説明

現像剤カートリッジ

【課題】像形成ユニットを取り外した際に、交換位置にない現像剤カートリッジが誤って着脱される虞れのない現像剤カートリッジを提供する。
【解決手段】現像剤カートリッジ45は、当該現像剤カートリッジ45の少なくとも一部を、前記現像装置本体5が回動する軌跡の外側に突出するように回動することで、当該現像装置本体5の回転軸と直交する方向に当該現像装置本体5から着脱可能となるように構成され、前記像形成ユニット21を取り出した状態で、前記交換位置にない現像剤カートリッジ45は、当該現像剤カートリッジ45の少なくとも一部が、前記画像形成装置の前記現像装置本体5が回動する軌跡外に設けられた操作阻止部材によって回動阻止されて、当該現像剤カートリッジ45の着脱が阻止されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像剤カートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像剤カートリッジが用いられる電子写真方式を適用したフルカラーの複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置としては、イエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色に対応した複数の画像形成部を並列的に配置し、各画像形成部で形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色のトナー像を、記録用紙上に直接転写したり、中間転写ベルト等を介して記録用紙上に二次転写することにより、フルカラーの画像を形成するように構成した所謂タンデム方式のものがある。
【0003】
また、上記フルカラーの複写機やプリンタ等の画像形成装置としては、単一の感光体ドラムに隣接させて、イエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色に対応した複数の現像器を、現像装置本体の周方向に沿って配置し、当該現像装置本体を回転駆動して各色の現像器を、感光体ドラムと対向する現像位置に移動させ、感光体ドラムを所定回数だけ回転させることにより、当該感光体ドラム上にイエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色のトナー像を形成し、これら感光体ドラム上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色のトナー像を、記録用紙上に直接転写したり、中間転写ベルト等を介して記録用紙上に二次転写することにより、フルカラーの画像を形成するように構成した所謂4サイクル方式のものがある。
【0004】
上記タンデム方式と4サイクル方式の画像形成装置のうち、4サイクル方式の画像形成装置は、感光体ドラムが1つで済み、小型化が可能であるという特徴を有している。
【0005】
ところで、かかる4サイクルの画像形成装置に関する技術としては、例えば、特開2001−83765号公報や特開2001−83766号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0006】
上記特開2001−83765号公報に係るカラー画像記録装置は、トナー収容部と現像ローラとを有する複数の現像ユニットを、前記現像ローラが常に外周側に位置する状態で略円環状に集合配置し、且つ、前記現像ユニットを回転移動させ順次像形成位置に配置させる回転体と、感光体と、この感光体を帯電する帯電ローラと、前記感光体上の残留トナーを清掃・回収するクリーナ部と、を一体的に有してなる感光体収容ユニットと、を具備し、前記現像ローラにより前記感光体上に現像された画像を、中間転写体を介して記録紙に転写するカラー画像記録装置であって、前記現像ユニットは、装置上方の交換位置において、前記現像ローラ近傍の開口部を上方に向けた状態で、装置上面の蓋部から装置内に挿入され、前記回転体の軸と垂直方向から前記回転体に装着される一方、前記感光体収容ユニットは、装置前方の開閉部から装置内に挿入され、前記現像ローラと垂直方向から前記像形成位置に案内されるよう構成され、各色の像形成工程毎に前記回転体を90°回転させるとともに、いずれかの前記現像ユニットのトナーがなくなった場合その現像ユニットを前記交換位置に位置させるよう前記回転体を回転させる、2種類の回転制御を行うように構成したものである。
【0007】
また、上記特開2001−83766号公報に係るカラー画像記録装置は、トナー収容部と現像ローラとを有する複数の現像ユニットを、前記現像ローラが常に外周側に位置する状態で略円環状に集合配置し、且つ、前記現像ユニットを回転移動させ順次像形成位置に配置させる回転体と、感光体と、この感光体を帯電する帯電ローラと、前記感光体上の残留トナーを清掃・回収するクリーナ部と、を一体的に有してなる感光体収容ユニットと、を具備し、前記現像ローラにより前記感光体上に現像された画像を、中間転写体を介して記録紙に転写するカラー画像記録装置であって、前記現像ユニットは、装置上面の蓋部から装置内に挿入され、前記回転体の軸と垂直方向から前記回転体に装着される一方、前記感光体収容ユニットは、装置前方の開閉部から装置内に挿入され、前記現像ローラと垂直方向から前記像形成位置に案内されるよう構成され、且つ、前記クリーナ部に、前記中間転写体上の残留トナーをも同時に収容可能に構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−83765号公報
【特許文献2】特開2001−83766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2001−83765号公報や特開2001−83766号公報に係るカラー画像記録装置の場合には、図27に示すように、いずれかの現像ユニット100のトナーが無くなった場合に、4つの現像ユニット100が配置された回転体101を回転移動させ、トナーが無くなった現像ユニット100を交換位置に移動させ、装置上面の蓋部102を開けて、現像ユニット100を交換するように構成したものである。
【0010】
ところで、上記交換位置にない現像ユニット100は、図27に示すように、感光体収容ユニット103と対向する位置に位置しているため、感光体収容ユニット103を取り出した状態では、交換位置にない現像ユニット100が、外部に露出してしまい、誤って取り出される虞れを有するという問題点を有している。
【0011】
上記特開2001−83765号公報等に係るカラー画像記録装置の場合には、図27に示すように、交換位置にない現像ユニット100を着脱できないようにする障害物104が存在する。
【0012】
しかしながら、上記カラー画像記録装置を小型化した場合には、複数の現像ユニットを集合配置した回転体の外周にわたって、感光体収容ユニットを配置することが考えられるが、このように構成した場合には、感光体収容ユニットが取り外された際に、交換位置にない現像ユニットの着脱を防止する障害物を配置するスペースが無くなってしまい、交換位置にない現像ユニットの誤った着脱を防止することができないという問題点を有していた。
【0013】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、像形成ユニットを取り外した際に、交換位置にない現像剤カートリッジが誤って着脱される虞れのない現像剤カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、現像装置本体を回動可能に配置し、前記現像装置本体の回動方向に沿って複数の現像器と、当該現像器に現像剤を供給する現像剤カートリッジとを配設した回転式現像装置と、
前記回転式現像装置の現像剤カートリッジの少なくとも一部と対向して配置され、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成された少なくとも像担持体を備えた像形成ユニットと、
前記像形成ユニットが装着された状態で現像剤カートリッジを当該現像剤カートリッジの交換位置で着脱可能とするカバーと、
を備えた画像形成装置に用いられる現像剤カートリッジであって、
前記現像剤カートリッジは、当該現像剤カートリッジの少なくとも一部を、前記現像装置本体が回動する軌跡の外側に突出するように回動することで、当該現像装置本体の回転軸と直交する方向に当該現像装置本体から着脱可能となるように構成され、
前記像形成ユニットを取り出した状態で、前記交換位置にない現像剤カートリッジは、当該現像剤カートリッジの少なくとも一部が、前記画像形成装置の前記現像装置本体が回動する軌跡外に設けられた操作阻止部材によって回動阻止されて、当該現像剤カートリッジの着脱が阻止されることを特徴とする現像剤カートリッジである。
【0015】
また、請求項2に記載された発明は、前記現像剤カートリッジの少なくとも一部は、前記現像器に現像剤を供給する供給口を開閉するように構成された開閉部材に設けられた把手であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤カートリッジである。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、像形成ユニットを取り外した際に、交換位置にない現像剤カートリッジが誤って着脱される虞れのない現像剤カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの要部を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタを示す構成図である。
【図3】図3は像形成ユニットを示す構成図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの交換用カバーを開いて像形成ユニットを取り出した状態を示す構成図である。
【図5】図5は現像剤カートリッジを適用した現像装置を示す外観斜視図である。
【図6】図6は現像装置本体を示す側面図である。
【図7】図7は現像装置を示す断面図である。
【図8】図8は現像装置の現像器及び現像剤カートリッジを示す断面図である。
【図9】図9は現像器を示す概観斜視図である。
【図10】図10は現像剤カートリッジを示す外観斜視図である。
【図11】図11は現像剤カートリッジを示す横断面図である。
【図12】図12は現像剤カートリッジを示す縦断面図である。
【図13】図13は現像剤カートリッジの要部を示す下面図である。
【図14】図14はロック機構を示す構成図である。
【図15】図15は現像剤カートリッジのロック機構の操作を示す構成図である。
【図16】図16はストッパ機構を示す構成図である。
【図17】図17は現像剤カートリッジのガイド機構を示す構成図である。
【図18】図18は現像剤カートリッジのガイド機構を示す構成図である。
【図19】図19はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの要部を示す斜視構成図である。
【図20】図20はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタのサイドカバーを開いて現像剤カートリッジを取り出す状態を示す構成図である。
【図21】図21は現像剤カートリッジを取り出す際の現像装置を示す外観斜視図である。
【図22】図22は現像剤カートリッジのシャッター部材の開閉動作を示す断面図である。
【図23】図23は現像剤カートリッジのシャッター部材の開閉動作を示す断面図である。
【図24】図24は現像剤カートリッジのシャッター部材の開閉動作を示す断面図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの作用を示す説明図である。
【図26】図26はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタの作用を示す構成図である。
【図27】図27は従来の画像形成装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としての4サイクル方式のフルカラープリンタを示すものである。
【0020】
図2において、1はフルカラープリンタの本体を示すものであり、このフルカラープリンタ本体1の内部には、中央よりもやや右上部に、像担持体としての感光体ドラム2が回転可能に配設されている。この感光体ドラム2としては、例えば、表面にOPC等よりなる感光体層が被覆された直径が約47mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しない駆動手段により、矢印方向に沿って約150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。上記感光体ドラム2の表面は、当該感光体ドラム2の略真下に配置された帯電手段としての帯電ロール3によって所定の電位に帯電された後、これ又感光体ドラム2真下の離れた位置に配置された露光手段としてのROS4(Raster Output Scanner)によって、レーザービーム(LB)による画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム2上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器5Y、5M、5C、5Kを周方向に沿って配置した回転式の現像装置5によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0021】
その際、上記感光体ドラム2の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。上記回転式の現像装置5は、対応する色の現像器5Y、5M、5C、5Kが、感光体ドラム2と対向する現像位置に移動する。例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム2の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、当該感光体ドラム2の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。上記トナー像が形成されるにあたって感光体ドラム2が回転する回数は、画像のサイズに応じて異なるが、例えば、A4サイズであれば、感光体ドラム2が3回転することによって、1つの画像が形成される。つまり、感光体ドラム2の表面には、感光体ドラム2が3回転するごとに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。
【0022】
上記感光体ドラム2上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム2の外周に中間転写体としての中間転写ベルト6が巻き付けられた一次転写位置において、当該中間転写ベルト6上に互いに重ね合わされた状態で、一次転写ロール7によって一次転写される。この中間転写ベルト6上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙9上に、二次転写ロール8によって一括して二次転写される。記録用紙9は、フルカラープリンタ本体1の下部に配置された給紙カセット10から、ピックアップロール11によって送り出されるとともに、フィードロール12及びリタードロール13によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール14によって中間転写ベルト6上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト6の二次転写位置へと搬送される。
【0023】
上記中間転写ベルト6は、複数のロールによって張架されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で循環移動するように、例えば、感光体ドラム2の回転に伴って従動される。この中間転写ベルト6は、感光体ドラム2における回動方向の上流側にて中間転写ベルト6のラップ位置を特定するラップインロール15と、感光体ドラム2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト6上に転写する一次転写ロール7と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト6のラップ位置を特定するラップアウトロール16と、二次転写ロール8に中間転写ベルト6を介して当接するバックアップロール17と、中間転写ベルト6のクリーニング装置18に対向する第1のクリーニングバックアップロール19と、第2のクリーニングバックアップロール20とによって、所定の張力で張架されている。
【0024】
また、上記中間転写ベルト6は、上記の如く、複数のロール7、15〜17、19、20によって張架されているが、この実施の形態では、フルカラープリンタ本体1の小型化を図るため、中間転写ベルト6が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0025】
ところで、この実施の形態では、現像装置本体を垂直面内で回動可能に配置し、前記現像装置本体の周方向に沿って複数の現像器と当該現像器に現像剤を供給する現像剤カートリッジを配設した回転式現像装置と、前記回転式現像装置の現像位置における現像剤カートリッジと対向して配置され、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成された少なくとも像担持体を備えた像形成ユニットと、前記現像位置に最も違い現像剤カートリッジとは別の現像剤カートリッジを着脱可能とする交換用カバーとを備えた画像形成装置において、前記現像剤カートリッジは、現像装置本体の回転軸部材と直交する方向に着脱自在に装着されているとともに、当該現像剤カートリッジの少なくとも一部を回動操作することによって、前記現像器に現像剤を供給する供給口を開閉するように構成され、前記画像形成装置本体には、像形成ユニットを取り出した状態で、交換位置にない現像剤カートリッジの少なくとも一部を、供給口を開く方向に回動する操作を阻止する回動操作阻止部材を設けるように構成されている。
【0026】
また、この実施の形態では、前記供給口を開閉する現像剤カートリッジの少なくとも一部は、当該供給口を開閉する開閉部材に設けられた把手であるように構成されている。
【0027】
さらに、この実施の形態では、前記像形成ユニットは、少なくとも一部が、前記回転式現像装置の回転外周面に沿って配設されている。
【0028】
又、この実施の形態では、前記回動操作阻止部材は、回転式現像装置の軸方向の一端部近傍に設けられ、前記画像形成装置本体から現像剤カートリッジの長手方向に沿って延設された突起からなるように構成されている。
【0029】
すなわち、この実施の形態では、図2に示すように、フルカラープリンタの全体が可能な限り小型化されているが、フルカラープリンタ本体1の大きなスペースを回転式の現像装置5が占めている。そのため、上記フルカラープリンタ本体1は、装置の小型化を達成しつつ、中間転写ベルト6や回転式の現像装置5などのメンテナンス性を向上させるように設計されている。具体的に、上記中間転写ベルト6は、感光体ドラム2や帯電ロール3などを含めて、一体的に像形成ユニット21を構成しており、フルカラープリンタ本体1の交換用カバーとしての上部カバー22を開くことによって、像形成ユニット21の全体がフルカラープリンタ本体1に着脱自在となるように構成されている。なお、上記中間転写ベルト6の上部には、当該中間転写ベルト6上に形成されたトナーのパッチを検出する反射型フォトセンサからなる位置センサ23が配設されている。
【0030】
更に説明すると、上記像形成ユニット21には、図3に示すように、感光体ドラム2と、帯電ロール3と、中間転写ベルト6と、当該中間転写ベルト6を張架する複数のロール7、15〜17、19、20と、中間転写ベルト6用のクリーニング装置18と、後述する感光体ドラム2用のクリーニング装置34とが一体的に装着されている。そして、この像形成ユニット21は、図1に示すように、当該像形成ユニット21の上部に設けられた把手21aを手で持って持ち上げることにより、プリンタ本体1から取り出すことが可能となっている。また、プリンタ本体1のフロント側とリア側に互いに平行に配置された内部フレーム1a、1bには、像形成ユニット21を着脱する際に案内する2本のガイド溝1c、1dがそれぞれ設けられている。また、上記像形成ユニット21は、図2に示すように、可能な限り、プリンタ本体1の小型化を図るため、中間転写ベルト6用のクリーニング装置18から感光体ドラム2にわたって、回転式現像装置5の回転外周面に沿って近接した状態で配設されている。
【0031】
さらに、上記プリンタ本体1の上部には、図2に示す如く、上述したように、像形成ユニット21を着脱可能とするため、交換用カバーとしての上部カバー22が設けられている。上記プリンタ本体1は、図4に示すように、上部カバー22を開くと、像形成ユニット21が露出した状態となり、図1に示すように、把手21aを手で持って、像形成ユニット21を2本のガイド溝1c、1dに沿って持ち上げることにより、像形成ユニット21をプリンタ本体1から取り出すことが可能となっている。また、上記像形成ユニット21をプリンタ本体1に装着するには、取り出す際と逆に、像形成ユニット21の把手21aを手で持って、当該像形成ユニット21の一部を、2本のガイド溝1c、1dに嵌合させた状態で、徐々に降ろしていくことによって、図2に示すように、像形成ユニット21をプリンタ本体1の所定の位置に装着することが可能となっている。
【0032】
また、上記中間転写ベルト6のクリーニング装置18は、図2に示すように、第1のクリーニングバックアップロール19によって張架された中間転写ベルト6の表面に当接するように配置されたスクレーパ24と、第2のクリーニングバックアップロール20によって張架された中間転写ベルト6の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ25とを備え、これらのスクレーパ24やクリーニングブラシ25によって除去された残留トナーや紙粉は、クリーニング装置18の内部に回収されるようになっている。なお、上記クリーニング装置18は、揺動軸26を中心にして、図中反時計周り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト6の表面から離間した位置に退避しているとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト6の表面に当接するように構成されている。
【0033】
さらに、上記中間転写ベルト6からトナー像が転写された記録用紙9は、図2に示すように、定着器27へと搬送され、この定着器27によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙9上に定着され、片面プリントの場合には、排出ロール28によってプリンタ本体1の上部に設けられた排出トレイ29上にそのまま排出される。
【0034】
一方、両面プリントの場合には、定着器27によりトナー像が定着された記録用紙9を、排出ロール28によって排出トレイ29上にそのまま排出せずに、排出ロール28によって記録用紙9の後端部を挟持した状態で、当該排出ロール28を逆転させるとともに、記録用紙9の搬送径路を両面用の用紙搬送路30に切り替え、この両面用の用紙搬送路30に配設された搬送ロール31によって、記録用紙9の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト6の二次転写位置へ搬送して、記録用紙9の裏面に画像を形成するようになっている。
【0035】
さらに、上記フルカラープリンタには、図2に示すように、オプションによって、プリンタ本体1の側面に手差しトレイ32が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ32上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙9は、給紙ロール33によって給紙され、搬送ロール31及びレジストロール14を介して、中間転写ベルト6の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙9にも画像を形成することが可能となっている。
【0036】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム2の表面は、当該感光体ドラム2が1回転する毎に、感光体ドラム2の斜め下方に配置されたクリーニング装置34のクリーニングブレード35によって、残留トナーなどが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0037】
図5は、この実施の形態に係る画像形成装置に適用される回転式現像装置5の一具体例を示す外観斜視図である。なお、図5は、便宜上、現像装置本体に1つの現像器5Y及び現像剤カートリッジ45Yを搭載した状態を示している。
【0038】
この回転式現像装置5は、図5及び図6に示すように、垂直面内で回転可能に配置された現像装置本体40を備えている。現像装置本体40は、その中心部に長手方向に沿って配設された円筒状の回転軸部材41と、当該回転軸部材41の長手方向の手前側の端部に配設されたフロント側のフランジ部材42と、前記回転軸部材41の長手方向の奥側の端部に配設されたリア側のフランジ部材43と、回転軸部材41とフロント側及びリア側のフランジ部材42、43によって形成される円筒形状の空間Sを90度毎に4つに仕切る仕切り部材44とを備えている。
【0039】
上記現像装置本体40は、回転軸部材41を中心にして、図2に示すように、反時計回り方向に沿って回転可能にプリンタ本体1に取り付けられている。この現像装置本体40には、図7に示すように、時計回り方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器5Y、5M、5C、5Kが、周方向に沿って実装されているとともに、これらの現像器5Y、5M、5C、5Kに対応してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像剤カートリッジ45Y、45M、45C、45Kが、周方向に沿って実装されている。
【0040】
これらの現像器5Y、5M、5C、5Kは、すべて同様に構成されているので、ここでは、イエロー(Y)の現像器5Yを例にして説明すると、このイエロー(Y)の現像器5Yは、図8に示すように、現像器本体46を備えており、当該現像器本体46には、対応する現像剤カートリッジ45Yから新しい現像剤が供給されるように構成されている。
【0041】
上記現像器本体46の内部には、図8(a)に示すように、現像器本体46の外周に面して設けられた開口部47に一部が露出するように配置され、紙面に垂直な方向に長尺な現像ロール48と、この現像ロール48の斜め下方の背面側に位置し、当該現像ロール48と平行に延びる2本のスパイラルオーガ49、50が配設されている。上記現像ロール48は、図9に示すように、現像器本体46の略全長にわたって配設されている。上記現像器5Yでは、図8に示すように、現像ロール48が回転すると、奥側のスパイラルオーガ49が、現像器本体46内に収容されている現像剤51を紙面と垂直な一方向に攪拌しながら搬送する。一方、スパイラルオーガ50は、スパイラルオーガ49の搬送方向とは逆方向に現像剤51を攪拌しながら搬送して、現像剤51を現像ロール48に均等に供給するものである。上記現像ロール48の表面に供給された現像剤51は、層厚規制部材52によって層厚が規制され、現像ロール48の回転に伴なって、感光体ドラム2と対向する現像領域へと搬送される。なお、この実施の形態では、現像剤51として、トナーとキャリアとからなる二成分の現像剤を使用しているが、現像剤51としては、少なくともトナーを含んでいればよく、トナーのみからなる一成分の現像剤を使用しても勿論良い。
【0042】
上記現像ロール48は、図8に示すように、内部に固定した状態で配設されるマグネットロール48aによって、現像剤51中に含まれるキャリアを磁力で吸着し、当該現像ロール48の表面に現像剤51の磁気ブラシを形成し、キャリアに吸着したトナーを感光体ドラム2と対向する現像領域へと搬送する。そして、感光体ドラム2上に形成された静電潜像は、現像ロール48の表面に形成されたキャリアとトナーとからなる現像剤51の磁気ブラシによって顕像化されるようになっている。
【0043】
また、この実施の形態に係る現像剤カートリッジは、現像装置本体が垂直面内で回動可能に配置され、前記現像装置本体の周方向に沿って配置される複数の現像器にそれぞれ対応して設けられ、前記対応する現像器に少なくともトナーを含む現像剤を供給する現像剤カートリッジにおいて、前記現像剤カートリッジは、新しい現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部の長手方向の一端に延設され、前記現像器から回収された使用済みの現像剤を回収する現像剤回収部とを有し、前記現像剤収容部の断面形状を、前記現像剤カートリッジが装着される現像装置本体の1つの現像器に割り当てられた空間のうち、現像器以外の空間全部を略占める非円形状に形成するとともに、前記現像剤回収部の断面形状を、前記現像剤カートリッジが装着される現像装置本体の1つの現像器に割り当てられた空間のうち、現像器以外の空間に略内接する円形状に形成するように構成されている。
【0044】
又、この実施の形態では、前記現像剤収容部の断面形状は、互いに鋭角をなす2つの側面を備えるように構成されている。
【0045】
更に、この実施の形態では、前記現像剤収容部の断面形状は、略ティアドロップ形状に形成されている。
【0046】
また、この実施の形態では、前記現像剤収容部と連通して現像剤回収部側に開口され、現像剤を外部へ供給するための供給口と、前記供給口を開閉する開閉部材と、前記現像剤カートリッジを現像装置本体に着脱する際に把持するための把手とを備え、前記把手は、開閉部材と一体的に形成されている。
【0047】
さらに、この実施の形態では、前記開閉部材は、前記現像剤収容部の外周に回動自在に嵌挿される円筒形状に形成され、前記把手は、前記開閉部材の外周面の一部に半径方向外方に向けて突設されるように構成されている。
【0048】
又、この実施の形態では、前記把手は、前記現像装置本体が回動可能な状態では、当該現像装置本体の回転外周面内に収まるように構成されている。
【0049】
更に、この実施の形態では、前記把手の把持部には、すべり止め手段が設けられるように構成されている。
【0050】
また、この実施の形態では、前記現像剤カートリッジには、当該現像剤カートリッジが現像装置本体から取り外された状態で、前記開閉部材が供給口を開放する方向に回動するのを防止するロック機構が設けられるように構成されている。
【0051】
さらに、この実施の形態では、前記現像剤カートリッジには、前記開閉部材が供給口を開放したままの状態で、当該現像剤カートリッジが現像装置本体から取り外されるのを防止するストッパ機構が設けられるように構成されている。
【0052】
又、この実施の形態では、前記把手は、前記現像剤カートリッジが現像装置本体から取り外し可能な状態では、前記現像装置本体の回転外周面の外側に突出するように構成されている。
【0053】
すなわち、上記現像剤カートリッジ45は、図5及び図10、図11に示すように、そのほとんどの断面形状が円形状ではない非円形状の長尺な筒状の容器からなる。この現像剤カートリッジ45の内部は、図12に示すように、新しい現像剤52を収容する現像剤収容部53と、使用済みの現像剤54を回収する現像剤回収部55とに、仕切り用のキャップ56によって区画されている。尚、図示の実施の形態では、現像剤収容部53が、現像剤カートリッジ45の全長の約4/5を占め、現像剤回収部55が、約1/5を占めるように設定されているが、これら現像剤収容部53及び現像剤回収部55の長さの割合は、他の比率であっても良いことは勿論である。
【0054】
ところで、上記現像剤カートリッジ45の現像剤収容部53は、図10及び11に示すように、その断面形状が円形状ではない非円形状に形成されている。この現像剤収容部53の断面形状は、図11に示すように、頂部に位置する角部58の角度がやや小さく設定された略三角形状に形成され、各々の角部57、58、59が円弧状に形成された、" おむすび" 形状乃至、略涙の滴形状をした略ティアドロップ形状に形成されている。更に説明すると、上記現像剤収容部53の断面形状は、下端部に位置する第1の角部57が、相対的に大きな半径を有する円弧状に形成されており、当該第1の角部57を中心にして、略平面状に形成された第1及び第2の側面60、61が、約60度程度の角度をなす略V字形状に配置されている。また、上記第1の側面60及び第2の側面61の先端に位置する第2の角部58及び第3の角部59は、第1の角部57よりも小さな半径を有し、且つ第2の角部58と第3の角部59が略同じ半径を有するように、円弧状に形成されている。そして、上記第2の角部58と第3の角部59を結ぶ第3の側面62は、図7に示すように、現像装置5のフロント側のフランジ部材42の半径と略等しい大きな半径を有する円弧状に形成されている。
【0055】
その結果、上記現像剤カートリッジ45の現像剤収容部53は、図11(c)に示すように、当該現像剤収容部53の断面形状が円形状ではなく、現像剤カートリッジ45が装着される現像装置本体46の1つの現像器5Yに割り当てられた空間S1のうち、現像器5Y以外の空間S2の略すべてを占める非円形状に形成されているので、この現像剤収容部53には、現像装置6の全体を小型化し、当該現像装置6の直径を小さく設定した場合であっても、可能な限り多くの現像剤52を収容することが可能となっている。
【0056】
一方、上記現像剤収容部53の一端部に連設された現像剤回収部55は、図11(a)(c)に示すように、その断面形状が、現像剤カートリッジ45が装着される現像装置本体46の1つの現像器6に割り当てられた空間S1のうち、現像器5以外の空間S2に略内接し、かつこれよりも僅かに小径の円形状に形成されている。この現像剤回収部55は、図12に示すように、現像剤収容部53の長手方向の一端部に、断面形状が円形となる円筒形状に一体的に形成されており、当該現像剤回収部55の現像剤収容部53寄りの端部に、仕切り用のキャップ56が配設されている。
【0057】
更に説明すると、上記現像剤収容部53は、図12に示すように、その現像剤回収部55寄りの端部が、若干細く形成されており、円筒形状に形成された現像剤回収部55に連接されている。その結果、上記現像剤収容部53は、その現像剤回収部55寄りの端部53aが、当該現像剤回収部55と同じ円筒形状に形成されている。上記現像剤収容部53の円筒形状部分53aには、図12に示すように、現像剤回収部55側の端部に、外部に新しい現像剤52を供給するための供給口65が、やや傾斜した位置に矩形状に開口されている。また、現像剤収容部53の内部には、当該現像剤収容部53の内部に収容された新しい現像剤52を、攪拌しつつ搬送するスパイラル状のアジテータ66が回転自在に配設されており、このアジテータ66によって現像剤52が搬送されて供給口65から外部に供給されるようになっている。なお、上記現像剤カートリッジ45のリア側の端部には、アジテータ66を回転駆動するためのギヤ67が、その一部が外部に露出するように設けられている。このギヤ67は、図9に示すように、現像剤カートリッジ45を現像装置本体46に装着した状態で、当該現像装置本体46に設けられたギヤ67aと噛み合い、アジテータ66が回転駆動されるように構成されている。
【0058】
上記現像剤カートリッジ45から現像剤52が供給される現像器5Yには、図9に示すように、当該現像剤カートリッジ45の供給口65に対応した部分に当接する現像器側のシャッター板68が、略円弧状に湾曲した状態で設けられている。このシャッター板68は、現像器本体46に対して矢印方向に沿ってスライド自在に装着されている。また、上記シャッター板68には、現像剤カートリッジ45から供給される新しい現像剤52を受ける補給受け口69が開口されているとともに、当該補給受け口69の外周側の端部には、凸片69aが内側に向けて突設されている。上記補給受け口69から現像剤52が補給された現像器5Yは、図8及び図9に示すように、現像装置本体46の背面側の上部に所定の長さにわたって配設され、入り口に現像剤の補給口71aを有する補給用のオーガ71により、現像器本体46の長手方向に沿って所定の距離だけ搬送された後、現像器本体46の背面側の上部に設けられた図示しない補給用の開口部から現像器本体46の内部に補給される。
【0059】
さらに、上記現像器5Yは、図8(b)に示すように、現像器本体46の内部に収容された現像剤51のうち、使用済みの現像剤を回収するため、現像器本体46の背面側の上部には、回収用の開口部95が設けられており、現像器5Yが回転して図4のC位置に移動した際に、フラップ73が開いて使用済みの現像剤54の一部を回収するように構成されている。この現像器5から回収された使用済みの現像剤54は、図9に示すように、シャッター板68に開口された回収用の排出口70及び、図12に示すように、現像剤カートリッジ45に開口された回収口74を介して、図8(b)に示すように、現像剤カートリッジ45の現像剤回収部55内に回収されるように構成されている。なお、上記現像器の回収用の排出口70にも、図9に示すように、凸片70aが内側に向けて突設されている。
【0060】
また、この実施の形態では、図8及び図12に示すように、現像剤カートリッジ45の円筒形状に形成された現像剤収容部53a及び現像剤回収部55の外周に、現像剤収容部53の供給口65及び現像剤回収部55の回収口74を開閉する開閉部材としてのシャッター部材75が、周方向に沿って回動自在に嵌挿されている。このシャッター部材75は、図8及び図10に示すように、現像剤カートリッジ45の現像剤収容部53a及び現像剤回収部55と同様に、円筒形状に形成されているが、当該シャッター部材75の内径は、現像剤回収部55の外径よりも僅かに大きく、図8及び図11(c)に示すように、現像剤カートリッジ45が装着される現像装置本体46の1つの現像器5Yに割り当てられた空間S1のうち、現像器5Y以外の空間S2に略内接する円形状に形成されている。
【0061】
上記シャッター部材75には、図8及び図12、図13に示すように、現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74に対応した位置に、供給用の開口部76と回収用の開口部77とが開口されており、このシャッター部材75は、現像剤カートリッジ45の現像剤回収部55の外周に沿って、回動させることにより、現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74を同時に開閉することが可能となっている。なお、上記シャッター部材75の供給用の開口部76と回収用の開口部77の端縁には、凸片76a及び77aが外側に向けて突設されている。
【0062】
また、上記シャッター部材75には、図10に示すように、その周方向の一部に、当該シャッター部材75を回動操作するとともに、現像剤カートリッジ45を把持して、現像装置本体46に装着するための把手78が、半径方向外方に向けて突設されている。この把手78は、図8(a)に示すように、現像剤カートリッジ45を現像器本体46に装着し、シャッター部材75を開けた状態で、現像剤カートリッジ45の現像剤収容部53の第2の角部58と一致するように、先端の曲率半径が設定されているとともに、当該把手78の側面は、把持を容易にするように複数の凸条からなるすべり止め部79が設けられている。
【0063】
さらに、上記シャッター部材75は、図11(a)に示すように、当該シャッター部材75を時計周り方向に回動操作し、現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74を閉じた状態では、現像装置本体46の外周に把手78が突出するように構成されている。
【0064】
また、上記シャッター部材75には、図13に示すように、現像剤カートリッジ45を現像装置本体46から取り外した状態では、当該シャッター部材75を誤って現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74を開く方向に回動するのを防止するロック機構80が設けられている。このロック機構80は、図14に示すように、現像剤カートリッジ45のフロント側の端面45aに形成された突き当て部81と、当該突き当て部81と係止するように、シャッター部材75の内面に突設された弾性変形可能な係止片82とから構成されている。そして、上記現像剤カートリッジ45は、現像装置本体46から取り外した状態では、シャッター部材75の内面に突設された係止片82が、当該現像剤カートリッジ45のフロント側の端面45aに形成された突き当て部81と係止されて、図15に示すように、シャッター部材75が現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74を開く方向に回動するのを防止するように構成されている。また、上記現像剤カートリッジ45は、現像器本体46の所定の位置に装着されると、当該現像器本体46の所定の位置に突設された突起83によって、図14に破線で示すように、現像剤カートリッジ45の係止片82が弾性変形されて突き当て部81との係止状態が解除され、シャッター部材75を現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74を開く方向に回動することが可能となっている。
【0065】
さらに、この実施の形態では、現像剤カートリッジ45を現像器本体46の所定の位置に装着して、シャッター部材75を開いたままの状態で、当該現像剤カートリッジ45を現像器本体46から取り外すのを防止するストッパ機構85を備えている。このストッパ機構85は、現像剤カートリッジ45を現像器本体46の所定の位置に装着し、シャッター部材75を開く方向に回動すると、現像器本体46の所定の位置に突設された係止板部86が、図16に示すように、シャッター部材75の端面に設けられたフランジ部87の内周に設けられた係止用の凹部88に係止され、そのままの状態では、現像器本体46に突設された係止板部86が、シャッター部材75の係止用の凹部88に当接して、シャッター部材75を閉じる方向に回動しない限り、現像剤カートリッジ45を現像器本体46から取り外すことができないように構成されている。
【0066】
また、上記シャッター部材75のフランジ部87には、図16に示すように、係止用の凹部88の手前側に、滑らかに湾曲した山部89aを介して、傾斜した傾斜面89bが形成されており、シャッター部材75を回動して山部89aを越えると、傾斜面89bの傾斜によって係止板部86が係止用の凹部88へと案内され、常に、確実に現像剤カートリッジ45を現像装置本体46の所定の位置に装着することが可能となっている。
【0067】
また、この実施の形態では、現像剤カートリッジ45を現像器本体46の所定の位置に装着する際に、当該現像剤カートリッジ45を現像器本体46の軸方向に直交する半径方向外方から、現像器本体46の略中心方向に向けてスライドすることにより、図17に示すように、現像剤カートリッジ45の奥側の端面に突設されたスライド部90が、図9に示すように、現像器本体46の対応する位置に設けられた係合用の板バネ91に係合するとともに、現像剤カートリッジ45のフロント側の端面に突設されたシャッター部材75のフランジ部87のガイド用の隙間92を介して、図15乃至図18に示すように、現像器本体46に突設された係止板部86が案内されるように構成されている。
【0068】
ところで、この実施の形態では、上記の構成に加えて、前述したように、画像形成装置本体には、像形成ユニットを取り出した状態で、交換位置にない現像剤カートリッジの少なくとも一部を、供給口を開く方向に回動する操作を阻止する操作阻止部材を設けるように構成されている。
【0069】
また、この実施の形態では、前記供給口を開閉する現像剤カートリッジの少なくとも一部は、当該供給口を開閉する開閉部材に設けられた把手であるように構成されている。
【0070】
すなわち、この実施の形態では、図1及び図19に示すように、プリンタ本体1の内部フレーム1a、1bに、交換位置Bではない位置Aに位置する現像剤カートリッジ45の把手78を、現像剤カートリッジ45を取り外す方向に回動するのを阻止する操作阻止部材としての突起96が、回転式現像装置5の軸方向の一端部(フロント側)近傍に、当該内部フレーム1aから現像剤カートリッジ45の長手方向に沿って延設されている。この突起96は、例えば、内部フレーム1aと一体的に形成されている。
【0071】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置としてのフルカラープリンタでは、次のようにして、画像形成装置を小型化した場合であっても、像形成ユニットを取り外した際に、交換位置にない現像器の現像剤カートリッジが誤って着脱され、現像剤が飛散して、画像形成装置の内部や周囲を汚損する虞れがないようになっている。
【0072】
上記フルカラープリンタでは、図2及び図7に示すように、回転式現像装置5に装着された現像剤カートリッジ45Y、45M、45C、45Kから、対応する現像器5Y、5M、5C、5Kに所定の色の現像剤52が供給され、カラー画像のプリント動作が行われる。
【0073】
ところで、上記現像剤カートリッジ45の現像剤収容部53は、図4及び図8、図11に示すように、当該現像剤収容部53の断面形状が円形状ではなく、現像剤カートリッジ45が装着される現像装置本体46の1つの現像器5Yに割り当てられた空間S1のうち、現像器5Y以外の空間S2の略すべてを占める非円形状に形成されているので、この現像剤収容部53には、現像装置6の全体を小型化し、当該現像装置6の直径を小さく設定した場合であっても、可能な限り多くの現像剤52を収容することが可能となっている。
【0074】
そのため、上記回転式の現像装置5を小型化した場合であっても、現像剤カートリッジ45の現像剤収容部53に、可能な限り多くの現像剤52を収容することができ、例えば、白黒単色の濃度5%の画像であれば、A4サイズの用紙に4000枚程度プリントすることが可能となっている。
【0075】
次に、上記フルカラープリンタでは、図2に示すように、カラー画像のプリント動作を継続していくと、回転式現像装置5に装着された現像剤カートリッジ45内に収容された現像剤52が徐々に消費され、当該現像剤カートリッジ45内の現像剤52が空になると、現像剤カートリッジ45を新たなものと交換する必要が生じる。
【0076】
この場合には、図20に示すように、交換する現像剤カートリッジ45が、交換位置Bに位置するように回転式現像装置5を停止させ、プリンタ本体1の側面に設けられたサイドカバー97を開き、図7のBに示す位置において、図1及び図20に示すように、交換する現像剤カートリッジ45を取り出すようになっている。その際、上記現像剤カートリッジ45は、図21に示すように、シャッター部材75の把手78を手で把持し、当該シャッター部材75が徐々に時計周り方向に回動される。
【0077】
すると、上記現像剤カートリッジ45は、図11(a)に示すように、シャッター部材75の回動に伴って、現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74がシャッター部材75によって閉じられる。その際、上記現像剤カートリッジ45の供給口65に存在する現像剤52は、図22に示すように、シャッター部材75の開口部76の端縁によって擦り切り状態となり、当該シャッター部材75の開口部76端縁に現像剤が介在しない状態で、現像剤カートリッジ45の供給口65が閉じられる。
【0078】
そこで、上記現像剤カートリッジ45は、図23及び図24に示すように、シャッター部材75を更に回動させると、シャッター部材75の開口部76端縁によって、現像器本体46のシャッター板68が回動され、現像器本体46の供給口65が完全に閉じられる。この状態では、図16に示すように、現像剤カートリッジ45のフロント側に設けられたストッパ機構85が解除される。すなわち、現像装置本体46の所定の位置に突設された係止板部86は、シャッター部材75のフランジ部87の係止用凹部88から外れ、フランジ部材87のガイド用の隙間92を通して移動可能となり、現像剤カートリッジ45が現像器本体46から取り外すことができるようになっている。
【0079】
そして、新しい現像剤カートリッジ45を現像装置5の略半径方向の外方から中心部に向けて、現像器本体46の所定位置に装着することによって、現像剤カートリッジ45のロック機構80が解除され、現像剤カートリッジ45のシャッター部材75が反時計周り方向に回動することが可能となっている。
【0080】
すると、上記現像剤カートリッジ45は、図22乃至24に示すように、当該現像剤カートリッジ45の取り外し操作と逆の操作によって、現像剤カートリッジ45が現像器本体46に装着されるとともに、現像剤カートリッジ45の供給口65と回収口74がシャッター部材75によって開けられるようになっている。
【0081】
また、上記フルカラープリンタでは、図4に示すように、ジャムした記録用紙9の除去やメンテナンス等のために、像形成ユニット21をプリンタ本体1から取り外す場合がある。すると、上記フルカラープリンタでは、図4及び図7に示すように、交換位置ではない現像位置に位置する現像器の現像剤カートリッジ45が、外部に露出してしまい、ユーザーが誤って、交換位置(図7中、Bの位置)ではない、現像位置Aの位置にある現像器の現像剤カートリッジ45を交換等のために誤って取り出してしまう虞れを有している。
【0082】
ところで、この実施の形態では、図1及び図19に示すように、交換位置(図7中、Bの位置)ではない、現像位置Aの位置にある現像器の現像剤カートリッジ45を誤って取り出すのを防止するために、プリンタ本体1のフレーム1aに、操作阻止部材としての突起96が設けられている。
【0083】
そのため、ユーザーが誤って交換位置(図7中、Bの位置)ではない、現像位置Aの位置にある現像剤カートリッジ45を取り出そうとしても、当該現像剤カートリッジ45の把手78は、図25及び図26に示すように、突起96によって回動を阻止されて、回動操作することができないようになっている。従って、上記現像剤カートリッジ45は、交換位置に回動させない限り、把手78を現像剤カートリッジ45を取り出す方向に回動させることができず、ストッパ機構85が解除されることがないため、現像剤カートリッジ45を誤って取り出すのを確実に防止することが可能となっている。
【0084】
このように、上記フルカラープリンタの場合には、像形成ユニット21を回転式現像装置5の周囲に配置するなどして、プリンタ本体1を小型化した場合であっても、像形成ユニット21を取り外した際に、交換位置にない現像器の現像剤カートリッジ45が誤って着脱され、現像剤が飛散して、プリンタ本体1の内部や周囲を汚損するのを確実に防止することが可能となっている。
【0085】
また、図7中、交換位置ではない位置Cや位置Dにある現像剤カートリッジ45は、カバーを開けて像形成ユニット21をプリンタ本体1から取り外した場合でも、外部に露出することがないので、ユーザーが誤って取り出す虞れはない。
【0086】
なお、前記実施の形態では、現像剤カートリッジ45の把手78を回動操作することによって、現像剤カートリッジ45の着脱操作を行なうように構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、現像剤カートリッジ45の断面形状を、非円形状に形成し、当該現像剤カートリッジ45の全体を回動操作することによって、現像剤カートリッジ45の着脱操作を行なうように構成しても良い。
【符号の説明】
【0087】
5:回転式現像装置、5Y、5M、5C、5K:現像器、45:現像剤カートリッジ、53:現像剤収容部、55:現像剤回収部、75:シャッター部材、78:把手、96:突起(操作阻止部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置本体を回動可能に配置し、前記現像装置本体の回動方向に沿って複数の現像器と、当該現像器に現像剤を供給する現像剤カートリッジとを配設した回転式現像装置と、
前記回転式現像装置の現像剤カートリッジの少なくとも一部と対向して配置され、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成された少なくとも像担持体を備えた像形成ユニットと、
前記像形成ユニットが装着された状態で現像剤カートリッジを当該現像剤カートリッジの交換位置で着脱可能とするカバーと、
を備えた画像形成装置に用いられる現像剤カートリッジであって、
前記現像剤カートリッジは、当該現像剤カートリッジの少なくとも一部を、前記現像装置本体が回動する軌跡の外側に突出するように回動することで、当該現像装置本体の回転軸と直交する方向に当該現像装置本体から着脱可能となるように構成され、
前記像形成ユニットを取り出した状態で、前記交換位置にない現像剤カートリッジは、当該現像剤カートリッジの少なくとも一部が、前記画像形成装置の前記現像装置本体が回動する軌跡外に設けられた操作阻止部材によって回動阻止されて、当該現像剤カートリッジの着脱が阻止されることを特徴とする現像剤カートリッジ。
【請求項2】
前記現像剤カートリッジの少なくとも一部は、前記現像器に現像剤を供給する供給口を開閉するように構成された開閉部材に設けられた把手であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−282538(P2009−282538A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179889(P2009−179889)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【分割の表示】特願2003−404997(P2003−404997)の分割
【原出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】