説明

接合装置、接合方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】被処理基板と支持基板の接合を効率よく行い、接合処理のスループットを向上させる。
【解決手段】接合装置700は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部720と、被処理ウェハW又は支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部721と、被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部101と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部722とを有している。反転部721は、支持ウェハS又は被処理ウェハWを保持する保持部材と、前記保持部材に保持された支持ウェハS又は被処理ウェハWを水平軸周りに回動させると共に鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構と、前記保持部材に保持された支持ウェハS又は被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構770と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板と支持基板を接合する接合装置、当該接合装置を用いた接合方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理すると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、例えばウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。
【0003】
かかるウェハと支持基板の貼り合わせは、例えば貼り合わせ装置を用いて、ウェハと支持基板との間に接着剤を介在させることにより行われている。貼り合わせ装置は、例えばウェハを保持する第一保持部材と、支持基板を保持する第二保持部材と、ウェハと支持基板との間に配置される接着剤を加熱する加熱機構と、少なくとも第一保持部材又は第二保持部材を上下方向に移動させる移動機構とを有している。そして、この貼り合わせ装置では、ウェハと支持基板との間に接着剤を供給して、当該接着剤を加熱した後、ウェハと支持基板を押圧して貼り合わせている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−182016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の貼り合わせ装置を用いた場合、当該貼り合わせ装置の外部で例えばウェハの表裏面を反転させる必要がある。かかる場合、ウェハの表裏面を反転させた後、当該ウェハを貼り合わせ装置に搬送する必要があるため、接合処理全体のスループットに改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被処理基板と支持基板の接合を効率よく行い、接合処理のスループットを向上させること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板を接合する接合装置であって、前記接合装置の外部との間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を受け渡すための受渡部と、前記接着剤が塗布された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布された支持基板と接合される被処理基板の表裏面を反転させる反転部と、前記接着剤を介して、被処理基板と支持基板とを押圧して接合する接合部と、前記受渡部、前記反転部及び前記接合部に対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送部と、を有し、前記反転部は、支持基板又は被処理基板を保持する保持部材と、前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板を水平軸周りに回動させると共に鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構と、前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板の水平方向の向きを調節する位置調節機構と、を有することを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、接合装置内に反転部と接合部の両方が設けられているので、反転部において例えば支持基板の表裏面を反転させた後、搬送部によって当該支持基板を直ちに接合部に搬送することができる。そして、接合部において、接着剤が塗布された被処理基板と表裏面が反転された支持基板を接合できる。このように一の接合装置内で、支持基板の反転と、被処理基板と支持基板の接合とを共に行うことができる。したがって、被処理基板と支持基板の接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。なお、上記説明においては、被処理基板に接着剤を塗布して支持基板の表裏面を反転させていたが、支持基板に接着剤を塗布して被処理基板の表裏面を反転させてもよい。
【0009】
また、反転部は、移動機構によって支持基板の表裏面を反転させると共に、位置調節機構によって支持基板と被処理基板の水平方向の向きを調節することができる。したがって、接合部において支持基板と被処理基板を適切に接合することができる。また、一の反転部において、支持基板の反転と、支持基板と被処理基板の水平方向の向きの調節とを共に行っているので、被処理基板と支持基板の接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0010】
前記保持部材の側面には、支持基板又は被処理基板の外周部を保持するための切り欠きが形成されていてもよい。
【0011】
別な観点による本発明は、接合装置を用いて被処理基板と支持基板を接合する接合方法であって、前記接合装置は、前記接合装置の外部との間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を受け渡すための受渡部と、前記接着剤が塗布された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布された支持基板と接合される被処理基板の表裏面を反転させる反転部と、前記接着剤を介して、被処理基板と支持基板とを押圧して接合する接合部と、前記受渡部、前記反転部及び前記接合部に対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送部と、を有し、前記反転部は、支持基板又は被処理基板を保持する保持部材と、前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板を水平軸周りに回動させると共に鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構と、前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板の水平方向の向きを調節する位置調節機構と、を有し、前記接合方法は、前記接着剤が塗布された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布された支持基板と接合される被処理基板を、前記搬送部によって前記受渡部から前記反転部に搬送し、当該反転部において支持基板又は被処理基板の表裏面を反転させる反転工程と、その後、前記搬送部によって前記反転部から前記接合部に被処理基板又は支持基板を搬送し、当該接合部において、前記接着剤が塗布された被処理基板又は支持基板と、前記反転部において表裏面が反転された支持基板又は被処理基板とを接合する接合工程と、を有し、前記反転工程において、前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板は、前記位置調節機構によって水平方向の向きを調節された後、前記移動機構によって表裏面が反転されることを特徴としている。
【0012】
また別な観点による本発明によれば、前記接合方法を接合装置によって実行させるために、当該接合装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0013】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被処理基板と支持基板の接合を効率よく行い、接合処理のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】参考例としての実施の形態にかかる接合システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】参考例としての実施の形態にかかる接合システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図3】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図4】接合装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】接合装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】塗布装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図8】第1の熱処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】第1の熱処理装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図10】接合システム内に生じる気流の説明図である。
【図11】接合処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図12】第1の保持部を上昇させた様子を示す説明図である。
【図13】第2の保持部の中心部が撓んだ様子を示す説明図である。
【図14】支持ウェハの接合面全面が被処理ウェハの接合面全面に当接した様子を示す説明図である。
【図15】被処理ウェハと支持ウェハを接合した様子を示す説明図である。
【図16】他の実施の形態にかかる接合システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図17】検査装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図18】検査装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図19】接合システムと剥離システムを備えた基板処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図20】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図21】剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図22】第1の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図23】第1の洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図24】第2の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図25】第2の搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図26】剥離処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図27】第1の保持部と第2の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図28】第2の保持部を鉛直方向及び水平方向に移動させる様子を示す説明図である。
【図29】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図30】第1の保持部からベルヌーイチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図31】ベルヌーイチャックからポーラスチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図32】他の実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図33】他の実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図34】本実施の形態にかかる接合装置を備えた接合システムの構成の概略を示す平面図である。
【図35】接合装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図36】受渡部の構成の概略を示す平面図である。
【図37】受渡アームの構成の概略を示す平面図である。
【図38】受渡アームの構成の概略を示す側面図である。
【図39】反転部の構成の概略を示す平面図である。
【図40】反転部の構成の概略を示す側面図である。
【図41】反転部の構成の概略を示す側面図である。
【図42】保持アームと保持部材の構成の概略を示す側面図である。
【図43】搬送部の構成の概略を示す側面図である。
【図44】搬送部が接合装置内に配置された様子を示す説明図である。
【図45】第1の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図46】第1の搬送アームの構成の概略を示す側面図である。
【図47】第2の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図48】第2の搬送アームの構成の概略を示す側面図である。
【図49】第2の保持部に切り欠きが形成された様子を示す説明図である。
【図50】本実施の形態にかかる接合処理の主な工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の参考例としての実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0017】
接合システム1では、図3に示すように例えば接着剤Gを介して、被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとを接合する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を表面としての「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を裏面としての「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を表面としての「接合面S」といい、接合面Sと反対側の面を裏面としての「非接合面S」という。そして、接合システム1では、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合して、重合基板としての重合ウェハTを形成する。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面Wに複数の電子回路が形成されており、非接合面Wが研磨処理される。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0018】
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた接合処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0019】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、X方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理ウェハWと支持ウェハSとの接合に不具合が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCのうち、1つのカセットCを不具合ウェハの回収用として用い、他方のカセットCを正常な重合ウェハTの収容用として用いている。
【0020】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットC、C、Cと、後述する接合処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0021】
接合処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば接合処理ステーション3の正面側(図1中のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、接合処理ステーション3の背面側(図1中のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、接合処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1中のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0022】
例えば第1の処理ブロックG1の正面側(図1中のX方向負方向側)には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合装置30〜33が、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。また、第1の処理ブロックG1の背面側(図1中のX方向正方向側)には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転装置34〜37が、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。各接合装置30〜33と各反転装置34〜37は、それぞれ1対1で対応するように配置されている。
【0023】
例えば第2の処理ブロックG2には、図2に示すように被処理ウェハWに接着剤Gを塗布する塗布装置40と、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを第1の温度に加熱する第1の熱処理装置41〜43と、第1の温度に加熱された被処理ウェハWを、第1の温度よりも高い第2の温度にさらに加熱する第2の熱処理装置44〜46とが、搬入出ステーション2側に向かう方向(図1中のY方向負方向)にこの順で並べて配置されている。第1の熱処理装置41〜43は、下からこの順で3段に設けられている。同様に、第2の熱処理装置44〜46は、下からこの順で3段に設けられている。
【0024】
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。
【0025】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。なお、ウェハ搬送領域60内の圧力は大気圧以上であり、当該ウェハ搬送領域60において、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいわゆる大気系の搬送が行われる。
【0026】
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0027】
次に、上述した接合装置30〜33の構成について説明する。接合装置30は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0028】
処理容器100の内部には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部101が設けられている。接合部101は、被処理ウェハWを上面で載置して保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを下面で吸着保持する第2の保持部111とを有している。第1の保持部110は、第2の保持部111の下方に設けられ、第2の保持部111と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと第2の保持部111に保持された支持ウェハSは対向して配置されている。
【0029】
第1の保持部110の内部には、被処理ウェハWを吸着保持するための吸引管120が設けられている。吸引管120は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。なお、第1の保持部110には、後述する加圧機構170により荷重がかけられても変形しない強度を有する材料、例えば炭化ケイ素セラミックや窒化アルミセラミックなどのセラミックが用いられる。
【0030】
また、第1の保持部110の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構121が設けられている。加熱機構121には、例えばヒータが用いられる。
【0031】
第1の保持部110の下方には、第1の保持部110及び被処理ウェハWを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構130が設けられている。移動機構130は、第1の保持部110を例えば±1μmの精度で3次元移動させることができる。移動機構130は、第1の保持部110を鉛直方向に移動させる鉛直移動部131と、第1の保持部110を水平方向に移動させる水平移動部132とを有している。鉛直移動部131と水平移動部132は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とをそれぞれ有している。なお、第1の保持部110の下方には、被処理ウェハWの受け渡しを行うための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは、第1の保持部110を厚み方向に挿通し、鉛直方向に昇降自在に構成されている。
【0032】
水平移動部132上には、鉛直方向に伸縮自在の支持部材133が設けられている。支持部材133は、第1の保持部110の外側に例えば3箇所に設けられている。そして、支持部材133は、図5に示すように第2の保持部111の外周下面から下方に突出して設けられた突出部140を支持することができる。
【0033】
以上の移動機構130では、第1の保持部110上の被処理ウェハWの水平方向の位置合わせを行うことができると共に、図5に示すように第1の保持部110を上昇させて、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合するための接合空間Rを形成することができる。この接合空間Rは、第1の保持部110、第2の保持部111及び突出部140に囲まれた空間である。また、接合空間Rを形成する際、支持部材133の高さを調整することにより、接合空間Rにおける被処理ウェハWと支持ウェハS間の鉛直方向の距離を調整することができる。
【0034】
なお、第1の保持部110の下方には、被処理ウェハW又は重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第1の保持部110に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第1の保持部110の上面から突出可能になっている。
【0035】
第2の保持部111には、弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。そして、第2の保持部111は、後述するように第2の保持部111の全面に所定の圧力、例えば0.7気圧(=0.07MPa)がかかると、その一箇所、例えば中心部が撓むように構成されている。
【0036】
第2の保持部111の外周下面には、図4に示すように当該外周下面から下方に突出する上述の突出部140が形成されている。突出部140は、第2の保持部111の外周に沿って形成されている。なお、突出部140は、第2の保持部111と一体に形成されていてもよい。
【0037】
突出部140の下面には、接合空間Rの気密性を保持するためのシール材141が設けられている。シール材141は、突出部140の下面に形成された溝に環状に設けられ、例えばOリングが用いられる。また、シール材141は弾性を有している。なお、シール材141は、シール機能を有する部品であればよく、本実施の形態に限定されるものではない。
【0038】
第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管150が設けられている。吸引管150は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0039】
また、第2の保持部111の内部には、接合空間Rの雰囲気を吸気するための吸気管151が設けられている。吸気管151の一端は、第2の保持部111の下面における支持ウェハSが保持されない場所において開口している。また、吸気管151の他端は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0040】
さらに、第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構152を有している。加熱機構152には、例えばヒータが用いられる。
【0041】
第2の保持部111の上面には、当該第2の保持部111を支持する支持部材160と第2の保持部111を鉛直下方に押圧する加圧機構170が設けられている。加圧機構170は、被処理ウェハWと支持ウェハSを覆うように設けられた圧力容器171と、圧力容器171の内部に流体、例えば圧縮空気を供給する流体供給管172と、を有している。また、支持部材160は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、圧力容器171の外側に例えば3箇所に設けられている。
【0042】
圧力容器171は、例えば鉛直方向に伸縮自在の例えばステンレス製のベローズにより構成されている。圧力容器171は、その下面が第2の保持部111の上面に当接すると共に、上面が第2の保持部111の上方に設けられた支持板173の下面に当接している。流体供給管172は、その一端が圧力容器171に接続され、他端が流体供給源(図示せず)に接続されている。そして、圧力容器171に流体供給管172から流体を供給することで、圧力容器171が伸長する。この際、圧力容器171の上面と支持板173の下面とが当接しているので、圧力容器171は下方向にのみ伸長し、圧力容器171の下面に設けられた第2の保持部111を下方に押圧することができる。またこの際、圧力容器171の内部は流体により加圧されているので、圧力容器171は第2の保持部111を面内均一に押圧することができる。第2の保持部111を押圧する際の荷重の調節は、圧力容器171に供給する圧縮空気の圧力を調整することで行われる。なお、支持板173は、加圧機構170により第2の保持部111にかかる荷重の反力を受けても変形しない強度を有する部材により構成されているのが好ましい。なお、本実施の形態の支持板173を省略し、圧力容器171の上面を処理容器100の天井面に当接させてもよい。
【0043】
なお、接合装置31〜33の構成は、上述した接合装置30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0044】
次に、上述した塗布装置40の構成について説明する。塗布装置40は、図6に示すように内部を密閉可能な処理容器180を有している。処理容器180のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0045】
処理容器180内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック190が設けられている。スピンチャック190は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば被処理ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、被処理ウェハWをスピンチャック190上に吸着保持できる。
【0046】
スピンチャック190の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部191が設けられている。スピンチャック190は、チャック駆動部191により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部191には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック190は昇降自在になっている。
【0047】
スピンチャック190の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ192が設けられている。カップ192の下面には、回収した液体を排出する排出管193と、カップ192内の雰囲気を真空引きして排気する排気管194が接続されている。
【0048】
図7に示すようにカップ192のX方向負方向(図7中の下方向)側には、Y方向(図7中の左右方向)に沿って延伸するレール200が形成されている。レール200は、例えばカップ192のY方向負方向(図7中の左方向)側の外方からY方向正方向(図7中の右方向)側の外方まで形成されている。レール200には、アーム201が取り付けられている。
【0049】
アーム201には、図6及び図7に示すように被処理ウェハWに液体状の接着剤Gを供給する接着剤ノズル203が支持されている。アーム201は、図7に示すノズル駆動部204により、レール200上を移動自在である。これにより、接着剤ノズル203は、カップ192のY方向正方向側の外方に設置された待機部205からカップ192内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム201は、ノズル駆動部204によって昇降自在であり、接着剤ノズル203の高さを調節できる。
【0050】
接着剤ノズル203には、図6に示すように当該接着剤ノズル203に接着剤Gを供給する供給管206が接続されている。供給管206は、内部に接着剤Gを貯留する接着剤供給源207に連通している。また、供給管206には、接着剤Gの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群208が設けられている。
【0051】
なお、スピンチャック190の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面Wに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面Wと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
【0052】
次に、上述した第1の熱処理装置41〜43の構成について説明する。第1の熱処理装置41は、図8に示すように内部を閉鎖可能な処理容器210を有している。処理容器210のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0053】
処理容器210の天井面には、当該処理容器210の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口211が形成されている。ガス供給口211には、ガス供給源212に連通するガス供給管213が接続されている。ガス供給管213には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群214が設けられている。
【0054】
処理容器210の底面には、当該処理容器210の内部の雰囲気を吸引する吸気口215が形成されている。吸気口215には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置216に連通する吸気管217が接続されている。
【0055】
処理容器210の内部には、被処理ウェハWを加熱処理する加熱部220と、被処理ウェハWを温度調節する温度調節部221が設けられている。加熱部220と温度調節部221はY方向に並べて配置されている。
【0056】
加熱部220は、熱板230を収容して熱板230の外周部を保持する環状の保持部材231と、その保持部材231の外周を囲む略筒状のサポートリング232を備えている。熱板230は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理ウェハWを載置して加熱することができる。また、熱板230には、例えばヒータ233が内蔵されている。熱板230の加熱温度は例えば制御部300により制御され、熱板230上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に加熱される。
【0057】
熱板230の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン240が例えば3本設けられている。昇降ピン240は、昇降駆動部241により上下動できる。熱板230の中央部付近には、当該熱板230を厚み方向に貫通する貫通孔242が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン240は貫通孔242を挿通し、熱板230の上面から突出可能になっている。
【0058】
温度調節部221は、温度調節板250を有している。温度調節板250は、図9に示すように略方形の平板形状を有し、熱板230側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板250には、Y方向に沿った2本のスリット251が形成されている。スリット251は、温度調節板250の熱板230側の端面から温度調節板250の中央部付近まで形成されている。このスリット251により、温度調節板250が、加熱部220の昇降ピン240及び後述する温度調節部221の昇降ピン260と干渉するのを防止できる。また、温度調節板250には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵されている。温度調節板250の冷却温度は例えば制御部300により制御され、温度調節板250上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に冷却される。
【0059】
温度調節板250は、図8に示すように支持アーム252に支持されている。支持アーム252には、駆動部253が取り付けられている。駆動部253は、Y方向に延伸するレール254に取り付けられている。レール254は、温度調節部221から加熱部220まで延伸している。この駆動部253により、温度調節板250は、レール254に沿って加熱部220と温度調節部221との間を移動可能になっている。
【0060】
温度調節板250の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン260が例えば3本設けられている。昇降ピン260は、昇降駆動部261により上下動できる。そして、昇降ピン260はスリット251を挿通し、温度調節板250の上面から突出可能になっている。
【0061】
なお、第1の熱処理装置42、43の構成は、上述した第1の熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。また、第2の熱処理装置44〜46の構成も、上述した第1の熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0062】
また、接合システム1において被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理を行う際、上述した第1の熱処理装置41〜43内の圧力と第2の熱処理装置44〜46内の圧力は、それぞれウェハ搬送領域60に対して陰圧となっている。このため、各熱処理装置41〜46の処理容器210の開閉シャッタを開けると、図10の矢印に示すように、ウェハ搬送領域60から各熱処理装置41〜46に向かう気流が生じる。
【0063】
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0064】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。図11は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0065】
先ず、複数枚の被処理ウェハWを収容したカセットC、複数枚の支持ウェハSを収容したカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の被処理ウェハWが取り出され、接合処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、被処理ウェハWは、その非接合面Wが下方を向いた状態で搬送される。
【0066】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック190に受け渡され吸着保持される。このとき、被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持される。
【0067】
続いて、アーム201によって待機部205の接着剤ノズル203を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック190によって被処理ウェハWを回転させながら、接着剤ノズル203から被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gが塗布される(図11の工程A1)。
【0068】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって第1の熱処理装置41に搬送される。第1の熱処理装置41に被処理ウェハWが搬入されると、重合ウェハTはウェハ搬送装置61から予め上昇して待機していた昇降ピン260に受け渡される。続いて昇降ピン260を下降させ、被処理ウェハWを温度調節板250に載置する。
【0069】
その後、駆動部253により温度調節板250をレール254に沿って熱板230の上方まで移動させ、被処理ウェハWは予め上昇して待機していた昇降ピン240に受け渡される。その後、昇降ピン240が下降して、被処理ウェハWが熱板230上に載置される。そして、熱板230上の被処理ウェハWは、第1の温度、例えば100℃〜150℃に加熱される(図11の工程A2)。かかる熱板230による加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが硬化する。
【0070】
その後、昇降ピン240が上昇すると共に、温度調節板250が熱板230の上方に移動する。続いて被処理ウェハWが昇降ピン240から温度調節板250に受け渡され、温度調節板250がウェハ搬送領域60側に移動する。この温度調節板250の移動中に、被処理ウェハWは所定の温度に温度調節される。
【0071】
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって第2の熱処理装置44に搬送される。そして、第2の熱処理装置44において、被処理ウェハWが第2の温度、例えば150℃〜250℃に加熱される(図11の工程A3)。かかる加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが完全に硬化する。なお、第2の熱処理装置44における被処理ウェハWの加熱処理は、上述した第1の熱処理装置41における被処理ウェハWの加熱処理と同様であるので説明を省略する。
【0072】
第2の熱処理装置44で熱処理された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって反転装置34を通過して接合装置30に搬送される(図11の工程A4)。接合装置30に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部110に載置される。第1の保持部110上では、被処理ウェハWの接合面Wが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが載置される。
【0073】
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A4の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の支持ウェハSが取り出され、接合処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。このとき、支持ウェハSは、その非接合面Sが下方を向いた状態で搬送される。
【0074】
次に支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって反転装置34に搬送される。反転装置34では、支持ウェハSの表裏面が反転される(図11の工程A5)。すなわち、支持ウェハSの接合面Sが下方に向けられる。
【0075】
その後、支持ウェハSは接合装置30に搬送される(図11の工程A6)。接合装置30に搬送された支持ウェハSは、その接合面Sが下方を向いた状態で第2の保持部111に吸着保持される。
【0076】
接合装置30において、被処理ウェハWと支持ウェハSがそれぞれ第1の保持部110と第2の保持部111に保持されると、被処理ウェハWが支持ウェハSに対向するように、移動機構130により第1の保持部110の水平方向の位置が調整される(図11の工程A7)。なお、このとき、第2の保持部111と支持ウェハSとの間の圧力は例えば0.1気圧(=0.01MPa)である。また、第2の保持部111の上面にかかる圧力は大気圧である1.0気圧(=0.1MPa)である。この第2の保持部111の上面にかかる大気圧を維持するため、加圧機構170の圧力容器171内の圧力を大気圧にしてもよいし、第2の保持部111の上面と圧力容器171との間に隙間を形成してもよい。
【0077】
次に、図12に示すように移動機構130によって第1の保持部110を上昇させると共に、支持部材133を伸長させて第2の保持部111が支持部材133に支持される。この際、支持部材133の高さを調整することにより、被処理ウェハWと支持ウェハSとの鉛直方向の距離が所定の距離になるように調整される(図11の工程A8)。なお、この所定の距離は、シール材141が第1の保持部110に接触し、且つ後述するように第2の保持部111及び支持ウェハSの中心部が撓んだ際に、支持ウェハSの中心部が被処理ウェハWに接触する高さである。このようにして、第1の保持部110と第2の保持部111との間に密閉された接合空間Rが形成される。
【0078】
その後、吸気管151から接合空間Rの雰囲気を吸気する。そして、接合空間R内の圧力が例えば0.3気圧(=0.03MPa)に減圧されると、第2の保持部111には、第2の保持部111の上面にかかる圧力と接合空間R内の圧力との圧力差、すなわち0.7気圧(=0.07MPa)がかかる。そうすると、図13に示すように第2の保持部111の中心部が撓み、第2の保持部111に保持された支持ウェハSの中心部も撓む。なお、このように接合空間R内の圧力を0.3気圧(=0.03MPa)まで減圧しても、第2の保持部111と支持ウェハSとの間の圧力は0.1気圧(=0.01MPa)であるため、支持ウェハSは第2の保持部111に保持された状態を保っている。
【0079】
その後、さらに接合空間Rの雰囲気を吸気し、接合空間R内を減圧する。そして、接合空間R内の圧力が0.1気圧(=0.01MPa)以下になると、第2の保持部111が支持ウェハSを保持することができず、図14に示すように支持ウェハSは下方に落下して、支持ウェハSの接合面S全面が被処理ウェハWの接合面W全面に当接する。この際、支持ウェハSは、被処理ウェハWに当接した中心部から径方向外側に向かって順次当接する。すなわち、例えば接合空間R内にボイドとなりうる空気が存在している場合でも、空気は支持ウェハSが被処理ウェハWと当接している箇所より常に外側に存在することになり、当該空気を被処理ウェハWと支持ウェハSとの間から逃がすことができる。こうしてボイドの発生を抑制しつつ、被処理ウェハWと支持ウェハSは接着剤Gにより接着される(図11の工程A9)。
【0080】
その後、図15に示すように、支持部材133の高さを調整し、第2の保持部111の下面を支持ウェハSの非接合面Sに接触させる。このとき、シール材141が弾性変形し、第1の保持部110と第2の保持部111が密着する。そして、加熱機構121、152により被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度、例えば200℃で加熱しながら、加圧機構170により第2の保持部111を所定の圧力、例えば0.5MPaで下方に押圧する。そうすると、被処理ウェハWと支持ウェハSがより強固に接着され、接合される(図11の工程A10)。
【0081】
被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
【0082】
以上の実施の形態によれば、塗布装置40、第1の熱処理装置41、第2の熱処理装置44において被処理ウェハWを順次処理して当該被処理ウェハWに接着剤Gを塗布すると共に、反転装置34において支持ウェハSの表裏面を反転させる。その後、接合装置30において、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWと表裏面が反転された支持ウェハSとを接合する。このように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを並行して処理することができる。また、接合装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する間に、塗布装置40、第1の熱処理装置41、第2の熱処理装置44及び反転装置34において、別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。
【0083】
また、第1の熱処理装置41と第2の熱処理装置44において、被処理ウェハWの熱処理を2段階で行うことができるので、第1の熱処理装置41と第2の熱処理装置42における加熱機構自体の温度を一定にできる。したがって、従来のように加熱機構の温度調節をする必要もなく、接合処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0084】
また、被処理ウェハWに塗布された接着剤Gを高温で急速に加熱した場合、接着剤G中の溶剤が揮発し、当該接着剤Gの表面に凹凸が発生する場合がある。この点、本実施の形態によれば、第1の熱処理装置41と第2の熱処理装置44において、被処理ウェハWの熱処理を2段階で行うことができるので、接着剤Gの表面を平坦に維持することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理を適切に行うことができる。
【0085】
また、第1の熱処理装置41の内部及び第2の熱処理装置44の内部は、それぞれ不活性ガス雰囲気に維持可能であるので、被処理ウェハW上に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。このため、被処理ウェハWの熱処理を適切に行うことができる。
【0086】
さらに、第1の熱処理装置41内の圧力及び前記第2の熱処理装置44内の圧力は、それぞれウェハ搬送領域60内の圧力に対して陰圧となっている。このため、各熱処理装置41、44の処理容器の開閉シャッタを開けると、ウェハ搬送領域60から各熱処理装置41、44に向かう気流が生じる。したがって、各熱処理装置41、44内の加熱された雰囲気がウェハ搬送領域60に流入せず、ウェハ搬送領域60内で搬送されている被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを所定の温度で適切に搬送することができる。
【0087】
以上の実施の形態の接合システム1において、図16に示すように接合装置30で接合された重合ウェハTを検査する検査装置310をさらに設けてもよい。検査装置310は、例えば第3の処理ブロックG3の最上層に配置される。
【0088】
検査装置310は、図17に示すように処理容器320を有している。処理容器320のウェハ搬送領域60側の側面には、重合ウェハTを搬入出させる搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0089】
処理容器320内には、図17に示すように重合ウェハTを吸着保持するチャック330が設けられている。このチャック330は、例えばモータなどを備えたチャック駆動部331によって回転、停止が自在であり、重合ウェハTの位置を調節するアライメント機能を有している。処理容器320の底面には、処理容器320内の一端側(図17中のY方向負方向側)から他端側(図17中のY方向正方向側)まで延伸するレール332が設けられている。チャック駆動部331は、レール332上に取り付けられている。このチャック駆動部331により、チャック330はレール332に沿って移動可能であり、昇降自在になっている。
【0090】
処理容器320内の他端側(図17中のY方向正方向側)の側面には、撮像部340が設けられている。撮像部340には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。処理容器320の上部中央付近には、ハーフミラー341が設けられている。ハーフミラー341は、撮像部340と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー341の上方には、重合ウェハTに赤外線を照射する赤外線照射部342が設けられ、ハーフミラー341と赤外線照射部342は、処理容器320の上面に固定されている。また、赤外線照射部342は、図18に示すようにX方向に延伸している。
【0091】
かかる場合、上述した接合装置30において工程A10で接合された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によって検査装置310に搬送される。検査装置310に搬入された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61からチャック330に受け渡される。その後、チャック駆動部331によりチャック330をレール332に沿って移動させ、移動中の重合ウェハTに赤外線照射部342から赤外線を照射する。そして、ハーフミラー341を介して撮像部340により重合ウェハT全面を撮像する。撮像された重合ウェハTの画像は制御部300に出力され、当該制御部300において重合ウェハTの接合が適切に行われているか否か、例えば重合ウェハT中のボイドの有無等を検査する。その後、重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCに搬送される。
【0092】
以上の実施の形態によれば、検査装置310において重合ウェハTを検査することができるので、検査結果に基づいて接合システム1における処理条件を補正することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切に接合することができる。
【0093】
また、以上の実施の形態の接合システム1において、第2の熱処理装置44で熱処理された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
【0094】
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程A1〜A4を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面Sに接着剤Gを塗布する。また、上述した工程A5及びA6を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程A7〜A10を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。
【0095】
また、以上の実施の形態では、塗布装置40において被処理ウェハWと支持ウェハSのいずれか一方に接着剤Gを塗布していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの両方に接着剤Gを塗布してもよい。
【0096】
また、以上の実施の形態では、接合装置30において第1の保持部110を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部110と第2の保持部111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
【0097】
また、以上の実施の形態では、塗布装置40は1本の接着剤ノズル203を有していたが、例えば2本の接着剤ノズルを有していてもよい。かかる場合、2種類の接着剤を用いる場合にも対応することができ、また一の接着剤を接合評価用として用いることができる。
【0098】
ここで、接合システム1で接合された重合ウェハTは、接合システム1の外部において被処理ウェハWの非接合面Wの研磨処理等の所定の処理が行われる。その後、重合ウェハTが被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離され、被処理ウェハWが製品化される。
【0099】
本実施の形態において、図19に示すように接合システム1を備えた基板処理システム350は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離システム400をさらに有していてもよい。
【0100】
剥離システム400では、図20に示す接着剤Gで接合された重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。このとき、被処理ウェハWの接合面Wには上述したように複数の電子回路が形成されている。また、被処理ウェハWの非接合面Wは研磨処理され、被処理ウェハWが薄型化(例えば厚みが50μm)されている。
【0101】
剥離システム400は、図19に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション401と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション402と、剥離処理ステーション402に隣接する後処理ステーション403との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション404とを一体に接続した構成を有している。
【0102】
搬入出ステーション401と剥離処理ステーション402は、X方向(図19中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション401と剥離処理ステーション402との間には、ウェハ搬送領域405が形成されている。また、インターフェイスステーション404は、搬入出ステーション401、剥離処理ステーション402及びウェハ搬送領域405のY方向負方向側(図19中の左方向側)に配置されている。
【0103】
搬入出ステーション401には、カセット載置台410が設けられている。カセット載置台410には、複数、例えば3つのカセット載置板411が設けられている。カセット載置板411は、Y方向(図19中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板411には、剥離システム400の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション401は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板411の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション401に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0104】
ウェハ搬送領域405には、第1の搬送装置420が配置されている。第1の搬送装置420は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置420は、ウェハ搬送領域405内を移動し、搬入出ステーション401と剥離処理ステーション402との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0105】
剥離処理ステーション402は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置430を有している。剥離装置430のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置431が配置されている。剥離装置430と第1の洗浄装置431との間には、他の搬送装置としての第2の搬送装置432が設けられている。また、剥離装置430のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置433が配置されている。このように剥離処理ステーション402には、第1の洗浄装置431、第2の搬送装置432、剥離装置430、第2の洗浄装置433が、インターフェイスステーション404側からこの順で並べて配置されている。
【0106】
インターフェイスステーション404には、X方向に延伸する搬送路440上を移動自在な他の搬送装置としての第3の搬送装置441が設けられている。第3の搬送装置441は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション402と後処理ステーション403との間で被処理ウェハWを搬送できる。
【0107】
なお、後処理ステーション403では、剥離処理ステーション402で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上の電子回路の電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
【0108】
次に、上述した剥離装置430の構成について説明する。剥離装置430は、図21に示すように内部を密閉可能な処理容器500を有している。処理容器500の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0109】
処理容器500の底面には、当該処理容器500の内部の雰囲気を吸引する吸気口501が形成されている。吸気口501には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置502に連通する吸気管503が接続されている。
【0110】
処理容器500の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部510と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部511とが設けられている。第1の保持部510は、第2の保持部511の上方に設けられ、第2の保持部511と対向するように配置されている。すなわち、処理容器500の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
【0111】
第1の保持部510には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部510は、平板状の本体部520を有している。本体部520の下面側には、多孔質体521が設けられている。多孔質体521は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、多孔質体521としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0112】
また、本体部520の内部であって多孔質体521の上方には吸引空間522が形成されている。吸引空間522は、例えば多孔質体521を覆うように形成されている。吸引空間522には、吸引管523が接続されている。吸引管523は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管523から吸引空間522と多孔質体521を介して被処理ウェハの非接合面Wが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部510に吸着保持される。
【0113】
また、本体部520の内部であって吸引空間522の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構524が設けられている。加熱機構524には、例えばヒータが用いられる。
【0114】
第1の保持部510の上面には、当該第1の保持部を支持する支持板530が設けられている。支持板530は、処理容器500の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板530を省略し、第1の保持部510は処理容器500の天井面に当接して支持されてもよい。
【0115】
第2の保持部511の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管540が設けられている。吸引管540は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0116】
また、第2の保持部511の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構541が設けられている。加熱機構541には、例えばヒータが用いられる。
【0117】
第2の保持部511の下方には、第2の保持部511及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構550が設けられている。移動機構550は、第2の保持部511を鉛直方向に移動させる鉛直移動部551と、第2の保持部511を水平方向に移動させる水平移動部552とを有している。
【0118】
鉛直移動部551は、第2の保持部511の下面を支持する支持板560と、支持板560を昇降させる駆動部561と、支持板560を支持する支持部材562とを有している。駆動部561は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材562は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板560と後述する支持体571との間に例えば3箇所に設けられている。
【0119】
水平移動部552は、X方向(図21中の左右方向)に沿って延伸するレール570と、レール570に取り付けられる支持体571と、支持体571をレール570に沿って移動させる駆動部572とを有している。駆動部572は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
【0120】
なお、第2の保持部511の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部511に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部511の上面から突出可能になっている。
【0121】
次に、上述した第1の洗浄装置431の構成について説明する。第1の洗浄装置431は、図22に示すように内部を密閉可能な処理容器580を有している。処理容器580の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0122】
処理容器580内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック590が設けられている。ポーラスチャック590は、平板状の本体部591と、本体部591の上面側に設けられた多孔質体592とを有している。多孔質体592は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、多孔質体592としては例えば炭化ケイ素が用いられる。多孔質体592には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管から多孔質体592を介して被処理ウェハWの非接合面Wを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック590上に吸着保持できる。
【0123】
ポーラスチャック590の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部593が設けられている。ポーラスチャック590は、チャック駆動部593により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部593には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック590は昇降自在になっている。
【0124】
ポーラスチャック590の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ594が設けられている。カップ594の下面には、回収した液体を排出する排出管595と、カップ594内の雰囲気を真空引きして排気する排気管596が接続されている。
【0125】
図23に示すようにカップ594のX方向負方向(図23中の下方向)側には、Y方向(図23中の左右方向)に沿って延伸するレール600が形成されている。レール600は、例えばカップ594のY方向負方向(図23中の左方向)側の外方からY方向正方向(図23中の右方向)側の外方まで形成されている。レール600には、アーム601が取り付けられている。
【0126】
アーム601には、図22及び図23に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル603が支持されている。アーム601は、図23に示すノズル駆動部604により、レール600上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル603は、カップ594のY方向正方向側の外方に設置された待機部605からカップ594内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム601は、ノズル駆動部604によって昇降自在であり、洗浄液ノズル603の高さを調節できる。
【0127】
洗浄液ノズル603には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル603には、図22に示すように当該洗浄液ノズル603に洗浄液を供給する供給管610が接続されている。供給管610は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源611に連通している。供給管610には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群612が設けられている。また、洗浄液ノズル603には、当該洗浄液ノズル603に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管613が接続されている。供給管613は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源614に連通している。供給管613には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群615が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル603内で混合され、当該洗浄液ノズル603から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
【0128】
なお、ポーラスチャック590の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック590に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック590の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック590を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック590との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。
【0129】
また、第2の洗浄装置433の構成は、上述した第1の洗浄装置431の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置433には、図24に示すように第1の洗浄装置431のポーラスチャック590に代えて、スピンチャック620が設けられる。スピンチャック620は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック620上に吸着保持できる。第2の洗浄装置433のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置431の構成と同様であるので説明を省略する。
【0130】
なお、第2の洗浄装置433において、スピンチャック620の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面Wに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面Wと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
【0131】
次に、上述した第2の搬送装置432の構成について説明する。第2の搬送装置432は、図25に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック630を有している。ベルヌーイチャック630は、空気を噴出することにより被処理ウェハWを浮遊させ、非接触の状態で被処理ウェハWを吸引懸垂し保持することができる。ベルヌーイチャック630は、支持アーム631に支持されている。支持アーム631は、第1の駆動部632に支持されている。この第1の駆動部632により、支持アーム631は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部632の下方には、第2の駆動部633が設けられている。この第2の駆動部633により、第1の駆動部632は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
【0132】
なお、第3の搬送装置441は、上述した第2の搬送装置432と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置441の第2の駆動部633は、図19に示した搬送路440に取り付けられ、第3の搬送装置441は搬送路440上を移動可能になっている。
【0133】
次に、以上のように構成された剥離システム400を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図26は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0134】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットC、空のカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション401の所定のカセット載置板411に載置される。第1の搬送装置420によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション402の剥離装置430に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0135】
剥離装置430に搬入された重合ウェハTは、第2の保持部511に吸着保持される。その後、移動機構550により第2の保持部511を上昇させて、図27に示すように第1の保持部510と第2の保持部511で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部510に被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持され、第2の保持部511に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。
【0136】
その後、加熱機構524、541によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。
【0137】
続いて、加熱機構524、541によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図28に示すように移動機構550によって第2の保持部511と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、図29に示すように第1の保持部510に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部511に保持された支持ウェハSとが剥離される(図26の工程B1)。
【0138】
このとき、第2の保持部511は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面Wに形成された電子回路(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば第2の保持部511を水平方向にのみ移動させた場合、電子回路と支持ウェハSが接触し、電子回路が損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように第2の保持部511を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部511の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上の電子回路(バンプ)の高さに基づいて設定される。
【0139】
その後、剥離装置430で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置432によって第1の洗浄装置431に搬送される。ここで、第2の搬送装置432による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
【0140】
図30に示すように支持アーム631を伸長させて、ベルヌーイチャック630を第1の保持部510に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック630を上昇させ、第1の保持部510における吸引管523からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部510からベルヌーイチャック630に被処理ウェハWが受け渡される。このとき、被処理ウェハWの接合面Wがベルヌーイチャック630に保持されるが、ベルヌーイチャック630は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面W上の電子回路が損傷を被ることはない。
【0141】
次に図31に示すように、支持アーム631を回動させてベルヌーイチャック630を第1の洗浄装置431のポーラスチャック590の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック630を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック590をカップ594よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック630からポーラスチャック590に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
【0142】
このようにポーラスチャック590に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック590を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム601によって待機部605の洗浄液ノズル603を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック590によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル603から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される(図26の工程B2)。
【0143】
ここで、上述したように搬入出ステーション401に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0144】
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程B2で接合面Wが洗浄された後、第3の搬送装置441によって後処理ステーション403に搬送される。なお、この第3の搬送装置441による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置432による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。その後、後処理ステーション403において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図26の工程B3)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
【0145】
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程B2で接合面Wが洗浄された後、第1の搬送装置420によって搬入出ステーション401に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション401から外部に搬出され回収される(図26の工程B4)。
【0146】
被処理ウェハWに上述した工程B2〜B4が行われている間、剥離装置430で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置420によって第2の洗浄装置433に搬送される。そして、第2の洗浄装置433において、支持ウェハSの接合面Sが洗浄される(図26の工程B5)。なお、第2の洗浄装置433における支持ウェハSの洗浄は、上述した第1の洗浄装置431における被処理ウェハWの洗浄と同様であるので説明を省略する。
【0147】
その後、接合面Sが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置420によって搬入出ステーション401に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション401から外部に搬出され回収される(図26の工程B6)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0148】
以上の実施の形態によれば、基板処理システム350は接合システム1と剥離システム400を備えているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理と剥離処理を共に行うことができる。したがって、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0149】
また、剥離システム400では、剥離装置430において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置431において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置433において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム400内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置431と第2の洗浄装置433において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置430において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置431と第2の洗浄装置433において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
【0150】
また、剥離処理ステーション402で剥離された被処理ウェハWが正常な被処理ウェハWである場合、後処理ステーション5において当該被処理ウェハWに所定の後処理が行われ、製品化される。一方、剥離処理ステーション402で剥離された被処理ウェハWが欠陥のある被処理ウェハWである場合、当該被処理ウェハWは搬入出ステーション401から回収される。このように正常な被処理ウェハWのみが製品化されるので、製品の歩留まりを向上させることができる。また、欠陥のある被処理ウェハWを回収し、欠陥の程度によってはこの被処理ウェハWを再利用することもでき、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
【0151】
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0152】
また、剥離装置430で剥離された支持ウェハSは、洗浄後、搬入出ステーション401から回収されるので、当該支持ウェハSを再利用することができる。したがって、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
【0153】
また、第2の搬送装置432と第3の搬送装置441は被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック630を有しているので、被処理ウェハWが薄型化していても当該被処理ウェハWを適切に保持することができる。さらに、第2の搬送装置432においては、被処理ウェハWの接合面Wがベルヌーイチャック630に保持されるが、ベルヌーイチャック630は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面W上の電子回路が損傷を被ることはない。
【0154】
以上の実施の形態の剥離システム400において、図32に示すように剥離処理ステーション402で剥離された被処理ウェハWを検査する他の検査装置としての検査装置640をさらに設けてもよい。検査装置640は、例えば剥離処理ステーション402と後処理ステーション403との間に配置される。また、かかる場合、インターフェイスステーション404内の搬送路440はY方向に延伸し、検査装置640はこのインターフェイスステーション404のX方向正方向側に配置される。
【0155】
そして、検査装置640では、被処理ウェハWの表面(接合面W)の検査が行われる。具体的には、例えば被処理ウェハW上の電子回路の損傷や、被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣などが検査される。
【0156】
また、図32に示すようにインターフェイスステーション404のX方向負方向側に、被処理ウェハWの洗浄装置641をさらに配置してもよい。かかる場合、検査装置640で被処理ウェハW上に接着剤Gの残渣が発見させると、当該被処理ウェハWは洗浄装置641に搬送され洗浄される。
【0157】
以上の実施の形態によれば、検査装置640において被処理ウェハWを検査することができるので、検査結果に基づいて剥離システム400における処理条件を補正することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切に剥離することができる。
【0158】
なお、上述した検査装置640は、図33に示すようにインターフェイスステーション404の内部に設けられていてもよい。
【0159】
以上の実施の形態では、剥離装置430において第2の保持部511を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第1の保持部510を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部510と第2の保持部511の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
【0160】
以上の剥離装置430において第2の保持部511を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部511を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部511の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部511を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部511を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部511の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部511の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。
【0161】
また、以上の実施の形態では、剥離装置430において第2の保持部511を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、第2の保持部511を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避できると共に、第2の保持部511の移動の制御が容易になる。さらに、第2の保持部511を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよく、第2の保持部511の外周部端部を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
【0162】
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
【0163】
以上の実施の形態の第2の搬送装置432において、ベルヌーイチャック630の表面には、洗浄液を供給するための複数の供給口(図示せず)が形成されていてもよい。かかる場合、ベルヌーイチャック630から第1の洗浄装置431のポーラスチャック590に被処理ウェハWを受け渡す際、ベルヌーイチャック630から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給して当該接合面Wを洗浄すると共に、ベルヌーイチャック630自体も洗浄することができる。そうすると、その後の第1の洗浄装置431における被処理ウェハWの洗浄時間を短縮することができ、剥離処理のスループットをさらに向上させることができる。しかも、ベルヌーイチャック630も洗浄できるので、次の被処理ウェハWを適切に搬送することができる。
【0164】
以上の実施の形態では、第3の搬送装置441はベルヌーイチャック630を有していたが、このベルヌーイチャック630に代えて、ポーラスチャック(図示せず)を有していてもよい。かかる場合でも、ポーラスチャックによって薄型化した被処理ウェハWを適切に吸着保持することができる。
【0165】
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置431と第2の洗浄装置433の洗浄液ノズル603には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル603の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル603として、洗浄液を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
【0166】
また、第1の洗浄装置431と第2の洗浄装置433において、洗浄液ノズル603に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル603からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面W、Sがより確実に洗浄される。
【0167】
以上の実施の形態の剥離システム400において、剥離装置430で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
【0168】
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション403において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本参考例は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
【0169】
次に、以上の実施の形態の接合システム1における接合装置30〜33と反転装置34〜37の構成についてより詳しく説明する。本実施の形態では、反転装置34は接合装置30の内部に当該接合装置30とそれぞれ一体に設けられ、図34に示すように接合システム1には、本発明の実施の形態にかかる接合装置700が配置されている。同様に、接合装置31〜33と反転装置35〜37についてもそれぞれ一体に形成され、それぞれ接合装置701〜703を構成している。そして、接合装置701〜703は、第1の処理ブロックG1に設けられ、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。なお、本実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハを接合する場合について説明する。
【0170】
接合装置700は、図35に示すように内部を密閉可能な処理容器710を有している。処理容器710のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口711が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0171】
処理容器710の内部は、内壁712によって、前処理領域D1と接合領域D2に区画されている。上述した搬入出口711は、前処理領域D1における処理容器710の側面に形成されている。また、内壁712にも、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口713が形成されている。なお、本実施の形態では、前処理領域D1が上記実施の形態における反転装置34に相当し、接合領域D2が上記実施の形態における接合装置30に相当する。
【0172】
前処理領域D1のY方向正方向側には、接合装置700の外部との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部720が設けられている。受渡部720は、搬入出口711に隣接して配置されている。また受渡部720は、鉛直方向に複数、例えば2段配置され、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。例えば一の受渡部720で接合前の被処理ウェハW又は支持ウェハSを受け渡し、他の受渡部720で接合後の重合ウェハTを受け渡してもよい。また、一の受渡部720で接合前の被処理ウェハWを受け渡し、他の受渡部720で接合前の支持ウェハSを受け渡してもよい。
【0173】
前処理領域D1のY方向負方向側、すなわち搬入出口713側には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部721が設けられている。なお、反転部721は、後述するように支持ウェハSの水平方向の向きを調節することもでき、また被処理ウェハWの水平方向の水平方向の向きを調節することもできる。
【0174】
接合領域D2のY方向正方向側には、受渡部720、反転部721及び接合部101に対して、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部722が設けられている。搬送部722は、搬入出口713に取り付けられている。
【0175】
接合領域D2のY方向負方向側には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部101が設けられている。接合部101の構成は、上記実施の形態の接合部101の構成と同様であるので説明を省略する。
【0176】
次に、上述した受渡部720の構成について説明する。受渡部720は、図36に示すように受渡アーム730とウェハ支持ピン731とを有している。受渡アーム730は、接合装置700の外部、すなわちウェハ搬送装置61とウェハ支持ピン731との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すことができる。ウェハ支持ピン731は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持することができる。
【0177】
受渡アーム730は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するアーム部740と、例えばモータなどを備えたアーム駆動部741とを有している。アーム部740は、略円板形状を有している。アーム駆動部741は、アーム部740をX方向(図36中の上下方向)に移動させることができる。またアーム駆動部741は、Y方向(図36中の左右方向)に延伸するレール742に取り付けられ、当該レール742上を移動可能に構成されている。かかる構成により、受渡アーム730は、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能となっており、ウェハ搬送装置61及びウェハ支持ピン731との間で、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを円滑に受け渡すことができる。
【0178】
アーム部740上には、図37及び図38に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持するウェハ支持ピン750が複数、例えば4箇所に設けられている。またアーム部740上には、ウェハ支持ピン750に支持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの位置決めを行うガイド751が設けられている。ガイド751は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの側面をガイドするように複数、例えば4箇所に設けられている。
【0179】
アーム部740の外周には、図36及び図37に示すように切り欠き752が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き752により、ウェハ搬送装置61の搬送アームから受渡アーム730に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡す際に、当該ウェハ搬送装置61の搬送アームがアーム部740と干渉するのを防止できる。
【0180】
アーム部740には、X方向に沿った2本のスリット753が形成されている。スリット753は、アーム部740のウェハ支持ピン731側の端面からアーム部740の中央部付近まで形成されている。このスリット753により、アーム部740がウェハ支持ピン731と干渉するのを防止できる。
【0181】
次に、上述した反転部721の構成について説明する。反転部721は、図39〜図41に示すように支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持アーム760を有している。保持アーム760は、水平方向(図39及び図40中のX方向)に延伸している。また保持アーム760には、支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持部材761が例えば4箇所に設けられている。保持部材761は、図42に示すように保持アーム760に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材761の側面には、支持ウェハS、被処理ウェハWの外周部を保持するための切り欠き762が形成されている。そして、これら保持部材761は、支持ウェハS、被処理ウェハWを挟み込んで保持することができる。
【0182】
保持アーム760は、図39〜図41に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部763に支持されている。この第1の駆動部763によって、保持アーム760は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向(図39及び図40中のX方向、図39及び図41のY方向)に移動できる。なお、第1の駆動部763は、保持アーム760を鉛直軸周りに回動させて、当該保持アーム760を水平方向に移動させてもよい。第1の駆動部763の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部764が設けられている。この第2の駆動部764によって、第1の駆動部763は鉛直方向に延伸する支持柱765に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部763と第2の駆動部764によって、保持部材761に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。なお、これら第1の駆動部763と第2の駆動部764が本発明の移動機構を構成している。
【0183】
支持柱765には、保持部材761に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構770が支持板771を介して支持されている。位置調節機構770は、保持アーム760に隣接して設けられている。
【0184】
位置調節機構770は、基台772と、支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出する検出部773とを有している。そして、位置調節機構770では、保持部材761に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWを水平方向に移動させながら、検出部773で支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節している。
【0185】
次に、上述した搬送部722の構成について説明する。搬送部722は、図43に示すように複数、例えば2本の搬送アーム780、781を有している。第1の搬送アーム780と第2の搬送アーム781は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置されている。なお、第1の搬送アーム780と第2の搬送アーム781は、後述するように異なる形状を有している。
【0186】
搬送アーム780、781の基端部には、例えばモータなどを備えたアーム駆動部782が設けられている。このアーム駆動部782によって、各搬送アーム780、781は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム780、781とアーム駆動部782は、基台783に支持されている。
【0187】
搬送部722は、図35及び図44に示すように処理容器710の内壁712に形成された搬入出口713に設けられている。そして、搬送部722は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって搬入出口713に沿って鉛直方向に移動できる。
【0188】
第1の搬送アーム780は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面(被処理ウェハW、支持ウェハSにおいては非接合面W、S)を保持して搬送する。第1の搬送アーム780は、図45に示すように先端が2本の先端部790a、790aに分岐したアーム部790と、このアーム部790と一体に形成され、且つアーム部790を支持する支持部791とを有している。
【0189】
アーム部790上には、図45及び図46に示すように第1の保持部材としての樹脂製のOリング792が複数、例えば4箇所に設けられている。このOリング792が被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面と接触し、当該Oリング792と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間の摩擦力によって、Oリング792は被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面を保持する。そして、第1の搬送アーム780は、Oリング792上に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを水平に保持することができる。
【0190】
またアーム部790上には、Oリング792に保持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外側に設けられたガイド部材793、794が設けられている。第1のガイド部材793は、アーム部790の先端部790aの先端に設けられている。第2のガイド部材794は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外周に沿った円弧状に形成され、支持部791側に設けられている。これらガイド部材793、794によって、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム780から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。なお、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTがOリング792に適切な位置で保持されている場合、当該被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTはガイド部材793、794と接触しない。
【0191】
第2の搬送アーム781は、例えば支持ウェハSの表面、すなわち接合面Sの外周部を保持して搬送する。すなわち、第2の搬送アーム781は、反転部721で表裏面が反転された支持ウェハSの接合面Sの外周部を保持して搬送する。第2の搬送アーム781は、図47に示すように先端が2本の先端部800a、800aに分岐したアーム部800と、このアーム部800と一体に形成され、且つアーム部800を支持する支持部801とを有している。
【0192】
アーム部800上には、図47及び図48に示すように第2の保持部材802が複数、例えば4箇所に設けられている。第2の保持部材802は、支持ウェハSの接合面Sの外周部を載置する載置部803と、当該載置部803から上方に延伸し、内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているテーパ部804とを有している。載置部803は、支持ウェハSの周縁から例えば1mm以内の外周部を保持する。また、テーパ部804の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第2の保持部材802に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、支持ウェハSはテーパ部804に円滑にガイドされて位置決めされ、載置部803に保持される。そして、第2の搬送アーム781は、第2の保持部材802上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
【0193】
なお、図49に示すように接合部101の第2の保持部111には切り欠き111aが例えば4箇所に形成されている。この切り欠き111aにより、第2の搬送アーム781から第2の保持部111に支持ウェハSを受け渡す際に、第2の搬送アーム781の第2の保持部材802が第2の保持部111に干渉するのを防止することができる。
【0194】
なお、接合装置701〜703の構成は、上述した接合装置700の構成と同様であるので説明を省略する。
【0195】
本実施の形態にかかる接合装置700〜703は以上のように構成されている。次に、これら接合装置700〜703を備えた接合システム1で行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。図50は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0196】
先ず、塗布装置40において、被処理ウェハWの接合面Wに接着剤Gが塗布される(図50の工程C1)。その後、被処理ウェハWは、第1の熱処理装置41において第1の温度に加熱された後(図50の工程C2)、第2の熱処理装置44において第2の温度に加熱される(図50の工程C3)。その後、被処理ウェハWは接合装置700に搬送される。なお、これら工程C1〜C3については、上記実施の形態の工程A1〜A3と同様であるので説明を省略する。
【0197】
接合装置700に搬送された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61から受渡部720の受渡アーム730に受け渡された後、さらに受渡アーム730からウェハ支持ピン731に受け渡される。その後、被処理ウェハWは、搬送部522の第1の搬送アーム780によってウェハ支持ピン731から反転部721に搬送される。
【0198】
反転部721に搬送された被処理ウェハWは、保持部材761に保持され、位置調節機構770に移動される。そして、位置調節機構770において、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される(図50の工程C4)。
【0199】
その後、被処理ウェハWは、搬送部522の第1の搬送アーム780によって反転部721から接合部101に搬送される。接合部101に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部110に載置される(図50の工程C5)。第1の保持部110上では、被処理ウェハWの接合面Wが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが載置される。
【0200】
被処理ウェハWに上述した工程C1〜C5の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって接合装置700に搬送される。なお、支持ウェハSが接合装置700に搬送される工程については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0201】
接合装置700に搬送された支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61から受渡部720の受渡アーム730に受け渡された後、さらに受渡アーム730からウェハ支持ピン731に受け渡される。その後、支持ウェハSは、搬送部522の第1の搬送アーム780によってウェハ支持ピン731から反転部721に搬送される。
【0202】
反転部721に搬送された支持ウェハSは、保持部材761に保持され、位置調節機構770に移動される。そして、位置調節機構770において、支持ウェハSのノッチ部の位置を調節して、当該支持ウェハSの水平方向の向きが調節される(図50の工程C6)。水平方向の向きが調節された支持ウェハSは、位置調節機構770から水平方向に移動され、且つ鉛直方向上方に移動された後、その表裏面が反転される(図50の工程C7)。すなわち、支持ウェハSの接合面Sが下方に向けられる。
【0203】
その後、支持ウェハSは、鉛直方向下方に移動された後、搬送部522の第2の搬送アーム781によって反転部721から接合部101に搬送される。このとき、第2の搬送アーム781は、支持ウェハSの接合面Sの外周部のみを保持しているので、例えば第2の搬送アーム781に付着したパーティクル等によって接合面Sが汚れることはない。接合部101に搬送された支持ウェハSは、第2の保持部111に吸着保持される(図50の工程C8)。第2の保持部111では、支持ウェハSの接合面Sが下方を向いた状態で支持ウェハSが保持される。
【0204】
その後、被処理ウェハWと支持ウェハSの水平方向の位置が調節され(図50の工程C9)、被処理ウェハWと支持ウェハSの鉛直方向の位置が調節される(図50の工程C10)。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSは接着剤Gにより接着された後(図50の工程C11)、被処理ウェハWと支持ウェハSが押圧されて強固に接合される(図50の工程C12)。なお、これら工程C9〜C12については、上記実施の形態の工程A7〜A10と同様であるので説明を省略する。
【0205】
被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、搬送部522の第1の搬送アーム780によって接合部110から受渡部520に搬送される。受渡部520に搬送された重合ウェハTは、ウェハ支持ピン731を介して受渡アーム730に受け渡され、さらに受渡アーム730からウェハ搬送装置61に受け渡される。その後、重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
【0206】
ここで、上述した特許文献1の貼り合わせ装置を用いた場合、当該貼り合わせ装置の外部でウェハの表裏面を反転させる必要がある。かかる場合、ウェハの表裏面を反転させた後、当該ウェハを貼り合わせ装置に搬送する必要があるため、接合処理全体のスループットに改善の余地があった。また、ウェハの表裏面を反転させると、ウェハの接合面が下方を向く。かかる場合に、通常のウェハの裏面を保持する搬送装置を用いた場合、ウェハの接合面が搬送装置に保持されることになり、例えば搬送装置にパーティクル等が付着している場合、当該パーティクルがウェハの接合面に付着するおそれがあった。さらに、特許文献1の貼り合わせ装置は、ウェハと支持基板の水平方向の向きを調節する機能を備えておらず、ウェハと支持基板がずれて接合されるおそれがあった。
【0207】
この点、本実施の形態によれば、接合装置700内に反転部721と接合部101の両方が設けられているので、支持ウェハSを反転させた後、搬送部722によって当該支持ウェハSを直ちに接合部101に搬送することができる。このように一の接合装置700内で、支持ウェハSの反転と、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合とを共に行っているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0208】
また、搬送部722の第2の搬送アーム781は、支持ウェハSの接合面Sの外周部を保持するので、例えば第2の搬送アーム781に付着したパーティクル等によって接合面Sが汚れることはない。また、搬送部722の第1の搬送アーム780は、被処理ウェハWの非接合面W、支持ウェハSの接合面S、重合ウェハTの裏面を保持して搬送する。このように搬送部722は、2種類の搬送アーム780、781を備えているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを効率よく搬送することができる。
【0209】
また、第2の搬送アーム781において、第2の保持部材802のテーパ部804は内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているので、例えば第2の保持部材802に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、テーパ部804によって支持ウェハSを円滑にガイドして位置決めすることができる。
【0210】
また、第1の搬送アーム780において、アーム部790上にはガイド部材793、794が設けられているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム780から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。
【0211】
また、反転部720は、第1の駆動部763によって支持ウェハSの表裏面を反転させると共に、位置調節機構770によって支持ウェハSと被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することができる。したがって、接合部101において支持ウェハSと被処理ウェハWを適切に接合することができる。また、一の反転部721において、支持ウェハSの反転と、支持ウェハSと被処理ウェハWの水平方向の向きの調節とを共に行っているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0212】
また、受渡部は、鉛直方向に2段に配置されているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。したがって、接合装置700の外部との間で、これら被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを効率よく受け渡すことができ、接合処理のスループットをより向上させることができる。
【0213】
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程C1〜C5を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面Sに接着剤Gを塗布して加熱した後、支持ウェハSの水平方向の向きを調節する。また、上述した工程C6〜C8を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの水平方向の向きを調節した後、被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程C9〜C12を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。
【0214】
以上の実施の形態では、搬送部722の第1の搬送アーム780は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するためにOリング792を有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば第1の保持部材としては、当該第1の保持部材と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間に摩擦力が発生すればよく、Oリング792の代わりに他の吸着パッド等を有していてもよい。
【0215】
なお、以上の実施の形態において、接合措置700から搬送部722を省略してもよい。かかる場合、反転部721の保持アーム760を移動させることによって、受渡部720と反転部721との間で被処理ウェハW、支持ウェハSを受け渡し、反転部721と接合部101との間で被処理ウェハW、支持ウェハSを受け渡す。このように搬送部722を省略した接合装置700では、反転部721において被処理ウェハW、支持ウェハSの反転及び水平方向の向きの調節に加えて、これら被処理ウェハW、支持ウェハSの搬送が行われるので、上記実施の形態に比べて接合処理のスループットが低下する。しかしながら、例えば被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理に高いスループットが要求されていない場合には、装置構成が簡略化されるので、搬送部722を省略した接合装置700を用いることは有用である。
【0216】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、被処理基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。また、本発明は、支持基板がウェハ以外のガラス基板など他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0217】
1 接合システム
2 搬入出ステーション
3 接合処理ステーション
30〜33 接合装置
34〜37 反転装置
40 塗布装置
41〜43 第1の熱処理装置
44〜46 第2の熱処理装置
60 ウェハ搬送領域
101 接合部
211 ガス供給口
215 吸気口
300 制御部
310 検査装置
350 基板処理システム
400 剥離システム
401 搬入出ステーション
402 剥離処理ステーション
403 後処理ステーション
404 インターフェイスステーション
405 ウェハ搬送領域
420 第1の搬送装置
430 剥離装置
431 第1の洗浄装置
432 第2の搬送装置
433 第2の洗浄装置
441 第3の搬送装置
630 ベルヌーイチャック
640 検査装置
700〜703 接合装置
720 受渡部
721 反転部
722 搬送部
760 保持アーム
761 保持部材
762 切り欠き
763 第1の駆動部
764 第2の駆動部
770 位置調節機構
780 第1の搬送アーム
781 第2の搬送アーム
792 Oリング
793 第1のガイド部材
794 第2のガイド部材
802 第2の保持部材
803 載置部
804 テーパ部
G 接着剤
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板を接合する接合装置であって、
前記接合装置の外部との間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を受け渡すための受渡部と、
前記接着剤が塗布された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布された支持基板と接合される被処理基板の表裏面を反転させる反転部と、
前記接着剤を介して、被処理基板と支持基板とを押圧して接合する接合部と、
前記受渡部、前記反転部及び前記接合部に対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送部と、を有し、
前記反転部は、
支持基板又は被処理基板を保持する保持部材と、
前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板を水平軸周りに回動させると共に鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構と、
前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板の水平方向の向きを調節する位置調節機構と、を有することを特徴とする、接合装置。
【請求項2】
前記保持部材の側面には、支持基板又は被処理基板の外周部を保持するための切り欠きが形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
接合装置を用いて被処理基板と支持基板を接合する接合方法であって、
前記接合装置は、
前記接合装置の外部との間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を受け渡すための受渡部と、
前記接着剤が塗布された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布された支持基板と接合される被処理基板の表裏面を反転させる反転部と、
前記接着剤を介して、被処理基板と支持基板とを押圧して接合する接合部と、
前記受渡部、前記反転部及び前記接合部に対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送部と、を有し、
前記反転部は、
支持基板又は被処理基板を保持する保持部材と、
前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板を水平軸周りに回動させると共に鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構と、
前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板の水平方向の向きを調節する位置調節機構と、を有し、
前記接合方法は、
前記接着剤が塗布された被処理基板と接合される支持基板、又は前記接着剤が塗布された支持基板と接合される被処理基板を、前記搬送部によって前記受渡部から前記反転部に搬送し、当該反転部において支持基板又は被処理基板の表裏面を反転させる反転工程と、
その後、前記搬送部によって前記反転部から前記接合部に被処理基板又は支持基板を搬送し、当該接合部において、前記接着剤が塗布された被処理基板又は支持基板と、前記反転部において表裏面が反転された支持基板又は被処理基板とを接合する接合工程と、を有し、
前記反転工程において、前記保持部材に保持された支持基板又は被処理基板は、前記位置調節機構によって水平方向の向きを調節された後、前記移動機構によって表裏面が反転されることを特徴とする、接合方法。
【請求項4】
請求項3に記載の接合方法を接合装置によって実行させるために、当該接合装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2012−69906(P2012−69906A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69461(P2011−69461)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2011−2549(P2011−2549)の分割
【原出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】