板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法
【課題】平積みされ湾曲した板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる梱包容器、及び積込装置、並びに輸送方法を提供する。
【解決手段】梱包容器10は、シート材14に複数枚のガラス基板Gを平積みし、シート材14をガラス基板Gとともに湾曲させた状態で容器本体12に宙吊り状態に取り付けて梱包する。梱包容器10を輸送車両の荷台に搭載し、ガラス基板製造工場から液晶ディスプレイ製造工場まで輸送する。その際、梱包容器10は、シート材14及びガラス基板Gの湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように搭載しガラス基板Gの輸送時において、車両からの振動は、宙吊りされたシート材14によって吸収されるため、ガラス基板Gに伝達し難い。
【解決手段】梱包容器10は、シート材14に複数枚のガラス基板Gを平積みし、シート材14をガラス基板Gとともに湾曲させた状態で容器本体12に宙吊り状態に取り付けて梱包する。梱包容器10を輸送車両の荷台に搭載し、ガラス基板製造工場から液晶ディスプレイ製造工場まで輸送する。その際、梱包容器10は、シート材14及びガラス基板Gの湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように搭載しガラス基板Gの輸送時において、車両からの振動は、宙吊りされたシート材14によって吸収されるため、ガラス基板Gに伝達し難い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に液晶ディスプレイ用ガラス基板、及びその製造過程における中間製品のガラス板等の板状体を梱包するための板状体の梱包容器、及び板状体を梱包容器に積み込むための積込装置、並びに板状体の梱包容器を使用した板状体の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス基板に使用される、厚み1mm以下の大型マザーガラス基板のニーズが高まっており、そのサイズとしては、一辺が2800mm以上、3100mm以上、3300mm以上、3600mm以上のものが知られている。
【0003】
マザーガラス基板は、ガラス基板の製造工場で製造され、その後梱包されて輸送車両によりディスプレイ製造工場まで輸送されるが、前述した大型マサーガラス基板を平積み容器で梱包すると、その容器の幅が輸送車両の積載限界幅を超えるため、輸送車両の荷台に搭載することができない。そこで、このような大型のガラス基板を梱包する容器として、特許文献1に開示された梱包容器が知られている。
【0004】
特許文献1の梱包容器は、凹状の湾曲面が形成された基台を備え、この基台の湾曲面上に複数枚のガラス基板を平積みするものである。これにより、ガラス基板は前記湾曲面に倣って湾曲した状態で積層されるので、湾曲方向におけるガラス基板の直線寸法が短くなり、梱包容器全体の幅寸法を短くできる。したがって、特許文献1の梱包容器を使用することにより、輸送車両の積載限界幅(2500mm:(車両制限令第3条第1項))を超える幅寸法を有するガラス基板であっても、輸送車両への搭載、輸送が可能となる。
【特許文献1】特開2007−106419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の梱包容器は、基台の湾曲面にガラス基板を平積みするものなので、輸送車両からの振動が基台を介してガラス基板に直接伝達され、その振動によりガラス基板の表面に擦り疵が付くという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、平積みされて湾曲された板状体において、該板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、容器本体と、前記容器本体に宙吊り状態で着脱自在に取り付けられる湾曲可能なシート材と、を備え、該湾曲可能なシート材は平積みされた複数枚の板状体を湾曲した状態で保持し得ることを特徴とする板状体の梱包容器を提供する。
【0008】
本発明によれば、シート材に複数枚の板状体を平積みし、このシート材を複数枚の板状体とともに湾曲させた状態で容器本体に宙吊り状態に取り付けて梱包する。
【0009】
これにより、輸送車両からの振動は、宙吊りされたシート材によって吸収されるため、板状体に伝達しない。したがって、本発明の板状体の梱包容器によれば、平積みされて湾曲された板状体において、板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる。
【0010】
本発明の板状体の梱包容器は、前記容器本体には、前記シート材の一部を支持する支持部材が設けられていることが好ましい。
【0011】
板状体を完全に宙吊り状態で容器本体に梱包してもよいが、シート材の一部を支持する支持部材を容器本体に設けることにより、シート材に湾曲状態で平積みされた複数枚の板状体を容器本体に安定して支持させることができる。前記シート材の一部としては、シート材の縁部、底部、縁部と底部との間の湾曲部であってもよく、面支持することが好ましい。また、支持部材を弾性体で構成し、弾性をもってシート材を支持することが板状体の擦り疵の発生を防止する観点からより好ましい。
【0012】
本発明の板状体の梱包容器は、前記容器本体には、前記シート材に平積みされた複数枚の板状体の最上部に位置する板状体に当接されて板状体の湾曲形状を保持する保持部材が備えられていることが好ましい。
【0013】
本発明によって、G10、G11、G12あるいは、次世代の超大型サイズのフラットパネルディスプレー用のガラス基板を、湾曲形状にしようとする際に、その最小曲率は、R=900mmとすることが好ましい。ガラス基板を搬送し、平置き状態に戻し、その後、問題なくディスプレイ製品を製造することができるからである。特に、アクティブ素子駆動型のフラットパネルディスプレー用の無アルカリガラス基板に好適である。もちろん、本発明を、PDPやOLED用のガラス基板に適用できることは言うまでもない。
【0014】
本発明において、板状体のうち硬く弾性係数が高いものについては、湾曲形状を解除しようとする大きな力が板状体に働いているため、湾曲形状を保持させる保持部材を容器本体に備えておくことが好ましい。例えば、板状体としての液晶ディスプレイ用ガラス基板は、無アルカリガラスであり、硬く弾性係数が高いため、このようなガラス基板を梱包する際に使用することが好ましい。
【0015】
一般的に、板厚は1mm以下、例えば0.3mm〜0.7mmであり、縦横サイズが約2800mm×3100mm程度、3300mm×3600mm程度の大型マザーガラス基板を例示できる。また、特に超薄板に適する製法により、0.3mm未満、例えば、0.1〜0.2mmのディスプレイ用ガラス基板も製造することができる。
【0016】
本発明は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体が平積みされた湾曲可能なシート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げる吊上手段と、前記吊上手段に設けられた湾曲手段と、前記吊上手段を駆動して湾曲状態のシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付ける駆動手段と、を備え、少なくとも前記板状体の自重により、シート材及び板状体の湾曲を許容したことを特徴とする板状体の積込装置を提供する。
【0017】
この際、板状体以外の物体を設け、前記シート材にさらに加重を付与することにより、前記シート材及び板状体を湾曲させる上記の積込装置であることが好ましい。
【0018】
この板状体の積込装置は、板状体の製造工場に設置されるものであるが、輸送車両によって輸送されてきた板状体を加工する加工工場に設置することもできる。この場合は、板状体の取出装置として機能する。すなわち、容器本体に宙吊りに取り付けられて複数枚の板状体が平積みされた湾曲状態のシート材を、空の吊上手段を用いて吊り上げて容器本体から取り出す。
【0019】
次に、湾曲手段によってシート材に張力を与え、シート材及び板状体を元の平坦な状態に戻す。次いで、吊上手段を所定の荷解き位置に駆動手段によって搬送する。これにより、本発明の板状体の積込装置は、板状体の製造工場はもとより、板状体の加工工場にも設置することができる。
【0020】
本発明は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体を湾曲可能なシート材に平積みし、該平積み状態で前記シート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げ、該板状体の自重によりシート材及び板状体を湾曲させ、該湾曲状態でシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付け、前記シート材及び板状体の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように前記容器本体を輸送車両に搭載して搬送することを特徴とする板状体の輸送方法を提供する。
【0021】
この際、該板状体の自重に加えて、前記シート材にさらに加重することにより前記シート材及び板状体を湾曲させることが好ましい。
【0022】
シート材及び複数枚の板状体が容器本体に宙吊り状態で、かつ湾曲状態で梱包された梱包容器を輸送車両で搬送する場合には、シート材及び板状体の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように搭載する。板状体の湾曲方向における板状体の直線寸法は短く、梱包容器全体の幅寸法が短くなっているため、輸送車両の積載限界幅を超える幅寸法を有する板状体であっても、輸送車両への搭載、輸送が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る板状体の板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法によれば、シート材に複数枚の板状体を平積みし、このシート材を複数枚の板状体とともに湾曲させた状態で容器本体に宙吊り状態に取り付けて梱包したので、平積みされて湾曲された板状体において、板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明に係る板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、第1の実施の形態に係るガラス基板Gの梱包容器10の正面図であり、図2は、梱包容器10の要部斜視図である。これらの図に示す梱包容器10は、容器本体12と、湾曲可能なシート材14とから構成されている。
【0026】
容器本体12は、上部が開放された略立方体形状の箱体であってその下部には基台16が設けられている。また、容器本体12は、複数枚のガラス基板G、G…を宙吊りして梱包するのに耐え得る強度を備えた金属部材で製作されている。なお、図2では、容器本体12の一側面が開放された図が示されているが、この側面及び上面は開放されたままでもよく、また、ガラス基板Gの梱包後に、遮蔽板等の遮蔽手段を用いて、それぞれの開放面を外気から遮蔽し、実質的な密閉状態としてもよい。ガラス基板の清浄さを維持し、作業の簡便性を確保する観点では、遮蔽手段で梱包容器の外面を覆うことが好ましい。なお、図面では遮蔽手段の図示を省略している。
【0027】
一方、シート材14は、矩形状のガラス基板Gよりもサイズが大きく形成されている。また、シート材14としては、平積みされた複数枚のガラス基板G、G…を湾曲させるために、強度と弾性とを備えたシート材、例えば、ラッシングベルトとバネ鋼とを積層したシート材が使用されている。
【0028】
シート材は、板状体を安定的に支持し、かつ板状体に不要な力を与えないものであれば、その形状は複数の帯状、網目状の形態でもよい。シート材の操作のしやすさ、使用上の管理、板状体への相互作用の観点では、均質かつ一様な膜であることが好ましい。
【0029】
シート材14を構成する前記ラッシングベルトの上面には、複数枚のガラス基板G、G…が不図示の合紙を介して平積みされている。また、シート材14の両側縁部14A、14Aには、ロール18、18が連結されており、このロール18、18は角筒状のコネクタ部材20、20に収納されてその軸芯を中心に回動自在に支持されている。
【0030】
このシート材14は、平積みされたガラス基板G、G…とともに湾曲した状態で、容器本体12の上部座部22、22にコネクタ部材20、20を介して着脱自在に取り付けられる。これにより、シート材14と、このシート材14に平積みされたガラス基板G、G…とが容器本体12に宙吊り状態で梱包される。
【0031】
このようにして、シート材14の上部に置いたガラス基板G、G・・・を運搬用車両に積み込み、液晶パネルの製造工場等の目的地まで搬送し、ガラス基板の積み下ろし作業を行い、ガラス基板を平置き状態に戻すことになる。この際、複数のガラス基板の端部にずれを発生しないように、ロール18からガラス基板G、G・・・の側面に押し当てる回転治具(図示せず)を設ければよい。回転治具はガラス基板を載置する際には、ロール18の外側に位置するようにし、シート材の上にガラス基板を平置きした後、軸芯に対して回転させ、所定の湾曲状態にせしめた後における、複数のガラス基板の端部の位置を規制するようにするものである。
【0032】
シート材の上に平置きに積んだ複数のガラス基板を吊り上げ、ガラス基板を徐々に湾曲させていく場合、所望の曲率になるように、所定の保持部材でガラス基板面を押えて、その湾曲面の形状になるように強制する。保持部材としては、アルミニウムなどを適用でき、ガラス基板面側には厚さ数mm程度のクッション材を設けることが好ましい。
【0033】
または、上記の回転治具によって、ガラス基板G、G・・・の端部を押さえることによって、所定の曲率を有する湾曲面となるように強制する。ガラス基板の板厚が大きいと、その剛性により湾曲しづらくなるので、これらの付加的な手法によって、所定の曲率を有する湾曲形状を得るようにする。
【0034】
なお、上部座部22とコネクタ部材20との着脱構造は、上部座部22に複数本のピンを突設し、コネクタ部材20の下面に複数の嵌合孔を形成し、これらのピンと嵌合孔との嵌合構造によって、上部座部22とコネクタ部材20とを着脱自在とすることができる。また、ピンと嵌合孔はこの逆であってもよい。更に、着脱構造はピンと嵌合孔に限定されるものでもなく、着脱が容易に行われる構造であれば如何なるものであってもよい。
【0035】
[実施例]
本例で示すガラス基板Gは、液晶ディスプレイ用に使用される薄板のマザーガラス基板であり、板厚は1mm以下、例えば0.3mm〜0.7mmであり、縦横サイズが約2800mm×3100mm程度、3300mm×3600mm程度の大型マザーガラス基板を例示できる。
【0036】
一般的に、大型マザーガラス基板は、同一サイズの基板を重ね合わされて輸送され、保管されている。その際に、ガラス用合紙をガラス基板間に設けて、緩衝効果を発揮させ、輸送中の疵の発生を防止するようにする。また、ガラスの汚染を防止することもできる。最近の高精細かつ高精度の表示を行う液晶ディスプレイ用のガラス基板は、より高品質・高精度のものが求められているからである。
【0037】
例えば、合紙は平滑度18秒以下(JIS P 8119,1976)の粗面を有し、接触面積を小さくして合紙12の樹脂分がガラス基板Gに転写されてガラス面に紙肌模様、焼け、汚れ等が生じないような紙質が選択されて使用されている。
【0038】
したがって、第1の実施の形態の梱包容器10によれば、シート材14に複数枚のガラス基板G、G…を平積みし、このシート材14をガラス基板G、G…とともに湾曲させた状態で容器本体12に宙吊り状態に取り付けて梱包する。そして、この梱包容器10を輸送車両の荷台に搭載して、ガラス基板製造工場から液晶ディスプレイ製造工場まで輸送する。
【0039】
上記ガラス基板G、G…の輸送時において、輸送車両からの振動は、宙吊りされたシート材14によって吸収されるため、ガラス基板G、G…に伝達し難い。したがって、第1の実施の形態の梱包容器10によれば、平積みされて湾曲されたガラス基板G、G…において、ガラス基板G、G…の輸送時の振動に起因するガラス基板G、G…の擦り疵の発生を防止することができる。
【0040】
一方、梱包時のガラス基板G、G…の曲げ量(曲率、曲率半径)は、半永久的な形状変化を起こす限界未満に留める。すなわち、薄板のガラス基板G、G…の特性を生かし、ガラス基板G、G…を弾性領域で湾曲させることによって、容器本体12の幅を輸送車両の荷台幅よりも小さくする。このような手法、つまり、シート材14に複数枚のガラス基板G、G…を平積みして湾曲させる手法をとることにより、ガラス基板G、G…を一枚一枚積み替える作業が不要になるので、短時間での作業が可能になる。更に、ガラス基板G、G…は輸送時も湾曲しているため、縦積み形態と比較して、ガラス基板Gの端面にガラス基板Gの自重による負荷がかからず端面が損傷しないので、ガラス基板Gの品質面でも良好となる。なお、シート材14を含むガラス基板G、G…の湾曲形状は、ガラス基板Gの材質によって真円の曲線、又は懸垂曲線となる。
【0041】
図3は、梱包容器10、10を2段積みした実施例を示す正面図である。2段目の梱包容器10は、基台16を有しておらず、1段目の梱包容器10の上部座部22、22に固定された角柱状の受台24、24を介して、容器本体12の底部12Aが不図示の締結具により固定されている。輸送車両の荷台の高さにもよるが、このように2段積みした状態で輸送することにより、1台の輸送車両におけるガラス基板G、G…の輸送量を増やすことができる。
【0042】
図4は、梱包容器10の容器本体12に、シート材14の一部を支持する支持部材26が設けられている実施例である。同図に示す実施例では、ベルト状の支持部材26が容器本体12内に張設され、この支持部材16によってシート材14の底部14Bが当接支持されている。
【0043】
図1の如く、シート材14及びガラス基板G、G…を完全に宙吊り状態で容器本体12に梱包してもよいが、シート材14の一部(図4では底部14B)を支持する支持部材26を容器本体12に設けることにより、シート材14に湾曲状態で平積みされた複数枚のガラス基板G、G…を容器本体12に安定して支持させることができる。なお、支持部材26が支持するシート材14の一部として底部14Bを例示したが、底部14Bに限定されるものではなく、シート材14の周縁部、周縁部と底部14Bとの間の湾曲部であってもよく、その支持形態はシート材14を面支持することが好ましい。輸送車両からの振動をシート材14によって吸収するという、本願の目的を逸脱しない限り、支持部材26によってシート材14を支持することが好ましい。また、支持部材26を弾性体で構成し、弾性をもってシート材14の一部を支持することがガラス基板Gの擦り疵の発生を防止する観点からより好ましい。
【0044】
図5は、ガラス基板G、G…の湾曲形状を保持する保持部材28が備えられた梱包容器10の正面図である。この保持部材28は半円弧状に形成され、その円弧状の支持面28Aは、湾曲されたガラス基板G、G…の曲率と略同じ曲率に形成されている。したがって、この支持面28Aを、シート材14に平積みされた複数枚のガラス基板G、G…の最上部に位置するガラス基板Gに当接することにより、ガラス基板G、G…の湾曲形状が保持される。なお、この保持部材28は平板状に形成され、湾曲されたガラス基板Gの両端部近傍に当接されている。また、ガラス基板Gのサイズにもよるが、大サイズのものであれば、ガラス基板Gの中央部にも当接させることが好ましい。更に、図5に示した容器本体12に、図4に示した支持部材26を設けてもよい。
【0045】
ガラス基板Gのうち硬く弾性係数が高いものについては、湾曲形状を解除しようとする大きな力が板状体に働いているため、このようにガラス基板Gの湾曲形状を保持させる保持部材28を容器本体12に備えておくことが好ましい。例えば、ガラス基板としての液晶ディスプレイ用ガラス基板は、無アルカリガラスであり、硬く弾性係数が高いため、このようなガラス基板Gを梱包する際に使用することが好ましい。この際、保持部材の上部を可動取付法、スライド方式またはピボット軸で容器本体側に取り付ければ、保持部材が空間的に可動できるので、シート材及びガラス基板の揺動阻害を抑制できると考えられる。また、可動する保持部材を用いれば、ガラス基板のずれを抑制できる効果があると考えられる。
【0046】
図6〜図11には、ガラス基板製造工場側におけるガラス基板梱包方法の一例が示されている。
【0047】
図6は、平積台30に載置されたシート材14に複数枚のガラス基板G、G…が平積みされた斜視図である。同図に示すようにロール18、18、及びコネクタ部材20、20はシート材14と一体品として取り扱われ、図1に示した容器本体12に対して着脱される。容器本体12から取りはずれたシート材14は、平積台30上に図6、図7の如く載置される。
【0048】
平積台30は、ガラス基板製造工場の研磨工場で取り扱われる。すなわち、所定の厚みに研磨されたガラス基板Gが図6の如く、平積台30上に載置されたシート材14上に不図示の合紙を介して平積みされる。
【0049】
所定の枚数が平積みされたシート材14は、図7〜図11に示す積込装置32によって平積台30から容器本体12の集積位置まで搬送され、容器本体12に装着される。
【0050】
積込装置32は、レール34とこのレール34を走行する台車36とから構成される。台車36は、台車本体38の両側に配置された吊上アーム(吊上手段)40、40と、これらの吊上アーム40、40を回動させるアクチュエータ(湾曲手段)42、42と、台車本体38を介して吊上アーム40、40を昇降するシリンダ(駆動手段)44、44とから構成され、シリンダ44、44が直動ガイド46を介してレール34に走行自在に支持されている。
【0051】
吊上アーム40の上端部には、水平方向に配置された軸48が固定され、この軸48は、台車本体38の下部に固定された軸受50に回動自在に支持されている。軸受50にはアクチュエータ42が固定され、アクチュエータ42の出力軸が前記軸48に連結されている。したがって、アクチュエータ42が駆動されると、吊上アーム40が軸48とともに図7〜図10に示した吊上位置と図11に示した傾動位置との範囲で回動される。
【0052】
また、吊上アーム40の基端部には係合部41が設けられ、この係合部41は図6に示したコネクタ部材20に着脱自在に係合される。係合部41は、コネクタ部材20の上面に所定の間隔をもって開口された開口部21、21…に挿入され、回動されることによりコネクタ部材20の上面の裏面側に係合される不図示のフックを備えている。これにより、フックを介して吊上アーム40にシート材14が図9の如く係合される。
【0053】
台車本体38の上面には、シリンダ44のピストン45が連結されている。したがって、図9のピストン45の伸長状態からピストン45を収縮させると、図10の如く台車本体38が上昇され、これによって、複数枚のガラス基板G、G…が平積みされたシート材14が平積台30から持ち上げられる。
【0054】
次に、前記の如く構成された積込装置32の動作について説明する。
【0055】
まず、図7、図8に示すように台車36をレール34に沿って走行させて、平積台30の上方位置に位置させる。次に、シリンダ44のピストン45を伸長させて図9の如く、吊上アーム40の係合部41をコネクタ部材20に係合させる。次いで、ピストン45を収縮させて図10の如く、台車本体38を上昇させて、複数枚のガラス基板G、G…が平積みされたシート材14を平積台30から持ち上げる。
【0056】
この後、台車36をレール34に沿って走行させて、図11の如く容器本体12の上方位置で停止させる。そして、アクチュエータ42、42を駆動し、吊上アーム40、40を図7〜図10に示した鉛直の吊上位置から図11に示した傾動位置まで回動する。これにより、吊上アーム40、40からシート材14に荷重を加えられてシート材14及びガラス基板G、G…が図11の如く梱包形態の曲率に湾曲される。なお、アクチュエータ42を使用することなく、ガラス基板G、G…の自重によってシート材14、及びガラス基板G、G…を湾曲させてもよい。
【0057】
この後、シリンダ44のピストンを伸長、及び不図示の上昇手段により容器本体12を上昇させて、コネクタ部材20、20を図1の如く、容器本体12の上部座部22に連結する。これにより、ガラス基板G、G…がシート材14を介して容器本体12に宙吊り状態で、かつ湾曲状態で梱包される。
【0058】
なお、シート材14の積込装置は、図7〜図11に示した積込装置32に限定されるものではなく、吊上手段、湾曲手段、駆動手段を備えた装置であればいかなる機構のものでも適用できる。
【0059】
また、この積込装置32は前述の如く、ガラス基板製造工場に設置されるものであるが、輸送車両によって輸送されてきたガラス基板G、G…を加工する加工工場にも設置することもできる。この場合は、ガラス基板G、G…の取出装置として機能する。
【0060】
すなわち、容器本体12に宙吊りに取り付けられて複数枚のガラス基板G、G…が平積みされた湾曲状態のシート材14を、吊上アーム40、40、シリンダ44、44を用いて吊り上げて容器本体12から取り出す。次に、アクチュエータ42、42によってシート材14に張力を与え、シート材14及びガラス基板G、G…を元の平坦な状態に戻す。次いで、台車36とともに吊上アーム40、40を所定の荷解き位置に移送し、その位置に配置された平積台上にガラス基板G、G…を、シート材14を介して載置する。これにより、実施の形態の積込装置32は、ガラス基板Gの製造工場はもとより、ガラス基板Gの加工工場にも設置することができる。
【0061】
梱包容器10の輸送方法について説明すると、シート材14及びガラス基板G、G…の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように、容器本体12を輸送車両の荷台に搭載して搬送する。
【0062】
シート材14及びガラス基板G、G…が容器本体12に宙吊り状態で、かつ湾曲状態で梱包された梱包容器10を輸送車両で搬送する場合には、シート材14及びガラス基板G、G…の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように搭載する。この場合、ガラス基板Gの湾曲方向におけるガラス基板Gの直線寸法は短く、梱包容器10全体の幅寸法が短くなっているため、輸送車両の積載限界幅を超える幅寸法を有するガラス基板Gであっても、輸送車両への搭載、輸送が可能となる。
【0063】
図12は、梱包容器10の変形例を示した正面図である。
【0064】
同図に示す梱包容器10は、シート材14全体を支持する支持部材52が設けられている。この支持部材52は、シート材14と同材質で構成されたものでもよいが、輸送車両からの振動を吸収する緩衝部材で構成することが好ましい。次に、基本構成例についての結果を説明する。
【0065】
〔例1〕
板厚0.7mmの無アルカリガラスを曲率R=1080mmで積層したところ、形状変化を起こさないことをテストにて確認した。このときガラスに発生する引張応力は24〜34MPa程度である。
【0066】
ガラスを単純Rで曲げた場合、R=900mmとすれば直径が1800mmとなり、輸送車両の荷幅2500mmに収まる。このとき発生する応力は実測値で29〜39MPa程度となる。
【0067】
端面加工した無アルカリガラスの最小強度は100MPa(実測値)のため、端面で割れが発生することはない。したがって、この荷幅2500mmに収まり、かつ発生応力が40MPaに収まるガラスの曲率半径の最小値を、実測でR=900mmとした。
【0068】
本発明において、一つのシート材の上に載置することができるガラス基板G、G…の枚数は最大で100枚程度である。この際、板厚0.7mmのものであれば、ガラス基板の総重量は約3tに達するが、その総重量を主に支えるシート材が物理的に破断しなければよい。上記の実施態様ではバネ鋼を例示したが、3tの重要に十分耐える材料である。
【0069】
[例2]
図3の2段積みの態様においては、吊り上げによる積み込みと、積み下ろしに用いるフォークリフト等の機材の運搬能力との兼ね合いで、積層するガラス基板の枚数を決めればよい。たとえば、取り扱いのしやすさやから、一枚のシート材に載置するガラス基板の枚数を50〜60枚に設定することが好ましい。図3において、二段積み用の支柱、荷台や収容部の内壁の位置などの図示を省略している。
【0070】
トレーラ等の車両の荷台は、その断面方向における、最大の横寸法が約2380mm、最大の縦寸法が約2625mmである。これに対して、梱包容器の最大の横寸法を2330mm、最大の縦寸法を2580mmに設定することができる。また、荷台に対する梱包容器の長手方向の寸法としては、支柱部分を含めて、G12クラスの大型マザーガラス基板で4300mm以内とすることができるので、大型トレーラであれば、縦方向で2段積み×長手方向の2列積みにより、合計4セットの梱包容器を一台で搬送することができる。
【0071】
一段当たりの縦寸法は1200mmである。この場合の、湾曲せしめられた複数のガラス基板の最外周の曲率R1は1054mm、最内周の曲率R2は1000Rである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の利用例としてガラス基板Gを例示したが、ガラス基板Gのみならず、板状体で平積みして湾曲可能な製品であれば、樹脂板、金属板等の板状体についても本発明の梱包容器に梱包することができる。大型で薄い板状体を安定して効率よく輸送できることを考慮すると、液晶ディスプレイ用ガラス基板Gに特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る梱包容器の正面図
【図2】図1に示した梱包容器の斜視図
【図3】図1に示した梱包容器を2段積みした実施例を示す正面図
【図4】シート材の一部を支持する支持部材が設けられた梱包容器の正面図
【図5】ガラス基板の湾曲形状を保持する保持部材が備えられた梱包容器の正面図
【図6】平積み台に載置されたシート材に複数枚のガラス基板が平積みされた斜視図
【図7】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図8】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図9】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図10】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図11】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図12】シート材全体を支持する支持部材が設けられた梱包容器の正面図
【符号の説明】
【0074】
G…ガラス基板、10…梱包容器、12…容器本体、14…シート材、16…基台、18…ロール、20…コネクタ部材、22…上部座部、24…受台、26…支持部材、28…保持部材、30…平積台、32…積込装置、34…レール、36…台車、38…台車本体、40…吊上アーム、42…アクチュエータ、44…シリンダ、46…直動ガイド、48…軸、50…軸受、52…支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に液晶ディスプレイ用ガラス基板、及びその製造過程における中間製品のガラス板等の板状体を梱包するための板状体の梱包容器、及び板状体を梱包容器に積み込むための積込装置、並びに板状体の梱包容器を使用した板状体の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス基板に使用される、厚み1mm以下の大型マザーガラス基板のニーズが高まっており、そのサイズとしては、一辺が2800mm以上、3100mm以上、3300mm以上、3600mm以上のものが知られている。
【0003】
マザーガラス基板は、ガラス基板の製造工場で製造され、その後梱包されて輸送車両によりディスプレイ製造工場まで輸送されるが、前述した大型マサーガラス基板を平積み容器で梱包すると、その容器の幅が輸送車両の積載限界幅を超えるため、輸送車両の荷台に搭載することができない。そこで、このような大型のガラス基板を梱包する容器として、特許文献1に開示された梱包容器が知られている。
【0004】
特許文献1の梱包容器は、凹状の湾曲面が形成された基台を備え、この基台の湾曲面上に複数枚のガラス基板を平積みするものである。これにより、ガラス基板は前記湾曲面に倣って湾曲した状態で積層されるので、湾曲方向におけるガラス基板の直線寸法が短くなり、梱包容器全体の幅寸法を短くできる。したがって、特許文献1の梱包容器を使用することにより、輸送車両の積載限界幅(2500mm:(車両制限令第3条第1項))を超える幅寸法を有するガラス基板であっても、輸送車両への搭載、輸送が可能となる。
【特許文献1】特開2007−106419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の梱包容器は、基台の湾曲面にガラス基板を平積みするものなので、輸送車両からの振動が基台を介してガラス基板に直接伝達され、その振動によりガラス基板の表面に擦り疵が付くという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、平積みされて湾曲された板状体において、該板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、容器本体と、前記容器本体に宙吊り状態で着脱自在に取り付けられる湾曲可能なシート材と、を備え、該湾曲可能なシート材は平積みされた複数枚の板状体を湾曲した状態で保持し得ることを特徴とする板状体の梱包容器を提供する。
【0008】
本発明によれば、シート材に複数枚の板状体を平積みし、このシート材を複数枚の板状体とともに湾曲させた状態で容器本体に宙吊り状態に取り付けて梱包する。
【0009】
これにより、輸送車両からの振動は、宙吊りされたシート材によって吸収されるため、板状体に伝達しない。したがって、本発明の板状体の梱包容器によれば、平積みされて湾曲された板状体において、板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる。
【0010】
本発明の板状体の梱包容器は、前記容器本体には、前記シート材の一部を支持する支持部材が設けられていることが好ましい。
【0011】
板状体を完全に宙吊り状態で容器本体に梱包してもよいが、シート材の一部を支持する支持部材を容器本体に設けることにより、シート材に湾曲状態で平積みされた複数枚の板状体を容器本体に安定して支持させることができる。前記シート材の一部としては、シート材の縁部、底部、縁部と底部との間の湾曲部であってもよく、面支持することが好ましい。また、支持部材を弾性体で構成し、弾性をもってシート材を支持することが板状体の擦り疵の発生を防止する観点からより好ましい。
【0012】
本発明の板状体の梱包容器は、前記容器本体には、前記シート材に平積みされた複数枚の板状体の最上部に位置する板状体に当接されて板状体の湾曲形状を保持する保持部材が備えられていることが好ましい。
【0013】
本発明によって、G10、G11、G12あるいは、次世代の超大型サイズのフラットパネルディスプレー用のガラス基板を、湾曲形状にしようとする際に、その最小曲率は、R=900mmとすることが好ましい。ガラス基板を搬送し、平置き状態に戻し、その後、問題なくディスプレイ製品を製造することができるからである。特に、アクティブ素子駆動型のフラットパネルディスプレー用の無アルカリガラス基板に好適である。もちろん、本発明を、PDPやOLED用のガラス基板に適用できることは言うまでもない。
【0014】
本発明において、板状体のうち硬く弾性係数が高いものについては、湾曲形状を解除しようとする大きな力が板状体に働いているため、湾曲形状を保持させる保持部材を容器本体に備えておくことが好ましい。例えば、板状体としての液晶ディスプレイ用ガラス基板は、無アルカリガラスであり、硬く弾性係数が高いため、このようなガラス基板を梱包する際に使用することが好ましい。
【0015】
一般的に、板厚は1mm以下、例えば0.3mm〜0.7mmであり、縦横サイズが約2800mm×3100mm程度、3300mm×3600mm程度の大型マザーガラス基板を例示できる。また、特に超薄板に適する製法により、0.3mm未満、例えば、0.1〜0.2mmのディスプレイ用ガラス基板も製造することができる。
【0016】
本発明は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体が平積みされた湾曲可能なシート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げる吊上手段と、前記吊上手段に設けられた湾曲手段と、前記吊上手段を駆動して湾曲状態のシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付ける駆動手段と、を備え、少なくとも前記板状体の自重により、シート材及び板状体の湾曲を許容したことを特徴とする板状体の積込装置を提供する。
【0017】
この際、板状体以外の物体を設け、前記シート材にさらに加重を付与することにより、前記シート材及び板状体を湾曲させる上記の積込装置であることが好ましい。
【0018】
この板状体の積込装置は、板状体の製造工場に設置されるものであるが、輸送車両によって輸送されてきた板状体を加工する加工工場に設置することもできる。この場合は、板状体の取出装置として機能する。すなわち、容器本体に宙吊りに取り付けられて複数枚の板状体が平積みされた湾曲状態のシート材を、空の吊上手段を用いて吊り上げて容器本体から取り出す。
【0019】
次に、湾曲手段によってシート材に張力を与え、シート材及び板状体を元の平坦な状態に戻す。次いで、吊上手段を所定の荷解き位置に駆動手段によって搬送する。これにより、本発明の板状体の積込装置は、板状体の製造工場はもとより、板状体の加工工場にも設置することができる。
【0020】
本発明は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体を湾曲可能なシート材に平積みし、該平積み状態で前記シート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げ、該板状体の自重によりシート材及び板状体を湾曲させ、該湾曲状態でシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付け、前記シート材及び板状体の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように前記容器本体を輸送車両に搭載して搬送することを特徴とする板状体の輸送方法を提供する。
【0021】
この際、該板状体の自重に加えて、前記シート材にさらに加重することにより前記シート材及び板状体を湾曲させることが好ましい。
【0022】
シート材及び複数枚の板状体が容器本体に宙吊り状態で、かつ湾曲状態で梱包された梱包容器を輸送車両で搬送する場合には、シート材及び板状体の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように搭載する。板状体の湾曲方向における板状体の直線寸法は短く、梱包容器全体の幅寸法が短くなっているため、輸送車両の積載限界幅を超える幅寸法を有する板状体であっても、輸送車両への搭載、輸送が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る板状体の板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法によれば、シート材に複数枚の板状体を平積みし、このシート材を複数枚の板状体とともに湾曲させた状態で容器本体に宙吊り状態に取り付けて梱包したので、平積みされて湾曲された板状体において、板状体の輸送時の振動に起因する板状体の擦り疵の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明に係る板状体の梱包容器、及び板状体の積込装置、並びに板状体の輸送方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、第1の実施の形態に係るガラス基板Gの梱包容器10の正面図であり、図2は、梱包容器10の要部斜視図である。これらの図に示す梱包容器10は、容器本体12と、湾曲可能なシート材14とから構成されている。
【0026】
容器本体12は、上部が開放された略立方体形状の箱体であってその下部には基台16が設けられている。また、容器本体12は、複数枚のガラス基板G、G…を宙吊りして梱包するのに耐え得る強度を備えた金属部材で製作されている。なお、図2では、容器本体12の一側面が開放された図が示されているが、この側面及び上面は開放されたままでもよく、また、ガラス基板Gの梱包後に、遮蔽板等の遮蔽手段を用いて、それぞれの開放面を外気から遮蔽し、実質的な密閉状態としてもよい。ガラス基板の清浄さを維持し、作業の簡便性を確保する観点では、遮蔽手段で梱包容器の外面を覆うことが好ましい。なお、図面では遮蔽手段の図示を省略している。
【0027】
一方、シート材14は、矩形状のガラス基板Gよりもサイズが大きく形成されている。また、シート材14としては、平積みされた複数枚のガラス基板G、G…を湾曲させるために、強度と弾性とを備えたシート材、例えば、ラッシングベルトとバネ鋼とを積層したシート材が使用されている。
【0028】
シート材は、板状体を安定的に支持し、かつ板状体に不要な力を与えないものであれば、その形状は複数の帯状、網目状の形態でもよい。シート材の操作のしやすさ、使用上の管理、板状体への相互作用の観点では、均質かつ一様な膜であることが好ましい。
【0029】
シート材14を構成する前記ラッシングベルトの上面には、複数枚のガラス基板G、G…が不図示の合紙を介して平積みされている。また、シート材14の両側縁部14A、14Aには、ロール18、18が連結されており、このロール18、18は角筒状のコネクタ部材20、20に収納されてその軸芯を中心に回動自在に支持されている。
【0030】
このシート材14は、平積みされたガラス基板G、G…とともに湾曲した状態で、容器本体12の上部座部22、22にコネクタ部材20、20を介して着脱自在に取り付けられる。これにより、シート材14と、このシート材14に平積みされたガラス基板G、G…とが容器本体12に宙吊り状態で梱包される。
【0031】
このようにして、シート材14の上部に置いたガラス基板G、G・・・を運搬用車両に積み込み、液晶パネルの製造工場等の目的地まで搬送し、ガラス基板の積み下ろし作業を行い、ガラス基板を平置き状態に戻すことになる。この際、複数のガラス基板の端部にずれを発生しないように、ロール18からガラス基板G、G・・・の側面に押し当てる回転治具(図示せず)を設ければよい。回転治具はガラス基板を載置する際には、ロール18の外側に位置するようにし、シート材の上にガラス基板を平置きした後、軸芯に対して回転させ、所定の湾曲状態にせしめた後における、複数のガラス基板の端部の位置を規制するようにするものである。
【0032】
シート材の上に平置きに積んだ複数のガラス基板を吊り上げ、ガラス基板を徐々に湾曲させていく場合、所望の曲率になるように、所定の保持部材でガラス基板面を押えて、その湾曲面の形状になるように強制する。保持部材としては、アルミニウムなどを適用でき、ガラス基板面側には厚さ数mm程度のクッション材を設けることが好ましい。
【0033】
または、上記の回転治具によって、ガラス基板G、G・・・の端部を押さえることによって、所定の曲率を有する湾曲面となるように強制する。ガラス基板の板厚が大きいと、その剛性により湾曲しづらくなるので、これらの付加的な手法によって、所定の曲率を有する湾曲形状を得るようにする。
【0034】
なお、上部座部22とコネクタ部材20との着脱構造は、上部座部22に複数本のピンを突設し、コネクタ部材20の下面に複数の嵌合孔を形成し、これらのピンと嵌合孔との嵌合構造によって、上部座部22とコネクタ部材20とを着脱自在とすることができる。また、ピンと嵌合孔はこの逆であってもよい。更に、着脱構造はピンと嵌合孔に限定されるものでもなく、着脱が容易に行われる構造であれば如何なるものであってもよい。
【0035】
[実施例]
本例で示すガラス基板Gは、液晶ディスプレイ用に使用される薄板のマザーガラス基板であり、板厚は1mm以下、例えば0.3mm〜0.7mmであり、縦横サイズが約2800mm×3100mm程度、3300mm×3600mm程度の大型マザーガラス基板を例示できる。
【0036】
一般的に、大型マザーガラス基板は、同一サイズの基板を重ね合わされて輸送され、保管されている。その際に、ガラス用合紙をガラス基板間に設けて、緩衝効果を発揮させ、輸送中の疵の発生を防止するようにする。また、ガラスの汚染を防止することもできる。最近の高精細かつ高精度の表示を行う液晶ディスプレイ用のガラス基板は、より高品質・高精度のものが求められているからである。
【0037】
例えば、合紙は平滑度18秒以下(JIS P 8119,1976)の粗面を有し、接触面積を小さくして合紙12の樹脂分がガラス基板Gに転写されてガラス面に紙肌模様、焼け、汚れ等が生じないような紙質が選択されて使用されている。
【0038】
したがって、第1の実施の形態の梱包容器10によれば、シート材14に複数枚のガラス基板G、G…を平積みし、このシート材14をガラス基板G、G…とともに湾曲させた状態で容器本体12に宙吊り状態に取り付けて梱包する。そして、この梱包容器10を輸送車両の荷台に搭載して、ガラス基板製造工場から液晶ディスプレイ製造工場まで輸送する。
【0039】
上記ガラス基板G、G…の輸送時において、輸送車両からの振動は、宙吊りされたシート材14によって吸収されるため、ガラス基板G、G…に伝達し難い。したがって、第1の実施の形態の梱包容器10によれば、平積みされて湾曲されたガラス基板G、G…において、ガラス基板G、G…の輸送時の振動に起因するガラス基板G、G…の擦り疵の発生を防止することができる。
【0040】
一方、梱包時のガラス基板G、G…の曲げ量(曲率、曲率半径)は、半永久的な形状変化を起こす限界未満に留める。すなわち、薄板のガラス基板G、G…の特性を生かし、ガラス基板G、G…を弾性領域で湾曲させることによって、容器本体12の幅を輸送車両の荷台幅よりも小さくする。このような手法、つまり、シート材14に複数枚のガラス基板G、G…を平積みして湾曲させる手法をとることにより、ガラス基板G、G…を一枚一枚積み替える作業が不要になるので、短時間での作業が可能になる。更に、ガラス基板G、G…は輸送時も湾曲しているため、縦積み形態と比較して、ガラス基板Gの端面にガラス基板Gの自重による負荷がかからず端面が損傷しないので、ガラス基板Gの品質面でも良好となる。なお、シート材14を含むガラス基板G、G…の湾曲形状は、ガラス基板Gの材質によって真円の曲線、又は懸垂曲線となる。
【0041】
図3は、梱包容器10、10を2段積みした実施例を示す正面図である。2段目の梱包容器10は、基台16を有しておらず、1段目の梱包容器10の上部座部22、22に固定された角柱状の受台24、24を介して、容器本体12の底部12Aが不図示の締結具により固定されている。輸送車両の荷台の高さにもよるが、このように2段積みした状態で輸送することにより、1台の輸送車両におけるガラス基板G、G…の輸送量を増やすことができる。
【0042】
図4は、梱包容器10の容器本体12に、シート材14の一部を支持する支持部材26が設けられている実施例である。同図に示す実施例では、ベルト状の支持部材26が容器本体12内に張設され、この支持部材16によってシート材14の底部14Bが当接支持されている。
【0043】
図1の如く、シート材14及びガラス基板G、G…を完全に宙吊り状態で容器本体12に梱包してもよいが、シート材14の一部(図4では底部14B)を支持する支持部材26を容器本体12に設けることにより、シート材14に湾曲状態で平積みされた複数枚のガラス基板G、G…を容器本体12に安定して支持させることができる。なお、支持部材26が支持するシート材14の一部として底部14Bを例示したが、底部14Bに限定されるものではなく、シート材14の周縁部、周縁部と底部14Bとの間の湾曲部であってもよく、その支持形態はシート材14を面支持することが好ましい。輸送車両からの振動をシート材14によって吸収するという、本願の目的を逸脱しない限り、支持部材26によってシート材14を支持することが好ましい。また、支持部材26を弾性体で構成し、弾性をもってシート材14の一部を支持することがガラス基板Gの擦り疵の発生を防止する観点からより好ましい。
【0044】
図5は、ガラス基板G、G…の湾曲形状を保持する保持部材28が備えられた梱包容器10の正面図である。この保持部材28は半円弧状に形成され、その円弧状の支持面28Aは、湾曲されたガラス基板G、G…の曲率と略同じ曲率に形成されている。したがって、この支持面28Aを、シート材14に平積みされた複数枚のガラス基板G、G…の最上部に位置するガラス基板Gに当接することにより、ガラス基板G、G…の湾曲形状が保持される。なお、この保持部材28は平板状に形成され、湾曲されたガラス基板Gの両端部近傍に当接されている。また、ガラス基板Gのサイズにもよるが、大サイズのものであれば、ガラス基板Gの中央部にも当接させることが好ましい。更に、図5に示した容器本体12に、図4に示した支持部材26を設けてもよい。
【0045】
ガラス基板Gのうち硬く弾性係数が高いものについては、湾曲形状を解除しようとする大きな力が板状体に働いているため、このようにガラス基板Gの湾曲形状を保持させる保持部材28を容器本体12に備えておくことが好ましい。例えば、ガラス基板としての液晶ディスプレイ用ガラス基板は、無アルカリガラスであり、硬く弾性係数が高いため、このようなガラス基板Gを梱包する際に使用することが好ましい。この際、保持部材の上部を可動取付法、スライド方式またはピボット軸で容器本体側に取り付ければ、保持部材が空間的に可動できるので、シート材及びガラス基板の揺動阻害を抑制できると考えられる。また、可動する保持部材を用いれば、ガラス基板のずれを抑制できる効果があると考えられる。
【0046】
図6〜図11には、ガラス基板製造工場側におけるガラス基板梱包方法の一例が示されている。
【0047】
図6は、平積台30に載置されたシート材14に複数枚のガラス基板G、G…が平積みされた斜視図である。同図に示すようにロール18、18、及びコネクタ部材20、20はシート材14と一体品として取り扱われ、図1に示した容器本体12に対して着脱される。容器本体12から取りはずれたシート材14は、平積台30上に図6、図7の如く載置される。
【0048】
平積台30は、ガラス基板製造工場の研磨工場で取り扱われる。すなわち、所定の厚みに研磨されたガラス基板Gが図6の如く、平積台30上に載置されたシート材14上に不図示の合紙を介して平積みされる。
【0049】
所定の枚数が平積みされたシート材14は、図7〜図11に示す積込装置32によって平積台30から容器本体12の集積位置まで搬送され、容器本体12に装着される。
【0050】
積込装置32は、レール34とこのレール34を走行する台車36とから構成される。台車36は、台車本体38の両側に配置された吊上アーム(吊上手段)40、40と、これらの吊上アーム40、40を回動させるアクチュエータ(湾曲手段)42、42と、台車本体38を介して吊上アーム40、40を昇降するシリンダ(駆動手段)44、44とから構成され、シリンダ44、44が直動ガイド46を介してレール34に走行自在に支持されている。
【0051】
吊上アーム40の上端部には、水平方向に配置された軸48が固定され、この軸48は、台車本体38の下部に固定された軸受50に回動自在に支持されている。軸受50にはアクチュエータ42が固定され、アクチュエータ42の出力軸が前記軸48に連結されている。したがって、アクチュエータ42が駆動されると、吊上アーム40が軸48とともに図7〜図10に示した吊上位置と図11に示した傾動位置との範囲で回動される。
【0052】
また、吊上アーム40の基端部には係合部41が設けられ、この係合部41は図6に示したコネクタ部材20に着脱自在に係合される。係合部41は、コネクタ部材20の上面に所定の間隔をもって開口された開口部21、21…に挿入され、回動されることによりコネクタ部材20の上面の裏面側に係合される不図示のフックを備えている。これにより、フックを介して吊上アーム40にシート材14が図9の如く係合される。
【0053】
台車本体38の上面には、シリンダ44のピストン45が連結されている。したがって、図9のピストン45の伸長状態からピストン45を収縮させると、図10の如く台車本体38が上昇され、これによって、複数枚のガラス基板G、G…が平積みされたシート材14が平積台30から持ち上げられる。
【0054】
次に、前記の如く構成された積込装置32の動作について説明する。
【0055】
まず、図7、図8に示すように台車36をレール34に沿って走行させて、平積台30の上方位置に位置させる。次に、シリンダ44のピストン45を伸長させて図9の如く、吊上アーム40の係合部41をコネクタ部材20に係合させる。次いで、ピストン45を収縮させて図10の如く、台車本体38を上昇させて、複数枚のガラス基板G、G…が平積みされたシート材14を平積台30から持ち上げる。
【0056】
この後、台車36をレール34に沿って走行させて、図11の如く容器本体12の上方位置で停止させる。そして、アクチュエータ42、42を駆動し、吊上アーム40、40を図7〜図10に示した鉛直の吊上位置から図11に示した傾動位置まで回動する。これにより、吊上アーム40、40からシート材14に荷重を加えられてシート材14及びガラス基板G、G…が図11の如く梱包形態の曲率に湾曲される。なお、アクチュエータ42を使用することなく、ガラス基板G、G…の自重によってシート材14、及びガラス基板G、G…を湾曲させてもよい。
【0057】
この後、シリンダ44のピストンを伸長、及び不図示の上昇手段により容器本体12を上昇させて、コネクタ部材20、20を図1の如く、容器本体12の上部座部22に連結する。これにより、ガラス基板G、G…がシート材14を介して容器本体12に宙吊り状態で、かつ湾曲状態で梱包される。
【0058】
なお、シート材14の積込装置は、図7〜図11に示した積込装置32に限定されるものではなく、吊上手段、湾曲手段、駆動手段を備えた装置であればいかなる機構のものでも適用できる。
【0059】
また、この積込装置32は前述の如く、ガラス基板製造工場に設置されるものであるが、輸送車両によって輸送されてきたガラス基板G、G…を加工する加工工場にも設置することもできる。この場合は、ガラス基板G、G…の取出装置として機能する。
【0060】
すなわち、容器本体12に宙吊りに取り付けられて複数枚のガラス基板G、G…が平積みされた湾曲状態のシート材14を、吊上アーム40、40、シリンダ44、44を用いて吊り上げて容器本体12から取り出す。次に、アクチュエータ42、42によってシート材14に張力を与え、シート材14及びガラス基板G、G…を元の平坦な状態に戻す。次いで、台車36とともに吊上アーム40、40を所定の荷解き位置に移送し、その位置に配置された平積台上にガラス基板G、G…を、シート材14を介して載置する。これにより、実施の形態の積込装置32は、ガラス基板Gの製造工場はもとより、ガラス基板Gの加工工場にも設置することができる。
【0061】
梱包容器10の輸送方法について説明すると、シート材14及びガラス基板G、G…の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように、容器本体12を輸送車両の荷台に搭載して搬送する。
【0062】
シート材14及びガラス基板G、G…が容器本体12に宙吊り状態で、かつ湾曲状態で梱包された梱包容器10を輸送車両で搬送する場合には、シート材14及びガラス基板G、G…の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように搭載する。この場合、ガラス基板Gの湾曲方向におけるガラス基板Gの直線寸法は短く、梱包容器10全体の幅寸法が短くなっているため、輸送車両の積載限界幅を超える幅寸法を有するガラス基板Gであっても、輸送車両への搭載、輸送が可能となる。
【0063】
図12は、梱包容器10の変形例を示した正面図である。
【0064】
同図に示す梱包容器10は、シート材14全体を支持する支持部材52が設けられている。この支持部材52は、シート材14と同材質で構成されたものでもよいが、輸送車両からの振動を吸収する緩衝部材で構成することが好ましい。次に、基本構成例についての結果を説明する。
【0065】
〔例1〕
板厚0.7mmの無アルカリガラスを曲率R=1080mmで積層したところ、形状変化を起こさないことをテストにて確認した。このときガラスに発生する引張応力は24〜34MPa程度である。
【0066】
ガラスを単純Rで曲げた場合、R=900mmとすれば直径が1800mmとなり、輸送車両の荷幅2500mmに収まる。このとき発生する応力は実測値で29〜39MPa程度となる。
【0067】
端面加工した無アルカリガラスの最小強度は100MPa(実測値)のため、端面で割れが発生することはない。したがって、この荷幅2500mmに収まり、かつ発生応力が40MPaに収まるガラスの曲率半径の最小値を、実測でR=900mmとした。
【0068】
本発明において、一つのシート材の上に載置することができるガラス基板G、G…の枚数は最大で100枚程度である。この際、板厚0.7mmのものであれば、ガラス基板の総重量は約3tに達するが、その総重量を主に支えるシート材が物理的に破断しなければよい。上記の実施態様ではバネ鋼を例示したが、3tの重要に十分耐える材料である。
【0069】
[例2]
図3の2段積みの態様においては、吊り上げによる積み込みと、積み下ろしに用いるフォークリフト等の機材の運搬能力との兼ね合いで、積層するガラス基板の枚数を決めればよい。たとえば、取り扱いのしやすさやから、一枚のシート材に載置するガラス基板の枚数を50〜60枚に設定することが好ましい。図3において、二段積み用の支柱、荷台や収容部の内壁の位置などの図示を省略している。
【0070】
トレーラ等の車両の荷台は、その断面方向における、最大の横寸法が約2380mm、最大の縦寸法が約2625mmである。これに対して、梱包容器の最大の横寸法を2330mm、最大の縦寸法を2580mmに設定することができる。また、荷台に対する梱包容器の長手方向の寸法としては、支柱部分を含めて、G12クラスの大型マザーガラス基板で4300mm以内とすることができるので、大型トレーラであれば、縦方向で2段積み×長手方向の2列積みにより、合計4セットの梱包容器を一台で搬送することができる。
【0071】
一段当たりの縦寸法は1200mmである。この場合の、湾曲せしめられた複数のガラス基板の最外周の曲率R1は1054mm、最内周の曲率R2は1000Rである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の利用例としてガラス基板Gを例示したが、ガラス基板Gのみならず、板状体で平積みして湾曲可能な製品であれば、樹脂板、金属板等の板状体についても本発明の梱包容器に梱包することができる。大型で薄い板状体を安定して効率よく輸送できることを考慮すると、液晶ディスプレイ用ガラス基板Gに特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る梱包容器の正面図
【図2】図1に示した梱包容器の斜視図
【図3】図1に示した梱包容器を2段積みした実施例を示す正面図
【図4】シート材の一部を支持する支持部材が設けられた梱包容器の正面図
【図5】ガラス基板の湾曲形状を保持する保持部材が備えられた梱包容器の正面図
【図6】平積み台に載置されたシート材に複数枚のガラス基板が平積みされた斜視図
【図7】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図8】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図9】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図10】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図11】ガラス基板を容器本体に梱包する積込装置の構成、動作を示した説明図
【図12】シート材全体を支持する支持部材が設けられた梱包容器の正面図
【符号の説明】
【0074】
G…ガラス基板、10…梱包容器、12…容器本体、14…シート材、16…基台、18…ロール、20…コネクタ部材、22…上部座部、24…受台、26…支持部材、28…保持部材、30…平積台、32…積込装置、34…レール、36…台車、38…台車本体、40…吊上アーム、42…アクチュエータ、44…シリンダ、46…直動ガイド、48…軸、50…軸受、52…支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
前記容器本体に宙吊り状態で着脱自在に取り付けられる湾曲可能なシート材と、を備え、
該湾曲可能なシート材は平積みされた複数枚の板状体を湾曲した状態で保持し得ることを特徴とする板状体の梱包容器。
【請求項2】
前記容器本体には、前記シート材の一部を支持する支持部材が設けられている請求項1に記載の板状体の梱包容器。
【請求項3】
前記容器本体には、前記シート材に平積みされた複数枚の板状体の最上部に位置する板状体に当接されて板状体の湾曲形状を保持する保持部材が備えられている請求項1又は2に記載の板状体の梱包容器。
【請求項4】
複数枚の板状体が平積みされた湾曲可能なシート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げる吊上手段と、
前記吊上手段に設けられた湾曲手段と、
前記吊上手段を駆動して湾曲状態のシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付ける駆動手段と、を備え、少なくとも前記板状体の自重により、シート材及び板状体の湾曲を許容したことを特徴とする板状体の積込装置。
【請求項5】
板状体以外の物体を設け、前記シート材にさらに荷重を付与することにより前記シート材及び板状体を湾曲させる請求項4に記載の積込装置。
【請求項6】
複数枚の板状体を湾曲可能なシート材に平積みし、該平積み状態で前記シート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げ、該板状体の自重によりシート材及び板状体を湾曲させ、該湾曲状態でシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付け、前記シート材及び板状体の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように前記容器本体を輸送車両に搭載して搬送することを特徴とする板状体の輸送方法。
【請求項7】
該板状体の自重に加えて、前記シート材にさらに加重することにより前記シート材及び板状体を湾曲させることを特徴とする請求項6に記載の板状体の輸送方法。
【請求項1】
容器本体と、
前記容器本体に宙吊り状態で着脱自在に取り付けられる湾曲可能なシート材と、を備え、
該湾曲可能なシート材は平積みされた複数枚の板状体を湾曲した状態で保持し得ることを特徴とする板状体の梱包容器。
【請求項2】
前記容器本体には、前記シート材の一部を支持する支持部材が設けられている請求項1に記載の板状体の梱包容器。
【請求項3】
前記容器本体には、前記シート材に平積みされた複数枚の板状体の最上部に位置する板状体に当接されて板状体の湾曲形状を保持する保持部材が備えられている請求項1又は2に記載の板状体の梱包容器。
【請求項4】
複数枚の板状体が平積みされた湾曲可能なシート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げる吊上手段と、
前記吊上手段に設けられた湾曲手段と、
前記吊上手段を駆動して湾曲状態のシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付ける駆動手段と、を備え、少なくとも前記板状体の自重により、シート材及び板状体の湾曲を許容したことを特徴とする板状体の積込装置。
【請求項5】
板状体以外の物体を設け、前記シート材にさらに荷重を付与することにより前記シート材及び板状体を湾曲させる請求項4に記載の積込装置。
【請求項6】
複数枚の板状体を湾曲可能なシート材に平積みし、該平積み状態で前記シート材の端部を把持してシート材及び板状体を吊り上げ、該板状体の自重によりシート材及び板状体を湾曲させ、該湾曲状態でシート材を容器本体に宙吊り状態で取り付け、前記シート材及び板状体の湾曲方向が輸送車両の進行方向に対して直交する方向に向くように前記容器本体を輸送車両に搭載して搬送することを特徴とする板状体の輸送方法。
【請求項7】
該板状体の自重に加えて、前記シート材にさらに加重することにより前記シート材及び板状体を湾曲させることを特徴とする請求項6に記載の板状体の輸送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−13178(P2010−13178A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177298(P2008−177298)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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