説明

現像剤搬送機構及びそれを備えた画像形成装置

【課題】搬送羽に対する現像剤の付着状態を検知し、現像剤の攪拌搬送異常を防止すると共に部材の損傷等を防止することが可能な現像剤搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置16には、第1攪拌搬送部材32、第2攪拌搬送部材35、現像ローラ39、規制ブレード40、トナー濃度検知センサ46が備えられている。第2攪拌層部材35の第2螺旋羽37における第1及び第2羽部37a、37bの表面には、静電容量検知装置55と電気的に接続された電極対50が対向配置されており、該電極間の静電容量を検知することにより、第2螺旋羽37間のトナーの付着状態を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に使用される現像剤の搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に使用される1成分現像装置は、感光体ドラムに対向するように配置され、現像剤を担持する現像ローラと、この現像ローラのスラスト方向に一方の端部から他端部へと現像剤を攪拌搬送する第1攪拌搬送部材と、第1攪拌搬送部材と平行に配置され、第1攪拌搬送部材とは逆方向に現像剤を攪拌搬送する第2攪拌搬送部材とを有している。
【0003】
また、第1攪拌搬送部材と第2攪拌搬送部材との間には仕切板が設けられ、第1貯留室と第2貯留室に区画されている。そして、現像装置の長手方向両端部において、第1貯留室と第2貯留室の間を現像剤が移動することができるよう仕切板のない領域が設けられており、現像剤は第1及び第2攪拌搬送部材、の回転によって第1貯留室と第2貯留室とを循環するように構成されている。
【0004】
このような従来の現像装置においては、機内温度やトナーの帯電状態等により攪拌搬送部材にトナーが付着成長する場合がある。トナーの付着が成長すると、スパイラル(搬送羽)の搬送能力が低下し、トナーが現像ローラまで搬送されず、画像が薄くなる場合がある。或いは、現像搬送経路でトナーが詰まり、現像装置内のトナーが溢れ、現像ローラや感光体ドラム表面に損傷を与えるおそれがある。
【0005】
そこで、トナーの残量を正確に検知する方法が提案されている。例えば特許文献1には、攪拌手段を、現像剤担持体に平行な回転軸と、回転軸の周囲を螺旋状に囲むと共に攪拌手段の回転数にかかわらず現像担持体に対して一定数の再接近部を有する螺旋部を設け、残量検知手段を、攪拌手段の最接近部と像担持体との間の静電容量を検知することにより、攪拌部材が回転しても、現像剤担持体に対する姿勢が変化しないようにし、トナーの残量を正確に検知する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2は、トナー容器の内面に対向して複数の電極と、トナー攪拌手段の回転により周期的に変動する複数の電極間の静電容量の変動幅に基づきトナー攪拌手段の異常を検知する検知手段と、を設けることにより、専用のセンサを設けることなくトナー攪拌手段の回転異常を検知する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平6−161242号公報
【特許文献2】特開2001−242690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2の方法では、現像装置内のトナー残量を検知できるが、搬送羽へのトナーの付着を検知することができず、搬送羽へのトナーの付着成長による上記不具合を防止するための方法は開示されていない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、搬送羽に対する現像剤の付着状態を検知し、現像剤の攪拌搬送異常を防止すると共に部材の損傷等を防止することが可能な現像剤搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、搬送羽を有する攪拌搬送部材を備え、該攪拌搬送部材の長手方向に現像剤を搬送する現像剤搬送機構であって、前記搬送羽間の静電容量を検知する静電容量検知手段が設けられたことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、前記静電容量検知手段は、前記搬送羽のうち前記長手方向に直近する2つの搬送羽の表面に互いに対向配置される一対の電極を有し、該一対の電極間の静電容量を検知することを特徴としている。
【0011】
また本発明は、前記静電容量検知手段の検知結果が所定量以上となる状態が所定時間以上続いたとき、装置本体の表示手段に警告表示を行うことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、現像剤の量を検知する量検知手段が設けられ、該量検知手段の検知結果が所定量以下のとき、前記静電容量検知手段による検知が行われることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、前記現像剤搬送装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、攪拌搬送部材の搬送羽間の静電容量を検知することにより、該搬送羽間に対する現像剤の付着状態を検知することができるため、搬送羽にトナーが過剰に付着したまま攪拌搬送を行うことを防止することができ、攪拌搬送異常の防止や部材の損傷等を防止することができる。
【0015】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、静電容量検知手段が、長手方向に直近する2つの搬送羽の表面に互いに対向配置される一対の電極を有し、該一対の電極間の静電容量を検知することにより、搬送羽間に対する現像剤の付着状態を精度良く検知することができる。
【0016】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の現像装置において、静電容量検知手段の検知結果が所定量以上となる状態が所定時間以上続いたとき、装置本体の表示手段に警告表示を行うことにより、上記現像剤の付着状態をユーザに速やかに知らせることができるため、効果的に攪拌搬送異常の防止や部材の損傷等の防止を図ることができる。
【0017】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の現像剤搬送機構において、現像剤の量を検知する量検知手段を設け、該量検知手段の検知結果が所定量以下のとき、静電容量検知手段による検知を行うことにより、より確実に上記現像剤の付着状態を検知することができる。
【0018】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の現像剤搬送機構を備えた画像形成装置とすることによって、現像剤の攪拌搬送異常の防止や部材の損傷等の防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る現像剤搬送機構を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。図1に示すように、画像形成装置100は、本体下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されている。
【0020】
この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、画像形成部9、定着部10及び排出ローラ対11が配置されている。更に、画像形成装置100内には、上記の各ローラ、画像形成部9、定着部10等の動作を制御する制御部(CPU)30が配置されている。また、画像形成装置100の前面側上面には、操作パネル(表示手段)56が配置されている。
【0021】
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12上に積載された用紙がピックアップローラ5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方側には、フィードローラ6に圧接するようにリタードローラ13が配設されており、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラ6とリタードローラ13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
【0022】
そして、フィードローラ6とリタードローラ13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラ7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラ対8へと搬送され、レジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
【0023】
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラ18及び感光体ドラム14の上方に配置される露光ユニット(LSU)19から構成されており、現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
【0024】
帯電装置15には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラ15aが備えられており、この導電性ゴムローラ15aが感光体ドラム14に当接するよう配置されている。そして、感光体ドラム14が回転すると、導電性ゴムローラ15aが感光体ドラム14の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラ15aに所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム14の表面が一様に帯電させられることとなる。
【0025】
次いで、露光ユニット(LSU)19からのレーザビームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成され、転写ローラ18により感光体ドラム14の表面のトナー像が、感光体ドラム14と転写ローラ18とのニップ部に形成された転写位置に供給された用紙へと転写される。
【0026】
トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラ21、及びこの加熱ローラ21に圧接される加圧ローラ22によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
【0027】
そして、画像形成部9及び定着部10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラ対11によって排紙部3に排出される。一方、転写後に感光体ドラム14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
【0028】
続いて、図2、図3及び図4を参照して本発明に係る現像装置16について詳述する。図2は、本実施形態に係る現像剤搬送機構が適用された現像装置周辺の側面断面図であり、図3は本実施形態の現像装置を上方から見た平面図、図4は現像装置の側面断面図である。なお、図4は図3におけるXX′矢視断面図に相当し、図3においては説明の便宜上、カバー31bを外した状態を示している。
【0029】
図2〜図4に示すように、現像装置16は、磁性1成分現像剤が収容されるケーシング31aと、ケーシング31aに収容された現像剤が外部に漏れないように封止するカバー31bとから構成される筐体31内に、第1攪拌搬送部材32、第2攪拌搬送部材(攪拌搬送部材)35、現像ローラ39、規制ブレード40、トナー濃度検知センサ46が備えられている。また、ここでは、現像剤搬送機構を現像装置16に適用することとした。
【0030】
ケーシング31aの内部は、長手方向に延在する仕切板41によって第1貯留42と第2貯留室43とに区画されており、第1貯留室42には第1攪拌搬送部材32が、第2貯留室43には第2攪拌搬送部材35がそれぞれ配設されている。また、仕切板41は、図3に示すようにケーシング31aの左右両端部には設けられておらず、この部分が第1貯留室42と第2貯留室43の間を現像剤が移動する通路44となっている。
【0031】
第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材35は、それぞれ回転軸33、36と、その外周面に一体形成された第1螺旋羽34、第2螺旋羽(搬送羽)37から構成され、互いに略平行となるようにケーシング31a内に回転可能に軸支されており、通常は第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材35が所定方向に回転することによって第1貯留室42内の現像剤を矢印A方向に搬送し、第2貯留室43内の現像剤を矢印B方向に搬送するよう構成されている。
【0032】
また、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材35の第1螺旋羽34、第2螺旋羽37は、絶縁性を有する樹脂材料から形成されている。また、トナー濃度センサ46のトナー濃度検知結果に応じてケーシング31a内にトナーを補給できるように、カバー31bにはトナーコンテナ20(図1参照)からトナーが供給されるトナー補給口38が設けられている。
【0033】
そして、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材35の回転軸33、36には駆動入力ギヤ45a、45bが連結されており、駆動入力ギヤ45a、45bは図示しないモータに接続されている。このモータにより第1及び第2攪拌搬送部材32、35を所定方向に回転駆動することによって、現像剤が第1貯留室42及び第2貯留室43内を搬送され、また、上述したようにケーシング31aの左右両端部に設けられた通路44を通過して、第1貯留室42と第2貯留室43とを循環するようになっている。
【0034】
現像ローラ39は、第1攪拌搬送部材32及び第2攪拌搬送部材35と略平行となるように第1貯留室42内に回転可能に軸支され、上記モータとは別個の駆動手段(図示せず)が接続されている。この現像ローラ39には、内面に永久磁石から成る磁界発生部材(図示せず)が固定されたマグネットローラが使用されており、感光体ドラム14の回転に応じて現像ローラ39が回転すると、この磁界発生部材の磁力により現像ローラ39の表面に現像剤が付着(担持)されて現像剤層が形成される。
【0035】
そして、所定の現像域において現像ローラ39に付着した現像剤中のトナーが、感光体ドラム14の表面電位と現像ローラ39に印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム14へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム14表面にトナー像が形成される。
【0036】
規制ブレード40は、感光体ドラム14に供給するトナー量、すなわち現像ローラ39への現像剤付着量を規制するものであり、例えばSUS303等の非磁性体のSUS(ステンレス)が用いられる。そして、規制ブレード40は、その先端と現像ローラ35との間に所定の隙間が形成されるように配設されており、この規制ブレード40と現像ローラ39との隙間によって現像ローラ39への現像剤付着量が規制され、現像ローラ39の表面には数百ミクロンの現像剤薄層が形成される。
【0037】
第2貯留室43の仕切板41とは反対側の内壁面43aの底部におけるトナー補給口38よりも矢印B方向下流側には、仕切板41に向くようにトナー濃度検知センサ(量検知手段)46が配置されている。トナー濃度検知センサ46は、ケーシング31aに貯留されるトナー濃度(トナー量)を検知するものであり、例えば圧電センサや磁気センサ等が用いられる。圧電センサは、外部から衝撃や振動が加わると、その大きさに比例した電圧が発生するという圧電素子の性質を利用し、衝撃や振動を電気信号として取り出すものである。
【0038】
トナー濃度検知センサ46の検知面46aは、第2貯留室43に充分にトナーが貯留されているとき、そのトナーによって一定の圧をかけられることで、トナーが充分に貯留されているものと検知する。一方、充分なトナー量が第2貯留室43に貯留されていないとき、検知面46aは、トナーによって一定以上の圧をかけられることはない。
【0039】
このとき、トナー濃度検知センサ46は、トナー量が充分に足りていないと検知するようになっている。このように、トナー濃度検知センサ46によりケーシング31内のトナー量を検知し、上記したようにトナー補給口38を通じてトナーコンテナ20からトナーが供給される。
【0040】
図5は、電極対が配置された第2攪拌搬送部材を示す図であり、図6は、第2攪拌搬送部材の内部構造及び制御経路を示す概略図である。図5及び図6に示すように、第2攪拌搬送部材35の長手方向に互いに直近する第1羽部37a及び第2羽部37bには、第1電極51及び第2電極52から成る電極対(一対の電極)50が設けられている。
【0041】
図5及び図6において、第1羽部37aは左側、第2羽部37bは右側に配置されており、第1羽部37a及び第2羽部37bの互いに対向する表面には、それぞれ第1電極51、第2電極52が配置されている。第1電極51及び第2電極52は、金属材料から形成されており、例えば導電性の高い銅等を用いることができる。
【0042】
第1電極51は、略L字状の板状から成り、L字の短辺が第1検知部51a、長片が第1接続用部51bを形成している。第1接続用部51bは、回転軸36内に長手方向に沿って左側端部36aから第1羽部37aと対向する位置までの間に埋め込まれている。第1検知部51aは、第1接続用部51bの右側端部から第1羽部37aに沿って外側(図の上方)に突出しており、第1螺旋部37aの右側表面に固定されている。また、第1接続用部51bの左側端部は、回転軸36の外側に露出している。
【0043】
第2電極52は、略L字状の板状から成り、L字の短辺が第2検知部52a、長片が第2接続用部52bを形成している。第2接続用部52bは、回転軸36内に長手方向に沿って右側端部36bから第2羽部37bと対向する位置までの間に埋め込まれている。第2検知部52aは、第2接続用部52bの左側端部から第2羽部37bに沿って外側(図の上方)に突出しており、第2羽部37bの左側表面に固定されている。また、第2接続用部52bの右側端部は、回転軸36の外側に露出している。
【0044】
第1接続用部51bの左側端部及び第2接続用部51bの右側端部には、それぞれ外側から金属製の第1端子53及び第2端子54が当接している。第1及び第2端子53、54は、第2攪拌搬送部材35が回転しても第1及び第2接続用部51a、52bと当接し、これらと電気的に接続されている。また、第1及び第2端子53、54は、静電容量検知装置55と電気的に接続されている。これにより、電極対50はコンデンサを構成し、静電容量検知装置55は、該電極間に発生した静電容量を電位差Vとして示すようになっている。
【0045】
トナーの比誘電率は空気の比誘電率よりも大きいため、電極対50間にトナー存在しないときには、略空気の静電容量が示される。そして、電極対50間にトナーが存在すると、トナー量に応じて静電容量検知装置55の検知電圧(静電容量検知結果)Vは大きくなる。これにより、静電容量検知装置55は、電極対50間のトナー量、すなわち第1羽部37aと第2羽部37bの間に付着したトナー量を検知することができる。そして、かかる検知結果に基づき、トナーの付着状態を検知することができる。
【0046】
静電容量検知装置55は、制御部30(図1参照)に電気的に接続されており、制御部30から制御信号の受信や、検知結果の送信をすることができる。また、制御部30からの電気信号を受信し、検知開始及び終了等の制御を受けるようになっている。制御部30は、操作パネル56と電気的に接続されており、操作パネル56へのユーザの入力信号を受信して画像形成等を行う、或いは操作パネル56に対して後述する警告表示をさせることができる。
【0047】
次に、電極対50間の静電容量検知について説明する。図7は、第2貯留室39内のトナーの容量と検知電圧との関係を示す図であり、図7(a)は、第2貯留室39内のトナーが多いときの検知電圧、図7(b)は、第2貯留室39内のトナーが比較的少ないときの検知電圧、図7(c)は、第2貯留室39内のトナーが更に少ないときの検知電圧を示す図である。なお、後述するVmax、Vmin、Va、Taについては図7(a)にのみ示した。
【0048】
なお、ケーシング31a内のトナー量を第2貯留室39に設けたトナー濃度センサ46で検知しているため、ここでは第2貯留室39内のトナー量を、ケーシング31a内のトナー量として示す。第2貯留室39(すなわちケーシング31a)には現像性を確保するため、通常、3〜7分目、多くても8分目程のトナーが供給されている。
【0049】
図7(a)に示すように、第2貯留室39内にトナー61が多いとき(ここでは7分目程度)には、第2攪拌搬送部材35が回転し、電極対50が下方に位置するときには電極間にトナー61が略充満するため、検知電圧Vは大きくなる(Vmax、極大値)。一方、電極対50が上方に位置するときには電極間における回転軸36側の略一部にトナー61が存在するため、検知電圧Vは小さくなる(Vmin、極小値)。これにより、検知電圧Vは、所定の振幅Va(|Vmax−Vmin|)、所定の周期Taを有する波形として表される。
【0050】
また、図7(b)に示すように、第2貯留室39内にトナー61が比較的少ない(ここでは4分目程度)ときには、第2攪拌搬送部材35が回転し、電極対50が下方に位置するときには、電極間のトナー61が図7(a)よりも少ないため、Vmaxは図7(a)よりも小さくなる。一方、電極対50が上方に位置するときには、トナー61の最上面よりも上方に位置するため、第2攪拌搬送部材35に跳ね上げられたトナー61のみが電極間に存在することになり、図7(a)よりもVminは小さくなる。また、波形の振幅Vaも小さくなる。
【0051】
また、図7(c)に示すように、第2貯留室39内にトナー61が更に少ない(ここでは2分目程度)ときには、第2攪拌搬送部材35が回転しても、トナー61はほとんど攪拌搬送されず、風圧等で跳ね上げられる程度である。そのため、電極対50が下方に位置したとき、主として跳ね上げられたトナーを検知するのみであり、図7(b)よりもさらにVmax、Vmin共に小さく、波形の振幅Vaも小さくなる。
【0052】
このように、電極対50間のトナー61の量に応じて検知電圧Vが変化する。図8は、螺旋羽に対するトナーの付着状態を示す図であり、図8(a)はトナー付着初期の状態、図8(b)は、トナーが付着成長した状態を示す図である。また、図9は、螺旋羽にトナーが付着成長したときの検知電圧を示す図である。環境条件等により、第2攪拌部材35の回転軸36及び第1及び第2羽部37a、37bにトナー61が付着すると、付着初期には図8(a)に示すようにトナー61は、回転軸36及び第1、第2羽部37a、37bの表面に沿って付着する。
【0053】
しかし、トナー61の付着が更に進行すると、図8(b)に示すように第1及び第2羽部37a、37b間の隙間を塞いでしまう(トナーの付着成長)。電極対50は第1及び第2羽部間に挟まったトナー61と共に回転するため、静電容量検知装置55による検知電圧Vは、図9に示すように、時間に因らず略一定となる。このとき付着が一時的なものであれば検知電圧Vが一旦、略一定となっても、直ぐにもとの波形を示す。
【0054】
よって、例えば検知結果Vが所定電圧Vs以上(V≧Vs)である状態が所定時間Ts以上続いた場合には、トナーの付着成長が生じていると判断できる。そして、その旨をユーザに知らせることができれば、画像形成に不具合を及ぼす前にトナーの付着を除去する等、速やかに対処することができる。
【0055】
かかる所定電圧Vsは、トナーの種類や攪拌搬送条件、現像条件、トナー量等に応じて予備実験等を行うことにより適宜設定することができ、特に限定されるものではない。しかし、例えば上記図7(a)に示すように第2貯留室39に7分目のトナーを供給した場合には、得られる波形のVminよりも大きく、Vmaxよりも小さい値とすることができる。
【0056】
また、Tsは、例えば1周期Ta以上とすることにより、より確実に静電容量検知を行うことができる。一方、Tsが長くなれば、さらに確実に検知できるが、その分トナー付着状態を把握するのが遅れるため、不具合に十分に対処できないおそれがある。よって、例えばかかる観点を考慮してTsを設定することができる。
【0057】
なお、第2螺旋羽37全体の代表として第1、第2羽部37a、37bについて示したため、第1、第2羽部37a、37b間にトナーが付着していれば、第2螺旋羽37の全体的にトナーの付着成長が生じていると考えられる。また、このように適切に代表例とできる2つの第1及び第2羽部37a、37bは、予備実験等により適宜設定することができる。
【0058】
また、トナーコンテナ20からの一時的な過供給があった場合等には、静電容量検知装置55が誤検知するおそれもある。かかる場合等を考慮して、トナー濃度センサ46により検知されたトナー濃度(量検知結果)Cが所定濃度(所定量)Cs以下(C≦Cs)であることを確認した後、静電容量検知を行うこともできる。
【0059】
図10は、本実施形態の制御手順を示すフローチャートである。まず、画像形成が開始されると、トナー濃度センサ46がケーシング31内のトナー濃度を検知する(ステップS1)。検知結果は制御部30に送信され、検知濃度Cが所定濃度Cs以下(C≦Cs)であるか否かが判断される(ステップS2)。C≦Csと判断されれば、次に電極対50間の静電容量を検知する(ステップS3)。
【0060】
検知結果は制御部30に送信され、検知電圧Vが所定電圧Vs以上(V≧Vs)である状態が所定時間Ts以上続いたか否かが判断される(ステップS4)。V≧Vsの状態がTs以上続いたと判断されれば、第2螺旋羽37にトナーが付着成長していると判断し、制御部30は操作パネル56に警告表示を行って動作を停止する(ステップS5)。一方、ステップ2でC>Csと判断された場合、及びステップS4でV≧Vsの状態がTs以上続いていないと判断された場合には、ステップS1に戻って再びステップS1〜S4を実行する。
【0061】
このように第2螺旋羽37に電極対50を配置し、静電容量検知装置55の検知結果VがVs以上となる状態がTs以上となるよう構成したため、第2螺旋羽37のトナー付着状態を精度良く検知し、第2攪拌搬送部材35の攪拌異常を防止することが可能となる。また、ギヤなどの機械的な部材の破損を未然に防ぐことができる。
【0062】
また、ここでは、電極対50を用いて静電容量を検知したため、精度良く静電容量を検知することができる。しかし、静電容量検知方法は、第2螺旋羽37間の静電容量を検知可能であれば本実施形態に特に限定されるものではない。また、ここではトナー濃度検知結果CがCs以下のとき、静電容量検知を行うこととしたため、より確実にトナーの付着状態を検知することができる。
【0063】
しかし、トナー量検知は本発明の必須構成要素ではなく、トナー量検知とは別途独立して静電容量を検知する構成とすることもできる。また、図7に示すように静電容量検知結果Vはトナー量を反映しているため、例えば静電用量検知結果Vの波形の振幅Va等に基づいてトナー量の検知及びトナー量制御を行うこともできる。
【0064】
また、ここでは上記ステップ4でV≧Vsの状態がTs以上続いていると判断された後、警告表示を行うことにより、トナーの付着成長をユーザに素早く知らせることができ、効果的に攪拌搬送異常の防止や部材の損傷等の防止を図ることができる。しかし、かかる検知後の処置は警告表示に特に限定されるものではない。例えば、検知結果Vに基づき第2螺旋羽37を逆回転させたり、付着トナーにエアを吹き付けたりする等により、トナー付着を物理的に除去する操作を行うこともできる。かかる物理的な除去は、例えば第2螺旋羽37に掻き取り部材を接触させること等により行うことができる。
【0065】
なお、ここでは第2攪拌搬送部材35に電極対50及び静電容量測定装置55等を適用したが、これらは第1攪拌搬送部材32にも適用可能である。また、第1及び第2攪拌搬送部材32、35の両方に電極対50を配置し、これらを並列に電気的接続することもできる。また、第1及び第2電極51、52の第1及び第2接続用部51b、52bと、第1及び第2端子53、54と、の接続方法は、上記実施形態に特に限定されるものではない。
【0066】
例えば、第1及び第2接続用部51b、52bの両外側端部を回転軸36の第1及び第2端部36a、36bにおいて外周面から外側に延出し、且つ周方向に沿って外周面を一周するように露出させ、第1及び第2端子を金属製ブラシから構成することもできる。これにより、回転軸36が回転しても第1及び第2接続部51b、52bと、第1及び第2接続端子と、の電気的接続を維持することができる。
【0067】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、現像剤が第1及び第2貯留室42、43を循環する構成であれば、図3に示した構成に限定されるものではなく、その他、第1攪拌搬送部材32と現像ローラ39との間に攪拌パドルを備えた現像装置であっても良い。
【0068】
また、上記実施形態では、現像装置に適用したが、その他、クリーニング装置、トナー回収部、トナーコンテナ、トナーコンテナと現像装置との間に配置されるトナー供給手段等にも本発明のトナー搬送機構を適用することができる。
【0069】
さらに、本発明の現像装置が搭載される画像形成装置としては、図1に示したようなモノクロプリンタに限らず、モノクロ及びカラー複写機、カラープリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、搬送羽を有する攪拌搬送部材を備え、該攪拌搬送部材の長手方向に現像剤を搬送する現像剤搬送機構であって、前記搬送羽間の静電容量を検知する静電容量検知手段が設けられたものである。
【0071】
これにより、搬送羽間に対する現像剤の付着状態を検知することができるため、搬送羽にトナーが過剰に付着したまま攪拌搬送を行うことを防止することができ、攪拌搬送異常の防止や部材の損傷等を防止することができる。
【0072】
また、静電容量検知手段が、長手方向に直近する2つの搬送羽の表面に互いに対向配置される一対の電極を有し、該一対の電極間の静電容量を検知することにより、搬送羽間に対する現像剤の付着状態を精度良く検知することができる。また、静電容量検知手段の検知結果が所定量以上となる状態が所定時間以上続いたとき、装置本体の表示手段に警告表示を行うことにより、上記現像剤の付着状態をユーザに速やかに知らせることができるため、効果的に攪拌搬送異常や部材の損傷等の防止を図ることができる。
【0073】
また、現像剤の量を検知する量検知手段を設け、該量検知手段の検知結果が所定量以下のとき、静電容量検知手段による検知を行うことにより、より確実に上記現像剤の付着状態を検知することができる。また、上記現像剤搬送機構を備えた画像形成装置とすることによって、現像剤の攪拌搬送異常や部材の損傷等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】は、本発明の一実施形態に係る現像剤搬送機構を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】は、本実施形態に係る現像剤搬送機構が適用された現像装置の側面断面図である。
【図3】は、本実施形態の現像装置を上方から見た平面図である。
【図4】は、本実施形態の現像装置の側面断面図である。
【図5】は、電極対が配置された第2攪拌搬送部材を示す図である。
【図6】は、第2攪拌搬送部材の内部構造及び制御経路を示す概略図である。
【図7】は、第2貯留室内のトナーの容量と検知電圧との関係を示す図であり、図7(a)は、第2貯留室内のトナーが多いときの検知電圧、図7(b)は、第2貯留室内のトナーが比較的少ないときの検知電圧、図7(c)は、第2貯留室内のトナーが更に少ないときの検知電圧を示す図である。
【図8】は、螺旋羽に対するトナーの付着状態を示す図であり、図8(a)はトナー付着初期の状態、図8(b)は、トナーが付着成長した状態を示す図である。
【図9】は、螺旋羽にトナーが付着成長したときの検知電圧を示す図である。
【図10】は、本実施形態の制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
16 現像装置
30 制御部
31 筐体
31a ケーシング
31b カバー
32 第1攪拌搬送部材
33 第1回転軸
34 第1螺旋羽
35 第2攪拌搬送部材(攪拌搬送部材)
36 第2回転軸
37 第2螺旋羽(搬送羽)
37a 第1羽部
37b 第2羽部
39 現像ローラ
42 第1貯留室
43 第2貯留室
46 トナー濃度検知センサ(量検知手段)
50 電極対(一対の電極)
51 第1電極
51a 第1検知部
51b 第1接続用部
52 第2電極
52a 第2検知部
52b 第2接続用部
53 第1端子
54 第2端子
55 静電容量検知装置(静電容量検知手段)
56 操作パネル(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送羽を有する攪拌搬送部材を備え、該攪拌搬送部材の長手方向に現像剤を搬送する現像剤搬送機構であって、
前記搬送羽間の静電容量を検知する静電容量検知手段が設けられたことを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項2】
前記静電容量検知手段は、前記搬送羽のうち前記長手方向に直近する2つの搬送羽の表面に互いに対向配置される一対の電極を有し、該一対の電極間の静電容量を検知することを特徴とする請求項1に記載の現像剤搬送機構。
【請求項3】
前記静電容量検知手段の検知結果が所定量以上となる状態が所定時間以上続いたとき、装置本体の表示手段に警告表示を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤搬送機構。
【請求項4】
現像剤の量を検知する量検知手段が設けられ、
該量検知手段の検知結果が所定量以下のとき、前記静電容量検知手段による検知が行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像剤搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の現像剤搬送装置を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−8826(P2010−8826A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169798(P2008−169798)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】