説明

染料含有ネガ型硬化性組成物、これを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子

【課題】ピクセルサイズが微細になっても、現像残膜、残渣がない良好なパターン形状の形成が可能な染料含有ネガ型硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)有機溶剤可溶性染料と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性化合物と、下記一般式(1)で表される構造を側鎖に有する(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂と、(E)有機溶剤と、を少なくとも含む染料含有ネガ型硬化性組成物。


(一般式(1)中、R及びRは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、RとRは互いに連結して環構造を形成してもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料含有ネガ型硬化性組成物、これを用いてなるカラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを作製する方法としては、染色法、印刷法、電着法及び顔料分散法が知られている。
【0003】
このうち、顔料分散法は、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色感放射線性組成物を用いてフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法であり、顔料を使用しているために光や熱等に安定であるという利点を有している。また、フォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が高く、大画面、高精細カラーディスプレイ用カラーフィルタを作製するのに好適な方法として広く利用されてきた。
【0004】
顔料分散法によりカラーフィルタを作製する場合、ガラス基板上に感放射線性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布し乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜をパターン露光・現像することによって着色された画素が形成され、この操作を各色ごとに繰り返し行なうことでカラーフィルタを得ることができる。
【0005】
上記の顔料分散法としては、アルカリ可溶性樹脂に光重合性モノマーと光重合開始剤とを併用したネガ型感光性組成物が記載されたものがある(例えば、特許文献1〜4、6参照)。
また、顔料分散法として、アルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、及び多官能性エポキシ化合物(低分子又は高分子化合物)を含むカラーフィルタ用感放射線性組成物が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
更に、顔料、バインダー、及びエポキシモノマーを含有するカラーフィルタ用熱硬化性インキ組成物が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【0006】
一方、近年、固体撮像素子用カラーフィルタにおいては更なる高精細化が望まれている。しかしながら、従来の顔料分散系では解像度を更に向上させることは困難であり、顔料の粗大粒子により色ムラが発生する等の問題があるため、固体撮像素子のように微細パターンが要求される用途には適さなかった。
【0007】
上記問題に鑑み、従来から顔料に代えて染料を使用する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開平2−181704号公報
【特許文献2】特開平2−199403号公報
【特許文献3】特開平5−273411号公報
【特許文献4】特開平7−140654号公報
【特許文献5】特開平6−75375号公報
【特許文献6】特開昭54−63903号公報
【特許文献7】特開平11−231124号公報
【特許文献8】特開2001−350012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年の固体撮像素子に使用されるカラーフィルタ作製用途には1μm以下の膜厚が要求され、更には2μm以下のピクセルサイズが要求され、高染料濃度、高解像性が求められている。
一般にピクセルサイズが小さくなるほど、高解像性を達成することが困難になることが知られている。従来技術では、2μm以下のピクセルサイズでパターンで解像する場合、特にBayerパターンを形成する場合には現像残膜や残渣が問題となり、更にはパターンのク形成を得ることも困難であった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ピクセルサイズが微細になっても、現像残膜、残渣がない良好なパターン形状の形成が可能な染料含有ネガ型硬化性組成物、該組成物を用いてなるカラーフィルタ及びカラーフィルタの製造方法、並びに色再現性に優れた固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1>
(A)有機溶剤可溶性染料と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)下記一般式(1)で表される構造を側鎖に有するアミノ基含有アルカリ可溶性樹脂と、(E)有機溶剤と、を少なくとも含む染料含有ネガ型硬化性組成物。
【0010】
【化1】

【0011】
(一般式(1)中、R及びRは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、RとRは互いに連結して環構造を形成してもよい。)
【0012】
<2>
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂が下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である上記<1>に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【0013】
【化2】

【0014】
(一般式(2)中、R及びRは一般式(1)と同義である。R、R及びRは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、Xは−C(=O)−O−、−C(=O)−NR−(Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)、又はフェニレン基を表す。*は主鎖に連結する結合手を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。)
<3>
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が3,000〜100,000であり、かつ酸価が10〜200である上記<1>又は<2>に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<4>
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂のアミノ価が5〜200mgKOH/gである上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<5>
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の酸価が30〜200mgKOH/gである上記<3>又は<4>に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<6>
前記(A)有機溶剤可溶性染料が、酸性染料であることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<7>
前記(A)有機溶剤可溶性染料の含有量が、全固形分に対して40質量%以上であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<8>
前記(B)光重合開始剤が、オキシム系化合物であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<9>
固体撮像素子用カラーフィルタの形成に用いられることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
<10>
上記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
<11>
上記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物を支持体上に塗布して染料含有ネガ型硬化性組成物層を形成する工程と、前記染料含有ネガ型硬化性組成物層を、マスクを通して露光し、現像して前記支持体上にパターンを形成する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
<12>
上記<10>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ピクセルサイズが微細になっても、現像残膜、残渣がない良好なパターン形状の形成が可能な染料含有ネガ型硬化性組成物、該組成物を用いてなるカラーフィルタ、及びカラーフィルタの製造方法、並びに色再現性に優れた固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0017】
<染料含有ネガ型硬化性組成物>
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、(A)有機溶剤可溶性染料と、(B)光重合開始剤と、(C)光重合性化合物と、下記一般式(1)で表される構造を側鎖に有する(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂と、(E)有機溶剤と、を少なくとも含み、必要に応じて、更にアルカリ可溶性バインダー、架橋剤等の他の成分を含んでいてもよい。
以下、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を構成する各成分について詳述する。
【0018】
(A)有機溶剤可溶性染料
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、有機溶剤可溶性染料の少なくとも1種を含有する。
本発明における有機溶剤可溶性染料はその誘導体も含むものとする。
本発明において、有機溶剤可溶性染料は、特に制限なく使用することができ、例えば、従来カラーフィルタ用として公知の染料などの中から選択することができる。
本発明の構成において、染料を有機溶剤可溶性の酸性染料を用いることにより、パターン形成後の高温ベーク処理による熱ダレの発生を効果的に抑制することができ、更に塗布特性(塗布面内均一性)を良化することができる点で好ましい。
前記公知の染料としては、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に記載の色素が挙げられる。
【0019】
有機溶剤可溶性染料の化学構造としては、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、アンスラピリドン系、等が挙げられる。有機溶剤可溶性染料として特に好ましくは、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、アントラキノン系、アンスラピリドン系の染料である。
【0020】
また、本発明において、水又はアルカリによる現像でパターニング可能なレジスト系に本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いる場合、前記組成物が有機溶剤可溶性酸性染料を用いることにより、現像により除去しようとするバインダー及び/又は染料を完全に除去可能とすることができる。
本発明においては、前記有機溶剤可溶性染料として前記有機溶剤可溶性酸性染料のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又はこれらの誘導体等を使用することもできる。
【0021】
以下に、前記有機溶剤可溶性酸性染料(以下、単に「酸性染料」ともいう。)について説明する。
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸、フェノール性水酸基等の酸性基を有する色素であれば、特に限定されないが、その中でも、カルボン酸であることが本発明の効果の観点から好ましい。
また、酸性染料は、有機溶剤や現像時に用いる現像液に対する溶解性、塩基性化合物との塩形成性、吸光度、硬化性組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とされる性能の全てを考慮して選択されることが好ましい。
【0022】
以下、酸性染料(及び/又はその誘導体)の具体例を挙げる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。例えば、
acid alizarin violet N;
acid black 1,2,24,48;
acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40,42,45,51,62,70,74,80,83,86,87,90,92,96,103,112,113,120,129,138,147,150,158,171,182,192,210,242,243,256,259,267,278,280,285,290,296,315,324:1,335,340;
acid chrome violet K;
acid Fuchsin;
acid green 1,3,5,9,16,25,27,50,58,63,65,80,104,105,106,109;
acid orange 6,7,8,10,12,26,50,51,52,56,62、63,64、74,75、94、95,107,108,169,173;
【0023】
acid red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,182,183,198,206,211,215,216,217,227,228,249,252,257,258,260,261,266,268,270,274,277,280,281,195,308,312,315,316,339,341,345,346,349,382,383,394,401,412,417,418,422,426;
acid violet 6B,7,9,17,19;
acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,38,40、42,54,65,72,73,76,79,98,99,111,112,113,114,116,119,123,128,134,135,138,139,140,144,150、155,157,160,161,163,168,169,172,177,178,179,184,190,193,196,197,199,202,203,204,205,207,212,214,220,221,228,230,232,235,238,240,242,243,251;
【0024】
Direct Yellow 2,33,34,35,38,39,43,47,50,54,58,68,69,70,71,86,93,94,95,98,102,108,109,129,136,138,141;
Direct Orange 34,39,41,46,50,52,56,57,61,64,65,68,70,96,97,106,107;
Direct Red 79,82,83,84,91,92,96,97,98,99,105,106,107,172,173,176,177,179,181,182,184,204,207,211,213,218,220,221,222,232,233,234,241,243,246,250;
Direct Violet 47,52,54,59,60,65,66,79,80,81,82,84,89,90,93,95,96,103,104;
【0025】
Direct Blue 57,77,80,81,84,85,86,90,93,94,95,97,98,99,100,101,106,107,108,109,113,114,115,117,119,137,149,150,153,155,156,158,159,160,161,162,163,164,166,167,170,171,172,173,188,189,190,192,193,194,196,198,199,200,207,209,210,212,213,214,222,228,229,237,238,242,243,244,245,247,248,250,251,252,256,257,259,260,268,274,275,293;
Direct Green 25,27,31,32,34,37,63,65,66,67,68,69,72,77,79,82;
【0026】
Mordant Yellow 5,8,10,16,20,26,30,31,33,42,43,45,56,50,61,62,65;
Mordant Orange 3,4,5,8,12,13,14,20,21,23,24,28,29,32,34,35,36,37,42,43,47,48;
Mordant Red 1,2,3,4,9,11,12,14,17,18,19,22,23,24,25,26,30,32,33,36,37,38,39,41,43,45,46,48,53,56,63,71,74,85,86,88,90,94,95;
Mordant Violet 2,4,5,7,14,22,24,30,31,32,37,40,41,44,45,47,48,53,58;
Mordant Blue 2,3,7,8,9,12,13,15,16,19,20,21,22,23,24,26,30,31,32,39,40,41,43,44,48,49,53,61,74,77,83,84;
Mordant Green 1,3,4,5,10,15,19,26,29,33,34,35,41,43,53;
Food Yellow 3;
及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
【0027】
前記の酸性染料及び/又はその誘導体の中でも、
acid black 24;
acid blue 23,25,29,62,80,86,87,92,138,158,182,243,324:1;
acid orange 8,51,56,74,63,74;
acid red 1,4,8,34,37,42,52,57,80,87,97,114,143,145,151,183,217,249;
acid violet 7;
acid yellow 17,23,25,29,34,42,72,76,99,111,112,114,116,134,155,169,172,184,220,228,230,232,243;
acid Green 25;
などの染料及びこれらの染料の誘導体が好ましい。
【0028】
また、前記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44,38;C.I.Solvent Orange45;Rhodamine B, Rhodamine 110、3−[(5−chloro−2−phenoxyphenyl)hydrazono]−3,4−dihydro−4−oxo−5−[(phenylsulfonyl)amino]−2,7−Naphthalenedisulfonic acid等の酸性染料及びこれら染料の誘導体も好適に使用することができる。
【0029】
酸性染料の誘導体としては、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料の無機塩、酸性染料と含窒素化合物との塩、酸性染料のスルホンアミド体等のアミド化合物などを使用することができ、染料含有ネガ型硬化性組成物を溶液状に調製したときに溶解可能なものであれば特に限定はなく、後述の有機溶剤や現像処理に用いる現像液に対する溶解性、吸光度、組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とする性能の全てを考慮して選択される。
【0030】
前記「酸性染料と含窒素化合物との塩」について説明する。酸性染料と含窒素化合物との塩を形成する方法は、酸性染料の溶解性改良(有機溶剤への溶解性付与)や、耐熱性及び耐光性の改良に効果的な場合がある。
【0031】
酸性染料と塩を形成する含窒素化合物、及び酸性染料とアミド結合を形成する含窒素化合物は、塩又はアミド化合物の有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩形成性、染料の吸光度・色価、組成物中の他の成分との相互作用、着色剤としての耐熱性及び耐光性等の全てを勘案して選択される。吸光度・色価の観点のみで選択する場合、含窒素化合物としては、できるだけ分子量の低いものが好ましく、中でも分子量300以下のものが好ましく、分子量280以下のものがより好ましく、分子量250以下のものが特に好ましい。
【0032】
「酸性染料と含窒素化合物との塩」における、含窒素化合物/酸性染料のモル比(以下、nと略記する。)について説明する。nは、酸性染料分子と対イオンをなす含窒素化合物(アミン化合物)とのモル比率を決定する値であり、酸性染料−アミン化合物の塩形成条件によって自由に選択することができる。具体的には、酸性染料中の酸の官能基数の0<n≦5の間の数値が実用上多く用いられ、有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩形成性、吸光度、硬化性組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等、必要とする性能の全てを考慮して選択される。吸光度のみの観点で選択する場合には、前記nは0<n≦4.5の間の数値をとることが好ましく、0<n≦4の間の数値をとることがさらに好ましく、0<n≦3.5の間の数値をとることが特に好ましい。
【0033】
上記の酸性染料は、その構造上酸性基を導入したことにより酸性染料となっていることから、その置換基を変更することにより逆に非酸性染料とすることができる。すなわち、酸性染料はアルカリ現像の際に好適に作用する場合もあるが、一方で過現像となってしまうこともあり、非酸性染料を好適に使用する場合もある。非酸性染料としては、上記の酸性染料の酸性基を有しないものなどが好適に使用可能である。
【0034】
上記した染料は、補色系であるイエロー、マゼンタ、シアンを構成するときにはそれぞれ単色の染料を用いることができるが、原色系であるレッド、グリーン、ブルーを構成するときには、色相の点で、一般に2種類以上の染料を組合わせて用いることが好ましい。有機溶剤可溶性酸性染料としては、2種類以上の染料を組合わせて原色系を組み上げることが好ましい。
【0035】
本発明においては、有機溶剤可溶性酸性染料を2種類以上組み合わせる場合、吸収特性の異なる少なくとも2種の染料を組合わせた混合系(混合物)として好適に用いることができ、原色系の色相を好適に構成することができる。
【0036】
前記吸収特性としては、例えば最大吸収波長が挙げられる。この場合、例えば、最大吸収波長が50nm〜250nm異なる染料の組み合わせが好ましく、50nm〜200nm異なる染料の組み合わせが更に好ましい。
このような好ましい有機溶剤可溶性酸性染料の組合わせとしては、例えば、Acid Yellow 23とAcid Red 87との組み合わせ(質量比1:1)、Valifast Yellow 1101とAcid Red 57との組み合わせ(質量比2:3)、Direct Yellow 33とDirect Green 27との組み合わせ(質量比2:3)、Mordant Violet 40とDirect Green 69との組み合わせ(質量比1:2)等が挙げられる。
【0037】
有機溶剤可溶性染料の染料含有ネガ型硬化性組成物中における含有量としては、染料により異なるが、該組成物の全固形成分に対して、40質量%以上が好ましい。
中でも、パターニング後(露光・現像等後)の硬化パターンの熱処理に伴なう熱ダレをより抑制し、硬化パターンの基板との密着性及び現像処理後の残色率の向上効果をより高める観点から、有機溶剤可溶性染料の含有量は、40〜90質量%の範囲がより好ましく、更に好ましくは50〜80質量%の範囲であり、特に好ましくは55〜70質量%の範囲である。
また、2種以上の有機溶剤可溶性染料を混合して調色する場合には、最も少量添加する有機溶剤可溶性染料の量は、色相の点で、有機溶剤可溶性染料の全量を100%としたときの少なくとも10%以上であることが好ましい。
【0038】
(B)光重合開始剤
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも1種を含有する。光重合開始剤は、後述の(C)重合性化合物に作用して組成物を硬化させる。本発明における光重合開始剤としては、少なくとも(C)重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0039】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン系化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。
【0040】
前記ハロメチルオキサジアゾール化合物である活性ハロゲン化合物としては、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、等が挙げられる。
【0041】
前記ハロメチル−s−トリアジン系化合物である活性ハロゲン化合物としては、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジン化合物および4−(p−アミノフェニル)−2,6−ビス(ハロメチル)−s−トリアジン化合物、等が挙げられる。
【0042】
前記ハロメチル−s−トリアジン系化合物として、具体的には、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ビス(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0043】
4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0044】
4−〔o−フロロ−p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0045】
4−〔m−フロロ−p−N,N−ビス(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0046】
4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0047】
その他、上記光重合開始剤としては、みどり化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123)、PANCHIM社製のTシリーズ(例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−B)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261)、ダロキュアシリーズ(例えばダロキュア1173)、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
【0048】
2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル、等も有用に用いられる。
【0049】
これら光重合開始剤の中でも、オキシム系化合物が好ましく、例えば、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、および、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンが特に好ましい。
【0050】
また、これら光重合開始剤には、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−エトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンジルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0051】
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、本発明における光重合開始剤のほかに他の公知の光重合開始剤を使用することができる。
具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に開示されているビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号および第2,367,670号明細書に開示されているα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に開示されているアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に開示されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号および第2,951,758号明細書に開示されている多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に開示されているトリアリールイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に開示されているベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、等を挙げることができる。
【0052】
光重合開始剤の含有量としては、下記重合性化合物固形分(質量)に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が0.01〜50質量%の範囲内にあると、重合が進み易く、膜強度を十分向上させることができる。
【0053】
(C)重合性化合物
重合性化合物としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有し、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物が好ましい。前記重合性化合物は、本発明における光重合開始剤等と共に用いることにより、光重合性層(染料含有ネガ型硬化性組成物)をネガ型に構成することができる。
【0054】
前記重合性化合物の例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、
【0055】
トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの;特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
上記の中でも、重合性化合物は、多官能(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。
本発明における重合性化合物は単独で用いても、また2種以上を併用してもよい。
【0056】
前記重合性化合物の染料含有ネガ型硬化性組成物中における含有量としては、前記光硬化性層の硬化性の向上を図る観点から該組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜90質量%が好ましく、1.0〜80質量%が更に好ましく、2.0〜70質量%が特に好ましい。
前記含有量が0.1質量%以上であると露光部の硬化性が向上し、90質量%以下とすると未露光部の溶出性が向上する点で好ましい。
【0057】
(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂は下記一般式(1)で表される構造を側鎖に有する高分子化合物(以下、特定高分子化合物ともいう。)であり、該構造を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂であれば、特に限定されるものではない。
【0058】
【化3】

【0059】
上記一般式(1)のR、Rは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、RとRは互いに連結して環構造を形成してもよい。
上記1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロ環基が好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい。
【0060】
アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、又は2−ノルボルニル基を挙げることができる。
【0061】
前記アルキル基は置換可能であり、該置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
【0062】
前記アルケニル基としては、炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられる。
前記アルケニル基は、置換可能であり、該置換基としては、前記置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられる。
【0063】
前記アルキニル基としては、炭素数2〜20のアルキニル基が挙げられる。
前記アルキニル基は置換可能であり、該置換基としては、前記置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
【0064】
上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基で、1個のベンゼン環、又は2〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、中でも、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
前記アリール基は置換可能であり、該置換基としては、前記置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
アリール基の具体例としては、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基フェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等をあげることができる。
【0065】
前記ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、フラン、ピランから誘導される1価の有機基などが挙げられる。
前記へテロ環基は、置換可能であり、該置換基としては、前記置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0066】
また、一般式(1)において、RとRとが互いに結合して形成される環としては、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピロール、インドリン等が挙げられる。これらは、さらに前述のような置換基で置換されていてもよい。これらの中でも、脂環を形成する場合が好ましい。
【0067】
上記一般式(1)において、R、Rとしては、炭素数1〜12の直鎖状、炭素数3〜12の分岐状、又は炭素数5〜10の環状のアルキル基がより好ましく、中でも、炭素数1〜8の直鎖状、炭素数3〜8の分岐状、炭素数5〜8の環状のアルキル基が染料との相互作用が強いことから好ましく、炭素数1〜4の直鎖状が特に好ましい。
【0068】
本発明における(D)アミノ含有アルカリ可溶性樹脂は、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物であることが好ましい。該繰り返し単位を複数有してもよい。
【0069】
【化4】

【0070】
一般式(2)中、R及びRは一般式(1)と同義であり、好ましい例も同様である。R、R及びRは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、Xは−C(=O)−O−、−C(=O)−NR−(Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)、又はフェニレン基を表す。*は主鎖に連結する結合手を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。
【0071】
一般式(2)中、R、R、R及びRの1価の有機基としては、アルキル基、アリール基が挙げられ、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。
、R、R及びRのアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
、R、R及びRのアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3がより好ましい。)メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
、R、R及びRの好ましいアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。
、R及びRとしては水素原子が、Rとしては水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0072】
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。該2価の連結基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
Lで表されるアルキレン基は、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子)を介して2以上連結したものであってもよい。
Lで表される好ましいアルキレン基として具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
Lで表される好ましいアルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、等が挙げられる。
Lで表される2価の連結基としては、上記のアルキレン基の末端において、−O−、−S−、−C(=O)O−、−CONH−、−C(=O)S−、−S−C(=O)−、−NHCONH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)S−、−S−NHC(=O)−、−OC(=O)−、−OCONH−、及び−NHCO−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して一般式(2)のアミノ基と連結するものであってもよい。は主鎖側に連結する結合手を表す。
【0073】
本発明における(D)アミノ含有アルカリ可溶性樹脂は、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物であるが、前記一般式(2)で表される繰り返し単位は、下記一般式(3)で表される単量体を用いて構成することができる。
【0074】
【化5】

【0075】
一般式(3)における、R、R、R、R、R、X、及びLは前記一般式(2)におけるそれぞれに対応する基と同義である。
本発明において、前記一般式(3)で表される単量体の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0076】
【化6】

【0077】
【化7】

【0078】
側鎖にアミノ基を有する本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂のアミノ価は特に限定されないが、現像残膜及び残膜の発生の観点から、好ましくは5〜200mgKOH/gであり、特に好ましくは10〜100mgKOH/gであり、最も好ましい範囲は10〜80mgKOH/gである。
前記アミノ基の含有量としてのアミノ価が5mgKOH/g以上であることが非画像部の染料の現像促進(残渣、残膜)という点で好ましく、200mgKOH/g以下であるとアミノ基間の凝集が強くなるのを抑え、染料の凝集が生じ析出物と成り難いことから好ましい。
即ち、非画像部の染料の現像を促進するためには、前記アミノ価が上記範囲であることが好ましい。
【0079】
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂は、更に、酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂がさらに酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことは、感光性組成物に適用した場合において、未露光部の現像除去性に優れるものとなる点で好ましい。
【0080】
前記酸基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0081】
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する単量体に由来する構成単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の酸価は、好ましくは10〜200mgKOH/gであり、より好ましくは30〜200mgKOH/gであり、特に、好ましくは50〜180mgKOH/gである。
酸価は10mgKOH/g以上であることが現像液中での析出物の生成抑制という点で好ましい。また、酸価が200mgKOH/g以下であると酸基間の凝集が強くなり難く、染料の凝集が生じて凝集物となり難く好ましい。即ち、非画像部の染料の現像を促進し、現像除去性を高めるためには、酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は上記範囲が好ましい。
【0082】
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂は、その効果を損なわない範囲において、更に、共重合可能なビニルモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0083】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
【0084】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0085】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルアルコールのエステル類の例としては、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレートなどが挙げられる。
【0086】
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0087】
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の好ましい分子量は、重量平均分子量(Mw)で1,000〜100,000の範囲、数平均分子量(Mn)で400〜50,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)で3,000〜100,000の範囲、数平均分子量(Mn)で2,000〜30,000の範囲であることがより好ましい。
重量平均分子量(Mw)で5,000〜50,000の範囲、数平均分子量(Mn)で2,000〜30,000の範囲であることが更に好ましい。特に、重量平均分子量(Mw)で8,000〜30,000の範囲、数平均分子量(Mn)で4,000〜12,000の範囲であることが最も好ましい。
【0088】
本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は非画像部の染料の現像を促進の観点から1,000以上であることが好ましく、染料を含有する含有ネガ型硬化性組成物(光硬化性組成物)によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点から100,000以下であることが好ましい。
【0089】
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物中、本発明における(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の含有量としては質量比で、染料:(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂=100:1〜100:100が好ましく、より好ましくは、100:5〜100:80であり、さらに好ましくは、100:10〜100:50である。
【0090】
(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂は、例えば、一般式(3)で表される単量体と、共重合成分として他のラジカル重合性化合物と用い、通常のラジカル重合法によって製造することができる。一般的には、懸濁重合法あるいは溶液重合法などを用いる。このような重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
該ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、さらに連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノールおよびドデシルメルカプタン)を使用することができる。
【0091】
(E)有機溶剤
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、有機溶剤の少なくとも1種を含有する。有機溶剤は、各成分の溶解性や染料含有ネガ型硬化性組成物の塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に染料、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0092】
前記有機溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等;
【0093】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、等;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
【0094】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等;
【0095】
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、等が好ましい。
【0096】
これらの有機溶剤は、染料の溶解性及びアルカリ可溶性樹脂(バインダー)を含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。特に、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液が好適に用いられる。
【0097】
有機溶剤の使用量としては、塗布性の観点から、染料含有ネガ型硬化性組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量が好ましく、7〜60質量%になる量が更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0098】
(E)他の成分
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに上記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性バインダー、架橋剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0099】
−アルカリ可溶性バインダー−
アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性を有すること以外は特に限定はなく、好ましくは耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
【0100】
前記アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0101】
本発明において、前記アルカリ可溶性バインダーとしては、前記のほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。
【0102】
また、前記線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0103】
その他、前記親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0104】
また、本発明において、前記アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0105】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0106】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0107】
アルカリ可溶性バインダーは、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
【0108】
−架橋剤−
本発明においては、補足的に架橋剤を用いて更に高度に硬化させた膜を得ることも可能である。以下、架橋剤について説明する。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)分子量が1000未満のエポキシ化合物(前述の(D)エポキシ樹脂以外の化合物)、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ化合物が好ましい。
【0109】
前記(a)エポキシ化合物としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれであってもよく、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
【0110】
前記架橋剤(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数としては、メラミン化合物の場合2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物を総じて、(b)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、又はアシロキシメチル基含有化合物)という。
【0111】
前記(b)に係るメチロール基含有化合物は、(b)に係るアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(b)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
【0112】
以下、前記置換基を有する(b)に係る化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0113】
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。
【0114】
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0115】
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア、などが挙げられる。
これら(b)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0116】
前記架橋剤(c)、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物は、前記架橋剤(b)の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。以下、これら化合物を総じて、(c)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、又はアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
【0117】
前記架橋剤(c)に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基又はアルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱架橋性及び保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。前記フェノール化合物の3位又は5位は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
前記ナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
【0118】
前記(c)に係るメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位(2位又は4位)が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)に係るアルコキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
【0119】
架橋剤(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
【0120】
前記架橋剤(c)の具体例としては、フェノール化合物又はナフトール化合物として、例えば、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール、等が挙げられる。
【0121】
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
また、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、前記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部又は全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0122】
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体又はそれらのメチロール基がアルコキシメチル基及びメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0123】
本発明においては、前記架橋剤を必ずしも含有する必要はない。前記架橋剤を含有する場合は、架橋剤(a)〜(c)の染料含有ネガ型硬化性組成物における総含有量としては、素材により異なるが、該硬化性組成物の固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。
【0124】
−熱重合防止剤−
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、前記成分のほか、更に熱重合防止剤を加えておくことができる。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0125】
−その他添加物−
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば充填剤、前記アルカリ可溶性バインダー以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
【0126】
前記各種添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0127】
また、非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0128】
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えばCCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、好適に用いることができる。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。具体的には、カラーフィルタを構成する画素パターンサイズ(基板法線方向からみた画素パターンの辺長)が2μm以下である場合(例えば0.5〜2.0μm)は、顔料では粗大粒子の影響で色ムラが発生しやすく、染料では、染料自身の現像液中への溶出で色抜けが生じたり、染料量が増大するとフォトリソ性に寄与する成分の相対量が減ってパターニング後のポストベーク等の熱処理で熱ダレを起こし易い。これは、特に画素パターンサイズが1.0〜1.7μm(更に1.2〜1.5μm)の場合に顕著になる。また、厚み1μm以下の薄膜である場合、着色剤を除くフォトリソ性に寄与する成分の膜中の量が相対的に減少し、着色剤量の増大で他成分の量は更に減少して、低感度化し、低露光量領域ではパターンが剥離しやすくなり、前記同様にパターニング後のポストベーク等の熱処理で熱ダレを起こし易い。これは、特に膜厚が0.005μm〜0.9μm(更に0.1μm〜0.7μm)の場合に顕著になる。
このような固体撮像素子用のカラーフィルタを形成する場合において、特に、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いることにより効果的に、熱ダレによる順テーパー化が抑えられ、矩形に近いパターンが得られる。更には、高感度が得られると共に、形成されたパターンの基板等との密着性も向上し、剥がれの発生、ひいては画像欠陥の発生が防止される。
特に固体撮像素子用のカラーフィルタの場合には、例えば厚み1μm以下の薄膜でも高い色濃度を有し、熱による順テーパー状変形の少ない矩形に近い良好な断面プロファイルを有するパターン画像を形成することができる。加えて更に、形成されたパターンの基板等への密着性が向上し、剥がれによる画像欠陥の発生も抑えられる。
【0129】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、既述の本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物が用いられる。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いることで、現像処理後に高い残色率が得られる。また、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いることで、染料とD)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂間相互作用により染料の熱流動性を抑えられるため耐熱性を具えるので、熱処理時の熱ダレの影響で受ける変形の少ない、形状良好で高解像度の微細なパターンで構成されたカラーフィルタを作製することができる。更には、感度良く硬化パターンの形成が可能であり、支持体等との密着性が向上し、剥がれ(画素欠陥)の発生を抑えたカラーフィルタが得られる。特に、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物における前記有機溶剤可溶性染料を高濃度で用い、更に前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂を用いたときに上記効果は顕著となる。
【0130】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を支持体上に塗布して染料含有ネガ型硬化性組成物層を形成する工程と、前記染料含有ネガ型硬化性組成物層を、マスクを通して露光し、現像して前記支持体上にパターンを形成する工程を設けて構成したものである。
具体的には、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して染料含有ネガ型硬化性組成物層(感放射線性組成物層)を形成し、該層を所定のマスクパターンを介して露光し、現像液で現像することでネガ型の着色パターンを形成することによって好適に作製することができる(画像形成工程)。また、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0131】
カラーフィルタの作製においては、前記画像形成工程(及び必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタを作製することができる。この際に使用される光もしくは放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0132】
露光は、プロキシミティ方式、ミラープロジェクション方式、及びステッパー方式のいずれの方式で露光を行なってもよいが、特に、ステッパー方式(縮小投影露光機を用いた縮小投影露光方式)で露光を行なうのが好ましい。ステッパー方式は、露光量を段階的に変動しながら露光を行なうことによってパターンを形成するものであり、ステッパー露光を行なった際に特にパターンの矩形性を良好にすることができる。
また、ステッパー露光に用いる露光装置としては、例えば、i線ステッパー(商品名:FPA−3000i5+、キャノン(株)製)等を用いることができる。
【0133】
前記支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0134】
前記現像液としては、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の未硬化部を溶解する一方、硬化部(照射部)を溶解しない組成よりなるものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。前記有機溶剤としては、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を調製する際に使用される前述の有機溶剤が挙げられる。
【0135】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解してなるアルカリ性水溶液が好適である。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般に、現像後水で洗浄する。
【0136】
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0137】
本発明のカラーフィルタは、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物が用いられて矩形性に優れた着色パターンを得ることができ、このカラーフィルタを備えた固体撮像素子は優れた色再現性を有する。
固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、CCDイメージセンサー(固体撮像素子)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。
さらに、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えばマイクロレンズ等。以下同様。)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【実施例】
【0138】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0139】
[(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂(特定高分子化合物)の合成]
〔合成例1〕
<特定高分子化合物P−1の合成>
一般式(3)で表される単量体A−1 7.0g、BzMA 77.0g、MAA 16.0g、および1−メトキシ−2−プロパノール 150.0gを、窒素置換した三つ口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して80℃まで昇温した。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)を4.61g加え、80℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を4.61g加え、3時加熱攪拌の後、特定高分子化合物P−1の40質量%溶液を得た。
得られた特定高分子化合物の重量平均分子量をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、1.5万であった。
また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、102mgKOH/g、塩酸を用いた滴定から、固形分あたりのアミノ価は、26mgKOH/gであった。
【0140】
〔合成例2〕
合成例1において、合成例1において用いたモノマーの種類と量を、表1に記載のモノマーの種類と量に変更した以外は同様に行なって、特定高分子化合物P−2〜P−19の40質量%溶液を得た。得られた特定高分子化合物の重量平均分子量等を合成例1と同様にして測定し、結果を表1に示した。
【0141】
〔合成例3〕
合成例1において、合成例1において用いたモノマーの種類と量を、表1に記載のモノマーの種類と量に変更した以外は同様に行なって、高分子化合物C−1及びC−2の40質量%溶液を得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量等を合成例1と同様にして測定し、結果を表1に示した。
【0142】
【表1】

【0143】
〔実施例1〕
1)染料含有ネガ型硬化性組成物の調製
下記に示す組成を混合して溶解し、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を調製した。
〔組成〕
・(E)有機溶剤(シクロヘキサノン) 26g
・(A)有機溶剤可溶性酸性染料(Varifast Yellow 1101)
4.0g
・(B)光重合開始剤(オキシムA、下記参照) 1.0g
・(C)重合性モノマー(モノマーA、下記参照) 3.0g
・(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂P−1(上記参照) 2.0g
【0144】
2)下塗り層付シリコンウェハー基板の作製
レジストCT−4000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を、シリコンウェハー基板上に膜厚0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥させて硬化膜(下塗り層)を形成した。
【0145】
3)染料含有ネガ型硬化性組成物の露光・現像(パターン画像形成)
前記1)で得られた染料含有ネガ型硬化性組成物を、上記2)で得られた下塗り層付シリコンウェハー基板の下塗り層の上に膜厚が1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークした。
次いで、i線縮小投影露光装置を使用して塗布膜に365nmの波長で縦2μm×横2μmのマスクを通して露光量を変化させて照射した。照射後、100%CD−2060(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を用いて、23℃で60秒間の条件で現像した。次いで、流水で20秒間リンスした後、スピン乾燥させてパターン像を形成してカラーフィルタを得た。
パターン像の形状は、光学顕微鏡及びSEM写真観察により通常の方法で確認した。このとき、縦2μm×横2μmの画素パターンの幅と、該画素パターン間のスペースの幅とが1:1になる露光量を適正露光量とした。
【0146】
〔実施例2〜49〕
実施例1において、染料含有ネガ型硬化性組成物に含まれる各組成を下記表2〜4に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして行い同様に評価した。
【0147】
〔比較例1〜15〕
実施例1において、染料含有ネガ型硬化性組成物に含まれる各組成を下記表4に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして行い同様に評価した。
【0148】
4)評価
(1)現像残色率
上記3)において、現像工程前後の膜吸光度を分光測定装置(MCPD−3000:大塚電子(株)製)を用いて測定し、下記計算式により現像残色率を計算して比較評価した。
現像残色率(%)=現像後の膜吸光度/現像前の膜吸光度×100
【0149】
(2)プロファイル
上記3)において、適正露光量時に形成された画素パターンについて、200℃で300秒間ポストベークした後、ポストベーク後のパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)の撮影画像により観察し、パターン断面(シリコン基板の法線方向と平行であってパターンの一辺と平行な平面で切断したときの切断面)の形状を下記の評価基準にしたがって評価した。結果を下記表2〜4に示す。
【0150】
<評価基準>
◎:断面のパターンプロファイルは、図1(A)のように良好な矩形であった。
○:断面のパターンプロファイルは、図1(B)のように基板非接触の角(カド)がやや丸みを帯びたが、実用上許容できる範囲であった。
△:断面のパターンプロファイルは、図1(C)のように基板非接触の角(カド)がとれて丸みができ、ラウンドトップ(頭が丸い)形状であった。
×:断面のパターンプロファイルは、図1(D)のようにラウンドトップ形状かつパターン下部が広がる形状であった。
××:断面のパターンプロファイルは、図1(E)のように完全にラウンドトップ形状であった。
【0151】
(3)残渣
上記3)において、適正露光量時に形成された画素パターンについて、現像後のパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)の撮影画像により非画像部(未露光部)の現像残渣の有無を観察した。
【0152】
<評価基準>
◎:非画像部(未露光部)に現像残渣が全く見えない。
○:非画像部(未露光部)に現像残渣が見えないが、画像部(露光部)と非画像部
(未露光部)の境界部にごくわずかに確認できる。
△:非画像部(未露光部)に現像残渣がわずかに確認できる。
×:非画像部(未露光部)にポツポツとした現像残渣がはっきりと確認できる。
××:非画像部(未露光部)に現像残渣が残膜として残っている。(下地が見えていない
。)
【0153】
(4)塗布膜面内均一性
前記実施例及び比較例で得られた染料含有ネガ型硬化性組成物を、8インチウェハー上に膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターで塗布し、100℃で120秒間プリベークした後、膜面内でランダムに12点膜厚測定し、その平均から一番大きい点のズレを算出した。値が小さいほうが良好である。
また、膜厚測定方法は接触式膜厚計、非接触式膜厚計いずれの方法でも可能だが、本実施例では、ウェハー上の膜を削り取り、ウェハーと膜表面との距離を接触式段差測定器(Veeco社製DEKTAK6)にて測定した。結果を下記表2〜4に示す。
【0154】
−膜厚測定条件−
・加重:10mg
・測定速度:M−Range
【0155】
【表2】

【0156】
【表3】

【0157】
【表4】

【0158】
前記表2〜4中の組成の詳細は以下のとおりである。
・オキシムA:2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・オキシムB:1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
【0159】
【化8】

【0160】
表2〜4に示すように、本発明の構成を有さない染料含有ネガ型硬化性組成物を用いた比較例はパターンプロファイル及び塗布面内均一性(塗布特性)のいずれも不良であった。
一方、本発明の構成を有する染料含有ネガ型硬化性組成物を用いた実施例は、パターンプロファイルが良好で、塗布面内均一性(塗布特性)においても優れていることが判った。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】プロファイルの評価基準を説明する図であり、(A)は良好な矩形を示す図であり、(B)角(カド)がやや丸みを帯びた図であり、(C)はラウンドトップ形状を示す図であり、(D)はラウンドトップ形状かつパターン下部が広がる形状を示す図であり、(E)はパターンが崩れ、完全なラウンドトップ形状を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機溶剤可溶性染料と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)下記一般式(1)で表される構造を側鎖に有するアミノ基含有アルカリ可溶性樹脂と、(E)有機溶剤と、を少なくとも含む染料含有ネガ型硬化性組成物。
【化1】


(一般式(1)中、R及びRは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、RとRは互いに連結して環構造を形成してもよい。)
【請求項2】
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂が下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である請求項1に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【化2】


(一般式(2)中、R及びRは一般式(1)と同義である。R、R及びRは互いに独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、Xは−C(=O)−O−、−C(=O)−NR−(Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)、又はフェニレン基を表す。*は主鎖に連結する結合手を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。)
【請求項3】
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が3,000〜100,000であり、かつ酸価が10〜200mgKOH/gである請求項1又は請求項2に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項4】
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂のアミノ価が5〜200mgKOH/gである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項5】
前記(D)アミノ基含有アルカリ可溶性樹脂の酸価が30〜200mgKOH/gである請求項3又は請求項4に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項6】
前記(A)有機溶剤可溶性染料が、酸性染料であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項7】
前記(A)有機溶剤可溶性染料の含有量が、全固形分に対して40質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項8】
前記(B)光重合開始剤が、オキシム系化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項9】
固体撮像素子用カラーフィルタの形成に用いられることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の染料含有ネガ型硬化性組成物を支持体上に塗布して染料含有ネガ型硬化性組成物層を形成する工程と、前記染料含有ネガ型硬化性組成物層を、マスクを通して露光し、現像して前記支持体上にパターンを形成する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。

【図1】
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【公開番号】特開2010−85553(P2010−85553A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252601(P2008−252601)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】