測定機器用架台
【課題】設置環境の温度変化による架台内部の温度影響を可及的に小さくすることである。
【解決手段】基板を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、前記測定機器が内部に配置される枠体3と、前記枠体3に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲む内面板61及びその内面板61との間に気体層を形成する外面板62からなる二重壁構造4と、を具備することを特徴とする。
【解決手段】基板を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、前記測定機器が内部に配置される枠体3と、前記枠体3に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲む内面板61及びその内面板61との間に気体層を形成する外面板62からなる二重壁構造4と、を具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台に関し、特に半導体基板等のワークの表面を測定するための測定機器に用いる架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程に用いられる半導体ウエハ膜厚測定装置等の半導体検査装置は、特許文献1に示すように、試料ステージに載置された半導体ウエハ(基板)に検査光を照射する照射光学系と、その半導体ウエハからの光を検出する検出光学系と、それらを内部に収容する測定機器用架台と、を備えている。
【0003】
そして、測定機器用架台は、前記試料ステージ及び光学系を保持するための基台と、当該基台に設けられ、前記試料ステージ及び光学系が内部に配置される枠体と、その枠体に設けられ、前記光学系を囲むパネルと、を備えている。基台には、照射光学系及び検出光学系が固定される共通のベース部材が固定されている。
【0004】
このような構成の半導体ウエハ膜厚測定装置の測定対象は、半導体ウエハ上に形成された、例えば100μm以下の回路であり、照射光学系及び検出光学系の位置関係には、高精度が要求されている。
【0005】
しかしながら、この測定機器用架台は、前記照射光学系及び検出光学系を外装パネルのみの一重で覆っている。そのため、光学系は、設置環境の温度(クリーンルームの室温)により直接的に影響を受けてしまい、サブミクロン〜ナノオーダーの測定精度が要求される半導体測定装置においては、設置環境の温度変化による光学系の温度影響を無視することができないという問題がある。
【0006】
具体的に、設置環境の温度が例えば2℃〜3℃変化した場合には、照射光学系及び検出光学系を保持しているベース部材が熱膨張等してしまい、照射光学系の位置がずれてしまい、結果、検査光の照射ポイントがずれてしまうという問題がある。
【0007】
また、照射光学系及び検出光学系に設けられたレンズなども熱変形してしまい、照射ポイントが正しくても、測定結果に誤差が生じてしまう等の問題がある。
【0008】
なお、フラットディスプレイや太陽電池等の製造工程における基板の測定に用いられる装置にも同様の問題がある。
【特許文献1】特開2000−321339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、設置環境の温度変化による架台内部の温度影響を可及的に小さくすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係る測定機器用架台は、基板を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、前記測定機器が内部に配置される枠体と、前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に気体層を有する二重壁構造と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、設置環境の温度変化に起因する装置架台内部の温度安定性への悪影響を抑制することができる。その結果、温度変化に基づく測定データのずれ、又は測定ポイントのずれ等の測定誤差を低減することができる。また、装置架台内部の温度安定性が向上するので、安価な温調機構を用いるだけで高精度な温調を実現することができる。
【0012】
前記枠体におけるメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に気体層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなることが特に望ましい。
【0013】
このようなものであれば、測定時には架台内部の温度安定性を維持しつつ、測定機器等のメンテナンス時には、パネル部材を枠体から取り外すだけで良いので、作業を容易にすることができる。
【0014】
パネル部材の具体的な実施の態様としては、前記パネル部材は、前記内面板又は前記外面板の一方が、一面が開口した箱状をなすものであり、前記内面板又は前記外面板の他方が、前記内面板又は外面板の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、それら開口を重ね合わせて、その一方を他方に収容することにより構成されていることを挙げることができる。
【0015】
特に、外面板の開口が内面板の開口よりも広く、当該外面板が内面板を収容するものであって、内面板の平板部に溶接された固定片に外面板の平板部を固定することにより、内面板及び外面板を重ね合わせて固定するものであることが望ましい。これならば、測定機器に面する内面板の内面への加工が不要であるので、発塵を防ぐことができる。
【0016】
前記枠体の上部に前記測定機器の上方から下方に送風を行う送風機構を設けていることが望ましい。これならば、側壁が二重壁構造であるうえ、測定機器に送風を行っているので、測定機器の温度安定性を一層向上させることができる。また、二重壁構造により温度安定性を確保することができるので、ファンの送風容量を大きくする必要が無く、安価且つ構成容易に実現することができる。
【0017】
熱放射による測定器用架台の内部と外部との間の熱の移動を防ぎ、測定機器の温度安定性をより向上させるには、前記二重壁構造が、熱放射による熱の移動を妨げる熱放射遮断部を具備したものであればよい。
【0018】
熱放射による測定器用架台の内部と外部との間の熱の移動を防ぐ具体的な実施の態様としては、前記熱放射遮断部が、前記二重壁構造の外部壁面に形成された鏡面を備えたものが挙げられる。このようなものであれば、測定器用架台の外部からの赤外線を含む光を反射することよって外部から内部への熱放射による熱が移動を防ぎ、測定器用架台の内部からの赤外線を含む光を反射することによって内部の熱が外部又は前記二重壁構造の内部の気体層への熱放射による熱の移動を防ぐことができる。従って、測定機器の温度安定性をさらに向上させることができる。
【0019】
最も好ましい実施の態様としては、前記熱放射遮断部がさらに、内部壁面に形成された鏡面を備えたものが挙げられる。このようなものであれば、外部壁面に形成された鏡面を透過した赤外線なども、反射して熱の移動を妨げることができる。
【0020】
二重壁構造の断熱効果をさらに向上させるには、前前記二重壁構造の内部を流れる前記気体層の温調を行う温度調節機構を具備したものであればよい。
【0021】
送風機構は外部から空気を取り込む必要を無くして、測定対象物の清浄度を保ち、測定機器の温度安定性を向上させるには、前記送風機構が送風した上方から下方へ流れる空気を再び前記送風機構に戻す回収流路を備えたものであればよい。
【0022】
また、本発明に係る測定機器用架台は、測定対象物を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、前記測定機器が内部に配置される枠体と、前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に断熱層を有する二重壁構造と、を備え、前記枠体のメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に断熱層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このように構成した本発明によれば、設置環境の温度変化による架台内部に配置された測定機器の温度影響を可及的に小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、本実施形態に係る測定機器用架台1の斜視図である。また、図2は、架台1の正面(メンテナンス面)の二重壁構造4Bを取り外した状態を示す斜視図であり、図3は、枠体3を主として示す背面斜視図であり、図4は、主として枠体3に内装パネル4A1を取りつけた状態を示す斜視図である。図5は、送風機構8からの気体流を示す架台1の模式的断面図である。図6は、枠体3及び二重壁構造4を示す断面図である。図7は、パネル部材6の正面斜視図であり、図8は、パネル部材6の背面斜視図である。図9は、パネル部材6の断面図であり、図10は、パネル部材6の組み立て分解図である。
【0025】
<装置構成>
【0026】
本実施形態に係る測定機器用架台1は、測定対象物である半導体ウエハWの表面の膜厚や異物、欠陥の有無などを検査する半導体検査装置に用いられるものである。
【0027】
具体的にこのものは、図1〜図6に示すように、照射光学系101、検出光学系102及び試料ステージ103等が載置される基台2と、当該基台2に設けられて、前記光学系101、102等が内部に配置される枠体3と、当該枠体3に設けられ、前記照射光学系101及び前記検出光学系102の少なくとも側方を囲み、内部に断熱層である空気層を有する二重壁構造4と、を備えている。
【0028】
以下各部2〜4について説明する。
【0029】
照射光学系101は、半導体ウエハWに斜め上方から検査光であるレーザ光を照射するものであり、レーザ光源、光ファイバ及びレンズ等を有する。
【0030】
検出光学系102は、検査光が照射された半導体ウエハWからの反射光及び/又は散乱光を検出するものであり、光検出器及びレンズ等を有する。
【0031】
これら照射光学系101及び検出光学系102は、予め決められた位置関係(相対位置が所定関係)となるように、共通のベース部材21に固定されている。このベース部材21は基台2上に固定されている。照射光学系101,検出光学系102及びベース部材21により測定機器が構成されている。
【0032】
試料ステージ103は、半導体ウエハWが載置され、その半導体ウエハWをXYZ方向に移動させるものであり、XY方向に移動させるXYステージ部と、Z方向に移動させるZステージ部と、を備えている。なお、XYZ方向に移動する1つのステージを用いても良いし、それぞれX、Y、Z方向に移動するステージを組み合わせたものであっても良い。
【0033】
枠体3は、特に図2及び図3等に示すように、直方体形状に構成された主枠体31と、その主枠体31に設けられ、主枠体31の少なくとも前後左右の開口部を複数に区画する副枠体32と、からなる。
【0034】
主枠体31は、基台2の基端部に固定され、矩形状を成す下枠311と、その下枠311の四つ角上面にそれぞれ立設された4本の支柱312と、その支柱312の上端部に横架されて形成された矩形状を成す上枠313と、からなる。
【0035】
副枠体32は、主枠体31の互いに隣接する支柱312に横架されて、主枠体31の開口を上下に分割する横梁321と、その横梁321及び主枠体31の下枠311又は上枠313に連結される縦梁322と、からなる。これにより、主枠体31の各面に形成された開口部は、概略格子状に区画される。
【0036】
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面に向かって右側には、照射光学系101及び検出光学系102などを操作等するための操作ユニット5が内蔵されている。
【0037】
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面に向かって左側面は、副枠体32により3つに区画されている(図3参照)。
【0038】
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面は、照射光学系101及び検出光学系102のほぼ全てを正面から視認可能な開口(以下、メンテナンス用開口部3Aという)が形成されている(図2参照)。具体的には、このメンテナンス用開口部3Aは、上枠313と、支柱312、横梁321及び縦梁322から形成されている。
【0039】
ここで、本実施形態におけるメンテナンス面とは、メンテナンスの際の架台内部への開口が設けられる面である。図2では、少なくとも測定機器である照射光学系101及び検出光学系102の調節部位RSに対向する面であり、本実施形態では、枠体3において、後述するポートPが設けられた背面と反対側の正面である。なお、調節部位RSに対向する面が複数あるときには、いずれか1つをメンテナンス面としても良い。
【0040】
二重壁構造4は、枠体3において、照射光学系101及び検出光学系102の少なくとも側方を囲むように設けられている。つまり、後述するポートPや窓などの二重壁以外の部分を除いて、測定機器である照射光学系101及び検出光学系102の側方を囲んでいる。そして、二重壁構造4は、照射光学系101及び検出光学系102の左側面及び背面に設けられる二重壁構造4Aと、照射光学系101及び検出光学系102の正面(メンテナンス面)に設けられる二重壁構造4Bとの構成が異なる。
【0041】
照射光学系101及び検出光学系102の左右側面及び背面に設けられる二重壁構造4Aは、内装パネル4A1及び外装パネル4A2から構成される。内装パネル4A1及び外装パネル4A2はそれぞれ独立して枠体3に取り付けられる。図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102のある空間と操作ユニット5(電気系)のある空間との間に二重壁構造4Aが形成されており、各光学系101、102は、外部の温度影響だけでなく、操作ユニット5(電気系)から受ける温度影響も可及的に小さくすることができる。
【0042】
内装パネル4A1は、図4及び図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102に対向して設けられる矩形状を成すものであり、枠体3の上枠313、支柱312、横梁321、縦梁322又は下枠311において、枠体3の開口部を形成する内面にねじ等によって固定される。
【0043】
そのため、内装パネル4A1の4辺には、上枠313、支柱312、横梁321、縦枠又は下枠311に取り付け固定するための取付部4A11が、その辺のほぼ全域に亘って起立して設けられている(図6の拡大図参照)。なお、図4においては、図中右上の内装パネル4A1の一部の取付部にのみ符号を付している。
【0044】
そして、枠体3に形成された複数の開口に嵌め込んで、取付部4A11を枠体3(枠体3を形成する各部材(上枠313、支柱312、横梁321、縦枠322又は下枠311))にねじ固定する。
【0045】
また、図4及び図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102の背面及び左右側面における上段等の内装パネル4A1は、外装パネル4A2をねじ固定するための固定部4A3が複数個設けられている。この固定部4A3は、断面略門形状を成すものであり、内装パネル4A1に上下方向に等間隔に設けられている。なお、図4においては、図中右上の内装パネル4A1の一部の固定部4A3にのみ符号を付している。
【0046】
外装パネル4A2は、内装パネル4A1との間に空気層を形成して、内装パネル4A1との関係で二重壁構造4Aを形成する矩形状を成すものである。
【0047】
外装パネル4A2には、内装パネル4A1に設けられた固定部4A3に固定されるものと、枠体3に固定されるものとがある。
【0048】
枠体3に固定される外装パネル4A2は、枠体3の内面に取り付けられた取付補助具33に取り付けられる。取付補助具33は、側面視において概略L字状をなすものである。また、外装パネル4A2には、枠体3への着脱操作を容易にするための取っ手が設けられている。
【0049】
なお、図4及び図5に示すように、照射光学系101及び検出光学系102の背面に設けられた二重壁構造4Aには、図示しない半導体ウエハ搬送装置により、搬送される半導体ウエハWが搬入出されるポートPが設けられている。
【0050】
照射光学系101及び検出光学系102の正面(メンテナンス面)、具体的には、枠体3のメンテナンス用開口部3Aに設けられた二重壁構造4Bは、枠体3に対して着脱可能な一体型のパネル部材6からなる。ここで、一体型とは、内壁及び外壁からなる二重壁構造4Bを有しており、枠体3に対して二重壁構造4Bを同時に着脱できるものをいう。
【0051】
このパネル部材6は、図7及び図8に示すように、矩形状を成すものであり、照射光学系101及び検出光学系102に対向する内面板61と、その内面板61との間に空気層を形成する外面板62と、を備えている。パネル部材6は、メンテナンス面以外の設けられた二重壁構造4Aよりも薄い構造としている。つまり、パネル部材6は、枠体3を形成する各部材(上枠313、支柱312、横梁321、縦枠322)の厚さよりも薄い構造である。これにより、パネル部材6を枠体3に取り付けたときに、パネル部材6が架台1内部に突き出す構造とはならず、架台1内部を流れる気体流を乱すことが無い。
【0052】
内面板61は、図9に示すように、矩形状の平板部611及びこの平板部611の四辺にそれぞれ立設された側壁部612によって形成された、上面が開口した箱状を成すものである。
【0053】
そして、内面板61の平板部611の外面板62と対向する面(内面)611aには、図8に示すように、外面板62を固定するための固定片63が等間隔に複数個設けられている。この固定片63は、断面略門形状を成すものであり、内面板61に溶接されている。また、内面板61と外面板62とを重ね合わせた状態において、固定片63の当接面63aが外面板62の内面621aに当接するように形成されている。その当接面63aには、外面板62をねじ固定するための貫通孔が形成されている。
【0054】
外面板62は、図8及び図9に示すように、内面板61の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、矩形状の平板部621及びこの平板部621の4片にそれぞれ立設された側壁部622及びその側壁部622の先端部から内側に延出した上壁部623により形成された、上面が開口した箱状を成すものである。
【0055】
また、外面板62の平板部621の内面板61と対向する面621aと反対面(外面)621bの中央部には、パネル部材6の着脱操作を容易にするために取っ手64が設けられている(図7等参照)。
【0056】
そして、図10に示すように、内面板61の開口及び外面板62の開口を重ね合わせて、内面板61を外面板62の内部に収容し、内面板61の固定片63に外面板62をねじ固定することにより一体型のパネル部材6が構成される。このとき、内面板61の側壁部612の先端面と外面板62の平板部内面621aとは接触するようにしている。つまり、固定片63の高さと内面板61の側壁部612の平板部611からの高さが同じとなるようにしている。
【0057】
また、本実施形態の測定機器用架台1は、パネル部材6を簡単に枠体3に取り付け、取り外しを行うための着脱機構7が設けられている。
【0058】
この着脱機構7は、図11に示すように、パネル部材6が取りつけられる横梁321に上方に延出して設けられた係止ピン71と、外面板62の下部側壁部622に設けられ、前記係合ピン71が嵌り込む係止孔72と、外面板62の平板部621の上部に、その平板部621に垂直に設けられ、平板部621に対して回転可能に取り付けられた係合凸部73と、上枠313に設けられ、前記係合凸部73に係合する被係合部74と、から構成される。
【0059】
係合凸部73は、外面板62の平板部621に垂直に取りつけられ、90度回転可能な回転軸731と、その回転軸731の先端部に取りつけられた係合片732とを備えている。そして、回転軸731が90度回転することにより、係合片732が被係合部74に係合する。また、被係合部74は、上枠313から下方に延出して設けられ、パネル部材6の取り付け位置を規定するガイド板である。また被係合部74は一方の面にパネル部材6と接触し、他方の面に係合凸部73の係合片732が接触する。このように、被係合部74の一方の面とパネル部材6とが面接触するようにして、外部からの光が入射しない遮光構造を構成している。
【0060】
このように構成した着脱機構7により、係合凸部73の回転軸731を90度回転させるだけでパネル部材6の着脱が可能となるので、パネル部材6の枠体3に対する着脱を極めて簡単に行うことができる。
【0061】
なお、係止ピン71、係止孔72、係合凸部73及び被係合部74の設ける部材は、上記に限定されず、それぞれ逆に設けるようにしても良い。
【0062】
このようにメンテナンス面は、他の面とは異なる設置方法でパネル部材6が枠体3に設けられる。
【0063】
このように構成したパネル部材6の着脱動作(メンテナンス用開口部3Aの開閉動作)について説明する。
【0064】
パネル部材6を取りつける動作(メンテナンス用開口部3Aの閉める動作)について説明する。先ず、メンテナンス用開口部3Aが開いている状態において、パネル部材6の取っ手64を持ち、外面板62の下側側壁部621に設けた係止孔72を横梁321に設けた係止ピン71に嵌め合わせて係止させる。そして、パネル部材6を支柱312又は縦梁322に当接させた後、外面板62に設けた係合凸部73を90度回転させて、上枠313に設けた被係合部74に係合させる。これにより、パネル部材6が枠体3に密着固定される。なお、パネル部材6メンテナンス用開口部3Aを開ける場合には、上記手順の反対の手順を行えば良い。
【0065】
また、本実施形態の測定機器用架台1は、特に図5に示すように、照射光学系101及び検出光学系102に送風を行い、それら光学系101、102の温調を行うための送風機構8と、その送風機構8からの気体流(風)を分配して、照射光学系101及び検出光学系102と半導体ウエハWとに送風を行う流量分配構造9と、を備えている。
【0066】
送風機構8は、測定機器用架台1の外部に設けられた外部温調機(図示しない)からの温度調節された空気を洗浄化して、測定機器用架台1内部に吹き出すクリーンファンである。この送風機構8は、枠体3の上部に設けられ、照射光学系101及び検出光学系102に上方から下方に送風を行うものである。
【0067】
流量分配構造9は、1つの送風機構8からの1つのまとまった風を2つに分流する分流機構を備え、当該分流機構により分流された一方の流れを照射光学系101及び検出光学系102に当てるとともに、他方の流れを流速を上げて半導体ウエハWに一方向の側方から当てるものである。
【0068】
具体的には、流量分配構造9は、図5に示すように、送風機構8と、照射光学系101及び検出光学系102との間に介在して設けられ、送風機構8からの風を導入する導入口9aと、当該導入口9aから入ってきた気体流を二分する分流機構としての分流板9aと、当該分流板9bにより分流された一方の流れをそのまま照射光学系101及び検出光学系102に導く第1流路9cと、分流板9bにより分流された他方の流れを、その流速を大きくして半導体ウエハWに導く第2流路9dと、を備えている。
【0069】
分流板9aは、導入口9aから入ってきた気体流の流れに沿って設けられている。
【0070】
第一流路9cは、その断面積が同一であり、前記分流板9bをその側周壁の一部として形成された矩形状をなすものである。その出口は、照射光学系101及び検出光学系102の上方で開口している。
【0071】
第2流路9dは、その断面積が連続的又は段階的に狭まるものであり、前記分流板9bをその側周壁の一部として形成された側面視概略L字形状をなすものである。具体的には、第2流路9dは、枠体2の長手方向に沿って設けられ、メンテナンス面に向かって気体流を流すものである。つまり、第2流路9dは、ベース部材21の背面において、内装パネル4A1に沿って設けられ、その出口は、半導体ウエハWの斜め上方で開口している。このように第2流路9dは、その断面積が連続的又は段階的に狭まっているので、流速を上げることができる。また、長手方向に沿って設けられているので、短手方向に気体流を送る場合、効率よく気体流を当てることができる。例えば長手方向に直交する方向に沿って設けた場合において、長手方向に気体流を送る場合、第2流路9の出口から半導体ウエハWまでの距離が長くなってしまい、充分な気体流を送ることができないという問題がある。
【0072】
また、メンテナンス面に向かって流すことで、第2流路9d及び流れ方向制御板10がメンテナンス面以外に設けられるので、メンテナンスの際に邪魔にならない。
【0073】
第1流路9c及び第2流路9dは、分流板9bを介して並列に連続して設けられており、流量分配構造9は、全体として側面視概略L字形状をなす中空長尺体である。
【0074】
そして、測定機器用架台1は、図5に示すように、前記流量分配構造9からの他方の分流の流れ方向を制御する流れ方向制御板10をさらに備えている。
【0075】
この流れ方向制御板10は、第2流路9dからの流れを半導体ウエハWにより一層効率よく当てるために、第2流路9dからの流れの方向を半導体ウエハW側に向けるものであり、流量分配構造9と半導体ウエハWとの間において、第2流路9dの出口の下流に設けられている。
【0076】
より詳細には、流れ方向制御板10は、断面V字状を成す長尺体であり、逆V字となるように、その一方の側板が枠体3の縦梁322に固定されている。これにより、他方の側板が、流量分配構造9の第2流路9dの出口及び半導体ウエハWの両方に面することになる。
【0077】
また、枠体3の下端及び基台2の間には、間隙Hが設けられている。この間隙Hは、図5に示すように、基台2の正面を通過した気体流を外部に流出する間隙H1と、基台2の背面を通過した気体流を外部に流出する間隙H2とがある。基台2正面の間隙H1は、基台2背面の間隙H2よりも大きくしている。これにより、基台2の正面を通過する気体流の流量を基台2の背面を通過する気体流の流量よりも大きくすることができ、基台2の後ろから前に気体流を流すことできる。つまり、第2流路9dからの気体流を確実に半導体ウエハWに当てることができる。各間隙H1、H2の大きさは、上方への乱流を防止するように、適宜設定することができる。
【0078】
このように、架台1下部に間隙Hを設けているので、上方へ向かう乱流の発生を防ぎ、発塵を防ぐことができる。
【0079】
<本実施形態の効果>
【0080】
このように構成した本実施形態に係る測定機器用架台1によれば、設置環境の温度変化に起因する装置架台1内部の温度安定性への悪影響を抑制することができる。その結果、温度変化に基づく測定データのずれ、又は測定ポイントのずれ等の測定誤差を低減することができる。また、装置架台1内部の温度安定性が向上するので、簡単かつ安価な送風機構8を用いることによっても高精度な温調を実現することができる。
【0081】
また、メンテナンス用開口部3Aを一体型のパネル部材6とし、そのパネル部材6を枠体3から取り外すだけで良いので、測定時には架台1内部の温度安定性を維持しつつ、メンテナンスの作業容易性を向上させることができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、メンテナンス用開口部3Aのみを一体型のパネル部材6とし、その他の二重壁構造4Aは、内装パネル4A1及び外装パネル4A2より形成しているので、コストを低減することができる。
【0083】
その上、内面板61及び外面板62、又は内装パネル4A1及び外装パネル4A2により極めて簡単に断熱層である空気層を形成することができる。
【0084】
さらに、二重壁構造である上、さらに送風機構8を用いて送風を行っているので、照射光学系101及び検出光学系102の温調を確実に行うことができる。また、上方から下方に送風を行いつつも、半導体ウエハWには、側方から送風を行っているので、半導体ウエハW上の塵等を除去することができる。
【0085】
<その他の変形実施形態>
【0086】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0087】
例えば、前記実施形態では、メンテナンス用開口部3Aのみを、一体型のパネル部材6により二重壁構造を構成しているが、その他の面も同様に一体型のパネル部材6を用いて二重壁構造としても良い。
【0088】
また、前記実施形態では、クリーンファン8が設けられている上面及び光学系101、102に温度影響を与えにくいと考えられる下面には、二重壁構造を形成していないが、上面及び下面に二重壁構造を形成するようにしても良い。これならば、一層温度安定性を向上させることができる。
【0089】
さらに、パネル部材6は、二枚のパネルを間に矩形状の枠を挟み込んで固定することにより構成するようにしても良い。
【0090】
その上、前記実施形態では、流れ方向制御板10を照射光学系101及び検出光学系102を固定しているベース部材21の背面に設けるようにしているが、照射光学系101及び検出光学系102の前方に設けるようにしても良い。この場合、光学系前方の枠体3には、パネル部材6が着脱されるので、流れ方向制御板10をパネル部材6に設けるようにしても良いし、枠体3に設けるようにしても良い。
【0091】
加えて、流量分配構造9は、第2流路9dのみを有するものであっても良い。つまり、流量分配構造9は、送風機構8からの気体流の一部を導入する導入口9aと、その導入口9aに連なる第2流路9dとを備えている。第2流路9dは、前記実施形態と同様に、下流に行くに従って連続的又は段階的に断面積が狭まるものである。
【0092】
また、流れ方向制御板10の形状としては、断面V字状を成す長尺体に限られず、その他の形状であっても良い。具体的には、架台1内部の照射光学系101、検出光学系102及び半導体ウエハWが載置される試料ステージ103の位置関係に応じて、最適な形状とすることができる。
【0093】
また、図12に示すように、温調した空気を架台1の上部に設けられた送風機構8から二重壁構造内に送り込むようにし、気体層が二重壁構造内を流れるように構成することも考えられる。この場合、元々温調されている空気を送風機構8から分流させて二重壁構造内に送り込むことができるので、新たに送風機構8や温調機構を設ける必要がなく、コストアップを招く事無くさらに架台内部の温調をより行いやすくなる。また、別の送風機構を設けて二重壁構造内に温調した空気を送り込むようにしても構わない。この場合でも、架台内部の温調をより行いやすくなる。加えて、二重壁構造内の気体層を温調するようにしても良い。具体的には、二重壁構造内を流れる気体層の温調を行う温度調節機構として内パネルに温調ヒータを取り付けることが挙げられる。このようにすれば、外部の温度影響をより受けにくくすることができる。また、二重壁構造内の気体層が流れることにより二重壁構造内が負圧に形成されて、例えば、搬送機構から出た陽圧の気体流を吸い込み、測定対象物の搬入出を行うポートから気体流が架台内に流入するのを防ぐようにもできる。さらに、送風機構8により架台上部から流れてくる空気を利用して、その空気を二重壁構造内に送り込むようにしても良い。このように気体層を温調するようにすれば、架台内の温度安定性を向上させることができる。
【0094】
また、送風機構8が送風した上方から下方へ流れる空気を再び送風機構8に戻すように構成した回収流路を備えていても構わない。例えば、図13に示すように架台上部から架台下部に送風した空気を回収流路として二重壁構造4の気体層を通した後に、再び送風機構8に戻すように循環させても良い。このようにすれば、送風機構は外部から空気を取り込む必要を無くして、測定対象物の清浄度を保ち、架台内の温度安定性を向上させるとともに、送風機構8の容量を小さくすることができコストを削減の一助とすることができる。
【0095】
さらに、前記実施形態では、枠体3の正面がメンテナンス面であったが、メンテナンス面をポートPが設けられた面(背面)以外の面としても良い。
【0096】
ポートPは、通常試料ステージ103までの搬送距離が最も短くなる面に設けられる。従って、ポートPは架台1の長手方向の面に設けられて、短手方向から半導体ウエハWが搬送される。そして、残りの面の何れかにメンテナンス面が設けられるが、メンテナンス面が広いほど測定機器等のメンテナンスが行いやすいため、長手方向の面に設けられることが多い。従って、通常メンテナンス面はポートPに対向する面に設けられることが多い。
【0097】
また、前記実施形態では、測定機器を囲む側壁のそれぞれが二重壁構造4を有しているが、側壁が上下方向に多段に分かれている場合には、水平方向において測定機器が含まれる位置(高さ)にある側壁のみが二重壁構造を有するものであっても良い。
【0098】
前記実施形態の測定機器は、半導体ウエハに検査光を照射して、その半導体ウエハから生じる光を検出するものであったが、その他、例えば原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)等であっても良い。
【0099】
測定対象物としては、半導体ウエハWの他に、ディスプレイ用ガラス基板、又はシリコン基板などの太陽電池用基板などの基板を測定するものであっても良い。
【0100】
また、二重壁構造4の断熱層は、空気層の他に、断熱材を充填して構成しても良いし、空気の他の気体により構成しても良い。
【0101】
さらに、前記実施形態では、他方の流れをメンテナンス面に向かうように流したが、逆に、他方の流れをメンテナンス面からその対向する面に向かって流しても良い。
【0102】
加えて、図14に示すように、二重壁構造4の外部壁面OSと内部壁面INの4面を鏡面にしても構わない。このようにすれば、測定器用架台1の外部から内部へ向かう赤外線を反射して、赤外線による測定器用架台1の内部での温度の上昇を防ぐことができ、内部から外部へと向かう赤外線を反射して、内部から外部への熱の散逸を防ぎ、温度を一定に保つことができる。従って、測定機器の温度安定性を更に向上させることができる。また、温度安定性が向上するので、送風機構8に容量の大きいものを用いなくても、一定温度に保てるようになり、コストダウンの一助とすることができる。
【0103】
また、二重壁構造4の外壁面OSだけを鏡面にしても構わない。この場合でも、赤外線による温度変化を防ぐことができ、さらに鏡面にする面が少ないので、製造コストを抑えることができる。さらに、外部壁面の両方を鏡面とし、内部壁面の一方だけを鏡面としても構わない。
【0104】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本実施形態に係る測定機器用架台の斜視図。
【図2】同実施形態における架台正面の二重壁構造を取り外した状態を示す斜視図。
【図3】同実施形態における枠体を主として示す背面斜視図。
【図4】同実施形態における主として内装パネルを取り付けた状態を示す斜視図。
【図5】同実施形態における送風機構からの気体流を示す模式的断面図。
【図6】同実施形態における枠体及び二重壁構造を示す断面図。
【図7】同実施形態におけるパネル部材の正面斜視図。
【図8】同実施形態におけるパネル部材の背面斜視図。
【図9】同実施形態におけるパネル部材の断面図。
【図10】同実施形態におけるパネル部材の組み立て分解図。
【図11】同実施形態における着脱機構を示す模式的断面図。
【図12】別の実施形態に係る二重壁構造内部の気体層の流れを示す模式的断面図。
【図13】さらに別の実施形態に係る二重壁構造内部の気体層の流れを示す模式的断面図。
【図14】異なる実施形態に係る二重壁構造の模式的拡大図。
【符号の説明】
【0106】
1 ・・・測定機器用架台
W ・・・測定対象物
101・・・照射光学系
102・・・検出光学系
3 ・・・枠体
4 ・・・二重壁構造
6 ・・・パネル部材
4A1・・・内装パネル
4A2・・・外装パネル
61 ・・・内面板
62 ・・・外面板
8 ・・・送風機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台に関し、特に半導体基板等のワークの表面を測定するための測定機器に用いる架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程に用いられる半導体ウエハ膜厚測定装置等の半導体検査装置は、特許文献1に示すように、試料ステージに載置された半導体ウエハ(基板)に検査光を照射する照射光学系と、その半導体ウエハからの光を検出する検出光学系と、それらを内部に収容する測定機器用架台と、を備えている。
【0003】
そして、測定機器用架台は、前記試料ステージ及び光学系を保持するための基台と、当該基台に設けられ、前記試料ステージ及び光学系が内部に配置される枠体と、その枠体に設けられ、前記光学系を囲むパネルと、を備えている。基台には、照射光学系及び検出光学系が固定される共通のベース部材が固定されている。
【0004】
このような構成の半導体ウエハ膜厚測定装置の測定対象は、半導体ウエハ上に形成された、例えば100μm以下の回路であり、照射光学系及び検出光学系の位置関係には、高精度が要求されている。
【0005】
しかしながら、この測定機器用架台は、前記照射光学系及び検出光学系を外装パネルのみの一重で覆っている。そのため、光学系は、設置環境の温度(クリーンルームの室温)により直接的に影響を受けてしまい、サブミクロン〜ナノオーダーの測定精度が要求される半導体測定装置においては、設置環境の温度変化による光学系の温度影響を無視することができないという問題がある。
【0006】
具体的に、設置環境の温度が例えば2℃〜3℃変化した場合には、照射光学系及び検出光学系を保持しているベース部材が熱膨張等してしまい、照射光学系の位置がずれてしまい、結果、検査光の照射ポイントがずれてしまうという問題がある。
【0007】
また、照射光学系及び検出光学系に設けられたレンズなども熱変形してしまい、照射ポイントが正しくても、測定結果に誤差が生じてしまう等の問題がある。
【0008】
なお、フラットディスプレイや太陽電池等の製造工程における基板の測定に用いられる装置にも同様の問題がある。
【特許文献1】特開2000−321339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、設置環境の温度変化による架台内部の温度影響を可及的に小さくすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係る測定機器用架台は、基板を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、前記測定機器が内部に配置される枠体と、前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に気体層を有する二重壁構造と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、設置環境の温度変化に起因する装置架台内部の温度安定性への悪影響を抑制することができる。その結果、温度変化に基づく測定データのずれ、又は測定ポイントのずれ等の測定誤差を低減することができる。また、装置架台内部の温度安定性が向上するので、安価な温調機構を用いるだけで高精度な温調を実現することができる。
【0012】
前記枠体におけるメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に気体層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなることが特に望ましい。
【0013】
このようなものであれば、測定時には架台内部の温度安定性を維持しつつ、測定機器等のメンテナンス時には、パネル部材を枠体から取り外すだけで良いので、作業を容易にすることができる。
【0014】
パネル部材の具体的な実施の態様としては、前記パネル部材は、前記内面板又は前記外面板の一方が、一面が開口した箱状をなすものであり、前記内面板又は前記外面板の他方が、前記内面板又は外面板の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、それら開口を重ね合わせて、その一方を他方に収容することにより構成されていることを挙げることができる。
【0015】
特に、外面板の開口が内面板の開口よりも広く、当該外面板が内面板を収容するものであって、内面板の平板部に溶接された固定片に外面板の平板部を固定することにより、内面板及び外面板を重ね合わせて固定するものであることが望ましい。これならば、測定機器に面する内面板の内面への加工が不要であるので、発塵を防ぐことができる。
【0016】
前記枠体の上部に前記測定機器の上方から下方に送風を行う送風機構を設けていることが望ましい。これならば、側壁が二重壁構造であるうえ、測定機器に送風を行っているので、測定機器の温度安定性を一層向上させることができる。また、二重壁構造により温度安定性を確保することができるので、ファンの送風容量を大きくする必要が無く、安価且つ構成容易に実現することができる。
【0017】
熱放射による測定器用架台の内部と外部との間の熱の移動を防ぎ、測定機器の温度安定性をより向上させるには、前記二重壁構造が、熱放射による熱の移動を妨げる熱放射遮断部を具備したものであればよい。
【0018】
熱放射による測定器用架台の内部と外部との間の熱の移動を防ぐ具体的な実施の態様としては、前記熱放射遮断部が、前記二重壁構造の外部壁面に形成された鏡面を備えたものが挙げられる。このようなものであれば、測定器用架台の外部からの赤外線を含む光を反射することよって外部から内部への熱放射による熱が移動を防ぎ、測定器用架台の内部からの赤外線を含む光を反射することによって内部の熱が外部又は前記二重壁構造の内部の気体層への熱放射による熱の移動を防ぐことができる。従って、測定機器の温度安定性をさらに向上させることができる。
【0019】
最も好ましい実施の態様としては、前記熱放射遮断部がさらに、内部壁面に形成された鏡面を備えたものが挙げられる。このようなものであれば、外部壁面に形成された鏡面を透過した赤外線なども、反射して熱の移動を妨げることができる。
【0020】
二重壁構造の断熱効果をさらに向上させるには、前前記二重壁構造の内部を流れる前記気体層の温調を行う温度調節機構を具備したものであればよい。
【0021】
送風機構は外部から空気を取り込む必要を無くして、測定対象物の清浄度を保ち、測定機器の温度安定性を向上させるには、前記送風機構が送風した上方から下方へ流れる空気を再び前記送風機構に戻す回収流路を備えたものであればよい。
【0022】
また、本発明に係る測定機器用架台は、測定対象物を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、前記測定機器が内部に配置される枠体と、前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に断熱層を有する二重壁構造と、を備え、前記枠体のメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に断熱層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このように構成した本発明によれば、設置環境の温度変化による架台内部に配置された測定機器の温度影響を可及的に小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、本実施形態に係る測定機器用架台1の斜視図である。また、図2は、架台1の正面(メンテナンス面)の二重壁構造4Bを取り外した状態を示す斜視図であり、図3は、枠体3を主として示す背面斜視図であり、図4は、主として枠体3に内装パネル4A1を取りつけた状態を示す斜視図である。図5は、送風機構8からの気体流を示す架台1の模式的断面図である。図6は、枠体3及び二重壁構造4を示す断面図である。図7は、パネル部材6の正面斜視図であり、図8は、パネル部材6の背面斜視図である。図9は、パネル部材6の断面図であり、図10は、パネル部材6の組み立て分解図である。
【0025】
<装置構成>
【0026】
本実施形態に係る測定機器用架台1は、測定対象物である半導体ウエハWの表面の膜厚や異物、欠陥の有無などを検査する半導体検査装置に用いられるものである。
【0027】
具体的にこのものは、図1〜図6に示すように、照射光学系101、検出光学系102及び試料ステージ103等が載置される基台2と、当該基台2に設けられて、前記光学系101、102等が内部に配置される枠体3と、当該枠体3に設けられ、前記照射光学系101及び前記検出光学系102の少なくとも側方を囲み、内部に断熱層である空気層を有する二重壁構造4と、を備えている。
【0028】
以下各部2〜4について説明する。
【0029】
照射光学系101は、半導体ウエハWに斜め上方から検査光であるレーザ光を照射するものであり、レーザ光源、光ファイバ及びレンズ等を有する。
【0030】
検出光学系102は、検査光が照射された半導体ウエハWからの反射光及び/又は散乱光を検出するものであり、光検出器及びレンズ等を有する。
【0031】
これら照射光学系101及び検出光学系102は、予め決められた位置関係(相対位置が所定関係)となるように、共通のベース部材21に固定されている。このベース部材21は基台2上に固定されている。照射光学系101,検出光学系102及びベース部材21により測定機器が構成されている。
【0032】
試料ステージ103は、半導体ウエハWが載置され、その半導体ウエハWをXYZ方向に移動させるものであり、XY方向に移動させるXYステージ部と、Z方向に移動させるZステージ部と、を備えている。なお、XYZ方向に移動する1つのステージを用いても良いし、それぞれX、Y、Z方向に移動するステージを組み合わせたものであっても良い。
【0033】
枠体3は、特に図2及び図3等に示すように、直方体形状に構成された主枠体31と、その主枠体31に設けられ、主枠体31の少なくとも前後左右の開口部を複数に区画する副枠体32と、からなる。
【0034】
主枠体31は、基台2の基端部に固定され、矩形状を成す下枠311と、その下枠311の四つ角上面にそれぞれ立設された4本の支柱312と、その支柱312の上端部に横架されて形成された矩形状を成す上枠313と、からなる。
【0035】
副枠体32は、主枠体31の互いに隣接する支柱312に横架されて、主枠体31の開口を上下に分割する横梁321と、その横梁321及び主枠体31の下枠311又は上枠313に連結される縦梁322と、からなる。これにより、主枠体31の各面に形成された開口部は、概略格子状に区画される。
【0036】
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面に向かって右側には、照射光学系101及び検出光学系102などを操作等するための操作ユニット5が内蔵されている。
【0037】
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面に向かって左側面は、副枠体32により3つに区画されている(図3参照)。
【0038】
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面は、照射光学系101及び検出光学系102のほぼ全てを正面から視認可能な開口(以下、メンテナンス用開口部3Aという)が形成されている(図2参照)。具体的には、このメンテナンス用開口部3Aは、上枠313と、支柱312、横梁321及び縦梁322から形成されている。
【0039】
ここで、本実施形態におけるメンテナンス面とは、メンテナンスの際の架台内部への開口が設けられる面である。図2では、少なくとも測定機器である照射光学系101及び検出光学系102の調節部位RSに対向する面であり、本実施形態では、枠体3において、後述するポートPが設けられた背面と反対側の正面である。なお、調節部位RSに対向する面が複数あるときには、いずれか1つをメンテナンス面としても良い。
【0040】
二重壁構造4は、枠体3において、照射光学系101及び検出光学系102の少なくとも側方を囲むように設けられている。つまり、後述するポートPや窓などの二重壁以外の部分を除いて、測定機器である照射光学系101及び検出光学系102の側方を囲んでいる。そして、二重壁構造4は、照射光学系101及び検出光学系102の左側面及び背面に設けられる二重壁構造4Aと、照射光学系101及び検出光学系102の正面(メンテナンス面)に設けられる二重壁構造4Bとの構成が異なる。
【0041】
照射光学系101及び検出光学系102の左右側面及び背面に設けられる二重壁構造4Aは、内装パネル4A1及び外装パネル4A2から構成される。内装パネル4A1及び外装パネル4A2はそれぞれ独立して枠体3に取り付けられる。図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102のある空間と操作ユニット5(電気系)のある空間との間に二重壁構造4Aが形成されており、各光学系101、102は、外部の温度影響だけでなく、操作ユニット5(電気系)から受ける温度影響も可及的に小さくすることができる。
【0042】
内装パネル4A1は、図4及び図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102に対向して設けられる矩形状を成すものであり、枠体3の上枠313、支柱312、横梁321、縦梁322又は下枠311において、枠体3の開口部を形成する内面にねじ等によって固定される。
【0043】
そのため、内装パネル4A1の4辺には、上枠313、支柱312、横梁321、縦枠又は下枠311に取り付け固定するための取付部4A11が、その辺のほぼ全域に亘って起立して設けられている(図6の拡大図参照)。なお、図4においては、図中右上の内装パネル4A1の一部の取付部にのみ符号を付している。
【0044】
そして、枠体3に形成された複数の開口に嵌め込んで、取付部4A11を枠体3(枠体3を形成する各部材(上枠313、支柱312、横梁321、縦枠322又は下枠311))にねじ固定する。
【0045】
また、図4及び図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102の背面及び左右側面における上段等の内装パネル4A1は、外装パネル4A2をねじ固定するための固定部4A3が複数個設けられている。この固定部4A3は、断面略門形状を成すものであり、内装パネル4A1に上下方向に等間隔に設けられている。なお、図4においては、図中右上の内装パネル4A1の一部の固定部4A3にのみ符号を付している。
【0046】
外装パネル4A2は、内装パネル4A1との間に空気層を形成して、内装パネル4A1との関係で二重壁構造4Aを形成する矩形状を成すものである。
【0047】
外装パネル4A2には、内装パネル4A1に設けられた固定部4A3に固定されるものと、枠体3に固定されるものとがある。
【0048】
枠体3に固定される外装パネル4A2は、枠体3の内面に取り付けられた取付補助具33に取り付けられる。取付補助具33は、側面視において概略L字状をなすものである。また、外装パネル4A2には、枠体3への着脱操作を容易にするための取っ手が設けられている。
【0049】
なお、図4及び図5に示すように、照射光学系101及び検出光学系102の背面に設けられた二重壁構造4Aには、図示しない半導体ウエハ搬送装置により、搬送される半導体ウエハWが搬入出されるポートPが設けられている。
【0050】
照射光学系101及び検出光学系102の正面(メンテナンス面)、具体的には、枠体3のメンテナンス用開口部3Aに設けられた二重壁構造4Bは、枠体3に対して着脱可能な一体型のパネル部材6からなる。ここで、一体型とは、内壁及び外壁からなる二重壁構造4Bを有しており、枠体3に対して二重壁構造4Bを同時に着脱できるものをいう。
【0051】
このパネル部材6は、図7及び図8に示すように、矩形状を成すものであり、照射光学系101及び検出光学系102に対向する内面板61と、その内面板61との間に空気層を形成する外面板62と、を備えている。パネル部材6は、メンテナンス面以外の設けられた二重壁構造4Aよりも薄い構造としている。つまり、パネル部材6は、枠体3を形成する各部材(上枠313、支柱312、横梁321、縦枠322)の厚さよりも薄い構造である。これにより、パネル部材6を枠体3に取り付けたときに、パネル部材6が架台1内部に突き出す構造とはならず、架台1内部を流れる気体流を乱すことが無い。
【0052】
内面板61は、図9に示すように、矩形状の平板部611及びこの平板部611の四辺にそれぞれ立設された側壁部612によって形成された、上面が開口した箱状を成すものである。
【0053】
そして、内面板61の平板部611の外面板62と対向する面(内面)611aには、図8に示すように、外面板62を固定するための固定片63が等間隔に複数個設けられている。この固定片63は、断面略門形状を成すものであり、内面板61に溶接されている。また、内面板61と外面板62とを重ね合わせた状態において、固定片63の当接面63aが外面板62の内面621aに当接するように形成されている。その当接面63aには、外面板62をねじ固定するための貫通孔が形成されている。
【0054】
外面板62は、図8及び図9に示すように、内面板61の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、矩形状の平板部621及びこの平板部621の4片にそれぞれ立設された側壁部622及びその側壁部622の先端部から内側に延出した上壁部623により形成された、上面が開口した箱状を成すものである。
【0055】
また、外面板62の平板部621の内面板61と対向する面621aと反対面(外面)621bの中央部には、パネル部材6の着脱操作を容易にするために取っ手64が設けられている(図7等参照)。
【0056】
そして、図10に示すように、内面板61の開口及び外面板62の開口を重ね合わせて、内面板61を外面板62の内部に収容し、内面板61の固定片63に外面板62をねじ固定することにより一体型のパネル部材6が構成される。このとき、内面板61の側壁部612の先端面と外面板62の平板部内面621aとは接触するようにしている。つまり、固定片63の高さと内面板61の側壁部612の平板部611からの高さが同じとなるようにしている。
【0057】
また、本実施形態の測定機器用架台1は、パネル部材6を簡単に枠体3に取り付け、取り外しを行うための着脱機構7が設けられている。
【0058】
この着脱機構7は、図11に示すように、パネル部材6が取りつけられる横梁321に上方に延出して設けられた係止ピン71と、外面板62の下部側壁部622に設けられ、前記係合ピン71が嵌り込む係止孔72と、外面板62の平板部621の上部に、その平板部621に垂直に設けられ、平板部621に対して回転可能に取り付けられた係合凸部73と、上枠313に設けられ、前記係合凸部73に係合する被係合部74と、から構成される。
【0059】
係合凸部73は、外面板62の平板部621に垂直に取りつけられ、90度回転可能な回転軸731と、その回転軸731の先端部に取りつけられた係合片732とを備えている。そして、回転軸731が90度回転することにより、係合片732が被係合部74に係合する。また、被係合部74は、上枠313から下方に延出して設けられ、パネル部材6の取り付け位置を規定するガイド板である。また被係合部74は一方の面にパネル部材6と接触し、他方の面に係合凸部73の係合片732が接触する。このように、被係合部74の一方の面とパネル部材6とが面接触するようにして、外部からの光が入射しない遮光構造を構成している。
【0060】
このように構成した着脱機構7により、係合凸部73の回転軸731を90度回転させるだけでパネル部材6の着脱が可能となるので、パネル部材6の枠体3に対する着脱を極めて簡単に行うことができる。
【0061】
なお、係止ピン71、係止孔72、係合凸部73及び被係合部74の設ける部材は、上記に限定されず、それぞれ逆に設けるようにしても良い。
【0062】
このようにメンテナンス面は、他の面とは異なる設置方法でパネル部材6が枠体3に設けられる。
【0063】
このように構成したパネル部材6の着脱動作(メンテナンス用開口部3Aの開閉動作)について説明する。
【0064】
パネル部材6を取りつける動作(メンテナンス用開口部3Aの閉める動作)について説明する。先ず、メンテナンス用開口部3Aが開いている状態において、パネル部材6の取っ手64を持ち、外面板62の下側側壁部621に設けた係止孔72を横梁321に設けた係止ピン71に嵌め合わせて係止させる。そして、パネル部材6を支柱312又は縦梁322に当接させた後、外面板62に設けた係合凸部73を90度回転させて、上枠313に設けた被係合部74に係合させる。これにより、パネル部材6が枠体3に密着固定される。なお、パネル部材6メンテナンス用開口部3Aを開ける場合には、上記手順の反対の手順を行えば良い。
【0065】
また、本実施形態の測定機器用架台1は、特に図5に示すように、照射光学系101及び検出光学系102に送風を行い、それら光学系101、102の温調を行うための送風機構8と、その送風機構8からの気体流(風)を分配して、照射光学系101及び検出光学系102と半導体ウエハWとに送風を行う流量分配構造9と、を備えている。
【0066】
送風機構8は、測定機器用架台1の外部に設けられた外部温調機(図示しない)からの温度調節された空気を洗浄化して、測定機器用架台1内部に吹き出すクリーンファンである。この送風機構8は、枠体3の上部に設けられ、照射光学系101及び検出光学系102に上方から下方に送風を行うものである。
【0067】
流量分配構造9は、1つの送風機構8からの1つのまとまった風を2つに分流する分流機構を備え、当該分流機構により分流された一方の流れを照射光学系101及び検出光学系102に当てるとともに、他方の流れを流速を上げて半導体ウエハWに一方向の側方から当てるものである。
【0068】
具体的には、流量分配構造9は、図5に示すように、送風機構8と、照射光学系101及び検出光学系102との間に介在して設けられ、送風機構8からの風を導入する導入口9aと、当該導入口9aから入ってきた気体流を二分する分流機構としての分流板9aと、当該分流板9bにより分流された一方の流れをそのまま照射光学系101及び検出光学系102に導く第1流路9cと、分流板9bにより分流された他方の流れを、その流速を大きくして半導体ウエハWに導く第2流路9dと、を備えている。
【0069】
分流板9aは、導入口9aから入ってきた気体流の流れに沿って設けられている。
【0070】
第一流路9cは、その断面積が同一であり、前記分流板9bをその側周壁の一部として形成された矩形状をなすものである。その出口は、照射光学系101及び検出光学系102の上方で開口している。
【0071】
第2流路9dは、その断面積が連続的又は段階的に狭まるものであり、前記分流板9bをその側周壁の一部として形成された側面視概略L字形状をなすものである。具体的には、第2流路9dは、枠体2の長手方向に沿って設けられ、メンテナンス面に向かって気体流を流すものである。つまり、第2流路9dは、ベース部材21の背面において、内装パネル4A1に沿って設けられ、その出口は、半導体ウエハWの斜め上方で開口している。このように第2流路9dは、その断面積が連続的又は段階的に狭まっているので、流速を上げることができる。また、長手方向に沿って設けられているので、短手方向に気体流を送る場合、効率よく気体流を当てることができる。例えば長手方向に直交する方向に沿って設けた場合において、長手方向に気体流を送る場合、第2流路9の出口から半導体ウエハWまでの距離が長くなってしまい、充分な気体流を送ることができないという問題がある。
【0072】
また、メンテナンス面に向かって流すことで、第2流路9d及び流れ方向制御板10がメンテナンス面以外に設けられるので、メンテナンスの際に邪魔にならない。
【0073】
第1流路9c及び第2流路9dは、分流板9bを介して並列に連続して設けられており、流量分配構造9は、全体として側面視概略L字形状をなす中空長尺体である。
【0074】
そして、測定機器用架台1は、図5に示すように、前記流量分配構造9からの他方の分流の流れ方向を制御する流れ方向制御板10をさらに備えている。
【0075】
この流れ方向制御板10は、第2流路9dからの流れを半導体ウエハWにより一層効率よく当てるために、第2流路9dからの流れの方向を半導体ウエハW側に向けるものであり、流量分配構造9と半導体ウエハWとの間において、第2流路9dの出口の下流に設けられている。
【0076】
より詳細には、流れ方向制御板10は、断面V字状を成す長尺体であり、逆V字となるように、その一方の側板が枠体3の縦梁322に固定されている。これにより、他方の側板が、流量分配構造9の第2流路9dの出口及び半導体ウエハWの両方に面することになる。
【0077】
また、枠体3の下端及び基台2の間には、間隙Hが設けられている。この間隙Hは、図5に示すように、基台2の正面を通過した気体流を外部に流出する間隙H1と、基台2の背面を通過した気体流を外部に流出する間隙H2とがある。基台2正面の間隙H1は、基台2背面の間隙H2よりも大きくしている。これにより、基台2の正面を通過する気体流の流量を基台2の背面を通過する気体流の流量よりも大きくすることができ、基台2の後ろから前に気体流を流すことできる。つまり、第2流路9dからの気体流を確実に半導体ウエハWに当てることができる。各間隙H1、H2の大きさは、上方への乱流を防止するように、適宜設定することができる。
【0078】
このように、架台1下部に間隙Hを設けているので、上方へ向かう乱流の発生を防ぎ、発塵を防ぐことができる。
【0079】
<本実施形態の効果>
【0080】
このように構成した本実施形態に係る測定機器用架台1によれば、設置環境の温度変化に起因する装置架台1内部の温度安定性への悪影響を抑制することができる。その結果、温度変化に基づく測定データのずれ、又は測定ポイントのずれ等の測定誤差を低減することができる。また、装置架台1内部の温度安定性が向上するので、簡単かつ安価な送風機構8を用いることによっても高精度な温調を実現することができる。
【0081】
また、メンテナンス用開口部3Aを一体型のパネル部材6とし、そのパネル部材6を枠体3から取り外すだけで良いので、測定時には架台1内部の温度安定性を維持しつつ、メンテナンスの作業容易性を向上させることができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、メンテナンス用開口部3Aのみを一体型のパネル部材6とし、その他の二重壁構造4Aは、内装パネル4A1及び外装パネル4A2より形成しているので、コストを低減することができる。
【0083】
その上、内面板61及び外面板62、又は内装パネル4A1及び外装パネル4A2により極めて簡単に断熱層である空気層を形成することができる。
【0084】
さらに、二重壁構造である上、さらに送風機構8を用いて送風を行っているので、照射光学系101及び検出光学系102の温調を確実に行うことができる。また、上方から下方に送風を行いつつも、半導体ウエハWには、側方から送風を行っているので、半導体ウエハW上の塵等を除去することができる。
【0085】
<その他の変形実施形態>
【0086】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0087】
例えば、前記実施形態では、メンテナンス用開口部3Aのみを、一体型のパネル部材6により二重壁構造を構成しているが、その他の面も同様に一体型のパネル部材6を用いて二重壁構造としても良い。
【0088】
また、前記実施形態では、クリーンファン8が設けられている上面及び光学系101、102に温度影響を与えにくいと考えられる下面には、二重壁構造を形成していないが、上面及び下面に二重壁構造を形成するようにしても良い。これならば、一層温度安定性を向上させることができる。
【0089】
さらに、パネル部材6は、二枚のパネルを間に矩形状の枠を挟み込んで固定することにより構成するようにしても良い。
【0090】
その上、前記実施形態では、流れ方向制御板10を照射光学系101及び検出光学系102を固定しているベース部材21の背面に設けるようにしているが、照射光学系101及び検出光学系102の前方に設けるようにしても良い。この場合、光学系前方の枠体3には、パネル部材6が着脱されるので、流れ方向制御板10をパネル部材6に設けるようにしても良いし、枠体3に設けるようにしても良い。
【0091】
加えて、流量分配構造9は、第2流路9dのみを有するものであっても良い。つまり、流量分配構造9は、送風機構8からの気体流の一部を導入する導入口9aと、その導入口9aに連なる第2流路9dとを備えている。第2流路9dは、前記実施形態と同様に、下流に行くに従って連続的又は段階的に断面積が狭まるものである。
【0092】
また、流れ方向制御板10の形状としては、断面V字状を成す長尺体に限られず、その他の形状であっても良い。具体的には、架台1内部の照射光学系101、検出光学系102及び半導体ウエハWが載置される試料ステージ103の位置関係に応じて、最適な形状とすることができる。
【0093】
また、図12に示すように、温調した空気を架台1の上部に設けられた送風機構8から二重壁構造内に送り込むようにし、気体層が二重壁構造内を流れるように構成することも考えられる。この場合、元々温調されている空気を送風機構8から分流させて二重壁構造内に送り込むことができるので、新たに送風機構8や温調機構を設ける必要がなく、コストアップを招く事無くさらに架台内部の温調をより行いやすくなる。また、別の送風機構を設けて二重壁構造内に温調した空気を送り込むようにしても構わない。この場合でも、架台内部の温調をより行いやすくなる。加えて、二重壁構造内の気体層を温調するようにしても良い。具体的には、二重壁構造内を流れる気体層の温調を行う温度調節機構として内パネルに温調ヒータを取り付けることが挙げられる。このようにすれば、外部の温度影響をより受けにくくすることができる。また、二重壁構造内の気体層が流れることにより二重壁構造内が負圧に形成されて、例えば、搬送機構から出た陽圧の気体流を吸い込み、測定対象物の搬入出を行うポートから気体流が架台内に流入するのを防ぐようにもできる。さらに、送風機構8により架台上部から流れてくる空気を利用して、その空気を二重壁構造内に送り込むようにしても良い。このように気体層を温調するようにすれば、架台内の温度安定性を向上させることができる。
【0094】
また、送風機構8が送風した上方から下方へ流れる空気を再び送風機構8に戻すように構成した回収流路を備えていても構わない。例えば、図13に示すように架台上部から架台下部に送風した空気を回収流路として二重壁構造4の気体層を通した後に、再び送風機構8に戻すように循環させても良い。このようにすれば、送風機構は外部から空気を取り込む必要を無くして、測定対象物の清浄度を保ち、架台内の温度安定性を向上させるとともに、送風機構8の容量を小さくすることができコストを削減の一助とすることができる。
【0095】
さらに、前記実施形態では、枠体3の正面がメンテナンス面であったが、メンテナンス面をポートPが設けられた面(背面)以外の面としても良い。
【0096】
ポートPは、通常試料ステージ103までの搬送距離が最も短くなる面に設けられる。従って、ポートPは架台1の長手方向の面に設けられて、短手方向から半導体ウエハWが搬送される。そして、残りの面の何れかにメンテナンス面が設けられるが、メンテナンス面が広いほど測定機器等のメンテナンスが行いやすいため、長手方向の面に設けられることが多い。従って、通常メンテナンス面はポートPに対向する面に設けられることが多い。
【0097】
また、前記実施形態では、測定機器を囲む側壁のそれぞれが二重壁構造4を有しているが、側壁が上下方向に多段に分かれている場合には、水平方向において測定機器が含まれる位置(高さ)にある側壁のみが二重壁構造を有するものであっても良い。
【0098】
前記実施形態の測定機器は、半導体ウエハに検査光を照射して、その半導体ウエハから生じる光を検出するものであったが、その他、例えば原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)等であっても良い。
【0099】
測定対象物としては、半導体ウエハWの他に、ディスプレイ用ガラス基板、又はシリコン基板などの太陽電池用基板などの基板を測定するものであっても良い。
【0100】
また、二重壁構造4の断熱層は、空気層の他に、断熱材を充填して構成しても良いし、空気の他の気体により構成しても良い。
【0101】
さらに、前記実施形態では、他方の流れをメンテナンス面に向かうように流したが、逆に、他方の流れをメンテナンス面からその対向する面に向かって流しても良い。
【0102】
加えて、図14に示すように、二重壁構造4の外部壁面OSと内部壁面INの4面を鏡面にしても構わない。このようにすれば、測定器用架台1の外部から内部へ向かう赤外線を反射して、赤外線による測定器用架台1の内部での温度の上昇を防ぐことができ、内部から外部へと向かう赤外線を反射して、内部から外部への熱の散逸を防ぎ、温度を一定に保つことができる。従って、測定機器の温度安定性を更に向上させることができる。また、温度安定性が向上するので、送風機構8に容量の大きいものを用いなくても、一定温度に保てるようになり、コストダウンの一助とすることができる。
【0103】
また、二重壁構造4の外壁面OSだけを鏡面にしても構わない。この場合でも、赤外線による温度変化を防ぐことができ、さらに鏡面にする面が少ないので、製造コストを抑えることができる。さらに、外部壁面の両方を鏡面とし、内部壁面の一方だけを鏡面としても構わない。
【0104】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本実施形態に係る測定機器用架台の斜視図。
【図2】同実施形態における架台正面の二重壁構造を取り外した状態を示す斜視図。
【図3】同実施形態における枠体を主として示す背面斜視図。
【図4】同実施形態における主として内装パネルを取り付けた状態を示す斜視図。
【図5】同実施形態における送風機構からの気体流を示す模式的断面図。
【図6】同実施形態における枠体及び二重壁構造を示す断面図。
【図7】同実施形態におけるパネル部材の正面斜視図。
【図8】同実施形態におけるパネル部材の背面斜視図。
【図9】同実施形態におけるパネル部材の断面図。
【図10】同実施形態におけるパネル部材の組み立て分解図。
【図11】同実施形態における着脱機構を示す模式的断面図。
【図12】別の実施形態に係る二重壁構造内部の気体層の流れを示す模式的断面図。
【図13】さらに別の実施形態に係る二重壁構造内部の気体層の流れを示す模式的断面図。
【図14】異なる実施形態に係る二重壁構造の模式的拡大図。
【符号の説明】
【0106】
1 ・・・測定機器用架台
W ・・・測定対象物
101・・・照射光学系
102・・・検出光学系
3 ・・・枠体
4 ・・・二重壁構造
6 ・・・パネル部材
4A1・・・内装パネル
4A2・・・外装パネル
61 ・・・内面板
62 ・・・外面板
8 ・・・送風機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、
前記測定機器が内部に配置される枠体と、
前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に気体層を有する二重壁構造と、を備える測定機器用架台。
【請求項2】
前記枠体におけるメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に気体層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、
その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなる請求項1記載の測定機器用架台。
【請求項3】
前記パネル部材は、
前記内面板又は前記外面板の一方が、一面が開口した箱状をなすものであり、
前記内面板又は前記外面板の他方が、前記内面板又は外面板の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、
それら開口を重ね合わせて、その一方を他方に収容することにより構成されている請求項2記載の測定機器用架台。
【請求項4】
前記枠体の上部に上方から下方に送風を行う送風機構を設けている請求項1、2又は3記載の測定機器用架台。
【請求項5】
前記二重壁構造が、熱放射による熱の移動を妨げる熱放射遮断部を具備したものである請求項1、2、3又は4記載の測定器用架台。
【請求項6】
前記二重壁構造の内部を流れる前記気体層の温調を行う温度調節機構を具備した請求項1、2、3、4又は5記載の測定器用架台。
【請求項7】
測定対象物を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、
前記測定機器が内部に配置される枠体と、
前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に断熱層を有する二重壁構造と、を備え、
前記枠体のメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に断熱層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、
その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなる測定機器用架台。
【請求項1】
基板を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、
前記測定機器が内部に配置される枠体と、
前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に気体層を有する二重壁構造と、を備える測定機器用架台。
【請求項2】
前記枠体におけるメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に気体層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、
その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなる請求項1記載の測定機器用架台。
【請求項3】
前記パネル部材は、
前記内面板又は前記外面板の一方が、一面が開口した箱状をなすものであり、
前記内面板又は前記外面板の他方が、前記内面板又は外面板の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、
それら開口を重ね合わせて、その一方を他方に収容することにより構成されている請求項2記載の測定機器用架台。
【請求項4】
前記枠体の上部に上方から下方に送風を行う送風機構を設けている請求項1、2又は3記載の測定機器用架台。
【請求項5】
前記二重壁構造が、熱放射による熱の移動を妨げる熱放射遮断部を具備したものである請求項1、2、3又は4記載の測定器用架台。
【請求項6】
前記二重壁構造の内部を流れる前記気体層の温調を行う温度調節機構を具備した請求項1、2、3、4又は5記載の測定器用架台。
【請求項7】
測定対象物を測定するための測定機器を収容する測定機器用架台であって、
前記測定機器が内部に配置される枠体と、
前記枠体に設けられ、前記測定機器の少なくとも側方を囲み、内部に断熱層を有する二重壁構造と、を備え、
前記枠体のメンテナンス面に設けられた二重壁構造が、前記測定機器に対向する内面板及びその内面板との間に断熱層を形成する外面板を備え、前記枠体に対して着脱可能な一体型のパネル部材からなり、
その他の二重壁構造の全部又は一部が、枠体にそれぞれ取り付けられた内装パネル及び外装パネルからなる測定機器用架台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−31275(P2009−31275A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167839(P2008−167839)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
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