説明

故障状況確認システム及び故障状況確認方法

【課題】無線通信により需要家の電力設備の故障状況を知ることができ、故障状況に応じて対応できる。
【解決手段】故障状況確認システム1は、電力量計2と通信可能な無線通信機器3、端末4及びサーバ5が、無線ネットワーク6を介して通信可能に接続されて構成される。電力量計2は、需要家ごとに設置された計器であり、従来電力会社の担当者が検針時に見て回っていたものである。無線通信機器3は、電力量計2から電圧データや電流データを取得しつつ、サーバ5からの要求に応じて又は定期的に電力量計2に関するデータを送信する。端末4は、電力会社の担当者が故障対応のために需要家に出向く場合に携行し、需要家までの経路を参照する端末である。サーバ5は、電力会社の営業所などに設置され、需要家から電力設備の故障の連絡があった場合に、当該需要家の電力量計2に関するデータを無線通信機器3から受信し、そのデータに応じて故障の原因を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計を使用して電力設備の故障状況を確認するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力量計の検針や電力設備の故障対応を行うにあたっては、電力会社の担当者が各需要家宅まで足を運んで、各需要家宅に設置された電力量計や電力設備を見て回る必要があった。そこで、各需要家宅を回ることなく検針が可能な、電力線搬送による情報収集システムが提案されている(特許文献1参照)。この情報収集システムによれば、電力線搬送により収集した情報を遠隔地のどこからでもアクセスできるとされている。
【特許文献1】特開平6−77861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の情報収集システムは、電話線による公衆通信網に接続できる端末であれば、どこでも情報収集ができるとしているが、有線によるデータ通信であるが故に無線通信と比較して使い勝手が悪いという問題がある。また、特許文献1には、情報収集を行った後の対応措置については記載されていない。
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、無線通信により需要家の電力設備の故障状況を知ることができ、故障状況に応じて対応できる手段を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、電力の需要家ごとに設置された電力量計と、前記電力量計の番号及び位置データを予め第1の記憶部に記憶するとともに、前記電力量計から電圧データを取得し、前記第1の記憶部に記憶する無線通信機器と、前記無線通信機器と通信可能なサーバとを含んで構成され、前記サーバが、配電系統の構成を示し、前記電力量計の番号を含む配電系統データ、並びに前記無線通信機器から取得した前記電力量計の番号ごとの位置データ及び電圧データを記憶する第2の記憶部と、電力設備の故障が生じた需要家について、当該需要家に設置された電力量計の番号を取得する入力部と、前記第2の記憶部に記憶された当該電力量計の番号の電圧データが正常である場合に、当該電力設備の故障の原因が屋内線故障であると判断し、当該電力量計の番号の電圧データが正常でない場合に、前記配電系統データに基づいて当該需要家付近の電力量計の番号を特定し、特定した電力量計の番号の電圧データが正常であるか否かをチェックして、屋内線故障でない当該電力設備の故障の原因を判断する処理部と、前記処理部が判断した当該電力設備の故障の原因を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、需要家から電力設備の故障の連絡があった場合に、現地に出かける前に、故障の原因が屋内線故障であるか否かを判定できるので、屋内線故障であるときには、需要家にブレーカの操作を依頼するなどして無用な出張を減らすことができる。また、屋内線故障でないときには、需要家まで出張する必要があるが、故障の原因が表示されるので、誰がどういう体制で行くべきか、何を持って行くべきかなどについて事前に検討し、準備することができる。
【0007】
また、本発明は、故障状況確認システムであって、前記処理部が、前記電圧データが正常であるか否かを、前記電圧データが所定値以上であるか否かによってチェックすることを特徴とする。
この構成によれば、電圧データが正常であるか否かのチェックを簡単に行うことができる。
【0008】
また、本発明は、故障状況確認システムであって、前記需要家への経路を表示するナビゲーション端末をさらに含んで構成され、前記サーバの前記第2の記憶部は、管轄地域の地図データをさらに記憶し、前記サーバの前記処理部は、当該電力量計の位置データ及びその位置データ付近の地図データを前記ナビゲーション端末に送信し、前記ナビゲーション端末は、前記サーバから当該電力量計の位置データ及び当該地図データを受信し、GPS衛星から受信したGPS信号又は最寄りの無線通信機器から受信した位置データにより特定した現在地を起点とし、当該電力量計の位置データを終点とする経路を当該地図データ上に示したものを表示することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、通常のナビゲーションシステムでは詳細に特定できない個人宅の位置データを、電力量計の無線通信機器からサーバ経由で取得できるので、需要家までの経路を表示することができる。これによれば、需要家周辺の地理に詳しくなくても、迷うことなく需要家に到達することができ、故障対応作業を行うので、電力設備の故障時間を短縮することができる。
【0010】
なお、本発明は、故障状況確認方法を含む。その他、本願が開示する課題およびその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信により需要家の電力設備の故障状況を知ることができ、故障状況に応じて対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を説明する。本発明の実施の形態に係る故障状況確認システムは、電力量計と通信可能な無線通信機器と、電力会社の営業所などに設置されたサーバとが、無線ネットワークを介したデータ通信を行いながら、需要家からの電力設備の故障(停電など)の連絡を受けて対応するものである。また、無線通信機器及びサーバと通信可能な端末が、必要に応じてその一端を担う。
【0013】
≪システムの構成≫
図1は、故障状況確認システム1の構成を示す図である。故障状況確認システム1は、1組以上の電力量計2及び無線通信機器3、1以上の端末(ナビゲーション端末)4並びにサーバ5が、無線ネットワーク6を介して通信可能に接続されて構成される。電力量計2は、需要家ごとに設置された計器であり、従来電力会社の担当者が検針時に見て回っていたものである。無線通信機器3は、電力量計2の1次側から電圧データや電流データなどを取得しつつ、サーバ5からの要求に応じて又は定期的に電力量計2に関するデータを送信する。無線通信機器3は、データ発信装置などによって実現されるが、電力量計2の外部に通信可能に設置されてもよいし、電力量計2に内蔵されてもよい。端末4は、電力会社の担当者が故障対応のために需要家宅に出向く場合に携行し、需要家宅までの経路を参照する端末である。端末4は、ナビゲーション機能を備えた、携帯情報機器(PDA:Personal Digital Assistant)や携帯電話などの携帯端末によって実現される。サーバ5は、電力会社の営業所などに設置され、需要家から電力設備の故障の連絡があった場合に、当該需要家宅の電力量計2に関するデータを無線通信機器3から受信し、そのデータに応じて故障の原因を表示するものである。サーバ5は、サーバ用コンピュータによって実現される。無線ネットワーク6は、無線通信機器3、端末4及びサーバ5を相互に通信可能とする無線通信網である。
【0014】
≪装置の構成≫
続いて、故障状況確認システム1の各装置の構成について説明する。まず、図2は、電力量計2及び無線通信機器3の構成を示す図である。電力量計2は、電圧計21及び電流計22を備える。電圧計21は、所定の時間ごとに電圧データを計測し、無線通信機器3に送信する。電流計22は、所定の時間ごとに電流データを計測し、無線通信機器3に送信する。
【0015】
無線通信機器3は、通信部31、処理部32及び記憶部33を備える。通信部31は、無線ネットワーク6を介して端末4又はサーバ5と通信するものであり、無線ネットワーク接続機器などによって実現される。処理部32は、無線通信機器3全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部33は、処理部32の指示によってデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、フラッシュメモリやハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって実現される。
【0016】
記憶部33は、計器番号331、位置データ332、電圧データ333及び電流データ334(以下、まとめて電力量計データともいう)を含んで記憶する。計器番号331は、当該無線通信機器3が通信可能になっている電力量計2に固有の番号である。なお、このデータの役割としては、需要家宅に設置された電力量計2を特定可能であればよいので、計器番号の代わりに、例えば、需要家の契約番号を用いてもよい。位置データ332は、当該無線通信機器3が通信可能になっている電力量計2の位置(緯度、経度)を示すデータである。計器番号331及び位置データ332は、当該無線通信機器3が電力量計2と通信可能に設置される場合に予め記憶部33に記憶するデータである。電圧データ333は、電力量計2の電圧計21によって計測された電圧のデータである。電流データ334は、電力量計2の電流計22によって計測された電流のデータである。電圧データ333及び電流データ334は、処理部32が所定の時間ごと又は随時電力量計2の電圧計21及び電流計22からアダプタ7を通じて取得し、記憶部33に記憶するデータである。アダプタ7は、電圧計21及び電流計22と、処理部32とを接続するものであり、図2に示すように電力量計2と、無線通信機器3との間に設けてもよいし、電力量計2又は無線通信機器3に内蔵するような構成であってもよい。
【0017】
次に、図3は、端末4の構成を示す図である。端末4は、通信部41、入力部42、表示部43、GPS信号受信部44、処理部45及び記憶部46を備える。通信部41は、無線ネットワーク6を介して無線通信機器3及びサーバ5と通信するものであり、無線ネットワーク接続機器などによって実現される。入力部42は、目的地である需要家宅に係る電力量計2の計器番号を入力する操作を受けて、その計器番号を取得し、処理部45に渡す。入力部42は、携帯情報端末の操作ボタンなどによって実現される。表示部43は、処理部45の指示によって地図上に示された経路などを表示する。表示部43は、携帯情報端末の液晶ディスプレイなどによって実現される。GPS信号受信部44は、GPS衛星から発信されるGPS信号(時間情報)を受信するものであり、受信したGPS信号を処理部44に渡す。なお、GPS信号受信部44が、GPS信号から端末4の位置データ(緯度、経度)を算出し、処理部44に渡すようにしてもよい。処理部45は、各部間のデータの受け渡しを行いながら、端末4全体を制御するものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。処理部45は、例えば、通信部41が受信した地図データを記憶部46に記憶したり、GPS信号受信部44が受信した信号から端末4の位置データ(緯度、経度)を算出し、算出した位置データを記憶部46に記憶したりする。記憶部46は、処理部45からの指示により、データを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、フラッシュメモリやハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって実現される。
【0018】
記憶部46は、地図データ461、現在地データ462及び目的地データ463を含んで記憶する。地図データ461は、目的地(終点)である需要家宅付近の地図データであり、通信部41がサーバ5から受信したデータである。現在地データ462は、現在地(起点)を示すデータであり、GPS信号受信部44が受信したGPS信号から算出されたデータであってもよいし、通信部41が受信した最寄りの無線通信機器3の位置データ332であってもよい。目的地データ463は、目的地(終点)を示すデータであり、入力部42が取得した計器番号に対応して、通信部41がサーバ5から受信した電力量計2の位置データである。なお、処理部45が、記憶部46に記憶された地図データ461、現在地データ462及び目的地データ463を表示部43に表示することによって、地図上に現在地から目的地までの経路を示したものが表示される。
【0019】
続いて、図4は、サーバ5の構成を示す図である。サーバ5は、通信部51、入力部52、表示部53、処理部54及び記憶部55を備える。通信部51は、無線ネットワーク6を介して無線通信機器3及び端末4と通信するものであり、無線ネットワーク接続機器などによって実現される。入力部52は、需要家から電力設備の故障連絡を受けた場合に、当該需要家宅に設置された電力量計2の計器番号を入力する操作を受けて、その計器番号を取得し、処理部54に渡す。表示部53は、処理部54からの指示により、電力設備の故障の原因などを表示する。処理部54は、各部間のデータの受け渡しを行いながら、サーバ5全体を制御するものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部55は、処理部54の指示により、データを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、フラッシュメモリやハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって実現される。
【0020】
記憶部5は、地図データ551、配電系統データ552、計器番号553、位置データ554、電圧データ555及び電流データ556を含んで記憶する。地図データ551は、当該サーバ5が設置された営業所の管轄地域を網羅する地図データである。配電系統データ552は、当該サーバ5が設置された営業所の管轄地域内にある配電系統の構成を示すデータであり、各需要家に設置された電力量計2の計器番号を含む。計器番号553、位置データ554、電圧データ555及び電流データ556は、無線通信機器3の記憶部33に記憶された計器番号331、位置データ332、電圧データ333及び電流データ334と同様であり、処理部54が、入力部52から渡された計器番号を元にして無線通信機器3に要求し、取得したデータである。なお、それらのデータは、処理部4が各無線通信機器3から定期的に又は随時取得するようにしてもよい。
【0021】
≪システムの処理≫
図5は、故障状況確認システム1の処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートでは、サーバ5の処理を中心に説明し、無線通信機器3及び端末4の処理については必要に応じて実施の形態の中で説明する。
【0022】
まず、サーバ5は、需要家からの電力設備に係る故障連絡を受け付ける(ステップS501)。次に、故障連絡を受けた需要家宅に設置された電力量計2の計器番号を取得する(ステップS502)。ステップS501及びステップS502の処理においては、サーバ5の処理部54は、入力部52を介して営業所の担当者の入力操作から故障連絡及び計器番号を取得してもよいし、通信部51を介して需要家が使用する所定の端末から故障連絡及び計器番号を受信してもよい。
【0023】
そして、サーバ5は、取得した電力量計2の計器番号を元にして、需要家宅の電力量計データを要求し、取得する(ステップS503)。この処理においては、まず、サーバ5の処理部54が計器番号を含む電力量計データ要求メッセージを通信部51経由で無線ネットワーク6に流す。無線通信機器3では、処理部32が通信部31経由で当該メッセージを受信し、当該メッセージ内の計器番号と、記憶部33に記憶された計器番号331とが一致するか否かを判定する。一致すれば、電力量計データをサーバ5に返信する。一致しなければ、何も応答しない。サーバ5では、通信部51が、当該メッセージ内の計器番号と計器番号331とが一致すると判定した無線通信機器3から電力量計データを受信する。そして、処理部54が通信部51から当該電力量計データを取得し、記憶部55に計器番号553、位置データ554、電圧データ555及び電流データ556として記憶する。
【0024】
続いて、サーバ5は、取得した電力量計2の計器番号を元にして、需要家宅周辺の電力量計データを要求し、取得する(ステップS504)。ここで、「需要家宅周辺」とは、需要家宅と同じバンク(1つの柱上変圧器が電力を供給する範囲)内のことをいい、記憶部55に記憶された配電系統データ552を参照して、「需要家宅周辺」にある電力量計2の計器番号を特定する。その後は、ステップS503と同様の手順を行うことによって、電力量計データを取得し、記憶部55に記憶する。なお、ステップS503及びステップS504の処理は、需要家から故障連絡を受け付けてから行うのではなく、定期的に行って、過去一週間分程度の電力量計データを記憶部55に記憶するようにしておき、故障連絡を受けたときには、すぐに記憶部55の電力量計データを参照するようにしてもよい。また、サーバ5は、電力量計データ要求メッセージを送信することなく、各無線通信機器3から定期的に電力量計データを受信するようにしてもよい。
【0025】
そこで、サーバ5の処理部54は、記憶部55に記憶した電圧データ555を参照し、チェックしながら、電力設備の故障の原因を判断する。まず、需要家宅の電圧データ555が0より大きいか否かをチェックする(ステップS505)。0より大きくない、すなわち、0であれば(ステップS505のNO)、需要家宅周辺の電圧データ555が正常であるか否かをチェックする(ステップS506)。ここで、電圧データ555が正常であるか否かは、電圧データ555が所定値以上であるか否かによってチェックする。なお、定期的に電力量計データを記憶部55に記憶している場合には、ステップS506で需要家宅周辺の電力量計2の計器番号553を特定し、特定した計器番号553の電圧データ555をチェックする必要がある。正常であれば(ステップS506のYES)、引込線などの故障であると判断する(ステップS507)。この場合、判断した故障の原因を表示部53に表示してもよい(以下、他の故障の判断時も同様)。一方、正常でなければ(ステップS506のNO)、柱上変圧器の保護装置のヒューズ切れなどの故障であると判断する(ステップS508)。
【0026】
ステップS505のチェックで需要家宅の電圧データ555が0より大きければ(ステップS505のYES)、単相3線式で、片相のみ電圧が0より大きいか否かをチェックする(ステップS509)。ステップS509の条件に該当しなければ(ステップS509のNO)、ヒューズ切れ、引込断線などであると判断する(ステップS510)。ステップS507、ステップS508及びステップS509で判断した故障は、電力会社の担当者が現地の需要家宅まで出向いて対応する必要があるので、需要家宅の位置が把握できるようにするために、サーバ5は、担当者が携行する端末4にナビゲーションデータを送信する(ステップS511)。ここで、ナビゲーションデータとは、端末4で需要家宅までの経路を表示するのに必要なデータを示し、記憶部55に記憶された地図データ551のうち、需要家宅周辺の地図データ、及び需要家宅に設置された電力量計2の位置データ554が該当する。
【0027】
端末4では、通信部41がサーバ5からナビゲーションデータを受信し、処理部45がナビゲーションデータを取得し、記憶部6に地図データ461及び目的地データ463として記憶する。次に、処理部45が、通信部41が最寄りの無線通信機器3から受信した電力量計2の位置データ、又はGPS信号受信部44からGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、現在地の位置データを算出し、記憶部46に現在地データ462として記憶する。そして、処理部45が、現在地データ462を起点とし、目的地データ463を終点とする経路を特定し、特定した経路を地図データ461上に示したものを表示部43に表示する。これにより、電力会社の担当者は、端末4の表示部43を参照することで需要家宅まで経路を知ることができるので、需要家宅付近の地理に詳しくない場合であっても、程なく需要家宅に着くことができ、速やかに故障対応の作業を行うことができる。なお、担当者が端末4の入力部42により出向くべき需要家宅の計器番号を入力し、端末4の処理部45が当該計器番号を含むナビゲーションデータ要求メッセージをサーバ5に送信することで、サーバ5からナビゲーションデータを受信するようにしてもよい。
【0028】
ステップS509の条件に該当すれば(ステップS509のYES)、需要家宅に設置された電力量計2の電圧は正常ということになるので、サーバ5の処理部54は、屋内線故障であると判断する(ステップS512)。なお、需要家宅に設置された電力量計2の電圧が所定値以上である場合に、電圧が正常であるとし、屋内線故障であると判断してもよい。屋内線故障であると判断した場合、ブレーカが落ちていることが想定されるので、需要家にブレーカ操作を依頼する(ステップS513)。具体的には、需要家の電話番号やメールアドレスにブレーカ操作を依頼するメッセージを送信する。なお、サーバ5の処理部54がステップS512で判断した故障の原因を表示部53に表示し、営業所の担当者がその故障の原因を見て、需要家にブレーカ操作を依頼することも考えられる。
【0029】
なお、ステップS503ないしS513の処理は、無線ネットワーク6を通じて行うので、サーバ5を営業所に設置したり、サーバ5又はそれに代わる装置を車両に搭載したりすれば、営業所や移動車両などの場所を問わず実行することができる。
【0030】
以上本発明の実施の形態について説明したが、無線通信機器3、端末4及びサーバ5の各部を機能させるために、各処理部で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る故障状況確認システム1が実現されるものとする。なお、プログラムをインターネットなどのネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップなどをコンピュータに組み込んでもよい。
【0031】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、ステップS507、S508、S510及びS512に示したように、電力設備に係る故障の原因が特定できるので、誰がどういう体制で行くべきか、何を持って行くべきかなどについて事前に検討し、準備することができる。また、端末4に需要家までの経路を表示することができるので、需要家周辺の地理に詳しくなくても、迷うことなく需要家に到達することができる。以上によれば、故障時間や停電時間の短縮を図ることができる。
【0032】
なお、電力量計2は、電力を使用する家庭であれば必ず取り付けられているものなので、個人宅を検索するのが容易になる。従って、故障状況確認システム1は、郵便や宅配便などの配送にも有効に利用できる。電力量計2の1次側に電源があるため、契約が廃止されている家庭でも、その電源を無線通信機器3に使用でき、位置データの取得が可能になる。
【0033】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、前記実施の形態においては、電力設備に係る故障の原因についての判断に電力量計2の電圧データを用いるように記載したが、電力量計2の電流データを用いるようにしてもよい。例えば、過去24時間分の電流データを保持することで、同じ変圧器から電力の供給を受けている2以上の需要家に設置された電力量計2の電流データの合計値が所定値を超えた場合には、当該変圧器のヒューズの交換が必要であるという判断を行うことができる。電流データの時間的変化によって、ヒューズ切れの原因が短絡の大電流によるものなのか、過負荷によるものなのかを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】故障状況確認システム1の構成を示す図である。
【図2】電力量計2及び無線通信機器3の構成を示す図である。
【図3】端末4の構成を示す図である。
【図4】サーバ5の構成を示す図である。
【図5】故障状況確認システム1の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 故障状況確認システム
2 電力量計
3 無線通信機器
33 記憶部(第1の記憶部)
4 端末(ナビゲーション端末)
5 サーバ
52 入力部
53 表示部
54 処理部
55 記憶部(第2の記憶部)
551 地図データ
552 配電系統データ
553 計器番号(電力量計の番号)
554 位置データ
555 電圧データ
6 無線ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の需要家ごとに設置された電力量計と、
前記電力量計の番号及び位置データを予め第1の記憶部に記憶するとともに、前記電力量計から電圧データを取得し、前記第1の記憶部に記憶する無線通信機器と、
前記無線通信機器と通信可能なサーバと、
を含んで構成され、
前記サーバは、
配電系統の構成を示し、前記電力量計の番号を含む配電系統データ、並びに前記無線通信機器から取得した前記電力量計の番号ごとの位置データ及び電圧データを記憶する第2の記憶部と、
電力設備の故障が生じた需要家について、当該需要家に設置された電力量計の番号を取得する入力部と、
前記第2の記憶部に記憶された当該電力量計の番号の電圧データが正常である場合に、当該電力設備の故障の原因が屋内線故障であると判断し、当該電力量計の番号の電圧データが正常でない場合に、前記配電系統データに基づいて当該需要家付近の電力量計の番号を特定し、特定した電力量計の番号の電圧データが正常であるか否かをチェックして、屋内線故障でない当該電力設備の故障の原因を判断する処理部と、
前記処理部が判断した当該電力設備の故障の原因を表示する表示部と、
を備える
ことを特徴とする故障状況確認システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記電圧データが正常であるか否かを、前記電圧データが所定値以上であるか否かによってチェックする
ことを特徴とする請求項1に記載の故障状況確認システム。
【請求項3】
前記需要家への経路を表示するナビゲーション端末をさらに含んで構成され、
前記サーバの前記第2の記憶部は、管轄地域の地図データをさらに記憶し、
前記サーバの前記処理部は、当該電力量計の位置データ及びその位置データ付近の地図データを前記ナビゲーション端末に送信し、
前記ナビゲーション端末は、前記サーバから当該電力量計の位置データ及び当該地図データを受信し、GPS衛星から受信したGPS信号又は最寄りの無線通信機器から受信した位置データにより特定した現在地を起点とし、当該電力量計の位置データを終点とする経路を当該地図データ上に示したものを表示する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の故障状況確認システム。
【請求項4】
電力の需要家ごとに設置された電力量計と、
前記電力量計の番号及び位置データを予め第1の記憶部に記憶するとともに、前記電力量計から電圧データを取得し、前記第1の記憶部に記憶する無線通信機器と、
前記無線通信機器と通信可能なサーバと、
を含んで構成されるシステムにより電力設備の故障状況を確認する方法であって、
前記サーバが、配電系統の構成を示し、前記電力量計の番号を含む配電系統データ、並びに前記無線通信機器から取得した前記電力量計の番号ごとの位置データ及び電圧データを第2の記憶部に記憶するステップと、
前記サーバが、電力設備の故障が生じた需要家について、当該需要家に設置された電力量計の番号を取得するステップと、
前記サーバが、前記第2の記憶部に記憶された当該電力量計の番号の電圧データが正常である場合に、当該電力設備の故障の原因が屋内線故障であると判断し、当該電力量計の番号の電圧データが正常でない場合に、前記配電系統データに基づいて当該需要家付近の電力量計の番号を特定し、特定した電力量計の番号の電圧データが正常であるか否かをチェックして、屋内線故障でない当該電力設備の故障の原因を判断するステップと、
前記サーバが、前記判断した当該電力設備の故障の原因を表示するステップと、
を含むことを特徴とする故障状況確認方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−22676(P2008−22676A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194404(P2006−194404)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】