説明

特に大規模構造物の部品の表面を円滑化する方法及び装置

【課題】本発明は特に大規模構造物の部品の表面を円滑化する方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、特に例えば船の船体のような大規模構造物の部品(3)の表面(2)を、次なる塗装のために円滑化する方法に関し、次の工程を有する:部品(3)の表面(2)の凹凸の計測;素材除去及び/又は均一化剤による素材塗布による凹凸の均一化;表面(2)の計測前に表面(2)の所定の位置に参照目印を付加し、表面(2)の凹凸の計測の間に参照目印を考慮に入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に例えば船の船体や上部構造物のような大規模構造物の、部品の表面を円滑化する方法に関する。本発明はさらに、この方法を実施するのに好適な装置も含む。
【背景技術】
【0002】
高級品のヨット(例えば帆走ヨット、モーター付きヨット)の製造に際し、船体と全ての上部構造物の塗装には、最高の表面品質が求められる。この要請は、例えば貨物船や軍艦といった他の船の場合よりも実質的に高い。大きいヨットの場合これは特に問題となる。大きいヨットの船体は鋼鉄やアルミニウムの部品の溶接によって作られ、それに続いて船体の表面を加工しコーティングする手段が高価であるためである。この場合通常、金属加工における慣例的な方法である蒸着溶接、圧縮溶接、研削及びサンドブラスティングを用いて、まず基礎部分の素材処理が行われる。次に、下塗り剤(プライマー)が塗布される。次に、きめの粗い表面の凹凸を均一にするために充填材が塗布又は噴射される。続いて、パテ又は充填材が塗布され、これはある程度プライマーの役割をはたすことが意図されるもので、きめの細かい表面の凹凸を均一にする役割を果たす。次なる工程では、光沢のある中間塗料が塗布され、色彩又は効果を与えるベース塗料、又は上塗り剤がこれに続く。最終工程では、一般的には透明な塗料が塗布され、この工程は上塗り剤の場合には単なるオプションである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の表面凹凸均一化の作業工程は従来手作業で行われ、多くの作業量と時間を要していた。さらに、船の船体を手作業で処理することは、欠陥の多くの誘因となる。例えば、すでにある程度硬化した充填材が使用される場合があり、処理に全く不適切であるか、部分的にしか適切でない。さらに、充填材が過剰に厚く塗布される可能性がある。さらに、ここで凹凸の均一化は目視によってなされ、これに起因した凹凸の誘因となりうる。さらに、表面凹凸の手作業による均一化には、充填材を比較的多く消費するという欠点がある。最後に、充填材の手作業による塗布は比較的長い乾燥時間を必要とし、そうでないとき処理中にすでに充填材が硬化する可能性がある。このため、処理十分な時間を取れない可能性がある。
【0004】
独国特許発明第102006036345号明細書には無制限の場所にある配置で置かれた少なくとも一つの物体を処理する方法が開示されており、この物体の形状は、互いに関連を持ち、それぞれが少なくとも一つの通常の幾何学要素を持つ、一又は複数の要素によって記述される。米国特許出願公開第2003/0139836号明細書には、塗装された表面を検査し、塗装された表面の欠陥を特定して追跡し、そのような塗装の欠陥を補修する方法が開示されている。
【0005】
船の船体の表面凹凸を均一化する自動化された方法については、欧州特許第1103310号明細書にさらに開示されている。ここでは、塗装する船の船体は、表面凹凸を検出するために乾ドックで複数のロボットによって計測される。次に、表面凹凸を均一化するために、船体の表面に充填材が塗布される。次の工程では、船の船体はそこに塗られた充填材によって円滑化されて硬化され、これによって次なる塗装工程のための望ましい表面品質が達成される。
【0006】
船の船体の表面凹凸を均一化する自動化されたこの方法の欠点は、第一に充填材の塗布後に、塗布した充填材の多くを研磨・研削によって除去しなければならない点である。
【0007】
この欠点は、この従来方法による船の船体の表面の計測が比較的低精度でのみ行われる点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明は、船の船体の表面凹凸を均一化するための上述の自動化された方法を相応に改良するという課題に基づく。
【0009】
この課題は、主請求項に記載された本発明に係る方法によって達成される。
【0010】
本発明は、船の船体の表面凹凸を特定するためには、船の船体の三次元像を制作するだけでは不十分であるという技術的洞察に基づいている。むしろ、船の船体の表面区画の三次元像を、実際の船の船体の表面区画にできる限り精度よく関連付けることもまた必要である。上述の自動化された計測方法の場合の欠点は、計測とそれに続く表面処理が時間的に連続して行われる点である。表面処理に際して、事前に取得したそれぞれの表面区画の三次元像が、それに相当する船の船体の実際の表面区画にできる限り精度よく関連付けられることが保証されるべきである。しかしながら、最初に計測のために用いられ、続いて船の船体の表面処理のために使用するロボットの位置決定には、非常に高い精度が要求される。
【0011】
よって本発明では、表面凹凸の計測を補助するために、船の船体の表面のある位置に参照目印が取り付けられる。本発明において参照目印は、表面凹凸の計測の際に考慮に入れられ、好適には後の表面処理過程においても考慮に入れられる。この参照目印によって、取得したそれぞれの表面区画の三次元像を、船の船体の実際の表面区画に明確かつ正確に関連付けることが可能となる。計測とそれに続く表面処理のためのロボットの位置決めの際には、参照目印の側である空間的配置を持つ可能性があるため、必要とされる精度は比較的低い。
【0012】
本発明のある好適な実施形態において、処理を行う部品の(例えばヨットの船体の)CADデータが提供され、これは通常、方法によらず従来のCAD設計システム(CAD:omputer ided esign)内にある。これらのCADデータからは、部品の仮想表面等高線が生成され、これはすなわち製造時の又は公差としてある凹凸が存在しない理想化された表面等高線である。さらに、部品の実際の表面等高線が計測され、そのためには例えばロータリーレーザーを使用することが可能である。さらに、本発明の好適な実施形態において、部品の表面の個々の参照目印の空間的位置が計測される。これは仮想(標的)表面等高線と実際の表面等高線との精確な関連付けを達成するためである。次に、実際の表面等高線と仮想表面等高線との比較が行われ、これは実際の表面等高線と仮想表面等高線との差から後に均一化すべき凹凸を特定するためである。
【0013】
この均一化において、様々な表面凹凸を均一化できる。つまり、負のずれ(窪み)の場合もあれば正のずれ(隆起)の場合もある。後者を均一化するためには、新たに表面線を決定する必要がある。これは好適には手作業で行われ、必要であればソフトウェアツールを用いることもできる。この作業を表す技術用語は「ストレーキ」である。
【0014】
部品の表面の計測は例えばロータリーレーザーを用いて行えることはすでに述べた。この型のロータリーレーザーはそれ自体が従来技術として知られており、より詳細な記述は不必要である。しかし一方、部品の表面が、十分な精度を備えた他の方法によって計測される可能性もある。例として、レーダーによる計測が欧州特許第1103310号明細書に簡素に記載されており、超音速計測もまた記載されている。
【0015】
本発明によれば、実際の表面と仮想(目標)表面との差を、広範囲にわたって粗い工程によって埋めることは好ましくない。むしろ、多数の薄い層又は非常に多くの小さな液滴によってなされるべきであり、後者はデジタル塗装として設計することも可能で、このときコーティングはあるサイズの液滴が塗布されるか否かによって制御され、液滴のサイズ自体は一定である。この場合、従来の噴射塗布又は高粘度素材に特化した塗布用具や、相応に改変されたプリントヘッド(例えばインクジェット)も使用可能である。従って本発明の方法において、表面凹凸の均一化工程中の素材塗布に際して、複数の層の均一化剤(例えば充填材)が部品の表面に塗布されてもよい。本発明の方法ではまた、これに代えて、表面凹凸の均一化工程中の素材塗布に際して、多くの均一化剤の液滴が部品の表面に塗布される可能性がある。
【0016】
部品の表面に塗布されるそれぞれの層の厚みは例えば50μm〜100μm、100μm〜1000μm、又は1mm〜5mmの範囲である。本発明は、層の厚みに関して上述の例示された厚み値の範囲に限定されるものではない。むしろ、層の厚みが他の値である場合においても実施可能である。
【0017】
本発明の好適な実施形態において、表面凹凸の均一化のための素材除去や塗布は多軸ロボットを用いて行われ、多軸ロボットは素材除去のための器具及び/又は素材塗布のための塗布装置を誘導する。この型のロボットは、元来原動機付き車両の車体部品を塗装するための塗装装置として知られており、わずかな変更を加えたものがヨットの塗装にも使用できる。このためこの型のロボットの詳細な記述は省略する。
【0018】
好適には、ロボットを部品の表面に沿って、特に変位軸に沿って動かすことが可能で、これは複数の表面区画を逐次的に処理するためである。ロボットを使用したこの方法では、ロボットは参照目印に基づいて配置される。この目的のために、ロボットは、付属の計測端部を用いて個々の参照目印へ移動することができ、これによって位置決定がなされる。これに代えて、光学画像処理や他の方法を用いてロボットが参照目印の場所を決定することもまた可能である。
【0019】
表面凹凸を均一化するために使用される均一化剤に関しては、多くの選択肢があり、その中のいくつかについて次に簡潔に述べる。例えば、均一化剤は一成分の素材、又は二成分の素材であってよい。さらに、均一化剤は空気、熱、放射によって硬化する、及び/又は独立に化学硬化するものであってよい。さらに、均一化剤は、少なくとも部分的に熱可塑性プラスチックを含んでよい。最後に、均一化剤は、少なくとも部分的に、液体の状態で塗布される金属を含んでよい。
【0020】
放射線硬化性の均一化剤を使用する場合には、硬化する均一化剤は例えば紫外線(UV)、高周波、特にマイクロ波、熱輻射、又は赤外線による輻射を行ってもよく、これは部品表面で均一化剤を硬化するためである。
【0021】
好適には、均一化剤は部品の表面に塗布されるのではなくむしろ噴射され、この場合自動化された方法が可能となる。
【0022】
上述のロボットは好適には部品の表面の計測に使用されるだけではなく、むしろ均一化剤を噴射するのにも使用される。
【0023】
また、上述の参照目印についても、多くの選択肢があり、その中のいくつかについて次に簡潔に述べる。例えば、参照目印は浮き彫り加工されるか、噴射されてもよく、これに代えて参照目印の付加のために素材を局所的に方法を限定せず除去することも可能である。さらに、参照目印は単に載置されるのみである可能性もある。
【0024】
ある実施形態において、球状鏡が船にあらかじめ付随する、そして新たに加えられたねじスリーブに螺合される。これらの球状鏡は、処理が行われず、むしろ後に板張り(例えばドロップシーリング)によって被覆される場所に溶接される。この場合ロータリーレーザーは船外(例えば足場)に設置される。又これに代えて、詳細な像を取得するため、ロータリーレーザーが船のデッキに設置される可能性もある。船の計測が完了し、ストレーキが行われ、充填材の塗布についての計算が行われた後に、ロボットを用いた工程が初めて使用される。次に、ロボット又はその支持骨格に取り付けられた計測部が計測を行い、これによってロボットは自分の位置を認識し、どの場所にどの程度の充填材を塗布するべきかを認識する(これに対応して、第二の工程では研磨・研削の程度を認識する)。
【0025】
さらに、後のロボットの位置決めの際に細いワイヤを用いてもよく、このワイヤは塗布を行う前にシート上又は充填材中に(一度目の塗布の後に)取り付けられる。ロボットは後にセンサーによってワイヤを認識し結果的にその位置を決定する。
【0026】
さらに、ロボットの位置決めのために、メカニカルスキャナが端部を走査し、最終回の塗布の終了点又は最終回の処理(例えば研磨による)の終了点を十分な精度で認識する、という方法をとってもよい。次に、空間での面積計算が複数の点を用いて行われる。
【0027】
鋭い端部を備えた充填材噴射装置の場合にはスキャナを用いた計測方法が望ましく、薄層塗布とシャープでない層厚遷移(ガウス曲線)の場合は、一般的にこれは不可能である。
【0028】
このタイプの位置決めは、研削・研磨の場合特に利点があるであろう。
【0029】
さらに、本発明は、上述の表面凹凸の均一化方法に限定されるものでないことを述べておかなくてはならない。むしろ本発明は、好適には、同様にロボットを用いて実施できる部品表面の塗装のさらなる工程も含む。このため本発明において使用されるロボットは複数の機能を持つことが可能であり、複数の機能とはすなわち部品表面の凹凸の計測と、均一化剤の塗布(例えば噴射)と、表面の塗装とである。
【0030】
最初に述べた従来の自動化された方法と比較すれば、本発明の方法は、均一化剤の塗布による凹凸の均一化工程とそれに続く塗装工程との間に何らの付加的工程も要しない。このように、本発明の方法の場合、それらの処理工程の間で、たとえば研削、又は表面の研磨のような後処理が必ず必要というわけではない。
【0031】
しかしながら、本発明においては、均一化剤を塗布し凹凸を均一化する工程と、それに続く塗装の工程との間でさらなる処理工程を行うことも可能である。これは例えば表面の研磨及び/又は研削、表面処理レーザーによる表面の照射であり、より細かな物質の除去を行ってより高度な表面品質を達成するためである。
【0032】
本発明に係る上述の方法において、処理を行う部品には船、とくに帆走ヨット又はモーター付きヨットが想定される。本発明に係る方法は、例えば、風力発電装置の回転翼、航空機の部品(例えば航空機の胴体、航空機の翼)、車両、特に鉄道の客車、動力装置部分のような、他の部品に対しても同様の方法で実施できる。
【0033】
最後に、本発明にはまた、本発明の方法を実施するのに好適な装置も含まれる。
【0034】
本発明の他の有利な発展形は、下位請求項によって特徴づけられ、又は以下に本発明の好適な例示的実施形態の詳細な記述とともに、図を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ヨットの船の船体の表面加工のための、本発明の方法を実施するための本発明に係る装置である。
【図2A】本発明に係る方法をフローチャートで示したものである。
【図2B】本発明に係る方法をフローチャートで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図においては、図1は、船の船体3の表面2を処理する装置1をきわめて簡略化して表示したものである。これは例えば高級品の船であってもよい。この場合、表面2は最も高い品質を満たすことが求められる。
【0037】
従って装置1は、船の船体3の両側にロボット4、5を備える。ロボット4、5は、船の船体3の表面2全体を全長にわたって処理するために、それぞれが船の船体3に沿った搬送レール6及び7に沿って移動可能である。ここで、塗布装置又はロボット全体の表面からの距離を制御するため、Z軸型のものが提供されてもよいことに言及しておく。
【0038】
本発明に係る方法の範囲内においてロボット4、5は複数の機能を持ち、これらについて以下簡潔に説明する。
【0039】
ある側面において、ロボット4、5は船の船体3の表面2の実際の表面等高線を計測することが可能である。これは後の塗装工程の際に表面品質を損なう表面2の凹凸を検出するためである。この目的のために、ロボット4、5は例えばロータリーレーザー、レーダー装置又は超音速距離計測器のような適切な装置を誘導できる。
【0040】
他の側面において、ロボット4、5は船の船体3の表面2に均一化剤を塗布しなければならない。これは前工程で検出された表面凹凸を均一化してできる限り円滑な表面品質を達成するためである。この目的のために、ロボット4、5はそれぞれ船の船体3の表面2に均一化剤を塗布できる塗布装置8、9を備える。
【0041】
最後に、ロボット4、5はまた船の船体3の表面2の塗装作業を備える。
【0042】
以下、本発明に係る方法を図2A及び図2Bに描かれたフローチャートを参照しながら記述する。
【0043】
最初のステップS1において、最初に船の船体3のCAD設計データが提供され、このCAD設計データは通常CAD設計データのシステム内に方法を問わず存在し、別途準備する必要はない。
【0044】
続いて、次なるステップS2では、船の船体3の表面2の仮想(標的)表面等高線がCAD設計データに基づいて決定される。この仮想表面等高線は理想化された表面等高線で、製造時に生じる又は公差としてある表面2の凹凸は考慮されていない。
【0045】
ステップS3では、船の船体3の表面2の所定の位置に参照目印が付加される。これらの参照目印は後に仮想の表面区画と実際の表面区画とを正確に関連付けることを可能にするものでなければならない。
【0046】
次なるステップS4では、まず計測する最初の表面区画が初期化され、カウンターにはi=1が設定される。
【0047】
その後、次なるステップS5では、ロボット4、5はそれぞれ船の船体3の表面2のi番目の表面区画の位置に据えられる。このロボット4、5の次なる表面の計測のための位置決めは、しかしながら通常、ロボット4、5に搭載されたロータリーレーザーを使用して表面計測を行うときのみ必要である。一方、固定ロータリーレーザーの場合にはこの工程は必要でない。
【0048】
この位置決めの後、ステップS6において、船の船体3のi番目の表面区画が計測される。これは例えばロータリーレーザーを用いて行われる。ここでは、この表面区画の実際の表面等高線が、製造時に生じる、又は公差としてある表面凹凸も考慮に入れて決定される。
【0049】
次なるステップS7では、船の船体3の表面2のi番目の表面区画に付加された参照目印の空間上の位置が計測され、表面等高線の計測と参照目印の位置の計測とは、好適には同時に行われる。
【0050】
次なるステップS8では、仮想(標的)表面等高線と実際の(計測された)表面等高線とが比較され、仮想表面等高線と実際の表面等高線との差から、表面の凹凸/偏差が決定される。
【0051】
次に、新たな表面線の生成が行われ、これは特殊な用法における「ストレーキ」を意図したものでもある。
【0052】
ステップS9では、船の船体3の新たな表面2がモデリングされ、この目的のためロボット4、5はそれぞれ均一化剤を船の船体3の表面2に塗布する。
【0053】
船の船体3の表面2への均一化剤の塗布の後、ステップS10では均一化剤がまず乾燥され、硬化される。
【0054】
オプショナルなステップS11では、表面品質をさらに高めるためにレーザーを用いてi番目の表面区画の後処理を行ってもよい。レーザーによる表面の後処理に変えて、研磨及び/又は研削による表面の後処理を行ってもよい。
【0055】
ステップS12では、船の船体3の表面2の全ての表面区画が円滑化されたか否かの確認が行われる。
【0056】
これが当てはまる場合には、船の船体3の表面2をロボット4、5によって塗装するステップ13に移行してもよく、これは従来の方法によってなされてよい。
【0057】
これに対して、ステップS12の確認において未だに全ての表面区画が円滑化されていないという結果が与えられた場合には、ステップS14においてカウンターiに1が加算され、その後にループでステップS5に移行する。これは船の船体2の全ての表面区画が円滑化されるまでループによって続けられる。
【0058】
本発明は、上述の好適な例示的実施形態によって限定されるものではない。むしろ、同様に本発明の概念を利用し、それゆえに保護の範囲に含まれる多数の変形及び修正が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 装置
2 表面
3 船の船体
4 ロボット
5 ロボット
6 搬送レール
7 搬送レール
8 塗布装置
9 塗布装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に船の船体又は他の大規模構造物の、部品(3)の表面(2)を、それに続く塗装工程のために円滑化する方法において、
a)前記部品(3)の前記表面(2)の凹凸の計測を行う工程と、
b)素材除去、及び/又は均一化剤による素材塗布によって前記凹凸の均一化を行う工程と、を備え、
前記部品(3)の前記計測が次に挙げる工程:
c)前記表面(2)の前記計測に先立って、計測対象の前記部品(3)の所定の位置に参照目印を付加する工程と、
d)前記表面(2)の前記凹凸の前記計測の実施中に、前記参照目印を考慮に入れる工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記表面(2)の前記凹凸の前記計測のための次に挙げる付加的工程:
a)前記参照目印の空間的位置を提供、特に、前記参照目印の前記空間的位置を含む前記部品(3)のCADデータを提供する工程、
b)前記部品(3)の仮想表面等高線を、前記CADデータに基づいて決定する工程、
c)前記部品(3)の実際の表面等高線を計測する工程、
d)前記参照目印の前記空間的位置を計測する工程、
e)前記参照目印の前記空間的位置に基づいて前記実際の表面等高線を前記仮想表面等高線に関連付ける工程、
f)前記実際の表面等高線と前記仮想表面等高線との比較を行う工程、
g)前記比較から偏差を決定する工程、及び/又は、
h)新たな標的表面等高線を生成する工程、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部品(3)の前記表面(2)の前記計測がロータリーレーザーを用いて行われること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
a)前記素材塗布の際に、前記部品(3)の前記表面(2)に複数の層の均一化剤が塗布されること、又は
b)前記素材塗布の際に、前記部品(3)の前記表面(2)に均一化剤の多数の液滴が塗布されること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記層のそれぞれが次に挙げる範囲の厚みを有していること、
a)50μm〜100μm、又は、
b)100μm〜1000μm、又は、
c)1mm〜5mm、
を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
a)前記素材除去及び/又は前記素材塗布が、多軸ロボット(4、5)を用いて行われ、前記多軸ロボット(4、5)は前記素材除去に際しては器具を、及び/又は前記素材塗布に際しては塗布装置を誘導すること、及び/又は、
b)前記多軸ロボット(4、5)は、特に変位軸上を、複数の表面区画を順次処理するために前記表面(2)に沿って動かされること、及び/又は、
c)移動中に前記多軸ロボット(4、5)は前記参照目印に基づいて配置されること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
a)前記多軸ロボット(4、5)によって誘導される前記多軸ロボット(4、5)の計測端部が前記参照目印をスキャンし、それによって前記参照目印の前記空間的位置が決定されること、又は、
b)前記参照目印の前記空間的位置が画像処理システムを用いて決定されること、
を特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
a)前記均一化剤が異なる素材を含むこと、及び/又は、
b)前記均一化剤が少なくともある割合で空気硬化性の素材を含むこと、及び/又は、
c)前記均一化剤が少なくともある割合で熱硬化性の素材を含むこと、及び/又は、
d)前記均一化剤が少なくともある割合で放射線硬化性の素材を含むこと、及び/又は、
e)前記均一化剤が少なくともある割合で独立に化学硬化する素材を含むこと、及び/又は、
f)前記均一化剤が少なくともある割合で熱可塑性プラスチックを含むこと、
g)前記均一化剤が少なくともある割合で液状で塗布される素材を含むこと、
によって特徴づけられること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線硬化性の素材を含む前記均一化剤が硬化のために次に挙げる放射線のいずれかによって放射されること、
a)紫外線放射、
b)高周波放射、特にマイクロ波放射、
c)熱輻射、
d)赤外輻射、特に長波長赤外輻射、
を特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記均一化剤が、特に前記ロボット(4、5)に取り付けられた塗布装置によって前記部品(3)の前記表面(2)に噴射される、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記参照目印が前記部品(3)に次に挙げるいずれかの方法によって付加されること、
a)浮き彫り加工、
b)噴射、
c)素材の除去、
d)接着剤による結合、
e)はんだ、
f)溶接、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記凹凸の前記均一化に続く次の付加工程を備え、
前記付加工程は特に前記ロボット(4、5)を用いた前記部品(3)の前記表面(2)の塗装である、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記凹凸の前記均一化とそれに続く前記塗装との間で前記部品(3)の前記表面(2)の処理が行われないこと、
を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記凹凸の前記均一化とそれに続く前記表面(2)の前記塗装との間の次に挙げる付加的工程を備える、
a)前記表面(2)の研削、及び/又は、
b)素材除去のための素材加工レーザーによる前記表面(2)の輻射、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記部品(3)が次に挙げる部品のうちのいずれかである、
a)船、特に帆走ヨット又はモーター付きヨット、
b)風力発電装置の回転翼、
c)航空機の部品、特に航空機の胴体又は航空機の翼、
d)車両、特に鉄道の客車、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置(1)。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2013−501667(P2013−501667A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524140(P2012−524140)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004856
【国際公開番号】WO2011/018199
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】