説明

感光性ペースト組成物、及びそれを利用して製造されたプラズマディスプレイパネル

【課題】 感光性ペースト組成物、及びそれを利用して製造されたプラズマディスプレイパネル(PDP)を提供する。
【解決手段】 放電セル間の電気的及び光学的クロストークを防止するPDPの隔壁の上端部に黒色層を形成してコントラストを向上させる感光性ペースト組成物において、感光性ペースト組成物がコントラスト向上のためのナノ粒子の黒色顔料を含み、また、ペースト組成物のゲル化を根本的に防止するための環型酸無水物を含むことを特徴とする感光性ペースト組成物である。これにより、コントラストが向上したPDPを提供でき、またペースト組成物のゲル化が根本的に防止されて保存安定性に優れた感光性ペースト組成物を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性ペースト組成物、及びそれを利用して製造されたプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)に係り、さらに具体的には、放電セル間の電気的または光学的なクロストークを防止する隔壁の上端部に黒色層を形成してコントラストを向上させるための感光性ペースト組成物、及びそれを利用して製造されたPDPに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の一般的なPDPについての構造を示す図面である。
【0003】
図1を参照すれば、PDPは、前方パネル110及び後方パネル120を備える構造になっている。前記前方パネル110は、前面基板111、前記前面基板の背面111aに形成されたY電極112及びX電極113を備えた維持電極対114、前記維持電極対を覆う前方誘電体層115、及び前記前方誘電体層を覆う保護膜116を備える。前記Y電極112及びX電極113はそれぞれ、ITO(Indium Tin Oxide)で形成された透明電極112b,113bと、明暗向上のための黒色電極(図示せず)及び導電性を付与する白色電極(図示せず)で構成されるバス電極112a,113aとを備える。前記バス電極112a,113aは、PDPの左右両側に配置された連結ケーブルと連結される。
【0004】
前記後方パネル120は、背面基板121、背面基板の前面121aに前記維持電極対と交差するように形成されたアドレス電極122、前記アドレス電極を覆う後方誘電体層123、前記後方誘電体層上に形成されて発光セル126を区画する隔壁124、及び前記発光セル内に配置された蛍光体層125を備える。前記アドレス電極122は、PDPの上下側に配置された連結ケーブルと連結される。
【0005】
前記のようなPDP構造において、隔壁124は、下板(または背面基板)に形成される構造物であって、放電空間確保及び隣接したセル間の電気的及び光学的なクロストークを防止する役割を行う。このような隔壁は、アドレス電極及びその上に誘電体を形成した後、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、または写真エッチング法を利用して形成される。
【0006】
スクリーン印刷法は、パターン化されたマスクを使用し印刷用隔壁ペーストをスクィーズを利用して基板に印刷し、それを乾燥させて溶媒を除去した後、再び印刷及び乾燥を数回反復実施して所望の厚さの乾燥された膜を形成し、焼成工程を経て隔壁膜を得る方法である。しかし、この方法は、工程時間が長くかかり、低い解像度及び反復された印刷作業による誤整列によって均一なパターンの隔壁を得難いということに問題点がある。
【0007】
サンドブラスト法は、隔壁ペーストをテーブルコータを利用して一度に印刷し、かつ乾燥させることによって所望の厚さの膜を形成した後、耐サンディング性(sanding resistance)を有するドライフィルムレジストをラミネーションさせ、露光及び現像工程を通じてパターニングする。次いで、このようなドライフィルムレジストパターンをマスクとして使用し、サンディング工程で高圧の微細研磨剤を噴射させて隔壁をパターン化し、残りのドライフィルムレジストを除去した後、焼成工程を経ることによって隔壁を完成する。しかし、このようなサンドブラスト法もスクリーン印刷法に比べて高い解像度の隔壁形成が可能であるという長所はあるが、工程が複雑であり、研磨剤による衝撃で電極端子部が損傷を受けるという短所がある。
【0008】
写真エッチング法は、感光性ペーストを印刷及び乾燥して所望の厚さの膜を形成した後、フォトマスクを備えた紫外線露光装置を利用して露光した後、再び印刷、乾燥、及び露光工程を数回反復実施し、現像工程で非露光部を選択的に除去し、焼成工程を経ることによって隔壁を製造する。写真エッチング法は、スクリーン印刷法に比べて高解像度の隔壁が得られ、サンドブラスト法に比べてドライフィルムレジスト及びサンド工程を経ないという長所があるが、工程処理回数が多く、反復工程時に誤整列による問題が発生する恐れがあるという短所がある。
【0009】
前記問題点を解決するために、特許文献1には、無機物と有機物との屈折率の差を最小化する方法、特許文献2には、無機物をヒュームドシリカで表面処理する方法を利用して露光感度を向上させ、1回の露光工程によって隔壁を形成する方法が開示されている。
【0010】
しかし、前記種々な方法によって形成される隔壁は、白色の単層のみからなるものであって、隔壁内部の蛍光層から発せられる可視光線を反射させることによって輝度を上昇させる特性を有することもあるが、上板方向から入射する外部光を反射させることによって、画面のコントラストを落とすこともある。
【0011】
さらに、前記写真エッチング法による隔壁の形成に利用される感光性ペーストの最近の傾向は、環境問題を考慮して有機溶媒ではない水またはアルカリ水溶液を現像液として利用する傾向が増大し、このような理由でペーストの構成成分の一つである有機バインダーは、カルボキシル基などの酸性官能基を含む共重合体を使用している。しかし、有機バインダーとしてこのようなカルボキシル基を含む共重合体を使用する場合に、ペーストの主要成分である無機粉末と共重合体のカルボキシル基とが結合して、イオン架橋による3次元ネットワークが形成され、ゲル化が進行するという問題点がある。このようなゲル化現象は、ペーストの粘度を急上昇させて印刷を不可能にし、印刷できるとしても現像を不可能にするという問題点がある。
【0012】
従来、このようなペーストのゲル化現象を防止するための方法として、いくつかの方案が提示されたことがあり、例えば、特許文献3は、トリアゾル化合物で無機粉末を表面処理する方法、特許文献4は、共重合体の立体障害的な構造による方法を開示している。しかし、前記方法は、ペーストのゲル化を遅延させることはできるが、このようなゲル化反応を根本的に防止できないという限界点があった。
【特許文献1】米国特許第6,197,480号明細書
【特許文献2】韓国特許公開第2004−12298号
【特許文献3】米国特許第6,576,391号明細書
【特許文献4】米国特許第6,326,125号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、コントラストが向上したPDPを提供し、またペースト組成物のゲル化が根本的に防止されて保存安定性に優れたPDPの隔壁上端部の黒色層形成用の感光性ペースト組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成するために、ナノ粒子の黒色顔料を含む黒色顔料、環型酸無水物、無機質系バインダー、及び有機ビヒクルを含む感光性ペースト組成物を提供する。
【0015】
また本発明は、前記感光性ペースト組成物を利用して製造されたPDP隔壁上端部の黒色層を提供する。
【0016】
さらに本発明は、前記感光性ペースト組成物を利用して製造された感光性グリーンシートを提供する。
【0017】
また、本発明は、前記感光性グリーンシートを利用して製造されたPDP隔壁の上端部の黒色層を提供する。
【0018】
さらに本発明は、前記PDP隔壁の上端部の黒色層を備えるPDPを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コントラストが向上したPDPを提供し、またペースト組成物のゲル化が根本的に防止されて保存安定性に優れたPDPの隔壁形成用の感光性ペースト組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0021】
本発明による感光性ペースト組成物は、ナノ粒子の黒色顔料を含む黒色顔料、環型(cyclic)酸無水物、無機質系バインダー、及び有機ビヒクル(organic vehicle)を含むことを特徴とする。本発明による感光性ペースト組成物は、PDPの上板方向から入射する外部光に対する反射をなくすために、隔壁の上端部に黒色層を形成させるためのものであって、感光性ペースト組成物中に黒色顔料を含ませて黒色度を向上させ、それによって製造されたPDPのコントラストを向上させる。
【0022】
本発明による感光性ペースト組成物は、黒色顔料を含み、望ましくは、前記黒色顔料は、平均粒径、最小粒径及び最大粒径が異なる第1黒色顔料及び第2黒色顔料を含む。
【0023】
第1黒色顔料は、平均粒径が0.5ないし5.0μmであり、最小粒径が0.1μm以上であり、最大粒径は10μm以下である黒色顔料であり、第2黒色顔料は、平均粒径が5ないし50nmであり、最小粒径が1nm以上であり、最大粒径は100nm以下である黒色顔料である。
【0024】
前記のように、ナノサイズの第2黒色顔料を含めることは、同じ成分に同じ含量でも粒径が小さくなれば、黒色度が優秀になって、結果的にコントラストの向上にさらに有用である。また、第2黒色顔料を含めることによってペーストの粘度の上昇効果があり、ペースト内の有機成分(特に、バインダー)を減らすことによって、ペーストの乾燥膜が薄くなり、結果的に露光感度の向上及び焼成時の収縮率が低下することによって、エッジカール(edge−curl)を最少化し、これは、隔壁上に形成される黒色層と隔壁との接着力を良好にする効果も有する。
【0025】
前記第1黒色顔料の平均粒径が0.5μm未満であるか、または最小粒径が0.1μm未満であれば、分散性及び露光感度が低下するという問題が発生し、他方、平均粒径が5.0μmを超えるか、または最大粒径が10μmを超える場合には、黒色度及び直進性が低下するという問題が発生して望ましくない。
【0026】
また、前記第2黒色顔料の平均粒径が5nm未満であるか、または最小粒径が1nm未満であれば、分散性及び印刷性が不良になるという問題が発生し、他方、平均粒径が50nmを超えるか、または最大粒径が100nmを超える場合には、黒色度を向上させる効果が低下して望ましくない。
【0027】
前記第1黒色顔料及び第2黒色顔料は、同じ成分を有するか、または相異なる成分を有しても関係なく、それに制限されるものではないが、Ru、Cr、Fe、Co、Mn、Cuなどの酸化物またはこれらの複合酸化物が使用され、例えば、Ru−Pb、Ru−Pb−Bi、Ru−Bi−Cd、Co−Cr−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Fe−Mn−Al、Co−Ni−Cr−Fe、Co−Ni−Mn−Cr−Fe、Co−Ni−Al−Cr−Fe、Co−Mn−Al−Cr−Fe−Siなどの酸化物が使用されうる。それ以外にも、カーボンブラック、チタンブラック、窒化物、炭化物などの黒色顔料が、本発明の感光性ペースト組成物に使用されてもよい。
【0028】
前記黒色含量は、無機質系バインダー100質量部に対し、5ないし100質量部の含量で使用されることが望ましい。
【0029】
前記第1黒色顔料の含量は、前記無機質系バインダー100質量部に対し、5ないし50質量部であることが望ましい。含量が5質量部未満である場合には、黒色度が不足してコントラストの向上に寄与できず、50質量部を超過する場合には、無機質系バインダーの含量不足によって所望の形の隔壁が得られないという問題点があって、望ましくない。
【0030】
また、前記第2黒色顔料の含量は、前記第1黒色顔料100質量部に対し、5ないし100質量部であることが望ましい。含量が5質量部未満である場合には、コントラスト向上に寄与できず、100質量部を超過する場合には、分散性及び露光感度が低下するという問題点があって、望ましくない。
【0031】
本発明による感光性ペースト組成物はまた、環型酸無水物を含む。本発明では、このような環型酸無水物を含むことによって、感光性ペースト組成物の保存安定性を顕著に向上させるが、これは、前記環型酸無水物が下記のような形態で作用してゲル化の進行を抑制するためである。
【0032】
i)無機質系バインダーと水分との反応によって生成した無機質系バインダー表面のヒドロキシル基と環型酸無水物との結合;
ii)無機質系バインダー中の陽イオン成分と環型酸無水物との結合;
iii)環型酸無水物が感光性ペースト中の水分と反応して形成されたジカルボキシル基と無機質系バインダーとの結合;
iv)環型酸無水物と有機ビヒクル中に存在するカルボキシル基との結合。
【0033】
前記環型酸無水物は、感光性ペーストの混合中に添加してもよく、また前記環型酸無水物で無機質系バインダーを表面処理して使用してもよい。このような無機質系バインダーの表面処理方法は、表面処理される無機質系バインダー100質量部に対し、1ないし10質量部に該当する環型酸無水物をアセトン、メタノール、エタノール、エチルアセテート、メチレンクロライドなどの揮発性の高い溶媒に溶解させ、無機質系バインダーと混合して24時ほど攪拌した後、常温で自然乾燥させるか、または蒸発器を利用して乾燥させて溶媒を除去し、60ないし90℃で10時間以上真空乾燥させることによって製造する。前記環型酸無水物を感光性ペーストに添加する方式と、環型酸無水物を無機質系バインダーに表面処理して使用する方式との差異は、前者が簡単かつ便利であるが、ペースト粘度が安定するまで数十時間がかかるという短所がある一方、後者は、表面処理過程が多少不便であるが、ペーストの粘度が初期から安定して維持されるという長所がある。
【0034】
本発明の感光性ペースト組成物は、有機ビヒクルと親和性があって、有機ビヒクル中に容易に溶解しつつも、無機質系バインダーの分散性を阻害しない環型酸無水物を使用することによって、前記の効果が得られる。
【0035】
前記の条件を満足させる環型酸無水物としては、これに制限されるものではないが、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、へキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−テトラメチレングルタル酸無水物などの脂肪族化合物、またはフェニルコハク酸無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、及びベンゼンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族化合物よりなる群から選択された一以上のものが使用されうる。
【0036】
前記環型酸無水物の含量は、黒色顔料100質量部に対し、1ないし10質量部であることが望ましい。含量が1質量部未満である場合には、ペーストの保存安定性が確保され難く、他方、含量が10質量部を超過する場合には、現像性が悪くなるという問題点があって、望ましくない。
【0037】
本発明の無機質系バインダーは、焼成工程で黒色層を隔壁と接着させる役割を担う。
【0038】
前記無機質系バインダーの成分は、隔壁の製造に使われる隔壁粉末と同じであることが望ましい。それは、隔壁粉末と同じ軟化点及び膨張率を有することが焼成時に収縮による変形や隔壁との脱落を防止できるためである。
【0039】
前記無機質系バインダーとしては、これに制限されるものではないが、PbO−SiO系、PbO−SiO−B系、PbO−SiO−B−Al系、PbO−SiO−B−ZnO系、PbO−SiO−B−Al−ZnO系、PbO−SiO−B−Al−ZnO−TiO系、PbO−SiO−B−Al−ZnO−TiO−BaO−Bi系、ZnO−SiO系、ZnO−B−SiO系、ZnO−KO−B−SiO−Al−BaO−MgO系、Bi−SiO系、Bi−B−SiO系及びBi−B−SiO−Al−BaO−ZnO系よりなる群から選択された一以上のものが使用される。
【0040】
無機質系バインダーの粒子外形は、特に限定されないが、球形の粒子が充填率及び紫外線透過度において、板状や無定形粒子より優秀な特性を有するため、球形であることが望ましく、平均粒径は、0.5ないし5.0μm、最小粒径は、0.1μm以上、最大粒径は、10μm以下であることが望ましい。平均粒径が0.5μm未満であるか、最小粒径が0.1μm未満である場合には、露光感度が低下し、焼成時の収縮率が大きくなって所望の形態の黒色層が得られず、平均粒径が5.0μmを超過するか、または最大粒径が10μmを超過する場合には、黒色層の稠密性及び黒色層の形態の直進性が低下するという問題点があって、望ましくない。
【0041】
また、前記無機質系バインダーの軟化温度は、400℃ないし焼成工程での焼成温度(例えば、600℃)であることが望ましい。軟化温度が400℃未満である場合には、焼成時、所望の形状の黒色層が得られず、一方、軟化温度が焼成工程での焼成温度を超過する場合には、軟化が正しく生じないという問題点があって、望ましくない。
【0042】
本発明による組成物はまた有機ビヒクルを含み、有機ビヒクルの含量は、前記黒色顔料100質量部に対し、100ないし500質量部であることが望ましい。有機ビヒクルの含量が前記範囲未満である場合には、粘度増加による印刷性の不良及び露光感度が低下するという問題点があり、一方、前記範囲を超過する場合には、粘度低下による印刷性の不良及び焼成時の収縮率が高まって、所望の形の黒色層が得られないという問題点があって、望ましくない。
【0043】
前記有機ビヒクルは、カルボキシル基を有するモノマーと1個以上のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、架橋剤、光開始剤、及び溶媒を含む。
【0044】
前記有機ビヒクルは、感光性ペースト組成物を基準とし、5ないし30質量%のカルボキシル基を有するモノマーと1個以上のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、1ないし30質量%の架橋剤、0.1ないし10質量%の光開始剤、及び20ないし80質量%の溶媒を含むことが望ましい。
【0045】
前記カルボキシル基を有するモノマーと1個以上のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体は、有機バインダーとして機能して、本発明によるペースト組成物が適切な粘度を有し、アルカリ水溶液に現像させる役割を行う。有機ビヒクル中の前記共重合体の含量が前記範囲未満である場合には、分散性及び印刷性が低下し、一方、前記範囲を超過する場合には、現像性が不良であるか、または焼成時に収縮率が高まって、所望の形状の黒色層が得られないために望ましくない。
【0046】
前記カルボキシル基を有するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、ビニル酢酸及びこれらの無水物よりなる群から選択された一以上であることが望ましく、前記エチレン性不飽和モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、及びエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートよりなる群から選択された一以上であることが望ましい。
【0047】
有機バインダーとしては、前記共重合体のカルボキシル基とエチレン性不飽和化合物とを反応させることによって、結果的にバインダー内に架橋反応を起こす成分が付加されたものを利用してもよい。前記エチレン性不飽和化合物としては、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチルメタクリレート、及び3,4−エポキシシクロへキシルメチルアクリレートよりなる群から選択されたものが使用されうる。
【0048】
また、有機バインダーとしては、前記共重合体を単独に使用してもよいが、膜レベリングやチキソトロピー(thixotropic)特性の向上の目的で、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、及びカルボキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択された一つ以上の物質を混合して使用してもよい。
【0049】
前記共重合体の重量平均分子量は、5,000ないし100,000g/molであることが望ましく、酸価は、20ないし150mgKOH/gであることが望ましい。共重合体の分子量が5,000g/mol未満である場合には、ペーストの粘度が低くて印刷性が低下し、一方、100,000g/molを超過する場合には、現像時、非露光部が除去されないという問題点があって、望ましくない。また、共重合体の酸価が20mgKOH/g未満である場合には、現像性が劣り、一方、150mgKOH/gを超過する場合には、露光された部分まで現像されるという問題点があって、望ましくない。
【0050】
架橋剤としては、単官能及び多官能モノマーが利用されうるが、一般的には、露光感度の良好な多官能モノマーを利用する。このような多官能モノマーとしては、これに制限されるものではないが、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)などのジアクリレート系;トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(TMPEOTA)、またはペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA)などのトリアクリレート系;テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、またはペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート系と、ジペンタエリトリトールへキサアクリレート(DPHA)などのヘキサアクリレート系よりなる群から選択された一以上のものが使用されうる。有機ビヒクル中の前記架橋剤の含量は、5ないし30質量%であることが望ましい。架橋剤の含量が5質量%未満である場合には、露光感度が低下するという問題点があり、一方、30質量%を超過する場合には、ペーストの粘度低下による印刷性の不良が発生して、望ましくない。
【0051】
前記光開始剤としては、これに制限されるものではないが、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された一以上のものが使用されうる。有機ビヒクル中の前記光開始剤の含量は、1ないし10質量%であることが望ましい。光開始剤の含量が1質量%未満である場合には、ペーストの露光感度が低下するという問題点があり、一方、10質量%を超過する場合には、現像性の不良が発生して望ましくない。
【0052】
前記溶媒としては、バインダー及び光開始剤を溶解でき、架橋剤及びその他の添加剤とよく混合でき、沸点が150℃以上であるものが使用されうる。沸点が150℃未満である場合には、組成物の製造過程、特に3ロールミル工程で揮発する傾向が大きくて問題となり、また、印刷時、溶媒があまり速く揮発して印刷状態が不良になるので望ましくない。前記条件を充足させうる望ましい溶媒としては、これに制限されるものではないが、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、テルペン油、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、及びトリプロピレングリコールよりなる群から選択された一以上のものが使用されうる。有機ビヒクル中の前記溶媒の含量は、30ないし80質量%であることが望ましい。溶媒の含量が30質量%未満である場合には、ペーストの粘度が高くて印刷が正しくならないという問題点があって望ましくなく、一方、80質量%を超過する場合には、粘度が低くて印刷できないという問題点があって、望ましくない。
【0053】
また、前記有機ビヒクルは、感度を向上させる増減剤、組成物の保存性を向上させる重合禁止剤及び酸化防止剤、解像度を向上させる紫外線吸光剤、組成物内の気泡を減らす消泡剤、分散性を向上させる分散剤、印刷時に膜の平坦性を向上させるレベリング剤、及びチキソトロピー特性を付与する可塑剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0054】
本発明の他の具現例では、前記感光性ペースト組成物を利用して製造されたPDP隔壁の上端部の黒色層を提供する。図2には、本発明によるPDP隔壁に対する概略的な断面図が示されている。図2を参照すれば、本発明によるPDPは、背面基板210上に形成された隔壁220の上端部に黒色層230を備えることによってコントラストがさらに向上しうる。
【0055】
本発明による感光性ペースト組成物を利用して、PDP隔壁の上端部に黒色層を製造する方法としては、後述するような色々な方法が利用されうる。
【0056】
(製造方法1)
従来のスクリーン印刷法、サンドブラスト法、及び写真エッチング法を利用して製造された隔壁の上端部にスクリーン印刷法で本発明による感光性ペーストを塗布し、コンベクション(convection)オーブンまたはIRオーブンで80ないし150℃の温度で5ないし30分間乾燥させた後、形成されたペーストコーティング膜上に紫外線の光源を利用して300ないし450nmの光でパターンが形成されるように露光を行い、NaCO溶液、KOH、TMAHなどの適当なアルカリ現像液で30℃内外の温度で現像して未露光の部分を除去し、電気炉で500ないし600℃で10ないし30分間焼成することによって、本発明によるPDP隔壁を製造できる。図3には、このような方法によって、本発明によるPDP隔壁を製造する製造工程図が概略的に示されている。
【0057】
(製造方法2)
従来の隔壁形成用の感光性ペーストを、テーブルコータを利用してアドレス電極及び誘電層が形成された背面基板に印刷し、コンベクションオーブンまたはIRオーブンで80ないし150℃の温度で、5ないし30分間乾燥させた後、形成されたペーストコーティング膜上に紫外線の光源を使用して300ないし450nmの光で露光する(使われる感光性ペーストの特性によって、印刷ないし露光に至る工程を1回以上数回反復して実施する)。以後、本発明による感光性ペーストを塗布し、コンベクションオーブンまたはIRオーブンで80ないし150℃の温度で、5ないし30分間乾燥させた後、形成されたペーストコーティング膜上に紫外線光源を使用して300ないし450nmの光でパターンが形成されるように露光を行い、NaCO溶液、KOH、TMAHなどの適当なアルカリ現像液で30℃内外の温度で現像して、従来の隔壁形成用の感光性ペースト及び上層に形成された本発明による感光性ペーストの未露光の部分を除去し、電気炉で500ないし600℃で10ないし30分間焼成することによって、本発明によるPDP隔壁を製造できる。図4には、このような方法によって、本発明によるPDP隔壁を製造する製造工程図が概略的に示されている。
【0058】
(製造方法3)
従来のスクリーン印刷法、サンドブラスト法、及び写真エッチング法を利用して焼成直前の過程まで製造された隔壁の上端部にスクリーン印刷法で本発明による感光性ペーストを塗布し、コンベクションオーブンまたはIRオーブンで80ないし150℃の温度で、5ないし30分間乾燥させた後、形成されたペーストコーティング膜上に紫外線の光源を使用して300ないし450nmの光でパターンが形成されるように露光を行い、NaCO溶液、KOH、TMAHなどの適当なアルカリ現像液で30℃内外の温度で現像して、本発明による感光性ペーストの未露光の部分を除去し、電気炉で500ないし600℃で10ないし30分間焼成することによって、本発明によるPDP隔壁の上端部の黒色層を製造できる。図5には、このような方法によって本発明によるPDP隔壁の上端部の黒色層を製造する製造工程図が概略的に示されている。
【0059】
さらに他の具現例で、本発明は、前記感光性ペースト組成物を利用して製造された感光性グリーンシートを提供する。
【0060】
本発明の感光性グリーンシートは、支持体フィルム上にコータを利用して本発明の感光性ペースト組成物を印刷し、乾燥装置を利用して前記ペーストを乾燥させて感光層を形成した後、感光層上に保護フィルムをラミネーションさせることによって製造できる。
【0061】
さらに他の具現例で、本発明は、前記感光性グリーンシートを利用して製造されたPDP隔壁を提供する。
【0062】
感光性グリーンシートを利用してPDP隔壁を製造する方法は、印刷時にテーブルコータの代りに、ラミネータを利用してコーティングする点を除いては、前記ペースト組成物を利用してPDP隔壁を製造する方法と同一に、微細パターンを得、焼成工程を経てPDP隔壁を製造できる。
【0063】
さらに他の具現例で、本発明は、前記PDP隔壁を備えるPDPを提供する。
【0064】
以下、本発明について実施例を通じてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0065】
(感光性ペースト組成物の製造)
(実施例1)
第1黒色顔料(平均粒径=1.3μm、無定形、Co−Mn−Fe系酸化物)12質量%、第2黒色顔料(平均粒径=20nm、無定形、Co−Mn−Fe系酸化物)3質量%、環型酸無水物として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物0.5質量%、無機質系バインダー(平均粒径=2.5μm、Dmax=8.2μm、無定形、PbO−SiO−B系)50.0質量%、有機バインダーとして、ポリ(MMA−co−MAA)共重合体(分子量25,000g/mol、酸価110mgKOH/g)5.0質量%、光開始剤1(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)0.6質量%、光開始剤2(2,4−ジエチルチオキサントン)0.2質量%、架橋剤1(トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート)3.0質量%、架橋剤2(ジペンタエリトリトールへキサアクリレート)1.0質量%、溶媒(テキサノール:texanol)24.7質量%の組成を有するペーストを配合し攪拌器によって攪拌した後、3ロールミルを利用して練ることによって本発明による感光性ペースト組成物を製造した。前記組成物の製造においては、有機ビヒクル成分を先に配合してビヒクルを製造した後、無機粉末を添加した。
【0066】
(実施例2)
実施例1の第1黒色顔料及び第2黒色顔料の代りに、他の第1黒色顔料(平均粒径=2.3μm、無定形、Co−Cr−Fe系酸化物)10質量%及び他の第2黒色顔料(平均粒径=30nm、無定形、Co−Cr−Fe系酸化物)5質量%を使用するという点を除いては、実施例1による感光性ペースト組成物の製造方法と同じ方法で感光性ペースト組成物を製造した。
【0067】
(比較例1)
無機黒色顔料(平均粒径=2.0μm、無定形、Co−Mn−Fe系酸化物)15質量%、環型酸無水物として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物1.0質量%、無機質系バインダー(平均粒径=3.5μm、Dmax=8.2μm、無定形、PbO−SiO−B系)50.0質量%、有機バインダー1(ポリ(MMA−co−MAA)共重合体、分子量25,000g/mol、酸価110mgKOH/g)10.0質量%、有機バインダー2(ヒドロキシプロピルセルロース、平均分子量(M)=100,000g/mol)1.0質量、光開始剤1(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)1.0質量%、光開始剤2(2,4−ジエチルチオキサントン)0.3質量%、架橋剤1(トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート)4.0質量%、架橋剤2(ジペンタエリトリトールへキサアクリレート)2.0質量%、溶媒(テキサノール)15.7質量%の組成を有するペーストを配合し攪拌器によって攪拌した後、3ロールミルを利用して練ることによって感光性ペースト組成物を製造した。前記組成物の製造においても、有機ビヒクル成分を先に配合してビヒクルを製造した後、無機粉末を添加した。
【0068】
(比較例2)
環型酸無水物を添加せず、0.5質量%の溶媒をさらに添加するという点を除いては、実施例1による感光性ペースト組成物と同じ方法で感光性ペースト組成物を製造した。
【0069】
実施例1、2及び比較例1、2による感光性ペースト組成物の成分含量を下記の表1に整理する。
【0070】
【表1】

【0071】
(単位:質量%)
(黒色層の形成)
実施例1、2による組成物及び比較例1による組成物を使用して、下記の方法で隔壁の上端部に黒色層を形成した後、その黒色度を比較判断した。
【0072】
i)アドレス電極、誘電体、及び隔壁(サンドブラスト法による製造)が完成された背面基板上に実施例及び比較例による組成物をそれぞれスクリーン印刷法を利用して隔壁の上部に塗布した。
【0073】
ii)IR乾燥器を利用して100℃で15分間乾燥した。
【0074】
iii)高圧水銀ランプが装着された紫外線露光装置を利用して400mJ/cmで照射した。
【0075】
iv)35℃、0.4%の炭酸ナトリウム水溶液をノズル圧力1.5kgf/cmで噴射して現像した。
【0076】
v)電気焼成炉を利用し580℃で15分間焼成した。
【0077】
(黒色層の評価実験)
前記方法によって形成した黒色層について焼成後の厚さ及び色相を測定し、その結果を下記の表2に示す。
【0078】
【表2】

【0079】
前記表2の結果から、黒色無機顔料としてそれぞれ平均粒径20nm及び30nmの微粒子を使用した実施例1または実施例2によるペースト組成物で製造された黒色層の場合は、その色相が黒色である一方、黒色顔料として平均粒径2.0μmである粒子を使用した比較例1によるペースト組成物で製造された黒色層の場合には、その色相が黒い灰色であって、本発明によるペースト組成物で製造された黒色層の黒色度がはるかに優秀であることがわかる。
【0080】
(ペースト組成物の保存安定性の評価)
実施例1、2及び比較例1、2による感光性ペースト組成物についての保存安定性の評価は、促進(acceleration)実験を通じて実施した。前記ペースト組成物を、60℃のオーブンで12時間、1日、3日、5日、10日が経過した時点で粘度計を利用してシャーレート(shear rate)20/sで粘度を測定し、その結果を下記の表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
(単位:cps)
前記表3の結果から、保存安定剤として環型酸無水物を含む実施例1、2及び比較例1による組成物は、10日が経過した状態でも保存安定性に優れる一方、環型酸無水物を含んでいない比較例2による組成物の場合は、ペーストの製造後、経時的にペーストの粘度が上昇しつつ、保存安定性が劣ることがわかる。
【0083】
本発明は、図面及び実施例を参照して説明したが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということがわかるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、PDP関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来の通常的なPDPについての構造を示す部分切開斜視図である。
【図2】本発明によるPDP隔壁の一例を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明によるPDP隔壁を製造するための製造方法の一具現例についての製造工程図である。
【図4】本発明によるPDP隔壁を製造するための製造方法の他の一具現例についての製造工程図である。
【図5】本発明によるPDP隔壁を製造するための製造方法のさらに他の一具現例についての製造工程図である。
【符号の説明】
【0086】
110:前方パネル
111:前面基板
112:Y電極
113:X電極
114:維持電極対
115:前方誘電体層
116:保護膜
120:後方パネル
121,210:背面基板
122:アドレス電極
123:後方誘電体層
124,220:隔壁
125:蛍光体層
126:発光セル
230:黒色層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子の黒色顔料を含む黒色顔料、環型酸無水物、無機質系バインダー、及び有機ビヒクルを含む感光性ペースト組成物。
【請求項2】
前記無機質系バインダー100質量部に対し、5ないし100質量部の範囲の黒色顔料、1ないし10質量部の範囲の環型酸無水物、20ないし40質量部の範囲の有機ビヒクルを含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項3】
前記黒色顔料は、平均粒径、最小粒径及び最大粒径が異なる第1黒色顔料及び第2黒色顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項4】
前記黒色顔料は、Ru、Cr、Fe、Co、MnまたはCuの酸化物およびその複合酸化物、カーボンブラック、チタンブラック、窒化物および炭化物よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項5】
前記第1黒色顔料の平均粒径は、0.5ないし5.0μmの範囲にあり、最小粒径が0.1μm以上であり、最大粒径は、10μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項6】
前記第2黒色顔料の平均粒径は、5ないし50nmの範囲にあり、最小粒径が1nm以上であり、最大粒径は100nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項7】
前記第1黒色顔料100質量部に対し、5ないし100質量部の範囲の第2黒色顔料を含むことを特徴とする請求項3に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項8】
前記環型酸無水物は、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、へキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−テトラメチレングルタル酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、及びベンゼンテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択された一以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項9】
前記無機質系バインダーは、PbO−SiO系、PbO−SiO−B系、PbO−SiO−B−Al系、PbO−SiO−B−ZnO系、PbO−SiO−B−Al−ZnO系、PbO−SiO−B−Al−ZnO−TiO系、PbO−SiO−B−Al−ZnO−TiO−BaO−Bi系、ZnO−SiO系、ZnO−B−SiO系、ZnO−KO−B−SiO−Al−BaO−MgO系、Bi−SiO系、Bi−B−SiO系及びBi−B−SiO−Al−BaO−ZnO系よりなる群から選択された一以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項10】
前記無機質系バインダーの粒子の外形は、球形であり、平均粒径は0.5ないし5.0μmの範囲にあり、最小粒径は0.1μm以上、最大粒径は10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項11】
前記無機質系バインダーは、軟化温度が400ないし600℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項12】
前記有機ビヒクルは、カルボキシル基を有するモノマーと1つ以上のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、架橋剤、光開始剤、及び溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項13】
前記有機ビヒクルは、感光性ペースト組成物を基準とし、5ないし30質量%のカルボキシル基を有するモノマーと1つ以上のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、1ないし30質量%の架橋剤、0.1ないし10質量%の光開始剤、及び20ないし80質量%の溶媒を含むことを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項14】
前記カルボキシル基を有するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、ビニル酢酸、及びこれらの無水物よりなる群から選択された一以上のものであることを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項15】
前記エチレン性不飽和モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、及びエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートよりなる群から選択された一以上であることを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項16】
前記共重合体は、前記共重合体のカルボキシル基とグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチルメタクリレート、及び3,4−エポキシシクロへキシルメチルアクリレートよりなる群から選択されたエチレン性不飽和化合物との反応によって形成された架橋性基を含むことを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項17】
前記共重合体の重量平均分子量は、5,000ないし50,000g/molの範囲にあり、酸価は、20ないし100mgKOH/gの範囲にあることを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項18】
前記架橋剤は、ジアクリレート系、トリアクリレート系、テトラアクリレート系、及びへキサアクリレート系よりなる群から選択された一以上であることを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項19】
前記光開始剤は、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された一以上であることを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項20】
前記溶媒は、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、テルペン油、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、及びトリプロピレングリコールよりなる群から選択された一以上であることを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項21】
前記有機ビヒクルは、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、及びカルボキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択された一つ以上の物質をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項22】
前記有機ビヒクルは、増減剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸光剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、及び可塑剤からなる群から選択された一つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項23】
請求項1ないし22のうち何れか1項に記載の感光性ペースト組成物を利用して製造されてなるプラズマディスプレイパネル隔壁上端部の黒色層。
【請求項24】
請求項23に記載のプラズマディスプレイパネル隔壁上端部の黒色層を含むプラズマディスプレイパネル。
【請求項25】
支持体フィルムと、
請求項1ないし22のうち何れか1項による感光性ペースト組成物を利用して、前記支持体フィルム上に製造された感光層と、
前記感光層上に形成された保護フィルムと、を備える感光性グリーンシート。
【請求項26】
請求項25に記載の感光性グリーンシートを利用して製造されてなるプラズマディスプレイパネル隔壁上端部の黒色層。
【請求項27】
請求項26に記載のプラズマディスプレイパネル隔壁上端部の黒色層を備えるプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−199958(P2006−199958A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380075(P2005−380075)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】