説明

無機粒子含有感光性樹脂組成物、感光性フィルム、パターン形成方法、およびフラットパネルディスプレイの製造方法

【課題】精度の高いパターンを形成することができるとともに、有機成分の熱分解性に優れ、かつ、焼成後に収縮の少ない感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】上記感光性樹脂組成物は、無機粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)、および増感剤(E)を含有する無機粒子含有感光性樹脂組成物であって、前記光重合開始剤(D)がモルフォリノアルキルケトン系化合物であり、前記増感剤(E)がチオキサントン系の化合物であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性フィルム、パターン形成方法、およびフラットパネルディスプレイの製造方法に関する。より詳細には、誘電体、電極、抵抗体、蛍光体、隔壁、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから構成される表示セルを有する、フラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネルや、電子部品の高度実装材料に用いられる微細な回路パターンを有する回路基板の製造において、光重合開始剤等の有機成分の熱分解性に優れ、精度の高いパターンを形成する場合に好適に使用することができる感光性樹脂組成物、該組成物からなる感光性樹脂層を有する感光性フィルム、該組成物もしくは感光性フィルムを用いたパターン形成方法、および該パターン形成方法を工程の一部に含むフラットパネルディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中でも、特にプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。
【0003】
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。図1において、101および102は対抗配置されたガラス基板、103および111は隔壁であり、ガラス基板101、ガラス基板102、隔壁103および隔壁111によりセルが区画形成されている。104はガラス基板101に固定された透明電極であり、105は透明電極104の抵抗を下げる目的で該透明電極104上に形成されたバス電極であり、106はガラス基板102に固定されたアドレス電極である。107はセル内に保持された蛍光物質であり、108は透明電極104およびバス電極105を被覆するようガラス基板101の表面に形成された誘電体層であり、109はアドレス電極106を被覆するようガラス基板102の表面に形成された誘電体層であり、110は例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。また、カラーFPDにおいては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けることがある。
【0004】
FPD部材である隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックス等の形成方法としては、(1)基板上に、非感光性樹脂を所望のパターンとなるようにスクリーン印刷し、これを焼成するスクリーン印刷法、(2)基板上に感光性樹脂層を形成し、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して、前記感光性樹脂層に赤外線または紫外線を照射した上で現像することにより、基板上に所望のパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法などが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、前記スクリーン印刷法ではパネルの大型化および高精細化に伴い、パターン精度の要求が非常に厳しくなり、通常のスクリーン印刷では対応できないという問題がある。また、前記フォトリソグラフィー法ではパターンの精度には優れているものの、膜厚が厚い場合には深さ方法の感度が不足してパターン精度が悪化、焼成工程における感光性樹脂組成物の熱分解性不良が観察されるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−44949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、精度の高いパターンを形成することができるとともに、光重合開始剤等の有機成分の熱分解性に優れた無機粒子含有感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記無機粒子含有感光性樹脂組成物から形成され、精度の高いパターンを形成することができるとともに、光重合開始剤等の有機成分の熱分解性に優れる無機粒子含有感光性樹脂層を有する感光性フィルムを提供すること、ならびに、本発明の組成物もしくは感光性フィルムを用いたパターン形成方法および該パターン形成方法を含むフラットパネルディスプレイの製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、特定の光重合開始剤および増感剤を含有することにより、精度の高いパターンを形成することが可能な無機粒子含有感光性樹脂組成物を提供することができることを見いだし、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物は、無機粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)、および増感剤(E)を含有する無機粒子含有感光性樹脂組成物であって、
前記光重合開始剤(D)が下記式(1)で表される化合物であり、
前記増感剤(E)が下記式(2)で表される化合物および下記式(3)で表される化合物であることを特徴とする。
【0010】
【化1】

(式(1)において、R1およびR2は相互に独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0011】
【化2】

(式(2)において、R3およびR4は相互に独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0012】
【化3】

(式(3)において、R5は弗素、塩素、臭素、沃素、またはトリフラートを示し、R6は水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
前記多官能(メタ)アクリレート(C)100重量部に対し、
式(1)で表される化合物を3.0〜10.0重量部、
式(2)で表される化合物を0.5〜2.0重量部、
式(3)で表される化合物を0.2〜1.0重量部
の範囲で含有することが好ましい。
【0013】
本発明には、前記無機粒子含有感光性樹脂組成物から得られる無機粒子含有感光性樹脂組成物層を有することを特徴とする感光性フィルムを含む。
さらに本発明には、(I)前記無機粒子含有感光性樹脂組成物から得られる無機粒子含有感光性樹脂組成物層を基板上に形成する工程、(II)該無機粒子含有感光性樹脂組成物層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、(III)露光後の無機粒子含有感光性樹脂組成物層を現像処理してパターンを形成する工程、および(IV)該パターンを焼成処理する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法を含む。
【0014】
前記工程(I)において、前記感光性フィルムを用いて、基板上に無機粒子含有感光性樹脂組成物層を形成してもよい。
本発明には、前記パターン形成方法により、誘電体、電極、抵抗体、蛍光体、隔壁、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種のディスプレイパネル用部材を形成する工程を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法を含む。
【0015】
前記ディスプレイパネルがプラズマディスプレイパネルであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物および感光性フィルムは、精度の高いパターンを形成することができるとともに、光重合開始剤等の有機成分の熱分解性に優れることから、フラットパネルディスプレイの各表示セルを構成する部材の形成ならびに電子部品の高度実装材料の部材の形成に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る無機粒子含有感光性樹脂組成物、感光性フィルムおよびパターン形成方法について、詳細に説明する。
〔無機粒子含有感光性樹脂組成物〕
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物は、無機粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)、および増感剤(E)を含有する。
【0018】
<無機粒子(A)>
本発明の組成物に用いられる無機粒子(A)は、形成材料の種類によって異なる。特にFPDを構成する誘電体および隔壁形成材料に使用される無機粒子としては、ガラス粉末などが挙げられる。
【0019】
本発明の組成物に用いられるガラス粉末としては、熱軟化点が300〜650℃、好ましくは350〜600℃の低融点ガラス粉末を挙げることができる。ガラス粉末の熱軟化点が上記範囲よりも低いと、上記組成物から形成された感光性樹脂層の焼成工程において、樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまう。そのため、形成される部材中に有機物質の一部が残留し、その結果、誘電体層や隔壁などの部材が着色されて、その光透過率が低下するおそれがある。一方、ガラス粉末の熱軟化点が上記範囲を超えると、高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
【0020】
上記ガラス粉末としては、たとえば、(1)Bi23−ZnO−B23系、(2)Bi
23−SiO2−B23系、(3)Bi23−SiO2−B23−Li2O系、(4)Bi23−SiO2−B23−Na2O系、(5)Bi23−SiO2−B23−K2O系、(6
)Bi23−SiO2−Li2O系、(7)Bi23−SiO2−Na2O系、(8)Bi2
3−SiO2−K2O系、(9)Bi23−SiO2−B23−ZnO系、(10)SiO2−B23−Li2O系、(11)SiO2−B23−Na2O系、(12)SiO2−B23−K2O系、(13)SiO2−B23−ZrO2−MgO系、(14)SiO2−B23
−ZrO2−CaO系、(15)SiO2−B23−ZrO2−MaO系、(16)SiO2−B23−ZrO2−SrO系、(17)SiO2−B23−ZrO2−Li2O系、(18)SiO2−B23−ZrO2−Na2O系、(19)SiO2−B23−ZrO2−K2O系、(20)Al23−B23−SiO2−BaO−CaO−Li2O−MgO−Na2O−
SrO−TiO2−ZnO系、(21)Al23−B23−SiO2−BaO−CaO−Li2O−MgO−Na2O−TiO2−ZnO系、(22)Al23−B23−SiO2−BaO−CaO−Li2O−MgO−Na2O−Fe23−TiO2−ZnO系などのガラス
粉末を挙げることができる。
【0021】
上記ガラス粉末の形状としては特に限定されない。上記ガラス粉末は1種単独で用いても、異なるガラス粉末組成、異なる軟化点、異なる形状、異なる平均粒子径を有するガラス粉体を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
上記ガラス粉末は、より高精細化のパターニングを得るために、酸化珪素を5〜50重量%の範囲で含有することが好ましく、10〜30重量%の範囲で含有することがより好ましい。酸化珪素は、ガラスの緻密性、強度および安定性を向上させる働きを有するとともに、ガラスの低屈折率化にも効果がある。また、熱膨張係数をコントロールしてガラス基板とのミスマッチによる剥離等を防ぐこともできる。酸化珪素の含有量が5重量%以上であることにより、熱膨張係数を小さく抑え、ガラス基板に焼き付けた時に起こるクラックの発生を低減することができるとともに、屈折率を低く抑えることができる。また、酸化珪素の含有量が50重量%以下であることにより、ガラス転移点および荷重軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
【0023】
上記ガラス粉末は、酸化ホウ素を10〜50重量%の範囲で含有することが好ましく、20〜45重量%の範囲で含有することがより好ましい。酸化ホウ素の含有量が10重量%以上であることにより、ガラス転移点および荷重軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付けを容易にすることができる。また、酸化ホウ素の含有量が50重量%以下であることにより、ガラスの化学的安定性を維持することができる。なお、酸化ホウ素は低屈折率化にも有効である。
【0024】
上記ガラス粉末は、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を、その合計量が1〜30重量%の範囲となるように含有することが好ましく、2〜20重量%の範囲となるように含有することがより好ましい。これらの成分は、熱膨張係数の調整に有効であり、焼成時の基板の変形を防止する効果、電気絶縁性を付与する効果、形成される隔壁の安定性および緻密性を向上する効果などを有する。これらの含有量が1重量%以上であることにより、ガラスの結晶化による失透を防ぐこともでき、また、30重量%以下であることにより、熱膨張係数および屈折率を小さく抑えることができるとともに、化学的安定性を維持することができる。
【0025】
上記ガラス粉末は、酸化アルミニウムを1〜40重量%の範囲で含有することが好ましい。酸化アルミニウムは、ガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、組成物のポットライフ延長にも有効である。酸化アルミニウムの含有量が前記範囲内であることにより、ガラス転移点および荷重軟化点を低く保ち、基板への密着性を向上することができる。
【0026】
上記ガラス粉末は、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムのうち少なくとも1種を、その合計量が1〜20重量%となるように含有することが好ましい。これらの成分は、ガラスを溶融しやすくするとともに、熱膨張係数を制御する効果を有する。これらの含有量が1重量%以上であることにより、ガラスの結晶化による失透を防ぐことができ、また、15重量%以下であることにより、ガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0027】
上記ガラス粉末は、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムのアルカリ金属酸化物を1〜20重量%の範囲で含有することが好ましい。アルカリ金属酸化物は、ガラスの熱軟化点および熱膨張係数のコントロールを容易にするとともに、ガラス粉末としての屈折率を低くする効果を有する。アルカリ金属酸化物は、イオンのマイグレーションや拡散を促進することがあるので、合計量を20重量%以下とすることにより、ガラスの化学的安定性を維持するとともに熱膨張係数を小さく抑えることができる。
【0028】
上記ガラス粉末は、上記成分に加えて、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等を含有してもよい。
上記ガラス粉末の平均粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、パターン形成上、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜8μmである。また、ガラス粉末の比表面積は0.1〜300m2/gであることが、パターン形
成上好ましい。
【0029】
上記ガラス粉末は、FPDの誘電体および隔壁以外の構成要素(例えば電極・抵抗体・蛍光体・カラーフィルター・ブラックマトリックス)を形成するための組成物中に含有されていてもよい。この場合のガラス粉末の含有量は、用途によって異なるが、ガラス粉末を含む無機粒子全量100重量部に対して、通常90重量以下であり、好ましくは80重量以下である。
【0030】
FPD、LCD、有機EL、プリント回路基板、多層回路基板、モジュール、インダクタおよびLSIなどの電極形成材料に使用される無機粒子としては、Al、Ag、Ag−Pd合金、Au、Ni、Cr、Cuなどを挙げることができる。これらの中では、大気中で焼成した場合においても酸化による導電性の低下が生じず、比較的安価なAgを用いることが好ましい。電極形成材料に使用される無機粒子の形状としては、粒状、球状、フレーク状等、特に限定されず、同じ形状の無機粒子を用いても、異なる2種以上の形状の無機粒子を混合して用いてもよい。また、平均粒径としては、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜8μmであり、異なる平均粒径を有する無機粒子を混合して使用することもできる。
【0031】
FPD、LCD、有機EL素子などの透明電極形成材料に使用される無機粒子としては、酸化インジウム、酸化錫、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、フッ素添加酸化インジウム(FIO)、フッ素添加酸化錫(FTO)、フッ素添加酸化亜鉛(FZO)、ならびに、Al、Co、Fe、In、SnおよびTiから選ばれた1種もしくは2種以上の金属を含有する酸化亜鉛微粒子などを挙げることができる。PDPの抵抗体形成材料に使用される無機粒子としては、RuO2などからなる粒子を挙げることができる。
【0032】
PDPの蛍光体形成材料に使用される無機粒子は、
赤色用としては、Y23:Eu3+、Y2SiO5:Eu3+、Y3Al512:Eu3+、YVO4:Eu3+、(Y,Gd)BO3:Eu3+、Zn3(PO42:Mnなどが挙げられ、
緑色用としては、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、LaPO4:(Ce,Tb)、Y3(Al,Ga)512:Tbなどが挙げられ、
青色用としては、Y2SiO5:Ce、BaMgAl1017:Eu2+、BaMgAl1423:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(PO46Cl2:Eu2+、(Zn,Cd)S:Ag
などが挙げられる。
【0033】
PDP、LCD、有機EL素子などのカラーフィルター形成材料に使用される無機粒子は、赤色用としてはFe23など、緑色用としてはCr23など、青色用としてはCoO・Al23などを挙げることができる。
【0034】
PDP、LCD、有機EL素子などのブラックストライプ(マトリックス)形成材料に使用される無機粒子としては、例えば、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Ti、Znなどの金属およびその酸化物、複合酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、珪化物、硼化物やカーボンブラック、グラファイトなどを挙げることができ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、NiおよびTiの群から選ばれた金属粒子、金属酸化物粒子および複合酸化物粒子が好ましい。また、平均粒径としては、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、特に好ましくは0.1〜2μmである。
【0035】
本発明の組成物における無機粒子(A)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(B)100重量部に対して、100〜2000重量部、好ましくは130〜1000重量部の範囲である。無機粒子(A)の含有量が前記範囲内であることにより、形状が良好なパターンを形成することができる。
【0036】
<アルカリ可溶性樹脂(B)>
無機粒子含有感光性樹脂組成物に使用されるアルカリ可溶性樹脂(B)としては、種々の樹脂を用いることができる。本発明において「アルカリ可溶性」とは、目的とする現像処理が可能な程度に、アルカリ性の現像液に溶解する性質をいう。
【0037】
上記アルカリ可溶性樹脂(B)は例えば、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(B1)と、(メタ)アクリル酸誘導体(B2)とを共重合することにより得ることができる。
前記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(B1)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(α-ヒドロキシメチル)アクリレート等の水酸基含有モノマー類;
o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有モノマー類
などのアルカリ可溶性官能基と不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーのうち、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0038】
このアルカリ可溶性官能基含有モノマー(B1)由来の構成単位の含有量は、樹脂(B
)の全構成単位中、通常、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜70重量%である。
【0039】
上記(メタ)アクリル酸誘導体(B2)としては、上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(B1)と共重合可能な(メタ)アクリル酸誘導体であれば特に限定されないが、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の上記モノマー(B1)以外の(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0040】
また、本発明では、上記(メタ)アクリル酸誘導体(B2)の代わりに、あるいは上記(メタ)アクリル酸誘導体(B2)に加えて、たとえば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等から得られるポリマーの一方の鎖末端に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどを用いてもよい。
【0041】
(ラジカル重合開始剤)
上記共重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を使用できる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチルー2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類の有機過酸化物等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー100重量部に対して0.1〜10重量程度である。
【0042】
このようにして得られたアルカリ可溶性含有樹脂(B)の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値で、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜50,000である。Mwは、上記モノマーの共重合割合、組成、連鎖移動剤、重合温度などの条件を適宜選択することにより制御することができる。Mwが前記範囲よりも低いと、現像後の膜荒れが発生しやすくなり、また、Mwが前記範囲を超えると、未露光部の現像液に対する溶解性が低下し、解像度が低下する場合がある。
【0043】
上記アルカリ可溶性樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、0〜120℃、好ましくは10〜100℃である。ガラス転移温度が前記範囲よりも低いと、塗膜にタックを生じやすく、ハンドリングがしにくい傾向にある。また、ガラス転移温度が前記範囲を超えると、支持体であるガラス基板との密着性が悪くなり、転写できないことがある。なお、前記ガラス転移温度は、上記化合物(B1)、(メタ)アクリル酸誘導体(B2)の量を変更することによって適宜調節することがでる。
【0044】
上記アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、好ましくは20〜200mgKOH/g、より好ましくは30〜160mgKOH/gの範囲である。酸価が20mgKOH/g以下では露光後の未露光部分が速やかにアルカリ現像液で除去しにくく、高精細なパターン形成が困難となる傾向にある。また、酸価が200mgKOH/g以上になると、露光光に
よって硬化した部分もアルカリ現像液に浸食されやすくなり、高精細なパターン形成が困難となる傾向にある。
【0045】
<多官能(メタ)アクリレート(C)>
無機粒子含有感光性樹脂組成物を構成する多官能(メタ)アクリレート(C)としては、エチレン性不飽和基を含有し、後述する光重合開始剤により、ラジカル重合反応し得る多官能の(メタ)アクリレート化合物である限り特に限定はされないが、通常、以下の(メタ)アクリレート化合物が用いられる。
【0046】
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレート(C)の具体例としては、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)タクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;などを挙げることができる。
【0047】
また下記式(4)に示された化合物を使用しても良い。
【0048】
【化4】

(式(4)中、Zは下記式(5)で表される基である。)
【0049】
【化5】

(式(5)中、nは1〜10の実数である)で表される化合物が挙げられる。
通常、上記多官能(メタ)アクリレート(C)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物における上記多官能(メタ)アクリレート(C)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(B)100重量部に対して、通常20〜200重量部、好ましくは30〜100重量部の範囲である。多官能(メタ)アクリレート(C)の含有量が少なすぎると、露光部が現像液によって浸食されやすくなり、パターンを形成することができない。含有量が多すぎると、長時間の現像工程となり生産上好ましくない。さらに、焼成時に収縮が大きくなり、剥れの原因となる。
【0050】
<光重合開始剤(D)>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物を構成する光重合開始剤(D)は、
前記式(1)で表される化合物(以下、光重合開始剤(1)とも記す。)である。
【0051】
光重合開始剤(1)は前記式(2)および(3)で表される増感剤によって効率よく、重合を開始するため好ましい。上記式(1)におけるR1およびR2は相互に独立に、炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0052】
光重合開始剤(1)は400℃における重量減少率が90%以上、かつ550℃における重量減少率が99%以上である。このため光重合開始剤(1)を含有する無機粒子含有感光性樹脂組成物は、精度の高いパターンを形成し、かつ熱分解性に優れた無機粒子含有感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0053】
ここで「400℃における重量減少」とは、当該光重合開始剤を10℃/分の昇温速度、流量60ml/分で熱重量分析を行った際の
[1−(400℃における重量/40℃における重量)]×100(%)
により求められる値をいう。
【0054】
また、「550℃における重量減少」とは、当該光重合開始剤を10℃/分の昇温速度、流量60ml/分で熱重量分析を行った際の
[1−(550℃における重量/40℃における重量)]×100(%)
により求められる値をいう。
【0055】
<増感剤(E)>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物を構成する光重合開始剤は、増感剤を含有することにより、精度の高いパターンを形成し、かつ熱分解性に優れた無機粒子含有感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0056】
当該増感剤としては、上記式(2)で表される化合物(以下、「増感剤(1)」ともいう)および上記式(3)で表される化合物(以下、「増感剤(2)」ともいう)を用いる。
【0057】
上記式(2)におけるR3およびR4としては相互に独立に、水素または炭素数1〜4のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が好ましく、特にエチル基およびi−プロピル基が好ましい。上記式(3)におけるR5としては弗素、塩素、臭素、
沃素、またはトリフラートを示し、R6としては、水素または炭素数1〜4のアルキル基
、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基が好ましく、特にn−プロポキシ基が好ましい。
【0058】
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物は、光重合開始剤(D)として上記光重合開始剤(1)を用い、増感剤(E)として増感剤(1)および増感剤(2)を用いる。光重合開始剤(1)、増感剤(1)および増感剤(2)を用いることにより、光重合開始剤(1)の紫外線に対する感度が向上し、光重合開始剤(1)の使用量が少量であった場合でも、充分な重合をおこなうことができる。このため本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物は、精度の高いパターンを形成し、かつ熱分解性に優れた無機粒子含有感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0059】
特に精度の高いパターンを得るには、多官能(メタ)アクリレート(C)100重量部に対し、好ましくは光重合開始剤(1)を3.0〜10.0重量部、増感剤(1)を0.
5〜2.0重量部、増感剤(2)を0.2〜1.0重量部、特に好ましくは光重合開始剤(1)を5.5〜9.0重量部、増感剤(1)を0.8〜1.8重量部、増感剤(2)を0.5〜0.9重量部の量で含有することが好ましい。
【0060】
多官能(メタ)アクリレート(C)100重量部に対し、光重合開始剤(1)が10.0重量部、増感剤(1)が2.0重量部、増感剤(2)が1.0重量部を超えると、内部硬化性が下がり現像マージンが得られにくくなる傾向がある。多官能(メタ)アクリレート(C)100重量部に対し、光重合開始剤(1)が3.0重量部、増感剤(1)が0.5重量部、増感剤(2)が0.2重量部未満では、露光感度が低下するだけでなく露光部の現像液に対する薬液耐性が下がり、膜荒れを起しやすくなる。
【0061】
<紫外線吸収剤>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物には、紫外線吸収剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い化合物を添加することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸収剤としては、有機系染料または無機系顔料を用いることができ、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料または無機顔料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、キノン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などの有機系染料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機顔料を用いることができる。これらにおいて、有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないため、絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましいが、フラットディスプレイパネルの信頼性の観点から酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムのような無機顔料がより好ましい。
【0062】
上記無機顔料は、多官能(メタ)アクリレート(C)100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部の範囲となる量で添加することができる。無機顔料の添加量が少なすぎると、紫外線吸光剤の添加効果が減少し、添加量が多すぎると、焼成後の絶縁膜特性が低下することや、成膜強度が保てないことがある。
【0063】
<重合禁止剤>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物には、保存時の熱安定性を向上させるために、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤は、組成物中に、通常0.001〜5重量%の範囲となる量で添加することができる。
【0064】
<酸化防止剤>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物には、保存時におけるアルカリ可溶性樹脂(B)の酸化を防ぐために、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤は、組成物中に、通常0.001〜5重量%の範囲となる量で添加することができる。
【0065】
<有機溶媒>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物には、溶液の粘度を調整するために、有機溶媒を加えてもよい。有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロピルアセテート、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、n−ペンタノール、ジアセトンアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸、酢酸−n−ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどが挙げられる。上記有機溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
<密着助剤>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物には、支持体との密着性を向上させるために、密着助剤を加えてもよい。密着助剤としては、シラン化合物が好適に用いられる。シラン化合物の具体例としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシラン、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシラン、n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシラン、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシラン、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシラン、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシラン、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシラン、n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシラン、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシラン、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシラン、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシラン、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシラン、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシラン、n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシラン、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシラン、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
上記無機粒子含有感光性樹脂組成物における接着助剤の含有量としては、上記アルカリ可溶性樹脂(B)100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
【0068】
<溶解促進剤>
本発明の組成物は、後述する現像液への十分な溶解性を発現させる目的で、溶解促進剤を含有することが好ましい。溶解促進剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。このような界面活性剤としては、たとえば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0069】
上記フッ素系界面活性剤としては、たとえば、BM CHIMIE社製「BM−1000」、「BM−1100」、大日本インキ化学工業(株)社製「メガファックF142D」、「同F172」、「同F173」、「同F183」、住友スリーエム(株)社製「フロラードFC−135」、「同FC−170C」、「同FC−430」、「同FC−431」、旭硝子(株)社製「サーフロンS−112」、「同S−113」、「同S−131」、「同S−141」、「同S−145」、「同S−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」等の市販品を挙げることができる。
【0070】
上記シリコーン系界面活性剤としては、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SH−28PA」、「SH−190」、「SH−193」、「SZ−6032」、「SF−8428」、「DC−57」、「DC−190」、「SH−8400」、
「FZ−7001」、信越化学工業(株)社製「KP341」、新秋田化成(株)社製「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」等の市販品を挙げることができる。
【0071】
上記ノニオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などが挙げられる。
【0072】
上記ノニオン系界面活性剤の市販品としては、たとえば、花王(株)社製「エマルゲンA−60」、「A−90」、「A−550」、「B−66」、「PP−99」、共栄社化学(株)社製「(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57」、「同No.90」などを挙げることができる。
【0073】
上記界面活性剤の中では、現像時に未露光部の無機粒子含有感光性樹脂層の除去が容易であることから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル類がより好ましく、特に下記式(6)で表される化合物が好ましい。
【0074】
【化6】

上記式(6)中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり、pは
1〜5の整数であり、sは1〜5の整数、好ましくは2であり、tは1〜100の整数、好ましくは10〜20の整数である。
【0075】
本発明の組成物における溶解促進剤の含有量は、上記アルカリ可溶性樹脂(B)100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.01〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。溶解促進剤の含有量が上記範囲にあることにより、現像液への溶解性に優れた組成物が得られる。
【0076】
<感光性樹脂組成物の調製>
本発明の無機粒子含有感光性樹脂組成物は、上記無機粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)、増感剤(E)および溶剤、必要に応じて各種成分を所定の組成比となるように調合した後、3本ロールや混練機等で均質に混合分散して調製される。
【0077】
上記組成物の粘度は、無機粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加量によって適宜調整することができるが、その範囲は100〜200,000cps(センチ・ポイズ)である。
【0078】
〔感光性フィルム〕
本発明の感光性フィルムは、通常、支持フィルムと、この上に形成された上記無機粒子
含有感光性樹脂組成物から形成される無機粒子含有感光性樹脂組成物層とを有し、該感光性樹脂組成物層の表面に保護フィルムが設けられていてもよい。
【0079】
<支持フィルム>
上記感光性フィルムを構成する支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコータによってペースト状組成物を塗布することができ、感光性フィルムをロール状に巻回した状態で保存および供給することができる。なお、支持フィルムの厚さとしては、使用に適した範囲であればよく、たとえば20〜100μmである。
【0080】
支持フィルムを形成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどが挙げられる。
【0081】
上記支持フィルムにおける無機粒子含有感光性樹脂層が形成される面には、離型処理が施されていることが好ましい。これにより、ディスプレイパネル用部材および電子部品用部材を形成する際に、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
【0082】
さらに、無機粒子含有感光性樹脂層の表面に設けられていてもよい保護フィルム層としては、上記支持フィルムと同様の可撓性を有する樹脂フィルムを用いることができ、その表面(感光性樹脂層と接する面)には離型処理が施されていてもよい。
【0083】
<感光性フィルムの製造方法>
上記感光性フィルムは、上記支持フィルム上に、上記無機粒子含有感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて無機粒子含有感光性樹脂層を形成することにより得られる。乾燥後は、ロール状に巻くか、保護フィルムをラミネートする。また、上記感光性フィルムは、支持フィルムおよび保護フィルムのそれぞれに無機粒子含有感光性樹脂組成物を塗布して無機粒子含有感光性樹脂層を形成し、互いの樹脂層面を重ね合わせて圧着する方法によっても、好適に形成することができる。
【0084】
上記組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例えば10μm以上)、かつ、均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ナイフコーターによる塗布方法、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータによる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法などが挙げられる。
【0085】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における溶剤の残存割合が2重量%以内となるように適宜調整すればよく、例えば、50〜150℃の乾燥温度で0.5〜60分間程度である。
上記のようにして形成された無機粒子含有感光性樹脂層の厚みは、30〜300μm、好ましくは50〜200μmである。
【0086】
〔パターン形成方法〕
本発明のパターン形成方法は、上記無機粒子含有感光性樹脂組成物からなる無機粒子含有感光性樹脂層を基板上に形成する工程(樹脂層形成工程)、該無機粒子含有感光性樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程(露光工程)、該無機粒子含有感光性樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程(現像工程)、および該パターンを焼成処理する工程(焼成工程)を含むことを特徴とする。
【0087】
本発明では、上記樹脂層形成工程において、上記無機粒子含有感光性樹脂組成物を基板
上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥して無機粒子含有感光性樹脂層を形成してもよいし、上記感光性フィルムを用いて、該感光性フィルムを構成する無機粒子含有感光性樹脂層を基板上に転写することにより、基板上に無機粒子含有感光性樹脂層を形成してもよい。
【0088】
<樹脂層形成工程>
この工程では、上記無機粒子含有感光性樹脂組成物からなる無機粒子含有感光性樹脂層を基板上に形成する。無機粒子含有感光性樹脂層の形成方法としては、たとえば、上記無機粒子含有感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて形成する方法や、上記感光性フィルムを用いて、該感光性フィルムを構成する無機粒子含有感光性樹脂層を基板上に転写して形成する方法などが挙げられる。
【0089】
上記組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例えば10μm以上)、かつ、均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ナイフコーターによる塗布方法、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータによる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法などが挙げられる。
【0090】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における溶剤の残存割合が2重量%以内となるように適宜調整すればよく、例えば、50〜150℃の乾燥温度で0.5〜60分間程度である。
上記のようにして形成された無機粒子含有感光性樹脂層の厚みは、30〜300μm、好ましくは50〜200μmである。なお、組成物を塗布をn回繰り返すことで、n層(nは2以上の整数を示す)の樹脂層を有する積層体を形成してもよい。
【0091】
一方、上記感光性フィルムを基板上にラミネートして、無機粒子含有感光性樹脂層を基板上に転写することにより、基板上に膜厚均一性に優れた樹脂層を容易に形成することができ、形成されるパターンの膜厚均一化を図ることができる。無機粒子含有感光性樹脂層を転写する際、上記感光性フィルムを用いてn回転写を繰り返すことにより、n層(nは2以上の整数を示す)の樹脂層を有する積層体を形成してもよい。あるいは、n層の樹脂層からなる積層体が支持フィルム上に形成された感光性フィルムを用いて基板上に一括転写することにより、前記積層体を形成してもよい。
【0092】
感光性フィルムを用いた転写工程の一例を示せば以下のとおりである。必要に応じて用いられる感光性フィルムの保護フィルム層を剥離した後、基板の表面に無機粒子含有感光性樹脂層の表面が当接するように感光性フィルムを重ね合わせ、この感光性フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、樹脂層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、基板の表面に感光性樹脂層が転写されて密着した状態となる。
【0093】
転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が40〜140℃、加熱ローラによるロール圧が0.1〜10kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10m/分で
ある。また、基板は予熱されていてもよく、予熱温度は、例えば40〜140℃である。
【0094】
本発明で用いられる基板材料としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材が挙げられる。この板状部材の表面には、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理などの前処理が施されていてもよい。本発明においては、基板として、耐熱性を有するガラス基板を用いることが好ましい。このようなガラス基板としては、例えば、旭硝子(株)製「PD200」などが挙げられる。
【0095】
<露光工程>
上記樹脂層形成工程により基板上に無機粒子含有感光性樹脂層を形成後、露光装置を用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法を採用することができる。用いるマスクは、無機粒子含有感光性樹脂層の有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。露光用マスクの露光パターンは、目的によって異なるが、たとえば、10〜500μm幅のストライプもしくは格子である。
【0096】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いてもよい。
無機粒子含有感光性樹脂層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的に照射(露光)して、樹脂層にパターンの潜像を形成する。なお、樹脂層上に被覆されている支持フィルムを剥離しない状態で露光を行うのが好ましい。
【0097】
露光装置としては、平行光露光機、散乱光露光機、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に無機粒子含有感光性樹脂組成物を塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0098】
露光の際に使用される活性光源は、たとえば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としては、たとえば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが使用できる。これらの中では超高圧水銀灯が好適である。
【0099】
露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀
灯を用いて0.05〜1分間露光を行なう。この場合、波長フィルターを用いて露光光の波長領域を狭くすることによって、光の散乱を抑制し、パターン形成性を向上させることができる。具体的には、i線(365nm)の光をカットするフィルター、あるいは、i線およびh線(405nm)の光をカットするフィルターを用いて、パターン形成性を向上させることができる。
【0100】
<現像工程>
上記露光後、感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、樹脂層を現像して樹脂層のパターンを形成する。現像方法(例えば、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法、ブラシ法など)および現像処理条件(例えば、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度など)などは、樹脂層の種類に応じて適宜選択、設定すればよい。
【0101】
現像工程で用いられる現像液としては、樹脂層中の有機成分を溶解可能な有機溶媒が使用できる。また、前記有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。樹脂層中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。
【0102】
上記アルカリ水溶液としては、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0103】
上記アルカリ水溶液の濃度は、通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあることから好ましくない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0104】
上記アルカリ水溶液には、ノニオン系界面活性剤や有機溶剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0105】
<焼成工程>
上記現像後の樹脂層残留部(樹脂層のパターン)における有機物質を焼失させるために、焼成炉にて樹脂層のパターンを焼成処理する。
【0106】
焼成雰囲気は、組成物や基板の種類によって異なるが、空気、オゾン、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0107】
焼成処理条件は、樹脂層残留部中の有機物質が焼失されることが必要であるため、通常、焼成温度が300〜1000℃、焼成時間が10〜90分間である。例えば、ガラス基板上にパターン形成する場合は、350〜600℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。
【0108】
これらの工程を含む本発明のパターン形成方法により、誘電体、電極、抵抗体、蛍光体、隔壁、カラーフィルター、ブラックマトリックス等のディスプレイパネル用部材や、電子部品の回路パターン等を形成することができる。なお、上記転写、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥または予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入してもよい。
【0109】
本発明のフラットディスプレイパネルの製造方法は、上記のようにして誘電体、電極、抵抗体、蛍光体、隔壁、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種のディスプレイパネル用部材を形成する工程を含み、プラズマディスプレイパネルの製造方法に適している。
【0110】
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
まず、物性の測定方法および評価方法について説明する。
【0111】
〔熱重量分析の測定方法〕
熱重量分析は、熱重量分析装置(TA instruments製「Hi−Res TGA2950」)をもちいて、10℃/分の昇温速度、流量60ml/分で行った。
MTPMP:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン
BDPPB:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
BTPP:ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチル
フォスフィンオキサイド
の3種の光重合開始剤の測定結果を図2〜4に示す。
【0112】
〔重量平均分子量(Mw)の測定方法〕
Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)により測定したポリスチレン換算の値である。なお、GPC測定は、GPCカラムとして東ソー株式会社製「TSKguardcolumn SuperHZM−M」を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒、測定温度40℃の条件で行った。
【0113】
〔現像後のパターンの評価方法〕
現像後のパネルを切断して試験片(15cm×15cm×2.8cm)を作製し、図5に示す位置のパターン切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察してパターンの幅および高さを計測し、それぞれを下記基準で評価した。なお、所望の規格は、パターンの幅が50μm、高さが180μm、間隔が200μmである。
A:所望の規格±3μm以内のもの。
B:所望の規格±3μmを超えて±5μm以内。
C:所望の規格±5μmを超えて±10μm以内のもの。
D:所望の規格±10μmを超えるもの。
【0114】
〔焼成後のパターンの評価方法〕
焼成後のパネルを切断して試験片(15cm×15cm×2.8cm)を作製し、図5に示す位置のパターン切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察してパターンの幅および高さを計測し、それぞれを下記基準で評価した。なお、所望の規格は、パターンの幅が50μm、高さが120μm、間隔を200μmである。
A:所望の規格のもの。
B:所望の規格±3μm以内のもの。
C:所望の規格±3μmを超えて±5μm以内のもの。
D:所望の規格±5μmを超えるもの。
【0115】
〔焼成基板の反射率〕
得られた5×5cm形状の焼成基板の波長550nmにおける反射率を、分光光度計((株)島津製作所製UV−2450PC、(株)島津製作所製マルチパーパス大形試料室ユニットMPC−2200付属)を用いて測定した。
【0116】
〔合成例B−1〕
ベンジルメタクリレート55g、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸45g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)(堺化学工業(株)製)5gを攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、プロピレングリコールモノメチルエーテル150部中で均一になるまで攪拌した。次いで、70℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合反応を継続させた後、室温まで冷却してメタクリル樹脂(B−1)(以下、「アルカリ可溶性樹脂(B−1)」という)を得た。このアルカリ可溶性樹脂(B−1)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性樹脂(B−1)の重量平均分子量は20000であった。
【0117】
〔合成例B−2〕
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)の代わりにノフマーNSD(日本油脂(株)製)5gを使用した以外は、合成例B−1と同様にしてメタクリル樹脂(B−2)(以下、「アルカリ可溶性樹脂(B−2)」という)を得た。このアルカリ可溶性樹脂(B−2)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性樹脂(B−2)の重
量平均分子量25000であった。
【0118】
〔合成例C−1〕
攪拌装置、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた1リットルのフラスコに、トリス(ポリオキシプロピレン)グリセリルエーテル(Mw300)(和光純薬工業(株)製、300g(水酸基=3mol)および塩酸1.56g(35%水溶液、HCl成分として0.015mol)を入れて攪拌し、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル600g(3mol)を発熱に注意しながらゆっくり滴下した。発熱が緩やかになったところで60℃に昇温し、4時間反応を行った。このようにして得られた反応物をIRにより分析したところ、水酸基に起因する3500cm-1付近のピークはほぼ消失しており、目的とする多官能メタアクリレート(C−1)を得た。
【0119】
〔合成例C−2〕
Mw300のトリス(ポリオキシプロピレン)グリセリルエーテルの代わりにMw700のトリス(ポリオキシプロピレン)グリセリルエーテル(和光純薬工業(株)製、)700g(水酸基=3mol)を使用した以外は、合成例C−1と同様にして多官能メタアクリレート(C−2)を得た。この多官能(メタ)アクリレート(C−2)をIRにより分析したところ、水酸基に起因する3500cm-1付近のピークはほぼ消失していた。
【0120】
[実施例1]
表1に示す有機成分100g(アルカリ可溶性樹脂(B−1)(63.5重量%)、多官能メタアクリレート(TMP)(35重量%)、光重合開始剤(MTPMP)(1.2重量%)および増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン(DETX))(0.2重量%)、増感剤(1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン(CPTX))(0.1重量%)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)30gに溶解した後、この溶液に無機粒子として表1に示すガラス粉末300g、界面活性剤A−60(花王(株)製)5gおよび紫外線吸収剤TTO−V−4(石原産業(株)製)0.05gを添加し、混練機で混練して無機粒子含有感光性樹脂組成物(以下「感光性ペースト」ともいう。)を調製した。
【0121】
支持フィルムとして、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(幅200mm、長さ10m、厚さ50μm)を2枚用意し、これらの支持フィルムそれぞれの上に、上記無機粒子含有感光性ペーストをロールコーターにより塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜を90℃で10分間乾燥して溶媒を除去することにより、厚さ90μmの無機粒子含有感光性樹脂層を形成した。次いで、2枚のPETフィルム上に形成した無機粒子含有感光性樹脂層を互いに貼り合せて、加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を速度0.5m/分とした。このようにして、無機粒子含有感光性樹脂層(厚さ180μm)を有する感光性フィルムを作製した。
【0122】
次に、一方の支持フィルムを剥離して、6インチパネル用のガラス基板の表面に上記無機粒子含有感光性樹脂層を重ね合わせ、残りの支持フィルムを剥離した後、無機粒子含有感光性樹脂層を加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これによ
り、ガラス基板の表面に無機粒子含有感光性樹脂層が転写されて密着した状態となった。転写された無機粒子含有感光性樹脂層の厚みを測定したところ、実施例1〜12のいずれにおいても180μm±3μmの範囲にあった。
【0123】
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅50μm、パターン間隔200μm)を用いて、上面から25mJ/cm2出力の超高圧水銀灯により、無機粒子含有感光性樹脂層を紫外線露光した。露光量は200mJ/cm2であった。
【0124】
次に、露光後の無機粒子含有感光性樹脂層に、23℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで180秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去してパネル用ガラス基板上に格子状の無機粒子含有感光性樹脂パターンを形成した。この現像後のパターンを上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
【0125】
次に、得られた無機粒子含有感光性樹脂パターンを580℃で30分間焼成して隔壁パターンを形成した。この焼成後のパターンを上記評価方法により評価した。
別途、ネガ型クロムマスクを用いずに紫外線露光を行った以外は、上記隔壁パターンと同様の製造方法で行い、焼成基板を得た。この焼成基板を5×5cmに切断し、焼成基板の反射率を上記評価方法により評価した。
結果を表1に示す。
【0126】
[実施例2〜14]
有機成分を表1に示すように、変更した以外は実施例1と同様に行い、パターンおよび焼成基板を作製して評価した。結果を表1に示す。
【0127】
パターン評価では、現像後、焼成後ともに実施例7〜10のパターンが特に優れていた。
【0128】
【表1】

[比較例1〜11]
有機成分を表2に示すように、変更した以外は実施例1と同様に行い、パターンおよび
焼成基板を作製して評価した。結果を表2に示す。
【0129】
比較例1〜11では、現像後のパターン評価においてアスペクト比不足や現像残渣が見られる等の不良のパターンを観察した。また、焼成後のパターン評価においてアスペクト比不足のパターンが観察された。
【0130】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】図1は、交流型FPD(具体的には、PDP)の断面形状を示す模式図である。
【図2】図2はMTPMPの熱重量分析の測定結果を示す。
【図3】図3はBDPPBの熱重量分析の測定結果を示す。
【図4】図4はBTPPの熱重量分析の測定結果を示す。
【図5】図5は、実施例におけるパターンの評価において、評価箇所を示す模式図である。
【符号の説明】
【0132】
101 ガラス基板
102 ガラス基板
103 背面隔壁
104 透明電極
105 バス電極
106 アドレス電極
107 蛍光物質
108 誘電体層
109 誘電体層
110 保護層
111 前面隔壁
A 隔壁パターン
B 切断面詳細

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)、および増感剤(E)を含有する無機粒子含有感光性樹脂組成物であって、
前記光重合開始剤(D)が下記式(1)で表される化合物であり、
前記増感剤(E)が下記式(2)で表される化合物および下記式(3)で表される化合物であることを特徴とする無機粒子含有感光性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)において、R1およびR2は相互に独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【化2】

(式(2)において、R3およびR4は相互に独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【化3】

(式(3)において、R5は弗素、塩素、臭素、沃素、またはトリフラートを示し、R6は水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項2】
前記多官能(メタ)アクリレート(C)100重量部に対し、
式(1)で表される化合物を3.0〜10.0重量部、
式(2)で表される化合物を0.5〜2.0重量部、
式(3)で表される化合物を0.2〜1.0重量部
の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の無機粒子含有感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無機粒子含有感光性樹脂組成物から得られる無機粒子含有感光性樹脂組成物層を有することを特徴とする感光性フィルム。
【請求項4】
(I)請求項1または2に記載の無機粒子含有感光性樹脂組成物から得られる無機粒子含有感光性樹脂組成物層を基板上に形成する工程、
(II)該無機粒子含有感光性樹脂組成物層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
(III)露光後の無機粒子含有感光性樹脂組成物層を現像処理してパターンを形成する工程、および
(IV)該パターンを焼成処理する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項5】
前記工程(I)において、請求項3に記載の感光性フィルムを用いて、基板上に無機粒
子含有感光性樹脂組成物層を形成することを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のパターン形成方法により、誘電体、電極、抵抗体、蛍光体、隔壁、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種のディスプレイパネル用部材を形成する工程を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項7】
前記ディスプレイパネルがプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする請求項6に記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−170953(P2008−170953A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285085(P2007−285085)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】