説明

液晶パネルの検査方法及びその装置

【課題】 偏光板貼付前の液晶パネルの表示画面をあらゆる角度から総合的に検査することができる液晶パネルの検査方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 液晶パネル8を挟んで一対の偏光板6、7が配置され、前記偏光板の一方の面に照明手段10を設け、他方の面には撮像手段20が設けられ、前記一対の偏光板6、7の間に前記液晶パネル8の表示画面8aが介在するように前記液晶パネルを支持し、少なくとも前記一対の偏光板の一方または両方を稼働させる工程と、前記照明手段からの照明光を介して前記撮像手段により液晶パネルの表示画面を撮像する工程と、前記撮像された画像に基づいて画像処理する工程と、前記画像処理された画像データにより前記液晶パネルの表示画面を検査する工程とを有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの表示欠陥を検査するための検査方法及びその装置に係り、特に偏光板を貼り付ける前の液晶パネルが設計通りにできているかどうかを検査するのに好適な検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶パネルは、2枚のパネル基板(例えば、ガラス基板)の間に液晶を封入して液晶セルを構成し、その液晶セルの表裏両面にそれぞれ偏光板を貼り付けて構成されている。このような液晶パネルの表示欠陥を検査する従来技術として、偏光板を貼り付ける前の段階で検査するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術は、白色蛍光灯等で構成された光照射手段の上方に第1の偏光板(下偏光板)を光軸を中心に回転可能に配置し、第1の偏光板の上方に液晶パネルを配置し、この液晶パネルに交流電源から所定の駆動電圧が印加されるように構成し、液晶パネルの上方に第2の偏光板(上偏光板)を光軸を中心に回転可能に配置し、そして第2の偏光板の上方に顕微鏡やCCDカメラ等で構成される集光手段を配置したものである。
【0004】
【特許文献1】特開平9−257641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術によれば、第1及び第2の偏光板を光軸を中心に回転することができるので、完成後の液晶パネル(完成品)では見えにくい欠陥がよく見えるようになるため、欠陥の見落としが少なくなり、その結果、完成品の不良率が低減し、かつ製造コストの低減を図ることが可能であるというものである。
しかしながら、液晶パネルの欠陥には様々なものがあり、特に小さい点状欠陥や微妙な色合いの点状欠陥などに対しては、上記従来技術のように偏光板の角度(偏光板の偏光軸の向き)を変更するだけでは明確に検出できない場合がある。すなわち、上記従来技術は、液晶パネルの欠陥を検出するにはあらゆる角度から総合的に検査するようにはなっていないものである。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、偏光板貼付前の液晶パネルの表示画面をあらゆる角度から総合的に検査することができる液晶パネルの検査方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る液晶パネルの検査方法は、液晶パネルを挟んで一対の偏光板が配置され、前記偏光板の一方の面に照明手段を設け、他方の面には撮像手段が設けられ、前記一対の偏光板の間に前記液晶パネルの表示画面が介在するように前記液晶パネルを支持し、少なくとも前記一対の偏光板の一方または両方を稼働させる工程と、前記照明手段からの照明光を介して前記撮像手段により液晶パネルの表示画面を撮像する工程と、前記撮像された画像に基づいて画像処理する工程と、前記画像処理された画像データにより前記液晶パネルの表示画面を検査する工程とを有することを特徴とするものである。
【0008】
本検査方法によれば、液晶パネルを挟んで一対の偏光板が配置され、偏光板の一方の面に照明手段を設け、他方の面には撮像手段が設けられ、一対の偏光板の間に液晶パネルの表示画面が介在するように液晶パネルを支持し、少なくとも一対の偏光板の一方または両方を稼働、すなわち回転と上下動をさせることにより、発見しにくい欠陥が発見しやすくなるため、欠陥を確実に検出することができる。また、液晶パネルの欠陥検出に最適な偏光板角度(偏光板の偏光軸の向き)を求めることができる。
【0009】
また、本発明の液晶パネルの検査方法は、前記一対の偏光板の一方または両方の位置を変更して検査するものである。
これによって、液晶パネルの欠陥検出に最適な偏光板ギャップすなわち上下偏光板のそれぞれと液晶パネル間のギャップを求めることができる。
【0010】
また、本発明の液晶パネルの検査方法は、撮像手段の撮像角度を変更して液晶パネルの表示画面を撮像し、これにより取り込まれた検査画像に基づいて検査するものである。
これによって、液晶パネルの欠陥検出に最適な撮像角度を求めることができる。
【0011】
また、本発明の液晶パネルの検査方法は、照明手段と一方の偏光板との間に光学特性部材を選択的に挿入して検査するものである。
これによって、液晶パネルの欠陥検出に最適な光学特性を求めることができる。
【0012】
また、本発明の液晶パネルの検査方法は、照明手段の光色を変更して検査するものである。
これによって、液晶パネルの欠陥検出に最適な照明光の光色を求めることができる。
【0013】
また、本発明の液晶パネルの検査方法は、液晶パネルに前記一対の偏光板を接触させ、さらに一方の偏光板に前記光学特性部材を介して前記照明手段を接触させて検査するものである。
これによって、完成品の液晶パネルの状態で検査することが可能となり、実際の使用状態で良否を判定することができる。
【0014】
本発明に係る液晶パネルの検査装置は、ベースと、前記ベース上に立設された支柱と、前記支柱に支持され、一対の偏光板を保持する上下の偏光板保持フレームと、前記一対の偏光板の間に液晶パネルの表示画面の全体が介在するように前記液晶パネルを支持するパネル支持手段と、前記ベース上に設置された照明手段とを備えたものである。
【0015】
本検査装置によれば、一対の偏光板の少なくとも一方または両方を同一の支柱を中心に回転及び上下動させることができるので、液晶パネルの欠陥検出に最適な偏光板角度及び偏光板ギャップを求めることが可能となる。
【0016】
また、本発明の液晶パネルの検査装置は、前記ベースが、上下動可能な上板と該上板を載置する下板とからなり、前記照明手段は前記上下動可能な上板に設置してなるものである。
これによって、照明手段を上板と共に上下動させることができ、液晶パネルの欠陥検出に最適な照明光源位置を求めることができる。
【0017】
また、本発明の液晶パネルの検査装置は、前記照明手段の光源の光色としてR、G、Bを有し、これらの光色の一つ以上を選択可能であるものである。
これによって、照明光の光色を白色光や、赤、緑、青その他の着色光に変更して検査することができ、液晶パネルの欠陥検出に最適な照明光の光色を求めることができる。
【0018】
また、本発明の液晶パネルの検査装置は、光学特性部材を前記照明手段の表面に着脱可能に載置してなるものである。
これによって、照明手段の上方に配置する光学特性部材の変更が可能なので、照明光の光色以外の、液晶パネルの欠陥検出に最適な光学特性を求めることができる。
【0019】
また、本発明の液晶パネルの検査装置は、撮像手段を、前記照明手段の光軸が液晶パネルの表面に垂直に交わる交点を中心に、直交するX、Y方向に回転可能に設けたものである。
これによって、撮像手段の撮像角度を変更することができ、液晶パネルの欠陥検出に最適な撮像角度を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態の一例を示す液晶パネルの検査装置の正面図、図2は上面図、図3は図1の右側面図、図4は断面図、図5は図4のA部の拡大断面図、図6は撮像手段の回転機構を示す説明図である。
【0021】
この検査装置は、ベース1上に支柱2を立設し、支柱2に上偏光板保持フレーム3と下偏光板保持フレーム4をそれぞれ回転可能及び上下動可能に設け、さらにベース1上にパネル支持手段5を設け、表示画面8aの全体が上下一対の上偏光板6と下偏光板7の間に介在するように被検査体の液晶パネル8をホルダー9により支持し、ベース1上には照明手段10を設置し、この照明手段10と下偏光板7との間には拡散板や集光板などの光学特性部材11を選択的に挿入できるようにし、上偏光板6の上方には顕微鏡、CCDカメラなどからなる撮像手段20を直交するX、Y方向に回転可能に設けた構成となっている。
また、上偏光板6は上偏光板保持フレーム3の下面に、下偏光板7は下偏光板保持フレーム4の上面にそれぞれ貼り付けられている。
【0022】
さらに、撮像手段20は画像処理手段30に接続され、液晶パネル8は表示パタン発生手段31に接続され、これらの画像処理手段30及び表示パタン発生手段31は制御手段32によって制御する構成となっている。また、画像処理手段30、表示パタン発生手段31及び制御手段32は通常、パソコンにより構成されており、液晶パネル8の検査を実施する。
【0023】
さらに詳しく説明すると、ベース1は上下2枚の板で構成されており、下板1aに支柱2とホルダー9のガイドポスト9a、9bの各下端部が固定されている。そして、上板1b上に上記照明手段10が取り付けられ、上板1bは支柱2及びガイドポスト9a、9bに沿って上下動できるようになっている。
【0024】
上偏光板保持フレーム3及び下偏光板保持フレーム4は共に円形フレーム3a、4aにより形成され、それぞれ内外二重のボス部を介して支柱2に取り付けられている。すなわち、このボス部は、支柱2にセットネジ3d、4dにより固定される内側ボス3b、4bと、内側ボス3b、4bのそれぞれにセットネジ3e、4eにより固定される外側ボス3c、4cとからなり、これら外側ボス3c、4cのそれぞれに円形フレーム3a、4aを取り付けることにより、あるいは外側ボス3c、4cと円形フレーム3a、4aを一体形成することにより、上記の上偏光板保持フレーム3及び下偏光板保持フレーム4が形成される。
【0025】
そして、セットネジ3dを緩めることにより、上偏光板保持フレーム3を支柱2に沿って上下動させることができ、またセットネジ4dを緩めることによって、下偏光板保持フレーム4を同じ支柱2に沿って上下動させることができる。これによって、上偏光板6の上下位置すなわち上偏光板6と液晶パネル8の間のギャップG1と、下偏光板7の上下位置すなわち下偏光板7と液晶パネル8の間のギャップG2をそれぞれ独立に変更することができる。また、上偏光板6、下偏光板7の上下位置、すなわち偏光板ギャップG1、G2はベース1の下板1a上に立てた直線目盛り12により測定することができる。
したがって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な偏光板ギャップG1、G2を求めることができる。
なお、支柱2にはセットネジ3d、4dの先端が係合する縦溝2aが形成されているので、セットネジ3d、4dを若干緩めることにより、上偏光板保持フレーム3、下偏光板保持フレーム4を回転させることなく上下動させることができる。
【0026】
また、セットネジ3eを緩めることにより、上偏光板保持フレーム3を支柱2を中心に内側ボス3bの周りに回転させることができ、またセットネジ4eを緩めることにより下偏光板保持フレーム4を同じ支柱2を中心に内側ボス4bの周りに回転させることができる。これによって、上偏光板6及び下偏光板7の回転角度すなわち偏光板角度(偏光板6、7の偏光軸の向き)をそれぞれ独立に変更することができる。なお、図3において、14a、14bはそれぞれ上偏光板保持フレーム3、下偏光板保持フレーム4の側面に設けた目印である。
上偏光板6、下偏光板7の回転角度はホルダー9に形成された角度目盛り13により測定することができる。
したがって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な偏光板角度(偏光板の偏光軸の向き)を求めることができる。
【0027】
例えば、液晶パネル8のラビング処理による液晶分子の配向方向に一致するように、上偏光板6の偏光軸の向きを例えば目印14aの方向(X方向)に、下偏光板7の偏光軸の向きを目印14bの方向と直角の方向(Y方向)に設定して、上偏光板6及び下偏光板7をそれぞれ上偏光板保持フレーム3、下偏光板保持フレーム4に貼り付けている。これは、液晶パネル8の上下面にそれぞれ上偏光板6及び下偏光板7を貼り付けた後の完成品の液晶パネルの状態を示すものである。なお、上偏光板6及び下偏光板7の偏光軸の向きは必ずしも直角に限定されるものではなく、液晶パネル8の設計値に合わせて最適な角度に設定される。
【0028】
液晶パネル8を支持するホルダー9は、上下2枚の板によって液晶パネル8の基端部を挾持するようになっている。液晶パネル8の表示画面8aの全領域が上偏光板6と下偏光板7の間に介在するようにホルダー9により支持される。ホルダー9を構成する上板9c、下板9dは、ガイドポスト9a、9bに沿って上下動するように取り付けられている。また、上板9cと下板9dは位置決めピン9eにより位置決めされたうえで、締め付けネジ9fにより締め付け固定される。さらに、セットネジ9gにより下板9dをガイドポスト9a、9bに固定している。ガイドポスト9a、9bには前述した支柱2と同様に、それぞれ縦溝9hが設けられ、セットネジ9gの先端を縦溝9hに係合させることにより、ホルダー9及び液晶パネル8の微小な回転をも阻止している。
また、下板9dには液晶パネル8を駆動するためのリード線引き出し用凹部9iが形成されている。
【0029】
前述のパネル支持手段5は、ホルダー9及びガイドポスト9a、9b並びに前記の各構成要素9c〜9iを含むものである。もっとも、これはあくまでも一例であり、液晶パネル8を適当な高さ位置で水平にかつ回転不可にしっかり支持できるものであればどのような手段でもよいものである。
【0030】
次に、前記照明手段10は、光源として、蛍光ランプ、LEDなどを用いて、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のいずれか1つ以上を選択できるようになっている。これによって、照明光の光色を白色光、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)その他の着色光に変更することができるので、液晶パネル8の欠陥検出に最適な照明光の光色を求めることができる。
【0031】
また、照明手段10は、前述のようにベース1の上板1bに設置され、上板1bと共に上下動するようになっている。上板1bはセットネジ1cで支柱2及びガイドポスト9a、9bに固定することにより適当な高さ位置に固定される。したがって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な照明光源位置を求めることができる。
【0032】
照明手段10の外周には方形状の枠体15が嵌め込まれるようになっており、この枠体15の上面に拡散板などの光学特性部材11が貼り付けられている。したがって、光学特性部材11を枠体15上面に貼り付けたものを数種類用意しておき、液晶パネル8の検査に当たって、これらの枠体15を適宜取り替えて使用する。これにより、光学特性部材11の変更が可能であり、液晶パネル8の欠陥検出に最適な光学特性を求めることが可能である。
【0033】
撮像手段20は、図6に示すように、光軸21が液晶パネル8の表面に垂直に交わる交点Pを中心に、直交するX、Y方向に回転可能に構成されている。すなわち、撮像手段20は、円弧状の長穴からなる円弧状ガイド22を有する門型フレーム23に装着されており、この門型フレーム22は、交点Pを通る水平なX軸方向に伸びる回転軸24によって、X軸に直角なY軸方向に回転可能に支持されている。また、門型フレーム22の上部には円弧状ギヤ25が設けられており、円弧状ギヤ25に歯合するピニオン26を備えたX軸モータ27が撮像手段20に取り付けられている。撮像手段20には円弧状ガイド22に沿って転動するガイドローラ28が設けられている。
さらに、門型フレーム22をY軸方向に回転させるY軸モータは図示していないが、例えば、Y軸モータに連結されるY軸駆動ベルト29を介して回転軸24を回転させることができる。なお、図6において、16は支柱2の中心軸である。
【0034】
上述のような撮像手段20の回転機構を設けることにより、撮像手段20を常に交点Pを中心にX軸及びY軸方向にそれぞれ任意の角度θx、θyで回転させることができる。角度θx、θyは、X軸モータ27、Y軸モータに取り付けられたエンコーダ(図示せず)により検出できるので、液晶パネル8の欠陥検出に最適な撮像角度θx、θyを求めることができる。
【0035】
液晶パネル8の検査に当たって、最初はその設計値に基づいて上偏光板6及び下偏光板7の各偏光軸の向きをセットする。偏光板6、7のギャップG1、G2については、図4に示すように、いずれも0mmにセットする。また、撮像手段20は、図6に実線で示すように、光軸21上にセットする。
さらに、照明手段10の照明光は白色光を選択し、光学特性部材11は例えば設計上の拡散板を選択する。
【0036】
以上の設計状態における液晶パネル8について、欠陥があるかどうかを検査する。液晶パネル8の検査には、電圧を印加して検査をする点灯検査と、電圧を印加せずに検査をする非点灯検査とがあり、両方を行う。また、点灯検査では、表示パタン発生手段31により所定のパタンを表示させて検査する。
【0037】
そして、撮像手段20により液晶パネル8の表示画面8aを撮像し、これにより取り込まれた検査画像に基づいて画像処理手段30により画像処理を施し、欠陥の有無を検査する。画像処理手段30では、上記検査画像から、例えば256階調の濃淡画像として画像処理を行い、さらに欠陥を強調するために、例えばトップハット(Tophat)フィルタなどを用いてフィルタ処理を行う。続いて、フィルタ処理をした画像データに対して適正なしきい値を設定し、2値化処理を行い、しきい値以上のものがあれば欠陥有りと判定し、しきい値未満のときは欠陥無しと判定する。
【0038】
設計状態の液晶パネル8において欠陥が検出された場合にはその原因の究明がなされるが、欠陥が検出されない場合、さらに詳しく欠陥があるかどうかを検査する。この場合、液晶パネル8の欠陥検出に最適な次の事項について検査するものである。
(1)偏光板角度
(2)偏光板ギャップ
(3)撮像角度
(4)照明光源の位置
(5)照明光の光色及びその他の光学特性
【0039】
(1)偏光板角度
前述のように、セットネジ3e、4eを緩めることにより上偏光板保持フレーム3、下偏光板保持フレーム4のいずれか一方または両方を支柱2を中心に回転させることができるので、これらの保持フレーム3、4に貼り付けられた上偏光板6、下偏光板7のいずれか一方または両方の偏光軸の向き、すなわち偏光板角度を変更することができる。これによって、発見しにくい欠陥が発見しやすいものとなり、そのときの偏光板角度を角度目盛り13によって測定することができる。したがって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な偏光板角度を求めることができる。
【0040】
(2)偏光板ギャップ
セットネジ3d、4dを緩めることにより上偏光板保持フレーム3、下偏光板保持フレーム4のいずれか一方または両方を支柱2に沿って上下動させることができるので、これらの保持フレーム3、4に貼り付けられた上偏光板6、下偏光板7のいずれか一方または両方の上下位置、すなわち各偏光板6、7と液晶パネル8間の偏光板ギャップG1、G2を変更することができる。これによって、発見しにくい欠陥が発見しやすいものとなり、そのときの偏光板ギャップを直線目盛り12によって測定することができる。したがって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な偏光板ギャップを求めることができる。
【0041】
(3)撮像角度
X軸モータ27、Y軸モータ(図示せず)を駆動することにより、撮像手段20を液晶パネル8の表面に垂直な光軸21との交点Pを中心にX、Y方向にそれぞれ回転させることができるので、これにより撮像角度θx、θyを変更することができる。したがって、液晶パネル8の視野角方向から撮像できるため、欠陥を検出することが可能となる。これによって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な撮像角度を求めることができる。
【0042】
(4)照明光源の位置
照明手段10は、ベース1の上下動可能な上板1bに設置されているので、照明光源位置を変更して検査することができる。これによって、液晶パネル8の欠陥検出に最適な照明光源位置を求めることができる。
【0043】
(5)照明光の光色及びその他の光学特性
照明手段10の照明光の光色を白色光や、R、G、Bその他の着色光に変更することができるので、液晶パネル8の欠陥検出に最適な照明光の光色を求めることができる。
また、光学特性部材11を貼り付けた枠体15を照明手段10の外周に嵌め込むことにより、光学特性部材11を分散光や平行光などを生成するものに変更することができ、これにより、液晶パネル8の欠陥検出に最適な照明光の光色以外の光学特性を求めることができる。
【0044】
以上により、本実施の形態によれば、偏光板貼付前の液晶パネル8について、あらゆる角度から総合的な検査をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態における液晶パネルの検査装置の正面図。
【図2】本検査装置の上面図。
【図3】本検査装置の右側面図。
【図4】本検査装置の断面正面図。
【図5】図4のA部の拡大断面図。
【図6】撮像手段の回転機構を示す説明図。
【符号の説明】
【0046】
1 ベース、1a 下板、1b 上板、2 支柱、3 上偏光板保持フレーム、4 下偏光板保持フレーム、5 パネル支持手段、6 上偏光板、7 下偏光板、8 液晶パネル、8a 表示画面、9 ホルダー、10 照明手段、11 光学特性部材、12 直線目盛り、13 角度目盛り、14a、14b 目印、15 枠体、20 撮像手段、21 光軸、22 円弧状ガイド、23 門型フレーム、24 回転軸、25 円弧状ギヤ、26 ピニオン、27 X軸モータ、28 ガイドローラ、29 Y軸駆動ベルト、30 画像処理手段、31 表示パタン発生手段、32 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルを挟んで一対の偏光板が配置され、前記偏光板の一方の面に照明手段を設け、他方の面には撮像手段が設けられ、前記一対の偏光板の間に前記液晶パネルの表示画面が介在するように前記液晶パネルを支持し、少なくとも前記一対の偏光板の一方または両方を稼働させる工程と、前記照明手段からの照明光を介して前記撮像手段により液晶パネルの表示画面を撮像する工程と、前記撮像された画像に基づいて画像処理する工程と、前記画像処理された画像データにより前記液晶パネルの表示画面を検査する工程とを有することを特徴とする液晶パネルの検査方法。
【請求項2】
前記一対の偏光板の一方または両方の位置を変更して検査することを特徴とする請求項1記載の液晶パネルの検査方法。
【請求項3】
前記撮像手段の撮像角度を変更して液晶パネルの表示画面を撮像し、これにより取り込まれた検査画像に基づいて検査することを特徴とする請求項1記載の液晶パネルの検査方法。
【請求項4】
前記照明手段と一方の偏光板との間に光学特性部材を選択的に挿入して検査することを特徴とする請求項1記載の液晶パネルの検査方法。
【請求項5】
前記照明手段の光色を変更して検査することを特徴とする請求項4記載の液晶パネルの検査方法。
【請求項6】
液晶パネルに前記一対の偏光板を接触させ、さらに一方の偏光板に前記光学特性部材を介して前記照明手段を接触させて検査することを特徴とする請求項4または5記載の液晶パネルの検査方法。
【請求項7】
ベースと、
前記ベース上に立設された支柱と、
前記支柱に支持され、一対の偏光板を保持する上下の偏光板保持フレームと、
前記一対の偏光板の間に液晶パネルの表示画面の全体が介在するように前記液晶パネルを支持するパネル支持手段と、
前記ベース上に設置された照明手段と、
を備えたことを特徴とする液晶パネルの検査装置。
【請求項8】
前記ベースは、上下動可能な上板と該上板を載置する下板とからなり、前記照明手段は前記上下動可能な上板に設置してなることを特徴とする請求項7記載の液晶パネルの検査装置。
【請求項9】
前記照明手段の光源の光色としてR、G、Bを有し、これらの光色の一つ以上を選択可能であることを特徴とする請求項7または8記載の液晶パネルの検査装置。
【請求項10】
光学特性部材を前記照明手段の表面に着脱可能に載置してなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の液晶パネルの検査装置。
【請求項11】
撮像手段を、前記照明手段の光軸が液晶パネルの表面に垂直に交わる交点を中心に、直交するX、Y方向に回転可能に設けたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の液晶パネルの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−106355(P2006−106355A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292828(P2004−292828)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】