説明

気相成長装置及び気相成長方法

【課題】
ライン数を抑え簡素な装置構成により界面急峻性の優れた薄膜の形成が可能な気相成長装置を提供する。
【解決手段】
気相成長装置は、反応炉に接続された材料ガス供給ラインと、べントラインと、材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され且つべントラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され且つべントラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され且つべントラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、第3バルブと第6バルブが開いた状態となる場合は、第4バルブと第5バルブが閉じた状態とし、第3バルブと第6バルブが閉じた状態となる場合は、第4バルブと第5バルブが開いた状態とする制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の気相成長装置に関し、特に、有機金属化学気相成長(MOCVD)による半導体結晶のエピタキシャル成長を行う気相成長装置及び気相成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば発光ダイオードなどの半導体発光素子はMOCVD法を用いて製造(結晶成長)されるのが一般的である。MOCVD法において、高品質な結晶成長膜を得るためには、ガス流量や圧力を常に一定にし、また各層の界面での有機金属などの材料ガスの切り替えの早さ(界面急峻性)を良くする必要がある。そのため、通常は、材料ガスを反応炉に供給するメイン材料ガス供給ライン(runラインとも呼ばれる)に流す前に、べントライン(反応炉には供給せずそのまま排気される排気系)に材料供給源から材料ガスを流して切り替えの準備をしておき、材料ガス供給時にメイン材料ガス供給ラインとべントラインのバルブを切り替えて供給を開始する。しかし、その際にメイン材料ガス供給ラインとべントラインを切り替えたことによる反応炉内へのガス流量が変動し、反応炉内の圧力も変動してしまう。これを防止するため、ダミーラインを設け、反応炉内への供給ガスの流量や圧力の変動を抑止する手法が提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
上記のように、材料ガス切り替え時の急峻性を良くするためにべントラインとメイン材料ガス供給ラインの切り替えを行う際のガス流量や反応炉内圧力の変動を抑えるために、図1に示すように、各材料供給源の配管毎に並列してダミーラインを設け、材料供給源配管と同量の不活性ガスをメイン材料ガス供給ラインに流しておき、ブロックバルブBVによって、材料供給源配管をべントラインからメイン材料ガス供給ラインに切り替えるのと同時にダミーラインをメイン材料ガス供給ラインからべントラインに切り替え、ガス流量及び反応炉内の圧力の変動を抑える施策がとられている。
【0004】
また、特許文献1では、各材料供給源配管毎にダミーラインを設けるのではなく、材料供給源をグループ化しグループ毎に1本のダミーラインを設け、ダミーライン数を減らして、その構成部品であるマスフローコントローラMやブロックバルブBVの数を低減する施策が提案されている。
【0005】
ダミーラインを用いれば、ダミーラインと材料供給源配管より材料ガスを供給する際、供給ガス量が増加する分、反応炉内へのガス流量が増加し、それに伴い反応炉内の圧力が変動してしまうことを抑えることができる。ダミーラインを使用していない場合、たとえば、量子井戸構造のような数秒おきにガスの流量やガス種を切り替える必要があるとき、ガス流量や圧力が変動してしまうと、結晶界面での結晶組成の変動が生じてしまい、界面急峻性に優れた薄膜結晶を得ることができなくなる。
【0006】
また、反応炉に連結された供給ラインに複数の分岐ラインを接続し、このラインにバルブ及び減圧弁を介設して、各分岐ラインに複数の有機金属化合物の材料源を接続して、分岐ラインを切り替えるMOCVD装置が提案されている(特許文献3、参照)。特許文献3では、組成の異なる材料供給ラインを複数系統設け分岐ラインを切り替えて、反応炉に供給して基板上に組成比の異なる積層を界面急峻性良く成膜する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2646931号公報
【特許文献2】特許第3124376号公報
【特許文献3】特開平6−204145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示の技術では、材料供給源配管毎にダミーラインを設けるので、材料ガス供給源の個数分のダミーラインが必要となる。そのため、図1に示すように、ダミーラインを構成するのに必要な高価なマスフローコントローラMやブロックバルブBVが必要となり、またライン数も必然的2倍となるため装置スペースも必要となる。
【0009】
上記のライン数の増加を抑えるためにダミーラインを材料ガス供給源のグループ毎に構成することによりダミーラインを削減する方法が提案されている(特許文献2、参照)。この場合、上記の問題点であるコストやスペースを低減することは可能である。しかし、同種の材料ガス供給源を複数使用している場合に限られ、異種材料ガス供給源をグループ化しようとすると、バブリングのガス種や材料ガス供給源の並び順や供給量によるグループ化に制約が生じてしまう。
【0010】
また、従来技術では材料ガス供給源へのバブリング流量を変更するためにはバランスラインが必要であった。すなわち、バランスラインを設けない場合、べントラインに切り替えた状態で流量を変更しても、そのダミーラインはメイン材料ガス供給ライン側にガスを流している。よって、バブリング流量を変更するためにはダミーラインの流量の変更も必要となり、反応炉への流量及び圧力に変動をきたしてしまう。これを防止するため、図2に示すように、供給材料毎にダミーラインから供給材料源配管へのマスフローコントローラMを伴ったバランスラインBLを設け、バブリングガスの流量の増減をバランスラインBLの流量の増減で吸収することにより流量変化を実施している。よって、従来技術では必ずバランスラインが必要となっていた(特許文献1、参照)。
【0011】
気相成長装置を用いた結晶成長では積層する結晶膜の厚さをオングストローム単位(サブナノメートル単位)で制御することが要求されている。たとえば、III族窒化物を主材料とした青色LEDでは活性層中のInGaN井戸層の厚さを2.5nm程度とし、所望の発光波長(約450nm)に調整する。ここで、結晶膜の成長速度は通常は0.05〜1.5nm/secの範囲で行われ、上記活性層のように膜厚が薄く、オングストローム単位の精密な制御が必要とされる結晶成長では比較的遅い成長速度(たとえば1nm/sec以下)で行われるのが一般的である。
【0012】
一方、複数の材料ガス供給源をグループ化し共通するダミーラインを有する特許文献1に開示の気相成長装置構成では、同一グループ内の材料ガスの供給を切り替える際、バルブの切り替えのため急峻性を得るが、ダミーラインは同一のものを使用するため、マスフローコントローラの応答性に影響されてしまう。マスフローコントローラの流量が安定するためには通常は1〜2秒程度必要となるため、前述のInGaN井戸層を0.05nm/secの非常に遅い成長速度にて結晶成長した場合でも、成膜初期の流量が不安定な状態で結晶成長が行われることになる。これは結晶膜の厚さにして0.05〜0.10nm(InGaN井戸層の2〜4%程度)にあたり、前述のオングストローム単位の膜厚制御や良質な結晶薄膜の成長を困難なものにしている。
【0013】
従来の特許文献3の技術においても、組成比の異なる2系統の材料供給ラインを設け、それら材料供給ラインの切り替えによる急峻性は得られるが、積層する膜の種類毎に同種の材料ガスが複数必要となり、装置サイズが大きくなり、また複雑な装置構成となってしまう。また、成膜の途中で別の系統の材料を供給する場合流量が増加する分、キャリアの流量を減少させる必要があり、流量調整にマスフローコントローラを必要としている故に、流量が安定するまでの数秒の間、流量や圧力が変動する問題があった。
【0014】
そこで、上記問題を鑑みて、本発明は、ライン数を抑え簡素な装置構成により界面急峻性の優れた良質な成膜が可能な気相成長装置及び気相成長方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の本発明の気相成長装置は、反応炉と、前記反応炉に接続された材料ガス供給ラインと、べントラインと、前記材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、前記材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、前記材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、前記第3バルブと前記第6バルブが開いた状態となる場合は、前記第4バルブと前記第5バルブが閉じた状態とし、前記第3バルブと前記第6バルブが閉じた状態となる場合は、前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態とする制御部と、を有することを特徴とする。
【0016】
このように、本発明による気相成長装置によれば、反応炉内の成長基板上に半導体の結晶膜を結晶成長するための気相成長装置において、少なくとも1種類の材料ガスのための材料ガス供給源と、混合された材料ガスを反応炉内に導入するための材料供給流路(メイン材料ガス供給ライン)と、反応炉内に導入せずに排気するための材料排気流路(べントライン)と、材料ガス供給源より供給された材料ガスをメイン材料ガス供給ライン又はべントラインの何れかに切り替えるための流路切り替え機構(材料ガスのための第1バルブ及び第2バルブを含む)、並びに、キャリアガスをメイン材料ガス供給ライン又はべントラインの何れかに切り替えるための第1及び第2の流量調整ライン(キャリアガスのため第3バルブ〜第6バルブを含む一対のダミーライン)を備えているので、キャリアガスをメイン材料ガス供給ライン及びべントラインのいずれか一方に、交互に、供給用と準備用とに切り替えることにより、複数の材料供給源配管が存在しても、メイン材料ガス供給ラインを介し反応炉内に供給される材料ガスの流量及び反応炉内の圧力の変動を抑え、安定的に材料ガスを供給することができる。
【0017】
また、本発明の気相成長装置によれば、ダミーラインを材料供給源配管毎に設けることが不要となるため、複数の材料供給源配管が存在しても、高価なブロックバルブやマスフローコントローラが削減でき、また、ライン数も削減できるためシンプルな装置構成が可能となる。
【0018】
さらに、本発明の気相成長装置によれば、バランスラインを設けること無く、材料ガスの流量変更が可能となるためバランスラインを構成する配管やマスフローコントローラ等の部材の低減が図れる。
【0019】
従来では材料ガス供給源(又はグループ)毎に必要であったダミーラインを2本(一対)での構成としたため、高価なブロックバルブやマスフローコントローラの必要なライン数を著しく削減することができ、さらに、ライン数の削減によりシンプルな機器構成の装置の製作が可能となる。材料ガスの取出し量を変えるためにはバブリングガスの流量を変える必要があるため、従来ではバブリングガスの流量を変更してもその材料供給源配管のガス総流量を変更させないようにバランスラインを設け、バブリングガスの増減に合わせ、バランスラインのガス流量を増減させ材料供給源配管の総流量を−定に保っていたが、本発明ではバランスラインを設けなくても、材料供給源配管のガス量の増減をダミーラインの準備中に反映させることにより対応が可能となり、気相成長装置の設計の自由度増加に貢献できる。
【0020】
さらに、請求項7に記載の本発明の気相成長装置は、反応炉と、前記反応炉に接続された反応炉給気管と、べントラインと、第1材料ガス供給ラインと、第2材料ガス供給ラインと、第1流入ポートと、第2流入ポート、第1流出ポート、第2流出ボートを備え、前記第1流入ポートは前記第1材料ガス供給ラインに接続され、前記第2流入ポートは第2材料ガス供給ラインに接続され、前記第1流出ポートは前記反応炉給気管に接続され、前記第2流出ポートは前記ベントラインに接続され、前記第1流入ポートと前記第1流出ポートの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通する第1の状態と、前記第1流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第1流出ポートとの間にだけガスが流通する第2の状態をとる方向制御バルブシステムと、前記第1材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、前記第1材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、前記第1材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、前記第3バルブと前記第6バルブが開いた状態となる場合は前記第4バルブと前記第5バルブが閉じた状態とし、且つ、前記第3バルブと前記第6バルブが閉じた状態となる場合は前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態とする制御部と、を備え、更に前記制御部は、前記第1の状態と前記第2の状態の切り替えを制御することを特徴とする。
【0021】
本発明による気相成長装置によれば、第1及び第2材料ガス供給ラインと反応炉との間に方向制御バルブシステムを設けたので、2ライン(一対)のダミーラインと2ラインの第1及び第2材料ガス供給ラインをダミーラインのみ、材料ガス供給ラインのみ、あるいはダミーラインと材料ガス供給ラインを同時に切り替えることができて、バルブの切り替え数を低減する事が出来るとともに、より界面急峻性の優れた良質な成膜が可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の本発明の気相成長方法は、反応炉と、前記反応炉に接続された材料ガス供給ラインと、べントラインと、前記材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、前記材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、前記材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、を有する気相成長装置を用い、前記第3バルブと前記第6バルブを開く場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを閉じる第1の工程と、前記第3バルブと前記第6バルブを閉じる場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを開く第2の工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の気相成長方法によれば、ダミーラインを第1及び第2の流量調整ライン(それぞれキャリアガスのための第3バルブ〜第6バルブを含む所謂ダミーライン)を備えている気相成長装置を用い、第1及び第2の工程により、第1バルブと第2バルブが開いた状態となる場合は、第2バルブと第1バルブが閉じた状態とし、且つ、第1バルブと第2バルブが閉じた状態となる場合は、第2バルブと第1バルブが開いた状態とすることができるので、バルブの切り替え回数を低減することができ、より界面急峻性の優れた良質な成膜が可能となる。
【0024】
さらにまた、請求項11に記載の本発明の気相成長方法は、反応炉と、前記反応炉に接続された反応炉給気管と、べントラインと、第1材料ガス供給ラインと、第2材料ガス供給ラインと、第1流入ポート、第2流入ポート、第1流出ポート、第2流出ポートを備え、前記第1流入ポートは前記第1材料ガス供給ラインに接続され、第2流入ポートは第2材料ガス供給ラインに接続され、前記第1流出ポートは前記反応炉給気管に接続され、前記第2流出ポートは前記ベントラインに接続され、前記第1流入ポートと前記第1流出ポートとの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通する第1の状態と、前記第1流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第1流出ポートとの間にだけガスが流通する第2の状態とをとる方向制御バルブシステムと、前記第1材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、前記第1材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、前記第1材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、を有する気相成長装置を用い、前記第3バルブと前記第6バルブを開く場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを閉じる第1の工程と、前記第3バルブと前記第6バルブを閉じる場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを開く第2の工程と、前記第1の状態と前記第2の状態の切り替えを行う第3の工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明による気相成長方法によれば、第1及び第2材料ガス供給ラインと反応炉との間に方向制御バルブシステムを設けたので、2ライン(一対)のダミーラインと2ラインの第1及び第2材料ガス供給ラインをダミーラインのみ、材料ガス供給ラインのみ、あるいはダミーラインと材料ガス供給ラインを同時に切り替えることができて、バルブの切り替え数を低減する事が出来るとともに、より界面急峻性の優れた良質な成膜が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】各材料供給源の配管毎に並列してダミーラインが設けられている従来の気相成長装置の概略部分構成を示す模式図である。
【図2】各材料供給源の配管毎に並列してダミーラインとバランスラインが設けられている従来の気相成長装置の概略部分構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施例の気相成長装置の概略部分構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図5】本発明の第1実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第1実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第1実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第1実施例の変形例の気相成長装置の概略部分構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第2実施例の気相成長装置の概略部分構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第2実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図11】本発明の第2実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図12】本発明の第2実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図13】本発明の第3実施例の気相成長装置の概略部分構成を示す模式図である。
【図14】本発明の第3実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【図15】本発明の第3実施例の気相成長装置の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施例の気相成長装置と、これを用いた結晶成長法について、図面を用いて説明する。
【0028】
図3は、第1実施例の気相成長装置の概略構成を示す。図中、参照符号の1はメイン材料ガス供給ラインを、2はべントラインを、3は第1材料供給源を、4は第2材料供給源を、5は第3材料供給源を、6は第4材料供給源を、7は反応炉を、10は第1ダミーライン(第1流量調整ライン)を、11は第3バルブを、12は第4バルブを、20は第2ダミーライン(第2流量調整ライン)を、21は第5バルブを、22は第6バルブを、30は第1材料供給源配管を、31は第1材料供給源配管の第1バルブを、32は第1材料供給源配管の第2バルブを、40は第2材料供給源配管を、41は第2材料供給源配管の第1バルブを、42は第2材料供給源配管の第2バルブを、50は第3材料供給源配管を、51は第3材料供給源配管の第1バルブを、52は第3材料供給源配管の第2バルブを、60は第4材料供給源配管を、61は第4材料供給源配管の第1バルブを、62は第4材料供給源配管の第2バルブを、それぞれ示す。M1、M2、M3及びM4はそれぞれ、第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6のバブリング用のマスフローコントローラを示す。また、マスフローコントローラM1、M2、M3及びM4に選択的にバルブを介して接続されているN2は窒素ガス供給源を、H2は水素ガス供給源を、それぞれ示す。
【0029】
図3に示すように、メイン材料ガス供給ライン1(反応炉給気管)は、その出力端が反応炉7へ接続されている。メイン材料ガス供給ライン1の入力端には、水素供給源や窒素供給源が接続され、これからキャリアガスである水素又は窒素がマスフローコントローラHMFCを介して一定圧力で送り込まれている。反応炉7内の成長基板上に気相成長させるための材料物質を気相状態にしてメイン材料ガス供給ライン1に供給できるようにするために、メイン材料ガス供給ライン1には、第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6が接続されている。第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6はそれぞれ、第1材料供給源配管30とその第1バルブ31、第2材料供給源配管40とその第1バルブ41、第3材料供給源配管50とその第1バルブ51及び第4材料供給源配管60とその第1バルブ61を介して接続されている。
【0030】
第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6のそれぞれは、恒温槽によって温度調節されており、その内部に収容している原料物質中にそれぞれのマスフローコントローラM1、M2、M3及びM4によって流量制御されたバブリングガス(窒素や水素など)を窒素ガス供給源N2や水素ガス供給源H2から所定バルブで選択的に送り込むことによって原料物質を泡立たせ、これにより材料ガスを放出させる構成となっている。各材料供給源とメイン材料ガス供給ライン1とは各第1バルブによって接続され、それぞれ独立に当該バルブを開くことによって気相状態となっている材料とキャリアガスである水素ガス又は窒素ガスとの混合ガスの材料ガスがメイン材料ガス供給ライン1に流量調節されて材料ガスとして送り込まれる。
【0031】
第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6は、キャリアガスを適宜選択して、TMGa(トリメチルガリウム)、TMAl(トリメチルアルミニウム)、CpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)、TEGa(トリエチルガリウム)、TMIn(トリメチルインジウム)などの材料ガスを供給できる。なお、図3に示していないが、この気相成長装置には、バブラを用いない材料ガスとしてアンモニアガス供給源、シランガス供給源なども別に設置されたラインを通じて、反応炉7にそれら材料ガスを供給できる構成となっている。
【0032】
反応炉7内部には、たとえば、内部に成長基板を保持するサセプタ、これを高周波誘導加熱するためのヒータが設けられており、これにより反応炉7内に送り込まれた材料ガスが成長基板上で熱分解され、成長基板上にエピタキシャル結晶を成長させることができる。反応後のガスは反応炉7の排出口(図示せず)から排気ポンプ(図示せず)により排出される。
【0033】
べントライン2の入力端にも水素供給源や窒素供給源が接続され、これからキャリアガスである窒素又は水素がマスフローコントローラNMFCを介して一定圧力で送り込まれている。べントライン2にはそれぞれ、第1材料供給源配管30とその第2バルブ32、第2材料供給源配管40とその第2バルブ42、第3材料供給源配管50と第2バルブ52及び第4材料供給源配管60と第2バルブ62を介して第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6が接続されている。
【0034】
たとえば、第1材料供給源配管の第1バルブ31が閉じられている場合、第1材料供給源3から第1材料供給源配管30を通してべントライン2内に逃すようにするため、第1材料供給源配管30とべントライン2を接続する第2バルブ32が設けられている。第1バルブ31及び第2バルブ32は一方が閉じている場合には他方が開くように制御部65によって開閉制御されており、これにより第1材料供給源配管30からの材料ガスを所定のタイミングで所定の時間だけメイン材料ガス供給ライン1に送り出す又はべントライン2に排出することができる構成となっている。
【0035】
本実施例においては、第1材料供給源3以外の他の材料供給源、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6なども全く同様の構成となっているので、それらの第1バルブ及び第2バルブなどに関する説明を省略する。
【0036】
第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6内で作られた各材料ガスは、制御部65によって、対応するマスフローコントローラによって所定の圧力状態に調整されて取り出され、且つ、対応する第1バルブ及び第2バルブを交互に開弁制御することより各薄膜層の形成に必要とされる量の材料ガスを所要のタイミングで反応炉7に送り込むことができるように構成されている。
【0037】
さらに、本実施例では結晶成長装置において、ダミーラインを2本(一対の第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20)を設け、制御部65によって、交互にメイン材料ガス供給ライン1とべントライン2への接続を切り替えることにより複数の材料供給源への対応を可能にしている。
【0038】
第1ダミーライン10は、入力端にて窒素ガス供給源N2及び水素ガス供給源H2の配管からそれぞれバルブV1N及びV1Hを介して接続され、窒素ガス及び水素ガスが供給され得るように構成されている。第1ダミーライン10は、その出力端にて第3バルブ11を介してメイン材料ガス供給ライン1に接続され、第4バルブ12を介してべントライン2への接続されている。第1ダミーライン10には、入出力端間にマスフローコントローラM5が介装され、窒素ガス及び水素ガスの少なくとも一方が流量調節されてキャリアガスとして交互にメイン材料ガス供給ライン1又はべントライン2へ送り込まれる。
【0039】
第2ダミーライン20は、入力端にて窒素ガス供給源N2及び水素ガス供給源H2の配管からそれぞれバルブV2N及びV2Hを介して接続され、窒素ガス及び水素ガスが供給され得るように構成されている。第2ダミーライン20は、その出力端にて第5バルブ21を介してメイン材料ガス供給ライン1に接続され、第6バルブ22を介してべントライン2への接続されている。第2ダミーライン20には、入出力端間にマスフローコントローラM6が介装され、窒素ガス及び水素ガスの少なくとも一方が流量調節されてキャリアガスとして交互にメイン材料ガス供給ライン1又はべントライン2へ送り込まれる。
【0040】
一対の第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20のバルブ切り替えステップ動作は以下の(1)及び(2)の状態となるように、制御部65の制御によって、実行される。
【0041】
(1)第1ダミーライン10の第3バルブ11が閉じられる場合、第1ダミーライン10の第4バルブ12が開けられると同時に、第2ダミーライン20の第5バルブ21が開けられ且つ、第2ダミーライン20の第6バルブ22が閉じられる。この状態は、第2ダミーライン20の第6バルブ22が閉じられる場合と、第1ダミーライン10の第4バルブ12が開けられる場合と、第2ダミーライン20の第5バルブ21が開けられる場合にも、同様に実行される。
【0042】
(2)第1ダミーライン10の第3バルブ11が開けられる場合、第1ダミーライン10の第4バルブ12が閉じられると同時に、第2ダミーライン20の第5バルブ21が閉じられ且つ、第2ダミーライン20の第6バルブ22が開けられる。この状態は、第2ダミーライン20の第6バルブ22が開けられる場合と、第1ダミーライン10の第4バルブ12が閉じられる場合と、第2ダミーライン20の第5バルブ21が閉じられる場合にも、同様に実行される。
【0043】
したがって、制御部65によって、第3バルブ11及び第4バルブ12は一方が閉じている場合には他方が開くように開閉制御され、第5バルブ21及び第6バルブ22は一方が閉じている場合には他方が開くように開閉制御され、第3バルブ11及び第5バルブ21は一方が閉じている場合には他方が開くように開閉制御され、第4バルブ12及び第6バルブ22は一方が閉じている場合には他方が開くように開閉制御される。
【0044】
これにより、制御部65は、メイン材料ガス供給ライン1に供給されるガス(キャリアガスと材料ガス)の総量が常に一定となるように、べントライン2に接続され供給されている一対の第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20のいずれか一方のキャリアガスの流量を、次回のメイン材料ガス供給ライン1に供給されるべき材料ガス(第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6)の合計の流量に応じて、予め設定してキャリアガスの流しておく制御を実行し、上記動作を繰り返すことにより、所定のタイミングで所定の時間だけメイン材料ガス供給ライン1に安定して混合材料ガスを反応炉7に送り込むことができる。
【0045】
なお、上記のすべてのバルブ及びマスフローコントローラは、これらに電気的に接続されている制御部65によって、電磁的に制御される構成となっている。また、それぞれのガス供給源から供給される材料ガス及びキャリアガスの流量を調整するための適所の流量調整弁や圧力センサなども、図示していないが、本実施例では結晶成長装置に含まれ、それらの開弁制御や圧力センサ出力は、制御部65内のマイクロコンピュータを用いて電子的に制御、検知し、これにより材料供給ライン1内の圧力と反応炉7内の圧力とが同圧状態となるように構成されている。
【0046】
具体的に、図4及び図5に基づいて、第1材料供給源3から第1材料ガスを反応炉7に送り込む動作を説明する。なお、図中、白い丸(○)はバルブの開いた状態を、黒い丸(●)はバルブの閉じた状態を示す。ここで、第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6のそれぞれの流量を(a)、(b)、(c)及び(d)とし、第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20のキャリアガスの流量を(D1)及び(D2)とする。すなわち、第1ダミーライン流量=(D1)、第2ダミーライン流量=(D2)、第1材料供給源流量=(a)、第2材料供給源流量=(b)、第3材料供給源流量=(c)、第4材料供給源流量=(d)とする。
【0047】
図4の状態では、メイン材料ガス供給ライン1の流量=(D1)であり、べントライン2の流量=(D2)+(a)+(b)+(c)+(d)であって、メイン材料ガス供給ライン1の流量とべントライン2の流量とが等しいとする。
【0048】
次回(図5)のメイン材料ガス供給ライン1に供給されるべき材料ガス流量は第1材料供給源3からの第1材料ガス流量(a)とする。
【0049】
図4から図5への状態に移行する準備工程(図4)では、制御部65のバルブ制御により、第2ダミーライン流量(D2)=(D1)−(a)となるように設定する。すなわち、現在のメイン材料ガス供給ライン1の流量(D1)=(D2)+(a)となるように、第2ダミーライン流量(D2)を予め設定する。
【0050】
上記流量に設定してライン流量が安定したら、制御部65のバルブ制御により、図5の状態にバルブの開閉状態を移行させる。このとき、各流量は以下のようになる。
メイン材料ガス供給ライン1の流量=(D2)+(a)=(D1)、
べントライン2の流量=(D1)+(b)+(c)+(d)。
【0051】
かかるバルブ制御により、メイン材料ガス供給ライン1の流量は図4の状態と図5の状態とで変化がないので、流量や圧力の変動を抑えることができる。
【0052】
本発明による一対のダミーラインを用いた結晶成長装置を用いた結晶成長法について、たとえば、第1材料ガスを供給している状態から、その後、第2材料及び第3材料を供給すると同時に第1材料の供給を止める場合を、図6及び図7に基づいて、説明する。
【0053】
図6の状態では、各流量は以下のようになっている。
メイン材料ガス供給ライン1の流量=(D2)+(a)、
べントライン2の流量=(D1)+(b)+(c)+(d)。
【0054】
図7の状態へ移行する準備工程(図6)では、制御部65のバルブ制御により、第1ダミーライン流量(D1)=(D2)+(a)−(b)−(c)となるように設定する。すなわち、現在のメイン材料ガス供給ライン1の流量=(D2)+(a)=(D1)+(b)+(c)となるように、第1ダミーライン流量(D1)を予め設定する。
【0055】
上記流量に設定してライン流量が安定したら、制御部65のバルブ制御により、図7の状態にバルブの開閉状態を移行させる。このとき、各流量は以下のようになる。
メイン材料ガス供給ライン1の流量=(D1)+(b)+(c)=(D2)+(a)、
べントライン2の流量=(D2)+(a)+(d)。
【0056】
かかるバルブ制御により、メイン材料ガス供給ライン1の流量は図6の状態と図7の状態とで変化がないので、流量や圧力の変動を抑えることができる。
【0057】
このように、第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20は、制御部65のバルブ制御により、バルブ開閉状態の移行前の準備段階で、べントラインに接続されている方のダミーライン流量が現在のメイン材料ガス供給ライン流量と次に流す予定の材料ガス流量総和との差分に等しくなるように、設定される。すなわち、第1及び第2ダミーラインの開閉の切り替えの間に第2ダミーライン20から第6バルブ22を介して、べントライン2に、かかる切り替え後に必要となる流量のキャリアガスを流すと同時に各材料ガス供給源からその第2バルブを介して、べントライン2に、かかる切り替え後に必要となる流量の材料ガスを流し、かかる切り替え時において、べントライン2に流れていたキャリアガスと材料ガスとをメイン材料ガス供給ライン1へ流すのである。
【0058】
第1ダミーライン及び第2ダミーラインを交互にメイン材料ガス供給ラインからべントラインへ、べントラインからメイン材料ガス供給ラインへ瞬時に切り替えることにより、複数の材料供給源配管や複数の材料ガス供給源のライン切り替えにも急峻性の良い切り替えが可能になる。
【0059】
[変形例1]
図8は、他の実施例の気相成長装置の概略構成を示す。この実施例は、第1ダミーライン10にてマスフローコントローラM5に代えて並列に第1マスフローコントローラ70と第2マスフローコントローラ71を、同様に第2ダミーライン20にてマスフローコントローラM6に代えて並列に第1マスフローコントローラ72と第2マスフローコントローラ73を設けた以外、上記の実施例の気相成長装置の構成と同一である。よって、かかる同一構成の説明は省略して、異なる構成を説明する。
【0060】
この実施例の変形例の気相成長装置として、図8に示す場合、たとえば、第1ダミーラインの第1マスフローコントローラ70及び第2ダミーラインの第1マスフローコントローラ72として小流量用マスフローコントローラを使用し、第1ダミーラインの第2マスフローコントローラ71及び第2ダミーラインの第2マスフローコントローラ73として大流量用マスフローコントローラを使用することにより、キャリアガス供給のワイドレンジ化が可能となる。
【0061】
[変形例2]
図3又は図8に示す実施例の気相成長装置において、材料供給源のうちのいずれか2つ、例えば、第1材料供給源3と第2材料供給源4とを同一の材料としてもよい。この場合、同一の材料であって、次にメイン材料ガス供給ライン1に流す予定の流量と、現在、メイン材料ガス供給ライン1に流している流量とが違う場合にも、反応炉の圧力変動を抑制して材料ガスの切り替えが可能となる。
【0062】
例えば、第1材料供給源と第2材料供給源としてTMInを選択し、且つ、マスフローコントローラM1,M2の流量が異なるように制御した場合を検討する。第1材料供給源のTMInが、第1バルブ31を介してメイン材料ガス供給ライン1に、マスフローコントローラM1によって規定される量供給される。一方で、第2材料供給源のTMInは、第2バルブ42を介してべントライン2に、マスフローコントローラM2によって規定される量供給される。
【0063】
ここで、第1ダミーライン10の第3バルブ11及び第4バルブ12並びに第2ダミーライン10の第5バルブ21及び第6バルブ22の開閉状態をそれぞれ反転させる際、同時に、第2バルブ32と第1バルブ41とを開状態し、且つ、第1バルブ31と第2バルブ42とを閉状態とする。すると、マスフローコントローラM1によって規定される量だけメイン材料ガス供給ライン1にTMInが供給されていた状態が、バルブ開閉状態反転のタイミングで、マスフローコントローラM2によって規定される量だけメイン材料ガス供給ライン1にTMInが供給される状態へ切り替わる。この方法によって、例えば、In組成の相違する複数の単結晶層を連続的に成長する場合に、In組成の急峻性の良い結晶が得られる。TMInの場合のみならず、TMGaやCpMgなど他の材料を用いても同様である。
【0064】
以上のように、2本のダミーライン10,20は、結晶成長装置に取り付けられている全ての材料ガス供給源の供給の切り替えによる反応炉への流量や反応炉の圧力の変動を低減する機能を有するとともに、2本のダミーラインは、メイン材料ガス供給ラインから反応炉に実際に不活性ガスを供給する供給用ラインの役割と次回に流す補完流量を設定し、べントラインからメイン材料ガス供給ラインに切り替える準備をしておく準備用ラインの役割を果たす。
【0065】
制御部によってかかる2本のダミーラインを供給用ラインから準備用ライン又は準備用ラインから供給用ラインと言うように交互に切り替えることにより、事前に次のステップでの必要流量を準備することができ、いかなる状態にも2本で構成されたダミーラインにおいて対応が可能となる。
【0066】
[第2実施例]
図9は、第2実施例の気相成長装置の概略構成を示す。図中、参照符号のG1は第1材料ガス供給ラインを、G2は第2材料ガス供給ラインを、DCVSは方向制御バルブシステムを、それぞれ示す。
【0067】
本実施例においては、材料供給源群から方向制御バルブシステムDCVSを介して、反応炉給気管1(メイン材料ガス供給ライン)及びべントライン2へ接続、すなわち、方向制御バルブシステムDCVSが第1及び第2材料ガス供給ラインG1,G2と反応炉給気管1及びべントライン2との間に配置された以外の構成要素は上記の第1実施例のものと同一の構成となっている。よって、かかる同一構成の説明は省略して、上記の第1実施例の構成要素と異なるものを中心に説明する。
【0068】
図9に示すように、第1材料ガス供給ラインG1の入力端には、水素供給源や窒素供給源が接続され、これからキャリアガスである水素又は窒素がマスフローコントローラHMFC又はNMFCを介して一定圧力で送り込まれている。第1材料ガス供給ラインG1には、第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6が接続されている。第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6はそれぞれ、第1材料供給源配管30とその第1バルブ31、第2材料供給源配管40とその第1バルブ41、第3材料供給源配管50とその第1バルブ51及び第4材料供給源配管60とその第1バルブ61を介して接続されている。各材料供給源と第1材料ガス供給ラインG1とは各第1バルブによって接続され、それぞれ独立に当該バルブを開くことによって気相状態となっている材料とキャリアガスである水素ガス又は窒素ガスとの混合ガスの材料ガスが第1材料ガス供給ラインG1に流量調節されて材料ガスとして送り込まれる。
【0069】
第2材料ガス供給ラインG2の入力端にも水素供給源や窒素供給源が接続され、これからキャリアガスである窒素がマスフローコントローラNMFCを介して一定圧力で送り込まれている。第2材料ガス供給ラインG2にはそれぞれ、第1材料供給源配管30とその第2バルブ32、第2材料供給源配管40とその第2バルブ42、第3材料供給源配管50と第2バルブ52及び第4材料供給源配管60と第2バルブ62を介して第1材料供給源3、第2材料供給源4、第3材料供給源5及び第4材料供給源6が接続されている。
【0070】
たとえば、第1材料供給源配管30の第1バルブ31及び第2バルブ32は一方が閉じている場合には他方が開くように、或いはその逆となるように、制御部65によって開閉制御されており、これにより第1材料供給源配管30からの材料ガスを所定のタイミングで所定の時間だけ第1材料ガス供給ラインG1又は第2材料ガス供給ラインG2に送り出せる構成となっている。同様に、第2材料供給源配管40と第3材料供給源配管50と第4材料供給源配管60も、それらの第1バルブ41,51,61及び第2バルブ42,52,62が制御部65によって一方が開く場合は他方が閉じ、一方が閉じる場合は他方が開くように開閉制御されており、それらの材料ガスを所定のタイミングで所定の時間だけ第1又は第2材料ガス供給ラインG1,G2に送り出せる構成となっている。
【0071】
第1及び第2材料ガス供給ラインG1,G2と反応炉給気管1との間に配置された方向制御バルブシステムDCVSは、第1及び第2材料ガス供給ラインG1,G2にそれぞれに接続された第1及び第2流入ポートIp1,Ip2並びに反応炉給気管1及びべントライン2にそれぞれに接続された第1及び第2流出ポートOp1,Op2を有する。反応炉給気管1はその出力端が反応炉7へ接続されている。反応炉7の排出口から排気ポンプVPに接続され、べントライン2も排気ポンプVPの排出口側に接続され、不要ガスが排出される。
【0072】
方向制御バルブシステムDCVSは、制御部65により、第1及び第2流入ポートからそれぞれ第1及び第2流出ポートへのみ開いた第1開状態、又は、第1及び第2流入ポートからそれぞれ第2及び第1流出ポートへのみ開いた第2開状態となるように、開閉制御されている。
【0073】
具体的に、方向制御バルブシステムDCVSは、例えば、第1流入ポートIp1及び第1流出ポートOp1を有する第1のノーマルオープン電磁バルブNOV1と、第2流入ポートIp2及び第2流出ポートOp2を有する第2のノーマルオープン電磁バルブNOV2と、第1流入ポートIp1及び第2流出ポートOp2の間に接続された第1のノーマルクローズ電磁バルブNCV1と、第2流入ポートIp2及び第1流出ポートOp1の間に接続された第2のノーマルクローズ電磁バルブNCV2とから構成される。なお、ノーマルクローズ電磁バルブは、電流を印加するとバブル開の状態になり、電流を印加しないときはバブル閉の状態になる電磁弁である。ノーマルオープン電磁バルブは、電流を印加するとバブル閉の状態になり、電流を印加しないときにはバブル開の状態になる電磁弁である。第1のノーマルオープン電磁バルブNOV1及び第2のノーマルオープン電磁バルブNOV2の閉及び開の動作と、第1のノーマルクローズ電磁バルブNCV1及び第2のノーマルクローズ電磁バルブNCV2の開及び閉の動作とが同時となるように制御部65により、制御されている。すなわち、制御部65は、第1流量調整ラインの第3バルブ11と第2流量調整ラインの第6バルブ22が開いた状態となる場合は、第1流量調整ラインの第4バルブ12と第2流量調整ラインの第5バルブ21が閉じた状態とし、且つ、第1流量調整ラインの第3バルブ11と第2流量調整ラインの第6バルブ22が閉じた状態となる場合は、第1流量調整ラインの第4バルブ12と第2流量調整ラインの第5バルブ21が開いた状態とするとともに、方向制御バルブシステムDCVSの上記の第1又は第2開状態を切り替えることができる。
【0074】
例えば、図10及び図11に基づいて、方向制御バルブシステムDCVSにて材料ガスを反応炉7に送り込む動作を説明する。なお、図中、白い丸(○)はバルブの開いた状態を、黒い丸(●)はバルブの閉じた状態を示す。ここで、第1材料供給源3、第2材料供給源4及び第3材料供給源5のそれぞれの流量を(A)、(B)及び(C)とし、第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20のキャリアガスの流量を(m)及び(n)とする。
【0075】
図10に示すように、第1ダミーライン10及び第2ダミーライン20のキャリアガスの水素及び窒素がそれぞれ供給されている。第1材料ガス供給ラインG1には、第1材料供給源3から第1材料供給源配管30とその第1バルブ31を介して、第3材料供給源5から第3材料供給源配管50とその第1バルブ51を介して、それぞれ材料ガスが供給されている。第2材料ガス供給ラインG2には第2材料供給源4から第2材料供給源配管40とその第2バルブ42を介して材料ガスが供給されている。方向制御バルブシステムDCVSにより、第1材料ガス供給ラインG1が第1のノーマルオープン電磁バルブNOV1を介して反応炉給気管1へ接続されるとともに、第2材料ガス供給ラインG2が第2のノーマルオープン電磁バルブNOV2を介してべントライン2へ接続されている。よって、反応炉7へは第1材料供給源3及び第3材料供給源5のそれぞれの材料ガス流量(A)及び(C)で供給されている。第2材料供給源4の材料ガスは流量(B)で排気されている。ここで、図10から図11への状態へ移行する前の準備段階として、第2材料ガス供給ラインG2全体の流量を、第1材料ガス供給ラインG1全体の流量と等しくなるように、第2ダミーライン20から供給するキャリアガス量を制御部65が調整する。即ち、第1材料ガス供給ラインG1の流量を(m)+(A)+(C)、第2材料ガス供給ラインG2の流量を(n)+(B)で表せば、(n)=(m)+(A)+(C)−(B)となるように調整する。
【0076】
図11に示すように、図10に示す第1及び第2のノーマルオープン電磁バルブNOV1及びNOV2が開の状態かつ第1及び第2のクローズ電磁バルブNCV1及びNCV2が閉の状態から、第1及び第2のノーマルオープン電磁バルブNOV1及びNOV2が閉の状態かつ第1及び第2のクローズ電磁バルブNCV1及びNCV2が開の状態へ方向制御バルブシステムDCVSの状態へ、制御部65によって瞬時に切り替えられる。よって、反応炉7へは第2材料供給源4の材料ガスが流量(B)で供給されるとともに、第1材料供給源3及び第3材料供給源5の材料ガスは流量(A)及び(C)で排気される。このように方向制御バルブシステムDCVSのみの制御部65の制御によって第1及び第2ダミーラインと第1及び第2材料ガス供給ラインを同時に切り替えることができる。反応炉に供給流量(A)及び(C)の状態から供給流量(B)の状態に切り替える際、方向制御バルブシステムDCVSの切り替えによって、より急峻性の良い材料供給ガスの切り替えが行える。
【0077】
次に、図11に示す状態{反応炉1への供給流量(B)の状態}から図12に示す状態{第3材料供給源配管50から追加供給した供給流量(C)+(B)の状態}に切り替える場合を説明する。制御部65により、図11に示す状態で第1ダミーライン10の流量(m)を{第2ダミーライン20の流量(n)−第3材料供給源配管50の流量(C)}と予め調節して準備し、制御部65により、図12に示すように第3材料供給源配管の第1バルブ51の開状態から第3材料供給源配管50の第2バルブ52の開状態に切り替えると同時に第3バルブ11の開状態から第1ダミーライン10の第4バルブ12の開状態に切り替え、更に第6バルブ22の開状態から第5バルブ21の開状態に切り替える。これにより流量、圧力の変動を抑え安定した急峻性の良い材料切り替えが可能となる。
【0078】
このように、制御部は、方向制御バルブシステムDCVSにより第2材料ガス供給ラインG2とべントラインを接続し且つ第1材料ガス供給ラインG1と反応炉給気管1を接続して、第1流量調整ライン10から第3バルブ11を介して第1材料ガス供給ラインG1にキャリアガスを流す間に、第2流量調整ライン20から第6バルブ22を介して、第2材料ガス供給ラインG2に、第4バルブ12と第5バルブ21が開いた状態となるときに必要となる流量のキャリアガスを流し、且つ、材料ガス供給源から第2バルブGV2を介して、第2材料ガス供給ラインG2に、第4バルブ12と第5バルブ21が開いた状態となるときに必要となる流量の材料ガスを流すことができる。そして、制御部は、第4バルブ12と第5バルブ21が開いた状態としたときに、第2材料ガス供給ラインG2に流れていたキャリアガスと材料ガスとを第1材料ガス供給ラインG1へ流すとともに、方向制御バルブシステムDCVSを介して第2材料ガス供給ラインG2とべントライン2を接続し且つ第1材料ガス供給ラインG1と反応炉給気管1を接続することができる。さらに、方向制御バルブシステムDCVSは反応炉7に近い部位に設けられるので、供給ガスの切れは良くなる。
【0079】
[第3実施例]
図13は、第3実施例の気相成長装置の概略構成を示す。第3実施例は方向制御バルブシステムDCVSとして2つの三方電磁バルブを使用した以外、上記の第2実施例の気相成長装置の構成と同一である。よって、かかる同一構成の説明は省略して、異なる構成を説明する。
【0080】
図13に示すように、方向制御バルブシステムDCVSは、第1流入ポートIp1から第1流出ポートOp1及び第2流出ポートOp2のいずれか一方へ切り替えられる第1の三方電磁バルブTWV1と、第2流入ポートIp2から第1流出ポートOp1及び第2流出ポートOp2のいずれか一方へ切り替えられる第2の三方電磁バルブTWV2とからなる。制御部65は、第1の三方電磁バルブTWV1の第1流出ポートOp1が開き且つ第2流出ポートOp2が閉じた状態のときに第2の三方電磁バルブTWV2の第1流出ポートOp1が閉じ且つ第2流出ポートOp2が開いた状態となるように、又は、第1の三方電磁バルブTWV1の第1流出ポートOp1が閉じ且つ第2流出ポートOp2が開いた状態のときに第2の三方電磁バルブTWV2の第1流出ポートOp1が開き且つ第2流出ポートOp2が閉じた状態となるように、同時に制御する。
【0081】
また、方向制御バルブシステムDCVSとして2つの第1及び第2の三方電磁バルブTWV1,TWV2を使用するによりバルブ操作を減少させることができる。
【0082】
例えば、図14及び図15に基づいて、方向制御バルブシステムDCVSにて材料ガスを反応炉7に送り込む動作を説明する。なお、図中、第1及び第2の三方電磁バルブTWV1,TWV2のそれぞれの内の白い三角(△)は部分バルブの開いた状態を△で、黒い三角(▲)は部分バルブの閉じた状態を▲で示す。
【0083】
図14は、制御部65によって第1の三方電磁バルブTWV1の第1流出ポートOp1が開き且つ第2流出ポートOp2が閉じた状態であり、且つ、第2の三方電磁バルブTWV2の第1流出ポートOp1が閉じ且つ第2流出ポートOp2が開いた状態にある事を示す。これから、図15に示すように、制御部65によって第1の三方電磁バルブTWV1の第1流出ポートOp1が閉じ且つ第2流出ポートOp2が開いた状態のときに第2の三方電磁バルブTWV2の第1流出ポートOp1が開き且つ第2流出ポートOp2が閉じた状態となるように、瞬時に切り替えられる。よって、反応炉7へは第2材料供給源4の材料ガスが流量(B)で供給されるとともに、第1材料供給源3及び第3材料供給源5の材料ガスは流量(A)及び(C)で排気される。
【0084】
上記の第2及び第3実施例において、ダミーライン(第1及び第2)は2ライン一対で構成され、材料ガス供給ライン(第1及び第2)も2ライン一対で構成される。制御部と方向制御バルブシステムによる当該2ラインのダミーラインと2ラインの材料ガス供給ラインの交互の切り替えによって、結晶成長装置に取付けられている全ての材料供給源から反応炉への流量や反応炉の圧力の変動を極めて減少させることが可能となる。さらに、2ラインの第1及び第2ダミーラインと2ラインの第1及び第2材料ガス供給ラインとは、反応炉への供給用ラインと次に流すための準備用にそのまま排気されるべントラインとの双方の機能を果たせるように構成できる。
【0085】
また、制御部によって、2ラインの第1及び第2ダミーラインと2ラインの第1及び第2材料ガス供給ラインを、第1から第2に、第2から第1に、と言う様にダミーラインのみ、材料ガス供給ラインのみ、あるいはダミーラインと材料ガス供給ラインを同時に切り替えることにより、事前の次のステップでの必要流量の準備や、いかなる材料ガスの反応炉への供給開始や停止の対応が可能となり、また供給ガスの流量及び圧力だけではなく、複数の材料ガスを安定的に混合した状態で供給することができる。本実施例の機器構成及び制御方法であれば配管のライン構成が複雑にならずに、装置サイズが大きくなることも無く、必要最低限のバルブ等の切り替えにより任意の成膜が可能となる。
【0086】
さらに、2ライン(一対)のダミーラインと2ラインの第1及び第2材料ガス供給ラインをダミーラインのみ、材料ガス供給ラインのみ、あるいはダミーラインと材料ガス供給ラインを同時に切り替える構成としたため、バルブの切り替え数を低減する事が出来、より界面急峻性の優れた良質な成膜が可能となる。また、複数の材料ガスを反応炉に供給する際、材料ガス供給ライン自体を切り替えるため準備段階での安定した状態での供給が可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1 メイン材料ガス供給ライン
2 べントライン
3 第1材料供給源
4 第2材料供給源
5 第3材料供給源
6 第4材料供給源
7 反応炉
10 第1ダミーライン
11 第3バルブ
12 第4バルブ
20 第2ダミーライン
21 第5バルブ
22 第6バルブ
30 第1材料供給源配管
31 第1材料供給源配管の第1バルブ
32 第1材料供給源配管の第2バルブ
40 第2材料供給源配管
41 第2材料供給源配管の第1バルブ
42 第2材料供給源配管の第2バルブ
50 第3材料供給源配管
51 第3材料供給源配管の第1バルブ
52 第3材料供給源配管の第2バルブ
60 第4材料供給源配管
61 第4材料供給源配管の第1バルブ
62 第4材料供給源配管の第2バルブ
65 制御部
70 第1ダミーラインの第1マスフローコントローラ
71 第1ダミーラインの第2マスフローコントローラ
72 第2ダミーラインの第1マスフローコントローラ
73 第2ダミーラインの第2マスフローコントローラ
G1 第1材料ガス供給ライン
G2 第2材料ガス供給ライン
DCVS 方向制御バルブシステム
Ip1 第1流入ポート
Op2 第2流出ポート
VP 排気ポンプ
NOV1 第1のノーマルオープン電磁バルブ
NOV2 第2のノーマルオープン電磁バルブ
NCV1 第1のノーマルクローズ電磁バルブ
NCV2 第2のノーマルクローズ電磁バルブ
TWV1 第1の三方電磁バルブ
TWV2 第2の三方電磁バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉と、
前記反応炉に接続された材料ガス供給ラインと、
べントラインと、
前記材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、
前記材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、
前記材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、
前記第3バルブと前記第6バルブが開いた状態となる場合は、前記第4バルブと前記第5バルブが閉じた状態とし、前記第3バルブと前記第6バルブが閉じた状態となる場合は、前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態とする制御部と、を有することを特徴とする気相成長装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1流量調整ラインから前記材料ガス供給ラインにキャリアガスを流す間に、
前記第2流量調整ラインから前記べントラインに、前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態となるときに必要となる流量のキャリアガスを流し、且つ、前記材料ガス供給源から前記べントラインに、前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態となるときに必要となる流量の材料ガスを流し、且つ、
前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態としたときに、前記べントラインに流れていたキャリアガスと材料ガスとを前記材料ガス供給ラインへ流す、請求項1に記載の気相成長装置。
【請求項3】
前記材料ガス供給源は、第1材料ガス供給源と、第2材料ガス供給源とを含み、前記第1材料ガス供給源と前記第2材料ガス供給源とは同一の材料ガスを供給すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の気相成長装置。
【請求項4】
反応炉と、
前記反応炉に接続された材料ガス供給ラインと、
べントラインと、
前記材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、
前記材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、
前記材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記べントラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、を有する気相成長装置を用い、
前記第3バルブと前記第6バルブを開く場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを閉じる第1の工程と、
前記第3バルブと前記第6バルブを閉じる場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを開く第2の工程と、を有することを特徴とする気相成長方法。
【請求項5】
前記第1の工程と前記第2の工程の間に、前記第2流量調整ラインから前記第6バルブを介して、前記べントラインに、前記第2の工程に必要となる流量のキャリアガスを流し、
且つ、前記材料ガス供給源から前記第2バルブを介して、前記べントラインに、前記第2の工程に必要となる流量の材料ガスを流し、
前記第2の工程において、前記べントラインに流れていたキャリアガスと材料ガスとを前記材料ガス供給ラインへ流すこと、を特微とする請求項4に記載の気相成長方法。
【請求項6】
前記材料ガス供給源は、第1材料ガス供給源と、第2材料ガス供給源とを含み、前記第1材料ガス供給源と前記第2材料ガス供給源とは同一の材料ガスを供給するものであり、
前記第1の工程において第1の材料ガス供給源から第1の材料ガスが第1の量だけ前記材料ガス供給ラインへ供給され、
前記第2の工程において第2の材料ガス供給源から第1の材料ガスと同一の第1の量とは異なる第2の量だけ前記材料ガス供給ラインへ供給されること、を特微とする請求項4又は5に記載の気相成長方法。
【請求項7】
反応炉と、
前記反応炉に接続された反応炉給気管と、
べントラインと、
第1材料ガス供給ラインと、
第2材料ガス供給ラインと、
第1流入ポートと、第2流入ポート、第1流出ポート、第2流出ボートを備え、前記第1流入ポートは前記第1材料ガス供給ラインに接続され、前記第2流入ポートは第2材料ガス供給ラインに接続され、前記第1流出ポートは前記反応炉給気管に接続され、前記第2流出ポートは前記ベントラインに接続され、前記第1流入ポートと前記第1流出ポートの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通する第1の状態と、前記第1流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第1流出ポートとの間にだけガスが流通する第2の状態をとる方向制御バルブシステムと、
前記第1材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、
前記第1材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、
前記第1材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、
前記第3バルブと前記第6バルブが開いた状態となる場合は前記第4バルブと前記第5バルブが閉じた状態とし、且つ、前記第3バルブと前記第6バルブが閉じた状態となる場合は前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態とする制御部と、を備え、
更に前記制御部は、前記第1の状態と前記第2の状態の切り替えを制御することを特徴とする気相成長装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1流量ラインから前記第1材料ガス供給ライン、前記方向制御バルブシステム、前記反応炉給気管を介して前記反応炉へキャリアガスを流す間に、
前記第2流量調整ラインから前記第2材料ガス供給ラインに、前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態となるときに必要となる流量のキャリアガスを流し、且つ、前記材料ガス供給源から前記第2材料ガス供給ラインに、前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態となるときに必要となる流量の材料ガスを流し、且つ、
前記第4バルブと前記第5バルブが開いた状態としたときに、前記第2材料ガス供給ラインに流れていたキャリアガスと材料ガスとを前記第1材料ガス供給ライン、前記方向制御バルブシステム、前記反応炉給気管を介して前記反応炉へ流す、請求項7に記載の気相成長装置。
【請求項9】
前記方向制御バルブシステムは、第1流入ポート及び第1流出ポートを有する第1のノーマルオープン電磁バルブと、第2流入ポート及び第2流出ポートを有する第2のノーマルオープン電磁バルブと、前記第1流入ポート及び前記第2流出ポートの間に接続された第1のノーマルクローズ電磁バルブと、前記第2流入ポート及び前記第1流出ポートの間に接続された第2のノーマルクローズ電磁バルブとからなり、前記制御部により、前記第1のノーマルオープン電磁バルブ及び前記第2のノーマルオープン電磁バルブの閉及び開の動作と、前記第1のノーマルクローズ電磁バルブ及び前記第2のノーマルクローズ電磁バルブの開及び閉の動作が同時に制御されることを特徴とする請求項7又は8に記載の気相成長装置。
【請求項10】
前記方向制御バルブシステムは、第1流入ポートから第1流出ポート及び第2流出ポートのいずれか一方へ切り替えられる第1の三方電磁バルブと、第2流入ポートから第1流出ポート及び第2流出ポートのいずれか一方へ切り替えられる第2の三方電磁バルブとからなり、前記制御部により、前記第1の三方電磁バルブの前記第1流出ポートが開き且つ前記第2流出ポートが閉じた状態のときに前記第2の三方電磁バルブの前記第1流出ポートが閉じ且つ前記第2流出ポートが開いた状態となるように、又は、前記第1の三方電磁バルブの前記第1流出ポートが閉じ且つ前記第2流出ポートが開いた状態のときに前記第2の三方電磁バルブの前記第1流出ポートが開き且つ前記第2流出ポートが閉じた状態となるように、同時に制御されることを特徴とする請求項7又は8に記載の気相成長装置。
【請求項11】
反応炉と、
前記反応炉に接続された反応炉給気管と、
べントラインと、
第1材料ガス供給ラインと、
第2材料ガス供給ラインと、
第1流入ポート、第2流入ポート、第1流出ポート、第2流出ポートを備え、前記第1流入ポートは前記第1材料ガス供給ラインに接続され、第2流入ポートは第2材料ガス供給ラインに接続され、前記第1流出ポートは前記反応炉給気管に接続され、前記第2流出ポートは前記ベントラインに接続され、前記第1流入ポートと前記第1流出ポートとの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通する第1の状態と、前記第1流入ポートと前記第2流出ポートの間にだけガスが流通し、且つ、前記第2流入ポートと前記第1流出ポートとの間にだけガスが流通する第2の状態とをとる方向制御バルブシステムと、
前記第1材料ガス供給ラインに第1バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第2バルブを介して接続された配管を有する少なくとも1以上の材料ガス供給源と、
前記第1材料ガス供給ラインに第3バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第4バルブを介して接続された第1流量調整ラインと、
前記第1材料ガス供給ラインに第5バルブを介して接続され、且つ、前記第2材料ガス供給ラインに第6バルブを介して接続された第2流量調整ラインと、を有する気相成長装置を用い、
前記第3バルブと前記第6バルブを開く場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを閉じる第1の工程と、
前記第3バルブと前記第6バルブを閉じる場合に、前記第4バルブと前記第5バルブを開く第2の工程と、
前記第1の状態と前記第2の状態の切り替えを行う第3の工程と、を有することを特徴とする気相成長方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−199511(P2012−199511A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240313(P2011−240313)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】