説明

情報処理装置及び情報処理方法

【課題】 サービスを受けるユーザの権限に応じたソフトウェアのインストール制御を行う。
【解決手段】 ネットワーク対応デバイスは、クライアントデバイスを使用するユーザの識別情報を含む探索情報を受信し(ステップS401)、当該ユーザがサービスを受ける権限を有するか否かを確認する(ステップS402、S403、S405、S407)。そして、ネットワーク対応デバイスは、当該ユーザがサービスを受ける権限を有すると判定した場合、クライアントデバイスからの要求に応じて、クライアントデバイスがサービスに対応するソフトウェアをインストールするための属性情報を送信する(ステップS408)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば通信回線を介して印刷物をプリントするプリントサービス等に適用可能な情報処理装置及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワーク上のクライアント装置からのサービス要求に応え、サービスを提供するサービス提供装置、及び、サービス提供システムが知られている。例えば、インターネットによる通信の飛躍的な普及に伴い、ネットワーク対応型機器として、従来のパーソナルコンピュータ以外の種類の多様な機器が開発されている。例えば、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話等のユーザインタラクティブなデバイスや、スキャナ、プリンタ、複写機、デジタルカメラ等の画像処理装置や、テレビ、エアコン、冷蔵庫等の家電製品などに至るまでネットワーク対応が急速に進められている。
【0003】
それに伴い、これまでこれらネットワーク対応型デバイスを利用する上での利便性、簡易性を高めるために、サービスを提供するネットワーク対応デバイスの探索、検索手段、ネットワーク対応型デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウエア、ユーティリティソフトウエア、オペレーティングシステム等の自動セットアップ手段を提供する、様々なプロトコル、アーキテクチャが提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0004】
また、複数の企業、標準化団体がローカルI/O接続デバイス対して適用されてきたプラグアンドプレイをネットワーク対応デバイスに対して拡張対応すべく、仕様策定作業を進めている。
【0005】
例えば、Microsoft社が主体となって策定を進めるUPnP(登録商標、非特許文献1参照)、及び、WSD:Web Services for Devices(WS-Discovery/WS-MetadataExchange(非特許文献2、3参照))、ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)が推進するBMLinks(非特許文献4参照)、Apple社が開発したOS XでサポートされるRenedzvous等がその一例である。
【0006】
【特許文献1】特開2004−199113号公報
【特許文献2】特開平03−29019号公報
【特許文献3】特開2003−150341号公報
【非特許文献1】UPnP Device Architecture v1.0 URL: http://www.upnp.org/download/UPnPDA10_20000613.htm
【非特許文献2】Web Service Dynamic Discovery: WS-Discovery URL: http://specs.xmlsoap.org/ws/2005/04/discovery/ws-discovery.pdf
【非特許文献3】WS-MetadataExchange URL: http://msdn.microsoft.com/library/en-us/dnglobspec/html/ws-metadataexchange.pdf
【非特許文献4】"BMLinkS"、ビジネス機械・情報システム産業協会、インターネット URL: http://www.jbmia.or.jp/bmlinks/index.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術では、ネットワークプラグアンドプレイが普及することによって利便性が向上する一方で、探索条件に合致したプリンタドライバが全てインストールされてしまうという問題があった。その場合、探索条件に合致したプリンタが印刷上限値管理や課金管理、利用時間制限されているプリンタのために、印刷時に権限がなく利用できないにもかかわらず、探索されたプリンタのドライバやアプリケーションが自動的にインストールされてしまう。
【0008】
これは、ネットワークのトラフィック、ハードウエア資源、特にメモリ資源をいたずらに消費するだけでなく、セキュリティ上信頼できないクライアントからの探索に応答することにより、ネットワーク対応デバイスの存在を明らかにしてしまい、情報の破壊、漏洩といった深刻な被害につながりうるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、サービスを受けるユーザの権限に応じたソフトウェアのインストール制御を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置は、外部装置と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、前記外部装置を使用するユーザの識別情報を含む当該情報処理装置を探索するための探索情報を受信する受信手段と、前記ユーザの識別情報に基づいて、前記ユーザが当該情報処理装置により提供されるサービスを受ける権限を有するか否かを確認する権限確認手段と、前記権限確認手段により前記ユーザが前記サービスを受ける権限を有すると判定された場合、前記外部装置からの要求に応じて、前記外部装置が前記サービスに対応するソフトウェアをインストールするための当該情報処理装置に係る情報を前記外部装置に対して送信する送信手段とを有することを特徴とする。
本発明の情報処理方法は、外部装置と通信回線を介して接続される情報処理装置による情報処理方法であって、前記外部装置を使用するユーザの識別情報を含む当該情報処理装置を探索するための探索情報を受信する受信ステップと、前記ユーザの識別情報に基づいて、前記ユーザが当該情報処理装置により提供されるサービスを受ける権限を有するか否かを確認する権限確認ステップと、前記権限確認ステップにより前記ユーザが前記サービスを受ける権限を有すると判定された場合、前記外部装置からの要求に応じて、前記外部装置が前記サービスに対応するソフトウェアをインストールするための当該情報処理装置に係る情報を前記外部装置に対して送信する送信ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サービスを受けるユーザの権限に応じたソフトウェアのインストール制御を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の説明に記載されているプロトコル、ヴァージョン、アドレス、その他の数値等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係るネットワークプラグアンドプレイシステムの構成を示すブロック図である。
【0014】
図中100は、クライアントデバイスで、通信機能としてEthernet(登録商標)に対応しており、TCP/UDP/IPプロトコルスタック1を備え、そのプロトコルスタック1上にHTTP2を備えている。TCP/UDP/IPプロトコルスタック1は、HTTPリクエストの解析及びレスポンス処理を行う。
【0015】
TCP/UDP/IPプロトコルスタック1及びHTTP2上位層にはSimple Object Access Protocol(SOAP)プロセッサ3が備えられている。インストールアシストユーティリティ4及びWSDモジュール5は、それぞれSOAPプロセッサ3を介してeXtensible Markup Language(XML)で記述されたデータの双方向通信を実現する。
【0016】
また、インストールアシストユーティリティ4は、ドライバインストールを制御し、ドライバインストールに必要な属性情報を、メモリコントローラ6を介して記憶装置8に記憶、読み出し、消去する。また、インストールアシストユーティリティ4は、WSDモジュール5に対し、Helloメッセージ(又はProbe Matchメッセージ)に対する応答処理の際に使用される識別情報の通知、及び、ネットワーク対応デバイス検索のためのProbeメッセージの送信処理依頼を発行する。
【0017】
WSDモジュール5は、SOAPプロセッサ3を介して、ネットワーク対応デバイスから通知されるHelloメッセージ(又はProbe Matchメッセージ)に対する応答処理、および、ネットワーク対応デバイス検索のためのProbeメッセージの発行処理を実行する。なお、これらの処理は、例えばMicrosoft等がその仕様策定を推進するWS-Discovery仕様に基づいて行われる。
【0018】
また、WSDモジュール5は、WS-MetadataExchange仕様に基づき、GetMetadataメッセージを発行することで、ネットワーク対応デバイスの属性情報を取得する。
【0019】
これらメッセージ処理により、ネットワーク対応デバイス200を発見した場合、インストールアシストユーティリティ4はプラグアンドプレイコントローラ7に対して、発見したネットワーク対応デバイスの属性情報を通知する。プラグアンドプレイコントローラ7は、該属性情報を基に該当するドライバをメモリコントローラ6を介して記録装置8より読み込み、クライアントデバイス100に対してインストールを実行する機能を備える。
【0020】
一方、ネットワーク対応デバイス200(本実施形態ではネットワーク対応型プリンタ)は、通信機能としてEthernet(登録商標)に対応しており、TCP/UDP/IPプロトコルスタック11を備え、そのプロトコルスタック上にHTTP12を備えている。TCP/UDP/IPプロトコルスタック11は、HTTPリクエストの解析及びレスポンス処理を行う。
【0021】
TCP/UDP/IPプロトコルスタック11及びHTTP12上位層にはSimple Object Access Protocol(SOAP)プロセッサ13を備え、WSDモジュール15及びプリンタコントローラ16が、それぞれSOAPプロセッサ13を介してeXtensible Markup Language(XML)で記述されたデータの双方向通信を実現する。
【0022】
WSDモジュール15は、サービス起動時のサービス提供情報であるHelloメッセージ(又はProbe Matchメッセージ)の送信処理、及び、ネットワーク対応デバイス検索のためのProbeメッセージに対する応答処理の際に使用される識別情報を通知する。
【0023】
ここで、WSDモジュール15は、SOAPプロセッサ13を介して、Helloメッセージ(又はProbe Matchメッセージ)の送信、及び、クライアントデバイス100から発行されるProbeメッセージに対する応答処理を実行する。なお、これらの処理は例えばMicrosoft等が、その仕様策定を推進するWS-Discovery仕様に基づいて行う。
【0024】
また、WSDモジュール15は、WS-MetadataExchange仕様に基づき、クライアントデバイス100から発行されたGetMetadataメッセージに応じ、ネットワーク対応デバイス(本実施形態では、ネットワーク対応プリンタ)が持つ属性情報を返信する。
【0025】
ユーザ認証モジュール20は、クライアントデバイス100が送信したProbeメッセージ等に添付されているユーザ証明書を、ネットワーク対応デバイス200が保持するルート証明期間の証明書を用いてユーザ証明書の認証を行う。なお、このルート証明期間の証明書は、ネットワークを経由して入手してもよい。ここで、実際の認証作業としては、チャレンジ・レスポンス方式等によって認証を行う。
【0026】
権限確認モジュール21は、ユーザ認証モジュール20によって認証を行ったユーザが印刷を行うことが可能であるか否かの権限の確認を行う。権限確認を行う際には、権限確認モジュール21は、後述する印刷実績サーバ、課金情報を管理する課金情報管理サーバ、ユーザが利用可能な該当プリンタのプリントサーバ、及び、利用許可時間、利用可能時刻等を登録するユーザ管理データベース等に対して権限の問い合わせを行う。
【0027】
次に、本実施形態に係るネットワークプラグアンドプレイシステムの動作を説明する。図2は、権限確認モジュール21が問い合わせを行うサーバ等にユーザの権限の設定を行う処理を示すフローチャートである。
【0028】
権限確認モジュール21は、ステップS201で印刷管理ユーティリティ等を利用し、ディレクトリサービスにユーザ毎の利用権限設定を行う。設定を行う値として、印刷枚数上限値や印刷ページ数上限値等がある。
【0029】
ステップS202では、印刷実績サーバは、ディレクトリサービスからユーザ毎の上限値を取得し、印刷枚数上限値を設定する。
【0030】
図3は、印刷実績サーバが保持する、ユーザ毎の印刷上限値や実績値の例を示す図である。ユーザ301の例として、USER0003は、印刷枚数上限値302として1000枚であることが示されており、印刷を行った実績値として432枚であることが示されている。
【0031】
図4は、ネットワーク対応デバイス200でのProbe応答制限動作の制御の流れを示すフローチャートである。Probeメッセージは、XML−SOAPで記述されており、図5にそのメッセージフォーマットの例を示す。
【0032】
ネットワーク対応デバイス200は、Probeメッセージを受信すると(ステップS401)、受信したProbeメッセージはTCP/UDP/IPプロトコルスタック11を介してSOAPプロセッサ13に通知される。SOAPプロセッサ13、Probeメッセージの内容を解析し、その結果をユーザ認証モジュール20に対して通知する。
【0033】
ユーザ認証モジュール20では、クライアントデバイス100が送信したProbeメッセージ等に添付されているユーザ証明書と、ネットワーク対応デバイス200が保持するルート証明機関の証明書とを照合して、ユーザ証明書の認証を行う(ステップS402)。なお、ルート証明期間の証明書は、ネットワークを経由して入手してもよい。ここで、添付されているユーザ証明書が有効でない場合は、WSDiscoveryのProbe Matchを返信しない(ステップS409)。
【0034】
一方、ユーザ証明書が有効と判定された場合、WSDモジュール15は、通知されたメッセージの内容がこのネットワーク対応デバイス200が提供するサービス機能(この場合は、プリントサービス)と一致しているか否かを判断する(ステップS403)。一致しないと判断した場合、その情報を無視する(ステップS409)。従って、この場合はネットワーク対応デバイス200からProbe Matchメッセージが発行されることは無い。
【0035】
一方、一致すると判断した場合、WSDモジュール15は、Active Directoryからクライアントデバイス100に対するアクセス権を有するユーザを示すアクセス権情報を取得する(ステップS404)。そして、WSDモジュール15は、ユーザ証明書に示されるユーザ情報とアクセス権情報とを照合することにより、ステップS402で判定を行ったユーザがプリンタのアクセス権があるか確認する(ステップS405)。アクセス権が無いと判定された場合は、WSDiscoveryのProbe Matchメッセージを返信しない(ステップS409)。ここで、当該ユーザのサービス利用可能時間情報を取得、参照することにより当該ユーザの権限を確認してもよい。
【0036】
アクセス権があると判定された場合は、権限確認モジュール21は、続いて動的なアクセス権であるユーザ毎の印刷枚数上限値と実績値を印刷実績サーバから取得する(ステップS406)。取得する値として、印刷枚数上限値、印刷枚数実績値、印刷ページ数上限値、印刷ページ数実績値、課金上限値、及び、課金実績値等がある。
【0037】
続いて、権限確認モジュール21は、取得した印刷枚数上限値と実績値とを比較する(ステップS407)。既に上限に達していると判定された場合は、WSDモジュール15は、WSDiscoveryのProbe Matchメッセージを返信しない(ステップS409)。一方、未だ上限に達していないと判定された場合は、WSDモジュール15は、SOAPプロセッサ13対してProbe Matchメッセージ発行を要求する。
【0038】
SOAPプロセッサ13は、WS-Discovery仕様に基づきProbe Matchメッセージを生成し、TCP/UDP/IPプロトコルスタック11を介してクライアントデバイス100に対してユニキャスト送信する(ステップS408)。
【0039】
図6は、クライアントデバイス100がProbe Matchメッセージを受信した場合のドライバインストール動作を示すフローチャートである。
【0040】
Probe Matchメッセージはクライアントデバイス100のTCP/UDP/IPプロトコルスタック1を介して、SOAPプロセッサ3に通知される(ステップS601)。
【0041】
SOAPプロセッサ3は、Probe Matchメッセージの内容を解析し、該メッセージに記述された情報を、インストールアシストユーティリティ4に通知する。
【0042】
インストールアシストユーティリティ4は、WSDモジュール5を介してProbe Matchメッセージを送信したネットワーク対応デバイス200の属性情報を取得するために、WSDモジュール5に対して、SOAPプロセッサ3より取得した情報を通知する。
【0043】
WSDモジュール5は、Probe Match送信元アドレスに対し、該メッセージを発行したネットワーク対応デバイス200の属性情報を取得するために、SOAPプロセッサ3に対してWS-MetadataExchangeで規定されるGetMetadataメッセージ発行を要求する。
【0044】
SOAPプロセッサ3は、WS-MetadataExchange仕様に基づきGetMetadataメッセージを生成し、TCP/UDP/IPプロトコルスタック1を介してネットワーク対応デバイス200に対してユニキャスト送信する。
【0045】
ネットワーク対応デバイス200において、受信したGetMetadataメッセージはTCP/UDP/IPプロトコルスタック11を介して、SOAPプロセッサ13に通知される。
【0046】
SOAPプロセッサ13は、GetMetadataメッセージの内容を解析し、その結果をWSDモジュール15に通知する。WSDモジュール15においては、指定された属性情報をクライアントに対して返信するために、SOAPプロセッサ13に対してWS-MetadataExchangeで規定されるGetMetadataResopnseメッセージ発行を要求する。
【0047】
クライアントデバイス100では、インストールアシストユーティリティ4がこれらのGetMetadataResopnseメッセージを受信することにより、モデル名やネットワーク対応デバイス200のオプション情報などを取得する(ステップS602)。
【0048】
インストールアシストユーティリティ4は、探索を行ったネットワーク対応デバイス200のアドレスに該当するポートモニタが存在しないか判定を行う(ステップS603)。
【0049】
判定結果により、探索を行ったネットワーク対応デバイス200のアドレスに該当するポートモニタが存在しない場合は、インストールアシストユーティリティ4は、該当ネットワーク対応デバイス200のポートモニタをインストールし、アドレス情報等の設定を行い、ポートの作成を行う(ステップS604)。
【0050】
続いて、インストールアシストユーティリティ4は、探索を行ったデバイスのアドレスに該当するプリンタドライバが存在しないか判定を行う(ステップS605)。
【0051】
判定結果により、探索を行ったデバイスのアドレスに該当するプリンタドライバが存在しない場合は、インストールアシストユーティリティ4は、該当デバイスのドライバを取得する(ステップS606)。このとき、ドライバがローカルディスクに存在しない場合は、予め設定されているサーバやネットワーク経由の自動アップデートにより入手を行う。
【0052】
ドライバを取得した後に、インストールアシストユーティリティ4は、ドライバのインストールを行う。ドライバのインストールでは、該当デバイスに対応するステップS604で作成した、又は、既存のポートモニタとドライバの設定が行われる(ステップS607)。
【0053】
さらに、インストールアシストユーティリティ4は、ステップS602で取得したオプション情報等により、ドライバの構成情報の設定を行い(ステップS608)、ドライバインストールを完了する。
【0054】
以上説明したステップから、クライアントデバイス100は、ドライバのプラグアンドプレイ時に、印刷枚数上限値や課金管理等されているデバイスについても、ユーザの利用権限のあるデバイスのドライバのみをユーザの手を煩わすことなくインストールすることが可能となる。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、ネットワーク対応デバイス200において、Probe受信時に利用権限が与えられていなかったユーザに対して、印刷枚数上限値がリセットされる等の権限変更により利用可能となったことを通知し、ドライバのインストールを行うことができるものである。なお、本実施形態の構成は、図1に示す第1の実施形態の構成と同様であるため、説明は省略する。また、第1の実施形態と同様の処理ステップは同じ符号を付してあり、それらの説明は省略又は簡略化する。
【0056】
図7は、ネットワーク対応デバイス200でのProbe応答制限動作における、印刷枚数上限値がリセットされて、利用可能なユーザに通知するためのスケジューリング設定の流れを示すフローチャートである。
【0057】
ステップS402、ステップS403、ステップS405又はステップS407で、権限が合致せずにWSDiscoveryのProbe Match送信条件を満たさないと判定された場合、ネットワーク対応デバイス200は、WSDiscoveryのProbe Match送信条件待ちのリストに登録を行う(ステップS701)。
【0058】
図8は、WSDiscoveryのProbe Match送信条件待ちのリスト例を示す図である。探索条件設定項目801では、条件が合致しなかったProbeメッセージが保持される。これらのメッセージは、WSDモジュール15で解析されて、記憶装置18で保持される。プリンタ設定項目802では、当該ネットワーク対応デバイス200の識別情報が保持される。返信アドレス設定項目803には、Helloメッセージの返信先となるクライアントデバイス100のアドレスが保持される。ユーザ設定項目804では、該当するクライアントデバイス100を使用するユーザ名が保持される。返信予定時刻設定項目805には、Helloメッセージを返信する予定時刻が保持される。
【0059】
ネットワーク対応デバイス200の権限確認モジュール21は、権限の変化時やポーリングによって、ステップS701で記憶されたWSDiscoveryのProbe Match送信条件待ちのリストを参照して、合致する条件がないかの確認を行う。
【0060】
図9は、ネットワーク対応デバイス200の権限確認モジュール21における権限一致時のクライアントへの通知処理を示すフローチャートである。
【0061】
ネットワーク対応デバイス200の権限確認モジュール21は、Probe Match送信条件待ちのリストの取得を行う(ステップS901)。
【0062】
続いて、権限確認モジュール21は、Probe Match送信条件待ち条件の確認を行う(ステップS902)。権限がある場合、WSDモジュール15は、Probe Match送信条件待ちのリストの内容に基づき、クライアントにWSDモジュール15に対してHelloメッセージの送信処理を行い、サービスの提供開始をクライアントに通知する(ステップS903)。ここで、WSDモジュール15は、SOAPプロセッサ13を介して、Microsoft等がその仕様策定を推進するWS-Discovery仕様に基づき、ネットワークに接続した際に、Helloメッセージを送信する。
【0063】
図10は、クライアントデバイス100における、Helloメッセージ(又はProbe Matchメッセージ)受信時のインストール処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
クライアントデバイス100のインストールアシストユーティリティ4で、ネットワーク対応デバイス200のサービス開始通知パケットであるHelloメッセージ(又はProbe Matchメッセージ)を受信する(ステップS1001)。
【0065】
以降、ステップS602からの処理が行われ、クライアントデバイス100でドライバのインストールが実行される。
【0066】
以上のステップにより、既に印刷枚数上限値に達したためにProbe Matchメッセージの送信を行えなかった場合も、月次処理等により印刷枚数実績値がリセットされた場合は、クライアントデバイス100は、ネットワーク対応デバイス200からのサービス開始通知により、即座にユーザの利用権限のあるデバイスのドライバをユーザの手を煩わすことなくインストールすることが可能となる。
【0067】
上述した実施形態においては、ネットワーク対応デバイスの検索手段、およびネットワーク対応デバイスがネットワークに参加したことを通知する手段としてWS-Discoveryで定義されるプロトコルを採用している。但し、この限りではなく、例えばUPnPTM v1で規定されるSSDP(Simple Service Discovery Protocol)、及び、GENA(General Event Notification Architecture)等を利用することでも実現可能である。ネットワーク対応デバイス検索のプロトコルとしては、ネットワーク対応デバイスの属性情報を取得するためのアドレス、及び、ネットワーク対応デバイスを制御するための制御情報送信先が取得することが可能であるプロトコルであれば、何れのプロトコルであっても適用可能である。
【0068】
また上述した実施形態においては、通信媒体としてEthernet(登録商標)を利用した形で実現しているが、デバイスの発見、およびデバイスが機能実行を開始したことを通知可能な通信媒体であれば、ローカルI/O、ネットワークの何れの場合も適用可能である。
【0069】
また上述した実施形態においては、プラグアンドプレイの一例として、発見したネットワーク対応デバイスに対応したドライバのインストールを採用しているが、ネットワーク対応デバイスを利用、制御するために必要なユーティリティ、アプリケーション等をクライアントデバイス100に自動的にインストールする場合においても適用可能である。
【0070】
また、上述した実施形態においてネットワーク対応デバイスとしてプリンタに対する実装例を示したが、通信媒体を介して利用、制御可能なデバイスであれば、スキャナ、ストレージデバイス等、何れのデバイスに対しても適用可能である。
【0071】
また、上述した実施形態においては、クライアントデバイス100がネットワーク対応デバイスを制御するためのドライバをメモリ上に保持する形態を示したが、ドライバに限らずアプリケーション、ユーティリティソフトウエアに対しても適用可能である。また、これらソフトウエアはネットワーク対応デバイス上に保持されている場合、或いは第3のサーバ上に保持されている場合にも適用可能である。
【0072】
また、上述した実施形態におけるクライアントデバイス100及びネットワーク対応デバイス200における各処理機能は、各処理機能を実現する為のプログラムをメモリから読み出してCPU(中央演算装置)が実行することによりその機能を実現させるものである。但し、これに限定さるものではなく、各処理機能の全部または一部の機能を専用のハードウエアにより実現してもよい。また、上述したメモリは、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、RAM以外の揮発性のメモリ又はこれらの組合せによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より構成されてもよい。
【0073】
また、クライアントデバイス100及びネットワーク対応デバイス200内の各機能を実現する為のプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。そして、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各処理を行っても良い。
【0074】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウエアを含むものとする。具体的には、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含む。
【0075】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、一定時間プログラムを保持しているものを含む。例えば、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発メモリ(RAM)等が挙げられる。
【0076】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0077】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現する為のものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0078】
また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体およびプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワークプラグアンドプレイシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】権限確認モジュールが問い合わせを行うサーバ等にユーザの権限の設定を行う処理を示すフローチャートである。
【図3】印刷実績サーバが保持する、ユーザ毎の印刷上限値や実績値の例を示す図である。
【図4】ネットワーク対応デバイスでのProbe応答制限動作の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】Probeメッセージのメッセージフォーマットの例を示す図である。
【図6】クライアントデバイスがProbe Matchメッセージを受信した場合のドライバインストール動作を示すフローチャートである。
【図7】、ネットワーク対応デバイスでのProbe応答制限動作における、上限値がリセットされて、利用可能なユーザに通知するためのスケジューリング設定の流れを示すフローチャートである。
【図8】WSDiscoveryのProbe Match送信条件待ちのリスト例を示す図である。
【図9】ネットワーク対応デバイスの権限確認モジュールにおける権限一致時のクライアントへの通知処理を示すフローチャートである。
【図10】クライアントデバイスにおける、Helloメッセージ受信時のインストール処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
100:クライアントデバイス
200:ネットワーク対応デバイス
1、11:TCP/UDP/IPプロトコルスタック
2、12:HTTP
3、13:SOAPプロセッサ
4:インストールアシストユーティリティ
5、15:WSDモジュール
6、17:メモリコントローラ
7:プラグアンドプレイコントローラ
8、18:記憶装置
16:プリンタコントローラ
20:ユーザ認証モジュール
21:権限確認モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、
前記外部装置を使用するユーザの識別情報を含む当該情報処理装置を探索するための探索情報を受信する受信手段と、
前記ユーザの識別情報に基づいて、前記ユーザが当該情報処理装置により提供されるサービスを受ける権限を有するか否かを確認する権限確認手段と、
前記権限確認手段により前記ユーザが前記サービスを受ける権限を有すると判定された場合、前記外部装置からの要求に応じて、前記外部装置が前記サービスに対応するソフトウェアをインストールするための当該情報処理装置に係る情報を前記外部装置に対して送信する送信手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記権限確認手段は、前記ユーザに対応付けて登録される前記サービスの利用に係る上限値情報と前記ユーザによる前記サービスの利用実績値情報とを比較することにより、前記ユーザの権限を確認することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記サービスの利用に係る上限値情報には、印刷枚数上限値情報が含まれ、前記サービスの利用実績値情報には、印刷枚数実績値情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記サービスの利用に係る上限値情報には、印刷ページ数上限値情報が含まれ、前記サービスの利用実績情報には、印刷ページ数実績値情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記サービスの利用に係る上限値情報には、前記サービスの利用に係る課金上限値情報が含まれ、前記サービスの利用実績情報には、前記サービスの利用に係る課金実績値情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記権限確認手段は、前記ユーザの識別情報と正当なユーザを示す情報とを照合することにより、前記ユーザの権限を確認することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記権限確認手段は、前記ユーザの識別情報と当該情報処理装置に対するアクセス権を有するユーザを示す情報とを照合することにより、前記ユーザの権限を確認することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記権限確認手段は、前記ユーザによる前記サービスの利用可能時間情報を参照することにより、前記ユーザの権限を確認することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記権限確認手段は、前記サービスを受ける権限がないと一旦判定した前記ユーザに対しても、前記ユーザについて前記サービスの受ける権限を再度確認することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
外部装置と通信回線を介して接続される情報処理装置による情報処理方法であって、
前記外部装置を使用するユーザの識別情報を含む当該情報処理装置を探索するための探索情報を受信する受信ステップと、
前記ユーザの識別情報に基づいて、前記ユーザが当該情報処理装置により提供されるサービスを受ける権限を有するか否かを確認する権限確認ステップと、
前記権限確認ステップにより前記ユーザが前記サービスを受ける権限を有すると判定された場合、前記外部装置からの要求に応じて、前記外部装置が前記サービスに対応するソフトウェアをインストールするための当該情報処理装置に係る情報を前記外部装置に対して送信する送信ステップとを含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−280114(P2007−280114A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106502(P2006−106502)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】