説明

有機ケイ素化合物の製造方法

【課題】少なくとも1つのSiH基を有するシロキサンと、二重結合を有する化合物との触媒反応による有機変性されたシロキサンの製造方法。
【解決手段】ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドを触媒として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒としてのジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドの存在で、SiH基を有するシロキサンを、オレフィン二重結合を有する有機化合物に付加する方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、SiH基を有するシロキサンを、オレフィン二重結合を有する化合物、例えばエステル、アミン、アミド、アルコール、エーテル又は炭化水素の群から選択されるオレフィン系不飽和化合物に付加する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
SiC結合した有機変性シロキサン、殊にポリエーテルシロキサンは、それらの幅広く調節可能な界面活性剤性能に伴い、工業的に極めて重要な種類の物質である。これらの物質を製造するために確立された経路は、SiH基を有するシロキサン及びシランを、オレフィン官能化された化合物、例えばアリルポリエーテルに、白金金属触媒付加することにある。
【0004】
SiH基を有するシラン又はシロキサンを、1つ又はそれ以上のオレフィン二重結合を有する化合物に付加するための白金触媒の使用は公知であり(ヒドロシリル化)、かつ例えばMichael. A. Brook著、書籍"Silicon in Organic, Organometallic, and Polymer Chemistry", Verlag John Wiley & Sons, Inc., New York 2000, p.403以降及び特許文献、例えば独国特許出願公開(DE-A)第26 46 726号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 075 703号明細書及び米国特許(US-A)第3 775 452号明細書に記載されている。今日の企業的実施においては、主にヘキサクロロ白金酸及びシス−ジアミノ白金(II)クロリドが定着している。
【0005】
例えばこの反応原理が単純に記載されうる場合に、しばしばその再現性のある実施は工業的規模では複雑化された状態になる。
【0006】
一方では、この付加反応は、オレフィン二重結合を有する化合物が、付加反応と競合して前記SiH基と反応することができる基を含まない場合にのみ、副生物をたいして形成することなく進行する。このためには、特に、炭素に結合したヒドロキシル基が考慮に入れられるべきである。
【0007】
他方では、有用な結果となるために必要な白金金属量(それぞれ考慮されるヒドロシリル化混合物の100万質量部当たりの質量部の形で表現される)は、しばしば、これらの方法が経済的に興味深くならないほど高すぎる。
【0008】
特に、しかし不足したSiH転化率は、SiOSi結合の新たな結合による望ましくない分子量増成をまねく。この架橋の結果として、例えばこれらの生成物の粘度は、規定された範囲内で維持されることができず、しかしまたそれらの目的の界面活性作用は、かなりの損失を被りうる。
【0009】
もちろん、活性な触媒系、例えばKarstedt型のもの(米国特許(US)第3 814 730号明細書)は、有機変性シロキサン、特にアリルポリエーテルシロキサンの製造の際に、失活現象及びシャットダウン現象の傾向を有するので、しばしば後触媒反応の必要性がもたらされる及び/又はまた前記付加反応における劇的な温度上昇の傾向を有する。
【0010】
また、かなりの場合に、公知の白金触媒が通常の触媒質量割合を上回る及び/又は高い温度で使用される場合に、ヒドロシリル化生成物にとって有害であることが確認されている。これらの厳しい反応条件により、転位された副生物の形成が強められ、かつ前記触媒の失活は、例えば反応マトリックスからの貴金属の不可逆的な沈殿により促進される。
【0011】
オレフィン二重結合を有する化合物へのSiH基を有するシロキサンの白金金属触媒付加反応から生じる生成物の応用技術的有用性は、前記ヒドロシリル化において達成される転化率;すなわち、残りのSiH官能基の最小化と特に直接結び付いている。残存SiHは、特に、遍在する痕跡量の水(例えば大気湿分)の存在で、制御不可能な加水分解プロセス及び架橋プロセスをまねき、これらは殊に高い分子量の付加化合物の場合に強制的にゲル化(Vergelung)をまねき、かつ前記生成物を役に立たなくする。
【0012】
実地において、とりわけ、多段階の付加反応の範囲内で製造され、乳化剤として使用されるアルキルシロキサン−ポリエーテルシロキサン−コポリマーの場合にも、残りのSiH官能基を、SiHを形成する補助オレフィンとして過剰のエチレンで反応マトリックスに押し込むこと(Beaufschlagung)により捕捉するという努力が欠如していた。しかしながらこの措置は、所望の効率を有しないので、未反応ケイ素−水素約2〜3%(出発シロキサンを基準として)が残留する。経験上、この種の生成物は貯蔵安定ではなく、かつゲル化を受ける。
【0013】
これに関連して、特に、品質水準の偏差のための鋭敏な指標として、例えば泡安定剤としてPU軟質フォームの製造に採用されるポリエーテルシロキサンも明らかにされている。この工業的に重要な種類の化合物への主な経路は、アリルアルコールをスターターとするポリオキシアルキレン化合物(アリルポリエーテル)をポリ(メチル水素)ポリジメチルシロキサン−コポリマーに貴金属触媒付加することをもたらす。応用技術的パラメーターとして、活性並びにセルの微細さ(Zellfeinheit)は、安定剤品質の評価のための基準である。前記安定剤製造における方法変更、例えばSiC結合反応中の触媒反応条件の変更は、フォーム品質に直接的な影響を及ぼす。
【0014】
貴金属触媒ヒドロシリル化反応は、SiH基を有するシランもしくはシロキサンとオレフィン系不飽和化合物との間の多数の組合せ可能性により、幅広い範囲の変性されたシランもしくはシロキサンを開発する。
【0015】
イオン液体中に溶解された有機変性ポリシロキサンを製造するためのジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドの適性は、欧州特許(EP)第1 382 630号明細書に記載されている。引用された明細書の例9において、不飽和ポリエーテル1.3当量、400g/molの平均モル質量及び100%のエチレングリコール割合を有する連鎖長N=20の短鎖の高反応性α,ω−SiH−ポリジメチルシロキサンが90℃に加熱される。この反応混合物に、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム−メチルスルファート中に溶解されたジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド20ppmが添加され、かつ反応バッチ全体が90℃で5時間撹拌される。反応バッチの冷却後に、相分離は、白金錯体を有する1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート相からのABA構造化されたポリエーテルシロキサンの分離を可能にする。欧州特許(EP)第1 382 630号明細書は、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドが、補助相としてのイオン液体を使用せずに、有機変性ポリシロキサンの製造のための触媒として適していることを示していない。有機変性シロキサンを製造するための既存の設備の場合に、通常、相分離のため及び補助相の循環のための工業用装置は設けられないので、ここで議論された技術的教示は、かなりの費用及び資本投資を伴ってのみ転用されることができる。
【0016】
欧州特許(EP)第0 073 556号明細書には、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドが、脂肪族不飽和オルガノシロキサン化合物及びアルミニウムアルコキシドと共に、SiC結合を引き起こす触媒系のために組み合わされ、その際にこの出願明細書の目標設定は、ビニルシロキサン/SiHシロキサン系をベースとするはく離コーティングの促進された硬化である。前記結合反応は、純シロキサン相中で行われる。課題は、ここでは、有機変性シロキサン − 特に前記種類のポリエーテルシロキサンと思われるものを、SiC結合を経て製造することではない。本質的に無極性のシロキサンと明らかにより親水性の付加相手との間の極性差がしばしば反応開始からみて初期の二相からの反応操作を制約する、界面活性なシロキサン誘導体を取得するためには、欧州特許(EP)第0 073 556号明細書の教示は、そのために解決経路を示していない。
【0017】
独国特許出願公開(DE-OS)第1793494号明細書は、ヒドロシリル化反応用の白金からの触媒組成物を目的とするものであり、その際に前記白金のオレフィン系クロロ錯体は、環状アルキルビニルポリシロキサンと、白金に当初に結合したオレフィンの置換下に反応される。こうして得られたアルケニルシロキサン白金ハロゲニド錯体は、SiH基を有するオルガノポリシロキサンを、脂肪族不飽和基を有する別のオルガノポリシロキサンに付加するのに利用される、それというのも、これらは、そこで代表される発明的教示によれば、触媒出発物質として使用される前記白金のオレフィン系クロロ錯体に比べて高められた系溶解度を有するからである。
【0018】
米国特許(US)第3,159,601号明細書で、Ashbyは既に、SiH基を有するオルガノポリシロキサンを脂肪族不飽和基を有する別のオルガノポリシロキサンに付加するための白金の純オレフィン系クロロ錯体の使用の特許の保護を請求していた。独国特許出願公開(DE-OS)第1793494号明細書にも、米国特許(US)第3,159,601号明細書にも、有機変性シロキサンのSiC結合による製造のためのオレフィン系白金クロロ錯体の適性は示されていない。
【0019】
独国特許(DE)第1210844号明細書には、シランを不飽和炭化水素に含ケイ素炭化水素の形成下で付加する特許の保護が請求されている。その場合に、触媒ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドが、比較化合物として記載されていており、これは酢酸アリルへのメチルジクロロシランの付加の際に、黒色に着色した生成物をまねき、このことは前記触媒自体の分解を示唆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】独国特許出願公開(DE-A)第26 46 726号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開(EP-A)第0 075 703号明細書
【特許文献3】米国特許(US-A)第3 775 452号明細書
【特許文献4】米国特許(US)第3 814 730号明細書
【特許文献5】欧州特許(EP)第1 382 630号明細書
【特許文献6】欧州特許(EP)第0 073 556号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開(DE-OS)第1793494号明細書
【特許文献8】米国特許(US)第3,159,601号明細書
【特許文献9】独国特許(DE)第1210844号明細書
【特許文献10】米国特許(US)第4,892,918号明細書
【特許文献11】DE 10 2010001350.1
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Michael. A. Brook、"Silicon in Organic, Organometallic, and Polymer Chemistry", Verlag John Wiley & Sons, Inc., New York 2000, p.403以降
【非特許文献2】Walter Noll、"Chemie und Technologie der Silicone", Verlag Chemie GmbH, Weinheim/Bergstrasse (1960)
【非特許文献3】Fat Sci. Technol. 1991, No.1, p.13-19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、SiH基含有シロキサンをオレフィン二重結合に付加する際の選択的な触媒系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
意外なことに、ここで示された技術水準を離れて、SiH基を有するシロキサンをオレフィン二重結合を有する有機化合物に付加することが、触媒としてのジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドの使用により成功することが目下見出された。
【0024】
特に意外でかつ当業者に決して予測できなかったことに、触媒としてのジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドの使用により引き起こされたSiC結合反応が、それどころか前記反応相手により単独で定義されるマトリックスから;すなわち、付加的な溶剤又は場合により前記触媒を相溶化させる又は溶解させる別の補助相の放棄下に、成功する。
【0025】
相溶化は、これに関連して、付加的な溶剤及び/又は分散剤が前記触媒のために使用される必要なく、反応マトリックス中に前記触媒を均質に分布させる可能性であると理解されるべきである。前記触媒は、意外なことにその作用を、前記触媒を溶解させる又は懸濁させる/乳化させる作用のある補助相の添加の存在なしでも発揮することができる。
【0026】
故に、本発明の対象は、触媒としてのジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドの使用による、SiH基を有するシロキサンとオレフィン二重結合を有する有機化合物とからの反応生成物の製造方法である。
【0027】
触媒ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドは、その際に、前記反応成分中に主に懸濁された形で存在する。前記反応は、それゆえバルクで行われる。
【0028】
反応相手、すなわちSiH基を有するシロキサン並びにオレフィン二重結合を有する有機化合物及びそれらの製造方法は公知である。SiH基を有する前記シロキサンの代表例は、例えばWalter Noll著、基準的学術書"Chemie und Technologie der Silicone", Verlag Chemie GmbH, Weinheim/Bergstrasse (1960)に詳細に記載されている。
【0029】
前記シロキサン中のSiH基は、末端及び/又は非末端であることができる。本発明により使用可能なシロキサンは、一般式(I)
【化1】

[式中、
Rは、1〜20個までの炭素原子を有する置換又は非置換の炭化水素基であることができ、好ましくはメチル基であり、
R′は、水素及び/又はRであることができ、
mは、0〜500、好ましくは10〜200、特に15〜100であり、
nは、0〜60、好ましくは0〜30、特に0.1〜25であり、
kは、0〜10、好ましくは0〜4であり、
但し、R′は少なくとも一個が水素である]で示される化合物である。
【0030】
前記シロキサンは、一般式(I)中で括弧中に示された部分の個々の成分がランダムに分布して並びにブロックで含まれていてよい工業製品であり、これらは、製造により制約されて、より大きな割合の分枝も含有することができる。本発明による好ましい化合物は、本質的に線状である。50質量%、好ましくは>90質量%の割合で、基Rは、短鎖アルキル基、特にメチル基である。
【0031】
好ましくは、基Rとして、付加反応を妨げない1つ又はそれ以上の同じか又は異なる基、例えば炭素原子1〜8個を有するアルキル基;炭素原子1〜8個を有する置換アルキル基、例えば3−クロロプロピル基、1−クロロメチル基、3−シアノプロピル基;アリール基、例えばフェニル基;炭素原子7〜20個を有するアラルキル基、例えばベンジル基;アルコキシ基又はアルコキシアルキル基、例えばエトキシ基又はエトキシプロピル基である。その際に、式(I)の分子内で、基Rは異なる意味を有することもできる。しかしながら、全ての基R又はそれらの大多数がメチル基の意味を有する化合物が好ましい。
【0032】
適した好ましい、SiH基を有するシロキサンの例は、式(II)又は(III):
【化2】

[式中、添え字及び基は、式(I)の中で記載されたものと同じ定義を有する];
【化3】

[式中、
3は、平均分子中で炭素原子1〜18個を有するアルキル基を表すか又はアリール基を表し、しかしながら基Rの少なくとも90%は、メチル基であり、
2は、基R3の意味を有するか又は水素基であり、その際に平均分子中で少なくとも2つの基R2は、水素基でなければならず、
aは、0.5〜100の値を有し、
bは、0〜5の値を有し、かつ
cは、0〜100の値を有する]で示される化合物である。
【0033】
特に好ましくは、R2が水素基であり、かつR3がメチル基であり、aが0.5〜5の値を有し、bが0の値を有し、かつcが1〜10の値を有する水素ポリシロキサンである。
【0034】
好ましくは、前記オレフィン系不飽和有機化合物は、α−オレフィン、歪んだ環状オレフィン、α,ω−アルケノール、末端オレフィン系不飽和ポリエーテル、アミノ官能性α−オレフィン又はα−オレフィン基を有するオキシランの群から並びにω位でのオレフィン系不飽和カルボン酸エステルの群からもしくはまたここで記載された種類の物質の混合系から選択されている。
【0035】
α−オレフィンは、炭素原子2〜18個を有し、モノ不飽和又はポリ不飽和である分枝鎖状又は非分枝鎖状のα−オレフィンであり、好ましくはエチレン、プロペン−1、ブテン−1、イソブテンであり、特に好ましくは、ヘキセン、オクテン、デセン、ウンデセン、ヘキサデセン、オクタデセン並びにC20〜C40の炭素数範囲内のα−オレフィン並びに石油化学から工業的に一般的に入手可能なC22〜C24−オレフィン留分である。
【0036】
前記オレフィン系不飽和化合物はそれぞれ単独で又は別のオレフィン系不飽和化合物との任意の混合物で使用されることができる。混合物が使用される場合には、前記反応の際に、前記不飽和化合物が同時に又は時間的にずらして又はSiH−シロキサンと交互に計量供給されるかに応じて、ブロックで又はランダムに増成されたコポリマー化合物が生じる。当業者には、特に有利な生成物特性を達成するためにオレフィンを選択しなければならない選択基準は公知である。
【0037】
特に異なるオレフィンの混合物の場合に、当業者は、混合物成分の異なる官能基の副反応を評価し、かつ場合により阻止することを知っている。そして、例えばアミノ官能性オレフィンとオレフィン基を有するオキシランとの混合物は、開環下でのアミノ基及びオキシラン環の不可避の副反応をまねくことになる。
【0038】
歪んだ環状オレフィンの場合に、とりわけ、ノルボルネン及びノルボルナジエン、ジシクロペンタジエンの誘導体並びにそれらの非置換の母体を挙げることできる。
【0039】
前記α,ω−アルケノールは、炭素原子2〜18個を有し、モノ不飽和である分枝鎖状又は非分枝鎖状のα,ω−アルケノールである。好ましくはα,ω−アルケノールの種類については、5−ヘキセン−1−オール及び9−デセン−1−オールを挙げることができる。
【0040】
末端オレフィン系不飽和ポリエーテルは、それらの不飽和の専門語が、ビニル基、アリル基又はメタリル基により定義されるポリオキシアルキレン化合物であると理解される。
【0041】
それらの例は、式
【化4】

[式中、
x=0〜100、
x′=0又は1、
y=0〜100、
z=0〜100、
R′は、炭素原子1〜4個を有する場合により置換されたアルキル基であり、かつ
R″は、水素基であるか又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基;基−C(O)−R″′[ここでR″′=アルキル基];
基−CH2−O−R′;アルキルアリール基、例えばベンジル基;基−C(O)NH−R′であり、
IVは、炭素原子7〜47個、好ましくは13〜37個を有する場合により置換された炭化水素基であり、
SOは、基C6565(−)−CH2−O−を意味する]で示されるポリオキシアルキレン化合物である。
【0042】
アミノ官能性α−オレフィンは、ここでは、特にアリルアミン及びN−エチル−メタリルアミンであると理解される。
【0043】
Ryangは、米国特許(US)第4,892,918号明細書の教示において、ヘキサクロロ白金酸を、第二級アミノ官能性シロキサンの製造に最適であるヒドロシリル化触媒として示した。意外なことに、この合成は、しかしまた、ここで紹介された触媒ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドを用いても成功する。確かに、米国特許(US)第4,892,918号明細書において同様に前記反応はバルクで− すなわち溶剤又は他の補助相の存在なしで実施されるが、しかし前記アミノ官能性シロキサンの反応は、ここで紹介された発明思想を知れば、ヘキサクロロ白金酸が、前記アミノ官能基を介して部分的に溶解された形へ変換され、これらはついでジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドと匹敵しうる有効な触媒系をもたらすことは容易に推測できる。しかしながら、米国特許(US)第4,892,918号明細書の実施例は、長い反応時間が我慢されなければならないことを示している。
【0044】
意外なことに、そのような反応は、本発明対象の方法を用いて及び触媒ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドを用いて、アミン官能性出発物質を用いて並びに前記分子構造中に内在的に存在しており、かつ補助相溶剤として作用する基が存在しなくとも、成功する。もちろん高い反応温度で及び高い転化速度での比較的短い反応時間を保証しながら、本発明対象の方法においてほぼ無色の反応生成物が得られる(アミノ官能性基質についての例5及び7及び本発明による別の例参照)。
【0045】
代表例として、しかしながら付加できるオレフィン系官能基を備えたオキシランのこの物質群を決して限定するものではないが、ここでは、アリルグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキセンオキシドを挙げることができる。
【0046】
ω位でのオレフィン系不飽和カルボン酸エステルの中では、例えば工業的に容易に入手可能なウンデシレン酸メチルエステルの名称のようなものである。
【0047】
前記ヒドロシリル化反応は好ましくは、SiH基を基準として、アルケンの少なくとも約15mol%の特定の過剰量を用いて行われる。反応物としての不飽和ポリエーテル、特にアリルポリエーテルの場合に、約30〜40mol%の工業的に通常の過剰量が選択される。溶剤は、使用される必要はないが、しかしながら、これらが前記反応に関して不活性である場合に妨げない。反応温度は一般的にかつ好ましくは約140℃〜160℃である。反応期間は1〜8時間、好ましくは1〜3時間である。
【0048】
場合により使用可能な溶剤として、反応条件下に不活性な全ての有機溶剤、特に炭化水素、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び場合により置換された芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン等が適している。溶剤として、前記反応系に内在的な出発物質及び反応生成物自体も併用されることができる。前記触媒は、ヒドロシリル化反応に通常の系に依存した濃度で使用される。
【0049】
白金触媒ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドの使用すべき量は、本質的には、反応性及び反応相手の分子量に依存する。一般的に、シロキサン中のそれぞれSiH基1molにつき前記触媒10-2〜10-8mol、好ましくは10-3〜10-6molが使用される。
【0050】
本発明による触媒は、幅広い温度範囲にわたって使用されることができる。技術水準に示された生成物を損傷する副反応を回避するために、好ましくは温度範囲は、目的の生成物純度と製造能力との間での受け入れることができる譲歩を示すように低く選択される。より高い処理量速度を達成するために、反応温度は、失活現象及びシャットダウン現象となることなく、かなり高められることもできる(約150℃まで)。
【0051】
本発明により得られるアミノ基を有する線状ポリジメチルシロキサンは、テキスタイルの処理に、それらに柔らかな手触り(weichen Griff)及び特定の帯電防止性を付与するために使用されることができる。
【0052】
さらに、本発明による方法により得られるアミノ基を有する線状ポリジメチルシロキサンは、それらと、例えばα,ω−エポキシド官能基を有するポリプロピレンオキシド及びジアミン、例えばピペラジンとのさらなる反応により、柔らかな手触りを改善する洗液添加剤の構成を可能にする、例えばこれまでまだ未発行の特許出願DE 10 2010001350.1に説明される。
【0053】
本発明により得られる化合物は、しかし特に反応性成分としてポリマー化合物の製造に使用されることができる:
1つの使用可能性は、これらをエポキシ樹脂中での架橋成分として前記エポキシ樹脂の靭性を、特に、0℃未満の、低い温度で改善するために使用することにある。
【0054】
さらなる使用目的は、テキスタイルのコーティングに使用されるポリマーを得るための、本発明の化合物と末端エポキシド基を有するシロキサンとの反応である。これらのコーティングは、前記テキスタイルに柔らかな手触りを付与する。
【0055】
通常、本発明による請求項に係る反応は、大気圧下、しかしながら場合により高められた圧力下にも実施される。
【0056】
本発明によれば好ましくは、本方法は、常圧で実施されるが、それとは異なる圧力範囲も − 所望の場合に − しかしながら同様に可能である。
【0057】
本発明により製造されるオルガノシロキサンは、家庭及び工業において並びに皮膚及び皮膚付属器のための洗浄剤及び手入れ剤において、薬学、家庭及び工業における用途のための洗浄剤配合物及び手入れ配合物においてそれぞれの全ての使用目的のために使用されるが、しかし従来製造された有機変性オルガノシロキサン及びそれらをベースとする水性系の代わりに、使用されることができる。非常に有利な流動学的性質に基づいて、これらはさらにまた、これまで利用不可能な使用分野にも使用可能である。
【0058】
例えば、しかし排除するものではないが、これらは、均質で貯蔵安定なペースト、塗料、ラッカー、被覆(Ueberzuegen)、コーティング、ペイントの製造のため;蒸散抑制剤/デオドラントにおける、並びに薬剤学的製剤における、顔料湿潤剤又は分散添加剤である。
【0059】
本発明のさらなる対象は、硬質表面の洗浄及び手入れのため、並びにテキスタイルの仕上げ処理、洗浄及び手入れのための薬剤における、本発明により製造されるオルガノシロキサンの使用である。
【0060】
本発明のさらなる対象は、テキスタイルの処理及び後処理の際の、例えば洗浄剤及び手入れ剤として、含浸剤、処理助剤(Avivagehilfsmittel)及び手触り向上剤及び織物柔軟剤としての、本方法により製造される有機変性オルガノシロキサンの使用である。
【0061】
本発明のさらなる対象は、ポリウレタンフォームを製造する際の、例えば泡安定剤、セルオープナー(Zelloeffner)、離型剤等としての、本発明により製造されるオルガノシロキサン、特にシリコーンポリエーテルコポリマーの使用である。
【0062】
前記方法は、一般的に、SiH化合物a)が、少なくとも部分的に、すなわち大体において、しかし好ましくはできるだけ完全に成分b)の二重結合と反応されるように実施される。
【0063】
本発明のさらなる対象は、ポリエステル及びポリウレタンを製造する際の有機変性されたシロキサンの使用である。特に、アミノ官能基を有する有機変性されたシロキサンは、ポリエステル及びポリウレタンを製造する際に分子中の軟質セグメントとして機能することができる。
【0064】
本発明のさらなる対象は、特許請求の範囲に記載されており、それらの開示内容は全面的に本明細書の構成要素である。
【0065】
次に示された実施例において、本発明は、本発明の説明のために記載されるが、応用範囲が明細書全体及び特許請求の範囲からもたらされる本発明は、実施例に記載された実施態様に限定されるものではない。本明細書又は実施例において、範囲、一般式又は化合物の種類が示されている場合には、これらは、明示的に挙げられた化合物の相応する範囲又は群を含むだけでなく、個々の値(範囲)又は化合物を取り出すことにより得ることができる化合物の全ての部分範囲及び部分群も含むものである。本明細書の範囲内で刊行物が引用される場合には、それらの内容は完全に本発明の開示内容に属するものである。本発明の範囲内で、異なるモノマー単位を複数有することができる化合物、例えば有機変性シロキサンが記載される場合には、これらのモノマー単位は、ランダムに分布されて(ランダムオリゴマー)又は規則的に(ブロックオリゴマー)、これらの化合物中に存在することができる。そのような化合物中の単位の数についての記載は、相応する全ての化合物を通じて平均された、統計学的平均値として理解されるべきである。
【0066】
実験の部:
ここで示される例は、本発明により特許の保護が請求される方法の説明に利用される。
【0067】
使用される水素シロキサン、しかしまた反応マトリックスのSiH値の測定は、ガスビュレットでの分取秤量された試料量のナトリウムブチラートにより誘導された分解によってそれぞれガス容量測定的に行われる。一般的な気体方程式へ代入して、測定された水素体積は、出発物質中、しかしまた前記反応バッチ中の活性なSiH官能基の含量測定を可能にし、かつこうして転化監視を可能にする。
【0068】
使用されるアリルアルコールをスターターとするポリエーテル(例1及び6)、しかしまた工業用α−オレフィン(例2)の分子量の測定は、Hanusによるヨウ素価の滴定により行われ、これは久しい以前から"DGF-Einheitsmethoden"の区分C-Vの構成要素である(Fat Sci. Technol. 1991, No.1, p.13-19並びにDGF C-V 11 a (53)及びPh. Eur. 2.5.4(方法A)参照。
【0069】
本発明により使用される触媒は、W.C. Heraeus、Hanau、DEから商業的に手に入れることができる。
【0070】
記載された粘度は、DIN 53921による動的剪断粘度としてHaake社の粘度計中での測定により測定される。
【0071】
例1:
シリコーンポリエーテルコポリマーの製造:
内部温度計、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた1l多口丸底フラスコ中で、約1840g/molの平均分子量及びプロピレンオキシド割合約80%及び13.8のヨウ素価を有するアリルアルコールをスターターとするポリエーテル410gを、5100g/molの平均分子量及び1.27mol/kgのSiH値のポリジメチルシロキサン−ポリメチル水素シロキサン−コポリマー130gと共に、撹拌しながら100℃に加熱する。ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド24mgを添加し、反応バッチを100℃でさらに3時間保持する。
【0072】
ガス容量測定によるSiH測定(ナトリウムブチラート溶液を用いる分取量の分解の際に発生した水素のガスビュレットでの測定)のために取り出した試料は、定量的なSiH転化を保証する。冷却後に、920mPasの粘度を有するほぼ無色のシリコーンポリエーテルコポリマーが得られる。
【0073】
意外なことに、前記反応は、比較的高い温度で極めて迅速にかつ特に(着色した)副生物を形成せずに、成功する。生成物の費用のかかる精製は、故に割愛することができる。
【0074】
例2:
シリコーンワックスの製造:
内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた1l多口丸底フラスコ中で、約350g/molの平均分子量を有するα−オレフィン316gを、撹拌しながら130℃に加熱し、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド17mgと混合する。15.7mol/kgのSiH含量を有するポリメチル水素シロキサン50gを、滴下漏斗から1.5時間かけて添加する。著しい発熱により特徴付けられる反応は、2時間後に終わっている。ガス容量測定によるSiH測定(ナトリウムブチラート溶液を用いる分取量の分解の際に発生した水素のガスビュレットでの測定)は、完全な転化を証明する。冷却後に、68℃の融点を有する無色のシリコーンワックスが単離される。
【0075】
例3:
アルケノール−シリコーン付加生成物の製造:
内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた500ml多口丸底フラスコ中で、5−ヘキセン−1−オール164.5gを、激しく撹拌しながら85℃に加熱し、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド18mgと混合する。5.5mol/kgのSiH含量を有するα,ω−ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン−ポリメチル水素シロキサン−コポリマー230gを、滴下漏斗から、反応温度が120℃を超えて上昇しないような速度で添加する。激しい発熱反応は3時間後に終わっている。ガス容量測定によるSiH測定(ナトリウムブチラート溶液を用いる分取量の分解の際に発生した水素のガスビュレットでの測定)は、完全な転化を証明する。冷却後に、2100mPasの粘度を有する無色のアルケノール−シリコーン付加生成物が単離される。
【0076】
例4:
ウンデシレン酸メチルエステル変性シリコーンワックスの製造:
内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた500ml多口丸底フラスコ中で、3.54mol/kgのSiH含量を有するポリジメチルシロキサン−ポリメチル水素シロキサン−コポリマー190.0gを、撹拌しながら110℃に加熱し、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド21mgと混合する。ウンデシレン酸メチルエステル107g及びヘキサデセン174gからなる混合物を、滴下漏斗から、反応温度が120℃を超えて上昇しないような速度で添加する。激しい発熱反応は、3.5時間後に終わっている。ガス容量測定によるSiH測定(ナトリウムブチラート溶液を用いる分取量の分解の際に発生した水素のガスビュレットでの測定)は、完全な転化を証明する。冷却後に、410mPasの粘度を有する無色のコポリマーが単離される。
【0077】
例5:
アミノ官能化ポリジメチルシロキサンの製造:
内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた500ml多口丸底フラスコ中で、3.00mol/kgのSiH含量を有するα,ω−ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン160.3gを、強く撹拌しながら145℃に加熱し、かつジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド10mgと混合する。滴下漏斗を経て、N−エチルメタリルアミン62gを、反応温度が160℃未満のままである速度で計量供給する。計量供給が終わった1時間後に既に、秤量された試料のガス容量測定によるSiH測定は、完全な転化を保証する。還流冷却器を蒸留連結管(Destillationsbruecke)に交換した後に、前記バッチから、底部温度150℃及び圧力10mbarで揮発性成分を除去する。冷却後に、10mPasの粘度を有するほぼ無色のアミノ官能性ポリジメチルシロキサンが単離される。
【0078】
意外なことに、前記反応は、比較的高い温度で極めて迅速にかつ特に(着色した)副生物を形成せずに、成功する。とりわけアミノ官能化シロキサンの場合にしばしば生じる、ゲル化し、著しく着色された生成物は得られない。生成物の費用のかかる精製は、故に割愛することができる。
【0079】
例6:
エポキシ変性シリコーンポリエーテルの製造:
内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた500ml多口丸底フラスコ中で、1.55mol/kgのSiH含量を有するポリジメチルシロキサン−ポリメチル水素シロキサン−コポリマー200.0gを、約500g/molの平均分子量及びプロピレンオキシド割合約50%及び49のヨウ素価のポリアルキレノール125.0gと共に、強く撹拌しながらかつ0.05%炭酸ナトリウムを添加しながら、100℃に加熱し、ついでジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド15mgと混合する。発熱により特徴付けられるSiC結合反応がおさまった後に、アリルグリシジルエーテル13.8gをゆっくりと滴加する。添加が終わった1時間後に既に、ガス容量測定により測定された反応転化は、定量的である。前記バッチから、還流冷却器を蒸留連結管に交換した後に130℃及び圧力10mbarで、揮発性成分を除去する。ろ過及び冷却後に、740mPasの粘度を有するほぼ無色のコポリマーが得られる。
【0080】
例7:
α,ω−アミノプロピル基を有するポリジメチルシロキサンの製造(本発明による):
内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた500ml多口丸底フラスコ中で、3.00mol/kgのSiH含量を有するα,ω−ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン160.3gを、強く撹拌しながら145℃に加熱し、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリド30ppmと混合する。滴下漏斗を経て、アリルアミン148.2gを、反応温度が160℃未満のままである速度で計量供給する。計量供給開始の4時間後に既に、秤量された試料のガス容量測定によるSiH測定は、完全な転化を保証する。還流冷却器を蒸留連結管に交換した後に、前記バッチから、底部温度150℃及び圧力10mbarで揮発性成分を除去する。冷却後に、ほぼ無色のアミノ官能性ポリジメチルシロキサンが単離され、これは、14mPasの粘度を有し、かつ29Si−NMR分析によれば、α−付加生成物約75%及びβ−付加生成物約25%からなる。
【0081】
例8:
α,ω−アミノプロピル基を有するポリジメチルシロキサンの製造(本発明によらない):
例7と同様にして、内部温度計、載置された滴下漏斗、KPG撹拌機及び還流冷却器を備えた500ml多口丸底フラスコ中で、3.00mol/kgのSiH含量を有するα,ω−ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン160.3gを、強く撹拌しながら145℃に加熱し、白金−ピリジン−触媒(Pt(ピリジン)(エチレン)Cl2)30ppmと混合する。滴下漏斗を経て、アリルアミン148.2gを、反応温度が160℃未満である速度で計量供給する。計量供給開始後32時間ではじめて、秤量された試料のガス容量測定によるSiH測定によって完全な転化が検出可能である。還流冷却器を蒸留連結管に交換した後に、前記バッチから底部温度150℃及び圧力10mbarで揮発性成分を除去する。冷却後に、18mPasの粘度を有する暗黄色−褐色かがったアミノ官能性ポリジメチルシロキサンが単離される。対応する29Si−NMRスペクトルは、例7と同じようなSiC結合の選択率、すなわちα−付加生成物約75%及びβ−付加生成物約25%を証明する。本発明による例7に比べて、この例の場合に品質差が明らかになる。確かに、生成物中の異性体分布は、例7に匹敵しうるが、しかしながら本質的により長い反応時間が観察されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiH基を有するシロキサンと、オレフィン二重結合を有する有機化合物とから反応生成物を製造する方法であって、ジ−μ−クロロ−ビス(1,2−η)−シクロヘキセン白金(II)クロリドを触媒として使用することを特徴とする、反応生成物の製造方法。
【請求項2】
反応を、溶剤を用いずにかつ前記触媒を相溶化させるか又は溶解させる補助相を用いずに実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Si−H基を有するシロキサンとして、式(I)
【化1】

[式中、Rは、炭素原子1個から20個までを有する置換又は非置換の炭化水素基であり、
R′は、水素及び/又はRであり、
mが0〜500であり、
nが0〜60であり、
kが0〜10であり、
但し、R′は、少なくとも1個が水素である]で示されるものを使用する、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
式(I)の基Rが、炭素原子1〜8個を有するアルキル基、炭素原子1〜8個を有する置換アルキル基、3−クロロプロピル基、1−クロロメチル基、3−シアノプロピル基、アリール基、フェニル基、炭素原子7〜20個を有するアラルキル基、ベンジル基、アルコキシ基又はアルコキシアルキル基、エトキシ基又はエトキシプロピル基の1つ又はそれ以上の同じか又は異なる群から選択されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
オレフィン系不飽和有機化合物が、α−オレフィン、歪んだ環状オレフィン、α,ω−アルケノール、末端オレフィン系不飽和ポリエーテル、アミノ官能性α−オレフィン又はα−オレフィン基を有するオキシラン、又はω位でのオレフィン系不飽和カルボン酸エステルの群から選択されており、その際に前記オレフィンは、単独で又は互いの任意の混合物で使用されることができる、請求項1から4までのいずれか1項記載の有機変性されたシロキサンの製造方法。
【請求項6】
ポリマー化合物を製造するための、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項7】
エポキシ樹脂中の架橋成分としてエポキシ樹脂の靭性を特に0℃未満の低い温度で改善するための、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項8】
テキスタイルのコーティングに使用されるポリマーを製造するための、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、末端エポキシド基を有する有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項9】
家庭及び工業における並びに皮膚及び皮膚付属器のための洗浄剤及び手入れ剤における、薬学、家庭及び工業における用途のための洗浄配合物及び手入れ配合物における、請求項1から5までのいずれか1項記載に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項10】
均質で貯蔵安定なペースト、塗料、ラッカー、被覆、コーティング、ペイントを製造するための顔料湿潤剤又は分散添加剤として、蒸散抑制剤/デオドラントにおける、並びに薬剤学的製剤における、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項11】
硬質表面の洗浄及び手入れのため、並びにテキスタイルの仕上げ処理、洗浄及び手入れのための薬剤における、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項12】
テキスタイルの処理及び後処理の際に、洗浄剤及び手入れ剤として、含浸剤、処理助剤及び手触り向上剤及び織物柔軟剤としての、請求項8、9又は11のいずれか1項に記載に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項13】
ポリウレタンフォームの製造の際の泡安定剤、セルオープナー、離型剤としての、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項14】
ポリエステルの製造の際の、請求項1から5までのいずれか1項に従って製造された、有機変性されたシロキサンの使用。
【請求項15】
ポリエステル又はポリウレタンの製造の際の、アミノ官能基を有する請求項13又は14記載の有機変性されたシロキサンの使用。

【公開番号】特開2011−256388(P2011−256388A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127564(P2011−127564)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(390009368)エボニック ゴルトシュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Goldschmidt GmbH
【Fターム(参考)】