説明

燃料供給所情報配信システム、燃料供給所情報配信サーバおよび燃料供給所情報表示装置

【課題】 移動体の運転者が燃料供給所に到着したときの貯蔵量を把握し、燃料供給所を適切に選択できる手段を提供する。
【解決手段】 燃料供給所情報配信システム10は、1台以上の車両1、情報配信サーバ3、1つ以上の供給所2が通信回線網4または5を介して接続されて構成される。情報配信サーバ3は、所定の時間ごとに、車両1に対して車両情報送信要求を発信し、また、供給所2に対して供給所情報送信要求を発信する。そして、車両1から受信した車両情報および供給所2から受信した供給所情報に基づいて、各車両1に対応した燃料供給所情報を作成し、その燃料供給所情報を車両1に配信する。車両1は、情報サーバ3から燃料供給所情報を受信したときには、それらをカーナビ画面などに表示し、運転者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の運転者に対して、燃料供給所の供給能力に関する情報を通知する燃料供給所情報配信システム、燃料供給所情報配信サーバおよび燃料供給所情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の1つである車両に搭載されたカーナビゲーション端末に、燃料供給所であるガソリンスタンドの情報を表示するものがある。例えば、特許文献1には、車載のディスプレイに、ガソリンスタンドの位置や営業情報などの必要情報と、その周辺の渋滞情報や観光情報などの一般情報とを含む情報を表示するカーナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平7−320197号公報(段落0012〜0015、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、ガソリンの供給については、そのインフラの数と規模が充分な状況にあり、燃料供給に関する制約が比較的少ないので、インフラに関して提供される情報がガソリンスタンドの位置案内だけであっても、実用に耐え得るものであると考えられる。しかしながら、燃料電池車両に対する水素ガスの供給については、そのインフラが充分であるとは言えず、その普及までの間は、そのインフラにおける燃料貯蔵量や車両がインフラまで移動するのに必要な燃料量を正確に把握し、運転者に通知する必要がある。
【0004】
従来の技術では、ナビゲーション技術によって現在の燃料供給所(スタンド)の位置やその周辺の情報を取得することはできるが、車両が燃料供給所に到着したときの貯蔵量や必要な燃料量を把握することはできない。従って、車両が到着したときには、燃料供給所の貯蔵量や他の車両の予約などによって、その車両に充填可能な燃料がないという問題が発生する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題に鑑み、移動体の運転者が燃料供給所に到着したときの貯蔵量を把握し、燃料供給所を適切に選択できる手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、1以上の移動体に搭載され、その移動体に関する情報である移動体情報を保持し、その移動体情報を随時更新する移動体側装置と、移動体に燃料を供給する1以上の燃料供給所に設置され、その燃料供給所に関する情報である供給所情報を保持し、その供給所情報を随時更新する供給所側装置と、移動体側装置および供給所側装置にネットワークを介して接続され、移動体側装置から受信した移動体情報および供給所側装置から受信した供給所情報に基づいて、各移動体に対応した燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各移動体側装置に配信する燃料供給所情報配信サーバとを含んで構成される燃料供給所情報配信システムであって、移動体情報が、その移動体における燃料残量および移動体位置を含み、供給所情報が、その燃料供給所における燃料貯蔵量および供給所位置を含み、燃料供給所情報配信サーバが、各移動体について、燃料残量、移動体位置および供給所位置を含む情報から、移動体が燃料供給所に到達したときの燃料残量を算出し、燃料貯蔵量から、到達したときの燃料残量に対して、燃料供給所が移動体に供給できる燃料量に係る燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各移動体側装置に配信し、移動体側装置が、所定の情報を表示する表示装置と接続され、燃料供給所情報配信サーバから燃料供給所情報を受信したとき、その燃料供給所情報を表示装置に表示させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、1以上の移動体に搭載され、その移動体に関する情報である移動体情報を保持し、その移動体情報を随時更新する移動体側装置と、移動体に燃料を供給する1以上の燃料供給所に設置され、その燃料供給所に関する情報である供給所情報を保持し、その供給所情報を随時更新する供給所側装置とにネットワークを介して接続され、移動体側装置から受信した移動体情報および供給所側装置から受信した供給所情報に基づいて、各移動体に対応した燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各移動体側装置に配信する燃料供給所情報配信サーバであって、移動体情報が、その移動体における燃料残量および移動体位置を含み、供給所情報が、その燃料供給所における燃料貯蔵量および供給所位置を含み、燃料供給所情報配信サーバが、各移動体について、燃料残量、移動体位置および供給所位置を含む情報から、移動体が燃料供給所に到達したときの燃料残量を算出し、燃料貯蔵量から、到達したときの燃料残量に対して、燃料供給所が移動体に供給できる燃料量に係る燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各移動体側装置に配信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、燃料供給所情報配信サーバであって、燃料残量を含む情報から、移動体の移動可能距離を算出し、移動体位置および供給所位置から、移動体と適切な燃料供給所との間の距離である供給所距離を算出し、移動可能距離から供給所距離を引いた値である距離差分値が小さい移動体から順番に、燃料供給所情報を作成するとともに、移動体に燃料を供給できる燃料供給所が所定数以下である場合に、その燃料を供給できる燃料供給所を移動体に対する燃料供給用に予約し、燃料貯蔵量から移動体に必要な燃料量を減算することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、燃料供給所情報配信システムにおける移動体側装置に接続される燃料供給所情報表示装置であって、移動体側装置が燃料供給所情報配信サーバから燃料供給所情報を受信したとき、その受信した燃料供給所情報を表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、燃料供給所情報表示装置であって、燃料供給所情報として、移動体に必要な燃料量に対する各供給所の貯蔵量の割合を算出し、その算出した割合を示す供給所の表示データを地図データ上に配置したものを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、燃料供給所情報を移動体の表示装置に表示させることによって、移動体の運転者は、燃料供給所に着いたときの供給可能量が事前に分かるので、燃料供給所を適切に選択することができる。これにより、燃料供給のために、何度も燃料供給所に停止したり、燃料供給所を探し回ったりする必要がなくなる。
【0012】
また、本発明によれば、緊急度の高い移動体から優先的に燃料供給所情報を作成し、必要に応じて燃料供給所を予約することによって、燃料不足の緊急事態を回避することができる。また、他の移動体による燃料供給所の予約状況を反映させることによって、燃料供給所に着いた時点で、供給が受けられないという事態を回避することができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、燃料供給所における、必要な燃料量に対する貯蔵量の割合が分かるので、燃料供給所をさらに適切に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る燃料供給所情報配信システムは、情報配信サーバが、移動体の情報および燃料供給所の情報に基づいて、各移動体が燃料供給所に到着したときの、燃料供給所の移動体への燃料供給能力を算出し、その燃料供給能力に関する情報(燃料供給所情報)を各移動体に配信し、各移動体が、その情報を受信し、所定の表示装置に表示させるものである。
【0015】
≪システムの構成と概要≫
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料供給所情報配信システムの構成を示す図である。燃料供給所情報配信システム10は、1台以上の水素自動車(請求項では、移動体。以下および図面においては、車両1という)、情報配信サーバ3(請求項では、燃料供給所情報配信サーバ)、1つ以上の水素ガス供給所(請求項では、燃料供給所。以下および図面においては、供給所2という)が通信回線網4または5を介して接続されて構成される。特に、車両1と、情報配信サーバ3とは、通信回線網4を介して接続される。通信回線網4は、無線ネットワークによって実現される。また、供給所2と、情報配信サーバ3とは、通信回線網5を介して接続される。通信回線網5は、有線ネットワークまたは無線ネットワークによって実現される。通信回線網4および5は、専用回線であることが望ましいが、インターネットなどの公衆回線であってもよい。
【0016】
車両1は、水素ガスの残燃料や自車両の現在位置などの車両情報を保持し、その車両情報を随時最新の値に更新している。そして、情報配信サーバ3から車両情報送信要求を受信したときには、そのときの最新の車両情報を情報配信サーバ3に送信する。また、情報配信サーバ3から燃料供給所情報を受信したときには、その情報をカーナビ画面(請求項では、表示装置または燃料供給所情報表示装置)などに表示し、運転者に通知する。このような車両1の機能は、車両1に搭載されたコンピュータ装置(請求項では、移動体側装置)によって実現される。
【0017】
供給所2は、水素ガスの供給ステーションであり、水素ガスの貯蔵量やその供給所の位置などの供給所情報を保持し、その供給所情報を随時最新の値に更新している。そして、情報配信サーバ3から供給所情報送信要求を受信したときには、そのときの最新の供給所情報を情報配信サーバ3に送信する。また、供給所2は、車両1または情報配信サーバ3から水素ガス供給の予約を受け付けることがあり、その予約状況は、供給所情報に反映される。このような供給所2の機能は、供給所2に設置されたコンピュータ装置(請求項では、供給所側装置)によって実現される。
【0018】
なお、車両1および供給所2は、水素自動車および水素ガス供給所を総称するものであり、個々の水素自動車および水素ガス供給所を指示するときには、アルファベットの添え字を付与するものとする。例えば、車両1a、車両1b、供給所2a、供給所2bなどのように示す。
【0019】
情報配信サーバ3は、燃料供給所情報配信システム10において集中管理ホストとしての機能を果たすコンピュータ装置であり、PC(Personal Computer)サーバなどによって実現される。情報配信サーバ3は、所定の時間ごとに(定期的に)、車両1に対して車両情報送信要求を発信し、また、供給所2に対して供給所情報送信要求を発信する。そして、車両1から受信した車両情報および供給所2から受信した供給所情報に基づいて、各車両1に対応した燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各車両1に配信する。なお、情報配信サーバ3は、図1に示すように車両1や供給所2から離れた場所に設置されてもよいし、車両1または供給所2のいずれかに設置されてもよい。ここで、車両1に設置された場合、通信回線網5は無線ネットワークによって実現されることになる。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係る車両および情報配信サーバの構成を示す図である。まず、図2(a)を参照して、車両の構成について説明する(適宜図1参照)。車両1は、ECU(Electronic Control Unit)11に通信装置12、記憶装置13および表示装置14が接続されて構成される。ECU11は、車両1全体を制御するコンピュータ装置であり、ここでは、特に、接続された各装置間の情報転送を制御する。通信装置12は、情報配信サーバ3とECU11との間で情報の送受信を行う装置であり、無線ネットワーク通信機器などによって実現される。記憶装置13は、ECU11から受けた情報を記憶する装置であり、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置によって実現される。表示装置14は、ECU11から受けた情報を表示する装置であり、カーナビ画面などによって実現される。
【0021】
次に、図2(b)を参照して、情報配信サーバの構成について説明する(適宜図1参照)。情報配信サーバ3は、主制御装置31、通信装置32および記憶装置33を含んで構成される。主制御装置31は、情報配信サーバ3全体を制御する機能(換言すれば、情報配信サーバ3の機能)を実現するものであり、CPU(Central Processing Unit)やメモリを備える。そして、CPUが所定のメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、主制御装置31による情報配信サーバ3の機能が実現される。通信装置32は、情報配信サーバ3と車両1との間の通信、および、情報配信サーバ3と供給所2との間の通信を行う装置であり、ネットワーク接続機器などによって実現される。なお、図2では、通信装置32を1つしか示していないが、車両1との間の通信回線網4および供給所2との間の通信回線網5のそれぞれに対応して2つの通信装置32を備えるようにしてもよい。記憶装置33は、主制御装置31が情報配信サーバ3の機能を実現するために必要な情報を記憶するものであり、例えば、ハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって実現される。記憶装置33は、車両情報DB(Data Base)331および供給所情報DB332を含んで構成される。
【0022】
車両情報DB331は、車両1に関する車両情報を格納するDBである。その車両情報は、主制御装置31の制御によって、車両1から通信回線網4および通信装置32を介して車両情報DB331に入力され、格納される。その車両情報には、車両ID(Identification)、残燃料、現在位置、進行方向、地形、渋滞状況などがある。車両IDは、車両1に固有の識別番号であり、ここでは、「車両」に付与された符号(1a、1bなど)を用いるものとする。残燃料(請求項では、燃料残量)は、そのとき車両1に残っている水素ガスの燃料量を示す。現在位置(請求項では、移動体位置)は、そのときの車両1の位置を示すものであり、例えば、GPS(Global Positioning Systems)の測位によって求められた緯度および経度などである。
【0023】
進行方向は、文字通り、車両1の進行方向を示すものであり、車両1と供給所2とを関係付けるときの基準データの1つとして用いられる。例えば、燃料供給の緊急度を求める場合に、車両1に適切な供給所2を選択するときに、車両1と供給所2との間の距離だけでなく、車両1の進行方向に近い供給所2が考慮される。地形は、そのとき車両1が走行している道路の状態を示すものであり、例えば、車両1の前後方向の傾斜などである。これによって、平坦な道路なのか、上り坂(登坂)なのか、下り坂なのかなどが分かる。渋滞状況は、そのとき車両1が走行している道路の交通状態を示すものであり、例えば、車両1の速度やブレーキを踏む頻度などである。これによって、どの程度の渋滞状況であるかが分かる。なお、地形や渋滞状況によれば、そのときの車両1がどのくらいの燃費で走行しているのかを推定することができる。なお、車両情報として、実際の行き先(目的地)や燃費などの情報が含まれていてもよい。
【0024】
供給所情報DB332は、供給所2に関する供給所情報を格納するDBである。その供給所情報は、主制御装置31の制御によって、供給所2から通信回線網5および通信装置32を介して供給所情報DB332に入力され、格納される。その供給所情報には、供給所ID、貯蔵量、位置、製造能力、予約状況などがある。供給所IDは、供給所2に固有の識別番号であり、ここでは、「供給所」に付与された符号(2a、2bなど)を用いるものとする。貯蔵量(請求項では、燃料貯蔵量)は、そのとき供給所2が貯蔵している水素ガスの量を示す。位置(請求項では、供給所位置)は、供給所2の位置を示すものであり、例えば、GPSの測位によって求められた緯度および経度などである。製造能力は、供給所2において製造可能な単位時間当たりの水素ガスの量を示す。ここで、位置や製造能力は、供給所2にとって固有の情報であって、頻繁に変動するものではない。従って、それらの供給所情報は、供給所2から供給所IDとともに一旦情報配信サーバ3に受信され、供給所情報DB332に格納された後は、その値に変動がなければ、供給所情報を受信する度に更新する必要はない。また、供給所2は、それらの供給所情報を一度送信した後は、その値に変動がなければ、送信する必要はない。
【0025】
予約状況は、供給所2における燃料供給の予約に関する状況を示すものであり、例えば、予約した車両1の車両ID、予約供給量や予約時刻などである。この予約は、車両1または情報配信サーバ3から供給所2に直接行われるが、その方法は、コンピュータ装置同士の通信によるものであってもよいし、車両1の搭乗者(運転者や同乗者)が所定の通信手段(例えば、携帯電話やメールなど)で供給所2の従業員に連絡し、その連絡を受けた従業員がコンピュータ装置の保持する供給所情報における予約状況を更新するようにしてもよい。
【0026】
≪システムの処理≫
次に、図3および図4を参照して、燃料供給所情報配信システム10の処理について説明する(適宜図1、図2参照)。主として情報配信サーバ3の処理を説明することによって、その説明に代えるものとする。図3は、本発明の実施の形態に係る情報配信サーバのメイン処理を示すフローチャートである。情報配信サーバ3は、このメイン処理を所定の時間ごとに行うことによって、各車両1に供給所2の燃料供給能力を通知する燃料供給所情報配信システム10を実現する。以下、情報配信サーバ3を動作主体として記載するが、実際の動作主体は主制御装置31であり、主制御装置31が、車両1や供給所2と通信を行うときには通信装置32を介して行い、車両情報DB331や供給所情報DB332にアクセスするときには記憶装置33に対して入出力の動作(データの読み出し、書き込み)を行うものとする。
【0027】
まず、情報配信サーバ3は、その情報配信サーバ3が管轄するエリア(地理的範囲)に対して車両情報送信要求(メッセージ)を発信する(ステップS301)。ここで、エリアとは、例えば、所定の距離を半径とする円内などのような地理的範囲であり、その地理的範囲に届くような電波によって車両情報送信要求のメッセージを発信するものとする。次に、そのメッセージを受けた車両1から車両情報を受信する(ステップS302)。そして、その受信した車両情報によって車両情報DB331を更新する(ステップS303)。その更新は、車両情報に含まれる車両IDに基づいて行う。
【0028】
続いて、情報配信サーバ3は、その情報配信サーバ3が管轄するエリアに対して供給所情報送信要求(メッセージ)を発信する(ステップS304)。ここで、エリアとは、例えば、所定の距離を半径とする円内などのような地理的範囲である。従って、通信回線網5が無線ネットワークであるときには、その地理的範囲に届くような電波によって供給所情報送信要求のメッセージを発信するものとする。また、通信回線網5が有線ネットワークであるときには、予め管轄するエリア内にある供給所2のネットワークアドレス(IP(Internet Protocol)アドレスなど)を調査しておいて、それらのネットワークアドレスにメッセージをマルチキャストするものとする。次に、そのメッセージを受けた供給所2から供給所情報を受信する(ステップS305)。そして、その受信した供給所情報によって供給所情報DB332を更新する(ステップS306)。その更新は、供給所情報に含まれる供給所IDに基づいて行う。
以上の処理によって、情報配信サーバ3が管轄するエリア内の、最新の車両情報および供給所情報を各DBに格納したことになる。
【0029】
次に、情報配信サーバ3は、供給所2を予約済の車両1があるか否かをチェックする(ステップS307)。具体的には、供給所情報DB332を検索して、予約状況に車両1の車両IDが設定された供給所情報があるか否かを確認する。そして、供給所2を予約済の車両1があるときには(ステップS307のYes)、予約済の供給所2の貯蔵量を減算する(ステップS308)。具体的には、供給所情報DB332の当該供給所情報において、現在の貯蔵量から予約状況の予約供給量を差し引いた値を、有効な貯蔵量(予約状況を反映した貯蔵量)として再設定する。なお、供給所2を予約済の車両1がないときには(ステップS307のNo)、ステップS308の処理をスキップする。
【0030】
次に、情報配信サーバ3は、供給所2を予約済でない残りの各車両1の、燃料供給に関する緊急度(以下、緊急度という)を算出する(ステップS309)。具体的には、緊急度を示す指標の1つである距離差分値を求めるために、次のような処理を行う。まず、車両情報DB331から車両1の残燃料、地形および渋滞状況を読み出し、その地形および渋滞状況から燃費を求め、その燃費および残燃料から車両1の走行可能距離(請求項では、移動可能距離)を算出する。そして、車両情報DB331から車両1の位置を読み出し、供給所情報DB332から各供給所2の位置を読み出し、その車両1と、最寄りの供給所2との間の距離を供給所最小距離(請求項では、供給所距離)として算出する。算出した値のうち、走行可能距離から供給所最小距離を引いた値を、その車両1の距離差分値として記憶装置33の車両情報DB331に格納する。なお、必ずしも最寄りの供給所2との間の距離を用いる必要はなく、例えば、車両1の進行方向に対して適切な供給所2との間の距離を用いてもよい。
【0031】
続いて、情報配信サーバ3は、緊急度が高い車両1から優先して、各車両1に対して燃料供給可能な燃料供給所に関する情報(燃料供給所情報)を作成する(ステップS310)。その作成された燃料供給所情報は、車両1ごとに記憶装置33に格納されるものとする。ここで、車両1の「緊急度が高い」ことは、ステップS309で算出した距離差分値が小さいことによって判断する。というのは、距離差分値が小さいほど、最寄りの供給所2に行き着くのに残燃料の余裕がないことを意味するからである。なお、この燃料供給所情報作成処理の詳細は、後記する。
【0032】
そして、情報配信サーバ3は、各車両1に、記憶装置33に格納された燃料供給所情報を配信する(ステップS311)。
車両1では、通信装置12が、その配信された燃料供給所情報を受信し、ECU11が、その受信した燃料供給所情報を表示装置14(請求項では、燃料供給所情報表示装置)に表示させる。このとき、残燃料による走行可能距離を表示するようにしてもよいし、緊急度が基準より高い車両1については、メータパネル内の燃料警告灯を点灯してもよい。ここで、「緊急度が基準より高い」とは、例えば、ステップS309で算出した距離差分値が、基準となる所定の閾値より小さい、または、その所定の閾値以下であることをいう。なお、燃料供給所情報の表示内容の詳細については、後記する実際の適用例で説明する。
【0033】
これによって、車両1の運転者や搭乗者は、水素ガスの供給を受けられる供給所2を知ることができ、カーナビ画面などの表示装置14に複数の供給所2の位置および供給可能量が表示された場合には、進行方向や目的地などに応じて供給所2を選択することができる。なお、車両1の運転者が、表示装置14に表示された供給所2を選択した場合、車両1に搭載されたカーナビゲーションシステムによって、その選択された供給所2に誘導するようにしてもよい。また、選択された供給所2に充分な貯蔵量がないときには、車両1からその供給所2に対して水素ガスの製造を指示するようにしてもよい。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態に係る情報配信サーバの燃料供給所情報作成処理を示すフローチャートである。この処理は、図3のステップS310の処理を詳細化したものであり、車両1ごとに、車両1の満タンまでに必要な燃料量に対する供給所2の貯蔵量の割合を求めて、車両1の表示装置14に表示させるための情報を作成するものである。その燃料供給所情報には、予め情報配信サーバ3の管轄エリア内の地図データが含まれているものとする。
【0035】
情報配信サーバ3は、緊急度の高い車両1、つまり、距離差分値が小さい車両1から順番に燃料供給所情報を作成する処理を開始する(ステップS401)。まず、情報配信サーバ3は、その順番に従って最初に燃料供給所情報を作成すべき車両1を特定し、当該車両1が走行可能な距離範囲外の供給所2を除外する(ステップS402)。具体的には、車両情報DB331から読み出したその車両1の現在位置および先に算出したその車両1の走行可能距離によって、車両1が走行可能な距離範囲を特定する。そして、その車両1の燃料供給所情報において、その距離範囲外に位置する供給所2を削除する(車両1の表示装置14に供給所2の表示をしないようにする)ことによって、車両1の運転者による選択の対象外とするとともに、これ以降の処理の対象外とする。というのは、当該供給所2における燃料量にかかわらず、そもそも車両1が当該供給所2に到達できないと推定されるからである。
【0036】
続いて、情報配信サーバ3は、走行可能な距離範囲内の各供給所2に当該車両1が到達したときの残燃料を算出する(ステップS403)。具体的には、図3のステップS309で算出した燃費と、車両1・供給所2間の距離とから燃料消費量を計算し、その計算した燃料消費量を現在の残燃料から差し引いた値を、供給所2に到達したときの残燃料とする。そして、燃料供給所情報に、各供給所2について、車両1の満タンまでに必要な燃料量に対する供給所2の貯蔵量の割合を反映する(ステップS404)。ここで、「車両1の満タンまでに必要な燃料量」は、車両1の満タン時の燃料量(燃料タンクの容量)からステップS403で算出した残燃料を差し引くことによって求めることができる。
【0037】
次に、情報配信サーバ3は、必要な燃料量に対する貯蔵量の割合が0%より大きいか否かによって、車両1に燃料供給が可能な供給所2があるか否かをチェックする(ステップS405)。供給可能な供給所2がある場合(ステップS405のYes)、それが1箇所であるか否かをチェックする(ステップS406)。1箇所であれば(ステップS406のYes)、車両1には供給所2を選択する余地がないので、満タンまでに必要な燃料量を予約供給量として当該供給所2を予約する(ステップS407)。そして、供給所2の貯蔵量を減算する(ステップS408)。具体的には、供給所情報DB332の当該供給所情報において、現在の貯蔵量から満タンまでに必要な燃料量(予約供給量)を減算し、有効な貯蔵量(予約状況を反映した貯蔵量)として再設定する。なお、供給可能な供給所2が1箇所でなければ(ステップS406のNo)、2箇所以上あるということであり、ステップS407およびステップS408の処理をスキップする。ここで、供給可能な供給所2が所定数以下である、または、所定数より小さい場合に、その供給所2の全部または一部を予約するようにしてもよい。
【0038】
情報配信サーバ3は、ステップS405のチェックにおいて、供給可能な供給所2がない場合(ステップS405のNo)、まず、走行可能な距離範囲内の供給所2の中から、適切な供給所2を選択する(ステップS409)。ここで、「適切な供給所2」とは、最寄りの供給所2であってもよいし、車両1の進行方向上都合のよい供給所2であってもよい。そして、満タンまでに必要な燃料量を予約供給量として、選択した供給所2を予約する(ステップS410)。
【0039】
続いて、予約した供給所2に対して水素ガスの製造を指示する(ステップS411)。具体的には、情報配信サーバ3が、当該供給所2に水素ガスの製造を指示するメッセージを送信する。そして、そのメッセージを受信した供給所2は、そのメッセージに従って所定の水素ガス製造装置に水素ガスを製造させる。さらに、情報配信サーバ3は、燃料供給所情報に、各供給所2について、車両1の満タンまでに必要な燃料量に対する供給所2の予測製造量の割合を反映する(ステップS412)。ここで、予測製造量とは、供給所情報DB332から読み出した供給所2の製造能力および車両1の到達時刻までの時間を掛け合わせた値であり、換言すれば、現在の時刻から車両1が供給所2に到達する時刻までに製造可能と予測される水素ガスの量である。なお、到達時刻は、車両1・供給所2間の距離や渋滞状況などにより予測するものとする。以上によって、1つの車両1について、燃料供給所情報が作成され、記憶装置33に格納されたことになる。
【0040】
そこで、すべての車両1の燃料供給所情報の作成が終了したか否かをチェックする(ステップS413)。終了していなければ(ステップS413のNo)、ステップS402に戻って、次の車両1について燃料供給所情報の作成処理を行う。終了していれば(ステップS413のYes)、燃料供給所情報作成処理を終了する。
【0041】
≪実際の適用例≫
続いて、図5ないし図9を参照して、以上説明した燃料供給所情報配信システムの処理を実際に適用した例について説明する。特に、図4に示す燃料供給所情報作成処理について具体的に説明する。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態に係る車両および供給所の位置関係と燃料量の例を示す図である。図5に示すように、車両1aないし1f(6台の水素自動車)および供給所2aないし2e(5つの水素ガス供給所)が地図上に存在している。これは、情報配信サーバ3が、所定の時刻において、車両1から受信して車両情報DB331に格納した車両情報(特に、車両1の現在位置および残燃料)および供給所2から受信して供給所情報DB332に格納した供給所情報(特に、供給所2の位置および貯蔵量)を地図データ上に示したものである。車両1a、1b、1c、1d、1eおよび1fの残燃料は、それぞれ70l(リットル、以下同様)、100l、100l、100l、20lおよび60lである。また、供給所2a、2b、2c、2dおよび2eの貯蔵量は、40l、100l、90l、70lおよび25lである。なお、車両1aないし1fの満タン時の燃料量は、100lであるとする。
【0043】
この図5を参照しながら、図6を用いて、実際の適用例について説明する(適宜図1、図2、図4参照)。なお、図6のフローチャートは、所定の処理を行う処理プロセスおよび事実確認や判断を行う認識プロセスを含むものとする。
【0044】
図6は、情報配信サーバ3が燃料供給所情報を作成する例を示すフローチャートである。最初に、情報配信サーバ3は、図5において燃料供給の緊急度の高い順を、車両1e、1f、1a、・・・とする(プロセスP601)。緊急度の高い順として、図4のステップS401では、車両1の走行可能距離から供給所最小距離(最寄りの供給所との距離)を引いた値である距離差分値が小さい順番に作成するように記載したが、ここでは、必ずしも最寄りの供給所2についてではなく、進行方向に位置する供給所2を含めて考慮するものとする。
【0045】
次に、情報配信サーバ3は、車両1eの燃料供給所情報作成処理を開始する(プロセスP602)。図4のステップS402では、車両1の走行可能距離によって判断するように記載したが、ここでは、車両1eの走行可能距離および進行方向を考慮して、供給所2a、2b、2dおよび2eを除外する(プロセスP603)。その結果として、燃料供給可能な供給所2は、供給所2cの1箇所になるので、その供給所2cを予約する(プロセスP604)。
【0046】
この場合、残燃料が20lである車両1eが供給所2cに着いたときには、残燃料が10lになっていると推定すれば、満タンまでに必要な燃料量は、90l(=100−10)になる。従って、車両1eの満タンまでに必要な燃料量に対する供給所2cの貯蔵量の割合は、100%(=90/90×100)となり、図7に示すような表示を車両1eの表示装置14に行うような燃料供給所情報を作成することになる。図7は、供給所2のアイコン(表示データ)を地図データ上に配置したものである(図8、図9も同様)。ここで、図7では、自車両である車両1eには、ハッチングがかけられている。供給所2cは、必要な燃料量に対する貯蔵量の割合が100%以上であることを示すように表示されている。「(100%)」は、説明の便宜上示しているが、実際の表示は、あってもよいし、なくてもよい(図8、図9も同様)。また、プロセスP603で除外された供給所2a、2b、2dおよび2eは、点線表示になっている。これは、今回の選択対象にはならないが、供給所2としては実在するので、点線によって表示するものである。無論、除外された供給所2は表示しないこととしてもよい(図8も同様)。なお、供給所2cの有効な貯蔵量は、0l(=90−90)となるので、その値が記憶装置33の供給所情報DB332における供給所2cの供給所情報に反映される。
【0047】
続いて、情報配信サーバ3は、車両1fの燃料供給所情報作成処理を開始する(プロセスP605)。車両1fの走行可能距離および進行方向を考慮して、供給所2a、2dおよび2eを除外する(プロセスP606)。ここで、残った供給所2bおよび2cのうち、供給所2cは、車両1eからの予約(プロセスP604)によって、有効な貯蔵量が0lである(プロセスP607)。そこで、燃料供給可能な供給所2は、供給所2bの1箇所になるので、その供給所2bを予約する(プロセスP608)。
【0048】
この場合、残燃料が60lである車両1fが供給所2bに着いたときには、残燃料が50lになっていると推定すれば、満タンまでに必要な燃料量は、50l(=100−50)になる。従って、車両1eの満タンまでに必要な燃料量に対する供給所2cの貯蔵量の割合は、200%(=100/50×100)となり、図8に示すような表示を車両1fの表示装置14に行うような燃料供給所情報を作成することになる。ここで、図8では、自車両である車両1fには、ハッチングがかけられている。供給所2bは、必要な燃料量に対する貯蔵量の割合が100%以上であることを示すように表示されている。供給所2cは、有効な貯蔵量が0lであるので、前記割合が0%であることを示すように表示されている。また、プロセスP606で除外された供給所2a、2dおよび2eは、点線表示になっている。なお、供給所2bの有効な貯蔵量は、50l(=100−50)となるので、その値が記憶装置33の供給所情報DB332における供給所2bの供給所情報に反映される。
【0049】
さらに、情報配信サーバ3は、車両1aの燃料供給所情報作成処理を開始する(プロセスP609)。車両1aの走行可能距離および進行方向を考慮すると、除外する供給所2はない。ただし、供給所2aないし2eのうち、供給所2cは、車両1eからの予約(プロセスP604)によって、有効な貯蔵量が0lである(プロセスP610)。そこで、供給所2c以外の供給所2、すなわち、供給所2a、2b、2dおよび2eを選択対象とする(プロセスP611)。
【0050】
この場合、残燃料が70lである車両1aが供給所2aに着いたときには、残燃料が60lになっていると推定すれば、満タンまでに必要な燃料量は、40l(=100−60)になる。従って、車両1eが必要な燃料量に対する供給所2aの貯蔵量の割合は、100%(=40/40×100)となる。次に、車両1aが供給所2bに着いたときには、残燃料が60lになっていると推定すれば、満タンまでに必要な燃料量は、40l(=100−60)になる。従って、車両1aが必要な燃料量に対する供給所2bの有効な貯蔵量の割合は、125%(=50/40×100)となる。続いて、車両1aが供給所2dに着いたときには、残燃料が50lになっていると推定すれば、満タンまでに必要な燃料量は、50l(=100−50)になる。従って、車両1aが必要な燃料量に対する供給所2dの貯蔵量の割合は、140%(=70/50×100)となる。さらに、車両1aが供給所2eに着いたときには、残燃料が50lになっていると推定すれば、満タンまでに必要な燃料量は、50l(=100−50)になる。従って、車両1aが必要な燃料量に対する供給所2eの貯蔵量の割合は、50%(=25/50×100)となる。
【0051】
このとき、図9に示すような表示を車両1fの表示装置14に行うような燃料供給所情報を作成することになる。ここで、自車両である車両1aには、ハッチングがかけられている。図9における供給所2の表示は、図7および図8の表示とは異なっており、前記割合をそのまま反映させた表示ではなく、前記割合の範囲に応じたイメージを示すものとなっている。
【0052】
例えば、供給所2aは、「今すぐ行けば満タン可能」である旨を示す凡例Bで表示されており、具体的には必要な燃料量に対する貯蔵量の割合が80%以上かつ120%未満であることを示すものである。供給所2bおよび2dは、「満タン可能」である旨を示す凡例Aで表示されており、具体的には前記割合が120%以上であることを示すものである。供給所2cは、「充填不可」である旨を示す凡例Dで表示されており、具体的には前記割合が10%未満であることを示すものである。供給所2eは、「1/2充填可能」である旨を示す凡例Cで表示されており、具体的には前記割合が40%以上かつ60%未満であることを示すものである。以上の説明では、前記割合が10%以上かつ40%未満の範囲、および、60%以上かつ80%未満の範囲については、凡例が示されていないが、新たな凡例を設けることなどによって適宜対応するものとする。なお、車両1b、1cおよび1dの処理の説明は、割愛する。
【0053】
ここで、凡例AないしDのような供給所2のアイコン表示ではなく、アイコンの色または濃淡の変更、点滅表示などによって前記割合の範囲を識別できるようにしてもよい。また、カーナビ画面ではなく、メータパネルに表示するようにしてもよい。この場合、供給所2の供給可能な燃料量そのもの、供給所2の住所を含む情報を表形式で表示することが考えられる。このとき、前記割合を表示してもよい。これによれば、車両1の運転席から見てすぐ前に位置するメータパネルに、燃料供給所情報が表示されるので、運転者にとって参照・選択が行い易くなる。
【0054】
以上の説明によれば、車両情報および供給所情報の両方により、管轄のエリア内の車両1に対して、各供給所2の燃料供給能力を通知するので、供給所2が少なく、かつ、その供給所2が小規模である燃料供給環境であっても、運転者は、燃料切れに対する不安を解消し、安心して自由に自動車を運転することができる。また、情報配信サーバ3が、所定の時間ごとに管轄のエリア内の供給所情報を受信するので、新設の供給所2の情報を取り込んで、燃料供給所情報に反映させることが容易に可能である。
【0055】
さらに、複数の車両1から車両情報を受信することができるので、緊急度の高い車両1から情報を作成することによって、有効な情報提供を行うことができる。また、複数の供給所2から供給所情報を受信することができるので、適切な供給所2を選択することができる。例えば、車両1の進行方向にある、または、その進行方向に近い供給所2を選択することができる。
【0056】
≪その他の実施の形態≫
以上本発明について好適な実施の形態について一例を示したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0057】
(1)前記実施の形態では、情報配信サーバ3が、管轄するエリアに対して車両情報送信要求や供給所情報送信要求を発信することによって、その応答として車両情報や供給所情報を受信するように記載したが、例えば、逆に、車両1や供給所2が、所定の時間ごとに所定のエリアに対して車両情報や供給所情報を発信するようにしてもよい。これによれば、車両1の運転者は、所定のエリア内に位置する複数の情報配信サーバ3から燃料供給所情報提供のサービスを受けることができる。また、通信回線網4、5におけるデータ通信量を節減することができる。
【0058】
(2)前記実施の形態では、情報配信サーバ3が所定の時間ごとに管轄のエリア内の車両1に対して燃料供給所情報を配信するように記載したが、車両1が情報配信サーバ3に対して燃料供給所情報の要求を送信し、情報配信サーバ3がその応答として燃料供給所情報を返信するようにしてもよい。これによれば、車両1の運転者が、燃料供給の必要性を認識した場合に、随時燃料供給所情報を取得することができるようになる。
【0059】
(3)前記実施の形態では、水素ガスを燃料として記載したが、他の燃料に適用してもよい。例えば、ガソリン、軽油、天然ガスなどを燃料として適用してもよい。
【0060】
(4)前記実施の形態では、車両を移動体として記載したが、他の移動体に適用してもよい。例えば、船舶や飛行機などを移動体として適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料供給所情報配信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両および情報配信サーバの構成を示す図である。(a)は、車両の構成を示す。(b)は、情報配信サーバの構成を示す。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報配信サーバのメイン処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報配信サーバの燃料供給所情報作成処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両および供給所の位置関係と燃料量の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報配信サーバが燃料供給所情報を作成する例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る燃料供給所情報の表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る燃料供給所情報の表示例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る燃料供給所情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 車両(移動体、移動体側装置)
2 供給所(燃料供給所、供給所側装置)
3 情報配信サーバ(燃料供給所情報配信サーバ)
4、5 通信回線網(ネットワーク)
10 燃料供給所情報配信システム
14 表示装置(燃料供給所情報表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の移動体に搭載され、その移動体に関する情報である移動体情報を保持し、その移動体情報を随時更新する移動体側装置と、
前記移動体に燃料を供給する1以上の燃料供給所に設置され、その燃料供給所に関する情報である供給所情報を保持し、その供給所情報を随時更新する供給所側装置と、
前記移動体側装置および前記供給所側装置にネットワークを介して接続され、前記移動体側装置から受信した移動体情報および前記供給所側装置から受信した供給所情報に基づいて、各移動体に対応した燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各移動体側装置に配信する燃料供給所情報配信サーバと、
を含んで構成される燃料供給所情報配信システムであって、
前記移動体情報は、その移動体における燃料残量および移動体位置を含み、
前記供給所情報は、その燃料供給所における燃料貯蔵量および供給所位置を含み、
前記燃料供給所情報配信サーバは、
前記各移動体について、前記燃料残量、移動体位置および供給所位置を含む情報から、
前記移動体が前記燃料供給所に到達したときの燃料残量を算出し、前記燃料貯蔵量から、前記到達したときの燃料残量に対して、前記燃料供給所が前記移動体に供給できる燃料量に係る燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を前記各移動体側装置に配信し、
前記移動体側装置は、
所定の情報を表示する表示装置と接続され、
前記燃料供給所情報配信サーバから前記燃料供給所情報を受信したとき、その燃料供給所情報を前記表示装置に表示させる
ことを特徴とする燃料供給所情報配信システム。
【請求項2】
1以上の移動体に搭載され、その移動体に関する情報である移動体情報を保持し、その移動体情報を随時更新する移動体側装置と、
前記移動体に燃料を供給する1以上の燃料供給所に設置され、その燃料供給所に関する情報である供給所情報を保持し、その供給所情報を随時更新する供給所側装置と、
にネットワークを介して接続され、前記移動体側装置から受信した移動体情報および前記供給所側装置から受信した供給所情報に基づいて、各移動体に対応した燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を各移動体側装置に配信する燃料供給所情報配信サーバであって、
前記移動体情報は、その移動体における燃料残量および移動体位置を含み、
前記供給所情報は、その燃料供給所における燃料貯蔵量および供給所位置を含み、
前記燃料供給所情報配信サーバは、
前記各移動体について、前記燃料残量、移動体位置および供給所位置を含む情報から、
前記移動体が前記燃料供給所に到達したときの燃料残量を算出し、前記燃料貯蔵量から、前記到達したときの燃料残量に対して、前記燃料供給所が前記移動体に供給できる燃料量に係る燃料供給所情報を作成し、その作成した燃料供給所情報を前記各移動体側装置に配信する
ことを特徴とする燃料供給所情報配信サーバ。
【請求項3】
前記燃料供給所情報配信サーバは、
前記燃料残量を含む情報から、前記移動体の移動可能距離を算出し、
前記移動体位置および供給所位置から、前記移動体と適切な燃料供給所との間の距離である供給所距離を算出し、
前記移動可能距離から前記供給所距離を引いた値である距離差分値が小さい移動体から順番に、前記燃料供給所情報を作成するとともに、前記移動体に燃料を供給できる燃料供給所が所定数以下である場合に、その燃料を供給できる燃料供給所を前記移動体に対する燃料供給用に予約し、前記燃料貯蔵量から前記移動体に必要な燃料量を減算する
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料供給所情報配信サーバ。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料供給所情報配信システムにおける移動体側装置に接続される燃料供給所情報表示装置であって、
前記移動体側装置が前記燃料供給所情報配信サーバから前記燃料供給所情報を受信したとき、その受信した燃料供給所情報を表示する
ことを特徴とする燃料供給所情報表示装置。
【請求項5】
前記燃料供給所情報として、前記移動体に必要な燃料量に対する前記各供給所の貯蔵量の割合を算出し、その算出した割合を示す供給所の表示データを地図データ上に配置したものを表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の燃料供給所情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−234490(P2006−234490A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47459(P2005−47459)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】