案内表示装置
【課題】道路の案内標識を、感覚的に運転者が把握し易い内容で表示する容易な状態で運転者に通知する。
【解決手段】案内標識をカメラ113により取得し、表示装置114に表示する。この際、案内標識の地名表示から地名の延長上に位置する地名を経路案内処理部101で検索する。検索された地名から、地名データベース103aに格納されているデータテーブルに基づき、重みの重い(基準地又は重要地)を抽出する。そして、案内標識を画面表示する際、抽出した基準地又は重要地を案内標識の対応する地名の側に表示する。
【解決手段】案内標識をカメラ113により取得し、表示装置114に表示する。この際、案内標識の地名表示から地名の延長上に位置する地名を経路案内処理部101で検索する。検索された地名から、地名データベース103aに格納されているデータテーブルに基づき、重みの重い(基準地又は重要地)を抽出する。そして、案内標識を画面表示する際、抽出した基準地又は重要地を案内標識の対応する地名の側に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地名を表示する案内表示装置にかかり、詳しくは、目的地までの経路に位置する地名を所定の順位に基づいて表示する案内表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両走行中において、運転者は運転操作に加えて、進行方向の安全確認や、歩行者の確認、信号の確認など、集中して行なわなければならない事項が多数存在する。また、長時間運転などによって、運転者に疲労が蓄積されている場合には、集中を持続することが困難となることもある。さらに、運転経験の浅い運転者の場合には、既述のような運転操作以外の確認事項に意識を集中することに慣れていないことが多い。
また、土地勘のない地域を走行している場合には、案内標識に表示されている地名のみでは、自車の位置関係を正確に把握することができず、帰って運転者に負担を強いる結果となることが多い。例えば、図4に示されているように、水戸から出発して、東京の銀座に向かって走行する場合、国道6号に入る直前の案内標識が、直進が「大洗」、右折が「土浦」、左折が「日立」という表示となっている。この表示では、土地勘のない運転者は、どの方向に進めば東京の銀座に向かえるのか把握できない。
【0003】
このため、従来では、特許文献1〜3に記載されている装置が提案されている。特許文献1では、道路標識を認識し、その内容を文書によって画面に表示し、或いは音声で通知するものである。また、特許文献2に記載の装置は、ビデオ画像を記録し、標識を認識した場合には、標識が映されている前後の一定時間の映像を再生するものである。
特許文献3では、案内経路における目的地までの距離に応じて、案内方面の名称を広い範囲を示す名称(例えば、県名)から狭い範囲を示す名称(例えば、町名)へ順に変化させて案内するものである。
【特許文献1】特開平5−174294号
【特許文献2】特開平6−036183号
【特許文献3】特許第3732008号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、道路標識情報を文字情報として運転者に標識の内容が表示されるため、運転中の運転者は、画面に表示された文字情報を読む必要があり、前方不注意となる可能性があり、安全上問題がある。また、道路標識情報を音声で通知する場合には、運転者は、出力された音声を最後まで聴き取る必要があるため、通知内容を理解するまでに時間がかかり、聴き終えるまでに、標識を通過してしまうといった問題がある。
また、特許文献2に記載の装置では、映像を再生するため、道路標識に関する必要な場面を、運転者が経路を判断するに当って、最適なタイミングで映し出すことが難しい。
【0005】
特許文献3に記載の装置では、目的地までの距離を所定の閾値で区分けし、案内が行なわれるので、案内経路が設定されていない場合には、なにも案内されることがない。また、閾値の設定が、探索された経路の道路状況に合致していない場合もあり、実情にそぐわない案内が実行されてしまう恐れがある。
本発明の目的は、上記事実に鑑みて成されたものであり、道路の案内標識を、感覚的に運転者が把握し易い内容で表示することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
前記現在位置取得手段によって取得された位置情報と、前記地図情報記憶装置に記憶された地図情報に基づき、道路標識情報データベースから進行方向に位置する道路標識情報を検索する道路標識検索手段と
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、道路標識検索手段で取得した道路標識に含まれる地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識検索手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【0007】
(2) 目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置取得手段で取得した現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段とを備え、
前記抽出手段は、前記経路探索手段で探索された経路上に位置する地名を抽出する上記(1)に記載の案内表示装置。
【0008】
(3) 車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
車両の外側の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像から道路標識の視覚情報を抽出する道路標識抽出手段と
前記道路標識抽出手段によって抽出された視覚情報に基づき、道路標識に記載されている地名情報を取得する地名情報取得手段と、
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、地名情報取得手段で取得された地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識抽出手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【0009】
(4) 前記表示手段は、現在位置を基準として、遠方から順に、重みの重い順に配地された地名を表示する上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の案内表示装置。
【0010】
(5) 前記地名データベースに記録されている地名は都市名であって、都市の人口の多さに基づいて重み付けがなされている上記(1)〜(4)のいずれかに1に記載の案内表示装置。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、道路標識に方向が記載されている地名よりも重み付けの重い地名を、該道路標識の地名と共に表示することによって、道路標識が示す地名よりも広い範囲の領域おける車両の進行方向を、感覚的に把握することが容易となる。
請求項2記載の発明によれば、目的地までの経路探索がなされている場合であっても、道路標識を取得する度に、道路標識に記載の地名に加えて、より重み付けの重い地名が共に表示されるので、車両の走行経路が正しいのか否か確認することが容易となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、道路標識に方向が記載されている地名よりも重み付けの重い地名を、該道路標識の地名と共に表示することによって、道路標識が示す地名よりも広い領域内における車両の進行方向を、感覚的に把握することが容易となる。
請求項4記載の発明によれば、最も重み付けの重い地名が車両の現在位置から遠く、重み付けが軽くなる程、現在位置に近くなるように表示することにより、広い領域内の車両の進行方向をより正確に把握することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、人口の多さは車の交通量の多さを間接的に示すものであるから、より広い領域において方向を示す地名として適しており、人口の多さによって重み付けをすることで、運転者は方向を把握することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の道路標識表示装置において、好適実施形態について、図1〜図11を参照しつつ、詳細に説明する。
(1)本実施形態の概要
本実施形態では、ナビゲーションシステムを搭載する車両において、走行中に案内標識に関する情報をカメラにより取得し、或いは道路標識情報データベースに記憶されている情報から検索し、該案内標識を表示装置に表示し、運転者に示す。
この際、案内標識に表示されている地名に加えて、その地名と同じ方向において、その地名より著名な地名を共に表示することによって、案内標識で示されている行き先表示よりも広い領域における方向感覚を、運転者に示すことができる。
【0014】
この地名が著名であることの程度は、例えば、都市の人口数によって、推し量ることができる。或いは、行政区画の面積によって推し量ることができる。
都市の人口数が多ければ、交通量も多いことが予想される。このように、交通量の多い都市名は、より多くの運転者がその地名を知り得ていることが予想され、これを案内標識に示す地名として使用すれば、より広い領域内で、方向を指し示す指標として利用することができる。この場合、人口の多い都市ほど、重み付けは重く設定される。
行政区画の面積は、大きい程、広い領域での方向を示す名称して利用するために有利である。この場合には、面積が広い行政区画ほど重み付けは重く設定される。具体的には、例えば、都道府県名が最も重く、市、町、村の順で軽くなるように設定することができる。
【0015】
(2)実施形態の詳細
図1は、車両に搭載される案内表示装置1の構成を示すブロック図である。案内表示装置1は、経路案内処理部101と、地図データベース102と、変換処理部103と、案内標識データベース104aと、地名データベース103aと、道路標識認識処理部104と、現在位置検出手段としてのGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)111と、車両情報検出部112と、撮像手段としてのカメラ113と、表示装置114と、音声出力装置115とを備えている。
【0016】
経路案内処理部101は、CPUからなる処理部、経路探索処理等を行なうプログラム格納するプログラム格納部、ワーキングエリアとしてのRAM等を備えている。経路案内処理部101は、地図データベース102から取得したデータ及びGPS111から取得したデータに基づいて、経路探索を行い、また案内標識データベース104aから案内標識の抽出を行い、また、地名データベース103aから車両の進行方向における地名の抽出を行なう。経路探索は、GPS111によって取得した現在位置から、運転者によって設定された目的までの走行経路を、地図データベース102から探索し、決定する処理である。また、案内標識に関するデータの抽出は、原則として車両が直進するものと仮定した場合に、その直進する経路に存在する道路標識のデータを抽出する場合と、車両情報検出部112からウインカー・オンが供給された場合には、最も近い交差点又は曲がり角で、ウインカーの点滅する方向に曲がった場合にその進行方向に位置する道路標識のデータを抽出する場合、或いは、経路探索処理によって決定された経路が定まっている場合には、その経路上に位置する案内標識を抽出する場合がある。経路案内処理部101によって道路標識検索手段が構成される。
【0017】
地図データベース102は、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスクドライブ装置等の大容量記憶媒体が使用され、交差点データファイル、道路データファイル、ノードデータファイルのそれぞれが格納された、交差点データ、道路データ、ノードデータからなる道路網データが格納されている。地図データベースによって地図情報記憶手段が構成される。
【0018】
変換処理部103は、案内標識が取得された場合に、案内標識に記載されている地名に基づいて、案内標識とともに表示する地名を決定する。
地名データベース103aには、重み付けされた地名が記録されている。図2に示されているように、地名は、基準地、重要地、主要地、一般地の4段階に分類され、基準地が最も重みが重く設定され、重要地、主要地、一般地の順に軽くなるように設定されている。基準地としては、重要地の中の特に主要な都市で、概ね1県につき1都市であり、例えば、各県の県庁所在地の地名である。重要地は、県庁所在地、政令指定都市、地方生活圏の中心都市、主要幹線道路が相互に交差する結節点を有する市、主要地は、二次生活圏の中心地、町、主要幹線道路が相互に交差する結節点を有する町などである。一般地は、重要地、主要地以外の市、町、村などである。
【0019】
これら基準地、重要地、主要地、一般地の分類は、各都市の人口に基づいて決定し、或いは面積に基づいて決定してもよい。例えば、人口の多い都市から順に、基準地、重要地、主要地に選定し、或いは、行政区画の面積の広い順に、基準地、重要地、主要地として選定してもよい。
道路標識情報データベースである案内標識データベース103bは、図3に示されているように、案内標識の位置データ、視覚情報としての標識の意匠、表示されている地名、交差点に設置されている場合には交差点の位置、表示されている地名までの距離、表示されている地名の重み(基準地、重要地、主要地、一般地のいずれか)などが記録されている。
【0020】
道路標識認識処理部104は、車両の外側へ向けて設けられているカメラ113から供給される画像から、案内標識の画像を抽出する。そして、抽出した画像と、案内標識マッチング用データベース104aに記録されている案内標識パターンと比較し、抽出した案内標識画像ともっとも近似しているパターンを有する部分を、案内標識として抽出し、変換処理部103へ供給する。
変換処理部103では、道路標識認識処理部104から供給された案内標識の視覚情報に基づき、案内標識データベース103bに記録された案内標識の案内標識データの中から、該当する案内標識のデータを抽出する。また、抽出された案内標識データに基づいて、例えば、案内標識の意匠、案内標識に記載されている所定の地名表示に対応して、表示される基準地や重要地等を設定し、表示装置114の表示画面に表示する画像を生成する。道路標識認識処理部104が道路標識抽出手段として機能する。
【0021】
カメラ113は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラが用いられ、電気的に車両前方の外部画像を取得する。カメラ113が撮像手段として機能する。
GPS111は、車両の現在位置情報を取得して、経路案内処理部101へ、取得した情報を供給する。GPS111によって、現在位置取得手段が構成される。
車両情報検出部112は、車両の走行速度を検出する車速センサ、操舵角度を検出するステアリングセンサ、ウインカーのオン状態を検出するウインカーセンサ、アクセルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ、ブレーキの踏み込み量を検出するブレーキセンサ、ヘッドライトのオン状態を検出するライトセンサ、ワイパーのオン状態を検出するワイパーセンサを備え、さらに、車幅、車高、車両の前後幅、車両重量、車種、排気量等の車両情報を記憶する車両情報記憶部を備えている。
【0022】
車両情報検出部112からは、走行速度、操舵角度、ウインカーのオン状態、アクセル踏み込み量、ブレーキの踏み込み量、ヘッドライトのオン状態、ワイパーのオン状態、車幅、車高、車両の前後幅、車両重量、車種、排気量が、経路案内処理部101へ供給される。
表示装置114は、例えば、液晶表示画面で構成される。図4は、表示画面114Sに表示される表示内容を示す図である。カメラ113等で取得された案内標識の意匠20が表示される。また、変換処理部103で設定された地名も案内標識の意匠とともに表示される。変換処理部103で設定された地名は、補助表示の領域21、22、23に表示される。これらの領域21、22、23は、案内標識の意匠20の側に配置される。各補助表示の領域21、22、23は、各地名21a、22b、22cの近傍に配置される。このように表示することにより、案内標識に予め表示されている地名に、方面表示が付与される。なお、領域21、22、23は、進行方向を指示する矢印の延長線上に配置されるとよい。より感覚的に運転者が把握し易くなるためである。表示装置114によって表示手段が構成される。
【0023】
音声出力装置115には、経路案内処理部101から供給される経路案内情報が音声で出力され、また、表示装置114に表示される案内標識に示された地名や、変換処理部103によって付与された地名などを音声出力する。
入力装置116は、経路案内処理部101に所望のデータを入力するために用いられる。所望のデータとは、目的地に関するデータ(例えば、住所、電話番号、名称等)、経由地に関するデータなどである。入力装置116は、例えば、ポインティングデバイス、キーボード、音声入力装置等の、1つ又は2つ以上により構成される。入力装置116により目的地設定手段が構成される。
【0024】
上記のように構成された案内表示装置1の処理内容について、図5に示されているフローチャートに基づき説明する。
案内標識データ取得ルーチン(ステップS105)において、案内標識に関するデータを取得する。図6は、案内標識データ取得ルーチンを示すフローチャートである。経路案内処理部101を介してGPS111から現在位置を取得する(ステップS201)。次に、カメラ113から車両進行方向の画像を取得する(ステップS203)。カメラ113から取得した画像から案内標識マッチング用データベース104aに記録されている案内標識パターンと比較し、該パターンと最も近似している部分を、案内標識として、画像の中から抽出する(ステップS204)。さらに、抽出された案内標識画像の中から文字を抽出する(ステップS205)。
【0025】
文字認識できたか否か判断し(ステップS207)、認識できない場合には、処理を終了する。認識できた場合には、文字に認識ソフトにより、文字が表示する地名を認識する(ステップS209)。抽出した地名と、案内標識の画像を変換処理部103へ供給し(ステップS211)、メインルーチンにリターンされる。ステップS204によって道路標識抽出手段が構成され、ステップS205〜S209によって、地名情報取得手段が構成される。
【0026】
経路案内処理部101において、経路案内するための目的地が設定されているか判断する(ステップS107)。目的地の設定がある場合には、目的地から近い位置にある基準地又は重要地を決定する(ステップS109)。目的地が決められていることから、経路が決定されており、該経路上または目的地を越えた経路の延長上に位置する基準地又は重要地、或いは目的地を含む行政区画名称(県名、区名、市名など)等でもよい。決定される地名は、少なくとも案内標識に記載されている地名よりも重みの重い地名が決定される。ステップS109によって抽出手段が構成される。
【0027】
目的地の設定がない場合には、図7に示されている、方面・地名決定ルーチンS111を実行する。ステップS211で供給された地名から、案内標識に記載されている案内地名が複数あるか判断する(ステップS401)。地名が1つである場合には、現在走行中の道路を直進した場合の進行方向に位置する地名を抽出する(ステップS402)。ステップS402で抽出された地名が、複数存在する場合には、ステップS209で抽出された地名に近い位置にある地名の中で、地名データベース103aを参照し、最も重み付けの重い地名を表示地名として決定する(ステップS403)。具体的には、「基準地」又は「重要地」とする。或いは、同時に複数表示する場合には、現在位置に近い順に、重み付けの軽い地名から順に抽出する。例えば、現在位置に近い方を「重要地」、遠い方を「基準地」となるように抽出する。ステップS402によって抽出手段が構成され、ステップS403で地名抽出手段が構成される。
【0028】
また、ステップS401で、案内地名が複数ある場合には、案内地名毎に、地図データベース102から、近傍に位置する地名を抽出する(ステップS404)。さらに、抽出された地名の中から地名の重み付けに基づき表示する地名を決定する(ステップS405)。具体的には、ステップS404では、経路案内処理部101により、現在位置から各案内地名までの経路を探索し、探索した経路の延長上に位置する地名を抽出する。ステップS405では、ステップS404で抽出された地名について、地名データベース103aに記録されているデータ(図2参照)を参照して、重み付けの重いものを優先的に抽出する。具体的には、「基準地」、「重要地」の順に抽出する。この他、重み付けが付与される基準は、案内地名が含まれる行政区画名称(県名、区名、市名など)等でもよく、この場合には、区分が広い順、具体的には、県名、区名又は市名、町又は村名の順で重み付けを設定してもよい。これらの、抽出された「基準地」又は「重要地」は、案内標識データとして取得した各案内地名に対応して記憶される。ステップS403、S405を実行した後、メインルーチンにリターンされる。ステップS404によって、抽出手段が構成され、ステップS405によって地名抽出手段が構成される。
【0029】
案内標識に記載されている案内地名に対応して決定される方面を示す地名(「基準地」又は「重要地」等)は、車両の現在位置に応じて決定することもできる。例えば、車両の現在位置が含まれる行政区画名称は、選択しないこととしてもよい。具体的には、東京都内を走行している場合には、「東京」の表示はせず、一段下の重みを有する区名(例えば、千代田区、多摩区)、或いは他の県名(「神奈川」、「埼玉」)を選択する。
【0030】
表示装置114の画面に表示するための案内標識描画データを作成する(ステップS115)。案内標識データとして取り込んだ意匠(視覚情報)データに、図4に示されているように、各案内地名に対応して表示する基準地名を表示する領域21、22、23を設けた描画データを作成する。
【0031】
データとして取得した「基準地」または「重要地」を読み取り可能な状態とするためにテキスト化する(ステップS117)。さらに、表示装置114の画面に、取得した案内標識の意匠と、ステップS117でテキスト化した基準地名(又は重要地名)を表示する(ステップS119)。
【0032】
例えば、表示画面114Sには、案内標識によって案内表示されている方向の中でいずれの方向に、決定した基準地や重要地が位置するのかが表示される。例えば、図4に示されているように、画面114Sに表示される案内標識20には、直進した場合に到達する地名「大洗」22a、左折した場合に到達する地名「日立」23a、右折した場合に到達する地名「土浦」21aが表示されている。目的地「銀座」が設定されている場合には、領域21に目的地「銀座」に対応して設定された基準地「東京」を表示する。これにより、「土浦」の方向へ向かえば、目的地に到達することを示すことができる。ここで、領域21内に、基準地「東京」の代わりに、目的地「銀座」を表示してもよく、或いは、基準地「東京」に加えて、目的地「銀座」を表示してもよい。
【0033】
また、目的地が設定されていない場合には、ステップS402又はS403で決定され、各案内表示に対応して記憶された「基準地」又は「重要地」が、各案内地名に対応して設けられた領域21、22、23に表示される。「土浦」には基準地「東京」が、「日立」には基準地「福島」が表示され、「土浦」は「東京」方面であり、「日立」は「福島」方面であることが表示される。
【0034】
上記のような画像表示に加えて、同時に、音声によりテキスト化した基準地名を通知する(ステップS121)。通知内容は、「直進方向大洗です。」「左折方向、日立です。」「右折方向、土浦、東京方面です。」の様に通知される。目的地が設定されている場合には、目的地方向のみを通知してもよい。
【0035】
次に、案内標識データ取得ルーチンS105の他の構成例について説明する。図8に示されているように、経路案内処理部101を介してGPS111から現在位置を取得する(ステップS301)。そして、現在位置から進行方向に位置する案内標識を検索する(ステップS303)。具体的には、経路案内処理部101において、地図データベース102を参照し、現在位置から車両進行方向の所定距離の範囲を特定する。そして、該特定された範囲内に存在する案内標識を、案内標識データベース103bに記録されている案内標識の位置データを参照して、抽出する。
【0036】
そして、この抽出された案内標識に関する情報(案内地名、重み、案内地名までの距離、交差点位置等)を案内標識データベース103bから読み出し(ステップS305)、変換処理部103へ供給する(ステップS307)。所定距離の範囲とは、運転者の視覚で道路標識が把握できる程度の距離であり、例えば、200〜50m程度前方の範囲内に存在する道路標識である。この抽出する範囲及び車両から該範囲までの距離は、車両の速度に応じて変更され、速度が速くなる従って該範囲および距離が共に長くなり、遅くなるに従って短くなるように設定される。ステップS303〜S305によって道路標識検索手段が構成される。
【0037】
上記のように、図8に示されている、経路探索処理部101によって地図データベース102から案内標識を抽出する案内標識データ取得方法は、図6に示されている、カメラ113によって取得された画像が案内標識を抽出する方法と併用してもよい。即ち、図8に示されているサブルーチンと、図6に示されているサブルーチンを同時に、或いは一方を先に、他方を後に実行してもよい。そして、取得した案内標識データは、一方の方法で取得されたデータを優先的に用い、その方法でデータ取得できなかった場合に、他方の方法で取得したデータを利用する構成としてもよい。
【0038】
例えば、案内標識の設置時期が新しく、案内標識データベース103bにデータが記録されていない案内標識が存在する場合には、カメラ画像から取得した案内標識のデータを利用することができる。また、夜間、悪天候、或いは、前方車両や街路樹の陰になり、前方に位置する案内標識の画像が取得できない場合には、経路探索処理部101で検出された案内標識データを利用することができる。このようにして、より確実に案内標識データを取得することができる。
【0039】
なお、ステップS402及びステップS404で抽出される地名は、車両の現在位置から表示されている地名までの探索された経路に基づいて抽出されているが、この他、経路探索を行わず、案内標識に表示されている地名に最も近い地名を抽出してもよい。具体的には、案内標識に表示されている地名に所定距離以内に位置する地名を抽出する。この場合の所定距離は、車両の現在位置から、案内標識に表示されている地名までの距離に基づき適宜変更される。例えば、現在位置から案内標識に表示されている地名までの距離の5〜20%以内の距離に設定することができる。
【0040】
次に、図9に基づいて、走行時における本発明の作用について、具体的事例を挙げて説明する。図9は、各走行位置において、表示装置114に画面に表示される案内標識の態様を示す模式図である。
例えば、水戸駅を出発地点し、目的地TGが東京の銀座である場合の例を挙げて説明する。水戸駅から国道6号線へ合流する走行位置p1では、案内標識A1が取得され、この案内標識A1が表示装置114の画面に表示される。この際、目的地TGである「銀座」の近傍に位置する基準地は、「東京」に設定されるので、案内標識A1に記載されている案内地名「日立」「大洗」「土浦」の内、東京方面である「土浦」の側に補助表示a1として「東京」と表示される。このように表示することによって、土地勘のない運転者にとって、「東京」との表示が付設された「土浦」が、東京方面であることを理解することができる。
【0041】
走行位置p2では、案内標識B1が取得され、この案内標識b1が画面に表示される。案内標識B1には、直進方向「柏」「土浦」と記載されており、目的地方面である「東京」は、「柏」「土浦」の延長方向に位置する。そこで、案内標識b1において「柏」「土浦」の側に補助表示b1として、「東京」を表示する。特に案内標識に示される矢印の延長線上に補助表示「東京」を配置することで、感覚的に目的地の方向を把握することができる。なお、補助表示として表示する方法として、「東京」のみならず、目的地「銀座」を併記してもよく。或いは、目的地のみを表示してもよい。
【0042】
走行位置p3では、案内標識C1が取得され、この案内標識c1が画面に表示される。案内標識C1には、直進方向「取手」、右折方向「つくば」、左折方向「美浦」と記載されており、目的地方面である「東京」は、「取手」の延長方向に位置する。そこで、案内標識c1において「取手」の側に補助表示c1として、「東京」を表示する。図9において、以後走行位置p4〜p7において、それぞれ案内標識が取得され、案内表示は、「柏」「取手」、「浅草橋」「松戸」、「日本橋」「浅草橋」、「銀座」「日本橋」と、それぞれ変化するが、その都度、補助表示「東京」が、東京方向を示す矢印の延長上に表示される。
【0043】
図10に基づいて、目的地TGが「松戸」近傍である場合を例に挙げて説明する。水戸駅を出発地点し、目的地TGが「松戸」近傍である場合の例を挙げて説明する。水戸駅から国道6号線へ合流する走行位置p8では、案内標識D1が取得され、この案内標識D1が表示装置114の画面に表示される。この際、目的地TGまでの経路探索をするとともに、経路上に位置し、目的地TGの近傍の重要地(柏)を検索する。また、同時に、経路探索された経路の延長上の基準地(「東京」)を検索する。
【0044】
案内標識D1に記載されている案内地名「日立」「大洗」「土浦」の内、東京方面である「土浦」の側に補助表示d1として「東京」「柏」と表示される。このように表示することによって、土地勘のない運転者にとって、「東京」「柏」との表示が付設された「土浦」が、東京方面であることを理解することができる。
走行位置p9では、案内標識E1が取得され、この案内標識E1が画面に表示される。案内標識E1には、直進方向「柏」「土浦」と記載されており、目的地近傍の「柏」が既に記載されている。そこで、案内標識E1において「柏」「土浦」の側に補助表示e1として、「東京」を表示する。
【0045】
走行位置p10では、案内標識F1が取得され、この案内標識F1が画面に表示される。案内標識F1には、直進方向「取手」、右折方向「つくば」、左折方向「美浦」と記載されており、目的地方面である「東京」「柏」は、「取手」の延長方向に位置する。そこで、案内標識F1において「取手」の側に補助表示f1として、「東京」「柏」を表示する。図10において、以後走行位置p11〜p12において、それぞれ案内標識が取得され、案内表示は、「柏」「取手」、「浅草橋」「松戸」と、それぞれ変化するが、その都度、補助表示「東京」が、東京方向を示す矢印の延長上に表示される。
【0046】
図11に基づいて、水戸駅を出発地点し、目的地が設定されていない場合の例を挙げて説明する。水戸駅から国道6号線へ合流する走行位置p13では、案内標識G1が取得され、この案内標識G1が表示装置114の画面に表示される。この際、目的地設定がないので、案内標識データベース103bから案内標識G1に記載されている地名を取得し、GPS111で取得した現在位置から、案内標識G1に記載の地名までの経路を探索する。その経路の延長上に位置する基準地又は重要地を抽出する。
【0047】
案内標識G1に記載されている案内地名「日立」「大洗」「土浦」の内、東京方面である「土浦」の側に補助表示g1として「東京」と表示され、福島方面である「日立」の側に補助表示g2を表示する。このように表示することによって、土地勘のない運転者にとって、「東京」との表示が付設された「土浦」が、東京方面であり、「福島」との表示が付設された「日立」が福島方面であることを理解することができる。
【0048】
東京方面へ右折した走行位置p14では、案内標識H1が取得され、この案内標識H1が画面に表示される。案内標識H1には、直進方向「柏」「土浦」と記載されており、「土浦」の延長上に「東京」が位置する。そこで、案内標識H1において「柏」「土浦」の側に補助表示h1として、「東京」を表示する。
走行位置p15では、案内標識J1が取得され、この案内標識J1が画面に表示される。案内標識J1には、直進方向「取手」、右折方向「つくば」、左折方向「美浦」と記載されており、現在位置から、各地名の延長上に位置する基準地又は重要地を検索する。案内標識J1の場合には、「取手」の延長上に基準地「東京」のみが検索され、「取手」の側に補助表示j1として「東京」が表示される。
図11において、以後走行位置p16〜p19において、それぞれ案内標識が取得され、案内表示は、「柏」「取手」、「浅草橋」「松戸」、「日本橋」「浅草橋」、「銀座」「日本橋」と、それぞれ変化するが、その都度、補助表示「東京」が、東京方向を示す矢印の延長上に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の道路標識表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地名の重み付けを規定するデータテーブルである。
【図3】案内標識データベースの内容を示すものである。
【図4】表示画像の構成を示す摸式図である。
【図5】フローチャートである。
【図6】フローチャートである。
【図7】フローチャートである。
【図8】フローチャートである。
【図9】車両の進行と共に表示される案内標識の内容を示す摸式図である。
【図10】車両の進行と共に表示される案内標識の内容を示す摸式図である。
【図11】車両の進行と共に表示される案内標識の内容を示す摸式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 道路標識表示装置
101 経路案内処理部
102 地図データベース
103 変換処理部
103a 地名データベース
103b 案内標識データベース
104 道路標識認識処理部
111 GPS
112 車両情報検出部
114 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、地名を表示する案内表示装置にかかり、詳しくは、目的地までの経路に位置する地名を所定の順位に基づいて表示する案内表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両走行中において、運転者は運転操作に加えて、進行方向の安全確認や、歩行者の確認、信号の確認など、集中して行なわなければならない事項が多数存在する。また、長時間運転などによって、運転者に疲労が蓄積されている場合には、集中を持続することが困難となることもある。さらに、運転経験の浅い運転者の場合には、既述のような運転操作以外の確認事項に意識を集中することに慣れていないことが多い。
また、土地勘のない地域を走行している場合には、案内標識に表示されている地名のみでは、自車の位置関係を正確に把握することができず、帰って運転者に負担を強いる結果となることが多い。例えば、図4に示されているように、水戸から出発して、東京の銀座に向かって走行する場合、国道6号に入る直前の案内標識が、直進が「大洗」、右折が「土浦」、左折が「日立」という表示となっている。この表示では、土地勘のない運転者は、どの方向に進めば東京の銀座に向かえるのか把握できない。
【0003】
このため、従来では、特許文献1〜3に記載されている装置が提案されている。特許文献1では、道路標識を認識し、その内容を文書によって画面に表示し、或いは音声で通知するものである。また、特許文献2に記載の装置は、ビデオ画像を記録し、標識を認識した場合には、標識が映されている前後の一定時間の映像を再生するものである。
特許文献3では、案内経路における目的地までの距離に応じて、案内方面の名称を広い範囲を示す名称(例えば、県名)から狭い範囲を示す名称(例えば、町名)へ順に変化させて案内するものである。
【特許文献1】特開平5−174294号
【特許文献2】特開平6−036183号
【特許文献3】特許第3732008号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、道路標識情報を文字情報として運転者に標識の内容が表示されるため、運転中の運転者は、画面に表示された文字情報を読む必要があり、前方不注意となる可能性があり、安全上問題がある。また、道路標識情報を音声で通知する場合には、運転者は、出力された音声を最後まで聴き取る必要があるため、通知内容を理解するまでに時間がかかり、聴き終えるまでに、標識を通過してしまうといった問題がある。
また、特許文献2に記載の装置では、映像を再生するため、道路標識に関する必要な場面を、運転者が経路を判断するに当って、最適なタイミングで映し出すことが難しい。
【0005】
特許文献3に記載の装置では、目的地までの距離を所定の閾値で区分けし、案内が行なわれるので、案内経路が設定されていない場合には、なにも案内されることがない。また、閾値の設定が、探索された経路の道路状況に合致していない場合もあり、実情にそぐわない案内が実行されてしまう恐れがある。
本発明の目的は、上記事実に鑑みて成されたものであり、道路の案内標識を、感覚的に運転者が把握し易い内容で表示することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
前記現在位置取得手段によって取得された位置情報と、前記地図情報記憶装置に記憶された地図情報に基づき、道路標識情報データベースから進行方向に位置する道路標識情報を検索する道路標識検索手段と
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、道路標識検索手段で取得した道路標識に含まれる地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識検索手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【0007】
(2) 目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置取得手段で取得した現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段とを備え、
前記抽出手段は、前記経路探索手段で探索された経路上に位置する地名を抽出する上記(1)に記載の案内表示装置。
【0008】
(3) 車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
車両の外側の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像から道路標識の視覚情報を抽出する道路標識抽出手段と
前記道路標識抽出手段によって抽出された視覚情報に基づき、道路標識に記載されている地名情報を取得する地名情報取得手段と、
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、地名情報取得手段で取得された地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識抽出手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【0009】
(4) 前記表示手段は、現在位置を基準として、遠方から順に、重みの重い順に配地された地名を表示する上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の案内表示装置。
【0010】
(5) 前記地名データベースに記録されている地名は都市名であって、都市の人口の多さに基づいて重み付けがなされている上記(1)〜(4)のいずれかに1に記載の案内表示装置。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、道路標識に方向が記載されている地名よりも重み付けの重い地名を、該道路標識の地名と共に表示することによって、道路標識が示す地名よりも広い範囲の領域おける車両の進行方向を、感覚的に把握することが容易となる。
請求項2記載の発明によれば、目的地までの経路探索がなされている場合であっても、道路標識を取得する度に、道路標識に記載の地名に加えて、より重み付けの重い地名が共に表示されるので、車両の走行経路が正しいのか否か確認することが容易となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、道路標識に方向が記載されている地名よりも重み付けの重い地名を、該道路標識の地名と共に表示することによって、道路標識が示す地名よりも広い領域内における車両の進行方向を、感覚的に把握することが容易となる。
請求項4記載の発明によれば、最も重み付けの重い地名が車両の現在位置から遠く、重み付けが軽くなる程、現在位置に近くなるように表示することにより、広い領域内の車両の進行方向をより正確に把握することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、人口の多さは車の交通量の多さを間接的に示すものであるから、より広い領域において方向を示す地名として適しており、人口の多さによって重み付けをすることで、運転者は方向を把握することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の道路標識表示装置において、好適実施形態について、図1〜図11を参照しつつ、詳細に説明する。
(1)本実施形態の概要
本実施形態では、ナビゲーションシステムを搭載する車両において、走行中に案内標識に関する情報をカメラにより取得し、或いは道路標識情報データベースに記憶されている情報から検索し、該案内標識を表示装置に表示し、運転者に示す。
この際、案内標識に表示されている地名に加えて、その地名と同じ方向において、その地名より著名な地名を共に表示することによって、案内標識で示されている行き先表示よりも広い領域における方向感覚を、運転者に示すことができる。
【0014】
この地名が著名であることの程度は、例えば、都市の人口数によって、推し量ることができる。或いは、行政区画の面積によって推し量ることができる。
都市の人口数が多ければ、交通量も多いことが予想される。このように、交通量の多い都市名は、より多くの運転者がその地名を知り得ていることが予想され、これを案内標識に示す地名として使用すれば、より広い領域内で、方向を指し示す指標として利用することができる。この場合、人口の多い都市ほど、重み付けは重く設定される。
行政区画の面積は、大きい程、広い領域での方向を示す名称して利用するために有利である。この場合には、面積が広い行政区画ほど重み付けは重く設定される。具体的には、例えば、都道府県名が最も重く、市、町、村の順で軽くなるように設定することができる。
【0015】
(2)実施形態の詳細
図1は、車両に搭載される案内表示装置1の構成を示すブロック図である。案内表示装置1は、経路案内処理部101と、地図データベース102と、変換処理部103と、案内標識データベース104aと、地名データベース103aと、道路標識認識処理部104と、現在位置検出手段としてのGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)111と、車両情報検出部112と、撮像手段としてのカメラ113と、表示装置114と、音声出力装置115とを備えている。
【0016】
経路案内処理部101は、CPUからなる処理部、経路探索処理等を行なうプログラム格納するプログラム格納部、ワーキングエリアとしてのRAM等を備えている。経路案内処理部101は、地図データベース102から取得したデータ及びGPS111から取得したデータに基づいて、経路探索を行い、また案内標識データベース104aから案内標識の抽出を行い、また、地名データベース103aから車両の進行方向における地名の抽出を行なう。経路探索は、GPS111によって取得した現在位置から、運転者によって設定された目的までの走行経路を、地図データベース102から探索し、決定する処理である。また、案内標識に関するデータの抽出は、原則として車両が直進するものと仮定した場合に、その直進する経路に存在する道路標識のデータを抽出する場合と、車両情報検出部112からウインカー・オンが供給された場合には、最も近い交差点又は曲がり角で、ウインカーの点滅する方向に曲がった場合にその進行方向に位置する道路標識のデータを抽出する場合、或いは、経路探索処理によって決定された経路が定まっている場合には、その経路上に位置する案内標識を抽出する場合がある。経路案内処理部101によって道路標識検索手段が構成される。
【0017】
地図データベース102は、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスクドライブ装置等の大容量記憶媒体が使用され、交差点データファイル、道路データファイル、ノードデータファイルのそれぞれが格納された、交差点データ、道路データ、ノードデータからなる道路網データが格納されている。地図データベースによって地図情報記憶手段が構成される。
【0018】
変換処理部103は、案内標識が取得された場合に、案内標識に記載されている地名に基づいて、案内標識とともに表示する地名を決定する。
地名データベース103aには、重み付けされた地名が記録されている。図2に示されているように、地名は、基準地、重要地、主要地、一般地の4段階に分類され、基準地が最も重みが重く設定され、重要地、主要地、一般地の順に軽くなるように設定されている。基準地としては、重要地の中の特に主要な都市で、概ね1県につき1都市であり、例えば、各県の県庁所在地の地名である。重要地は、県庁所在地、政令指定都市、地方生活圏の中心都市、主要幹線道路が相互に交差する結節点を有する市、主要地は、二次生活圏の中心地、町、主要幹線道路が相互に交差する結節点を有する町などである。一般地は、重要地、主要地以外の市、町、村などである。
【0019】
これら基準地、重要地、主要地、一般地の分類は、各都市の人口に基づいて決定し、或いは面積に基づいて決定してもよい。例えば、人口の多い都市から順に、基準地、重要地、主要地に選定し、或いは、行政区画の面積の広い順に、基準地、重要地、主要地として選定してもよい。
道路標識情報データベースである案内標識データベース103bは、図3に示されているように、案内標識の位置データ、視覚情報としての標識の意匠、表示されている地名、交差点に設置されている場合には交差点の位置、表示されている地名までの距離、表示されている地名の重み(基準地、重要地、主要地、一般地のいずれか)などが記録されている。
【0020】
道路標識認識処理部104は、車両の外側へ向けて設けられているカメラ113から供給される画像から、案内標識の画像を抽出する。そして、抽出した画像と、案内標識マッチング用データベース104aに記録されている案内標識パターンと比較し、抽出した案内標識画像ともっとも近似しているパターンを有する部分を、案内標識として抽出し、変換処理部103へ供給する。
変換処理部103では、道路標識認識処理部104から供給された案内標識の視覚情報に基づき、案内標識データベース103bに記録された案内標識の案内標識データの中から、該当する案内標識のデータを抽出する。また、抽出された案内標識データに基づいて、例えば、案内標識の意匠、案内標識に記載されている所定の地名表示に対応して、表示される基準地や重要地等を設定し、表示装置114の表示画面に表示する画像を生成する。道路標識認識処理部104が道路標識抽出手段として機能する。
【0021】
カメラ113は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラが用いられ、電気的に車両前方の外部画像を取得する。カメラ113が撮像手段として機能する。
GPS111は、車両の現在位置情報を取得して、経路案内処理部101へ、取得した情報を供給する。GPS111によって、現在位置取得手段が構成される。
車両情報検出部112は、車両の走行速度を検出する車速センサ、操舵角度を検出するステアリングセンサ、ウインカーのオン状態を検出するウインカーセンサ、アクセルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ、ブレーキの踏み込み量を検出するブレーキセンサ、ヘッドライトのオン状態を検出するライトセンサ、ワイパーのオン状態を検出するワイパーセンサを備え、さらに、車幅、車高、車両の前後幅、車両重量、車種、排気量等の車両情報を記憶する車両情報記憶部を備えている。
【0022】
車両情報検出部112からは、走行速度、操舵角度、ウインカーのオン状態、アクセル踏み込み量、ブレーキの踏み込み量、ヘッドライトのオン状態、ワイパーのオン状態、車幅、車高、車両の前後幅、車両重量、車種、排気量が、経路案内処理部101へ供給される。
表示装置114は、例えば、液晶表示画面で構成される。図4は、表示画面114Sに表示される表示内容を示す図である。カメラ113等で取得された案内標識の意匠20が表示される。また、変換処理部103で設定された地名も案内標識の意匠とともに表示される。変換処理部103で設定された地名は、補助表示の領域21、22、23に表示される。これらの領域21、22、23は、案内標識の意匠20の側に配置される。各補助表示の領域21、22、23は、各地名21a、22b、22cの近傍に配置される。このように表示することにより、案内標識に予め表示されている地名に、方面表示が付与される。なお、領域21、22、23は、進行方向を指示する矢印の延長線上に配置されるとよい。より感覚的に運転者が把握し易くなるためである。表示装置114によって表示手段が構成される。
【0023】
音声出力装置115には、経路案内処理部101から供給される経路案内情報が音声で出力され、また、表示装置114に表示される案内標識に示された地名や、変換処理部103によって付与された地名などを音声出力する。
入力装置116は、経路案内処理部101に所望のデータを入力するために用いられる。所望のデータとは、目的地に関するデータ(例えば、住所、電話番号、名称等)、経由地に関するデータなどである。入力装置116は、例えば、ポインティングデバイス、キーボード、音声入力装置等の、1つ又は2つ以上により構成される。入力装置116により目的地設定手段が構成される。
【0024】
上記のように構成された案内表示装置1の処理内容について、図5に示されているフローチャートに基づき説明する。
案内標識データ取得ルーチン(ステップS105)において、案内標識に関するデータを取得する。図6は、案内標識データ取得ルーチンを示すフローチャートである。経路案内処理部101を介してGPS111から現在位置を取得する(ステップS201)。次に、カメラ113から車両進行方向の画像を取得する(ステップS203)。カメラ113から取得した画像から案内標識マッチング用データベース104aに記録されている案内標識パターンと比較し、該パターンと最も近似している部分を、案内標識として、画像の中から抽出する(ステップS204)。さらに、抽出された案内標識画像の中から文字を抽出する(ステップS205)。
【0025】
文字認識できたか否か判断し(ステップS207)、認識できない場合には、処理を終了する。認識できた場合には、文字に認識ソフトにより、文字が表示する地名を認識する(ステップS209)。抽出した地名と、案内標識の画像を変換処理部103へ供給し(ステップS211)、メインルーチンにリターンされる。ステップS204によって道路標識抽出手段が構成され、ステップS205〜S209によって、地名情報取得手段が構成される。
【0026】
経路案内処理部101において、経路案内するための目的地が設定されているか判断する(ステップS107)。目的地の設定がある場合には、目的地から近い位置にある基準地又は重要地を決定する(ステップS109)。目的地が決められていることから、経路が決定されており、該経路上または目的地を越えた経路の延長上に位置する基準地又は重要地、或いは目的地を含む行政区画名称(県名、区名、市名など)等でもよい。決定される地名は、少なくとも案内標識に記載されている地名よりも重みの重い地名が決定される。ステップS109によって抽出手段が構成される。
【0027】
目的地の設定がない場合には、図7に示されている、方面・地名決定ルーチンS111を実行する。ステップS211で供給された地名から、案内標識に記載されている案内地名が複数あるか判断する(ステップS401)。地名が1つである場合には、現在走行中の道路を直進した場合の進行方向に位置する地名を抽出する(ステップS402)。ステップS402で抽出された地名が、複数存在する場合には、ステップS209で抽出された地名に近い位置にある地名の中で、地名データベース103aを参照し、最も重み付けの重い地名を表示地名として決定する(ステップS403)。具体的には、「基準地」又は「重要地」とする。或いは、同時に複数表示する場合には、現在位置に近い順に、重み付けの軽い地名から順に抽出する。例えば、現在位置に近い方を「重要地」、遠い方を「基準地」となるように抽出する。ステップS402によって抽出手段が構成され、ステップS403で地名抽出手段が構成される。
【0028】
また、ステップS401で、案内地名が複数ある場合には、案内地名毎に、地図データベース102から、近傍に位置する地名を抽出する(ステップS404)。さらに、抽出された地名の中から地名の重み付けに基づき表示する地名を決定する(ステップS405)。具体的には、ステップS404では、経路案内処理部101により、現在位置から各案内地名までの経路を探索し、探索した経路の延長上に位置する地名を抽出する。ステップS405では、ステップS404で抽出された地名について、地名データベース103aに記録されているデータ(図2参照)を参照して、重み付けの重いものを優先的に抽出する。具体的には、「基準地」、「重要地」の順に抽出する。この他、重み付けが付与される基準は、案内地名が含まれる行政区画名称(県名、区名、市名など)等でもよく、この場合には、区分が広い順、具体的には、県名、区名又は市名、町又は村名の順で重み付けを設定してもよい。これらの、抽出された「基準地」又は「重要地」は、案内標識データとして取得した各案内地名に対応して記憶される。ステップS403、S405を実行した後、メインルーチンにリターンされる。ステップS404によって、抽出手段が構成され、ステップS405によって地名抽出手段が構成される。
【0029】
案内標識に記載されている案内地名に対応して決定される方面を示す地名(「基準地」又は「重要地」等)は、車両の現在位置に応じて決定することもできる。例えば、車両の現在位置が含まれる行政区画名称は、選択しないこととしてもよい。具体的には、東京都内を走行している場合には、「東京」の表示はせず、一段下の重みを有する区名(例えば、千代田区、多摩区)、或いは他の県名(「神奈川」、「埼玉」)を選択する。
【0030】
表示装置114の画面に表示するための案内標識描画データを作成する(ステップS115)。案内標識データとして取り込んだ意匠(視覚情報)データに、図4に示されているように、各案内地名に対応して表示する基準地名を表示する領域21、22、23を設けた描画データを作成する。
【0031】
データとして取得した「基準地」または「重要地」を読み取り可能な状態とするためにテキスト化する(ステップS117)。さらに、表示装置114の画面に、取得した案内標識の意匠と、ステップS117でテキスト化した基準地名(又は重要地名)を表示する(ステップS119)。
【0032】
例えば、表示画面114Sには、案内標識によって案内表示されている方向の中でいずれの方向に、決定した基準地や重要地が位置するのかが表示される。例えば、図4に示されているように、画面114Sに表示される案内標識20には、直進した場合に到達する地名「大洗」22a、左折した場合に到達する地名「日立」23a、右折した場合に到達する地名「土浦」21aが表示されている。目的地「銀座」が設定されている場合には、領域21に目的地「銀座」に対応して設定された基準地「東京」を表示する。これにより、「土浦」の方向へ向かえば、目的地に到達することを示すことができる。ここで、領域21内に、基準地「東京」の代わりに、目的地「銀座」を表示してもよく、或いは、基準地「東京」に加えて、目的地「銀座」を表示してもよい。
【0033】
また、目的地が設定されていない場合には、ステップS402又はS403で決定され、各案内表示に対応して記憶された「基準地」又は「重要地」が、各案内地名に対応して設けられた領域21、22、23に表示される。「土浦」には基準地「東京」が、「日立」には基準地「福島」が表示され、「土浦」は「東京」方面であり、「日立」は「福島」方面であることが表示される。
【0034】
上記のような画像表示に加えて、同時に、音声によりテキスト化した基準地名を通知する(ステップS121)。通知内容は、「直進方向大洗です。」「左折方向、日立です。」「右折方向、土浦、東京方面です。」の様に通知される。目的地が設定されている場合には、目的地方向のみを通知してもよい。
【0035】
次に、案内標識データ取得ルーチンS105の他の構成例について説明する。図8に示されているように、経路案内処理部101を介してGPS111から現在位置を取得する(ステップS301)。そして、現在位置から進行方向に位置する案内標識を検索する(ステップS303)。具体的には、経路案内処理部101において、地図データベース102を参照し、現在位置から車両進行方向の所定距離の範囲を特定する。そして、該特定された範囲内に存在する案内標識を、案内標識データベース103bに記録されている案内標識の位置データを参照して、抽出する。
【0036】
そして、この抽出された案内標識に関する情報(案内地名、重み、案内地名までの距離、交差点位置等)を案内標識データベース103bから読み出し(ステップS305)、変換処理部103へ供給する(ステップS307)。所定距離の範囲とは、運転者の視覚で道路標識が把握できる程度の距離であり、例えば、200〜50m程度前方の範囲内に存在する道路標識である。この抽出する範囲及び車両から該範囲までの距離は、車両の速度に応じて変更され、速度が速くなる従って該範囲および距離が共に長くなり、遅くなるに従って短くなるように設定される。ステップS303〜S305によって道路標識検索手段が構成される。
【0037】
上記のように、図8に示されている、経路探索処理部101によって地図データベース102から案内標識を抽出する案内標識データ取得方法は、図6に示されている、カメラ113によって取得された画像が案内標識を抽出する方法と併用してもよい。即ち、図8に示されているサブルーチンと、図6に示されているサブルーチンを同時に、或いは一方を先に、他方を後に実行してもよい。そして、取得した案内標識データは、一方の方法で取得されたデータを優先的に用い、その方法でデータ取得できなかった場合に、他方の方法で取得したデータを利用する構成としてもよい。
【0038】
例えば、案内標識の設置時期が新しく、案内標識データベース103bにデータが記録されていない案内標識が存在する場合には、カメラ画像から取得した案内標識のデータを利用することができる。また、夜間、悪天候、或いは、前方車両や街路樹の陰になり、前方に位置する案内標識の画像が取得できない場合には、経路探索処理部101で検出された案内標識データを利用することができる。このようにして、より確実に案内標識データを取得することができる。
【0039】
なお、ステップS402及びステップS404で抽出される地名は、車両の現在位置から表示されている地名までの探索された経路に基づいて抽出されているが、この他、経路探索を行わず、案内標識に表示されている地名に最も近い地名を抽出してもよい。具体的には、案内標識に表示されている地名に所定距離以内に位置する地名を抽出する。この場合の所定距離は、車両の現在位置から、案内標識に表示されている地名までの距離に基づき適宜変更される。例えば、現在位置から案内標識に表示されている地名までの距離の5〜20%以内の距離に設定することができる。
【0040】
次に、図9に基づいて、走行時における本発明の作用について、具体的事例を挙げて説明する。図9は、各走行位置において、表示装置114に画面に表示される案内標識の態様を示す模式図である。
例えば、水戸駅を出発地点し、目的地TGが東京の銀座である場合の例を挙げて説明する。水戸駅から国道6号線へ合流する走行位置p1では、案内標識A1が取得され、この案内標識A1が表示装置114の画面に表示される。この際、目的地TGである「銀座」の近傍に位置する基準地は、「東京」に設定されるので、案内標識A1に記載されている案内地名「日立」「大洗」「土浦」の内、東京方面である「土浦」の側に補助表示a1として「東京」と表示される。このように表示することによって、土地勘のない運転者にとって、「東京」との表示が付設された「土浦」が、東京方面であることを理解することができる。
【0041】
走行位置p2では、案内標識B1が取得され、この案内標識b1が画面に表示される。案内標識B1には、直進方向「柏」「土浦」と記載されており、目的地方面である「東京」は、「柏」「土浦」の延長方向に位置する。そこで、案内標識b1において「柏」「土浦」の側に補助表示b1として、「東京」を表示する。特に案内標識に示される矢印の延長線上に補助表示「東京」を配置することで、感覚的に目的地の方向を把握することができる。なお、補助表示として表示する方法として、「東京」のみならず、目的地「銀座」を併記してもよく。或いは、目的地のみを表示してもよい。
【0042】
走行位置p3では、案内標識C1が取得され、この案内標識c1が画面に表示される。案内標識C1には、直進方向「取手」、右折方向「つくば」、左折方向「美浦」と記載されており、目的地方面である「東京」は、「取手」の延長方向に位置する。そこで、案内標識c1において「取手」の側に補助表示c1として、「東京」を表示する。図9において、以後走行位置p4〜p7において、それぞれ案内標識が取得され、案内表示は、「柏」「取手」、「浅草橋」「松戸」、「日本橋」「浅草橋」、「銀座」「日本橋」と、それぞれ変化するが、その都度、補助表示「東京」が、東京方向を示す矢印の延長上に表示される。
【0043】
図10に基づいて、目的地TGが「松戸」近傍である場合を例に挙げて説明する。水戸駅を出発地点し、目的地TGが「松戸」近傍である場合の例を挙げて説明する。水戸駅から国道6号線へ合流する走行位置p8では、案内標識D1が取得され、この案内標識D1が表示装置114の画面に表示される。この際、目的地TGまでの経路探索をするとともに、経路上に位置し、目的地TGの近傍の重要地(柏)を検索する。また、同時に、経路探索された経路の延長上の基準地(「東京」)を検索する。
【0044】
案内標識D1に記載されている案内地名「日立」「大洗」「土浦」の内、東京方面である「土浦」の側に補助表示d1として「東京」「柏」と表示される。このように表示することによって、土地勘のない運転者にとって、「東京」「柏」との表示が付設された「土浦」が、東京方面であることを理解することができる。
走行位置p9では、案内標識E1が取得され、この案内標識E1が画面に表示される。案内標識E1には、直進方向「柏」「土浦」と記載されており、目的地近傍の「柏」が既に記載されている。そこで、案内標識E1において「柏」「土浦」の側に補助表示e1として、「東京」を表示する。
【0045】
走行位置p10では、案内標識F1が取得され、この案内標識F1が画面に表示される。案内標識F1には、直進方向「取手」、右折方向「つくば」、左折方向「美浦」と記載されており、目的地方面である「東京」「柏」は、「取手」の延長方向に位置する。そこで、案内標識F1において「取手」の側に補助表示f1として、「東京」「柏」を表示する。図10において、以後走行位置p11〜p12において、それぞれ案内標識が取得され、案内表示は、「柏」「取手」、「浅草橋」「松戸」と、それぞれ変化するが、その都度、補助表示「東京」が、東京方向を示す矢印の延長上に表示される。
【0046】
図11に基づいて、水戸駅を出発地点し、目的地が設定されていない場合の例を挙げて説明する。水戸駅から国道6号線へ合流する走行位置p13では、案内標識G1が取得され、この案内標識G1が表示装置114の画面に表示される。この際、目的地設定がないので、案内標識データベース103bから案内標識G1に記載されている地名を取得し、GPS111で取得した現在位置から、案内標識G1に記載の地名までの経路を探索する。その経路の延長上に位置する基準地又は重要地を抽出する。
【0047】
案内標識G1に記載されている案内地名「日立」「大洗」「土浦」の内、東京方面である「土浦」の側に補助表示g1として「東京」と表示され、福島方面である「日立」の側に補助表示g2を表示する。このように表示することによって、土地勘のない運転者にとって、「東京」との表示が付設された「土浦」が、東京方面であり、「福島」との表示が付設された「日立」が福島方面であることを理解することができる。
【0048】
東京方面へ右折した走行位置p14では、案内標識H1が取得され、この案内標識H1が画面に表示される。案内標識H1には、直進方向「柏」「土浦」と記載されており、「土浦」の延長上に「東京」が位置する。そこで、案内標識H1において「柏」「土浦」の側に補助表示h1として、「東京」を表示する。
走行位置p15では、案内標識J1が取得され、この案内標識J1が画面に表示される。案内標識J1には、直進方向「取手」、右折方向「つくば」、左折方向「美浦」と記載されており、現在位置から、各地名の延長上に位置する基準地又は重要地を検索する。案内標識J1の場合には、「取手」の延長上に基準地「東京」のみが検索され、「取手」の側に補助表示j1として「東京」が表示される。
図11において、以後走行位置p16〜p19において、それぞれ案内標識が取得され、案内表示は、「柏」「取手」、「浅草橋」「松戸」、「日本橋」「浅草橋」、「銀座」「日本橋」と、それぞれ変化するが、その都度、補助表示「東京」が、東京方向を示す矢印の延長上に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の道路標識表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地名の重み付けを規定するデータテーブルである。
【図3】案内標識データベースの内容を示すものである。
【図4】表示画像の構成を示す摸式図である。
【図5】フローチャートである。
【図6】フローチャートである。
【図7】フローチャートである。
【図8】フローチャートである。
【図9】車両の進行と共に表示される案内標識の内容を示す摸式図である。
【図10】車両の進行と共に表示される案内標識の内容を示す摸式図である。
【図11】車両の進行と共に表示される案内標識の内容を示す摸式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 道路標識表示装置
101 経路案内処理部
102 地図データベース
103 変換処理部
103a 地名データベース
103b 案内標識データベース
104 道路標識認識処理部
111 GPS
112 車両情報検出部
114 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
前記現在位置取得手段によって取得された位置情報と、前記地図情報記憶装置に記憶された地図情報に基づき、道路標識情報データベースから進行方向に位置する道路標識情報を検索する道路標識検索手段と
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、道路標識検索手段で取得した道路標識に含まれる地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識検索手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【請求項2】
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置取得手段で取得した現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段とを備え、
前記抽出手段は、前記経路探索手段で探索された経路上に位置する地名を抽出する請求項1に記載の案内表示装置。
【請求項3】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
車両の外側の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像から道路標識の視覚情報を抽出する道路標識抽出手段と
前記道路標識抽出手段によって抽出された視覚情報に基づき、道路標識に記載されている地名情報を取得する地名情報取得手段と、
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、地名情報取得手段で取得された地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識抽出手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、現在位置を基準として、遠方から順に、重みの重い順に配地された地名を表示する請求項1〜3のいずれか1に記載の案内表示装置。
【請求項5】
前記地名データベースに記録されている地名は都市名であって、都市の人口の多さに基づいて重み付けがなされている請求項1〜4のいずれかに1に記載の案内表示装置。
【請求項1】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
前記現在位置取得手段によって取得された位置情報と、前記地図情報記憶装置に記憶された地図情報に基づき、道路標識情報データベースから進行方向に位置する道路標識情報を検索する道路標識検索手段と
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、道路標識検索手段で取得した道路標識に含まれる地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識検索手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【請求項2】
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置取得手段で取得した現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段とを備え、
前記抽出手段は、前記経路探索手段で探索された経路上に位置する地名を抽出する請求項1に記載の案内表示装置。
【請求項3】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
地図情報が記録された地図情報記憶手段と、
道路標識に関する道路標識情報を記録した道路標識情報データベースと、
車両の外側の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像から道路標識の視覚情報を抽出する道路標識抽出手段と
前記道路標識抽出手段によって抽出された視覚情報に基づき、道路標識に記載されている地名情報を取得する地名情報取得手段と、
予め定められた基準に基づいて重み付けられた地名を記憶した地名データベースと、
前記現在位置取得手段から取得した現在位置に基づいて、車両の進行方向に位置する地名を地図情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された地名を、地名データベースに記録されている重み付けに基づいて、地名情報取得手段で取得された地名よりも重み付けの重い地名を抽出する地名抽出手段と、
前記地名抽出手段によって抽出された地名を、道路標識抽出手段によって検索された道路標識とともに表示する表示手段とを有することを特徴とする案内表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、現在位置を基準として、遠方から順に、重みの重い順に配地された地名を表示する請求項1〜3のいずれか1に記載の案内表示装置。
【請求項5】
前記地名データベースに記録されている地名は都市名であって、都市の人口の多さに基づいて重み付けがなされている請求項1〜4のいずれかに1に記載の案内表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−133705(P2009−133705A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309674(P2007−309674)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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