説明

溶鋼の製造方法

【課題】溶銑を転炉で予備脱燐処理し、次いで、この溶銑に別の転炉で脱炭精錬を行って溶鋼を製造するにあたり、上吹きランスの流路内での発熱・燃焼を危惧することなく、高い着熱効率及び生産性で溶鋼を製造する。
【解決手段】精錬剤供給路と、第1の燃料供給路と、燃焼用ガス供給路と、脱燐用酸化性ガス供給路と、第2の燃料供給路と、を構成する第1の上吹きランス1を用い、第1及び第2の燃料供給路からの燃料により火炎を形成させながら、精錬剤供給路から不活性ガスともに酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質の1種以上を供給しながら脱燐用酸化性ガスを吹き付けて溶銑を予備脱燐処理し、次いで、溶銑を別の転炉に装入し、精錬用酸素ガス供給路と、燃料供給路とを有する第2の上吹きランスを用い、燃料供給路からの燃料により火炎を形成させながら、精錬用酸素ガス供給路から酸素ガスとともに粉状媒溶剤を供給して溶銑を脱炭精錬して溶鋼を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉から出銑された溶銑を転炉に装入してこの溶銑に予備脱燐処理を施し、次いで、この溶銑を転炉から出湯した後に別の転炉に装入し、この転炉で溶銑に脱炭精錬
を施すことによって、溶銑から溶鋼を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高炉で製造された溶銑を転炉で脱炭精錬して溶鋼を製造するにあたり、先ず、転炉で溶銑に対して予め脱燐処理(「予備脱燐処理」と呼ぶ)を行って溶銑中の燐を或る程度除去し、その後、この溶銑を別の転炉に装入して脱炭精錬を実施して、高炉で製造された溶銑から溶鋼を溶製する方法が行われている。この方法は、溶銑から溶鋼への全精錬工程におけるスラグ発生量を削減することができる、或いは、転炉での脱炭精錬では安価なマンガン鉱石をマンガン源として利用することができるなどの理由から、急速に発展している。
【0003】
また、環境保護の観点から、鉄鋼製造工程におけるCO排出量の削減が急務となっており、製鋼工程においては、鉄源として鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を増加することが試みられている。この試みがなされる理由は、鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCOを排出するのに対し、鉄スクラップなどの冷鉄源は溶解熱のみを必要としており、製鋼工程で冷鉄源を利用した場合には、エネルギー使用量及びCO発生量を少なくすることができるからである。
【0004】
但し、高炉−転炉の組み合わせからなる鉄鋼製造工程では、冷鉄源の溶解用熱源は、溶銑の有する顕熱、溶銑中の炭素及び珪素の燃焼熱が主体であり、本来、多量の冷鉄源を溶解することはできない。しかも、溶銑に対して予備脱燐処理が実施されるようになり、処理工程の追加に伴う溶銑温度の低下のみならず、溶銑中の炭素及び珪素が予備脱燐処理で酸化されてそれらの濃度が減少することは、冷鉄源の溶解に対して不利な要因になっている。
【0005】
そこで、予備脱燐処理や転炉脱炭精錬において、溶銑及び溶鋼の熱余裕を高める多数の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、予備脱燐処理中の生成スラグ中に炭素源を添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込んで前記炭素源を燃焼させ、この燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が提案されている。
【0006】
特許文献2には、精錬容器内の溶銑に上吹きランスから酸素ガスとともに鉄スクラップ粉、合金鉄粉、生石灰粉などの伝熱媒体を吹き込み、この伝熱媒体を、二次燃焼率を10〜50%に調整した二次燃焼の火炎で加熱し、加熱した伝熱媒体で溶銑を加熱する方法が提案されている。
【0007】
また、特許文献3には、酸素噴出用主孔と、該主孔から噴出する酸素ガスの供給流路とは独立し、且つ、燃料ガス、酸素ガス及び精錬用フラックスを同時に噴出できるフラックス供給用副孔とを有する5重管の上吹きランスを用い、酸素ガス噴流と独立して副孔先端で火炎を形成させながら、該火炎中に精錬用フラックスを通過させて該精錬用フラックスの滓化を促進させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−20913号公報
【特許文献2】特開2001−323312号公報
【特許文献3】特開平11−80825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
【0010】
即ち、特許文献1では、生成スラグ中に炭素源を添加することで、溶銑温度は上昇するが、炭素源に含有される硫黄の混入を招き、鋼中の硫黄濃度が高くなる。また、炭素源の燃焼時間を確保するために精錬時間が長くなり、製造コストが上昇するという問題がある。また更に、炭素源を燃焼させることから、CO2の発生量が自ずと増加するという問題もある。
【0011】
特許文献2では、二次燃焼率を伝熱媒体の供給速度に応じて制御する必要があり、これを実現する手段として、排ガスの分析結果に基づいて二次燃焼率を求めつつ上吹きランスのランス高さを調整する方法が示されている。一般に、ランス高さを大きくすると、上吹きランスからの酸素噴流に同伴される雰囲気ガス(主にCOガス)の量が増加し、二次燃焼率は高くなり、逆に、ランス高さを小さくすると、二次燃焼率は低くなる。つまり、特許文献2のように、二次燃焼率を高くすると、脱炭速度が低下して脱炭精錬時間が長くなるという問題が起こる。
【0012】
特許文献3では、同心円形状に配置した5重管の上吹きランスを用いており、つまり、中心部側から外部側に向かって、1.副孔酸素ガス及び精錬剤の流路、2.燃料ガスの流路、3.主孔酸素ガスの流路、4.冷却水の流路、5.冷却水の流路で構成される上吹きランスを用いており、副孔酸素ガス及び精錬剤の流路と燃料ガスの流路とを、ランス先端部で合流させ、燃焼火炎を形成させている。また、副孔酸素ガスと精錬剤とは、ランスの上部で合流させるが、合流する前は精錬剤の搬送用ガスとしてArガスなどの不活性ガスを使用している。尚、冷却水の流路が2つ存在するのは、冷却水は循環しており、一方が給水流路で他方が排水流路である。
【0013】
従って、副孔酸素ガス及び精錬剤の流路を通過する物質は、酸素ガス、Arガスなどの不活性ガス及び精錬剤となる。ここでの問題は、1つの流路を、酸素ガスと金属や炭素分を含有する精錬剤(酸化鉄、鉄鉱石、製鉄所発生ダストなど)とが通過することである。即ち、ランス内の前記流路を通過する際に、精錬剤と流路壁(通常は鋼製)との摩擦によって火花が発生したり、酸素ガスと精錬剤の一部とが反応したりして、流路内で発熱・燃焼する虞があり、設備の安全管理上に問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を転炉で予備脱燐処理し、次いで、この溶銑を転炉から出湯した後に別の転炉に装入して脱炭精錬を行い、かくして溶銑から溶鋼を製造するにあたり、上吹きランスの流路内での発熱・燃焼を危惧することなく、着熱効率及び生産性に優れ、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることのできる溶鋼の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)粉状精錬剤供給流路と、第1の燃料供給流路と、燃料を燃焼する燃焼用酸化性ガス供給流路と、脱燐精錬用酸化性ガス供給流路と、第2の燃料供給流路と、を有する第1の上吹きランスを用い、前記第1の燃料供給流路から燃料を供給すると同時に前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して第1の上吹きランスの先端下方に火炎を形成させるとともに、前記第2の燃料供給流路から燃料を供給すると同時に前記脱燐精錬用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給し、該脱燐精錬用酸化性ガス供給流路から供給される酸化性ガスの一部で前記第2の燃料供給流路から供給される燃料を燃焼させて上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、前記粉状精錬剤供給流路から、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上の粉状精錬剤を、不活性ガスを搬送用ガスとして転炉内の溶銑浴面に向けて供給するとともに、前記脱燐精錬用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを溶銑浴面に向けて供給して、転炉内の冷鉄源の添加された溶銑を予備脱燐処理し、次いで、得られた予備脱燐処理後の溶銑を別の転炉に装入し、脱炭精錬用酸素ガス供給流路と、燃料供給流路と、を有する第2の上吹きランスを用い、前記燃料供給流路から燃料を供給すると同時に前記脱炭精錬用酸素ガス供給流路から酸素ガスを供給し、該脱炭精錬用酸素ガス供給流路から供給される酸素ガスの一部で前記燃料を燃焼させて第2の上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、前記脱炭精錬用酸素ガス供給流路から粉状の媒溶剤を酸素ガスとともに転炉内の溶銑浴面に向けて供給して、転炉内の冷鉄源の添加された溶銑を脱炭精錬し、かくして溶銑から溶鋼を製造することを特徴とする、溶鋼の製造方法。
(2)転炉に装入される溶銑及び冷鉄源の合計質量をヒートサイズと定義したとき、前記予備脱燐処理のヒートサイズが前記脱炭精錬のヒートサイズの2倍以上であることを特徴とする、上記(1)に記載の溶鋼の製造方法。
(3)前記酸化鉄は、高炉または前記転炉で発生するダストを含むことを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の溶鋼の製造方法。
(4)前記可燃性物質を燃焼させるために必要な可燃性物質燃焼酸素量を測定し、この測定した可燃性物質燃焼酸素量に相当する前記酸化性ガス量分、前記酸化性ガスの供給量を増加させることを特徴とする上記(1)ないし上記(3)のいずれか1つに記載の溶鋼の製造方法。
(5)前記第1の上吹きランスは、その横断面構造において中心側から、前記粉状精錬剤供給流路と前記第1の燃料供給流路と前記燃料を燃焼する燃焼用酸化性ガス供給流路と前記脱燐精錬用酸化性ガス供給流路と前記第2の燃料供給流路と、更に、冷却水の給水及び排水の2つの流路とから構成される7重管構造であることを特徴とする上記(1)ないし上記(4)のいずれか1つに記載の溶鋼の製造方法。
(6)前記第2の上吹きランスは、その横断面構造において中心側から、前記脱炭精錬用酸素ガス供給流路と前記燃料供給流路と、更に、冷却水の給水及び排水の2つの流路とから構成される4重管構造であることを特徴とする上記(1)ないし上記(5)のいずれか1つに記載の溶鋼の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、転炉における溶銑の予備脱燐処理において、上吹きランスから酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上からなる粉状精錬剤を転炉内の溶銑浴面に供給する際に、不活性ガスを搬送用ガスとして供給するので、粉状精錬剤が金属や炭素分を含有していても、上吹きランスの流路内での粉状精錬剤の発熱・燃焼を未然に防止することができる。また、予備脱燐処理及び転炉脱炭精錬において、粉状精錬剤或いは粉状媒溶剤を上吹きランスの先端下方に形成される火炎によって加熱しながら転炉内の溶銑に添加し、更に、予備脱燐処理においては脱燐精錬用酸化性ガスをも火炎によって加熱しながら転炉内の溶銑に吹き付けるので、火炎の熱が粉状精錬剤、脱燐精錬用酸化性ガス或いは粉状媒溶剤を介して溶銑に着熱し、溶銑の熱余裕が向上して溶銑の転炉での予備脱燐処理及び脱炭精錬において鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることが実現される。更に、予備脱燐処理のヒートサイズを脱炭精錬のヒートサイズの2倍以上とした場合には、1基の脱燐用転炉で2基以上の脱炭精錬用転炉との同期が可能となり、加えて予備脱燐処理でのヒートロスが大幅に低減し、冷鉄源の配合比率を更に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明において転炉内の溶銑を予備脱燐処理する際に用いる上吹きランスの概略拡大縦断面図である。
【図2】本発明において転炉内の溶銑を脱炭精錬する際に用いる上吹きランスの概略拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0019】
本発明において使用する溶銑は、高炉で製造された溶銑であり、この溶銑を溶銑鍋、トピードカーなどの溶銑搬送容器で受銑して、予備脱燐処理及び脱炭精錬を実施する転炉に搬送する。少ない石灰系媒溶剤の使用量で効率的に脱燐処理するために、予備脱燐処理前に溶銑中の珪素を予め除去(「溶銑の脱珪処理」という)することが好ましい。脱珪処理を行う場合には、溶銑の珪素含有量を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで低減させることが好ましい。溶銑の珪素含有量をこの範囲まで下げる手段としては、溶銑に酸素ガスまたは酸化鉄などの酸素源を供給し、これらの酸素源によって溶銑中の珪素を酸化させ、珪素を酸化物として除去する方法を用いることができる。脱珪処理を実施した場合には、脱珪処理時に生成したスラグを脱燐処理の前までに排滓する。
【0020】
このようにして得た溶銑に対して転炉において、先ず、予備脱燐処理を実施する。予備脱燐処理は、溶銑鍋またはトピードカーなどの溶銑搬送容器内でも行うことができるが、これらの溶銑搬送容器に比べてフリーボードが大きく、溶銑を強攪拌することが可能であり、これにより、冷鉄源の溶解能力が高いのみならず、少ない石灰系媒溶剤の使用量で迅速に脱燐処理を行うことができることから、本発明においては、転炉を使用して予備脱燐処理を実施する。使用する転炉としては、図示はしないが、炉底に底吹き羽口が設けられ、この底吹き羽口から窒素ガスやArガスなどを攪拌ガスとして転炉内の溶銑に吹き込むことのできる転炉であることが好ましい。溶銑を攪拌して、石灰系媒溶剤の滓化によって生成した溶銑上に存在するスラグと混合することで、脱燐反応が促進される。
【0021】
図1は、本発明において、転炉内の溶銑を予備脱燐処理する際に用いる上吹きランスの概略拡大縦断面図である。使用する上吹きランス(第1の上吹きランス)1は、図1に示すように、円筒状のランス本体2と、このランス本体2の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ3とで構成されており、ランス本体2は、最内管9、仕切内管10、内管11、中管12、仕切外管13、外管14、最外管15の同心円形状の7種の鋼管、即ち7重管構造であることが好ましい。
【0022】
最内管9の内部は、ランスチップ3のほぼ軸心位置に配置された粉状精錬剤噴射孔4と連通し、最内管9と仕切内管10との間隙は、前記粉状精錬剤噴射孔4の周囲に、円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する第1の燃料噴射孔5と連通し、仕切内管10と内管11との間隙は、前記第1の燃料噴射孔5の周囲に、円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃焼用酸化性ガス噴射孔6と連通している。また、内管11と中管12との間隙は、前記燃焼用酸化性ガス噴射孔6の周辺に複数個設置された脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7と連通している。この脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7は、噴射する脱燐精錬用の酸化性ガスを音速以上の流速で噴射させるために、その断面が、縮小する部分(「絞り部」という)と拡大する部分(「スカート部」という)との2つの円錐体で構成されるラバールノズルの形状を採っている。ラバールノズルにおいて、絞り部とスカート部との境界の最も断面積の小さい部位をスロートと称している。また、中管12と仕切外管13との間隙は、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7のスカート部で開口する第2の燃料噴射孔8と連通している。
【0023】
粉状精錬剤噴射孔4は、粉状の精錬剤を不活性ガスからなる搬送用ガスとともに吹き付けるためのノズル、第1の燃料噴射孔5は、火炎を形成する燃料を噴射するためのノズル、燃焼用酸化性ガス噴射孔6は、第1の燃料噴射孔5から供給される燃料を燃焼する酸化性ガスを噴射するためのノズル、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7は、脱燐精錬用の酸化性ガスを吹き付けるためのノズル、第2の燃料噴射孔8は、火炎を形成する燃料を噴射するためのノズルである。第2の燃料噴射孔8から供給される燃料は、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7から供給される酸化性ガスによって燃焼し、これにより、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7の下方に火炎が形成される。
【0024】
このように、最内管9の内部が粉状精錬剤供給流路となり、最内管9と仕切内管10との間隙が第1の燃料供給流路となり、仕切内管10と内管11との間隙が燃焼用酸化性ガス供給流路となり、内管11と中管12との間隙が脱燐精錬用酸化性ガス供給流路となり、中管12と仕切外管13との間隙が第2の燃料供給流路となっている。つまり、粉状の精錬剤が搬送用ガスとともに最内管9の内部を通り、プロパンガスや重油などの燃料が最内管9と仕切内管10との間隙を通り、燃料燃焼用酸化性ガスが仕切内管10と内管11との間隙を通り、脱燐精錬用酸化性ガスが内管11と中管12との間隙を通り、プロパンガスや重油などの燃料が中管12と仕切外管13との間隙を通っている。また、仕切外管13と外管14との間隙及び外管14と最外管15との間隙は、冷却水の給水流路または排水流路となっている。仕切外管13と外管14との間隙及び外管14と最外管15との間隙のうちの一方が給水流路で、他方が排水流路であり、どちらを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ3の位置で反転するように構成されている。尚、図1において、粉状精錬剤噴射孔4は、断面積が一定であるストレート形状のノズルであるが、ラバールノズル形状のノズルとしても構わない。
【0025】
上吹きランス1において、粉状精錬剤噴射孔4、第1の燃料噴射孔5及び燃焼用酸化性ガス噴射孔6が、上吹きランス1の先端部よりも、奥まった位置(へこんだ位置)で開口する理由は、粉状精錬剤噴射孔4から供給される粉状精錬剤が、第1の燃料噴射孔5から供給される燃料によって形成される火炎の中を確実に通るようにするためであり、これにより、燃料の燃焼熱を粉状精錬剤に効率良く着熱させる。
【0026】
この上吹きランス1を用いて溶銑を予備脱燐処理するにあたり、先ず、転炉内へ冷鉄源を装入する。使用する冷鉄源としては、製鉄所で発生する鋳片及び鋼板のクロップ屑や市中屑などの鉄スクラップ、磁力選別によってスラグから回収した地金、更には、冷銑、還元鉄などを使用することができる。冷鉄源の配合比率は、装入する全鉄源に対して5質量%以上とすることが好ましい(冷鉄源の配合比率(質量%)=冷鉄源配合量×100/(溶銑配合量+冷鉄源配合量))。冷鉄源の配合比率が5質量%未満では、生産性向上の効果が少ないのみならず、CO発生量の削減効果が少ないからである。冷鉄源の配合比率の上限は特に決める必要はなく、予備脱燐処理後の溶銑温度が目標範囲を維持できる上限まで添加することができる。
【0027】
転炉内への冷鉄源の装入後、溶銑を転炉内へ装入する。用いる溶銑としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。また、溶銑温度は1200〜1400℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
【0028】
溶銑の転炉内への装入後、溶銑を収容した転炉内に上吹きランス1を挿入し、上吹きランス1の第1の燃料噴射孔5から、プロパンガス、天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料、或いは、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を供給するとともに、燃焼用酸化性ガス噴射孔6から酸素ガスや空気などの燃焼用酸化性ガスを供給して、上吹きランス1の下方に火炎を形成させると同時に、上吹きランス1の粉状精錬剤噴射孔4から、粉状精錬剤として、鉄鉱石粉やミルスケールなどの酸化鉄粉、粉状の石灰系媒溶剤、コークス粉や廃プラスチック成形体粉などの可燃性物質のうちの1種以上を窒素ガスや希ガスを搬送用ガスとして溶銑浴面に吹き付ける。
【0029】
この場合、第1の燃料噴射孔5から供給される燃料と、燃焼用酸化性ガス噴射孔6から供給される酸化性ガスとは、上吹きランス半径方向の全方位で近接しているので、各々混合し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内に燃料濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス1の下方に火炎が形成される。粉状精錬剤噴射孔4から供給される粉状精錬剤は、形成される火炎の熱を受けて加熱または加熱・溶融し、加熱または溶融した状態で溶銑の浴面に吹き付けられる。
【0030】
また、同時に、第2の燃料噴射孔8から、プロパンガス、天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料、或いは、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を供給しながら、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7から脱燐精錬用の酸化性ガスを噴射する。この場合、第2の燃料噴射孔8は、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7のスカート部に開口しているので、第2の燃料噴射孔8から供給される燃料は、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7から供給される酸化性ガスと各々混合し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内に燃料濃度が達した時点で燃焼し、脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7の下方に火炎が形成される。この火炎によって脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7から噴射される脱燐精錬用の酸化性ガスは加熱され、高温の酸化性ガスが溶銑浴面に吹き付けられる。脱燐精錬用の酸化性ガスとしては、一般的には酸素ガスが使用されるが、空気や酸素富化空気、酸素ガスと希ガスとの混合ガスなどの酸素含有ガスであっても構わない。ここで、酸素ガスとは、工業用純酸素ガスであり、窒素ガスなどの不純物を5体積%程度含有するガスも工業用純酸素ガスと定義する。
【0031】
溶銑の予備脱燐処理は、溶銑に酸素ガスや酸化鉄などの酸素源を供給し、この酸素源中の酸素で溶銑中の燐を酸化して燐酸化物(P)を形成させ、この燐酸化物を石灰系媒溶剤の滓化によって生成するスラグ中に3CaO・P(=Ca(PO))なる安定形態で固定することによって行われる。この場合、石灰系媒溶剤の滓化が促進されるほど脱燐速度は速くなる。つまり、溶銑の予備脱燐処理においては、酸素ガスや酸化鉄などの酸素源と石灰系媒溶剤との供給が必須となる。
【0032】
粉状精錬剤噴射孔4から供給する粉状精錬剤として石灰系媒溶剤を使用した場合には、粉状精錬剤噴射孔4から供給される石灰系媒溶剤粉に燃料の燃焼熱が伝達され、加熱または加熱・溶融した石灰系媒溶剤粉が溶銑に供給される結果、燃料燃焼熱の溶銑への着熱効率が高くなり、溶銑の熱余裕が向上する。また、粉状精錬剤噴射孔4から溶銑浴面に吹き付けられた石灰系媒溶剤は直ちに滓化してスラグを形成し、その結果、供給される酸素源と溶銑中の燐とが反応して生成した燐酸化物は、底吹き羽口からの攪拌用ガスによって溶銑とスラグとが強攪拌されることも相まって、滓化したスラグに迅速に吸収され、溶銑の脱燐反応が速やかに進行する。
【0033】
粉状精錬剤噴射孔4から石灰系媒溶剤を供給しない場合には、転炉炉上ホッパーから転炉内に石灰系媒溶剤を上置き投入することとする。石灰系媒溶剤としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO)、焼成ドロマイト(CaO−MgO)などを使用することができる。生石灰に蛍石(CaF)またはアルミナ(Al)を滓化促進剤として混合したものを石灰系媒溶剤として使用することもできる。また、溶銑の脱炭吹錬工程で生成する転炉スラグ(CaO−SiO系スラグ)を石灰系媒溶剤の全部または一部として使用することもできる。
【0034】
粉状精錬剤噴射孔4から供給する粉状精錬剤として鉄鉱石粉やミルスケール粉などの酸化鉄粉を使用した場合には、酸化鉄は酸素源として機能し、溶鋼中の燐と反応して脱燐反応が進行する。また、粉状精錬剤噴射孔4から供給される酸化鉄粉に燃料の燃焼熱が伝達され、加熱または加熱・溶融した酸化鉄粉が溶銑に供給される結果、燃料燃焼熱の溶銑への着熱効率が高くなり、溶銑の熱余裕が向上する。また、酸化鉄が石灰系媒溶剤と反応して石灰系媒溶剤の表面にFeO−CaOの化合物が形成され、石灰系媒溶剤の滓化が促進され、脱燐反応が促進される。酸化鉄は、高炉または転炉で発生するダスト(高炉ダスト、転炉ダスト(「OGダスト」とも呼ぶ))を含むことが好ましい。酸化鉄としての高炉ダストや転炉ダストなどは、可燃性物質を一般に含有しており、このような高炉ダストや転炉ダストを使用した場合には、これらに含まれる可燃性物質が火炎により燃焼し、上記に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑の加熱に寄与する。即ち、高炉ダストや転炉ダストなどに代表される製鉄所発生ダストを、精錬剤及び燃料の一部として活用し得る。製鉄所発生ダスト中には金属鉄や炭素などの易酸化性物質が多量に含まれている。このため、転炉での予備脱燐処理において、これらの製鉄所発生ダスト中の易酸化性物質は、天然ガスなどの燃料による火炎中を通過する際に、加熱されて燃焼するので、この火炎の熱量を更に向上することが可能となる。加えて、製鉄所発生ダスト中の易酸化性物質は、粉状精錬剤の一部として機能する。また、酸化鉄としての製鉄所発生ダストは、いわゆる鉄鋼プロセス内で生じる副生成物である。このような副生成物を、それが生じた鉄鋼プロセス内で粉状精錬剤に再利用することによって、その粉状精錬剤の原料のコストを抑えることが可能となる。なお、酸素源として酸化鉄を使用した場合には、溶銑の温度が低下するので、冷鉄源の添加量に影響しないように、酸化鉄の添加量を考慮することが好ましい。
【0035】
可燃性物質を溶銑中に吹き込み添加する場合には、この可燃性物質の添加の前に、可燃性物質を燃焼させるために必要な可燃性物質燃焼酸素量を測定する。具体的には、公知の装置及び/または方法で、高炉ダストや転炉ダストなどを含む粉状精錬剤の組成物を分析し、各組成物中の可燃性物質の化学当量分が燃焼するために必要な酸素量を算出して、添加される可燃性物質の量に相当する酸素量を測定し、次いで、測定した可燃性物質燃焼酸素量に相当する酸化性ガス量分の酸化性ガスの供給量を増加させる。または、使用する製鉄所発生ダストの種類を予め決定しておけば、少なくとも、その種類の製鉄所発生ダストに含まれる可燃物質が燃焼するために必要な酸素量を決めておくこともでき、その必要な酸素量分、酸化性ガスの供給量を増加させることも可能である。
【0036】
このようにして、可燃性物質燃焼酸素量に相当する酸化性ガス量分の酸化性ガスの供給量を増加させることによって、より効率的に可燃性物質を燃焼させることができ、上吹きランスへ供給される酸化性ガスの供給量を、可燃性物質の酸化量、燃焼量を考慮した量とすることによって、可燃性物質の酸化熱及び燃焼熱を最大限に活用することができる。このため、可燃性物質中の金属鉄及び炭素は、それぞれ酸化鉄と、COまたはCOとに容易にかつ有効に酸化可能となる。これらの酸化反応は全て発熱反応であり、反応熱は、被酸化物、反応生成物、加えて同時に供給されるCaOなどの石灰系媒溶剤の加熱に有効に費やされ、溶銑の加熱と冷鉄源の溶解との促進に寄与する。更に、金属鉄の酸化により得られた酸化鉄は、固体酸素の一部として溶銑中の脱燐反応に有効に作用する。
【0037】
また、粉状精錬剤噴射孔4から供給する粉状精錬剤としてコークス粉や廃プラスチック成形体粉などの可燃性物質を使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、燃料の燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑の加熱に寄与し、溶銑の熱余裕が向上する。粉状精錬剤噴射孔4から供給する粉状精錬剤として、酸化鉄、石灰系媒溶剤及び可燃性物質を混合したものを使用する場合には、それぞれの効果を並行して得ることができる。
【0038】
脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔7から溶銑に吹き付けられる酸化性ガスは加熱されており、また、粉状精錬剤噴射孔4から溶銑に供給される粉状精錬剤は加熱または加熱・溶融しており、従って、これらの熱が溶銑に伝達し、更には、溶銑の上方に存在する2つの火炎の燃焼熱が溶銑に伝達することから、溶銑が激しく攪拌されることも相まって、溶銑中の冷鉄源の溶解が促進される。即ち、装入した冷鉄源の溶解が予備脱燐処理の期間中に終了する。
【0039】
このようにして溶銑を予備脱燐処理し、溶銑の燐濃度が目的とする値かそれ以下になったなら、上吹きランス1から溶銑への全ての供給を停止して予備脱燐処理を終了する。予備脱燐処理後、転炉を傾動させて予備脱燐処理の施された溶銑を、取鍋や転炉装入鍋などの溶銑保持容器に出湯する。溶銑の出湯後、炉内のスラグを滓ポットなどに排出する。
【0040】
転炉内の溶銑をこのようにして予備脱燐処理することで、燃料燃焼熱の溶銑への着熱効率が高くなり、溶銑の熱余裕が向上する。従って、この熱余裕の向上に応じて、鉄スクラップなどの冷鉄源を溶銑に配合することが可能となる。
【0041】
その後、溶銑保持容器に出湯された溶銑を、上吹きランス1とは別の上吹きランス(第2の上吹きランス)を備えた、図1と同様の構成を有する転炉設備の別の転炉に装入し、溶銑に対して脱炭精錬を実施する。図2に、本発明において、転炉内の溶銑を脱炭精錬する際に用いる上吹きランスの概略拡大縦断面図を示す。転炉では、上吹きランスから酸素ガスを供給して脱炭精錬を行うが、本発明では、この脱炭精錬においても、上吹きランスの下方に燃料の燃焼による火炎を形成し、この火炎の熱を炉内の溶銑に着熱させる。脱炭精錬で使用する転炉も、その炉底に底吹き羽口が設けられ、この底吹き羽口から窒素ガスやArガスなどを攪拌ガスとして転炉内の溶銑に吹き込むことのできる転炉であることが好ましい。
【0042】
使用する上吹きランス21は、図2に示すように、円筒状のランス本体22と、このランス本体22の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ23とで構成されており、ランス本体22は、最内管26、内管27、中管28、外管29の同心円形状の4種の鋼管、即ち4重管構造であることが好ましい。最内管26の内部は、ランスチップ23の先端部中心に対して同一円周方向に等間隔で配置された複数個の脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24と連通している。この脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24は、噴射する酸素ガスを音速以上の流速で噴射させるためにラバールノズルの形状を採っている。一方、最内管26と内管27との間隙は、脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24のスカート部で開口する燃料噴射孔25と連通している。脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24は、脱炭精錬用酸素ガスを噴射するためのノズルであり、燃料噴射孔25は、燃料を噴射するためのノズルである。
【0043】
即ち、最内管26の内部が脱炭精錬用酸素ガス供給流路となり、最内管26と内管27との間隙が燃料供給流路となっている。また、脱炭精錬用酸素ガス供給流路である最内管26からは、生石灰粉、ドロマイト粉などの粉状の媒溶剤を、脱炭精錬用酸素ガスを搬送用ガスとして吹き込むことができるように構成されている。媒溶剤は、酸化物、炭酸化物、フッ化物、塩化物から成るので、可燃物を含有せず、酸素ガスを搬送用ガスとしても、上吹きランス21の流路内で発熱・燃焼することはない。
【0044】
このように、脱炭精錬用の酸素ガスが粉状の媒溶剤とともに最内管26の内部を通り、プロパンガスや重油などの燃料が最内管26と内管27との間隙を通っている。また、内管27と中管28との間隙及び中管28と外管29との間隙は、冷却水の給水流路または排水流路となっている。内管27と中管28との間隙及び中管28と外管29との間隙のうちの一方が給水流路で、他方が排水流路であり、どちらを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ23の位置で反転するように構成されている。
【0045】
脱炭精錬の場合も、転炉には、予備脱燐処理で使用した冷鉄源と同類の冷鉄源を溶銑の装入の前に予め装入する。脱炭精錬工程における冷鉄源の溶解用熱源は、溶銑の顕熱と溶銑中の炭素濃度に依存しており、従って、前工程の予備脱燐処理工程における冷鉄源の配合比率を高く設定すると、この溶銑を使用した脱炭精錬工程では冷鉄源の配合比率を低く設定せざるを得ない。従って、脱炭精錬工程における冷鉄源の配合比率は、予備脱燐処理工程での配合比率と脱炭精錬工程での配合比率との合計値が8質量%以上となるように、予備脱燐処理工程での配合比率に応じて設定することが好ましい。冷鉄源の全体の配合比率が8質量%未満では、生産性向上の効果が少ないのみならず、CO発生量の削減効果が少ないからである。
【0046】
転炉に溶銑を装入したなら、溶銑を収容した転炉に上吹きランス21を挿入し、転炉底部の底吹き羽口からArガスなどを攪拌用ガスとして転炉内の溶銑に吹き込みながら、上吹きランス21の燃料噴射孔25から、プロパンガス、天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料、或いは、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を供給すると同時に、上吹きランス21の脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24から粉状媒溶剤とともに酸素ガスを溶銑浴面に吹き付ける。この場合、燃料噴射孔25は、脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24のスカート部に開口しているので、燃料噴射孔25から供給される燃料は、脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24から供給される酸素ガスと各々混合し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内に燃料濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス21の下方に火炎が形成される。
【0047】
脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24から供給される粉状の媒溶剤には、燃料噴射孔25から供給される燃料の燃焼熱が伝達され、加熱または加熱・溶融した粉状媒溶剤が溶銑に供給される結果、燃料燃焼熱の溶銑への着熱効率が高くなり、溶銑の熱余裕が向上する。これにより、冷鉄源の溶解が促進される。上吹きランス21から供給する粉状媒溶剤としては、石灰系媒溶剤(生石灰や石灰石)、マンガン鉱石、ドロマイト、転炉スラグなどを使用することができる。また、これらの副原料を全て上吹きランス21から供給することは必要ではなく、これらのうちの一部は、炉上ホッパーから上置き添加しても構わない。また更に、上吹きランス21からの供給と上置き添加とを併用しても構わない。
【0048】
脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24から供給される酸素ガスと溶銑中の炭素とが反応して、脱炭反応が進行する。脱炭反応が進行し、炭素濃度が目的とする値まで低下したなら、上吹きランス21からの鉄浴への全ての供給を停止して脱炭精錬を終了する。溶銑は脱炭精錬されて溶鋼が製造される。添加した冷鉄源は脱炭精錬の期間中に溶解する。製造した溶鋼は、取鍋に出鋼し、必要に応じてRH真空脱ガス装置などで二次精錬を施した後、連続鋳造機で鋳片に鋳造する。
【0049】
本発明で使用する脱炭精錬用の上吹きランス21は、粉状媒溶剤の添加量、添加タイミングを任意に調整できることを特徴とする。即ち、バーナー燃焼熱の伝熱媒体として粉状の媒溶剤を脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24より供給しているが、燃焼熱の伝熱を優先して粉状媒溶剤の添加量を増加すると媒溶剤が過剰となり、転炉内でのスラグ発生量の大幅増加に繋がる。また、脱炭精錬中の脱炭酸素効率は、精錬初期から上昇して精錬中期で最大となり、末期のC濃度の低下に伴って再び低下する。即ち、精錬初期には脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24から供給される酸素ガスによってFeOが生成するため、その時期にCaOを主体とする媒溶剤を添加することで、CaO−FetO融体が形成され、媒溶剤の滓化・溶融を促進することが可能となる(ここで、FetOとは、FeOやFeなどの鉄酸化物の総称である)。すなわち、FeOの生成速度に応じた媒溶剤の添加速度の調節が重要である。
【0050】
また、図1に示す上吹きランス1のように、ランスチップ3の中心部に、粉体、燃料ガス、燃焼用酸素ガスを噴射するためのノズル孔を配置すると、脱炭精錬では脱炭精錬用酸素ガスの供給が必須であることから、ランスチップ3の中心部のバーナー孔周囲に脱炭用酸素ガスの噴出孔を配置する必要がある。このような構成の上吹きランスを脱炭精錬に用いた場合、粉状媒溶剤の供給停止の際には、脱炭精錬中に発生する飛散溶湯(スプラッシュ、スピッテイング)の飛び込みを避けるために、多量の不活性ガスを粉状媒溶剤噴射孔に供給する必要がある。その結果、バーナー燃焼温度が低下するとともに不活性ガスのコスト上昇が問題となる。この問題を解決するために、本発明では脱炭精錬用の上吹きランスとして図2に示す4重管構造の上吹きランス21を開発した。4重管構造とすることで、任意に粉状媒溶剤の停止が可能になるとともに、脱炭精錬用酸素ガス噴射孔24からは常に脱炭精錬用の酸素ガスが噴射しているので、ランスチップ23のノズル孔への飛散溶湯の飛び込みの懸念がない。
【0051】
本発明では、転炉で予備脱燐処理を行い、その後、この溶銑を別の転炉に装入して脱炭精錬を行うが、予備脱燐処理及び脱炭精錬で転炉に装入する溶銑及び冷鉄源の合計質量をヒートサイズと定義したとき、予備脱燐処理のヒートサイズが脱炭精錬のヒートサイズの2倍以上であることが好ましい。つまり、予備脱燐処理後の溶銑の全体質量をそれぞれ1/2以下の質量に分湯し、分湯したそれぞれの溶銑を、4重管構造の上吹きランス21を備えた別の転炉にそれぞれ装入し、それぞれの溶銑に対して脱炭精錬を実施することが好ましい。
【0052】
予備脱燐処理のヒートサイズを脱炭精錬のヒートサイズの2倍以上とすることで、1基の脱燐用転炉で2基以上の脱炭精錬用転炉との同期が可能となる。また、予備脱燐処理のヒートサイズを脱炭精錬のヒートサイズの2倍以上とすると、予備脱燐処理でのヒートロスが大幅に低減する。このようにすることで予備脱燐処理でのヒートロスが低減する理由は、転炉のように、浴深さ(H)と炉内径(D)との比(H/D)が0.2程度の浅底の形状を有する場合には、ヒートサイズの増減率に比較して溶銑の炉壁耐火物との接触面積の増加率の方が小さいことに基づく。即ち、ヒートサイズが大きくなっても溶銑の耐火物との接触面積はそれほど大きくならないことから、ヒートロスが低減する。
【0053】
以上説明したように、本発明によれば、転炉における溶銑の予備脱燐処理において、上吹きランスから酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上からなる粉状精錬剤を転炉内の溶銑浴面に供給する際に、不活性ガスを搬送用ガスとして供給するので、粉状精錬剤が金属や炭素分を含有していても、上吹きランスの流路内での粉状精錬剤の発熱・燃焼を未然に防止することができる。また、予備脱燐処理及び転炉脱炭精錬において、粉状精錬剤或いは粉状媒溶剤を上吹きランスの先端下方に形成される火炎によって加熱しながら転炉内の溶銑に添加し、更に、予備脱燐処理においては脱燐精錬用酸化性ガスをも火炎によって加熱しながら転炉内の溶銑に吹き付けるので、火炎の熱が粉状精錬剤、脱燐精錬用酸化性ガス或いは粉状媒溶剤を介して溶銑に着熱し、溶銑の熱余裕が向上して溶銑の転炉での予備脱燐処理及び脱炭精錬において鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることが実現される。
【実施例】
【0054】
図1、2に示す上吹きランスを用いて、溶銑の予備脱燐処理及び脱炭精錬を行った。炉容量が2.5トンの上底吹き転炉を用いて、この転炉に溶銑及び鉄スクラップを装入して予備脱燐処理を行い、この予備脱燐処理後、溶銑を出湯し、この溶銑及び鉄スクラップを炉容量が2.5トンの別の上底吹き転炉に装入して脱炭精錬を行った(本発明例1)。以降、予備脱燐処理が行われる転炉を「脱燐炉」と呼び、脱炭精錬が行われる転炉を「脱炭炉」と呼ぶ。
【0055】
本発明例1と同様の寸法を有する脱燐炉と脱炭炉を用いたが、上吹きランスへ供給する粉状精錬剤の組成や、粉状精錬剤、燃料や酸化性ガスの流量などの条件を変更して、複数回、本発明例1と同じ組成の溶銑に対して予備脱燐処理及び脱炭精錬処理を行った(本発明例2〜4)。本発明例1、2では上吹きランスから可燃性物質を供給しなかった。また、本発明例3は上吹きランスから酸化性ガスの供給量を、可燃性物質の酸化量、燃焼量を考慮した量としなかったが、本発明例4では、この酸化性ガスの供給量を、燃焼量などを考慮した量とした。
【0056】
また、本発明例1とは炉容量が異なる5.0トン脱燐炉を用いて、この脱燐炉に、本発明例1と同じ組成の溶銑及び鉄スクラップを装入して予備脱燐処理を行い、この予備脱燐処理後、溶銑を出湯し、この溶銑を2等分に分湯した溶銑と鉄スクラップとを、本発明例1で使用した脱炭炉と同じ、炉容量が2.5トンの脱炭炉に装入して脱炭精錬を行った(本発明例5)。
【0057】
本発明例1〜5において脱燐炉で使用した上吹きランスは、図1に示す7重管構造の上吹きランスであり、第1の燃料噴射孔及び燃焼用酸化性ガス噴射孔は、円環のスリット状に開口するストレート型のノズルである。また、粉状の精錬剤を搬送用ガス(窒素ガス)とともに吹き付けるための粉状精錬剤噴射孔は、内径が11.5mmのストレート型のノズルであり、燃料を噴射するための第1の燃料噴射孔のスリット間隙は1.0mm、燃料を燃焼する酸素ガスを噴射するための燃焼用酸化性ガス噴射孔のスリット間隔は1.85mmである。また、脱燐精錬用の酸化性ガスを吹き付けるための脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔は、スロート径が7.0mmの3孔ラバールノズルであり、その中心軸がランス中心軸に対して15°の角度で傾斜している。また、この脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔のスカート部に開口する第2の燃料噴射孔は脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔の出口から20mmの位置に開口し、第2の燃料噴射孔の内径は2.0mmである。
【0058】
本発明例1〜5において脱炭炉で使用した上吹きランスは、図2に示す4重管構造の上吹きランスであり、脱炭精錬用の酸素ガスを吹き付けるための脱炭精錬用酸素ガス噴射孔は、スロート径が7.0mmの3孔ラバールノズルであり、その中心軸がランス中心軸に対して15°の角度で傾斜している。また、この脱炭精錬用酸素ガス噴射孔のスカート部に開口する燃料噴射孔は脱炭精錬用酸素ガス噴射孔の出口から20mmの位置に開口し、燃料噴射孔の内径は2.0mmである。
【0059】
本発明例1〜5において、脱燐炉では、鉄スクラップを装入した後、温度が1350℃の溶銑を装入した。次いで、本発明例1では、底吹き羽口からArガスを攪拌用ガスとして溶銑中に吹き込みながら、上吹きランスから、粉状精錬剤としての生石灰、燃料燃焼用の酸素ガス、燃料としてのプロパンガス、脱燐精錬用酸化性ガスとしての酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付けた。第1の燃料噴射孔及び第2の燃料噴射孔ともに燃料としてはプロパンガスを使用した。また、鉄スクラップの装入量は、予備脱燐処理終了時の溶銑温度が1400℃となるように調整した。生石灰は、炉内のスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が2.5となるようにその添加量を調整した。本発明例2では、粉状精錬剤として、生石灰に代えて、この生石灰と鉄鉱石との混合粉を溶銑浴面に向けて吹き付けた以外は、本発明例1と同様に予備脱燐処理を行った。本発明例5でも、本発明例1で用いた生石灰に代えて、粉状精錬剤として、生石灰と鉄鉱石との混合粉を溶銑浴面に向けて吹き付けた、本発明例1とは脱燐炉のヒートサイズが異なるため、その分燃料及び酸素ガス供給量を増加した以外は、本発明例1と同様に予備脱燐処理を行った。本発明例3では、粉状精錬剤として、生石灰とOGダストとの混合粉を溶銑浴面に向けて吹き付けた以外は、本発明例1と同様に予備脱燐処理を行った。本発明例4では、本発明例3と同様に、粉状精錬剤として、生石灰とOGダストとの混合粉を用いて予備脱燐処理を行ったが、粉状精錬剤に含まれる可燃性物質を燃焼させるために必要な可燃性物質燃焼酸素量を測定し、その酸素量を考慮して、酸素ガスの流量を増加させた以外は、本発明例1と同様に予備脱燐処理を行った。
【0060】
本発明例1〜5で使用した脱炭炉では、鉄スクラップを装入した後、予備脱燐処理を施した、温度が1350℃の溶銑を装入し、次いで、底吹き羽口からArガスを攪拌用ガスとして溶銑中に吹き込みながら、上吹きランスから、燃料としてプロパンガスを吹き付けると同時に、脱炭精錬用の酸素ガスとともに粉状造滓剤として生石灰粉を溶銑浴面に向けて吹き付けた。また、鉄スクラップの装入量は、脱炭精錬終了時の溶鋼温度が1680℃且つ溶鋼中炭素濃度が0.05質量%となるように調整した。生石灰は、炉内のスラグの塩基度が3.5となるようにその添加量を調整した。
【0061】
また、比較のために、本発明例1〜4で使用した脱燐炉において3重管の上吹きランス(精錬用酸素ガス流路と冷却水の給排水流路とを有する)を使用して、本発明例1で用いた溶銑と同じ条件の溶銑に対して予備脱燐処理を行い、この溶銑を用いて前記脱炭炉で3重管の上吹きランス(精錬用酸素ガス流路と冷却水の給排水流路とを有する)を使用して脱炭精錬を行う試験を実施した(比較例1)。比較例1では、予備脱燐処理終了時の溶銑中炭素濃度が3.3質量%になるように、予備脱燐処理中の溶銑に炭材を添加した。
【0062】
本発明例1〜5及び比較例1において、脱燐炉及び脱炭炉で使用した溶銑の組成を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
また、本発明例1〜5及び比較例1における脱燐炉及び脱炭炉での粉体吹き込み速度、プロパンガス吹き込み流量、酸素ガス吹き込み流量、底吹き攪拌ガス吹き込み流量及びランス高さを表2に示す。尚、表2において、脱炭精錬において上吹きランスから供給するプロパンガス流量を第2の燃料の欄に記載しているが、この燃料はラバールノズルのスカート部に開口するノズルから供給するので、脱燐処理の場合とをまとめて第2の燃料の欄に記載している。
【0065】
【表2】

【0066】
本発明例1〜5及び比較例1における操業条件(ヒートサイズ)及び操業結果(精錬時間、鉄スクラップ配合量)を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
<実施例の評価結果>
表3からも明らかなように、精錬時間及び鉄スクラップの配合比率を本発明例1と比較例1とで比較すると、本発明例1では精錬時間がほぼ同一であるにも拘わらず、鉄スクラップの配合比率を高くすることが可能であることが確認できた。即ち、本発明を適用することで、高効率で予備脱燐処理及び脱炭精錬を行うことが実現されることが確認できた。
【0069】
本発明例1と本発明例2とを比較すると、一般に鉄鉱石には酸化鉄が含まれており、本発明例2では、鉄鉱石を含む粉状精錬剤を上吹きランスに供給して予備脱燐処理を行っており、本発明例1と比べて精錬時間が短縮されると同時に、鉄スクラップの配合比率を更に高くすることが可能であることが確認できた。本発明例3では、OGダストを含む粉状精錬剤を上吹きランスに供給して予備脱燐処理を行っており、本発明例2と比べて、予備精錬時間の短縮及び鉄スクラップの配合比率の向上に悪影響を及ぼすことなく、鉄鋼プロセス内で生じる副生成物を再利用することが可能であることを確認できた。本発明例4では、粉状精錬剤に含まれる可燃性物質を燃焼させるために必要な可燃性物質燃焼酸素量分、酸素ガスの流量が増加しており、本発明例3と比べると、予備精錬時間が短縮されると同時に、鉄スクラップの配合比率を更に高くすることが可能であることが確認できた。本発明例5では、予備脱燐処理のヒートサイズが脱炭精錬のヒートサイズの2倍となっており、本発明例2に比べて予備精錬時間が短縮されると同時に、鉄スクラップの配合比率を更に高くすることが可能であることが確認できた。
【符号の説明】
【0070】
1 上吹きランス
2 ランス本体
3 ランスチップ
4 粉状精錬剤噴射孔
5 第1の燃料噴射孔
6 燃焼用酸化性ガス噴射孔
7 脱燐精錬用酸化性ガス噴射孔
8 第2の燃料噴射孔
9 最内管
10 仕切内管
11 内管
12 中管
13 仕切外管
14 外管
15 最外管
21 上吹きランス
22 ランス本体
23 ランスチップ
24 脱炭精錬用酸素ガス噴射孔
25 燃料噴射孔
26 最内管
27 内管
28 中管
29 外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状精錬剤供給流路と、第1の燃料供給流路と、燃料を燃焼する燃焼用酸化性ガス供給流路と、脱燐精錬用酸化性ガス供給流路と、第2の燃料供給流路と、を有する第1の上吹きランスを用い、
前記第1の燃料供給流路から燃料を供給すると同時に前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して第1の上吹きランスの先端下方に火炎を形成させるとともに、前記第2の燃料供給流路から燃料を供給すると同時に前記脱燐精錬用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給し、該脱燐精錬用酸化性ガス供給流路から供給される酸化性ガスの一部で前記第2の燃料供給流路から供給される燃料を燃焼させて上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、
前記粉状精錬剤供給流路から、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上の粉状精錬剤を、不活性ガスを搬送用ガスとして転炉内の溶銑浴面に向けて供給するとともに、前記脱燐精錬用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを溶銑浴面に向けて供給して、
転炉内の冷鉄源の添加された溶銑を予備脱燐処理し、
次いで、得られた予備脱燐処理後の溶銑を別の転炉に装入し、
脱炭精錬用酸素ガス供給流路と、燃料供給流路と、を有する第2の上吹きランスを用い、
前記燃料供給流路から燃料を供給すると同時に前記脱炭精錬用酸素ガス供給流路から酸素ガスを供給し、該脱炭精錬用酸素ガス供給流路から供給される酸素ガスの一部で前記燃料を燃焼させて第2の上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、前記脱炭精錬用酸素ガス供給流路から粉状の媒溶剤を酸素ガスとともに転炉内の溶銑浴面に向けて供給して、
転炉内の冷鉄源の添加された溶銑を脱炭精錬し、
かくして溶銑から溶鋼を製造することを特徴とする、溶鋼の製造方法。
【請求項2】
転炉に装入される溶銑及び冷鉄源の合計質量をヒートサイズと定義したとき、前記予備脱燐処理のヒートサイズが前記脱炭精錬のヒートサイズの2倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の製造方法。
【請求項3】
前記酸化鉄は、高炉または前記転炉で発生するダストを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶鋼の製造方法。
【請求項4】
前記可燃性物質を燃焼させるために必要な可燃性物質燃焼酸素量を測定し、この測定した可燃性物質燃焼酸素量に相当する前記酸化性ガス量分、前記酸化性ガスの供給量を増加させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶鋼の製造方法。
【請求項5】
前記第1の上吹きランスは、その横断面構造において中心側から、前記粉状精錬剤供給流路と前記第1の燃料供給流路と前記燃料を燃焼する燃焼用酸化性ガス供給流路と前記脱燐精錬用酸化性ガス供給流路と前記第2の燃料供給流路と、更に、冷却水の給水及び排水の2つの流路とから構成される7重管構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の溶鋼の製造方法。
【請求項6】
前記第2の上吹きランスは、その横断面構造において中心側から、前記脱炭精錬用酸素ガス供給流路と前記燃料供給流路と、更に、冷却水の給水及び排水の2つの流路とから構成される4重管構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の溶鋼の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−7117(P2013−7117A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51231(P2012−51231)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】