欠陥検出方法および欠陥検出装置
【課題】複雑な構造面を検査対象とする場合であっても、フィルタ設定に手間が掛からず、欠陥を高精度に検出可能な欠陥検出方法の提供。
【解決手段】本発明は、検査画像取得工程と、検査画像を構造物間の境界を成すエッジに基づいて複数の検査領域41〜44に分割する領域分割工程と、検査領域をエッジに沿った方向または検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角p1〜p6を検出する角検出工程と、隣合う角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得工程と、前記領域分割線分を基準として、当該領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域R1等を設定するフィルタ適用領域設定工程と、フィルタ適用領域R1等毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理工程と、を備える。
【解決手段】本発明は、検査画像取得工程と、検査画像を構造物間の境界を成すエッジに基づいて複数の検査領域41〜44に分割する領域分割工程と、検査領域をエッジに沿った方向または検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角p1〜p6を検出する角検出工程と、隣合う角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得工程と、前記領域分割線分を基準として、当該領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域R1等を設定するフィルタ適用領域設定工程と、フィルタ適用領域R1等毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハーなどの検査対象に発生した異物などの欠陥の検出方法および検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、欠陥検出方法として特許文献1、2のような手法が知られている。
特許文献1では、検査画像を幾つかの正方形の領域に分割し、分割した領域毎に、その領域内の平均濃度と対象画素の濃度との差分に基づいて欠陥検出を行う。
一方、特許文献2では、検査画像に対して所定の走査線方向を設定し、対象画素から走査線に沿って前後にそれぞれ等距離だけ離れた画素を比較画素とするフィルタを使用し、フィルタ処理により、対象画素の濃度値と、比較画素の濃度値の代表値とから算出された欠陥度に基づいて欠陥検出を行う。
【0003】
【特許文献1】特開2000−258353号公報
【特許文献2】特開平8−101139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、検査画像上でコントラストがある部分を欠陥部として把握可能なため、検査画像において所定の閾値以上の濃度差が生じている部分を欠陥として検出する。ところが、このような濃度差に基づく欠陥検出に際しては、構造のエッジ部分や、隣合う構造同士に生じる濃度差や、照明等の影響による検査画像の濃度ムラが検出精度に影響する。
【0005】
具体的に、複雑なパターンが集積したウェハー表面など、複雑な構造面に発生した欠陥を検出するにあたり、その構造面を撮影した検査画像を一括で処理した場合、隣合う構造間の濃度差や、構造のエッジ部分における濃度差に反応してしまい、誤検出となる。このため、複雑な構造面の欠陥検出を行う際には、どの領域にどのような処理を適用するのかを設定することが必要であり、そのためには、構造面を撮影した検査画像から各構造のそれぞれを区画し、その区画された領域毎にフィルタを設定することが有効であるが、それには膨大な手間がかかってしまう。
【0006】
また、照明等の影響によって検査画像に濃度ムラがある場合、良品であっても平均濃度とは離れた濃度を持つ画素が存在する。すなわち、検査画像に濃度ムラがある場合、平均濃度に対して許容可能なマージン(閾値)を設定する方法では、検出精度が落ちてしまう。
【0007】
ここで、特許文献1において分割されたそれぞれの領域では、構造間の濃度の違いを欠陥と誤判定してしまう場合がある。つまり、特許文献1の方法は、複雑な構造面の欠陥検出には不向きである。また、特許文献1の場合、照明等による濃度ムラによって平均濃度とは離れた濃度を持つ画素が存在することが誤検出の要因となる。
一方、特許文献2の方法では、あらかじめ設定した所定の走査線方向においてのみ、フィルタを適用するため、複雑な構造面を撮影した検査画像においてはエッジ部分の濃度差や構造間の濃度差に反応してしまい、誤検出となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複雑な構造面を検査対象とする場合であっても、フィルタ設定に手間が掛からず、欠陥を高精度に検出可能な欠陥検出方法および欠陥検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の欠陥検出方法は、複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得工程と、前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割工程と、前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出工程と、隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得工程と、前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定工程と、前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明では、構造物のエッジに沿って検査画像の領域分割を行うとともに検査領域の角を検出し、角と角とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に応じてフィルタ適用領域を設定する。そして、各フィルタ適用領域において、角と角とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に沿って対象画素および比較画素が設定されたフィルタを適用する。このような本発明によれば、各構造物の形状に合わせて分割された検査領域のそれぞれにおいて、フィルタの適用範囲および適用するフィルタが自動的に設定されるので、複数の構造物が集積されたような複雑な構造面を検査対象とする場合であってもフィルタの設定に手間が掛からず、しかも、構造間の濃度差やエッジ部分での反射による濃度差などに影響を受けることなく、高精度に欠陥を検出できる。
また、本発明では対象画素の濃度と、対象画素に対して対角に配置された比較画素の濃度とを比較するため、領域内の平均濃度と対象画素の濃度値とを比較するような場合とは異なり、照明等の影響による濃度ムラが検査画像に生じている場合でも濃度ムラの影響を受けにくく、高精度に欠陥を検出できる。
【0011】
本発明の欠陥検出方法では、前記フィルタ適用領域設定工程では、前記領域分割線分のうち一の領域分割線分の一端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って、他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置まで延ばした設定用線分を仮定し、この設定用線分を構成する複数の画素から前記一の領域分割線分の傾き方向に沿って両側に延ばした直線が他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置までの範囲を前記フィルタ適用領域とすることが好ましい。
【0012】
この発明では、検査領域の角と角とを結ぶ一の領域分割線分と、一の領域分割線分の傾き方向に平行な直線と、他の領域分割線分とに基づいてフィルタ適用領域を規定するので、フィルタ適用領域の設定が容易となる。なお、検査画像の端縁までにフィルタ適用領域が制限されることにより、検査画像の領域外にはフィルタが適用されない。
【0013】
本発明の欠陥検出装置は、複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得手段と、前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割手段と、前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出手段と、隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得手段と、前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定手段と、前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、前述の欠陥検出方法と同様に、各構造物の形状に合わせて分割された検査領域のそれぞれにおいて、フィルタの適用範囲および適用するフィルタが自動的に設定されるので、複雑な構造面を検査対象とする場合であってもフィルタの設定に手間が掛かることなく、高精度に欠陥を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
〔1.装置の全体構成〕
図1は、本実施形態における欠陥検出装置を示す図である。
欠陥検出装置1は、複数の構造物を含む基板2に発生した異物やキズなどの欠陥を検出するものであり、基板2を支持するXYステージ3と、基板2の表面を撮像するCCDカメラ(CCDエリアカメラ)4と、CCDカメラ4が設置されたZステージ5と、これらのXYステージ3、CCDカメラ4、およびZステージ5に接続された制御装置(コンピュータ)6とを備えて構成される。
【0016】
なお、XYステージ3は、図1に示すように、XY方向への移動が可能であり、Zステージ5は、Z方向への移動が可能である。これらのステージにより、基板2とCCDカメラ4とを相対的にXYZ方向に移動させることが可能である。
【0017】
制御装置6は、XYステージ3、CCDカメラ4、およびZステージ5を動作させ、基板2の表面を撮像して検査画像を作成する検査画像取得手段11と、検査画像を複数の検査領域に分割する領域分割手段12と、検査領域の角を検出する角検出手段13と、検査領域における隣合う角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得手段14と、検査領域の角と角とを結ぶ領域分割線分を基準として、フィルタを適用する範囲を設定するフィルタ適用領域設定手段15と、フィルタ適用領域毎にフィルタを適用するフィルタ処理手段16と、を備える。
【0018】
〔2.フィルタの構成〕
図2は、フィルタ処理手段16がフィルタ適用領域に適用するフィルタの構成を示す。このフィルタは、フィルタ適用領域において順次1画素ずつ選択される対象画素Aと、この対象画素Aに対して等距離に対角に配置される2つの比較画素B1,B2とをそれぞれ設定する。一方の比較画素B2は、対象画素Aに対して所定角度αを成す方向に配置され、他方の比較画素B1は、所定角度α+180度の方向に配置されている。ここで、比較画素B1,B2が配置される角度方向は、後述するように、フィルタが適用される検査領域のエッジの方向によって決まる。
このフィルタは、対象画素Aの濃度値をg(A)、各比較画素B1,B2の濃度値をそれぞれg(B1),g(B2)とすると、次のような欠陥値算出用の値を出力する。
【0019】
〔式1〕
フィルタ出力値 = g(A) − MIN{g(B1),g(B2)}
ここで、「MIN」の処理では、2つの比較画素B1,B2の濃度値g(B1),g(B2)の値が異なる場合には、小さい方の値が選択され、濃度値g(B1),g(B2)が同じである場合には、いずれか一方の値(g(B1)あるいはg(B2))が選択される。
【0020】
なお、フィルタにおける比較画素B1,B2間の距離は、強調する欠陥のサイズに応じて決められており、本実施形態では、欠陥のサイズの2倍以上にあたる4画素に設定されている。必要に応じて複数のサイズのフィルタを使用することにより、様々なサイズの欠陥を強調することが可能である。
【0021】
〔3.欠陥検出方法〕
以下、本実施形態の欠陥検出方法について説明する。本実施形態における欠陥検出方法は、図3に示すように、検査画像取得工程S1と、領域分割工程S2と、角検出工程S3と、傾き取得工程S4と、フィルタ適用領域設定工程S5と、フィルタ処理工程S6と、を備える。これらの工程S1〜S6は、制御装置6(図1)によって実行される。
【0022】
〔3−1.検査画像作成〕
欠陥検出処理を開始すると、制御装置6における検査画像取得手段11は、XYステージ3、CCDカメラ4、およびZステージ5を制御して基板2における所定の範囲をCCDカメラ4で撮像し、CCDカメラ4から撮像データを取り込んで検査画像を作成する(検査画像取得工程S1)。なお、必要に応じて、取り込んだ検査画像の補正を行う。
この工程S1により、例えば図4のような検査画像が作成される。この検査画像には、隣合う複数の構造物21〜24が含まれており、構造物23には周囲に比べて濃度値が小さい欠陥31が存在し、構造物22には周囲に比べて濃度値が大きい欠陥32が存在している。
【0023】
〔3−2.領域分割工程〕
次に、制御装置6の領域分割手段12は、図4の検査画像から隣り合う構造物21〜24の境界を成すエッジ40を検出し、図5のように、検査画像をエッジ40に基づいて複数の検査領域41〜44に分割する(領域分割工程S2)。これらの検査領域41〜44は、基板2の表面の構造物21〜24にそれぞれ対応している。各検査領域41〜44間の境界線(領域分割線分)は、エッジ40、または検査画像の端縁である。
なお、検査画像によっては、構造物のエッジが写っていない場合もあり、このような場合には、領域分割を行わずに検査画像を一括で処理する。
【0024】
〔3−3.角検出工程〕
領域分割が済んだら、角検出手段13は、検査領域41〜44のそれぞれを領域分割線分に沿って走査し、検査領域の角(コーナー)を検出する。なお、構造物21〜24が検査画像の外側にまで延出している場合には、その構造物のエッジ40が検査画像の端縁に交差する箇所が、検査領域の角として検出される。
ここで、以降の工程S4〜S6は検査領域41〜44のそれぞれについて行うが、以下では、主に検査領域43についての処理を例にとって説明し、その他の検査領域41,42,44については説明を省略または簡略する。
図6は、検査領域43についての角検出の結果を示す。角検出手段13は、検査領域43の左上座標から時計回りに各エッジ40または検査画像の端縁にそれぞれ沿って走査することにより(図6の矢印参照)、順次、角p1(x1,y1)〜p6(x6,y6)を検出する。なお、角の数は検査領域によって異なり、検査領域の形状に応じて、角p1(x1,y1)〜pn(xn,yn)が検出される。
【0025】
〔3−4.傾き取得工程〕
検査領域43の角p1(x1,y1)〜p6(x6,y6)が検出されると、これらの角の座標に基づいて、傾き取得手段14は隣合う角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める(傾き取得工程S4)。例えば、角p1(x1,y1)と角p2(x2,y2)とを結ぶ領域分割線分の傾きd1は式(1)の通りとなり、角p2(x2,y2)と角p3(x3,y3)とを結ぶ領域分割線分の傾きd2は式(2)の通りとなる。
【0026】
【数1】
【0027】
【数2】
すなわち、検査領域の形状に応じて、境界線となる各領域分割線分の傾きが次式(3)のように求められる。
【0028】
【数3】
【0029】
〔3−5.フィルタ適用領域設定工程〕
以上で求めた領域分割線分の傾きを使って、フィルタ適用領域設定手段15は、フィルタを適用する範囲を設定する(フィルタ適用領域設定工程S5)。
図7および図8は、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分に関する処理を示す。フィルタ適用領域設定手段15は、図7に示すように、検査領域43の角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分と、角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分と、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行な直線と、検査画像の端縁とに囲まれた範囲(図7に斜線で示した範囲)をフィルタ適用領域に設定する。
【0030】
このフィルタ適用領域R1の設定を行う際には、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分を基準とし、この領域分割線分の終端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って延ばした設定用線分を仮定する。ここで、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から、当該領域分割線分の両側、つまり当該領域分割線分によって隔てられた2つの検査領域43,42のそれぞれに向かって設定用線分を延ばすことができる。図7は、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域43側に、角p3と角p4とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで設定用線分51Aを延ばした場合を示す。この設定用線分51Aを構成する複数の画素から角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行に両側に延ばした直線が角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分に接する位置または検査画像の端縁に達する位置までの範囲(図7に斜線で示した範囲)が、フィルタ適用領域R1となる。
【0031】
他方、図8は、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から設定用線分51Aとは反対側(検査領域42側)に設定用線分51Bを延ばした場合を示す。この場合、設定用線分51Bはすぐに検査画像の端縁を超えて検査領域外となるため、フィルタ適用領域を設定しない。但し、検査画像はここで例示したものには限られないから、設定用線分51Bが検査領域外にならない場合も勿論ある。このような場合には、図7の設定用線分51Aと同様に、設定用線分51Bを角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域42側に、検査領域42における角と角とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで延ばした設定用線分51Bを仮定し、この設定用線分51Bを構成する複数の画素から角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行に両側に延ばした直線が検査領域42の角と角とを結ぶ他の領域分割線分に接する位置または検査画像の端縁に達する位置までの範囲が、フィルタ適用領域となる。
【0032】
すなわち、角p1,p2は検査領域42,43の共有の角であり、また、角p1,p2を結ぶ領域分割線分は検査領域42,43の共有の領域分割線分であって、2つの検査領域42,43のそれぞれにおけるフィルタ適用領域を、共通の領域分割線分の終端から反対方向に延ばした設定用線分51A,51Bに基づいて設定することが可能となる。
【0033】
次に、図9および図10を参照し、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分に関する処理を示す。フィルタ適用領域設定手段15は、図9に示すように、検査領域43の角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分と、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行な直線と、角p1と角p2、角p3と角p4、角p4と角p5、および角p5と角p6をそれぞれ結ぶ領域分割線分とに囲まれた範囲(図9に斜線で示した範囲)をフィルタ適用領域R2に設定する。
【0034】
このフィルタ適用領域R2の設定も、フィルタ適用領域R1の設定と同様に行われる。具体的に、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分を基準とし、この領域分割線分の終端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って延ばした設定用線分を仮定する。図9は、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域43側に、角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで設定用線分52Aを延ばした場合を示す。この設定用線分52Aを構成する複数の画素から角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行に両側に延ばした直線が角p1と角p2、角p3と角p4、角p4と角p5、角p5と角p6をそれぞれ結ぶ領域分割線分に接する位置までの範囲(図9に斜線で示した範囲)がフィルタ適用領域となる。
【0035】
他方、図10は、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の終端から設定用線分52Aとは反対側に設定用線分52Bを延ばした場合を示す。この場合、設定用線分52Bはすぐに検査画像の端縁を超えて検査領域外となるため、フィルタ適用領域を設定しない。但し、検査画像はここで例示したものには限られないから、設定用線分52Bが検査領域外にならない場合も勿論ある。このような場合には、図9の設定用線分52Aと同様に、設定用線分52Bを角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域43とは反対側の検査領域側に、その検査領域における角と角とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで延ばした設定用線分52Bを仮定し、前述と同様にフィルタ適用領域を設定する。
【0036】
そして角p3と角p4とを結ぶ領域分割線分、角p4と角p5とを結ぶ領域分割線分、角p5と角p6を結ぶ領域分割線分、および角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分についてもそれぞれ、上述と同様にしてフィルタ適用領域を設定する。すなわち、検査領域43においては、フィルタ適用領域R1,R2を含む6つのフィルタ適用領域が設定される。
【0037】
〔3−6.フィルタ処理工程〕
以上で設定されたフィルタ適用領域のそれぞれについて、フィルタ処理手段16は、それぞれのフィルタ適用領域を設定する際の基準とした領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用する(フィルタ処理工程S6)。
【0038】
図11は、検査領域43の各エッジの方向に対応するフィルタが適用されることを示す模式図である。角p1,p2を結ぶ領域分割線分を基準として設定されたフィルタ適用領域R1(図7)には、フィルタ61が適用される。このフィルタ61の比較画素B1,B2は、角p1,p2を結ぶ領域分割線分の傾き方向に合わせて、対象画素Aに対して所定角度をなすように配置される。
また、角p2,p3を結ぶ領域分割線分を基準として設定されたフィルタ適用領域R2(図9)には、フィルタ62が適用される。このフィルタ62の比較画素B1,B2は、角p2,p3を結ぶ領域分割線分の傾き方向に合わせて、対象画素Aに対して所定角度をなすように配置される。
【0039】
角p3,p4を結ぶ領域分割線分、角p4,p5を結ぶ領域分割線分、角p5,p6を結ぶ領域分割線分、および角p6,p1を結ぶ領域分割線分のそれぞれを基準として設定された各フィルタ適用領域に対しても、フィルタ61,62と同様に、それぞれの領域分割線分の傾き方向に合わせて比較画素B1,B2が配置されたフィルタ63〜66がそれぞれ適用される。
【0040】
フィルタ61〜66はそれぞれ、前述した〔式1〕により、対象画素Aの濃度値から比較画素B1,B2のそれぞれの濃度値のうち小さい方(同じ場合はいずれか一方)の濃度値を引いた差分を欠陥値算出用の値として出力する。
【0041】
フィルタ61〜66を適用する際には、フィルタ適用領域R1,R2等において1画素ずつ移動した位置に対象画素Aが設定され、これに伴って比較画素B1,B2も1画素ずつ移動した位置に順次設定される。すなわち、検査画像における各画素について、複数の欠陥値算出用の値が算出される。フィルタ処理手段16はこれらの欠陥値算出用の値の絶対値での最大値を画素毎に計算し、これによって検査画像の各画素毎に欠陥強調値が算出される。その結果、検査画像における欠陥31(図4)に対応する各画素においては、他の画素の欠陥強調値に比べて顕著に大きい欠陥強調値が得られる。すなわち、欠陥31が捕捉される。
【0042】
フィルタ処理は、他の検査領域41,42,44に対してもそれぞれ行われ、検査領域42に設定された各フィルタ適用領域へのフィルタ適用により、欠陥32(図4)が捕捉される。
図12は、以上の欠陥検出処理によって得られた検査結果画像を示し、検査結果画像は、検査画像(図4)の欠陥31,32に対応する欠陥71,72を含む。
なお、本実施形態では、周囲よりも濃度値が小さい(明るい)欠陥31と、周囲よりも濃度値が大きい(暗い)欠陥32とを同じフィルタで検出したが、これに限らず、検査領域41〜44のそれぞれの平均濃度などから、各検査領域41〜44がそれぞれ明領域であるのか暗領域であるのかを判定し、明領域に用いるフィルタと、暗領域に用いるフィルタとを使い分けても良い。
【0043】
以上説明した欠陥検出処理の後、取得した各画素の欠陥強調値と所定の閾値とを比較し、閾値以上の画素を評価用欠陥候補として検出する2値化処理と、ブロブ処理(blob処理)とを行い、一定面積以上の評価用欠陥候補を最終的に欠陥として評価する。
以上の欠陥検出処理および欠陥評価処理を行う間、検査画像取得手段11によってステージ3、5を制御し、基板2の表面におけるCCDカメラ4による撮像範囲を変更する。
そして、基板2の各検査範囲に対して前述の工程S1〜S6を実施し、基板2の検査面全範囲の検査が済んだら、基板2の欠陥検査を終了する。
【0044】
〔4.本実施形態の効果〕
以上の本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
基板2の表面に形成された各構造物21〜24の形状に合わせて分割された検査領域のそれぞれにおいて、フィルタ適用領域R1,R2等および適用するフィルタ61〜66が自動的に設定されるので、基板2の複雑な構造面を検査対象とする場合であってもフィルタの設定に手間が掛からず、しかも、構造物21〜24間の濃度差やエッジ40での反射による濃度差などに影響を受けることなく、高精度に欠陥を検出できる。
また、対象画素Aの濃度と、対象画素Aに対して対角に配置された比較画素B1,B2の濃度とを比較するフィルタ処理を行うため、照明等の影響による濃度ムラが検査画像に生じている場合でも濃度ムラの影響を受けにくく、高精度に欠陥を検出できる。
【0045】
さらに、フィルタ適用領域設定工程S5において、検査領域を隔てる領域分割線分のそれぞれを基準として設定用線分51A,52A等を仮定し、これらの設定用線分51A,52Aと、これら設定用線分51A,52Aのそれぞれの起点となる領域分割線分と、その他の領域分割線分と、検査画像の端縁とに基づいてフィルタ適用領域R1,R2等を規定するので、フィルタ適用領域R1,R2の設定が容易となる。
【0046】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る欠陥検出装置の概略構成を示す図。
【図2】前記実施形態において使用されるフィルタの構成を示す図。
【図3】前記実施形態に係る欠陥検出方法の各工程を示す図。
【図4】検査対象の基板を撮像した検査画像を示す図。
【図5】前記検査画像を複数の検査領域に分割した結果を示す図。
【図6】前記検査領域の角の検出工程を示す図。
【図7】角と角とを結ぶ領域分割線分を基準に設定用線分を引き、フィルタ適用領域を設定する工程を示す図。
【図8】図7とは異なる方向に設定用線分を引いた状態を示す図。
【図9】角と角とを結ぶ領域分割線分を基準に設定用線分を引き、フィルタ適用領域を設定する工程を示す図。
【図10】図9とは異なる方向に設定用線分を引いた状態を示す図。
【図11】検査領域の各エッジの方向に対応するフィルタが適用されることを示す模式図。
【図12】検査結果画像を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1・・・欠陥検出装置、2・・・基板(検査対象)、4・・・CCDカメラ、11・・・検査画像取得手段、12・・・領域分割手段、13・・・角検出手段、14・・・取得手段、15・・・フィルタ適用領域設定手段、16・・・フィルタ処理手段、21〜24・・・構造物、31,32・・・欠陥、40・・・エッジ、41〜44・・・検査領域、51A・・・設定用線分、51B・・・設定用線分、52A・・・設定用線分、52B・・・設定用線分、61〜66・・・フィルタ、71,72・・・欠陥、A・・・対象画素、B1,B2・・・比較画素、p1〜p6・・・角、R1,R2・・・フィルタ適用領域、S1・・・検査画像取得工程、S2・・・領域分割工程、S3・・・角検出工程、S4・・・傾き取得工程、S5・・・フィルタ適用領域設定工程、S6・・・フィルタ処理工程。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハーなどの検査対象に発生した異物などの欠陥の検出方法および検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、欠陥検出方法として特許文献1、2のような手法が知られている。
特許文献1では、検査画像を幾つかの正方形の領域に分割し、分割した領域毎に、その領域内の平均濃度と対象画素の濃度との差分に基づいて欠陥検出を行う。
一方、特許文献2では、検査画像に対して所定の走査線方向を設定し、対象画素から走査線に沿って前後にそれぞれ等距離だけ離れた画素を比較画素とするフィルタを使用し、フィルタ処理により、対象画素の濃度値と、比較画素の濃度値の代表値とから算出された欠陥度に基づいて欠陥検出を行う。
【0003】
【特許文献1】特開2000−258353号公報
【特許文献2】特開平8−101139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、検査画像上でコントラストがある部分を欠陥部として把握可能なため、検査画像において所定の閾値以上の濃度差が生じている部分を欠陥として検出する。ところが、このような濃度差に基づく欠陥検出に際しては、構造のエッジ部分や、隣合う構造同士に生じる濃度差や、照明等の影響による検査画像の濃度ムラが検出精度に影響する。
【0005】
具体的に、複雑なパターンが集積したウェハー表面など、複雑な構造面に発生した欠陥を検出するにあたり、その構造面を撮影した検査画像を一括で処理した場合、隣合う構造間の濃度差や、構造のエッジ部分における濃度差に反応してしまい、誤検出となる。このため、複雑な構造面の欠陥検出を行う際には、どの領域にどのような処理を適用するのかを設定することが必要であり、そのためには、構造面を撮影した検査画像から各構造のそれぞれを区画し、その区画された領域毎にフィルタを設定することが有効であるが、それには膨大な手間がかかってしまう。
【0006】
また、照明等の影響によって検査画像に濃度ムラがある場合、良品であっても平均濃度とは離れた濃度を持つ画素が存在する。すなわち、検査画像に濃度ムラがある場合、平均濃度に対して許容可能なマージン(閾値)を設定する方法では、検出精度が落ちてしまう。
【0007】
ここで、特許文献1において分割されたそれぞれの領域では、構造間の濃度の違いを欠陥と誤判定してしまう場合がある。つまり、特許文献1の方法は、複雑な構造面の欠陥検出には不向きである。また、特許文献1の場合、照明等による濃度ムラによって平均濃度とは離れた濃度を持つ画素が存在することが誤検出の要因となる。
一方、特許文献2の方法では、あらかじめ設定した所定の走査線方向においてのみ、フィルタを適用するため、複雑な構造面を撮影した検査画像においてはエッジ部分の濃度差や構造間の濃度差に反応してしまい、誤検出となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複雑な構造面を検査対象とする場合であっても、フィルタ設定に手間が掛からず、欠陥を高精度に検出可能な欠陥検出方法および欠陥検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の欠陥検出方法は、複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得工程と、前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割工程と、前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出工程と、隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得工程と、前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定工程と、前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明では、構造物のエッジに沿って検査画像の領域分割を行うとともに検査領域の角を検出し、角と角とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に応じてフィルタ適用領域を設定する。そして、各フィルタ適用領域において、角と角とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に沿って対象画素および比較画素が設定されたフィルタを適用する。このような本発明によれば、各構造物の形状に合わせて分割された検査領域のそれぞれにおいて、フィルタの適用範囲および適用するフィルタが自動的に設定されるので、複数の構造物が集積されたような複雑な構造面を検査対象とする場合であってもフィルタの設定に手間が掛からず、しかも、構造間の濃度差やエッジ部分での反射による濃度差などに影響を受けることなく、高精度に欠陥を検出できる。
また、本発明では対象画素の濃度と、対象画素に対して対角に配置された比較画素の濃度とを比較するため、領域内の平均濃度と対象画素の濃度値とを比較するような場合とは異なり、照明等の影響による濃度ムラが検査画像に生じている場合でも濃度ムラの影響を受けにくく、高精度に欠陥を検出できる。
【0011】
本発明の欠陥検出方法では、前記フィルタ適用領域設定工程では、前記領域分割線分のうち一の領域分割線分の一端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って、他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置まで延ばした設定用線分を仮定し、この設定用線分を構成する複数の画素から前記一の領域分割線分の傾き方向に沿って両側に延ばした直線が他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置までの範囲を前記フィルタ適用領域とすることが好ましい。
【0012】
この発明では、検査領域の角と角とを結ぶ一の領域分割線分と、一の領域分割線分の傾き方向に平行な直線と、他の領域分割線分とに基づいてフィルタ適用領域を規定するので、フィルタ適用領域の設定が容易となる。なお、検査画像の端縁までにフィルタ適用領域が制限されることにより、検査画像の領域外にはフィルタが適用されない。
【0013】
本発明の欠陥検出装置は、複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得手段と、前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割手段と、前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出手段と、隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得手段と、前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定手段と、前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、前述の欠陥検出方法と同様に、各構造物の形状に合わせて分割された検査領域のそれぞれにおいて、フィルタの適用範囲および適用するフィルタが自動的に設定されるので、複雑な構造面を検査対象とする場合であってもフィルタの設定に手間が掛かることなく、高精度に欠陥を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
〔1.装置の全体構成〕
図1は、本実施形態における欠陥検出装置を示す図である。
欠陥検出装置1は、複数の構造物を含む基板2に発生した異物やキズなどの欠陥を検出するものであり、基板2を支持するXYステージ3と、基板2の表面を撮像するCCDカメラ(CCDエリアカメラ)4と、CCDカメラ4が設置されたZステージ5と、これらのXYステージ3、CCDカメラ4、およびZステージ5に接続された制御装置(コンピュータ)6とを備えて構成される。
【0016】
なお、XYステージ3は、図1に示すように、XY方向への移動が可能であり、Zステージ5は、Z方向への移動が可能である。これらのステージにより、基板2とCCDカメラ4とを相対的にXYZ方向に移動させることが可能である。
【0017】
制御装置6は、XYステージ3、CCDカメラ4、およびZステージ5を動作させ、基板2の表面を撮像して検査画像を作成する検査画像取得手段11と、検査画像を複数の検査領域に分割する領域分割手段12と、検査領域の角を検出する角検出手段13と、検査領域における隣合う角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得手段14と、検査領域の角と角とを結ぶ領域分割線分を基準として、フィルタを適用する範囲を設定するフィルタ適用領域設定手段15と、フィルタ適用領域毎にフィルタを適用するフィルタ処理手段16と、を備える。
【0018】
〔2.フィルタの構成〕
図2は、フィルタ処理手段16がフィルタ適用領域に適用するフィルタの構成を示す。このフィルタは、フィルタ適用領域において順次1画素ずつ選択される対象画素Aと、この対象画素Aに対して等距離に対角に配置される2つの比較画素B1,B2とをそれぞれ設定する。一方の比較画素B2は、対象画素Aに対して所定角度αを成す方向に配置され、他方の比較画素B1は、所定角度α+180度の方向に配置されている。ここで、比較画素B1,B2が配置される角度方向は、後述するように、フィルタが適用される検査領域のエッジの方向によって決まる。
このフィルタは、対象画素Aの濃度値をg(A)、各比較画素B1,B2の濃度値をそれぞれg(B1),g(B2)とすると、次のような欠陥値算出用の値を出力する。
【0019】
〔式1〕
フィルタ出力値 = g(A) − MIN{g(B1),g(B2)}
ここで、「MIN」の処理では、2つの比較画素B1,B2の濃度値g(B1),g(B2)の値が異なる場合には、小さい方の値が選択され、濃度値g(B1),g(B2)が同じである場合には、いずれか一方の値(g(B1)あるいはg(B2))が選択される。
【0020】
なお、フィルタにおける比較画素B1,B2間の距離は、強調する欠陥のサイズに応じて決められており、本実施形態では、欠陥のサイズの2倍以上にあたる4画素に設定されている。必要に応じて複数のサイズのフィルタを使用することにより、様々なサイズの欠陥を強調することが可能である。
【0021】
〔3.欠陥検出方法〕
以下、本実施形態の欠陥検出方法について説明する。本実施形態における欠陥検出方法は、図3に示すように、検査画像取得工程S1と、領域分割工程S2と、角検出工程S3と、傾き取得工程S4と、フィルタ適用領域設定工程S5と、フィルタ処理工程S6と、を備える。これらの工程S1〜S6は、制御装置6(図1)によって実行される。
【0022】
〔3−1.検査画像作成〕
欠陥検出処理を開始すると、制御装置6における検査画像取得手段11は、XYステージ3、CCDカメラ4、およびZステージ5を制御して基板2における所定の範囲をCCDカメラ4で撮像し、CCDカメラ4から撮像データを取り込んで検査画像を作成する(検査画像取得工程S1)。なお、必要に応じて、取り込んだ検査画像の補正を行う。
この工程S1により、例えば図4のような検査画像が作成される。この検査画像には、隣合う複数の構造物21〜24が含まれており、構造物23には周囲に比べて濃度値が小さい欠陥31が存在し、構造物22には周囲に比べて濃度値が大きい欠陥32が存在している。
【0023】
〔3−2.領域分割工程〕
次に、制御装置6の領域分割手段12は、図4の検査画像から隣り合う構造物21〜24の境界を成すエッジ40を検出し、図5のように、検査画像をエッジ40に基づいて複数の検査領域41〜44に分割する(領域分割工程S2)。これらの検査領域41〜44は、基板2の表面の構造物21〜24にそれぞれ対応している。各検査領域41〜44間の境界線(領域分割線分)は、エッジ40、または検査画像の端縁である。
なお、検査画像によっては、構造物のエッジが写っていない場合もあり、このような場合には、領域分割を行わずに検査画像を一括で処理する。
【0024】
〔3−3.角検出工程〕
領域分割が済んだら、角検出手段13は、検査領域41〜44のそれぞれを領域分割線分に沿って走査し、検査領域の角(コーナー)を検出する。なお、構造物21〜24が検査画像の外側にまで延出している場合には、その構造物のエッジ40が検査画像の端縁に交差する箇所が、検査領域の角として検出される。
ここで、以降の工程S4〜S6は検査領域41〜44のそれぞれについて行うが、以下では、主に検査領域43についての処理を例にとって説明し、その他の検査領域41,42,44については説明を省略または簡略する。
図6は、検査領域43についての角検出の結果を示す。角検出手段13は、検査領域43の左上座標から時計回りに各エッジ40または検査画像の端縁にそれぞれ沿って走査することにより(図6の矢印参照)、順次、角p1(x1,y1)〜p6(x6,y6)を検出する。なお、角の数は検査領域によって異なり、検査領域の形状に応じて、角p1(x1,y1)〜pn(xn,yn)が検出される。
【0025】
〔3−4.傾き取得工程〕
検査領域43の角p1(x1,y1)〜p6(x6,y6)が検出されると、これらの角の座標に基づいて、傾き取得手段14は隣合う角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める(傾き取得工程S4)。例えば、角p1(x1,y1)と角p2(x2,y2)とを結ぶ領域分割線分の傾きd1は式(1)の通りとなり、角p2(x2,y2)と角p3(x3,y3)とを結ぶ領域分割線分の傾きd2は式(2)の通りとなる。
【0026】
【数1】
【0027】
【数2】
すなわち、検査領域の形状に応じて、境界線となる各領域分割線分の傾きが次式(3)のように求められる。
【0028】
【数3】
【0029】
〔3−5.フィルタ適用領域設定工程〕
以上で求めた領域分割線分の傾きを使って、フィルタ適用領域設定手段15は、フィルタを適用する範囲を設定する(フィルタ適用領域設定工程S5)。
図7および図8は、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分に関する処理を示す。フィルタ適用領域設定手段15は、図7に示すように、検査領域43の角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分と、角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分と、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行な直線と、検査画像の端縁とに囲まれた範囲(図7に斜線で示した範囲)をフィルタ適用領域に設定する。
【0030】
このフィルタ適用領域R1の設定を行う際には、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分を基準とし、この領域分割線分の終端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って延ばした設定用線分を仮定する。ここで、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から、当該領域分割線分の両側、つまり当該領域分割線分によって隔てられた2つの検査領域43,42のそれぞれに向かって設定用線分を延ばすことができる。図7は、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域43側に、角p3と角p4とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで設定用線分51Aを延ばした場合を示す。この設定用線分51Aを構成する複数の画素から角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行に両側に延ばした直線が角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分に接する位置または検査画像の端縁に達する位置までの範囲(図7に斜線で示した範囲)が、フィルタ適用領域R1となる。
【0031】
他方、図8は、角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から設定用線分51Aとは反対側(検査領域42側)に設定用線分51Bを延ばした場合を示す。この場合、設定用線分51Bはすぐに検査画像の端縁を超えて検査領域外となるため、フィルタ適用領域を設定しない。但し、検査画像はここで例示したものには限られないから、設定用線分51Bが検査領域外にならない場合も勿論ある。このような場合には、図7の設定用線分51Aと同様に、設定用線分51Bを角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域42側に、検査領域42における角と角とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで延ばした設定用線分51Bを仮定し、この設定用線分51Bを構成する複数の画素から角p1と角p2とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行に両側に延ばした直線が検査領域42の角と角とを結ぶ他の領域分割線分に接する位置または検査画像の端縁に達する位置までの範囲が、フィルタ適用領域となる。
【0032】
すなわち、角p1,p2は検査領域42,43の共有の角であり、また、角p1,p2を結ぶ領域分割線分は検査領域42,43の共有の領域分割線分であって、2つの検査領域42,43のそれぞれにおけるフィルタ適用領域を、共通の領域分割線分の終端から反対方向に延ばした設定用線分51A,51Bに基づいて設定することが可能となる。
【0033】
次に、図9および図10を参照し、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分に関する処理を示す。フィルタ適用領域設定手段15は、図9に示すように、検査領域43の角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分と、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行な直線と、角p1と角p2、角p3と角p4、角p4と角p5、および角p5と角p6をそれぞれ結ぶ領域分割線分とに囲まれた範囲(図9に斜線で示した範囲)をフィルタ適用領域R2に設定する。
【0034】
このフィルタ適用領域R2の設定も、フィルタ適用領域R1の設定と同様に行われる。具体的に、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分を基準とし、この領域分割線分の終端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って延ばした設定用線分を仮定する。図9は、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域43側に、角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで設定用線分52Aを延ばした場合を示す。この設定用線分52Aを構成する複数の画素から角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の傾き方向に平行に両側に延ばした直線が角p1と角p2、角p3と角p4、角p4と角p5、角p5と角p6をそれぞれ結ぶ領域分割線分に接する位置までの範囲(図9に斜線で示した範囲)がフィルタ適用領域となる。
【0035】
他方、図10は、角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の終端から設定用線分52Aとは反対側に設定用線分52Bを延ばした場合を示す。この場合、設定用線分52Bはすぐに検査画像の端縁を超えて検査領域外となるため、フィルタ適用領域を設定しない。但し、検査画像はここで例示したものには限られないから、設定用線分52Bが検査領域外にならない場合も勿論ある。このような場合には、図9の設定用線分52Aと同様に、設定用線分52Bを角p2と角p3とを結ぶ領域分割線分の終端から検査領域43とは反対側の検査領域側に、その検査領域における角と角とを結ぶ領域分割線分に接する位置まで延ばした設定用線分52Bを仮定し、前述と同様にフィルタ適用領域を設定する。
【0036】
そして角p3と角p4とを結ぶ領域分割線分、角p4と角p5とを結ぶ領域分割線分、角p5と角p6を結ぶ領域分割線分、および角p6と角p1とを結ぶ領域分割線分についてもそれぞれ、上述と同様にしてフィルタ適用領域を設定する。すなわち、検査領域43においては、フィルタ適用領域R1,R2を含む6つのフィルタ適用領域が設定される。
【0037】
〔3−6.フィルタ処理工程〕
以上で設定されたフィルタ適用領域のそれぞれについて、フィルタ処理手段16は、それぞれのフィルタ適用領域を設定する際の基準とした領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用する(フィルタ処理工程S6)。
【0038】
図11は、検査領域43の各エッジの方向に対応するフィルタが適用されることを示す模式図である。角p1,p2を結ぶ領域分割線分を基準として設定されたフィルタ適用領域R1(図7)には、フィルタ61が適用される。このフィルタ61の比較画素B1,B2は、角p1,p2を結ぶ領域分割線分の傾き方向に合わせて、対象画素Aに対して所定角度をなすように配置される。
また、角p2,p3を結ぶ領域分割線分を基準として設定されたフィルタ適用領域R2(図9)には、フィルタ62が適用される。このフィルタ62の比較画素B1,B2は、角p2,p3を結ぶ領域分割線分の傾き方向に合わせて、対象画素Aに対して所定角度をなすように配置される。
【0039】
角p3,p4を結ぶ領域分割線分、角p4,p5を結ぶ領域分割線分、角p5,p6を結ぶ領域分割線分、および角p6,p1を結ぶ領域分割線分のそれぞれを基準として設定された各フィルタ適用領域に対しても、フィルタ61,62と同様に、それぞれの領域分割線分の傾き方向に合わせて比較画素B1,B2が配置されたフィルタ63〜66がそれぞれ適用される。
【0040】
フィルタ61〜66はそれぞれ、前述した〔式1〕により、対象画素Aの濃度値から比較画素B1,B2のそれぞれの濃度値のうち小さい方(同じ場合はいずれか一方)の濃度値を引いた差分を欠陥値算出用の値として出力する。
【0041】
フィルタ61〜66を適用する際には、フィルタ適用領域R1,R2等において1画素ずつ移動した位置に対象画素Aが設定され、これに伴って比較画素B1,B2も1画素ずつ移動した位置に順次設定される。すなわち、検査画像における各画素について、複数の欠陥値算出用の値が算出される。フィルタ処理手段16はこれらの欠陥値算出用の値の絶対値での最大値を画素毎に計算し、これによって検査画像の各画素毎に欠陥強調値が算出される。その結果、検査画像における欠陥31(図4)に対応する各画素においては、他の画素の欠陥強調値に比べて顕著に大きい欠陥強調値が得られる。すなわち、欠陥31が捕捉される。
【0042】
フィルタ処理は、他の検査領域41,42,44に対してもそれぞれ行われ、検査領域42に設定された各フィルタ適用領域へのフィルタ適用により、欠陥32(図4)が捕捉される。
図12は、以上の欠陥検出処理によって得られた検査結果画像を示し、検査結果画像は、検査画像(図4)の欠陥31,32に対応する欠陥71,72を含む。
なお、本実施形態では、周囲よりも濃度値が小さい(明るい)欠陥31と、周囲よりも濃度値が大きい(暗い)欠陥32とを同じフィルタで検出したが、これに限らず、検査領域41〜44のそれぞれの平均濃度などから、各検査領域41〜44がそれぞれ明領域であるのか暗領域であるのかを判定し、明領域に用いるフィルタと、暗領域に用いるフィルタとを使い分けても良い。
【0043】
以上説明した欠陥検出処理の後、取得した各画素の欠陥強調値と所定の閾値とを比較し、閾値以上の画素を評価用欠陥候補として検出する2値化処理と、ブロブ処理(blob処理)とを行い、一定面積以上の評価用欠陥候補を最終的に欠陥として評価する。
以上の欠陥検出処理および欠陥評価処理を行う間、検査画像取得手段11によってステージ3、5を制御し、基板2の表面におけるCCDカメラ4による撮像範囲を変更する。
そして、基板2の各検査範囲に対して前述の工程S1〜S6を実施し、基板2の検査面全範囲の検査が済んだら、基板2の欠陥検査を終了する。
【0044】
〔4.本実施形態の効果〕
以上の本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
基板2の表面に形成された各構造物21〜24の形状に合わせて分割された検査領域のそれぞれにおいて、フィルタ適用領域R1,R2等および適用するフィルタ61〜66が自動的に設定されるので、基板2の複雑な構造面を検査対象とする場合であってもフィルタの設定に手間が掛からず、しかも、構造物21〜24間の濃度差やエッジ40での反射による濃度差などに影響を受けることなく、高精度に欠陥を検出できる。
また、対象画素Aの濃度と、対象画素Aに対して対角に配置された比較画素B1,B2の濃度とを比較するフィルタ処理を行うため、照明等の影響による濃度ムラが検査画像に生じている場合でも濃度ムラの影響を受けにくく、高精度に欠陥を検出できる。
【0045】
さらに、フィルタ適用領域設定工程S5において、検査領域を隔てる領域分割線分のそれぞれを基準として設定用線分51A,52A等を仮定し、これらの設定用線分51A,52Aと、これら設定用線分51A,52Aのそれぞれの起点となる領域分割線分と、その他の領域分割線分と、検査画像の端縁とに基づいてフィルタ適用領域R1,R2等を規定するので、フィルタ適用領域R1,R2の設定が容易となる。
【0046】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る欠陥検出装置の概略構成を示す図。
【図2】前記実施形態において使用されるフィルタの構成を示す図。
【図3】前記実施形態に係る欠陥検出方法の各工程を示す図。
【図4】検査対象の基板を撮像した検査画像を示す図。
【図5】前記検査画像を複数の検査領域に分割した結果を示す図。
【図6】前記検査領域の角の検出工程を示す図。
【図7】角と角とを結ぶ領域分割線分を基準に設定用線分を引き、フィルタ適用領域を設定する工程を示す図。
【図8】図7とは異なる方向に設定用線分を引いた状態を示す図。
【図9】角と角とを結ぶ領域分割線分を基準に設定用線分を引き、フィルタ適用領域を設定する工程を示す図。
【図10】図9とは異なる方向に設定用線分を引いた状態を示す図。
【図11】検査領域の各エッジの方向に対応するフィルタが適用されることを示す模式図。
【図12】検査結果画像を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1・・・欠陥検出装置、2・・・基板(検査対象)、4・・・CCDカメラ、11・・・検査画像取得手段、12・・・領域分割手段、13・・・角検出手段、14・・・取得手段、15・・・フィルタ適用領域設定手段、16・・・フィルタ処理手段、21〜24・・・構造物、31,32・・・欠陥、40・・・エッジ、41〜44・・・検査領域、51A・・・設定用線分、51B・・・設定用線分、52A・・・設定用線分、52B・・・設定用線分、61〜66・・・フィルタ、71,72・・・欠陥、A・・・対象画素、B1,B2・・・比較画素、p1〜p6・・・角、R1,R2・・・フィルタ適用領域、S1・・・検査画像取得工程、S2・・・領域分割工程、S3・・・角検出工程、S4・・・傾き取得工程、S5・・・フィルタ適用領域設定工程、S6・・・フィルタ処理工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得工程と、
前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割工程と、
前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出工程と、
隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得工程と、
前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定工程と、
前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理工程と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の欠陥検出方法において、
前記フィルタ適用領域設定工程では、前記領域分割線分のうち一の領域分割線分の一端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って、他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置まで延ばした設定用線分を仮定し、この設定用線分を構成する複数の画素から前記一の領域分割線分の傾き方向に沿って両側に延ばした直線が他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置までの範囲を前記フィルタ適用領域とする
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項3】
複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得手段と、
前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割手段と、
前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出手段と、
隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得手段と、
前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定手段と、
前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理手段と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項1】
複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得工程と、
前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割工程と、
前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出工程と、
隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得工程と、
前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定工程と、
前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理工程と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の欠陥検出方法において、
前記フィルタ適用領域設定工程では、前記領域分割線分のうち一の領域分割線分の一端から、当該領域分割線分の傾き方向と直交する方向に沿って、他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置まで延ばした設定用線分を仮定し、この設定用線分を構成する複数の画素から前記一の領域分割線分の傾き方向に沿って両側に延ばした直線が他の前記領域分割線分に接する位置または前記検査画像の端縁に達する位置までの範囲を前記フィルタ適用領域とする
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項3】
複数の構造物を含む検査対象を撮像して検査画像を得る検査画像取得手段と、
前記検査画像から前記構造物間の境界を成すエッジを検出し、前記検査画像を前記エッジに基づいて複数の検査領域に分割する領域分割手段と、
前記検査領域を前記エッジに沿った方向または前記検査画像の端縁に沿った方向に走査し、当該検査領域の角を検出する角検出手段と、
隣合う前記角同士を結ぶ領域分割線分の傾きを求める傾き取得手段と、
前記領域分割線分の傾き方向に対応したフィルタを適用するフィルタ適用領域を設定するフィルタ適用領域設定手段と、
前記フィルタ適用領域毎に、対象画素の濃度値とこの対象画素から前記領域分割線分の傾き方向に沿って対角に配置された比較画素の濃度値とを演算するフィルタを適用するフィルタ処理手段と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−145161(P2009−145161A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321916(P2007−321916)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]