説明

情報提供装置、方法およびプログラム

【課題】ユーザが希望した場所での商品役務の提供時間までユーザに有効な時間を過ごせるような有用な情報を提供する。
【解決手段】情報端末3の現在位置P、キオスク端末2の設置位置Dを包含する周辺地図情報に、現在位置P・設置位置Dの他、立ち寄り推薦スポットであるスポットAおよびスポットBの位置と、現在位置PからスポットAへの立ち寄り開始経路I、スポットAからスポットBへの立ち寄り続行経路J、スポットBから設置位置Dに至るまでの立ち寄り終了経路Kがプロットされているコンテンツを、データセンタ1から情報端末3に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの希望した場所での希望の商品役務の提供に要する時間に応じたルート情報の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、処理サーバは、指定の移動手段によって、現在位置から計算された移動距離だけ移動した地点を、立寄可能地点と予測する。処理サーバは、予測した立寄可能地点の近傍に存在する店舗端末を、店舗端末の位置情報を格納している店舗データベースから検索する。処理サーバは、ユーザ端末に検索した店舗端末を通知し、その中からユーザが商品の提供を希望する任意の店舗端末を指定させる。処理サーバは、ユーザ端末2からの依頼に応じ、予約情報を指定の店舗端末に送信する。
【0003】
特許文献2では、ネットワークフォトプリントサービスシステムのセンターサーバは、プリントの注文に関するプリント注文情報と当該注文に応じて出力されるプリントの受け渡し場所についての条件に関する情報とをネットワークを介して顧客(顧客側端末)から受け取り、プリントの受け渡しが可能な複数の店舗の中からプリントの受け渡し場所についての条件に適合する受取店候補群(たとえば店舗A2〜A4)を抽出し、顧客に対し受取店候補群の中から1つの店舗をプリントの受け渡し場所である受取店として選択することを求め、当該顧客の選択に応じて決定された受取店(たとえば店舗A3)に設置されるプリント出力装置に対してプリント注文情報を送出する。
【特許文献1】特開2007−249424号公報
【特許文献2】特開2001−249414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、プリント完了予定時間とユーザの位置情報を利用した最適な店舗検索技術(特許文献1)や、注文内容に応じた店舗検索技術(特許文献2)は従来存在するが、ユーザが自分で好きな店舗を選んだ際、その店舗までの移動時間をいかにユーザに有効活用させるかについては何ら配慮されていない。
【0005】
例えば、ユーザがある所望の店にプリント注文を送った場合、その店までの最短移動時間がプリント注文に応じたプリント作成時間よりも短ければ、完成予定時間よりも早く店について時間を持て余してしまうことが考えられる。
【0006】
本発明の目的は、ユーザが希望した場所での商品役務の提供時間までユーザに有効な時間を過ごせるような有用な情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報提供装置は、特定のユーザが所望の商品または役務の提供を受領する所望の場所である商品役務提供場所の指定を受け付ける商品役務指定部と、特定のユーザの現在位置を取得するユーザ位置取得部と、商品役務指定部の受け付けた商品役務提供場所の位置を取得する商品役務提供場所位置取得部と、商品役務指定部の受け付けた商品または役務の提供が可能な時刻である提供時刻を決定する提供時刻決定部と、各商品役務提供場所の位置、各商品役務提供場所への到達経路、各スポットの位置、各スポットへの到達経路、各商品役務提供場所と各スポットの距離、異なるスポット間の距離および各スポットでの標準滞在時間を含む地点情報ならびにユーザ位置取得部の取得した現在位置と商品役務指定部の受け付けた商品役務提供場所の位置関係を表現可能な地図情報を記憶する記憶部と、現在位置と商品役務提供場所の位置と地点情報とに基づき、現在位置から商品役務提供場所への特定のユーザの到達経路を決定するルート決定部と、地点情報に基づき、ルート決定部の決定した到達経路に沿った現在位置から商品役務提供場所までの移動距離を特定した上、移動距離と現在位置の取得時刻に基づいて商品役務提供場所への到達時刻を決定する到達時刻決定部と、ルート決定部の決定した特定のユーザの到達経路を表現したルート情報を地図情報に基づいて作成するルート情報作成部と、を備え、ルート決定部は、到達時刻決定部の決定した到達時刻と提供時刻決定部の決定した提供時刻との時間的前後関係に応じ、決定した特定のユーザの到達経路を変更し、ルート情報作成部は、ルート決定部が特定のユーザの到達経路を変更したことに応じて変更された到達経路を表現したルート情報を作成する。
【0008】
ルート決定部は、地点情報に基づき、現在位置から商品役務提供場所への最短経路を特定のユーザの到達経路に決定する。
【0009】
ルート情報作成部は、現在位置と商品役務提供場所と現在位置から商品役務提供場所への最短到達経路とを表現したルート情報を地図情報に基づいて作成する。
【0010】
地点情報に含まれるスポットの位置のうち、現在位置からスポットの位置を経由して商品役務提供場所へ到達するまでの総移動時間とスポットに対応する標準滞在時間との合計が提供時刻と到達時刻の差に相当するようなスポットの位置である立寄スポットの位置を記憶部から抽出する立寄スポット抽出部を備え、ルート決定部は、決定した特定のユーザの到達経路を、現在位置から立寄スポット抽出部が抽出した立寄スポットの位置を経由した商品役務提供場所の位置までの到達経路に変更する。
【0011】
ルート情報作成部は、立寄スポット抽出部が抽出した立寄スポットの位置、現在位置、商品役務提供場所の位置および現在位置から立寄スポットの位置を経由した商品役務提供場所の位置までの到達経路を表現したルート情報を地図情報に基づいて作成する。
【0012】
ルート情報作成部の作成したルート情報を出力する出力部を備える。
【0013】
本発明に係る情報提供方法は、特定のユーザが所望の商品または役務の提供を受領する所望の場所である商品役務提供場所の指定を受け付けるステップと、特定のユーザの現在位置を取得するステップと、受け付けた商品役務提供場所の位置を取得するステップと、受け付けた商品または役務の提供が可能な時刻である提供時刻を決定するステップと、各商品役務提供場所の位置、各商品役務提供場所への到達経路、各スポットの位置、各スポットへの到達経路、各商品役務提供場所と各スポットの距離、異なるスポット間の距離および各スポットでの標準滞在時間を含む地点情報ならびに取得した現在位置と受け付けた商品役務提供場所の位置関係を表現可能な地図情報を所定の記憶媒体に記憶するステップと、現在位置と商品役務提供場所の位置と地点情報とに基づき、現在位置から商品役務提供場所への特定のユーザの到達経路を決定するステップと、地点情報に基づき、決定した到達経路に沿った現在位置から商品役務提供場所までの移動距離を特定した上、移動距離と現在位置の取得時刻に基づいて商品役務提供場所への到達時刻を決定するステップと、決定した特定のユーザの到達経路を表現したルート情報を地図情報に基づいて作成するステップと、決定した到達時刻と決定した提供時刻との時間的前後関係に応じ、決定した特定のユーザの到達経路を変更するステップと、特定のユーザの到達経路を変更したことに応じて変更された到達経路を表現したルート情報を作成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0014】
この情報提供方法をコンピュータに実行させるための情報提供プログラムも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、ユーザが所望の場所で所望の商品役務を受けるために、現在位置からまっすぐその提供場所へ移動すると余剰時間が発生する場合、その余剰時間に相当する寄り道を知らせ、時間の有効活用を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[概略構成]
図1は本発明の好ましい実施形態に係る情報提供システムの概略構成を示す。このシステムは、携帯電話やPDAなどで構成された1または複数の情報端末3がが移動体電話通信網やインターネットなどを包含するネットワーク5を介してデータセンタ1と接続されることで構成される。1または複数のキオスク端末2は、ネットワーク5を介してデータセンタ1および情報端末3と通信可能である。図1では便宜上1つのキオスク端末2、1つの情報端末3を示しているが、2つ以上のキオスク端末2あるいは情報端末3がネットワーク5を介してデータセンタ1と接続されていてもよい。
【0017】
データセンタ1は、地図情報および地点情報を蓄積したデータベースを備えている。各情報端末3に提供する地図情報は、例えばカーナビシステムで使用される地図データを記録したDVDやハードディスクその他の大容量記憶媒体で実現できる。地点情報とは、プリント受取場所情報(ある特定のキオスク端末2を設置した受取店の位置情報)、受取店への到達経路(複数の経路があればその全て)、プリント受取場所の移動経路に介在する店や公園などの寄り道スポットの場所情報(スポット情報)、各スポットへの到達経路(複数の経路があればその全て)、各スポットの標準滞在時間(そのスポットを利用するのに一般的に必要と推測される時間。例えば公園Aの標準滞在時間は30分、公園Bの標準滞在時間は45分)、各情報端末3のユーザ情報(ユーザID、機器ID、ユーザの個人情報など)、あるいは各情報端末3から送られてきた現在位置情報、プリント注文情報、画像情報、撮影日、情報登録日などの付帯情報を含む。
【0018】
地図情報は、プリント受取場所情報(受取店の識別情報)やスポットと関連づけられた店舗外観やスポット概要などの識別物を視覚的に表現するための画像情報、線分情報、名称情報を有している。また、地点情報は、各地の道路に沿って定義された識別物の位置情報(緯度や経度や高度)が記録された階層や、道路に沿って各識別物を繋ぐルートおよびルートに沿ったユーザの移動距離(ユーザ現在位置から所望の受け取り店までの距離、ユーザ現在位置から所望のスポットまでの距離、所望の異なるスポット間の距離、あるいは所望のスポットから所望の受け取り店までの距離)を算出可能な距離情報が記録された階層を、それぞれ含んでいる。要するに、地点情報は、現在位置や受け取り店やスポットを点(ノード)、現在位置や受け取り店やスポットを結ぶルートを線分(エッジ)で表現したグラフデータと、それらの中から任意に選ばれた点と点を結ぶ線分の長さを実際の距離に換算するスケール換算情報を有する。
【0019】
地点情報に含まれるスポットデータは、スポットと一対一に対応付けられた位置情報を有している。また位置情報には、住所情報の他に、電話番号、郵便番号、名称情報(スポット名、会社名、駅名、バス停名など)が対応づけられている。
【0020】
図2に例示するように、データセンタ1は、操作部11(キーボード、マウスその他のポインティングデバイス、タッチパネルなど)、表示部12(液晶ディスプレイおよびオンボードグラフィックカードなど)、通信部13(ネットワークカードなど)、情報処理部14(CPU、マイクロコンピュータなど)、記憶部15(RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD、CD−RWその他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体)、情報読取/書込部16(CD−RWドライブなど)を備えたパソコンなどで構成される。データベース17は記憶部15内に構築されることもできる。通信、情報の読み書き、操作部から入力された指示の解釈、映像の表示などの各動作は、情報処理部14によって統括制御される。情報処理部14による各部の制御を規律するプログラムは記憶部15に記憶されている。
【0021】
図3に例示するように、キオスク端末2は、操作部21(キーボード、マウスその他のポインティングデバイス、タッチパネルなど)、表示部22(液晶ディスプレイおよびオンボードグラフィックカードなど)、通信部23(ネットワークカードなど)、情報処理部24(CPU、マイクロコンピュータなど)、記憶部25(RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD、CD−RWその他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体)、情報読取/書込部26(CD−RWドライブなど)、時刻情報を出力するRTC(リアルタイムクロック)28を備えたパソコンなどで構成される。各部の動作は、情報処理部によって統括制御される。情報処理部24による各部の制御を規律するプログラムは記憶部25に記憶されている。
【0022】
キオスク端末2は、USBポートやLANなどのプリントデータ通信部(図示せず)を介してプリンタ4と接続している。キオスク端末2の通信部23は、データセンタ1からプリント注文情報などの各種情報を受信する。表示部22は、データセンタ1から受信した情報を表示する。また、データセンタ1から受信した画像は情報処理部24にてプリント注文情報に含まれる指定枚数・指定サイズでの印刷指示を含んだプリントデータに変換され、プリンタ4に出力して印刷できる。なお、データセンタ1自身がプリントデータを生成してキオスク端末2に送り、これをプリンタ4に出力することもできるし、データセンタ1自身がプリント注文情報を作成することもできる。
【0023】
図4に例示するように、情報端末3は、操作部31(テンキーなど)、表示部32(液晶ディスプレイなど)、通信部33(ネットワークカードなど)、情報処理部34(CPU、マイクロコンピュータなど)、記憶部35(RAM、ROM、メモリカードなどの記録媒体)、情報読取/書込部36(メモリカードリーダ/ライタなど)、撮像部37(撮像レンズ、CCDやCMOSなどの固体撮像素子、A/D変換やホワイトバランス調整などを行う画像処理回路)を備えたカメラ付き携帯電話などで構成される。また、情報端末3は、撮像部37による記録用画像の撮影時の時刻情報を出力するRTC38(リアルタイムクロック)および撮像部37による記録用画像の撮影時の位置情報を出力するGPS受信機39も備えている。撮像部37によって得られた画像データは、撮像時にGPS受信機39から得られた位置情報、RTCから得られた時刻情報が付帯情報として対応づけられ、記録される。例えば、EXIFファイルのタグ情報(GPS IFD)としてGPS位置情報を記録すればよい。その他、ネットワーク5を介して接続されたデータサーバから取得された各種の撮影時情報(気象情報など)も撮影画像の付帯情報として記録することもできる。
【0024】
[情報提供処理]
以下、図5のフローチャートを参照し、本システムで実行される情報提供処理の流れを説明する。この処理の各ステップを情報端末3、キオスク端末2あるいはデータセンタ1に実行させるプログラムは、記憶部15、記憶部25あるいは記憶部35に記憶されており、情報処理部14あるいは情報処理部34各自がそれを読み込んで実行する。
【0025】
S1では、情報端末3は、ネットワーク5にアクセスしてデータセンタ1と通信し、操作部31から入力を受け付けたプリント注文情報を送信する。このプリント注文情報は、1または複数の画像ならびにその付帯情報、各画像のプリント枚数、プリントサイズ、プリントを実施する希望の受取店の識別情報を含む。なお、データセンタ1から情報端末3に予めプリント注文可能な受け取り店の識別情報の一覧を送信し、情報端末3にてその一覧から所望の希望の受け取り店の識別情報を選択すると、それがプリント注文情報に組み込む受取店の識別情報となる。
【0026】
データセンタ1は、プリント注文情報を受信したことに応じて、情報端末3から指定された所望のキオスク端末2に対して、当該プリント注文情報に従ったプリントの完了予定時刻の返信を要求する見積り要求をプリント注文情報とともに送信する。
【0027】
キオスク端末2は、データセンタ1から見積り要求を受信すると、受信したプリント注文情報に従ってプリントの完了予定時刻を算出する。例えば、予め記憶された画像1枚当たりの平均印刷時間に、記憶部25にバッファされた未処理ジョブの画像(直近のプリント注文情報の受信以前に他のユーザが送信したものを含む)のプリント枚数を乗じた値をプリントに要する時間とし、現在時刻からその時間が経過した後の時間を完了予定時刻とする。
【0028】
なお、データセンタ1自身がプリントの完了予定時刻を算出してもよい。また、プリント注文情報に情報端末3の現在位置情報を含めておき、プリント注文情報を送信してきた情報端末3の現在位置情報に応じて未処理ジョブの待ち行列における順番を入れ換えてもよい。例えば、キオスク端末2は、任意のタイミングで(例えばプリント注文情報を受信する度に)、あるいは定期的に(例えば1時間おきに)、キオスク端末2の位置から近い現在位置情報を有するプリント注文情報ほど待ち行列の先頭側に来るよう、未処理ジョブをソートする。こうすれば、到着までに時間の余裕がある遠いユーザ、あるいは何らかの都合でキオスク端末2から離れていったユーザのプリントは後回しにし、近いユーザは優先的にプリントできる。
【0029】
キオスク端末2は、算出した完了予定時刻をデータセンタ1に送信する。
【0030】
データセンタ1は、キオスク端末2から完了予定時刻を受信すると、以後、定期的に(例えば3分ごとに)現在位置を通知するよう情報端末3に要求する。情報端末3は、当該通知要求を受信したことに応じ、GPS受信機39により取得した緯度・経度・高度などを含む位置情報およびその位置情報の発信時刻を、定期的にネットワーク5経由でデータセンタ1に送信する。
【0031】
S2では、データセンタ1は、情報端末3から送信されてきた最新の位置情報(現在位置情報)に基づいて、情報端末3の周辺(例えばキオスク端末の設置場所から半径1000メートルの円周内の領域)をカバーする地図情報(周辺地図情報)をデータベース17から取得する。そして、その周辺地図情報の上に現在位置情報で示される情報端末3の現在位置と、プリント注文情報で指定されたキオスク端末2の位置をプロットする。なお、キオスク端末2の位置が不動であれば、予めキオスク端末2の位置情報をデータベース17に記憶しておき、プリント注文情報を受信したことに応じ、それで指定されたキオスク端末2の位置情報をデータベース17から抽出すればよく、動的にキオスク端末2の位置を把握する必要はない。ただし、商品役務の提供場所が変動するような場合(例えば移動図書館)は、GPS受信機などで動的にその場所をデータセンタ1に定期的に通知する必要がある。商品役務とは、必ずしも有料に限らず、例えば地方公共団体が主催する健康相談のように無料のものでもよい。
【0032】
次に、データセンタ1は、周辺地図情報におけるキオスク端末2の位置と情報端末3の現在位置とを結ぶ最短経路、およびその最短経路に沿った両者の距離(最短距離)を特定する。
【0033】
一方、データセンタ1は、これまで情報端末3から受信した少なくとも2つの現在位置およびその現在位置の発信時刻から、情報端末3のユーザの直近の移動速度を算出する。厳密には、いままでに受信した現在位置のうち直近の2つの現在位置を結ぶ最短経路に沿った2つの現在位置間の距離を、当該直近の2つの現在位置の発信時刻あるいは受信時刻の差の時間間隔で割った値をユーザの直近の移動速度とする。
【0034】
そして、データセンタ1は、最短距離をユーザの移動速度で割り、ユーザの指定したキオスク端末2への到着予定時刻を算出する。なお、ユーザの移動速度で到着予定時刻を算出する必然性はない。例えば、ユーザが電車やバスのようなダイヤ運行する移動手段を利用している場合、現在位置と情報端末3から予め任意に指定されたユーザの移動手段(複数の移動手段の組み合わせも可)とから、商品役務提供場所への最寄り駅・最寄りバス停までの到着予定時刻を、公知の路線検索データベース(例えば特開2008−97427号公報)に保存されたダイヤ情報から特定する。
【0035】
S3では、データセンタ1は、キオスク端末2から受信した完了予定時刻よりも、到着予定時刻が時間的に後であるか否かを判断する。Noの場合はS4に進み、Yesの場合はS5に進む。なお、到着予定時刻が時間的に後であっても、両者の差(余剰時間)が所定の閾値(例えば5分)よりも小さければ、S5に進むようにしてもよい。この場合は、キオスク端末2に到達する時間が予定時刻からわずかに早いだけであり、軽微な余剰時間をつぶす場所をわざわざ勧める必要性に乏しいからである。
【0036】
S4では、データセンタ1は、最短経路から立ち寄り可能なスポット(現時点での最短経路に沿ったスポット、あるいは現時点での最短経路を逸脱し別の経路に移行することで立ち寄り可能なスポット)と各スポットに対応する標準滞在時間と各スポットの位置情報とをデータベースから抽出し、これを一覧化した立ち寄り可能テンポラリテーブルを作成する。次に現在時刻から立ち寄り可能テンポラリテーブルの各スポットの標準時間だけ経過した時間である寄り道後到着予定時刻が、完了予定時刻以後となるようなスポットである推薦候補スポットおよびその位置情報を、立ち寄り可能テンポラリテーブルから抽出する。
【0037】
推薦候補スポットは最短経路Xに沿って点在する必要はなく、経路Xを逸脱して到達可能な場所でもよい。この場合、現在位置から最も近い推薦候補スポットまでの移動経路(立ち寄り開始経路)、異なる推薦候補スポット間の移動経路(立ち寄り続行経路)およびキオスク端末2の位置に最も近い推薦候補スポットからキオスク端末2の位置までの移動経路(立ち寄り終了経路)の距離の総計をユーザの移動速度で割って総移動時間を算出し、さらに総移動時間に当該推薦候補スポットの各々に対応する標準滞在時間の総計を加えることで、寄り道後到着予定時刻を算出する。
【0038】
仮に、寄り道後到着予定時刻が完了予定時刻以後となるような単独の推薦候補スポットがない場合、立ち寄り可能テンポラリテーブルに存在する異なるスポットを任意に2つ以上組み合わせ、その組み合わせたスポットの各々を巡回してキオスク端末2まで到達する最短経路を特定した上で、その最短経路の移動に必要な総移動時間と各スポットの標準滞在時間の総計だけ現在時刻から経過した時間を寄り道後到着予定時刻とし、当該寄り道後到着予定時刻が完了予定時刻以後となるようなスポットおよびその位置情報を、立ち寄り可能テンポラリテーブルから、推薦候補スポットとして抽出する。なお、経路Xを逸脱すると移動手段の変更が必要な場合、各推薦候補スポットに移動するための低廉な移動手段を路線検索データベースから抽出してもよい。
【0039】
例えば、現在時刻が午後4時、完了予定時刻が午後5時、立ち寄り可能テンポラリテーブルに存在するスポットAの標準滞在時間が40分、スポットBの標準滞在時間が25分である場合、双方とも単独では現在時刻から完了予定時刻に満たないが、双方の標準滞在時間を加えると、現在時刻から65分後の午後5時5分が寄り道後到着予定時刻となり、完了予定時刻よりも後になるから、立ち寄り可能テンポラリテーブルからスポットA、スポットBおよびそれらの位置情報を立ち寄り推薦スポットとして抽出する。
【0040】
さらに、各スポットの個々の標準滞在時間を合計しても完了予定時刻に満たないが、現在位置から各スポットを巡回して最終目的地(キオスク端末2の場所)に至るまでの総移動時間を加えれば完了予定時刻を超える場合は、そのスポットが立ち寄り可能テンポラリテーブルから抽出される。立ち寄り推薦スポットが複数抽出された場合は、その中で完了予定時刻との誤差が最も小さくなる寄り道後到着予定時刻に対応する立ち寄り推薦スポットを改めて立ち寄り推薦スポットとしてもよい。これは、寄り道を勧めるといっても、商品役務の待機に必要な以上に無駄な寄り道をさせないためである。例えば、現在時刻が午後4時、完了予定時刻が午後5時、立ち寄り可能テンポラリテーブルに存在するスポットAの標準滞在時間が40分、スポットBの標準滞在時間が15分である場合、双方の標準滞在時間を加えても現在時刻から完了予定時刻に満たないが、現在位置からこれらのスポットを経由して最終目的地に到達する最短ルートの総移動距離を現時点での移動速度で割ることで得た到着予定時刻が午後5時5分であれば、立ち寄り可能テンポラリテーブルからスポットA、スポットBおよびそれらの位置情報を立ち寄り推薦スポットとして抽出する。
【0041】
S5では、データセンタ1は、抽出された立ち寄り推薦スポットの位置情報に従い、周辺地図情報に立ち寄り推薦スポットの位置、現在位置から立ち寄り推薦スポットまでの移動経路(立ち寄り開始経路)、立ち寄り推薦スポット間の移動経路(立ち寄り続行経路)および立ち寄り推薦スポットからキオスク端末2の位置までの移動経路(立ち寄り終了経路)をプロットする。なお立ち寄り推薦スポットが1つの場合は立ち寄り続行経路は存在しない。これにより、周辺地図情報には、情報端末3の現在位置、立ち寄り推薦スポットの位置、キオスク端末2の位置、およびそれらを経由するルートがプロットされることになる。なお、各推薦候補スポットに移動するための低廉な移動手段を路線検索データベースから抽出した場合は、周辺地図情報上にプロットされた各推薦候補スポットに当該移動手段を対応づけて配置する。
【0042】
図6はコンテンツの一例を示す。ここでは、情報端末3の現在位置P、キオスク端末2の設置位置Dを包含する周辺地図情報に、現在位置P・設置位置Dの他、立ち寄り推薦スポットであるスポットAおよびスポットBの位置と、現在位置PからスポットAへの立ち寄り開始経路I、スポットAからスポットBへの立ち寄り続行経路J、スポットBから設置位置Dに至るまでの立ち寄り終了経路Kがプロットされている。無論、立ち寄り推薦スポットは現在位置Pから設置位置Dまでの最短経路に沿って点在してもよい。
【0043】
一方、余剰時間がどの標準滞在時間よりも短く、どの立ち寄り推薦スポットを抽出できなかった場合、あるいは情報端末3への入力操作で寄り道ルートの提示は不要である旨の指示がされた場合は、データセンタ1は、周辺地図情報に、情報端末3の現在位置、キオスク端末2およびその両者を最短で結ぶ経路Xの位置がプロットされたコンテンツを作成する。ただし、寄り道ルートの提示は不要である旨の指示がされない限りは、寄り道経路I・J・Kと最短経路Xを同時にプロットし、ユーザに両者を比較判断する機会を与えることもできる。
【0044】
従来のカーナビシステムでは、出発地と目的地の両者を結ぶ経路、好ましくは最短経路を表示するが、本願では刻々と変化する現在地からスポットを巡回して最終目的地に到達する経路を表示する点で異なる。
【0045】
なお、ユーザの移動速度がある所定の値以下の場合(例えば時速5km以下)の場合も同様にして最短経路をプロットしたコンテンツを作成する。これは、移動速度が余りにも遅いと、寄り道をする余裕がないと推測されるからである。
【0046】
S6では、データセンタ1は、S5で作成したコンテンツを、情報端末3に送信する。なおS2〜S5は定期的に(例えば3分ごとに)繰り返し実行され、情報端末3の現在位置と直近の移動速度が可及的にコンテンツに反映される。すなわち、給油や買い物など何らかの都合でユーザが最短経路を外れたり立ち寄り推薦スポット以外の場所にとどまったりあるいは最終目的地から遠ざかるような行動をとったとしても、あるいは道路状況により移動速度が速くなったり遅くなったりしても、その状況に合わせてコンテンツの内容も代わる。
【0047】
情報端末3は、データセンタからコンテンツを受信すると表示部32に表示する。このコンテンツをユーザが参照することで、プリントサービスの完了までに余った時間を移動途中のスポットで過ごし、時間を有効に活用できる。データセンタ1は、コンテンツを情報端末3以外の通信機器、例えばキオスク端末2に送ってもよい。これを注文した画像とともにプリンタ4でプリントし、ユーザに記念品として渡すこともできる。
【0048】
なお、本発明にとってキオスク端末2によるプリント作成は本質的でなく、情報端末3によって任意に選択された提供場所において提供される商品または役務の完了予定時刻が算出可能であれば、提供場所の種類は問わない。例えば、情報端末3のユーザである患者が、任意に選択した薬局に、医師から電子的に交付された処方箋をネットワーク5経由で送信し、その処方箋を薬局のコンピュータ(キオスク端末2に相当)で受信した時点から調剤に要する時間を算出する。周知のように、調剤に要する患者の待ち時間は統計的に予測できる。そして、その時間を完了予定時刻とすれば、その薬局で薬を受け取るまでに空いた時間を、コンテンツで示された立ち寄り推薦スポットでつぶせる。
【0049】
さらに、情報端末3によって任意にユーザ自身が完了予定時刻(商品役務提供時刻)を指定できてもよい。これは、自分の指定した時間かそれ以降に商品役務の提供を受ける形態をとる理髪店や歯科医院のようなサービスの場合に有効であり、例えばユーザが理髪店の予約時間を15:00と想定して移動を開始し、その後に予約時間を15:00と指定しようとしたが、理髪店の都合で15:30以降でないと予約がとれないと言われた場合、到着予定時刻が15:00、商品役務提供時刻が15:30となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】情報提供システムの概略構成図
【図2】データセンタのブロック図
【図3】キオスク端末のブロック図
【図4】情報端末のブロック図
【図5】情報提供処理のフローチャート
【図6】コンテンツの一例を示す図
【符号の説明】
【0051】
1:データセンタ、2:キオスク端末、3:情報通信機器、4:プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のユーザが所望の商品または役務の提供を受領する所望の場所である商品役務提供場所の指定を受け付ける商品役務指定部と、
前記特定のユーザの現在位置を取得するユーザ位置取得部と、
前記商品役務指定部の受け付けた商品役務提供場所の位置を取得する商品役務提供場所位置取得部と、
前記商品役務指定部の受け付けた商品または役務の提供が可能な時刻である提供時刻を決定する提供時刻決定部と、
各商品役務提供場所の位置、各商品役務提供場所への到達経路、各スポットの位置、各スポットへの到達経路、各商品役務提供場所と各スポットの距離、異なるスポット間の距離および各スポットでの標準滞在時間を含む地点情報ならびに前記ユーザ位置取得部の取得した現在位置と前記商品役務指定部の受け付けた商品役務提供場所の位置関係を表現可能な地図情報を記憶する記憶部と、
前記現在位置と前記商品役務提供場所の位置と前記地点情報とに基づき、前記現在位置から前記商品役務提供場所への前記特定のユーザの到達経路を決定するルート決定部と、
前記地点情報に基づき、前記ルート決定部の決定した到達経路に沿った前記現在位置から前記商品役務提供場所までの移動距離を特定した上、前記移動距離と前記現在位置の取得時刻に基づいて前記商品役務提供場所への到達時刻を決定する到達時刻決定部と、
前記ルート決定部の決定した前記特定のユーザの到達経路を表現したルート情報を前記地図情報に基づいて作成するルート情報作成部と、を備え、
前記ルート決定部は、前記到達時刻決定部の決定した到達時刻と前記提供時刻決定部の決定した提供時刻との時間的前後関係に応じ、前記決定した前記特定のユーザの到達経路を変更し、
前記ルート情報作成部は、前記ルート決定部が前記特定のユーザの到達経路を変更したことに応じて前記変更された到達経路を表現したルート情報を作成する情報提供装置。
【請求項2】
前記ルート決定部は、前記地点情報に基づき、前記現在位置から前記商品役務提供場所への最短経路を前記特定のユーザの到達経路に決定する請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記ルート情報作成部は、前記現在位置と前記商品役務提供場所と前記現在位置から前記商品役務提供場所への最短到達経路とを表現したルート情報を前記地図情報に基づいて作成する請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記地点情報に含まれるスポットの位置のうち、前記現在位置から前記スポットの位置を経由して前記商品役務提供場所へ到達するまでの総移動時間と前記スポットに対応する標準滞在時間との合計が前記提供時刻と前記到達時刻の差に相当するようなスポットの位置である立寄スポットの位置を前記記憶部から抽出する立寄スポット抽出部を備え、
前記ルート決定部は、前記決定した前記特定のユーザの到達経路を、前記現在位置から前記立寄スポット抽出部が抽出した立寄スポットの位置を経由した前記商品役務提供場所の位置までの到達経路に変更する請求項1〜3のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記ルート情報作成部は、前記立寄スポット抽出部が抽出した立寄スポットの位置、前記現在位置、前記商品役務提供場所の位置および前記現在位置から前記立寄スポットの位置を経由した前記商品役務提供場所の位置までの到達経路を表現したルート情報を前記地図情報に基づいて作成する請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記ルート情報作成部の作成したルート情報を出力する出力部を備える請求項1〜5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
特定のユーザが所望の商品または役務の提供を受領する所望の場所である商品役務提供場所の指定を受け付けるステップと、
前記特定のユーザの現在位置を取得するステップと、
前記受け付けた商品役務提供場所の位置を取得するステップと、
前記受け付けた商品または役務の提供が可能な時刻である提供時刻を決定するステップと、
各商品役務提供場所の位置、各商品役務提供場所への到達経路、各スポットの位置、各スポットへの到達経路、各商品役務提供場所と各スポットの距離、異なるスポット間の距離および各スポットでの標準滞在時間を含む地点情報ならびに前記取得した現在位置と前記受け付けた商品役務提供場所の位置関係を表現可能な地図情報を所定の記憶媒体に記憶するステップと、
前記現在位置と前記商品役務提供場所の位置と前記地点情報とに基づき、前記現在位置から前記商品役務提供場所への前記特定のユーザの到達経路を決定するステップと、
前記地点情報に基づき、前記決定した到達経路に沿った前記現在位置から前記商品役務提供場所までの移動距離を特定した上、前記移動距離と前記現在位置の取得時刻に基づいて前記商品役務提供場所への到達時刻を決定するステップと、
前記決定した前記特定のユーザの到達経路を表現したルート情報を前記地図情報に基づいて作成するステップと、
前記決定した到達時刻と前記決定した提供時刻との時間的前後関係に応じ、前記決定した前記特定のユーザの到達経路を変更するステップと、
前記特定のユーザの到達経路を変更したことに応じて前記変更された到達経路を表現したルート情報を作成するステップと、
をコンピュータに実行させる情報提供方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報提供方法をコンピュータに実行させるための情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−19642(P2010−19642A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179386(P2008−179386)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】