説明

抗HIV薬草組成物、その調製および使用

【解決課題】 本発明は、コガネヤナギおよびアカネの抽出粉末ならびにジンセノサイドおよびフユムシナツクサタケの粉末からなる薬草組成物に関する。本発明は、さらに、前記薬草組成物の調製方法およびAIDS治療のためのその使用に関する。
【解決手段】100重量部の組成物に基づいて、10〜30重量部のコガネヤナギおよび10〜25重量部のアカネの抽出粉末、18〜25重量部のジンセノサイド粉末、ならびに30〜55重量部のフユムシナツクサタケ粉末からなる薬草組成物とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コガネヤナギ(Scutellaria baicalensis Georgi)およびアカネ(Rubia cordifolia L)の抽出粉末ならびにジンセノサイド(ginsenoside)およびフユムシナツクサタケ(Cordyceps sinensis (Berk.) Sacc)の粉末を含む薬草組成物に関する。本発明は、さらに、前記薬草組成物の調製方法およびAIDS治療のための薬物の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸し暑さを解決するための薬物の1つとしてのコガネヤナギは、シソ科植物の根であり、主にフラボノイドを含む。その主な薬学的効果には、抗炎症、抗アレルギー、抗菌、解熱機能、および解毒が含まれる。ルビア(rubia)の根としても公知の止血剤および血液を活性化させる草であるアカネは、アカネ科植物の乾燥根および茎である。ルビアの主成分は、脂溶性アントラキノン、還元アントラキノン、そのグリコシド、および水溶性シクロヘキサペプチドである。さらに、カルシウムイオンも豊富である。その主な薬学的効果は、血液の冷却、止血、鬱血の除去、循環の増強、腫瘍の死滅、および抗菌性である。甘みとほろ苦さを有する味および穏やかな作用を有する朝鮮人参の根は、エネルギーの流れ、血液の滋養、鎮静、英知に磨きをかけること、唾液の分泌、咳の緩和、栄養補給、および身体の強壮を調整することができる。「ハーブの王様」として公知のように、古代中国より身体調整薬として望ましいとされてきた。冬虫夏草は、フユムシナツクサタケと同類であり、子嚢菌類ニクザキン科(ascomycetes hypocreaceae)に属する。これらは、ヒナコウモリ科宿主のヘピアルス・アルモリカヌス・オベルスル(Hepialus armoricanus oberthur)の幼若昆虫の体で構成されている。冬虫夏草は、粗タンパク質、脂質、粗繊維、炭水化物、灰分、虫草酸、コルジセピン、冬虫夏草ポリサッカリド、ヌクレオチド、ペプチド、およびエイコサンを含む。主な薬学的効果には、気分の高揚、陽を高めること、抵抗性を高めること、エネルギーの充填、腎臓の滋養、咳の緩和、身体の強壮、および長寿が含まれる。抗炎症、抗不整脈、および腫瘍の死滅も可能である。
【0003】
多数の実験によって証明されるように、朝鮮人参は、動物およびヒトの身体の活動および知的活動を増強し、身体の種々の有害な刺激に対する非特異的抵抗性を高めることができる。治療範囲内で、正常な生理学的機能を妨害せず、副作用もない。全身用の有利且つ無害の増強剤および強壮剤の種類と見なされている。
【0004】
朝鮮人参の薬理学的の発見の積み重ねにより、研究者は、朝鮮人参抽出物の研究を行っている。主な薬理学的作用を有する30種を超えるジンセノサイド(Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rg、Rh1、Rh2、F2、偽ジンセノサイドF1、RT、およびアメリカンジンセノサイドなど)が存在することが見出されている。これらのジンセノサイドの主な薬理学的研究には、老化防止、免疫増強、および脂質低下の効果、ならびに心臓および血管のいくらかの変化が含まれる。しかし、今まで、AIDS治療のための朝鮮人参、朝鮮人参抽出物、または任意のジンセノサイドの使用についての報告は未だ存在しない。AIDSは、後天性免疫不全症候群を示す。原因物質は、ヒト免疫不全ウイルスである。これは、主に、ヒト免疫系、詳細には、CD4リンパ球を攻撃する。最終的に、身体の免疫機能を破壊し、日和見感染症によって患者は死亡する。
【0005】
スラミンは、HIVウイルスと戦うことが最初に報告された薬物であった。1985年に、AZTが、in vitro抗HIV活性を保有することが見出された。1986年に、臨床試験が行われた。1987年に、AZTは、AIDS治療薬としてFDAで承認された最初の薬物となった。しかし、その薬物の毒性および耐性が主な問題であった。その後数年にわたって他の薬物が出現した。今まで、20種を超える抗HIV薬が、USでの使用を許可されている。その作用機構によって、これらは、主に3つのカテゴリーに分類される。T20(2002年末に承認された細胞侵入遮断薬)を除き、全ての他の薬物は、ウイルス逆転写酵素(RT)インヒビター(AZT、DDC、DDIおよびウイルスプロテアーゼインヒビターなど)に属する。FDAは、5つのプロテアーゼインヒビター薬(すなわち、サキナビル、リトナビル、硫酸インジナビル、およびネフィナビル(nefinavir)など)を既に承認している。1995年に、米国の科学者は、2つのRTインヒビターと1つのプロテアーゼインヒビターとの「三重組み合わせ」投薬計画を採用した。HAARTとして公知のこのような治療法は、現在一般的に使用されている。この治療法は、治療結果を向上させ、患者の寿命をさらに延ばしている。現在、6〜7年使用されている。また少数の患者がいまだ生存している。
【0006】
現在、中国でHAARTのカクテルに使用可能な3つの薬物が存在する。しかし、RT阻害薬のみが存在し、プロテアーゼインヒビターは依然として欠如している。毒性が非常に高く、ほぼ20%の患者が許容することができない。したがって、臨床への適用において薬物の毒性および耐性の問題が存在する。上記のように、T20は、ウイルスの細胞侵入を遮断することができる。しかし、T20は、ペプチドであるので、経口摂取することができない。それは注射しなければならない。さらに、その価格は非常に高価である。したがって、毒性の低い抗HIV薬を開発することが急務である。
【0007】
伝統的な漢方薬は、我々が調査し研究を進展させる高い価値がある実に偉大な宝の山である。10年を超える研究により、本発明者らは、いくつかのハーブの抽出物、成分、または単一成分が十分に定義された抗HIV活性を有することを見出した。その抗HIV活性の標的を研究した。HAARTよりも安価で毒性が低いなどの利点に加えて、これらは免疫機能を顕著に増強することができる。HAARTが薬物耐性に関して問題を有するので、治療カクテルを常に更新する必要がある。したがって、臨床目的でAIDSを治療するためにTCMを適用する見込みが非常にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、コガネヤナギおよびアカネの抽出粉末ならびにジンセノサイドおよびフユムシナツクサタケの粉末からなる薬草組成物がAIDSに顕著な効果を有することを見出した。
【0009】
したがって、一方で、本発明は、100重量部の組成物に基づいて、10〜30重量部のコガネヤナギおよび10〜25重量部のアカネの抽出粉末、18〜25重量部のジンセノサイド粉末、ならびに30〜55重量部のフユムシナツクサタケ粉末からなる薬草組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記組成物の範囲内で、より好ましくは、それぞれ、コガネヤナギの抽出粉末は18重量部の量であり、アカネの抽出粉末は17重量部の量であり、ジンセノサイド粉末は18重量部の量であり、フユムシナツクサタケ粉末は47重量部の量である。
【0011】
1.前記組成物の範囲内で、抽出粉末はエタノール抽出粉末であり、当該分野で公知の任意の技術から採取することができる。コガネヤナギおよびアカネの抽出粉末を、好ましくは、下記のように調製することができる。ジンセノサイド粉末は、調製の品質基準を満たす市販の製品であってよい。至適な選択基準としてのジンセノサイド粉末は、15〜20重量%のRb1、15〜20重量%のRb2、30〜90重量%のRb3、および30〜90重量%のRcを含む。フユムシナツクサタケ粉末は、天然のフユムシナツクサタケまたは人工培養したフユムシナツクサタケの粉末である。
【0012】
他方では、本発明は、a)原料薬物としてのコガネヤナギの粗ハーブを破砕し、4〜5倍のエタノールを添加して少なくとも6時間浸漬させ、浸漬したコガネヤナギおよび浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いで1〜4.5ml/kg/分の速度で濾過し、その後、エタノールを添加し、回収した浸透圧濾過液が前記粗ハーブの10〜20倍の重量になるまで同時に浸透圧濾過し、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を形成するように前記浸透圧濾過液を回収および濃縮し、前記濃縮液をコガネヤナギの抽出粉末に噴霧乾燥させる工程と、
b)同時または連続的に、アカネの粗ハーブを破砕し、4〜5倍のエタノールを添加して少なくとも6時間浸漬させ、浸漬したアカネおよび浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いで1〜4.5ml/kg/分の速度で濾過し、その後、エタノールを添加し、回収した浸透圧濾過液が前記粗ハーブの10〜20倍の重量になるまで同時に浸透圧濾過し、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を形成するように前記浸透圧濾過液を回収および濃縮し、前記濃縮液をアカネの抽出粉末に噴霧乾燥させる工程と、
c)100重量部の組成物に基づいて、10〜30重量部のコガネヤナギの抽出粉末、10〜25重量部のアカネの抽出粉末、18〜25重量部のジンセノサイド粉末、および30〜55重量部のフユムシナツクサタケ粉末を混合して、薬草組成物を得る工程と
を含む、薬草組成物の調製方法に関する。
【0013】
上記方法の範囲内で、好ましくは30〜70%、より好ましくは50%のエタノールを使用する。
【0014】
さらに、本発明は、抗HIV薬の調製における薬草組成物の使用に関する。
【0015】
薬草組成物を、通常の抗HIV薬と組み合わせて使用する。通常の抗HIV薬には、AZT、DDC、DDI、サキナビル、リトナビル、硫酸インジナビル、およびネフィナビルが含まれる。
【0016】
抗HIV薬の投与処方物は、液体または固体であり得る。例えば、液体処方物は、真の溶液型、コロイド型、微粒子型、乳濁形態、および懸濁形態であり得る。他の処方物には、錠剤、カプセル、点滴薬、エアゾール、丸薬、ペレット、溶液、懸濁液、乳濁液、顆粒、座剤、および凍結乾燥粉末注射薬が含まれる。
【0017】
本発明の薬草組成物を、一般的な調製物、徐放性調製物、制御放出調製物、標的調製物、および種々のミクロソーム薬物送達系にすることができる。
【0018】
当該分野で公知の全キャリアを使用して、単位投薬処方物を錠剤に調製することができ、例えば、希釈剤および吸収剤としてのキャリアには、デンプン、デキストラン、硫酸カルシウム、ラクトース、マンニトース、スクロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、炭酸カルシウム、白土、微結晶性セルロース、およびケイ酸アルミニウムなどが含まれ、潤滑剤および接着剤には、水、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、デンプンスラリー、デキストラン、シロップ、ハチミツ、グルコース溶液、アラビア糊、ゼラチン糊、カルボキシメチルセルロースナトリウム、シェラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、およびPVPなどが含まれ、崩壊剤には、乾燥デンプン、アルギン酸塩、アガロース粉末、アルギンデンプン、重炭酸ナトリウム、クエン酸塩、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタンアルフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルセルロース、およびエチルセルロースなどが含まれ、崩壊インヒビターには、スクロース、トリステアリン酸グリコール、カカオバター、および硬化油などが含まれ、吸収促進剤には、第四級アンモニウムおよびドデシル硫酸ナトリウムなどが含まれ、潤滑剤には、滑石粉、酸化ケイ素、コーンスターチ、ステアリン酸塩、ホウ酸塩、流動パラフィン、およびポリエチレングリコールなどが含まれる。他のキャリアには、ポリアクリル酸樹脂およびリポソームなどが含まれ、水溶性キャリアには、PEG4000、PEG6000、およびPVPなどが含まれる。錠剤を、糖衣錠、薄膜コーティング錠、腸溶性錠剤、または二層錠剤および単層錠剤などのコーティングした丸薬にさらに調製することができる。
【0019】
例えば、単位投薬形態をペレットに調製するために、当該分野で公知の全てのキャリアを広く採用することが可能である。キャリアの例は、希釈剤および吸収剤(グルコース、ラクトース、デンプン、カカオバター、硬化植物油、PVP、カオリン、および滑石粉など)、接着剤(アラビア糊、トラガカントガム、ゼラチン、エタノール、ハチミツ、液体の糖、およびコメまたは小麦粉のペーストなど)、崩壊剤(アガロース粉末、乾燥デンプン、アルギン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルセルロース、およびエチルセルロースなど)である。
【0020】
例えば、単位薬物をカプセルに調製する目的で、本発明の医薬組成物の有効成分を、種々の前記キャリアと混合して混合物を得ることができる。混合物を、硬カプセルまたは軟カプセルに入れる。
【0021】
例えば、ハーブ組成物を、溶液、懸濁液、乳濁液、および凍結乾燥粉末注射薬などの形態の注射薬に調製することができる。この種の調製物は、水を含んでも含まなくてもよく、1つおよび/または複数の薬理学的に許容可能なキャリア、希釈剤、接着剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、分散剤を含み得る。希釈剤には、水、エタノール、ポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、エトキシル化プリソリン、およびポリオキシエチレンソルビタンアルフェートが含まれる。さらに、適量の塩化ナトリウム、グルコース、またはグリセロールを注射薬に添加して等張注射薬を調製することが可能である。さらに、従来の可溶化剤、緩衝剤、およびpH調整剤を添加することができる。これらの補足材料は、本分野で一般的に使用されている。
【0022】
さらに、必要に応じて、着色料、防腐剤、スパイス、味覚修飾物質、甘味料、および他の物質を、本発明の薬草組成物に含めることもできる。
【0023】
薬物治療の目的を達成し、治療効果を増強するために、本薬草組成物を、任意の周知の投与方法(好ましくは、経口摂取)によって投与することができる。
【0024】
薬草組成物の投薬量は、多数の要因(AIDS患者の疾病経過の重症度、性別、年齢、体重、素因、個別の反応、投与経路、投与頻度、および治療目的など)によって決定される。結果として、本発明の治療用量範囲は広い。一般的に言えば、本発明の薬物成分の実際的な量は、本分野の当業者に周知である。有効な治療レベルおよび本発明の防止または治療目的を達成するために、薬草組成物の最終調製物における実際の薬物の量を適切に調整することが可能である。薬草組成物の適切な1日量の範囲は、体重1kgあたり0.03〜0.50mgである。上記用量を、1日に2回、3回、または4回投与することができる。投与は医師の臨床経験に従い、他の治療アプローチによる投与計画に影響を受ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を、図面と組み合わせて詳述する。
【実施例1】
【0026】
本発明の薬草組成物の調製
原料薬物としての180kgのコガネヤナギおよび150kgの粗ルブア(rubua)ハーブを採取して破砕し、1400Lの50%エタノールを添加して6時間浸漬させる。浸漬した原料薬物および浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いだ。浸透圧濾過速度は、3〜4.5ml/kg/分であった。同一のエタノールのバッチに添加し、浸透圧濾過を継続した。次いで、4000Lの浸透圧濾過液を回収した。濃縮エタノール浸透圧濾過液の再利用により、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を採取した。上記濃縮液を、噴霧技術によって粉末に乾燥させた。コガネヤナギおよびアカネの抽出粉末の採取速度は、それぞれ、8〜10%および10〜15%であった。このようにして得られた乾燥粉末は、18kgのコガネヤナギの抽出粉末および17kgのアカネの抽出粉末に等しかった。採取した乾燥粉末を、18kgのジンセノサイド粉末および47kgのフユムシナツクサタケ粉末と混合して、本発明の薬草組成物(ZL−1)を得た。当業者に周知の過程を使用し、適量の薬用キャリアを使用して、本発明が必要とするカプセル粉末を形成した。次いで、カプセルを、その後の使用のために包装した。各カプセルは、約0.5gの薬草組成物を含む。
【実施例2】
【0027】
原料薬物としての180kgのコガネヤナギの粗ハーブを採取して破砕し、その後、720Lの50%エタノールを添加して6時間浸漬させる。浸漬した原料薬物および浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いだ。浸透圧濾過速度は、3〜4.5ml/kg/分であった。50%エタノールを間欠的に添加し、浸透圧濾過を継続した。次いで、2200Lの浸透圧濾過液を回収した。濃縮エタノール浸透圧濾過液の蒸発により、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を採取した。上記濃縮液を、噴霧によって粉末に乾燥させ、18kgのコガネヤナギの抽出粉末を得た。
【0028】
原料薬物としての150kgのアカネの粗ハーブを採取して破砕し、その後、600Lの40%エタノールを添加して約6時間浸漬させる。浸漬した原料薬物および浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いだ。浸透圧濾過速度は、3〜4.5ml/kg/分であった。40%エタノールを間欠的に添加し、浸透圧濾過を継続した。1800Lの浸透圧濾過液を得た。濃縮エタノール浸透圧濾過液の蒸発により、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を採取した。上記濃縮液を、噴霧によって粉末に乾燥させ、17kgのアカネの抽出粉末を得た。
【0029】
採取したアカネの乾燥粉末を、18kgのジンセノサイドおよび47kgのフユムシナツクサタケと混合して薬草組成物(ZL−1)を得て、その後の使用のためにカプセルに包んだ。
【0030】
実験1
本発明の薬草組成物の薬力学研究
in vitro実験
HIV−1ウイルス複製に対する実施例1で調製したZL−1の阻害効果を観察するために、3つの細胞型(MT4、Hela−CD4、PBMCなど)を、それぞれ、HIV−1ウイルスに感染させた。
【0031】
(1)MT4細胞
ウイルス株:HIV−1およびNL4細胞株
方法:実施例1で得た薬草組成物を、薬物溶液として1mg/mlの濃度に調製し、その後の実験で使用するために異なる濃度に希釈した。1:96ウェル培養プレートで実験を行い、100μl薬物溶液を各ウェルに添加し、各濃度の薬物溶液を少なくとも二連で作製した。5×105個の新たに培養したMT4細胞を、さらに試験管に取り出した。HIV−1ウイルス(1×103TCID50/ML、37℃)を細胞に添加し、CO2インキュベーター中でさらに培養した。2時間後に培養物を遠心分離し、上清を破棄し、RPMI1640で1回洗浄した。遊離ウイルスを取り出し、5×105/lmlを培養培地に添加した。100μL HLV−1感染細胞を、96ウェルプレートの全薬物ウェルに添加し(5×104/100μL)、CO2インキュベーター内にて37℃で培養した。3日目に、100μLの上清を各ウェルから吸い取り、100μLのウェルと同一濃度の新鮮な薬物溶液と置換した。コントロール群として100μLの培養培地を添加した。6日目に、各ウェルから上清を採取した。P24抗原量を測定するために、Microelisa法および試薬を採用した。各実験のために、ウイルスコントロール(VC)、細胞コントロール、およびAZT溶性薬物コントロールを使用した。P24抗原(P24−Ag)の量に基づいて、以下の式にしたがって阻害率(IR)を計算した。
【数1】

【0032】
異なる濃度の薬物溶液について異なるIRが得られた。統計処理後、IC50を得た。
【0033】
(2)Hela−CD4細胞
ウイルス:単一生活環レポーターHIVウイルスを、HIVプラスミドのトランスフェクションによって獲得した。
【0034】
方法:Hela−CD4−LTR−gal細胞を、24ウェルプレートに接種して24時間静置し、ウェルに吸収および接着したままにした。2日目に、上清をウェルから吸い取り、100μlの薬物(薬物コントロール)、薬物およびHIV−1(異なる濃度の薬物を含む薬物溶液)、または培養培地(偽ウェル)を添加した。2時間後、200μlの同一の薬物溶液または培養培地を各ウェルに添加してCO2インキュベーター内にて37℃で48時間培養し、以下の方法によって検出した。
【0035】
固定:上清を各ウェルから吸い取り、固定液(1ml)を添加し、次いで、K4[Fe(CN)6]・3H2O、K3[Fe(CN)6]、およびX−gelで染色した。
【0036】
計数:各ウェル内の青色細胞数(BCC)について、以下の式を使用して、IRを計算し、その後にIC50を計算する。
【数2】

【0037】
(3)PBMC細胞
ウイルス:NL4−3
方法:新たに採取したPBMC(新たに単離したヒト末梢血リンパ球)を回収し、その後、計数し、1200rpmで遠心分離し、上清を破棄し、3×106細胞/mlの溶液を調製した。培養培地を、IL2(各1mlの培養培地あたり1μlの1000倍希釈のIL2)にて37℃で一晩前処理した。実験のために、5×106を1感染単位として計数した。二連の0.4/mlの同一濃度のJHR、ウイルスコントロール、および細胞コントロールを用意した。24ウェルプレートの各ウェルは、薬物溶液中または培養培地中に5×106個の細胞を含んでいた。各ウェル中のウイルス負荷が4×104IUのNL4.3ウイルス(HIV−1)を破壊し、完全に震盪し、12ウェルプレートに移した。次いで、1.5mlの同一の薬物溶液または培養培地を添加して全体積を2mlとし、37℃でインキュベートした。3〜4日毎に上清を各ウェルにつき100μl取り出し、−80℃で保存した。回収終了時に、RTを測定し、薬物群を、ウイルスコントロール群と比較して阻害率を計算した。
【0038】
結果を以下に示した。
MT4細胞株:IC50=139μg/ml
Hela−CD細胞株:IC50=54.8μg/ml
PBMC細胞(薬草組成物の一成分−JHR):(新たに単離したヒト末梢血リンパ球)、投薬6日目でIC50=77μg/ml
【0039】
結果は、ZL−1がHIV−1に対して顕著なin vitro阻害効果を有することを示した。
【0040】
実験2
この薬草組成物のin vivo実験−アカゲザルに対する治療効果
実験動物:実験動物として、Primate Breeding Center,Research Institute of Experimental Animals,Chinese Academy of Medical Sciencesから購入したそれぞれ4.5〜5.5Kgの5頭の雌および5頭の雄アカゲザル(全部で10頭)を使用した。アカゲザルに、市販の膨化飼料を与えた。実験前の身体検査で異常は認められなかった。血清IFA抗体試験によってSIV、SRV D型、およびSTLV−I感染の可能性があるものを排除した。
【0041】
感染株および投薬量:SIVmac251株は、Aaron Diamond AIDS Research Center of the USのDarx博士から提供を受けた。各動物に3MID100ウイルス負荷に等しい1mlのウイルス溶液を感染させた。
【0042】
投薬および治療プロトコール:本発明者らは、ZL−1およびAZTを提供した。処方物をカプセル化し、動物を、AZT溶性薬物処置群およびSIVmac251感染コントロール群に分けた。各群内に3〜4頭の動物が存在し、同等の雌および雄を含んでいた。ウイルス感染10日前に、ZL−1処置群の動物に、2カプセルを1日1回、70日間継続して経口投与し、感染30分後から、AZT溶性薬物コントロール群の動物に100mgを1日に1回、60日間継続して経口投与した。SIVmac251感染コントロール群には、薬物処置を行わなかった。
【0043】
感染前および感染後の観察−他の感染前の身体検査に加えて、各サルについて体重測定および採血を行った(全パラメーター試験を行った)。処置中および処置後に一般的観察および試験も継続して行った。所定の時点で、サルから採血して、血漿ウイルス力価、血中CD4+数、抗体力価を測定した。60日間の実験終了後、動物を屠殺した。
【0044】
血漿ウイルスの単離:動物にSIVmac251を感染させた後、血液サンプルを、それぞれ、7、11、14、21、28、42、60日目に回収し、ヘパリン抗凝固薬によって血漿を分離した。200μlから開始して、血漿を、24ウェルプレート中で5倍に連続希釈した。10%ウシ血清RPMI−1640を添加することによって、各ウェルを1mlにした。次いで、105SIVmac251の0.6mlのCEMX174細胞溶液(感受性株)を分注し、37℃のCO2インキュベーター中でさらに静置して、3〜4日毎に細胞株を観察し、増殖させた。サンプルのために、接種量が最も低いが典型的な細胞コンフルエンスを示すウイルス力価を選択した。各サンプルについて、全部で8力価(200μl、40μl、8μl、1.6μl、0.32μl、0.064μl、0.0128μl、および0.00256μl)を選択した。それぞれ、各μlの血漿SIVウイルスのTCID値(5、25、125、625、3125、15625、78125、および390625)に等しかった。3週間のサンプルの観察後、ウイルス単離結果を判断した。
【0045】
血中CD4+数の測定:SIVmac251の感染前、感染から14日後、28日後、42日後、および60日後の動物から血液サンプルを採取した。末梢血リンパ球を単離するために、Ficollリンパ球分離液を採用した。抗CD4モノクローナル抗体を直接蛍光でタグ化した後、細胞をFACS装置で計数して、CD4+率を得た。WBC数と日常的な血液試験のDCとを組み合わせて、総血中CD4+リンパ球数を計算した。
【0046】
1.薬物処置前および処置後のアカゲザル内のCD4+リンパ球の動的変化
結果:図1および表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
上記結果は、サルにSIVを感染させた後、ウイルス負荷が増加する一方で、CD4細胞数は急激に減少することを証明していた。しかし、ZL−1処置群内で、感染から2および4週間後、45〜48%の細胞がウイルス攻撃を生き延び、AZT群内の35%の細胞が保護された。感染から6〜8週間後、ZL−1処置群内の32〜38%の細胞が依然として保護された。
【0049】
2.投薬前後のアカゲザル内のウイルス負荷の変化
結果を以下および図2に示した。
アカゲザル処置実験(アカゲザルのSIVmac251での急性感染)

投薬後(週) 1 2 3 4
阻害率(%) 17.0% 80.2% 70.7% 70.2%
【0050】
結果は、薬草組成物がアカゲザルのSIV感染に対して顕著な阻害効果を有することを証明した。
【0051】
AIDSの伝統的薬剤(AZT)は、90%を超える阻害率でSIVに対して顕著な阻害効果を有している。前記薬草組成物も、顕著な阻害効果を有している。投与範囲内で、阻害率を70〜80%に維持することができる。
【実施例3】
【0052】
本発明の薬草組成物の作用標的
1.ウイルス生活環における作用期の検出
目的:ウイルス生活環の時期(ウイルスの細胞侵入、逆転写酵素、インテグラーゼ、転写、およびプロテアーゼが含まれる)が薬草組成物によってターゲティングされることを観察することを目的とする。ウイルスの「単一生活環」モデルを使用して、薬物作用の標的を研究した。
【0053】
(1)MAGI法:組換えウイルスは、LTRおよびHIVを有する。β−ガラクトシダーゼのレポーター遺伝子を、ウイルス「単一生活環」モデルの一種を形成するように発現させる。上記のように、このモデルは、Hela−CD4細胞を染色するために、K4[Fe(CN)6]、K3[Fe(CN)6]、およびX−gelを使用する。顕微鏡下での青色細胞は、ウイルス遺伝子の存在を意味する。
【0054】
(2)ルシフェラーゼ法:
組換えおよびトランスフェクトされたVSVGウイルスおよびH9細胞株を採用した。実験方法は、照明によってルシフェラーゼ活性を検出することであった。ウイルス負荷が多いほど酵素活性が高いことを意味する。
【0055】
実験方法:ウイルス感染後、細胞を異なる群に分けた。感染から、0時間後、6時間後、12時間後、18時間後、24時間後、および36時間後にこれらを投与した。感染から48時間後に、MAGI法およびルシフェラーゼ法を採用した。
【0056】
上記の2つの試験方法は、「単一生活環」の両ウイルスモデルであった。その主な利点は、異なる感染時間がウイルス複製の異なる時期を示すことであった。2〜6時間で、ウイルスは細胞に侵入した。10〜14時間で、逆転写期に入った。20時間後、組換えおよび転写期に入った。結果として、異なる時点での投与は、特異的標的点に作用した。本発明の実験は、JHRおよびRb3の異なる標的点を分析した。
【0057】
図3に示すように、結果は、ZL−1が細胞へのウイルス侵入を遮断し、逆転写酵素期およびインテグラーゼ期に作用することを証明した。ハーブ組成物ZL−1中のルビア抽出物(CD)は、ウイルス侵入期および逆転写酵素期のみで活性である。ジンセノサイド(JHR)は、ウイルス侵入期およびインテグラーゼ期に有効であり、ハーブ組成物は任意の単一抽出物よりも優れている。
【0058】
2.共受容体CXCR4CCR5の検出
実験のために、MAGI法を採用した。この方法を、受容体としてTリンパ球向性リンパ球によってCXCR4受容体を検出する上記と同一の方法と共に使用し、ウイルスはNL4であった。マクロファージ向性リンパ球を使用して、CCR5受容体を検出し、ウイルスとしてウイルスYU2を使用した。結果を、図4に示した。
【0059】
図4からわかるように、薬草組成物は、共受容体CXCR4およびCCR5の両方に対して阻害効果を有していた。したがって、効果が、おそらく、Tリンパ球およびマクロファージ向性リンパ球の共通のCD4受容体に対する作用またはウイルス−細胞融合時の作用であることを証明することができる。これら2つの共受容体は、ターゲティングされなかった。
【0060】
3.CD4受容体に対する作用の検出
JHR(薬草組成物の一成分)を、本研究で使用した。
【0061】
測定にはフローサイトメトリー法を使用した。方法は以下であった:薬物を含むSupT1細胞を、37℃で2時間同時にインキュベートし、PBS+2%FCSで洗浄した。4℃の氷浴中で、CD4PEを添加し、30分間静置した。さらなる洗浄および遠心分離後、CD4モノクローナル抗体を添加し、その後、氷浴中で30分間インキュベートし、再度洗浄および遠心分離を行った後、氷浴中に静置した。細胞を、50μlの二次抗体抗マウスFITCに20分間懸濁し、その後、1回洗浄し、300〜500μlのPBS/2%CS+PI中に懸濁した。FACS試験を行った。試験結果を、図5に示した。
【0062】
結果は、JHRはCD4受容体に対して効果がないことを示した。
【0063】
4.ウイルス膜貫通タンパク質gp41の検出
本研究では、CDおよびJHRを採用した。CDは、ルビア(本薬草組成物の一成分)である。gp41(膜貫通タンパク質)の抱合効果の結果を、図6および7に示した。遺伝子組換えされたgp41を、BIACORE分析器のチップ上に配置した。一定濃度のルビアまたはJHR抽出物の添加後、装置は、抱合しているかどうかを検出することができる。CDおよびJHRは共にgp41との抱合を示した。
【実施例4】
【0064】
本発明の薬草組成物と他のAIDS治療薬との組み合わせ投与
目的:ZL−1とAZTとの間に任意の相乗効果が存在するかどうかを観察することを目的とする。ZL−1−JHR薬の一成分を使用する。
【0065】
方法:実験のために、MAGI試験法を採用した(上記と同一)。
1 単一薬剤の投与:
1μM〜3.9nMのAZT(AZT1〜5と指定した5回の投与)
400μg/ml〜1.56μg/mlのJHR15(5回の投与)
それぞれ得られたIC50

2 組み合わせ適用
1つのサンプルとしての半分のAZT+半分のJHR−1
AZT1+任意のJHR1〜JHR−5のいずれか
AZT2、AZT3、AZT4、AZT5を、JHR−1〜JHR−5のいずれかと組み合わせた。したがって、全部で25種の濃縮物の組み合わせを使用することができる。各濃縮物を、二連のウェル(2ウェル)中に配置した。細胞コントロールおよびウイルスコントロールのために、さらなる群を採取した。

3 阻害率についての各薬物組み合わせのウイルス群との比較。各薬物組み合わせの阻害率を、単一AZT IC50と比較して相違を得た。
【0066】
以下の表2は、JHR−1とAZTとの組み合わせ使用による結果を示す。
【0067】
【表2】

【0068】
表2に示すように、薬草組成物は、AZTと相乗薬物効果を有する。最大投与群では、7.9倍に増強することができる。
【実施例5】
【0069】
プロテアーゼインヒビターに耐性を示すHIV株に対する本発明の薬草組成物の一成分の阻害効果
本発明者らは、プロテアーゼインヒビターに耐性を示すHIV株に対する本発明の薬草組成物の阻害効果をさらに研究した。
【0070】
HIV−1ウイルスは、5.7×104IU/mlで発病力を有するプロテアーゼインヒビターに耐性を示す株であった。Hela−CD4細胞を採用した。MAGI試験法を使用して、JHRの効果を観察し、任意の交差反応性を示すかどうかを調査した。結果は、JHRの用量は0.4mg/mlであり、5μlまたは8μlのウイルスの阻害率はともに100%もの高さであることを示した。これらにより、プロテアーゼインヒビターに耐性を示す株に対するいくらかの効果が証明された。結果を、表3に示す。
【0071】
【表3】

【実施例6】
【0072】
本発明の薬草組成物の安全性実験
(A)本発明の薬草組成物のin vitroでの治療指標の検出を、表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
(B)本発明の薬草組成物のin vivoでの毒性実験
(1)急性毒性実験の結果は、ラットにおける20g/kgを超える用量での胃内投与で毒性が認められなかったことを示す。
(2)亜急性毒性実験の結果は、6ヶ月間の連続胃内投与後に、大量、中程度の量、および少量の投与群でラットは正常に成長し、CDを使用してAZT、BUN、RBC、WBCは全て正常であり、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、膵臓、脳、精巣、および卵巣などの器官の病理学的スライドにおいて異常は認められないことを示す。
【実施例7】
【0075】
本発明の薬草組成物の臨床試験
患者の供給源:2002年に、シンカイおよびシャンチウ(河南省)1,000人の患者を治療した後、60人の患者から採血した。サンプル選択時、被験体は、1992年から1995年までに他の者からの血液提供によってHIVに感染した被験体であった。27〜58歳の19人の男性および41人の女性の合計60人であった。年齢の中央値は38.9歳であり、全員が農業従事者であった。そのうち、59人がHCV−Ab試験で陽性であり、7人が梅毒PPR試験で陽性であり、2人がTBに二重感染しており、全員がHBV試験で陰性である。
【0076】
投与法(4カプセルを1日3回経口投与)
1.処置前後のウイルス負荷の変化
患者の血液サンプルを、処置前および処置から6ヶ月後に採取した。血漿を遠心分離し、−80℃で保存した。測定時、Rocherの定量RNA PCRおよび試薬キットの説明書にしたがって、第1のRNAサンプルを採取し、Rocher装置を使用してウイルス負荷(VL)を測定した。結果を、表5に示す。
【0077】
【表5】

【0078】
2.処置前後のP24−Agの変化
上記サンプルのP24−Agを測定するためのMicroelisa法および試薬の使用。結果を、表6に示す。
【0079】
【表6】

【0080】
表6中の結果に示すように、薬草組成物の採取後、患者の血漿中のVLは、治療6ヶ月後に非常に低下した。70%の患者が変化せず、30%で値がわずかに上昇した。
【0081】
3.処置前後のCD4測定
回収した血液サンプルについて、全血に対してフローサイトメトリーを実施してCD4を測定した。結果を表7に示す。
【0082】
【表7】

【0083】
表7の結果からわかるように、患者の血中CD4レベルは、薬草組成物の摂取後に顕著に上昇した。薬草組成物は、患者の血中CD4レベルを増強することができることが示された。投与から1ヶ月間でCD4数は倍増した。より多くの投薬を行った場合、CD4数は、継続的に急上昇した。6ヶ月以内の増加は、156.7%であった。CD4数は、300に近づいた。通常のCD4の標準数は、回収時に200を超えるが、患者では200未満である。
【0084】
さらに、中国本土でAIDS患者に現在使用されている補助的投薬は、30%〜50%の被験体で患者の血中CD4レベルを増強する論理的根拠に基づいて承認されなければならない。本発明者らは、6ヶ月間の薬草組成物(ZL−1)での処置後の全血CD4レベルも測定した。結果を、図8に示した。図8では、薬草組成物により、86%の患者でCD4レベルが30%を超えて増強され、80%の患者で50%を超えて増強され、37%の患者で400倍に増強された。
【0085】
4.処置前後の臨床症状の変化に関する患者60人の所見。結果を、表8A、8Bに示す。
【0086】
【表8A】

【0087】
【表8B】

【0088】
上記データにより、臨床症状および徴候が顕著に改善されたことが証明された。
【実施例8】
【0089】
本実施例は、遼寧省出身のNiXXと名付けた32歳の患者の典型的に症例を記載する。本発明の薬草組成物での処置前後のウイルス負荷の変化を表9に示す。投与法は、実施例1と同一である。
【0090】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】ZL−1処置サルにおけるCD4+リンパ球の動的変化を示す図である。
【図2】SIV感染サルのウイルス複製に対する薬草組成物の阻害効果を示す図である。
【図3】ルビア(CD)、ジンセノサイド(JH)、および本発明の薬草組成物(ZL−1)の作用標的の研究を示す図である。
【図4】CXCR4およびCCR5の共受容体に対する薬草組成物の効果を示す図である。
【図5】CD4受容体に対するJHR(薬草組成物の一成分)の効果の試験結果を示す図である。
【図6】ルビア(CD)およびgp41(膜貫通タンパク質)の抱合効果を示す図である。
【図7】gp41へのジンセノサイド(JHR)の抱合効果を示す図である。
【図8】6ヶ月間ZL−1処置を受けた患者のCD4の変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100重量部の組成物に基づいて、10〜30重量部のコガネヤナギおよび10〜25重量部のアカネの抽出粉末、18〜25重量部のジンセノサイド粉末、ならびに30〜55重量部のフユムシナツクサタケ粉末からなる薬草組成物。
【請求項2】
前記薬草組成物が、100重量部の組成物に基づいて、18重量部のコガネヤナギおよび17重量部のアカネの抽出粉末、18重量部のジンセノサイド粉末、ならびに47重量部のフユムシナツクサタケ粉末からなる、請求項1に記載の薬草組成物。
【請求項3】
前記コガネヤナギおよびアカネの抽出粉末またはジンセノサイド粉末が、エタノール抽出粉末であり、フユムシナツクサタケ粉末が、天然のフユムシナツクサタケまたは人工培養したフユムシナツクサタケの粉末である、請求項1または請求項2に記載の薬草組成物。
【請求項4】
a)原料薬物としてのコガネヤナギの粗ハーブを破砕し、4〜5倍のエタノールを添加して少なくとも6時間浸漬させ、浸漬したコガネヤナギおよび浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いで1〜4.5ml/kg/分の速度で濾過し、その後、エタノールを添加し、回収した浸透圧濾過液が前記粗ハーブの10〜20倍の重量になるまで同時に浸透圧濾過し、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を形成するように前記浸透圧濾過液を回収および濃縮し、前記濃縮液をコガネヤナギの抽出粉末に噴霧乾燥させる工程と、
b)同時または連続的に、アカネの粗ハーブを破砕し、4〜5倍のエタノールを添加して少なくとも6時間浸漬させ、浸漬したアカネおよび浸漬液を共に浸透圧濾過タンクに注いで1〜4.5ml/kg/分の速度で濾過し、その後、エタノールを添加し、回収した浸透圧濾過液が前記粗ハーブの10〜20倍の重量になるまで同時に浸透圧濾過し、水と濃縮液との重量比が1:1.1〜1.35の最終濃縮液を形成するように前記浸透圧濾過液を回収および濃縮し、前記濃縮液をアカネの抽出粉末に噴霧乾燥させる工程と、
c)100重量部の組成物に基づいて、10〜30重量部のコガネヤナギの抽出粉末、10〜25重量部のアカネの抽出粉末、18〜25重量部のジンセノサイド粉末、および30〜55重量部のフユムシナツクサタケ粉末を混合して、薬草組成物を得る工程と
を含む、請求項1に記載の薬草組成物の調製。
【請求項5】
前記エタノールが、30〜70%エタノールである、請求項4に記載の調製。
【請求項6】
抗HIV薬の調製のための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の薬草組成物の使用。
【請求項7】
前記薬草組成物を、通常の抗HIV薬と組み合わせて使用する、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記通常の抗HIV薬には、AZT、DDC、DDI、サキナビル、リトナビル、硫酸インジナビル、およびネフィナビルが含まれる、請求項7に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2008−514654(P2008−514654A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533855(P2007−533855)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001579
【国際公開番号】WO2006/034643
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507096249)ベイジン センチュリー ヘルス メディカル アンド ファーマシューティカル ディベロップメント エルティディ (1)
【Fターム(参考)】