセスの一部に類似したプロセスによって製造され、犠牲層325は除去されており、上塗り層1440を形成する。しかし、この例では、パッケージ1400は、犠牲層325が除去された(230)後に完了し、上塗り層1440はそのままである。
【0050】
それに応じて、上塗り層を加える(220)ことの一部として、上塗りを剛性に固くするために、上塗り材料は一般に焼き付けられ、これは、MEMSデバイスの多くの用途および種類では、外部力に対する適切な保護として作用してもよい。さらに、上塗り層1440を透過する気体状材料へ犠牲材料325を転換することによって、エアキャビティ1425には、いかなる残留犠牲材料を含む残留物もない。相応して、犠牲材料を除去するために上塗り層内に穿孔がドリル開けされていなかったため、上塗り層1440にもまた、残留物がなく、構造的一体性を維持する。MEMSデバイスパッケージ1400は、パッケージングプロセスの特定の品質および特定のMEMSデバイスの保護要件に依存して、リードフレームパッケージング、表面実装パッケージング、セラミックパッケージング、または、他の高性能技術を使用して、ワイヤボンド技術、フリップチップ技術を含む様々な方法によって、外部の点に接続されてもよい。
【0051】
次に図15を参照すると、MEMSデバイスパッケージ1500の別の実施の形態が示される。この実施の形態において、MEMSデバイスパッケージ1500は、基板層1510と、MEMSデバイスの活性表面1520と、MEMSデバイスの活性表面を囲繞するエアキャビティ1525と、コンタクト1530と、犠牲層1540と、を含む。パッケージ1500は、図2に関して述べられたプロセスの一部に類似したプロセスによって製造され、犠牲材料が加えられて、犠牲層325を形成する。しかし、この特定の例において、犠牲層を加えるステップが実行された(210)後にプロセスは完了する。それに応じて、犠牲層を加える一部として、犠牲材料は、MEMSデバイスの活性表面1520まわりに入れられ、これは、その後、MEMSデバイスパッケージが、現在のワイヤボンド技術および/または表面実装法によって外部の点または端子へ取り付けられる前に、外部力に対する適切な保護として作用してもよい。
【0052】
MEMSデバイスをパッケージした後に、MEMSデバイスパッケージは、集積回路に類似してもよいだけではなく(たとえば、ワイヤボンドパッド、コーティングされた表面等を有する)、多くの集積回路のように取り扱われてもよく、多くの集積回路のようにパッケージされてもよい。たとえば、MEMSデバイスをサポート構造物へ取り付けるための下記のプロセス、たとえば、従来、集積回路を装着するのに使用される金属フレーム(たとえば、リードフレーム)を考慮する。
【0053】
図16に示されているように、MEMSデバイスを囲繞する犠牲層1540を有するMEMSデバイス1500を取り付けるためのプロセスが検討される。それに応じて、リードフレーム(1600)が設けられる。この例において、薄い金属シート(たとえば、銅)が、マイクロエレクトロニクスデバイスパッケージを取り付けるためのダイパッド1610およびワイヤをマイクロエレクトロニクスデバイスのボンドパッドまたはコンタクトに接続するためのリードフィンガ1620を有するリードフレーム1600内に加工される。相応して、犠牲層1540を有するMEMSデバイスパッケージ1630が、(リードフレーム1600のダイパッド1610へパッケージ1630を装着するかまたは結合するかによって)リードフレーム1600に取り付けられる(1625)。さらに、金属ワイヤ1640がリードフィンガ1620またはリードフレーム1600の端子から、MEMSデバイスパッケージ1630のボンドパッドまたはコンタクト130に接続される(1625)。次いで、コーティング材料1650(たとえば、プラスチック成形化合物、熱硬化性ポリマー、エポキシ樹脂等)が、成形プロセスの一部として、MEMSデバイスパッケージの表面およびリードフレーム1600の一部に加えられる(1645)。
【0054】
このプロセスに使用されるコーティング材料1650は、MEMSデバイスパッケージ1500の犠牲材料1540の熱分解の温度よりも低い硬化温度を有する。したがって、コーティング材料1650は、より低い温度(犠牲材料の熱分解の温度よりも低い)で硬化され、コーティング材料を固める。コーティング材料1650は、犠牲層1540の犠牲ポリマーの分解によって生成された分解気体へ透過性であるかまたは半透性であるという特性を有する。
【0055】
コーティング材料1650は、チップの表面にかかるパッケージ応力を最小限にする目的で、MEMSデバイスの表面およびリードフレームアセンブリまたは「チップ」上に耐湿性材料を提供し、腐食に対するさらなる保護を提供するように作用する。これは、集積回路の低コストマイクロエレクトロニクスパッケージングでは標準ステップである。しかし、MEMSデバイスでは、そのようなステップは典型的に、保護カバーを有さないMEMS構造物の作業にマイナスに干渉し、それを害する。このため、犠牲層1540の存在により、コーティング1650は、MEMSデバイスの活性表面に接触しないようになっている。
【0056】
コーティング1650が硬化し固くなった後に、次いで、MEMSチップが、犠牲材料の熱分解を超える温度で焼き付けられる。その後、犠牲材料は気体状態に転換され、コーティング材料1650を通って透過するかまたは拡散する。犠牲層の分解後、エアキャビティがMEMSデバイスの活性表面のまわりに形成され、コーティング材料1650は今や保護層として作用し、要素がエアキャビティに入るのを禁じ、一般に、MEMSデバイスを保護する。MEMS「チップ」1660は、次いで、シンギュレーション(singulation)プロセスによってリードフレームから除去され(1655)、標準チップパッケージングプロセスの一部として、チップのリードが所望の形状に曲げられる。
【0057】
今述べたプロセスは、薄いエポキシパッケージ、たとえば、TSOP(シン・スモールアウトライン・パッケージ(thin small outline package))およびTQFP(シン・クワッドフラット・パッケージ(thin quad flat package))でよく機能する。しかし、プロセスは、薄いエポキシパッケージに限定されず、他のコーティング変形例で稼動してもよい。さらに、MEMSデバイスパッケージの他の実施の形態もまた、類似のプロセスで使用されてもよい。
【0058】
たとえば、1つの実施の形態(図14によって表されるように)では、MEMSデバイスパッケージは、犠牲材料1425の熱分解に影響を与えずに、MEMSデバイスにさらなるサポートを提供する上塗り層1440を含む。このようにして、そのようなMEMSデバイスパッケージはまた、図16に述べられたプロセスを使用してリードフレームに加えられてもよい。
【0059】
さらに、他の実施の形態(図12および13によって表されるように)において、MEMSデバイスパッケージは、犠牲層を含まなくてもよく、代替的に、バリアレベル1250、1350等の追加サポート構造物を含んでもよい。これらのMEMSデバイスパッケージは、犠牲材料が存在しないため、コーティング材料の硬化温度を超える温度で焼き付ける必要はない。さもなくば、図16に述べられたプロセスを使用して、そのようなMEMSデバイスパッケージを、共通集積回路パッケージングプロセス(たとえば、リードフレームパッケージング)を使用して、さらにパッケージしてもよい。
【0060】
本開示にしたがって、微小電気機械デバイスパッケージのいくつかの実施の形態は一般に、1つまたはそれ以上のMEMSデバイスと、デバイス(単/複)からパッケージへの相互接続と、機械的保護、および、電気、化学および環境的保護との両方を提供する囲繞または含有構造物と、パッケージを回路基板またはシステムに取り付ける結合構造物と、を含む。そのような実施の形態は、様々な用途のために異なるプロセスによって製造されたデバイスをパッケージするのに一般に適用可能であるMEMSデバイス用のウェーハレベルで多様なパッケージングプロセスを提供する。それに応じて、本開示の実施の形態は、図17に例示されるように、十分に開発された集積回路パッケージング技術に適用することができる。
【0061】
次に図17を参照すると、本開示のMEMSデバイスパッケージ1710は、各種のパッケージング要件および好みに合致するように作成することができる。たとえば、MEMSデバイスパッケージ1710は、MEMSデバイスに様々なレベルまたは程度の密封保護を提供するようパッケージすることができる。図17に示されるように、密封保護のレベルは、機械的な保護1720(たとえば、不用意な接触、さらなるパッケージング等から)、機械的な保護に加えて酸素および水からの保護1730、および、機械的な保護に加えてすべての気体(たとえば、純真空を有する)への全露出からの保護1740を含むが、それらに限定されない。
【0062】
様々な程度の密封保護に加えて、MEMSデバイスパッケージ1710はまた、様々なボンディング技術を使用して、外部の点または端子へ電気接続を提供することができる。そのようなボンディング技術は、ワイヤボンド技術1750およびフリップチップボンド技術1760を含むが、それらに限定されない。
【0063】
さらに、本開示のMEMSデバイスパッケージ1710は、既に普通に使用されている様々なマイクロエレクトロニクスデバイスパッケージング技術に利用されることができる。たとえば、MEMSデバイスパッケージは、低コストプラスチックパッケージング技術1770およびセラミックまたは他の高性能パッケージング技術1780を含むがそれらに限定されない共通の集積回路技術を使用してもよい。これらのアプローチのいずれかのために、表面実装プロセス1790およびスルーホール装着プロセス1795を含むがそれらに限定されないさらなるパッケージング技術もまた利用可能である。
【0064】
有利なことに、本開示の実施の形態は、MEMSデバイスを保護するための様々な改良されたアプローチを提供する。たとえば、本開示にしたがって、MEMSデバイス上の犠牲層は、MEMSデバイスの犠牲層および活性表面を囲繞する上塗り層を穿孔することなく、除去されてもよい。さらに、上塗り層および/またはバリア層の厚さは、外部の圧力またはパッケージングプロセス中に遭遇する圧力に耐えるように、調整されるかまたは合わされてもよく(たとえば、50nmから500μmの間の範囲に)、MEMSデバイスに適切な保護を提供する。たとえば、MEMSデバイス上に形成される上塗り層の厚さを調整するために、上塗り層は、異なる速度でスピンコーティングされることができ、または、上塗り材料の粘度が変えられてもよい。したがって、上塗り材料の厚さは、合理的に必要なほど(たとえば、5cm)厚く作ることができる。
【0065】
有利なことに、犠牲材料および上塗り材料はポリマー物質であり、共通の基板材料との良好な熱的不整合特性を有し、結果としてMEMS構造物の変形にならないため、本開示の実施の形態は、いずれの基板材料上に保護層を提供してもよい。さらに、広い範囲の熱分解温度内で本開示にしたがって使用することができる広く様々な技術材料がある。したがって、所望の熱分解温度を選択することができ(たとえば、80℃から400℃)、選択された温度に基づいて、犠牲材料を選ぶことができる。それに応じて、分解時間および温度が、上塗り厚さにしたがって各用途用に最適化されてもよい。さらに、犠牲材料は、光電性犠牲材料が望まれているか否かに基づいて、選ぶことができる。
【0066】
本開示の上述の実施の形態は、単に実施の可能の例であり、単に開示の原理を明らかに理解するために述べられただけであることを強調すべきである。開示の精神および原理から実質的に逸脱せずに、開示の上述の実施の形態(単/複)に、多くの変形例および修正例が作られてもよい。すべてのそのような修正例および変形例は、ここに、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本開示の1つの実施の形態にしたがったMEMSパッケージの図である。
【図2】図1のMEMSパッケージを製造するための例示的なプロセスを説明するフローチャート図である。
【図3】図2のプロセスの製造ステップを示す図である。
【図4】図2で行われたように犠牲層を加えるステップを実行するためのプロセスの1つの実施の形態を説明する図である。
【図5】図4のプロセスに適切であるMEMSデバイスの1つの実施の形態が示された図である。
【図6】図2で行われたように犠牲層を加えるステップを実行するためのプロセスの1つの実施の形態を説明する図である。
【図7】図6のプロセスに適切であるMEMSデバイスの実施の形態が示された図である。
【図8】図2で行われたように犠牲層を加えるプロセスを実行するためのエッチングプロセスに適切であるMEMSデバイスの実施の形態が示された図である。
【図9A】SOIビーム共振器用の図4のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図9B】SOIビーム共振器用の図4のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図9C】SOIビーム共振器用の図4のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図9D】SOIビーム共振器用の図4のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図10A】HARPSSポリシリコンリングジャイロスコープ用の図6のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図10B】HARPSSポリシリコンリングジャイロスコープ用の図6のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図10C】HARPSSポリシリコンリングジャイロスコープ用の図6のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図10D】HARPSSポリシリコンリングジャイロスコープ用の図6のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図10E】HARPSSポリシリコンリングジャイロスコープ用の図6のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図10F】HARPSSポリシリコンリングジャイロスコープ用の図6のパッケージングプロセスを例示する図である。
【図11A】パッケージする前およびした後の図9A〜9DのSOIビーム共振器の周波数応答を示す図である。
【図11B】パッケージする前およびした後の図9A〜9DのSOIビーム共振器の周波数応答を示す図である。
【図12】図2のプロセスの一部を使用して実行されてもよいMEMSパッケージの異なる実施の形態を示す図である。
【図13】図2のプロセスの一部を使用して実行されてもよいMEMSパッケージの異なる実施の形態を示す図である。
【図14】図2のプロセスの一部を使用して実行されてもよいMEMSパッケージの異なる実施の形態を示す図である。
【図15】図2のプロセスの一部を使用して実行されてもよいMEMSパッケージの異なる実施の形態を示す図である。
【図16】本開示にしたがって、リードフレームパッケージへMEMSデバイスを取り付けるための製造プロセスを説明する図である。
【図17】本開示のMEMSパッケージで使用することができる様々なパッケージング技術を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械デバイスパッケージングシステムであって、
基板層に形成された微小電気機械デバイスと、
前記微小電気機械デバイスの少なくとも一部を保護する保護構造物であって、前記基板層上に形成され、前記微小電気機械デバイスの活性表面を取り囲む気体キャビティを囲繞し、固体である前記保護構造物と、
を備える微小電気機械デバイスパッケージングシステム。
【請求項2】
前記基板層はシリコン材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記基板層は非シリコン材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記保護構造物は金属材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記金属材料はスパッタリングによって付着される、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記保護構造物は上塗りポリマー材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記上塗りポリマー材料はスピンコーティングによって付着される、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記上塗りポリマー材料を囲繞する追加保護構造物をさらに備える、請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記追加保護構造物は金属材料を含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記保護構造物は、前記気体キャビティを形成しながら犠牲ポリマーの分解によって生成された分解気体へ透過性であるという特性を有する分子ポリマーを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記気体キャビティには、実質的に残留物がない、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記気体キャビティは真空パックされる、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記保護構造物は、前記基板層に加えられる前に予備成形されていない、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
金属パッケージングフレームであって、前記微小電気機械デバイスが取り付けられている前記金属パッケージングフレームと、
前記微小電気機械デバイスおよび金属パッケージングフレームアセンブリの一部を密閉するコーティング材料と、
をさらに備える請求項13記載のシステム。
【請求項15】
微小電気機械デバイスパッケージングシステムであって、
基板層に形成された微小電気機械デバイスと、
前記微小電気機械デバイスの少なくとも一部を保護する熱分解可能な犠牲構造物であって、前記微小電気機械デバイスの活性表面を取り囲む気体キャビティ内に形成される熱分解可能な前記犠牲構造物と、
を備える微小電気機械デバイスパッケージングシステム。
【請求項16】
前記犠牲構造物は感光性ポリカーボネート材料を含む、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記犠牲構造物はパターニングが続くスピンコーティングによって付着される、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記犠牲構造物は感光性材料を含む、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記犠牲構造物はシリンジディスペンスツールによって排出される、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
前記犠牲構造物は非感光性材料を含む、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
金属パッケージングフレームであって、前記微小電気機械デバイスが取り付けられている前記金属パッケージングフレームと、
前記微小電気機械デバイスおよび金属パッケージングフレームアセンブリの一部を密閉するコーティング材料であって、前記コーティング材料の硬化温度を超える温度で犠牲ポリマーを分解することによって生成された分解気体へ透過性であるという特性を有するコーティング材料と、
をさらに備える請求項15記載のシステム。
【請求項22】
前記コーティング材料はエポキシ樹脂を含む、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記犠牲構造物を囲繞する上塗り構造物であって、前記気体キャビティ内部から犠牲ポリマーを分解することによって生成された分解気体へ透過性であるという特性を含む分子ポリマーを備える上塗り構造物をさらに備える請求項21記載のシステム。
【請求項24】
微小電気機械デバイスパッケージを製造するための方法であって、
微小電気機械デバイスの基板上に、熱分解可能で前記微小電気機械デバイスの一部を密閉する犠牲層を形成するステップと、
前記犠牲層のまわりに保護層を形成するステップと、
前記犠牲層を熱分解するステップであって、前記犠牲層の分解された分子が前記保護層を通って透過し、前記熱分解可能な犠牲層が形成された場所に気体キャビティが形成される、前記ステップと、
を含む微小電気機械デバイスパッケージ製造方法。
【請求項25】
前記犠牲層をスピンコーティングによって付着するステップと、
前記犠牲層をパターニングするステップと、
をさらに含む請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記犠牲層は、前記基板の分解温度および前記保護層の分解温度よりも低い分解温度を有する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記基板はシリコン材料を含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記基板は非シリコン材料を含む、請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記保護層の厚さは50nmから500μmの範囲内である、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記保護層は穿孔されていない、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記保護層には、犠牲材料が熱分解された後に、犠牲材料が実質的にない、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記保護層は前記気体キャビティのまわりに気密エンクロージャを提供する、請求項24記載の方法。
【請求項33】
前記保護層は機械的な力からの保護を提供する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記保護層は水に対する保護をさらに提供する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記保護層は酸素ガスに対する保護をさらに提供する、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記保護層は気体状材料への露出に対する保護をさらに提供する、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記微小電気機械デバイスは、前記犠牲材料が形成される前に、解放された機械構造物を含む、請求項24記載の方法。
【請求項38】
前記保護層が形成される前に、前記微小電気機械デバイスを金属パッケージングフレームに取り付けるステップであって、前記保護層は、前記微小電気機械デバイスおよび金属パッケージングフレームアセンブリを密閉するエポキシ樹脂を備えるステップをさらに含む請求項24記載の方法。
【請求項39】
前記保護層を硬化する温度で前記微小アセンブリを加熱するステップと、
前記犠牲層を分解する温度で前記微小アセンブリを加熱するステップであって、前記犠牲層を分解する温度は前記保護層を硬化する温度を超えているステップと、
をさらに含む請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記保護層のまわりに機械的な力に対して前記保護層よりも強い保護を提供するバリア層を形成するステップをさらに含む請求項24記載の方法。
【請求項41】
前記バリア層は金属材料を備える、請求項40記載の方法。
【請求項42】
チャンバ内で前記微小電気機械デバイスを加熱することによって前記気体キャビティ内部に真空を形成するステップと、
真空が形成された後に、前記チャンバ内の前記保護層のまわりに金属材料を備えるバリア層を形成して、真空パックされたエンクロージャを前記気体キャビティのまわりに提供するステップと、
をさらに含む請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記バリア層が形成された後に、前記微小電気機械デバイスを集積回路パッケージ構造物に取り付けるステップと、
前記電気機械デバイスおよび集積回路パッケージ構造物を保護コーティング内に密閉するステップと、
をさらに含む請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記集積回路パッケージ構造物はリードフレームを備える、請求項42記載の方法。
【請求項45】
前記集積回路パッケージ構造物はセラミックパッケージを備える、請求項42記載の方法。
【請求項46】
前記犠牲層を熱分解するステップは真空チャンバ内部で生じる、請求項42記載の方法。
【請求項47】
前記犠牲層が分解した後に、前記微小電気機械デバイスを集積回路パッケージ構造物に取り付けるステップと、
前記電気機械デバイスおよびパッケージ構造物を保護コーティング内に密閉するステップと、
をさらに含む請求項24記載の方法。
【請求項48】
前記集積回路パッケージ構造物はリードフレームを備える、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記集積回路パッケージ構造物はセラミックパッケージを備える、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記犠牲材料の熱分解温度は摂氏100度未満である、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−529333(P2007−529333A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504046(P2007−504046)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/008664
【国際公開番号】WO2005/089348
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】