説明

混練押出機の起動装置、混練押出機、及び混練押出機の起動方法

【課題】 混練押出機の主電動機に対する起動の作業性や安全性を改善する。
【解決手段】本発明の混練押出機2の起動装置1は、スクリュ部5に設けられた混練スクリュ4を駆動回転させる主電動機3に対して起動用減速機11を介して動力伝達可能に設けられると共に主電動機3とは別に混練スクリュ4を駆動回転させる起動用電動機8と、主電動機3と起動用電動機8との間で動力伝達を自動的に切断するクラッチ部9と、クラッチ部9で動力伝達が切断されなかった場合に主電動機3を停止させる保護手段10と、を備えていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練押出機の起動装置、混練押出機、及び混練押出機の起動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、2軸押出機や連続混練機などの混練押出機においては、バレル内に母材となる高分子樹脂のペレットや粉体状の添加物を供給し、バレル内に挿通された一対の混練スクリュによって両者を混練しながら下流側へ送ることで、プラスチックコンパウンド等の複合樹脂材料が製造されている。
混練押出機では、一対の混練スクリュが減速機(主減速機)を介して大出力の主電動機に接続されており、動力(トルク)を減速機で2分してそれぞれの混練スクリュに伝達する機構になっている。
【0003】
ところで、混練すべき材料が十分に溶解していない状態で主電動機を回転させると、混練スクリュに過大な負荷がかかり、混練押出機や主電動機が破損する原因となる。それゆえ、混練押出機には、例えば特許文献1に示すように、主電動機を起動させる前に混練スクリュを微速で駆動回転させて押出機内部の樹脂が溶融していることや混練押出機内部に異常負荷となるものがないことを確認する樹脂排出用装置が設けられている(例えば、特許文献1の図1の14、15、19参照)。
上述のような樹脂排出用装置を用いた起動方法は、主電動機とは別に設けられた電動機により混練スクリュを駆動回転させ、混練スクリュに過負荷がかかっていないことが確認できた後に、電動機を止めて起動装置と混練押出機との動力伝達をクラッチ部で遮断し、主電動機で混練スクリュを起動させるものである。
【0004】
また、電動機等の破損を防止するためのクラッチ部の安全装置として、特許文献2に示すように主電動機を起動した時のインターロックを、クラッチ部のレバー操作と共に行うようにしたものがある。
【特許文献1】特開2008−30442号公報
【特許文献2】特開2002−120274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の樹脂排出用装置では、主電動機より小型の電動機を停止させて主電動機の動力軸の回転が停止してからでなければ、クラッチ部の入切が行えない構造となっている。そして、これらの操作は手動作業で行われる。また、特許文献2の安全装置では、主電動機のインターロックについても手動作業が必要となっている。それゆえ、混練押出機を起動させるためには、多くの時間や労力がかかり、作業性が良くない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、混練押出機の起動時の作業性が改善され、クラッチ部で動力伝達が切断されなかった場合にも小型の電動機の破損を防止することができ、起動操作を短時間で且つ作業性良く行うことができる起動装置及び混練押出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の混練押出機の起動装置は次の技術的手段を講じている。すなわち、本発明の混練押出機の起動装置は、スクリュ部に設けられた混練スクリュを駆動回転させる主電動機に対して起動用減速機を介して動力伝達可能に設けられていると共に当該主電動機とは別に前記混練スクリュを駆動回転させる起動用電動機と、前記主電動機と起動用電動機との間で動力伝達を自動的に切断するクラッチ部と、前記クラッチ部で動力伝達が切断されなかった場合に前記主電動機を停止させる保護手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明者らは、混練押出機の起動操作を短時間で且つ作業性良く行えるように、起動用電動機と主電動機との間で動力伝達を自動的に切断するクラッチ部(例えば、ワンウェイクラッチ)を用いることを考えた。そして、クラッチ部によって動力伝達が切断できない事態が生じても、主電動機を停止させる保護手段を設けていれば、起動用電動機の破損が確実に防止され動力伝達の自動的な切断も可能となることを知見して、本発明を完成するに至ったのである。
なお、前記保護手段は、前記クラッチ部と起動用電動機との間の動力伝達部材の回転速度を検出する速度検出部と、当該速度検出部により検出される前記動力伝達部材の回転速度に基づき前記主電動機を停止させる制御部と、を備えているのが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、前記速度検出部により検出された前記動力伝達部材の回転速度が予め定められた回転速度を超えたか否かを判定する速度判定部と、当該速度判定部において前記検出された回転速度が予め定められた回転速度を超えたと判定された場合に前記主電動機を停止させる構成とされているのが好ましい。
また、前記制御部は、前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部において前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたと判定された場合に、前記速度検出部により検出された前記動力伝達部材の回転速度に基づいて前記クラッチ部で動力伝達が切断されたか否かを判断する切断判定部と、
前記切断判定部において前記切断が検知されていないと判断された場合に前記主電動機を停止させる構成とされていても良い。
【0009】
一方、前記保護手段が、前記クラッチ部による動力伝達の切断動作を検知する切断検知部を備えている場合には、前記制御部は、前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えても前記切断検知部で前記切断動作が検知されない場合に前記主電動機を停止させる構成とすることもできる。
そして、その場合には、前記制御部は、前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたか否かを判定する時間判定部と、前記時間判定部において前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたと判定された場合に、前記切断検知部で前記切断動作が検知されているか否かを判断する接続判定部と、前記接続判定部において前記切断動作が検知されていないと判断された場合に前記主電動機を停止させる構成とされているのが好ましい。
【0010】
さらに、上述したクラッチ部には爪型クラッチやオーバーランニングクラッチを用いることができ、前記起動用電動機は前記主電動機の動力軸を介して記混練スクリュを駆動回転させる構成とすることもできる。
そして、上述した起動装置が設けられた混練押出機では、起動操作を短時間で且つ作業性良く行うことができる。
一方、本発明の混練押出機の起動方法は、混練押出機のスクリュ部に設けられた混練スクリュを駆動回転させる主電動機を起動する際に、前記主電動機と該主電動機に起動用減速機を介して動力伝達可能な起動用電動機との間の動力伝達を自動的に切断可能なクラッチ部により両者を接続し、前記主電動機とは別に設けられた起動用電動機によって前記混練スクリュが回転可能であることを確認した後に前記主電動機を起動し、前記クラッチ部によって動力伝達の切断が正常に行われているか否かを判断し、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断された場合に、前記主電動機を停止させることを特徴とするものである。
【0011】
この方法においては、前記クラッチ部と起動用電動機との間の動力伝達部の回転速度が予め定められた回転速度を超えた場合に、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断することができる。
また、前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間に達した場合に、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断することもできる。
さらに、前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えても、前記主電動機と起動用電動機との間に設けられたクラッチ部で動力伝達の切断動作が行われていない場合に、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断することもできる。
【0012】
そして、前記主電動機を起動する前に、前記主電動機とは別に設けられた起動用電動機によって、前記クラッチ部及び前記主電動機の動力軸を介して前記混練スクリュを予め加速しても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の混練押出機の起動装置、混練押出機、及び混練押出機の起動方法においては、混練押出機の起動時の作業性が改善され、クラッチ部で動力伝達が切断されなかった場合にも小型の電動機の破損を防止することができ、起動操作を短時間で且つ作業性良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の混練押出機の起動装置の第1実施形態を図面に基づき以下に説明する。
[第1実施形態]
図1に示されるように、第1実施形態の起動装置1は混練押出機2に設けられている。混練押出機2は、動力(回転駆動力)を発生させる主電動機3と、主電動機3の動力により回転する混練スクリュ4、4を一対有するスクリュ部5と、主電動機3の動力を2つに分けて一対の混練スクリュ4、4にそれぞれ伝達する主減速機6とを備えている。
なお、以降の説明において、図1の紙面の左側を混練押出機2を説明する際の下流側とし、紙面の右側を上流側とする。また、図1の紙面の左右方向を混練押出機2を説明する際の軸方向とする。
【0015】
主電動機3は、一対の混練スクリュ4、4を駆動回転させるものである。主電動機3は、軸方向に沿って主電動機3の両側に伸びる動力軸7を有しており、動力軸7の下流側には主減速機6が接続されており、上流側には起動装置1が接続されている。
主減速機6は、主電動機3とスクリュ部5との間に設けられている。主減速機6は、動力軸7を介して入力された主電動機3の動力を減速して2つに分配し、スクリュ部5の混練スクリュ4、4にそれぞれ出力する構成となっている。
スクリュ部5は、空洞状のバレル(図示略)と、このバレルの内部を軸方向に沿って挿通するように設けられた一対の混練スクリュ4、4とを備えている。混練スクリュ4は、スクリュセグメントやロータセグメントなどの各種セグメントを複数有している。各混練スクリュ4、4は、主減速機6を介して2分配された主電動機3の動力により駆動回転されるようになっており、スクリュセグメントやロータセグメントなどを回転させてバレル内に供給された材料を混練しつつ下流側へ送っている。
【0016】
本発明の起動装置1は、主電動機3とこの主電動機3に起動用減速機11を介して動力伝達可能な起動用電動機8との間の動力伝達を自動的に切断可能なクラッチ部9により両者を接続し、主電動機3とは別に設けられた起動用電動機8を用いて、混練スクリュ4が回転可能であることを確認した後に主電動機3を起動し、クラッチ部9によって主電動機3と起動用電動機8間の動力伝達の切断が正常に行われているか否かを判断し、動力伝達の切断が正常に行われていないと判断された場合に、主電動機3を停止させるものであり、クラッチ部9で動力伝達が切断されなかった場合には主電動機3を保護手段10を用いて停止させるものである。
【0017】
起動装置1は、大別すると、起動用電動機8と、クラッチ部9と、保護手段10と、起動用減速機11とを有している。
起動用電動機8は、主電動機3とは別に主電動機3の動力軸7を介して混練スクリュ4を駆動回転させるものである。起動用電動機8は、定格出力が主電動機3より小さいモータである。起動用電動機8により発生した動力はこの起動用電動機8の動力伝達軸12を介して起動用減速機11に伝達される。
起動用減速機11は、起動用電動機8とクラッチ部9との間に設けられており、起動用電動機8から出力された回転速度を減速すると同時に動力を増幅してクラッチ部9に伝達している。起動用減速機11を介して混練スクリュ4に伝達される起動用電動機8の動力によって、主電動機3の起動前に混練スクリュ4をゆっくりと回転(例えば、主電動機3を用いて混練スクリュ4を混練押出機2の定格回転数で回転させた場合の0.8〜5%に相当する回転数で回転)させることで混練スクリュ4が回転可能な状態であるか確認することができる。
【0018】
起動用減速機11は、主電動機3を起動させる前に予め混練スクリュ4を所定速度まで加速させる際に用いても良い。この場合、起動用減速機11は、主電動機3の起動前にゆっくりと回転させるための減速部と、主電動機3の起動前に所定回転数(例えば、主電動機3を用いて混練スクリュ4を混練押出機2の定格回転数で回転させた場合の40%以上に相当する回転数で回転)まで加速させるための減速部と、何れかの減速部を選択可能にとする切替部とを備えるように構成してもよい。なお、このときのクラッチ部9としては、後述する爪型クラッチを好適に用いることができる。
このような2段階の減速部と切替部とを備えることにより、可変速の起動用電動機を用いなくとも、微速回転と高速回転までの加速を行うことができる。また、主電動機3を起動させる前に予め混練スクリュ4を所定速度まで加速させることにより、主電動機3の始動電流を下げることができる。
【0019】
クラッチ部9は、主電動機3で駆動回転させた際に主電動機3の動力軸7の回転速度が、起動用減速機11の出力軸の回転速度を超えた場合に、動力伝達を自動的に切断する爪型クラッチや、所定回転数に達するとトルク伝達されないオーバーランニング状態になるオーバーランニングクラッチのように、主電動機3と起動用電動機8との間の動力伝達を自動的に切断することができるクラッチである。クラッチ部9が爪型クラッチである場合は、互いに相対する一対のクラッチ板13、14を上流側と下流側とに備えており、上流側のクラッチ板13が起動用減速機11に、また下流側のクラッチ板14が主電動機3に連結されている。また、上流側のクラッチ板13は軸方向に移動自在となっている。
【0020】
詳しくは、図2に示されるように、一対のクラッチ板13、14には、互いに対向し合う面に爪部15、16が複数備えられている。上流側のクラッチ板13には爪部15が回転方向に沿って一定の間隔をあけて複数設けられており、それぞれの爪部15にはクラッチ板13の回転方向に面する側に垂直面17と反回転方向に面する側に傾斜面18とが形成されている。
下流側のクラッチ板14には隣り合う爪部15の間に嵌り込むように爪部16が一定の間隔をあけて複数設けられている。この爪部16は、上流側の爪部15とは対称に、回転方向に面する側に傾斜面20と反回転方向に面する側に垂直面19とが形成されている。
【0021】
上流側のクラッチ板13と下流側のクラッチ板14とを重ね合わせると、上流側のクラッチ板13の回転速度が速い場合は垂直面17、19同士が接するように、逆に下流側のクラッチ板14の回転速度が速くなるに伴い傾斜面18、20同士が面で接するように爪部15と爪部16とが回転方向に沿って並ぶようになっている。
クラッチ部9は、クラッチ板13の移動に合わせて揺動するレバー21が設けられている。レバー21は、上下方向に沿って長尺に形成されており、下端を中心として揺動自在に設けられている。レバー21は、上流側のクラッチ板13を手動でも移動させること(トルク伝達可能な連結状態へ爪部15を手動操作で復帰させること)ができるよう上下方向の中途部で上流側のクラッチ板13に連結されており、クラッチ板13の軸方向移動に合わせて揺動可能とされている。
【0022】
クラッチ部9では、主電動機3が回転していないときに起動用電動機8を起動し、主電動機3の動力軸7が起動用電動機8の動力により回転している場合には、上流側の爪部15の垂直面17が下流側の爪部16の垂直面19に面係合し、起動用電動機8の動力がクラッチ部9を介して主電動機3に伝達される。しかし、主電動機3の動力軸7が主電動機3の動力により高速回転するようになると、上流側の爪部15の傾斜面18が下流側の爪部16の傾斜面20に面係合するようになる。
その結果、傾斜した面同士で生じる滑りに伴い上流側のクラッチ板13が軸方向に動き、クラッチ板13とクラッチ板14とが機械的に離反する。クラッチ板13、14が互いに離反すると、レバー21が上流側に向かって揺動すると同時に爪部15と爪部16との係合(噛み合い)が外れ、起動用電動機8と主電動機3との間の動力の伝達が自動的に切断される。
【0023】
一方、クラッチ部9を接続状態にするには、レバー21を下流側に向かって揺動し、上流側のクラッチ板13を下流側のクラッチ板14に接近させる。クラッチ板13とクラッチ板14とが接近すると、爪部15、16同士が噛み合って起動用電動機8から主電動機3への動力伝達が可能となる。
なお、クラッチ部9としてオーバーランニングクラッチ28を用いる場合は、レバー操作は不要であり、トルク伝達可能な状態へも自動復帰することができる。
保護手段10は、クラッチ部9で動力伝達が切断されなかった場合に主電動機3を停止させるものである。すなわち、保護手段10は、動力伝達の切断が正常に行われているか否かを判断し、動力伝達の切断が正常に行われていないと判断された場合に主電動機3を停止させるものである。
【0024】
保護手段10は、本実施形態においては、起動用電動機8の動力伝達軸12の回転速度Rを検出する速度検出部22と、速度検出部22により検出された動力伝達軸12の回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達した場合に主電動機3を停止させる制御部23と、を備えている。
速度検出部22は、起動用電動機8とクラッチ部9との間の動力伝達部に設けられて動力伝達部材(例えば、起動用電動機8と起動用減速機11間の動力伝達部材である動力伝達軸12)の回転速度Rを検出するセンサである。速度検出部22で検出された動力伝達部材の回転速度Rは信号として制御部23に送られる。
【0025】
制御部23は、速度検出部22により検出された動力伝達部材の回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達したか否かを判定する速度判定部24と、速度判定部24において回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達したと判断された場合に主電動機3を停止させる指示部25と、を備えている。具体的には、制御部23はコンピュータ又はシーケンサ(PLC:プログラマブルロジックコントローラ)で構成される。
速度判定部24は、速度検出部22で検出された回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達したかどうかを判定している。回転速度R0は、起動用電動機8が破損せずに回転できる上限の回転速度以下であればよく、本実施形態の場合は通常運転時の回転速度の110%とされている。
【0026】
指示部25は、速度判定部24で回転速度Rが回転速度R0に到達していると判定されると、主電動機3を停止するようになっている。
図3を用いて、第1実施形態の混練押出機の起動方法について説明する。第1実施形態の起動方法はS31〜S36に従って行われる。
まず、クラッチ部9を接続状態とし、主電動機3が起動していない状態で起動用電動機8を起動する[S31]。
起動用電動機8を起動すると、起動用電動機8の動力が起動用減速機11を介して主電動機3の動力軸7に伝達する。そして、主電動機3の動力軸7及び主減速機6が起動用電動機8により回転し、混練スクリュ4がゆっくりと回転させられる。このとき、主電動機3を起動することなく混練スクリュ4が回転可能であることを確認する[S32]。
【0027】
次に、起動用電動機8を回転又は停止させた状態で主電動機3を起動させる[S33]。
主電動機3の回転数が上昇すると、やがて主電動機3の動力軸7の回転速度が、起動用減速機11の出力軸の回転速度以上となる。このとき、クラッチ部9が起動用電動機8と主電動機3との間の動力伝達を自動的に切断する。
次に、保護手段10ではクラッチ部9が起動用電動機8と主電動機3との間の動力伝達を切断しているかどうかの確認が行われる。この確認は、クラッチ部9と起動用電動機8との間に設けられる速度検出部22で動力伝達部材(本例では動力伝達軸12)の回転速度Rを検出し、検出された回転速度Rを速度判定部24に送り、速度判定部24で回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達したかどうかを判定することで行われる[S34]。
【0028】
クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われた場合には、回転速度Rが回転速度R0を超えることはない。それゆえ、回転速度Rが回転速度R0を超えない場合には、クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われたと判断し、起動用電動機8が起動した状態である場合はその回転を停止させる[S35]。
一方、クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われなかった場合には、主電動機3により起動用電動機8が強制回転させられ、回転速度Rが回転速度R0に到達することになる。それゆえ、回転速度Rが回転速度R0に到達した場合には、クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われなかったと判断し、主電動機3を即座に停止させる[S36]。
[第2実施形態]
次に、本発明の起動装置1及び起動方法の第2実施形態を説明する。
【0029】
図4に示されるように、第2実施形態の起動装置1が第1実施形態と異なっている点は、第1実施形態において説明した速度検出部(第1速度検出部)22に加えて、第2速度検出部31が速度検出部として新たに設けられている点である。そして、第2実施形態の保護手段10は、主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達した際に、第2速度検出部31により検出されたクラッチ部9前後での回転速度(回転速度差ΔR)に基づいてクラッチ部9で動力伝達の切断が検知されない場合に主電動機を停止させるように構成されている。なお、第2実施形態の起動装置1におけるその他構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
【0030】
第2速度検出部31は、クラッチ部9の前後の動力伝達部に設けられてクラッチ部9の前後での動力伝達部材の回転速度差ΔRを検出するセンサである。第2速度検出部31は、クラッチ部9と起動用減速機11との間に設けられた速度検出器31Aと、クラッチ部9と主電動機3との間に設けられた速度検出器31Bとで構成されている。第2速度検出部31では、速度検出器31Bで検出された動力伝達部材の回転速度から速度検出器31Aで検出された動力伝達部材の回転速度を引いて回転速度差ΔRを求め、この回転速度差ΔRを信号として制御部23に送っている。
【0031】
なお、起動用減速機11の減速比が分かっている場合は、速度検出器31Aに代えて第1速度検出部22で検出された回転速度Rと起動用減速機11の減速比とを用いて、これらから回転速度差ΔRを算出することもできる。
第2実施形態の制御部23は、主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0を超えたか否かを判定する時間判定部27と、時間判定部27において主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0を超えたと判定された場合に、第2速度検出部31(速度検出部)により検出された動力伝達部材の回転速度(回転速度差ΔR)に基づいてクラッチ部9で動力伝達が切断されたか否かを判断する切断判定部32と、切断判定部32において切断が検知されていないと判断された場合に主電動機3を停止させる構成とされている。
【0032】
時間判定部27は、主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達したか否かを判断するものである。時間T0は、主電動機3が起動してから動力伝達部材(本例では動力伝達軸12)の回転速度Rが所定速度になる(回転速度R0まで加速する)までの時間とされており、モータの種類、スクリュ径、被混練材料の種類又は混練条件に応じて適宜設定することができる。
切断判定部32は、時間判定部27において主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達したと判断された場合に、第2速度検出部31により検出された動力伝達部材の回転速度(回転速度差ΔR)に基づいてクラッチ部9で動力伝達が切断されたか否かを判断するものである。切断判定部32ではΔR(31Bの検出速度−31Aの検出速度)が正の値の場合又はΔR(31Aの検出速度−31Bの検出速度)が負の場合にクラッチ部9で動力伝達が切断されたと判断され、ΔRがゼロの場合にクラッチ部9で動力伝達が切断されなかったと判断される。
切断が検知されていないと判断された場合には、切断判定部32から指示部25に信号が出力され、指示部25が主電動機3を即座に停止させる。
【0033】
なお、第2実施形態の起動装置1は、第1実施形態で説明したように第1速度検出部22で検出された回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達した場合にも主電動機3を停止する構成とすることができる。この場合、図4の二点鎖線で示すように制御部23に速度判定部24を設け、速度判定部24の信号を指示部25に入力する構成とすることで、速度判定部24と切断判定部32とのいずれかからの信号で主電動機3を停止させることもできる。
図5を用いて、第2実施形態の混練押出機2の起動方法、具体的には制御部23での信号の流れについて説明する。
【0034】
第2実施形態の起動方法はS51〜S59に従って行われる。
まず、S51及びS52は、第1実施形態の起動方法におけるS31及びS32と同様に行われる。
第2実施形態の起動方法では、主電動機3を起動させると同時に、時間判定部27で時間Tの計測が開始される[S53]。
そして、第1実施形態の起動方法と同じように主電動機3の回転数が上昇し、クラッチ部9が起動用電動機8と主電動機3との間の動力伝達を自動的に切断する。
【0035】
ところで、主電動機3を起動してもクラッチ部9で動力切断が行われる回転速度に到達するまでには一定の時間が必要となる。そこで、次に主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達しているかどうかの判定が行われる[S54]。ここで、時間Tが時間T0に到達していないと判定された場合には、時間Tを更新し[S55]、S54に戻って時間T0に到達するまで時間判定を繰り返し行う。
時間Tが時間T0に到達していると判定された場合には、第2速度検出部31により検出された動力伝達部材の回転速度(回転速度差ΔR)に基づいてクラッチ部9が起動用電動機8と主電動機3との間の動力伝達を切断しているかどうかの確認が切断判定部32で行われる[S56]。
この確認は、ΔR(31Bの検出速度−31Aの検出速度)が正の場合又はΔR(31Aの検出速度−31Bの検出速度)が負の場合に動力伝達が切断されたと判断され、ΔRがゼロの場合に動力伝達が切断されていないと判断される。
【0036】
クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われたと判断された場合には、時間Tをリセット[S57]した後、起動用電動機8が起動した状態である場合にはそれを停止させる[S58]。
一方、クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われていないと判断された場合には、主電動機3を停止させる[S59]。
なお、第2実施形態の起動装置1及び起動方法においては、以下に示すように速度判定部24と切断判定部32とのいずれかからの信号で主電動機3を停止させることもできる。
【0037】
図6に示すように、上述のような起動方法においては、まずS51〜S53までの処理と同様にして主電動機3の起動し、時間判定部27での時間Tの計測が開始される。そして、次に第1速度検出部22で検出された回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達したか否かの判定が速度判定部24で行われる[S70]。
回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達している場合は、直ちに主電動機3を停止し[S69]、回転速度R0に到達していない場合にはS64からS68までの動作がS54〜S58と同様に行われる。
[第3実施形態]
次に、本発明の起動装置1及び起動方法の第3実施形態を説明する。
【0038】
図7に示されるように、第3実施形態の起動装置1が第1実施形態と異なっている点は、保護手段10が、主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達しても、クラッチ部9で動力伝達の切断動作が検知されない場合に主電動機3を停止させるように構成されている点である。なお、第3実施形態の起動装置1におけるその他構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
切断検知部26は、クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われたか否かを検知するものである。切断検知部26は、クラッチ部9のレバー21の切断動作から切断が正常に行われたか否かを検知しており、レバー21の位置を検知する一対のリミットスイッチで構成されている。切断検知部26では、レバー21の位置が上流側にあることをリミットスイッチで検出している場合に、クラッチ部9で動力伝達が行われている(接続状態である)と判断している。一方、レバー21の位置が下流側にあることをリミットスイッチで検出している場合には、クラッチ部9で動力伝達が切断されている(切断状態である)と判断している。切断検知部26では、レバー21の位置が動力切断側(下流側)にあるときに切断信号Cが制御部23に出力される。
【0039】
第3実施形態の制御部23は、クラッチ部9と起動用電動機8との間に設けられる速度検出部22により検出される動力伝達部材(本例では動力伝達軸12)の回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達した場合だけでなく、主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達しても切断検知部26で切断動作が検知されない場合にも主電動機3を停止させるものである。制御部23は、第1実施形態の制御部23で説明した速度判定部24と指示部25に加えて、時間判定部27と、接続判定部30とを備えている。
【0040】
接続判定部30は、時間判定部27において主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達したと判断された場合に、切断検知部26で切断動作が検知されているか否かを判断するものである。接続判定部30において切断動作が検知されていないと判断された場合には、接続判定部30から指示部25に信号が出力され、指示部25が主電動機3を即座に停止させる構成となっている。
図8を用いて、第3実施形態の混練押出機2の起動方法、具体的には制御部23での信号の流れについて説明する。
【0041】
第3実施形態の起動方法はS81〜S89に従って行われる。なお、S81〜S85の手順は、第2実施形態の起動方法におけるS51〜S55と同様に行われるため、説明を省略する。
第3実施形態の起動方法では、クラッチ部9での動力伝達の切断は接続判定部30で行われる。接続判定部30では、切断検知部26からの切断信号Cが入力されたかどうかの判断が行われる。切断信号Cが接続判定部30に入力された場合にはクラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われたと判断され、入力されていない場合は切断が正常に行われていないと判断される[S86]。
クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われたと判断された場合は、時間Tをリセット[S87]した後、起動用電動機8を停止させる[S88]。
一方、クラッチ部9での動力伝達の切断が正常に行われていないと判断された場合には、即座に主電動機3を停止させる[S89]
なお、第3実施形態の起動方法に、第1実施形態で説明したクラッチ部9と起動用電動機8との間の動力伝達部材(動力伝達軸12)の回転速度Rに関する判断を加えることもできる。この場合、時間判定部27において主電動機3の起動からの時間Tが予め定められた時間T0に到達したと判断した際に、上述した接続判定部30によるクラッチ部9での動力伝達の切断動作に関する判断だけでなく、速度判定部24による動力伝達部材(本例では動力伝達軸12)での回転速度に関する判断でも主電動機3を停止させるように、制御部23を構成することもできる。この場合は、回転速度Rが予め定められた回転速度R0に到達したとの判断又はクラッチ部9での動力伝達の切断動作が検知されていないとの判断のいずれか一方でも判断されれば、指示部25が主電動機3を即座に停止させる。
[第4実施形態]
次に、本発明の起動装置1及び起動方法の第4実施形態を説明する。
【0042】
図9に示されるように、第4実施形態の起動装置1が第1実施形態と異なっている点は、クラッチ部9にオーバーランニングクラッチ28が用いられている点である。なお、第4実施形態の起動装置1におけるその他構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
オーバーランニングクラッチ28は、公知のものを用いることができる。例えば外輪体13Aと内輪体14Aの間に所定速度に達すると(所定遠心力が作用すると)トルク伝達状態からオーバーランニング状態に機械的に切り替える切替構造29を備えている。切替構造29は、外輪体13A、内輪体14Aが所定方向に回転するときの回転速度に応じた遠心力によって係止姿勢と非係止姿勢とに機械的に切替可能となっている。それゆえ、動力軸7の動力源が起動用電動機8から主電動機3に切り替わり所定速度に達すると、切替構造29が遠心力によって係止姿勢から非係止姿勢に変化し、外輪体13A、内輪体14Aの連結が自動的に外れる。
【0043】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態は2軸押出機のものであったが、本発明の起動装置1は単軸または3軸以上の押出機や連続混練機にも用いることができる。
なお、上述した実施形態では、クラッチ部9として電気的な制御を行うことなく機械的に作動する爪型クラッチ又はオーバーランニングクラッチ28を例示したが、本発明の起動装置1には爪型クラッチやオーバーランニングクラッチ28以外のワンウェイクラッチを用いることもできる。
【0044】
また、上述した実施形態では、起動用電動機8の回転速度Rを監視して主電動機3を停止させる保護手段10、及び起動用電動機8の回転速度Rの監視と、クラッチ部9の切断動作の有無との双方で主電動機3を停止させる保護手段10を例示した。しかし、例えばクラッチ部9の切断動作の有無だけで主電動機3を停止させる保護手段10を設けることもできる。
上述した実施形態では、主電動機3に高出力用モータを用いていたが、主電動機3は高出力用モータに限定されるものではない。例えば、主電動機3に低出力用モータを用いることもできる。
上述した実施形態における図示例では、起動用電動機8の出力が起動用減速機11とクラッチ9と主電動機3とを順に介して混練スクリュ4に伝達されるように配置したものを記載しているが、スクリュ部5に設けられた混練スクリュ4を駆動回転させる主電動機3に対して起動用減速機11を介して動力伝達可能に設けられている起動用電動機8と、主電動機3と起動用電動機8との間で動力伝達を自動的に切断するクラッチ部9とを備えた構成であれば、各機器の具体的配置は上記の配置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の起動装置を備えた混練押出機の正面図である。
【図2】クラッチ部の正面図及び断面図である。
【図3】第1実施形態の起動方法における運転手順を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態の起動装置を備えた混練押出機の正面図である。
【図5】第2実施形態の起動方法における運転手順を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の起動方法において回転速度による保護を併用した場合の運転手順を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態の起動装置を備えた混練押出機の正面図である。
【図8】第3実施形態の起動方法における運転手順を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態の起動装置を備えた混練押出機の正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 起動装置
2 混練押出機
3 主電動機
5 スクリュ部
4 混練スクリュ
6 主減速機
7 動力軸
8 起動用電動機
9 クラッチ部
10 保護手段
11 起動用減速機
12 動力伝達軸
13 上流側のクラッチ板
13A外輪体
14 下流側のクラッチ板
14A内輪体
15 上流側の爪部
16 下流側の爪部
17 上流側の爪部の垂直面
18 上流側の爪部の傾斜面
19 下流側の爪部の垂直面
20 下流側の爪部の傾斜面
21 レバー
22 速度検出部(第1速度検出部)
23 制御部
24 速度判定部
25 指示部
26 切断検知部
27 時間判定部
28 オーバーランニングクラッチ
29 切替構造
30 接続判定部
31 第2速度検出部
31A速度検出器
31B速度検出器
32 切断判定部
C 切断信号
R 回転速度
0 回転速度
T 時間
0 予め定められた時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュ部に設けられた混練スクリュを駆動回転させる主電動機に対して起動用減速機を介して動力伝達可能に設けられていると共に当該主電動機とは別に前記混練スクリュを駆動回転させる起動用電動機と、
前記主電動機と起動用電動機との間で動力伝達を自動的に切断するクラッチ部と、
前記クラッチ部で動力伝達が切断されなかった場合に前記主電動機を停止させる保護手段と、
を備えていることを特徴とする混練押出機の起動装置。
【請求項2】
前記保護手段は、前記クラッチ部と起動用電動機との間の動力伝達部材の回転速度を検出する速度検出部と、当該速度検出部により検出される前記動力伝達部材の回転速度に基づき前記主電動機を停止させる制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の混練押出機の起動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記速度検出部により検出された前記動力伝達部材の回転速度が予め定められた回転速度を超えたか否かを判定する速度判定部を備え、当該速度判定部において前記検出された回転速度が予め定められた回転速度を超えたと判定された場合に前記主電動機を停止させる構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の混練押出機の起動装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部において前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたと判定された場合に、前記速度検出部により検出された前記動力伝達部材の回転速度に基づいて前記クラッチ部で動力伝達が切断されたか否かを判断する切断判定部と、
前記切断判定部において前記切断が検知されていないと判断された場合に前記主電動機を停止させる構成とされている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の混練押出機の起動装置。
【請求項5】
前記保護手段は、前記クラッチ部による動力伝達の切断動作を検知する切断検知部を備えており、
前記制御部は、前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えても前記切断検知部で前記切断動作が検知されない場合に前記主電動機を停止させる構成とされている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混練押出機の起動装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部において前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えたと判定された場合に、前記切断検知部で前記切断動作が検知されているか否かを判断する接続判定部と、
前記接続判定部において前記切断動作が検知されていないと判断された場合に前記主電動機を停止させる構成とされている
ことを特徴とする請求項5に記載の混練押出機の起動装置。
【請求項7】
前記クラッチ部が爪型クラッチであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の混練押出機の起動装置。
【請求項8】
前記クラッチ部がオーバーランニングクラッチであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の混練押出機の起動装置。
【請求項9】
前記起動用電動機は、前記主電動機の動力軸を介して前記混練スクリュを駆動回転させる構成となっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の混練押出機の起動装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の起動装置を有することを特徴とする混練押出機。
【請求項11】
混練押出機のスクリュ部に設けられた混練スクリュを駆動回転させる主電動機を起動する際に、
前記主電動機と該主電動機に起動用減速機を介して動力伝達可能な起動用電動機との間の動力伝達を自動的に切断可能なクラッチ部により両者を接続し、
前記主電動機とは別に設けられた起動用電動機によって前記混練スクリュが回転可能であることを確認した後に前記主電動機を起動し、
前記クラッチ部によって動力伝達の切断が正常に行われているか否かを判断し、
前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断された場合に、前記主電動機を停止させる
ことを特徴とする混練押出機の起動方法。
【請求項12】
前記クラッチ部と起動用電動機との間の動力伝達部の回転速度が予め定められた回転速度を超えた場合に、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断することを特徴とする請求項11に記載の混練押出機の起動方法。
【請求項13】
前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間に達した場合に、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断することを特徴とする請求項11又は12に記載の混練押出機の起動方法。
【請求項14】
前記主電動機の起動からの時間が予め定められた時間を超えても、前記主電動機と起動用電動機との間に設けられたクラッチ部で動力伝達の切断動作が行われていない場合に、前記動力伝達の切断が正常に行われていないと判断することを特徴とする請求項11又は12に記載の混練押出機の起動方法。
【請求項15】
前記主電動機を起動する前に、前記主電動機とは別に設けられた起動用電動機によって、前記クラッチ部及び前記主電動機の動力軸を介して前記混練スクリュを予め加速することを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の混練押出機の起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−220486(P2009−220486A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69126(P2008−69126)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】