説明

欠陥検査装置および欠陥検査方法

【課題】基板上のパターンに損傷を与えることなく欠陥検査を行うことができる欠陥検査装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の欠陥検査装置は、半導体基板を測定光学系によって表面観察し、観察結果に基づいて前記半導体基板の欠陥検査を行う基板検査部を備えている。また、前記欠陥検査装置は、前記測定光学系のうち前記表面観察を行う際に前記半導体基板の表面に近接する底部近傍を撮像し、撮像した画像である第1の撮像画像を用いて前記底部近傍の状態検査を行う測定光学系検査部を備えている。前記測定光学系検査部は、前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行っていない間に、前記底部近傍の状態検査を行う。また、前記測定光学系検査部は、前記状態検査の基準となる基準画像と、前記第1の撮像画像と、を比較し、比較結果に基づいて、前記底部近傍の状態検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する際には、種々の工程で基板の欠陥検査が行われる。基板の欠陥検査の1つとして、例えば基板上に形成される上層側パターンと下層側パターンとの間の位置ずれを検査する位置ずれ検査がある。このような位置ずれ検査を行う際には、対物レンズによって基板上の複数の位置が撮像される。これにより、上層側パターンで形成されたアライメントマークと、下層側パターンで形成されたアライメントマークと、の位置関係が基板上の複数の位置で撮像される。そして、撮像された画像に基づいて、パターン間の位置ずれ検査が行われる。
【0003】
しかしながら、対物レンズ近傍に異物などが付着していた場合には、異物が基板上のパターンを傷付けてしまう場合がある。このため、基板上のパターンに損傷を与えることなく欠陥検査を行なうことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−64810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板上のパターンに損傷を与えることなく欠陥検査を行うことができる欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、欠陥検査装置が提供される。前記欠陥検査装置は、半導体基板を測定光学系によって表面観察し、観察結果に基づいて前記半導体基板の欠陥検査を行う基板検査部を備えている。また、前記欠陥検査装置は、前記測定光学系のうち前記表面観察を行う際に前記半導体基板の表面に近接する底部近傍を撮像し、撮像した画像である第1の撮像画像を用いて前記底部近傍の状態検査を行う測定光学系検査部を備えている。前記測定光学系検査部は、前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行っていない間に、前記底部近傍の状態検査を行う。また、前記測定光学系検査部は、前記状態検査の基準となる基準画像と、前記第1の撮像画像と、を比較し、比較結果に基づいて、前記底部近傍の状態検査を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態に係る欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、基板検査部の概略構成を示す図である。
【図3】図3は、光学顕微鏡に付着した異物がウエハ上のパターンに与える損傷を説明するための図である。
【図4】図4は、パターン欠陥の分布を説明するための図である。
【図5】図5は、測定光学系検査部の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、異物検査位置に異物が付着しているか否かの判定処理手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る欠陥検査装置および欠陥検査方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。欠陥検査装置1は、半導体基板(後述するウエハW)の欠陥を検査する装置である。欠陥検査装置1は、例えば、ウエハW上に形成されている上層側パターンと下層側パターンとの間(パターン間)の位置合わせ測定(位置ずれ検査)、ウエハW上に形成されているパターンの欠陥検査、ウエハWに付着した異物の検出検査などを行う。欠陥検査装置1は、ウエハW上を観察する測定光学系(後述する対物レンズ31を備えた光学顕微鏡7など)を備えている。本実施形態では、欠陥検査装置1が、パターン間の位置合わせ測定を行う場合について説明する。
【0010】
欠陥検査装置1は、光学顕微鏡7が欠陥検査装置1の内部(筐体内)に格納されており、光学顕微鏡7の状態検査や光学顕微鏡7のメンテナンス(洗浄など)を行うことが困難な構成となっている。本実施形態の欠陥検査装置1は、ウエハWの欠陥を検査するとともに、所定のタイミングで光学顕微鏡7の状態検査や光学顕微鏡7の洗浄を行う。これにより、欠陥検査装置1は、測定光学系の状態を確認しつつ欠陥検査を行う。
【0011】
欠陥検査装置1は、位置合わせ測定装置としての基板検査部2、測定光学系検査部3、洗浄部4、制御部5を備えている。基板検査部2は、光学顕微鏡7を有しており、光学顕微鏡7を用いて、ウエハWを表面観察し、これにより、ウエハWに形成されている上層側パターンと下層側パターンとの間の位置合わせ測定を行う。
【0012】
測定光学系検査部3は、光学顕微鏡7の状態(異物の付着など)を確認する。洗浄部4は、光学顕微鏡7を洗浄する。制御部5は、基板検査部2、測定光学系検査部3、洗浄部4を制御する。制御部5は、基板検査部2にウエハWを検査させるとともに、ウエハWが検査されていないタイミングで測定光学系検査部3に光学顕微鏡7の状態を検査させる。さらに、制御部5は、測定光学系検査部3が光学顕微鏡7の近傍(対物レンズ31を覆うヘッド部分など)に付着した異物を検出した場合に、洗浄部4に光学顕微鏡7を洗浄させる。
【0013】
図2は、基板検査部の概略構成を示す図である。基板検査部2は、ウエハステージ(基板ステージ)21、駆動部12、光源14、光学プリズム8、光学ミラー6、光学顕微鏡7、CCD(Charge Coupled Device)検出器9、画像処理装置10、処理演算装置11、制御部13を備えている。
【0014】
ウエハステージ21は、その上にウエハWが載置される。具体的には、ウエハステージ21は、天盤(図示せず)、粗動ステージ(図示せず)、微動ステージ(図示せず)、及びウエハチャック22を有している。天盤は、位置合わせ測定装置本体(図示せず)に固定されている。粗動ステージは、天盤上に配され、天盤上を例えば6方向(X方向、Y方向、Z方向、X軸回りの回転方向、Y軸回りの回転方向、Z軸回りの回転方向)に駆動される。微動ステージは、粗動ステージ上に配され、粗動ステージ上を例えば6方向(X方向、Y方向、Z方向、X軸回りの回転方向、Y軸回りの回転方向、Z軸回りの回転方向)に粗動ステージより短いストロークでかつ高い精度で駆動される。ウエハチャック22は、微動ステージ上に配され、ウエハWが載置された際にウエハWを吸着する。これにより、ウエハステージ21は、ウエハチャック22を介してウエハWを保持する。
【0015】
ウエハWは、その表面に、複数レイヤのパターンが積層されている。ここでは、下層側のレイヤがレイヤL1であり、上層側のレイヤがレイヤL2である場合の、レイヤL1,L2間の位置合わせについて説明する。
【0016】
また、複数のショット領域を含むウエハWには、ショット領域毎に、複数の位置合わせ測定用マーク(アライメントマーク)Mが形成されている。すなわち、各ショット領域では、回路素子のパターンが形成されるべき露光領域の周辺のスクライブライン上に、複数の位置合わせ測定用マークMが形成されている。
【0017】
位置合わせ測定用マークMには、レイヤL1で形成されるマークM1と、レイヤL2で形成されるマークM2と、がある。マークM1,M2は、レイヤL1,L2間の重ね合わせずれ量を測定するために用いられる。マークM1には、X方向の重ね合わせずれを測定するためのマークM1xと、Y方向の重ね合わせずれを測定するためのマークM1yと、がある。また、マークM2には、X方向の重ね合わせずれを測定するためのマークM2xと、Y方向の重ね合わせずれを測定するためのマークM2yと、がある。レイヤL1,L2間の重ね合わせずれ量を測定する際には、マークM1xとマークM2xとの位置関係に基づいて、X方向の重ね合わせずれ量が算出される。また、マークM2xとマークM2yとの位置関係に基づいて、Y方向の重ね合わせずれ量が算出される。
【0018】
駆動部12は、制御部13から制御信号を受ける。駆動部12は、制御信号に従って、ウエハステージ21を例えば6方向(X方向、Y方向、Z方向、X軸回りの回転方向、Y軸回りの回転方向、Z軸回りの回転方向)へそれぞれ駆動する。駆動部12は、天盤及び粗動ステージの一方に設けられた第1の可動子(図示せず)と、他方に設けられた第1の振動子(図示せず)と、粗動ステージ及び微動ステージの一方に設けられた第2の可動子(図示せず)と、他方に設けられた第2の振動子(図示せず)とを有する。
【0019】
制御部13は、駆動部12を介して、ウエハステージ21を所定の目標位置へ駆動させる。光源14は、光を発生させて、発生された光を光学プリズム8に向けて出射する。光源14は、例えば、キセノンランプ又はハロゲンランプである。
【0020】
光学プリズム8は、光路上における光源14と光学ミラー6とCCD検出器9との間に配されている。光学プリズム8は、ハーフミラーとして機能し、光源14から出射された光を透過して光学ミラー6へ導くとともに、光学ミラー6から導かれた光を反射してCCD検出器9へ導く。
【0021】
光学ミラー6は、光路上における光学プリズム8と光学顕微鏡7との間に配されている。光学ミラー6は、光学プリズム8から導かれた光を反射して光学顕微鏡7へ導き、光学顕微鏡7から導かれた光を反射して光学プリズム8へ導く。
【0022】
光学顕微鏡7は、光路上における光学ミラー6とウエハステージ21との間に配されている。光学顕微鏡7は、対物レンズ31を有し、光学ミラー6から導かれた光を対物レンズ31で受けてウエハW上の位置合わせ測定用マークMへ集める。また、光学顕微鏡7は、位置合わせ測定用マークMで回折された光を対物レンズ31で受けて、光学ミラー6及び光学プリズム8経由でCCD検出器9の撮像面上に位置合わせ測定用マークMの光学像を形成する。
【0023】
なお、図1には、光学顕微鏡7が投影光学系(図示せず)と独立に設けられたオフアクシス方式である場合について例示的に示されているが、光学顕微鏡7は投影光学系を介した光学系で位置合わせ測定を行なうためのTTL(Through The Lens)方式であってもよい。
【0024】
CCD検出器9は、その撮像面に形成された光学像を取得して画像信号(アナログ信号)を生成する。CCD検出器9は、生成した画像信号を画像処理装置10へ供給する。
【0025】
なお、撮像面に形成された光学像を取得することが可能なものであれば、CCD検出器(CCDイメージセンサー)9に代えて他の方式のイメージセンサー(例えば、CMOSイメージセンサー)が用いられてもよい。
【0026】
画像処理装置10は、CCD検出器9から画像信号を受ける。画像処理装置10は、受けた画像信号に対して所定のアナログ信号処理を行い、処理後の画像信号(アナログ信号)をA/D変換して画像信号(デジタル信号)を生成する。そして、画像処理装置10は、画像信号(デジタル信号)に対して所定のデジタル信号処理を行って画像データを生成し、その画像データからエッジ検出等の画像処理により位置合わせ測定に必要なデータ(波形データ)を取得して処理演算装置11へ供給する。また、画像処理装置10は、画像データを処理演算装置11へ供給する。
【0027】
処理演算装置11は、波形データ及び画像データを画像処理装置10からそれぞれ受ける。処理演算装置11は、波形データに基づいて、レイヤL1,L2間の重ね合わせずれ量を求める。
【0028】
光学顕微鏡7に異物などが付着した状態のままで、ウエハWに対してレイヤL1,L2間の重ね合わせずれ量を測定すると、異物がウエハW上のパターンを傷付けてしまう場合がある。
【0029】
図3は、光学顕微鏡に付着した異物がウエハ上のパターンに与える損傷を説明するための図である。レイヤL1,L2間の重ね合わせずれ量を測定する際には、ウエハW上の種々の位置に配置されている位置合わせ測定用マークMの位置が、光学顕微鏡7を用いて順番に測定されていく。位置合わせ測定用マークMの位置を測定すると、次の位置合わせ測定用マークMを測定するため、光学顕微鏡7は、ウエハW上に形成されているパターン(ウエハ上パターン30)上を移動する。このとき、光学顕微鏡7はウエハ上パターン30よりも所定の距離だけ高い位置を移動する。
【0030】
このような場合において、光学顕微鏡7の底部近傍に異物が付着していると、異物がウエハ上パターン30と衝突する場合がある。そして、異物がウエハ上パターン30と衝突すると、ウエハ上パターン30がパターン欠陥となる。
【0031】
図4は、パターン欠陥の分布を説明するための図である。位置合わせ測定用マークMは、ウエハW上の複数の位置に配置される。図4の(a)〜(c)では、ショット(1)〜(15)に位置合わせ測定用マークMが配置されている場合を示している。
【0032】
位置合わせ測定用マークMを順番に測定する場合、例えば、図4の(a)に示すようにショット(1)〜(15)の順番で位置合わせ測定用マークMが測定されていく。このため、各位置合わせ測定用マークMを測定する際には、光学顕微鏡7がショット(1)〜(15)上の位置へ順番に移動(ウエハWに対して相対移動)する。
【0033】
このとき、光学顕微鏡7に異物が付着していなければ、図4の(b)に示すように、ウエハW上にパターン欠陥は発生しない。一方、光学顕微鏡7に異物が付着していれば、図4の(c)に示すように、ウエハW上にパターン欠陥dが発生する。このパターン欠陥dは、光学顕微鏡7の相対移動経路に沿った位置に発生することとなる。
【0034】
本実施形態では、測定光学系検査部3が所定のタイミングで光学顕微鏡7の状態を確認する。そして、測定光学系検査部3が、光学顕微鏡7の正常状態を確認すると、基板検査部2はウエハWの欠陥検査を継続する。一方、測定光学系検査部3が光学顕微鏡7の異常状態(異物の付着)を確認すると、洗浄部4に光学顕微鏡7を洗浄させる。
【0035】
図5は、測定光学系検査部の構成を示すブロック図である。測定光学系検査部3は、撮像部50、測定前画像DB45、測定後画像DB46、画像比較部42、判定部43、出力部44を備えている。
【0036】
撮像部50は、対物レンズ31の近傍(光学顕微鏡7の底部近傍)を撮像し、撮像した画像を測定前画像DB45または測定後画像DB46に送る。本実施形態では、基板検査部2がウエハWの欠陥検査(レイヤ間の位置合わせ測定)を行なう前に、撮像部50が対物レンズ31の近傍を撮像する。そして、撮像部50は、撮像した画像を測定前画像(後述の測定前画像51A)として測定前画像DB45に送る。また、基板検査部2は、ウエハWの欠陥検査を行なった後に、撮像部50が対物レンズ31の近傍を撮像する。そして、撮像部50は、撮像した画像を測定後画像(後述の測定後画像51B)として測定後画像DB46に送る。
【0037】
なお、撮像部50が撮像する対物レンズ31近傍の位置(以下、異物検査位置という)は、ウエハWの欠陥検査前と、ウエハWの欠陥検査後と、で同じである。したがって、ウエハWの欠陥検査前と、ウエハWの欠陥検査後と、で異物検査位置の状態が同じであれば、測定前画像51Aと測定後画像51Bとは、同様の画像となる。
【0038】
測定前画像DB45、測定後画像DB46は、それぞれ測定前画像51A、測定後画像51Bを記憶するデータベース(メモリなど)である。
【0039】
画像比較部42は、測定前画像DB45内の測定前画像51Aと、測定後画像DB46内の測定後画像51Bと、を比較し、画像の差分を算出する。画像比較部42は、算出した画像の差分を画像差分情報として判定部43に送る。
【0040】
判定部43は、画像差分情報に基づいて、ウエハWの欠陥検査によって異物検査位置(光学顕微鏡7の底部近傍)に異物が付着したか否かを判定する。換言すると、判定部43は、画像差分情報に基づいて、ウエハWの欠陥検査前後で異物検査位置の状態に変化があったか否かを判定する。ウエハWの欠陥検査前には異物検査位置に異物が付着していなかったにもかかわらず、ウエハWの欠陥検査後に異物が付着している場合、測定前画像51Aと測定後画像51Bとで画像が異なることとなる。
【0041】
判定部43は、画像差分情報が異物に対応する差分である場合、ウエハWの欠陥検査によって異物検査位置に異物が付着したと判定する。判定部43は、例えば、画像差分情報の値が所定値よりも大きい場合に、ウエハWの欠陥検査によって異物検査位置に異物が付着したと判定する。一方、判定部43は、例えば、画像差分情報の値が所定値未満の場合に、異物検査位置には異物が付着していないと判定する。判定部43は、異物が付着しているか否かの判定結果を出力部44に送る。出力部44は、異物が付着しているか否かの判定結果を外部装置(表示モニタなど)に出力する。
【0042】
図6は、異物検査位置に異物が付着しているか否かの判定処理手順を説明するための図である。測定光学系検査部3は、レンズ35、光ファイバ33、レンズ32、CCDカメラ34などを含んで構成されている。
【0043】
レンズ35は、光学顕微鏡7に設定された異物検査位置から反射される光を受けて光ファイバ33に送る。光ファイバ33は、レンズ35からの光を伝播させてレンズ32に送る。レンズ32は、光ファイバ33からの光をCCDカメラ34に送る。CCDカメラ34は、レンズ32からの光(受像光)を用いて、測定前画像51Aや測定後画像51Bを生成する。
【0044】
ウエハステージ21には、レンズ35や洗浄部4が配置されている。測定前画像51Aや測定後画像51Bを撮像する際には、ウエハステージ21を移動させることにより、光学顕微鏡7がレンズ35の上方位置に相対移動させられる。そして、レンズ35の位置で異物検査位置が撮像される。また、光学顕微鏡7を洗浄する際には、ウエハステージ21を移動させることにより、光学顕微鏡7が洗浄部4の位置に相対移動させられて、洗浄部4で洗浄される。
【0045】
基板検査部2によってウエハWの欠陥検査を行う場合、予め測定光学系検査部3が測定前画像51Aを撮像しておく(s1)。具体的には、測定光学系検査部3が、光学顕微鏡7の異物検査位置を撮像することによって、測定前画像51Aが取得される。この測定前画像51Aは、測定前画像DB45に格納される。
【0046】
この後、基板検査部2によってウエハWの欠陥検査が行われる。基板検査部2が検査した欠陥検査結果は、欠陥検査装置1が備える合わせずれ計測結果DB41に格納される(s2)。
【0047】
基板検査部2によってウエハWの欠陥検査が行われた後、測定光学系検査部3が測定後画像51Bを撮像する(s3)。具体的には、測定光学系検査部3が、光学顕微鏡7の異物検査位置を撮像することによって、測定後画像51Bが取得される。この測定後画像51Bは、測定後画像DB46に格納される。
【0048】
そして、画像比較部42が、測定前画像DB45内の測定前画像51Aと、測定後画像DB46内の測定後画像51Bと、を比較し(s4)、画像の差分を算出する。画像比較部42は、算出した画像の差分を画像差分情報として判定部43に送る。判定部43は、画像差分情報に基づいて、異物検査位置(光学顕微鏡7の底部近傍)に異物が付着しているか否かを判定する(s5)。
【0049】
判定部43が、異物検査位置に異物が付着していると判定した場合、制御部5は、洗浄部4に光学顕微鏡7を洗浄させる。洗浄部4で光学顕微鏡7が洗浄された後、再び、(s3)〜(s5)の処理が繰り返される。
【0050】
具体的には、測定光学系検査部3が測定後画像51Bを撮像し(s3)、測定後画像51Bが測定後画像DB46に格納される。そして、画像比較部42が、測定前画像DB45内の測定前画像51Aと、測定後画像DB46内の新たな測定後画像51Bと、を比較し(s4)、画像の差分を算出する。画像比較部42は、算出した画像の差分を画像差分情報として判定部43に送る。判定部43は、画像差分情報に基づいて、異物検査位置に異物が付着しているか否かを判定する(s5)。判定部43が、異物検査位置に異物が付着していると判定した場合、制御部5は、洗浄部4に光学顕微鏡7を洗浄させる。
【0051】
基板検査部2では、判定部43が、異物検査位置に異物が付着していないと判定するまで、(s3)〜(s5)の処理が繰り返される。判定部43が、異物検査位置に異物が付着していないと判定すると、次のウエハWに対し、基板検査部2が、ウエハWの欠陥検査を行なう。
【0052】
欠陥検査装置1では、基板検査部2によるウエハWの欠陥検査と、測定光学系検査部3による光学顕微鏡7に異物が付着しているか否かの検査と、が繰り返される。そして、光学顕微鏡7に異物が付着している場合には、洗浄部4によって光学顕微鏡7の洗浄が行われる。
【0053】
洗浄部4は、物理的に光学顕微鏡7を洗浄して異物を除去してもよいし、化学的に光学顕微鏡7を洗浄して異物を除去してもよい。洗浄部4は、例えば、柔らかい布状部材を有しており、布状部材が光学顕微鏡7の洗浄位置(先端部など)に押し当てられる。そして、布状部材を回転させることにより、光学顕微鏡7から異物が除去される。なお、布状部材には、水、アルコール、薬液などを含ませておいてもよい。また、洗浄部4に水、アルコール、薬液などの液体を貯める筒を設けておき、光学顕微鏡7を筒内に浸すことにより、光学顕微鏡7から異物を除去してもよい。また、洗浄部4を複数設けておき、各洗浄部4で順番に光学顕微鏡7から異物除去処理を行ってもよい。
【0054】
なお、本実施の形態では、ウエハW毎に光学顕微鏡7の異物有無検査を行う場合について説明したが、光学顕微鏡7の異物有無検査は、複数枚のウエハWを欠陥検査した後に行なってもよい。また、光学顕微鏡7の異物有無検査は、ウエハWのロット毎に行ってもよい。また、光学顕微鏡7の異物有無検査は、複数ロットに1回の割合で行ってもよい。
【0055】
また、測定前画像51Aは、以前に撮像されたものを再使用してもよい。例えば、異物が付着していないことが確認済みの光学顕微鏡7(例えば新品や洗浄後)の異物検査位置における画像を基準画像として撮像しておく。そして、画像比較部42は、基準画像と測定後画像51Bとを比較することにより、画像差分情報を算出する。これにより、測定前画像51Aを毎回撮像する必要がなくなり、短時間で異物の有無を検査できる。
【0056】
また、基準画像と測定前画像51Aとを比較することによって光学顕微鏡7に異物が付着しているか否かを判定してもよい。この場合、ウエハWの欠陥検査前に、光学顕微鏡7に異物が付着していると判定されると、ウエハWの欠陥検査前に光学顕微鏡7の洗浄が行われる。これにより、異物の付着した状態でウエハWの欠陥検査が行われてしまうことを防止できる。
【0057】
また、ウエハWの欠陥検査、光学顕微鏡7の異物有無検査、異物除去処理は、何れの半導体製造工程で行ってもよい。例えば、ウエハWの欠陥検査、光学顕微鏡7の異物有無検査、異物除去処理は、ウエハプロセスのレイヤ毎に行なわれる。具体的には、レジストの塗布されたウエハWにマスクを用いて露光処理を行ない、その後ウエハWを現像処理してウエハW上にレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンと、レジストパターンよりも下層側に形成されているパターンと、の間の位置合わせ測定が行われる。このとき、光学顕微鏡7に異物が付着していれば、光学顕微鏡7の洗浄が行われる。これにより、測定光学系の状態を確認しつつウエハWの欠陥検査が行われる。
【0058】
ウエハWの欠陥検査で合格判定となった場合には、レジストパターンをマスクとしてレジストパターンの下層側に成膜されている下層膜がエッチング処理される。これにより、レジストパターンに対応する実パターンがウエハW上に形成される。この後、形成された実パターン上に新たな膜が成膜され、新たな膜上にレジストが塗布される。そして、レジストの塗布されたウエハWにマスクを用いて露光が行なわれる。
【0059】
半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、上述した成膜、露光処理、現像処理、ウエハWの欠陥検査、光学顕微鏡7の異物有無検査、異物除去処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0060】
このように実施形態によれば、欠陥検査装置1が測定光学系検査部3を備えているので、測定光学系(光学顕微鏡7)の状態を確認しつつ、ウエハWの欠陥検査を行うことが可能となる。これにより、光学顕微鏡7に異物が付着している場合には、ウエハWの欠陥検査を中断することが可能となり、パターン欠陥の発生を抑制することが可能となる。
【0061】
また、欠陥検査装置1が洗浄部4を備えているので、光学顕微鏡7に異物が付着している場合には光学顕微鏡7から異物を除去することが可能となる。これにより、異物の除去された光学顕微鏡7を用いて、ウエハWの欠陥検査を再開することが可能となる。
【0062】
したがって、短時間で容易に光学顕微鏡7の状態判定と異物除去を行うことが可能となり、その結果、ウエハW上のパターンに損傷を与えることなくウエハWの欠陥検査を行うことが可能となる。また、パターン欠陥の発生を抑制して不良率を低減することが可能となる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…欠陥検査装置、2…基板検査部、3…測定光学系検査部、4…洗浄部、7…光学顕微鏡、30…ウエハ上パターン、31…対物レンズ、34…CCDカメラ、42…画像比較部、43…判定部、50…撮像部、51A…測定前画像、51B…測定後画像、45…測定前画像DB、46…測定後画像DB、M…測定用マーク、W…ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を測定光学系によって表面観察し、観察結果に基づいて前記半導体基板の欠陥検査を行う基板検査部と、
前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行っていない間に、前記測定光学系のうち前記表面観察を行う際に前記半導体基板の表面に近接する底部近傍を撮像し、撮像した画像である第1の撮像画像を用いて前記底部近傍の状態検査を行う測定光学系検査部と、
を備え、
前記測定光学系検査部は、前記状態検査の基準となる基準画像と、前記第1の撮像画像と、を比較し、比較結果に基づいて、前記底部近傍の状態検査を行うことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記基準となる基準画像は、前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行う前に前記測定光学系検査部が前記底部近傍を撮像した画像であり、かつ前記第1の撮像画像は、前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行なった後に前記測定光学系検査部が前記底部近傍を撮像した画像であることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記基準となる基準画像は、正常状態であることが確認されている底部近傍を予め撮像しておいた画像であり、かつ前記第1の撮像画像は、前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行なった後に前記測定光学系検査部が前記底部近傍を撮像した画像であることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記基準となる基準画像は、正常状態であることが確認されている底部近傍を予め撮像しておいた画像であり、かつ前記第1の撮像画像は、前記基板検査部が前記半導体基板の欠陥検査を行う前に前記測定光学系検査部が前記底部近傍を撮像した画像であることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記基板検査部は、前記半導体基板上に形成された下層側の回路パターンと上層側の回路パターンとの間の前記位置合わせ測定を行うことにより、位置合わせに関する欠陥検査を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記測定光学系検査部が前記底部近傍に異常があると判断した場合に、前記底部近傍を洗浄する洗浄部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
半導体基板を測定光学系によって表面観察し、観察結果に基づいて前記半導体基板の欠陥検査を行う基板検査ステップと、
前記半導体基板の欠陥検査が行なわれていない間に、前記測定光学系のうち前記表面観察を行う際に前記半導体基板の表面に近接する底部近傍を撮像し、撮像した画像である第1の撮像画像を用いて前記底部近傍の状態検査を行う測定光学系検査ステップと、
を含み、
前記状態検査の基準となる基準画像と、前記第1の撮像画像と、が比較され、比較結果に基づいて、前記底部近傍の状態検査が行なわれることを特徴とする欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−62374(P2013−62374A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199773(P2011−199773)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】