説明

液晶装置、電子機器、膜形成方法、並びに液晶装置の製造方法

【課題】 導電膜と配向膜との間に配設される保護膜について、イオン吸着機能を有しつつ、製造プロセスの簡素化に有利となるように膜硬度が制御された液晶装置を提供する。
【解決手段】 液晶装置は、互いに対向する一対の基板10,20間に液晶50を挟持してなる。一対の基板10,20のうちの少なくとも一方の基板の内面側には、導電膜9,21と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜41,61と、配向膜40,60とが順次形成されており、保護膜41,61が、メソポーラス構造からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、電子機器、膜形成方法、並びに液晶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等に搭載される光変調手段や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、液晶層に電圧を印加するための電極を具備する一対の基板を主体として構成されている。液晶装置を構成する一対の基板の各内面側には、液晶分子の初期配向状態を制御するための配向膜が形成されている。
【0003】
配向膜としては、一般に、ポリイミドなどの高分子膜の表面にラビング等の配向処理が施されたものが用いられる。こうした配向膜は、配向膜に隣接して配設される導電膜からの金属元素の拡散や、イオン性の不純物の拡散によってその劣化が加速される場合がある。配向膜の劣化は、液晶配向能力の低下に伴い、液晶装置の表示品質の低下を招く。
【0004】
こうした配向膜の劣化、あるいは液晶中の可動イオンによる表示品質の低下を抑制することを目的として、イオン吸着機能を有する微粒子を含む保護膜を導電膜と配向膜との間に配設する技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2002−229027号公報
【特許文献2】特開2003−186054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電膜と配向膜との間にイオン吸着性微粒子を含む保護膜を配設する技術では、その保護膜の硬度が高く、そのため、その保護膜の形成後にその下層の導電膜に導体物を電気的に接続しようとすると、その保護膜にコンタクトホールを形成するためのフォトリソグラフィ工程が必要になるなど、工程数の増加を招きやすい。
【0006】
本発明は、導電膜と配向膜との間に配設される保護膜について、イオン吸着機能を有しつつ、製造プロセスの簡素化に有利となるように膜硬度が制御された液晶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面側には、導電膜と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜と、配向膜とが順次形成されており、前記保護膜が、メソポーラス構造からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の液晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面側には、導電膜と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜と、配向膜とが順次形成されており、前記保護膜が、メソポーラス構造からなり、前記導電膜に電気的に接続された導体物が、前記保護膜を貫通しかつ該保護膜の表面から突出していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の液晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、前記一対の基板の各内面側には、導電膜と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜と、配向膜とが順次形成されており、前記保護膜が、メソポーラス構造からなり、前記一対の基板間における電気的導通のための導体物が、前記一対の基板の各々における前記保護膜を貫通して配設されていることを特徴とする。
【0010】
上記の本発明の液晶装置によれば、導電膜と配向膜との間に配される保護膜がイオン吸着機能を有するから、配向膜の劣化や液晶中の可動イオンによる表示品質の低下が防止される。さらに、その保護膜がメソポーラス構造からなることから、膜硬度を低下させるなど、製造プロセスの簡素化に有利となるように膜硬度を制御することが可能となる。
【0011】
先に記載の本発明の液晶装置において、前記保護膜は、前記導体物を差し込むことが可能な硬度となるように、細孔容積が制御されているのが好ましい。
この構成によれば、細孔容積の制御により、保護膜が導体物を差し込み可能な硬度となるから、コンタクトホールを形成するためのフォトリソグラフィ工程を不要とし、製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【0012】
具体的には、前記保護膜におけるメソポーラス構造は、界面活性剤を含む溶液からなる塗布膜を熱処理することによって形成した構成とすることができる。
この構成によれば、メソポーラス構造の保護膜の形成に際して、その溶液に界面活性剤を付加するだけでよく、工程数の増加が防止される。
【0013】
また、前記保護膜の膜厚が、10nm以上300nm以下であるのが望ましい。
保護膜の膜厚が10nm未満であると、可動イオンの吸着効果が不十分となって液晶装置の表示品質が低下する可能性があり、保護膜の膜厚が300nmを超えると、駆動電圧が高くなって液晶装置の表示特性が低下する可能性がある。
【0014】
本発明の電子機器は、先に記載の本発明の液晶装置を備えることを特徴とする。
この本発明の電子機器によれば、表示品質の向上並びに低コスト化が図られる。
【0015】
本発明の膜形成方法は、液晶装置における導電膜と配向膜との間に配設される保護膜を形成する方法であって、マトリックス成分とイオン吸着性微粒子と界面活性剤とを含む溶液を基板上に塗布し、その塗布膜を熱処理することにより、イオン吸着性微粒子を含むメソポーラス構造の前記保護膜を形成することを特徴とする。
具体的には、例えば、前記界面活性剤が、塩化物または臭化物である方法を採用することができる。
【0016】
上記の本発明の膜形成方法によれば、イオン吸着機能を有する保護膜について、膜硬度の制御が可能となる。
【0017】
本発明の液晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置を製造する方法であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板における導電膜と配向膜との間に配設されかつイオン吸着微粒子を含むメソポーラス構造の保護膜を形成する工程と、導体物を前記保護膜に挿入して該導体物と前記導電膜とを電気的に接続させる工程とを有することを特徴とする。
具体的には、前記保護膜の形成に、先に記載の本発明の膜形成方法を用いる方法を採用することができる。
【0018】
上記の本発明の製造方法によれば、導電膜と配向膜との間に配設される保護膜について、イオン吸着機能を有しつつ、製造プロセスの簡素化に有利となるように膜硬度が制御された液晶装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(液晶装置)
図1は、本発明の液晶装置の構成例を概念的に示す模式断面図である。
図1に示すように、液晶装置は、互いに対向する一対の基板10,20間に、液晶50(液晶層)を挟持した構成を有している。基板10の内面側(対向面側)には、透光性導電膜9(画素電極)と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜41と、配向膜40とが順次形成されている。一方、基板20の内面側(対向面側)には、透光性導電膜21(共通電極、対向電極)と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜61と、配向膜60とが順次形成されている。
【0020】
基板10と基板20とはシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入・保持されている。例えば、シール材52には、基板10と基板20とを貼り合わせた後に液晶を注入するための液晶注入口が形成されている。
【0021】
シール材52の外側には、基板10と基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206と、外部との電気的導通をとるための導通端子207とが配設されている。基板間導通材206は、その一端が基板10における導電膜9に電気的に接続されるとともに、他端が基板20における導電膜21に電気的に接続されている。また、導通端子207は、その一端が基板10における導電膜9に電気的に接続されるとともに、他端が配線205等を介して外部の機器(例えば制御装置等)に電気的に接続されている。
【0022】
一対の基板10,20間における電気的導通のための基板間導通材206は、各基板10,20における保護膜41,61と配向膜40,60とを貫通して配設されている。基板10における導電膜9に電気的に接続された導通端子207は、保護膜41と配向膜60とを貫通しかつ保護膜41及び配向膜60の表面から突出して配設されている。基板間導通材206及び導通端子207の形状は、柱状、球状など任意に設定される。
【0023】
導電膜9,21としては、例えば、錫をドープした酸化インジウム膜(ITO膜)が用いられる。この他、IZO膜、FTO膜等の透光性と導電性を有する公知の様々な導電膜が適用可能である。また、透光性を必要としない場合には、優れた導電性を有する公知の様々な導電膜が適用可能である。ITO膜は、蒸着法やスパッタ法、焼成法(塗布熱分解法とも言う)等により形成することができる。
【0024】
スパッタ法を用いてITO膜を形成するには、基板表面温度を所定温度(例えば、200℃)に設定して酸化インジウムと酸化スズからなるITO透明導電膜を所定の膜厚(例えば、0.05μm〜10μm)に成膜し、所定の温度(例えば、200℃〜250℃)に一定時間(例えば、60分)保持して熱処理を行う。その後、必要に応じて、フォトリソグラフィ法により所望の平面形状にパターニングする。
【0025】
焼成法を用いてITO膜を形成するには、ITO膜の液体材料を基板上に配置し、その膜を熱処理する。液相法を用いた導電膜の形成は、製造コスト低減に有利である。液体材料の配置技術としては、インクジェット法、Capコート法、スピンコート法等を用いることができる。上記液体材料として、インジウムの有機化合物及び錫の有機化合物を有機アミンの存在下に溶解した有機溶媒を用いることにより、比較的低温(例えば250℃以下)での焼成が可能となる。また、透光性の導電性微粒子を含む微粒子膜を基板上に形成した後に、その微粒子膜上に透光性の導電性微粒子を溶解した有機溶媒を染み込ませ、その後にその膜を熱処理(焼成)することにより、焼成温度が比較的低温(例えば250℃以下)であっても導電性に優れた透光性導電膜を得ることができる。
【0026】
保護膜41,61は、マトリックス成分とイオン吸着性微粒子と界面活性剤とを含む溶液を基板10(20)上に塗布し、その塗布膜を熱処理することにより形成したものであり、メソポーラス構造からなる。メソポーラス構造は、直径が2nm〜50nm程度の細孔を有する多孔質構造であり、塗布膜の熱処理過程で上記界面活性剤の分子集合体を鋳型として形成されるものである。保護膜41,61の形成に用いられる界面活性剤は、熱処理の過程で分解される。
【0027】
保護膜41,61を構成するマトリックスとしては、例えば、無機酸化物、樹脂などが用いられる。具体的には、アセチルアセトナトキレート化合物、有機ケイ素化合物、ポリシラザンおよび金属アルコキシドから選ばれる1種または2種以上のマトリックス形成成分から誘導されるものが適用可能である。
【0028】
イオン吸着性微粒子としては、例えば、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、SnO2、In2O3、Sb2O5等の無機酸化物、SiO2・Al2O3、SiO2・TiO2、In2O3・SnO2、Sb2O5・SnO2、SnO2・In2O3・Sb2O5などの複合無機酸化物あるいは固溶体、ゼオライト(結晶性アルミのシリケート)などが適用可能であり、さらに、これらの2種以上の混合物も適用可能である。
【0029】
イオン吸着膜用のマトリックス、イオン吸着性微粒子に関しては、上記の他に、特開2002−229027号公報、特開2003−186054号公報に記載の公知の技術が援用可能である。
【0030】
配向膜40,60としては、有機配向膜、及び無機配向膜のいずれも適用可能である。有機配向膜は、例えば、ポリイミドなどの高分子膜の表面にラビング等の配向処理を施すことにより形成することができる。無機配向膜は、有機配向膜に比べて耐光性や耐熱性が高く、SiO2のような無機膜を蒸着法あるいはスパッタ法を用いて形成した後にイオンビームや粒子ビームを無機膜表面に照射して配向処理を施すことにより形成することができる。あるいは、無機配向膜は、基板に対して斜めに無機材料を入射させて斜方柱状構造を有する膜を形成する、いわゆる斜方蒸着法によっても形成することができる。なお、保護膜41,61の表面に平坦化用の膜を形成した後に、配向膜40,60を形成してもよい。
【0031】
上記構成の液晶装置では、導電膜9,21と配向膜40,60との間に配設されるイオン吸着性微粒子を含む保護膜41,61によって、可動イオンが吸着されるとともに、導電膜9,21からの不純物や金属元素等の拡散が防止され、配向膜40,60の劣化や液晶中の可動イオンによる液晶装置の表示品質の低下が防止される。
【0032】
保護膜41,61の膜厚は、10nm以上300nm以下であるのが望ましい。保護膜41,61の膜厚が10nm未満であると、不純物や可動イオンの吸着効果が不十分となって液晶装置の表示品質が低下する可能性があり、保護膜の膜厚が300nmを超えると、駆動電圧が高くなって液晶装置の表示特性が低下する可能性がある。
【0033】
保護膜41,61を形成するには、マトリックス成分とイオン吸着性微粒子と界面活性剤とを含む溶液を基板上に塗布し、その塗布膜を熱処理する。上記溶液の塗布には、スピンコート法、ディッピング法、インクジェット法、ディスペンス法、スプレーコート法などを用いることができる。塗布膜の熱処理により、界面活性剤の分子集合体を鋳型として微細な孔が形成され、イオン吸着性微粒子を含むメソポーラス構造の保護膜41,61が形成される。
【0034】
界面活性剤としては、例えば、塩化物または臭化物が用いられる。
【0035】
界面活性剤に用いられる塩化物としては、例えば、テトラデカニルトリメチルアンモニウム塩化物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩化物、オクタデカニルトリメチルアンモニウム塩化物、エイコサニルトリメチルアンモニウム塩化物、セチルトリメチルアンモニウム塩化物があげられる。
【0036】
界面活性剤に用いられる臭化物としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウム臭化物、デシルトリメチルアンモニウム臭化物、ドデシルトリメチルアンモニウム臭化物、テトラデシルトリメチルアンモニウム臭化物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物があげられる。
【0037】
マトリックス成分とイオン吸着性微粒子と界面活性剤とを含む溶液からなる塗布膜の熱処理温度は、200℃〜400℃であるのが好ましく、また、溶剤を揮発させるための予備乾燥(例えば80℃〜120℃)を予め行うのが好ましい。
【0038】
一例として、マトリックス成分前駆体としてエチルシリケートに、ブチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、硝酸、界面活性剤としてのセチルトリメチルアンモニウム臭化物、及び純水を添加して攪拌するとともにイオン交換樹脂等を用いて脱イオンして分散液を作製し、その後に、その分散液に、無機酸化物微粒子として五酸化アンチモン微粒子(Sb2O5・2.7H2O)をヘキシレングリコールに均一分散させた無機イオン吸着性微粒子ゾルを加えて攪拌し、さらに、溶剤を加えて所定の固形分濃度の溶液を調製した。セチルトリメチルアンモニウム臭化物の添加量は、マトリックス成分1molに対して0.25molである。そして、上記の溶液を基板上に塗布し、その塗布膜を80℃で予備乾燥した後に、250℃で熱処理することによりイオン吸着性を有するメソポーラス構造の膜を形成することができた。
【0039】
ここで、界面活性剤の種類あるいは添加量を調整することにより、保護膜41,61の細孔容積(ポーラス度)を制御することができる。本例では、基板間導通材206や導通端子207を差し込むことが可能な硬度となるように、細孔容積が制御されている。基板間導通材206及び導通端子207は、導電膜9,21、保護膜41,61、及び配向膜40,60の形成後に配設されたものである。すなわち、導電膜9(21)、保護膜41(61)、及び配向膜40(60)の形成後、基板間導通材206(導通端子207)を配向膜40(60)の表面に押圧して配向膜40(60)及び保護膜41(61)に差し込む。そして、配向膜40(60)及び保護膜41(61)を突き破って基板間導通材206(導通端子207)を貫通させ、その端部と導電膜9(21)とを電気的に接続させる。
【0040】
基板間導通材206や導通端子207を差し込むことが可能な硬度となるように、保護膜41,61の細孔容積が制御されていることにより、コンタクトホールを形成するためのフォトリソグラフィ工程を不要とし、製造プロセスの簡素化を図ることができる。さらに、こうした保護膜41,61の形成に際しては、基板10,20の全面に塗布膜を形成してよいから、部分的に塗布膜を形成する方法に比べてプロセスの簡素化が図られる。
【0041】
保護膜41,61の細孔容積は、0.01〜0.6ml/gであるのが好ましく、0.2〜0.5ml/gであるのがより好ましい。また、保護膜41,61の平均細孔径は、2〜10nmであるのが好ましく、2〜4nmであるのがより好ましい。保護膜41,61の細孔容積が0.01未満であると、可動イオンの吸着効果が不十分となって液晶装置の表示品質が低下する可能性があり、保護膜41,61の細孔容積が0.6ml/gを超えると、膜の品質が低下することがある。
【0042】
なお、図1の例では、基板間導通材206が、各基板10,20における保護膜41,61と配向膜40,60との双方を貫通して配設されているが本発明はこれに限定されない。本発明は、基板間導通材206が、各基板10,20における保護膜41,61のみに貫通して配設されている構成も含む。配向膜40,60が無機成分からなる場合には、配向膜40,60の硬度が高くなる傾向にあるから、基板間導通材206の配設領域への配向膜40,60の形成を回避するのが望ましい。同様に、図1の例では、導通端子207は、保護膜41と配向膜40との双方を貫通して配設されているが本発明はこれに限定されない。本発明は、導通端子207が、基板10における保護膜41のみに貫通して配設されている構成も含む。
【0043】
次に、本発明の液晶装置の具体的な構成例について説明する。
図2は本実施形態の液晶装置の全体構造を示す平面図である。図3は本実施形態の液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等を示す等価回路図である。図4はデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す平面図である。図5は本実施形態の液晶装置の構造を示す断面図であって、図4のA−A’線に沿う断面図である。
【0044】
図2に示すように、この液晶装置(透過型液晶装置)は、TFTアレイ基板10と対向基板20とがシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52には、製造時においてTFTアレイ基板10と対向基板20とを貼り合わせた後に液晶を注入するための液晶注入口55が形成されており、該液晶注入口55は液晶注入後に封止材54により封止されている。
【0045】
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り(図示略)が形成される一方、シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。実装端子202の一部は、導通端子207(図1参照)に接続されており、また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所において、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0046】
図3に示すように、画像表示領域を構成するマトリックス状に配置された複数の画素に、画素電極9と、この画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT素子30とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに供給される画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
【0047】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、このTFT素子30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込むようになっている。
【0048】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。この液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量17が付加されている。
【0049】
図4に示すように、TFTアレイ基板上には、ITO(Indium TinOxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9が複数、マトリックス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。ここでは、画素電極9の輪郭を点線9Aで示している。本実施形態においては、各画素電極9、及び各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域が画素であり、マトリックス状に配置された画素毎に表示を行うことが可能な構造になっている。
【0050】
データ線6aは、TFT素子30を構成する例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、この走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する構成になっている。
【0051】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(平面視、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(平面視、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図4中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。
【0052】
より具体的には、第1遮光膜11aは、各々、半導体層1aのチャネル領域を含むTFT素子30をTFTアレイ基板側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重なっている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、本実施形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13により前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続されている。
【0053】
図5に示すように、TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aと、その液晶層50側表面に形成された画素電極9、TFT素子30、配向膜40とを主体として構成されており、対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20Aと、その液晶層50側表面に形成された共通電極21及び配向膜60とを主体として構成されている。
【0054】
より詳細には、TFTアレイ基板10において、基板本体10Aの液晶層50側表面には画素電極9が設けられ、各画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT素子30が設けられている。画素スイッチング用TFT素子30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0055】
また、上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む基板本体10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。さらに、データ線6a上及び第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。
【0056】
また、本実施形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量17が構成されている。
【0057】
また、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの液晶層50側表面の各画素スイッチング用TFT素子30が形成された領域には、TFTアレイ基板10を透過し、このTFTアレイ基板10の下面、すなわちTFTアレイ基板10と空気との界面にて反射されて液晶層50側に戻る戻り光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース、ドレイン領域(LDD領域)1b、1cに入射することを防止するための第1遮光膜11aが設けられている。また、第1遮光膜11aと画素スイッチング用TFT素子30との間には、画素スイッチング用TFT素子30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。
【0058】
また、図5に示すように、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、この第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bにコンタクトホール13を介して電気的に接続するように構成されている。また、TFTアレイ基板10の液晶層50側の最表面には、画素電極9、及び該画素電極9が形成されていない領域の第3層間絶縁膜7を覆うように、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御するための配向膜40が形成されている。
【0059】
このTFTアレイ基板10においては、配向膜40の直下、すなわち、画素電極9及び第3層間絶縁膜7と配向膜40との間には、イオン吸着性微粒子を含有してなる保護膜41が形成されている。この保護膜41が存在することにより、有機高分子からなる配向膜40の分解により生じるイオン性の不純物の拡散及び液晶層50への流入が防止されている。また、配向膜40の下側に設けられている画素電極9からの不純物や金属元素の拡散による配向膜40の劣化を防止している。また、TFTアレイ基板10の液晶層50側と反対側の表面には、所定の偏光のみを透過する偏光子15が貼着されている。
【0060】
他方、対向基板20には、基板本体20Aの液晶層50側の表面であって、データ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT素子30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域以外の領域に、入射光が画素スイッチング用TFT素子30の半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するための第2遮光膜23が設けられている。さらに、第2遮光膜23が形成された基板本体20Aの液晶層50側には、そのほぼ全面に渡って、ITO等の透明電極材料からなる共通電極21が形成されている。
【0061】
また、この対向基板20の液晶層50側の最表面には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御するための配向膜60が形成されている。そして、この共通電極21と配向膜60との間には、イオン吸着性微粒子を含有してなる保護膜61が形成されている。これら配向膜60及び保護膜61はそれぞれ、TFTアレイ基板10の配向膜40及び保護膜41と同等の構造を有するものである。また、対向基板20の液晶層50側と反対側の表面には、所定の偏光のみを透過する偏光子25が貼着されている。
【0062】
上記の保護膜41、61の膜厚は、10〜300nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10〜100nmの範囲である。その理由は、保護膜41、61の膜厚が10nm未満では、配向膜40、60の分解により生じるイオン性の不純物の吸着効果が不十分であるため、不純物の液晶層50への流入による液晶装置の信頼性の低下を防止することができない可能性があり、また、電極(画素電極9あるいは共通電極21)からの不純物や金属元素の拡散の防止効果が不十分で、配向膜40、60の劣化を防止することができないおそれがあるからである。また、膜厚が300nmを越えると、液晶層50と電極(画素電極9あるいは共通電極21)との距離が増大し、液晶層50を駆動するための電圧が高くなり、良好な表示特性が得られなくなるからである。
【0063】
なお、本実施形態においては、TNモードの液晶装置についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、垂直配向モード、STN(Super Twisted Nematic)モードなど、電圧無印加時の液晶分子の配向状態がいかなる液晶装置にも適用することができる。本発明を、垂直配向モードの液晶装置に適用する場合には、液晶層を、液晶分子の長短軸方向が短長軸方向に比較して分極しやすい、正負の誘電率異方性を有する液晶により構成すれば良い。この場合には、電圧無印加時に、液晶層内の液晶分子が配向膜によって制御され、所定の方向に配列するのに対し、電圧印加時には、液晶層内の液晶分子が、その長軸方向を一対の基板間に発生する縦電界の方向に対して略垂直平行方向に向けて配列するため、電圧無印加時、電圧印加時における液晶分子の配列を光学的に識別し、表示を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態においては、蒸着法により配向膜を形成する方法についてのみ説明したが、本発明は、電極と配向膜との間に、イオン吸着性微粒子を含む保護膜を形成した構成であればよく、この製造方法に限定されるものではない。例えば、配向膜は、スパッタ法やイオンプレーティング法により形成してもよい。
【0065】
図6は、パッシブマトリックス型の透過型液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
この透過型液晶装置は、液晶層(図示略)を挟持して対向配置された一対の基板70,80を具備して概略構成されている。
【0066】
より詳細には、基板70は、基板本体71の液晶層側表面に、ストライプ状に形成された多数の透明電極72と、イオン吸着性微粒子を含有してなる保護膜(図示略)と配向膜(図示略)とを順次具備して構成されている。また、基板80は、基板本体81の液晶層側表面に、ストライプ状に形成された多数の透明電極82と、イオン吸着性微粒子を含有してなる保護膜(図示略)と配向膜(図示略)とを順次具備して構成されている。
【0067】
なお、図示するように、基板70の透明電極72と基板80の透明電極82とは互いに交差する方向に形成されている。また、本実施形態の透過型液晶装置を構成する液晶層、配向膜、保護膜の構造は、図2の液晶装置と同様である。
【0068】
このように、本発明は、パッシブマトリックス型の透過型液晶装置にも適用することができ、アクティブマトリックス型の透過型液晶装置と同様の効果を得ることができる。
【0069】
上記の各実施形態においては、TFT素子を用いたアクティブマトリックス型の透過型液晶装置、パッシブマトリックス型の透過型液晶装置についてのみ説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、TFD(Thin-Film Diode)素子に代表される2端子型素子を用いたアクティブマトリックス型液晶装置等にも適用可能である。
【0070】
また、本発明は、電極と配向膜との間に、イオン吸着性微粒子を含む保護膜を形成した構成であればよく、基板全面に形成した上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、保護膜は、電極と同形状に形成してもよい。この場合は、電極のパターンニングと同時に行うことができる。また、基板全面に形成した場合、液晶側表面に形成される段差が大きくない限りは、保護膜に平坦化処理を施し、配向特性を向上させてもよい。
【0071】
また、上記の各実施形態においては、透過型液晶装置を取り上げて説明したが、本発明は、電極と配向膜との間に、イオン吸着性微粒子を含む保護膜を形成した構成であればよく、上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、透過型液晶装置以外の反射型液晶装置、半透過反射型液晶装置にも適用可能であり、いかなる構造の液晶装置にも適用することができる。
【0072】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器の一例としてプロジェクタについて説明する。
図7は、プロジェクタを概略的に示す図である。
このプロジェクタPJ1は、本発明の液晶装置を光変調手段(液晶ライトバルブ)として用いており、R(赤)、G(緑)、B(青)の異なる色毎に透過型液晶ライトバルブを備えた3板式の間欠表示型カラー液晶プロジェクタである。
【0073】
図7に示すように、プロジェクタPJ1は、光源810と、ダイクロイックミラー813,814と、反射ミラー815,816,817と、入射レンズ818と、リレーレンズ819と、射出レンズ820と、液晶ライトバルブ822,823,824と、クロスダイクロイックプリズム825と、投射レンズ826とを備えて構成されている。
【0074】
光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とを含む。
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用液晶ライトバルブ822に入射する。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ822に入射する。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および射出レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用液晶ライトバルブ824に入射する。
【0075】
各液晶ライトバルブ822,823,824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0076】
上述したプロジェクタPJ1によれば、液晶ライトバルブ822,823,824における配向膜の劣化や液晶中の可動イオンによる表示品質の低下が防止されているから、表示品質の向上が図られる。また、液晶ライトバルブ822,823,824の製造プロセスの簡素化により、低コスト化が図られる。
【0077】
なお、本例では赤色光用,緑色光用,青色光用の各液晶ライトバルブに本発明の液晶装置を採用したが、係る液晶装置は必ずしも全ての液晶ライトバルブに適用される必要はなく、少なくともR,G,Bのうちのいずれかの液晶ライトバルブに適用すれば、その効果を得ることができる。光のエネルギーが高い青色光(B)用の液晶ライトバルブに本発明の液晶装置を適用すると特に効果的である。
また、3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0078】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、本発明の液晶装置を表示部に備えた携帯電話を挙げることができる。また、その他の電子機器としては、例えば、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の液晶装置の構成例を概念的に示す模式断面図。
【図2】液晶装置の全体構造を示す平面図。
【図3】透過型液晶装置の画像表示領域を示す等価回路図。
【図4】透過型液晶装置の複数の画素群の構造を示す平面図。
【図5】透過型液晶装置の構造を示す断面図。
【図6】パッシブマトリックス型の透過型液晶装置を示す斜視図。
【図7】プロジェクタの一例を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0081】
10…TFTアレイ基板、20…対向基板、30…TFT素子、9…画素電極(導電膜)、21…共通電極(導電膜)、50…液晶層、52…シール材、40,60…配向膜、41,61…保護膜、70…下側基板、80…上側基板、206…基板間導通材(導体物)、207…導通端子(導体物)、205…配線、PJ1…プロジェクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面側には、導電膜と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜と、配向膜とが順次形成されており、
前記保護膜が、メソポーラス構造からなることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面側には、導電膜と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜と、配向膜とが順次形成されており、
前記保護膜が、メソポーラス構造からなり、
前記導電膜に電気的に接続された導体物が、前記保護膜を貫通しかつ該保護膜の表面から突出していることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板の各内面側には、導電膜と、イオン吸着性微粒子を含む保護膜と、配向膜とが順次形成されており、
前記保護膜が、メソポーラス構造からなり、
前記一対の基板間における電気的導通のための導体物が、前記一対の基板の各々における前記保護膜を貫通して配設されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
前記保護膜は、前記導体物を差し込むことが可能な硬度となるように、細孔容積が制御されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記保護膜におけるメソポーラス構造は、界面活性剤を含む溶液からなる塗布膜を熱処理することによって形成したものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項6】
前記保護膜の膜厚が、10nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
液晶装置における導電膜と配向膜との間に配設される保護膜を形成する方法であって、
マトリックス成分とイオン吸着性微粒子と界面活性剤とを含む溶液を基板上に塗布し、その塗布膜を熱処理することにより、イオン吸着性微粒子を含むメソポーラス構造の前記保護膜を形成することを特徴とする膜形成方法。
【請求項9】
前記界面活性剤が、塩化物または臭化物であることを特徴とする請求項8に記載の膜形成方法。
【請求項10】
互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置を製造する方法であって、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板における導電膜と配向膜との間に配設されかつイオン吸着微粒子を含むメソポーラス構造の保護膜を形成する工程と、
導体物を前記保護膜に挿入して該導体物と前記導電膜とを電気的に接続させる工程とを有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項11】
前記保護膜の形成に、請求項8または請求項9に記載の膜形成方法を用いることを特徴とする液晶装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−301492(P2006−301492A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126213(P2005−126213)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】