説明

案内経路配信装置及び案内経路配信方法

【課題】PNDと経路探索サーバ間の通信データ量を低減化する
【解決手段】経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。そして経路探索サーバ4は、第2経路所要時間NT2と第1経路所要時間NT1とを比較し、第2経路所要時間NT2が時間条件DRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。これにより経路探索サーバ4は、PND2が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ当該案内経路をPND2に送信することができ、PND2と経路探索サーバ4における通信データ量を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路配信装置及び案内経路配信方法に関し、例えばカーナビゲーション装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションシステムとしては、自動車等に搭載された車載端末としてのポータブル型ナビゲーション装置(以下、これをPND(Personal Navigation Device)と呼ぶ)が有する地図データに基づいて経路探索を行うものが広く普及している。
【0003】
また近年、カーナビゲーションシステムとして、インターネット等を介して接続された車外のサーバ等と通信を行い、通信により車外から取得した経路探索結果を利用してPNDが経路案内等を行うものがある。
【0004】
上記どちらのカーナビゲーションシステムにおいても、実際の道路や建物等は日々変化するために、PNDが有する地図データに基づいて経路探索を行う場合、PNDは可能な限り最新の地図データを有していることが望ましい。
【0005】
そのためPNDは、インターネット等を介して最新の地図データをダウンロードすることで、PNDが有する地図データを最新の地図データに更新するようになされている。
【0006】
このとき、最新の地図データの通信データ量が非常に大きいために、PNDは地図データをダウンロードする際に多大な時間を要し、また通信コストを要してしまう。
【0007】
これに対して、一部の地図データのみをサーバからPNDに送るナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、PNDが有する地図データに基づいて探索した経路と、サーバが有する最新の地図データに基づいて探索した経路とを比較し、差異がある場合には、差異部分のみの地図データをサーバからPNDに送ることにより、通信データ量を低減させるといったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3942987号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしそのようなナビゲーションシステムでは、差異がある経路を利用したとしても、目的地へ到着するのに要する時間、金額、距離等に大きな改善がない場合がある。
【0010】
そのような場合でも、上記ナビゲーションシステムでは、経路探索結果に差異がある場合、サーバから差異部分の地図データを送信し無条件にPNDの地図データを書き換えていた。
【0011】
そのためサーバは、PNDが探索した経路での経路案内を希望しており、サーバからの地図データでPNDの地図データを書き換える必要がないユーザのPNDにも、差異部分の地図データを送信してしまい、通信データ量が無駄に発生してしまっていた。
【0012】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、通信データ量の低減をし得る案内経路配信装置、案内経路配信方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明の案内経路配信装置においては、出発地を表す情報、目的地を表す情報、車載端末が有する地図データの世代を識別する地図データ世代情報、及び当該車載端末が有する、当該出発地から当該目的地までの案内経路の経路探索を行う経路探索プログラムの世代を識別する経路探索プログラム世代情報を当該車載端末から受信する受信部と、車載端末が有する地図データを含む複数の世代の地図データと、車載端末が有する経路探索プログラムを含む複数の世代の経路探索プログラムとが格納された記憶部と、記憶部より読み出された、地図データ世代情報が示す世代の地図データと経路探索プログラム世代情報が示す世代の経路探索プログラムとに基づいて、出発地から目的地までの案内経路である第1経路を探索する第1経路探索部と、記憶部より読み出された、車載端末が有する地図データと同一又は更新された世代の地図データと、車載端末が有する経路探索プログラムと同一又は更新された世代の経路探索プログラムとに基づいて、出発地から目的地までの案内経路である第2経路を探索する第2経路探索部と、第1経路と第2経路とを比較し、所定の案内経路更新条件を満たすか判定する比較判定部と、案内経路更新条件を満たすと判定されたときのみ、第2経路を車載端末に送信する送信部とを設けるようにした。
【0014】
このため案内経路配信装置は、案内経路配信装置が探索した第2経路が、車載端末が探索した第1経路と比べて大きな改善があるときのみ、第2経路を車載端末に送信する。これにより案内経路配信装置は、車載端末が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ、当該案内経路を車載端末に送信することができる。
【0015】
また、本発明の案内経路配信方法においては、出発地を表す情報、目的地を表す情報、車載端末が有する地図データの世代を識別する地図データ世代情報、及び当該車載端末が有する、当該出発地から当該目的地までの案内経路の経路探索を行う経路探索プログラムの世代を識別する経路探索プログラム世代情報を所定の受信部にて当該車載端末から受信する受信ステップと、所定の記憶部より読み出された、地図データ世代情報が示す世代の地図データと経路探索プログラム世代情報が示す世代の経路探索プログラムとに基づいて、所定の第1経路探索部にて、出発地から目的地までの案内経路である第1経路を探索する第1経路探索ステップと、所定の記憶部より読み出された、車載端末が有する地図データと同一又は更新された世代の地図データと、車載端末が有する経路探索プログラムと同一又は更新された世代の経路探索プログラムとに基づいて、所定の第2経路探索部にて、出発地から目的地までの案内経路である第2経路を探索する第2経路探索ステップと、所定の比較判定ステップにて、第1経路と第2経路とを比較し、所定の案内経路更新条件を満たすか判定する比較判定ステップと、案内経路更新条件を満たすと判定されたときのみ、所定の送信部にて第2経路を車載端末に送信する送信ステップとを設けるようにした。
【0016】
このため案内経路配信装置は、案内経路配信装置が探索した第2経路が、車載端末が探索した第1経路と比べて大きな改善があるときのみ、第2経路を車載端末に送信する。これにより案内経路配信装置は、車載端末が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ、当該案内経路を車載端末に送信することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、案内経路配信装置は、車載端末が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ、当該案内経路を車載端末に送信することができる。かくして、通信データ量の低減化をし得る案内経路配信装置、案内経路配信方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ナビゲーションシステムの構成を示す略線図である。
【図2】PNDの回路構成を示すブロック図である。
【図3】経路探索サーバの回路構成を示す略線図である。
【図4】実施の形態の概要となる経路探索処理手順を示すシーケンスチャートである。
【図5】案内経路配信装置の機能ブロック構成を示すブロック図である。
【図6】第1及び第3の実施の形態におけるナビゲーション処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第1経路及び第2経路のナビゲーション地図画像を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態におけるナビゲーション処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態における案内経路情報配信処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態における案内経路情報配信処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(案内経路更新条件が時間条件の場合のナビゲーションシステム)
2.第2の実施の形態(案内経路更新条件が金額条件の場合のナビゲーションシステム)
3.第3の実施の形態(案内経路更新条件が距離条件の場合のナビゲーションシステム)
4.他の実施の形態
【0020】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.ナビゲーションシステムの構成]
図1に示すように、本発明の一実施の形態としてのナビゲーションシステム1は、PND2、複数の無線アクセスポイント3(3a、3b、3c、…)、及び経路探索サーバ4により構成されている。
【0021】
PND2は、複数の無線アクセスポイント3のいずれかに無線接続すると、その無線アクセスポイント3及びインターネットNTを介し経路探索サーバ4と接続するようになされている。
【0022】
クレードル5は、車両のダッシュボード上に吸盤5Aを介して取付けられると共に、車両のバッテリと電気的に接続されている。
【0023】
PND2は、クレードル5に装着され又は取り外されるようになされており、装着されたときにはクレードル5によって保持され、当該PND2とクレードル5とが機械的かつ電気的に接続される。
【0024】
これによりPND2は、クレードル5を介して車両のバッテリから供給される電力により動作すると共に、当該クレードル5から取り外されたときには内蔵のバッテリから供給される電力によって独立した状態でも動作するようになされている。
【0025】
またPND2は、当該PND2における前面に表示部14が設けられており、当該PND2に内蔵された記憶部13(図示せず)に格納されている地図データに応じた地図画像等を表示部14に対して表示し得るようになされている。
【0026】
一方経路探索サーバ4は、ナビゲーションに係る各種情報(地図データ、案内経路情報等)を、インターネットNTを介しPND2に対して配信するようになされている。
【0027】
[1−2.PNDの回路構成]
図2に示すようにPND2は、CPU(Central Processing Unit)構成でなる制御部10を有している。制御部10は、ROM(Read Only Memory)11に格納された基本プログラムをRAM(Random Access Memory)12に展開し、当該基本プログラムに従い、全体を統括制御するようになされている。
【0028】
またPND2の制御部10は、ROM11や記憶部13に格納された各種アプリケーションプログラムをRAM12に展開し、当該アプリケーションプログラムに従って、ナビゲーション等の各種処理をするようになされている。
【0029】
また、PND2にはGPS(Global Positioning System)ユニット15が設けられている。当該GPSユニット15は、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信して復調することにより得られる軌道データと、複数のGPS衛星から車両までの距離データとに基づいて車両の現在地を正確に測位する。そしてGPSユニット15は、測位することにより得られた、経緯度により表される現在地情報、衛星信号に含まれる時刻情報とからなるGPS情報を制御部10へ供給する。
【0030】
制御部10は、記憶部13に格納された、PND2のユーザが使用している現在のバージョンの経路探索プログラム(以下、これを現経路探索プログラムと呼ぶ)30を実行することにより、経路探索を行うようになされている。
【0031】
また記憶部13には、上記現経路探索プログラム30と共に、当該現経路探索プログラム30の世代を識別する情報としてのバージョン情報(以下、これを現経路探索プログラムバージョン情報と呼ぶ)(図示せず)が格納されている。因みに、現地図データ31と同様に、現経路探索プログラム30は必ずしも最新のバージョンの経路探索プログラムであるとは限らない。
【0032】
さらに記憶部13にはPND2のユーザが使用している現在の地図データ(以下、これを現地図データと呼ぶ)31が、当該現地図データ31の世代を識別する情報としてのバージョン情報(図示せず)と共に格納されている。以下、当該バージョン情報を現地図データバージョン情報と呼ぶ。因みに、現地図データ31は必ずしも最新のバージョンの地図データであるとは限らない。
【0033】
地図データには、表示用の道路データ、経路探索用の道路データ、各種施設や物件の位置等に関する物件データ等が含まれており、各データは、ノード(経緯度で表現された点の座標)の座標集合と、各ノード間を接続するリンクとによって表されている。
【0034】
制御部10は、GPS情報を基に車両の現在地が含まれる周辺の地図データを、記憶部13の現地図データ31からRAM12に読み出す。そして制御部10は、当該読み出された地図データからその現在地が含まれる地図画像を生成した後、表示部14のLCD(Liquid Crystal Display)14Aへ出力することにより、当該地図画像を表示するようになされている。
【0035】
表示部14の表面には、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル14Bが設けられている。制御部10は、出発地から、タッチパネル14Bのタッチ操作により指定された目的地までの案内経路を探索して案内経路情報を生成し、RAM12に記憶させる。因みに経路探索プログラム30は、目的地の指定以外に、どの経路を通って目的地へ行くのかを示す経由地の指定や、走行距離の短縮又は走行時間の短縮又は有料道路等の所要金額が安くなるか等の各種条件をユーザに指定させることも可能である。
【0036】
上記案内経路情報は、制御部10によって探索された案内経路の出発地から目的地までの全てのノードに関するノード列のデータで表されている。
【0037】
制御部10は上記案内経路情報に基づいて、当該案内経路を他の道路とは異なる表示態様(色を変える、線幅を太くする等)で表したナビゲーション地図画像40(図示せず)をLCD14Aに出力し表示させる。
【0038】
このとき制御部10は、案内経路が表されたナビゲーション地図画像40をLCD14Aに表示させると共に、車両が案内経路に従って目的地まで走行する間、ユーザの運転を誘導及び補助する(ナビゲーションを行う)ための音声情報を生成する。そして制御部10は、当該音声情報をナビゲート音声としてスピーカ(図示せず)から出力させる。
【0039】
このようにしてPND2では、ユーザ所望の目的地まで車両のナビゲーションを行うナビゲーション機能を提供し得るようになされている。
【0040】
またPND2は、例えばWI−FI(登録商標)モジュール等でなる無線通信ユニット16が設けられており、当該無線通信ユニット16により無線通信可能な無線アクセスポイント3(図1)を検索する。そしてPND2は、無線通信可能な無線アクセスポイント3を発見した場合、当該発見した無線アクセスポイント3と無線接続することにより、当該無線アクセスポイント3及びインターネットNTを介して経路探索サーバ4と接続するようになされている。
【0041】
[1−3.経路探索サーバの回路構成]
図3に示すように経路探索サーバ4は、CPU構成でなる制御部20がROM21に格納された基本プログラムをRAM22に展開し、当該基本プログラムに従い、全体を統括制御するようになされている。
【0042】
また経路探索サーバ4の制御部20は、ROM21や記憶部23に格納された各種アプリケーションプログラムをRAM22に展開し、当該アプリケーションプログラムに従って、後述する経路探索処理等の各種処理をするようになされている。
【0043】
記憶部23は、全てのバージョンの経路探索プログラムが格納されている経路探索プログラムデータベース32と、全てのバージョンの地図データが格納されている地図データベース33とを有している。
【0044】
経路探索プログラムデータベース32には、バージョン1の経路探索プログラム32A、バージョン2の経路探索プログラム32B、…、最新バージョンの経路探索プログラム32Zが、それぞれの経路探索プログラムに対するバージョン情報と共に格納されている。
【0045】
一方地図データベース33には、バージョン1の地図データ33A、バージョン2の地図データ33B、…、最新バージョンの地図データ33Zが、それぞれの地図データに対するバージョン情報と共に格納されている。
【0046】
制御部20は地図データベース33から所定のバージョンの地図データと、経路探索プログラムデータベース32から所定のバージョンの経路探索プログラムとをRAM22に読み出して、経路探索を行うことができるようになされている。
【0047】
また制御部20は、ネットワークインターフェース24を介してPND2と通信を行い、各種経路を探索し、案内経路情報や地図データ等をPND2に送信する。
【0048】
さらに制御部21は、ネットワークインターフェース24を介して、実際の道路における、混雑地点、混雑具合、工事が行われている地点、通行止めがされている地点、渋滞情報等を表す、最新の交通情報等を取得し得るようにもなされている。
【0049】
[1−4.経路探索処理]
まず、実施の形態の具体例を説明する前に、PND2及び経路探索サーバ4において行われる経路探索処理手順RT1の概要について、図4に示すシーケンスチャートを用いて説明する。
【0050】
ここで、経路探索サーバ4における各機能をブロック化すると、図5に示すような、経路探索サーバ4と対応する案内経路配信装置50の機能ブロック図として表すことができる。
【0051】
PND2の制御部10は、ナビゲーション開始の指示をユーザから受けると、ステップSP1(図4)へ移る。ステップSP1において制御部10は、現在地を出発地に設定し、当該出発地、経由地、目的地からなる地点情報と、現地図データバージョン情報、現経路探索プログラムバージョン情報からなる探索条件情報とを、案内経路配信装置50に送信する。
【0052】
一方、ネットワークインターフェース24(図3)と対応する受信部51はステップSP2において、地点情報及び探索条件情報を受信し、ステップSP3へ移る。
【0053】
ステップSP3において制御部20(図3)と対応する第1経路探索部53は、受信した探索条件情報に対応するバージョンの地図データ及び経路探索プログラムを、記憶部23(図3)と対応する記憶部52から読み出す。
【0054】
そして第1経路探索部53は、記憶部52から読み出した地図データ及び経路探索プログラムと、受信した地点情報とに基づき、出発地から目的地までの案内経路(以下、これを第1経路と呼ぶ)NR1を探索する。続いて第1経路探索部53は、当該第1経路NR1の案内経路情報を記憶しステップSP4へ移る。
【0055】
これにより第1経路NR1は、PND2で使用している現地図データ31及び現経路探索プログラム30に基づいて探索した案内経路、すなわちPND2において実際に探索される案内経路と同等の案内経路となる。
【0056】
経路探索プログラムのバージョンが異なると、経路探索を行うアルゴリズムが異なる場合があるため、同じバージョンの地図データを使用して経路探索を行ったとしても、探索結果である案内経路が異なる場合がある。
【0057】
そこで第1経路探索部53は、現地図データバージョン情報に対応するバージョンの地図データのみならず、現経路探索プログラムバージョン情報に対応するバージョンの経路探索プログラムにも基づいて、第1経路NR1の経路探索を行う。このため第1経路探索部53は、PND2と同じ条件で経路探索を行うことができる。
【0058】
ステップSP4において制御部20(図3)と対応する第2経路探索部54は、最新バージョンの地図データ33Z及び最新バージョンの経路探索プログラム32Zを、記憶部52から読み出す。また第2経路探索部54は、受信部51を介して、最新の交通情報を受信する。
【0059】
そして第2経路探索部54は、最新バージョンの地図データ33Z及び経路探索プログラム32Z、受信した地点情報、受信した交通情報に基づき、出発地から目的地までの案内経路(以下、これを第2経路と呼ぶ)NR2を探索する。続いて第2経路探索部54は、当該第2経路NR2の案内経路情報を記憶しステップSP5へ移る。
【0060】
これにより第2経路NR2は、案内経路配信装置50が有する最新バージョンの地図データ33Z等に基づいて探索された、最も適切な案内経路を表すものとなる。
【0061】
ステップSP5において制御部20(図3)と対応する比較判定部55は、ステップSP4において探索した第2経路NR2を、ステップSP3において探索した第1経路NR1と比較し、ステップSP6へ移る。
【0062】
ステップSP6において比較判定部55は、ステップSP5における比較により、第2経路NR2が案内経路更新条件(詳しくは後述する)を満たすか否か判定する。
【0063】
続いて、上記第2経路NR2が案内経路更新条件を満たす場合、ネットワークインターフェース24(図3)と対応する送信部56は、上記第2経路NR2の案内経路情報をPND2に送信する。
【0064】
ステップSP7においてPND2の制御部10は、案内経路配信装置50から案内経路情報を受信すると、第2経路NR2の案内経路情報をRAM12に保存し、当該案内経路情報に基づいて、ナビゲーションを行う。
【0065】
このように本発明のナビゲーションシステム1は、案内経路配信装置50において第1経路NR1と第2経路NR2とを探索し、第2経路NR2を第1経路NR1と比較する。そして第2経路NR2が案内経路更新条件を満たす場合のみ、案内経路配信装置50は第2経路NR2の案内経路情報を送信する。
【0066】
[1−5.ナビゲーション処理]
次に、実施の形態の具体例として、PND2がナビゲーションを行う際のナビゲーション処理手順RT2について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。PND2の制御部10は、ユーザから目的地等の指定やナビゲーション開始の指示を受け付け、経路探索サーバ4と通信を行い、案内経路情報に基づいてナビゲーションを行うようになされている。
【0067】
ステップSP11においてPND2の制御部10は、ユーザにより指定された目的地等を設定し、次のステップSP12へ移る。
【0068】
ステップSP12において制御部10は、ナビゲーション開始の指示をユーザから受けると、出発地、経由地、目的地からなる地点情報と、現地図データバージョン情報、現経路探索プログラムバージョン情報からなる探索条件情報を経路探索サーバ4に送信する。これと共に制御部10は、経路探索要求メッセージを経路探索サーバ4に送信し、次のステップSP13へ移る。
【0069】
ステップSP13において制御部10は、現経路探索プログラム30を実行して現地図データ31を参照することにより経路探索を開始し、次のステップSP14へ移る。
【0070】
ステップSP14において制御部10は、経路探索サーバ4から案内経路情報を受信したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部10はステップSP15へ移る。
【0071】
ステップSP15において制御部10は、経路探索サーバ4における経路探索により導き出された第2経路NR2の案内経路情報でRAM12上の案内経路情報を更新して、次のステップSP16へ移る。
【0072】
ステップSP16において制御部10は、経路探索サーバ4から差分地図データ(詳しくは後述する)を受信したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部10は次のステップSP17へ移り、RAM12上に読み出されている現地図データ31に当該差分地図データを適用する。続いて制御部10はステップSP20へ移り、ナビゲーションを開始する。
【0073】
一方、ステップSP16において否定結果が得られると、制御部10はRAM12上に読み出されている現地図データ31に変更を加えずに、ステップSP20へ移りナビゲーションを開始する。
【0074】
また一方、ステップSP14において否定結果が得られると、経路探索サーバ4から案内経路情報を受信しなかったため、制御部10はステップSP18へ移り、経路探索が完了したか否かを判定する。
【0075】
ステップSP18において否定結果が得られると、PND2の制御部10において経路探索が完了していないため、制御部10はステップSP14へ戻り、経路探索を続けながら、経路探索サーバ4から案内経路情報を受信したか否かを再び判定する。
【0076】
一方、ステップSP18において肯定結果が得られると、制御部10が経路探索を開始してから完了するまでの間に、経路探索サーバ4から案内経路情報を受信しなかったことを意味し、制御部10は次のステップSP19へ移る。
【0077】
ステップSP19において制御部10は、PND2の制御部10における経路探索により導き出された案内経路を第1経路NR1とする。続いて制御部10は、当該第1経路NR1の案内経路情報でRAM12上の案内経路情報を更新して、次のステップSP20へ移りナビゲーションを開始する。
【0078】
このように、PND2は経路探索を開始してから完了するまでの間に経路探索サーバ4から第2経路NR2の案内経路情報を受信できた場合、当該第2経路NR2を優先的に適用するため、第1経路NR1の探索を中断する。そしてPND2は、受信した第2経路NR2の案内経路情報に基づいてナビゲーションを開始する。
【0079】
一方、PND2は経路探索を開始してから完了するまでの間に経路探索サーバ4から第2経路NR2の案内経路情報を受信できなかった場合、自らが探索した第1経路NR1の案内経路情報に基づいてナビゲーションを開始する。
【0080】
これによりPND2は、PND2自身による経路探索の完了を待つことなく、経路探索サーバ4による案内経路情報に基づき、ナビゲーションを開始することができる。
【0081】
ステップSP20において制御部10は、RAM12上の第1経路NR1又は第2経路NR2の案内経路情報に基づいてナビゲーションを開始し、次のステップSP21において経路探索サーバ4から案内経路情報を受信したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部10はステップSP22へ移る。
【0082】
ステップSP22において制御部10は、車両が目的地周辺へ到達したためにナビゲーションを終了するか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部10はステップSP21へ戻り、ナビゲーションを続けながら、経路探索サーバ4から案内経路情報を受信したか否かを再び判定する。
【0083】
一方、ステップSP21において肯定結果が得られると、このことはPND2の制御部10が、経路探索サーバ4から、優先的に適用すべき第2経路NR2の案内経路情報を受信したことを表している。このとき制御部10はステップSP17へ移り、当該第2経路NR2の案内経路情報でRAM12上の案内経路情報を更新する。その後制御部10は、上述したように変更された案内経路にてナビゲーションを再び開始する。その際制御部10は、必要に応じてRAM12上の現地図データに、受信した差分地図データを適用する。
【0084】
また一方、ステップSP22において肯定結果が得られると、制御部10はナビゲーションを終了し、次のステップSP24へ移り、ナビゲーション処理手順RT2を終了する。
【0085】
このようにPND2は、ナビゲーションを開始した後に経路探索サーバ4から第2経路NR2の案内経路情報を受信できた場合、第2経路NR2の案内経路情報に基づいてナビゲーションを再び行う。
【0086】
[1−6.案内経路情報配信処理]
次に、実施の形態の具体例として、経路探索サーバ4が案内経路情報の配信をPND2に行う際の案内経路情報配信処理手順RT3について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。経路探索サーバ4の制御部20はPND2と通信を行い、各種経路を探索して比較し、案内経路更新条件としての時間条件TRを満たした場合、案内経路情報をPND2に送信するようになされている。
【0087】
ステップSP31において経路検索サーバ4の制御部20は、出発地等からなる地点情報と、現地図データバージョン情報、現経路探索プログラムバージョン情報からなる探索条件情報と共に、経路探索要求メッセージをPND2から受信したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部20はステップSP31へ戻り、再び経路探索要求メッセージ等の受信を待ち受ける。
【0088】
ステップSP31において肯定結果が得られると、制御部20は次のステップSP32へ移り、第1経路NR1の経路探索を開始する。
【0089】
ステップSP32において制御部20は、受信した現地図データバージョン情報と同一のバージョンである地図データ(以下、これを指定地図データと呼ぶ)35を地図データベース33の中から検索し、当該指定地図データ35をRAM22へ読み出す。
【0090】
また制御部20は、受信した現経路探索プログラムバージョン情報と同一のバージョンである経路探索プログラム(以下、これを指定経路探索プログラムと呼ぶ)34を経路探索プログラムデータベース32の中から検索する。続いて制御部20は、検索した当該指定経路探索プログラム34をRAM22へ読み出す。
【0091】
そして制御部20は、当該指定経路探索プログラム34を実行して指定地図データ35及び受信した地点情報を参照することにより、第1経路NR1の探索を行い、第1経路NR1の案内経路情報を記憶し次のステップSP33へ移る。ここで経路探索の結果には、目的地へ到着するのに要する予想所要時間、予想所要距離、予想所要金額等が含まれる。
【0092】
ステップSP33において制御部20は、最新バージョンの地図データ33Zを地図データベース33からRAM22へ読み出す。また制御部20は、最新バージョンの経路探索プログラム32Zを経路探索プログラムデータベース32からRAM22へ読み出す。さらに制御部20は、ネットワークインターフェース24を介して、最新の交通情報を受信する。
【0093】
そして制御部20は、最新バージョンの経路探索プログラム32Zを実行して最新バージョンの地図データ33Z及び受信した地点情報を参照し、受信した交通情報を考慮して、第2経路NR2の探索を行う。
【0094】
続いて制御部20は、第2経路NR2の案内経路情報を記憶し、次のステップSP34へ移る。ここで経路探索の結果には、上記第1経路NR1の探索の場合と同様に、目的地へ到着するのに要する予想所要時間、予想所要距離、予想所要金額等が含まれる。
【0095】
ステップSP34において制御部20は、第1経路NR1と第2経路NR2とで、目的地へ到着するのに要する予想所要時間の比較を行い、次のステップSP35へ移る。
【0096】
ステップSP35において制御部20は、第2経路NR2による予想所要時間が、第1経路NR1による予想所要時間よりも、後述する時間条件TR以上に短いか否かを判定する。以下、第1経路NR1による予想所要時間を第1経路所要時間NT1と、第2経路NR2による予想所要時間を第2経路所要時間NT2と呼ぶ。
【0097】
時間条件TRは、例えば40[%]のように値が予め定められており、上述した経路探索処理手順RT1における案内経路更新条件に対応している。これは、第2経路所要時間NT2が、第1経路所要時間NT1よりも40[%]以上短縮しているという条件を表している。
【0098】
ここで、例えば第1経路所要時間NT1が60[分]であり、第2経路所要時間NT2が30[分]であるとき、第2経路所要時間NT2は、第1経路所要時間NT1よりも50[%]短縮している。
【0099】
この場合、第2経路所要時間NT2が、第1経路所要時間NT1よりも、時間条件TR(40[%])以上に短縮しているため、ステップSP35における判定は肯定結果となる。
【0100】
一方、例えば第1経路所要時間NT1が60[分]であり、第2経路所要時間NT2が42[分]であるとき、第2経路所要時間NT2は、第1経路所要時間NT1よりも30[%]しか短縮していない。
【0101】
この場合、第2経路所要時間NT2が、第1経路所要時間NT1よりも時間条件TR(40[%])以上に短縮していないため、ステップSP35における判定は否定結果となる。
【0102】
ステップSP35において肯定結果が得られると、制御部20は次のステップSP36へ移り、第1経路NR1と第2経路NR2とを比較して差異部分を検出する。続いて制御部20は、当該差異部分の内、最新バージョンの地図データ33Zには存在するが指定地図データ35に存在しない道路データのみを、差分地図データとして最新バージョンの地図データ33Zから抽出し、次のステップSP37へ移る。
【0103】
上記検出及び抽出について、図8を用いて説明する。図8において、出発地はノードA、目的地はノードDに指定されている。図8(A)に示すナビゲーション地図画像40Aでは、指定地図データ35における第1経路NR1を、図8(B)に示すナビゲーション地図画像40Bでは、最新バージョンの地図データ33Zにおける第2経路NR2をそれぞれ太線で表している。
【0104】
図8(A)に示す第1経路NR1の案内経路情報は、ノードA−ノードB−ノードC−ノードDとなっており、図8(B)に示す第2経路NR2の案内経路情報は、ノードA−ノードE−ノードF−ノードC−ノードDとなっている。
【0105】
制御部20は、第1経路NR1と第2経路NR2とで、それぞれの案内経路が使用している地図データに含まれる道路データの位置及び形状が同一であるか否かの判断を行う。
【0106】
この場合、案内経路の差異部分の中で、第2経路NR2のノードE及びノードFは、指定地図データ35には存在しない。このため制御部20は、差分地図データとしてノードE及びノードFと、ノードE−ノードF間のリンクのみを最新バージョンの地図データ33Zから抽出する。
【0107】
ステップSP37において制御部20は、差分地図データ(ノードE及びノードF、ノードE−ノードF間のリンク)と、第2経路NR2の案内経路情報(ノードA−ノードE−ノードF−ノードC−ノードD)とをPND2に送信する。そして制御部20は次のステップSP38へ移り、案内経路情報配信処理RT3を終了する。
【0108】
ここで、差分地図データを受信したPND2の制御部10は、PND2のRAM12上に読み出されている現地図データ31に、当該差分地図データ(ノードE及びノードF、ノードE−ノードF間のリンク)を追加する。因みに制御部10は、PND2の記憶部13に格納されている現地図データ31にまでは、当該差分地図データを追加しない。
【0109】
一方ステップSP35において否定結果が得られると、このことは、第2経路NR2による予想所要時間が、第1経路NR1による予想所要時間よりも、時間条件TR以上には短くなかったことを意味している。このとき制御部20は、時間条件TRを満たしていない第2経路NR2の案内経路情報をPND2に送信せずに、ステップSP38へ移り案内経路情報配信処理RT3を終了する。
【0110】
このように経路探索サーバ4は、第1経路NR1と第2経路NR2とを探索し、第2経路NR2を第1経路NR1と比較する。そして経路探索サーバ4は、第2経路NR2が時間条件TRを満たす場合に、差異部分を差分地図データとして最新バージョンの地図データ33Zから抽出する。続いて経路探索サーバ4は、当該差分地図データ及び第2経路NR2の案内経路情報をPND2に送信する。
【0111】
[1−7.動作及び効果]
以上の構成において経路探索サーバ4は、最新バージョンの経路探索プログラム32Zを実行して最新バージョンの地図データ33Zを参照し、さらに交通情報を考慮して、第2経路NR2の探索を行い、案内経路情報をPND2に送信する。
【0112】
これによりPND2は、経路探索サーバ4により探索された、精度、信頼性の高い案内経路に基づいてナビゲーションを行うことができる。
【0113】
また経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。
【0114】
そして経路探索サーバ4は、第2経路所要時間NT2と第1経路所要時間NT1とを比較し、第2経路所要時間NT2が時間条件TRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。
【0115】
このときPND2は、自らが探索した第1経路NR1よりも目的地への予想所要時間が短縮された案内経路でナビゲーションを行うことができる。
【0116】
一方経路探索サーバ4は、第2経路NR2を適用することにより目的地への予想所要時間が所定の条件以上に短縮しない限り、PND2に第2経路NR2の案内経路情報や差分地図データを送信することがない。
【0117】
このとき経路探索サーバ4は、第2経路NR2の案内経路情報や差分地図データを無条件にPND2に送信しないため、通信データ量を削減することができ、その結果通信コストを削減することが可能となる。
【0118】
またPND2は、目的地への予想所要時間に大きな改善がないにも関わらず、自動的に地図データを書き換えることや、ユーザに案内経路の変更を促すことがないため、ユーザにストレスを与えることなくナビゲーションを行うことができる。
【0119】
さらに経路探索サーバ4は、第1経路NR1と第2経路NR2の差異部分のみを最新バージョンの地図データ33Zから抽出し、差分地図データとしてPND2に送信するようにした。
【0120】
例えば、図8(B)に示すナビゲーション地図画像40Bにおいて、仮にノードE−ノードF間に別の道路が存在していたとしても、当該道路は第2経路NR2には含まれないため、経路探索サーバ4は当該道路のリンク及びノードをPND2に送信しない。
【0121】
これにより経路探索サーバ4は、通信データ量を必要最小限に抑えることができ、さらにPND2におけるナビゲーション地図画像40の更新を高速に行うことが可能となる。
【0122】
また、一般的に経路探索サーバ4の計算能力は、車載端末であるPND2と比べて高い。このためPND2は、PND2自身による経路探索の完了を待つことなく、経路探索サーバ4により探索された案内経路情報を得て、ナビゲーション機能をユーザに提供することが可能となる。
【0123】
さらにPND2は、経路探索サーバ4のみに経路探索を行わせるだけでなくPND2自身でも経路探索を行うようにした。
【0124】
これによりPND2は、仮に通信エラーや圏外等により、経路探索サーバ4から第2経路NR2の案内経路情報を受信できなかった場合でも、PND2自身が探索した第1経路NR1で、ナビゲーションを行うことができる。
【0125】
さらにPND2は、経路探索サーバ4から受信した差分地図データをRAM12上に読み出されている現地図データ31のみに適用するようにし、記憶部13に格納されている現地図データ31には、当該差分地図データを適用しないようにした。
【0126】
これによりPND2は記憶部13の中身まで更新するといった煩雑な処理を行う必要なく、案内経路に必要な道路であって現地図データ31に存在しない道路のみを一時的に表示させてナビゲーションを行うことができる。
【0127】
以上の構成によれば経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。そして経路探索サーバ4は、第2経路所要時間NT2と第1経路所要時間NT1とを比較し、第2経路所要時間NT2が時間条件TRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。さらに経路探索サーバ4は、第1経路NR1と第2経路NR2の差異部分のみを最新バージョンの地図データ33Zから抽出し、差分地図データとしてPND2に送信するようにした。これにより経路探索サーバ4は、PND2が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ、当該案内経路をPND2に送信することができ、PND2と経路探索サーバ4における通信データ量を低減させることができる。
【0128】
<2.第2の実施の形態>
図1に示す第2の実施の形態におけるナビゲーションシステム1は、PND2及び経路探索サーバ4が第1の実施の形態と同様に構成されている。図4に示す、PND2及び経路探索サーバ4において行われる経路探索処理手順RT1も第1の実施の形態と同様である。
【0129】
第2の実施の形態におけるPND2は、ナビゲーションを行う際、図6に示す第1の実施の形態におけるナビゲーション処理手順RT2に代えて、図9に示す第2の実施の形態におけるナビゲーション処理手順RT4を実行する。
【0130】
また第2の実施の形態における経路探索サーバ4は、案内経路情報の配信をPND2に行う際、図7に示す第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3に代えて、図10に示す第2の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT5を実行する。
【0131】
[2−1.ナビゲーション処理]
第2の実施の形態におけるナビゲーション処理手順RT4は、第1の実施の形態におけるナビゲーション処理手順RT2と比較して、ステップSP111及びSP112がステップSP11及びSP12と異なっているものの、それ以外は同様である。以下、当該ステップSP111及びSP112について説明する。
【0132】
PND2の制御部10は、ユーザから目的地や、経路更新条件としての金額条件CR等の指定やナビゲーション開始の指示を受け付け、経路探索サーバ4と通信を行い、案内経路情報に基づいてナビゲーションを行うようになされている。
【0133】
ステップSP111において制御部10は、ユーザにより指定された目的地や金額条件CR等を設定し、次のステップSP112へ移る。
【0134】
ステップSP112において制御部10は、ナビゲーション開始の指示をユーザから受けると、出発地、経由地、目的地からなる地点情報を経路探索サーバ4に送信する。これと共に制御部10は、現地図データバージョン情報、現経路探索プログラムバージョン情報からなる探索条件情報と、金額条件CRと、経路探索要求メッセージを経路探索サーバ4に送信し、次のステップSP13へ移る。
【0135】
このように第2の実施の形態におけるナビゲーション処理手順RT4において、制御部10は案内経路更新条件としての金額条件CRをユーザに指定させ、当該金額条件CRを経路探索サーバ4へ送信するようになされている。
【0136】
[2−2.案内経路情報配信処理]
第2の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT5(図10)は、第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3と比較して、ステップSP131がステップ31と異なっている。さらにステップSP134及びSP135が、ステップSP34及びSP35と異なっているものの、それ以外は同様である。以下、当該ステップSP131、SP134、及びSP135について説明する。
【0137】
経路探索サーバ4の制御部20は、PND2と通信を行い、各種経路を探索して比較し、金額条件CRを満たした場合、案内経路情報をPND2に送信するようになされている。
【0138】
ステップSP131において制御部20は、出発地等からなる地点情報と、現地図データバージョン情報、現経路探索プログラムバージョン情報からなる探索条件情報と、金額条件CRとをPND2から受信したか否かを判定する。これと共に制御部20は、経路探索要求メッセージをPND2から受信したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部20はステップSP131へ戻り、再び経路探索要求メッセージ等の受信を待ち受ける。
【0139】
ステップSP131において肯定結果が得られると、制御部20は次のステップSP32へ移り、第1経路NR1の経路探索を開始する。以降ステップSP33までの処理手順は、第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3と同様である。
【0140】
ステップSP134において制御部20は、第1経路NR1と第2経路NR2とで、利用する有料道路等の予想所要金額の比較を行い、次のステップSP135へ移る。
【0141】
ステップSP135において制御部20は、第2経路NR2による予想所要金額が、第1経路NR1による予想所要金額よりも、金額条件CR以上に低額化しているか否かを判定する。以下、第1経路NR1による予想所要金額を第1経路所要金額NC1と、第2経路NR2による予想所要金額を第2経路所要金額NC2と呼ぶ。
【0142】
金額条件CRは、ステップSP131においてPND2から受信した、例えば2000[円]のような値であり、上述した経路探索処理手順RT1(図4)における案内経路更新条件に対応している。これは、第2経路所要金額NC2が、第1経路所要金額NC1よりも2000[円]以上安くなっているという条件を表している。
【0143】
ここで、例えば第1経路所要金額NC1が10000[円]であり、第2経路所要金額NC2が7000[円]であるとき、第2経路所要金額NC2は、第1経路所要金額NC1よりも3000[円]低額化している。
【0144】
この場合、第2経路所要金額NC2が、第1経路所要金額NC1よりも、金額条件CR(2000[円])以上に低額化しているため、ステップSP135における判定は肯定結果となる。
【0145】
一方、例えば第1経路所要金額NC1が10000[円]であり、第2経路所要金額NC2が9000[円]であるとき、第2経路所要金額NC2は、第1経路所要金額NC1よりも1000[円]しか低額化していない。
【0146】
この場合、第2経路所要金額NC2が、第1経路所要金額NC1よりも金額条件CR(2000[円])以上に低額化していないため、ステップSP135における判定は否定結果となる。
【0147】
ステップSP135において肯定結果が得られると、制御部20は次のステップSP36へ移り、第1経路NR1と第2経路NR2とを比較して差異部分を検出する。以降の処理手順は第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3と同様である。
【0148】
一方ステップSP135において否定結果が得られると、このことは、第2経路所要金額NC2が、第1経路所要金額NC1よりも、金額条件CR以上には安くなかったことを意味している。このとき制御部20は、金額条件CRを満たしていない第2経路NR2の案内経路情報をPND2に送信せずに、ステップSP38へ移り案内経路情報配信処理手順RT5を終了する。
【0149】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において経路探索サーバ4は、最新バージョンの経路探索プログラム32Zを実行して最新バージョンの地図データ33Zを参照し、さらに交通情報を考慮して、第2経路NR2の探索を行い、案内経路情報をPND2に送信した。
【0150】
これによりPND2は、経路探索サーバ4により探索された、精度、信頼性の高い案内経路に基づいてナビゲーションを行うことができる。
【0151】
また経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。
【0152】
そして経路探索サーバ4は、第2経路所要金額NC2と第1経路所要金額NC1とを比較し、第2経路所要金額NC2が金額条件CRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。
【0153】
このときPND2は、第1経路NR1よりも目的地への予想所要金額が低額化された案内経路に基づきナビゲーションを行うことができる。
【0154】
一方経路探索サーバ4は、第2経路NR2を適用することにより目的地への予想所要金額が所定の条件以上に低額化しない限り、PND2に第2経路NR2の案内経路情報や差分地図データを送信することがない。
【0155】
このとき経路探索サーバ4は、第2経路NR2の案内経路情報や差分地図データを無条件にPND2に送信しないため、通信データ量を削減することができ、その結果通信コストを削減することが可能となる。
【0156】
またPND2は、目的地への予想所要金額に大きな改善がないにも関わらず、自動的に地図データを書き換えることや、ユーザに案内経路の変更を促すことがないため、ユーザにストレスを与えることなくナビゲーションを行うことができる。
【0157】
さらにPND2は、金額条件CRをユーザに指定させ、経路探索サーバ4へ送信するようにした。
【0158】
これによりPND2は、個々のユーザのニーズに合わせた案内経路の設定が可能となる。
【0159】
その他第2の実施の形態におけるPND2及び経路探索サーバ4は、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
【0160】
以上の構成によれば経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。そして経路探索サーバ4は、第2経路所要金額NC2と第1経路所要金額NC1とを比較し、第2経路所要金額NC2がユーザにより指定された金額条件CRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。さらに経路探索サーバ4は、第1経路NR1と第2経路NR2の差異部分のみを最新バージョンの地図データ33Zから抽出し、差分地図データとしてPND2に送信するようにした。これにより経路探索サーバ4は、PND2が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ、当該案内経路をPND2に送信することができ、PND2と経路探索サーバ4における通信データ量を低減させることができる。
【0161】
<3.第3の実施の形態>
図1に示す第3の実施の形態におけるナビゲーションシステム1は、PND2及び経路探索サーバ4が第1の実施の形態と同様に構成されている。図4に示す、PND2及び経路探索サーバ4において行われる経路探索処理手順RT1も第1の実施の形態と同様である。
【0162】
第3の実施の形態におけるPND2がナビゲーションを行う際のナビゲーション処理手順RT2は、第1の実施の形態と同様である。
【0163】
また第3の実施の形態における経路探索サーバ4は、案内経路情報の配信をPND2に行う際、図7に示す第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3に代えて、図11に示す第3の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT6を実行する。
【0164】
[3−1.案内経路情報配信処理]
第3の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT6(図11)は、第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3と比較して、ステップSP234及びSP235が、ステップSP34及びSP35と異なっている。さらにステップSP240及びSP241が加わっているものの、それ以外は同様である。以下、当該ステップSP234、SP235、SP240、及びSP241について説明する。
【0165】
ステップSP234において経路探索サーバ4の制御部20は、第1経路NR1と第2経路NR2とで、目的地までの予想所要距離の比較を行い、次のステップSP235へ移る。
【0166】
ステップSP235において制御部20は、第2経路NR2による予想所要距離が、第1経路NR1による予想所要距離よりも、後述する距離条件DR以上に短いか否かを判定する。以下、第1経路NR1による予想所要距離を第1経路所要距離ND1と、第2経路NR2による予想所要距離を第2経路所要距離ND2と呼ぶ。
【0167】
距離条件DRは、例えば20[km]のように値が予め定められており、上述した経路探索処理手順RT1(図4)における案内経路更新条件に対応している。これは、第2経路所要距離ND2が、第1経路所要距離ND1よりも20[km]以上短縮しているという条件を表している。
【0168】
ここで、例えば第1経路所要距離ND1が50[km]であり、第2経路所要距離ND2が20[km]であるとき、第2経路所要距離ND2は、第1経路所要距離ND1よりも30[km]短縮している。
【0169】
この場合、第2経路所要距離ND2が、第1経路所要距離ND1よりも、距離条件DR(20[km])以上に短縮しているため、ステップSP235における判定は肯定結果となる。
【0170】
一方、例えば第1経路所要距離ND1が50[km]であり、第2経路所要距離ND2が40[km]であるとき、第2経路所要距離ND2は、第1経路所要距離ND1よりも10[km]しか短縮していない。
【0171】
この場合、第2経路所要距離ND2が、第1経路所要距離ND1よりも距離条件DR(20[km])以上に短縮していないため、ステップSP235における判定は否定結果となる。
【0172】
ステップSP235において肯定結果が得られると、制御部20は次のステップSP36へ移り、第1経路NR1と第2経路NR2とを比較して差異部分を検出する。以降の処理手順は第1の実施の形態における案内経路情報配信処理手順RT3と同様である。
【0173】
一方ステップSP235において否定結果が得られると、制御部20はステップSP240へ移り、PND2と通信を行い、PND2が既にナビゲーションを開始しているか否か判定する。
【0174】
ここで否定結果が得られると、PND2は未だナビゲーションを開始していないため、制御部20はステップSP241へ移り、第2経路NR2の案内経路情報をPND2に送信する。そして制御部20はステップSP38へ移り、案内経路情報配信処理RT6を終了する。
【0175】
因みに、図6に示した第3の実施の形態におけるナビゲーション処理手順RT2のステップSP14において、PND2の制御部10は上記第2経路NR2の案内経路情報を経路探索サーバ4から受信したか否かを判定している。
【0176】
一方ステップSP240において肯定結果が得られると、このことはPND2が既にナビゲーションを開始していることを意味している。このため経路探索サーバ4の制御部20は、距離条件DRを満たしていない第2経路NR2の案内経路情報をPND2に送信せずにステップSP38へ移り、案内経路情報配信処理RT6を終了する。
【0177】
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において経路探索サーバ4は、最新バージョンの経路探索プログラム32Zを実行して最新バージョンの地図データ33Zを参照し、さらに交通情報を考慮して、第2経路NR2の探索を行い、案内経路情報をPND2に送信した。
【0178】
これによりPND2は、経路探索サーバ4により探索された、精度、信頼性の高い案内経路に基づいてナビゲーションを行うことができる。
【0179】
また経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。
【0180】
そして経路探索サーバ4は、第2経路所要距離ND2と第1経路所要距離ND1とを比較し、第2経路所要距離ND2が距離条件DRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。
【0181】
このときPND2は、第1経路NR1よりも目的地への予想所要距離が短縮された案内経路情報に基づきナビゲーションを行うことができる。
【0182】
一方経路探索サーバ4は、第2経路NR2を適用することにより目的地への予想所要距離が所定の条件以上に短縮しない限り、PND2に第2経路NR2の案内経路情報や差分地図データを送信することがない。
【0183】
このとき経路探索サーバ4は、第2経路NR2の案内経路情報や差分地図データを無条件にPND2に送信しないため、通信データ量を削減することができ、その結果通信コストを削減することが可能となる。
【0184】
またPND2は、目的地への予想所要距離に大きな改善がないにも関わらず、自動的に地図データを書き換えることや、ユーザに案内経路の変更を促すことがないため、ユーザにストレスを与えることなくナビゲーションを行うことができる。
【0185】
また、一般的に経路探索サーバ4の計算能力は、車載端末であるPND2と比べて高い。そして、第2経路所要距離ND2が距離条件DRを満たしていなくても、第2経路NR2の探索を完了させた時点でPND2がナビゲーションを開始していなければ、経路探索サーバ4はPND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。
【0186】
このためPND2は、受信する第2経路NR2が、PND2自身で探索する第1経路NR1に対し大きな改善が得られない経路であったとしても、PND2自身が経路探索を完了させるのより早く、ナビゲーション機能をユーザに提供することが可能となる。
【0187】
その他第3の実施の形態におけるPND2及び経路探索サーバ4は、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
【0188】
以上の構成によれば経路探索サーバ4は、PND2で経路を探索するのと同じ条件(地図データ、経路探索プログラム)に基づいて第1経路NR1を、また最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する。そして経路探索サーバ4は、第2経路所要距離ND2と第1経路所要距離ND1とを比較し、第2経路所要距離ND2が距離条件DRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する。さらに経路探索サーバ4は、第1経路NR1と第2経路NR2の差異部分のみを最新バージョンの地図データ33Zから抽出し、差分地図データとしてPND2に送信するようにした。これにより経路探索サーバ4は、PND2が時間やコストをかけて通信データをダウンロードする価値がある案内経路の場合のみ、当該案内経路をPND2に送信することができ、PND2と経路探索サーバ4における通信データ量を低減させることができる。
【0189】
<4.他の実施の形態>
なお上述した第3の実施の形態においては、第2経路NR2が案内経路更新条件としての距離条件DRを満たさない場合、PND2がナビゲーションを開始していないときは、経路探索サーバ4は第2経路NR2の案内経路情報をPND2へ送信する場合について述べた。
【0190】
本発明はこれに限らず、第1の実施の形態及び第2の実施の形態における経路探索サーバ4においても、第2経路NR2が案内経路更新条件を満たさない場合、PND2がナビゲーションを開始していないときは、第2経路NR2の案内経路情報をPND2へ送信するようにしても良い。
【0191】
また上述した第2実施の形態においては、PND2は案内経路更新条件としての金額条件CRをユーザに指定させる場合について述べた。
【0192】
本発明はこれに限らず、第1の実施の形態における時間条件TR及び第3実施の形態における距離条件DRについても、PND2はユーザに指定させるようにしても良い。
【0193】
これによりPND2は、個々のユーザのニーズに合わせた案内経路の設定が可能となる。
【0194】
さらに上述した実施の形態においては、経路探索サーバ4は、第2経路NR2が案内経路更新条件としての時間条件TR、金額条件CR、又は距離条件DRを満たす場合のみ、PND2に第2経路NR2の案内経路情報等を送信する場合について述べた。
【0195】
本発明はこれに限らず、案内経路更新条件として時間条件TR、金額条件CR、及び距離条件DRを任意に組み合わせても良い。これにより様々な案内経路更新条件の設定が可能となり、第2経路NR2を送信するか否かをより適切に判断できる。
【0196】
さらに上述した実施の形態においては、案内経路更新条件として、時間条件TR、金額条件CR、及び距離条件DRを用いる場合について述べた。
【0197】
本発明はこれに限らず、例えば右左折の回数、幅の狭い道を通る回数等、様々な案内経路更新条件を設けて良い。
【0198】
さらに上述した実施の形態においては、現地図データ31や当該現経路探索プログラム30の世代を識別する情報として、バージョン情報を用いる場合について述べた。
【0199】
本発明はこれに限らず、現地図データ31や当該現経路探索プログラム30の世代を識別する情報として、例えば更新日時を示す情報等を用いても良い。
【0200】
さらに上述した実施の形態においては、PND2は、受信した差分地図データをRAM12上に読み出されている現地図データ31のみに適用し、記憶部13に格納されている現地図データ31には、当該差分地図データを適用しない場合について述べた。
【0201】
本発明はこれに限らず、記憶部13に格納されている現地図データ31にも、当該差分地図データを適用するようにしても良い。この場合例えばPND2は、当該差分地図データを記憶部13に格納されている現地図データ31に直ちに適用するようにしても良い。或いはPND2は、受信した差分地図データの履歴を保存しておき、受信する回数が多い地図データのみを、記憶部13に格納されている現地図データ31に適用するようにしても良い。これによりPND2は、ユーザが通る回数が多い道路であり、現地図データ31には存在しない道路のデータを、現地図データ31に加えることができる。
【0202】
さらに上述した実施の形態においては、経路探索サーバ4は、最新の地図データ33Z及び経路探索プログラム32Zと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索する場合について述べた。
【0203】
本発明はこれに限らず、経路探索サーバ4は他の地図データ及び経路探索プログラムに基づいて第2経路NR2を探索するようにしても良い。要は、経路検索サーバ4が、PND2が有している現地図データ31及び現経路探索プログラム30のバージョンと同一か、それよりも新しいバージョンと、交通情報とに基づいて第2経路NR2を探索すれば良い。経路検索サーバ4は、現地図データ31及び現経路探索プログラム30と同一のバージョンを使用する場合であっても、最新の交通情報を考慮した経路探索が可能であるため、目的地への所要時間等がより短い案内経路情報をPND2に送信することができる。
【0204】
さらに上述した実施の形態においては、PND2は出発地として車両の現在地を出発地に設定し、当該出発地等を地点情報として経路探索サーバ4に送信する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばPND2が、ユーザに任意の出発地を指定させるようにしても良い。
【0205】
さらに上述した実施の形態においては、PND2が第1経路NR1を探索する際に交通情報を考慮しない場合について述べた。
【0206】
本発明はこれに限らず、例えばPND2は、VICS(Vehicle Information and Communication System)受信機等を設け、交通情報を考慮して経路探索を行うようにしても良い。但しPND2は、車両の位置によっては交通情報を受信できない場合がある。このような場合でも、常に最新の交通情報を受信できる経路探索サーバ4にて探索された第2経路NR2を受信することにより、PND2は、信頼性の高い案内経路に基づいてナビゲーションを行うことができる。
【0207】
さらに上述の実施の形態においては、経路探索サーバ4の制御部20が予めROM21や記憶部23に格納されたアプリケーションプログラムに従って案内経路情報配信処理手順RT3、RT5、RT6を実行する場合について述べた。
【0208】
本発明はこれに限らず、制御部20は、所定の記録媒体からインストールし、又はインターネットからダウンロードし、又はその他種々のルートによってインストールしたアプリケーションプログラムに従って上述した案内経路情報配信処理手順RT3、RT5、RT6を実行するようにしても良い。
【0209】
さらに上述した実施の形態においては、受信部、送信部、及び交通情報受信部としての経路探索サーバ4のネットワークインターフェース24と、記憶部としての経路探索サーバ4の記憶部23と、第1経路探索部、第2経路探索部、及び比較判定部としての経路探索サーバ4の制御部20とによって案内経路配信装置としての経路探索サーバ4を構成する場合について述べた。
【0210】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる受信部と、送信部と、交通情報受信部と、記憶部と、第1経路探索部と、第2経路探索部と、比較判定部とによって案内経路配信装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明の案内経路配信装置及び案内経路配信方法は、例えばPND以外にもGPSモジュールを搭載した携帯電話機、PDA(Personal Data Assistance)、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ゲーム機等のその他種々のモバイル機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0212】
1……カーナビゲーションシステム、2……PND部、3……無線アクセスポイント、4……経路探索サーバ、5……クレードル、10……PNDの制御部、11……PNDのROM、12……PNDのRAM、13……PNDの記憶部、14……表示部、15……GPSユニット、16……無線通信ユニット、20……経路探索サーバの制御部、21……経路探索サーバのROM、22……経路探索サーバのRAM、23……経路探索サーバの記憶部、24……ネットワークインターフェース、30……現経路探索プログラム、31……現地図データ、32……経路探索プログラムデータベース、32Z……最新バージョンの経路探索プログラムデータ、33……地図データベース、33Z……最新バージョンの地図データ、50……案内経路配信装置、51……受信部、52……記憶部、53……第1経路探索部、54……第2経路探索部、55……比較判定部、56……送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地を表す情報、目的地を表す情報、車載端末が有する地図データの世代を識別する地図データ世代情報、及び当該車載端末が有する、当該出発地から当該目的地までの案内経路の経路探索を行う経路探索プログラムの世代を識別する経路探索プログラム世代情報を当該車載端末から受信する受信部と、
上記車載端末が有する地図データを含む複数の世代の地図データと、上記車載端末が有する経路探索プログラムを含む複数の世代の経路探索プログラムとが格納された記憶部と、
上記記憶部より読み出された、上記地図データ世代情報が示す世代の地図データと上記経路探索プログラム世代情報が示す世代の経路探索プログラムとに基づいて、上記出発地から上記目的地までの案内経路である第1経路を探索する第1経路探索部と、
上記記憶部より読み出された、上記車載端末が有する地図データと同一又は更新された世代の地図データと、上記車載端末が有する経路探索プログラムと同一又は更新された世代の経路探索プログラムとに基づいて、上記出発地から上記目的地までの案内経路である第2経路を探索する第2経路探索部と、
上記第1経路と上記第2経路とを比較し、所定の案内経路更新条件を満たすか判定する比較判定部と、
上記案内経路更新条件を満たすと判定されたときのみ、上記第2経路を上記車載端末に送信する送信部と
を有する案内経路配信装置。
【請求項2】
上記比較判定部は、
上記第2経路における上記出発地から上記目的地までの予想所要時間が、上記第1経路における上記出発地から上記目的地までの予想所要時間と比べ、所定の時間よりも短縮されることを上記案内経路更新条件とする
請求項1に記載の案内経路配信装置。
【請求項3】
上記比較判定部は、
上記第2経路における上記出発地から上記目的地までの予想所要金額が、上記第1経路における上記出発地から上記目的地までの予想所要金額と比べ、所定の金額よりも低額化されることを上記案内経路更新条件とする
請求項1に記載の案内経路配信装置。
【請求項4】
上記比較判定部は、
上記第2経路における上記出発地から上記目的地までの予想所要距離が、上記第1経路における上記出発地から上記目的地までの予想所要距離と比べ、所定の距離よりも短縮されることを上記案内経路更新条件とする
請求項1に記載の案内経路配信装置。
【請求項5】
上記受信部は、
上記車載端末から上記案内経路更新条件を受信する
請求項1に記載の案内経路配信装置。
【請求項6】
上記比較判定部は、
上記第1経路と上記第2経路との差異部分のみを、上記車載端末が有する地図データと同一又は更新された世代の地図データから抽出し、
上記送信部は、
上記差異部分のみを上記車載端末に送信する
請求項1に記載の案内経路配信装置。
【請求項7】
交通情報を受信する交通情報受信部を有し、
上記第2経路探索部は、
上記記憶部より読み出された、上記車載端末が有する地図データと同一又は更新された世代の地図データと、上記車載端末が有する経路探索プログラムと同一又は更新された世代の経路探索プログラムと、上記交通情報とに基づいて、上記出発地から上記目的地までの案内経路である第2経路を探索する
請求項1に記載の案内経路配信装置。
【請求項8】
出発地を表す情報、目的地を表す情報、車載端末が有する地図データの世代を識別する地図データ世代情報、及び当該車載端末が有する、当該出発地から当該目的地までの案内経路の経路探索を行う経路探索プログラムの世代を識別する経路探索プログラム世代情報を所定の受信部にて当該車載端末から受信する受信ステップと、
所定の記憶部より読み出された、上記地図データ世代情報が示す世代の地図データと上記経路探索プログラム世代情報が示す世代の経路探索プログラムとに基づいて、所定の第1経路探索部にて、上記出発地から上記目的地までの案内経路である第1経路を探索する第1経路探索ステップと、
上記所定の記憶部より読み出された、上記車載端末が有する地図データと同一又は更新された世代の地図データと、上記車載端末が有する経路探索プログラムと同一又は更新された世代の経路探索プログラムとに基づいて、所定の第2経路探索部にて、上記出発地から上記目的地までの案内経路である第2経路を探索する第2経路探索ステップと、
所定の比較判定ステップにて、上記第1経路と上記第2経路とを比較し、所定の案内経路更新条件を満たすか判定する比較判定ステップと、
上記案内経路更新条件を満たすと判定されたときのみ、所定の送信部にて上記第2経路を上記車載端末に送信する送信ステップと
を有する案内経路配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−190792(P2010−190792A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36896(P2009−36896)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】