説明

物品箱詰め装置

【課題】 従来の物品箱詰め装置は、物品を定位置で積層するのに、簡単な構成で、処理スピードが速く、且つきれいに整列させた状態で積層できるものはなかった。
【解決手段】 コンベア装置1で順次搬送されてくる平面視矩形で薄形の物品Yをコンベア終端部1aから順次無停止状態で送出して、各物品Yをコンベア終端部1aの下方で待ち受ける収納箱X内に所定個数だけ積層状態で収納し得るようにした物品箱詰め装置において、コンベア終端部1aに、該コンベア終端部から送出される物品Yを乗り越させて減速させた後、表裏反転させて落下させるための物品減速反転部材2を取付けていることにより、物品Yを収納箱X内に、簡単な構成で、処理スピードが速く、且つきれいに整列状態で収納・積層できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、平面視矩形で薄形の物品を収納箱内に所定個数だけ積層状態で収納し得るようにした物品箱詰め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば柔軟食品や粉粒体等を矩形扁平状に包装した物品は、一般に所定個数ずつ箱詰めして出荷されるが、その箱詰め方法として従来から次のようなものがある。
【0003】
第1例として、コンベアで搬送されてくる物品を吸着装置(吸着部材)により吸着し、その吸着部材を順次収納箱の所定位置上方まで移動させ、そこで吸着解除することにより物品を収納箱内の所定位置に収納するようにしたものがある。
【0004】
第2例として、コンベアにて搬送されてくる物品を一対のテーブル上に一旦停止させた後、該各テーブルを下方に開放させて物品を下方に落下させるようにしたものがある。尚、この種の下方開閉式の物品箱詰め装置として、例えば特開平7−149306号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0005】
第3例として、物品をコンベア終端部から自然落下させて収納箱内に収納・積層させるようにしたものがある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−149306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記第1例〜第3例の各物品箱詰め方法では、それぞれ次のような欠点がある。
【0008】
第1例の吸着装置による箱詰め方法では、吸引用エア源や、吸着部材移動用の駆動装置や、エア開閉弁の制御等の各装置が必要となってコスト高になるとともに、吸着部材を往復移動させる必要があるので高速処理ができない(処理能力が低い)。
【0009】
第2例のテーブル下方開閉式のものでは、テーブル開閉のための駆動装置が必要であり(コスト高になる)、且つテーブルが開動作を経て閉状態に戻るまでにかなりの時間を要するためにコンベアで供給される各物品の時間間隔を長くする必要がある(処理能力が低い)。
【0010】
第3例のコンベア終端部から自然落下させるものでは、コンベア終端部から物品を無停止で放出させるので高速運転が可能であるものの、コンベア終端部から放出される物品はコンベア搬送による移動慣性によって放物線を画いて落下するので、積層高さによって飛距離が異なり、各物品を同位置できれいに積層できない。特に、収納箱内に前後複数列(例えば2列)を収納・積層する場合には、前後の各物品の一部が重なり合ってきれいに収納できない。
【0011】
そこで、本願発明は、簡単な構成で、処理スピードを落とすことなく、しかも積層高さに拘わらず常に同位置に落下・積層し得るようにした物品箱詰め装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、コンベア終端部から送出される物品を収納箱内に積層状態で収納し得るようにした物品箱詰め装置を対象にしている。
【0013】
本願請求項1の発明
本願請求項1の物品箱詰め装置は、コンベア装置で順次搬送されてくる平面視矩形で薄形の物品をコンベア終端部から順次無停止状態で送出して、各物品をコンベア終端部の下方で待ち受ける収納箱内に所定個数だけ積層状態で収納し得るようにしたものである。尚、以下の説明では、本願で取り扱う物品の形状(平面視矩形で薄形)を矩形扁平状ということがある。
【0014】
本願の物品箱詰め装置で取り扱う物品としては、例えば柔軟食品や粉粒体等を矩形扁平状に包装した柔軟包装物品が適用できるが、その他の硬質の矩形扁平状物品でも適用可能である。この取り扱い物品の大きさは、特に限定するものではないが例えば長さ及び幅がそれぞれ10〜20cmの範囲で、厚さが1〜5cm程度のものが適当である。
【0015】
そして、この請求項1の物品箱詰め装置は、コンベア装置で順次搬送されてくる物品をコンベア終端部から順次無停止状態で落下させて、各物品をコンベア終端部下方の収納箱内に積層状態で収納し得るようにしたものである。
【0016】
ところで、このように物品をコンベア終端部から無停止状態で送出させるものでは、物品がコンベア終端部から送出されたときの移動慣性により放物線を画いて落下し、積層高さによって物品の着地位置が前後に異なる。従って、この場合は各物品を上下整列状態で積層しにくくなる。
【0017】
そこで、本願では、コンベア終端部から送出される物品を積層高さに拘わらず常に同位置に落下させるための構成を採用している。この構成として本願では、コンベア終端部に、該コンベア終端部から送出される物品を乗り越させて減速させた後、表裏反転させて落下させるための物品減速反転部材を設けている。
【0018】
この物品減速反転部材は、ロール状や、ロッド状や、板状等の適宜の形状のものが採用可能であり、物品がコンベア終端部から物品減速反転部材の上に乗り上げたときに、該物品の移動慣性を減衰させる機能を有するものであればよい。即ち、この物品減速反転部材は、物品がコンベア終端部から物品減速反転部材上に乗り上げた時点で、物品下面に摩擦力が働き、その摩擦力で物品の移動慣性を減衰させ得るものであればよい。
【0019】
又、この物品減速反転部材は、コンベア装置による物品搬送スピードや物品長さ等に応じて、コンベア終端部に対して、上下に角度調節可能にしたり前後に間隔調整可能にすることができる。
【0020】
物品減速反転部材における物品下面が接触する部分の終端部(ロールやロッドでは頂上部、板状のものでは物品搬送方向の下手側端部)は、コンベア終端部から物品の搬送方向長さの約1/2長さよりやや短い間隔を隔てた位置に位置させている。従って、コンベア終端部から送出された物品が物品減速反転部材上に乗り上げて、該物品に対するコンベアの搬送力がなくなる時点では、物品の重心(物品のほぼ中心位置)が物品減速反転部材の終端部を僅かに越えるようになる。
【0021】
そして、物品が完全に物品減速反転部材上に乗り上げた時点(コンベアによる搬送力がなくなった時点)では、物品の前方への移動慣性がほとんどなくなっており、且つ物品の重心が物品減速反転部材の終端部を越えているので、該物品が自重で転動し(物品前側が下方に傾動する)、その転動慣性により物品が落下しながら表裏反転する姿勢まで転動した状態(ほぼ水平姿勢状態)で収納箱内に落下する。このとき(物品の落下時に)、物品に対する前方への移動慣性はほとんどなくなっているので、該物品は物品減速反転部材を越えた位置のほぼ直下に落下するようになり、従って収納箱内の積層高さが異なっても、各物品が水平姿勢で同位置に落下・積層される。
【0022】
このように、コンベア終端部に物品減速反転部材を設けたものでは、コンベア装置による物品搬送スピードが速くても、コンベア終端部から送出される物品の移動慣性が減衰することにより前方に飛び出すことがなくなり、順次送出されてくる物品を常に一定位置に落下させることができる。
【0023】
尚、収納箱の待ち受け高さは、該収納箱内に所定個数積層される物品の最上部位置においても、物品減速反転部材を乗り越えた物品が十分に表裏反転し得るだけの高さが確保されるように設定される。
【0024】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の物品箱詰め装置において、コンベア終端部を物品の前後長さずつ前後に進退させるコンベア終端部進退装置を備えている。
【0025】
この請求項2の物品箱詰め装置では、収納箱として物品を前後に複数列収容し得る大きさのものが採用される。
【0026】
コンベア終端部進退装置は、コンベア終端部を物品の前後長さずつ前後に進退させ得るものであれば適宜の構成のものを採用できる。例えば、このコンベア終端部進退装置として、コンベア終端部を前後に伸縮させるようにしたものや、コンベアを上下二段にして下側コンベアを前後にスライドさせるようにしたもの等が採用可能である。尚、コンベア終端部の前後進退位置は、2位置でも3位置でもよい(後述の実施例では前後2位置)。
【0027】
又、このコンベア終端部進退装置は、1つの物品がコンベア終端部を通過する度に該コンベア終端部を物品前後長さだけ前進又は後退させる(反復移動させる)ようになっている。尚、物品減速反転部材は、コンベア終端部の動きとともに前後動し、従ってコンベア終端部の前後各位置から送出される各物品は、それぞれ物品減速反転部材を乗り越えて(前方への移動慣性がなくなる)、収納箱内の前後各位置に上下整列状態で積層される。
【0028】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の物品箱詰め装置において、コンベア終端部の下方で待ち受ける収納箱を物品幅ずつ左右に移動させる箱移動装置を備えている。尚、ここでいう左右とは、コンベア装置による物品搬送方向の左右である。
【0029】
この請求項3の物品箱詰め装置では、収納箱として物品を左右に複数列収容し得る大きさのものが使用される。
【0030】
箱移動装置は、コンベア終端部の下方で待ち受ける収納箱を物品幅ずつ左右に移動させ得るものであれば適宜の構成のものを採用できる。例えば、この箱移動装置として、収納箱の前後側面をそれぞれコンベアベルトで挟持するようにしたものや、収納箱の下面にコンベアベルトを設置したもの等が採用可能である。尚、収納箱の左右動位置は、2位置でも3位置でもよい(後述の実施例では左右3位置)。
【0031】
そして、この箱移動装置は、コンベア終端部からの物品送出状況(収納箱内への物品収納状況)に応じて収納箱を順次物品幅ずつ右方向又は左方向に移動させる(反復移動させる)ことによって、物品を収納箱内の左右に複数列(2列又は3列)収納することができる。尚、この場合も、コンベア終端部から送出される物品は、物品減速反転部材を乗り越えて表裏反転姿勢で落下する(直下位置に落下する)ので、左右の各列においても物品が上下整列状態で積層される。
【発明の効果】
【0032】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明の物品箱詰め装置は、コンベア終端部に物品減速反転部材を設けているので、コンベア終端部から送出された物品が物品減速反転部材上を乗り越えることで、該物品の前方移動慣性が減衰されるとともに該物品に転動慣性が働いて、該物品が表裏反転した姿勢で直下(同位置)に落下するようになる。
【0033】
従って、本願請求項1の物品箱詰め装置によれば、コンベア終端部から順次放出される物品を常に収納箱内の定位置に落下・積層させることができる(上下整列状態で収容できる)。又、この物品箱詰め装置では、物品を連続移動(無停止)させながら収納箱内に落下させても整列状態で積層できるので、処理スピードを速くすることができる(処理能力がアップする)という効果がある。
【0034】
さらに、本願の物品箱詰め装置で使用されている物品減速反転部材は、コンベア終端部から送出される物品の移動慣性を減衰させ得るもの(例えば単なるロール)であればよいので、構成が簡単で且つ安価なものを使用できるという効果がある。
【0035】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の物品箱詰め装置において、コンベア終端部を物品の前後長さずつ前後に進退させるコンベア終端部進退装置を備えている。
【0036】
従って、この請求項2の物品箱詰め装置では、上記請求項1の効果に加えて、1つの収納箱に対して物品を前後に複数列積層状態で収納することができ、しかも上記した物品減速反転部材により前後に複数列積層させる場合でもそれぞれの列の物品が相互に重ならずに整列状態で積層できるという効果がある。
【0037】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の物品箱詰め装置において、コンベア終端部の下方に待ち受ける収納箱を物品幅ずつ左右に移動させる箱移動装置を備えている。
【0038】
従って、この請求項3の物品箱詰め装置では、上記請求項1又は2の効果に加えて、1つの収納箱に対して物品を左右に複数列積層状態で収納することができ、しかも上記した物品減速反転部材により左右に複数列積層させる場合でもそれぞれの列の物品が相互に重ならずに整列状態で積層できるという効果がある。
【実施例】
【0039】
以下、図1〜図7を参照して本願の実施例を説明すると、図1〜図6には本願実施例の物品箱詰め装置を示しており、図7には該物品箱詰め装置により収納箱X内に所定数個の物品Yを収納した状態を示している。
【0040】
尚、図7に示す物品収納状態は、収納箱(ダンボール箱)X内に、矩形扁平状の物品Yを、前後2列×左右3列×上下4段の合計24個収納したものであるが、前後及び左右の各列数及び上下積層段数等は、物品の形状や大きさ、収納箱Xの形状や大きさ等によって適宜に設定される。
【0041】
本願実施例で扱う物品Yとしては、図7に示すように、例えば柔軟食品や粉粒体等を矩形扁平状に包装した柔軟包装物品が多用されるが、硬質の矩形扁平状物品でも適用可能である。この実施例で取り扱っている物品Yの大きさは、例えば長さLが16〜18cm、幅Wが10〜11cm、厚さTが3cm程度であるが、該物品Yの大きさは特に限定されるものではない。
【0042】
収納箱(ダンボール箱)Xの形状・大きさは、取り扱い物品Yの大きさ・収納形態・個数等によって適宜のものが採用される。この実施例では、収納箱Xとして、上記物品Yを、前後2列×左右3列×上下4段の合計24個収納し得る大きさのものが使用される。尚、以下の説明では、物品収納前の収納箱を空箱といい、物品収納済みの収納箱を実箱ということがある。
【0043】
図1〜図6に示す本願実施例の物品箱詰め装置は、物品製造ライン(図示省略)で順次製造される矩形扁平状の物品Yを順次間隔をもって箱詰め位置まで搬送するコンベア装置1と、箱詰め位置に空箱Xを送り込む空箱供給装置7(空箱供給コンベア71、空箱待機部72の空箱押込み装置73、箱移動装置4等が担当する)と、実箱X′を箱詰め位置から排出するための実箱排出装置8(箱移動装置4、実箱排出部81の実箱押出し装置82、実箱排出コンベア8が担当する)とを基本構成にしている。尚、この物品箱詰め装置では、コンベア装置1のコンベア終端部1aの直下のやや前方位置が箱詰め位置となる。
【0044】
コンベア装置1は、図2に示すように、コンベアベルト11を複数個のロールに巻掛けし、該コンベアベルト11をモータ12で連続走行させ得るようにしたものが採用されている。そして、この実施例では、コンベアベルト11の終端部が特許請求範囲の各請求項中のコンベア終端部1aとなる。
【0045】
コンベアベルト11の始端側には、物品製造ラインで製造された物品Yを搬送する供給コンベア5の終端部が接続されており、該供給コンベア5で搬送されてくる各物品Yを順次位置決めシュート51を通してコンベアベルト11の始端部上の幅方向中央部に供給し得るようになっている。
【0046】
コンベア装置1は、図2において、基端ロール13が定位置に固定されており、コンベア終端部1aにある先端ロール14と基端ロール13の近傍位置にある折返しロール15とが可動台16に固定されている。可動台16は前後にスライド可能に設置されており、該可動台16を後述するコンベア終端部進退装置3で前後に進退させることにより、コンベア終端部1aを前後に進退させ得るようになっている。
【0047】
コンベア終端部進退装置3は、コンベア終端部1aを前後2位置に進退させて、物品Yをコンベア終端部1aの下方で待ち受ける収納箱Xに対して手前側位置と奥側位置とに収納させるものである。そして、この実施例では、該コンベア終端部進退装置3は、図2に示すように、可動台16の下面に設けたラック33と、該ラック33に噛合するピニオン32と、該ピニオン32を正・逆各方向に回転させるサーボモータ31とで構成されている。尚、以下の説明では、このコンベア終端部進退装置を単に進退装置という。
【0048】
この進退装置3は、サーボモータ31が基準回転位置(「0」点位置)にあるときには、ピニオン32とラック33との噛合によりコンベア終端部1aの位置を図1〜図3に実線図示する後退位置に位置せしめ、該サーボモータ31でピニオン32を所定角度(例えば角度120°)だけ回転(図2において右回転)させることにより該コンベア終端部1aを鎖線図示位置(符号1a′の位置)まで前進させるようになっている。逆に、コンベア終端部が前進位置(符号1a′の位置)にある状態でサーボモータ31によりピニオン32を所定角度(上記の角度120°)だけ逆回転(左回転)させると、該コンベア終端部を元の後退位置(実線図示する符号1aの位置)に戻すようになっている。この進退装置3によるコンベア終端部1aの進退長さは、物品Yの搬送方向長さLと同じに設定されている。
【0049】
コンベア終端部1aには、該コンベア終端部1aを通過する物品Yを検出する物品検出器18が設けられている。この物品検出器18には、左右一対の光電管が使用されていて、物品Yがコンベア終端部1aを通過する度に、その検出信号をコントローラ9に出力するようになっている。そして、コントローラ9では、物品検出器18から出力された検出信号の回数をカウンター(図4参照)で計数するようになっている。尚、この実施例では、一箱に24個の物品Yを収納するようになっており、後述するようにカウンターが24回計数すると1回の箱詰め作業が完了する。
【0050】
空箱供給装置7(空箱供給コンベア71、空箱待機部72の空箱押込み装置73、箱移動装置4等が担当する)は、次のように構成されている。
【0051】
まず、コンベア終端部1aの下方の箱詰め位置には、コンベア搬送方向に対して水平直交方向に向けて収納箱Xを移動させるための箱移動装置4が設置されている。尚、以下の説明では、コンベア搬送方向に対する水平直交方向において、コンベア搬送方向の上手側から見て、右側を右方向といい、左側を左方向という。
【0052】
この箱移動装置4は、収納箱Xの前後側面を挟持できる前後一対の挟みベルト41,41を有している。この各挟みベルト41,41は、収納箱Xの左右幅の約2倍の長さを有している。各挟みベルト41,41は、それぞれサーボモータ42,42によって後述する設定長さずつ同期して左右各方向に走行せしめられる。尚、この箱移動装置4は、コントローラ9(図1)からの信号で、後述する図4のタイムチャートのように作動する。
【0053】
両挟みベルト41,41間には収納箱Xを支持するための敷板43が設置されており、両挟みベルト41,41間で挟持されている収納箱Xを敷板43上で摺動させ得るようになっている。
【0054】
図1に示すように、箱移動装置4の入口側には空箱待機部72があり、該空箱待機部72には空箱供給コンベア71が接続されている。空箱待機部72には、該空箱待機部72にある空箱Xを箱移動装置4(両挟みベルト41,41間)の入口部に押込むための空箱押込み装置73が設けられている。この空箱押込み装置73は、この実施例ではシリンダによる押込み式のものが採用されており、該シリンダを伸長させることで空箱待機部72にある空箱Xを両挟みベルト41,41間の入口部で挟持される位置(図1の符号X1の位置)まで押込むことができるようになっている。尚、この実施例では、空箱供給コンベア71と空箱待機部72にある空箱押込み装置73と箱移動装置4(両挟みベルト41,41)とで空箱供給装置7を構成している。
【0055】
空箱押込み装置73による空箱押込み状態では、空箱Xが図1の符号X1の位置にあるが、空箱押込み装置73が作動した後、空箱がX1の位置まで押込まれたときに、該空箱X1を箱検出器(例えば反射式光センサー)74で検出するようにしている。この箱検出器74は、図1に示すように箱移動装置4の入口部付近で、図2に示すように敷板43上に載せられた収納箱Xの高さに対応する位置に設置している。そして、この箱検出器74は、該箱検出器の前方に空箱Xが存在しないときにはOFF状態で、該箱検出器の前方に空箱XがあるとONになり、そのOFF・ON信号を常時コントローラ9に入力している。尚、この箱検出器74の機能については後述する。
【0056】
実箱排出装置8(箱移動装置4、実箱排出部81の実箱押出し装置82、実箱排出コンベア8が担当する)は、次のように構成されている。
【0057】
図1に示すように、箱移動装置4の出口部には実箱排出部81があり、該実箱排出部81には実箱排出コンベア83が接続されている。実箱排出部81には、実箱押出し装置82が設けられている。尚、この実施例では、実箱押出し装置82としてロッドレスシリンダにより押板を移動させるようにしたものが採用されているが、他の実施例では実箱X′が載せられる各ロールを実箱排出コンベア83側に回転させて排出するようにしたものでもよい。そして、箱詰め位置で物品収納が完了した実箱X′は、前記箱移動装置4により実箱排出部81まで排出され、続いて実箱排出部81に排出された実箱X′は、実箱押出し装置82により実箱排出コンベア83側に排出し得るようになっている。
【0058】
ところで、この実施例の物品箱詰め装置では、コンベア装置1で搬送されてくる物品Yを無停止状態でコンベア終端部1aから送出するようになっている。又、この物品箱詰め装置では、物品箱詰め能力(コンベア装置1による物品供給能力)が毎分70〜80個程度のかなり高速運転が可能となっているが、このように無停止で高速運転すると、物品Yがコンベア終端部1aから送出されたときに、該物品Yが移動慣性により放物線を画いて落下し、積層高さによって物品の着地位置が異なる。従って、この場合は各物品Yを上下整列状態で積層しにくくなる。
【0059】
そこで、この実施例の物品箱詰め装置には、コンベア終端部1aから送出される各物品Yを前後各位置においてそれぞれ同位置に落下させるための物品減速反転部材2を備えている。
【0060】
この物品減速反転部材2は、図5に示すように、コンベア終端部1aから送出される物品Yを乗り越させて減速させた後、該物品Yを表裏反転させながら落下させる機能を有するものである。尚、この実施例では、物品減速反転部材2としてロールを採用しており、以下の説明では該物品減速反転部材2をロールということがある。
【0061】
このロール(物品減速反転部材)2は、左右のアームによりコンベア終端部1aから前方に所定小間隔(物品長さLの1/2長さとほぼ同等かそれよりやや短い間隔)を隔てた位置に支持し、且つロール上面がコンベア終端部1aの上面とほぼ同高さに位置するように設置している。このロール2は、この実施例ではフリー回転し得る状態で設置しているが、回転不能に固定したものでもよい。又、このロール2は、コンベア装置1の搬送スピードに応じてロール上面高さを上下に調節し得るようにするとともに、取り扱い物品Yの長さによってコンベア終端部1aからの間隔を調節し得るようにしておくとよい。
【0062】
そして、このロール2は、次のように機能する。即ち、図5に示すように、物品Yがコンベア終端部1aからロール上面に乗り上げたときに(例えば図5に実線図示する符号Yの状態)、物品下面とロール上面との間に摩擦力が働いて該物品Yの移動慣性を減衰させる一方、該物品Yに対するコンベア終端部1aによる搬送力がなくなった時点では、物品Yの重心Gがロール2の頂部(物品接触部分)より前方に位置し、該物品Yが自重により順次符号Y1、Y2、Y3で示すように回転しながら落下していき、収納箱Xの実質容積部分の最上部辺りでほぼ水平姿勢になり(符号Y4の状態)、その水平姿勢のままで収納箱Xの内底面に着座する(符号Y5)。このように、物品Yがロール2を乗り越えて落下するときには、該物品Yに対する前方への移動慣性はほとんどなくなっているので、該物品Yはロール2を越えた位置のほぼ直下に落下するようになり、従って収納箱X内での積層高さが異なっても、各物品Yが水平姿勢で同位置に積層されるようになる。
【0063】
又、この実施例の物品箱詰め装置では、図5に示すように、進退装置3によりコンベア終端部1aを前後2位置(実線図示する後退位置と、鎖線図示する符号1a′の前進位置)に移動させて、各物品Yを収納箱X内の手前側位置と奥側位置の2位置にそれぞれ収納・積層させ得るようになっているが、該手前側位置と奥側位置のいずれにおいてもそれぞれ上下同位置に落下させることができる。
【0064】
尚、収納箱Xの箱詰め位置での待ち受け高さは、該収納箱X内に所定個数積層される物品Yの最上部位置においても、ロール2を乗り越えた物品が十分に表裏反転し得るだけの高さが確保されるように設定される。
【0065】
この実施例の物品箱詰め装置には、上記構成のほかに、空箱Xが箱詰め位置まで正常に供給されない場合に、コンベア装置1で順次搬送されてくる物品Yをコンベア終端部1aから下方(箱詰め位置)に落下させずに素通りさせるための構成を備えている。
【0066】
この素通りさせるための構成は、コンベア終端部1aを前進させた位置(符号1a′の位置)におけるロール2の位置よりさらに所定距離だけ前方に離間した位置に物品排出装置6(排出ベルト61の始端部)を設置する一方、箱詰め位置に空箱Xが供給されないときに、前記進退装置3でコンベア終端部1a(ロール2)を排出ベルト61の始端部に近接する位置(図2又は図6の符号1a″,2″で示す位置)まで前進させるようにしている。
【0067】
物品排出装置6は、図2に示すように、コンベア装置1の搬送面の延長線上に、箱詰め位置を隔てて排出ベルト61を設置しているとともに、該排出ベルト61を必要時にモータ62で走行させ得るようにしたものである。
【0068】
進退装置3によりコンベア終端部1aを符号1a″まで最前進させる信号は、コントローラ9から次の条件によって発せられる。即ち、コントローラ9は、前記空箱押込み装置73が押込み動作を行った信号を受け、且つ前記箱検出器74がOFF(箱非検知)からON(箱検知)にならないときに、進退装置3のサーボモータ31に対してコンベア先端部1a(ロール2)を最前進(図2、図6の符号1a″,2″の位置)させるまで作動させる信号を発するとともに、物品排出装置6のモータ62を作動させる(排出ベルト61が排出側に走行する)。このように作動させると、コンベア装置1によって搬送されてくる各物品Yは、コンベア先端部1aからロール2を乗り越えて排出ベルト61の始端部上に移乗され、箱詰め位置(敷板43上)には物品Yが落下することがなくなる。尚、排出ベルト61側に移乗した物品Yは、該排出ベルト61の終端部から回収し、トラブル解消後に再度物品供給コンベア5上に載せればよい。
【0069】
この実施例の物品箱詰め装置は、コントローラ9の制御により、図4のタイムチャートに示すように作動する。尚、この実施例では、図7に示すように、収納箱Xに対して物品Yを、前後2列×左右3列×上下4段の合計24個収納するようになっている。又、収納順は、図4の「箱に対する落下位置」部分に示すように、コンベア搬送方向の上手側から見て、「左前」(符号A)→「左奥」(符号B)→「中前」(符号C)→「中奥」(符号D)→「右前」(符号E)→「右奥」(符号E)の順で1段目を収納し、この順序で順次第2段目〜第4段目までを収納するようになっている。
【0070】
まず、運転開始前の準備として、コンベア終端部1aを後退側(手前位置)に位置させておき、空箱押込み装置7を作動させて空箱待機部72にある空箱Xを箱移動装置4の入口部に押込み、続いて箱移動装置4を作動させて該空箱Xを箱詰め位置の箱初期位置(「右位置」で、物品を箱の左側に収納し得る位置)まで移動させておく。このとき、箱移動装置4(両挟みベルト41,41)は空箱Xを前後から挟持したままである。尚、この準備段階では、物品Yの供給はストップさせておく。
【0071】
この準備段階の後、物品供給コンベア5及びコンベア装置1により順次物品Yを搬送する(図4の物品搬送開始)。尚、物品Yは、毎分70〜80個程度の間隔で供給される。そして、物品Yがコンベア終端部1aまで搬送されると、その物品Yを物品検出器18が検知し、その検出信号がコントローラ9に出力されてカウンターが「1」をカウントする一方、図5に実線図示するように物品Yがコンベア終端部1aからロール(物品減速反転部材)2上に乗り上げた後(移動慣性が減衰する)、符号Y1〜Y4のように表裏反転しながら落下し、最終的に符号Y5で示すように物品が収納箱X内の「左前」(符号A)位置に着座する。このとき、符号Y4で示すほぼ水平姿勢状態から符号Y5で示す収納箱底部に着座するまでは、物品が水平姿勢で直下に落下する。尚、物品Yがコンベア終端部1aの物品検出器18で検出された後、収納箱X内に収納されるまでの時間はごく短時間(例えば0.5秒程度)である。
【0072】
又、物品Yが物品検出器18で検出された後、該物品がロール2を完全に乗り越えた時点(落下開始時点又は落下完了時点)で、コントローラ9からの信号で進退装置3に対してコンベア終端部1aを前進させる信号が発せられて、該コンベア終端部1aを奥位置(図5の符号1a′の位置)に位置せしめる。尚、このとき、箱移動装置4は作動せず、収納箱は右位置のままである。
【0073】
そして、次の物品Yがコンベア終端部1aの物品検出器18で検出されると、カウンターが「2」をカウントする一方、該物品が図5に符号Y′で示すように奥位置にあるコンベア終端部1aのロール2を乗り越えて上記同様に表裏反転しながら落下し、収納箱X内の「左奥」(符号B)に収納される。このときも、物品がほぼ水平姿勢状態まで表裏反転した状態でそのまま直下に落下するので、前後の物品同士が重なることなく同一平面上に並ぶようになる。
【0074】
続いて、物品が奥位置においてロール2を完全に乗り越えた時点でコンベア終端部1aが後退し、物品が収納箱内に着座した直後に箱移動装置4が物品幅Wだけ左側に作動して収納箱Xを「中位置」に位置させ、上記同様に3個目の物品を収納箱の「中前」(符号C)位置に収納する。そして、図4のタイムチャートに示すように、順次各装置が作動して収納箱X内に順次物品Yを前後・左右・上下にそれぞれ整列状態で収納していく。
【0075】
又、3段目の物品の収納が完了した時点(18個収納完了)では、箱位置が「右位置」にあり、このときのカウンターのカウント数「18」に基いてコントローラ9からの信号で空箱押込み装置73が作動せしめられて次の空箱Xを箱移動装置4の入口部に押込み、物品収納中の収納箱と空箱とが同時に該箱移動装置4で左右に移動せしめられる。
【0076】
そして、図6に示すように、最終(4段目で24個目)の物品Yが収納箱内に収納された時点(カウント数「24」)で、コントローラからの信号で箱移動装置4が排出・送入動作を行って、箱詰完了した実箱X′を実箱排出部81に排出するとともに空箱Xを箱詰め位置の「右位置」に送り入れ、同様に次の箱詰め作業が行われる。
【0077】
このように、本願実施例の物品箱詰め装置では、全自動で箱詰め作業を行え、且つコンベア装置1で搬送される各物品Yを無停止状態で順次コンベア終端部1a(ロール2)から送出することで箱詰めできるので高速運転でき(処理能力がアップする)、さらにコンベア終端部1aに物品減速反転部材(ロール)2を設けていることにより、物品Yを各列きれいに整列させた状態で収納できる。又、物品減速反転部材2は、ロールのような簡単な部材が使用でき且つそのロール2を単にコンベア終端部1aに取付けるだけでよいので、さほどコストがかからない。
【0078】
尚、上記した実施例では、収納箱に対して物品を前後2列で左右3列状態で収納するように構成されているが、他の実施例では前後・左右の単一位置のみで収納するもの、又は前後のみ複数列で収納するもの、あるいは左右のみ複数列で収納するもの、等も実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本願実施例の物品箱詰め装置の全体平面図である。
【図2】図1のII−II拡大矢視図である。
【図3】図2の一部斜視図である。
【図4】図1の物品箱詰め装置にタイムチャートである。
【図5】図1の物品箱詰め装置の箱詰め位置での作用説明図である。
【図6】図5からの状態変化図(箱詰完了直前の図)である。
【図7】図1の物品箱詰め装置で箱詰めされた状態(実箱)の斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1はコンベア装置、1aはコンベア終端部、2は物品減速反転部材(ロール)、3はコンベア終端部進退装置、4は箱移動装置、7は空箱供給装置、8は実箱排出装置、9はコントローラ、18は物品検出器、31はサーボモータ、41は挟みベルト、42はサーボモータ、Yは物品、Xは収納箱である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア装置(1)で順次搬送されてくる平面視矩形で薄形の物品(Y)をコンベア終端部(1a)から順次無停止状態で送出して、各物品(Y)をコンベア終端部(1a)の下方で待ち受ける収納箱(X)内に所定個数だけ積層状態で収納し得るようにした物品箱詰め装置であって、前記コンベア終端部(1a)に、該コンベア終端部から送出される物品(Y)を乗り越させて減速させた後、表裏反転させて落下させるための物品減速反転部材(2)を取付けていることを特徴とする物品箱詰め装置。
【請求項2】
コンベア終端部(1a)を物品(Y)の前後長さ(L)ずつ前後に進退させるコンベア終端部進退装置(3)を備えていることを特徴とする上記請求項1に記載の物品箱詰め装置。
【請求項3】
コンベア終端部(1a)の下方で待ち受ける収納箱(X)を物品幅(W)ずつ左右に移動させる箱移動装置(4)を備えていることを特徴とする上記請求項1又は2に記載の物品箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−68895(P2008−68895A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248892(P2006−248892)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000180438)四電エンジニアリング株式会社 (14)
【Fターム(参考)】