説明

物品搬送装置

【課題】台車ユニットの走行時に、外部からの操作により台車ユニットを停止させることができる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送経路に沿って配設された走行レール3と、走行レール3を走行可能な台車ユニット4と、を備え、物品2を台車ユニット4に積載して搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置1において、台車ユニット4は、台車ユニット4を走行させる駆動手段17と、駆動手段17に電力を供給する蓄電手段5と、蓄電手段5から駆動手段17に供給される電力の制御を行う制御回路29と、制御回路29に接続される台車用無線モジュール41と、を有し、台車用無線モジュール41は、受信される操作信号に基づいて、制御回路29の操作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路に沿って配設された走行レールと、該走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を該台車ユニットに積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品搬送装置では、レールに設けられたトローリー線から電力の供給を受け、荷台(搬送物支持部材)の昇降を行っている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、近年の物品搬送装置では、内蔵されたバッテリ(蓄電手段)により駆動される天井式搬送車(台車ユニット)を有し、地上ステーションにてバッテリを充電するようにもなっている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−267347号公報(第6頁、第1図)
【特許文献2】特開平8−53207号公報(第3頁、第1図)
【特許文献3】特許第3674065号公報(第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3のような物品搬送装置では、地上ステーション等において、台車ユニットと地上ステーションとの通信は行われるものの、レールを走行する台車ユニットの制御は自動的に行われており、緊急時に外部からの操作により走行中の台車ユニットを停止できないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、台車ユニットの走行時に、外部からの操作により台車ユニットを停止させることができる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、
搬送経路に沿って配設された走行レールと、該走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を該台車ユニットに積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、
前記台車ユニットは、該台車ユニットを走行させる駆動手段と、該駆動手段に電力を供給する蓄電手段と、該蓄電手段から前記駆動手段に供給される電力の制御を行う制御回路と、該制御回路に接続される台車用無線モジュールと、を有し、前記台車用無線モジュールは、受信される操作信号に基づいて、前記制御回路の操作を行うことを特徴としている。
この特徴によれば、台車用無線モジュールによって、蓄電手段から駆動手段に供給される電力の制御を行う制御回路を操作できるようになり、台車ユニットの走行時に、外部からの操作により台車ユニットを停止させることができる。
【0007】
本発明の物品搬送装置は、
前記台車用無線モジュールは、該台車用無線モジュールに内蔵された内蔵電池から電力が供給されることを特徴としている。
この特徴によれば、台車用無線モジュール自体が蓄電手段の電力を消費することがなくなる。
【0008】
本発明の物品搬送装置は、
前記台車用無線モジュールは、該台車用無線モジュールに内蔵された内蔵電池から電力が供給される第1供給態様と、前記蓄電手段から電力の供給を受ける第2供給態様と、を切り換える供給切換手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、台車用無線モジュールは、台車ユニットの停止時において、内蔵電池から電力が供給される第1供給態様とすれば、蓄電手段の電力を消費することがなく、蓄電手段が一切の電力の消費をせずに済むようになり、かつ台車用無線モジュールは、台車ユニットの走行時において、蓄電手段から電力の供給を受ける第2供給態様とすれば、内蔵電池の電力を消費することがなく、内蔵電池及び蓄電手段の蓄電が維持されるようになる。
【0009】
本発明の物品搬送装置は、
前記制御回路は、該制御回路と前記蓄電手段との電気的な接続を遮断する遮断手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、台車ユニットの停止時において、蓄電手段から制御回路及び駆動手段に供給される電力を遮断手段により停止でき、長時間、台車ユニットを停止させても、蓄電手段の蓄電が維持されるようになる。
【0010】
本発明の物品搬送装置は、
前記遮断手段は、遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路により制御されることを特徴としている。
この特徴によれば、台車ユニットの停止時において、スイッチ回路自体が電力を消費することがなく、蓄電手段が一切の電力の消費をせずに済むようになり、長時間、台車ユニットを停止させても、蓄電手段の蓄電が維持されるようになる。
【0011】
本発明の物品搬送装置は、
複数台の台車ユニットが前記搬送経路に沿って走行されており、少なくとも1台の台車ユニットが有する台車用無線モジュールが、地上部に設けられる地上用無線モジュールから送信される操作信号を受信し、該台車用無線モジュールが前記受信された操作信号を、他の台車ユニットが有する台車用無線モジュールに向けて送信することを特徴としている。
この特徴によれば、台車用無線モジュール同士で、地上用無線モジュールから送信される操作信号を中継することができ、この中継を繰り返すことで、広範囲に渡って操作信号を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例における物品搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】台車ユニットを示す側面図である。
【図3】台車ユニットを示す背面図である。
【図4】物品搬送装置の構成を示す概念図である。
【図5】台車用制御装置が有するスイッチ回路を示す回路図である。
【図6】主制御装置と台車ユニットとの通信状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る物品搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
実施例に係る物品搬送装置につき、図1から図6を参照して説明する。以下、図2及び図4の紙面左側を物品搬送装置の正面側(前方側)として説明する。図1の符号1は、例えば、自動車等を製造する工場内で、自動車の部品が収納された本発明における物品としてのコンテナ2(図2参照)を搬送するための本発明の適用された物品搬送装置である。
【0015】
図1及び図2に示すように、物品搬送装置1においては、搬送経路に沿って配置された2本の走行レール3と、走行レール3を平面視で反時計回りに走行可能な複数の台車ユニット4と、から主に構成されている。走行レール3は工場内の天井近傍の所定の高さ位置に掛け渡されている。また、台車ユニット4は、自動車の部品が収納されているコンテナ2を搬送経路に沿って搬送するようになっている。
【0016】
2本の走行レール3は、その上面が水平面として形成された、アルミやスチール等の金属材によって形成されており、工場内の搬送経路に沿って工場内の天井から吊り下げされた状態で設けられている。また、走行レール3は、複数の直線路と曲線路とが組み合わされて無端状に形成されており、外周の搬送経路を形成する走行レール3である本線レール3dから分岐及び合流する走行レール3e,3f,3gが設けられている。
【0017】
ここで、図1における紙面上側において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3eとし、紙面中央において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3fとし、紙面下側において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3gとする。
【0018】
分岐レール3eには、台車ユニット4にコンテナ2を積み込むための積込ステーションC1が設けられ、分岐レール3gには、台車ユニット4からコンテナ2を降ろすための荷降ろしステーションC2が設けられ、分岐レール3fには、台車ユニット4を待機させる待機ステーションC3が設けられている。
【0019】
また、これらステーションC1〜C3以外に本線レール3dから分岐レール3e,3f,3gに分岐する箇所には分岐ステーションC4が設けられ、分岐レール3e,3f,3gから本線レール3dに合流する箇所には、合流ステーションC5が設けられている。各ステーションC1〜C5は、いずれも同様の構成からなり台車ユニット4に設けられた走行用バッテリ5(蓄電手段)への充電を行うための充電ステーションCとなっている。また、本実施例の走行用バッテリ5は、電力を静電エネルギーとして蓄えるキャパシタ装置により構成されている。
【0020】
尚、物品搬送装置1には、台車ユニット4や充電ステーションCを統括管理する主制御装置20が設けられている(図4参照)。この主制御装置20は、走行レール3以外の床面等の地上部に設けられている。この主制御装置20が台車ユニット4や充電ステーションCと情報通信を行い、充電ステーションCにおける後述する充電装置6(充電手段)や昇降モータ30等の制御を行うようになっている。
【0021】
図2に示すように、台車ユニット4には、走行レール3を走行する前後2台の走行台車8,9と、前側の走行台車8の前方を走行する先行台車10と、後側の走行台車9の後方を走行する後続台車11と、が設けられている。
【0022】
尚、先行台車10と前側の走行台車8とが連結杆材13によって連結され、後側の走行台車9と後続台車11とが連結杆材14によって連結されている。これらの台車8,9,10,11は、直列に配置されて走行レール3の上面を走行するようになっている。また、前後の走行台車8,9にそれぞれ取り付けられた吊下棒15によって、走行ユニット31が吊り下げられている。
【0023】
そして、図3に示すように、台車ユニット4には、コンテナ2を保持するキャリア12(搬送物支持部材)と、このキャリア12を昇降させる昇降ユニット32と、が設けられている。この昇降ユニット32は、走行ユニット31の下方に吊り下げられている。キャリア12は、昇降ユニット32からワイヤーロープ33によって吊り下げられており、このキャリア12は、昇降ユニット32の内部に設けられた昇降モータ30(昇降駆動手段)及びプーリー34によって昇降されるようになっている。
【0024】
図4に示すように、前側の走行台車8は、台車ユニット4を走行させるための走行モータ17(走行駆動手段)を有しており、この走行モータ17が駆動されることにより台車ユニット4が走行レール3を走行するようになっている。また、走行ユニット31内には、前側の走行台車8の走行モータ17を駆動させるための走行用バッテリ5と、走行モータ17の回転速度の制御やブレーキ制御を行う台者用制御装置29(走行制御手段)と、が設けられている。台車用制御装置29は、前述した走行台車8の走行モータ17に接続されて、この走行モータ17のシーケンス制御を行う制御回路としてのPLC(Programmable Logic Controller)を有している。
【0025】
また、台車ユニット4は、電波を用いて無線通信が可能な台車用無線モジュール41を有している。尚、後述するように、台車用無線モジュール41は、台車用制御装置29のPLCに接続されている。尚、主制御装置20は、台車用無線モジュール41と無線通信を行う地上用無線モジュール42を有している。本実施例では、無線モジュール41,42としてZigBee(登録商標)を用いている。
【0026】
更に、本実施例の無線モジュール41,42は、微弱な電波を用いる短距離用の無線通信装置である。この無線モジュール41,42は、転送速度(20kbps〜250kbps程度)が低速で、転送距離(30m程度)も短いものではあるが、消費電力が少なくて低コストで製造できるようになっている。尚、台車用無線モジュール41は、内蔵電池(乾電池)を有している。この台車用無線モジュール41は、走行用バッテリ5などの外部電源の供給が停止されても独立して稼働できるようになっている(図5参照)。
【0027】
尚、走行モータ17及び台者用制御装置29は、走行用バッテリ5から電力の供給を受けており、走行レール3における所定箇所(搬送経路の一部)に設けられた複数の充電ステーションCにおいて走行用バッテリ5に充電が行われるようになっている(図1参照)。また、積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2では、台車ユニット4の走行を停止させ、かつキャリア12を昇降させて作業員がコンテナ2の移載作業を行うようになっている。
【0028】
また、図4に示すように、先行台車10には、前方にある他の台車ユニット4の存在を光学的に検出する前方検出センサ48が設けられている。また、台車ユニット4の後続台車11の後端には、前方検出センサ48から照射される光を反射する反射板35が取り付けられている。この前方検出センサ48は、発光素子(図示略)と受光素子(図示略)が設けられた反射型光電センサとなっており、発光素子から前方に照射される光(赤外線等)が前方の物体(被検出体)に反射されて受光素子が受光することで前方の物体を検出できるようになっている。
【0029】
このように台車ユニット4は、前方検出センサ48によって前方にある他の台車ユニット4の存在を検出することができ、この検出に基づいて台者用制御装置29が速度制御等を行うようになっている。
【0030】
また、台車ユニット4の後続台車11の後端には、板状をなすドグ44が突出されており、先行台車10の先端には、他の台車ユニット4のドグ44’を検出する停止検出センサ51が設けられている。この停止検出センサ51は、内蔵されているマグネットが磁力により鉄材等の磁性材料で形成されたドグ44の近接及び接触を検出するマグネットスイッチとなっている。
【0031】
この停止検出センサ51に他の台車ユニット4のドグ44’が近接されると、台者用制御装置29が台車ユニット4の走行を停止させる制御を行うようになっている。尚、この停止検出センサ51は、他の台車ユニット4のドグ44’のみならず、台車ユニット4を停止させるために、充電ステーションC等に設けられるストッパー装置(図示略)が有するドグ(図示略)も検出するようになっている。
【0032】
また、各充電ステーションC1〜C5は、台車ユニット4の走行用バッテリ5を充電するための充電装置6が設置されている。そして、充電装置6は充電プラグ52(給電部)を有している。この充電装置6は、電力網により工場に供給される商用電源の電力を台車ユニット4に供給するようになっている。
【0033】
更に、充電プラグ52が接続される接続器24(被給電部)が、台車ユニット4の後側の走行台車9に設けられている。各充電ステーションC1〜C5において、停止(若しくは減速)した台車ユニット4の接続器24に充電装置6の充電プラグ52が接続(接触)されて走行用バッテリ5に電力を供給するようになっている。
【0034】
図4に示すように、積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2の走行レール3の近傍には、赤外線等の光を用いて通信を行う地上用光通信装置36(無線通信装置)が設置されている。この地上用光通信装置36は、有線ラインを介して地上部の主制御装置20に接続されている。そして、昇降ユニット32には、地上用光通信装置36と通信を行う台車用光通信装置37(無線通信装置)が設けられている。
【0035】
更に、昇降ユニット32には、昇降モータ30の回転数を検出するロータリーエンコーダ38と、上昇されるキャリア12が上限位置にあることを検出する上限リミットスイッチ39と、が設けられている。そして、台車用光通信装置37は、昇降モータ30、ロータリーエンコーダ38、及び上限リミットスイッチ39に接続されている。これら光通信装置36,37を介して主制御装置20と昇降ユニット32が通信を行い、主制御装置20の操作信号やロータリーエンコーダ38の検出信号や上限リミットスイッチ39の検出信号の送受信が行われるようになっている。
【0036】
また、積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2には、降下されるキャリア12が載置される載置台21が設けられている。この載置台21には、降下されるキャリア12が下限位置にあることを検出する下限リミットスイッチ40が設けられている。この下限リミットスイッチ40が主制御装置20に対して有線ラインにより接続されている。そして、主制御装置20には、昇降ユニット32の昇降モータ30のシーケンス制御を行う制御回路としてのPLCを有している。つまり昇降ユニット32の昇降モータ30は、台車用制御装置29に接続されておらず、光通信装置36,37を介して主制御装置20により制御されるようになっており、主制御装置20が本実施例における昇降制御手段となっている。
【0037】
尚、充電装置6の充電プラグ52が接続される接続器24は、走行用バッテリ5に接続されるとともに、昇降モータ30にも接続されている。積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2においてキャリア12を昇降させる際に、昇降モータ30は、接続器24を介して充電装置6から電力を供給されるようになっている。つまり昇降ユニット32の昇降モータ30は、走行用バッテリ5に接続されておらず、充電装置6が昇降モータ30に電力を供給する給電手段を兼ねており、昇降モータ30は、充電装置6から電力を供給されてキャリア12を昇降させるようになっている。
【0038】
次に、台車ユニット4における台車用制御装置29について図5を参照して説明する。図5に示すように、台車用制御装置29は、前述したように、本発明における制御回路としてのPLCを有している。更に、PLCには、スイッチ回路及び台車用無線モジュール41が接続されている。
【0039】
そして、このPLCは、走行用バッテリ5(蓄電手段)に接続されて電力が供給されるようになっている。尚、走行モータ17はPLCを介して走行用バッテリ5から電力が供給されるようになっている。
【0040】
尚、走行用バッテリ5の陰極側の配線であるN1ラインがPLCに接続されるとともに、走行用バッテリ5の陽極側の配線がPLCに接続される。この陽極側の配線には、メインスイッチが設けられている。更に、陽極側の配線には、台車用無線モジュール41によって制御される緊急停止スイッチが、メインスイッチと直列に設けられている。以下、走行用バッテリ5の陽極側の配線のうち、メインスイッチよりも上流側の配線をP1ラインとし、下流側をP2ラインとして説明する。
【0041】
走行台車8の走行モータ17には、PLCからN1ラインとP2ラインが接続されており、PLCによって走行モータ17に電力が供給されるとともに、走行モータ17の回転速度の制御やブレーキ制御が行われる。
【0042】
また、メインスイッチがON状態(接続状態)になると、走行用バッテリ5とPLCとが電気的に接続され、PLC及び走行モータ17に電力が供給される。更に、メインスイッチがOFF状態(遮断状態)になると、走行用バッテリ5とPLCとの電気的な接続が遮断され、PLC及び走行モータ17への電力供給が停止される。尚、メインスイッチが本実施例における遮断手段を構成している。
【0043】
このメインスイッチのON/OFF制御は、台車用制御装置29が有するスイッチ回路により行われる。メインスイッチは、スイッチ回路により制御されるリレースイッチとして構成されている。スイッチ回路において、メインスイッチのソレノイド部がN1ラインとP1ラインとに接続されている。
【0044】
尚、メインスイッチのソレノイド部が設けられているN1及びP1ライン間が通電されると、メインスイッチがON状態となり、N1及びP1ライン間が遮断されると、メインスイッチがOFF状態となる。
【0045】
また、スイッチ回路において、メインスイッチのソレノイド部とN1ラインとの間には、PLCにより制御されるPLCスイッチと、メンテナンスの際に作業者が手動により操作するメンテナンススイッチと、前述した先行台車10の停止検出センサ51のマグネットスイッチ(磁気スイッチ)によりON/OFF制御されるR1リレーと、が並列に設けられている。尚、この停止検出センサ51のマグネットスイッチが、走行用バッテリ5の電力に拠らずに作動する本発明における非電気的スイッチを構成している。更に、メインスイッチのソレノイド部とP1ラインとの間には、後述する電圧検出部により制御されるR3リレーが設けられている。
【0046】
尚、マグネットスイッチは、N1ラインとP1ラインとに接続されている。そして、マグネットスイッチとP1ラインとの間には、R1リレーのソレノイド部と、PLCに接続されたR2リレーのソレノイド部と、が並列に設けられている。更に尚、マグネットスイッチとP1ラインとの間には、後述するR3リレーが設けられているとともに、台車用無線モジュール41によって制御される通常停止スイッチが設けられている。
【0047】
また、R1リレーのON/OFF制御は、マグネットスイッチのON/OFF状態により切り換わるR1リレーのソレノイド部が設けられているN1及びP1ライン間の通電状態により制御されている。
【0048】
マグネットスイッチによりN1及びP1ライン間が通電されると、R1リレーがON状態となり、N1及びP1ライン間が遮断されると、R1リレーがOFF状態となる。尚、PLCは、R1リレーのON/OFF状態を、R1リレーのソレノイド部と並列に配置されたR2リレーのソレノイド部を介して検出するようになっている。
【0049】
前述したように、他の台車ユニット4の後続台車11(被検出体)のドグ44(被検出部)が先行台車10の被検出空間50に入り込み、停止検出センサ51がドグ44を検出し、台車用制御装置29は、走行モータ17を停止させて台車ユニット4を停止させる制御を行うようになっている。
【0050】
スイッチ回路内の動作について詳述すると、停止検出センサ51がドグ44を検出すると、スイッチ回路のマグネットスイッチ(停止検出センサ51)がOFF状態となり、N1及びP1ライン間が遮断されてR1リレーがOFF状態となる。
【0051】
PLCは、R1リレーのOFF状態を、R2リレーのソレノイド部を介して検出し、走行モータ17のブレーキ制御を行い、台車ユニット4を停止させるようにしている。そして、台車ユニット4の動作が完全に停止した後に、PLCリレーをOFF状態にしてメインスイッチをOFF状態にする。
【0052】
つまり、PLCは、マグネットスイッチがOFF状態になっても、直ぐにメインスイッチがOFF状態にならないように制御している。PLCは、マグネットスイッチがOFF状態になってから所定の遅延時間経過後に、PLCリレーをOFF状態にして、メインスイッチをOFF状態にする制御を行っている。
【0053】
そのため、台車ユニット4の動作が完全に停止する前に、走行モータ17のブレーキ制御ができなくなる虞がないようになっている。尚、PLC及びPLCリレーにより本発明における遅延回路を構成している。
【0054】
尚、マグネットスイッチは、そのOFF状態を非電気的に維持するようになっている。つまり、停止検出センサ51がドグ44を検出してマグネットスイッチがOFF状態となり、メインスイッチがOFF状態になっているときには、PLC、走行モータ17、スイッチ回路のいずれも走行用バッテリ5との電気的な接続が遮断された状態となっており、走行用バッテリ5が一切の電力を消費しないようになっている。
【0055】
また、ドグ44が先行台車10の被検出空間50から外れると、スイッチ回路のマグネットスイッチ(停止検出センサ51)がON状態となり、N1及びP1ライン間が通電されてR1リレーがON状態となる。そして、メインスイッチのソレノイド部が設けられたN1及びP1ライン間の通電によってメインスイッチがON状態となり、PLC及び走行モータ17が起動される。このとき起動したPLCは、PLCスイッチをON状態に復帰させる。
【0056】
尚、マグネットスイッチがOFF状態のときに、メンテナンススイッチを作業者が手動により操作することでも、メインスイッチのソレノイド部が設けられたN1及びP1ライン間を通電させて、メインスイッチをON状態にすることができる。このメンテナンススイッチは、台車ユニット4のメンテナンス時に作業者が操作するようになっている。
【0057】
また、マグネットスイッチがON状態のときであっても、台車用無線モジュール41が通常停止スイッチを制御することで、台車ユニット4を停止させることができる。更に、メインスイッチをON状態のときであっても、台車用無線モジュール41が緊急停止スイッチを制御することで、台車ユニット4を停止させることができる。後述するように、台車用無線モジュール41による無線通信を用いることで、充電ステーションC等に設けられるストッパー装置(図示略)が無い場所や、停止中の他の台車ユニット4が無い場所であっても、走行中の台車ユニット4を停止させることができる。
【0058】
更に、スイッチ回路は、走行用バッテリ5の電圧(電力容量)を検出する電圧検出部を有している。この電圧検出部はN1ラインとP1ラインとの間に設けられている。この電圧検出部によりR3リレーのソレノイド部を介してR3リレーのON/OFF制御が行われる。
【0059】
また、電圧検出部はPLCと接続されており、走行用バッテリ5の電力が消費されて、電圧検出部で検出した走行用バッテリ5の電圧が所定の電圧以下になったときに、PLCは走行モータ17のブレーキ制御を行って台車ユニット4を停止させるようになっている。
【0060】
R3リレーのソレノイド部は、電圧検出部を介してN1ラインとP1ラインとの間に設けられており、電圧検出部で検出した走行用バッテリ5の電圧が所定の電圧以下になったときに、電圧検出部は、R3リレーのソレノイド部とN1ラインとの間を遮断して、R3リレーをOFF状態にする。
【0061】
尚、R3リレーは双安定リレー(ラッチリレー)となっており、そのOFF状態を非電気的に維持するようになっている。つまり、R3リレーがOFF状態となり、メインスイッチがOFF状態になっているときには、PLC、走行モータ17、スイッチ回路のいずれも走行用バッテリ5との電気的な接続が遮断された状態となっており、走行用バッテリ5が一切の電力を消費しないようになっている。
【0062】
また、R3リレーのソレノイド部は、作業者が手動により操作するリセットスイッチを介してN1ラインと接続されている。リセットスイッチを作業者が手動により操作することで、R3リレーのソレノイド部を通電させてR3リレーをON状態にすることができる。
【0063】
作業員は、台車ユニット4を手動により充電ステーションCで移動させ、走行用バッテリ5に充電をするとともに、リセットスイッチを操作することにより、に台車ユニット4を起動させることができる。尚、メンテナンススイッチ及びリセットスイッチが、本発明における復帰回路を構成している。
【0064】
尚、リセットスイッチは、台車用無線モジュール41にも接続されており、台車ユニット4が作業者の手の届かない場所にあっても、台車用無線モジュール41を介してR3リレーのソレノイド部を通電させてR3リレーをON状態にすることができる。
【0065】
次に、台車ユニット4の台車用制御装置29における台車用無線モジュール41及び地上部の主制御装置20における地上用無線モジュール42について図5及び図6を参照して説明する。図5に示すように、台車用無線モジュール41は、前述した緊急停止スイッチ、通常停止スイッチ、リセットスイッチを制御するマイコンを有している。
【0066】
台車用無線モジュール41のマイコンは、アンテナ及び無線ICを介した無線通信によって地上用無線モジュール42のマイコンに接続されている。また、主制御装置20は、各台車ユニット4のシーケンス制御を行うPLCを有している。地上用無線モジュール42のマイコンは、通信ドライバを介して主制御装置20のPLCと接続されている。
【0067】
作業者は、主制御装置20を操作したり、主制御装置20に予め所定の設定をしておくことで、操作信号を台車用無線モジュール41に送信することができ、この操作信号に基づいて、台車用無線モジュール41のマイコンが、緊急停止スイッチや通常停止スイッチやリセットスイッチを制御するようになっている。作業者は、主制御装置20を介して遠隔操作により緊急時に走行中の台車ユニット4を停止させることもできるし、全ての台車ユニット4が非稼働状態であるときに、自動的に台車ユニット4を稼働状態にすることもできる。
【0068】
図6に示すように、無線モジュール41,42は、前述したように、微弱な電波を用いるため転送距離が短くなっている。各無線モジュール41,42には、各無線モジュール41,42を識別可能なアドレスが割り振られており、各無線モジュール41,42同士が互いに中継通信を行って無線ネットワークを構築できるようになっている。
【0069】
そして、本実施例の無線モジュール41,42では、主制御装置20に最も近接した台車ユニット4の台車用無線モジュール41が、主制御装置20の地上用無線モジュール42から発せられた電波を受信することで、この台車用無線モジュール41が他の近接した台車ユニット4に中継することができる。この中継を繰り返すことで、主制御装置20の地上用無線モジュール42の通信範囲外にある台車ユニット4に対しても操作信号を送信することができる。
【0070】
図5に示すように、台車用無線モジュール41は内蔵電池を有している。そして、台車用無線モジュール41のマイコンは、電源回路を介して内蔵電池に接続されるとともに、N1ライン及びP1ラインに接続されている。このように台車用無線モジュール41は、内蔵電池の電力により稼働(第1供給態様)、若しくは、N1ライン及びP1ラインを介して供給される走行用バッテリ5の電力により稼働(第2供給態様)されるようになっている。更に、台車用無線モジュール41は、マイコンに対する電源の接続を、内蔵電池と走行用バッテリ5のいずれかに切り換える電源切換スイッチ(供給切換手段)を有している。
【0071】
電源切換スイッチは、N1ライン及びP1ラインに電力が供給されているか否かにより制御される電気回路となっている。N1ライン及びP1ラインに電力が供給されているとき、つまり前述したメインスイッチ(緊急停止スイッチ)がON状態のときには、電源切換スイッチがOFF状態となり、マイコンは走行用バッテリ5から電力の供給を受ける。そして、メインスイッチ(緊急停止スイッチ)がOFF状態のときには、電源切換スイッチがON状態となり、マイコンは内蔵電池から電力の供給を受ける。
【0072】
このように、台車用無線モジュール41は、走行用バッテリ5の電源供給が無くても、内蔵電池によって稼働されるため、夜間や休日等の台車ユニット4が非稼働状態のときであっても、前述した無線ネットワークを維持できるようになっている。更に、台車用無線モジュール41に、スリープ制御や送信電力制御やクロック制御等を行わせることで、省電力化を図ることができ、内蔵電池の消耗を抑えて長期間に渡り電池交換をしないで済むようになる。尚、地上用無線モジュール42は、内蔵電池を有しておらず、地上用無線モジュール42のマイコンは、電源回路を介して主制御装置20の電源から電力の供給を受けている。
【0073】
以上、本実施例における物品搬送装置1では、台車ユニット4は、台車ユニット4を走行させる走行モータ17と、走行モータ17に電力を供給する走行用バッテリ5と、走行用バッテリ5から走行モータ17に供給される電力の制御を行う制御回路と、制御回路に接続される台車用無線モジュール41と、を有し、台車用無線モジュール41は、受信される操作信号に基づいて、制御回路の操作を行うことで、台車用無線モジュール41によって、走行用バッテリ5から走行モータ17に供給される電力の制御を行う制御回路を操作できるようになり、台車ユニット4の走行時に、外部からの操作により台車ユニット4を停止させることができる。
【0074】
また、台車用無線モジュール41は、台車用無線モジュール41に内蔵された内蔵電池から電力が供給されることで、台車用無線モジュール41自体が走行用バッテリ5の電力を消費することがなくなる。
【0075】
また、台車用無線モジュール41は、台車用無線モジュール41に内蔵された内蔵電池から電力が供給される第1供給態様と、走行用バッテリ5から電力の供給を受ける第2供給態様と、を切り換える電源切換スイッチを有することで、台車用無線モジュール41は、台車ユニット4の停止時において、内蔵電池から電力が供給される第1供給態様とすれば、走行用バッテリ5の電力を消費することがなく、走行用バッテリ5が一切の電力の消費をせずに済むようになり、かつ台車用無線モジュール41は、台車ユニット4の走行時において、走行用バッテリ5から電力の供給を受ける第2供給態様とすれば、内蔵電池の電力を消費することがなく、内蔵電池及び走行用バッテリ5の蓄電が維持されるようになる。
【0076】
また、制御回路は、制御回路と走行用バッテリ5との電気的な接続を遮断するメインスイッチを有することで、台車ユニット4の停止時において、走行用バッテリ5から制御回路及び走行モータ17に供給される電力をメインスイッチにより停止でき、長時間、台車ユニット4を停止させても、走行用バッテリ5の蓄電が維持されるようになる。
【0077】
また、メインスイッチは、遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路により制御されることで、台車ユニット4の停止時において、スイッチ回路自体が電力を消費することがなく、走行用バッテリ5が一切の電力の消費をせずに済むようになり、長時間、台車ユニット4を停止させても、走行用バッテリ5の蓄電が維持されるようになる。
【0078】
また、複数台の台車ユニット4が搬送経路に沿って走行されており、少なくとも1台の台車ユニット4が有する台車用無線モジュール41が、地上部に設けられる地上用無線モジュール42から送信される操作信号を受信し、台車用無線モジュール41が受信された操作信号を、他の台車ユニット4が有する台車用無線モジュール41に向けて送信することで、台車用無線モジュール41同士で、地上用無線モジュール42から送信される操作信号を中継することができ、この中継を繰り返すことで、広範囲に渡って操作信号を送信することができる。
【0079】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0080】
例えば、前記実施例では、本発明がキャリア12を吊り下げた状態で走行レール3に沿って走行可能な台車ユニット4を備える物品搬送装置1に適用されているが、本発明は他の形式による搬送台車などにも適用することができる。
【0081】
また、前記実施例では、無線モジュール41,42としてZigBee(登録商標)を用いているが、これ以外にも、Bluetooth(登録商標)等のその他の短距離無線通信技術を用いてもよい。
【0082】
更に、前記実施例では、無線モジュール41,42の無線通信に電波を用いたが、無線モジュール41,42を用いた無線通信は、電波を用いた通信のみならず、赤外線や音波等を用いた無線通信であってもよい。
【0083】
尚、前記実施例では、台車用無線モジュール41が有する内蔵電池を乾電池として例示しているが、本発明の内蔵電池は乾電池に限らず、充電が可能な二次電池であってもよい。また、内蔵電池が二次電池である場合には、N1−P1ラインの通電時に、このN1−P1ラインから内蔵電池に電力を供給して充電を行い、N1−P1ラインの非通電時に、内蔵電池から放電を行って無線モジュール41に電力を供給するようにすればよい。このように内蔵電池を二次電池にすれば、電池交換等のメンテナンスが不要になる。
【符号の説明】
【0084】
1 物品搬送装置
2 コンテナ(物品)
3 走行レール
4 台車ユニット
5 走行用バッテリ(蓄電手段)
17 走行モータ(駆動手段)
20 主制御装置
29 台車用制御装置
41 台車用無線モジュール
42 地上用無線モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って配設された走行レールと、該走行レールを走行可能な台車ユニットと、を備え、物品を該台車ユニットに積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、
前記台車ユニットは、該台車ユニットを走行させる駆動手段と、該駆動手段に電力を供給する蓄電手段と、該蓄電手段から前記駆動手段に供給される電力の制御を行う制御回路と、該制御回路に接続される台車用無線モジュールと、を有し、前記台車用無線モジュールは、受信される操作信号に基づいて、前記制御回路の操作を行うことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記台車用無線モジュールは、該台車用無線モジュールに内蔵された内蔵電池から電力が供給されることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記台車用無線モジュールは、該台車用無線モジュールに内蔵された内蔵電池から電力が供給される第1供給態様と、前記蓄電手段から電力の供給を受ける第2供給態様と、を切り換える供給切換手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記制御回路は、該制御回路と前記蓄電手段との電気的な接続を遮断する遮断手段を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記遮断手段は、遮断状態を非電気的に維持するスイッチ回路により制御されることを特徴とする請求項4に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
複数台の台車ユニットが前記搬送経路に沿って走行されており、少なくとも1台の台車ユニットが有する台車用無線モジュールが、地上部に設けられる地上用無線モジュールから送信される操作信号を受信し、該台車用無線モジュールが前記受信された操作信号を、他の台車ユニットが有する台車用無線モジュールに向けて送信することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101870(P2012−101870A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249674(P2010−249674)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】