説明

液晶としてのシアノピリドン誘導体

本発明は、シアノピリドン誘導体に、液晶媒体、液晶デバイス、異方性ポリマー、光学、電気光学、装飾、セキュリティー、化粧品、診断、医薬、電気、電子、電荷輸送、半導体、光記録、エレクトロルミネセンス、光伝導体および電子写真用途におけるそれらの使用に、ならびにそれらを含む液晶媒体、ポリマーおよびディスプレイに関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、シアノピリドン誘導体に、液晶媒体、液晶デバイス、異方性ポリマー、光学、電気光学、装飾、セキュリティー、化粧品、診断、医薬、電気、電子、電荷輸送、半導体、光記録、エレクトロルミネセンス、光伝導体および電子写真用途におけるそれらの使用に、ならびにそれらを含む液晶媒体、ポリマーおよびディスプレイに関する。
【0002】
背景および従来技術
液晶ディスプレイ(LCD)用途における使用のために、しばしば利用可能な液晶(LC)化合物および高い正の値の誘電異方性Δεを有する媒体を有する必要があり、言い換えると、材料は高分子の双極子を有する必要がある。現在まで、末端シアノ基を有する材料が、シアノ基の高い分極率のため、この目的のために広く使用されてきた。
したがって、+20以上のΔεを有し、末端シアノ基を有するLC化合物は、従来技術において広く知られている。しかしながら、多くの用途のために、さらにより高いΔεを有するLC化合物および媒体が必要である。さらに、従来技術から知られている化合物はしばしば、高い融点、スメクチック相または好ましくない値の複屈折などの好ましくない特性を有する。
その結果、未だにLC相の範囲などの媒体の他の特性に悪影響を与えずに、LC媒体においてΔεの値を増加させるために使用することができる高い極性および正のΔεを有する材料の必要性がある。
【0003】
本発明の発明者は、本発明において主張したように、シアノピリドン誘導体を提供することにより、上記の欠点を克服することができることを見出した。これらの化合物は、有利な特性を有し、光学、電気光学、セキュリティー、電子、電荷輸送、半導体、光記録、エレクトロルミネセンス、光電池または電子写真用途における、特にLC媒体およびLCデバイスにおける使用に好適である。
【0004】
WO 88/07992には、強誘電性LC媒体のためのシアノピリジンの調製における中間体として、5−シアノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−2−(4−オクチルオキシフェニル)−ピリジンの記載がある。
EP 0 180 188には、3−フルオロウラシルおよび関連化合物の抗ガン活性を増加させるために、医薬組成物における使用のための3,4,5−トリメトキシ安息香酸5−シアノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−2−ピリジニルエステルの使用の記載がある。
DeJohn et al., J. Heterocycl. Chem. 1983, 20(5), 1295-1302には、5−シアノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−2−[2−(4−メトキシフェニル)エテニル]ピリジンの記載がある。Rateb et al., J. Chem Soc. 1960, 1426-1430には、3−シアノ−1,2−ジヒドロ−6−(4−メトキシスチリル)−2−オキソ−イソニコチン酸エチルエステルおよびその置換された誘導体の記載がある。
【0005】
本発明の一目的は、改善された特性を有する新規シアノピリドン誘導体、特に棒型の分子構造を有するメソゲン性または液晶シアノピリドン類および重合可能なシアノピリドン類を提供することである。
別の目的は、液晶媒体、液晶デバイス、異方性ポリマー、光学、電気光学、装飾、セキュリティー、化粧品、医薬、診断、電気、電子、電荷輸送、半導体、光記録、エレクトロルミネセンス、光伝導体および電子写真用途などの新規シアノピリドン誘導体の有利な使用を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、従来技術から既知のLC媒体の欠点を有さない高い極性および高い正の値の誘電異方性を有する改善されたLC媒体およびLCポリマーを提供することである。
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明から、当業者にすぐに明らかである。
【0007】
発明の概要
本発明は、液晶媒体、液晶デバイス、異方性ポリマー、光学、電気光学、装飾、セキュリティー、化粧品、診断、電気、電子、電荷輸送、半導体、光記録、エレクトロルミネセンス、光伝導体および電子写真用途における、少なくとも1つの5−シアノピリドン−2−イル基(シアノピリドン誘導体)をメソゲン性または液晶材料として含む化合物の使用に関する。
【0008】
本発明はさらに、上述の用途のための、少なくとも1つの5−シアノピリドン−2−イル基を含む化合物の使用に関し、ここで5−シアノピリドン−2−イル基は、式(1)
【化1】

式中、R、RおよびRは、互いに独立してHあるいは、随意に1個または2個以上のヘテロ原子を含み、そして随意に縮合環を含む、20個までのC原子を有する随意に置換された脂肪族、脂環式または芳香族基である、
から選択される。
【0009】
本発明はさらに、上述の使用に関し、ここでシアノピリドン誘導体は、式I
【化2】

式中、
、RおよびRは、式(1)において定義したとおりであり、
【0010】
およびAは、互いに独立して芳香族または脂環式環であるか、あるいは2個または3個以上の縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ここでこれらの環は、随意にN、OおよびSから選択された1個または2個以上のヘテロ原子を含み、随意にRにより単置換または多置換され、
およびZは、互いに独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
およびYは、互いに独立してH、F、ClまたはCNであり、
【0011】
Rは、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、NCS、SFまたはアルキルであり、該アルキルは直鎖状または分枝状であり、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、あるいはF、Cl、Br、IまたはCNにより単置換または多置換され、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は随意に、それぞれの場合に互いに独立して、Oおよび/またはS原子は互いに直接結合しないよう、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−により置き換えられるか、あるいはRはP−Spを示し、
およびR00は、互いに独立してHまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
Pは、重合可能なまたは反応性の基であり、
Spは、スペーサ基または単結合であり、ならびに
mは、0、1または2である、
から選択される。
【0012】
本発明はさらに、メソゲン性または液晶シアノピリドン誘導体、特に上記に定義した式(1)の少なくとも1つの基を含む化合物に関する。
【0013】
本発明はさらに、式I
【化3】

式中、
、A、Z、Z、R、R、R、Rおよびmは、上記に定義したとおりであるが、ただし、
a)mが0であり、R、RおよびRがHであり、ならびにZが単結合である場合、A−Rは、4−アルキルフェニルまたは4−アルコキシフェニルと異なる、
b)mが0であり、R、RおよびRがHであり、ならびにZがCOOまたはCH=CHである場合、A−Rは、4−メトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニルまたは3,4,5−トリメトキシフェニルと異なる、
c)mが0であり、RおよびRがHであり、Rがカルボキシエチルであり、ならびにZがCH=CH、CH=C(CH)またはCH=C(C)である場合、A−Rは、フェニルまたは4−メトキシフェニルと異なる、
で表される新規シアノピリドン誘導体、特に式Iで表されるメソゲン性または液晶シアノピリドン誘導体に関する。
【0014】
本発明はさらに、好ましくは式(1)の少なくとも1つの基を含み、非常に好ましくは式Iから選択される、少なくとも1つのシアノピリドン誘導体を含むLC媒体に関する。
本発明はさらに、少なくとも1つのシアノピリドン誘導体および少なくとも1つの重合可能な化合物を含む重合可能なLC媒体に関し、ここで前記シアノピリドン誘導体は、好ましくは式(1)の少なくとも1つの基を含み、非常に好ましくは式Iから選択され、および前記重合可能な化合物は、前記シアノピリドン誘導体または追加の化合物であり得る。
【0015】
本発明はさらに、本明細書に記載のとおりシアノピリドン誘導体または重合可能なLC媒体を重合させることにより得られるポリマーに関する。
本発明はさらに、その配向状態で、好ましくはフィルムの形状で、本明細書に記載のとおりシアノピリドン誘導体または重合可能なLC媒体を重合させることにより得られる異方性ポリマーに関する。
【0016】
本発明はさらに、本明細書に記載のとおりシアノピリドン誘導体、液晶媒体、ポリマーまたはポリマーフィルムの使用に関し、電気光学ディスプレイ、液晶ディスプレイ、光学フィルム、偏光板、補償板、ビームスプリッタ、反射フィルム、配向層、カラーフィルタ、ホログラフィック素子、熱転写箔(hot stamping foils)、カラー映像、例えば消費者物品または有価証券のための装飾またはセキュリティーマーキング、LC色素、接着剤、異方性機械特性を有する合成樹脂、化粧品、医薬、診断、非線形光学、光学的情報記憶における、キラルドーパントとして、集積回路工学の成分としての例えば電界効果トランジスタ(FET)のような電子デバイスにおける、フラットパネルディスプレイ用途におけるまたは無線周波数識別(RFID)タグのための薄膜トランジスタとして、または有機発光ダイオード(OLED)用途、エレクトロルミネセンスディスプレイまたはLCDのバックライト用の半導体成分において、光電池またはセンサーデバイスのための、バッテリーにおける電極材料として、光伝導体として、あるいは電子写真用途または電子写真記録のための使用に関する。
【0017】
本発明はさらに、本明細書に記載のとおりシアノピリドン誘導体あるいはLC媒体、ポリマーまたはポリマーフィルムを含むLCデバイスに関する。
【0018】
用語の定義
用語「液晶またはメソゲン性材料」または「液晶またはメソゲン性化合物」は、1つまたは2つ以上の棒型、ラス型またはディスク型のメソゲン性基、すなわちLC相挙動を誘発する能力を有する基を含む材料または化合物を意味する。メソゲン性基を含む化合物または材料は、必ずしもそれら自体LC相を示す必要はない。また、これらが、他の化合物との混合物においてのみ、もしくはメソゲン性化合物または材料あるいはこれらの混合物を重合させた際に、LC相挙動を示すことも可能である。
【0019】
用語「重合可能な」および「反応性の」は、重合反応、例えばラジカル性またはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合に関与することができる化合物または基、および例えば、重合類似反応においてポリマー主鎖に縮合または付加によりグラフトされることができる反応性化合物または反応性基を含む。
用語「フィルム」は、いくらか顕著な機械的安定性および可撓性を示す自立性の、すなわち独立して立つフィルム、並びに支持基板上または2つの基板の間の被膜または層を含む。
【0020】
発明の詳細な説明
1つまたは2つ以上のシアノピリドン誘導体を含む本発明のLC媒体およびLCデバイスは、増加した誘電異方性Δεを示すため、有利である。
特に式Iの新規化合物は、非常に高い値のΔεである誘電異方性を示すため、有利である。したがって、本発明の化合物をほんの少量であっても使用することにより、LC媒体におけるΔεの値を大幅に増加させることが可能である。
【0021】
シアノピリドン誘導体、特に式Iの化合物は、例えばDE 102 172 73またはWO 02/93244 A1に記載のように、特に等方性状態において液晶を使用するディスプレイ、以下簡単に「等方性モードディスプレイ」という、に有用である。したがって、本発明の別の目的は、少なくとも1つのシアノピリドン誘導体を含む等方性モードのディスプレイであり、好ましくは式Iの化合物または本明細書中に示す好ましい化合物であり、またはかかるシアノピリドン誘導体を含むLC媒体を含む。
【0022】
本発明の別の側面は、反応性のメソゲンとしても知られる式Iの重合可能な化合物に、およびそれらを含むこれらの化合物または混合物から得られるLCポリマーに関する。
本発明の別の側面は、それらのLC相においてそれらを均一な配向に整列させ、およびインサイチュでそれらを重合させることにより、例えば熱または光重合により、式Iの重合可能な化合物または反応性のメソゲンから得られる、高い秩序を有する異方性LCポリマーフィルム、あるいはそれらを含む混合物に関する。
【0023】
式Iで表される新規化合物は、以下の利点を有する。
・これらは、安価で、市販されている出発物質から良好な収率で容易に合成することができる。
・これらは、高い極性を有し、適切に置換されるとき、εの増加のため、誘電異方性Δε=ε−εの増加を示す。
【0024】
・これらは、棒型であり、LCDにおけるLC混合物の成分として好適である。分子自体は、LC相を示す必要はないが、棒型であることにより、それらが溶解するLCホストの電気光学特性を低下させない。
・これらの高い極性は、環内で隣接した位置のシアノおよびケト基のためであり、化合物に高い誘電異方性Δεを与える。
【0025】
・これらは、高い複屈折Δnを有するよう設計することができる。高いΔεおよび高いΔnは、LCD用途において望ましい特性である。
・これらは、LCDにおける作動電圧を減らすために、ならびにディスプレイデバイスの光学的性能の改善に至らしめる複屈折、粘度および温度などのLCDに使用される混合物の物理的特性を変更するために、使用することができる。
【0026】
・シアノピリドン環におけるアルキル基の存在は、電子を離脱させるシアノ構成成分に向かって環内へ電子を押し込むシステムの全体的な極性を増加させる。アルキル置換基はまた、スメクチック相の抑制およびまたより低い融点を生じさせる。低い融点は、常温で作動するLC混合物における化合物にとって特に重要である。
・これらは、適切に置換された場合、重合することができる。
【0027】
式Iで表される化合物は、LCD用途、特に、高い複屈折、高い極性および高い誘電異方性が必要であるネマチックまたは等方相においてLC混合物を使用する用途のための混合物において使用するのに、特に好適である。
さらに、式Iで表される化合物を、反応性のメソゲンとして使用することができ、これを用いて、LCDにおける光学フィルム、特に光学的遅延もしくは補償フィルム、配向層、カラーフィルターまたは偏光板として用いるためのポリマーまたはポリマーフィルムを製造することができる。
【0028】
式Iで表される重合可能な化合物を使用する他の分野は、半導体または電荷輸送材料としてである。これらの材料を、電子デバイス、例えば集積回路の成分としての電界効果トランジスタ(FET)において、フラットパネルディスプレイ用途における薄膜トランジスタとして、または無線周波数識別(RFID)タグのために、あるいは有機発光ダイオード(OLED)用途のための半導電性成分、エレクトロルミネセントディスプレイまたはLCDのバックライトにおいて、光電池またはセンサーデバイスのために、使用することができる。
また、式Iで表される化合物を、基Pを介して、他の重合可能なメソゲン性モノマーおよび式Iで表される他の化合物と共重合させて、LC相挙動を誘発するかまたは増強することも可能である。
【0029】
本発明のLCDは、例えば、慣用のLCD、特にDAP(配向相の変形)またはVA(垂直配向)モード、例えばECB(電気的に制御された複屈折)、CSH(色超ホメオトロピック)などのLCD、VANまたはVAC(垂直配向ネマチックまたはコレステリック)ディスプレイ、MVA(マルチドメイン(multi-domain)垂直配向)またはPVA(パターン化垂直配向)ディスプレイ、曲がりモードのディスプレイもしくはハイブリッドタイプディスプレイ、例えばOCB(光学的に補償された曲がりセルもしくは光学的に補償された複屈折)、R−OCB(反射性OCB)、HAN(ハイブリッド配向ネマチック)またはパイセル(πセル)ディスプレイ、さらに、TN(ねじれネマチック)、HTN(高度にねじれたネマチック)またはSTN(超ねじれネマチック)のディスプレイ、AMD−TN(アクティブマトリックス駆動TN)ディスプレイ、「超TFT」ディスプレイとしても知られているIPS(面内切換)モードのディスプレイ、または例えば、DE 102 172 73およびWO 02/93244 A1中に記載されている、以下で短く「等方性モードディスプレイ」と呼ぶ、等方性状態における液晶を用いるディスプレイである。
特に好ましいのは、TN、STNおよび等方性モードディスプレイである。
【0030】
本発明の化合物をまた、化粧品、医薬および診断部門における用途のために使用してもよい。可能な医薬的用途は、例えば5−フルオロウラシルまたは関連化合物の抗ガン活性を増加させるための、組成物中の抗腫瘍増強剤(potentiator)としての使用を含む。
【0031】
特に好ましいのは、式Iで表される化合物であり、ここで、
− Zは、−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−または−CH=CH−であり、最も好ましくは−COO−または−OCO−であり、
− Zは、単結合と異なり、
− Aは、フェニレンであり、1個または2個以上の基Rにより随意に置換され、
【0032】
− Rは、P−Sp−であり、
− Rは、1〜12個、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシあるいは2〜12個、好ましくは2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニルであり、
− Spは、1〜12個のC原子を有するアルキレンであり、随意にFにより単置換または多置換され、および1個または2個以上の隣接していないCHは、それぞれの場合に互いに独立して、−O−、−CH=CH−または−C≡C−により置き換えられてもよく、そして、−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−および単結合から選択される基を介してAまたはAに結合し、
− Spは、単結合であり、
− mは、0または1であり、
【0033】
およびAは、互いに独立して芳香族または脂環式環であり、好ましくは5、6または7員環であるか、あるいは2つまたは3つ以上、好ましくは2つまたは3つの縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ここでこれらの環は随意にN、OおよびSから選択された1個または2個以上のヘテロ原子を含有し、随意にLにより単置換または多置換され、ここでLは、F、Cl、Br、CN、OH、NO、あるいは1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であり、ここで1個または2個以上のH原子は、随意にFまたはClにより置き換えられる。
【0034】
Lは、好ましくはF、Cl、CN、OH、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHFまたはOCであり、特にF、Cl、CN、CH、C、OCH、COCHまたはOCFであり、最も好ましくはF、Cl、CH、OCHまたはCOCHである。
【0035】
好ましい基AおよびAは、例えばフラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセンおよびフェナントレンである。
特に好ましくは、AおよびAは、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイル、ジチエノチオフェン−2,6−ジイル、ピロール−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、アズレン−2,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、または1,4−シクロヘキシレンから選択され、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、随意にOおよび/またはSにより置き換えられ、ここでこれらの基は非置換であるか、あるいは上記に定義されたLにより単置換または多置換される。
【0036】
好ましくは基−A−(Z−A−は、単環式の基AおよびAのみを含有する。非常に好ましくは基−A−(Z−A−は、1個または2個の5または6員環を有する基である。
【0037】
−A−(Z−A−の好ましい部分式は、以下に一覧にしてある。単純化の理由から、これらの基中のPheは、1,4−フェニレンであり、PheLは、上記に定義のとおりの1〜4個の基Lにより置換された1,4−フェニレン基であり、Cycは、1,4−シクロヘキシレンであり、Pydは、ピリジン−2,5−ジイルであり、およびPyrは、ピリミジン−2,5−ジイルである。以下の好ましい基−A−(Z−A−の一覧は、部分式II−1〜II−20ならびにそれらの鏡像を含む。
【0038】
【表1】

【0039】
これらの好ましい基において、Zは、式Iにおいて与えられたZの意味を有する。好ましくはZは、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−または単結合である。
【0040】
非常に好ましくは−A−(Z−A−は、以下の式およびそれらの鏡像から選択される。
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
上記式中、Lは上記に与えられた意味を有し、Rは、式Iのために定義したとおりであり、そしてrは、0、1、2、3または4であり、好ましくは0、1または2である。
【0043】
これらの好ましい式中の基
【化6】

は、非常に好ましくは
【化7】

であり、さらに
【化8】

であり、各々独立して上記に与えられた意味の1つを有するLを有する。
特に好ましい式Iの化合物は、少なくとも1つの基
【化9】

を含み、ここでrは、1である。
さらに好ましい式Iの化合物は、少なくとも2つの基
【化10】

を含み、ここでrは、1であり、および/または少なくとも1つの基
【化11】

を含み、ここでrは、2である。
【0044】
Rが、アルキルまたはアルコキシ基である場合、すなわち末端CH基が−O−により置き換えられる場合、これは直鎖状または分枝状であってもよい。それは好ましくは直鎖状であり、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、したがって、例えば好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0045】
オキサアルキル、すなわち1つのCH基が−O−により置き換えられるものは、例えば好ましくは直鎖状の2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルあるいは2−、3−、4−、5−、6−,7−、8−または9−オキサデシルである。
【0046】
Rが、アルキル基であり、1個または2個以上のCH基が−CH=CH−により置き換えられる場合、これは直鎖状または分枝状であってもよい。それは、好ましくは直鎖状であり、2〜10個のC原子を有し、したがって好ましくはビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0047】
特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニルであり、特にC〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0048】
Rが、アルキル基であり、1つのCH基が−O−によりおよび1つが−CO−により置き換えられる場合、これらの基は、好ましくは隣接する。したがってこれらの基は一緒に、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくはこの基Rは、直鎖状であり、2〜6個のC原子を有する。
【0049】
それは、したがって好ましくはアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0050】
Rが、アルキル基であり、2個または3個以上のCH基が−O−および/または−COO−により置き換えられる場合、これは直鎖状または分枝状であり得る。それは、好ましくは直鎖状であり、3〜12個のC原子を有する。したがって好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0051】
Rが、アルキルまたはアルケニル基であり、CNまたはCFにより単置換される場合、それは好ましくは直鎖状である。CNまたはCFによる置換は、いかなる所望の位置でもあり得る。
【0052】
Rが、アルキルまたはアルケニル基であり、少なくともハロゲンにより単置換される場合、それは好ましくは直鎖状である。ハロゲンは、好ましくはFまたはClであり、多置換の場合、好ましくはFである。得られる基はまた、パーフルオロ基を含む。単置換の場合、FまたはCl置換基は、いかなる所望の位置でもあり得るが、好ましくはω位置である。末端がFの置換基を有する特に好ましい直鎖状の基の例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。Fの他の位置は、しかしながら、除外されない。
ハロゲンは、F、Cl、BrおよびIを意味し、好ましくはFまたはClである。
【0053】
Rは、極性のまたは非極性の基であり得る。極性の基の場合、CN、SF、ハロゲン、OCH、SCN、COR、COORあるいは1〜4個のC原子を有する一フッ化、オリゴフッ素化(oligofluorinated)または多フッ素化アルキルまたはアルコキシ基から選択される。Rは、随意に1〜4個、好ましくは1〜3個のC原子を有するフッ素化アルキルである。特に好ましい極性の基は、F、Cl、CN、OCH、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、CHF、CHF、OCF、OCHF、OCHF、CおよびOC、特にF、Cl、CN、CF、OCHFおよびOCFから選択される。非極性の基の場合、好ましくは15個までのC原子を有するアルキルまたは2〜15個のC原子を有するアルコキシである。
【0054】
Rは、アキラルまたはキラル基であり得る。キラル基の場合、好ましくは式III:
【化12】

式中、
は、1〜9個のC原子を有するアルキレンまたはアルキレンオキシ基または単結合であり、
は、1〜10個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、非置換でもよく、あるいはF、Cl、BrまたはCNにより単置換または多置換されてもよく、また1個または2個以上の隣接していないCH基を、それぞれの場合に互いに独立して、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−により、酸素原子が互いに直接結合していないように、置き換えることが可能であり、
は、F、Cl、Br、CNあるいはQのために定義したアルキルまたはアルコキシ基であるが、Qのものと異なる、
から選択される。
【0055】
式III中Qが、アルキレンオキシ基である場合、O原子は、好ましくはキラルなC原子に隣接している。
式IIIの好ましいキラル基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチニル)−アルキル、2−(2−エチニル)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0056】
特に好ましいキラル基は、例えば、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。非常に好ましくは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0057】
加えて、アキラルな分枝状の基Rを含有する化合物は、例えば、結晶化への傾向の減少のため、時には重要である。このタイプの分枝状の基は一般的に、2つ以上の鎖の分枝を含有しない。好ましいアキラルな分枝状の基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0058】
重合可能なまたは反応性の基Pは、好ましくはCH=CW−COO−、
【化13】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、およびWSi−から選択され、ここでWは、H、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立してHまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、そしてkおよびkは互いに独立して、0または1である。
【0059】
特に好ましくはPは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基、特に好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基である。
【0060】
スペーサ基Spについては、この目的のために当業者に既知のすべての基を使用することができる。スペーサ基Spは、P−Sp−がP−Sp’−X−となるように、好ましくは式Sp’−Xであり、ここで
Sp’は、20個までのC原子を有するアルキレンであり、非置換でもよく、あるいはF、Cl、Br、IまたはCNにより単置換または多置換されてもよく、1個または2個以上の隣接していないCH基を、それぞれの場合に互いに独立して、Oおよび/またはS原子は互いに直接結合しないよう、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置き換えることが可能であり、
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、ならびに
、R00、YおよびYは、上記に与えられた意味を有する。
【0061】
Xは、好ましくは−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−または単結合、特に−O−、−S−、−C≡C−、−CY=CY−または単結合、非常に好ましくは、−C≡C−または−CY=CY−などの共役系を形成することができる基、あるいは単結合である。
【0062】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−あるいは−(SiR00−O)−であり、pは2〜12の整数であり、qは1〜3の整数であり、ならびにRおよびR00は上記に与えられた意味を有する。
好ましい基Sp’は、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0063】
別の好ましい態様において、Sp’は、式IV:
【化14】

式中、
およびQは、式III中に与えられた意味を有し、および
は、1〜10個のC原子を有するアルキレンまたはアルキレンオキシ基あるいは単結合であり、Qと異なり、
は、重合可能な基Pに結合する、
で表されるキラル基である。
【0064】
さらに好ましくは、1個または2個以上の基P−Sp−を有する化合物であり、ここでSpは、単結合である。
【0065】
2つの基P−Spを有する化合物の場合、2つの重合可能な基Pおよび2つのスペーサ基Spのそれぞれは、同一または異なることができる。
特に好ましい式Iの化合物は、以下の式
【0066】
【化15】

【0067】
【化16】

【0068】
式中、
Rは、式Iの意味の1つを有し、好ましくは1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキル、アルコキシ、あるいは2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニルであり、
R’は、式I中のRの意味の1つを有し、好ましくはHあるいは1、2または3個のC原子を有するアルキルであり、非常に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、
R’’は、式I中のRの意味の1つを有し、好ましくはHあるいは1、2または3個のC原子を有するアルキルであり、非常に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、
R’’’は、式I中のRの意味の1つを有し、好ましくはHあるいは1、2または3個のC原子を有するアルキルアルコキシであり、非常に好ましくはH、メチル(オキシ)またはエチル(オキシ)であり、
【0069】
Pは、本明細書中に与えられた意味を有し、
およびLは、互いに独立してHまたはFであり、および
nは、1〜12の整数である、
で表されるものである。
【0070】
上記の好ましい式中の芳香族環は、1、2または3個の上記に定義された基Lにより、随意に置換される。
式Iの化合物を、それ自体既知であり、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Thieme-Verlag, Stuttgartなどの有機化学の標準作業書に記載されている方法にしたがってまたは該方法に類似して合成することができる。いくつかの特定のおよび好ましい方法は、以下の反応スキームに記載してある。さらなる方法を、例から採ることができる。
【0071】
スキーム1:
【化17】

【0072】
スキーム2:
【化18】

【0073】
スキーム3:
【化19】

【0074】
スキーム4:
【化20】

【0075】
スキーム5:
【化21】

【0076】
スキーム6:
【化22】

【0077】
上述の用途のために、LC媒体は、好ましくは少なくとも1つの式Iの化合物、および1個または2個以上のネマチックまたはネマチック相形成性(nematogenic)化合物を含むネマチックホスト混合物を含有する。
【0078】
好ましくはLC媒体は、2〜25種類、好ましくは3〜15種類の化合物からなり、少なくともそれらのうちの1つは、式IまたはI1の化合物である。ネマチックホスト混合物を形成する他の化合物は、好ましくは、ネマチックまたはネマチック相形成性物質から選択された低分子量の液晶化合物であり、例えば、アゾキシベンゼン類、ベンジリデン−アニリン類、ビフェニル類、テルフェニル類、フェニルまたはシクロヘキシルベンゾエート類、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、安息香酸の、シクロヘキサンカルボン酸のおよびシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキセン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビス−シクロヘキシルベンゼン類、4,4’−ビス−シクロヘキシルビフェニル類、フェニル−またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリダジン類、フェニル−またはシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−またはシクロヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニル−エタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)−エタン類、1−シクロヘキシル−2−ビフェニル−エタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシル−フェニルエタン類、随意にハロゲン化スチルベン類、ベンジルフェニルエーテル、トラン類、置換された桂皮酸類の既知の種類から、ならびにさらなる種類のネマチックまたはネマチック相形成性物質から選択される。これらの化合物中の1,4−フェニレン基もまた、横方向に一フッ化または二フッ化してもよい。
【0079】
これらのLC混合物の成分として可能である最も重要な化合物は、以下の式
R’−L’−G’−E−R’’
式中、L’およびEは、同一または異なってもよく、それぞれの場合、互いに独立して、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−B−Phe−および−B−Cyc−およびそれらの鏡像により形成された基からの二価基であり、ここでPheは、非置換のまたはフッ素置換された1,4−フェニレンであり、Cycは、trans−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンであり、Pyrは、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、Dioは、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、そしてBは、2−(trans−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである、
により特徴づけることができる。
【0080】
これらの化合物中のG’は、以下の二価基から選択される。
−CH=CH−、−N(O)N−、−CH=CY−、−CH=N(O)−、−C≡C−、−CH−CH−、−CO−O−、−CH−O−、−CO−S−、−CH−S−、−CH=N−、−COO−Phe−COO−または単結合、ここでYはハロゲン、好ましくは塩素、または−CNである。
R’およびR’’は、それぞれの場合、互いに独立して、1〜18個、好ましくは3〜12個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、あるいは代わりにR’およびR’’の1つは、F、CF、OCF、Cl、NCSまたはCNである。
【0081】
これらの化合物のほとんどにおいて、R’およびR’’は、それぞれの場合、互いに独立して、異なる鎖長を有するアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、ここでネマチック媒体におけるC原子の合計は、一般的に2および9の間、好ましくは2および7の間である。
【0082】
これらの化合物またはそれらの混合物の多くは、市販されている。これらの化合物のすべては、既知であるか、あるいは文献中(例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準作業書中)に記載のように、それ自体既知の方法により、正確には、既知であり、前記反応に好適である反応条件下で調製される。それ自体既知であるが、本明細書中に触れられていない変異型もまた、使用してもよい。
【0083】
重合可能なLC混合物において式Iの化合物と一緒にコモノマーとして使用することができる好適な重合可能なメソゲン性化合物の例は、例えばWO 93/22397、EP 0 261 712、DE 195 04 224、WO 95/22586、WO 97/00600およびGB 2 351 734に開示されている。しかしながら、これらの文書中に開示されている化合物は、単に例であると考えられ、本発明の範囲を限定するものではない。
好ましくは、重合可能なLC混合物は、1つの重合可能な官能基を有する少なくとも1つの重合可能なメソゲン性化合物および2個または3個以上の重合可能な官能基を有する少なくとも1つの重合可能なメソゲン性化合物を含む。
【0084】
特に有用なキラルなおよびアキラルな重合可能なメソゲン性コモノマーの例を、以下の一覧に示すが、しかしながら、説明のみであると受け取るべきであって、本発明を説明するのではなく制限する意図は全くない:
【0085】
【化23】

【0086】
【化24】

【0087】
【化25】

上記式中、Pは、式Iの意味の1つを有し、その好ましい意味は、上記のとおりであり、xおよびyは、1〜12の整数と同一であるかまたは異なり、AおよびDは、1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、vは、0または1であり、Yは、極性の基であり、Rは、非極性の(または極性のない)アルキルまたはアルコキシ基であり、Terは、例えばメンチルのようなテルペノイド基であり、Cholは、コレステリル基であり、式Va〜VIc中のフェニレン環はまた、1、2、3または4つの基Lにより置換されてもよく、特に一フッ化または二フッ化されてもよく、ならびにLおよびLは、各々独立してH、F、Cl、OH、CN、NOあるいは随意に1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニルである。
【0088】
この文脈では、用語「極性の基」は、F、Cl、CN、NO、OH、OCH、OCN、SCN、4個までのC原子を有する随意にフッ素化されたカルボニルまたはカルボキシル基あるいは1〜4個のC原子を有する一フッ化、オリゴフッ素化または多フッ素化アルキルまたはアルコキシ基から選択された基を意味する。用語「非極性の基」(または「極性のない基」)とは、1個または2個以上、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキル基、あるいは2個または3個以上、好ましくは2〜12個のC原子を有するアルコキシ基を意味する。
【0089】
本発明の重合可能なLC混合物はまた、キラルな重合可能なメソゲン性化合物に加えてまたは代わりに、1つまたは2つ以上の非反応性のキラルドーパントを含む。典型的に使用されるキラルドーパントは、例えば市販のRまたはS811、RまたはS1011、RまたはS2011あるいはCB15(Merck KGaA, Darmstadt, Germany製)。非常に好ましくは、高いヘリカルツイスティングパワー(HTP)を有するキラルドーパント、特にWO 98/00428に記載のようにソルビトール基を含むドーパント、GB 2,328,207に記載のようにヒドロベンゾイン基を含むドーパント、WO 02/94805に記載のようにキラルなビナフチル誘導体、WO 02/34739に記載のようにキラルなビナフトールビナフトールアセタール誘導体、WO 02/06265に記載のようにキラルなTADDOL誘導体、ならびにWO 02/06196およびWO 02/06195に記載のように少なくとも1つのフッ素化結合基および末端のまたは中心のキラル基を有するキラルドーパントである。
【0090】
異方性ポリマーフィルムを調製するために、重合可能なLC混合物を、好ましくは基板上に被覆し、配向し、例えば熱または化学線に曝露することにより、その場で重合させ、LC分子の配向性を固定する。配向および硬化を、混合物のLC相中で行なう。この技術は、当業者に周知であり、一般的に、例えばD.J. Broer, et al., Angew. Makromol. Chem. 183, (1990), 45-66に記載がある。
【0091】
LC材料の配向は、例えば、材料が被覆された基板の処理により、被覆中または被覆後に材料を剪断することにより、被覆した材料への磁場または電場の適用により、あるいは表面活性化合物のLC材料への添加により、達成することができる。配向技術の概説は、例えば、I. Sageにより、「Thermotropic Liquid Crystals」、G. W. Gray編、John Wiley & Sons、1987、75〜77頁に、およびT. UchidaおよびH. Sekiにより、「Liquid Crystals - Applications and Uses Vol. 3」、B. Bahadur編、World Scientific Publishing、Singapore 1992、1〜63頁にある。配向材料および技術の概説は、J. Cognardにより、Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78、Supplement 1 (1981)、1〜77頁にある。
【0092】
重合は、熱または化学線に曝露することにより行なわれる。化学線は、UV光、IR光または可視光などの光による照射、X線またはガンマ線による照射あるいはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子による照射を意味する。好ましくは重合は、UV照射により、非吸収波長で行なわれる。化学線源としては、例えばUVランプ単体またはUVランプセットを使用することができる。高いランプ出力を使用するとき、硬化時間を減らすことができる。別の可能性のある化学線源は、レーザー、例えばUVレーザー、IRレーザーまたは可視レーザーなどである。
【0093】
重合は、好ましくは化学線の波長で吸収する開始剤の存在下で行なわれる。例えば、UV光を用いて重合するとき、重合反応を開始する遊離基またはイオンを生成するために、UV照射下で分解する光開始剤を使用することができる。アクリレートまたはメタクリレート基により重合可能な材料を硬化するとき、好ましくはラジカル光開始剤を使用することができ、ビニル、エポキシドおよびオキセタン基により重合可能な材料を硬化するとき、好ましくはカチオン光開始剤を使用する。重合を開始する遊離基またはイオンを生成するために加熱するとき、分解する重合開始剤を使用することもまた、可能である。ラジカル重合のための光開始剤として、例えば市販のIrgacure 651、Irgacure 184、Darocure 1173またはDarocure 4205(すべてCiba Geigy AG製)を使用することができるのに対し、カチオン光重合の場合、市販のUVI 6974(Union Carbide)を使用することができる。
【0094】
重合可能な材料は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応(co-reacting)単量体、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性の希釈剤、助剤、着色剤、染料または色素などの1つまたは2つ以上の他の好適な成分をさらに含むことができる。
【0095】
以下の例は、本発明を限定することなく説明する役割をする。前記および以下において、他に示さなければ、すべての温度は、摂氏度で示し、すべての百分率は、重量によるものである。以下の略語を用いて、化合物の液晶相挙動を例示する:K=結晶性;N=ネマチック;S=スメクチック;N*、Ch=キラルネマチックまたはコレステリック;I=等方性。これらの記号間の数値は、摂氏度での相転移温度を示す。
【0096】
例1
化合物(1)を、上記の反応スキーム1に示したとおりに調製した。
【化26】

【0097】
2,3−ジフルオロ−4−エトキシ安息香酸(4.00g、0.02mol)、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル(Aldrichから市販されている)(3.56g、0.02mol)およびDCC(4.12g、0.02mol)ならびにジメチルアセトアミド(80ml)中の触媒量のジメチルアミノピリジンを、三口(3-neck)丸底フラスコに満たし、窒素下35度で攪拌した。反応の進捗をGCMSで観察した。一晩攪拌した後、DCUの沈殿物を、ろ過して除去した。ジメチルアセトアミド溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、水およびDCMに分離した。塩素系の相を洗浄、乾燥および濃縮した。DCMを溶離剤として使用し、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。固体を単離し、GCMSおよびNMRは、予想していた信号を示した。
化合物は、136℃の融点を有する。
【0098】
例2
化合物(2)を、上記の反応スキーム2に示したとおりに調製した。
【化27】

【0099】
2,6−ジフルオロ−4−ヘプチニル安息香酸(5.00g、0.02mol)、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル(3.56g、0.02mol)およびDCC(4.12g、0.02mol)ならびにジメチルアセトアミド(80ml)中の触媒量のジメチルアミノピリジンを、三口丸底フラスコに満たし、窒素下35度で攪拌した。反応の進行を、TLCで観察した。16時間後、TLCは、反応が完了したことを示した。白色の沈殿物を、ろ過して除去した。ろ過液を水で洗浄した。トルエン相を除去し、硫酸ナトリウムで乾燥し、およびロータリーエバポレータで乾燥するまで濃縮した。DCMを溶離剤として使用し、精製をフラッシュカラムクロマトグラフィーで達成した。適切な分留の濃縮により、所望の生成物を灰色の固体として得た。(TLCにより1スポット)。H NMRおよびGCMSは、予想していた信号を示した。
化合物は、98℃の融点を有する。
【0100】
例3
化合物(3)を、上記の反応スキーム3に示したとおりに調製した。
【化28】

【0101】
ジメチルウラシル(10.0g、0.071mol)、2−シアノアセトアミド(5.97g、0.071mol)およびナトリウムエトキシド(9.66g、0.142mol)をエタノール中(300ml)で攪拌した。30分後、多量の固体の沈殿物が現れた。沈殿物を、ろ過して除去し、温水から再結晶化した。白色の固体を単離し、次のステップでさらなる精製をせずに使用した。
【0102】
4−ブチルオキシ−2,6−ジフルオロ安息香酸(9.43g、0.041mol)、3−ヒドロキシ−6−シアノピリジ−5−オン(5.6g、0.041mol)、DCC(8.46g、0.041mol)およびジメチルアセトアミド(100ml)中の触媒量のジメチルアミノピリジンを、三口丸底フラスコに満たし、窒素下35度で攪拌した。反応の進捗をGCMSで観察した。16時間後、混合物を冷却し、DCUを除去するためにろ過し、ジメチルアセトアミドを除去するために蒸留した。残留物を、水および酢酸エチルに分離し、有機相を、洗浄、乾燥および乾燥状態まで濃縮した。酢酸エチルからの再結晶化により、精製を達成した。GCMSは、予想していた信号を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶媒体、液晶デバイス、異方性ポリマー、光学、電気光学、装飾、セキュリティー、化粧品、診断、電気、電子、電荷輸送、半導体、光記録、エレクトロルミネセンス、光伝導体および電子写真用途における、メソゲン性または液晶材料としての、少なくとも1つの5−シアノピリドン−2−イル基を含む化合物の使用。
【請求項2】
5−シアノピリドン−2−イル基は、式(1)
【化1】

式中、
、RおよびRは、互いに独立してHあるいは、随意に1個または2個以上のヘテロ原子を含み、そして随意に縮合環を含む、20個までのC原子を有する随意に置換された脂肪族、脂環式または芳香族基である、
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
少なくとも1つの5−シアノピリドン−2−イル基を含む化合物は、式I
【化2】

式中、
、RおよびRは、請求項2にて定義したとおりであり、
およびAは、互いに独立して芳香族または脂環式環であるか、あるいは2個または3個以上の縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ここでこれらの環は、随意にN、OおよびSから選択された1個または2個以上のヘテロ原子を含み、随意にRにより単置換または多置換され、
およびZは、互いに独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
およびYは、互いに独立してH、F、ClまたはCNであり、
Rは、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、NCS、SFまたはアルキルであり、該アルキルは直鎖状または分枝状であり、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、あるいはF、Cl、Br、IまたはCNにより単置換または多置換され、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は随意に、それぞれの場合に互いに独立して、Oおよび/またはS原子は互いに直接結合しないよう、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY=CY−または−C≡C−により置き換えられるか、あるいはRはP−Spを示し、
およびR00は、互いに独立してHまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
Pは、重合可能なまたは反応性の基、
Spは、スペーサ基または単結合であり、ならびに
mは、0、1または2である、
から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式I
【化3】

式中、
R、R、R、R、A、A、Z、Zおよびmは、請求項3にて定義したとおりであるが、ただし、
a)mが0であり、R、RおよびRがHであり、ならびにZが単結合である場合、A−Rは、4−アルキルフェニルまたは4−アルコキシフェニルと異なる、
b)mが0であり、R、RおよびRがHであり、ならびにZがCOOまたはCH=CHである場合、A−Rは、4−メトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニルまたは3,4,5−トリメトキシフェニルと異なる、
c)mが0であり、RおよびRがHであり、Rがカルボキシエチルであり、ならびにZがCH=CH、CH=C(CH)またはCH=C(C)である場合、A−Rは、フェニルまたは4−メトキシフェニルと異なる、
で表されるシアノピリドン誘導体。
【請求項5】
およびAは、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイル、ジチエノチオフェン−2,6−ジイル、ピロール−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、アズレン−2,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイルまたは1,4−シクロヘキシレンから選択され、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、随意にOおよび/またはSにより置き換えられ、ここでこれらの基は非置換であるか、あるいはLにより単置換または多置換され、ここでLは、F、Cl、Br、CN、OH、NO、あるいは1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であり、ここで1個または2個以上のH原子は、随意にFまたはClにより置き換えられることを特徴とする、請求項4に記載のシアノピリドン誘導体。
【請求項6】
は、−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−または−CH=CH−であることを特徴とする、請求項4または5に記載のシアノピリドン誘導体。
【請求項7】
−A−(Z−A−は、以下の式
【化4】

【化5】

式中、Lは請求項5中の式Iの意味を有し、Rは、請求項3中の式Iについて定義したとおりであり、rは、0、1、2、3または4である、
およびそれらの鏡像から選択されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体。
【請求項8】
Rは、P−Sp−であることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体。
【請求項9】
Rは、1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシであるか、あるいは2〜12個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニルであることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体であり、以下の式
【化6】

【化7】

式中、
Rは、式Iの意味の1つを有し、および好ましくは1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキル、アルコキシ、あるいは2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニルであり、
R’は、式I中のRの意味の1つを有し、および好ましくはHあるいは1、2または3個のC原子を有するアルキル、非常に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、
R’’は、式I中のRの意味の1つを有し、および好ましくはHあるいは1、2または3個のC原子を有するアルキル、非常に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、
R’’’は、式I中のRの意味の1つを有し、および好ましくはHあるいは1、2または3個のC原子を有するアルキルアルコキシ、非常に好ましくはH、メチル(オキシ)またはエチル(オキシ)であり、
Pは、請求項3中に与えられた意味の1つを有し、
およびLは、互いに独立してHまたはFであり、ならびに
nは、1から12までの整数である、
から選択されることを特徴とする、前記シアノピリドン誘導体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の少なくとも1つのシアノピリドン誘導体を含むことを特徴とする、液晶媒体。
【請求項12】
シアノピリドン誘導体または追加の化合物であり得る、少なくとも1つの重合可能な化合物を含むことを特徴とする、請求項11に記載の液晶媒体。
【請求項13】
少なくとも1つの重合可能な基を含む請求項1〜10のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体を重合させることにより、または請求項12に記載の液晶媒体を重合させることにより、得られるポリマー。
【請求項14】
少なくとも1つの重合可能な基を含む請求項1〜10のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体を重合させることにより、または請求項12に記載の液晶媒体をその配向状態で重合させることにより、得られる異方性ポリマー。
【請求項15】
請求項4〜14のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体、液晶媒体、ポリマーまたはポリマーフィルムのメソゲン性または液晶材料としての使用であって、電気光学ディスプレイ、液晶ディスプレイ、光学フィルム、偏光板、補償板、ビームスプリッタ、反射フィルム、配向層、カラーフィルタ、ホログラフィック素子、熱転写箔、カラー映像、例えば消費者物品または有価証券のための装飾またはセキュリティーマーキング、LC色素、接着剤、異方性機械特性を有する合成樹脂、化粧品、医薬、診断、非線形光学、光学的情報記憶における、キラルドーパントとして、集積回路工学の成分としての例えば電界効果トランジスタ(FET)のような電子デバイスにおける、フラットパネルディスプレイ用途におけるまたは無線周波数識別(RFID)タグのための薄膜トランジスタとして、または有機発光ダイオード(OLED)用途、エレクトロルミネセンスディスプレイまたはLCDのバックライト用の半導体成分において、光電池またはセンサーデバイスのための、バッテリーにおける電極材料として、光伝導体として、あるいは電子写真用途または電子写真記録のための使用。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載のシアノピリドン誘導体、液晶媒体、ポリマーまたはポリマーフィルムを含むことを特徴とする、液晶デバイス。
【請求項17】
TNまたはSTNディスプレイまたは等方相で液晶を使用するディスプレイであることを特徴とする、請求項16に記載の液晶デバイス。

【公表番号】特表2006−523184(P2006−523184A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501586(P2006−501586)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000552
【国際公開番号】WO2004/074253
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】