説明

携帯型電子機器、車載用電子機器および電子システム

【課題】 ナビゲーション機能が車内だけでなく車外でも利用できる携帯型電子機器、車載用電子機器および電子システムを提供する。
【解決手段】 デジタル放送受信装置1は、符号化された情報を含むデジタル放送を受信するチューナ部10、デジタル放送に含まれる情報を記憶する第1メモリ16、デジタル放送に含まれる音声情報を復号する音声デコーダ部12、音声情報をスピーカ40に出力する音声増幅制御部13、情報を携帯ユニット3に送信する第1無線IF15を有する固定ユニット2と、固定ユニット2からの情報を受信する第2無線IF30、情報を記憶する第2メモリ33、情報を復号する第2CPU32、復号された情報を表示するディスプレイ操作部35を有し、固定ユニット2に着脱可能な携帯ユニット3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの移動体に搭載される携帯型電子機器、車載用電子機器および電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル音声放送は、音声情報だけが送信される従来のアナログ放送とは異なり、高品質な音声情報に加えて、文字データおよび画像データによる多彩なマルチメディア情報を送信することができ、2003年前半に東京都と大阪府とにおいて試験放送を開始する予定となっている。
【0003】
このようなマルチメディア情報を放送する技術として、特許文献1に、放送チャンネルを通して放送されるマルチメディアデータ用放送プログラムを引き出すマルチメディアデータ放送プログラム作成方法が開示されている。このマルチメディアデータ放送プログラム作成方法は、まず画像および文章ファイルなどのマルチメディアオブジェクトを含むデータベースを構築する。各マルチメディアオブジェクトには、データベースにおけるマルチメディアオブジェクトの検索を行うために用いられる説明文が添付されている。次にデータベースにおいて選択されたマルチメディアオブジェクトのリストと、各オブジェクトに付随する送信日時などの送信判断基準を含む放送プログラムとをデータベースから引き出す。その放送プログラムを送信する可能性を判断する送信判断基準は、設定される送信日時と放送プログラムに依存するイベントとであって、このような基準に基いてマルチメディアオブジェクトの放送を行う。
【0004】
特許文献2には、車両の地理的位置および日時に応じてマルチメディアアニメーションを自動放送するマルチメディア情報機器が開示されている。この情報機器は、旅行代理店に設置される固定情報ステーションと、車両に搭載される車載情報ステーションとから構成される。前記2つのステーションは、フロッピディスクに情報を記憶し、記憶される情報を読取るフロッピディスクドライブ、または旅行パラメータを送受信する無線送受信機を有する伝送装置を備える。さらに車載情報ステーションは、旅程などの情報を含むマルチメディアアニメーションが記憶される放送用旅行パラメータストック装置、およびGPSと呼ばれる汎地球測位システムを有する測位装置を備える。車載情報ステーションは、フロッピディスクに記憶される、または固定情報ステーションから送信される車両の位置および日時を含む旅行パラメータと、測位装置による車両の現在位置の地理データとに応じて、ストック装置に収録されるマルチメディアアニメーションを放送する。
【0005】
特許文献3には、操作ユニット自体でラジオ放送を聞くことができるラジオ内蔵形盗難防止装置付電子機器が開示されている。この電子機器は、自動車に固定されて搭載される本体に着脱自在に装着される操作ユニットを備えている。この操作ユニットは、アンテナからの電波を受信するチューナと、チューナの受信電波から希望の局を選局するための制御を行うPLL内蔵マイクロコンピュータと、操作ユニットが本体から取り外されたときにチューナおよびマイクロコンピュータに電源を供給する電池とを有する。この操作ユニットが本体から取り外された状態において、チューナによって受信された電波に含まれるオーディオ信号が、操作ユニットに設けられるアンプを介して、操作ユニットに接続されるヘッドホンに与えられるので、操作ユニットをヘッドホンラジオとして用いることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−317711号公報
【特許文献2】特表2000−502795号公報
【特許文献3】特開平7−15360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ナビゲーション機能が車内だけでなく車外でも利用できる携帯型電子機器、車載用電子機器および電子システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(1)は、車載用電子機器に対し着脱可能な携帯型電子機器であって、
位置情報に基づいて自己の位置を算出する位置算出手段と、
前記車載用電子機器から地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記取得した地図情報を記憶する記憶手段と、
前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、地図表示が可能な表示手段とを備えることを特徴とする携帯型電子機器である。
【0009】
また本発明(3)は、車載用電子機器に対し着脱可能な携帯型電子機器であって、
位置情報に基づいて自己の位置を算出する位置算出手段と、
前記車載用電子機器から地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記取得した地図情報を記憶する記憶手段と、
前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、経路を探索する経路探索手段とを備えることを特徴とする携帯型電子機器である。
【0010】
また本発明(4)は、位置情報および地図情報に基づいて経路探索可能な携帯型電子機器を着脱可能である車載用電子機器であって、
記録媒体から地図情報を読み取り可能な記録媒体読取手段と、
該読み取った地図情報を、前記携帯型電子機器に出力可能な地図情報出力手段とを備えることを特徴とする車載用電子機器である。
【0011】
また本発明(5)は、記憶媒体から地図情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段を有する車載用電子機器と、
前記車載用電子機器に対し着脱可能であり、前記車載用電子機器から前記地図情報を取得する地図情報取得手段と、前記取得した地図情報を記憶する記憶手段と、位置情報に基づいて自己の位置を算出する位置算出手段と、前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、地図表示が可能な表示手段とを有する携帯型電子機器と、を備えることを特徴とする電子システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明(1)によれば、位置算出手段によって算出された自己の位置および地図情報取得手段によって車載用電子機器から取得され、記憶手段に記憶された地図情報に基づいて、表示手段によって地図を表示することができる。
【0013】
また本発明(3)によれば、経路は、位置算出手段によって算出された自己の位置および地図情報取得手段によって車載用電子機器から取得され、記憶手段に記憶された地図情報に基づいて、経路探索手段によって探索することができる。
【0014】
また本発明(4)によれば、記憶媒体読取手段によって記憶媒体から読み取った地図情報は、地図情報出力手段によって、位置情報および地図情報に基づいて経路探索可能な携帯型電子機器に出力することができる。
【0015】
また本発明(5)によれば、車載用電子機器は、記憶媒体読取手段によって記憶媒体から地図情報を読み取ることができる。携帯型電子機器は、車載用電子機器に装着され、位置算出手段によって算出された自己の位置と、地図情報取得手段によって車載用電子機器から取得した地図情報とに基づいて、表示手段によって地図を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の一形態の電子システムであるデジタル放送受信装置1の構成を示すブロック図である。デジタル放送受信装置1は、自動車などの移動体に搭載され、音声情報と文字データおよび画像データなどが含まれるマルチメディア情報とが含まれる地上波デジタル音声放送(以後、単に「デジタル音声放送」と表記する)を受信して、これらの情報の再生および表示を行う。
【0017】
デジタル音声放送において、音声情報に関してはMPEG2 Audio AACに準拠して符号化され、音声情報およびマルチメディア情報は、VHF帯の搬送波の周波数に応じて規定されるチャンネル毎に、MPEG−2 Systemsに準拠してパケット単位で多重化され、直交周波数分割多重変調方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;略称:OFDM)に準拠してデジタル変調されて送信される。デジタル音声放送においては、符号化された情報を複数のチャンネル毎に番組単位で放送する。
【0018】
デジタル放送受信装置1は、自動車などの移動体に固定されて搭載され、車載用電子機器である固定ユニット2と、固定ユニット2に着脱可能であり、携帯型電子機器である携帯ユニット3とを備える。
【0019】
固定ユニット2は、チューナ部10、復調デマルチプレクサ部11、音声デコーダ部12、音声増幅制御部13、第1中央演算処理部(以後「第1CPU」と略して表記する)14、第1無線インターフェイス(以後「第1無線IF」と略して表記する)15、第1メモリ16、CDドライブ17および操作表示部18を含んで構成される。
【0020】
第1CPU14は、固定ユニット2を統括的に制御する。受信手段であるチューナ部10は、自動車に搭載されるアンテナ19を介してデジタル音声放送を受信して、操作表示部18からのチャンネル選択指令に基いて、受信したデジタル音声放送から選択されたチャンネルに含まれるパケットを抽出して、復調デマルチプレクサ部11に与える。復調デマルチプレクサ部11は、第1CPU14からの指令に従って、チューナ部10からのパケットを復調するとともに、符号化された音声情報を有するパケットを抽出して、音声デコーダ部12に与え、残余の情報であるマルチメディア情報を有するパケットを第1CPU14に与える。
【0021】
第1復号手段である音声デコーダ部12は、第1CPU14からの指令に従って、符号化された音声情報を有するパケットを復号し、復号された音声情報を有する信号を音声増幅制御部13に与える。第1出力手段である音声増幅制御部13は、操作表示部18からの音量指令に従って、復号された音声情報を有する信号を増幅して、自動車に搭載されるスピーカ40に与えて音声出力する。
【0022】
第1無線IF15は、後述する携帯ユニット3の第2無線インターフェイス(以後「第2無線IF」と略して表記する)30と無線通信を行い、情報のやり取りを行う。地図情報出力手段は、第1CPU14および第1無線IF15によって構成される。記録媒体読取手段であるCDドライブ17は、固定ユニット2に着脱可能な記録媒体であるコンパクトディスク(略称:CD)に記録されている情報を読取って、第1CPU14に与える。CDには、音声データが記録されている音楽CDと、画像および地図情報などのデータ情報が記録されているCD−ROMとがある。CDドライブ17に音楽CDが装着されると、音楽CDに記録されている符号化された音声データが、第1CPU14および音声デコーダ部12によって復号され、さらに音声増幅制御部13によって増幅されてスピーカ40から出力される。
【0023】
第1記憶手段である第1メモリ16は、ランダムアクセスメモリ(略称:RAM)で実現され、受信したデジタル音声放送に含まれている情報、CDドライブ17によって読取られた情報、および後述する携帯ユニット3からの情報を記憶する。
【0024】
操作表示部18は、たとえば入力装置であるボタンと液晶表示装置(略称:LCD)とによって実現され、操作者によって入力操作されると、操作者の希望するチャンネルを受信させる指令であるチャンネル選択指令、および音声情報を操作者の希望する音量で出力させる指令である音量指令などを、第1CPU14に与える。また操作表示部18は、受信しているデジタル音声放送のチャンネル番号および音量などを表示する。固定ユニット2は、デジタル放送受信装置1を搭載する自動車の車両電源から電流を供給されて動作する。
【0025】
携帯ユニット3は、第2無線IF30、汎地球測位システム(以後「GPS」と略して表記する)31、第2中央演算処理部(以後「第2CPU」と略して表記する)32、第2メモリ33、画像表示制御部(以後「GDC」と略して表記する)34、ディスプレイ操作部35およびバッテリー電源36を含んで構成される。
【0026】
第2復号手段およびナビゲーション手段である第2CPU32は、携帯ユニット3の統括的な制御、固定ユニット2からの符号化されたマルチメディア情報の復号、および後述する地図情報と交通情報と位置情報とに基くナビゲーションを行う。
【0027】
第2通信手段である第2無線IF30は、固定ユニット2の第1無線IF15と無線通信を行い、情報のやり取りを行う。地図情報取得手段は、第2無線IF30および第2CPU32によって構成される。位置算出手段であるGPS31は、複数の位置情報衛星であるGPS衛星から送信されるGPS衛星の固有識別子、軌道および時刻を含む位置基準情報を受信し、この位置基準情報に基いて、携帯ユニット3の現在位置に関する位置情報を算出して、第2CPU32に与える。
【0028】
第2記憶手段である第2メモリ33は、RAMで実現され、受信したデジタル音声放送に含まれるマルチメディア情報、およびCDドライブ17によって読取られた情報を含む固定ユニット2からの情報を記憶する。GDC34は、第2CPU32への負荷を軽減するために、後述するディスプレイ操作部35の画像表示制御を行う。
【0029】
表示手段であるディスプレイ操作部35は、たとえばLCDとタッチパネルとによって実現され、マルチメディア情報、固定ユニット2のCDドライブ17によって読取られた情報、第1および第2メモリ16,33に記憶される情報およびGPS31からの位置情報を表示する。またディスプレイ操作部35は、操作者によって操作されて、操作者からの各種指令を第2CPU32に与える。電源部であるバッテリー電源36は、携帯ユニット3に電流を供給し、携帯ユニット3が、固定ユニット2に装着、または専用の充電器に接続されることによって充電される。
【0030】
第1および第2無線IF15,30は、携帯ユニット3の固定ユニット2に対する着脱状態に係らず、互いに無線通信を行う。第1および第2無線IF15,30は、通信周波数2.4GHz、データ転送速度512kbps程度またはそれ以上、伝送距離5m程度であることが望ましい。固定ユニット2と携帯ユニット3との通信を、コネクタなどによって電気的に接続する場合には、携帯ユニット3を着脱することによるコネクタの劣化、およびデジタル放送受信装置1は自動車に搭載されるので、自動車の走行に伴って生じる振動に起因するコネクタの劣化などによって、固定ユニット2と携帯ユニット3との通信が正常に行われないことが考えられるが、固定ユニット2と携帯ユニット3との通信を無線通信とすることによって、このような問題を解決することができる。
【0031】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1における、デジタル音声放送を受信する動作を以下に述べる。携帯ユニット3が固定ユニット2に装着されているとする。操作者によって操作表示部18が操作されて、操作者の所望するチャンネルが入力されると、操作表示部18は、第1CPU14を介して、チャンネル選択指令をチューナ部10に与える。アンテナ19を介して受信されたデジタル音声放送は、チューナ部10によって、操作者の所望するチャンネルに含まれるパケットだけが抽出されて、復調デマルチプレクサ部11に与えられる。
【0032】
その後、デジタル音声放送は、復調デマルチプレクサ部11によって、音声情報を有するパケットとマルチメディア情報を有するパケットとに分離される。符号化されている音声情報は、音声デコーダ部12に与えられて復号され、さらに音声増幅制御部13に与えられて増幅されて、自動車に搭載されるスピーカ40から出力される。
【0033】
復調デマルチプレクサ部11によって分離されたデジタル音声信号に含まれるマルチメディア情報は、第1CPU14を介して、第1メモリ16に記憶されるとともに、第1無線IF15を介して、携帯ユニット3の第2無線IF30に送信される。携帯ユニット3に送信されたマルチメディア情報は、第2CPU32によって復号され、第2メモリ33に記憶されるとともに、GDC34を介してディスプレイ操作部35に表示される。また操作者によって操作表示部18が操作されて、操作者の所望する指令が入力されると、マルチメディア情報は、入力された指令に基いて、第2CPU32によって加工されて、GDC34を介してディスプレイ操作部35に表示される。
【0034】
マルチメディア情報には、デジタル音声放送で放送される番組のチャンネル、放送開始予定時刻、番組放送時間および番組内容などを含む文字データである番組配列情報( Service Information ;略称:SI)が含まれる。SIは、他のマルチメディア情報とともに、固定ユニット2の第1メモリ16に記憶され、携帯ユニット3に送信される。携帯ユニット3に送信されたSIは、第2メモリ33に記憶され、第2CPU32によって加工されて、電子番組案内(Electronic Program Guide;略称:EPG)が作成され、ディスプレイ操作部35に表示される。EPGは、たとえば新聞のテレビ欄のように、各番組が、列方向にチャンネル毎に、行方向に時間毎に並ぶ表となって表示される。デジタル音声放送に含まれるSIは、定期的に受信されて、第1および第2メモリ16,33に記憶されているSIと比較され、適宜最新の情報に更新されて記憶される。
【0035】
操作者がディスプレイ操作部35に表示されているEPGを閲覧して、さらに操作者が所望する内容が表示されるように、ディスプレイ操作部35を操作して入力すると、第2CPU32は、ディスプレイ操作部35からの入力指令に基いて、EPGを操作者の所望の内容、たとえば、ニュース、スポーツなどのジャンル別のEPGに加工して、さらに必要に応じて静止画も付加してディスプレイ操作部35に表示する。
【0036】
操作者がディスプレイ操作部35に表示されているEPGを閲覧して、ディスプレイ操作部35を操作して、現時刻に放送されている番組を選択すると、チャンネル選択指令が、第2CPU32および第2無線IF30を介して、固定ユニット2の第1無線IF15に送信されて、チューナ部10に与えられて、スピーカ40から選択された番組の音声が出力されるとともに、その番組に含まれるマルチメディア情報がディスプレイ操作部35に表示される。
【0037】
また操作者がディスプレイ操作部35に表示されているEPGを閲覧して、ディスプレイ操作部35を操作して、所望の番組を受信する予約を入力すると、第2CPU32は、SIに基いて、予約したい番組が放送されるチャンネル、放送日、放送開始時刻および放送終了時刻を含む番組予約情報を作成して、第2メモリ33に記憶する。前記番組予約情報は第2無線IF30を介して、固定ユニット2の第1無線IF15に送信され、固定ユニット2の第1メモリ16に記憶される。
【0038】
固定ユニット2の第1CPU14は、第1メモリ16に記憶されている番組予約情報に基いて、番組開始時刻になると、チューナ部10にチャンネル選択指令を与えて、アンテナ19を介して受信したデジタル音声放送の、番組予約情報で指定されたチャンネルに含まれる信号を抽出して、復調デマルチプレクサ部11に与える。その後、受信したデジタル音声放送に含まれる音声情報およびマルチメディア情報は、上述のようにしてスピーカ40から出力され、ディスプレイ操作部35に表示される。
【0039】
このようにして、携帯ユニット3が固定ユニット2に装着されている場合のデジタル放送受信装置1において、デジタル音声放送を受信して、音声情報の出力およびマルチメディア情報の表示が行われるが、デジタル音声放送に含まれるマルチメディア情報は、携帯ユニット3のディスプレイ操作部35に表示されるので、操作者は、携帯ユニット3を固定ユニット2から離脱して車外へ持ち出し、携帯ユニット3を携帯して、携帯ユニット3のディスプレイ操作部35に表示されるマルチメディア情報を閲覧することができ、番組の予約を行うこともできる。マルチメディア情報は、固定ユニット2を介して、携帯ユニット3に適宜送信され、携帯ユニット3の第2メモリ33に記憶される。
【0040】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1によれば、固定ユニット2は、符号化された音声情報およびマルチメディア情報が含まれるデジタル音声放送を受信するチューナ部10と、受信したデジタル音声放送に含まれる情報を記憶する第1メモリ16と、受信したデジタル音声放送に含まれる音声情報を復号する音声デコーダ部12と、復号された情報を出力する音声増幅制御部13と、受信したデジタル音声放送に含まれるマルチメディア情報を携帯ユニット3に送信する第1無線IF15とを有する。これによって固定ユニット2は、受信したデジタル音声放送に含まれる音声情報を適宜記憶して復号して出力するとともに、マルチメディア情報を携帯ユニット3に送信することができる。
【0041】
固定ユニット2に着脱可能な携帯ユニット3は、固定ユニット2から送信されるマルチメディア情報を含む情報を受信する第2無線IF30と、固定ユニット2からの情報を記憶する第2メモリ33と、マルチメディア情報を復号する第2CPU32と、復号されたマルチメディア情報を出力するディスプレイ操作部35とを有する。これによって携帯ユニット3は、固定ユニット2に対する着脱状態に係らず、固定ユニット2からのマルチメディア情報を受信してディスプレイ操作部35に表示するとともに、その情報を記憶することができる。このような携帯ユニット3が固定ユニット2に装着される状態におけるデジタル放送受信装置1は、受信したデジタル音声放送に含まれる全ての情報を、記憶および出力することができる。
【0042】
受信したデジタル音声放送に含まれる情報のうち、音声情報を、固定ユニット2において復号して出力し、マルチメディア情報を、携帯ユニット3において加工して表示するので、固定ユニット2および携帯ユニット3のいずれかにおいて、受信したデジタル音声放送に含まれる情報を全て復号して出力する場合に比べて、固定ユニット2および携帯ユニット3における復号および出力にかかる処理を軽減し、表示および出力を迅速に行うことができるとともに操作性が向上する。マルチメディア情報は音声情報に比べて容量が非常に小さいので、携帯ユニット3の第2メモリ33を容量の小さいRAMで構成することができる。
【0043】
また本実施の形態のデジタル放送受信装置1によれば、携帯ユニット3は、マルチメディア情報を表示するとともに、操作者が操作するディスプレイ操作部35を備え、固定ユニット2は、受信したデジタル音声放送に含まれる番組配列情報を、第1メモリ16に記憶するとともに携帯ユニット3に送信し、携帯ユニット3は、固定ユニット2からの番組配列情報を受信して、第2メモリ33に記憶するとともにディスプレイ操作部35に表示し、ディスプレイ操作部35からの入力と番組配列情報とに基いて、チャンネルおよび放送開始予定時刻を含む番組予約情報を作成して第2メモリ33に記憶するとともに、当該番組予約情報を第2無線IF30によって固定ユニット2に送信して、固定ユニット2の第1メモリ16に記憶させる。これによって携帯ユニット3の固定ユニット2に対する着脱状態に係らず、操作者は、ディスプレイ操作部35に表示される番組配列情報を閲覧して、所望の番組のチャンネルおよび放送開始予定時刻をディスプレイ操作部35に入力することで、所望の番組の予約を容易に行うことができるとともに、固定ユニット2は番組予約情報に基いて、操作者の所望の番組を受信することができる。
【0044】
また携帯ユニット3の第2メモリ33に番組予約情報が記憶されるので、携帯ユニット3の固定ユニット2に対する着脱状態に係らず、操作者は番組予約情報を閲覧することができる。さらに番組予約情報は、固定ユニット2および携帯ユニット3の第1および第2メモリ16,33にそれぞれ記憶されるので、万一、固定ユニット2の第1メモリ16に記憶されている番組予約情報が、何らかの要因で消去されても、固定ユニット2は、携帯ユニット3の第2メモリ33に記憶されている番組予約情報に基いて、操作者の所望の番組を受信することができる。また万一、携帯ユニット3の第2メモリ33に記憶されている番組予約情報が、何らかの要因で消去されても、携帯ユニット3は、固定ユニット2の第1メモリ16に記憶されている番組予約情報を、ディスプレイ操作部35に表示することができる。
【0045】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1における、ナビゲーションについての動作を以下に述べる。デジタル音声放送のマルチメディア情報には、デジタル放送受信装置1を搭載する自動車の周辺の交通路の状況を示す交通情報が含まれる。また固定ユニット2のCDドライブ17に、地図情報が記録されているCD−ROMが装着されると、CDドライブ17は、前記CD−ROMを読取って、地図情報を第1メモリ16に記憶するとともに、第1無線IF15を介して携帯ユニット3に送信される。固定ユニット2から送信された地図情報は、携帯ユニット3の第2無線IF30によって受信されて、第2メモリ33に記憶される。
【0046】
GPS31は、複数のGPS衛星から送信されるGPS衛星の固有識別子、軌道および時刻を含む位置基準情報を受信し、この位置基準情報に基いて、携帯ユニット3の現在位置に関する位置情報を算出する。
【0047】
経路探索手段である第2CPU32は、地図情報および位置情報に基いて、地図に携帯ユニット3の現在位置を重ね合わせてディスプレイ操作部35に表示する現在位置表示機能と、地図情報、交通情報、操作者によってディスプレイ操作部35に入力された出発地および目的地に基いて、出発地から目的地までの経路探索を行い、地図に探索された経路を重ね合わせてディスプレイ操作部35に表示する経路探索機能とを実行して、ナビゲーションを行う。またこのとき、固定ユニット2の第1CPU14は、地図情報、交通情報および位置情報に基いて、音声合成を行って、音声増幅制御部13およびスピーカ40を介して、音声によるナビゲーションを行ってもよい。
【0048】
また携帯ユニット3には、GPS31が備えられ、携帯ユニット3の第2メモリ33には、CD−ROMに記録されている地図情報が記憶されるので、携帯ユニット3を固定ユニット2から離脱させた車外においても、携帯ユニット3はナビゲーションを行うことができる。
【0049】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1によれば、固定ユニット2は、当該固定ユニット2に着脱可能なCD−ROMに記録される情報を読取るCDドライブ17を有し、携帯ユニット3は、GPS衛星からの位置基準情報を受信し、位置基準情報に基いて携帯ユニット3の現在位置に関する位置情報を算出するGPS31と、地図情報および位置情報に基いて、地図および現在位置をディスプレイ操作部35に表示する現在位置表示機能、ならびに地図情報、交通情報、入力された出発地および目的地に基いて、出発地から目的地までの経路探索を行い、地図および探索された経路をディスプレイ操作部35に表示する経路探索機能を実行する第2CPU32とを有し、固定ユニット2は、CD−ROMに記録されているCDドライブ17によって読取られた地図情報と、受信したデジタル音声放送に含まれる交通情報とを携帯ユニット3に送信し、携帯ユニット3は、固定ユニット2からの地図情報および交通情報を受信して、地図情報を第2メモリ33に記憶するとともに、記憶された地図情報と算出された位置情報と、ディスプレイ操作部35に入力された出発地および目的地と、交通情報とに基いて、ナビゲーションを行う。これによって、携帯ユニット3は、携帯ユニット3の固定ユニット2に対する着脱状態に係らず、ナビゲーションを行うことができる。
【0050】
また携帯ユニット3の第2メモリ33に地図情報が記憶されるので、携帯ユニット3には、携帯ユニット3に着脱可能なCD−ROMなどの記録媒体に記録されている情報を読取るCDドライブなどの記録媒体読取手段を備える必要がなく、携帯ユニット3の構成を簡素にするとともに、小形化および軽量化を図ることができる。さらに携帯ユニット3の第2メモリ33に地図情報が記憶されるので、固定ユニット2のCDドライブ17から地図情報が記録されているCD−ROMを離脱させても、携帯ユニット3は、ナビゲーションを行うことができ、これによって固定ユニット2のCDドライブ17に、他の情報が記録されているCD−ROMおよび音楽CDを装着して、その情報を読取ることができる。
【0051】
このように本実施の形態のデジタル放送受信装置1において、携帯ユニット3は、上述のような第2CPU32、第2メモリ33、GPS31およびディスプレイ操作部35を備えるので、携帯ユニット3を固定ユニット2から離脱させても、携帯ユニット3は、デジタル音声放送に含まれるマルチメディア情報を表示することができるだけでなく、マルチメディア情報に含まれるSIに基いてEPGを作成して表示し、操作者の入力に基いて番組の予約をすることができ、さらに、マルチメディア情報に含まれる交通情報と、GPS31による位置情報と、第2メモリ33に記憶される地図情報とに基いて、ナビゲーションを行うことができる。
【0052】
本実施の形態のデジタル放送受信装置1において、地上波デジタル音声放送を受信するとしたが、動画および静止画を含む画像情報、音声情報ならびにマルチメディア情報を含む地上波デジタル放送を受信して、この地上波デジタル放送に含まれる音声情報およびマルチメディア情報を出力および表示するようにしてもよい。
【0053】
また本実施の形態のデジタル放送受信装置1において、固定ユニット2と携帯ユニット3との通信は、無線によって行われるとしたが、固定ユニット2と携帯ユニット3とをコネクタによって接続して、通信するようにしてもよい。
【0054】
また本実施の形態のデジタル放送受信装置1において、音声情報は固定ユニット2の第1メモリ16に記憶されるとしたが、受信したデジタル音声放送に含まれる全ての音声情報を記憶する必要は無く、操作者の所望の部分だけを記憶させるようにしてもよい。
【0055】
また本実施の形態のデジタル放送受信装置1において、固定ユニット2に搭載される記録媒体読取手段は、CD−ROMおよび音楽CDを読取るCDドライブ17としたが、デジタルバーサタイルディスク(略称:DVD)を読取るDVDドライブ、CDとDVDとを読取可能なマルチドライブ、および光磁気ディスク(略称:MO)を読取るMOドライブでもよく、さらには、固定ユニット2に着脱可能な、リードオンリーメモリ(略称:ROM)を有するメモリカードを読取る装置でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の一形態であるデジタル放送受信装置1の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
1 デジタル放送受信装置
2 固定ユニット
3 携帯ユニット
10 チューナ部
12 音声デコーダ部
13 音声増幅制御部
15 第1無線インターフェイス
16 第1メモリ
17 CDドライブ
30 第2無線インターフェイス
31 汎地球測位システム
32 第2中央演算処理部
33 第2メモリ
35 ディスプレイ操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用電子機器に対し着脱可能な携帯型電子機器であって、
位置情報に基づいて自己の位置を算出する位置算出手段と、
前記車載用電子機器から地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記取得した地図情報を記憶する記憶手段と、
前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、地図表示が可能な表示手段とを備えることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記表示手段は、前記携帯型電子機器が前記車載用電子機器に対して装着された状態および取り外された状態でも、前記地図表示が可能であることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
車載用電子機器に対し着脱可能な携帯型電子機器であって、
位置情報に基づいて自己の位置を算出する位置算出手段と、
前記車載用電子機器から地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記取得した地図情報を記憶する記憶手段と、
前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、経路を探索する経路探索手段とを備えることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
位置情報および地図情報に基づいて経路探索可能な携帯型電子機器を着脱可能である車載用電子機器であって、
記録媒体から地図情報を読み取り可能な記録媒体読取手段と、
該読み取った地図情報を、前記携帯型電子機器に出力可能な地図情報出力手段とを備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項5】
記憶媒体から地図情報を読み取り可能な記憶媒体読取手段を有する車載用電子機器と、
前記車載用電子機器に対し着脱可能であり、前記車載用電子機器から前記地図情報を取得する地図情報取得手段と、前記取得した地図情報を記憶する記憶手段と、位置情報に基づいて自己の位置を算出する位置算出手段と、前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、地図表示が可能な表示手段とを有する携帯型電子機器と、を備えることを特徴とする電子システム。
【請求項6】
前記携帯型電子機器は、前記算出された自己の位置および前記地図情報に基づいて、経路を探索する経路探索手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の電子システム。
【請求項7】
前記携帯型電子機器は、該携帯型電子機器内に電力を供給する電源部を備え、
前記電源部は、前記携帯型電子機器が前記車載用電子機器に装着されている場合、車両内に備えられる電源から充電されることを特徴とする請求項5または6に記載の電子システム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−107357(P2008−107357A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286663(P2007−286663)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【分割の表示】特願2001−224542(P2001−224542)の分割
【原出願日】平成13年7月25日(2001.7.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】