説明

火花点火式多気筒エンジンおよびその制御装置

【課題】 エンジン運転状況が変化する過渡時における、エンジン運転状況の変化に対するEGRガス流量およびEGR率の応答性を向上させることを課題とする。
【解決手段】 エンジン本体Eの燃焼室毎に2つの第1、第2分岐吸気ポート31、32および2つの第1、第2独立吸気通路を有している。EGRシステムの各気筒毎のガス導入ポート65〜68を、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室の各第2吸気バルブ34の上流側近傍で開口させることで、各気筒毎のEGRガス分配パイプから各気筒毎のガス導入ポート65〜68を経由して、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内にEGRガスが導入される。これにより、エンジン運転状況が変化する過渡時(スロットル開度変化時)における、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に供給される吸入吸気量の変化に対応した適切な量のEGRガスをエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に導入できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの一部をEGRガスとしてサージタンクよりも燃焼室側に形成される吸気ポートに直接還流させる排気ガス還流装置を備えた火花点火式多気筒エンジンおよびその制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、火花点火式多気筒エンジン(以下エンジンと略す)の燃焼室より排出される排気ガス中に含まれる有害物質(例えば窒素酸化物:NOx等)の低減、および燃費の向上を図るという目的で、排気ガスの一部であるEGRガスをエンジンの排気通路から吸気通路に還流させるための排気ガス還流管(EGRパイプ)を備えた排気ガス還流装置(EGRシステム)が公知である。
【0003】
EGRシステムは、EGRパイプのEGRガス通路を開閉するEGRガス流量制御弁(EGR制御弁)を備えている。そして、EGRシステムは、EGR制御弁の開度やスロットルバルブの開度をエンジンの運転状態の変化に対応して制御して、適切な量のEGRガスを新規吸入空気(新気)と共に燃焼室に導入することにより、燃焼室に吸入される全ガスの流量に対するEGRガスの流量の比であるEGR率を制御するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
このEGRシステムは、スロットルバルブを内蔵するスロットルボディとインテークマニホールドの上流側端部に接続されるサージタンクとの間にベンチュリが設置されている。そして、ベンチュリの通路壁面で、EGRパイプのEGRガス通路からエンジンの吸気通路にEGRガスを導入するEGRガス導入ポートが開口している。
【0004】
ここで、エンジンの運転状態が低負荷状態から高負荷状態に変化した場合と、低負荷状態で運転していたエンジンが停止した場合にEGR制御弁が開くように構成されている。また、スロットルバルブが大きく開いて負圧が減少するような状態であっても、吸入空気がベンチュリ内を高速で流れることにより、ベンチュリよりも燃焼室側の吸気通路内が負圧に保たれる。このため、スロットルバルブの開度が相対的に大きくなる高負荷運転時にもEGRガスを吸気通路内に導くことができるので、EGR率を向上させることができる。
【0005】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載のEGRシステムにおいては、EGRガスをエンジンの吸気通路に導入するEGRパイプのEGRガス流方向の下流端をスロットルバルブ直後のベンチュリに接続している。
この場合、エンジンの運転状態が変化する過渡時、例えばスロットル開度をアクセル操作量に対応した制御目標値(アイドル開度)まで徐々に絞る減速過渡時に、スロットル開度の変化に対応してエンジンの燃焼室に吸入される新気の流量(吸入空気量)が徐々に減少する。この吸入空気量の変化に伴って、EGRパイプのEGRガス通路からエンジンの吸気通路に導入されたEGRガスが、ベンチュリよりもEGRガス流方向の下流側に設置されるサージタンク内に残留する可能性がある。
【0006】
これにより、図2のタイミングチャートに示したように、スロットル開度の変化に対応して吸入空気量が減少し、この吸入空気量の変化に伴いEGRバルブ開度が減少したにも関わらず、新気と共に導入されるEGRガスの流量が、エンジンの運転状態に適さない過多の状態を引き起こす。これは、従来法で、EGRバルブ開度の変化後、サージタンク内に残留したEGRガス量の分だけ遅れて吸気管内のEGRガス量が変化することにより生じる。
【0007】
これにより、エンジンの運転状態が変化する過渡時、例えばスロットル開度変化時(減速過渡時)に、エンジンの燃焼室内のEGR率の変化が大きくなり、エンジンの運転状態に対応して設定される目標EGR率から実際の燃焼室内EGR率がずれてしまう。
したがって、エンジンの運転状態が変化する過渡時における、エンジンの運転状態の変化に対するEGRガス流量(またはEGR率)の応答性が悪化し、エミッションの悪化や、燃焼状態が不安定な状態に陥り易くなるという問題が生じる。
また、EGRガスの流量が過多の状態を引き起こした場合、エンジンの燃焼室に吸入される混合気に含まれる新気の流量が変化するため、その変化に起因してエンジンの回転速度が変動し、エンジン振動が大きくなるので、ドライバビリティが悪化するという問題が生じる。
【0008】
また、EGRガスをサージタンクに導入するタイプのEGRシステムにおいては、EGRガス導入ポートの設置位置によって、インテークマニホールドの各分岐吸気通路に分配されるEGRガスの流量がばらつく可能性がある。この場合、エンジンの気筒間のEGR率にばらつきが生じるため、そのばらつきによって気筒間のエンジン回転速度が変動し、エンジン振動が発生するという問題が生じる。
したがって、エンジンの運転状態が変化する過渡時において、エンジンの運転状態に適した量のEGR制御が困難となるので、ドライバビリティ、エミッションおよび燃費が悪化するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−101472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時における、エンジン本体の運転状態の変化に対する排気ガス流量またはEGR率の応答性を向上させることのできる火花点火式多気筒エンジンおよびその制御装置を提供することにある。また、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時において、エンジン本体の運転状態に適した量の排気ガスを各気筒毎の第2分岐吸気ポートを経由してエンジン本体の各気筒毎の燃焼室に還流させる排気ガス還流制御を実施することのできる火花点火式多気筒エンジンおよびその制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、排気ガス還流装置の排気ガス還流路に、エンジン本体より流出した排気ガスを、各気筒毎の第2分岐吸気ポートを経由して、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に分配供給する各気筒毎のガス分配通路を設けている。これらの各気筒毎のガス分配通路は、各気筒毎の第2分岐吸気ポートにそれぞれ接続される各気筒毎のガス導入ポートを有している。これにより、エンジン本体より流出した排気ガスは、各気筒毎のガス分配通路から各気筒毎のガス導入ポートを経由して、各気筒毎の第2分岐吸気ポートに導入される。
これによって、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に排気ガスを還流させる各気筒毎のガス導入ポートを、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に近づけることができる。したがって、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)における、エンジン本体の運転状態の変化に対する排気ガス流量またはEGR率の応答性を向上させることができる。
【0012】
また、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)において、エンジン本体の運転状態に適した量の排気ガスを各気筒毎の第2分岐吸気ポートを経由してエンジン本体の各気筒毎の燃焼室に還流させる排気ガス還流制御を実施することができる。
これによって、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に新気と共に導入される排気ガス流量が、エンジン本体の運転状態に適した量となるので、燃焼状態が不安定な状態に陥る不具合を抑制することができる。したがって、ドライバビリティ、エミッションおよび燃費を向上することができる。
【0013】
また、排気ガス還流装置は、各気筒毎のガス分配通路を流通する排気ガスの流量を調整する複数の排気ガス制御弁を有している。これらの排気ガス制御弁(各気筒毎の排気ガス制御弁)は、各気筒毎のガス分配通路にそれぞれ設置されている。これにより、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に導入する排気ガス流量またはEGR率をエンジン本体の各気筒毎に独立して制御することが可能となる。この場合、エンジン本体の気筒間の排気ガス流量またはEGR率にばらつきが生じる不具合を抑制できるので、エンジン本体の気筒間の回転速度変動が平滑化し、エンジン振動の発生を抑えることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、各気筒毎の第1分岐吸気ポートをそれぞれ開閉する複数の第1吸気バルブと、各気筒毎の第2分岐吸気ポートをそれぞれ開閉する複数の第2吸気バルブとを備えている。これにより、各気筒毎の第1分岐吸気ポートは、各気筒毎の第1吸気バルブを介して、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に接続(連通)されている。また、各気筒毎の第2分岐吸気ポートは、各気筒毎の第2吸気バルブを介して、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に接続(連通)されている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内で混合気に火花を点火する複数のスパークプラグを備えている。これらのスパークプラグ(各気筒毎のスパークプラグ)は、エンジン本体の各気筒毎に対応して設置されている。
請求項4に記載の発明によれば、エンジン本体に結合する吸気管を構成するダクトは、新気を一旦貯蔵するサージタンクを有している。このサージタンクは、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートよりも新気の流れ方向の上流側に設置されている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートは、サージタンクと比べてエンジン本体の各気筒毎の燃焼室の近傍に配置されている。これにより、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)に、エンジン本体より流出した排気ガスがサージタンク内に残留する不具合を防止できるので、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)において、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に還流される排気ガス流量またはEGR率が、エンジン本体の運転状態に適さない過多の状態を引き起こす不具合を防止することができる。
【0017】
また、エンジン本体より流出した排気ガスは、サージタンクと比べてエンジン本体の各気筒毎の燃焼室近傍に配置される各気筒毎の第2分岐吸気ポートに直接導入されるため、排気ガスの各気筒毎の燃焼室への分配性能が高まる。これにより、エンジン本体の気筒間の排気ガス流量またはEGR率にばらつきが生じる不具合を抑制できるので、エンジン本体の気筒間の回転速度変動が平滑化し、エンジン振動の発生を抑えることができる。したがって、ドライバビリティ、エミッションおよび燃費の向上を図ることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、各気筒毎の第2分岐吸気ポートを閉鎖することで、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内において吸気渦流(スワール流またはタンブル流)を生成する複数の吸気制御弁を備えている。これらの吸気制御弁(各気筒毎のスワール制御弁またはタンブル制御弁)は、各気筒毎の第2分岐吸気ポートにそれぞれ設置されている。 すなわち、複数の吸気制御弁を閉弁して各気筒毎の第2分岐吸気ポートを閉鎖することにより、各気筒毎の第1分岐吸気ポートのみから各気筒毎の燃焼室に新気が導入されるため、各気筒毎の燃焼室内において吸気渦流が生成される。
【0019】
このとき、複数の第1、第2インジェクタから各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート内に燃料噴射を行い、更に、各気筒毎の第2分岐吸気ポートに排気ガスを導入した場合には、上記の吸気渦流によって、均一に混ざった新気、燃料、排気ガスの混合気を形成することができるので、燃焼状態が不安定な状態に陥る不具合およびエンジン振動の発生を抑制することができる。
ここで、例えばインテークマニホールド等のダクトは、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートの上流端で、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートにそれぞれ独立して接続する各気筒毎の第1、第2独立吸気通路(分岐吸気通路)を有している。そして、複数の吸気制御弁(各気筒毎のスワール制御弁またはタンブル制御弁)を、各気筒毎の第2独立吸気通路(分岐吸気通路)にそれぞれ設置しても良い。
請求項7に記載の発明によれば、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートは、複数の吸気制御弁を閉弁して各気筒毎の第2分岐吸気ポートを閉鎖している時に、各気筒毎の第1分岐吸気ポートのみから各気筒毎の燃焼室に導入される新気の流れが各気筒毎の燃焼室内において吸気渦流(スワール流またはタンブル流)を形成するように設置されている。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、火花点火式多気筒エンジンの制御装置は、エンジン本体の運転状態を検出する検出手段を有している。この検出手段の検出値に基づいて、複数の吸気制御弁の開度制御を行う。
請求項9に記載の発明によれば、火花点火式多気筒エンジンの制御装置は、エンジン本体の運転状態を検出する検出手段を有している。この検出手段の検出値に基づいて、複数の排気ガス制御弁の開度制御を行う。
請求項10に記載の発明によれば、火花点火式多気筒エンジンの制御装置は、エンジン本体の運転状態を検出する検出手段を有している。この検出手段の検出値に基づいて、複数の第1、第2インジェクタの噴射制御を行う。
【0021】
ここで、検出手段として、エンジン本体の温度(例えばエンジン冷却水温度)を検出するエンジン温度検出手段を採用し、このエンジン温度検出手段の検出値に基づいて、複数の吸気制御弁の開度、複数の排気ガス制御弁の開度、複数の第1、第2インジェクタに与える噴射指令信号を制御可能な制御装置(制御ユニット)を設けても良い。
この場合、エンジン本体の温度(エンジン冷却水温度)が所定値以下の低温時に、複数の吸気制御弁を閉じ、複数の排気ガス制御弁を開くことにより、スロットルバルブを設置したダクトの吸気通路から導入される冷たい新気と混ざることなく、高温の排気ガスを各気筒毎の第2分岐吸気ポートに導入できる。このとき、複数の第2インジェクタのみから各気筒毎の第2分岐吸気ポート内に燃料を噴射することにより、低温時における燃料の気化を促進でき、冷間時の燃料の増量も不要となるので、エミッションおよび燃費の向上に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は火花点火式多気筒エンジンの制御装置(エンジン制御システム)を示した概略図で、(b)はECUを示した構成図である(実施例1)。
【図2】スロットル開度、吸入空気量、EGRバルブ開度、吸気管内EGRガス量、燃焼室内EGR率の変化を示したタイミングチャートである(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時における、エンジン本体の運転状態の変化に対する排気ガス流量またはEGR率の応答性を向上させるという目的を、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に排気ガスを還流させる各気筒毎のガス導入ポートを、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に近づけることで実現した。
また、エンジン本体の運転状態が変化する過渡時において、エンジン本体の運転状態に適した量の排気ガスを各気筒毎の第2分岐吸気ポートを経由してエンジン本体の各気筒毎の燃焼室に還流させる排気ガス還流制御を実施するという目的を、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に排気ガスを還流させる各気筒毎のガス導入ポートを、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に近づけることで実現した。
【実施例1】
【0024】
[実施例1の構成]
図1および図2は本発明の実施例1を示したもので、図1(a)はエンジン制御システムを示した図で、図1(b)はECUを示した図である。
【0025】
本実施例の火花点火式多気筒エンジンの制御装置(以下エンジン制御システムと言う)は、複数の気筒(第1〜第4気筒)を有する火花点火式多気筒エンジン(多気筒内燃機関:以下エンジン本体Eと言う)の吸気ポート(インテークポート)に再循環(還流)させる排気ガス還流装置(内燃機関のEGR制御装置:以下EGRシステムと言う)と、このEGRシステムをスロットル開度制御装置(電子スロットル装置)、吸気渦流発生装置、燃料供給装置および点火装置等の各システムと関連して制御するエンジン制御ユニット(ECU)10とを備えている。
【0026】
ここで、エンジン本体Eは、例えば自動車等の車両のエンジンルームに搭載されている。また、エンジン本体Eは、吸入空気(新気)またはEGRガスと燃料との混合気を、各気筒毎の燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーによりエンジン出力を発生する水冷式の直列4気筒ガソリンエンジンで、吸気行程、圧縮行程、燃焼(爆発)行程、排気行程の4つの行程(ストローク)を周期(サイクル)として繰り返す4サイクルエンジンが採用されている。
【0027】
エンジン本体Eは、複数の気筒(第1〜第4気筒)を有し、第1〜第4気筒が気筒配列方向に直列に配置されたシリンダブロックと、吸気管の下流端部(インテークマニホールド)および排気管の上流端部(エキゾーストマニホールド)が接続されるシリンダヘッドとを備えている。
エンジン本体Eのシリンダブロックの内部には、気筒配列方向(図1において図示左右方向)に4つの燃焼室が形成されている。また、シリンダブロックの各気筒の内部に形成されるシリンダボア内には、連接棒を介してクランクシャフトに連結されたピストンが、シリンダボアの中心軸線方向に摺動自在に支持されている。
【0028】
エンジン本体Eのシリンダヘッドには、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するようにスパークプラグ7が取り付けられている。このシリンダヘッドには、エンジン本体Eの各気筒毎に対応して2つの第1、第2インジェクタ(電磁式燃料噴射弁)8、9が取り付けられている。
エンジン本体Eには、各気筒毎の燃焼室内に吸入空気(新気)を導入するための吸気管と、各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを外部に排出するための排気管とが接続されている。
【0029】
吸気管は、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に吸入空気を供給するための吸気通路を形成するインテークダクト(吸気導入ダクト)である。この吸気管は、外気導入ダクト21、エアクリーナ22のエアクリーナケース、インテークパイプ、スロットルボディ23およびインテークマニホールド等を有している。
ここで、インテークマニホールドは、吸入空気の圧力脈動を低減するサージタンク24、およびこのサージタンク24の複数の空気出口部にそれぞれ接続する複数(各気筒毎)の吸気分岐管等を有するサージタンク一体型インテークマニホールドである。
【0030】
エアクリーナ22は、吸気管の最上流部に設置された外気導入ダクト21とインテークパイプ(またはスロットルボディ23)との間に接続されるエアクリーナケースを有している。このエアクリーナケースの内部には、外気導入ダクト21を経由して導入される外気中に含まれる不純物(塵や埃、砂等のダスト)を捕捉して取り除くエアクリーナエレメント(フィルタエレメント)が収容保持されている。
【0031】
サージタンク24の内部には、吸入空気(新気)を一旦貯蔵すると共に、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに接続する各吸気分岐管内に形成される各気筒毎の第1、第2独立吸気通路に吸入空気(新気)を分配供給するためのサージタンク室26が形成されている。このサージタンク24は、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート(後述する)よりも吸入空気(新気)の流れ方向(吸気流方向)の上流側に設置されている。 各気筒毎の吸気分岐管の内部には、サージタンク室26で分岐する各気筒毎の独立吸気通路が形成されている。各気筒毎の独立吸気通路は、エンジン本体Eの各気筒毎に対応して2つずつ形成され、吸気側隔壁(仕切り壁)によって各気筒毎の第1、第2独立吸気通路にそれぞれ区画されている。
【0032】
エンジン本体Eのシリンダヘッドの一方側に形成される各気筒毎の吸気ポート(インテークポート)には、吸気流方向の上流側から下流側に渡って、1つの燃焼室に対して2つの分岐吸気ポートが設けられている。
これらの分岐吸気ポートは、エンジン本体Eの各気筒毎に対応して2つずつ形成され、吸気側隔壁(仕切り壁)によって各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32にそれぞれ区画されている。
【0033】
各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32は、サージタンク24と比べてエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室の近傍に配置されている。そして、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32は、後述する各気筒毎のSCV5を閉弁して各気筒毎の第2分岐吸気ポート32を閉鎖している時に、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31のみから各気筒毎の燃焼室に導入される吸入空気(新気)の流れが各気筒毎の燃焼室内において吸気渦流(スワール流)を形成するように設置されている。
また、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32は、各気筒毎の第1、第2吸気ポート開口部(入口部)を介して、インテークマニホールドの各気筒毎の第1、第2独立吸気通路にそれぞれ接続されている。そして、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32は、各気筒毎の第1、第2独立吸気通路を経由して、サージタンク室26の分岐部(空気出口部、導出口)に接続されている。また、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32は、各気筒毎の第1、第2吸気ポート開口部(出口部)を介して、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室にそれぞれ接続されている。
【0034】
そして、エンジン本体Eのシリンダヘッドの一方側には、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31の吸気ポート開口部(燃焼室の壁面で開口した第1吸気ポート開口部)をそれぞれ開閉する複数(各気筒毎)の第1吸気バルブ33、および各気筒毎の第2分岐吸気ポート32の吸気ポート開口部(燃焼室の壁面で開口した第2吸気ポート開口部)をそれぞれ開閉する複数(各気筒毎)の第2吸気バルブ34が設けられている。
なお、各気筒毎の第1、第2吸気バルブ33、34は、ポペット型のインテークバルブが採用されている。
【0035】
エンジン本体Eのシリンダヘッドの他方側に形成される各気筒毎の排気ポート(エキゾーストポート)には、排気ガス流方向の上流側から下流側に渡って、1つの燃焼室に対して2つの分岐排気ポートが設けられている。
これらの分岐排気ポートは、エンジン本体Eの各気筒毎に対応して2つずつ形成され、排気側隔壁(仕切り壁)によって各気筒毎の第1、第2分岐排気ポート41、42にそれぞれ区画されている。
【0036】
各気筒毎の第1、第2分岐排気ポート41、42は、各気筒毎の第1、第2排気ポート開口部(入口部)を介して、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室にそれぞれ接続されている。また、各気筒毎の第1、第2分岐排気ポート41、42は、各気筒毎の第1、第2排気ポート開口部(出口部)を介して、エキゾーストマニホールドの各気筒毎の第1、第2独立排気通路にそれぞれ接続されている。そして、各気筒毎の第1、第2分岐排気ポート41、42は、各気筒毎の第1、第2独立排気通路を経由して、エキゾーストマニホールドの集合部45に接続されている。
【0037】
そして、エンジン本体Eのシリンダヘッドの他方側には、各気筒毎の第1分岐排気ポート41の排気ポート開口部(燃焼室の壁面で開口した第1排気ポート開口部)をそれぞれ開閉する複数(各気筒毎)の第1排気バルブ43、および各気筒毎の第2分岐排気ポート42の排気ポート開口部(燃焼室の壁面で開口した第2排気ポート開口部)をそれぞれ開閉する複数(各気筒毎)の第2排気バルブ44が設けられている。
なお、各気筒毎の第1、第2排気バルブ43、44は、ポペット型のエキゾーストバルブが採用されている。
【0038】
排気管は、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスを、排気浄化装置を経由して外部に排出するための排気通路を形成するエキゾーストダクト(排気導出ダクト)である。この排気管は、エキゾーストマニホールドおよびエキゾーストパイプ等を有している。
ここで、エキゾーストマニホールドは、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室および排気ポートに接続する複数(各気筒毎)の排気分岐管、および各気筒毎の排気分岐管の合流部である集合部(エキゾーストマニホールドの集合部)45等を有している。
各気筒毎の排気分岐管の内部には、エキゾーストマニホールドの集合部45で合流する各気筒毎の独立排気通路が形成されている。各気筒毎の独立排気通路は、エンジン本体Eの各気筒毎に対応して2つずつ形成され、排気側隔壁(仕切り壁)によって各気筒毎の第1、第2独立排気通路にそれぞれ区画されている。
【0039】
本実施例のEGRシステムは、エンジン本体Eの排気ガスの一部であるEGRガスをエンジン本体Eの各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に還流させるEGRガス還流制御(EGR制御)を行うシステムである。また、EGR制御中には、EGRガスの還流量が、エンジン本体Eの運転状態(エンジン運転状況)に対応した最適値となるように可変制御される。
このEGRシステムは、EGRガスを冷却水と熱交換して冷却するEGRクーラ51と、EGRガスをエンジン本体Eの吸気側に還流させる排気ガス還流管(EGRパイプ:EGRガス導入パイプ52、EGRガス導出パイプ53)と、EGRガス導出パイプ53のEGRガス流方向の下流側に設けられる複数の分岐部で分岐して各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に接続する複数(各気筒毎)のEGRガス分配パイプ(第1〜第4気筒のEGRガス分配パイプ)と、各気筒毎のEGRガス分配パイプ内に設置されて、各気筒毎のEGRガス分配パイプ内を流通するEGRガスの流量を調整する複数(各気筒毎)の排気ガス制御弁(排気ガス流量制御弁、EGR制御弁)とを備えている。
【0040】
EGRクーラ51は、EGRガス導入パイプ52から導入される高温のEGRガスと、エンジン本体Eのウォータジャケットから流入するエンジン冷却水(以下冷却水と略す)とを熱交換させることで、エンジン本体Eの吸気側に還流するEGRガスを所定の排気ガス温度以下に冷却する水冷式のEGRガス熱交換器である。このEGRクーラ51は、EGRガス導入パイプ52とEGRガス導出パイプ53との間に設置されている。
EGRパイプ(EGRガス導入パイプ52、EGRガス導出パイプ53)の内部には、エンジン本体Eの排気ポート(エキゾーストポート)よりも排気ガス流方向の下流側に設置されるエキゾーストマニホールドの集合部45からEGRクーラ51を経由して、サージタンク24よりも吸気流方向の下流側に設置される各気筒毎の第2分岐吸気ポート32にEGRガスを還流させるためのEGRガス還流路54、55が形成されている。
【0041】
各気筒毎のEGRガス分配パイプの内部には、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32を経由して、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内にEGRガスを分配供給する各気筒毎のEGRガス分配通路(第1〜第4気筒のEGRガス分配通路)61〜64が形成されている。各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64は、EGRガス還流路55に設けられる複数(各気筒毎)の分岐部から分岐している。また、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64は、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32にそれぞれ直接接続する各気筒毎のガス導入ポート(第1〜第4気筒のガス導入ポート)65〜68を有している。
各気筒毎のガス導入ポート65〜68は、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32の吸気ポート壁面、特にエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室の近傍の吸気ポート壁面で開口している。また、各気筒毎のガス導入ポート65〜68は、後述する各気筒毎のSCV5よりも燃焼室側の第2分岐吸気ポート32の吸気ポート壁面で開口している。
【0042】
各気筒毎の排気ガス制御弁は、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64を流通するEGRガスの流量を調整する各気筒毎のEGRガス制御バルブ(第1〜第4気筒のEGRガス制御バルブ:以下各気筒毎のEGRVと言う)1〜4、および各気筒毎のEGRV1〜4を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に付勢するリターンスプリング(またはデフォルトスプリング)等によって構成されている。
各気筒毎のEGRV1〜4は、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64に開閉自在に設置されている。各気筒毎のEGRV1〜4は、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32を経由して、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に導入されるEGRガスの流量をエンジン本体Eの各気筒毎に独立して個別に調整することが可能なバタフライ型またはポペット型のEGRガス流量制御バルブである。
各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトを開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するアクチュエータは、電力の供給を受けると駆動力を発生するモータ11〜14、およびこれらのモータ11〜14の出力軸の回転運動を各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトに伝達する動力伝達機構(例えば歯車減速機構)を含んで構成される電動アクチュエータである。
【0043】
モータ11〜14は、ECU10によって電子制御される各気筒毎のモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
ここで、例えばモータ11〜14に内蔵されるロータのコイルに電力の供給を受けると、各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトを駆動する駆動力を発生するモータ11〜14は、ECU10によって通電制御(駆動)されるように構成されている。
そして、ECU10は、各気筒毎のEGRV1〜4のバルブ開度を、電子スロットル装置、吸気渦流発生装置、点火装置、燃料供給装置(燃料噴射装置)等の各システムと関連して制御するように構成されている。
なお、エンジン本体Eの各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に連通する各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64内に各気筒毎のEGRV1〜4を有するEGRシステムの制御の詳細は後述する。
【0044】
本実施例の吸気渦流発生装置は、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内において横方向の旋回流(吸気渦流、スワール流)を発生させるシステムである。
この吸気渦流発生装置は、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32の通路断面積を所定値以下に絞ることで、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内においてスワール流を生成する複数の吸気制御弁(スワール制御弁)を備えている。
複数のスワール制御弁は、エンジン本体Eのシリンダヘッド(またはインテークマニホールド)の内部に設置されたスワールコントロールバルブ(以下各気筒毎のSCVと言う)5、各気筒毎のSCV5を支持固定する1本のシャフト、このシャフトを介して各気筒毎のSCV5を駆動するアクチュエータ、および各気筒毎のSCV5を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に付勢するリターンスプリング等によって構成されている。
【0045】
各気筒毎のSCV5は、サージタンク室26より分岐した各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に開閉自在に設置されている。各気筒毎のSCV5は、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32(または各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に連通する各気筒毎の第2独立排気通路)を閉鎖することで、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内においてスワール流を生成するバタフライ型のスワール制御バルブである。
各気筒毎のSCV5を支持固定する1本のシャフトは、各気筒毎のSCV5を串刺し状態となるように結合することで、全気筒のSCV5を連動可能(一括変更可能)に連結する1本の駆動軸である。
各気筒毎のSCV5のシャフトを開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するアクチュエータは、電力の供給を受けると駆動力を発生するモータ15、およびこのモータ15の出力軸の回転運動を各気筒毎のSCV5のシャフトに伝達する動力伝達機構(例えば歯車減速機構)を含んで構成される電動アクチュエータである。
【0046】
モータ15は、各気筒毎のEGRV1〜4を駆動するモータ11〜14と同様に、ECU10によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
ここで、例えばモータ15に内蔵されるロータのコイルに電力の供給を受けると、SCV5のシャフトを駆動する駆動力を発生するモータ15は、ECU10によって通電制御(駆動)されるように構成されている。
そして、ECU10は、各気筒毎のSCV5のバルブ開度を、電子スロットル装置、EGRシステム、点火装置、燃料噴射装置等の各システムと関連して制御するように構成されている。
なお、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に連通する各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に各気筒毎のSCV5を有する吸気渦流発生装置の制御の詳細は後述する。
【0047】
電子スロットル装置は、運転者のアクセル操作量に応じてモータ16を駆動して、スロットルバルブ6のバルブ角度に相当するスロットル開度を変更し、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に供給する吸入空気(新気)の流量(吸入空気量、吸気量)を可変制御することで、エンジン回転速度またはエンジン出力軸トルクをコントロールするシステム(内燃機関のスロットル開度制御装置)である。
電子スロットル装置は、吸気通路(スロットルボア)25を流通する吸入空気量を調整するバタフライ型のスロットルバルブ6、このスロットルバルブ6を支持固定するシャフト、このシャフトを介してスロットルバルブ6を駆動するアクチュエータ、内部にスロットルボア25が形成されたスロットルボディ23、およびスロットルバルブ6を閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するリターンスプリング(またはデフォルトスプリング)等によって構成されている。
【0048】
スロットルバルブ6は、エンジン本体Eの全気筒の燃焼室および全気筒の第1、第2分岐吸気ポート31、32に連通するサージタンク室26よりも吸気流方向の上流側に設けられるスロットルボア25に開閉自在に設置されている。
スロットルバルブ6のシャフトを開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するアクチュエータは、電力の供給を受けると駆動力を発生するモータ16、およびこのモータ16の出力軸の回転運動をスロットルバルブ6のシャフトに伝達する動力伝達機構(例えば歯車減速機構)を含んで構成される電動アクチュエータである。
【0049】
モータ16は、各気筒毎のEGRV1〜4を駆動するモータ11〜14や、各気筒毎のSCV5を駆動するモータ15と同様に、ECU10によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
ここで、例えばモータ16に内蔵されるロータのコイルに電力の供給を受けると、スロットルバルブ6のシャフトを駆動する駆動力を発生するモータ16は、ECU10によって通電制御(駆動)されるように構成されている。
そして、ECU10は、スロットルバルブ6のバルブ開度(スロットル開度)を、EGRシステム、点火装置、燃料噴射装置等の各システムと関連して制御するように構成されている。
【0050】
ここで、本実施例の点火装置は、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内の混合気がピストンの上昇に伴い圧縮された時に点火し、混合気を燃焼させるシステムである。
この点火装置は、混合気に点火するための高電圧を発生させるイグニッションコイル(点火コイル)、およびこの点火コイルで発生した高電圧の電流により火花を飛ばして混合気に点火する複数(各気筒毎)のスパークプラグ7等によって構成されている。
なお、各気筒毎のスパークプラグ7は、エンジン本体Eの各気筒毎に対応して設置されている。また、各気筒毎のスパークプラグ7は、エンジン本体Eのシリンダヘッドに、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するように取り付けられている。また、各気筒毎のスパークプラグ7は、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内で混合気に火花を点火する点火プラグである。
【0051】
ここで、本実施例の燃料噴射装置は、エンジン本体Eの各気筒毎のインテークポート内に燃料を噴射供給するシステムである。
この燃料噴射装置は、燃料タンクから汲み上げた燃料を加圧して吐出するフューエルポンプ(燃料ポンプ)、この燃料ポンプより吐出された高圧燃料を一時的に貯留するデリバリパイプ、およびこのデリバリパイプに貯留された高圧燃料をエンジン本体Eの各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32内に最適なタイミングで噴射する複数(各気筒毎)の第1、第2電磁式燃料噴射弁(第1、第2インジェクタ)8、9等によって構成されている。
デリバリパイプの内部には、燃料ポンプより吐出された高圧燃料を各気筒毎の第1、第2インジェクタ8、9に分配供給する燃料分配室が形成されている。
【0052】
各気筒毎の第1、第2インジェクタ8、9は、ECU10によって電子制御される各気筒毎の第1、第2インジェクタ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
なお、第1インジェクタ8は、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31内に燃料噴射を行うことが可能なように、エンジン本体Eのシリンダヘッドに取り付けられている。また、第2インジェクタ9は、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に燃料噴射を行うことが可能なように、エンジン本体Eのシリンダヘッドに取り付けられている。
各気筒毎の第1インジェクタ駆動回路は、ECU10から噴射指令信号が与えられている間、各気筒毎の第1インジェクタ8に対して個別にインジェクタ駆動電圧(駆動電流)を供給する。また、各気筒毎の第2インジェクタ駆動回路は、ECU10から噴射指令信号が与えられている間、各気筒毎の第2インジェクタ9に対して個別にインジェクタ駆動電圧(駆動電流)を供給する。
【0053】
ECU10には、電子スロットル装置、吸気渦流発生装置およびEGRシステムの各モータ駆動回路、燃料ポンプ駆動回路、各気筒毎の第1、第2インジェクタ駆動回路、点火回路、A/D変換回路、入出力回路(I/Oポート)およびマイクロコンピュータが設けられている。
マイクロコンピュータは、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造を備えている。
【0054】
そして、マイクロコンピュータには、エンジンを冷却する冷却水の温度(冷却水温、内燃機関の機関温度、エンジン温度)を検出する冷却水温度センサ(エンジン温度検出手段)71、吸入空気(新気)の流量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ、吸入空気(新気)の温度を検出するための吸気温度センサ、スロットルバルブ6よりも吸気流方向の下流側の吸気管負圧(吸気圧力)を検出する吸気圧力センサ、およびエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスの状態(空燃比等)を検出する排気ガスセンサ(空燃比センサ、酸素センサ)等が接続されている。
【0055】
また、マイクロコンピュータには、エンジン本体Eのクランクシャフトの回転角度を検出するクランク角度センサ72、アクセルペダルの踏み込み量(エンジン負荷を表すアクセル開度)を検出するアクセル開度センサ73、スロットルバルブ6のバルブ開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ74、各気筒毎のSCV5のバルブ開度を検出するSCV開度センサ、および各気筒毎のEGRV1〜4のバルブ開度を個別に検出する複数のEGRV開度センサ等が接続されている。
これらの各種センサからのセンサ出力信号は、A/D変換回路でA/D変換された後に、I/Oポートを経てマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0056】
なお、冷却水温度センサ71、クランク角度センサ72、アクセル開度センサ73、スロットル開度センサ74、エアフローメータ、吸気温度センサおよび吸気圧力センサ等によって、エンジン本体Eの運転状態(エンジン運転状況)を検出する運転状態検出手段が構成される。
そして、これらの各種センサからのセンサ出力信号は、マイクロコンピュータのメモリに格納された制御プログラムまたは制御ロジックの制御周期毎に繰り返し読み込まれる。 ここで、ECU10は、アクセル開度センサ73より出力されるアクセル開度信号と、スロットル開度センサ74より出力されるスロットル開度信号との偏差がなくなるように、スロットルバルブ6のシャフトを駆動するモータ16への供給電力をフィードバック制御している。
【0057】
また、ECU10は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、メモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づいて、各気筒毎のEGRV1〜4のモータ11〜14、各気筒毎のSCV5のモータ15、スロットルバルブ6のモータ16を通電制御すると共に、点火装置(イグニッションコイル、スパークプラグ7)および燃料噴射装置(燃料ポンプ、各気筒毎の第1、第2インジェクタ8、9)を駆動するように構成されている。これにより、エンジン本体Eの運転中に、スロットル開度(吸入空気量)、EGR率、燃料噴射量、燃料噴射時期、空燃比、点火時期等が各々制御指令値(制御目標値)となるように制御される。また、ECU10は、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、メモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づく、スロットル開度制御、燃料噴射制御、点火制御、空燃比制御、EGR制御、吸気流制御等が強制的に終了されるように構成されている。
【0058】
ここで、冷却水温度センサ71は、本発明の検出手段に相当するもので、エンジン本体Eをエンジン冷却水を用いて冷却するためにシリンダボアを取り囲むように形成されたウォータジャケットを流通するエンジン冷却水の温度を検出する。
また、ECU10は、冷却水温度センサ71によって検出された冷却水温度(冷却水温度センサ71の検出値)に基づいて、各気筒毎のEGRV1〜4のバルブ開度制御(EGR制御)を行うように構成されている。
具体的には、冷却水温度センサ71より出力されるセンサ出力信号(冷却水温度信号)が所定値(例えば40℃)以下の時に各気筒毎のEGRV1〜4を開く。また、冷却水温度センサ71より出力されるセンサ出力信号(冷却水温度信号)が所定値(例えば40℃)よりも高温の時に各気筒毎のEGRV1〜4を一律に閉じる。
【0059】
また、ECU10は、上記の運転状態検出手段によって検出されるエンジン運転状況に対応して最適な制御指令値(目標EGR率)を演算し、この目標EGR率と実際のEGR率との偏差がなくなるように、各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトを駆動するモータ11〜14への供給電力をフィードバック制御している。
また、ECU10は、冷却水温度センサ71によって検出された冷却水温度(冷却水温度センサ71の検出値)に基づいて、各気筒毎のSCV5のバルブ開度制御を行うように構成されている。
具体的には、冷却水温度センサ71より出力されるセンサ出力信号(冷却水温度信号)が所定値(例えば40℃)以下の時に各気筒毎のSCV5を閉じる。また、冷却水温度センサ71より出力されるセンサ出力信号(冷却水温度信号)が所定値(例えば40℃)よりも高温の時に各気筒毎のSCV5を開く。
【0060】
また、ECU10は、冷却水温度センサ71によって検出された冷却水温度(冷却水温度センサ71の検出値)に基づいて、複数の第1インジェクタ8および複数の第2インジェクタ9のコイルに与える噴射指令信号の制御(複数の第1、第2インジェクタ8、9の噴射制御)を行うように構成されている。
具体的には、冷却水温度センサ71より出力されるセンサ出力信号(冷却水温度信号)が所定値(例えば40℃)以下の時に複数の第1インジェクタ8の燃料噴射を中止し、複数の第2インジェクタ9のみから燃料噴射を行う。また、冷却水温度センサ71より出力されるセンサ出力信号(冷却水温度信号)が所定値(例えば40℃)よりも高温の時に複数の第1、第2インジェクタ8、9から燃料噴射を行う。
【0061】
ここで、クランク角度センサ72は、エンジン本体Eのクランクシャフトに取り付けられたNEタイミングロータ(図示せず)の外周に対向するように設けられている。そのNEタイミングロータの外周面には、所定角度毎に凸状歯が複数個配置されている。そして、クランク角度センサ72は、エンジン本体Eのクランクシャフトの回転角度を検出する電磁ピックアップよりなり、NEタイミングロータの各凸状歯がクランク角度センサ72に対して接近離反することにより、電磁誘導によってパルス状の回転位置信号(NE信号パルス)が出力される。例えば30°CA(クランク角度)毎にNE信号パルスを出力する。
なお、マイクロコンピュータは、クランク角度センサ72から出力されるNE信号パルスの間隔時間を計測することによって、エンジン回転速度(エンジン回転数:NE)を検出する回転速度検出手段としての機能を有している。
【0062】
また、マイクロコンピュータは、エンジン本体Eの運転中(例えばアイドル運転時)に、エンジン本体Eの各気筒の爆発行程毎の回転速度変動を検出する回転速度変動検出手段としての機能を有し、エンジン本体Eの各気筒毎の回転速度変動の検出値と全気筒の回転速度変動の平均値とを比較し、エンジン本体Eの気筒間の回転速度変動を平滑化するように、各気筒毎のEGRV1〜4のバルブ開度を個別に調整する気筒間EGR率変動補正を実施するように構成しても良い。
具体的には、クランク角度センサ72より取り込んだNE信号パルスの間隔時間を計算することで、エンジン本体Eの各気筒の爆発行程毎の瞬時回転速度を算出し、BTDC90°CA〜ATDC90°CA間のNE信号パルスの間隔時間の最大値を当該気筒の瞬時回転速度の最低回転速度(Nl)として読み込む。
また、BTDC90°CA〜ATDC90°CA間のNE信号パルスの間隔時間の最小値を当該気筒の瞬時回転速度の最高回転速度(Nh)として読み込む。但し、Nl、Nhは必ずしも最低回転速度、最高回転速度である必要はなく、当該気筒の回転速度変動を代表する低回転速度、高回転速度であっても良い。
【0063】
そして、これらの計算を各気筒毎に行った後に、各気筒毎の最高回転速度(Nh)と各気筒毎の最低回転速度(Nl)との気筒毎回転速度差分(ΔNk)を算出する。これにより、エンジン本体Eの各気筒毎の回転速度変動の検出値を算出することが可能となる。
そして、エンジン本体Eの全気筒の回転速度変動の平均値(ΣΔNk)を算出する。つまり、エンジン本体Eの全気筒の回転速度変動を平均化して、全気筒の回転速度変動の平均値(ΣΔNk)を算出した後に、各気筒毎の回転速度変動の検出値と全気筒の回転速度変動の平均値(ΣΔNk)とから気筒間の回転速度変動の偏差を算出する。そして、エンジン本体Eの気筒間の回転速度変動を平滑化するように、予め決められた制御指令値(目標バルブ開度、目標EGR率)に、気筒間の回転速度変動を平滑化する方向へのバルブ開度補正量を各気筒毎に個別に付加(加算または減算)するようにしても良い。
これにより、各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトを駆動するモータ11〜14が、各気筒毎に個別に通電制御されるため、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64の開度が、各気筒毎に個別に調整される。これにより、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に導入する吸気管内EGRガス量および燃焼室内EGR率が、エンジン本体Eの各気筒毎に独立して個別に制御されるので、エンジン本体Eの気筒間の吸気管内EGRガス量および燃焼室内EGR率にばらつきが生じる不具合を抑制できる。
【0064】
[実施例1の作用]
次に、本実施例のエンジン制御システムの作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0065】
各気筒毎の第1、第2インジェクタ8、9は、ECU10からインジェクタ駆動回路に噴射指令信号が与えられると、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32内に燃料が噴射される。なお、各気筒の吸気行程の前に各気筒毎の第1、第2インジェクタ8、9からの燃料噴射が終了するように、各気筒毎の燃料噴射時期および燃料噴射量(燃料圧力と燃料噴射期間で決まる)が制御される。
ここで、エンジン本体Eの特定気筒の吸気行程では、当該気筒の第1、第2吸気バルブ33、34が開弁し、当該気筒の第1、第2排気バルブ43、44が閉弁する。このとき、ピストンが上死点から下死点に向かって下降運動すると、ピストンの下降に従って当該気筒の燃焼室内の負圧(大気圧よりも低い圧力)が大きくなり、開弁している当該気筒の第1、第2分岐吸気ポート31、32から燃焼室に混合気が吸い込まれる。
【0066】
このような吸気行程時に、エアクリーナ22で濾過された清浄な外気(新気)は、スロットルボディ23に形成されたスロットルボア25を経由して、サージタンク24に形成されたサージタンク室26に流入し、開弁している当該気筒の第1、第2分岐吸気ポート31、32に連通するサージタンク24の導出口に向かう。そして、サージタンク室26に流入した吸入空気(新気)は、サージタンク24の導出口からインテークマニホールド内に形成される第1、第2独立吸気通路を経由して当該気筒の第1、第2分岐吸気ポート31、32内に導入される。
ここで、当該気筒の第1、第2インジェクタ8、9から噴射された燃料と当該気筒の第1、第2分岐吸気ポート31、32内に導入された吸入空気(新気)とが混合し、当該気筒の第1、第2分岐吸気ポート31、32から混合気が当該気筒の燃焼室内に吸い込まれる。
【0067】
当該気筒の第1、第2吸気バルブ33、34が閉弁し、ピストンが上昇する圧縮行程では、混合気の中で燃料成分が気化し、吸入空気と混ざって燃え易いガスになりながら、当該気筒の燃焼室内で圧縮されていく。
そして、ピストンが上死点に達して温度、圧力が共に高くなったところで、当該気筒に取り付けられるスパークプラグ7に高電圧を印加して混合気に火花を飛ばして点火する。すると、混合気は、急速に燃焼し、圧力の高まった燃焼ガスによってピストンが押し下げられ、クランクシャフトが回される(爆発行程)。
そして、ピストンが下死点に達したところで、当該気筒の第1、第2排気バルブ43、44が開弁し、燃焼ガスが当該気筒の第1、第2分岐排気ポート41、42から流出すると共に、ピストンが上昇して当該気筒の燃焼室内に残った燃焼ガスを追い出す(排気行程)。
【0068】
ここで、ECU10は、エンジン運転状況に対応して吸入空気量(新気の流量)または空燃比が最適値となるように、スロットルバルブ6のバルブ開度(スロットル開度)を可変制御する。
具体的には、エンジン本体Eの運転時、スロットル開度センサ74より出力されるセンサ出力信号(スロットル開度信号、スロットル開度)が、エンジン運転状況(特にアクセル開度センサ73より出力されるアクセル開度信号等)に対応して設定される制御目標値(目標吸入空気量または目標空燃比)に相当する目標スロットル開度と略一致するように、スロットルバルブ6のシャフトを駆動するモータ16への供給電力をフィードバック制御する。
【0069】
ここで、ECU10は、エンジン運転状況に対応してEGR率が最適値となるように、各気筒毎のEGRV1〜4のバルブ開度を可変制御する。
具体的には、複数のEGRV開度センサより出力されるセンサ出力信号(EGRV開度信号、EGRV実開度)が、エンジン運転状況(特にアクセル開度センサ73より出力されるアクセル開度信号、スロットル開度センサ74より出力されるスロットル開度信号、エアフローメータより出力される吸入空気量信号等)に対応して設定される制御目標値(目標EGR率)に相当するEGRV目標開度と略一致するように、各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトを駆動するモータ11〜14への供給電力をフィードバック制御する。
そして、各気筒毎のEGRV1〜4がリターンスプリングの付勢力に抗して、制御目標値(目標EGR率)に相当するEGRV目標開度となるように開弁する。このとき、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスは、各気筒毎の第1、第2分岐排気ポート41、42および各気筒毎の第1、第2独立排気通路を経由して、エキゾーストマニホールドの集合部45で合流する。
【0070】
そして、エキゾーストマニホールドの集合部45で合流した排気ガスの一部(例えば500℃以上の高温のEGRガス)は、エキゾーストマニホールドの集合部45からEGRガス導入パイプ52に形成されるEGRガス還流路54を経由して、EGRクーラ51に導入する。EGRクーラ51に導入したEGRガスは、EGRクーラ51を通過する際に、EGRクーラ51内に導入される冷却水と熱交換して冷却される。
そして、EGRクーラ51を通過する際に冷却された低温のEGRガスは、EGRガス導出パイプ53に形成されるEGRガス還流路55に導入し、EGRガス還流路55に設けられる複数(各気筒毎)の分岐部から、各気筒毎のEGRガス分配パイプに形成される各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64に分配される。各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64に分配された低温のEGRガスは、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32の吸気ポート壁面で開口した各気筒毎のガス導入ポート65〜68から、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に導入される。
【0071】
そして、各気筒毎のSCV5が開弁している場合には、EGRクーラ51を通過する際に十分に冷却された低温のEGRガス、つまり排気ガス温度が低く、密度の小さいEGRガスが、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内でエアクリーナ22から導入される吸入空気(新気)に混入してエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に吸い込まれる。
また、各気筒毎のSCV5が閉弁している場合には、低温のEGRガスが、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32を経由して、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に流入し、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内で、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31からエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に導入される吸入空気(新気)と効果的に混入する。
これにより、エンジン本体Eの出力を低下させることなく、最高燃焼温度が低下し、排気ガス中に含まれる有害物質(例えば窒素酸化物:NOx)の低減が図られる。また、エンジン本体Eの各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に還流するEGRガスをEGRクーラ51で冷却することで、EGRガスのエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内への充填効率を高めて、エミッション低減効果を更に向上することができる。
【0072】
ここで、ECU10は、冷却水温度センサ71によって検出された冷却水温度(冷却水温度センサ71の検出値)が所定値(例えば40℃)以下の低温時に、吸気渦流発生装置を構成する各気筒毎のSCV5のシャフトを駆動するモータ15への供給電力を制御して、各気筒毎のSCV5を閉弁する。
この場合、各気筒毎の分岐吸気ポートのうち各気筒毎の第1分岐吸気ポート31が開かれ、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32が閉じられる。これにより、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32からの吸入空気(新気)の吸入はなく、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31のみから吸入空気(新気)の吸入が成される。このため、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31から各気筒毎の燃焼室内に導入される吸入空気(新気)が各気筒毎の燃焼室のシリンダボア壁面に沿って旋回するので、各気筒毎の燃焼室内において横方向の旋回流(スワール流)が発生する。このとき、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32からEGRガスのみが導入されると、スワール流の発生に伴い、吸入空気(新気)とEGRガスとのミキシングが促進される。
以上のように、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内においてスワール流が発生するため、エンジン本体Eが冷えている時(冷却水温度が所定値(例えば40℃)以下の低温時)における各気筒毎の燃焼室内での燃焼効率が向上し、燃費やエミッション(例えばHC低減効果)等が改善される。
【0073】
ここで、ECU10は、冷却水温度センサ71によって検出された冷却水温度(冷却水温度センサ71の検出値)が所定値(例えば40℃)以下の低温時に、EGRシステムの流量制御弁を構成する各気筒毎のEGRV1〜4のシャフトを駆動するモータ11〜14への供給電力を制御して、各気筒毎のEGRV1〜4を開弁(バルブ開度はエンジン運転状況に対応して全気筒一律に設定される)、吸気渦流発生装置の吸気制御弁を構成する各気筒毎のSCV5のシャフトを駆動するモータ15への供給電力を制御して、各気筒毎のSCV5を閉弁(全閉)する。
この場合、エンジン本体Eの各気筒毎の第2分岐吸気ポート32には、エアクリーナ22からスロットルボア25を経由して導入される冷たい吸入空気(低温の新気)と混ざることなく、新気と比べて高温のEGRガスを各気筒毎のガス導入ポート65〜68から各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に導入できる。このとき、各気筒毎のガス導入ポート65〜68が開口している各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に設置された各気筒毎の第2インジェクタ9のみから燃料を噴射することで、冷却水温度が所定値(例えば40℃)以下の低温時における燃料の気化を促進でき、エンジン冷間始動時における燃料の増量も不要となるので、エミッション、燃費の向上に有効である。
【0074】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のエンジン制御システムにおいては、図1に示したように、複数の気筒を有するエンジン本体(火花点火式多気筒エンジン)Eの燃焼室毎に2つの第1、第2分岐吸気ポート31、32および2つの第1、第2独立吸気通路を有している。エンジン本体Eのシリンダヘッドには、各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32内にそれぞれ燃料噴射を行う各気筒毎の第1、第2インジェクタ8、9が設置されている。 各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内において、各気筒毎の第2インジェクタ9と各気筒毎の第2吸気バルブ34との間のポート壁面で各気筒毎のガス導入ポート65〜68が開口し、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32とエキゾーストマニホールドの集合部45とを接続する排気ガス還流管(EGRガス導入パイプ52、EGRガス導出パイプ53および各気筒毎のEGRガス分配パイプ)を備えている。
【0075】
ここで、図2はスロットル開度、吸入空気量、EGRバルブ開度、吸気管内EGRガス量(従来例)、吸気管内EGRガス量(実施例)、燃焼室内EGR率(従来例、実施例)の変化を示したタイミングチャートである。
従来例では、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)に吸入空気量の変化に伴ってEGRバルブ開度が変化し、このEGRバルブ開度変化後に、サージタンクに溜まったEGRガス量分だけ遅れて吸気管内EGRガス量が変化する。このため、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)における、燃焼室内EGR率の変化(図2に実線で示す)が大きくなる。
【0076】
このような従来例(特許文献1に記載のEGRシステム)に対して、図1に示した実施例では、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室にEGRガスを還流させる各気筒毎のガス導入ポートをサージタンクに接続する従来の技術(従来例)と比べて、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室にEGRガスを還流させる各気筒毎のガス導入ポート65〜68の開口位置(エンジン本体Eに対する排気ガス還流管(特に各気筒毎のEGRガス分配パイプ)の接続位置)をエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に近づけることができる。
このため、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)にサージタンク24にEGRガスが溜まることはないので、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)に吸入空気量の変化に伴ってEGRバルブ開度が変化し、このEGRバルブ開度変化開始時からEGRバルブ開度変化に同期して吸気管内EGRガス量が変化する。これにより、燃焼室内EGR率の変化量(図2に破線で示す)は非常に少なく、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)に、エンジン運転状況に対応した適切な量のEGRガスをエアクリーナ22から導入される吸入空気(新気)と共に、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に導入することができる。したがって、ドライバビリティ、エミッションおよび燃費の向上に有効である。
【0077】
以上のように、エンジン本体Eの吸気側にEGRガスを還流させるEGRシステムを備えたエンジン制御システムにおいては、各気筒毎のEGRV1〜4を一律に開弁した場合、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスの一部であるEGRガスが、各気筒毎のEGRガス分配パイプに形成される各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64から各気筒毎のガス導入ポート65〜68を経由して、各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に導入される。
これによって、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室にEGRガスを還流させる各気筒毎のガス導入ポート65〜68を、サージタンク24に接続する従来の技術(特許文献1に記載のEGRシステム:従来例)と比べてエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に近づけることができる。
したがって、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)において、サージタンクにEGRガスが残留しているガス量分だけ、EGRバルブ開度変化後に遅れて吸気管内EGRガス量が変化する従来の技術(従来例)と比べて、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)における、エンジン運転状況の変化に対する吸気管内EGRガス量および燃焼室内EGR率の応答性を向上させることができる(図2のタイミングチャート参照)。
【0078】
また、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)において、エンジン運転状況に適した量のEGRガスを各気筒毎の第2分岐吸気ポート32を経由してエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に還流させるEGR制御を実施することができる。これによって、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に吸入空気(新気)と共に導入される吸気管内EGRガス量および燃焼室内EGR率が、エンジン運転状況に適した量となるので、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼状態が不安定な状態に陥る不具合を抑制することができる。
したがって、ドライバビリティ、エミッションおよび燃費を向上することができる。
【0079】
また、各気筒毎のEGRガス分配パイプを接続した各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内における各気筒毎の第2インジェクタ9よりも吸気流方向の上流側、つまりサージタンク24の複数の導出口近傍に各気筒毎のSCV5を設置している。
そして、各気筒毎のEGRV1〜4を開弁してEGRガス還流路54、55および各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64を開放し、且つ各気筒毎のSCV5を閉弁して各気筒毎の第2分岐吸気ポート32を閉鎖することで、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31のみからエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内へ吸入空気(新気)を導入する。このとき、各気筒毎の第1分岐吸気ポート31から各気筒毎の燃焼室内に導入された吸入空気(新気)は、各気筒毎の燃焼室のシリンダボア壁面に沿って旋回する。これにより、各気筒毎の燃焼室内において横方向の旋回流(スワール流)を生成することができるので、均一に混ざった新気、燃料、EGRガスの混合気を形成できる。
【0080】
また、EGRシステムの各気筒毎のガス導入ポート65〜68を、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室の各第2吸気バルブ34の上流側近傍で開口させることで、エンジン運転状況が変化する過渡時(例えばスロットル開度変化時)における、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に供給される吸入空気(新気)の流量(吸入吸気量)の変化に対応した適切な量のEGRガスをエンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内に導入することができる。
また、EGRシステムの各気筒毎のEGRガス分配パイプに形成される各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64には、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64を流通するEGRガスの流量(=吸気管内EGRガス流量)を調整する各気筒毎のEGRV1〜4が設置されている。これにより、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に導入する吸気管内EGRガス量および燃焼室内EGR率をエンジン本体Eの各気筒毎に独立して個別に制御することが可能となる。この場合、エンジン本体Eの気筒間の吸気管内EGRガス量および燃焼室内EGR率にばらつきが生じる不具合を抑制できるので、エンジン本体Eの気筒間の回転速度変動が平滑化し、エンジン振動の発生を抑えることができる。
したがって、ドライバビリティ、エミッションおよび燃費を向上することができる。
【0081】
[変形例]
本実施例では、吸気制御弁を、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内にて混合気の燃焼を促進させるための横方向の旋回流(吸気渦流、スワール流)の生成が可能となるように構成したが、吸気制御弁を、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室内にて混合気の燃焼を促進させるための縦方向の旋回流(吸気渦流、タンブル流)の生成が可能となるように構成しても良い。また、吸気渦流発生装置を、エンジン本体Eの燃焼を促進させるためのスキッシュ渦の生成が可能となるように構成しても良い。
【0082】
本実施例では、各気筒毎のEGRV1〜4、各気筒毎のSCV5およびスロットルバルブ6のシャフトを開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するバルブ駆動装置(アクチュエータ)を、モータ11〜14、15、16および動力伝達機構を備えた電動式アクチュエータによって構成したが、各気筒毎のEGRV1〜4、各気筒毎のSCV5およびスロットルバルブ6のシャフトを開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するアクチュエータを、電磁式または電動式負圧制御弁を備えた負圧作動式アクチュエータや、コイル等の電磁石およびムービングコア(またはアーマチャ)を備えた電磁式アクチュエータによって構成しても良い。
【0083】
本実施例では、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に連通する吸気ポート(インテークポート)を、入口部から出口部に至るまで2つの第1、第2分岐吸気ポート31、32に区画形成しているが、エンジン本体Eの各気筒毎の燃焼室に連通する吸気ポート(インテークポート)を、入口部側を1つの共通吸気ポートとし、出口部側(燃焼室側)を2つの第1、第2分岐吸気ポート31、32に区画形成しても良い。
また、スワールポートである第1分岐吸気ポート31のポート開口部(燃焼室側開口部)を、各気筒毎の燃焼室壁面(円筒内面)の接線方向に向けて開口するように形成しても良い。
【0084】
本実施例では、各気筒毎のSCV5のシャフトを、1つのアクチュエータ(モータ15)によって一括変更するように構成しているが、各気筒毎のSCV5のシャフトを、各気筒毎のSCV5のシャフトに独立して結合する複数(各気筒毎)のアクチュエータ(モータ)によって個別に開度制御を行うことが可能なように構成しても良い。
本実施例では、各気筒毎のEGRガス分配パイプを接続した各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に、各気筒毎のSCV5を設置しているが、各気筒毎のEGRガス分配パイプを接続した各気筒毎の第2分岐吸気ポート32に連通する、インテークマニホールドの各気筒毎の第2独立吸気通路内に、各気筒毎のSCV5を設置しても良い。また、各気筒毎のEGRガス分配パイプを接続していない各気筒毎の第1分岐吸気ポート31内、および各気筒毎のEGRガス分配パイプを接続した各気筒毎の第2分岐吸気ポート32内に、各気筒毎のSCV5をそれぞれ設置しても良い。
本実施例では、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64を各気筒毎の第2分岐吸気ポート32にのみ接続したが、各気筒毎のEGRガス分配通路61〜64を各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポート31、32の両方に接続しても良い。
【符号の説明】
【0085】
E エンジン本体(火花点火式多気筒エンジン)
1 各気筒毎のEGRV(第1気筒のEGRV、EGRガス制御バルブ)
2 各気筒毎のEGRV(第2気筒のEGRV、EGRガス制御バルブ)
3 各気筒毎のEGRV(第3気筒のEGRV、EGRガス制御バルブ)
4 各気筒毎のEGRV(第4気筒のEGRV、EGRガス制御バルブ)
5 各気筒毎のSCV(第1〜第4気筒のSCV、スワールコントロールバルブ)
6 スロットルバルブ
7 各気筒毎のスパークプラグ
8 各気筒毎の第1インジェクタ(第1〜第4気筒の第1インジェクタ)
9 各気筒毎の第2インジェクタ(第1〜第4気筒の第2インジェクタ)
10 ECU(エンジン制御ユニット、回転速度検出手段、回転速度変動検出手段)
11 各気筒毎のEGRV駆動用のモータ(第1気筒のアクチュエータ)
12 各気筒毎のEGRV駆動用のモータ(第2気筒のアクチュエータ)
13 各気筒毎のEGRV駆動用のモータ(第3気筒のアクチュエータ)
14 各気筒毎のEGRV駆動用のモータ(第4気筒のアクチュエータ)
15 各気筒毎のSCV駆動用のモータ(第1〜第4気筒のアクチュエータ)
16 スロットルバルブ駆動用のモータ(アクチュエータ)
24 サージタンク
31 各気筒毎の第1分岐吸気ポート
32 各気筒毎の第2分岐吸気ポート
33 各気筒毎の第1吸気バルブ(第1〜第4気筒の第1吸気バルブ)
34 各気筒毎の第2吸気バルブ(第1〜第4気筒の第2吸気バルブ)
61 各気筒毎のEGRガス分配通路(第1気筒のEGRガス分配通路)
62 各気筒毎のEGRガス分配通路(第2気筒のEGRガス分配通路)
63 各気筒毎のEGRガス分配通路(第3気筒のEGRガス分配通路)
64 各気筒毎のEGRガス分配通路(第4気筒のEGRガス分配通路)
65 各気筒毎のガス導入ポート(第1気筒のガス導入ポート)
66 各気筒毎のガス導入ポート(第2気筒のガス導入ポート)
67 各気筒毎のガス導入ポート(第3気筒のガス導入ポート)
68 各気筒毎のガス導入ポート(第4気筒のガス導入ポート)
71 冷却水温度センサ(運転状態検出手段、エンジン温度検出手段)
72 クランク角度センサ(運転状態検出手段)
73 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
74 スロットル開度センサ(運転状態検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)各気筒毎の燃焼室に接続する2つの分岐吸気ポートを有するエンジン本体と、
(b)前記2つの分岐吸気ポートのうちの一方の分岐吸気ポートである各気筒毎の第1分岐吸気ポート内に燃料噴射を行う複数の第1インジェクタと、
(c)前記2つの分岐吸気ポートのうちの他方の分岐吸気ポートである各気筒毎の第2分岐吸気ポート内に燃料噴射を行う複数の第2インジェクタと、
(d)前記各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートを経由して、前記各気筒毎の燃焼室に新気を導入する吸気通路を有するダクトと、
(e)前記吸気通路に設置されて、前記吸気通路を流通する新気の流量を調整するスロットルバルブと、
(f)前記エンジン本体の吸気側に排気ガスを還流させる排気ガス還流路を有する排気ガス還流装置と
を備えた火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記排気ガス還流路は、前記各気筒毎の第2分岐吸気ポートを経由して、前記各気筒毎の燃焼室に排気ガスを分配供給する各気筒毎のガス分配通路を有し、
前記各気筒毎のガス分配通路は、前記各気筒毎の第2分岐吸気ポートにそれぞれ接続される各気筒毎のガス導入ポートを有し、
前記排気ガス還流装置は、前記各気筒毎のガス分配通路にそれぞれ設置されて、前記各気筒毎のガス分配通路を流通する排気ガスの流量を調整する複数の排気ガス制御弁を有していることを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項2】
請求項1に記載の火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記各気筒毎の第1分岐吸気ポートをそれぞれ開閉する複数の第1吸気バルブと、前記各気筒毎の第2分岐吸気ポートをそれぞれ開閉する複数の第2吸気バルブとを備えたことを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記各気筒毎に対応して設置されて、前記各気筒毎の燃焼室内で混合気に火花を点火する複数のスパークプラグを備えたことを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記ダクトは、前記各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートよりも新気の流れ方向の上流側に設置されて、新気を一旦貯蔵するサージタンクを有していることを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項5】
請求項4に記載の火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートは、前記サージタンクと比べて前記各気筒毎の燃焼室の近傍に配置されていることを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記各気筒毎の第2分岐吸気ポートにそれぞれ設置されて、前記各気筒毎の第2分岐吸気ポートを閉鎖することで、前記各気筒毎の燃焼室内において吸気渦流を生成する複数の吸気制御弁を備えたことを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項7】
請求項6に記載の火花点火式多気筒エンジンにおいて、
前記各気筒毎の第1、第2分岐吸気ポートは、前記複数の吸気制御弁を閉弁して前記各気筒毎の第2分岐吸気ポートを閉鎖している時に、前記各気筒毎の第1分岐吸気ポートのみから前記各気筒毎の燃焼室に導入される新気の流れが前記各気筒毎の燃焼室内において吸気渦流を形成するように設置されていることを特徴とする火花点火式多気筒エンジン。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の火花点火式多気筒エンジンの制御装置において、
前記エンジン本体の運転状態を検出する検出手段を有し、この検出手段の検出値に基づいて、前記複数の吸気制御弁の開度制御を行うことを特徴とする火花点火式多気筒エンジンの制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の火花点火式多気筒エンジンの制御装置において、
前記エンジン本体の運転状態を検出する検出手段を有し、この検出手段の検出値に基づいて、前記複数の排気ガス制御弁の開度制御を行うことを特徴とする火花点火式多気筒エンジンの制御装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の火花点火式多気筒エンジンの制御装置において、
前記エンジン本体の運転状態を検出する検出手段を有し、この検出手段の検出値に基づいて、前記複数の第1、第2インジェクタの噴射制御を行うことを特徴とする火花点火式多気筒エンジンの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−281273(P2010−281273A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135892(P2009−135892)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】