説明

熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板

【課題】優れた低熱膨張性、高ガラス転移温度、低誘電性、銅箔接着性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性を有し、特に低吸水率性、耐デスミア性に優れ、また、毒性が低く安全性や作業環境に優れる、電子部品等に好適な熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)及び、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関し、優れた低熱膨張性、高ガラス転移温度、良好な銅箔接着性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性を有し、特に低吸水率性、耐デスミア性に優れ、また、毒性が低く安全性や作業環境に優れる、電子部品等に好適な熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂に特有な架橋構造が高い耐熱性や寸法安定性を発現するため、電子部品等の分野において広く使われている。特に、銅張積層板や層間絶縁材料においては、近年の高密度化や高信頼性への要求から、高い銅箔接着性や耐熱性(高ガラス転移温度)、良好な低熱膨張性等の特性が強く要求されている。
また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載やハロゲンフリーによる難燃化が要求され、そのため従来のものよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされる。
さらに、製品の安全性や作業環境の向上化のため、毒性の低い成分のみで構成され、毒性ガス等が発生しない熱硬化性樹脂が望まれている。
【0003】
この点、液晶性高分子は、良好な誘電特性、低熱膨張性、難燃性等に優れる熱硬化性樹脂となるものであるが、ポリエステル系やポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリチオール系、ポリエーテル系、ポリアゾメチン系等の公知の液晶高分子を熱硬化性樹脂にそのまま使用した場合、溶融温度が高すぎ加工性や成形性が不足するという問題や、有機溶剤への溶解性が不足し取り扱い難いという問題があった。
【0004】
これらの液晶性高分子の中でも、G.F.D’Alelioが液晶性オリゴマであるポリアゾメチン(非特許文献1参照)を見出して以来、多くのポリアゾメチンを使用する樹脂に関する特許事例が報告されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
【0005】
特許文献1には種々のポリアゾメチンが開示され、特許文献2〜7には特定構造を有するポリアゾメチンが開示されている。また、特許文献8には不飽和基を含有する熱硬化性ポリアゾメチン樹脂が開示され、これらの樹脂により高耐熱性を発現することが記載されている。
しかしながら、特許文献1〜7に記載のポリアゾメチンは、三次元に架橋し不融、不溶化する熱硬化性樹脂とは異なり、銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合、耐熱性や成形性が不足する場合がある。
また、特許文献8に記載の熱硬化性ポリアゾメチン樹脂は、耐熱性や強靭性の改良が依然不足であり、これらを近年要求される銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合も、耐熱性や信頼性、加工性等が不足する場合がある。
【0006】
前記のように、積層板材料には近年の高密度化や高信頼性への要求から、高い銅箔接着性や耐熱性、良好な低熱膨張性等が必要とされている。例えば、微細配線形成のため銅箔接着性としては、銅箔引き剥がし強さが1.0kN/m以上であること、特に1.2kN/m以上であることが望まれている。
また、高密度化に伴い基材は、より薄型化される方向にあり、熱処理時における基材のそりが小さいことが必要となる。低そり化のためには基材が低熱膨張性であることが有効であり、その熱膨張係数は25ppm/℃以下であること、特に20ppm/℃以下であることが望まれている。高密度化のためビルドアップ材等を用いてより高多層化することも必要であり、高いリフロー耐熱性が必要であるが、リフロー耐熱性評価の指針となる銅付き耐熱性(T−300)は、30分以上ふくれ等が生じないことが望まれている。
さらに、高密度化に伴い基材はより信頼性が要求される方向にあり、ドリル加工時のドリル穴の内壁粗さも小さいことが必要となる。ドリル穴の内壁粗さの評価は、めっき銅の染み込み性により評価され、めっき染み込み長さの最大が20μm以下であること、特に15μm以下であることが望まれている。
高速応答性の要求も増え続けており、基材の比誘電率は5.0以下であること、また誘電正接は0.020以下であることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭51−138800号公報
【特許文献2】特開昭60−181127号公報
【特許文献3】特開昭60−101123号公報
【特許文献4】特開2003−073470号公報
【特許文献5】特開昭63−193925号公報
【特許文献6】特開平01−069631号公報
【特許文献7】特開平01−079233号公報
【特許文献8】特開平05−140067号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Polymer Sci. Tech., Wiley-Interscience, NewYork, 1969, Vol.10, pp.659-670
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、優れた低熱膨張性、高ガラス転移温度、低誘電性、銅箔接着性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性を有し、特に低吸水率性、耐デスミア性に優れ、また、毒性が低く安全性や作業環境に優れる、電子部品等に好適な熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、積層板材料で以上のような様々な特性の要求がある状況の中、鋭意研究した結果、特定化学式のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有させることにより、上記の目的に適う樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供するものである。
【0011】
1.下記一般式(I)で表されるポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)及び、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【0012】
【化1】

(式中、Ar1は独立に一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)又は(I−4)で表される残基であり、Ar2は下記一般式(I−5)又は(I−6)で示される残基であり、複数あるAr2は同一でも異なっていても良い。nは0〜10である。)
【0013】
【化2】

(式中、R1は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である)
【0014】
【化3】

(式中、R2及びR3は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q、rは各々独立に0〜4の整数であり、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基である。)
【0015】
【化4】

(式中、mは1〜10の整数である。)
【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

(式中、R6及びR7は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、s、tは各々独立に0〜4の整数であり、A2は単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基、ケトン基、フルオレン基、又はフェニレンジオキシ基で表される残基である。)
【0018】
【化7】

(式中、A3は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基である。)
【0019】
2.更に、硬化促進剤(C)を含有する上記1の熱硬化性樹脂組成物。
3.更に、無機充填剤(D)を含有する上記1又は2の熱硬化性樹脂組成物。
4.更に、難燃剤(E)を含有する上記1〜3のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
5.更に、難燃助剤(F)を含有する上記4の熱硬化性樹脂組成物。
6.上記1〜5のいずれかの熱硬化性樹脂組成物がシート状補強基材中に含侵又は塗工されていることを特徴とするプリプレグ。
7.絶縁樹脂層が、上記1〜5いずれかの熱硬化性樹脂組成物又は上記6のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、優れた低熱膨張性、高ガラス転移温度、低誘電性、銅箔接着性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性を有し、特に低吸水率性、耐デスミア性に優れ、また、毒性が低く安全性や作業環境に優れており、電子部品等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】製造実施例1で得られた末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物のFT−IR測定チャートである。
【図2】製造実施例1で得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A−1)のFT−IR測定チャートである。
【図3】実施例9で得られたプレブリグのFT−IR測定チャートである。
【図4】実施例11で得られたプレブリグのFT−IR測定チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)について説明する。(A)成分のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【化8】

(式中、Ar1は独立に下記一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)又は(I−4)で表される残基であり、Ar2は下記一般式(I−5)又は(I−6)で示される残基であり、複数あるAr2は同一でも異なっていても良い。nは0〜10である。)
【0023】
【化9】

(式中、R1は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である)
【0024】
【化10】

(式中、R2及びR3は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q、rは各々独立に0〜4の整数であり、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基である。)
【0025】
【化11】

(式中、mは1〜10の整数である。)
【0026】
【化12】

【0027】
【化13】

(式中、R6及びR7は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、s、tは各々独立に0〜4の整数であり、A2は単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基、ケトン基、フルオレン基、又はフェニレンジオキシ基で表される残基である。)
【0028】
【化14】

(式中、A3は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基である。)
【0029】
(A)成分のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)としては、下記式(II)で表されるビスマレイミド誘導体を例示することができる。
【化15】

【0030】
次に、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)の製造方法について説明する。ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)の製造方法としては、以下の3通りの方法(製造法A、B、C)がある。
製造法A:下記一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を、下記一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒ化合物(b)と有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、下記一般式(V)に示す末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(c)を製造し、次いで前記化合物(c)と、下記一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体を製造する。
【0031】
【化16】

(式中、Ar2は一般式(I)のものと同様である。)
【0032】
【化17】

【0033】
【化18】

(式中、Ar2及びnは一般式(I)のものと同様である。)
【0034】
【化19】

(式中、Ar1は一般式(I)のものと同様である。)
【0035】
製造法B:一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a1)と一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、下記一般式(VII)に示す1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこの化合物(e)と、一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)、又は一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a2)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることによりポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造する。
【0036】
【化20】

(式中、Ar1は一般式(I)のものと同様である。)
【0037】
製造法C:一般式(III)に示す1分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(a1)と、一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させ、一般式(VII)に示す分子中に1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)、又は一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a2)を、有機溶媒に溶解した混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合反応させ、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造する。
上記A、B、Cのどの製造方法で(A)成分のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体を製造してもよく、製造法A及び製造法Bは、特に合成の終点管理がし易い特徴を有する製造法であり、また、製造法Cは、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)の溶剤溶解性が不足する場合に、特に有効な製造法である。
【0038】
まず、製造法Aについて詳細に説明する。製造法Aでは、初めに、一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を、一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、一般式(V)に示す末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(c)を製造し、次いで前記ポリアゾメチン化合物(c)と、一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、一般式(I)で表されるポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
【0039】
アミノ化合物(a)は、各々独立でも同一のものでもよく、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3−メチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【0040】
アミノ化合物(a)は、これらの中で、合成時の反応率が高く、より高耐熱性化できる4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン等がより好ましく、安価であることや溶剤への溶解性の点から4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、低熱膨張性や誘電特性の点から、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが特に好ましい。また、高弾性率であることから、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3−メチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼンも特に好ましい。
【0041】
アルデヒド化合物(b)としては、例えばテレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、o−フタルアルデヒドが挙げられる。これらの中で、より低熱膨張化が可能であり、合成時の反応率が高く、溶剤溶解性にも優れ、商業的にも入手し易いテレフタルアルデヒドが特に好ましい。
ここで、アミノ化合物(a)とアルデヒド化合物(b)の使用量は、アミノ化合物(a)の一級アミノ基数〔アミノ化合物(a)の使用量/アミノ化合物(a)の一級アミノ基当量〕が、アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基数〔アルデヒド化合物(b)の使用量/アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基当量〕を超えるように使用されることが望ましい。アミノ化合物(a)の一級アミノ基数が、アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基数以下であると合成の収率が著しく低下したり、合成中にゲル化や不溶化を起こしたり、また、これをもとに得られるビスマレイミド誘導体の耐熱性が低下する場合がある。
【0042】
脱水縮合反応に使用される有機溶媒は、特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、また、この合成反応は脱水縮合反応であるため副生成物として水が生成される。この副生成物である水を除去する目的でトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤を併用することが特に好ましく、芳香族系溶剤との共沸により副生成物である水を除去しながら合成することが望ましい。
【0043】
有機溶媒の使用量は、アミノ化合物(a)及びアルデヒド化合物(b)の合計量100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶媒の使用量が25質量部より少ないと溶解性が不足し、また2000質量部より多いと合成に長時間を要し、製造コストが高くなる。
脱水縮合反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができ、該触媒は特に限定されない。反応触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。脱水縮合反応を効率よく進行させるため、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒が特に好ましい。
【0044】
上記の原料、有機溶媒、必要により反応触媒を合成釜に仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1時間から10時間攪拌し脱水縮合反応させることにより、上記一般式(VII)に示す末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(c)が製造される。
反応温度は25〜200℃が好ましく、温度が25℃より低いと反応速度が遅くなり、温度が200℃より高いと反応溶媒に高沸点の溶媒を必要とするため、プリプレグを製造する際、残溶剤を残し易くなり耐熱性が低下する場合がある。溶解性に優れるジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン等と、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を併用し共沸により副生成物である水を除去しながら反応することが望ましく、反応温度は120〜200℃が特に好ましい。
【0045】
脱水縮合反応により得られたポリアゾメチン化合物(c)は、少量の試料を取り出し、再沈殿により精製した試料のIR測定を行うことにより確認することができる。IR測定により合成原料であるアルデヒド化合物(b)のアルデヒド基に起因する1700cm-1、及び2750cm-1、2800cm-1のピークが消失し、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1のピークが出現することを確認し、また、1級アミノ基に起因する3440cm-1、及び3370cm-1付近のピークが存在することを確認することにより、良好に合成反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
【0046】
一般式(I)に示される本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、上記により製造されるポリアゾメチン化合物(c)と、マレイミド化合物(d)とを有機溶媒中で必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌しマイケル付加反応させることにより製造される。
マレイミド化合物(d)としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、下記一般式(VIII)で表されるポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0047】
【化21】

(式中、mは1〜10の整数である。)
【0048】
マレイミド化合物(d)として、これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、溶剤への溶解性の点から、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
【0049】
マイケル付加反応において、ポリアゾメチン化合物(c)とマレイミド化合物(d)の使用量は、マレイミド化合物(d)のマレイミド基数〔マレイミド化合物(d)の使用量/マレイミド化合物(d)のマレイミド基当量〕が、ポリアゾメチン化合物(c)の一級アミノ基数〔ポリアゾメチン化合物(c)の使用量/ポリアゾメチン化合物(c)の一級アミノ基当量〕の2〜10倍になる範囲であることが望ましい。10倍を超えると有機溶媒への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性が低下する場合があり、2倍未満であるとゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下する場合がある。また、有機溶媒の使用量は、マレイミド化合物(d)とアミノ化合物(a)の合計量(固形分)100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の配合量が40質量部より少ないと溶解性が不足し、また500質量部より多いと合成に長時間を要し、製造コストが高くなる。
マイケル付加反応で使用される有機溶媒には、前記の脱水縮合反応と同様の溶媒が使用される。また、マイケル付加反応には、前記の脱水縮合反応と同様の反応触媒を任意に使用することができる。
【0050】
上記のポリアゾメチン化合物(c)、マレイミド化合物(d)、有機溶媒、必要により反応触媒を合成釜に仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌しマイケル付加反応させることにより、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
マイケル付加反応の反応温度は25〜200℃が好ましく、100〜160℃が特に好ましい。反応温度が25℃より低いと反応速度が遅く、また反応温度が200℃より高いとゲル化を引き起し易い。
得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、少量の試料を取り出し、GPC測定、及び再沈殿により精製した試料のIR測定を行うことにより確認することができる。GPC測定により合成されたビスマレイミド誘導体のピークが出現することを確認し、また、IR測定によりビスマレイミドのイミド基に起因する1710cm-1、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1のピークが出現することを確認することにより、マイケル付加反応が良好に進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
【0051】
次に、製造法Bについて詳細に説明する。
製造法Bでは、初めにアミノ化合物(a1)とマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、分子構造中に1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)及びアミノ化合物(a2)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることによりポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
製造法Bにおいて、アミノ化合物(a1)及びアミノ化合物(a2)は製造法Aのアミノ化合物(a)と同じであり、マレイミド化合物(d)、アルデヒド化合物(b)および有機溶媒は製造法Aのものと同じである。
【0052】
製造法Bでは、まず初めにアミノ化合物(a1)とマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中で、必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌し、マイケル付加反応させることにより、一級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)が得られる。
このマイケル付加反応において、マレイミド化合物(d)と、アミン化合物(a1)の使用量は、マレイミド化合物(d)のマレイミド基数〔マレイミド化合物(d)の使用量/マレイミド化合物(d)のマレイミド基当量〕が、アミン化合物(a1)の一級アミノ基数〔アミン化合物(a)の使用量/アミン化合物(a1)の一級アミノ基当量〕の2.0〜10.0倍の範囲になるように使用することが望ましい。10.0倍を超えると溶剤への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがあり、2.0倍未満であるとゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがある。
【0053】
また、有機溶媒の使用量は、アミン化合物(a1)とマレイミド化合物(d)の合計量(固形分)100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の配合量が25質量部より少ないと溶解性が不足し、2000質量部より多いとマイケル付加反応に長時間を要し、製造コストが高くなる。マイケル付加反応には、必要により任意に製造法Aの場合と同様の反応触媒を使用することができる。
アミン化合物(a1)、マレイミド化合物(d)、有機溶媒、必要により反応触媒を合成釜に仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌し、マイケル付加反応させることにより、一般式(VII)に示す一級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)が製造される。
マイケル付加反応の温度は、80〜200℃が好ましく、100℃〜160℃が特に好ましい。温度が80℃より低いと反応速度が遅くなり、また温度が200℃より高いとゲル化を引き起こし易い。得られた一級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)は、少量の試料を取り出し、GPC測定を行うことにより確認することができる。GPC測定により合成されたマレイミド誘導体のピークが出現することを確認することにより、良好に合成反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
【0054】
次いで、得られたマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a2)を、有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
ここで、アルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a2)の使用量は、マレイミド誘導体(e)の一級アミノ基数〔マレイミド誘導体(e)の使用量/マレイミド誘導体(e)の一級アミノ基当量〕と、アミノ化合物(a2)の一級アミノ基数〔アミノ化合物(a2)の使用量/アミノ化合物(a2)の一級アミノ基当量〕の合計が、アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基数〔アルデヒド化合物(b)の使用量/アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基当量〕の0.1〜4.0倍の範囲になるように使用されることが望ましい。4.0倍を超えると溶剤への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性や銅箔接着性が低下することがあり、0.1倍未満であるとゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性や断熱性が低下することがある。
有機溶媒の使用量は、アミン化合物(a1)、マレイミド化合物(d)、アルデヒド化合物(b)およびアミノ化合物(a2)の合計量100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の使用量が25質量部より少ないと溶解性が不足し、また2000質量部より多いと合成に長時間を要し、製造コストが高くなる。使用される有機溶媒は製造法Aの場合と同様である。また、この脱水縮合反応には製造法Aの場合と同様の反応触媒を任意に使用することができる。
【0055】
合成釜に、マレイミド誘導体(e)、アルデヒド化合物(b)及び、必要によりアミノ化合物(a2)と、有機溶媒、必要により反応触媒を仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1時間から10時間攪拌し脱水縮合反応させることにより、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
脱水縮合反応温度は25〜200℃が好ましい。反応温度が25℃より低いと反応速度が遅くなる。また反応温度が200℃より高い場合には、脱水縮合反応の溶媒に高沸点溶媒を必要とするため、プリプレグを製造する際、残溶剤を残し易くなり耐熱性が低下することがある。有機溶媒として、溶解性に優れるジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノンや、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を併用し、共沸により副生成物である水を除去しながら脱水縮合反応をすることが望ましく、反応温度は120〜200℃が特に好ましい。
製造法Bで得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、製造法Aと同様の方法で、良好に脱水縮合反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
【0056】
次に、製造法Cについて詳細に説明する。
製造法Cでは、初めに、アミノ化合物(a1)とマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させ、1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)及びアミノ化合物(a2)を有機溶媒に溶解した混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合反応させることによりポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
なお製造法Cにおいても、アミノ化合物(a1)及びアミノ化合物(a2)は製造法Aのアミノ化合物(a)と同じであり、マレイミド化合物(d)、アルデヒド化合物(b)および有機溶媒は製造法Aのものと同じである。
【0057】
製造法Cにおいて、初めに、アミノ化合物(a1)とマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させ、分子構造中に1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造する方法は、製造法Bの場合と同様である。
次いで、得られたマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a2)を有機溶媒に溶解して混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを熱処理して脱水縮合反応させることにより、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
ここで、アルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a2)の使用量、有機溶媒及びその使用量、並びに反応触媒についても、製造法Bの場合と同様である。
【0058】
配合釜に、マレイミド誘導体(e)、アルデヒド化合物(b)及び、必要によりアミノ化合物(a2)と、有機溶媒、必要により反応触媒を仕込み、必要により20~100℃で加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌し溶解させることにより、均一に溶解された混合樹脂溶液を得ることができる。均一に溶解された後に混合樹脂溶液が濁ることがあるが、均一に分散されていれば特に問題ない。
次いで、この混合樹脂溶液を、ガラス基材を用いた含浸塗工やフィルム等の支持体上にキャストすること等により塗布したものを、乾燥機中で100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合させ、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造することができる。
この製造法Cは、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)自体が乾式で製造されるため、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)自体の溶剤溶解性が不足する場合、特に有効な製造法である。
乾燥機の温度が100℃未満であると、脱水縮合反応が不十分であったり、残溶剤が多くなるため耐熱性や弾性率が低下する場合がある。また、乾燥機の温度が200℃を超えると、ビスマレイミドの重合等によりゲル化が進行し、成形性が低下する場合がある。
製造法Cで得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、製造法Aと同様にして、良好に脱水縮合反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
【0059】
次に、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)について説明する。(B)成分の1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系エポキシ樹脂及びアルコール系エポキシ樹脂のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系エポキシ樹脂並びにグリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく、良好な低熱膨張性や高いガラス転移温度を有する点からナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、固形分換算の(A)成分および(B)成分の合計量100質量部当たり、(A)成分の使用量が20〜95質量部とすることが好ましく、40〜90質量部とすることがより好ましい。(A)成分の配合量が20質量部以上とすることにより、難燃性、耐熱性、接着性、誘電特性が向上する。
【0060】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要により硬化促進剤(C)、無機充填剤(D)、金属水和物等の難燃剤(E)等を併用してもよい。これらの材料を適切に併用することにより更に諸特性を向上することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に、適切な硬化促進剤(C)を併用することにより、成形温度250℃以下での低温硬化性を付与することができ、更に高弾性率性や難燃性、銅箔接着性等を向上させることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられる硬化促進剤(C)としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。その中でもイミダゾール類及びその誘導体が高弾性率性や難燃性、銅箔接着性等の点から好ましい。
更に下記一般式(IX)で表されるイミダゾール基がエポキシ樹脂によって置換された化合物や、下記一般式(X)で表されるイソシアネート樹脂によって置換された化合物が200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためより好ましく、下記一般式(XI)又は(XII)で表される化合物が少量の配合使用量でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
【0061】
【化22】

(式中、R6、R7、R8、R9は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Bは単結合、又はアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基のいずれかである。)
【0062】
【化23】

(式中、R6、R7、R8、R9は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Dはアルキレン基、芳香族炭化水素基等のイソシアネート樹脂の残基である)
【0063】
【化24】

【0064】
【化25】

【0065】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、低熱膨張率性や高弾性率性、耐熱性、難燃性を向上させることを目的に、任意に無機充填剤(D)を含有させることができる。
無機充填剤(D)としては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス、炭酸カルシウム、石英粉末等が挙げられるが、これらの中で、銅箔接着性、耐熱性、難燃性の点からシリカ、アルミナ、マイカ、タルク等が好ましく、高放熱性の点からシリカ、アルミナが特に好ましい。
【0066】
更に、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、難燃性を向上させることを目的に、難燃剤(E)を含有させることができる。適切な難燃剤を併用することにより、耐熱性や銅箔接着性、高弾性率、低熱膨張率性等の諸特性の低下が少なく、高難燃性を付与することができる。
難燃剤(E)の例としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤等が挙げられる。臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤は、近年の環境問題から本発明の目的にそぐわない。
これらの難燃剤の中で、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物が、高いガラス転移温度や銅箔接着性を発現することができ、またリンを含有しないことから安全性や環境適応性もかなり高いので好ましい。
金属水和物の中でも、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)、あるいはギブサイト型水酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕を熱処理によりその熱分解温度を300℃以上に調製した化合物、水酸化マグネシウム等の、熱分解温度が300℃以上である金属水和物は、優れた耐熱性を有するためより好ましい。特に、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)は、350℃以上の特に高い熱分解温度を有するため、難燃性と、特に高い耐熱性が両立することや、耐酸性等の耐薬液性、低吸水率性等に優れるため、特に好ましい。
【0067】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に、硬化促進剤(C)を含有させる場合、その使用量は、固形分換算の(A)成分および(B)成分の合計量100質量部当たり、0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましい。硬化促進剤の使用量が0.1質量部少ないと耐熱性や難燃性、銅箔接着性などが不足することがあり、また10質量部を超えると耐熱性や経日安定性が低下することがある。
同様に、無機充填剤(D)を含有させる場合、その使用量は、固形分換算の(A)成分および(B)成分の合計量100質量部当たり、10〜300質量部とすることが好ましく、10〜250質量部とすることがより好ましく、20〜200質量部とすることが更に好ましく、30〜200質量部とすることが特に好ましい。無機充填剤(C)の含有量が300質量部を超えると耐めっき液性等の耐薬品性や成形性が低下する場合がある。
【0068】
同様に、難燃剤(E)を含有させる場合、その使用量は、難燃剤が金属水和物である場合は、固形分換算の(A)成分および(B)成分の合計量100質量部当たり、10〜300質量部とすることが好ましく、10〜250質量部とすることがより好ましく、50〜200質量部とすることが特に好ましい。10質量部未満であると難燃性が不足する場合があり、300質量部を越えると耐めっき液性などの耐薬品性が低下する場合がある。
難燃剤(E)がリン系難燃剤である場合は、固形分換算のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)100質量部当たり、リン原子の含有量が0.1〜10.0質量部となるように配合することが好ましく、1.0〜10.0質量部となるように配合することがより好ましく、1.0〜8.0質量%となるように配合することが特に好ましい。0.1質量%未満であると難燃性が不足する場合があり、10.0質量部を越えると耐めっき液性などの耐薬品性や耐熱性、銅箔接着性が低下する場合がある。
また、難燃剤(E)に難燃助剤(F)を使用することができる。難燃助剤としては、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤を使用することができる。その使用量は、固形分換算の(A)成分および(B)成分の合計量100質量部当たり、0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることがより好ましい。難燃助剤(F)が20質量部を越えると耐めっき液性等の耐薬品性が低下する場合がある。
【0069】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤、有機充填剤などの含有させることができる。
熱可塑性樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂などが挙げられる。
エラストマーとしては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリルなどが挙げられる。
有機充填剤としては、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
【0070】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、任意に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤などを含有させることもできる。これらの例としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やスチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物やシランカップリング剤等の密着性向上剤などが挙げられる。
【0071】
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、その取り扱い上から、有機溶剤が用いられる。使用される有機溶媒は特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。使用される有機溶媒は、これらの中で溶解性の点からジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残り難いジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
【0072】
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、シート状補強基材に含浸又は塗工し、Bステージ化して得られるものである。本発明のプリプレグは、上記の熱硬化性樹脂組成物を、シート状補強基材に含浸・塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して製造することができる。
プリプレグのシート状補強基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
シート状補強基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
【0073】
本発明の積層板は、絶縁樹脂層が前述の熱硬化性樹脂組成物又はプリプレグを用いて形成されたものである。例えば、プリプレグを1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。
成形条件は、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
【実施例】
【0074】
次に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例で得られた銅張積層板は、以下の方法により性能を測定・評価した。
【0075】
(1)銅箔接着性(銅箔ピール強度)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(ピール強度)を測定した。
【0076】
(2)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の熱膨張特性から測定した。
【0077】
(3)線熱膨張係数
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の30〜100℃の線熱膨張係数を測定した。
【0078】
(4)はんだ耐熱性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、0.2MPaの条件で4時間プレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。(外観にふくれがあったものを「ふくれ」と記す。)
【0079】
(5)吸水率の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、0.2MPaの条件で4時間の吸湿処理を行った後、吸湿処理前後の基板の質量差を測定し、質量の増加分を百分率で算出した
【0080】
(6)難燃性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
【0081】
(7)銅付き耐熱性(T−300)
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。(昇温時にふくれがあったものを「昇温時ふくれ」と記す。)
【0082】
(8)誘電特性(比誘電率及び誘電正接)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
【0083】
(9)ドリル加工性
ドリルに径0.105mm(ユニオンツールMV J676)を用い、回転数:160000rpm、送り速度:0.8m/min、重ね枚数:1枚の条件でドリル加工を行い、6000ヒットさせて評価基板を作製し、ドリル穴の内壁粗さを評価した。内壁粗さの評価は、無電解銅めっきを行い(めっき厚:15μm)、穴壁へのめっき染み込み長さの最大値を測定することにより評価した。
【0084】
(10)耐デスミア性
デスミア処理は、全面エッチングした試験片を膨潤(70℃、5分)、流水洗(室温、2分)、粗化(80℃、10分)、ドラッグアウト(50℃、2分)、中和(40℃、5分)、流水洗(室温、2分)の順に行った。試験液はアトテック社製の膨潤液、デスミア液、中和液を所定の液性および濃度に調整したものを用いた。
試験片サイズは50mm×50mmとし、3枚にて実施した。試験片の乾燥(125℃、1時間)処理後とデスミア処理後の質量変化を測定し、試験片3枚の単位面積当たりの平均の質量減少量〔質量減少量(g)/試験片表面積(dm2)〕を算出した。
【0085】
製造実施例1:ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0g、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル:424.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:405.7g及びトルエン:278.0gを配合し、攪拌しながら昇温し、約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った後、室温に冷却し、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約13.7分付近に出現する合成原料であるテレフタルアルデヒド、及び、約12.8分付近に出現する3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルに由来するピークが消失していた。
さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行った。その測定結果を第1図に示す。
第1図によれば、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に起因する1700cm-1付近、及び2750cm-1、2800cm-1付近のピークは確認されず、また、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近の強いピーク、及び1級アミノ基に起因する3440cm-1、及び3370cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XIII)の化合物が製造されていることを確認した。
【0086】
【化26】

【0087】
次に、上記反応溶液に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:716.0gを添加し、攪拌しながら約120℃で2時間還流した後、130℃まで昇温して常圧濃縮した。次いで、100℃まで冷却した後、シクロヘキサノン:770.1gを添加し、室温まで冷却してポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A−1)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行った。その測定結果を第2図に示す。
第2図によれば、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XIV)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例1において、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルの一級アミノ基数は4.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(XIV)の一級アミノ基数の2.0倍である。
【0088】
【化27】

【0089】
製造実施例2:ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−フェニレンジアミン:108.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:601.6gとトルエン:396.6gを配合し、攪拌しながら昇温し、約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った。
次いで、4,4'−ジアミノジフェニルメタン:396.0gを添加し、攪拌しながら昇温し、更に約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った後、室温に冷却し、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約13.7分付近に出現する合成原料であるテレフタルアルデヒド、及び、約13.2分付近に出現するp−フェニレンジアミン、約12.8分付近に出現する4,4'−ジアミノジフェニルメタンに由来するピークが消失していた。
さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に起因する1700cm-1付近、及び2750cm-1、2800cm-1付近のピークは確認されず、また、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近の強いピーク、及び1級アミノ基に起因する3440cm-1、及び3370cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XV)の化合物が製造されていることを確認した。
【0090】
【化28】

【0091】
次に、上記反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテル:1064.1gと2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン:1140.0gを添加し、攪拌しながら約120℃で2時間保温した後、室温まで冷却してポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A−2)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XVI)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例2において、p−フェニレンジアミンと4,4'−ジアミノジフェニルメタンの一級アミノ基数の合計は4.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンのマレイミド基数は、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(XVI)の一級アミノ基数の2.0倍である。
【0092】
【化29】

【0093】
製造実施例3:ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(B−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン:1140.0gと、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン:226.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:540.5gとトルエン:328.9gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.8分付近に出現する4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.3分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XVII)の化合物が製造されていることを確認した。
【0094】
【化30】

【0095】
次いで、テレフタルアルデヒド:67.0gを添加し、約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った。次いで、130℃まで昇温して常圧濃縮した後、冷却し、100℃でシクロヘキサノン:841.0gを添加し、攪拌しながら室温まで冷却してポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(B−1)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XIII)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例3において、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンのマレイミド基数は、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンの一級アミノ基数の2.0倍であり、また、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、化学式(XVIII)の化合物の一級アミノ基数の1.0倍である。
【0096】
【化31】

【0097】
製造実施例4:ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(B−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:1768.0gと、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:410.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:842.2gとトルエン:514.5gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.0分付近に出現するビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.0分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XIX)の化合物が製造されていることを確認した。
【0098】
【化32】

【0099】
次いで、テレフタルアルデヒド:67.0gを添加し、約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った。次いで、130℃まで昇温して常圧濃縮した後、冷却し、100℃でシクロヘキサノン:1318.8gを添加し、攪拌しながら室温まで冷却してポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(B−2)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XX)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例4において、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンのマレイミド基数は、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンの一級アミノ基数の2.0倍であり、また、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、化学式(XX)の化合物の一級アミノ基数の1.0倍である。
【0100】
【化33】

【0101】
製造実施例5:マレイミド誘導体(C−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:716.0gと、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:410.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:842.2gとトルエン:514.5gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。次いで、130℃まで昇温して常圧濃縮した後、冷却し、100℃でシクロヘキサノン:1318.8gを添加し、攪拌しながら室温まで冷却してビスマレイミド誘導体(C−1)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.0分付近に出現するビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.1分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XXI)の化合物〔マレイミド誘導体(C−1)〕が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例5において、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンの一級アミノ基数の2.0倍である。マレイミド誘導体(C−1)は実施例9および実施例10においてテレフタルアルデヒドと共に有機溶媒に溶解し、熱処理することにより脱水縮合反応し、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)となる。
【0102】
【化34】

【0103】
製造実施例6:マレイミド誘導体(C−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:716.0gと、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル:106.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:325.6gとトルエン:191.3gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。次いで、130℃まで昇温して常圧濃縮した後、冷却し、100℃でシクロヘキサノン:477.7gを添加し、攪拌しながら室温まで冷却してマレイミド誘導体(C−2)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.8分付近に出現する3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.1分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XXII)の化合物〔マレイミド誘導体(C−2)〕が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例6において、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルの一級アミノ基数の4.0倍である。マレイミド誘導体(C−2)は実施例11および実施例12においてテレフタルアルデヒドと共に有機溶媒に溶解し、熱処理することにより脱水縮合反応し、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)となる。
【0104】
【化35】

【0105】
実施例1〜12、比較例1〜3
希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用し、(A)成分として製造実施例1〜4で得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体A−1、A−2、B−1、B−2、製造実施例5と6で得られたマレイミド誘導体C−1、C−2とアルデヒド化合物、又は比較例に用いるビスマレイミド誘導体と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填剤(D)難燃剤(E)及び難燃助剤(F)を、第1表及び第2表に示した配合割合(質量部)で混合して樹脂分60質量%の均一なワニスを得た。
次に、上記ワニスを厚さ0.2mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
さらに、これらのプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度230℃で120分間プレスを行って銅張積層板を得た。
このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度(Tg)、熱膨張係数、はんだ耐熱性、吸水率、難燃性、銅付き耐熱性、誘電特性〔比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)〕、ドリル加工性及び耐デスミア性を、前記の方法で測定・評価した。その結果を第1表、第2表及び第3表に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
なお、第1表、第2表及び第3表におけるエポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填剤(D)、難燃剤(E)、難燃助剤(F)およびビスマレイミド誘導体(比較例に使用)は以下の通りである。
(1)エポキシ樹脂(B)
・EP806〔ジャパンエポキシレジン(株)製:商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂〕、
・N−770〔大日本インキ化学工業(株)製:商品名、フェノールノボラック型エポキシ樹脂〕、
・HP−4032D〔大日本インキ化学工業(株)製:商品名、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂〕、
・ESN−175〔東都化成(株)製:商品名、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂〕、
・ESN−375〔東都化成(株)製:商品名、2官能ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂〕、
・YX−4000〔ジャパンエポキシレジン(株)製:商品名、ビフェニル型エポキシ樹脂〕、
・NC−3000−H〔日本化薬(株)製:商品名、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂〕、
・YX−8800〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、アントラセン型エポキシ樹脂〕、
【0110】
(2)硬化促進剤(C)
・P−200(ジャパンエポキシレジン社製:商品名、前記(XI)式で表されるエポキシマスクイミダゾール)
・G−8009L(第一工業製薬社製:商品名、前記(XII)式で表されるイソシアネートマスクイミダゾール)
(3)無機充填剤(D)
・溶融シリカ(アドマテックス社製:商品名SO−25R)
(4)難燃剤(E)
・AlOOH:ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰社製:商品名BMT−3L、熱分解温度:400℃)
・Mg(OH)2:水酸化マグネシウム(関東化学社製、熱分解温度:350℃)
(5)難燃助剤(F)
・KG1100:モリブデン酸亜鉛処理タルク(シャーウイン・ウィリアムズ(株)製)
(6)ビスマレイミド誘導体
・BMI(ケイアイ化成社製:商品名、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、マレイミド当量179)
・BMI−80(ケイアイ化成社製:商品名、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、マレイミド当量285)
【0111】
なお、実施例9と実施例11についてはプリプレグのFT−IRの測定を行った。その結果を図3及び図4に示す。
なお、実施例9および実施例10におけるテレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、マレイミド誘導体(C−1)の一級アミノ基数の2.0倍である。
また、実施例11および実施例12におけるテレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、ビスマレイミド誘導体(C−2)の一級アミノ基数の1.0倍である。
図3及び図4において、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることが確認される。
【0112】
第1表および第2表から明らかなように、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)および1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有する本発明の実施例では、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、高ガラス転移温度、低熱膨張性、はんだ耐熱性、低吸水性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性、耐デスミア性の全てにバランスよく優れているプレプリグ及び積層板が得られている。
これに対し、第3表から明らかなように、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)および1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有せずに他のビスマレイミド誘導体を用いた比較例1〜3では、銅箔接着性、高ガラス転移温度、低熱膨張性、はんだ耐熱性、低吸水性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性、耐デスミア性の全ての特性が、実施例より劣ったプレプリグ及び積層板しか得られていない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明により、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)および1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有する樹脂組成物を用いることにより、銅箔接着性、高ガラス転移温度、低熱膨張性、はんだ耐熱性、低吸水性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性、耐デスミア性の全てにバランス良く優れ、更に毒性が低く安全性や作業環境に優れる、電子部品等に好適な熱硬化性樹脂組成物が得られ、これを用いたプリプレグ及び積層板を提供することが可能となり、多層プリント配線板として電子機器などに有利に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)及び、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Ar1は独立に一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)又は(I−4)で表される残基であり、Ar2は下記一般式(I−5)又は(I−6)で示される残基であり、複数あるAr2は同一でも異なっていても良い。nは0〜10である。)
【化2】

(式中、R1は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である)
【化3】

(式中、R2及びR3は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q、rは各々独立に0〜4の整数であり、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基である。)
【化4】

(式中、mは1〜10の整数である。)
【化5】

【化6】

(式中、R6及びR7は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、s、tは各々独立に0〜4の整数であり、A2は単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基、ケトン基、フルオレン基、又はフェニレンジオキシ基で表される残基である。)
【化7】

(式中、A3は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基である。)
【請求項2】
更に、硬化促進剤(C)を含有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
更に、無機充填剤(D)を含有する請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、難燃剤(E)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
更に、難燃助剤(F)を含有する請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物がシート状補強基材中に含侵又は塗工されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項7】
絶縁樹脂層が、請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物又は請求項6に記載のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−236908(P2012−236908A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106670(P2011−106670)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】