説明

情報記憶装置

【課題】 消費電力を少なくして、停車中の車両の異常検出の前後にわたる情報を記録可能な情報記憶装置を提供する。
【解決手段】 車両が停止状態であるとき、車室内における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報が、盗難防止装置本体15によって取得され、取得された前記情報は、車両の異常が盗難防止装置本体15によって検出される前と後とにおいて、盗難防止装置本体15によって、ドライブレコーダ2へ互いに異なる送信周期で送信される。ドライブレコーダ本体10は、盗難防止装置3から前記第2送信周期T2で受信した情報と、盗難防止装置3から前記第1送信周期T1で受信した情報とを、第2RAM25に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば車両に設けられるカメラおよび/またはマイクで取得した情報を記憶媒体に記憶する情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
停車中の車両に対する盗難行為等の異常状態、たとえば利用者以外の第三者が車両に衝撃を与えたり、車両に不正に侵入するなどの異常状態を検出すると、車室内に設けられているカメラで車室内を撮影し、撮影した画像を記録媒体に記録する、いわゆる盗難防止機能を有する装置が実用に供されている(たとえば特許文献1〜4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−123650号公報
【特許文献2】特開2001−61129号公報
【特許文献3】特開2007−157113号公報
【特許文献4】特開2006−235732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
停車中の車両に対する異常状態を検出したときだけでなく、車両に対する異常状態が検出される前から車室内を撮影し、撮影した画像をRAM等の記憶媒体に記憶し、異常を検出したとき、検出前後の画像を不揮発性の記録媒体に記録するようにすれば、利用者が車両から離れているときの状態の画像が得られるので、車両の異常状態の解析を行う上で有効である。しかし、停車中の車両はエンジンが停止しており、バッテリの充電は行われないため、異常検出前から撮影を行うとバッテリ上がりの問題がある。
【0005】
本発明の目的は、消費電力を少なくして、停車中の車両の異常検出の前後にわたる情報を記憶可能な情報記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)に従えば、取得部は、車室内および車室外における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得する。記憶部は、取得部によって取得された前記情報を記憶する。異常検出部は、車両に設けられるセンサからの信号に基づいて車両の異常の有無を検出する。記憶制御部は、取得部によって取得された前記情報を、異常検出部によって車両の異常が検出される前と後とで記憶周期を異ならせて記憶部に記憶させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明(1)によれば、異常検出部によって車両の異常が検出される前に取得部によって取得された、車室内および車室外における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報と、車両の異常が検出された後に取得部によって取得された前記情報とは、互いに異なる記憶周期で記憶部に記憶される。たとえば、車両の異常が検出された後に取得された前記情報は、車両の異常が検出される前に取得された前記情報の記憶部への記憶周期よりも短い記憶周期で記憶部に記憶される。したがって、車両の異常検出の前後にわたって取得された前記情報を少ない消費電力で記憶部に確実に記憶させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための複数の形態について説明する。以下の説明において、先行する形態で説明している事項に部分については同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。
【0009】
図1は、本発明の実施の第1の形態である情報記憶装置1の構成を簡略化して示す図である。情報記憶装置1は、ドライブレコーダ2およびセキュリティ装置である盗難防止装置3を備えて構成される。情報記憶装置1は、たとえば車両に搭載される。ドライブレコーダ2と盗難防止装置3とは、電気的に接続されるとともに、相互に通信可能に接続されている。ドライブレコーダ2および盗難防止装置3は、情報記憶装置1の外部に設けられるデータ通信装置4と電気的に接続されている。
【0010】
ドライブレコーダ2は、ドライブレコーダ本体10、ドライブレコーダ用カメラ(以下「レコーダ用カメラ」という場合がある)11およびドライブレコーダ用マイクロフォン(以下「レコーダ用マイク」という場合がある)12を備える。レコーダ用カメラ11およびレコーダ用マイク12は、ドライブレコーダ本体10に電気的に接続され、ドライブレコーダ本体10とは別体に設けられる。ドライブレコーダ本体10は、車両が動作状態のとき、具体的にはイグニション(IG)スイッチがオンまたはアクセサリ(ACC)スイッチがオンのとき、レコーダ用カメラ11によって撮影された画像を表す画像情報、およびレコーダ用マイクによって収集された音声を表す音声情報を、予め定める時間が経過する毎に不図示のRAM(Random Access Memory)にエンドレスに記憶させる。またドライブレコーダ本体10は、停車中のとき、後述する盗難防止装置3から送信される画像情報および音声情報をRAMにエンドレスに記憶させる。
【0011】
以下の実施の形態では、ドライブレコーダ本体10が、レコーダ用カメラ11によって撮影された画像を表す画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報の両方の情報をRAMに記憶させる場合について説明するが、画像情報および音声情報のうちのいずれか一方の情報を記憶させてもよい。
【0012】
ドライブレコーダ本体10は、車両が動作状態のとき、具体的にはイグニション(IG)スイッチがオンまたはアクセサリ(ACC)スイッチがオンのときに予め定めるトリガ、たとえば車両に予め定める衝撃が与えられたことを検出したとき、RAMに記憶された前記画像情報および音声情報を、記録媒体、具体的には不揮発性メモリであるコンパクトフラッシュ(登録商標)カード(以下「CFカード」という場合がある)に記録させる。
【0013】
ドライブレコーダ本体10は、不揮発性ROM21を備える。不揮発性ROM21は、たとえばフラッシュROM(Flash Read Only Memory;略称:F−ROM)によって実現される。ドライブレコーダ本体10は、車両が停止状態のとき、具体的にはIGスイッチがオフまたはACCスイッチがオフのとき、後述する盗難行為等の異常を検出するとRAMに記憶された異常検出前後の画像情報および音声情報を、F−ROM21に記録するとともにデータ通信装置4に与える。データ通信装置4に与えられた画像情報および音声情報は、無線通信によって、携帯電話装置、センタ機器などの外部の通信装置に送信される。
【0014】
ドライブレコーダ本体10は、停車中に後述する盗難防止装置本体で判断された車両のセキュリティ状態に応じて盗難防止装置3から送信される画像情報および音声情報を、異なる記憶周期でF−ROM21または不図示のRAMに記録または記憶させる。セキュリティ状態は、警戒状態または警報状態である。警戒状態および警報状態の詳細については、後述する。
【0015】
盗難防止装置3は、盗難防止装置本体15、盗難防止用カメラ16および盗難防止用マイクロフォン(以下「盗難防止用マイク」という場合がある)17を備える。盗難防止用カメラ16および盗難防止用マイク17は、盗難防止装置本体15に電気的に接続され、盗難防止装置本体15とは別体に設けられる。
【0016】
盗難防止装置本体15は、車両のセキュリティ状態が警戒状態であるのか、または警報状態であるのかを判断し、判断したセキュリティ状態を表す信号をドライブレコーダ2に送信させる。また盗難防止装置本体15は、警戒状態および警報状態のとき盗難防止用カメラ16と盗難防止用マイクから前記画像情報および音声情報を取得し、取得した情報をセキュリティ状態に応じて送信周期を異ならせて、盗難防止装置3からドライブレコーダ2へ送信させる。
【0017】
以下の実施の形態では、盗難防止装置本体15が、盗難防止用カメラ16によって撮影された画像を表す画像情報、および盗難防止用マイク17によって収集された音声を表す音声情報の両方の情報を、ドライブレコーダ2へ送信させる場合について説明するが、盗難防止装置本体15は、画像情報および音声情報のうちのいずれか一方の情報のみを取得し、その取得した情報をドライブレコーダ2へ送信させてもよい。
【0018】
図2は、ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ2は、ドライブレコーダ本体10、二台のレコーダ用カメラ11,11A、およびレコーダ用マイク12を備えて構成される。レコーダ用カメラ11,11Aは、CCD(Charge Coupled Device)カメラによって実現される。レコーダ用カメラ11は、車両の前方方向を撮影するために、たとえばルームミラー裏のフロントガラスに、ブラケットを介して貼り付けられる。つまりレコーダ用カメラ11は、車両前方に向けて固定されて設けられる。レコーダ用カメラ11Aは、車室内を撮影するために、車室内が撮影可能な位置に固定されて設けられる。またレコーダ用カメラ11として、車両前方および車室内以外に、たとえば車両後方を撮影するためのカメラを設けることも可能である。ドライブレコーダ本体10には、これら複数のレコーダ用カメラ11で撮影するための撮影スイッチ(略称:撮影SW)20が電気的に接続されて別体に設けられる場合もある。レコーダ用マイク12は、車室内の音声が収集可能な位置に設けられる。
【0019】
ドライブレコーダ本体10は、不揮発性ROM21、ドライブレコーダCPU( Central Processing Unit)22、ドライブレコーダ用画像処理回路(以下「レコーダ用画像処理回路」という場合がある)23、第1RAM24、第2RAM25、メモリカードインターフェイス(略称:メモリカードI/F)26、ビデオスイッチ(略称:ビデオSW)27、表示灯28、ドライブレコーダ用通信回路(以下「レコーダ用通信回路」という場合がある)29、加速度センサ(以下「Gセンサ」という場合がある)30、GPS(Global Positioning System)受信機31、バックアップ(略称:B/U)バッテリ32、および電源制御回路33を備えて構成される。
【0020】
不揮発性ROM21は、たとえばF−ROMによって実現される。不揮発性ROM21は、ドライブレコーダ本体10を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラムを記憶する。また不揮発性ROM21は、IGスイッチがオフまたはACCスイッチ35がオフで、かつ後述する盗難防止装置3から、セキュリティ状態が警報状態、すなわち利用者以外の第三者による車両への不正な侵入、すなわち盗難行為を検出して警報等の盗難防止処理を行なっている状態を表す警報状態信号を、レコーダ用通信回路29によって受信したとき、警報状態になる前後にレコーダ用カメラ11で撮影された所定のコマ数の画像情報および警報状態になる前後にレコーダ用マイク12で収集された音声情報、ならびにレコーダ用通信回路29によって盗難防止装置3から受信した、警報状態になる前後に盗難防止用カメラ16で撮影された所定のコマ数の画像情報および警報状態になる前後に盗難防止用マイク17で収集された音声情報を記憶する。以下の説明では、不揮発性ROM21を、F−ROM21という場合がある。
【0021】
ドライブレコーダCPU22は、不揮発性ROM21に記憶される制御プログラムを実行することによって、ドライブレコーダ本体10を構成する前述の不揮発性ROM21、レコーダ用画像処理回路23、第2RAM25、メモリカードI/F26、ビデオSW27、表示灯28、レコーダ用通信回路29、および電源制御回路33を統括的に制御する。ドライブレコーダCPU22には、不揮発性ROM21、レコーダ用画像処理回路23、第2RAM25、メモリカードI/F26、ビデオスイッチ(略称:ビデオSW)27、表示灯28、レコーダ用通信回路29、Gセンサ30、GPS受信機31、B/Uバッテリ32、電源制御回路33、レコーダ用マイク12、撮影SW20、車速センサ36およびライト37が電気的に接続される。
【0022】
ドライブレコーダCPU22は、車速センサ36から与えられる車速パルス信号を集計し、車両の走行速度(以下「車速」という)を特定する。ドライブレコーダCPU22は、車室内を撮影するために設けられているレコーダ用カメラ11Aで車室内を撮影するとき、たとえば発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称:LED)によって実現されるライト37を点灯させる。
【0023】
レコーダ用画像処理回路23は、たとえばJPEG IC(JPEG:Joint Photographic coding Experts Group、IC:Integrated Circuit)によって実現される。レコーダ用画像処理回路23は、レコーダ用カメラ11または11Aで撮影されてドライブレコーダ本体10に入力された画像をJPEG形式の画像情報に変換する。
【0024】
第1RAM24および第2RAM25は、たとえばSD−RAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって実現される。第1RAM24は、レコーダ用画像処理回路23によってJPEG形式に変換された画像情報を一時的に記憶する。
【0025】
第2RAM25は、リングバッファメモリによって構成される。第2RAM25は、後述する加速度センサ30によって検出され、ドライブレコーダCPU22によって特定されるGセンサ出力値、車速センサ36から出力される車速パルス信号に基づいてドライブレコーダCPU22によって特定される車速を表す車速情報、レコーダ用画像処理回路23によってJPEG形式に変換された画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報、GPS受信機31から与えられる複数の電波信号に基づいてドライブレコーダCPU22によって特定される車両の位置を表す車両位置情報などをエンドレスで順次記憶する。
【0026】
また第2RAM25は、IGスイッチがオフまたはACCスイッチ35がオフで、かつ後述する盗難防止装置3から、セキュリティ状態が警戒状態、すなわち利用者以外の第三者による車両への不正な侵入などの異常、すなわち盗難行為の有無を検出している状態を表す警戒状態信号を、レコーダ用通信回路29によって受信したとき、レコーダ用カメラ11で撮影された画像情報およびレコーダ用マイク12で収集された音声情報、ならびにレコーダ用通信回路29によって盗難防止装置3から受信した、警戒状態のときに盗難防止用カメラ16で撮影された画像情報および盗難防止用マイク17で収集された音声情報を記憶する。
【0027】
ドライブレコーダ本体10は、メモリカードI/F26を介して、ドライブレコーダ本体10に着脱可能に装着されるメモリカード38、たとえばCFカードにアクセス可能に構成されている。ドライブレコーダ本体10に着脱可能に装着されるメモリカード38は、前述のCFカードに限らず、たとえばSD(Secure Digital)メモリカード、メモリースティックおよびスマートメディアであってもよい。以下の説明では、CFカードを指す場合、メモリカードと同一の参照符号「38」を付す。
【0028】
ビデオSW27は、複数のレコーダ用カメラ11が設けられている場合に、所定時間間隔で撮影する複数のレコーダ用カメラ11を切換えるための切換えスイッチである。
【0029】
表示灯28は、たとえばLEDによって実現される。表示灯は、たとえば加速度センサ30の異常、レコーダ用画像処理回路23の異常、レコーダ用カメラ11とドライブレコーダ本体10とが電気的に接続されていない、またはレコーダ用カメラ11およびレコーダ用画像処理回路23間が断線しているなどのカメラの接続異常、およびレコーダ用画像処理回路23およびドライブレコーダCPU22間が断線しているなどのハード異常が発生しているときに、ドライブレコーダCPU22の指令に従って、所定の時間だけ点灯するか、または所定の点滅周期で点滅する。
【0030】
レコーダ用通信回路29は、盗難防止装置本体15およびデータ通信装置4と通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
【0031】
Gセンサ30は、車両の前後方向および左右方向に作用する重力加速度、いわゆるGセンサ出力値を検出可能である。車両の進行方向を前後方向とし、その一方が前方であり他方が後方である。また車両の前方に向かって左右の方向を左右方向とする。前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向とする。前後方向をY軸方向と定義し、左右方向をX軸方向と定義する。X軸方向のGセンサ出力値とY軸方向のGセンサ出力値とは、独立して検出される。Gセンサ30は、検出したX軸方向およびY軸方向のGセンサ出力値を表す信号をドライブレコーダCPU22に与える。ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ30から出力される前記Gセンサ出力値を表す信号に基づいて、X軸方向およびY軸方向のGセンサ出力値を特定する。
【0032】
GPS受信機31は、GPSアンテナ31aを介して、図示外のGPS用衛星から送信される複数の電波信号を受信する。GPS受信機31は、受信した複数の電波信号をドライブレコーダCPU22に与える。ドライブレコーダCPU22は、GPS受信機31から与えられる複数の電波信号に基づいて、車両の位置を特定する。
【0033】
ドライブレコーダ2では、ACCスイッチ35がオン、オフにかかわらず、車両に設けられるバッテリ(以下「車両バッテリ」という場合がある)39から、後述するB/Uバッテリ32および電源制御回路33に電力が常時供給される。B/Uバッテリ32は、車両バッテリ39から電力が供給されているとき、その供給されている電力を用いて、B/Uバッテリ32に内蔵しているコンデンサを充電し、また事故等の断線により車両バッテリ39から電力の供給が停止したとき、前記コンデンサに蓄えられた電荷を放電することによって、ドライブレコーダCPU22に電力を供給する。
【0034】
電源制御回路33は、たとえばレギュレータによって実現される。電源制御回路33は、車両バッテリ39から与えられるたとえば12ボルトの電圧を、ドライブレコーダCPU22を駆動するために用いられるたとえば5ボルトの電圧に変換し、変換した電圧をドライブレコーダCPU22に与える。
【0035】
本実施の形態のドライブレコーダCPU22は、レコーダ側記憶制御部およびレコーダ側取得部に相当する。不揮発性ROM21および第2RAM25は、レコーダ側記憶部に相当する。加速度センサ30は、異常検出部および衝撃検出部に相当する。
【0036】
図3は、盗難防止装置3の電気的構成を示すブロック図である。盗難防止装置3は、盗難防止装置本体15、盗難防止用カメラ16、盗難防止用マイク17、およびブザー50を備えて構成される。盗難防止装置本体15は、盗難防止用ROM51、盗難防止CPU52、盗難防止用画像処理回路53、盗難防止用通信回路54、盗難防止用無線通信回路55、盗難防止用RAM56、および盗難防止用操作キー57を備えて構成される。
【0037】
盗難防止用ROM51は、たとえばフラッシュROMによって実現される。盗難防止用ROM51は、盗難防止装置本体15を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラムを記憶する。また盗難防止用ROM51は、後述する送信機65から送信される送信機用ID(Identification)コードと照合される盗難防止用IDコードを記憶する。
【0038】
盗難防止CPU52は、盗難防止用ROM51に記憶される制御プログラムを実行することによって、盗難防止装置本体15を構成する前述の盗難防止用ROM51、盗難防止用画像処理回路53、盗難防止用通信回路54、盗難防止用無線通信回路55、盗難防止用RAM56、および盗難防止用操作キー57を統括的に制御する。
【0039】
盗難防止CPU52には、盗難防止用ROM51、盗難防止用画像処理回路53、盗難防止用通信回路54、盗難防止用無線通信回路55、盗難防止用RAM56、および盗難防止用操作キー57が電気的に接続される。また盗難防止CPU52には、盗難防止用カメラ16、盗難防止用マイク17およびブザー50が電気的に接続される。盗難防止用カメラ16は、CCDカメラによって実現される。盗難防止用カメラ16は、たとえば車室内が撮影可能な位置に固定されて設けられる。盗難防止用マイク17は、車室内の音声が収集可能な位置に設けられる。ブザー50は、盗難防止CPU52によって、セキュリティ状態が警報状態であると判断されたとき、警報音を出力する。
【0040】
さらに盗難防止CPU52には、車両のガラスの割れた音によってガラス割れを検出するガラス割れセンサ58、利用者以外の第三者の車両への侵入を電波によって検出する侵入センサ59、および車両のドアの抉じ開けを検出するドアセンサ60が電気的に接続される。ガラス割れセンサ58、侵入センサ59およびドアセンサ60は、それぞれのセンサによる検出結果を表す検出信号を盗難防止CPU52に与える。
【0041】
盗難防止CPU52は、ガラス割れセンサ58から与えられる検出信号に基づいて、車両のガラスが割られる異常が検出されたか否かを判断する。盗難防止CPU52は、侵入センサ59から与えられる検出信号に基づいて、利用者以外の第三者が車両に侵入する異常が検出されたか否かを判断する。盗難防止CPU52は、ドアセンサ60から与えられる検出信号に基づいて、利用者以外の第三者によって車両のドアが抉じ開けられる異常が検出されたか否かを判断する。
【0042】
盗難防止用画像処理回路53は、たとえばJPEG ICによって実現される。盗難防止用画像処理回路53は、盗難防止用カメラ16で撮影されて盗難防止装置本体15に入力された画像をJPEG形式の画像情報に変換する。盗難防止用画像処理回路53は、JPEG形式に変換された画像情報を盗難防止CPU52に与える。
【0043】
盗難防止用通信回路54は、ドライブレコーダ本体10およびデータ通信装置4と通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。盗難防止用無線通信回路55は、無線用アンテナ55aを介して、後述する送信機65と無線通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
【0044】
盗難防止用RAM56は、盗難防止装置3の動作中にワークメモリとして機能し、盗難防止装置3のセキュリティ状態が警戒状態に設定されているのか、警報状態に設定されているのかを表す設定状態情報を記憶する。盗難防止CPU52は、この設定状態情報を読出すことによって、警戒状態または警報状態のいずれの状態に設定されているのかを判断することができる。また盗難防止用RAM56は、盗難防止用画像処理回路53によってJPEG形式に変換された画像情報、および盗難防止用マイクによって収集された音声を表す音声情報をドライブレコーダ2に送信するとき、前記情報を一時的に記憶するバッファとして用いられてもよい。
【0045】
盗難防止用操作キー57は、複数の操作入力キーを備える。操作入力キーが操作されることによって、数字情報、文字情報および盗難防止装置3への指示情報などの所定の情報など、操作に応じた情報を表す信号を生成して盗難防止CPU52に与える。したがって利用者は、盗難防止用操作キー57の操作入力キーを操作して、盗難防止装置3に情報を入力することができる。
【0046】
盗難防止CPU52は、後述する送信機65から送信されるロック指令信号またはアンロック指令信号を受け、ロック指令信号に基づいて車両のドアを施錠するロック状態と、アンロック指令信号に基づいて車両のドアを解錠するアンロック状態とにわたって切換えるように制御する。
【0047】
盗難防止CPU52は、後述する送信機65から送信される送信機用IDコードとともにロック指令信号を、盗難防止用無線通信回路55によって受信すると、盗難防止用ROM51に記憶されている盗難防止用IDコードと受信した送信機用IDコードとを比較し、両者が一致した場合、ドアをロックするとともに、セキュリティ状態を無警戒状態から警戒状態に設定する。なお、送信機65がロックまたはアンロック指令信号ではなくセキュリティのセットまたはリセット指令信号を送信するよう構成されている場合は、ロック制御を行なわず警戒状態の設定または解除のみ行なう。
【0048】
盗難防止CPU52は、車両のセキュリティ状態を判断し、判断したセキュリティ状態、本実施の形態では警戒状態および警報状態のいずれかの状態を、盗難防止用通信回路54によってドライブレコーダ2に送信させる。盗難防止CPU52は、盗難防止用カメラ16によって撮影された画像を表す画像情報、および盗難防止用マイク17によって収集された音声を表す音声情報を、セキュリティ状態が警戒状態のときと警報状態のときとで送信周期を異ならせて、盗難防止用通信回路54によってドライブレコーダ2に送信させる。
【0049】
図4は、送信機65の電気的構成を示すブロック図である。送信機65は、送信機用操作キー66、送信機用ROM67、送信機用無線通信回路68、送信機用アンテナ69および制御回路70を備えて構成される。送信機用操作キー66は、複数の操作キーを有し、この操作キーを操作することによって、車両の全てのドアを施錠するロック指令および車両の全てのドアを開錠するアンロック指令を入力することができる。なお、ロック制御機能を持たせない場合は、セキュリティのセット指令およびリセット指令を入力する。
【0050】
送信機用ROM67は、送信機65を動作させるための制御プログラムを記憶する。また送信機用ROM67には、盗難防止装置3の盗難防止用ROM51に記憶される盗難防止用IDコードと照合される送信機用IDコードを記憶する。
【0051】
送信機用無線通信回路68は、送信機用アンテナ69を介して、盗難防止装置3と無線通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
【0052】
制御回路70は、CPUなどによって構成される。制御回路70は、送信機用ROM67に記憶される制御プログラムに従って、送信機65を構成する送信機用無線通信回路68を制御する。制御回路70は、送信機用操作キー66によってロック指令またはアンロック指令が入力されたとき、ロック指令を表すロック指令信号またはアンロック指令を表すアンロック指令信号を、送信機用無線通信回路68および送信機用アンテナ69によって、盗難防止装置3に送信させる。
【0053】
図5は、データ通信装置4の電気的構成を示すブロック図である。データ通信装置4は、データ通信用ROM75、データ通信用無線通信回路76、データ通信用アンテナ77、データ通信用通信回路78およびデータ通信CPU79を備えて構成される。
【0054】
データ通信用ROM75は、データ通信装置4を動作させるための制御プログラムを記憶する。データ通信用無線通信回路76は、データ通信用アンテナ77を介して、携帯電話装置およびセンタ機器などの外部の通信装置と無線通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
【0055】
データ通信用通信回路78は、ドライブレコーダ2および盗難防止装置3と通信可能に接続するための通信インターフェイスとして機能する。
【0056】
データ通信CPU79は、データ通信用ROM75に記憶される制御プログラムを実行することによって、データ通信装置4を構成するデータ通信用無線通信回路76およびデータ通信用通信回路78を制御する。
【0057】
データ通信CPU79は、ドライブレコーダ2から送信される画像情報および音声情報を、データ通信用通信回路78によって受信すると、受信した前記情報を、データ通信用無線通信回路およびデータ通信用アンテナ77によって、外部の通信装置に送信させる。
【0058】
図6は、車両の動作状態および停止状態におけるドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。ドライブレコーダ本体10がバッテリ39に接続されると、ステップa1に移行し、動作処理を開始する。
【0059】
ステップa1では、ドライブレコーダCPU22は、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンであるか否かを判断し、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンであれば、車両が動作状態であると判断してステップa2に移行し、IGスイッチおよびACCスイッチ35のいずれもがオフであれば、車両が停止状態であると判断して盗難監視モードとして制御すべくステップa9に移行する。
【0060】
ステップa2では、ドライブレコーダCPU22は、警戒モードまたは警報モードに設定されているか否かを判断する。第2RAM25には、警戒モードに設定されているのか、警報モードに設定されているのかを表す設定モード情報が記憶されている。ドライブレコーダCPU22は、この設定モード情報を読出すことによって、警戒モードまたは警報モードに設定されているか否かを判断する。ステップa2において、ドライブレコーダCPU22が、警戒モードまたは警報モードに設定されていると判断すると、正規の使用者でない第三者が不正にACCスイッチまたはIGスイッチをオンしたと判断し、ステップa9に移行し、警戒モードおよび警報モードのいずれにも設定されていないと判断すると、運転中と判断し、運転動作モードとして制御すべくステップa3に移行する。
【0061】
ステップa3では、ドライブレコーダCPU22は、予め定める第1時間間隔T1が経過したか否かを判断する。第1時間間隔T1は、たとえば100ミリ秒である。ドライブレコーダCPU22は、内蔵するリアルタイムクロック(Real Time Clock;略称:RTC)から与えられる計時情報に基づいて、予め定める第1時間間隔T1が経過したか否かを判断する。ステップa3において、ドライブレコーダCPU22が、予め定める第1時間間隔T1が経過したと判断すると、ステップa4に移行し、予め定める第1時間間隔T1が経過していないと判断すると、ステップa5に移行する。
【0062】
ステップa4では、ドライブレコーダCPU22は、運行情報を第2RAM25にエンドレスで記憶させて、ステップa5に移行する。運行情報は、たとえばGセンサ出力値、車速情報、画像情報、音声情報および車両位置情報を含む。前記第1時間間隔T1は、ドライブレコーダCPU22が運行情報を第2RAM25にエンドレスで記憶させる時間間隔、すなわち記憶周期である。
【0063】
ステップa5は、ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ30から与えられるGセンサ出力値を表す信号に基づいて特定されたGセンサ出力値Gが、予め定める第1閾値G1以上であるか否かを判断する。本実施の形態の第1閾値G1は、事故相当の衝撃検知レベルを表す値、たとえば0.5Gである。ステップa5において、ドライブレコーダCPU22が、Gセンサ出力値Gが第1閾値G1以上であると判断すると、ステップa6に移行し、Gセンサ出力値Gが第1閾値G1未満であると判断すると、ステップa7に移行する。
【0064】
ステップa6では、ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ出力値Gが第1閾値G1を超過した時点を基準として、その時点の前後30秒間にわたって、第2RAM25にエンドレスで記憶された前記運行情報をCFカード38に記録させて、ステップa7に移行する。
【0065】
ステップa7では、ドライブレコーダCPU22は、図示外の所定の操作キーが操作されて、後述するF−ROM21に記録された画像情報および音声情報をCFカード38に転送する指令(以下「転送指令」という場合がある)が入力されたか否かを判断する。ステップa7において、転送指令が入力されたと判断すると、ステップa8に移行し、転送指令が入力されていないと判断すると、ステップa1に戻る。
【0066】
ステップa8では、ドライブレコーダCPU22は、F−ROM21に記録された前記情報をCFカード38に転送させて、ステップa1に戻る。
【0067】
ステップa9では、ドライブレコーダCPU22は、ドライブレコーダ用通信回路29によって、盗難防止装置3からの警報状態信号を受信したか否かを判断する。ステップa9において、警報状態信号を受信したと判断すると、ステップa10に移行し、警報状態信号を受信していないと判断すると、ステップa11に移行する。
【0068】
ステップa10では、ドライブレコーダCPU22は、第2RAM25に、警報モードに設定されたことを表す設定モード情報を記憶させる。第2RAM25に、警報モードに設定されたことを表す設定モード情報が記憶されると、ステップa13に移行する。
【0069】
ステップa11では、ドライブレコーダCPU22は、ドライブレコーダ用通信回路29によって、盗難防止装置3からの警戒状態信号を受信したか否かを判断する。ステップa11において、警戒状態信号を受信したと判断すると、ステップa12に移行し、警戒状態信号を受信していないと判断すると、ステップa13に移行する。
【0070】
ステップa12では、ドライブレコーダCPU22は、第2RAM25に、警戒モードに設定されたことを表す設定モード情報を記憶させる。第2RAM25に、警戒モードに設定されたことを表す設定モード情報が記憶されると、ステップa13に移行する。
【0071】
ステップa13では、ドライブレコーダCPU22は、ドライブレコーダ用通信回路29によって、盗難防止装置3からの画像情報および音声情報を受信したか否かを判断する。ステップa13において、前記情報を受信したと判断すると、ステップa14に移行し、前記情報を受信していないと判断すると、ステップa25に移行する。
【0072】
ステップa14では、ドライブレコーダCPU22は、第2RAM25に記憶されている設定モード情報を読出すことによって、警報モードに設定されているか否かを判断する。ステップa14において、警報モードに設定されていると判断すると、ステップa15に移行し、警報モードに設定されていないと判断すると、ステップa22に移行する。
【0073】
ステップa15では、ドライブレコーダCPU22は、盗難防止装置3から受信した情報を第2RAM25に記憶させて、ステップa16に移行する。ステップa16では、レコーダ用カメラ11で撮影されてJPEG形式に変換された画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報を第2RAM25に記憶させて、ステップa17に移行する。
【0074】
ステップa17では、ドライブレコーダCPU22は、ステップa14で警報モードに設定されていると判断した時点を基準として、その基準時点の直前に第2RAM25に記憶された、たとえば30コマの画像情報およびその30コマの期間の音声情報と、基準時点から30秒間にわたって盗難防止装置3から受信した情報、すなわち盗難防止用カメラ16で取得した車室内の画像と盗難防止用マイク17で取得した音声ならびに前記判断した時点から30秒間にわたって自身のカメラ11とマイクロフォン12で取得した車両前方の画像情報および音声情報を第2RAM25に記憶させるとともに、それらの情報をF−ROM21に記録させて、ステップa18に移行する。これにより、車室内だけでなく、車両前方の画像情報も記憶でき、後述する盗難行為の確認をより確実に行なえる。なお、車室内の情報だけを記録する場合は、ドライブレコーダ2のカメラ16とマイクロフォン17の情報はRAMに記憶しなくてもよい。
【0075】
本実施の形態では、ステップa17において、基準時点の直前に第2RAM25に記憶された30コマの画像情報およびその30コマの期間の音声情をF−ROM21に記録させているが、警報モードに設定される直前の所定時間、たとえば5分間にわたって第2RAM25に記憶された画像情報および音声情報をF−ROM21に記録させてもよい。
【0076】
ドライブレコーダ本体10は、図示しないバッファを備える。ドライブレコーダ本体10は、自身のレコーダ用カメラ11とレコーダ用マイクロフォン12で取得した車両前方の画像、音声情報を第2RAM25に記憶するとき、ドライブレコーダECU22は前記バッファに連続的に音声情報を記憶しておき、画像情報を第2RAM25に記憶するタイミングで、前回画像情報を記憶した時刻から今回画像情報を記憶する時刻までに前記バッファに記憶しておいた音声情報を画像情報に対応させて第2RAM25に記憶する。たとえば時刻t1〜tn(nは2以上の自然数)のそれぞれで画像情報が記憶される場合、時刻tk(kは2以上の整数)で記憶された画像情報に対応させて、時刻tk−1から時刻tkまでの間にバッファに記憶された音声情報が第2RAM25に記憶される。
【0077】
前述したステップa17では、画像情報に対応させて第2RAM25に記憶させておいた音声情報を、音声ファイルとしてF−ROM12に記憶する。すなわち、時刻t1から時刻tkまでのそれぞれの時刻で第2RAM25に記憶された画像情報をF−ROM12に記録する場合には、時刻t1から時刻tkまでの連続的な音声情報が音声ファイルとしてF−ROM25が記録されることになる。盗難防止装置3における音声情報の記憶についてもドライブレコーダ本体10の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0078】
ステップa18では、ドライブレコーダCPU22は、ステップa17でF−ROM21に記録された画像情報から、動体または人物の顔を検出する。動体の検出は、ドライブレコーダCPU22が、たとえば予め定める時間をあけて得られる2つの画像の差分を求めて、その結果に応じて動体であるか否かを検出する。さらに詳細に述べると、ドライブレコーダCPU22は、前記2つの画像の各位置の画素値の差分を求めて、得られた差分値を累積し、この累積した結果が予め定める閾値よりも大きいとき、動体を検出したと判断し、前記結果が閾値よりも小さいとき、動体はないものと判断する。ただし動体の検出は、前述の方法に限らず、他の方法を用いてもよい。人物の顔の検出は、ドライブレコーダCPU22が、たとえば画像のエッジ検出を行い、検出した結果と予め定めるパターンとを比較し、その類似度合を求めて、顔であるか否かを検出する。ただし人物の顔の検出は、前述の方法に限らず、他の方法を用いてもよい。
【0079】
ステップa19では、ドライブレコーダCPU22は、ステップa18で検出した動体または人物の顔を認識することができたか否かを判断し、認識できたと判断するとステップa20に移行し、認識できないと判断するとステップa25に移行する。
【0080】
ステップa20では、F−ROM21に記録された画像情報のうち、ステップa17で認識された動体または人物の顔を含む画像情報を特定し、その特定した画像情報を、ドライブレコーダ用通信回路29によって、データ通信装置4に送信させて、ステップa21に移行する。
【0081】
ステップa21では、ステップa17でF−ROM21に記録された音声情報を、ドライブレコーダ用通信回路29によって、データ通信装置4に送信させて、ステップa25に移行する。
【0082】
ステップa22では、ドライブレコーダCPU22は、第2RAM25に記憶されている設定モード情報を読出すことによって、警戒モードに設定されているか否かを判断する。ステップa22において、警戒モードに設定されていると判断すると、ステップa23に移行し、警戒モードに設定されていないと判断すると、ステップa25に移行する。
【0083】
ステップa23では、前述したステップa15の処理と同様に、ドライブレコーダCPU22は、盗難防止装置3から受信した情報を第2RAM25に記憶させて、ステップa24に移行する。ステップa24では、前述したステップa16の処理と同様に、レコーダ用カメラ11で撮影されてJPEG形式に変換された画像情報、およびレコーダ用マイク12によって収集された音声を表す音声情報を第2RAM25に記憶させて、ステップa25に移行する。
【0084】
ステップa25では、ドライブレコーダCPU22は、スリープモードに設定して、全ての動作処理を終了する。スリープモードは、電力を供給するドライブレコーダ本体10の部位を制限するとともに、ドライブレコーダCPU22の動作クロックを停止するモードである。スリープモードに設定されると、電源制御回路33は、ドライブレコーダ本体10の所定の部位にのみ電力を供給するように制御する。スリープモードの状態では、スリープモードに設定される前の状態に比べて、ドライブレコーダ本体10の消費電力の低減を図ることができる。本実施の形態のドライブレコーダ2では、スリープモードのときでも、少なくともドライブレコーダCPU22の一部分と、ドライブレコーダ用通信回路29とに駆動電力が供給される。したがってドライブレコーダ2では、スリープモードのとき、ドライブレコーダ用通信回路29によって、盗難防止装置3から送信される警戒状態信号または警報状態信号を受信可能に構成されるとともに、ドライブレコーダCPU22によって、前記警戒状態信号または前記警報状態信号を受信したか否かを判断可能に構成される。
【0085】
前述のように実施の第1の形態では、図6に示すフローチャートのステップa17において、ドライブレコーダCPU22が、ステップa14で警報モードに設定されていると判断した時点を基準として、その直前30コマの画像、音声情報およびその時点から30秒間にわたって盗難防止装置3から受信し、第2RAM25に記憶した情報、ならびに前記判断した時点から30秒間にわたって自身のカメラ11とマイクロフォン12で取得し、第2RAM25に記憶された画像情報および音声情報をF−ROM21に記録させ、ステップa7において転送指令が入力されたときに、ステップa8において前記F−ROM21に記録された画像情報および音声情報をCFカード38に転送させるように構成されている。前記盗難防止装置3から受信した情報、ならびに前記第2RAM25に記憶された画像情報および音声情報を、F−ROM21に記録させることなく、初めからCFカード38に転送させて記録させるようにしてもよいが、このような構成では、前記情報が記録されたCFカード38が利用者以外の第三者によって不所望に抜き取られてしまい、記録した盗難情報自体が盗まれるおそれがある。
【0086】
そこで本実施の形態では、前述のように転送指令が入力されたときにのみ、前記F−ROM21に記録された画像情報および音声情報をCFカード38に転送させる構成にすることによって、記録した盗難情報自体が利用者以外の第三者によって不所望に盗難されてしまうことを防ぐことができる。
【0087】
図6に示すフローチャートのステップa17〜ステップa20では、ドライブレコーダCPU22が、F−ROM21に記録された画像情報から、動体または人物の顔を検出し、動体または人物の顔を含む画像情報を特定し、その特定した画像情報と、F−ROM21に記録された音声情報とをデータ通信装置4に送信させるように構成されているが、このような構成に限らない。本発明の他の実施の形態では、動体または人物の顔の検出処理を行わずに、すなわち、ステップa18からa20に移行して 警報状態に移行する直前に取得した所定コマ数の画像情報を、警報モードに設定されていると判断した時点から30秒間にわたって盗難防止装置3から受信し、第2RAM25に記憶した情報ならびに前記判断した時点から30秒間にわたって自身のカメラ11とマイクロフォン12で取得し、第2RAM25に記憶された画像情報および音声情報と共に、ドライブレコーダ用通信回路29によって、データ通信装置4に送信させるように構成されてもよい。
【0088】
図7は、ウェイクアップ処理に関するドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。ドライブレコーダCPU22によって、スリープモードに設定されると、ステップb1に移行し、動作処理を開始する。
【0089】
ステップb1では、ドライブレコーダCPU22は、盗難防止装置3から送信される警戒状態信号、警報状態信号等の盗難防止モード状態を示す信号または画像、音声信号を、ドライブレコーダ用通信回路29によって受信したか否かを判断し、受信していると判断すると、ステップb2に移行し、受信していないと判断すると、受信するまで待機する。
【0090】
ステップb2では、ドライブレコーダCPU22は、ステップb1において警戒状態信号、警報状態信号または画像、音声信号を受信したときに入力される割込み信号によってウェイクアップし、スリープモードに設定される前の状態と同様に所定の動作処理を行い、その後、動作処理を終了する。所定の動作処理とは、図6に示すフローチャートの各動作処理をいう。
【0091】
前述のように実施の第1の形態では、車両が停止状態であるときはスリープモードに設定され、盗難防止装置3から送信される信号を受信するたびに発生する受信割込により、ドライブレコーダCPU22がウェイクアップし、前述の図6のステップa1、a9〜a24の各動作処理を行った後、再度スリープモードに設定される。したがってドライブレコーダ2では、車両が停止状態であるとき、常にドライブレコーダCPU22がウェイクアップして所定の動作処理をする必要はなく、盗難防止装置3から警戒状態信号、警報状態信号または画像、音声信号を受信したときにだけドライブレコーダCPU22がウェイクアップして前記所定の動作処理をすればよい。したがって車両が停止状態であるとき、常にドライブレコーダCPU22がウェイクアップしている場合に比べて、情報記憶装置1の消費電流を低減することができ、車両が停止状態であるときの車両バッテリ39のバッテリ上がりを防止することができる。
【0092】
図8および図9は、盗難防止CPU52の動作処理を示すフローチャートである。盗難防止CPU52が電源起動する条件でステップc1に移行し、動作処理が開始する。
【0093】
ステップc1では、盗難防止CPU52は、盗難防止用無線通信回路55によって、送信機65からの警戒指令を受信したか否かを判断する。ステップc1において、警戒指令を受信したと判断すると、ステップc2に移行し、警戒指令を受信していないと判断すると、ステップc5に移行する。送信機65からの警戒指令とは、具体的には、送信機65からのロック指令信号またはセキュリティのセット指令信号である。
【0094】
ステップc2では、盗難防止CPU52は、警戒状態への移行条件が成立したか否かを判断する。警戒状態への移行条件は、たとえば、車両の全てのドアが閉かつ施錠(ロック)されることである。ステップc2において、盗難防止CPU52が、警戒状態への移行条件が成立したと判断すると、ステップc3に移行し、警戒状態への移行条件が成立していないと判断すると、ステップc5に移行する。
【0095】
ステップc3では、盗難防止CPU52は、セキュリティ状態を警戒状態に設定し、盗難防止用RAM56に、警戒状態に設定されたことを表す設定状態情報を記憶させて、ステップc4に移行する。ステップc4では、盗難防止CPU52は、盗難防止用通信回路54によって、盗難防止装置3が警戒状態であることを表す警戒状態信号を、ドライブレコーダ2に送信させて、ステップc5に移行する。
【0096】
ステップc5では、盗難防止CPU52は、盗難防止用RAM56に記憶されている設定状態情報を読出すことによって、警戒状態に設定されているか否かを判断する。ステップc5において、盗難防止CPU52が、警戒状態に設定されていると判断すると、ステップc6に移行し、警戒状態に設定されていないと判断すると、図9のステップd1に移行する。
【0097】
ステップc6では、盗難防止CPU52は、予め定める第2時間間隔T2が経過したか否かを判断する。第2時間間隔T2は、たとえば1分である。第2時間間隔T2は、車両が動作状態であるとき、ドライブレコーダCPU22が運行情報を第2RAM25にエンドレスで記憶させる前記第1時間間隔T1よりも長い時間間隔に設定されればよい。盗難防止CPU52は、内蔵するRTCから与えられる計時情報に基づいて、予め定める第2時間間隔T2が経過したか否かを判断する。ステップc6において、盗難防止CPU52が、予め定める第2時間間隔T2が経過したと判断すると、ステップc7に移行し、予め定める第2時間間隔T2が経過していないと判断すると、ステップc8に移行する。
【0098】
ステップc7では、盗難防止CPU52は、盗難防止用カメラ16で撮影され、JPEG形式に変換された画像情報、および盗難防止用マイク17で収集された音声を表す音声情報を、盗難防止用通信回路54によってドライブレコーダ2に送信させて、ステップc8に移行する。前記第2時間間隔T2は、盗難防止CPU52が、盗難防止用カメラ16で撮影されてJPEG形式に変換された画像情報および盗難防止用マイク17で収集された音声を表す音声情報をドライブレコーダ2に送信させるときの時間間隔、すなわち送信周期である。以下の説明において、「第2時間間隔T2」を、「第2送信周期T2」という場合がある。
【0099】
ステップc8では、盗難防止CPU52は、ガラス割れセンサ58、侵入センサ59、ドアセンサ60からそれぞれ与えられる検出信号に基づいて、車両のガラスが割られる異常、利用者以外の第三者が車両に侵入する異常、利用者以外の第三者によって車両のドアが抉じ開けられる異常などの車両の異常すなわち盗難行為が検出されたか否かを判断する。ステップc8において、盗難防止CPU52が、車両の異常が検出されたと判断すると、ステップc9に移行し、車両の異常が検出されていないと判断すると、図9のステップd1に移行する。
【0100】
ステップc9では、盗難防止CPU52は、セキュリティ状態を警報状態に設定し、盗難防止用RAM56に、警報状態に設定されたことを表す設定状態情報を記憶させて、ステップc10に移行する。ステップc10では、盗難防止CPU52は、盗難防止用通信回路54によって、盗難防止装置3が警報状態であることを表す警報状態信号を、ドライブレコーダ2に送信させて、図9のステップd1に移行する。
【0101】
図9のステップd1では、盗難防止CPU52は、盗難防止用RAM56に記憶されている設定状態情報を読出すことによって、警報状態に設定されているか否かを判断する。ステップd1において、盗難防止CPU52が、警報状態に設定されていると判断すると、ステップd2に移行し、警報状態に設定されていないと判断すると、図8のステップc1に戻る。
【0102】
ステップd2では、盗難防止CPU52は、予め定める時間、たとえば30秒間、ブザー50から警報音を出力させて、ステップd3に移行する。ステップd3では、盗難防止CPU52は、予め定める第1時間間隔T1が経過したか否かを判断する。予め定める第1時間間隔T1は、ドライブレコーダCPU22が運行情報を第2RAM25にエンドレスで記憶させる時間間隔と同一の100ミリ秒である。ステップd3において、盗難防止CPU52が、予め定める第1時間間隔T1が経過したと判断すると、ステップd4に移行し、予め定める第1時間間隔T1が経過していないと判断すると、図8のステップc1に戻る。
【0103】
ステップd4では、盗難防止CPU52は、盗難防止用カメラ16で撮影され、JPEG形式に変換された画像情報、および盗難防止用マイク17で収集された音声を表す音声情報を、盗難防止用通信回路54によってドライブレコーダ2に送信させて、図8のステップc1に戻る。前記第1時間間隔T1は、盗難防止CPU52が、盗難防止用カメラ16で撮影されてJPEG形式に変換された画像情報および盗難防止用マイク17で収集された音声を表す音声情報をドライブレコーダ2に送信させるときの時間間隔、すなわち送信周期でもある。以下の説明において、「第1時間間隔T1」を、「第1送信周期T1」という場合がある。
【0104】
図9に示すフローチャートのステップd3およびステップd4では、警報状態のときに画像情報および音声情報をドライブレコーダ2へ送信させる時間間隔を、ドライブレコーダCPU22が運行情報を第2RAM25にエンドレスで記憶させる時間間隔と同一の第1時間間隔T1にしているが、この時間間隔に限らず、他の時間間隔であってもよい。ただし、警報状態のときに画像情報および音声情報をドライブレコーダ2へ送信させる時間間隔は、第1時間間隔T1以上第2時間間隔T2未満とすることが望ましい。すなわち、第1時間間隔T1に近い間隔であれば画像がより連続的になり、不正行為の様子をより確実に把握できるが、その反面、消費電力が多くなる。第2時間間隔T2に近い間隔であればその反対になる。したがって、消費電力と不正行為の把握の両面からステップd3の時間間隔を定めればよい。
【0105】
前述のように実施の第1の形態によれば、車両が停止状態であるとき、車室内における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報が、盗難防止装置3の盗難防止CPU52によって取得される。盗難防止CPU52によって取得された前記情報は、車両の異常が盗難防止CPU52によって検出される前と後とにおいて、盗難防止CPU52によって、盗難防止用通信回路54を介してドライブレコーダ2へ互いに異なる送信周期で送信される。さらに述べると、盗難防止CPU52によって取得された前記情報は、車両の異常が検出される前の警戒状態のとき、予め定める第2送信周期T2でドライブレコーダ2へ送信され、車両の異常が検出された後の警報状態のとき、前記第2送信周期T2とは周期が異なり、より短い予め定める第1送信周期T1でドライブレコーダ2へ送信される。
【0106】
ドライブレコーダ2のドライブレコーダCPU22は、盗難防止装置3から前記第2送信周期T2で受信した情報と、盗難防止装置3から前記第1送信周期T1で受信した情報とを、互いに異なる記憶周期で、第2RAM25に記憶させる。すなわち警戒状態のときは、盗難行為がいつ発生するかわからないため、比較的長い時間間隔で撮影を行ない、その情報を第2RAM25に記憶しておくことにより省電力化をはかる。警報状態になると盗難行為が実際に発生しているため、その様子を確実に記録すべく短い時間間隔で撮影を行ない、その情報を第2RAM25に記憶するとともに、盗難発生時を基準としてその直前の所定期間の間の第2RAM25に比較的長い時間間隔で記憶された情報と、盗難発生直後の、所定期間の間の第2RAM25に短い時間間隔で記憶された情報をF−ROM21に記録する。
【0107】
したがって、少ない消費電力でF−ROM21に盗難発生前後の情報を確実に記録することができる。またドライブレコーダのF−ROM21の記憶容量が限られている場合、車両の異常検出の前後における前記盗難防止CPU52によって取得された前記情報のドライブレコーダへの送信周期、換言すればドライブレコーダ2のF−ROM21への記憶周期を適宜に選択することによって、車両の異常検出の前後にわたって盗難防止装置3の盗難防止CPU52で取得された車室内における前記情報を、F−ROM21に確実に記録させることが可能である。
【0108】
次に、本発明の実施の第2の形態の情報記憶装置について説明する。実施の第2の形態の情報記憶装置は、前述の実施の第1の形態の情報記憶装置1と構成が同一であるので、情報記憶装置1と対応する部分に同一の参照符を付し、重複を避けるため、共通する箇所の説明を省略する。
【0109】
実施の第1の形態では、盗難防止装置3はGセンサを備えていないため、実施の第2の形態ではドライブレコーダ2が備えているGセンサ30を停車中の盗難行為の検出に利用するものである。
【0110】
図10および図11は、車両の停止状態におけるドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。IGスイッチまたはACCスイッチ35がオフになると、ステップe1に移行し、動作処理を開始する。なお、IGスイッチまたはACCスイッチ35がオンのときは図6のステップa2〜ステップa8を実行する。
【0111】
図10に示すフローチャートのステップe1〜ステップe16におけるドライブレコーダCPU22の各処理は、図6に示すフローチャートのステップa9〜ステップa24におけるドライブレコーダCPU22の各処理と同一であるので、説明を省略する。ステップe5において、ドライブレコーダCPU22が、盗難防止装置3からの画像情報および音声情報を受信していないと判断した場合、ステップe11において、ドライブレコーダCPU22が、動体または人物の顔を認識できないと判断した場合、ならびにステップe13またはステップe16の各処理が終了した場合は、図11のフローチャートに示すステップf1に移行する。
【0112】
ステップf1では、ドライブレコーダCPU22は、Gセンサ30から与えられるGセンサ出力値を表す信号に基づいて特定されたGセンサ出力値Gが、予め定める第2閾値G2以上であるか否かを判断する。本実施の形態の第2閾値G2は、盗難検出レベルを表す値、たとえば0.1Gである。第2閾値G2は、0.1Gに限らず、前述した事故相当の衝撃検知レベルを表す第1閾値G1以下の値であればよい。ステップf1において、ドライブレコーダCPU22が、Gセンサ出力値が第2閾値以上であると判断すると、ステップf2に移行し、Gセンサ出力値が第2閾値未満であると判断すると、ステップf5に移行する。
【0113】
ステップf2では、ドライブレコーダCPU22は、第2RAM25に記憶されている設定モード情報を読出すことによって、警戒モードに設定されているか否かを判断する。ステップf2において、警戒モードに設定されていると判断すると、ステップf3に移行し、警戒モードに設定されていないと判断すると、ステップf5に移行する。
【0114】
ステップf3では、ドライブレコーダCPU22は、盗難行為等の異常が発生したと判断し、第2RAM25に、警報モードに設定されたことを表す設定モード情報を記憶させる。第2RAM25に、警報モードに設定されたことを表す設定モード情報が記憶されると、ステップf4に移行する。
【0115】
ステップf4では、ドライブレコーダCPU22は、盗難防止用カメラ16で撮影されてJPEG形式に変換された画像情報、および盗難防止用マイク17で収集された音声を表す音声情報のドライブレコーダ2への送信周期を短縮する指令を表す送信周期短縮指令信号を、ドライブレコーダ用通信回路29によって盗難防止装置3に送信させて、ステップf5に移行する。ステップf5では、ドライブレコーダCPU22は、スリープモードに設定して、全ての動作処理を終了する。本実施の形態のドライブレコーダ2では、スリープモードのときでも、少なくともドライブレコーダCPU22の一部分に駆動電力が供給される。したがってドライブレコーダ2では、スリープモードのとき、Gセンサ30から出力されるGセンサ出力値を表す信号(以下「Gセンサ出力信号」という)を受信可能に構成されるとともに、ドライブレコーダCPU22によって、前記Gセンサ出力信号を受信したか否かを判断可能に構成される。
【0116】
図12は、ウェイクアップ処理に関するドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。ドライブレコーダCPU22によって、スリープモードに設定されると、ステップg1に移行し、動作処理を開始する。
【0117】
ステップg1では、ドライブレコーダCPU22は、Gセンサから出力されるGセンサ出力信号を受信したか否かを判断し、受信していると判断すると、ステップg2に移行し、受信していないと判断すると、受信するまで待機する。
【0118】
ステップg2では、ドライブレコーダCPU22は、ステップg1においてGセンサ出力信号を受信したときに入力される割込み信号によってウェイクアップし、スリープモードに設定される前の状態と同様に、所定の動作処理を行い、動作処理を終了する。所定の動作処理とは、図10に示すフローチャート各動作処理をいう。なお、ウェイクアップ処理に関しては、図7の処理も並行して行なわれる。
【0119】
前述のように実施の第2の形態では、車両が停止状態であるときはスリープモードに設定され、Gセンサ30から出力されるGセンサ出力信号を受信するたびに、または、盗難防止装置3から信号を受信するたびにドライブレコーダCPU22がウェイクアップし、前述の図10のステップe2〜ステップe3およびステップe5〜ステップe15の各動作処理を行った後、再度スリープモードに設定される。したがってドライブレコーダ2では、車両が停止状態であるとき、常にドライブレコーダCPU22がウェイクアップして所定の動作処理をする必要はなく、Gセンサ30から出力されるGセンサ出力信号や盗難防止装置3からの信号を受信したときにだけドライブレコーダCPU22がウェイクアップして前記所定の動作処理をすればよい。したがって車両が停止状態であるとき、常にドライブレコーダCPU22がウェイクアップしている場合に比べて、情報記憶装置1の消費電流を低減することができ、車両が停止状態であるときの車両バッテリ39のバッテリ上がりを防止することができる。
【0120】
図13および図14は、盗難防止CPU52の動作処理を示すフローチャートである。盗難防止CPU52が電源起動する条件でステップh1に移行し、動作処理が開始する。
【0121】
ステップh1では、盗難防止CPU52は、盗難防止用通信回路54によって、ドライブレコーダ2からの送信周期短縮指令信号を受信したか否かを判断する。ステップh1において、送信周期短縮指令信号を受信した、すなわち、Gセンサ30に基づく盗難行為等の異常が発生したと判断すると、ステップh2に移行し、送信周期短縮指令信号を受信していないと判断すると、ステップh13に移行する。
【0122】
ステップh2では、盗難防止CPU52は、盗難防止用カメラ16で撮影されてJPEG形式に変換された画像情報、および盗難防止用マイク17で収集された音声を表す音声情報のドライブレコーダ2への送信周期を、第2送信周期T2から、第2送信周期T2よりも周期が短い第1送信周期T1に変更して、ステップh3に移行する。本実施の形態における第2送信周期T2は1分であり、第1送信周期T1は100ミリ秒である。
【0123】
ステップh3〜ステップh7、ステップh9〜ステップh12の各処理は、図8に示すフローチャートのステップc1〜ステップc5、ステップc7〜ステップc10の各処理と同一であるので、説明を省略する。ステップh7において、盗難防止CPU52が、警戒状態に設定されていると判断すると、ステップh8に移行する。
【0124】
ステップh8では、図8に示すフローチャートのステップc6の判断処理とは異なり、盗難防止CPU52が、ステップh2で第2送信周期T2から変更された第1送信周期T1、すなわち第1時間間隔T1が経過したか否かを判断する。盗難防止CPU52は、内蔵するRTCから与えられる計時情報に基づいて、第1時間間隔T1が経過したか否かを判断する。ステップh8において、盗難防止CPU52が、第1時間間隔T1が経過したと判断すると、ステップh9に移行して前述の図8のステップc7と同様の処理を行い、第1時間間隔T1が経過していないと判断すると、ステップh10に移行して、前述の図8のステップc8と同様の処理を行う。ただし、ステップh10では、ステップh1での送信周期短縮指令を受信したことも異常検出として扱われる。したがって、ステップh10では必ずYESと判断されることになる。
【0125】
ステップh7において盗難防止CPU52が警戒状態に設定されていないと判断した場合、ステップh10において盗難防止CPU52が車両の異常が検出されていないと判断した場合、およびステップh12において盗難防止CPU52が、盗難防止装置3が警報状態であることを表す警報状態信号をドライブレコーダ2に送信させる処理が終了した場合は、図14に示すフローチャートのステップk1に移行する。
【0126】
ステップh13〜ステップh22の各処理は、図8に示すフローチャートのステップc1〜ステップc10の各処理と同一であるので、説明を省略する。ステップh17において盗難防止CPU52が警戒状態に設定されていないと判断した場合、ステップh20において盗難防止CPU52が盗難防止装置3が有するセンサ58,59,60に基づく車両の異常が検出されていないと判断した場合、およびステップh22において盗難防止CPU52が、盗難防止装置3が警報状態であることを表す警報状態信号をドライブレコーダ2に送信させる処理が終了した場合は、図14に示すフローチャートのステップk1に移行する。
【0127】
図14のステップk1〜ステップk4の各処理は、図9に示すフローチャートのステップd1〜ステップd4の各処理と同一であるので、説明を省略する。ステップk1において盗難防止CPU52が、警報状態に設定されていないと判断した場合、ステップk3において盗難防止CPU52が、予め定める時間間隔T1が経過していないと判断した場合、ならびにステップk4において盗難防止CPU52が、画像情報および音声情報をドライブレコーダ2に送信させる処理を終了した場合は、図13のステップh1に戻る。
【0128】
前述のように実施の第2の形態によれば、本来車両の運転中の事故等を検出するためのGセンサ30を、車両の非運転中は盗難監視用のセンサとして兼用している。すなわち、盗難防止装置3に備えられたガラス割れセンサ58、侵入センサ59、ドアセンサ60により車両の異常が検出されるだけでなく、車両に加わる衝撃がドライブレコーダ2のGセンサ30によって検出され、このGセンサ30からの信号によっても車両の異常が検出される。
【0129】
したがって、盗難防止装置3が車両の異常を検出することができない状態が生じた場合でも、ドライブレコーダ2に備えられるGセンサ30によって、車両に加わる衝撃が検出されたときは、盗難防止装置3の盗難防止CPU52によって取得されてドライブレコーダ2へ送信される情報は、盗難防止装置3のセンサ58,59,60により車両の異常が検出されたときと同様、警戒状態時にドライブレコーダ2へ送信される情報よりも短い記憶周期で、ドライブレコーダ2の第2RAM25に記憶され、その第2RAM25に記憶された情報が車両の異常検出の前後にわたってF−ROM21に記録される。
【0130】
これによって実施の第1の形態による効果に加え、盗難防止装置3が車両の異常を検出することができない状態が生じた場合でも、車両に加わる衝撃が検出される前後にわたって盗難防止装置3の盗難防止CPU52で取得された車両の停止状態における車室内の情報を、ドライブレコーダ2のF−ROM21に確実に記録させることができる。なお、前記のGセンサを事故検出と盗難監視とに兼用する構成は、それ自体で発明を構成するものである。実施の第2の形態は、Gセンサを兼用する発明と、車両の異常検出前後で画像等の送信周期を変更する発明を組合せたものである。
【0131】
また前述の実施の各形態では、ドライブレコーダ2と盗難防止装置3とを備えて構成される情報記憶装置1について述べたが、情報記憶装置1はこのような構成に限らない。本発明の実施の他の形態の情報記憶装置は、ドライブレコーダ2と盗難防止装置3とが一体に構成されていてもよい。このような構成の情報記憶装置であっても、前述の実施の各形態の情報記憶装置と同様の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の実施の第1の形態である情報記憶装置1の構成を簡略化して示す図である。
【図2】ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】盗難防止装置3の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】送信機65の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】データ通信装置4の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】車両の動作状態および停止状態におけるドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。
【図7】ウェイクアップ処理に関するドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。
【図8】盗難防止CPU52の動作処理を示すフローチャートである。
【図9】盗難防止CPU52の動作処理を示すフローチャートである。
【図10】車両の停止状態におけるドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。
【図11】車両の停止状態におけるドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。
【図12】ウェイクアップ処理に関するドライブレコーダCPU22の動作処理を示すフローチャートである。
【図13】盗難防止CPU52の動作処理を示すフローチャートである。
【図14】盗難防止CPU52の動作処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
1 情報記憶装置
2 ドライブレコーダ
3 盗難防止装置
4 データ通信装置
10 ドライブレコーダ本体
11,11A ドライブレコーダ用カメラ
12 ドライブレコーダ用マイク
15 盗難防止装置本体
16 盗難防止用カメラ
17 盗難防止用マイク
21 不揮発性ROM
22 ドライブレコーダCPU
25 第2RAM
29 ドライブレコーダ用通信回路
30 加速度センサ
51 盗難防止用ROM
52 盗難防止CPU
54 盗難防止用通信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内または車室外における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得する取得部と、
取得部によって取得された前記情報を記憶する記憶部と、
車両に設けられるセンサからの信号に基づいて車両の異常の有無を検出する異常検出部と、
取得部によって取得された前記情報を、異常検出部によって車両の異常が検出される前と後とで記憶周期を異ならせて記憶部に記憶させる記憶制御部とを備えることを特徴とする情報記憶装置。
【請求項2】
車両が動作状態であるとき画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するドライブレコーダと、車両が停止状態であるとき画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するセキュリティ装置とを備え、
前記記憶制御部は、ドライブレコーダに含まれるレコーダ側制御部と、セキュリティ装置に含まれるセキュリティ側制御部とを有し、
前記取得部は、ドライブレコーダに含まれ、車室外における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するレコーダ側取得部と、セキュリティ装置に含まれ、車室内における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するセキュリティ側取得部を有し、
前記記憶部は、ドライブレコーダに含まれ、セキュリティ側取得部によって取得された前記情報を記憶可能なレコーダ側記憶部を有し、
セキュリティ側制御部は、セキュリティ側取得部によって取得された前記情報を、異常検出部によって車両の異常が検出される前と後とで送信周期を異ならせて、セキュリティ装置からドライブレコーダへ送信させ、
レコーダ側制御部は、異常検出部によって車両の異常が検出される前にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報と、異常検出部によって車両の異常が検出された後にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報とを、互いに異なる記憶周期でレコーダ側記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1記載の情報記憶装置。
【請求項3】
前記レコーダ側制御部は、異常検出部によって車両の異常が検出された後にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報のレコーダ側記憶部への記憶周期を、異常検出部によって車両の異常が検出される前にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報のレコーダ側記憶部への記憶周期よりも短い周期に設定されることを特徴とする請求項2記載の情報記憶装置。
【請求項4】
車両が動作状態であるとき画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するドライブレコーダと、車両が停止状態であるとき画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するセキュリティ装置とを備え、
前記異常検出部は、車両に加わる衝撃を検出する衝撃検出部であり、
前記記憶制御部は、ドライブレコーダに含まれるレコーダ側制御部と、セキュリティ装置に含まれるセキュリティ側制御部とを有し、
前記取得部は、セキュリティ装置に含まれ、車室内における画像および音声の少なくともいずれか一方の情報を取得するセキュリティ側取得部を有し、
前記記憶部は、ドライブレコーダに含まれ、セキュリティ側取得部によって取得された前記情報を記憶可能なレコーダ側記憶部を有し、
セキュリティ側制御部は、セキュリティ側取得部によって取得された前記情報を、衝撃検出部からの信号が所定の閾値未満の場合と所定の閾値以上の場合とで送信周期を異ならせて、セキュリティ装置からドライブレコーダへ送信させ、
レコーダ側制御部は、衝撃検出部からの信号が所定の閾値未満の場合にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報と、衝撃検出部からの信号が所定の閾値以上の場合にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報とを、互いに異なる記憶周期でレコーダ側記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1記載の情報記憶装置。
【請求項5】
前記レコーダ側制御部は、衝撃検出部からの信号が所定の閾値以上の場合にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報のレコーダ側記憶部への記憶周期を、衝撃検出部からの信号が所定の閾値未満の場合にセキュリティ側取得部によって取得され、セキュリティ装置から送信される前記情報のレコーダ側記憶部への記憶周期よりも短い周期に設定されることを特徴とする請求項4記載の情報記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−122946(P2009−122946A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296024(P2007−296024)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】