説明

描画データ補正装置の描画データ補正方法、描画データ補正装置およびこれを備えた液滴吐出装置

【課題】ワークの製造上の精度誤差に対し、ワークに描画する描画データを正しく補正することのできる描画データ補正装置の描画データ補正方法等を提供する。
【解決手段】ワークWに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッド44を相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、ワークW上に描画を行うための描画データD1を補正する描画データ補正装置8の描画データ補正方法であって、ワークWの描画領域を複数の仮想分割領域に仮想分割する仮想分割工程S11と、各仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を計測する位置測定工程S13と、各仮想分割領域について、位置測定工程S13において計測した測定点の位置座標と、設計上の位置座標と、から取得した位置ずれ量に基づいて、描画データD1を補正する補正工程S14と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、ワーク上に描画を行うための描画データを補正する描画データ補正装置の描画データ補正方法、描画データ補正装置およびこれを備えた液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機能液滴吐出ヘッドから機能液を吐出し、ワーク上に描画を行う液滴吐出装置において、マトリクス状に配置された分割領域および当該分割領域を区画すると共にリニアスケールが形成される非分割領域がマーキング(露光)されたワークと、当該リニアスケールおよびこれを検出するリニアセンサーを有するリニアエンコーダーと、を備え、リニアエンコーダーからのエンコーダー信号に基づいて、機能液滴吐出ヘッドの移動位置情報を補正する描画データ補正方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−337725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した描画データ補正方法では、位置情報の基準となるリニアスケールが、ワークにマーキング(形成)されているため、高度な形成精度が要求されると共に、ワークに係るコストが上昇するという問題があった。特に、分割領域とリニアスケールとの形成位置にずれが生じている場合には、その位置ずれを補正することはできず、誤った描画データの補正を行うこととなる。上記の形成位置のずれとして、例えば、マトリクス状に画素領域を形成したパネルの大型マザー基板におけるフォトリソグラフィー技術による画素領域の形成の際に、マスク移動によるパネル単位の位置ずれ(設計値に対する位置ずれ)が考えられる。
【0005】
本発明は、ワークの製造上の精度誤差に対し、ワークに描画する描画データを正しく補正することのできる描画データ補正装置の描画データ補正方法、描画データ補正装置およびこれを備えた液滴吐出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の描画データ補正装置の描画データ補正方法は、ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、ワーク上に描画を行うための描画データを補正する描画データ補正装置の描画データ補正方法であって、ワークの描画領域を複数の仮想分割領域に仮想分割する仮想分割工程と、各仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を計測する位置測定工程と、各仮想分割領域について、位置測定工程において計測した測定点の位置座標と、設計上の位置座標と、から取得した位置ずれ量に基づいて、描画データを補正する補正工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合、機能液滴吐出ヘッドによる機能液滴の吐出は、ワークに対し機能液滴吐出ヘッドを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、実施され、ワークは、矩形のパネル部が複数形成されたガラス基板で構成され、仮想分割工程では、パネル部単位で仮想分割され、位置測定工程では、測定点として各パネル部の少なくとも1つの角部の位置座標を計測することが好ましい。
【0008】
これらの構成によれば、計測する測定点が、ワーク上の仮想分割領域が有する点であるため、各仮想分割領域の指標となるマークを別途ワークに形成することなく、各仮想分割領域の正確な位置座標を認識することができる。特に、パネル部の角部を認識することで、より正確な仮想分割領域の位置座標を認識することができる。これにより、設計上の位置座標からの位置ずれ量を正確に求めることができ、仮想分割領域単位で適切な描画データの補正を行うことができる。すなわち、仮想分割領域を適切に設定することにより、ワークに生ずる部分的な製造上の誤差に対し、描画データの補正を適切に行うことができる。
【0009】
この場合、補正工程では、機能液滴吐出ヘッドからの機能液滴の吐出タイミングを補正することで主走査方向の位置ずれ量を補正し、機能液滴吐出ヘッドの副走査方向の位置を補正することで副走査方向の位置ずれ量を補正することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、主走査方向および副走査方向それぞれの位置ずれ量に応じた補正を容易に行うことができる。これにより、適切な描画を行うための描画データの補正を正確に行うことができる。
【0011】
また、この場合、機能液滴吐出ヘッドが、1の主走査において複数の仮想分割領域を跨いで描画を行なう場合、補正工程では、隣接する仮想分割領域の相互間の位置ずれ量を案分した量を補正することが好ましい。
【0012】
ところで、1の機能液滴吐出ヘッドにおける複数の吐出ノズルは固定的に配置されているため、機能液滴吐出ヘッドが、1の主走査において複数の仮想分割領域を跨いで描画を行なう場合には、機能液滴吐出ヘッドの副走査方向への位置補正では対処できない。
上記の構成によれば、隣接する仮想分割領域の相互間の位置ずれ量が異なる場合でも、相互に位置ずれ量を最小限にすることができる。
【0013】
他にも、各仮想分割領域内には、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルから吐出された機能液滴が、各々着弾する複数の機能液着弾領域が形成され、補正工程では、1の吐出ノズルから吐出された機能液滴が、1の機能液着弾領域に着弾しないと判断されたときには、1の吐出ノズルからの機能液の吐出を停止し、1の吐出ノズルに代わって、他の吐出ノズルが1の機能液着弾領域に対し、機能液滴の吐出を行うことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、吐出された機能液滴が非描画領域に着弾することがない。これにより、機能液滴が着弾すべき機能液着弾領域に対し、機能液滴が確実に着弾する。なお、他の吐出ノズルは、自らが吐出すべき量の機能液と、吐出を停止した吐出ノズルが吐出するはずだった量の機能液と、を合わせた量の機能液を吐出する。
【0015】
この場合、仮想分割工程と位置測定工程との間に、任意の1の仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を計測するサンプル測定工程と、任意の1の仮想分割領域について、サンプル測定工程において計測した測定点の位置座標と、設計上の位置座標とを比較し、位置ずれの有無を判定するサンプル判定工程と、を更に備え、サンプル判定工程において、位置ずれ「有」と判定した場合に位置測定工程および補正工程を実施し、位置ずれ「無」と判定した場合に位置測定工程および補正工程の実施をキャンセルすることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、位置ずれ「無」との判定の場合には、複数の仮想分割領域について位置測定工程を行う必要がないと判断することで、ワークに対する描画処理を開始するまでの時間を短縮することができる。また、複数のワークに対する連続的な描画処理を行っている場合に、抜き打ち的にサンプル測定工程を行うことにより、一連の描画処理の途中で生じた位置ずれを修正することができる。これにより、描画不良を防止することができる。なお、言うまでもないが、ワークの種別により、位置ずれが生じ易い仮想分割領域を特定し、サンプル測定を行うことが好ましい。
【0017】
本発明の描画データ補正装置は、ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、ワーク上に描画を行うための描画データを補正する描画データ補正装置であって、ワークをセットするテーブルと、ワークの描画領域を複数の仮想分割領域に仮想分割する仮想分割手段と、各仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を画像認識して計測する位置測定手段と、各仮想分割領域について、位置測定手段において計測した測定点の位置座標と、設計上の位置座標と、から取得した位置ずれ量に基づいて、描画データを補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この場合、機能液滴吐出ヘッドによる機能液滴の吐出は、ワークに対し機能液滴吐出ヘッドを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、実施され、ワークは、矩形のパネル部が複数形成されたガラス基板で構成され、仮想分割手段は、パネル部単位で仮想分割し、位置測定手段は、測定点として各パネル部の少なくとも1つの角部の位置座標を計測することが好ましい。
【0019】
これらの構成によれば、テーブル上のワークの各仮想分割領域が有する測定点を計測するため、各仮想分割領域の正確な位置座標を認識することができる。特に、パネル部の角部を認識することで、より正確な仮想分割領域の位置座標を認識することができる。これにより、各仮想分割領域の指標となるマークを別途ワークに形成する必要がないため、ワークのコストアップを防止でき、また、設計上の位置座標からの位置ずれ量を基に適切な描画データの補正を行うことができる。すなわち、仮想分割領域を適切に設定することにより、ワークに生ずる部分的な製造上の誤差に対し、描画データの補正を適切に行うことができる。
【0020】
本発明の液滴吐出装置は、描画データに基づいて、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、ワーク上に描画を行う液滴吐出装置であって、上記した描画データ補正装置を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、実際に描画を行う間際のワークに応じて描画データを補正することができる。これにより、ワークの製造上の精度誤差に対し、ワークに描画する描画データを正しく補正することができる。また、温度変化によるワークの部分的な膨張または収縮にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ワーク上に形成されたパネル部を模式的に示した平面図(a)、パネル部の一部拡大図(b)およびワークおよびマスクの側面図(c)である。
【図2】本実施形態に係る液滴吐出装置を模式的に示した斜視図である。
【図3】本実施形態に係る液滴吐出装置を模式的に示した平面図である。
【図4】本実施形態に係る液滴吐出装置を模式的に示した側面図である。
【図5】キャリッジユニットを模式的に示した平面図である。
【図6】機能液滴吐出ヘッドの表裏外観斜視図である。
【図7】制御装置のブロック図である。
【図8】本実施形態に係る描画データ補正方法のフローチャートである。
【図9】描画データ補正方法の位置測定工程の手順を説明する図である。
【図10】描画データ補正方法の補正工程における位置ずれ量の案分を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る描画データ補正方法を適用した液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、有機EL装置の各画素となる発光層やカラーフィルターのフィルターエレメント等を形成するものである。
【0024】
先ず、液滴吐出装置1の説明に先立ち、図1を参照して、ワークWについて簡単に説明する。ワークWは、例えば、大型液晶テレビ用のカラーフィルターパネルを複数枚取りする、いわゆるマザー基板であり、その表面には、カラーフィルターパネルとなるパネル部100が、マトリクス状に複数作り込まれている(図1(a)参照)。各パネル部100には、ブラックマトリクスとなる格子状のバンク部101により仕切られた多数の画素領域102がマトリクス状に形成されている(図1(b)参照)。各画素領域102は、バンク部101に対し窪入形成されている。すなわち、ワークWには、格子状の非描画部で区画するようにして、複数のパネル部100が形成されており、各パネル部100には、格子状のバンク部101で区画するようにして、複数の画素領域102が形成されている。一方、ワークWの4隅には、非描画部に位置して、4つのアライメントマークAMが形成されている(図1(a)参照)。
【0025】
そして、本実施形態の液滴吐出装置1は、アライメントマークAMを基準に、ワークWを位置決めセットし、全パネル部100の複数の画素領域102に対し、R・G・Bの各色の機能液を所定の描画パターンに従って描画し、R・G・Bのフィルターエレメントを形成する。
【0026】
マザー基板としてのワークWは、フォトリソグラフィー法を主体とする半導体製造技術により製造されるものであり、半導体製造技術の分野では破格の大きさとなる。このため、本実施形態のワークWでは、寸法精度を加味した大きさのマスクMを用い、これを複数回移動(図1(c)では、左右2回)して、ワークWの全域に対し、フォトリソグラフィー法によるレジストの除去(画素領域102の形成)を実施している。
【0027】
続いて、図2ないし図4を参照して、本実施形態に係る液滴吐出装置1について説明する。液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース21上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在して、ワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル2と、複数本の支柱33を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース31上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル3と、複数の機能液滴吐出ヘッド44が搭載された10個のキャリッジユニット4と、X軸テーブル2に給材されたワークWの位置校正(アライメント)を行うアライメントユニット5と、ワークW上に描画を行うための描画データD1を補正する描画データ補正装置8と、を備えている。また、液滴吐出装置1は、これらの装置を、温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバー(図示省略)と、チャンバーを貫通して各機能液滴吐出ヘッド44に機能液を供給する機能液供給ユニット(図示省略)と、装置全体を統括制御する制御装置6と、を備えている。チャンバーの側壁の一部には、機能液供給ユニットの主要部を為す複数のメインタンクユニット(図示省略)が配設されている。
【0028】
さらに、液滴吐出装置1には、フラッシングユニット71、吸引ユニット72、ワイピングユニット73および吐出性能検査ユニット74を有するメンテナンス装置7が設けられている。機能液滴吐出ヘッド44は、メンテナンス装置7により、その機能維持・機能回復を図るようになっている。
【0029】
この液滴吐出装置1では、X軸テーブル2およびY軸テーブル3が交わる部分(描画エリアA1)において、X軸テーブル2とY軸テーブル3とを同期駆動して、機能液供給ユニットから供給された複数色の機能液を各機能液滴吐出ヘッド44から吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。また、Y軸テーブル3およびメンテナンス装置7(吸引ユニット72、ワイピングユニット73)が交わる部分にキャリッジユニット4を臨ませて、各機能液滴吐出ヘッド44の機能維持・機能回復を行う。
【0030】
X軸テーブル2は、ワークWを吸着セットすると共に、θ軸方向に補正可能な機構を有するセットテーブル22と、セットテーブル22をX軸方向に移動自在に支持するX軸第1スライダー23と、上記のフラッシングユニット71および吐出性能検査ユニット74をX軸方向に移動自在に支持するX軸第2スライダー24と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダー23およびX軸第2スライダー24のX軸方向への移動をガイドする左右一対のガイドレール25と、X軸第1スライダー23およびX軸第2スライダー24をX軸方向に移動させるX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。
【0031】
Y軸テーブル3は、各キャリッジユニット4を吊設した10個のブリッジプレート32と、各ブリッジプレート32を両持ちで支持する10組のY軸スライダー(図示省略)と、一対のY軸支持ベース31上に設置されたY軸ステーター(Y軸リニアモーター(図示省略))と、を備えている。Y軸テーブル3は、描画時に、各キャリッジユニット4(各機能液滴吐出ヘッド44)を個別に副走査させる。また、メンテナンス装置7に臨ませる。
【0032】
図4および図5に示すように、各キャリッジユニット4は、12個の機能液滴吐出ヘッド44を搭載したヘッドユニット40と、ヘッドユニット40をθ回転自在に支持するθ回転機構41と、θ回転機構41を介して、ヘッドユニット40をY軸テーブル3に支持させる昇降機構付の吊設部材42と、を備えている。各キャリッジユニット4を吊設した各ブリッジプレート32上には、各メインタンクユニットに連なるサブタンクユニット(図示省略)が配設されている。サブタンクユニットは、自然水頭を利用して各機能液滴吐出ヘッド44に機能液を供給するようになっている。
【0033】
図5に示すように、ヘッドユニット40は、略方形のキャリッジプレート43に対し、機能液滴吐出ヘッド44が、左右に6個ずつ二分して組み付けられている。左右1組(2個)の機能液滴吐出ヘッド44は、同一種類の機能液を吐出し、上下に6組の機能液滴吐出ヘッド44が相互に階段状に位置ずれして配設されている。なお、各組内の同色の2つの機能液滴吐出ヘッド44は、そのノズル列NLがY軸方向に連続して1の部分描画ラインを構成している。なお、キャリッジユニット4の個数およびキャリッジユニット4に搭載される機能液滴吐出ヘッド44の数は任意である。
【0034】
図6に示すように、機能液滴吐出ヘッド44は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針45aを有する機能液導入部45と、機能液導入部45の側方に連なる2連のヘッド基板46と、ヘッド基板46の下方に連なる2連のポンプ部47と、ポンプ部47に連なるノズルプレート48と、を備えている。各接続針45aには、上記したサブタンクユニットに連なる供給チューブ(図示省略)が接続されており、機能液滴吐出ヘッド44には、この供給チューブを介して機能液が供給される。ノズルプレート48のノズル面NFには、2列のノズル列NLが相互に平行に列設されており、各ノズル列NLは、等ピッチで並べた複数の吐出ノズル49で構成されている(図6(b)参照)。ヘッド基板46は、フレキシブルフラットケーブル(図示省略)を介して上記した制御装置6が接続されており、制御装置6から出力された駆動波形が各ポンプ部47(の圧電素子)に印加されることで、各吐出ノズル49から機能液が吐出される。
【0035】
図2ないし図4に示すように、アライメントユニット5は、図3において下側(給除材エリアA2)から、X軸テーブル2(のセットテーブル22)上に給材されたワークWのX軸方向、Y軸方向およびθ軸方向の各々のずれを認識、修正するものであり、給除材エリアA2においてX軸テーブル2を跨ぐように設けられたブリッジフレーム51と、ブリッジフレーム51に支持された2台のアライメントカメラ52と、を備えている。
【0036】
ブリッジフレーム51は、X軸支持ベース21から立設した一対の橋脚部53と、一対の橋脚部53に水平に架け渡されたカメラ支持部54と、を備えている。
【0037】
2台のアライメントカメラ52は、カメラ支持部54のY軸方向両端において描画エリアA1方向(図3において上側)に向けた状態で、ワークWを撮像可能に支持されている。つまり、2台のアライメントカメラ52は、セットテーブル22上のワークWに形成されたブリッジフレーム51側の2つのアライメントマークAMに対応するように配設されており、各アライメントマークAMを撮像することができるように位置調整(アライメント)されている。
【0038】
ワークWのアライメントを行うには、ワークWがセットテーブル22上に吸着固定された状態で、2台のアライメントカメラ52を用いて2つのアライメントマークAMを画像認識する。そして、制御装置6は、その認識結果のずれ量に応じて、X軸テーブル2、Y軸テーブル3およびセットテーブル22を各々駆動してX軸方向、Y軸方向およびθ軸方向の各々のずれを修正する。なお、セットテーブル22には、給材されたワークWをプリアライメントするための一対の位置規制突起(図示省略)が配設されている。
【0039】
また、他のアライメントの方法(手段)として、上記した2台のアライメントカメラ52と、後述するY軸支持ベース31に支持された5台のサンプル撮像カメラ83のうち、Y軸方向両端のサンプル撮像カメラ83(2台)と、を用いて、ワークWに形成された4つのアライメントマークAMを同時に画像認識するようにしてもよい。そして、制御装置6は、4箇所の認識結果を用いてセットテーブル22上のワークWをアライメントする。
また、他のプリアライメントの方法(手段)として、視野角の広いプリアライメントカメラ(図示省略)を、ブリッジフレーム51またはY軸支時ベース31等に配設し、このカメラでの画像認識結果を用いてプリアライメントを実施してもよい。
【0040】
図7に示すように、制御装置6は、各ユニット等を駆動制御する各種ドライバーを有する駆動部61と、駆動部61に接続され、液滴吐出装置1全体の制御を行う制御部62と、を備えている。
【0041】
制御部62には、駆動部61に接続するためのインターフェース63と、制御処理の作業領域であるRAM64と、制御プログラムやデータ等を記憶するROM65と、描画データD1等の処理プログラム等を記憶するHDD66と、ROM65やHDD66に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU67と、これらを互いに接続するバス68と、が備えられている。そして、制御部62は、各手段からの各種データを、インターフェース63を介して入力すると共に、HDD66に記憶されたプログラムに従ってCPU67に演算処理させ、その処理結果を、駆動部61を介して各ユニット等に出力する。これにより、液滴吐出装置1の各種処理が行われる。
【0042】
また、HDD66には、ワークWに描画する描画データD1と、後述するパネル部100において4つの角部Cの設計上における位置座標である複数の基準位置座標D2と、後述する位置ずれ量に基づく補正値を対応付けた補正テーブルD3と、が記憶されている。HDD66に記憶された各種データは、RAM64上に展開されて、CPU67による各種演算処理に供される。なお、位置座標(基準位置座標D2)とは、X座標およびY座標の直交座標を指すものであり、各座標の値は、1つのアライメントマークAMからのX軸方向およびY軸方向の差をいうものとする。本実施形態では図2または図3において左上のアライメントマークAMを基準としている。
【0043】
ところで、ワークWは、近年の液晶テレビの大型化に伴い大型化が進んでいる。上述したように、このような大型化したワークWでは、その全面をマスクMで覆うことは困難であるため、マスクMを移動させながら複数回に分けて露光を行うことで、ワークW全体にパネル部100を形成している(図1(c)では、左右2回)。このため、設計値に対し、マスクMの移動によるパネル部100単位(正確にはマスクM単位)の位置ずれ(設計値に対する位置ずれ)が生じる虞がある。この場合、所定の描画データD1に基づくワークWへの描画は、描画不良となる。
【0044】
そこで、本実施形態に係る液滴吐出装置1では、描画データ補正装置8を用いて、ワークWの製造過程におけるパネル部100(画素領域102)間の誤差に対し、ワークWに描画する描画データD1の補正を行っている。
【0045】
図2ないし図4に示すように、描画データ補正装置8は、ワークW上の各パネル部100単位で仮想分割する仮想分割手段(図示省略)と、任意の1のパネル部100の1つの角部Cの位置座標を計測するサンプル測定手段81と、各パネル部100の複数の角部C(測定点)の位置座標を画像認識して計測する位置測定手段82と、各パネル部100について、位置測定手段82において計測した各角部Cの位置座標と、設計上の位置座標(基準位置座標D2)と、から取得した位置ずれ量に基づいて描画データD1を補正する補正手段(図示省略)と、を備えている。なお、各角部Cとは、各パネル部100の4隅に形成された画素領域102を指す(図1(a)および(b)参照)。
【0046】
仮想分割手段は、制御装置6が備える機能の一部であり、ワークWのサイズやパネル部100のサイズによって異なる各基準位置座標D2を取得し、ワークWのサイズ等に応じた適切なパネル部100単位に分割する。なお、HDD66には、ワークWのサイズやパネル部100のサイズに応じた複数種類の各基準位置座標D2(設計値)が予め記憶されている。
【0047】
サンプル測定手段81は、図3において下側のY軸支持ベース31に支持された5台のサンプル撮像カメラ83を有している。5台のサンプル撮像カメラ83は、Y軸方向に等間隔に並んで配設されている。5台のサンプル撮像カメラ83のうちいずれか1台は、描画エリアA1に臨んだワークW上に形成されたパネル部100の1つの角部Cを撮像する。この撮像結果により、位置ずれの有無を抜き打ち的に判定する(詳細は後述する。)。なお、上述したように、ワークWのサイズ等によって各パネル部100(基準位置座標D2)の位置が異なるため、5台全てのサンプル撮像カメラ83が、任意のパネル部100に臨むわけではないため、5台のうちいずれか1台のサンプル撮像カメラ83を用いたが、可能であれば複数台のサンプル撮像カメラ83で複数のパネル部100(基準位置座標D2)を撮像してもよい。また、サンプル撮像カメラ83の台数は任意であり、任意の1つのパネル部100の少なくとも1つの角部Cを撮像できればよい。また、1台(または複数台)のサンプル撮像カメラ83をY軸方向に移動可能に設けてもよい。なお、説明は省略するが、サンプル測定手段81は、描画結果を撮像し、描画処理が適切に行われているかを検査する際にも用いられる。
【0048】
位置測定手段82は、パネル部100の角部Cを撮像する一対の測定カメラ84と、一対の測定カメラ84をY軸方向に移動させるカメラ移動手段85と、を備えている。
【0049】
一対の測定カメラ84は、図3において上側のY軸支持ベース31において、Y軸方向に並んで配設されている。各測定カメラ84は、X軸テーブル2の駆動により、X軸方向に移動してきたワークW上に形成されたパネル部100のX軸方向に並んだ複数の角部Cを各々撮像する。本実施形態では、計測する角部C(測定点)が、ワークW上のパネル部100が有する点であるため、各パネル部100の指標となるマークを別途ワークWに形成することなく、各パネル部100の正確な位置座標を認識することができる。なお、測定カメラ84の台数は任意である(少なくとも1台)。
【0050】
カメラ移動手段85は、一対の測定カメラ84を支持搭載するカメラスライダー(図示省略)と、カメラスライダーを介して一対の測定カメラ84をY軸方向に移動させるカメラステーター(カメラリニアモーター(図示省略))と、を備えている。カメラ移動手段85は、X軸方向に一列に並んだ複数のパネル部100の各角部Cを撮像した後に、一対の測定カメラ84をY軸方向に移動させる。そして、一対の測定カメラ84は、他の列に並んだ複数のパネル部100を撮像する。これを繰り返すことにより、ワークW上に形成された全てのパネル部100の、全ての角部Cを撮像することができる。これにより、少ない測定カメラ84の台数で、効率良くパネル部100(角部C)の撮像を行うことができる。
【0051】
補正手段は、制御装置6が備える機能の一部であり、各パネル部100について、位置測定手段82が計測(撮像)した各角部Cの位置座標と、仮想分割手段が取得した各基準位置座標D2と、から取得した相互の位置ずれ量に基づいて、描画データD1を補正する。
【0052】
続いて、図8および図9を参照して、描画データ補正装置8を用いた描画データ補正方法について説明する。図8に示すように、描画データ補正方法は、仮想分割手段によりワークWのサイズ等に応じて適切なパネル部100単位に分割すると共に、各パネル部100の各角部Cの基準位置座標D2を取得する仮想分割工程S11と、サンプル測定手段81による撮像結果から位置ずれの有無を判定するサンプル測定工程S12と、位置測定手段82により各角部Cの位置座標を測定する位置測定工程S13と、補正手段により描画データD1を補正する補正工程S14と、を備えている。
【0053】
サンプル測定工程S12では、ワークWのアライメントが終了したその位置において、サンプル測定手段81による単一の角部Cの撮像結果を制御装置6に送る。制御装置6は、撮像された角部Cの位置座標と、仮想分割工程S11において取得した当該角部Cに対応する基準位置座標D2と、を比較して位置ずれ(差)が生じているか否かを判定する。ここで、位置ずれが生じていた場合(位置ずれ「有」)には、次の位置測定工程S13に移行する。他方、位置ずれが生じていないと判定された場合(位置ずれ「無」)には、以降の工程を実行せずに、ワークWに対する描画処理が開始される。これにより、ワークWに対する描画処理を開始するまでの時間を短縮することができる。また、複数のワークWに対する連続的な描画処理を行っている場合に、抜き打ち的にサンプル測定工程S12を行うことにより、一連の描画処理の途中で生じた位置ずれを修正することができる。これにより、描画不良を防止することができる。なお、ワークWの種別により、位置ずれが生じ易いパネル部100を特定し、サンプル測定工程S12を行うことが好ましい。
【0054】
位置測定工程S13は、一対の測定カメラ84およびワークWを各々移動させながら、一対の測定カメラ84により、ワークW上に形成された全てのパネル部100における全ての角部Cを撮像する。以下、図9を参照して、その手順を詳細に説明する。図9において、各パネル部100を「A」〜「H」、各角部Cを「1」〜「32」として説明する。
【0055】
先ず、制御装置6は、カメラ移動手段85を駆動して、仮想分割工程S11において取得したパネル部100に対応する位置に一対の測定カメラ84を移動させる(この例では、左上の「A」)。そして、一対の測定カメラ84により「1」および「5」を各々撮像する。その後、X軸テーブル2を駆動し、ワークWをX軸方向に移動(往動)させ、一対の測定カメラ84により「2」および「6」を各々撮像する。同様に、ワークWをX軸方向に移動(往動)させ、一対の測定カメラ84により「3」および「7」、続いて「4」および「8」を各々撮像する。
ここで、制御装置6は、「2」のX座標と「3」のX座標との差を求めると共に、「2」のY座標と「2」に対応する基準位置座標D2のY座標との差、および「3」のY座標と「3」に対応する基準位置座標D2のY座標との差を求める。同様に、制御装置6は、「6」と「7」とのX座標の差を求めると共に、「6」および「7」の各Y座標とこれらに対応する基準位置座標D2のY座標との差を求める。これにより、「A」に対する「B」のX軸方向およびY軸方向の位置ずれ量を取得できる。
【0056】
次に、再び、カメラ移動手段85を駆動して、「D」に対応する位置に一対の測定カメラ84を移動させる。そして、一対の測定カメラ84により「12」および「16」を各々撮像し、X軸テーブル2を駆動してワークWをX軸方向に復動させ、一対の測定カメラ84により「11」および「15」、「10」および「14」、「9」および「13」を各々撮像する。
ここで、制御装置6は、「5」および「9」の各X座標とこれらに対応する基準位置座標D2のX座標との差、「6」および「10」の各X座標とこれらに対応する基準位置座標D2のX座標との差、「7」および「11」の各X座標とこれらに対応する基準位置座標D2のX座標との差、「8」および「12」の各X座標とこれらに対応する基準位置座標D2のX座標との差、を各々求める。また、「5」と「9」とのX座標の差、「6」と「10」とのX座標の差、「7」と「11」とのX座標の差、「8」と「12」とのX座標の差、を各々求める。さらに、「10」および「11」の各Y座標とこれらに対応する基準位置座標D2のY座標との差、「14」および「15」の各Y座標とこれらに対応する基準位置座標D2のY座標との差、を各々求める。これにより、「A」に対する「C」のX軸方向およびY軸方向の位置ずれ量を取得でき、「C」に対する「D」のX軸方向およびY軸方向の位置ずれ量を取得できる。なお、一対の測定カメラ84による撮像は、X軸テーブル2の往動時と復動時との両走査時に行っているが、往動時または復動時のどちらか一方のみで行ってもよい。
【0057】
以降、この手順で「E」〜「H」まで撮像および各座標の差の算出を行うことで、「A」を基準とする「B」〜「H」の設計値(各基準位置座標D2)からの位置ずれ量が求まる。なお、各パネル部100間の位置ずれ量は平均した値を用いる。例えば、「A」と「B」とのY座標の位置ずれ量は、「2」・「3」と「6」・「7」との差の平均値とする。
【0058】
補正工程S14では、位置測定工程S13において取得した位置ずれ量に基づいて描画データD1を補正する。すなわち、制御装置6は、HDD66に記憶されている補正テーブルD3を参照して、位置ずれ量に対応する補正値をRAM64上に展開する。そして、この補正値を用いて描画データD1(ビットマップデータ)を補正(膨張または伸縮)する。具体的な描画データD1の補正方法としては、各機能液滴吐出ヘッド44からの機能液滴の吐出タイミングを補正することでX軸方向(主走査方向)の位置ずれ量を補正している。また、各キャリッジユニット4(機能液滴吐出ヘッド44)のY軸方向(副走査方向)の位置を移動することでY軸方向の位置ずれ量を補正している。これにより、X軸方向(主走査方向)およびY軸方向(副走査方向)それぞれの位置ずれ量に応じて、適切な描画を行うための描画データD1の補正を正確に行うことができる。
【0059】
ところで、1の機能液滴吐出ヘッド44における複数の吐出ノズル49は固定的に配置されているため、機能液滴吐出ヘッド44が、1の主走査において複数のパネル部100を跨いで描画を行なう場合には、機能液滴吐出ヘッド44のY軸方向(副走査方向)への位置補正では対処できない。
そこで、本実施形態では、1つの機能液滴吐出ヘッド44が、1の主走査において複数のパネル部100を跨いで描画を行なう場合、補正工程S14において、隣接するパネル部100の相互間の位置ずれ量を案分した量を補正する。例えば、図10に示すように、パネル部100「C」と「E」とが位置ずれしている場合、当該位置ずれ量の平均値を用いて描画データD1の補正を行う。このような補正を行うことで、相互の位置ずれ量を最小限にすることができる。これにより、吐出した機能液滴は、ワークW上の各画素領域102に確実に着弾するため、各画素領域102において機能液滴の混色を防止することができる。
【0060】
また、ある特定の吐出ノズル49から吐出した機能液滴が、1の画素領域102からはみ出し、バンク部101に乗り上げてしまう虞がある場合には、その吐出ノズル49から機能液の吐出を停止し、乗り上げの虞のない他の吐出ノズル49により補完する。すなわち、他の吐出ノズル49は、自らが吐出すべき量の機能液と、吐出を停止した吐出ノズル49が吐出するはずだった量の機能液と、を合わせた量の機能液を吐出する。これにより、吐出された機能液滴が非描画部やバンク部101に着弾してしまうことがなく(機能液の乗り上げ防止)、機能液滴は、所定の画素領域102に対し、確実に着弾する。
【0061】
以上の構成によれば、パネル部100の角部Cを認識することで、より正確なパネル部100の位置座標を認識することができる。これにより、設計上の位置座標からの位置ずれ量を正確に求めることができ、パネル部100単位で適切な描画データD1の補正を行うことができる。また、温度変化によるワークWの部分的な膨張または収縮にも対応することができる。
【符号の説明】
【0062】
1:液滴吐出装置、8:描画データ補正装置、44:機能液滴吐出ヘッド、81:サンプル測定手段、82:位置測定手段、100:パネル部、C:角部、D1:描画データ、W:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、前記ワーク上に描画を行うための描画データを補正する描画データ補正装置の描画データ補正方法であって、
前記ワークの描画領域を複数の仮想分割領域に仮想分割する仮想分割工程と、
前記各仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を計測する位置測定工程と、
前記各仮想分割領域について、前記位置測定工程において計測した前記測定点の位置座標と、設計上の前記位置座標と、から取得した位置ずれ量に基づいて、前記描画データを補正する補正工程と、を備えたことを特徴とする描画データ補正装置の描画データ補正方法。
【請求項2】
前記機能液滴吐出ヘッドによる機能液滴の吐出は、前記ワークに対し前記機能液滴吐出ヘッドを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、実施され、
前記ワークは、矩形のパネル部が複数形成されたガラス基板で構成され、
前記仮想分割工程では、前記パネル部単位で仮想分割され、
前記位置測定工程では、前記測定点として前記各パネル部の少なくとも1つの角部の位置座標を計測することを特徴とする請求項1に記載の描画データ補正装置の描画データ補正方法。
【請求項3】
前記補正工程では、
前記機能液滴吐出ヘッドからの機能液滴の吐出タイミングを補正することで前記主走査方向の前記位置ずれ量を補正し、
前記機能液滴吐出ヘッドの前記副走査方向の位置を補正することで前記副走査方向の前記位置ずれ量を補正することを特徴とする請求項2に記載の描画データ補正装置の描画データ補正方法。
【請求項4】
前記機能液滴吐出ヘッドが、1の主走査において前記複数の仮想分割領域を跨いで描画を行なう場合、
前記補正工程では、隣接する前記仮想分割領域の相互間の前記位置ずれ量を案分した量を補正することを特徴とする請求項2または3に記載の描画データ補正装置の描画データ補正方法。
【請求項5】
前記各仮想分割領域内には、前記機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルから吐出された機能液滴が、各々着弾する複数の機能液着弾領域が形成され、
前記補正工程では、
前記1の吐出ノズルから吐出された機能液滴が、前記1の機能液着弾領域に着弾しないと判断されたときには、前記1の吐出ノズルからの機能液の吐出を停止し、前記1の吐出ノズルに代わって、前記他の吐出ノズルが前記1の機能液着弾領域に対し、機能液滴の吐出を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の描画データ補正装置の描画データ補正方法。
【請求項6】
前記仮想分割工程と前記位置測定工程との間に、
任意の1の前記仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を計測するサンプル測定工程と、
前記任意の1の仮想分割領域について、前記サンプル測定工程において計測した前記測定点の位置座標と、設計上の前記位置座標とを比較し、位置ずれの有無を判定するサンプル判定工程と、を更に備え、
前記サンプル判定工程において、位置ずれ「有」と判定した場合に前記位置測定工程および前記補正工程を実施し、位置ずれ「無」と判定した場合に前記位置測定工程および前記補正工程の実施をキャンセルすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の描画データ補正装置の描画データ補正方法。
【請求項7】
ワークに対し、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、前記ワーク上に描画を行うための描画データを補正する描画データ補正装置であって、
前記ワークをセットするテーブルと、
前記ワークの描画領域を複数の仮想分割領域に仮想分割する仮想分割手段と、
前記各仮想分割領域の少なくとも1つの測定点の位置座標を画像認識して計測する位置測定手段と、
前記各仮想分割領域について、前記位置測定手段において計測した前記測定点の位置座標と、設計上の前記位置座標と、から取得した位置ずれ量に基づいて、前記描画データを補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする描画データ補正装置。
【請求項8】
前記機能液滴吐出ヘッドによる機能液滴の吐出は、前記ワークに対し前記機能液滴吐出ヘッドを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、実施され、
前記ワークは、矩形のパネル部が複数形成されたガラス基板で構成され、
前記仮想分割手段は、前記パネル部単位で仮想分割し、
前記位置測定手段は、前記測定点として前記各パネル部の少なくとも1つの角部の位置座標を計測することを特徴とする請求項7に記載の描画データ補正装置。
【請求項9】
描画データに基づいて、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら機能液滴を吐出して、ワーク上に描画を行う液滴吐出装置であって、
請求項7または8に記載の描画データ補正装置を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−131156(P2011−131156A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292665(P2009−292665)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】