説明

熟成モズクの製造方法、熟成モズクエキスの製造方法、熟成モズクエキスを含有する化粧料及び食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、熟成海藻エキスを含有する化粧料及び抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、糖添加モズクの製造方法、熟成モズク及び/又は糖添加モズクを含有する食料品、糖添加モズクエキスの製造方法、糖添加モズクエキスを含有する化粧料及び食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、熟成モズクエキス及び/又は糖添加モズクエキスを用いたサプリメント、糖添加海藻エキスを含有する化粧料

【課題】モズクなどの海藻が本来有する高い抗酸化性を失うことなく、皮膚や身体の活性酸素の抑制や、シミ・シワなどへの老化防止機能、身体の健康を維持する機能や、高い皮膚の保湿性、皮膚をすべすべにする効果が発揮される化粧料、食品などを提供し、またかかる化粧料及び食品の主原料となるモズクなどの海藻の熟成方法、熟成モズクエキスあるいは熟成海藻の製造方法を提供する。
【解決手段】生モズクを水にて洗浄し、塩を適量、生モズクに添加し、十分に混合してから、容器などに入れて放置する。放置条件は、常温又は冷所、室内又は暗所にて、放置期間は、1ヶ月〜数年である。得られた熟成モズクを精製して熟成モズクエキスを得、これを原料として化粧料、食品などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熟成モズクの製造方法、熟成モズクエキスの製造方法、熟成モズクエキスを含有する化粧料及び食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、熟成海藻エキスを含有する化粧料及び抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、糖添加モズクの製造方法、熟成モズク及び/又は糖添加モズクを含有する食料品、糖添加モズクエキスの製造方法、糖添加モズクエキスを含有する化粧料及び食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、熟成モズクエキス及び/又は糖添加モズクエキスを用いたサプリメント、糖添加海藻エキスを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
海藻には、様々な有効成分が含まれているため、従来からこれらの有効成分を抽出して、種々の化粧品や、サプリメント食品などに配合する試みがなされている。下記の特許文献1や特許文献2には、モズクを低分子化する技術が開示されている。これらの文献に記載の低分子化したモズクエキスの場合、浸透性が高まる可能性があり、免疫抑制、ガン抑制などへの増強効果がある。
【特許文献1】特開2002−165579号公報
【特許文献2】特許第3408180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の方法では、海藻成分そのものを抽出精製したものが中心で皮膚・体への有用性を活かしきれていない。すなわち、従来の抽出方法で抽出精製して得られる海藻の成分は、抗酸化性を高めることなく、皮膚や身体の活性酸素の抑制や、シミ・シワなどへの老化防止機能、身体の健康維持機能(免疫抑制作用、胃潰瘍抑制作用などによる)が不足する。また、従来の方法で得られる海藻の成分は、皮膚の保湿性はある程度有するが、十分なレベルにはない。さらに、皮膚は保湿を有した上で、皮膚が滑らかになることが求められているが、同上のモズクそのものの(生モズク)エキスの場合、皮膚をすべすべにする能力が十分でない。
【0004】
また、モズクの場合では、抽出されたもの以外に、酸・アルコールによる強制酸化処理、クエン酸水による低分子化モズクエキスがある。すなわち、上述の特許文献1や特許文献2には、モズクを低分子化する技術が開示されている。これらの文献に記載の低分子化したモズクエキスの場合、浸透性が高まる可能性があり、免疫抑制、ガン抑制などへの増強効果がある。しかし、これはモズクを単に人工的に処理したもので、高度に有効性の高い組成になってはいない。すなわち、酸・アルコール強制酸化やクエン酸、酵素などで強制的に人工的に処理し、モズクを低分子化した場合、モズクが本来持っている抗酸化能を有する部分が残されず、又は減少し、よって、抗酸化能が消去され、その抗酸化能を中心にした上述の機能が有効に活用されずに無駄になっている。したがって、モズクが本来もっている抗酸化性を主体とした、皮膚や身体の活性酸素の抑制や、シミ・シワなどへの老化防止機能、身体の健康を維持する機能や、高い皮膚の保湿性、皮膚をすべすべにする効果が発揮されない。
【0005】
本発明は上記従来例の問題点に鑑み、モズクなどの海藻が本来有する高い抗酸化性を失うことなく、皮膚や身体の活性酸素の抑制や、シミ・シワなどへの老化防止機能、身体の健康を維持する機能や、高い皮膚の保湿性、皮膚をすべすべにする効果が発揮される化粧料、サプリメントなどを提供し、またかかる化粧料及びサプリメントの主原料となるモズクなどの海藻の熟成方法、熟成モズクエキスあるいは熟成海藻の製造方法を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、発酵以外の方法によりモズク又は他の海藻を熟成し、熟成モズク又は熟成海藻を作り、これらをそれぞれ精製して熟成モズクエキスあるいは熟成海藻エキスを得て、化粧料やサプリメントの原料としている。また本発明は上記目的を達成するために、モズク又は他の海藻を糖処理(糖添加)し、糖添加モズク又は糖添加海藻を作り、これらをそれぞれ精製して糖添加モズクエキスあるいは糖添加海藻エキスを得て、化粧料やサプリメントの原料としている。
【0007】
すなわち本発明によれば、モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する化粧料が提供される。
【0008】
また本発明によれば、海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する化粧料が提供される。
【0009】
また本発明によれば、モズクに加糖して作られる糖添加粗モズクエキスを精製して作られる糖添加モズクエキスを含有する化粧料が提供される。
【0010】
また本発明によれば、海藻類に加糖して作られる糖添加粗海藻エキスを精製して作られる糖添加海藻エキスを含有する化粧料が提供される。
【0011】
また本発明によれば、エキスを含有するサプリメントにおいて、前記エキスとしてモズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキス及び/又はモズクに加糖して作られる糖添加粗モズクを精製して作られる糖添加モズクエキスを用いたことを特徴とするサプリメントが提供される。
【0012】
また本発明によれば、モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズク及び/又はモズクに加糖して作られる糖添加(処理)モズクを含有する食料品が提供される。
【0013】
また本発明によれば、モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する抗酸化剤が提供される。
【0014】
また本発明によれば、海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する抗酸化剤が提供される。
【0015】
また本発明によれば、モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤が提供される。
【0016】
また本発明によれば、海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤が提供される。
【0017】
また本発明によれば、モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する免疫作用増強剤が提供される。
【0018】
また本発明によれば、海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する免疫作用増強剤が提供される。
【0019】
また本発明によれば、生モズクを洗浄するステップと、
洗浄された前記生モズクに塩分を添加するステップと、
塩分が添加された前記生モズクを攪拌するステップと、
攪拌が終了した後、前記生モズクを容器に入れるステップと、
前記容器に入れられた前記生モズクを常温又は低温にて1ヶ月以上、数年の範囲の期間放置するステップとを、
有する熟成モズクの製造方法が提供される。
【0020】
また本発明によれば、生モズクを洗浄するステップと、
洗浄された前記生モズクに糖分を添加するステップと、
糖分が添加された前記生モズクを攪拌するステップと、
攪拌が終了した後、前記生モズクを容器に入れるステップと、
前記容器に入れられた前記生モズクを所定温度にて1日以上、約2週間の範囲の期間放置するステップとを、
有する糖添加モズクの製造方法が提供される。
【0021】
また本発明によれば、上記熟成モズクの製造方法で製造された熟成モズクを用いて、熟成モズクエキスを製造する方法であって、
前記熟成モズクに水を添加するステップと、
前記水が添加された前記熟成モズクを粉砕するステップと、
前記粉砕後、攪拌又は炭酸ガスによる超臨界抽出により抽出するステップと、
前記抽出後、ろ過して、粗モズクエキスと残渣とに分離するステップと、
前記粗モズクエキスに1・3ブチレングリコール又は糖分を添加して調整液を生成するステップと、
前記調整液を活性炭処理して、吸着精製すべく攪拌して脱色・脱臭するステップと、
前記脱色・脱臭後、ろ過するステップとを、
有する、熟成モズクエキスの製造方法が提供される。
【0022】
また本発明によれば、上記糖添加モズクの製造方法で製造された糖添加モズクを用いて、糖添加モズクエキスを製造する方法であって、
前記熟成モズクに水を添加するステップと、
前記水が添加された前記熟成モズクを粉砕するステップと、
前記粉砕後、攪拌又は炭酸ガスによる超臨界抽出により抽出するステップと、
前記抽出後、ろ過して、粗モズクエキスと残渣とに分離するステップと、
前記粗モズクエキスに1・3ブチレングリコール又は糖分を添加して調整液を生成するステップと、
前記調整液を活性炭処理して、吸着精製すべく攪拌して脱色・脱臭するステップと、
前記脱色・脱臭後、ろ過するステップとを、
有する、糖添加モズクエキスの製造方法が提供される。
【0023】
また本発明によれば、上記熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する化粧料が提供される。
【0024】
また本発明によれば、上記熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する食料品が提供される。
【0025】
また本発明によれば、上記熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する抗酸化剤が提供される。
【0026】
また本発明によれば、上記熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤が提供される。
【0027】
また本発明によれば、上記熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する免疫作用増強剤が提供される。
【0028】
また本発明によれば、上記糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する化粧料が提供される。
【0029】
また本発明によれば、上記糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する食料品が提供される。
【0030】
また本発明によれば、上記糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する抗酸化剤が提供される。
【0031】
また本発明によれば、上記糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤が提供される。
【0032】
また本発明によれば、上記糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する免疫作用増強剤が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明により提供される熟成モズクエキスあるいは熟成海藻エキスは、未処理の通常のモズクより、高い抗酸化能を有するため、活性酸素消去作用や皮膚老化防止作用が高い。また、本発明により提供される熟成モズクエキスあるいは熟成海藻エキスは、アミノ酸量が増加し、粘液多糖体フコイダンを大量に含有するため、化粧料の原料としたとき皮膚保湿作用を維持したまま、ぬめり感、ベタツキが少なくなっている。これは近年好まれる使用感である。しかも、肌を滑らかにする作用、すなわち滑り感も強い。なお、モズクや海藻の熟成化が促進されると、磯の匂いが大幅に減少し、気にならないという効果もある。また、本発明により提供される熟成モズクエキスあるいは熟成海藻エキスをサプリメントや食品などの原料とすると、正常細胞には障害を与えず、悪性細胞を自滅させるアポトーシス作用が、抗酸化能の増強で、これまでのフコイダンより効果が期待できる。また、胃潰瘍や胃ガンの原因の一つ、ピロリ菌の高い除去作用も期待される。免疫の抑制作用も高い。また、熟成モズクや熟成海藻の代わりに糖添加モズクや糖添加海藻を用いても同様の結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明では、モズク及びその他の海藻を対象としているが、実施の形態では、モズクを例にとり説明する。したがって、熟成モズクや、糖添加モズクの用語は、それぞれ熟成海藻、糖添加海藻の一例として用いられるものとする。本発明では、まず熟成モズクあるいは、糖添加モズクを作り、これらを精製してそれぞれ、熟成モズクエキス及び糖添加モズクエキスを作る。以下これらの製造方法について順を追って説明する。
【0035】
<熟成モズクの製造方法>
原料として、海から採取された生モズクを用いる。モズクにはいくつかの種類があるが、主としてオキナワフトモズク、いわゆるフトモズクが適しており、その中でも特にアマミフトモズクがよい。モズク以外の海藻を用いる場合も以下の工程は基本的に同一である。
(1)まず、生モズクを水にて洗浄する。
(2)次いで、海水由来及び/又は岩塩由来及び/又は合成由来の塩を適量(生モズクに対して、15重量%〜40重量%が最適)生モズクに添加し、十分に混合してから、容器などに入れて放置する。
(3)放置条件は、常温又は冷所、室内又は暗所にて、放置期間は、1ヶ月〜数年である。
【0036】
<糖添加モズクの製造方法>
こちらも上記熟成モズクと同様に原料として、海から採取された生モズクを用いる。モズクとしては、同様に主としてオキナワフトモズク、いわゆるフトモズクが適しており、その中でも特にアマミフトモズクがよい。モズク以外の海藻を用いる場合も以下の工程は基本的に同一である。
(1)まず、生モズクを水にて洗浄する。
(2)次いで、洗浄後の生モズクに砂糖を生モズクに対して、適量(10重量%〜300重量%が最適)添加し、十分に混合してから、容器などに入れて放置する。砂糖としては、特に黒糖がよいが、その他の糖類でもよい。
(3)放置条件は、室温で、1日〜約180日、30℃前後で、数時間〜1ヶ月、冷蔵庫などの低温では、1週間以上である。なお、30℃以上の温度でも製造は可能である。
【0037】
<熟成モズクエキスの製造方法>
図1は本発明に係る熟成モズクエキスの製造方法と糖添加モズクエキスの製造方法の一例を示すフローチャートである。上記工程で製造された熟成モズクに、水を添加する。添加する水は、モズク1.0wt(重量)に対して、0.1〜10.0wtである。なおこの範囲の中で、添加する水は、モズク1.0wtに対して、1.0〜5.0が最適である。次いで、水が添加されたモズクをミキサーで粉砕する。粉砕時間は、モズク1kg当たり、10分〜60分程度である。粉砕後、ミキサーにて30分〜3時間程度攪拌して、抽出を行う。温度は常温でよい。抽出工程は、炭酸ガスによる超臨界抽出によることもできる。この場合、温度は常温あるいは、30℃〜100℃とすることができる。圧力は、常圧又は加圧下とすることができる。次いでろ過を行う。ろ過は、50〜150メッシュろ過膜を使用して吸引ろ過を行う。吸引ろ過に代えて加圧ろ過でもよい。ろ過時間は、適宜設定する。ろ過により熟成粗モズクエキス(図中、単に「粗モズクエキス」と記す)と残渣が得られる。次いで、熟成粗モズクエキスに1・3ブチレングリコール又はショ糖などを添加し、防腐剤を適量添加し、調整液を作成する。作られた調整液を活性炭処理による吸着精製を行う。吸着精製は、ミキサーにて活性炭の添加された調整液を15分〜30分攪拌して行う。なお活性炭の量は、調整液1kgに対して5〜50g程度である。こうして、脱色脱臭精製が行われる。脱色脱臭精製後の調整液をろ過する。このろ過は、100〜300メッシュろ過膜を使用して吸引ろ過を行う。吸引ろ過に代えて加圧ろ過でもよい。ろ過時間は、適宜設定する。その後70℃〜80℃にて約30分間殺菌する。これらの工程により熟成モズクエキスが得られる。
【0038】
<糖添加モズクエキスの製造方法>
糖添加モズクエキスの製造方法は、上記熟成モズクエキスの製造方法と、原料と加える水の量が異なるのみであり、その他は同様である。すなわち、図1のフローチャートに示す工程で製造される。前述の工程で製造された糖添加モズクを原料に用いる。糖添加モズクに水を添加する。添加する水は、モズク1.0wtに対して、0.05〜10.0wtである。なおこの範囲の中で、添加する水は、モズク1.0wtに対して、1.0〜3.0wtが最適である。以下の工程は、熟成モズクエキスの製造方法と同様である。
【実施例】
【0039】
上記の工程で得られた熟成モズクエキス又は糖添加モズクエキスを用いて化粧料やサプリメントを作成したので、それらの実施例について説明する。以下に示す表1は、実施例1として熟成モズクエキスを含む化粧水(1)と、糖添加モズクエキスを含む化粧水(2)と、生オキナワフトモズクエキスを含む比較例(1)と、アルギン酸Naを含む比較例(2)の成分と評価を対比して示している。また表2は、実施例2として熟成モズクエキスを含む日焼け鎮静ローション(1)と、糖添加モズクエキスを含む日焼け鎮静ローション(2)と、生オキナワフトモズクエキスを含む比較例(1)と、アルギン酸Naを含む比較例(2)の成分と評価を対比して示している。また表3は、実施例3として熟成モズクエキスを含む美白クリーム(1)と、糖添加モズクエキスを含む美白クリーム(2)と、生オキナワフトモズクエキスを含む比較例(1)と、カミツレエキスを含む比較例(2)の成分と評価を対比して示している。
【0040】
なお、本発明の成分による「美白作用」について説明すると、本発明により製造した熟成モズクエキス、糖添加モズクエキスは、抗酸化能の増加により、日焼け後の炎症の早期改善が、表3の実施例に示すように認められる。最近、シミの部位には炎症性状況が発生しているとの報告があり、それに対して、トラネキサム酸などの抗炎症成分が効果的と指摘されている。したがって、本発明の成分は日焼け後のシミ・ソバカスの発生を抑制したり、改善する効果があると判断される。また、本発明の各種化粧料は、シミ・シワの予防及び改善剤としても優れた効果を発揮する。これは、炎症予防・改善作用によりシミ・しわの予防や改善が促進されることによる。
【0041】
また表4は、実施例4として熟成モズクエキスを含むパック料(1)と、糖添加モズクエキスを含むパック料(2)と、生オキナワフトモズクエキスを含む比較例(1)と、キサンタンガムを含む比較例(2)の成分と評価を対比して示している。また、表5は、実施例5として熟成モズクエキスを含むシェービングジェル(1)と、糖添加モズクエキスを含むシェービングジェル(2)と、生オキナワフトモズクエキスを含む比較例(1)と、アルギン酸Naを含む比較例(2)の成分と評価を対比して示している。また表6は、実施例6として熟成モズクエキスを含むサンスクリーンクリーム(1)と、糖添加モズクエキスを含むサンスクリーンクリーム(2)と、生オキナワフトモズクエキスを含む比較例(1)と、カミツレエキスを含む比較例(2)の成分と評価を対比して示している。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
次に、本発明の熟成モズク及び糖添加モズクの抗酸化能について説明する。抗酸化能の評価は、表7に示すようにDPPH(ジフェニルピクリルヒド)ラジカル消去能として示される。オキナワ生モズクのDPPHラジカル消去能を100としている。この対比から明らかなように、本発明の熟成モズク及び糖添加モズクの抗酸化能は、共にオキナワ生モズクの約3倍である。このような高い抗酸化能により、活性酸素消去作用、老化防止作用、悪性細胞のアポトーシス作用が増加する。また胃潰瘍の原因といわれるピロリ菌の除去作用が期待される。
【0049】
【表7】

【0050】
表8は、表7に示した4つの成分のそれぞれの有機酸成分を対比して示した表である。表8から、熟成モズクは、ギ酸が主成分であり、糖添加モズク乳酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、コハク酸が主成分であることがわかる。また、熟成モズクと糖添加モズクの成分は異なるが、共に健康によい酸成分が熟成あるいは糖添加前より増加していることがわかる。
【0051】
【表8】

【0052】
表9は、表7、表8に示した4つの成分の香気成分を比較して示す表である。
【0053】
【表9】

【0054】
表9から分かるように、熟成モズクは、トリメチルアミン、イソアミル アルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、フェニエチル アルコール(trimethylamine、isoamyl alcohol、2-ethyl-1-hexanol、phenylethyl alcohol)が、生モズクより多い。また生アマミフトモズクに糖添加したものは、エチル アセテート、イソアミル アルコール(ethyl acetate、isoamyl alcohol)が、生モズクより多い。さらに、生アマミフトモズクは、エタノール、1−ペンタン−3−オル、1−ヒドキシ−2−プロパノン(ethanol、1-penten-3-ol、1-hydoxy-2-propanone)を多く含有し、一方、生オキナワフトモズクは、2−ブテン−1−オル、(z)−2−ペンテン−1−オル、酢酸(2-buten-1-ol、(Z)-2-penten-1-ol、acetic acid)を多く含有していることがわかる。このように、「熟成モズク」、「糖添加モズク」は、トリメチルアミン、イソアミル アルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、フェニルエチル アルコール、エチル アセテートなどが相対的に増え、海藻臭さが改善されていることが分かる。
【0055】
上記実施例では、熟成モズクから得られたエキスあるいは糖添加処理モズクから得られたエキスのいずれかを用いているが、熟成モズクから得られたエキス及び糖添加処理モズクから得られたエキスの双方を含有するようにしてもよい。また、本発明の熟成モズクは、上記実施の形態で説明した方法で生成されるが、このことは、本発明の熟成モズクは発酵以外の方法で熟成して作られることを意味する。なお、本発明は特許請求の範囲に記載されたもののの他、熟成海藻の製造方法、熟成海藻エキスの製造方法、熟成海藻エキスを含有する食料品、糖添加海藻の製造方法、糖添加海藻エキスの製造方法、糖添加海藻エキスを含有する食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤にも好適に応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明の熟成モズクの製造方法、熟成モズクエキスの製造方法、熟成モズクエキスを含有する化粧料及び食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、熟成海藻エキスを含有する化粧料及び抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、糖添加モズクの製造方法、熟成モズク及び/又は糖添加モズクを含有する食料品、糖添加モズクエキスの製造方法、糖添加モズクエキスを含有する化粧料及び食料品、抗酸化剤、皮膚炎症予防・改善剤、免疫作用増強剤、熟成モズクエキス及び/又は糖添加モズクエキスを用いたサプリメント、糖添加海藻エキスを含有する化粧料は、美容や食料品、医薬品、健康管理、医療などの産業において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る熟成モズクエキス及び糖添加モズクエキスの製造工程の一例を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する化粧料。
【請求項2】
海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する化粧料。
【請求項3】
モズクに加糖して作られる糖添加粗モズクエキスを精製して作られる糖添加モズクエキスを含有する化粧料。
【請求項4】
海藻類に加糖して作られる糖添加粗海藻エキスを精製して作られる糖添加海藻エキスを含有する化粧料。
【請求項5】
前記エキスが、0.01重量%以上含有されている請求項1から4のいずれか1つに記載の化粧料。
【請求項6】
前記化粧料が、化粧水、マイクロエマルジョン、乳液、エッセンス、洗顔料、クレンジング料、パック料、化粧用ファンデーション、リップ用化粧料、ボディケア・手足用品、ヘアケア用品のいずれかである請求項1から5のいずれか1つに記載の化粧料。
【請求項7】
前記モズクとして、オキナワフトモズクを用いた請求項1又は3に記載の化粧料。
【請求項8】
前記オキナワフトモズクとして、アマミフトモズクを用いた請求項7に記載の化粧料。
【請求項9】
エキスを含有するサプリメントにおいて、前記エキスとしてモズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキス及び/又はモズクに加糖して作られる糖添加粗モズクを精製して作られる糖添加モズクエキスを用いたことを特徴とするサプリメント。
【請求項10】
モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズク及び/又はモズクに加糖して作られる糖添加モズクを含有する食料品。
【請求項11】
モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する抗酸化剤。
【請求項12】
海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する抗酸化剤。
【請求項13】
モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤。
【請求項14】
海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤。
【請求項15】
モズクを発酵以外の方法で熟成して作られる熟成モズクを精製して作られる熟成モズクエキスを含有する免疫作用増強剤。
【請求項16】
海藻類を発酵以外の方法で熟成して作られる熟成海藻を精製して作られる熟成海藻エキスを含有する免疫作用増強剤。
【請求項17】
生モズクを洗浄するステップと、
洗浄された前記生モズクに塩分を添加するステップと、
塩分が添加された前記生モズクを攪拌するステップと、
攪拌が終了した後、前記生モズクを容器に入れるステップと、
前記容器に入れられた前記生モズクを常温又は低温にて1ヶ月以上、数年の範囲の期間放置するステップとを、
有する熟成モズクの製造方法。
【請求項18】
前記添加する塩分は、前記生モズクの15〜40重量%である請求項17に記載の熟成モズクの製造方法。
【請求項19】
前記生モズクとして、オキナワフトモズクを用いる請求項17に記載の熟成モズクの製造方法。
【請求項20】
前記オキナワフトモズクとして、アマミフトモズクを用いる請求項17に記載の熟成モズクの製造方法。
【請求項21】
前記放置するステップが、室内又は暗所に放置するものである請求項17に記載の熟成モズクの製造方法。
【請求項22】
生モズクを洗浄するステップと、
洗浄された前記生モズクに糖分を添加するステップと、
糖分が添加された前記生モズクを攪拌するステップと、
攪拌が終了した後、前記生モズクを容器に入れるステップと、
前記容器に入れられた前記生モズクを所定温度にて1日以上、約2週間の範囲の期間放置するステップとを、
有する糖添加モズクの製造方法。
【請求項23】
前記添加する糖分は、前記生モズクの10〜70重量%である請求項22に記載の糖添加モズクの製造方法。
【請求項24】
前記生モズクとして、オキナワフトモズクを用いる請求項22に記載の糖添加モズクの製造方法。
【請求項25】
前記オキナワフトモズクとして、アマミフトモズクを用いる請求項24に記載の糖添加モズクの製造方法。
【請求項26】
前記放置するステップが、室内又は暗所に放置するものである請求項22に記載の糖添加モズクの製造方法。
【請求項27】
前記放置するステップにおいて、前記所定温が室温の場合、1日〜約2週間、30℃前後の場合、数時間から3乃至4日、冷蔵庫のような低温の場合は、1週間以上である請求項22に記載の糖添加モズクの製造方法。
【請求項28】
請求項17から21のいずれか1つに記載の熟成モズクの製造方法で製造された熟成モズクを用いて、熟成モズクエキスを製造する方法であって、
前記熟成モズクに水を添加するステップと、
前記水が添加された前記熟成モズクを粉砕するステップと、
前記粉砕後、攪拌又は炭酸ガスによる超臨界抽出により抽出するステップと、
前記抽出後、ろ過して、粗モズクエキスと残渣とに分離するステップと、
前記粗モズクエキスに1・3ブチレングリコール又は糖分を添加して調整液を生成するステップと、
前記調整液を活性炭処理して、吸着精製すべく攪拌して脱色・脱臭するステップと、
前記脱色・脱臭後、ろ過するステップとを、
有する、熟成モズクエキスの製造方法。
【請求項29】
請求項22から27のいずれか1つに記載の糖添加モズクの製造方法で製造された糖添加モズクを用いて、糖添加モズクエキスを製造する方法であって、
前記熟成モズクに水を添加するステップと、
前記水が添加された前記熟成モズクを粉砕するステップと、
前記粉砕後、攪拌又は炭酸ガスによる超臨界抽出により抽出するステップと、
前記抽出後、ろ過して、粗モズクエキスと残渣とに分離するステップと、
前記粗モズクエキスに1・3ブチレングリコール又は糖分を添加して調整液を生成するステップと、
前記調整液を活性炭処理して、吸着精製すべく攪拌して脱色・脱臭するステップと、
前記脱色・脱臭後、ろ過するステップとを、
有する、糖添加モズクエキスの製造方法。
【請求項30】
請求項28に記載の熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する化粧料。
【請求項31】
請求項28に記載の熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する食料品。
【請求項32】
請求項28に記載の熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する抗酸化剤。
【請求項33】
請求項28に記載の熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤。
【請求項34】
請求項28に記載の熟成モズクエキスの製造方法により製造された熟成モズクエキスを含有する免疫作用増強剤。
【請求項35】
請求項29に記載の糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する化粧料。
【請求項36】
請求項29に記載の糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する食料品。
【請求項37】
請求項29に記載の糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する抗酸化剤。
【請求項38】
請求項29に記載の糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する皮膚炎症予防・改善剤。
【請求項39】
請求項29に記載の糖添加モズクエキスの製造方法により製造された糖添加モズクエキスを含有する免疫作用増強剤。

【図1】
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【公開番号】特開2007−197356(P2007−197356A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16983(P2006−16983)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(504449309)株式会社ドクターズバイオ研究所 (3)
【Fターム(参考)】