溶接方法と部品組立方法およびそれらの方法に用いるハンドリングロボット
【課題】パネル要素数が少ない小物部品の組み立てに際して、パネル要素の相対位置決め精度の低下をもたらすことなく、簡素な設備構成で所期の目的を達成できる溶接組立方法を提供する。
【解決手段】セルフクランプ機能を有するロケート・クランプ機構1にてアウタパネルPaとインナパネルPbとを仮止めして仮止めパネル部品Waとし、ロケート・クランプ機構1を被把持部としてハンド4側のグリッパ52にて仮止めパネル部品Waを把持する。そのままスポット溶接装置に供給してスポット溶接を施した後、ロケート・クランプ機構1から溶接後のパネル部品Wを解放し、ついでグリッパ52からロケート・クランプ機構1を解放する。ロケート・クランプ機構1は繰り返し使用する。
【解決手段】セルフクランプ機能を有するロケート・クランプ機構1にてアウタパネルPaとインナパネルPbとを仮止めして仮止めパネル部品Waとし、ロケート・クランプ機構1を被把持部としてハンド4側のグリッパ52にて仮止めパネル部品Waを把持する。そのままスポット溶接装置に供給してスポット溶接を施した後、ロケート・クランプ機構1から溶接後のパネル部品Wを解放し、ついでグリッパ52からロケート・クランプ機構1を解放する。ロケート・クランプ機構1は繰り返し使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の各種パネル類に代表されるように二つ以上のパネル要素をもって構成されることになるパネル部品の溶接方法と部品組立方法およびそれらの方法に用いるハンドリングロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の部品組み立てに関する技術として例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載の技術では、複数の単品パネル要素の集合体をもって構成されることになるパネル部品の溶接組み立てを行うにあたり、直交3軸の動作自由度に加えてロケートピンによる位置決め機能をクランプ機能とを有するロケータ装置を多数配置して組立治具とし、この組立治具に対してパネル部品を構成することになる単品パネル要素を同時投入して、個々のロケータ装置にてそれぞれの単品パネル要素を位置決めクランプする一方、特定のロケータ装置のアプローチ動作にて単品パネル要素相互の相対位置決めを行った上で、溶接用ロボットが持つスポット溶接ガンにてスポット溶接を施して組み立てを行うようになっている。
【特許文献1】特開2002−225759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の技術では、組立治具そのものが高機能であるために複数種類のパネル部品の組み立てを行うことができ、その汎用性に優れる一方、設備費が高価となるだけでなく、次に列挙するような問題点がある
(a)多数のロケータ装置の並設に伴う錯綜化によって構造も著しく複雑となり、例えば生産台数の変動により設備を移設したい場合でも簡単に移設することができない。
【0005】
(b)サイクルタイム内において、投入した単品パネル要素同士の相対位置決めに要する時間の割合が相対的に大きく、溶接用ロボットの稼働可能時間が短くなる。
【0006】
(c)設備の錯綜化に伴い特に狭隘なスペースへのスポット溶接ガンのアクセス性が悪く、必要な打点位置全てにスポット溶接を施すことができないことがある。
【0007】
(d)上記の(b)および(c)の傾向が顕著となる場合には、別途後工程でいわゆる増打ちを施さなければならず、工程数の増加が余儀なくされる。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、比較的パネル要素数が少ないいわゆる小物部品の組み立てに際して、パネル要素同士の相対位置決め精度の低下をもたらすことなく、簡素な設備構成で所期の目的を達成することができるようにした溶接方法と部品組立方法およびそれらの方法に用いるハンドリングロボットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、パネル部品を構成することになる複数のパネル要素同士の相対位置決めを行うべくその複数のパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めし、上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて複数のパネル要素を把持した上で、上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と複数のパネル要素との相対位置決めを行いつつ溶接を施すことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、複数のパネル要素同士を溶接接合してパネル部品を組み立てる方法であって、パネル要素同士の相対位置決めを行うべくそのパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めして仮止めパネル部品とする仮組み工程と、上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて仮止めパネル部品を把持する把持工程と、上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と仮止めパネル部品との相対位置決めを行った上で溶接を施してパネル部品とする溶接工程と、溶接後に上記ハンドリングロボットの自律動作をもって仮止めクランプ治具による仮止め状態からパネル部品を解放する部品解放工程と、パネル部品の解放に続いて上記ハンドリングロボットの自律動作をもってロボット自体による把持状態から仮止めクランプ治具を解放する治具解放工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項1,2に言う溶接手段は、例えばスポット溶接装置とする。
【0012】
この場合、請求項3に記載のように、先行するパネル部品の溶接工程から治具解放工程までの作業進捗と並行して、次なるパネル部品となるべき仮止めパネル部品の仮組み工程作業が別のステージにて実行されるように設定されていることが望ましく、さらに、請求項4に記載のように、上記把持工程と、溶接工程、部品解放工程および治具解放工程でのそれぞれの作業が互いに独立した別のゾーンにて行われるように設定されていることが望ましい。
【0013】
加えて、パネル要素同士の相対位置決め精度の向上およびパネル要素の安定支持の上では、請求項5に記載のように、複数のパネル要素同士を複数の仮止めクランプ治具をもって仮止めするように設定されていて、ハンドリングロボットはその複数の仮止めクランプ治具を被把持部として仮止めパネル部品を把持するものであることが望ましい。
【0014】
上記ハンドリングロボットとしては、請求項6に記載のように、パネル要素同士の仮止めを司る仮止めクランプ治具を被把持部としてパネル要素を把持するべく、その仮止めクランプ治具の把持とその解放とを行う脱着機能と、把持した仮止めクランプ治具自体が仮止めしているパネル要素をその仮止めクランプ治具から少なくとも解放させるべく当該仮止めクランプ治具をアンクランプ動作させるパネル要素解放機能とを備えているものを使用するものとする。
【0015】
より望ましくは、請求項7に記載のように、ロボットハンドは、複数のパネル要素同士を仮止めする複数の仮止めクランプ治具の把持とその解放とが可能であり、ハンドリングロボット自体は、仮止めクランプ治具を被把持部として把持したパネル要素の姿勢と位置を任意に変更可能であるものとする。
【0016】
したがって、少なくとも請求項1,2に記載の発明では、複数のパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めする作業をいわゆるライン外作業として行うようにすれば、少なくとも上記仮止め作業に要する時間はサイクルタイムに影響しなくなり、サイクルタイムのうちでも最も重要な溶接に割り当てる時間を十分に長く確保することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、パネル要素同士を仮止めクランプ治具にて予め仮止めして、この仮止めクランプ治具を被把持部としてパネル要素を把持した上で溶接に供するようにしているため、従来のような大がかりな組立治具は不要であり、その組立治具の簡素化によって設備費の低減が図れるとともに、溶接手段へのアクセス性も良好となり、サイクルタイムを長くすることなしに溶接手段の稼働可能時間を十分に長く確保することが可能となるほか、工程数の短縮化にも寄与できる。また、生産台数の変動等に対応するべく設備を移設したい場合にも、きわめて容易に設備を移設することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1以下の図面は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、例えば自動車用車体パネルのサブアセンブリ工程において、パネル要素としてのアウタパネルとインナパネルとの相対位置決めを行いながら重ね合わせた上で周縁部にスポット溶接を施すことにより、例えばホイールハウスメーン等のようなパネル部品を組み立てる場合の例を示している。
【0019】
図1に示すように、予め所定の三次元形状にプレス成形されたアウタパネルPaと枠状のインナパネルPbのフランジ部F,F同士を重ね合わせた上で、仮止めクランプ治具としての複数の小型のロケート・クランプ機構(以下、この機構を「メカクランプ機構」と略称するものとする)1にて位置決めクランプしてパネルPa,Pb同士の仮止めを施すことにより仮止めパネル部品Waとし、この仮止めパネル部品WaのパネルPa,Pb同士を不離一体の関係とするべく図2の溶接組立工程Sに投入して、フランジ部F,F同士の重合部のうちメカクラン機構1による仮止め位置近傍にスポット溶接を施すものである。そして、溶接後に、その機能が不要となったメカクランプ機構1を取り外すことで製品としてのパネル部品Wが完成することになる。
【0020】
ここで、上記メカクランプ機構1は、後述するように、アウタパネルPaとインナパネルPbの双方のフランジ部Fに形成されたロケート穴Rに係合してそのロケート穴Rを基準にパネルPa,Pb同士の相対位置決めを行う機能と、その相対位置決め状態のままで双方のパネルPa,Pbを重合方向に加圧拘束し、仮止めとして両者を自律的且つ堅固にクランプするいわゆるセルフクランプ機能を有している。
【0021】
図2の溶接組立工程Sには、アーム2(図3参照)の先端にハンド脱着機構3を介して図3のようなロボットハンド(以下、単に「ハンド」と略称する)4が着脱可能に装着された汎用型のハンドリングロボット(以下、単に「ロボット」と略称する)5のほか、溶接手段としての据え置き型のスポット溶接装置6と、溶接後のパネル部品Wを順次ストレージしておいて所定量になった段階で次工程に搬出するためのパネル部品搬出用台車7、および先に述べたメカクランプ機構1を回収するためのメカクランプ回収ボックス8をそれぞれ配置してあるとともに、パネル部品Wの仕様に応じてハンド4を持ち替えるために複数のハンド置き台9を用意してある。さらに、作業者Mの作業空間10の近くには、複数の仕様のアウタパネルPaとインナパネルPbとが収容された複数のパレット50,50‥と、パレット50,50‥から取り出したパネルPa,Pbを一時的に仮置きするパネル置き台51をそれぞれ配置してある。
【0022】
そして、ロボット5のハンド4は、図3に示すように、メカクランプ機構1にて仮止めすることにより構成された仮止めパネル部品Waを、そのメカクランプ機構1そのものを被把持部として堅固に把持することができるようになっている。すなわち、ハンド4には、仮止めパネル部品Waにおける複数のメカクランプ機構1に個別に対応する位置に、そのメカクランプ機構1の把持と解放とが可能な複数のグリッパ52を設けてある。さらに、そのグリッパ52には、当該グリッパ51にてメカクランプ機構1を把持した状態でそのメカクランプ機構1によるパネルPa,Pb同士の仮止め状態を解除できるいわゆるアンクランプ機能を有している。なお、上記メカクランプ機構1およびグリッパ52の詳細は後述する。
【0023】
ここで、上記のようにロボット5のアーム2a先端にハンド脱着機構3を介して既に特定のハンド4が装着されているものとすれば、ハンド置き台9には別の少なくとも一つのハンド4が待機していて、ロボット5は外部からの指令に応じハンド置き台9の間で自律的にそのハンド4の持ち替えを行うハンド自動交換機能を有している。
【0024】
図4は上記メカクランプ機構1単独での詳細を示しており、同図(A)はメカクランプ機構1がアウタパネルPaとインナパネルPbを仮止めクランプした状態を、同図(B)は上記仮止め状態を解除するべくアンクランプした状態をそれぞれ示している。
【0025】
図4(A),(B)から明らかなように、中空円筒状のボデイ11の外周にはテーパ状のフランジ部12aと段状のショルダー部12bを有すスリーブ12をねじ部12cをもって装着してあるとともに、そのボデイ11の一端面には根元部側に着座面として機能する着座フランジ部13を有するテーパ状のロケートピン14を図示外の複数のボルトにて結合してある。
【0026】
ロケートピン14の一部には直径方向に貫通するすり割り溝16を形成してあるとともに、このすり割り溝16はボデイ11の内部空間と連通していて、これらのすり割り溝16およびボデイ11の内部空間には略鉤形状の一対のクランプアーム17を重ね合わせるようにして且つ左右対称に変位可能に挿入してある。また、ボデイ11の他端面からその内部にカラー18を挿入するとともに、そのカラー18に案内させるかたちでボデイ11と同心状の操作ピン19をスライド可能に挿入してある。操作ピン19はその一部がボデイ11から突出しているとともに、端部には二枚分のクランプアーム17の板厚を受容可能なスリット20を形成してあり、このスリット20にてクランプアーム17の他端を受容した上で後述する連結ピン21にて相互に連結してある。
【0027】
クランプアーム17はその鉤形状の先端部17aをロケートピン14の根元部の開口部から外部に臨ませてある一方、他端部を操作ピン19のスリット20に挿入した上で操作ピン19の直径方向に貫通する連結ピン21にて操作ピン19に連結し、さらに略くの字状に形成された溝カム22をボデイ11の直径方向に横架されたガイドピン23に係合させてある。
【0028】
さらに、操作ピン19の外周には皿ばね、輪ばねあるいはばね座金等の円環状のばね部材24を積層配置した上で、操作ピン19の端部に装着したばね受け座25とスナップリング25aにてその抜け止めを施してある。このばね部材24は図4に示すように操作ピン19を介してクランプアーム17を常時ボデイ11内に引き込む方向、すなわちクランプアーム17がクランプ力を発生する方向に常時付勢しており、これによってばね部材24はクランプ力発生手段として機能することになる。
【0029】
より詳しくは、図4の(A)に示すように操作ピン19に外力を加えない状態ではクランプアーム17がばね部材24による付勢力をもってクランプ位置C1にあって、そのクランプ状態を自己保持している一方、同図(B)に示すように操作ピン19をボデイ11内に押し込むべくその操作ピン19をばね部材24の付勢力に抗して押圧操作することによりクランプアーム17がアンクランプ位置C2に移動するようになっており、特にクランプ状態では同図(A)に示すようにそのクランプアーム17の先端部17aと着座フランジ部13とをもって先に述べたアウタパネルPaとインナPbを挟圧状態としてクランプするようになっている。
【0030】
一方、上記ロケートピン14により位置決めされることになる相手側のパネル、すなわちアウタパネルPaとインナパネルPbには図4に示すようにそのロケートピン14に挿入されることになるロケート穴Rがそれぞれ形成されていて、ロケートピン14とロケート穴Rとの相互嵌合と同時にアウタパネルPaがロケートピン14側の着座フランジ部13に着座することでそのロケートピン14の軸心方向での位置決めが同時になされるようになっている。
【0031】
ここで、上記のメカクランプ機構1は、例えば特開平4−283034号公報あるいは特開2001−162469号公報等に記載の公知のロケート装置の構造を基本として、それ自体が可搬式で且つ取り扱いが容易な超小型のものとするべく改良を加えたものである。特に特開平4−283034号公報に記載のものは、圧縮コイルばねをクランプ力発生源としていわゆるセルフクランプ機能を有するものであるから、上記メカクランプ機構1は同公報に記載の構造を極小化したものと理解することができる。
【0032】
図5は先に図3に示したロボット5に持たせたアクチュエータ駆動のグリッパ52を拡大した概略斜視図であり、さらに図6,7はその詳細をそれぞれ示している。このグリッパ52は、対向配置したグリッパ本体部としての二つ一組のグリッパブロック26に対して、大径且つ長ストロークのグリッパシリンダ27と、小径且つ小ストロークのアンクランプシリンダ28とを直列に連結することにより構成してある。なお、ここではグリッパシリンダ27およびアンクランプシリンダ28としてエアシリンダが採用されていて、同時にアンクランプシリンダ28は後述するようにアンクランプ操作手段として機能することになる。
【0033】
二つ一組のグリッパブロック26は、所定の間隙を隔てて対向させることにより、先に述べたメカクランプ機構1と噛み合う受容穴29とともにグリッパアーム収容空間30を形成している。そして、図6,7のほか図8,9に示すように、そのグリッパアーム収容空間30には、対向配置されて且つ開閉可能な一対のプレート状のグリッパアーム31ととともに双方のグリッパアーム31が共有することになるバー状の中間レバー32を収容してあり、各グリッパアーム31は中間レバー32に対してヒンジピン33にて揺動可能に連結してある。なお、受容穴29の奥部には、図7に示すようにメカクランプ機構1側のスリーブ12のフランジ部12a(図4参照)に着座する着座面34を形成してある。
【0034】
また、各グリッパアーム31には略くの字状の溝カム35が形成してあり、この溝カム35を双方のグリッパブロック26,26間に掛け渡したガイドピン36に係合させてある。したがって、中間レバー32を後述するピストンロッド39とともにその軸心方向にスライド変位させることで、溝カム35とガイドピン36との相対変位のために一対のグリッパアーム31,31が開閉動作して、図10に示すようにその閉動作をもってメカクランプ機構1を把持する一方、図9に示すようにその開動作をもってメカクランプ機構1を解放することになる。
【0035】
図7のほか図9に示すように、グリッパシリンダ27は、シリンダチューブ37内に配置されたピストン38のほか、それと一体の中空状のピストンロッド39および二つの流出入ポート40,41を備えていて、ピストンロッド39の先端には先に述べた中間レバー32を連結してある。これにより、グリッパシリンダ27の伸縮作動に応じて一対のグリッパアーム31,31がメカクランプ機構1の把持動作もしくはその解放動作を行うことになる。
【0036】
他方、アンクランプシリンダ28はグリッパシリンダ27と同心状に配置してあり、シリンダチューブ42内に配置されたピストン43のほか、それと一体のピストンロッド44および二つの流出入ポート45,46を備えていて、ピストンロッド44は先に述べたグリッパシリンダ27側の中空状のピストンロッド39にスライド可能に内挿されている。そして、図11に示すように一対のグリッパアーム31,31がメカクランプ機構1を把持した状態でアンクランプシリンダ28を伸長動作させることにより、そのメカクランプ機構1の操作ピン19を押圧操作することが可能となっている。
【0037】
なお、図8において、47,48は各シリンダ27,28のエアの流出入ポートを切り換えるためのソレノイドバルブである。
【0038】
次に、上記のようなメカクランプ機構1およびグリッパ52の構造を前提として図2の溶接組立工程Sでの作業手順を図12〜15を参照しながら説明する。
【0039】
図1,2のほか図12の(A)に示すように、作業者Mはパレット50からアウタパネルPaとインナパネルPbをセットとして取り出した上でパネル置き台51に置き、予め手元に用意してあるメカクランプ機構1を用いて図1および図12の(A)の形態で双方のパネルPa,Pb同士を仮止めして、いわゆる仮止めパネル部品Waを仮組みする。このパネル置き台51上での作業者Mによる仮止め作業がいわゆる仮組み工程での作業となる。
【0040】
なお、後述するようにスポット溶接装置6にて溶接されたパネル部品Wから回収されたメカクランプ機構1がメカクランプ回収箱8に収容されていることから、作業者Mは予め複数ロット分のメカクランプ機構1をメカクランプ回収箱8から取り出して手元に用意しておくものとする。同時に、パネル置き台51の近くには先に述べたグリッパ52と同等の機能を有する可搬式の脱着工具を予め用意しておき、この脱着工具を使ってメカクランプ機構1によるパネルPa,Pb同士の仮止め、すなわち図4に示したようなメカクランプ機構1のアンクランプ動作とクランプ動作を行わせることが望ましい。
【0041】
一方、作業者Mの作業空間10に隣接する受け渡し位置10aには図12の(B)に示すようにグリッパ52を上向き姿勢としたハンド4が予め待機しており、作業者Mはパネル置き台51上にて仮組みした仮止めパネル部品Waをハンド4に移載して位置決めする。すなわち、この時にはハンド4側のグリッパ52は解放状態にあり、仮止めパネル部品Waに付帯しているそれぞれのメカクランプ機構1を対応するグリッパ52に受容させることでハンド4に対する仮止めパネル部品Waの一次的な位置決めがなされることになる。
【0042】
ハンド4に対する仮止めパネル部品Waの位置決め完了後、作業者Mがパネル置き台51の近くに設けてある押釦スイッチ53(図2参照)を押圧操作すると、ロボット5が起動して自律動作を開始する。ロボット5が自律動作を開始した以降は、それと並行して作業者Mは次のサイクルに備えるべく、パレット50からアウタパネルPaとインナパネルPbをセットとして取り出し、パネル置き台51上にてメカクランプ機構1を用いて上記と同様に双方のパネルPa,Pb同士を仮止めして、いわゆる仮止めパネル部品Waを仮組みする。
【0043】
上記のようにロボット5が起動すると、最初にハンド4のグリッパ52が把持動作することより、ハンド4は図12の(C)に示すようにそれぞれのメカクランプ機構1を被把持部としてグリッパ52にて仮止めパネル部品Waを把持する。この把持動作がいわゆる把持工程での作業となる。さらに、ロボット5は予めティーチングしてある軌跡データ通りに移動を開始し、最初に図2のほか図13に示すように仮止めパネル部品Waを把持しているハンド4を上下反転させた上でその仮止めパネル部品Waをスポット溶接装置6側に搬送する。そして、ロボット5によりスポット溶接装置6とハンド4側に把持されたままの仮止めパネル部品Waとの相対位置決めが完了すると、スポット溶接装置6はメカクランプ機構1による仮止め位置近傍にスポット溶接を施し、上記のような相対位置決めとスポット溶接とを仮止めパネル部品Waに付帯しているメカクランプ機構1の数だけ繰り返すことになる。ここでのスポット溶接がいわゆる溶接工程での作業となる。
【0044】
仮止めパネル部品Waに付帯しているメカクランプ機構1の数だけ上記のスポット溶接が施されると、その時点でアウタ,インナのパネルPa,Pb同士が不離一体の関係となるが故に仮止めパネル部品Waは製品たるパネル部品Wと化し、同時になおもパネル部品Wに付帯しているメカクランプ機構1はその機能を失うことになる。
【0045】
そこで、ロボット5は溶接済みのパネル部品Wを図2の台車7まで搬送した上、図13に示すようにハンド4にてメカクランプ機構1を把持したままの状態で、そのメカクランプ機構1を図4の(B)のようにアンクランプ動作させる。これにより、それまでのメカクランプ機構1による仮止め状態からパネル部品Wが解放されて、パネル部品Wはそのまま台車7に残されることになる。ここでの作業がいわゆる部品解放工程での作業となる。
【0046】
溶接後のパネル部品Wを台車7側に解放して移載したならば、ロボット5はハンド4を図2のメカクランプ回収箱8の真上に移動させ、図14の(A)に示すようにそれぞれのグリッパ52を解放動作させて、それまでのグリッパ52によるメカクランプ機構1の把持状態を解除する。ここでの作業が治具解放工程での作業となる。それに伴い、各メカクランプ機構1はメカクランプ回収箱8に自重落下して回収される。そして、メカクランプ回収箱8に回収されたメカクランプ機構1は繰り返し使用される。
【0047】
以上をもってロボット5のハンド4は図15のように全くの空荷状態となることから、そのハンド4を初期姿勢(図12の(B)の状態)に戻しながら図2の最初の受け渡し位置10aに移動させた上で停止する。以上をもってパネル部品Wの溶接のための1サイクルが終了する。
【0048】
なお、図2において、細実線の矢印は作業者Mの動きを、太実線の矢印はロボット5の動きを、白抜き矢印は仮止めパネル部品Waまたは溶接後のパネル部品Wの動きをそれぞれに示す。
【0049】
以上のような一連のスポット溶接装置6によるスポット溶接動作、メカクランプ機構1の仮止め解除(アンクランプ動作)によるパネル部品Wの解放動作、およびハンド4側のグリッパ52によるメカクランプ機構1の解放動作の間に、先に述べたようにパネル置き台51側において作業者Mにより次の仮組みパネル部品Waの仮組みが行われて待機していることから、受け渡し位置10aに戻ってきたハンド4に対して作業者Mが次の仮止めパネル部品Waを位置決めすることで次のサイクルに移行し、以降は上記にサイクルを繰り返すことになる。なお、溶接対象となるパネル部品Wの仕様が異なる場合には、ロボット5は必要に応じてハンド置き台9との間でハンド4の持ち替えを行うことになる。
【0050】
このように本実施の形態によれば、作業者Mとロボット5とが併存している溶接組立工程でありながら、作業者Mは仮止めパネル部品Waの仮組みとその供給を行う一方で、ロボット5は受け渡し位置10aからスポット溶接装置6への仮止めパネル部品Waの供給および取り出しだけでなく、それに続く台車7への溶接後のパネル部品Wの搬出・投入を行うようになっているので、例えば溶接後のパネル部品Wの搬出を、受け渡し位置10aにおいて溶接前の仮止めパネル部品Waの供給に先立って行う場合に比べて、サイクルタイムに占めるロボット稼働可能時間を長く確保することができ、ロボット5の能力を最大限に活用して効率的な生産を行えることになる。特に、パネル部品Wを構成することになるパネルのセット数が増えても、そのセット作業に要する時間はサイクルタイムに影響することはないから、一段と効率的な生産を行える。
【0051】
また、図2の溶接組立工程Sは最小限の設備にて構成されているので、ロボット5やスポット溶接装置6等を予め移動可能に据え付けておけば、例えば生産台数の変動等により溶接組立工程全体を移設することも容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の具体的な実施の形態として、仮止めパネル部品と仮止めクランプ治具であるロケート・クランプ機構との関係を示す断面説明図。
【図2】本発明が適用される溶接組立工程の概略平面説明図。
【図3】図1に示す仮止めパネル部品がロケート・クランプ機構を把持部としてロボットハンドに把持された状態を示す説明図。
【図4】図1,3に示すロケート・クランプ機構の詳細を示す図で、(A)はそのクランプ状態を示す断面図、(B)はそのアンクランプ状態を示す断面図。
【図5】図3のグリッパの概略構造を示す斜視図。
【図6】(A)は図5に示すグリッパの正面図、(B)は同図(A)の右側面図、(C)は同図(B)の下面図。
【図7】図6の(C)のA−A線に沿う断面説明図。
【図8】図5に示すグリッパの作動説明図。
【図9】図5に示すグリッパの作動を示す拡大説明図。
【図10】図5に示すグリッパの作動を示す拡大説明図。
【図11】図5に示すグリッパの作動を示す拡大説明図。
【図12】(A)〜(C)共に図3のロボットハンドにより仮止めパネル部品を把持するまでの過程を示す工程説明図。
【図13】ロボットハンドに把持された仮止めパネル部品と図2のスポット溶接装置との相対位置関係を示す説明図。
【図14】(A),(B)共に図12のロケート・クランプ機構からのパネル部品の解放動作と、それに続くグリッパからのロケート・クランプ機構の解放動作を示す工程説明図。
【図15】空荷状態となったロボットハンド側のグリッパの状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0053】
1…仮止めクランプ治具としてのロケート・クランプ機構(メカクランプ機構)
2…アーム
4…ロボットハンド
5…ハンドリングロボット
6…溶接手段としてのスポット溶接装置
7…パネル部品搬出用台車
8…メカクランプ回収箱
10a…受け渡し位置
50…パレット
51…パネル置き台
52…グリッパ
M…作業者
Pa…パネル要素としてのアウタパネル
Pb…パネル要素としてのインナパネル
W…パネル部品
Wa…仮止めパネル部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の各種パネル類に代表されるように二つ以上のパネル要素をもって構成されることになるパネル部品の溶接方法と部品組立方法およびそれらの方法に用いるハンドリングロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の部品組み立てに関する技術として例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載の技術では、複数の単品パネル要素の集合体をもって構成されることになるパネル部品の溶接組み立てを行うにあたり、直交3軸の動作自由度に加えてロケートピンによる位置決め機能をクランプ機能とを有するロケータ装置を多数配置して組立治具とし、この組立治具に対してパネル部品を構成することになる単品パネル要素を同時投入して、個々のロケータ装置にてそれぞれの単品パネル要素を位置決めクランプする一方、特定のロケータ装置のアプローチ動作にて単品パネル要素相互の相対位置決めを行った上で、溶接用ロボットが持つスポット溶接ガンにてスポット溶接を施して組み立てを行うようになっている。
【特許文献1】特開2002−225759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の技術では、組立治具そのものが高機能であるために複数種類のパネル部品の組み立てを行うことができ、その汎用性に優れる一方、設備費が高価となるだけでなく、次に列挙するような問題点がある
(a)多数のロケータ装置の並設に伴う錯綜化によって構造も著しく複雑となり、例えば生産台数の変動により設備を移設したい場合でも簡単に移設することができない。
【0005】
(b)サイクルタイム内において、投入した単品パネル要素同士の相対位置決めに要する時間の割合が相対的に大きく、溶接用ロボットの稼働可能時間が短くなる。
【0006】
(c)設備の錯綜化に伴い特に狭隘なスペースへのスポット溶接ガンのアクセス性が悪く、必要な打点位置全てにスポット溶接を施すことができないことがある。
【0007】
(d)上記の(b)および(c)の傾向が顕著となる場合には、別途後工程でいわゆる増打ちを施さなければならず、工程数の増加が余儀なくされる。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、比較的パネル要素数が少ないいわゆる小物部品の組み立てに際して、パネル要素同士の相対位置決め精度の低下をもたらすことなく、簡素な設備構成で所期の目的を達成することができるようにした溶接方法と部品組立方法およびそれらの方法に用いるハンドリングロボットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、パネル部品を構成することになる複数のパネル要素同士の相対位置決めを行うべくその複数のパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めし、上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて複数のパネル要素を把持した上で、上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と複数のパネル要素との相対位置決めを行いつつ溶接を施すことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、複数のパネル要素同士を溶接接合してパネル部品を組み立てる方法であって、パネル要素同士の相対位置決めを行うべくそのパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めして仮止めパネル部品とする仮組み工程と、上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて仮止めパネル部品を把持する把持工程と、上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と仮止めパネル部品との相対位置決めを行った上で溶接を施してパネル部品とする溶接工程と、溶接後に上記ハンドリングロボットの自律動作をもって仮止めクランプ治具による仮止め状態からパネル部品を解放する部品解放工程と、パネル部品の解放に続いて上記ハンドリングロボットの自律動作をもってロボット自体による把持状態から仮止めクランプ治具を解放する治具解放工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項1,2に言う溶接手段は、例えばスポット溶接装置とする。
【0012】
この場合、請求項3に記載のように、先行するパネル部品の溶接工程から治具解放工程までの作業進捗と並行して、次なるパネル部品となるべき仮止めパネル部品の仮組み工程作業が別のステージにて実行されるように設定されていることが望ましく、さらに、請求項4に記載のように、上記把持工程と、溶接工程、部品解放工程および治具解放工程でのそれぞれの作業が互いに独立した別のゾーンにて行われるように設定されていることが望ましい。
【0013】
加えて、パネル要素同士の相対位置決め精度の向上およびパネル要素の安定支持の上では、請求項5に記載のように、複数のパネル要素同士を複数の仮止めクランプ治具をもって仮止めするように設定されていて、ハンドリングロボットはその複数の仮止めクランプ治具を被把持部として仮止めパネル部品を把持するものであることが望ましい。
【0014】
上記ハンドリングロボットとしては、請求項6に記載のように、パネル要素同士の仮止めを司る仮止めクランプ治具を被把持部としてパネル要素を把持するべく、その仮止めクランプ治具の把持とその解放とを行う脱着機能と、把持した仮止めクランプ治具自体が仮止めしているパネル要素をその仮止めクランプ治具から少なくとも解放させるべく当該仮止めクランプ治具をアンクランプ動作させるパネル要素解放機能とを備えているものを使用するものとする。
【0015】
より望ましくは、請求項7に記載のように、ロボットハンドは、複数のパネル要素同士を仮止めする複数の仮止めクランプ治具の把持とその解放とが可能であり、ハンドリングロボット自体は、仮止めクランプ治具を被把持部として把持したパネル要素の姿勢と位置を任意に変更可能であるものとする。
【0016】
したがって、少なくとも請求項1,2に記載の発明では、複数のパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めする作業をいわゆるライン外作業として行うようにすれば、少なくとも上記仮止め作業に要する時間はサイクルタイムに影響しなくなり、サイクルタイムのうちでも最も重要な溶接に割り当てる時間を十分に長く確保することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、パネル要素同士を仮止めクランプ治具にて予め仮止めして、この仮止めクランプ治具を被把持部としてパネル要素を把持した上で溶接に供するようにしているため、従来のような大がかりな組立治具は不要であり、その組立治具の簡素化によって設備費の低減が図れるとともに、溶接手段へのアクセス性も良好となり、サイクルタイムを長くすることなしに溶接手段の稼働可能時間を十分に長く確保することが可能となるほか、工程数の短縮化にも寄与できる。また、生産台数の変動等に対応するべく設備を移設したい場合にも、きわめて容易に設備を移設することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1以下の図面は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、例えば自動車用車体パネルのサブアセンブリ工程において、パネル要素としてのアウタパネルとインナパネルとの相対位置決めを行いながら重ね合わせた上で周縁部にスポット溶接を施すことにより、例えばホイールハウスメーン等のようなパネル部品を組み立てる場合の例を示している。
【0019】
図1に示すように、予め所定の三次元形状にプレス成形されたアウタパネルPaと枠状のインナパネルPbのフランジ部F,F同士を重ね合わせた上で、仮止めクランプ治具としての複数の小型のロケート・クランプ機構(以下、この機構を「メカクランプ機構」と略称するものとする)1にて位置決めクランプしてパネルPa,Pb同士の仮止めを施すことにより仮止めパネル部品Waとし、この仮止めパネル部品WaのパネルPa,Pb同士を不離一体の関係とするべく図2の溶接組立工程Sに投入して、フランジ部F,F同士の重合部のうちメカクラン機構1による仮止め位置近傍にスポット溶接を施すものである。そして、溶接後に、その機能が不要となったメカクランプ機構1を取り外すことで製品としてのパネル部品Wが完成することになる。
【0020】
ここで、上記メカクランプ機構1は、後述するように、アウタパネルPaとインナパネルPbの双方のフランジ部Fに形成されたロケート穴Rに係合してそのロケート穴Rを基準にパネルPa,Pb同士の相対位置決めを行う機能と、その相対位置決め状態のままで双方のパネルPa,Pbを重合方向に加圧拘束し、仮止めとして両者を自律的且つ堅固にクランプするいわゆるセルフクランプ機能を有している。
【0021】
図2の溶接組立工程Sには、アーム2(図3参照)の先端にハンド脱着機構3を介して図3のようなロボットハンド(以下、単に「ハンド」と略称する)4が着脱可能に装着された汎用型のハンドリングロボット(以下、単に「ロボット」と略称する)5のほか、溶接手段としての据え置き型のスポット溶接装置6と、溶接後のパネル部品Wを順次ストレージしておいて所定量になった段階で次工程に搬出するためのパネル部品搬出用台車7、および先に述べたメカクランプ機構1を回収するためのメカクランプ回収ボックス8をそれぞれ配置してあるとともに、パネル部品Wの仕様に応じてハンド4を持ち替えるために複数のハンド置き台9を用意してある。さらに、作業者Mの作業空間10の近くには、複数の仕様のアウタパネルPaとインナパネルPbとが収容された複数のパレット50,50‥と、パレット50,50‥から取り出したパネルPa,Pbを一時的に仮置きするパネル置き台51をそれぞれ配置してある。
【0022】
そして、ロボット5のハンド4は、図3に示すように、メカクランプ機構1にて仮止めすることにより構成された仮止めパネル部品Waを、そのメカクランプ機構1そのものを被把持部として堅固に把持することができるようになっている。すなわち、ハンド4には、仮止めパネル部品Waにおける複数のメカクランプ機構1に個別に対応する位置に、そのメカクランプ機構1の把持と解放とが可能な複数のグリッパ52を設けてある。さらに、そのグリッパ52には、当該グリッパ51にてメカクランプ機構1を把持した状態でそのメカクランプ機構1によるパネルPa,Pb同士の仮止め状態を解除できるいわゆるアンクランプ機能を有している。なお、上記メカクランプ機構1およびグリッパ52の詳細は後述する。
【0023】
ここで、上記のようにロボット5のアーム2a先端にハンド脱着機構3を介して既に特定のハンド4が装着されているものとすれば、ハンド置き台9には別の少なくとも一つのハンド4が待機していて、ロボット5は外部からの指令に応じハンド置き台9の間で自律的にそのハンド4の持ち替えを行うハンド自動交換機能を有している。
【0024】
図4は上記メカクランプ機構1単独での詳細を示しており、同図(A)はメカクランプ機構1がアウタパネルPaとインナパネルPbを仮止めクランプした状態を、同図(B)は上記仮止め状態を解除するべくアンクランプした状態をそれぞれ示している。
【0025】
図4(A),(B)から明らかなように、中空円筒状のボデイ11の外周にはテーパ状のフランジ部12aと段状のショルダー部12bを有すスリーブ12をねじ部12cをもって装着してあるとともに、そのボデイ11の一端面には根元部側に着座面として機能する着座フランジ部13を有するテーパ状のロケートピン14を図示外の複数のボルトにて結合してある。
【0026】
ロケートピン14の一部には直径方向に貫通するすり割り溝16を形成してあるとともに、このすり割り溝16はボデイ11の内部空間と連通していて、これらのすり割り溝16およびボデイ11の内部空間には略鉤形状の一対のクランプアーム17を重ね合わせるようにして且つ左右対称に変位可能に挿入してある。また、ボデイ11の他端面からその内部にカラー18を挿入するとともに、そのカラー18に案内させるかたちでボデイ11と同心状の操作ピン19をスライド可能に挿入してある。操作ピン19はその一部がボデイ11から突出しているとともに、端部には二枚分のクランプアーム17の板厚を受容可能なスリット20を形成してあり、このスリット20にてクランプアーム17の他端を受容した上で後述する連結ピン21にて相互に連結してある。
【0027】
クランプアーム17はその鉤形状の先端部17aをロケートピン14の根元部の開口部から外部に臨ませてある一方、他端部を操作ピン19のスリット20に挿入した上で操作ピン19の直径方向に貫通する連結ピン21にて操作ピン19に連結し、さらに略くの字状に形成された溝カム22をボデイ11の直径方向に横架されたガイドピン23に係合させてある。
【0028】
さらに、操作ピン19の外周には皿ばね、輪ばねあるいはばね座金等の円環状のばね部材24を積層配置した上で、操作ピン19の端部に装着したばね受け座25とスナップリング25aにてその抜け止めを施してある。このばね部材24は図4に示すように操作ピン19を介してクランプアーム17を常時ボデイ11内に引き込む方向、すなわちクランプアーム17がクランプ力を発生する方向に常時付勢しており、これによってばね部材24はクランプ力発生手段として機能することになる。
【0029】
より詳しくは、図4の(A)に示すように操作ピン19に外力を加えない状態ではクランプアーム17がばね部材24による付勢力をもってクランプ位置C1にあって、そのクランプ状態を自己保持している一方、同図(B)に示すように操作ピン19をボデイ11内に押し込むべくその操作ピン19をばね部材24の付勢力に抗して押圧操作することによりクランプアーム17がアンクランプ位置C2に移動するようになっており、特にクランプ状態では同図(A)に示すようにそのクランプアーム17の先端部17aと着座フランジ部13とをもって先に述べたアウタパネルPaとインナPbを挟圧状態としてクランプするようになっている。
【0030】
一方、上記ロケートピン14により位置決めされることになる相手側のパネル、すなわちアウタパネルPaとインナパネルPbには図4に示すようにそのロケートピン14に挿入されることになるロケート穴Rがそれぞれ形成されていて、ロケートピン14とロケート穴Rとの相互嵌合と同時にアウタパネルPaがロケートピン14側の着座フランジ部13に着座することでそのロケートピン14の軸心方向での位置決めが同時になされるようになっている。
【0031】
ここで、上記のメカクランプ機構1は、例えば特開平4−283034号公報あるいは特開2001−162469号公報等に記載の公知のロケート装置の構造を基本として、それ自体が可搬式で且つ取り扱いが容易な超小型のものとするべく改良を加えたものである。特に特開平4−283034号公報に記載のものは、圧縮コイルばねをクランプ力発生源としていわゆるセルフクランプ機能を有するものであるから、上記メカクランプ機構1は同公報に記載の構造を極小化したものと理解することができる。
【0032】
図5は先に図3に示したロボット5に持たせたアクチュエータ駆動のグリッパ52を拡大した概略斜視図であり、さらに図6,7はその詳細をそれぞれ示している。このグリッパ52は、対向配置したグリッパ本体部としての二つ一組のグリッパブロック26に対して、大径且つ長ストロークのグリッパシリンダ27と、小径且つ小ストロークのアンクランプシリンダ28とを直列に連結することにより構成してある。なお、ここではグリッパシリンダ27およびアンクランプシリンダ28としてエアシリンダが採用されていて、同時にアンクランプシリンダ28は後述するようにアンクランプ操作手段として機能することになる。
【0033】
二つ一組のグリッパブロック26は、所定の間隙を隔てて対向させることにより、先に述べたメカクランプ機構1と噛み合う受容穴29とともにグリッパアーム収容空間30を形成している。そして、図6,7のほか図8,9に示すように、そのグリッパアーム収容空間30には、対向配置されて且つ開閉可能な一対のプレート状のグリッパアーム31ととともに双方のグリッパアーム31が共有することになるバー状の中間レバー32を収容してあり、各グリッパアーム31は中間レバー32に対してヒンジピン33にて揺動可能に連結してある。なお、受容穴29の奥部には、図7に示すようにメカクランプ機構1側のスリーブ12のフランジ部12a(図4参照)に着座する着座面34を形成してある。
【0034】
また、各グリッパアーム31には略くの字状の溝カム35が形成してあり、この溝カム35を双方のグリッパブロック26,26間に掛け渡したガイドピン36に係合させてある。したがって、中間レバー32を後述するピストンロッド39とともにその軸心方向にスライド変位させることで、溝カム35とガイドピン36との相対変位のために一対のグリッパアーム31,31が開閉動作して、図10に示すようにその閉動作をもってメカクランプ機構1を把持する一方、図9に示すようにその開動作をもってメカクランプ機構1を解放することになる。
【0035】
図7のほか図9に示すように、グリッパシリンダ27は、シリンダチューブ37内に配置されたピストン38のほか、それと一体の中空状のピストンロッド39および二つの流出入ポート40,41を備えていて、ピストンロッド39の先端には先に述べた中間レバー32を連結してある。これにより、グリッパシリンダ27の伸縮作動に応じて一対のグリッパアーム31,31がメカクランプ機構1の把持動作もしくはその解放動作を行うことになる。
【0036】
他方、アンクランプシリンダ28はグリッパシリンダ27と同心状に配置してあり、シリンダチューブ42内に配置されたピストン43のほか、それと一体のピストンロッド44および二つの流出入ポート45,46を備えていて、ピストンロッド44は先に述べたグリッパシリンダ27側の中空状のピストンロッド39にスライド可能に内挿されている。そして、図11に示すように一対のグリッパアーム31,31がメカクランプ機構1を把持した状態でアンクランプシリンダ28を伸長動作させることにより、そのメカクランプ機構1の操作ピン19を押圧操作することが可能となっている。
【0037】
なお、図8において、47,48は各シリンダ27,28のエアの流出入ポートを切り換えるためのソレノイドバルブである。
【0038】
次に、上記のようなメカクランプ機構1およびグリッパ52の構造を前提として図2の溶接組立工程Sでの作業手順を図12〜15を参照しながら説明する。
【0039】
図1,2のほか図12の(A)に示すように、作業者Mはパレット50からアウタパネルPaとインナパネルPbをセットとして取り出した上でパネル置き台51に置き、予め手元に用意してあるメカクランプ機構1を用いて図1および図12の(A)の形態で双方のパネルPa,Pb同士を仮止めして、いわゆる仮止めパネル部品Waを仮組みする。このパネル置き台51上での作業者Mによる仮止め作業がいわゆる仮組み工程での作業となる。
【0040】
なお、後述するようにスポット溶接装置6にて溶接されたパネル部品Wから回収されたメカクランプ機構1がメカクランプ回収箱8に収容されていることから、作業者Mは予め複数ロット分のメカクランプ機構1をメカクランプ回収箱8から取り出して手元に用意しておくものとする。同時に、パネル置き台51の近くには先に述べたグリッパ52と同等の機能を有する可搬式の脱着工具を予め用意しておき、この脱着工具を使ってメカクランプ機構1によるパネルPa,Pb同士の仮止め、すなわち図4に示したようなメカクランプ機構1のアンクランプ動作とクランプ動作を行わせることが望ましい。
【0041】
一方、作業者Mの作業空間10に隣接する受け渡し位置10aには図12の(B)に示すようにグリッパ52を上向き姿勢としたハンド4が予め待機しており、作業者Mはパネル置き台51上にて仮組みした仮止めパネル部品Waをハンド4に移載して位置決めする。すなわち、この時にはハンド4側のグリッパ52は解放状態にあり、仮止めパネル部品Waに付帯しているそれぞれのメカクランプ機構1を対応するグリッパ52に受容させることでハンド4に対する仮止めパネル部品Waの一次的な位置決めがなされることになる。
【0042】
ハンド4に対する仮止めパネル部品Waの位置決め完了後、作業者Mがパネル置き台51の近くに設けてある押釦スイッチ53(図2参照)を押圧操作すると、ロボット5が起動して自律動作を開始する。ロボット5が自律動作を開始した以降は、それと並行して作業者Mは次のサイクルに備えるべく、パレット50からアウタパネルPaとインナパネルPbをセットとして取り出し、パネル置き台51上にてメカクランプ機構1を用いて上記と同様に双方のパネルPa,Pb同士を仮止めして、いわゆる仮止めパネル部品Waを仮組みする。
【0043】
上記のようにロボット5が起動すると、最初にハンド4のグリッパ52が把持動作することより、ハンド4は図12の(C)に示すようにそれぞれのメカクランプ機構1を被把持部としてグリッパ52にて仮止めパネル部品Waを把持する。この把持動作がいわゆる把持工程での作業となる。さらに、ロボット5は予めティーチングしてある軌跡データ通りに移動を開始し、最初に図2のほか図13に示すように仮止めパネル部品Waを把持しているハンド4を上下反転させた上でその仮止めパネル部品Waをスポット溶接装置6側に搬送する。そして、ロボット5によりスポット溶接装置6とハンド4側に把持されたままの仮止めパネル部品Waとの相対位置決めが完了すると、スポット溶接装置6はメカクランプ機構1による仮止め位置近傍にスポット溶接を施し、上記のような相対位置決めとスポット溶接とを仮止めパネル部品Waに付帯しているメカクランプ機構1の数だけ繰り返すことになる。ここでのスポット溶接がいわゆる溶接工程での作業となる。
【0044】
仮止めパネル部品Waに付帯しているメカクランプ機構1の数だけ上記のスポット溶接が施されると、その時点でアウタ,インナのパネルPa,Pb同士が不離一体の関係となるが故に仮止めパネル部品Waは製品たるパネル部品Wと化し、同時になおもパネル部品Wに付帯しているメカクランプ機構1はその機能を失うことになる。
【0045】
そこで、ロボット5は溶接済みのパネル部品Wを図2の台車7まで搬送した上、図13に示すようにハンド4にてメカクランプ機構1を把持したままの状態で、そのメカクランプ機構1を図4の(B)のようにアンクランプ動作させる。これにより、それまでのメカクランプ機構1による仮止め状態からパネル部品Wが解放されて、パネル部品Wはそのまま台車7に残されることになる。ここでの作業がいわゆる部品解放工程での作業となる。
【0046】
溶接後のパネル部品Wを台車7側に解放して移載したならば、ロボット5はハンド4を図2のメカクランプ回収箱8の真上に移動させ、図14の(A)に示すようにそれぞれのグリッパ52を解放動作させて、それまでのグリッパ52によるメカクランプ機構1の把持状態を解除する。ここでの作業が治具解放工程での作業となる。それに伴い、各メカクランプ機構1はメカクランプ回収箱8に自重落下して回収される。そして、メカクランプ回収箱8に回収されたメカクランプ機構1は繰り返し使用される。
【0047】
以上をもってロボット5のハンド4は図15のように全くの空荷状態となることから、そのハンド4を初期姿勢(図12の(B)の状態)に戻しながら図2の最初の受け渡し位置10aに移動させた上で停止する。以上をもってパネル部品Wの溶接のための1サイクルが終了する。
【0048】
なお、図2において、細実線の矢印は作業者Mの動きを、太実線の矢印はロボット5の動きを、白抜き矢印は仮止めパネル部品Waまたは溶接後のパネル部品Wの動きをそれぞれに示す。
【0049】
以上のような一連のスポット溶接装置6によるスポット溶接動作、メカクランプ機構1の仮止め解除(アンクランプ動作)によるパネル部品Wの解放動作、およびハンド4側のグリッパ52によるメカクランプ機構1の解放動作の間に、先に述べたようにパネル置き台51側において作業者Mにより次の仮組みパネル部品Waの仮組みが行われて待機していることから、受け渡し位置10aに戻ってきたハンド4に対して作業者Mが次の仮止めパネル部品Waを位置決めすることで次のサイクルに移行し、以降は上記にサイクルを繰り返すことになる。なお、溶接対象となるパネル部品Wの仕様が異なる場合には、ロボット5は必要に応じてハンド置き台9との間でハンド4の持ち替えを行うことになる。
【0050】
このように本実施の形態によれば、作業者Mとロボット5とが併存している溶接組立工程でありながら、作業者Mは仮止めパネル部品Waの仮組みとその供給を行う一方で、ロボット5は受け渡し位置10aからスポット溶接装置6への仮止めパネル部品Waの供給および取り出しだけでなく、それに続く台車7への溶接後のパネル部品Wの搬出・投入を行うようになっているので、例えば溶接後のパネル部品Wの搬出を、受け渡し位置10aにおいて溶接前の仮止めパネル部品Waの供給に先立って行う場合に比べて、サイクルタイムに占めるロボット稼働可能時間を長く確保することができ、ロボット5の能力を最大限に活用して効率的な生産を行えることになる。特に、パネル部品Wを構成することになるパネルのセット数が増えても、そのセット作業に要する時間はサイクルタイムに影響することはないから、一段と効率的な生産を行える。
【0051】
また、図2の溶接組立工程Sは最小限の設備にて構成されているので、ロボット5やスポット溶接装置6等を予め移動可能に据え付けておけば、例えば生産台数の変動等により溶接組立工程全体を移設することも容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の具体的な実施の形態として、仮止めパネル部品と仮止めクランプ治具であるロケート・クランプ機構との関係を示す断面説明図。
【図2】本発明が適用される溶接組立工程の概略平面説明図。
【図3】図1に示す仮止めパネル部品がロケート・クランプ機構を把持部としてロボットハンドに把持された状態を示す説明図。
【図4】図1,3に示すロケート・クランプ機構の詳細を示す図で、(A)はそのクランプ状態を示す断面図、(B)はそのアンクランプ状態を示す断面図。
【図5】図3のグリッパの概略構造を示す斜視図。
【図6】(A)は図5に示すグリッパの正面図、(B)は同図(A)の右側面図、(C)は同図(B)の下面図。
【図7】図6の(C)のA−A線に沿う断面説明図。
【図8】図5に示すグリッパの作動説明図。
【図9】図5に示すグリッパの作動を示す拡大説明図。
【図10】図5に示すグリッパの作動を示す拡大説明図。
【図11】図5に示すグリッパの作動を示す拡大説明図。
【図12】(A)〜(C)共に図3のロボットハンドにより仮止めパネル部品を把持するまでの過程を示す工程説明図。
【図13】ロボットハンドに把持された仮止めパネル部品と図2のスポット溶接装置との相対位置関係を示す説明図。
【図14】(A),(B)共に図12のロケート・クランプ機構からのパネル部品の解放動作と、それに続くグリッパからのロケート・クランプ機構の解放動作を示す工程説明図。
【図15】空荷状態となったロボットハンド側のグリッパの状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0053】
1…仮止めクランプ治具としてのロケート・クランプ機構(メカクランプ機構)
2…アーム
4…ロボットハンド
5…ハンドリングロボット
6…溶接手段としてのスポット溶接装置
7…パネル部品搬出用台車
8…メカクランプ回収箱
10a…受け渡し位置
50…パレット
51…パネル置き台
52…グリッパ
M…作業者
Pa…パネル要素としてのアウタパネル
Pb…パネル要素としてのインナパネル
W…パネル部品
Wa…仮止めパネル部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部品を構成することになる複数のパネル要素同士の相対位置決めを行うべくその複数のパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めし、
上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて複数のパネル要素を把持した上で、
上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と複数のパネル要素との相対位置決めを行いつつ溶接を施すことを特徴とする溶接方法。
【請求項2】
複数のパネル要素同士を溶接接合してパネル部品を組み立てる方法であって、
パネル要素同士の相対位置決めを行うべくそのパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めして仮止めパネル部品とする仮組み工程と、
上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて仮止めパネル部品を把持する把持工程と、
上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と仮止めパネル部品との相対位置決めを行った上で溶接を施してパネル部品とする溶接工程と、
溶接後に上記ハンドリングロボットの自律動作をもって仮止めクランプ治具による仮止め状態からパネル部品を解放する部品解放工程と、
パネル部品の解放に続いて上記ハンドリングロボットの自律動作をもってロボット自体による把持状態から仮止めクランプ治具を解放する治具解放工程と、
を含むことを特徴とする部品組立方法。
【請求項3】
先行するパネル部品の溶接工程から治具解放工程までの作業進捗と並行して、次なるパネル部品となるべき仮止めパネル部品の仮組み工程作業が別のステージにて実行されるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の部品組立方法。
【請求項4】
上記把持工程と、溶接工程、部品解放工程および治具解放工程でのそれぞれの作業が互いに独立した別のゾーンにて行われるように設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の部品組立方法。
【請求項5】
複数のパネル要素同士を複数の仮止めクランプ治具をもって仮止めするように設定されていて、ハンドリングロボットはその複数の仮止めクランプ治具を被把持部として仮止めパネル部品を把持するものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の部品組立方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの方法において、複数のパネル要素同士を仮止めした状態でそれらのパネル要素を搬送するハンドリングロボットであって、
パネル要素同士の仮止めを司る仮止めクランプ治具を被把持部としてパネル要素を把持するべく、その仮止めクランプ治具の把持とその解放とを行う脱着機能と、
把持した仮止めクランプ治具自体が仮止めしているパネル要素をその仮止めクランプ治具から少なくとも解放させるべく当該仮止めクランプ治具をアンクランプ動作させるパネル要素解放機能と、
を備えていることを特徴とするハンドリングロボット。
【請求項7】
ロボットハンドは、複数のパネル要素同士を仮止めする複数の仮止めクランプ治具の把持とその解放とが可能であり、
ハンドリングロボット自体は、仮止めクランプ治具を被把持部として把持したパネル要素の姿勢と位置を任意に変更可能であることを特徴とする請求項6に記載のハンドリングロボット。
【請求項1】
パネル部品を構成することになる複数のパネル要素同士の相対位置決めを行うべくその複数のパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めし、
上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて複数のパネル要素を把持した上で、
上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と複数のパネル要素との相対位置決めを行いつつ溶接を施すことを特徴とする溶接方法。
【請求項2】
複数のパネル要素同士を溶接接合してパネル部品を組み立てる方法であって、
パネル要素同士の相対位置決めを行うべくそのパネル要素同士を仮止めクランプ治具にて仮止めして仮止めパネル部品とする仮組み工程と、
上記仮止めクランプ治具を被把持部としてハンドリングロボットにて仮止めパネル部品を把持する把持工程と、
上記ハンドリングロボットの自律動作をもって溶接手段と仮止めパネル部品との相対位置決めを行った上で溶接を施してパネル部品とする溶接工程と、
溶接後に上記ハンドリングロボットの自律動作をもって仮止めクランプ治具による仮止め状態からパネル部品を解放する部品解放工程と、
パネル部品の解放に続いて上記ハンドリングロボットの自律動作をもってロボット自体による把持状態から仮止めクランプ治具を解放する治具解放工程と、
を含むことを特徴とする部品組立方法。
【請求項3】
先行するパネル部品の溶接工程から治具解放工程までの作業進捗と並行して、次なるパネル部品となるべき仮止めパネル部品の仮組み工程作業が別のステージにて実行されるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の部品組立方法。
【請求項4】
上記把持工程と、溶接工程、部品解放工程および治具解放工程でのそれぞれの作業が互いに独立した別のゾーンにて行われるように設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の部品組立方法。
【請求項5】
複数のパネル要素同士を複数の仮止めクランプ治具をもって仮止めするように設定されていて、ハンドリングロボットはその複数の仮止めクランプ治具を被把持部として仮止めパネル部品を把持するものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の部品組立方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの方法において、複数のパネル要素同士を仮止めした状態でそれらのパネル要素を搬送するハンドリングロボットであって、
パネル要素同士の仮止めを司る仮止めクランプ治具を被把持部としてパネル要素を把持するべく、その仮止めクランプ治具の把持とその解放とを行う脱着機能と、
把持した仮止めクランプ治具自体が仮止めしているパネル要素をその仮止めクランプ治具から少なくとも解放させるべく当該仮止めクランプ治具をアンクランプ動作させるパネル要素解放機能と、
を備えていることを特徴とするハンドリングロボット。
【請求項7】
ロボットハンドは、複数のパネル要素同士を仮止めする複数の仮止めクランプ治具の把持とその解放とが可能であり、
ハンドリングロボット自体は、仮止めクランプ治具を被把持部として把持したパネル要素の姿勢と位置を任意に変更可能であることを特徴とする請求項6に記載のハンドリングロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−69220(P2007−69220A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255910(P2005−255910)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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