機械式トルクコンバータ
本発明は、ケーシング(6)と、ケーシング(6)へ入り込み、ケーシング(6)の内部で回転可能である入力シャフト(2)とを有している機械式トルクコンバータ(100)を開示している。出力シャフト(5)が、ケーシング(6)から出、かつ、ケーシング(6)の内部で回転可能である。ギアボックス(1)が、ケーシング(6)の内部に配置され、かつ、入力シャフト(2)へ連結されている。逃がし装置(3)が、ケーシング(6)の内部に配置され、かつ、ギアボックス(1)へ連結されていて、低い速度の下でギアボックス(1)にブレーキをかけるとともに、クラッチ(4)が、出力シャフト(5)およびギアボックス(1)と協働する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械式トルクコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大部分のトルクコンバータには、大部分の自動車に使用されているような流体継手の原理が用いられている。これらのトルクコンバータのトルク比は典型的には1.9〜2.5であり、その伝達損失率は10%ほども高いことがある。流体式トルクコンバータが悪化すると、その効率は劇的に低下する。その結果、自動車のガソリン消費量が典型的には9%以上、増大する。加えて、トルクコンバータは、精密な電子・油圧式制御システムとともに、油圧ポンプ、コンバータ調整装置で構成される必要がある。このため、典型的な油圧式トルクコンバータは、複雑であり、重く、故障率が高く、高価であり、また、製造が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、組み立てるのにそれほど複雑でなく、また、信頼性がより高いトルクコンバータを提供することである。
【0004】
本発明のさらに別の目的は、従来の流体継手式トルクコンバータよりも伝達効率が増大したトルクコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的を視野に入れて、本発明は、ケーシングと、該ケーシングへ入り込み、かつ、該ケーシングの内部で回転可能である入力シャフトと、上記ケーシングから出て行き、かつ、該ケーシングの内部で回転可能である出力シャフトと、上記ケーシングの内部に配置され、かつ、上記入力シャフトへ連結されたギアボックスと、上記ケーシングの内部に配置され、かつ、上記ギアボックスへ連結されていて、低い速度の下で上記ギアボックスにブレーキをかける逃がし装置と、上記出力シャフトおよび上記ギアボックスと協働するクラッチとを含む機械式トルクコンバータを提供する。
【0006】
好ましくは、上記出力シャフトがカップ状部材の基部に取り付けられているとともに、上記クラッチがこのカップ状部材の内部に配置されている。好ましい実施形態では、上記クラッチには、上記カップ部材へ固定された少なくとも1つの第1クラッチ板と、上記入力シャフトとともに回転可能である少なくとも1つの第2クラッチ板とが含まれている。好ましくは、上記クラッチが、上記少なくとも1つの第2クラッチ板に接しているさらに別のクラッチ板に押し付けられる複数の球によって付与された力の下で作動可能であり、さらにそのような力が遠心力の下で上記出力シャフトの回転速度とともに変動する。
【0007】
上記複数の球のそれぞれは上記カップ部材の基部の内側におけるそれぞれの溝に配置されていることが好ましく、また、それぞれの溝の深さは上記基部部材の中心へ向かって増大していることが好ましい。
【0008】
実際の実施形態において、上記カップ部材には、上記クラッチのためのチャンバを画成する内側環がある。内側ギアリングが上記カップ状部材の内側に配置されていてもよく、このギアリングは上記ギアボックスに係合する。上記ギアボックスは遊星型ギアボックスであって、上記内側ギアリングがこの遊星型ギアボックスのリングギアであることが好ましい。上記遊星型ギアボックスには、上記入力シャフトにおける太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合い、かつ、遊星歯車担持体の内部で回転可能である複数の遊星歯車と、上記遊星歯車担持体の内部で回転可能であり、かつ、上記複数の遊星歯車のそれぞれに噛み合うとともに上記リングギアに噛み合う複数の補助歯車とが含まれている。実際の実施形態における上記逃がし装置には、上記遊星型ギアボックスの遊星歯車担持体と、上記ケーシングの内側に接するために上記遊星歯車担持体に対して軸方向に可動である円錐状ブレーキフープとが含まれている。
【0009】
上記円錐状ブレーキフープは、上記ハウジングの内側上のリング状ブレーキストリップに接するのが好ましい。このブレーキフープは、上記遊星歯車担持体へらせん状に楔止されており、上記遊星歯車担持体の回転の際に上記遊星歯車担持体に対して軸方向に動くことができる。このブレーキフープは、上記遊星歯車担持体に対して弾性的に付勢されているのが好ましい。遊星歯車担持体には、一緒に組み立てられ、間隔を置いて配置された一対の対向状ホルダが含まれていてもよい。ブレーキフープは、上記ホルダの1つへらせん状に楔止されており、上記ホルダの上記1つにスプリングブレードによって弾性的に付勢されているのが好ましい。また、上記ホルダの上記1つと上記リングギアとの間には、シールが設けられているのが典型的である。上記内側環は上記クラッチによって摩擦係合可能であってもよい。
【0010】
本発明では純粋に機械的な完全体が使用されているので、加速性能、燃費および加速の円滑性が実現される。本発明は、操作がより安全であり、製造コストが比較的低い。この構成によれば、クラッチによって動力を柔軟性のある接続で伝達することができる。この構成によれば、荷重の変動の検出および感知もまたもたらされ、また、ギアボックスの自動トルク変動を制御するように、逃がし装置の作動状況が制御される。上記出力シャフトによって、動的出力トルクがギアボックスから荷重へ伝達される。本発明によれば、動力源と荷重との間におけるトルク伝達の柔軟性のある接続が実現される。この接続によれば、荷重における変動によって出力トルクが自動的に調整され、それによって、動力源および荷重がトルクの最も良好な適合に至る。本発明は、任意の動力源、例えば、電動モータ、内燃式エンジンなどへ適用することができる。本発明が自動車のエンジンへ適用された場合には、自動車が動き出すに連れて速度が徐々に増大することで、本発明によって、上記トルクが自動的に増大し、自動車を駆動するのに充分な動力が出力されて、自動車の静的慣性からの抵抗に打ち勝つことができる。この自動車がある速度に到達すると、本発明によって、エンジンの動力の100%が上記ギアボックスへ伝達される。駆動中には、本発明によって、エンジンの出力パワーが最大の結果をもたらすように、トルクを自動車の荷重変動どおりに自動的に変動させることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態の構造および機能的特徴は、添付図面とともに参照されるときに以下の詳細な説明からいっそう明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好ましい実施形態によって作られた機械的トルクコンバータの簡略化断面概略図である。
【図2】図1に示された機械的トルクコンバータの細部断面図である。
【図3】この機械的トルクコンバータの前方端部を示している、図2に類似した細部断面図である。
【図4】この機械的トルクコンバータのギアボックスの、図3における矢印A−Aに沿いかつその方向における断面図である。
【図5】この機械的トルクコンバータに使用された逃がし装置を示している、図3の断面図に類似した細部分解断面図である。
【図6】図5に示された逃がし装置の、図3における矢印B−Bに沿ったその方向における断面図である。
【図7】内側スプラインスリーブの、図3における矢印C−Cに沿ったその方向における断面図である。
【図8】外側スプラインスリーブの、図3における矢印D−Dに沿ったその方向における断面図である。
【図9】能動摩擦板の、図3における矢印E−Eに沿ったその方向における断面図である。
【図10】図9に示された能動摩擦板の側面図である。
【図11】押圧ディスクの、図3における矢印F−Fに沿ったその方向における断面図である。
【図12】従動摩擦板の、図3における矢印G−Gに沿ったその方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の実施形態によって作られたトルクコンバータ100の簡略図が示されている。トルクコンバータ100の主要構成要素はギアボックス1であり、このギアボックスは、駆動される入力シャフト2に連結されている。入力シャフト2は、内燃式エンジン、電動モータ、または他のあらゆる型のモータ装置あるいは回転装置によって駆動される。このトルクコンバータの制御は逃がし装置3およびクラッチ4によって行われる。クラッチ4は出力シャフト5へ連結されるようになっている。すべての構成要素は、逃がし装置3およびクラッチ4が収容されるメインハウジング6の中に組み込まれている。その好ましい実施形態の具体的な構造は、図2〜図12に示されている。
【0014】
メインハウジング6は実質的に円筒状の外殻102を含み、この外殻102は、いずれか一方の端部で端板21,39によって密閉されている。取付穴36は、トルクコンバータ100が例えばボルトのような固締手段(図示略)によって所定の構造(図示略)に固定することを可能にする。円筒状外殻102の両端部は、内方へある角度をなしていて、リング状ブレーキストリップ23を取り付けることのできる内曲がり状リップ104をもたらす。それぞれの端部には、入力シャフト2および出力シャフト5をそれぞれ支持するためのベアリング16および32が設けられている。
【0015】
この実施形態において、ギアボックス1は、キー18によって入力シャフト2へ固定された太陽歯車17が含まれている遊星型ギアボックスである。太陽歯車17は、遊星歯車担持体106の中に認められるベアリング19,20によって支持された遊星歯車26と噛み合っている。遊星歯車26は次に、遊星歯車担持体106の中に同様に認められるベアリング8,43によって支持された補助歯車9と噛み合っている。この遊星型ギアボックスはリングギア108によって完全体にされている。リングギア108は、出力シャフト5へ固定されたカップ状部材29の一部を形成している。遊星歯車担持体106は、それぞれのベアリング14,15,12を通った入力シャフト2の周りを回転可能である、対向する環状ホルダ11,25を備える。ボルト56は、対向する環状ホルダ11,25をスペーサー45を介した一体型ユニットに結合している。ワッシャー28が入力シャフト2へ取り付けられて、遊星歯車担持体106の動きを制限する。リング状オイルシール7が、カップ状部材29における凹所110の中と環状ホルダ11における溝112の中とに据え付けられている。カップ状部材29の内側に形成された空洞に潤滑用グリースを挿入することができる。
【0016】
逃がし装置3は、環状ホルダ11の周縁溝114から軸方向に動くことのできる円錐状ブレーキフープ22と作用することのできるリング状ブレーキストリップ23を含む。円錐状ブレーキフープ22には、その内面に4つのらせん状スロット55があり、これらのスロットは、環状ホルダ11の縮小部分116の外面における4つの対応らせん状キー54と嵌合する。この嵌合によって、円錐状ブレーキフープ22が、環状ホルダ11に対して軸方向に前後へ動くことができ、リング状ブレーキストリップ23に接することができる。円錐状ブレーキフープ22の制御された動きをもたらすために、一組のスプリングブレード10が、ねじ13によって環状ホルダ11へ固定されている。
【0017】
クラッチ4は、カップ状部材29の内部に収容された摩擦板を利用する。カップ状部材29には、その中に配置されて、カップ状部材29の基部120におけるベアリング42およびベアリング33を通った入力シャフト2の周りで回転可能である環37が備わっている。この実施形態におけるカップ状部材29は、ねじ固定部24を用いて基部120へ取り付けられた円筒状スリーブ118の備わった二部品構造として形成されている。内側スプラインスリーブ31が、スリーブキー30を通して入力シャフト2に同心状に固定されている。一対の能動摩擦板41が、それらの外側スプラインスリーブ34を通して内側スプラインスリーブ31へ動的にスリーブ連結されている。能動摩擦板41は、基板50、摩擦板49および外側スプラインスリーブ34を含む。組立に際し、基板50および摩擦板49は、基板リベット47で互いに結合される。基板50および外側スプラインスリーブ34は、スプラインスリーブリベット穴46を通してスプラインスリーブリベット48によってリベット結合される。従動摩擦板40は、円筒状スリーブ118の内壁における協働溝52に噛み合う外方突出歯53を介して取り付けられている。補助ディスク38が、カップ状部材29の基部120へ、補助ディスク38における開口51を通して、基部120のピン35で連結されている。典型的には40mm直径の鋼球27が、補助ディスク38とカップ状部材29の基部120との間で、基部120の内側におけるらせん溝122の中に配置されている。らせん溝122は、基部120の中心へ向かって増大する深さを有している。
【0018】
本発明の実施形態の作用が次に説明される。始動に際し、入力シャフト2の時計回り回転によって、太陽歯車17は同じ方向に同期して回転することができる。太陽歯車17に噛み合った遊星歯車26は反時計回りに回転する。補助歯車9は時計回りに回転する。しかしながら、リングギア108を介して補助歯車9に噛み合っている環37と、接続された出力シャフト5とともにあるカップ状部材29とは、荷重による抵抗のために回転することができない。その結果、対向している円形ホルダ11,25は、全体として反時計回りの回転を強いられる。静止している円錐状ブレーキフープ22は、そのらせん状スロット55と円形ホルダ11のらせん状キー54との作用の下で、高速で左方へ変位し始める。円錐状ブレーキフープ22とリング状ブレーキストリップ23の間の密な摩擦によって、対向している円形ホルダ11,25のユニットにブレーキがかかる。逃がし装置3は、このようにしてブレーキ制御の下にある。出力シャフト5は、リングギア108および補助歯車9を介して速度を減少させ、トルクを増大させるとともに時計回りに回転し始め、抵抗に打ち勝つときに、その荷重を始動させるとともに速度を徐々に増大させる。出力シャフト5からの増大したトルクが所定の増大した回転速度で荷重を作動させると、鋼球27は、基部120における溝122に沿った遠心力の下で位置を変えて、補助ディスク38を押し付ける。すると、補助ディスク38が、能動摩擦板41および従動摩擦板40を左方へ押し付ける。ディスク38および板40,41と環37の右側面との係合による摩擦力は徐々に増大する。鋼球27がさらに外方へ変位すると、それらによってクラッチ4の摩擦力がさらに増大し、入力シャフト2はその力をクラッチ4を介して出力シャフト5へ間接的に伝達する。入力シャフト2および出力シャフト5が同期して回転すると、対向する円形ホルダ11,25の完全なユニットは、反時計回り回転から時計回り回転へ変わる。それらのらせん状スロット55,らせん状キー54およびスプリングブレード10の作用によって、円形ホルダ11および円錐状ブレーキフープ22は、高速で右方へ変位して、円錐状ブレーキフープ22をリング状ブレーキストリップ23から係合解除させる。従って、逃がし装置3はその解放モードにある。クラッチ4は、入力シャフト2および出力シャフト5を間接的にロックして、トルクコンバータ100を1:1のトルク伝達状態にする。
【0019】
荷重が重すぎたり動力入力端部で速度減少したことが理由でカップ状部材29の速度が減少すると、鋼球27の遠心力は減少する。クラッチ4の摩擦力は徐々に減少する。入力シャフト2と出力シャフト5との間の回転速度に差があれば、対向する円形ホルダ11,25のユニットは反時計回りに回転し始める。円錐状ブレーキフープ22および円形ホルダ11は、らせん状スロット55とらせん状キーとの協働によって、高速で左方へ再び変位する。円錐状ブレーキフープ22とリング状ブレーキストリップ23との間の摩擦によって、対向している円形ホルダ11,25のユニットに再びブレーキがかかる。逃がし装置3は、ブレーキ制御状態の下になる。従って、リングギア108によって補助歯車9へ係合した環37は、出力シャフト5を駆動して、減少した速度と増大したトルクとで荷重を再び時計回りに駆動し始める。
【0020】
本発明は、内燃式エンジン、電動モータ、風力タービンかどうかに関わりなくあらゆるモータあるいは他の適切な回転装置へ連結することができる。この装置は、どのような電子的制御あるいは流体力学の利用にもよることなく作動する。この装置は、エネルギー効率がきわめて優れているとともに、費用の高い維持管理の必要性がほとんどない。維持管理が必要であれば、分解することは比較的容易である。好ましい実施形態によれば、2.1〜13.7のトルク比がもたらされる。この装置の伝達効率は、98%を超えるほど高い。
【0021】
本発明は当業者にとって容易に明らかな多くの更なる改良を含むことが理解され、それらは本発明の広い範囲および領域の内部に存在すると考えられる。本明細書では、本発明の広い特性および特定の実施形態が例示的に説明された。
【技術分野】
【0001】
本発明は機械式トルクコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大部分のトルクコンバータには、大部分の自動車に使用されているような流体継手の原理が用いられている。これらのトルクコンバータのトルク比は典型的には1.9〜2.5であり、その伝達損失率は10%ほども高いことがある。流体式トルクコンバータが悪化すると、その効率は劇的に低下する。その結果、自動車のガソリン消費量が典型的には9%以上、増大する。加えて、トルクコンバータは、精密な電子・油圧式制御システムとともに、油圧ポンプ、コンバータ調整装置で構成される必要がある。このため、典型的な油圧式トルクコンバータは、複雑であり、重く、故障率が高く、高価であり、また、製造が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、組み立てるのにそれほど複雑でなく、また、信頼性がより高いトルクコンバータを提供することである。
【0004】
本発明のさらに別の目的は、従来の流体継手式トルクコンバータよりも伝達効率が増大したトルクコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的を視野に入れて、本発明は、ケーシングと、該ケーシングへ入り込み、かつ、該ケーシングの内部で回転可能である入力シャフトと、上記ケーシングから出て行き、かつ、該ケーシングの内部で回転可能である出力シャフトと、上記ケーシングの内部に配置され、かつ、上記入力シャフトへ連結されたギアボックスと、上記ケーシングの内部に配置され、かつ、上記ギアボックスへ連結されていて、低い速度の下で上記ギアボックスにブレーキをかける逃がし装置と、上記出力シャフトおよび上記ギアボックスと協働するクラッチとを含む機械式トルクコンバータを提供する。
【0006】
好ましくは、上記出力シャフトがカップ状部材の基部に取り付けられているとともに、上記クラッチがこのカップ状部材の内部に配置されている。好ましい実施形態では、上記クラッチには、上記カップ部材へ固定された少なくとも1つの第1クラッチ板と、上記入力シャフトとともに回転可能である少なくとも1つの第2クラッチ板とが含まれている。好ましくは、上記クラッチが、上記少なくとも1つの第2クラッチ板に接しているさらに別のクラッチ板に押し付けられる複数の球によって付与された力の下で作動可能であり、さらにそのような力が遠心力の下で上記出力シャフトの回転速度とともに変動する。
【0007】
上記複数の球のそれぞれは上記カップ部材の基部の内側におけるそれぞれの溝に配置されていることが好ましく、また、それぞれの溝の深さは上記基部部材の中心へ向かって増大していることが好ましい。
【0008】
実際の実施形態において、上記カップ部材には、上記クラッチのためのチャンバを画成する内側環がある。内側ギアリングが上記カップ状部材の内側に配置されていてもよく、このギアリングは上記ギアボックスに係合する。上記ギアボックスは遊星型ギアボックスであって、上記内側ギアリングがこの遊星型ギアボックスのリングギアであることが好ましい。上記遊星型ギアボックスには、上記入力シャフトにおける太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合い、かつ、遊星歯車担持体の内部で回転可能である複数の遊星歯車と、上記遊星歯車担持体の内部で回転可能であり、かつ、上記複数の遊星歯車のそれぞれに噛み合うとともに上記リングギアに噛み合う複数の補助歯車とが含まれている。実際の実施形態における上記逃がし装置には、上記遊星型ギアボックスの遊星歯車担持体と、上記ケーシングの内側に接するために上記遊星歯車担持体に対して軸方向に可動である円錐状ブレーキフープとが含まれている。
【0009】
上記円錐状ブレーキフープは、上記ハウジングの内側上のリング状ブレーキストリップに接するのが好ましい。このブレーキフープは、上記遊星歯車担持体へらせん状に楔止されており、上記遊星歯車担持体の回転の際に上記遊星歯車担持体に対して軸方向に動くことができる。このブレーキフープは、上記遊星歯車担持体に対して弾性的に付勢されているのが好ましい。遊星歯車担持体には、一緒に組み立てられ、間隔を置いて配置された一対の対向状ホルダが含まれていてもよい。ブレーキフープは、上記ホルダの1つへらせん状に楔止されており、上記ホルダの上記1つにスプリングブレードによって弾性的に付勢されているのが好ましい。また、上記ホルダの上記1つと上記リングギアとの間には、シールが設けられているのが典型的である。上記内側環は上記クラッチによって摩擦係合可能であってもよい。
【0010】
本発明では純粋に機械的な完全体が使用されているので、加速性能、燃費および加速の円滑性が実現される。本発明は、操作がより安全であり、製造コストが比較的低い。この構成によれば、クラッチによって動力を柔軟性のある接続で伝達することができる。この構成によれば、荷重の変動の検出および感知もまたもたらされ、また、ギアボックスの自動トルク変動を制御するように、逃がし装置の作動状況が制御される。上記出力シャフトによって、動的出力トルクがギアボックスから荷重へ伝達される。本発明によれば、動力源と荷重との間におけるトルク伝達の柔軟性のある接続が実現される。この接続によれば、荷重における変動によって出力トルクが自動的に調整され、それによって、動力源および荷重がトルクの最も良好な適合に至る。本発明は、任意の動力源、例えば、電動モータ、内燃式エンジンなどへ適用することができる。本発明が自動車のエンジンへ適用された場合には、自動車が動き出すに連れて速度が徐々に増大することで、本発明によって、上記トルクが自動的に増大し、自動車を駆動するのに充分な動力が出力されて、自動車の静的慣性からの抵抗に打ち勝つことができる。この自動車がある速度に到達すると、本発明によって、エンジンの動力の100%が上記ギアボックスへ伝達される。駆動中には、本発明によって、エンジンの出力パワーが最大の結果をもたらすように、トルクを自動車の荷重変動どおりに自動的に変動させることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態の構造および機能的特徴は、添付図面とともに参照されるときに以下の詳細な説明からいっそう明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好ましい実施形態によって作られた機械的トルクコンバータの簡略化断面概略図である。
【図2】図1に示された機械的トルクコンバータの細部断面図である。
【図3】この機械的トルクコンバータの前方端部を示している、図2に類似した細部断面図である。
【図4】この機械的トルクコンバータのギアボックスの、図3における矢印A−Aに沿いかつその方向における断面図である。
【図5】この機械的トルクコンバータに使用された逃がし装置を示している、図3の断面図に類似した細部分解断面図である。
【図6】図5に示された逃がし装置の、図3における矢印B−Bに沿ったその方向における断面図である。
【図7】内側スプラインスリーブの、図3における矢印C−Cに沿ったその方向における断面図である。
【図8】外側スプラインスリーブの、図3における矢印D−Dに沿ったその方向における断面図である。
【図9】能動摩擦板の、図3における矢印E−Eに沿ったその方向における断面図である。
【図10】図9に示された能動摩擦板の側面図である。
【図11】押圧ディスクの、図3における矢印F−Fに沿ったその方向における断面図である。
【図12】従動摩擦板の、図3における矢印G−Gに沿ったその方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の実施形態によって作られたトルクコンバータ100の簡略図が示されている。トルクコンバータ100の主要構成要素はギアボックス1であり、このギアボックスは、駆動される入力シャフト2に連結されている。入力シャフト2は、内燃式エンジン、電動モータ、または他のあらゆる型のモータ装置あるいは回転装置によって駆動される。このトルクコンバータの制御は逃がし装置3およびクラッチ4によって行われる。クラッチ4は出力シャフト5へ連結されるようになっている。すべての構成要素は、逃がし装置3およびクラッチ4が収容されるメインハウジング6の中に組み込まれている。その好ましい実施形態の具体的な構造は、図2〜図12に示されている。
【0014】
メインハウジング6は実質的に円筒状の外殻102を含み、この外殻102は、いずれか一方の端部で端板21,39によって密閉されている。取付穴36は、トルクコンバータ100が例えばボルトのような固締手段(図示略)によって所定の構造(図示略)に固定することを可能にする。円筒状外殻102の両端部は、内方へある角度をなしていて、リング状ブレーキストリップ23を取り付けることのできる内曲がり状リップ104をもたらす。それぞれの端部には、入力シャフト2および出力シャフト5をそれぞれ支持するためのベアリング16および32が設けられている。
【0015】
この実施形態において、ギアボックス1は、キー18によって入力シャフト2へ固定された太陽歯車17が含まれている遊星型ギアボックスである。太陽歯車17は、遊星歯車担持体106の中に認められるベアリング19,20によって支持された遊星歯車26と噛み合っている。遊星歯車26は次に、遊星歯車担持体106の中に同様に認められるベアリング8,43によって支持された補助歯車9と噛み合っている。この遊星型ギアボックスはリングギア108によって完全体にされている。リングギア108は、出力シャフト5へ固定されたカップ状部材29の一部を形成している。遊星歯車担持体106は、それぞれのベアリング14,15,12を通った入力シャフト2の周りを回転可能である、対向する環状ホルダ11,25を備える。ボルト56は、対向する環状ホルダ11,25をスペーサー45を介した一体型ユニットに結合している。ワッシャー28が入力シャフト2へ取り付けられて、遊星歯車担持体106の動きを制限する。リング状オイルシール7が、カップ状部材29における凹所110の中と環状ホルダ11における溝112の中とに据え付けられている。カップ状部材29の内側に形成された空洞に潤滑用グリースを挿入することができる。
【0016】
逃がし装置3は、環状ホルダ11の周縁溝114から軸方向に動くことのできる円錐状ブレーキフープ22と作用することのできるリング状ブレーキストリップ23を含む。円錐状ブレーキフープ22には、その内面に4つのらせん状スロット55があり、これらのスロットは、環状ホルダ11の縮小部分116の外面における4つの対応らせん状キー54と嵌合する。この嵌合によって、円錐状ブレーキフープ22が、環状ホルダ11に対して軸方向に前後へ動くことができ、リング状ブレーキストリップ23に接することができる。円錐状ブレーキフープ22の制御された動きをもたらすために、一組のスプリングブレード10が、ねじ13によって環状ホルダ11へ固定されている。
【0017】
クラッチ4は、カップ状部材29の内部に収容された摩擦板を利用する。カップ状部材29には、その中に配置されて、カップ状部材29の基部120におけるベアリング42およびベアリング33を通った入力シャフト2の周りで回転可能である環37が備わっている。この実施形態におけるカップ状部材29は、ねじ固定部24を用いて基部120へ取り付けられた円筒状スリーブ118の備わった二部品構造として形成されている。内側スプラインスリーブ31が、スリーブキー30を通して入力シャフト2に同心状に固定されている。一対の能動摩擦板41が、それらの外側スプラインスリーブ34を通して内側スプラインスリーブ31へ動的にスリーブ連結されている。能動摩擦板41は、基板50、摩擦板49および外側スプラインスリーブ34を含む。組立に際し、基板50および摩擦板49は、基板リベット47で互いに結合される。基板50および外側スプラインスリーブ34は、スプラインスリーブリベット穴46を通してスプラインスリーブリベット48によってリベット結合される。従動摩擦板40は、円筒状スリーブ118の内壁における協働溝52に噛み合う外方突出歯53を介して取り付けられている。補助ディスク38が、カップ状部材29の基部120へ、補助ディスク38における開口51を通して、基部120のピン35で連結されている。典型的には40mm直径の鋼球27が、補助ディスク38とカップ状部材29の基部120との間で、基部120の内側におけるらせん溝122の中に配置されている。らせん溝122は、基部120の中心へ向かって増大する深さを有している。
【0018】
本発明の実施形態の作用が次に説明される。始動に際し、入力シャフト2の時計回り回転によって、太陽歯車17は同じ方向に同期して回転することができる。太陽歯車17に噛み合った遊星歯車26は反時計回りに回転する。補助歯車9は時計回りに回転する。しかしながら、リングギア108を介して補助歯車9に噛み合っている環37と、接続された出力シャフト5とともにあるカップ状部材29とは、荷重による抵抗のために回転することができない。その結果、対向している円形ホルダ11,25は、全体として反時計回りの回転を強いられる。静止している円錐状ブレーキフープ22は、そのらせん状スロット55と円形ホルダ11のらせん状キー54との作用の下で、高速で左方へ変位し始める。円錐状ブレーキフープ22とリング状ブレーキストリップ23の間の密な摩擦によって、対向している円形ホルダ11,25のユニットにブレーキがかかる。逃がし装置3は、このようにしてブレーキ制御の下にある。出力シャフト5は、リングギア108および補助歯車9を介して速度を減少させ、トルクを増大させるとともに時計回りに回転し始め、抵抗に打ち勝つときに、その荷重を始動させるとともに速度を徐々に増大させる。出力シャフト5からの増大したトルクが所定の増大した回転速度で荷重を作動させると、鋼球27は、基部120における溝122に沿った遠心力の下で位置を変えて、補助ディスク38を押し付ける。すると、補助ディスク38が、能動摩擦板41および従動摩擦板40を左方へ押し付ける。ディスク38および板40,41と環37の右側面との係合による摩擦力は徐々に増大する。鋼球27がさらに外方へ変位すると、それらによってクラッチ4の摩擦力がさらに増大し、入力シャフト2はその力をクラッチ4を介して出力シャフト5へ間接的に伝達する。入力シャフト2および出力シャフト5が同期して回転すると、対向する円形ホルダ11,25の完全なユニットは、反時計回り回転から時計回り回転へ変わる。それらのらせん状スロット55,らせん状キー54およびスプリングブレード10の作用によって、円形ホルダ11および円錐状ブレーキフープ22は、高速で右方へ変位して、円錐状ブレーキフープ22をリング状ブレーキストリップ23から係合解除させる。従って、逃がし装置3はその解放モードにある。クラッチ4は、入力シャフト2および出力シャフト5を間接的にロックして、トルクコンバータ100を1:1のトルク伝達状態にする。
【0019】
荷重が重すぎたり動力入力端部で速度減少したことが理由でカップ状部材29の速度が減少すると、鋼球27の遠心力は減少する。クラッチ4の摩擦力は徐々に減少する。入力シャフト2と出力シャフト5との間の回転速度に差があれば、対向する円形ホルダ11,25のユニットは反時計回りに回転し始める。円錐状ブレーキフープ22および円形ホルダ11は、らせん状スロット55とらせん状キーとの協働によって、高速で左方へ再び変位する。円錐状ブレーキフープ22とリング状ブレーキストリップ23との間の摩擦によって、対向している円形ホルダ11,25のユニットに再びブレーキがかかる。逃がし装置3は、ブレーキ制御状態の下になる。従って、リングギア108によって補助歯車9へ係合した環37は、出力シャフト5を駆動して、減少した速度と増大したトルクとで荷重を再び時計回りに駆動し始める。
【0020】
本発明は、内燃式エンジン、電動モータ、風力タービンかどうかに関わりなくあらゆるモータあるいは他の適切な回転装置へ連結することができる。この装置は、どのような電子的制御あるいは流体力学の利用にもよることなく作動する。この装置は、エネルギー効率がきわめて優れているとともに、費用の高い維持管理の必要性がほとんどない。維持管理が必要であれば、分解することは比較的容易である。好ましい実施形態によれば、2.1〜13.7のトルク比がもたらされる。この装置の伝達効率は、98%を超えるほど高い。
【0021】
本発明は当業者にとって容易に明らかな多くの更なる改良を含むことが理解され、それらは本発明の広い範囲および領域の内部に存在すると考えられる。本明細書では、本発明の広い特性および特定の実施形態が例示的に説明された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、前記ケーシングへ入り込み、かつ、前記ケーシングの内部で回転可能である入力シャフトと、前記ケーシングから出て行き、かつ、前記ケーシングの内部で回転可能である出力シャフトと、前記ケーシングの内部に配置され、かつ、前記入力シャフトへ連結されたギアボックスと、前記ケーシングの内部に配置され、かつ、前記ギアボックスへ連結されていて、低い速度の下で前記ギアボックスにブレーキをかける逃がし装置と、前記出力シャフトおよび前記ギアボックスと協働するクラッチとを含んでいる機械式トルクコンバータ。
【請求項2】
前記出力シャフトが、カップ状部材の基部に取り付けられており、かつ、前記クラッチが、前記カップ状部材の内部に配置されている、請求項1に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項3】
前記クラッチが、前記カップ状部材へ固定された少なくとも1つの第1クラッチ板と、前記入力シャフトとともに回転可能である少なくとも1つの第2クラッチ板とを含んでいる、請求項2に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項4】
前記クラッチが、前記少なくとも1つの第2クラッチ板に接しているさらに別のクラッチ板に押し付けられる複数の球によって付与された力の下で作動可能であり、かつ、そのような力が、遠心力の下で前記出力シャフトの回転速度とともに変動する、請求項2または3に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項5】
前記複数の球のそれぞれが、前記カップ部材の基部の内側におけるそれぞれの溝に配置されており、かつ、それぞれの溝の深さが、前記基部の中心へ向かって増大している、請求項4に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項6】
前記カップ状部材が、前記クラッチのためのチャンバを画成する内側環を有している、請求項2〜5のいずれか一項に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項7】
内側ギアリングが、前記カップ状部材の内側に配置されており、かつ、前記ギアボックスに噛み合っている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項8】
前記ギアボックスが遊星型ギアボックスであって、前記内側ギアリングが前記遊星型ギアボックスのリングギアである、請求項7に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項9】
前記遊星型ギアボックスが、前記入力シャフトにおける太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合い、かつ、遊星歯車担持体の内部で回転可能である複数の遊星歯車と、前記遊星歯車担持体の内部で回転可能であり、かつ、前記複数の遊星歯車のそれぞれに噛み合うとともに前記リングギアに噛み合う複数の補助歯車とを含んでいる、請求項8に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項10】
前記逃がし装置が、前記遊星型ギアボックスの遊星歯車担持体と、前記ケーシングの内側面に接するために前記遊星歯車担持体に対して軸方向に可動である円錐状ブレーキフープとを含んでいる、請求項8または9に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項11】
前記円錐状ブレーキフープが、前記ハウジングの内側上のリング状ブレーキストリップに接する、請求項10に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項12】
前記ブレーキフープが、前記遊星歯車担持体にらせん状に楔止されており、かつ、前記遊星歯車担持体の回転の際に前記遊星歯車担持体に対して軸方向に動くことができる、請求項9に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項13】
前記ブレーキフープが、前記遊星歯車担持体に対して弾性的に付勢されている、請求項10または11に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項14】
前記遊星歯車担持体が、共に組み立てられ、かつ間隔を置いて配置された一対の対向状ホルダを含んでいる、請求項9〜13のいずれか一項に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項15】
前記ブレーキフープが、前記ホルダの1つへらせん状に楔止されているとともに、前記ホルダの前記1つの上でスプリングブレードによって弾性的に付勢されている、請求項11、12または13に従属する請求項14に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項16】
前記ホルダの前記1つと前記リングギアとの間にシールが設けられている、請求項15記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項17】
前記内側環が、前記クラッチによって摩擦係合可能である、請求項6記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項1】
ケーシングと、前記ケーシングへ入り込み、かつ、前記ケーシングの内部で回転可能である入力シャフトと、前記ケーシングから出て行き、かつ、前記ケーシングの内部で回転可能である出力シャフトと、前記ケーシングの内部に配置され、かつ、前記入力シャフトへ連結されたギアボックスと、前記ケーシングの内部に配置され、かつ、前記ギアボックスへ連結されていて、低い速度の下で前記ギアボックスにブレーキをかける逃がし装置と、前記出力シャフトおよび前記ギアボックスと協働するクラッチとを含んでいる機械式トルクコンバータ。
【請求項2】
前記出力シャフトが、カップ状部材の基部に取り付けられており、かつ、前記クラッチが、前記カップ状部材の内部に配置されている、請求項1に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項3】
前記クラッチが、前記カップ状部材へ固定された少なくとも1つの第1クラッチ板と、前記入力シャフトとともに回転可能である少なくとも1つの第2クラッチ板とを含んでいる、請求項2に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項4】
前記クラッチが、前記少なくとも1つの第2クラッチ板に接しているさらに別のクラッチ板に押し付けられる複数の球によって付与された力の下で作動可能であり、かつ、そのような力が、遠心力の下で前記出力シャフトの回転速度とともに変動する、請求項2または3に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項5】
前記複数の球のそれぞれが、前記カップ部材の基部の内側におけるそれぞれの溝に配置されており、かつ、それぞれの溝の深さが、前記基部の中心へ向かって増大している、請求項4に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項6】
前記カップ状部材が、前記クラッチのためのチャンバを画成する内側環を有している、請求項2〜5のいずれか一項に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項7】
内側ギアリングが、前記カップ状部材の内側に配置されており、かつ、前記ギアボックスに噛み合っている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項8】
前記ギアボックスが遊星型ギアボックスであって、前記内側ギアリングが前記遊星型ギアボックスのリングギアである、請求項7に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項9】
前記遊星型ギアボックスが、前記入力シャフトにおける太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合い、かつ、遊星歯車担持体の内部で回転可能である複数の遊星歯車と、前記遊星歯車担持体の内部で回転可能であり、かつ、前記複数の遊星歯車のそれぞれに噛み合うとともに前記リングギアに噛み合う複数の補助歯車とを含んでいる、請求項8に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項10】
前記逃がし装置が、前記遊星型ギアボックスの遊星歯車担持体と、前記ケーシングの内側面に接するために前記遊星歯車担持体に対して軸方向に可動である円錐状ブレーキフープとを含んでいる、請求項8または9に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項11】
前記円錐状ブレーキフープが、前記ハウジングの内側上のリング状ブレーキストリップに接する、請求項10に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項12】
前記ブレーキフープが、前記遊星歯車担持体にらせん状に楔止されており、かつ、前記遊星歯車担持体の回転の際に前記遊星歯車担持体に対して軸方向に動くことができる、請求項9に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項13】
前記ブレーキフープが、前記遊星歯車担持体に対して弾性的に付勢されている、請求項10または11に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項14】
前記遊星歯車担持体が、共に組み立てられ、かつ間隔を置いて配置された一対の対向状ホルダを含んでいる、請求項9〜13のいずれか一項に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項15】
前記ブレーキフープが、前記ホルダの1つへらせん状に楔止されているとともに、前記ホルダの前記1つの上でスプリングブレードによって弾性的に付勢されている、請求項11、12または13に従属する請求項14に記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項16】
前記ホルダの前記1つと前記リングギアとの間にシールが設けられている、請求項15記載の機械式トルクコンバータ。
【請求項17】
前記内側環が、前記クラッチによって摩擦係合可能である、請求項6記載の機械式トルクコンバータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−504472(P2010−504472A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528557(P2009−528557)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001431
【国際公開番号】WO2008/037013
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508261301)
【出願人】(508261312)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001431
【国際公開番号】WO2008/037013
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508261301)
【出願人】(508261312)
【Fターム(参考)】
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