説明

機器制御システム

【課題】目的地にある機器を最適に遠隔制御すること。
【解決手段】機器制御システムは、移動体のナビゲーション情報を取得するナビゲーション情報取得手段と、ナビゲーション情報取得手段により取得された移動体のナビゲーション情報に基づいて、移動体の目的地への到着予定時刻を推定する時刻推定手段と、時刻推定手段により推定された到着予定時刻に応じて、目的地にある機器を制御する機器制御手段と、ナビゲーション取得手段により取得された移動体のナビゲーション情報に基づいて、時刻推定手段により推定された到着予定時刻に対する確信度を算出する確信度算出手段を備えている。機器制御手段は、確信度算出手段により算出された確信度と、時刻推定手段により推定された到着予定時刻と、に基づいて、目的地にある機器を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、目的地にある機器を遠隔的に制御する機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置により算出された自宅への到着予定時刻に対応して、家庭用システム内の電気機器の動作状態を所望の時刻に制御する家電制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ナビゲーション装置により算出された車両の現在位置と家屋との間の距離に応じて、電気機器に対して出力する制御信号の内容を決定する電気機器の制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−264077号公報
【特許文献2】特開2002−101474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示す家電制御システムにおいては、途中経路の渋滞等により到着予定時刻と実際の到着時刻との間にズレが生じる虞がある。この場合、例えば電気機器が到着時刻とずれて作動される為、無駄な電力消費が行われ、又は適切な制御が行われない虞がある。
【0005】
上記問題を解決すべく、特許文献2に示す制御装置が提案されている。当該制御装置においては、車両の現在位置と家屋との間の距離に応じて、電気機器に対して出力する制御信号の内容を可変させることで、上記ズレを解消している。しかしながら、到着予定時刻に対する信頼性の評価がなされていない為、作動時間のズレを適切に解消できない虞がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、目的地にある機器を最適に遠隔制御できる機器制御システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
移動体のナビゲーション情報を取得するナビゲーション情報取得手段と、
前記ナビゲーション情報取得手段により取得された前記移動体のナビゲーション情報に基づいて、前記移動体の目的地への到着予定時刻を推定する時刻推定手段と、
前記時刻推定手段により推定された前記到着予定時刻に応じて、前記目的地にある機器を制御する機器制御手段と、を備える機器制御システムであって、
前記ナビゲーション取得手段により取得された前記移動体のナビゲーション情報に基づいて、前記時刻推定手段により推定された前記到着予定時刻に対する確信度を算出する確信度算出手段を備え、
前記機器制御手段は、前記確信度算出手段により算出された前記確信度と、前記時刻推定手段により推定された前記到着予定時刻と、に基づいて、前記目的地にある機器を制御する、ことを特徴とする機器制御システムである。
【0008】
この一態様によれば、機器制御手段は、確信度算出手段により算出された確信度と、時刻推定手段により推定された到着予定時刻と、に基づいて、目的地にある機器を制御する。これにより、到着予定時刻に対する信頼性が評価できる為、到着予定時刻の精度を向上させることができる。したがって、この到着予定時刻に基づいて、目的地にある機器を最適に遠隔制御することができる。
【0009】
この一態様において、前記移動体の目的地は建物であり、前記機器は該建物内に配置された家電機器であってもよい。これにより、建物内の家電機器を最適に遠隔制御することができる。
【0010】
この一態様において、前記移動体の目的地は建物であり、前記機器はガレージの扉であってもよい。これにより、ガレージの扉を最適に遠隔制御することができる。
【0011】
この一態様において、前記移動体の目的地は他の移動体であり、前記機器は該他の移動体内にある電気機器であってもよい。これにより、他の移動体内にある電気機器を最適に遠隔制御することができる。
【0012】
この一態様において、前記機器制御手段は、前記確信度算出手段により算出された前記確信度に応じて、前記機器の制御開始時刻を変更させてもよい。これにより、機器の制御開始時刻をより正確な時刻に設定できる為、制御遅れや無駄な電力消費を抑制することができる。
【0013】
この一態様において、前記機器制御手段は、前記確信度算出手段により算出された前記確信度に応じて、前記機器の制御内容を変更してもよい。これにより、機器の制御内容を最適に設定できる為、制御遅れや無駄な電力消費を抑制することができる。なお、前記制御内容は、例えば、前記機器の制御目標値(目標温度等)である。制御目標値を到着予定時刻に対する確信度に応じて、例えば、段階的又はリニアに可変させることで、より高精度な制御が可能となる。
【0014】
この一態様において、前記ナビゲーション情報は、前記目的地までの経路情報と、該経路における渋滞情報とを含み、
前記確信度算出手段は、前記目的地までの経路情報と、前記渋滞情報と、に基づいて、前記確信度を算出してもよい。これにより、渋滞及び経路に起因する到着予定時刻のずれを考慮できる。なお、経路情報には、例えば、走行履歴等を含むものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、目的地にある機器を最適に遠隔制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、ナビゲーション装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る機器制御システムの構成を示す概略ブロック図である。本実施例に係る機器制御システム1は、車両等の移動体に搭載されたナビゲーション装置10と、建物(例えば、ユーザの自宅)内に配設された建物用システム20と、を含んで構成されている。これらナビゲーション装置10と建物用システム20は、通信網2を介して、相互に通信接続される。また、通信網2には、例えば、一般電話網、移動体電話網等が含まれており、移動体電話網には、通信基地局等も含まれているものとする。
【0018】
ナビゲーション装置10は、演算処理、制御処理等を行うナビゲーション制御部11と、地図表示や経路探索等に必要な各種データを記録したDVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)、HDD(Hard Disk)等の記憶媒体12と、この記憶媒体12に記録された各種データを読み出す読取装置13と、ユーザが各種の指示を入力するリモートコントローラ(以下、リモコンと称す)14と、自車両の位置および方位の検出を行うGPS(Global Positioning System)受信機15、及び自律航法センサ16と、各種操作画面等を表示する表示装置17と、自車両近傍の地上局アンテナ(図示せず)との間で電波を送受信する送受信部18と、を含んで構成されている。
【0019】
なお、送受信部18は、携帯電話等の移動体通信機を介して、通信網2に接続されるような構成であってもよい。また、送受信部18は、サーバとしての機能を有する情報センタ30等を介して、建物用システム20に接続される構成であってもよい。
【0020】
情報センタ30は、外部から取得したデータに対し情報処理を行うコンピュータ本体31と、各データを蓄積するデータベース32と、外部からデータを受信し、又は要求に応じて各種データを配信する通信部33と、を有している。
【0021】
GPS受信機15は、複数のGPS衛星から送られてくる電波を受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する。また、自律航法センサ16は、車両回転角度を相対方位として検出する振動ジャイロ等の角度センサと、所定走行距離毎に1個のパルスを出力する距離センサとを備えており、車両の相対位置および方位を検出する。
【0022】
ナビゲーション制御部11は、記憶媒体12から読み出した地図データ等に基づいて、表示装置17に所定の地図表示させる表示機能11a、自車両の位置を論理的に表示道路上にマッチさせるマップマッチング機能11b、設定された目的地(建物)までの経路を、ダイクストラ法等を用いて探索を行う経路探索機能11c、探索された経路に従って誘導を行う経路誘導機能11d、目的地への到着予定時刻を推定する時刻推定機能11e、現在の年/月/日/時、特異日(祝日、週末、正月等)を認識するカレンダ機能11f、過去の走行履歴を記憶する走行履歴機能11g等を有している。
【0023】
さらに、ナビゲーション制御部11は、時刻推定機能11eにより推定された到着予定時刻の確信度(例えば、確率)を算出する確信度算出機能11hを有している。例えば、ナビゲーション制御部11は、情報センタ30から取得した経路情報および渋滞情報に基づいて、到着予定時刻に対する確信度を算出する。
【0024】
なお、確信度算出機能11hにより算出された確信度が低いほど、時刻推定機能11eにより推定された到着予定時刻と、実際の到着時刻とのズレが増加すると推定される。一方、確信度算出機能11hにより算出された確信度が高いほど、時刻推定機能11eにより推定された到着予定時刻と、実際の到着時刻とのズレが減少し、推定された到着予定時刻の信頼性が高いと推定される。
【0025】
なお、これら表示機能11a、マップマッチング機能11b、経路探索機能11c、経路誘導機能11d、時刻推定機能11e、カレンダ機能11f、走行履歴機能11g、および確信度算出機能11hは、例えば、ナビゲーション制御部11により実行されるプログラムによって実現されている。
【0026】
また、ナビゲーション制御部11は、送受信部18および通信網2を介して、情報センタ30に接続し、経路探索機能11cにより探索された探索経路上における渋滞情報等の交通情報、イベント情報、道路変更情報を、情報センタ30から取得することができる。
【0027】
ナビゲーション制御部11は、時刻推定機能11eにより推定された到着予定時刻と、確信度算出機能11hにより算出された確信度とを、所定周期(例えば、1分毎)で、通信網2を介して、後述の建物用システム20のホームサーバ21に対して送信する。
【0028】
なお、ナビゲーション制御部11、及びコンピュータ本体31、21b(後述)は、例えば、制御、演算プログラムに従って各種処理を実行するとともに、各部の制御等を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUの実行プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、演算結果等を格納する読書き可能なRAM(Random Access Memory)、タイマ、カウンタ、入出力インターフェイス(I/O)等を有している。
【0029】
建物用システム20は、建物内に配設された複数の電気機器22と、これら電気機器22に建物内に構築されたネットワーク23を介して接続され、サーバとしての機能を有するホームサーバ21と、を備えている。また、ホームサーバ21は、ナビゲーション装置10から送信されたデータを、通信網2を介して受信し、複数の電気機器22から出力されるデータをナビゲーション装置10に向けて送信する。
【0030】
ホームサーバ21は、データの送受信を行う通信部21aと、制御処理等を行うコンピュータ本体21bとを有している。
【0031】
また、ネットワーク23は、例えば、Bluetooth、LAN(Local Area Network)等により構築されている。
【0032】
複数の電気機器22には、例えば、ご飯を炊く炊飯器22a、湯沸かし器(電気式ポット)22b、室内の温度や湿度を調節する空調装置22c、予め設定された湯温及び湯量のお湯を浴槽に貯めたり、シャワー等への給湯を行う浴室装置22d、敷地内や建物内への不法侵入者の監視等を行うセキュリティ装置22e、ガレージの扉を開閉する開閉装置22f、等が含まれている。
【0033】
ホームサーバ21は、建物用システム20内に含まれる電気機器22の動作状態(例えば、電源オン/オフ状態、温度設定、湿度設定、湯量設定、タイマ機能の設定時刻等)を、ナビゲーション装置10から送信される指示信号に基づいて、制御するように構成されている。
【0034】
ホームサーバ21には、建物内に配設され、ユーザが各電気機器22の動作状態を指示、設定する為の設定装置24が接続されている。設定装置24には、例えば、タッチパネル式、電気式、機械式等のスイッチパネル等が採用され、これらスイッチパネルの操作位置に応じて、電気機器22の動作状態が設定される。なお、専用のリモコンにより、電気機器22の動作状態が設定される構成であってもよい。
【0035】
例えば、ナビゲーション装置10からの指示信号、又は設定装置24がユーザにより操作されることで、空調装置22cのオン/オフ制御、目標温度の設定/変更、空調装置22cが制御を開始/停止する時刻の設定/変更等を行うことができる。
【0036】
ところで、ユーザは、例えば、自車両の目的地である建物(自宅等)への到着予定時刻に合わせて、建物内の電気機器22の動作状態(例えば、空調装置22cの温度設定、制御開始時刻等)を設定することがある。この場合、自車両の走行経路において渋滞等が発生したとき、当該建物への到着予定時刻に対して、実際の到着時間がずれる(例えば、遅れる)ことがある。従来、この到着時刻のズレにより、電気機器の動作状態の制御が適切に行えない虞がある。
【0037】
そこで、本実施例に係る機器制御システム1において、ナビゲーション装置10のナビゲーション制御部11は、時刻推定機能11eにより推定された到着予定時刻と、確信度算出機能11hにより算出された到着予定時刻に対する確信度と、を所定周期で、建物用システム20のホームサーバ21に送信する。また、ホームサーバ21は、送信された到着予定時刻と、この到着予定時刻に対する確信度と、に基づいて、建物の電気機器22の動作状態を制御する。これにより、到着予定時刻の信頼性が、確信度に基づいて、評価される。これにより、より適切に電気機器22の動作状態を制御することができる。
【0038】
例えば、ホームサーバ21は、ナビゲーション装置10から受信した到着予定時刻と、確信度と、に基づいて、各電気機器22の制御を開始する。より具体的には、ホームサーバ21は、送信された確信度が所定値以上で高いと判断したとき、送信された到着予定時刻(通常の給湯時間)に合わせて、炊飯器22a、湯沸かし器22b等を制御開始する。一方、ホームサーバ21は、送信された確信度が所定値以下で低いと判断したとき、送信された到着予定時間よりも早く到着すると仮定して、炊飯器22a、湯沸かし器22b等を通常(通常の給湯時間よりも余裕を見て)より早く制御開始する。
【0039】
また、ホームサーバ21は、送信された確信度が所定値以下で低いと判断したとき、より早く制御を開始して、予め設定された設定温度よりも抑えるように、空調装置22cを制御する。一方、ホームサーバ21は、到着予定時刻が近くなり(自車両が目的の建物に接近し)、確信度が増加するほど、予め設定された温度に制御目標温度を近づけて、制御を行う。このように、到着予定時刻と、確信度と、基づいて、電気機器22の動作状態が制御されることで、より適切に電気機器22を制御することができる。
【0040】
次に、本実施例に係る機器制御システム1による、上述した確信度の算出方法の一例について、詳細に説明する。図2は、本実施例に係る機器制御システム1における確信度の算出方法の処理フローの一例を示すフローチャートである。なお、図2、後述の図3及び図4に示す処理ルーチンは所定の周期で繰り返し実行される。
【0041】
ナビゲーション装置10のナビゲーション制御部11は、時刻推定機能11eにより目的地への到着予定時刻Tを推定する(S100)。
【0042】
次に、ナビゲーション制御部11は、確信度算出機能11hにより到着予定時刻Tに対する確信度Nを算出する(S110)。なお、確信度Nの初期値には、100(%)が設定される。
【0043】
その後、ナビゲーション制御部11は、送受信部18及び通信網2を介して、情報センタ30と通信接続を行い、情報センタ30から渋滞情報を取得する。さらに、ナビゲーション制御部11は、取得した渋滞情報に基づいて、目的地までの探索経路上において、渋滞が発生しているか否かを判断する(S120)。
【0044】
ナビゲーション制御部11は、渋滞が発生していると判断したとき(S120のYes)、渋滞により到着予定時刻Tが10分以上遅れるか否かを判断する(S130)。一方、ナビゲーション制御部11は渋滞が発生していないと判断したとき(S120のNo)、後述の(S190)処理に移行する。
【0045】
ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが10分以上遅れると判断したときは(S130のYes)、確信度Nから10(%)を減算した減算値を確信度(N←N−10)として再設定し(S140)、後述の(S150)処理に移行する。一方、ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが10分以上遅れないと判断したとき(S130のNo)、後述の(S190)処理に移行する。
【0046】
ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが30分以上遅れるか否かを判断する(S150)。
【0047】
ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが30分以上遅れると判断したとき(S150のYes)、再設定された確信度Nから更に10(%)を減算した減算値を確信度(N←N−10)として再設定し(S160)、後述の(S170)処理に移行する。一方、ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが30分以上遅れないと判断したとき(S150のNo)、後述の(S190)処理に移行する。
【0048】
ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが60分以上遅れるか否かを判断する(S170)。
【0049】
ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが60分以上遅れると判断したときは(S170のYes)、再設定された確信度から更に10(%)を減算した減算値を確信度(N←N−10)として再設定し(S180)、後述の(S190)処理に移行する。一方、ナビゲーション制御部11は、渋滞により到着予定時刻Tが60分以上遅れないと判断したときは(S170のNo)、後述の(S190)に移行する。
【0050】
以上のようにして、渋滞に起因して、到着予定時刻の遅れが増加するほど、段階的に確信度を減少させるような処理が行われている。なお、確信度が段階的ではなく、リニアに減少するような処理を行ってもよく、これらを組み合わせるような処理を行ってもよい。
【0051】
さらに、ナビゲーション制御部11は、カレンダ機能11fにより現在の年月日時が特異日(例えば、連休中)であるか否かを判断する(S190)。連休等の特異日である場合に、渋滞よる遅れの影響が大きくなると推測される為、このような判断処理を行っている。
【0052】
ナビゲーション制御部11は、現在の年月日時が特異日であると判断したとき(S190のYes)、再設定された確信度Nから更に20(%)を減算した減算値を確信度(N←N−20)として再設定し(S200)、後述の(S210)処理に移行する。一方、ナビゲーション制御部11は、現在の年月日時が特異日でないと判断したとき(S190のNo)、後述の(S230)処理に移行する。
【0053】
ナビゲーション制御部11は、走行履歴機能11gにより記憶された走行履歴のデータに基づいて、目的地までの探索経路が過去に走行されたことがあるか否かを判断する(S210)。過去に走行したことのある経路の場合、ユーザは当該経路をスムーズに走行できる傾向にあり、一方、始めて走行する経路の場合、当該経路の走行に戸惑う虞がある為、このような判断処理を行っている。
【0054】
ナビゲーション制御部11は、過去に走行した履歴がないと判断したとき(S210のNo)、再設定された確信度から更に10(%)を減算した減算値を確信度(N←N−10)として再設定し(S220)、後述の(S230)処理に移行する。一方、ナビゲーション制御部11は、過去に走行した履歴があると判断したとき(S210のYes)、後述の(S230)処理に移行する。
【0055】
ナビゲーション制御部11は、送受信部18及び通信網2を介して、算出された確信度Nと、到着予定時刻Tとをホームサーバ21に送信する(S230)。
【0056】
以上のようにして、渋滞の状態、特異日、過去の走行履歴等の走行条件に応じて確信度を設定することで、これらの到着予定時刻に対する影響を考慮することができ、到着予定時刻の精度を向上させることができる。
【0057】
次に、本実施例に係る機器制御システム1による浴室装置22dの制御方法の一例について説明する。図3は、本実施例に係る機器制御システム1による浴室装置22dの制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0058】
ホームサーバ21は、ナビゲーション装置10のナビゲーション制御部11からの送信される確信度Nに基づいて、修正係数(N←100/N)を算出する(S300)。
【0059】
次に、ホームサーバ21は、算出された修正係数Nが2より大きいか否か(N>2)を判断する(S310)。
【0060】
ホームサーバ21は、修正係数Nが2よりも大きいと判断したとき(S310のYes)、修正係数Nに2を設定し(S320)、次の(S330)処理に移行する。一方、ホームサーバ21は修正係数Nが2よりも大きくない(2以下である)と判断したとき(S310のNo)、後述の(S330)処理に移行する。
【0061】
ホームサーバ21は、ナビゲーション制御部11から送信された到着予定時刻Tが、給湯に必要な時間Tに修正係数Nを乗じた値(閾値時間)以下(T≦T×N)であるか否かを判断する(S330)。修正係数Nの値が(S300)処理において調整されることで、後述の給湯開始のトリガーとなる上記閾値時間(T×N)が調整される。具体的には、確信度Nが減少すると、修正係数Nが増加する。したがって、閾値時間(T×N)が増加し、後述の給湯開始時間を早めることできる。なお、給湯に必要な時間Tとは、例えば、浴槽の湯量が所定量となり、湯温が所定温度となることを指す。
【0062】
ホームサーバ21は、到着予定時刻Tが、給湯に必要な時間に修正係数Nを乗じた値以下であると判断したとき(S330のYes)、浴室装置22dを制御し、給湯を開始させる(S340)。一方、ホームサーバ21は、到着予定時刻Tが給湯に必要な時間に修正係数Nを乗じた値以下でないと判断したとき、本制御ルーチンによる処理を終了する。
【0063】
以上のようにして、到着予定時刻Tと確信度Nとに基づいて、浴室装置22dの制御を最適に行うことができる。すなわち、目的地にある機器を最適に遠隔制御できる。
【0064】
次に、本実施例に係る機器制御システム1による空調装置22cの制御処理の一例について説明する。図4は、本実施例に係る機器制御システム1による空調装置22cの制御処理フローの一例を示すフローチャートである。なお、以下、制御処理において、空調装置22cによって室内の温度が設定された目標温度に到達するまでに、略30分かかる場合が想定されている。
【0065】
ホームサーバ21は、ナビゲーション装置10のナビゲーション制御部11から送信される確信度Nが50(%)よりも小さいか(N<50)否かを判断する(S400)。
【0066】
ホームサーバ21は、確信度Nが50(%)よりも小さいと判断したときは(S400のYes)、推定される到着までの時間(以下、推定時間と称す)Tが60(分)よりも短いか(T<60)否かを判断する(S410)。一方、ホームサーバ21は、確信度Nが50(%)以上であると判断したとき(S410のNo)、後述の(S490)処理に移行する。なお、ホームサーバ21は、到着予定時刻に基づいて、推定時間Tを算出する。
【0067】
ホームサーバ21は、推定時間Tが60(分)よりも短いと判断したとき(S410のYes)、空調装置22cの目標温度Sを下記(1)により算出した修正目標温度Sにより再設定し、この再設定された修正目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S420)。
【0068】
修正目標温度S←(目標温度S−当初室温S)/4 (1)
【0069】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが60(分)よりも短くないと判断したとき(S410のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0070】
ホームサーバ21は、推定時間Tが45分よりも短いか(T<45)否かを判断する(S430)。
【0071】
ホームサーバ21は、推定時間Tが45分よりも短いと判断したとき(S430のYes)、空調装置22cの目標温度Sを下記(2)により算出した修正目標温度Sにより再設定し、この再設定された修正目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S440)。
【0072】
修正目標温度S←(目標温度S−当初室温S)/2 (2)
【0073】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが45分よりも短くないと判断したとき(S430のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0074】
ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短いか(T<30)否かを判断する(S450)。
【0075】
ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短いと判断したとき(S450のYes)、空調装置22cの目標温度Sを下記(3)により算出した修正目標温度Sにより再設定し、この再設定された修正目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S460)。
【0076】
修正目標温度S←(目標温度S−当初室温S)×3/4 (3)
【0077】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短くないと判断したとき(S450のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0078】
ホームサーバ21は、推定時間Tが15分よりも短いか(T<15)否かを判断する(S470)。
【0079】
ホームサーバ21は、推定時間Tが15分よりも短いと判断したとき(S470のYes)、目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S480)。
【0080】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが15分よりも短くないと判断したとき(S470のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0081】
ホームサーバ21は、確信度Nが50(%)以上であると判断したとき(S400のNo)、確信度Nが80(%)よりも小さいか(N<80)否かを判断する(S490)。
【0082】
ホームサーバ21は、確信度Nが80(%)よりも小さいと判断したとき(S490のYes)、推定時間Tが50分よりも短いか(T<50)否かを判断する(S500)。一方、ホームサーバ21は、確信度Nが80(%)よりも小さくないと判断したとき(S490のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0083】
ホームサーバ21は、推定時間Tが50分よりも短いと判断したとき(S500のYes)、空調装置22cの目標温度Sを下記(4)により算出した修正目標温度Sにより再設定し、この再設定された修正目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S510)。
【0084】
修正目標温度S←(目標温度S−当初室温S)/3 (4)
【0085】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが50分よりも短くないと判断したとき(S500のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0086】
ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短いか(T<30)否かを判断する(S520)。
【0087】
ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短いと判断したとき(S520のYes)、空調装置22cの目標温度Sを下記(5)により算出した修正目標温度Sにより再設定し、この再設定された修正目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S530)。
【0088】
修正目標温度S←(目標温度S−当初室温S)×2/3 (5)
【0089】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短くないと判断したとき(S520のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0090】
ホームサーバ21は、推定時間Tが20分よりも短いか(T<20)否かを判断する(S540)。
【0091】
ホームサーバ21は、推定時間Tが20分よりも短いと判断したとき(S540のYes)、目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S480)。一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが20分よりも短くないと判断したとき(S540のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0092】
ホームサーバ21は、確信度Nが80(%)よりも小さくないと判断したとき(S490のNo)、さらに確信度Nが100(%)よりも小さいか(N<100)否かを判断する(S550)。
【0093】
ホームサーバ21は、確信度Nが100(%)よりも小さいと判断したとき(S550のYes)、推定時間Tが40分よりも短いか(T<40)否かを判断する(S560)。
【0094】
ホームサーバ21は、推定時間Tが40分よりも短いと判断したとき(S560のYes)、空調装置22cの目標温度Sを下記(6)により算出した修正目標温度Sにより再設定し(S570)、この再設定された修正目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する。
【0095】
修正目標温度S←(目標温度S−当初室温S)/2 (6)
【0096】
一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが40分よりも短くないと判断したとき(S560のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0097】
ホームサーバ21は、推定時間Tが35分よりも短いか(T<35)否かを判断する(S580)。
【0098】
ホームサーバ21は、推定時間Tが35分よりも短いと判断したとき(S580のYes)、目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S480)。一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが35分よりも短くないと判断したとき(S580のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0099】
ホームサーバ21は、確信度Nが100(%)よりも小さくないと判断したとき(S550のNo)、推定時間Tが30分よりも短いか(T<30)否かを判断する(S590)。
【0100】
ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短いと判断したとき(S590のYes)、目標温度Sに基づいて、温度制御を行うように空調装置22cを制御する(S480)。一方、ホームサーバ21は、推定時間Tが30分よりも短くないと判断したとき(S590のNo)、本制御処理によるルーチンを終了する。
【0101】
以上のように、自車両が目的地にある建物に到着するまでの推定時間Tが長い場合、到着予定時刻に対する確信度Nが相対的に低くなる。したがって、余裕を見て早めに空調装置22cの制御開始を行う必要がある。この場合、目標温度Sよりも低く設定された修正目標温度Sに基づいて、空調装置22cを制御することで、消費電力を抑制することができる。さらに、推定時間Tが短くなり、確信度Nが増加するほど段階的に修正目標温度Sを増加させ、目標温度Sに近付けるようにして空調装置22cを制御することで、ユーザが目的地の建物に到着したときに合わせて、確実に建物の室温を目標温度Sに調整することができる。すなわち、電気機器22の消費電力を抑制しつつ、高精度な制御が可能となる。なお、修正目標温度Sが、段階的に増加するような構成であるが、リニアに増加するような構成であってもよい。
【0102】
以上、本実施例に係る機器制御システム1において、ホームサーバ21は、ナビゲーション装置10により送信された到着予定時刻と、当該到着予定時刻に対する確信度と、に基づいて、目的地にある建物の電気機器22を制御する。これにより、到着予定時刻の信頼性を確信度により、評価できることから到着予定時刻の精度が向上する。したがって、この到着予定時刻に基づいて、目的地にある電気機器22を制御することで、制御遅れ等の制御タイミングのずれ、無駄な電力消費等を抑制できる。すなわち、目的地にある電気機器22を最適に遠隔制御できる。
【0103】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0104】
例えば、上記一実施例において、自車両に搭載されるナビゲーション装置10により建物システム20の電気機器22を遠隔制御しているが、他車両等の他の移動体に搭載される電気機器を遠隔制御するような構成であってもよい。自車両のナビゲーション装置10は、他車両に搭載されるナビゲーション装置等の制御装置を介して、他車両内の空調装置等の電気機器を遠隔制御するようにしてもよい。
【0105】
上記一実施例において、ナビゲーション装置10が確信度算出機能11hを有しているが、情報センタ30又は建物システム20のホームサーバ21が確信度算出機能11hを有する構成であってもよい。
【0106】
上記一実施例において、上述の如く、ガレージの扉を開閉する開閉装置22fに適用してもよい。この場合、ホームサーバ21は、ナビゲーション装置10から送信される到着予定時刻と確信度とに基づいて、例えば、開閉装置22fを制御して、ガレージの扉を開状態にする。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、例えば、目的地となる建物内の電気機器を車両のナビゲーション装置により制御する機器制御システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施例に係る機器制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る機器制御システムにおける確信度の算出方法の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例に係る機器制御システムによる浴室装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例に係る機器制御システムによる空調装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1 機器制御システム
10 ナビゲーション装置
11 ナビゲーション制御部
11e 時刻推定機能
11h 確信度算出機能
20 建物用システム
21 ホームサーバ
22 電気機器
22f 開閉装置
30 情報センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のナビゲーション情報を取得するナビゲーション情報取得手段と、
前記ナビゲーション情報取得手段により取得された前記移動体のナビゲーション情報に基づいて、前記移動体の目的地への到着予定時刻を推定する時刻推定手段と、
前記時刻推定手段により推定された前記到着予定時刻に応じて、前記目的地にある機器を制御する機器制御手段と、を備える機器制御システムであって、
前記ナビゲーション取得手段により取得された前記移動体のナビゲーション情報に基づいて、前記時刻推定手段により推定された前記到着予定時刻に対する確信度を算出する確信度算出手段を備え、
前記機器制御手段は、前記確信度算出手段により算出された前記確信度と、前記時刻推定手段により推定された前記到着予定時刻と、に基づいて、前記目的地にある機器を制御する、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の機器制御システムであって、
前記移動体の目的地は建物であり、前記機器は該建物内に配置された家電機器である、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項3】
請求項1記載の機器制御システムであって、
前記移動体の目的地は建物であり、前記機器はガレージの扉である、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の機器制御システムであって、
前記移動体の目的地は他の移動体であり、前記機器は該他の移動体内にある電気機器である、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の機器制御システムであって、
前記機器制御手段は、前記確信度算出手段により算出された前記確信度に応じて、前記機器の制御開始時刻を変更する、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の機器制御システムであって、
前記機器制御手段は、前記確信度算出手段により算出された前記確信度に応じて、前記機器の制御内容を変更する、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項7】
請求項6記載の機器制御システムであって、
前記制御内容は、前記機器の制御目標値である、ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項8】
請求項1乃至7うちいずれか1項記載の機器制御システムであって、
前記ナビゲーション情報は、前記目的地までの経路情報と、該経路における渋滞情報とを含み、
前記確信度算出手段は、前記目的地までの経路情報と、前記渋滞情報と、に基づいて、前記確信度を算出する、ことを特徴とする機器制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−202051(P2007−202051A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20960(P2006−20960)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】