説明

成膜方法

【課題】 キャップ膜、もしくはバリア膜として使用することが可能な膜を、形成するか形成しないかを選択することが可能となる成膜方法を提供すること。
【解決手段】 銅を使用している配線と絶縁膜とが表面に露出している基板に対してマンガン含有膜を成膜する成膜方法であって、銅を使用している配線上に、マンガン化合物を用いたCVD法を用いてマンガン含有膜を形成する工程(ステップ2)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、膜を成膜する成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅(Cu)を使用している配線のキャップ膜として、銅を使用している配線を触媒として、無電解メッキ法により選択成長させた導電性のコバルト−タングステン−リン(CoWP)膜等が検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CoWP膜は、銅を使用している配線を触媒として、無電解メッキ法により成膜されるので、CoWP膜は配線上に等方的に成長する。このため、CoWP膜は、特に、膜厚が厚くなると、銅を使用している配線上だけでなく、層間絶縁膜上にも成膜される。また、銅の除去が不完全であり、銅の残渣が層間絶縁膜上に残った場合には、残渣上にもCoWP膜が成膜されてしまう。
【0005】
このように、CoWP膜は、選択成長性が不十分である、という事情がある。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、キャップ膜、もしくはバリア膜として使用することが可能な膜を、形成するか形成しないかを選択することが可能となる成膜方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る成膜方法は、銅を使用している配線と絶縁膜とが表面に露出している基板に対してマンガン含有膜を成膜する成膜方法であって、(1)銅を使用している配線上に、前記マンガン化合物を用いたCVD法を用いて前記マンガン含有膜を形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、キャップ膜、もしくはバリア膜として使用することが可能な膜を、形成するか形成しないかを選択することが可能となる成膜方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の一例を示す流れ図
【図2A】基板の状態例を示す断面図
【図2B】基板の状態例を示す断面図
【図2C】基板の状態例を示す断面図
【図2D】基板の状態例を示す断面図
【図3】参考例を示す断面図
【図4】この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の一例を実施することが可能な成膜システムの一例を概略的に示す平面図
【図5】処理ユニットの一例を概略的に示す断面図
【図6】処理ユニットの一例を概略的に示す断面図
【図7A】基板の状態例を示す断面図
【図7B】基板の状態例を示す断面図
【図7C】基板の状態例を示す断面図
【図8】この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の他例を実施することが可能な成膜システムの一例を概略的に示す平面図平面図
【図9】処理ユニットの一例を概略的に示す断面図
【図10】この発明の第2の実施形態に係る成膜方法の一例を示す流れ図
【図11A】基板の状態例を示す断面図
【図11B】基板の状態例を示す断面図
【図11C】基板の状態例を示す断面図
【図11D】基板の状態例を示す断面図
【図12】この発明の第2の実施形態に係る成膜方法の一例を実施することが可能な成膜システムの一例を概略的に示す平面図
【図13】処理ユニットの一例を概略的に示す断面図
【図14A】基板の状態例を示す断面図
【図14B】基板の状態例を示す断面図
【図14C】基板の状態例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0011】
(第1の実施形態)
(成膜方法の一例)
図1はこの発明の第1の実施形態に係る成膜方法の一例を示す流れ図、図2A〜図2Dは基板の状態例を示す断面図である。
【0012】
図2Aには、基板1の一例が示されている。一例に係る基板1は、半導体ウエハ、例えば、シリコンウエハである。なお、図2A〜図2Dでは、シリコンウエハやトランジスタ等の素子の図示は省略しており、シリコンウエハ上に形成されている配線、及び層間絶縁膜の部分のみを概略的に示している。
【0013】
図2Aに示すように、図示せぬシリコンウエハ上には、層間絶縁膜2が形成されている。層間絶縁膜2の材料例は、酸化シリコン系絶縁膜である。層間絶縁膜2には、配線を形成するための溝が形成されており、この溝の内部には、銅を使用している配線4が形成されている。なお、配線4の周囲にはバリア膜3が形成されている。
【0014】
第1の実施形態においては、銅を使用している配線4と絶縁膜、本例では層間絶縁膜2とが表面に露出している基板1に対してマンガン含有膜を成膜する。
【0015】
第1の実施形態においては、以下のようにしてマンガン含有膜を成膜する。
【0016】
まず、図1中のステップ1に示すように、図2Aに示す基板1を図示せぬ処理装置の処理容器内に搬入し、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性でなくする処理を施す。本例では一例として、層間絶縁膜2の表面を疎水化させる疎水化効果を有する疎水化物質を用いて、層間絶縁膜2の表面を疎水化処理する。このような処理により、層間絶縁膜2の表面部分には、親水性でない領域5が形成される(図2B)。本例では、疎水化物質として、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いた。例えば、空気中の水蒸気等により、層間絶縁膜2の表面が“-OH基”で終端され親水性を示していた場合には、HMDSにより親水性の“-OH基”が疎水性の“-O-Si(CH基”に置換される。この結果、本例では、親水性でない領域5は疎水性の領域となる。具体的な処理条件の一例は以下の通りである。
【0017】
処理容器内圧力 : 1Pa以上101.3kPa(大気圧)
基板温度 : 室温以上300℃以下
処理容器内雰囲気: HMDS雰囲気
処理時間 : 1sec以上600sec以下
次に、図1中のステップ2に示すように、図2Bに示す基板1に対して、マンガン化合物を成膜ガスとするCVD法を用いて、銅を使用している配線4上にマンガン含有膜を形成する。本例では一例として、マンガン化合物としてビスエチルシクロペンタジエニルマンガン((EtCp)Mn[=Mn(C])を成膜ガスとする熱CVD法を用いた(図2C)。このような処理により、本例では、銅を使用している配線4上のみにマンガン含有膜6が形成される。マンガン含有膜6は、例えば、マンガン酸化物を含む膜である。マンガン酸化物は、下地の水分(本明細書では水分とはHO、及びヒドロキシ(OH)を含むと定義する)と反応して生成される。このため、マンガン含有膜6は、親水性でない領域5が形成された層間絶縁膜2上にはほとんど形成されず、銅を使用している配線4上のみに選択的に形成される(図2D)。具体的な処理条件の一例は以下の通りである。
【0018】
処理容器内圧力 : 1Pa以上1000Pa以下
基板温度 : 50℃以上400℃以下
処理容器内雰囲気: (EtCp)Mn雰囲気
処理時間 : 1sec以上600sec以下
このような第1の実施形態によれば、マンガン含有膜6を、層間絶縁膜2上にはほとんど形成せずに、銅を使用している配線4上のみに選択的に形成することができる。
【0019】
また、マンガン含有膜6、特に、マンガン酸化物を含む膜は、銅の拡散を抑制する機能があり、銅の拡散を抑制するバリア膜として使用することができる。
【0020】
さらに、第1の実施形態によれば、マンガン含有膜6を、銅を使用している配線4上のみに選択的に形成することができるので、マンガン含有膜6を、いわゆるキャップ膜として使用することができる。
【0021】
しかも、第1の実施形態によれば、マンガン含有膜6は、親水性でない領域5が形成された層間絶縁膜2上にはほとんど形成されない。これは、マンガン化合物、本例では(EtCp)Mnを使用しているが、シクロペンタジエニル(Cp)が芳香性でπ電子を有するため、Si−OH表面には吸着しやすいが、Si−CH表面には吸着し難いため、と考えられる。
【0022】
マンガン化合物としては、(EtCp)Mn以外にも、シクロペンタジエニル系配位子を有するマンガン化合物であれば、マンガン含有膜6が、親水性でない領域5が形成された層間絶縁膜2上にはほとんど形成されない、という利点を得ることができる。このようなマンガン化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0023】
シクロペンタジエニル系配位子を有するマンガン化合物としては、例えば、
CpMn[=Mn(C
(MeCp)Mn[=Mn(CH
(i−PrCp)Mn[=Mn(C
MeCpMn(CO)[=(CH)Mn(CO)
(t−BuCp)Mn[=Mn(C
Mn(DMPD)(EtCp)[=Mn(C11)]、及び
((CHCp)Mn[=Mn((CH
また、層間絶縁膜2の表面を疎水化させる疎水化効果を有する疎水化物質としては、HMDSの他、以下のシリコン含有有機化合物を挙げることができる。
【0024】
TMDS(1,1,3,3-Tetramethyldisilazane)
TMSDMA(Dimethylaminotrimethylsilane)
DMSDMA(Dimethylsilyldimethylamine)
TMMAS(Trimethylmethylaminosilane)
TMICS(Trimethyl(isocyanato)silane)
TMSA(Trimethylsilylacetylene)、及び
TMSC(Trimethylsilylcyanide)
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
ジメチルシラン
テトラエチルシクロテトラシロキサン
1,2,3−トリエチル−2,4,6−トリメチルシクロトリシラザン
1,2,3,4,5,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン
モノメチルシラン
ヘキサメチルジシラン
ヘキサメチルシロキサン
トリメチルシラン
テトラメチルシラン
ジメチルジメトキシシラン
オクタメチルシクロテトラシロキサン
トリメトキシメチルシラン
ヘキサエチルジシラザン
ヘキサフェニルジシラザン
ヘプタメチルジシラザン
ジプロピル−テトラメチルジシラザン
ジ−n−ブチル−テトラメチルジシラザン
ジ−n−オクチル−テトラメチルジシラザン
ジビニル−テトラメチルジシラザン
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン
ヘキサエチルシクロトリシラザン
ヘキサフェニルシクロトリシラザン
オクタメチルシクロテトラシラザン
オクタエチルシクロテトラシラザン
テトラエチル−テトラメチルシクロテトラシラザン
テトラフェニルジメチルジシラザン
ジフェニル−テトラメチルジシラザン
トリビニル−トリメチルシクロトリシラザン、及び
テトラビニル−テトラメチルシクロテトラシラザン
また、マンガン含有膜6、特に、マンガン酸化物を含む膜は、下地の水分と反応することで生成される。このため、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性でなくする処理としては、上述した疎水化処理の他、基板1をアニールし、層間絶縁膜2を脱水処理するようにしても良い。層間絶縁膜2を脱水処理することで、層間絶縁膜2から水分が除去される。これにより、マンガンを酸化させる水分を、層間絶縁膜2からほとんど無くすことができ、マンガン含有膜6の層間絶縁膜2上への成長を抑制することができる。基板1のアニールの例としては、基板1の温度を、マンガン含有膜6を形成する際の基板1の温度よりも高くすることである。この際、水分を気化させるのに充分な温度、かつ、基板1に与えられる熱履歴を最小限度に抑制できる温度の範囲で行うことが良い。具体的な一例は、例えば、基板1の温度を、100℃以上300℃以下の範囲として、層間絶縁膜2を脱水処理する。
【0025】
また、疎水化処理と脱水処理との双方を行うようにしても良い。この場合には、層間絶縁膜2の表面に対して疎水化処理が施された上に、層間絶縁膜2を脱水するので、マンガン含有膜6の層間絶縁膜2上への成長を、より強力に抑制することができる。
【0026】
あるいは、層間絶縁膜2を脱水してから、疎水化処理を行うようにしても良い。
【0027】
マンガン含有膜6を、層間絶縁膜2上にはほとんど形成せずに、銅を使用している配線4上のみに選択的に形成できる利点の一例は、例えば、以下のようなものである。
【0028】
図3は、参考例を示す断面図である。
【0029】
図3に示すように、例えば、キャップ膜としてCoWP膜7を用いた例である。CoWPは、銅を使用している配線4を触媒とした無電解メッキ法により形成される。このため、CoWP膜7は、銅を使用している配線4上に等方的に成長する。CoWP膜7が銅を使用している配線4上に等方的に成長してしまうと、CoWP膜7の厚みが増すにつれて横方向に拡がる。この結果、CoWP膜7は、層間絶縁膜2上にも形成される。CoWP膜7が層間絶縁膜2上に形成されると、配線4どうしの間隔が狭い場合には、CoWP膜7どうしが接触する可能性がある。CoWP膜7は導電性であるから、CoWP膜7どうしが接触すると、配線4どうしが短絡する。また、銅の除去が不完全であり、層間絶縁膜2上に銅の残渣が生じた場合、層間絶縁膜2上の残渣上にCoWP膜7が成長する。例えば、層間絶縁膜2が、例えば、材質が弱い低誘電率絶縁膜(Low−k膜)であった場合には、層間絶縁膜2上に形成されたCoWP膜7が、層間絶縁膜2の品質を劣化させる可能性がある。
【0030】
これに対し、第1の実施形態によれば、層間絶縁膜2上へのマンガン含有膜6の形成を抑制できるので、層間絶縁膜2が、例えば、材質が弱い低誘電率絶縁膜(Low−k膜)であったとしても、層間絶縁膜2の品質を劣化させる可能性を、CoWP膜7をキャップ膜として用いた場合に比較して低減できる。
【0031】
また、配線4どうしの間隔を、例えば、CoWP膜7が接触する間隔以下に狭めることもできる。このため、マンガン含有膜6をキャップ膜として用いた半導体装置は、CoWP膜7をキャップ膜として用いた半導体装置に比較して高集積化にも有利である。
【0032】
このように、第1の実施形態によれば、キャップ膜、もしくはバリア膜として使用することが可能な膜を、選択成長性を良好に成膜できる成膜方法を提供できる。
【0033】
(装置構成)
(成膜システム)
図4は、この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の一例を実施することが可能な成膜システムの一例を概略的に示す平面図である。
【0034】
図4に示すように、成膜システム100は、第1の処理ユニット200と、第2の処理ユニット300とを備えている。処理ユニット200、300は、多角形状をなす搬送室101の2つの辺にそれぞれ対応して設けられている。搬送室101の他の2つの辺にはそれぞれロードロック室102、103が設けられている。ロードロック室102、103の搬送室101と反対側には、搬入出室104が設けられている。搬入出室104のロードロック室102、103と反対側にはウエハWを収容可能な3つのキャリアCを取り付けるポート105、106、107が設けられている。
【0035】
処理ユニット200、300、ロードロック室102、103は、搬送室101にゲートバルブGを介して接続される。処理ユニット200、300、ロードロック室102、103は、ゲートバルブGを開けることにより搬送室101と連通され、ゲートバルブGを閉じることにより搬送室101から遮断される。ロードロック室102、103は、さらに搬入出室104にゲートバルブGを介して接続される。ロードロック室102、103は、ゲートバルブGを開けることにより搬入出室104に連通され、対応するゲートバルブGを閉じることにより搬入出室104から遮断される。
【0036】
搬送室101の内部には、処理ユニット200、300、ロードロック室102、103に対して、基板1の搬入出を行う搬送装置108が設けられている。搬送装置108は、搬送室101の略中央に配設されている。搬送室101の内部は、所定の真空度に保持されるようになっている。基板1は、処理ユニット200、300、ロードロック室102、103の間で大気暴露されることなく搬送される。
【0037】
搬入出室104のポート105、106、107にはそれぞれシャッタSが設けられている。基板1を収容した、又は空のキャリアCがポート105、106、107に取り付けられるとシャッタSが外れ、外気の侵入を防止しつつ、キャリアCが搬入出室104と連通される。搬入出室104の側面には、アライメントチャンバ109が設けられている。アライメントチャンバ109では、基板1のアライメントが行われる。
【0038】
搬入出室104の内部には、キャリアC、アライメントチャンバ109、ロードロック室102、103に対して、基板1の搬入出を行う搬送装置110が設けられている。
【0039】
制御部111は、成膜システム100を制御する。制御部111は、プロセスコントローラ112、ユーザーインターフェース113、及び記憶部114を含んで構成される。ユーザーインターフェース113は、工程管理者が、成膜システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボード、成膜システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を含む。記憶部114には、成膜システム100による処理を、プロセスコントローラ112の制御にて実現するための制御プログラムや駆動条件データ等が記録されたレシピが格納される。レシピは、必要に応じてユーザーインターフェース113からの指示により記憶部114から呼び出され、プロセスコントローラ112に実行させることで成膜システム100が制御される。レシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フラッシュメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用したり、あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させて利用したりすることも可能である。
【0040】
(処理ユニット200)
第1の処理ユニット200は、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性でなくする処理を施す装置である。
【0041】
図5は、処理ユニット200の一例を概略的に示す断面図である。
【0042】
図5に示すように、処理ユニット200は、基板1を収容し、真空に保持可能な処理容器151を備えている。処理容器151の底部には、基板1を載置するサセプタ152が設けられている。サセプタ152には、基板1を加熱するヒータ153が埋設されている。
【0043】
処理容器151の上部には、サセプタ152に対向するシャワーヘッド154が設けられている。シャワーヘッド154は、上面中央にガス導入口155を有し、下面に複数のガス吐出孔156を有している。
【0044】
ガス導入口155にはガス供給配管157が接続されている。ガス供給配管157には、HMDS等の疎水化物質を供給する疎水化物質供給源201から延びる配管202と、ArガスやNガス等からなる希釈ガスを供給する希釈ガス供給源203から延びる配管204が接続されている。
【0045】
配管202には、疎水化物質供給源201側から順に、バルブ205、疎水化物質、本例ではHMDSを気化させる気化器206、マスフローコントローラ207、およびバルブ208が設けられている。
【0046】
配管204には、希釈ガス供給源203側から順に、バルブ209、マスフローコントローラ210、およびバルブ211が設けられている。
【0047】
本例では、疎水化物質は、気化器206により気化され、気化された疎水化物質が希釈ガスで希釈された状態でガス供給配管157、シャワーヘッド154を通って、処理容器151の内部に導入される。処理の際にはヒータ153により、基板1が所定温度に加熱される。本例では、基板1の温度は、例えば、室温以上300℃以下まで制御可能となっている。
【0048】
処理容器151の側壁には、基板1の搬入出を行う搬入出口158が設けられている。搬入出口158はゲートバルブGにより開閉可能である。
【0049】
処理容器151の底部には排気口159が設けられている。排気口159には排気装置160が接続されている。処理容器151の内部の圧力は、排気装置160により排気することで、所定の真空度まで減圧することができる。
【0050】
なお、排気口159を排気装置160に接続せず、処理容器151の内部の圧力を大気圧に保持するようにしても良い。
【0051】
(処理ユニット300)
第2の処理ユニット300は、銅を使用している配線上に、マンガン含有膜を成膜する装置である。
【0052】
図6は、処理ユニット300の一例を概略的に示す断面図である。
【0053】
図6に示すように、本例の処理ユニット300は、マンガン含有膜を成膜する熱CVD装置として構成され、処理ユニット200と同様な処理容器151、サセプタ152を備えている。サセプタ152にはヒータ153が埋設されており、基板1を、例えば、室温以上100℃以下に加熱することが可能に構成されている。他の構成は、ほぼ処理ユニット200の構成と同様であるので、以下、異なる部分についてのみ説明する。
【0054】
ガス供給配管157には、(EtCp)Mn等のマンガン化合物を供給するマンガン化合物供給源301から延びる配管302と、ArガスやNガス等からなるキャリアガスを供給するキャリアガス供給源303から延びる配管304が接続されている。
【0055】
マンガン化合物供給源301は、本例では、マンガン化合物貯留部305を備えている。本例では、マンガン化合物貯留部305に、マンガン化合物として、例えば、(EtCp)Mnが液体の状態で貯留されている。マンガン化合物貯留部305にはバブリング機構306が接続されている。
【0056】
バブリング機構306は、本例では、バブリングガスが貯留されたバブリングガス貯留部307と、バブリングガスをマンガン化合物貯留部305に導く供給管308と、供給管308中を流れるバブリングガスの流量を調節するマスフローコントローラ309、及びバルブ310とを含んで構成される。バブリングガスの例は、アルゴン(Ar)ガス、水素(H)ガス、及び窒素(N)ガス等である。供給管308の一端は、マンガン化合物貯留部305に貯留されたマンガン化合物液体、本例では、(EtCp)Mn中に配置される。供給管308からバブリング用ガスを噴出させることでマンガン化合物液体はバブリングされ、気化される。気化されたマンガン化合物ガス、本例では(EtCp)Mnガスは、配管302、及び配管302を開閉するバルブ311を介してガス供給配管157、シャワーヘッド154を通って、処理容器151の内部に導入される。
【0057】
ガス供給配管157には、配管304が接続されており、キャリアガス供給源303から、バルブ312、マスフローコントローラ313、及びバルブ314を通って、キャリアガスが導入される。
【0058】
この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の一例は、図4〜図6に示したような成膜システム100を使用し、処理ユニット200で層間絶縁膜2の表面に対して、親水性でなくする処理を施し、この処理が施された基板1を、搬送室101を介して大気暴露することなく、処理ユニット300に搬送し、処理ユニット300で銅を使用している配線上に、マンガン含有膜を成膜することで、実施することができる。
【0059】
(成膜方法の他例)
図7A〜図7Cは、基板の状態例を示す断面図である。
【0060】
図7Aに示すように、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性でなくする処理を施した際、図7Bに示すように、銅を使用している配線4の表面上に、疎水化物質、及び/又は酸化物8が付着したり、もしくは形成されたりすることがある。この場合には、層間絶縁膜2の表面が親水性でないことを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の疎水化物質、及び/又は酸化物8を除去するようにすると良い。
【0061】
本例では、層間絶縁膜2の表面が親水性でないことを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の疎水化物質、及び/又は酸化物8を、有機化合物を用いて除去した(図7C)。具体的な一例は、有機化合物として、カルボン酸を含む有機酸、例えば、蟻酸(HCOOH)を用いた。具体的な処理条件の一例は以下の通りである。
【0062】
処理容器内圧力 : 1Pa以上101.3kPa(大気圧)以下
基板温度 : 100℃以上300℃以下
処理容器内雰囲気: HCOOH雰囲気
処理時間 : 1sec以上600sec以下
このように、銅を使用している配線4の表面上に付着、又は形成された疎水化物質、及び/又は酸化物8は、有機化合物を用いて除去することができる。しかも、有機化合物を用いた除去によれば、層間絶縁膜2の表面が親水性でないことを維持しつつ、疎水化物質、及び/又は酸化物8を、銅を使用している配線4の表面上から除去することができる。そして、疎水化物質、及び/又は酸化物8を、銅を使用している配線4の表面上から除去した後、銅を使用している配線4の表面上に、上述したようにマンガン含有膜6を形成すれば良い。
【0063】
このように、疎水化物質、及び/又は酸化物8を、銅を使用している配線4の表面上から除去することで、配線4と、この配線4に接続される他の配線との接触抵抗の増大等を抑制することができる。
【0064】
また、他例に係る成膜方法に使用可能な有機化合物の例としては、以下のものを挙げることができる。
【0065】
有機化合物として、
ヒドロキシ基(−OH)を有するアルコール
アルデヒド基(−CHO)を有するアルデヒド
カルボキシル基(−COOH)を有するカルボン酸
無水カルボン酸
エステル、及び
ケトンを挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いることができる。
【0066】
アルコールとしては、
1)第1級アルコール、特に以下の一般式(1)
−OH ・・・(1)
(Rは直鎖または分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基またはアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル)
を有する第1級アルコール、
例えば、メタノール(CHOH)
エタノール(CHCHOH)
プロパノール(CHCHCHOH)
ブタノール(CHCHCHCHOH)
2−メチルプロパノール((CHCHCHOH)、及び
2−メチルブタノール(CHCHCH(CH)CHOH)
2)第2級アルコール、特に以下の一般式(2)
OH
| ・・・(2)
−CH−R
(R、Rは直鎖または分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基またはアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル)
を有する第2級アルコール、
例えば、2−プロパノール((CHCHOH)
2−ブタノール(CHCH(OH)CHCH
3)ジオールおよびトリオールのようなポリヒドロキシアルコール
例えば、エチレングリコール(HOCHCHOH)
グリセロール(HOCHCH(OH)CHOH)
4)1〜10個、典型的には5〜6個の炭素原子を環の一部に有する環状アルコール
5)ベンジルアルコール(CCHOH)、o−、p−またはm−クレゾール、レゾルシノール等の芳香族アルコール
などが挙げられる。
【0067】
アルデヒドとしては、
1)以下の一般式(3)
−CHO ・・・(3)
(Rは水素、または直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル)
を有するアルデヒド、
例えば、ホルムアルデヒド(HCHO)
アセトアルデヒド(CHCHO)
プロピオンアルデヒド(CHCHCHO)、及び
ブチルアルデヒド(CHCHCHCHO)
2)以下の一般式(4)
OHC−R−CHO ・・・(4)
(Rは直鎖または分枝鎖状のC1〜C20の飽和または不飽和炭化水素であるが、Rが存在しないこと、すなわち両アルデヒド基が互いに結合していることも可能)
を有するアルカンジオール化合物
などが挙げられる。
【0068】
カルボン酸としては、
1)以下の一般式(5)
−COOH ・・・(5)
(Rは水素、または直鎖もしくは分枝鎖状のC1〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル)
を有するカルボン酸、
例えば、蟻酸(HCOOH)
酢酸(CHCOOH)
プロピオン酸(CHCHCOOH)
酪酸(CH(CHCOOH)、及び
吉草酸(CH(CHCOOH)
などが挙げられる。
【0069】
無水カルボン酸は、以下の一般式(6)
−CO−O−CO−R ・・・(6)
(R、Rは、水素原子または炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基)
で表記されるものと定義することができる。
【0070】
炭化水素基の具体例としては、
アルキル基
アルケニル基
アルキニル基、及び
アリル基
などを挙げることができ、ハロゲン原子の具体例としては、
フッ素
塩素
臭素、及び
ヨウ素
などを挙げることができる。
【0071】
無水カルボン酸の具体例としては、無水酢酸以外に、
無水蟻酸
無水プロピオン酸
無水酢酸蟻酸
無水酪酸、及び
無水吉草酸
などを挙げることができる。
【0072】
エステルは、以下の一般式(7)
−COO−R10 ・・・(7)
(Rは、水素原子または炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基、R10は、炭化水素基または炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換された官能基)と表記されるものと定義することができる。
【0073】
炭化水素基およびハロゲン原子の具体例は上記したものと同様である。
【0074】
エステルの具体例としては、
蟻酸メチル
蛾酸エチル
蟻酸プロピル
蟻酸ブチル
蟻酸ベンジル
酢酸メチル
酢酸エチル
酢酸プロピル
酢酸ブチル
酢酸ペンチル
酢酸ヘキシル
酢酸オクチル
酢酸フェニル
酢酸ベンジル
酢酸アリル
酢酸プロペニル
プロピオン酸メチル
プロピオン酸エチル
プロピオン酸ブチル
プロピオン酸ペンチル
プロピオン酸ベンジル
酪酸メチル
酪酸エチル
酪酸ペンチル
酪酸ブチル
吉草酸メチル、及び
吉草酸エチル
などを挙げることができる。
【0075】
(装置構成)
(成膜システム)
図8は、この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の他例を実施することが可能な成膜システムの一例を概略的に示す平面図である。
【0076】
図8に示すように、成膜システム100aが、成膜システム100と異なるところは、第3の処理ユニット400を、さらに備えていることである。第3の処理ユニット400は、ゲートバルブGを介して、搬送室101に接続されている。
【0077】
(処理ユニット400)
第3の処理ユニット400は、層間絶縁膜2の表面が親水性でないことを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の疎水化物質、及び/又は酸化物8を除去する装置である。
【0078】
図9は、処理ユニット400の一例を概略的に示す断面図である。
【0079】
図9に示すように、処理ユニット400は、処理ユニット200、300の構成とほぼ同様の構成である。以下、異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
ガス供給配管157には、有機化合物を供給する有機化合物供給源401から延びる配管402を備えている。
【0081】
有機化合物供給源401は、本例では、有機化合物貯留部403を備えている。本例では、有機化合物貯留部403に、有機化合物として、例えば、蟻酸(HCOOH)が液体の状態で貯留されている。HCOOHは、ヒータ404を用いて加熱されることで気化される。気化されたHCOOHガスは、配管402、配管402を開閉するバルブ405、マスフローコントローラ406、同じく配管402を開閉するバルブ407を介してガス供給配管157、シャワーヘッド154を通って、処理容器151の内部に導入される。
【0082】
なお、本例では、ヒータ404は、有機化合物貯留部403の他、ガス供給配管157、配管402、バルブ405、407、及びマスフローコントローラ406を加熱するように構成されている。
【0083】
また、本例では省略しているが、有機化合物供給源401には有機化合物ガスを希釈する希釈ガスを供給する希釈ガス供給機構が備えられていても良い。希釈ガスの一例は、窒素(N)ガスである。
【0084】
この発明の第1の実施形態に係る成膜方法の他例は、図8、図9に示したような成膜システム100aを使用し、処理ユニット200で層間絶縁膜2の表面に対して、親水性でなくする処理を施し、この処理が施された基板1を、搬送室101を介して大気暴露することなく、処理ユニット400に搬送し、層間絶縁膜2の表面が親水性でないことを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の疎水化物質、及び/又は酸化物8を除去し、この処理が施された基板1を、搬送室101を介して大気暴露することなく、処理ユニット300に搬送し、処理ユニット300で銅を使用している配線4上に、マンガン含有膜を成膜することで、実施することができる。
【0085】
(第2の実施形態)
(成膜方法の一例)
図10はこの発明の第2の実施形態に係る成膜方法の一例を示す流れ図、図11A〜図11Dは基板の状態例を示す断面図である。
【0086】
図11Aには基板1の一例が示されている。一例に係る基板1は、図2Aに示した基板1と同様の構成である。
【0087】
第2の実施形態においては、以下のようにして、銅を使用している配線4上と層間絶縁膜2上との双方にマンガン含有膜を成膜する。
【0088】
まず、図10中のステップ3に示すように、図11Aに示す基板1を図示せぬ処理装置の処理容器内に搬入し、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性とする処理を施す。本例では一例として、層間絶縁膜2の表面をプラズマ処理し、層間絶縁膜2の表面にダメージ層9を形成した(図11B)。例えば、層間絶縁膜2の表面にダメージ層9を形成することで、例えば、疎水性物質が除去され、層間絶縁膜2の表面は親水化される。プラズマ処理の一例は、水素(H)を含むプラズマに、基板1を晒すことである。具体的な処理条件の一例は以下の通りである。
【0089】
処理容器内圧力 : 1Pa以上1000Pa以下
基板温度 : 室温以上300℃以下
処理容器内雰囲気: H雰囲気
処理時間 : 1sec以上600sec以下
次に、図10中のステップ4に示すように、図11Bに示す基板1に対して、マンガン化合物を成膜ガスとするCVD法を用いて、銅を使用している配線4上、及び表面が親水化された層間絶縁膜2上にマンガン含有膜を形成する。本例では一例として、マンガン化合物としてビスエチルシクロペンタジエニルマンガン((EtCp)Mn[=Mn(C])を成膜ガスとする熱CVD法を用いた(図11C)。このような処理により、本例では、銅を使用している配線4上と層間絶縁膜2上との双方にマンガン含有膜6が形成される。マンガン含有膜6は、例えば、マンガン酸化物を含む膜である。マンガン酸化物は、下地の水分と反応して生成されるが、本例では層間絶縁膜2の表面が親水化されているため、マンガン含有膜6は層間絶縁膜2上にも形成することができる(図11D)。具体的な処理条件の一例は以下の通りである。
【0090】
処理容器内圧力 : 1Pa以上1000Pa以下
基板温度 : 50℃以上400℃以下
処理容器内雰囲気: (EtCp)Mn雰囲気
処理時間 : 1sec以上600sec以下
なお、マンガン含有膜6を、より効率良く層間絶縁膜2上に形成するためには、親水化された層間絶縁膜2の表面に、水分を吸着させておくことも良い。
【0091】
このような第2の実施形態によれば、層間絶縁膜2の表面を親水化するようにしたことで、マンガン含有膜6を、銅を使用している配線4上と層間絶縁膜2上との双方に形成することができる。しかも、マンガン含有膜6は、配線4上における膜厚t4と層間絶縁膜2上における膜厚t2とを、ほぼ同程度の膜厚とするように形成することもできる。このためには、例えば、層間絶縁膜2の表面に存在している水分の量を制御すれば良い。
【0092】
マンガン含有膜6、特に、マンガン酸化物を含む膜は、第1の実施形態において説明したように、銅の拡散を抑制する機能がある。このため、第2の実施形態の一例に従って形成されたマンガン含有膜6は、銅の拡散を抑制するバリア膜として使用することができる。
【0093】
(装置構成)
(成膜システム)
図12は、この発明の第2の実施形態に係る成膜方法の一例を実施することが可能な成膜システムの一例を概略的に示す平面図である。
【0094】
図12に示すように、成膜システム100bが、成膜システム100と異なるところは、第1の処理ユニット200に代えて、第4の処理ユニット500を備えていることである。第4の処理ユニット500は、ゲートバルブGを介して、搬送室101に接続されている。
【0095】
(処理ユニット500)
第4の処理ユニット500は、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性とする処理を施す装置である。
【0096】
図13は、処理ユニット500の一例を概略的に示す断面図である。
【0097】
図13に示すように、処理ユニット500は、平行平板型のプラズマ装置として構成されている。処理ユニット500が、処理ユニット200、300、400と異なるところは、サセプタ152が処理容器151から絶縁物161によって絶縁されていること、サセプタ152に高周波電力を供給する高周波電源162が接続されていること、シャワーヘッド154が接地され、サセプタ152を一方電極とした場合の対向電極となるように構成されていること、ガス供給配管157に、プラズマ生成用ガスを供給するプラズマ生成用ガス供給源501から延びる配管502が接続されていること、である。
【0098】
配管502には、プラズマ生成用ガス供給源501側から順に、バルブ503、マスフローコントローラ504、およびバルブ505が設けられている。
【0099】
プラズマ生成用ガスは、配管502、配管502を開閉するバルブ503、505、マスフローコントローラ504、ガス供給配管157、及びシャワーヘッド154を通って、処理容器151の内部に導入される。プラズマ生成用ガスの例は、水素を含むガス、炭素を含むガス、窒素を含むガス、酸素を含むガス、ハロゲン元素を含むガス、希ガスを含むガスなどを挙げることができる。
【0100】
この発明の第2の実施形態に係る成膜方法の一例は、図12、図13に示したような成膜システム100bを使用し、処理ユニット500で層間絶縁膜2の表面に対して、親水性とする処理を施し、この処理が施された基板1を、搬送室101を介して大気暴露することなく、処理ユニット300に搬送し、処理ユニット300で銅を使用している配線4上及び層間絶縁膜2上に、マンガン含有膜を成膜することで、実施することができる。
【0101】
また、本例では、層間絶縁膜2の表面を親水性とする処理として層間絶縁膜2の表面をプラズマ処理し、ダメージ層9を形成する例を示したが、例えば、層間絶縁膜2の表面に紫外線照射により発生したオゾンを接触させる紫外線オゾン処理を行い、ダメージ層9を形成する方法、及び層間絶縁膜2の表面に水分を吸着させる方法を使用することが可能である。
【0102】
(成膜方法の他例)
図14A〜図14Cは、基板の状態例を示す断面図である。
【0103】
図14Aに示すように、層間絶縁膜2の表面に対して、親水性とする処理を施した際、図14Bに示すように、銅を使用している配線4の表面上に、酸化物10が形成されることがある。この場合には、層間絶縁膜2の表面が親水性であることを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の酸化物を除去するようにすると良い。
【0104】
本例では、層間絶縁膜2の表面が親水性であることを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の酸化物10を、有機化合物を用いて除去した(図14C)。具体的な一例は、有機化合物として、カルボン酸を含む有機酸、例えば、蟻酸(HCOOH)を用いた。具体的な処理条件の一例は以下の通りである。
【0105】
処理容器内圧力 : 1Pa以上101.3kPa(大気圧)以下
基板温度 : 100℃以上300℃以下
処理容器内雰囲気: HCOOH雰囲気
処理時間 : 1sec以上600sec以下
このように、銅を使用している配線4の表面上に形成された酸化物10は、有機化合物を用いて除去することができる。しかも、有機化合物を用いた除去によれば、層間絶縁膜2の表面が親水性であることを維持しつつ、酸化物10を、銅を使用している配線4の表面上から除去することができる。そして、酸化物10を、銅を使用している配線4の表面上から除去した後、銅を使用している配線4の表面上及び層間絶縁膜2上に、上述したようにマンガン含有膜6を形成すれば良い。
【0106】
また、他例に係る成膜方法に使用可能な有機化合物は、第1の実施形態で説明した有機化合物と同じである。
【0107】
また、処理ユニットは、図9に示した処理ユニット400を使用することができる。即ち、成膜システムとしては、図12に示した成膜システム100bに、処理ユニット400を、さらに接続すれば良い。
【0108】
この発明の第2の実施形態に係る成膜方法の他例は、処理ユニット500で層間絶縁膜2の表面に対して、親水性とする処理を施し、この処理が施された基板1を、搬送室101を介して大気暴露することなく、処理ユニット400に搬送し、層間絶縁膜2の表面が親水性であることを維持しつつ、銅を使用している配線4の表面上の酸化物10を除去し、この処理が施された基板1を、搬送室101を介して大気暴露することなく、処理ユニット300に搬送し、処理ユニット300で銅を使用している配線4上及び層間絶縁膜2上に、マンガン含有膜を成膜することで、実施することができる。
【0109】
また、本例では、酸化物10の除去に有機化合物を用いた洗浄法を用いたが、酸化物10の除去は水素アニール法、及び極低酸素分圧法も使用することができる。
【0110】
このように、この発明の実施形態に係る成膜方法によれば、キャップ膜、もしくはバリア膜として使用することが可能な膜を、形成するか形成しないかを選択することが可能となる成膜方法を提供できる。
【0111】
以上、この発明をいくつかの実施形態に従って説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【0112】
例えば、第1の実施形態においては、層間絶縁膜上に、マンガン含有膜を成長させないために、層間絶縁膜の表面に対して、層間絶縁膜の表面を親水性でなくする処理、例えば、疎水化処理、又は脱水処理を施した。しかしながら、層間絶縁膜の材質として、親水性でない材質を選ぶことも可能である。この場合には、親水性でなくする処理を省略することができ、スループットの向上に有利である、という利点を得ることができる。
【0113】
また、層間絶縁膜の材質として親水性でない材質を選んだとき、親水性でない層間絶縁膜の表面に対して、親水性でなくする処理、例えば、疎水化処理、又は脱水処理を、さらに施しても良い。この場合には、層間絶縁膜上へのマンガン含有膜の成長を、より強力に抑制できる、という利点を得ることができる。
【0114】
また、第2の実施形態においては、層間絶縁膜上に、マンガン含有膜を成長させるために、層間絶縁膜の表面に対して、層間絶縁膜の表面を親水性とする処理、例えば、プラズマ処理、又は紫外線オゾン処理、又は水分吸着処理を施した。しかしながら、層間絶縁膜の材質として、親水性である材質を選ぶことも可能である。この場合には、親水化処理を省略することができ、スループットの向上に有利である、という利点を得ることができる。
【0115】
また、層間絶縁膜の材質として親水性である材質を選んだとき、親水性である層間絶縁膜の表面に対して、親水性とする処理、例えば、プラズマ処理、又は紫外線オゾン処理、又は水分吸着処理を、さらに施しても良い。この場合には、層間絶縁膜上へのマンガン含有膜の成長を、より強力に促進できる、という利点を得ることができる。
【0116】
また、疎水化処理や有機化合物を用いた洗浄法として、気相にて行うドライ処理の例を挙げて説明したが、液相にて行うようにしても良い(ウェット処理)。
【0117】
また、バリア膜3としてはタンタル(Ta)、チタン(Ti)や、これらの窒化物が従来一般的に使用されているが、本発明のマンガン含有膜6と同一のマンガン含有膜を使用するようにしても良い。
【0118】
その他、この発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0119】
1…基板、2…層間絶縁膜、3…バリア膜、4…銅を使用している配線、5…親水性でない領域、6…マンガン含有膜、8…疎水化物質又は酸化物、9…親水性である領域、10…酸化物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を使用している配線と絶縁膜とが表面に露出している基板に対してマンガン含有膜を成膜する成膜方法であって、
(1)銅を使用している配線上に、前記マンガン化合物を用いたCVD法を用いて前記マンガン含有膜を形成する工程を備えることを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記マンガン化合物が、
(EtCp)Mn[=Mn(C
CpMn[=Mn(C
(MeCp)Mn[=Mn(CH
(i−PrCp)Mn[=Mn(C
MeCpMn(CO)[=(CH)Mn(CO)
(t−BuCp)Mn[=Mn(C
Mn(DMPD)(EtCp)[=Mn(C11)]、及び
((CHCp)Mn[=Mn((CH
から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
前記絶縁膜の表面が親水性でないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記(1)工程の前に、
(2)前記絶縁膜の表面を親水性でなくする工程を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記(2)工程が、
前記絶縁膜の表面を疎水化させる疎水化効果を有する疎水化物質を用いて前記絶縁膜の表面を疎水化処理する工程、及び/又は前記絶縁膜を脱水処理する工程であることを特徴とする請求項4に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記(2)工程が、前記絶縁膜の表面を疎水化させる疎水化効果を有する疎水化物質を用いて前記絶縁膜の表面を疎水化処理する工程であるとき、
前記疎水化物質が、
HMDS(Hexamethyldisilazane)
TMDS(1,1,3,3-Tetramethyldisilazane)
TMSDMA(Dimethylaminotrimethylsilane)
DMSDMA(Dimethylsilyldimethylamine)
TMMAS(Trimethylmethylaminosilane)
TMICS(Trimethyl(isocyanato)silane)
TMSA(Trimethylsilylacetylene)、及び
TMSC(Trimethylsilylcyanide)
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
ジメチルシラン
テトラエチルシクロテトラシロキサン
1,2,3−トリエチル−2,4,6−トリメチルシクロトリシラザン
1,2,3,4,5,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン
モノメチルシラン
ヘキサメチルジシラン
ヘキサメチルシロキサン
トリメチルシラン
テトラメチルシラン
ジメチルジメトキシシラン
オクタメチルシクロテトラシロキサン
トリメトキシメチルシラン
ヘキサエチルジシラザン
ヘキサフェニルジシラザン
ヘプタメチルジシラザン
ジプロピル−テトラメチルジシラザン
ジ−n−ブチル−テトラメチルジシラザン
ジ−n−オクチル−テトラメチルジシラザン
ジビニル−テトラメチルジシラザン
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン
ヘキサエチルシクロトリシラザン
ヘキサフェニルシクロトリシラザン
オクタメチルシクロテトラシラザン
オクタエチルシクロテトラシラザン
テトラエチル−テトラメチルシクロテトラシラザン
テトラフェニルジメチルジシラザン
ジフェニル−テトラメチルジシラザン
トリビニル−トリメチルシクロトリシラザン、及び
テトラビニル−テトラメチルシクロテトラシラザン
から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記(2)工程の後に、
(3)前記絶縁膜の表面が親水性でないことを維持しつつ、前記銅を使用している配線の表面上の前記疎水化物質、及び/又は前記銅を使用している配線の表面上の酸化物を除去する工程を備えることを特徴とする請求項4に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記疎水化物質、及び/又は前記酸化物の除去に、有機化合物を用いることを特徴とする請求項7に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記有機化合物が、
アルコール
アルデヒド
カルボン酸
無水カルボン酸
エステル、及び
ケトン
から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載の成膜方法。
【請求項10】
前記(1)工程、前記(2)工程、及び前記(3)工程が、別々の処理容器内で行われ、前記(1)工程、前記(2)工程、及び前記(3)工程を、前記基板を大気暴露することなく連続して行うことを特徴とする請求項7に記載の成膜方法。
【請求項11】
前記絶縁膜の表面が親水性であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜方法。
【請求項12】
前記(1)工程の前に、
(4)前記絶縁膜の表面を親水化する工程を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜方法。
【請求項13】
前記(4)工程が、
前記絶縁膜の表面をプラズマ処理する工程
前記絶縁膜の表面に紫外線オゾン処理する工程、及び
前記絶縁膜の表面に水分を吸着させる工程のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の成膜方法。
【請求項14】
前記(4)工程の後に、
(5)前記絶縁膜の表面が親水性であることを維持しつつ、前記銅を使用している配線の表面上の酸化物を除去する工程を備えることを特徴とする請求項13に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記酸化物の除去が、有機化合物を用いた洗浄法、水素アニール法、及び極低酸素分圧法のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の成膜方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公開番号】特開2011−23456(P2011−23456A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165602(P2009−165602)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】