説明

熱硬化型ダイボンドフィルム、ダイシング・ダイボンドフィルム、及び、半導体装置

【課題】熱硬化させた際に被着体に反りが発生することを抑制することが可能な熱硬化型ダイボンドフィルムを提供する。
【解決手段】半導体チップの被着体への固着に用いる熱硬化型ダイボンドフィルム3であって、120℃、1時間の条件で熱硬化させた後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が、1GPa〜50GPaである熱硬化型ダイボンドフィルム3。前記熱硬化型ダイボンドフィルム3は熱硬化樹脂としてのエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含有するとともに、熱可塑性樹脂としてのアクリル樹脂を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体チップ等の半導体素子を基板やリードフレーム等の被着体上に接着固定する際に用いられる熱硬化型ダイボンドフィルムに関する。また本発明は、当該熱硬化型ダイボンドフィルムとダイシングフィルムとが積層されたダイシング・ダイボンドフィルムに関する。また、本発明は、当該該熱硬化型ダイボンドフィルム、又は、当該ダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造過程に於いてリードフレームや電極部材への半導体チップの固着には、銀ペーストが用いられている。かかる固着処理は、リードフレームのダイパッド等の上にペースト状接着剤を塗工し、それに半導体チップを搭載してペースト状接着剤層を硬化させて行う。
【0003】
しかしながら、ペースト状接着剤はその粘度挙動や劣化等により塗工量や塗工形状等に大きなバラツキを生じる。その結果、形成されるペースト状接着剤厚は不均一となるため半導体チップに係わる固着強度の信頼性が乏しい。即ち、ペースト状接着剤の塗工量が不足すると半導体チップと電極部材との間の固着強度が低くなり、後続のワイヤーボンディング工程で半導体チップが剥離する。一方、ペースト状接着剤の塗工量が多すぎると半導体チップの上までペースト状接着剤が流延して特性不良を生じ、歩留まりや信頼性が低下する。この様な固着処理に於ける問題は、半導体チップの大型化に伴って特に顕著なものとなっている。そのため、ペースト状接着剤の塗工量の制御を頻繁に行う必要があり、作業性や生産性に支障をきたす。
【0004】
このペースト状接着剤の塗工工程に於いて、ペースト状接着剤をリードフレームや形成チップに別途塗布する方法がある。しかし、この方法では、ペースト状接着剤層の均一化が困難であり、またペースト状接着剤の塗布に特殊装置や長時間を必要とする。このため、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、ダイボンド工程に必要なチップ固着用の接着剤層をも付与するダイシングフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このダイシングフィルムは、支持基材上に接着剤層を剥離可能に設けてなるものであり、その接着剤層による保持下に半導体ウェハをダイシングしたのち、支持基材を延伸して形成チップを接着剤層とともに剥離し、これを個々に回収してその接着剤層を介してリードフレーム等の被着体に固着させるようにしたものである。
【0006】
この接着剤層としては、従来、熱硬化型のダイボンドフィルムが使用され、ダイボンド後に熱硬化させることにより、高接着力を発揮させている。しかしながら、熱硬化により高接着性を得ようとして、熱硬化性成分の配合を多くしたダイボンドフィルムを用いると、熱硬化後の引張貯蔵弾性率が高くなり、被着体に反りが発生するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−57642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、熱硬化させた際に被着体に反りが発生することを抑制することが可能な熱硬化型ダイボンドフィルム、ダイシング・ダイボンドフィルム、及び、当該ダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造された半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、熱硬化型ダイボンドフィルム、及び該熱硬化型ダイボンドフィルムとダイシングフィルムとが積層されたダイシング・ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、下記の構成を採用することにより、熱硬化させた際に被着体に反りが発生することを抑制することが可能であることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る熱硬化型ダイボンドフィルムは、半導体チップの被着体への固着に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、120℃、1時間の条件で熱硬化させた後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が、1GPa〜50GPaであることを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、120℃、1時間の条件で熱硬化させた後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が50GPa以下と比較的低いため、熱硬化により被着体に反りが発生することを抑制することができる。また、熱硬化後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が1GPa以上であるため、被着体との接着力を充分に確保することができる。
【0012】
前記構成においては、熱硬化後における、半導体チップに対するせん断接着力が175℃の条件下において0.2MPa以上5MPa以下であることが好ましい。半導体チップに対するせん断接着力が0.2MPa以上であると、ワイヤーボンディング工程の際に、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルムと半導体チップとの接着面でずり変形を生じることが少ない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことを少なく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止することができる。
【0013】
前記構成においては、熱硬化前の120℃における溶融粘度が50Pa・s以上5000Pa・s以下であることが好ましい。熱硬化前の120℃における溶融粘度を50Pa・s以上とすることにより、ダイボンドフィルムから接着剤成分等が滲み出すのを抑制し、基板、半導体チップ等の汚染を防止することができる。また、前記溶融粘度を5000Pa・s以下とすることにより、熱硬化前におけるダイボンドフィルムの被着体に対する密着性を良好なものにできる。
【0014】
前記構成においては、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含有するとともに、熱可塑性樹脂としてのアクリル樹脂を含有し、前記エポキシ樹脂と前記フェノール樹脂との合計重量をXとし、前記アクリル樹脂の重量をYとしたとき、X/(X+Y)が0.5以上1.0未満であることが好ましい。X/(X+Y)を0.5以上とし、比較的低分子成分である熱硬化性樹脂をある程度含有させることにより、熱硬化前におけるダイボンドフィルムの被着体に対する密着性をより良好とすることができるとともに、熱硬化後における被着体や半導体チップ等との接着力をより充分なものとすることができる。一方、X/(X+Y)を1.0未満とすることにより、熱硬化後の引張貯蔵弾性率をある程度低くすることができ、熱硬化により被着体に反りが発生することをより抑制することができる。
【0015】
前記構成においては、(前記エポキシ樹脂の重量)/(前記フェノール樹脂の重量)が、が、1.2〜6であることが好ましい。(前記エポキシ樹脂の重量)/(前記フェノール樹脂の重量)を、1.2〜6とすることにより、熱硬化後の接着力を良好に発現させることができ、且つ、熱硬化後の反りを低減することができる。
【0016】
また、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、前記の課題を解決する為に、前記に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、基材上に粘着剤層が積層されたダイシングフィルム上に積層されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る半導体装置は、前記の課題を解決する為に、前記に記載のダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図3】図1に示したダイシング・ダイボンドフィルムに於ける接着剤層を介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
【図4】図1に示したダイシング・ダイボンドフィルムに於ける接着剤層を介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。
【図5】図1に示したダイシング・ダイボンドフィルムを用いて、2つの半導体チップをスペーサを介して接着剤層により3次元実装した例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(ダイシング・ダイボンドフィルム)
本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムについて、以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。図2は、本発明の他の実施形態に係る他のダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【0020】
図1に示すように、ダイシング・ダイボンドフィルム10は、ダイシングフィルム11上にダイボンドフィルム3が積層された構成を有する。ダイシングフィルム11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されており、ダイボンドフィルム3はその粘着剤層2上に設けられている。また本発明は、図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム12のように、ワーク貼り付け部分にのみダイボンドフィルム3’を形成した構成であってもよい。
【0021】
前記基材1は紫外線透過性を有するものを使用することができ、ダイシング・ダイボンドフィルム10、12の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0022】
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップ(半導体素子)の回収の容易化を図ることができる。
【0023】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。
【0024】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0025】
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤を用いることができる。前記感圧性粘着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0026】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0027】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0028】
更に、前記アクリル系ポリマーは、架橋させる為、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0029】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、更に好ましくは40万〜300万程度である。
【0030】
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高める為、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、更には0.1〜5重量部配合するのが好ましい。更に、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0031】
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、図2に示す粘着剤層2のワーク貼り付け部分に対応する部分2aのみを放射線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
【0032】
また、図2に示すダイボンドフィルム3’に合わせて放射線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aにダイボンドフィルム3’が貼付けられる為、粘着剤層2の前記部分2aとダイボンドフィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。
【0033】
前述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いて、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bはダイボンドフィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、チップ状ワーク(半導体チップ等)を基板等の被着体に固着する為のダイボンドフィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2に於いては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。
【0034】
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
【0035】
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0036】
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる為好ましい。
【0037】
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0038】
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
【0039】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
【0040】
前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0041】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0042】
また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0043】
前記放射線硬化型の粘着剤層2中には、必要に応じて、放射線照射により着色する化合物を含有させることもできる。放射線照射により、着色する化合物を粘着剤層2に含ませることによって、放射線照射された部分のみを着色することができる。即ち、図1に示すワーク貼り付け部分3aに対応する部分2aを着色することができる。従って、粘着剤層2に放射線が照射されたか否かが目視により直ちに判明することができ、ワーク貼り付け部分3aを認識し易く、ワークの貼り合せが容易である。また光センサー等によって半導体素子を検出する際に、その検出精度が高まり、半導体素子のピックアップ時に誤動作が生ずることがない。
【0044】
放射線照射により着色する化合物は、放射線照射前には無色又は淡色であるが、放射線照射により有色となる化合物である。かかる化合物の好ましい具体例としてはロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料としては、慣用のトリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系のものが好ましく用いられる。具体的には3−[N−(p−トリルアミノ)]−7−アニリノフルオラン、3−[N−(p−トリル)−N−メチルアミノ]−7−アニリノフルオラン、3−[N−(p−トリル)−N−エチルアミノ]−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン、4,4’,4”−トリスジメチルアミノトリフエニルメタノール、4,4’,4”−トリスジメチルアミノトリフェニルメタン等が挙げられる。
【0045】
これらロイコ染料とともに好ましく用いられる顕色剤としては、従来から用いられているフェノールホルマリン樹脂の初期重合体、芳香族カルボン酸誘導体、活性白土等の電子受容体があげられ、更に、色調を変化させる場合は種々公知の発色剤を組合せて用いることもできる。
【0046】
この様な放射線照射によって着色する化合物は、一旦有機溶媒等に溶解された後に放射線硬化型接着剤中に含ませてもよく、また微粉末状にして当該粘着剤中に含ませてもよい。この化合物の使用割合は、粘着剤層2中に10重量%以下、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%であるのが望ましい。該化合物の割合が10重量%を超えると、粘着剤層2に照射される放射線がこの化合物に吸収されすぎてしまう為、粘着剤層2の前記部分2aの硬化が不十分となり、十分に粘着力が低下しないことがある。一方、充分に着色させるには、該化合物の割合を0.01重量%以上とするのが好ましい。
【0047】
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、粘着剤層2に於ける前記部分2aの粘着力<その他の部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射してもよい。
【0048】
前記粘着剤層2に前記部分2aを形成する方法としては、支持基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、前記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、ワーク貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを支持基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
【0049】
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、支持基材1の少なくとも片面の、ワーク貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、ワーク貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
【0050】
尚、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、前記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
【0051】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。
【0052】
ダイボンドフィルム3、3’は、120℃、1時間の条件で熱硬化させた後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が、1GPa〜50GPaである。前記熱硬化後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値は、1GPa〜20GPaであることが好ましく、2GPa〜10GPaであることが好ましい。熱硬化させた後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が50GPa以下と比較的低いため、熱硬化により被着体6に反りが発生することを抑制することができる。また、熱硬化後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が1GPa以上であるため、被着体6との接着力を充分に確保することができる。
【0053】
また、ダイボンドフィルム3、3’は、熱硬化前の120℃における溶融粘度が50Pa・s以上5000Pa・s以下であることが好ましい。熱硬化前の120℃における溶融粘度を50Pa・s以上とすることにより、ダイボンドフィルム3、3’から接着剤成分等が滲み出すのを抑制し、被着体6等の汚染を防止することができる。また、前記溶融粘度を5000Pa・s以下とすることにより、熱硬化前におけるダイボンドフィルム3、3’の被着体に対する密着性を良好なものにできる。
【0054】
ダイボンドフィルムの積層構造は特に限定されず、例えば、ダイボンドフィルム3、3’(図1、図2参照)のように接着剤層の単層のみからなるものや、コア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造のもの等が挙げられる。前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。ダイボンドフィルムが多層構造のものである場合、多層構造のダイボンドフィルム全体として、前記引貯蔵弾性率、及び、前記溶融粘度等が前記数値範囲内であればよい。
【0055】
前記ダイボンドフィルム3、3’を構成する接着剤組成物としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を併用したものが挙げられる。
【0056】
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ないエポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂が好ましい。
【0057】
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
また、前記エポキシ樹脂は、常温で固形のものと、常温で固形のものとの2種類を併用して用いることができる。常温で固形のエポキシ樹脂に対して、常温で液状のエポキシ樹脂を加えることにより、フィルムを形成した際の脆弱性を改善することができ、作業性を向上させることができる。
【0058】
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0059】
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
【0060】
前記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
【0061】
前記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体(アクリル共重合体)等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
【0062】
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。
【0063】
前記熱硬化性樹脂の配合割合としては、所定条件下で加熱した際にダイボンドフィルム3、3’が熱硬化型としての機能を発揮する程度であれば特に限定されないが、5〜60重量%の範囲内であることが好ましく、10〜50重量%の範囲内であることがより好ましい。
【0064】
前記ダイボンドフィルム3、3’のなかでも、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含有するとともに、熱可塑性樹脂としてのアクリル樹脂を含有し、前記エポキシ樹脂と前記フェノール樹脂との合計重量をXとし、前記アクリル樹脂の重量をYとしたとき、X/(X+Y)が0.5以上1.0未満であることが好ましい。X/(X+Y)を0.5以上とし、比較的低分子成分である熱硬化性樹脂をある程度含有させることにより、熱硬化前におけるダイボンドフィルム3、3’の被着体に対する密着性をより良好とすることができるとともに、熱硬化後における被着体6や半導体チップ5等との接着力をより充分なものとすることができる。一方、X/(X+Y)を1.0未満とすることにより、熱硬化後の引張貯蔵弾性率をある程度低くすることができ、熱硬化により被着体6に反りが発生することをより抑制することができる。
【0065】
また、前記ダイボンドフィルム3、3’のなかでも、(前記エポキシ樹脂の重量)/(前記フェノール樹脂の重量)が、1.2〜6であることが好ましい。(前記エポキシ樹脂の重量)/(前記フェノール樹脂の重量)を、1.2〜6とすることにより、熱硬化後の接着力を良好に発現させることができ、且つ、熱硬化後の反りを低減することができる。
【0066】
本発明のダイボンドフィルム3、3’は、必要に応じて、ダイボンドフィルム33’の構成材料として熱硬化触媒を使用してもよい。その配合割合としては、有機成分100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲内が好ましく、0.05〜3重量部の範囲内がより好ましく、0.1〜1重量部の範囲内が特に好ましい。配合割合を0.01重量部以上にすることにより、熱硬化後の接着力を良好に発現させることができる。その一方、配合割合を5重量部以下にすることにより、保存性の低下を抑制することができる。
【0067】
前記熱硬化触媒としては特に限定されず、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、アミン系化合物、トリフェニルボラン系化合物、トリハロゲンボラン系化合物等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0068】
前記イミダゾール系化合物としては、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z)、2−ヘプタデシルイミダゾール(商品名;C17Z)、1,2−ジメチルイミダゾール(商品名;1.2DMZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(商品名;2P4MZ)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(商品名;1B2MZ)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(商品名;1B2PZ)、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ−CN)、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z−CN)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(商品名;2PZCNS−PW)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;C11Z−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2E4MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MA−OK)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2PHZ−PW)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2P4MHZ−PW)等が挙げられる(いずれも四国化成(株)製)。
【0069】
前記トリフェニルフォスフィン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン、トリ(ノニルフェニル)フォスフィン、ジフェニルトリルフォスフィン等のトリオルガノフォスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(商品名;TPP−PB)、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−MC)、メトキシメチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MOC)、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−ZC)等が挙げられる(いずれも北興化学社製)。また、前記トリフェニルフォスフィン系化合物としては、エポキシ樹脂に対し実質的に非溶解性を示すものであることが好ましい。エポキシ樹脂に対し非溶解性であると、熱硬化が過度に進行するのを抑制することができる。トリフェニルフォスフィン構造を有し、かつエポキシ樹脂に対し実質的に非溶解性を示す熱硬化触媒としては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)等が例示できる。尚、前記「非溶解性」とは、トリフェニルフォスフィン系化合物からなる熱硬化触媒がエポキシ樹脂からなる溶媒に対し不溶性であることを意味し、より詳細には、温度10〜40℃の範囲において10重量%以上溶解しないことを意味する。
【0070】
前記トリフェニルボラン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン等が挙げられる。また、トリフェニルボラン系化合物としては、更にトリフェニルフォスフィン構造を有するものも含まれる。当該トリフェニルフォスフィン構造及びトリフェニルボラン構造を有する化合物としては特に限定されず、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−K)、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリボレート(商品名;TPP−MK)、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−ZK)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(商品名;TPP−S)等が挙げられる(いずれも北興化学社製)。
【0071】
前記アミノ系化合物としては特に限定されず、例えば、モノエタノールアミントリフルオロボレート(ステラケミファ(株)製)、ジシアンジアミド(ナカライテスク(株)製)等が挙げられる。
【0072】
前記トリハロゲンボラン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリクロロボラン等が挙げられる。
【0073】
本発明のダイボンドフィルム3、3’を予めある程度架橋をさせておく場合には、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくことができる。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
【0074】
前記架橋剤としては、従来公知のものを採用することができる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、前記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、この様なポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
【0075】
また、ダイボンドフィルム3、3’には、その用途に応じてフィラーを適宜配合することができる。フィラーの配合は、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を可能とする。前記フィラーとしては、無機フィラー、及び、有機フィラーが挙げられるが、取り扱い性の向上、熱電導性の向上、溶融粘度の調整、チキソトロピック性付与等の特性の観点から、無機フィラーが好ましい。前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウィスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカ等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。熱電導性の向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカが好ましい。また、上記各特性のバランスがよいという観点からは、結晶質シリカ、又は、非晶質シリカが好ましい。また、導電性の付与、熱電導性の向上等の目的で、無機フィラーとして、導電性物質(導電フィラー)を用いることとしてもよい。導電フィラーとしては、銀、アルミニウム、金、胴、ニッケル、導電性合金等を球状、針状、フレーク状とした金属粉、アルミナ等の金属酸化物、アモルファスカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
【0076】
前記フィラーの平均粒径は、0.005〜10μmとすることができる。前記フィラーの平均粒径を0.005μm以上とすることにより、被着体への濡れ性、及び、接着性を良好とすることができる。また、10μm以下とすることにより、上記各特性の付与のために加えたフィラーの効果を十分なものとすることができるとともに、耐熱性を確保することができる。なお、フィラーの平均粒径は、例えば、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA−910)により求めた値である。
【0077】
なお、ダイボンドフィルム3、3’には、前記フィラー以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0078】
ダイボンドフィルム3、3’の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、1〜200μmの範囲から選択することができ、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μmである。
【0079】
前記ダイシング・ダイボンドフィルム10、12のダイボンドフィルム3、3’は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルム3、3’を保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、更に、粘着剤層2にダイボンドフィルム3、3’を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイシング・ダイボンドフィルムのダイボンドフィルム3、3’上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0080】
本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルム10、12は、例えば、次の通りにして作製される。
先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0081】
次に、基材1上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、ダイシングフィルム11が作製される。
【0082】
ダイボンドフィルム3、3’は、例えば、次の通りにして作製される。
先ず、ダイボンドフィルム3、3’の形成材料である接着剤組成物溶液を作製する。当該接着剤組成物溶液には、前述の通り、前記接着剤組成物やフィラー、その他各種の添加剤等が配合されている。
【0083】
次に、接着剤組成物溶液を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、接着剤層を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて接着剤層を形成してもよい。その後、基材セパレータ上に接着剤層をセパレータと共に貼り合わせる。
【0084】
続いて、ダイシングフィルム11及び接着剤層からそれぞれセパレータを剥離し、接着剤層と粘着剤層とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、接着剤層上の基材セパレータを剥離し、本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムが得られる。
【0085】
(半導体装置の製造方法)
本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10、12は、ダイボンドフィルム3、3’上に任意に設けられたセパレータを適宜に剥離して、次の様に使用される。以下では、図3を参照しながらダイシング・ダイボンドフィルム10を用いた場合を例にして説明する。図3は、図1に示したダイシング・ダイボンドフィルムに於ける接着剤層を介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
【0086】
先ず、ダイシング・ダイボンドフィルム10に於けるダイボンドフィルム3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(貼り付け工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。マウントの際の貼り付け温度は特に限定されず、例えば20〜80℃の範囲内であることが好ましい。
【0087】
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシング・ダイボンドフィルム10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、ダイシング・ダイボンドフィルム10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
【0088】
ダイシング・ダイボンドフィルム10に接着固定された半導体チップを剥離する為に、半導体チップ5のピックアップを行う。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシング・ダイボンドフィルム10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0089】
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2のダイボンドフィルム3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップ5を損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、前述のものを使用することができる。
【0090】
ピックアップした半導体チップ5は、ダイボンドフィルム3を介して被着体6に接着固定する(ダイボンド)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
【0091】
前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0092】
ダイボンドフィルム3は熱硬化型であるので、加熱硬化により、半導体チップ5を被着体6に接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱温度は、80〜200℃、好ましくは100〜175℃、より好ましくは100〜140℃で行うことができる。また、加熱時間は、0.1〜24時間、好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.2〜1時間で行うことができる。尚、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5が基板等に接着固定されたものは、リフロー工程に供することができる。
【0093】
ダイボンドフィルム3、3’の熱硬化後における、半導体チップに対するせん断接着力は、175℃の条件下において0.2MPa以上5MPa以下であることが好ましい。ダイボンドフィルム3のせん断接着力が0.2MPa以上であると、ワイヤーボンディング工程の際に、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることが少ない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことが少なく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
【0094】
尚、本発明に係る半導体装置の製造方法は、ダイボンドフィルム3の加熱処理による熱硬化工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップ5を封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアしてもよい。この場合、ダイボンドフィルム3の仮固着時のせん断接着力は、被着体6に対して0.2MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPaである。ダイボンドフィルム3の仮固着時に於けるせん断接着力が少なくとも0.2MPa以上であると、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディング工程を行っても、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることが少ない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことが少なく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
【0095】
前記のワイヤーボンディングは、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する工程である(図3参照)。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着工ネルギーの併用により行われる。本工程は、ダイボンドフィルム3の熱硬化を行うことなく実行してもよい。
【0096】
前記封止工程は、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する工程である(図3参照)。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護する為に行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5と被着体6とを固着させる。即ち、本発明に於いては、後述する後硬化工程が行われない場合に於いても、本工程に於いてダイボンドフィルム3による固着が可能であり、製造工程数の減少及び半導体装置の製造期間の短縮に寄与することができる。
【0097】
前記後硬化工程に於いては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程に於いてダイボンドフィルム3が完全に熱硬化していない場合でも、本工程に於いて封止樹脂8と共にダイボンドフィルム3の完全な熱硬化が可能となる。本工程に於ける加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
【0098】
また、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図4は、図1に示したダイシング・ダイボンドフィルムに於ける接着剤層を介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図4に示す3次元実装の場合、先ず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つのダイボンドフィルム3を被着体6上にダイボンドした後、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。次に、ダイボンドフィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けてダイボンドする。更に、他の半導体チップ15をダイボンドフィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。
【0099】
次に、ダイボンドフィルム3、13の熱硬化を行い、その後、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15に於けるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
【0100】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。尚、封止工程の後、後硬化工程を行ってもよい。
【0101】
半導体チップの3次元実装の場合、半導体チップ5、15と、被着体6とを接続するボンディングワイヤー7の数が多くなるため、ワイヤーボンディング工程に費やされる時間が長時間化する傾向にあり、高温に長時間晒されることになる。しかしながら、ダイボンドフィルム3、13によれば、高温に長時間晒された場合であっても、熱硬化反応の進行を抑えることが可能となる。
【0102】
また、図5に示すように、半導体チップ間にダイボンドフィルムを介してスペーサを積層させた3次元実装としてもよい。図5は、図1に示したダイシング・ダイボンドフィルムを用いて、2つの半導体チップをスペーサを介して接着剤層により3次元実装した例を示す断面模式図である。
【0103】
図5に示す3次元実装の場合、先ず被着体6上にダイボンドフィルム3、半導体チップ5及びダイボンドフィルム21を順次積層してダイボンドする。更に、ダイボンドフィルム21上に、スペーサ9、ダイボンドフィルム21、ダイボンドフィルム3及び半導体チップ5を順次積層してダイボンドする。
【0104】
次に、ダイボンドフィルム3、21の熱硬化を行い、その後、図5に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5に於ける電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
【0105】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。これにより、半導体パッケージが得られる。封止工程は、半導体チップ5側のみを片面封止する一括封止法が好ましい。封止は粘着シート上に貼り付けられた半導体チップ5を保護するために行われ、その方法としては封止樹脂8を用いて金型中で成型されるのが代表的である。その際、複数のキャビティを有する上金型と下金型からなる金型を用いて、同時に封止工程を行うのが一般的である。樹脂封止時の加熱温度は、例えば170〜180℃の範囲内であることが好ましい。封止工程の後に、後硬化工程を行ってもよい。
【0106】
尚、前記スペーサ9としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のシリコンチップ、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、前記スペーサとしてコア材料を用いることができる。コア材料としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体的には、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス基板等を使用できる。
【0107】
次に、プリント配線板上に、前記の半導体パッケージを表面実装する。表面実装の方法としては、例えば、プリント配線板上に予めハンダを供給した後、温風等により加熱溶融しハンダ付けを行うリフローはんだ付けが挙げられる。加熱方法としては、熱風リフロー、赤外線リフロー等が挙げられる。また、全体加熱、局部加熱の何れの方式でもよい。加熱温度は230〜280℃、加熱時間は1〜360秒の範囲内であることが好ましい。
【実施例】
【0108】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。
【0109】
(実施例1)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテック社製、SG−700AS) 100部
(b)エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート154、常温で固形) 199部
(c)エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827、常温で液状) 243部
(d)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 125部
(e)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 444部
(f)熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.8部
【0110】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムAを作製した。
【0111】
(実施例2)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテック社製、SG−700AS) 100部
(b)エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート154) 184部
(c)エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827) 196部
(d)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 187部
(e)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 444部
(f)熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.8部
【0112】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムBを作製した。
【0113】
(実施例3)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテック社製、SG−700AS) 100部
(b)エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート154) 163部
(c)エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827) 154部
(d)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 249部
(e)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 444部
(f)熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.8部
【0114】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムCを作製した。
【0115】
(実施例4)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテック社製、SG−700AS) 100部
(b)エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート154) 60部
(c)エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827) 67部
(d)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 106部
(e)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 444部
(f)熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.8部
【0116】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムDを作製した。
【0117】
(比較例1)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテック社製、SG−700AS) 100部
(b)エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート154) 245部
(c)エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827) 260部
(d)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 62.4部
(e)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 444部
(f)熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.8部
【0118】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムEを作製した。
【0119】
(比較例2)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(ナガセケムテック社製、SG−700AS) 100部
(b)エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート154) 134部
(c)エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827) 150部
(d)フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L) 283部
(e)球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R) 444部
(f)熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.8部
【0120】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムFを作製した。
【0121】
(熱硬化後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値)
ダイボンドフィルムA〜Fについて、120℃の条件下で1時間、加熱処理した。その後、それぞれ幅10mmの短冊状の測定片となる様に切断した。次に、固定粘弾性測定装置(RSAIII、レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて、−50〜300℃での引張貯蔵弾性率を周波数1Hz、昇温速度10℃/分の条件下にて測定した。そして、その際の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値を算出した。結果を下記表1に示す。
【0122】
(熱硬化後のせん断接着力)
前記熱硬化後のダイボンドフィルムA〜Fを、50℃の条件下、半導体素子(5mm角、厚さ0.5mm)に、ラミネータで、10mm/秒、圧力0.15MPaにて貼り付けた。次に、ダイボンドフィルム付き半導体チップを50℃の条件下、半導体素子(10mm角、厚さ0.5mm)に、ラミネート速度10mm/秒、圧力0.15MPaにて貼り付けた。その後、ボンドテスター(dagy4000)にてステージ温度175℃、ヘッド高さ100μm、速度0.5mm/秒の条件で、せん断接着力を測定した。結果を下記表1に示す。
【0123】
(溶融粘度)
ダイボンドフィルムA〜Fの熱硬化前の120℃における溶融粘度を測定した。測定にはレオメーター(HAAKE社製、RS−1)を用いて、パラレルプレート法により行った。即ち、各ダイボンドフィルムA〜Fから0.1gを採取して試料とし、この試料を予め100℃に熱してあるプレートに仕込んだ。溶融粘度は測定開始から300秒後の値とした。また、プレート間のギャップは0.1mmとした。結果を下記表1に示す。
【0124】
(反り量測定)
ダイボンドフィルムA〜Fについて、40℃の条件下で、10mm角、厚さ50μmの半導体チップに貼り付けた。次に、ダイボンドフィルムを介して半導体チップをソルダーレジスト付き樹脂基板(ガラスエポキシ系基板、基板厚さ0.23mm)にマウントした。その際の条件は、120℃、0.2MPa、1秒とした。次に、半導体チップがマウントされた前記樹脂基板を、乾燥機にて120℃、1時間熱処理し、ダイボンドフィルムを熱硬化させた。続いて、前記樹脂基板が下側になるように平板上に載置し、半導体チップの対角線上の凹凸を測定した。これにより、平板上から浮いている半導体チップの高さ、すなわち、反り量(μm)を測定した。測定に際しては、半導体チップの対角線上における両端部が平衡となるように補正した(0にした)。測定は、表面粗さ計(Vecco社製、DEKTAK8)を用いて、測定速度1.5mm/秒、加重1gの条件下で行った。結果を下記表1に示す。
【0125】
(結果)
下記表1の結果から分かる通り、熱硬化後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が1GPa〜50GPaであるダイボンドフィルムは、熱硬化後のせん断接着力を充分に有するとともに、反り量を抑制することができた。
【0126】
【表1】

【符号の説明】
【0127】
1 基材
2 粘着剤層
3、3’ ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
4 半導体ウェハ
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
10、12 ダイシング・ダイボンドフィルム
11 ダイシングフィルム
13 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
15 半導体チップ
21 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの被着体への固着に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、
120℃、1時間の条件で熱硬化させた後の25〜120℃の範囲での引張貯蔵弾性率の積分値が、1GPa〜50GPaであることを特徴とする熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項2】
前記熱硬化後における、半導体チップに対するせん断接着力が175℃の条件下において0.2MPa以上5MPa以下である請求項1に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項3】
熱硬化前の120℃における溶融粘度が50Pa・s以上5000Pa・s以下である請求項1又は2に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項4】
熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含有するとともに、熱可塑性樹脂としてのアクリル樹脂を含有し、
前記エポキシ樹脂と前記フェノール樹脂との合計重量をXとし、前記アクリル樹脂の重量をYとしたとき、X/(X+Y)が0.5以上1.0未満である請求項1〜3のいずれか1に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項5】
(前記エポキシ樹脂の重量)/(前記フェノール樹脂の重量)が、1.2〜6である請求項4に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、基材上に粘着剤層が積層されたダイシングフィルム上に積層されていることを特徴とするダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項7】
請求項6に記載のダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造されたことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−165716(P2011−165716A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23420(P2010−23420)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】