説明

現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置およびトナー

【課題】画像形成装置本体内の気流に応じて適切なフィルタを用い、圧抜きの機能を維持しつつもフィルタを通じてのトナー飛散を防止できる構成の現像装置を提供する。
【解決手段】本発明では、ファンを備えた画像形成装置に搭載され、像担持体上に形成された潜像を現像して可視像化する現像装置5において、現像剤を担持するとともに像担持体1に対向する現像剤担持体51と、現像剤担持体の一部を覆うとともに現像剤を収容するケース50と、ケースに設けられた内圧を低減させるための圧抜き用の開口部50aと、開口部に設けられたフィルタ62を有し、該フィルタは帯電フィルタであり、該フィルタは、像担持体1から転写された未定着画像を担持する転写像担持体8の転写面に対向した位置に設けられている。この構成により装置本体内の気流によって発生する圧力勾配の影響を抑制し、フィルタ内を通じてのトナー飛散を確実に防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された潜像を現像して可視像化する現像装置、その現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、または、それらの複合機やデジタルダイレクト製版機等の画像形成装置、その画像形成装置に装備されるプロセスカートリッジ、そのプロセスカートリッジを着脱自在に備えた画像形成装置、および前記画像形成装置に用いられるトナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機等の画像形成装置に設置される現像装置において、装置内に収容するトナーが装置外に飛散する不具合を防止するための、種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
詳しくは、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いる現像装置では、装置内においてトナーとキャリアとを混合・撹拌して、適正なトナー濃度に調整制御した現像剤を現像剤担持体(例えば現像ローラ)上に搬送している。現像ローラ上に担持された現像剤は、現像ローラの上方に設置された現像剤規制部材(例えばドクターブレード)によってその量が規制された後に、像担持体(例えば感光体ドラム)との対向位置(現像領域と言う)まで搬送される。そして、その位置で、現像ローラ上に担持された現像剤中のトナーが、感光体ドラム上に形成された静電潜像に付着して可視像化し、所望のトナー像が形成される。
【0003】
さらに詳しくは、現像装置内のトナーの大部分は、キャリアとの摩擦帯電によって発生する静電気力によりキャリアに吸着する。そして、キャリアに吸着したトナーは、現像領域において、現像ローラと感光体ドラムとの間に形成された電界の影響を受けて、感光体ドラム上の画像部に形成された静電潜像に付着する。すなわち、現像領域の電界から受ける力がキャリアとの静電気力を上回って、トナーはキャリアから離れて感光体ドラム側に飛翔する。
【0004】
ここで、粉体であるトナーはその物理的特性が均一ではなく、トナーの中には充分な帯電能力を有しないトナーがある。また、装置内の一部に偏って滞留するトナー等のように、キャリアとの摩擦帯電が不充分になって帯電不足となるトナーもある。さらに、現像装置内の現像剤中のキャリアは長期間の使用にともない帯電能力が低下するために、そのような場合にトナーの帯電不足を生じさせる。
そして、このような帯電不足のトナーは、電気的な力による拘束を受けにくいために、装置内に生じる気流に乗って装置内を浮遊する。このような浮遊したトナーはさらに気流にのって現像装置外に飛散して、画像形成装置内を汚染することになる。
そこで、このような現像装置からのトナー飛散を防止するために、一般的に、現像装置を構成する部品と部品との隙間にはシール部材が貼着されている。
【0005】
一方、特許文献1等に記載の技術では、現像装置内の内圧の上昇を抑えてトナー飛散を防止することを目的として、ハウジングに開口部を設ける技術が開示されている。なお、開口部には、装置外にトナーが漏出するのを防止するフィルタが設置されている。詳しくは、以下の通りである。
【0006】
現像装置には、感光体ドラムに対して現像ローラを対向して設置するための開口が設けられている。この開口に設置された現像ローラや装置内に配設された撹拌部材が回転することにより、現像装置内には気流が発生する。この気流によって、装置内における内圧が変化する。装置内の内圧が上昇すると、内外の圧力差によって、装置を構成する部品間の隙間から装置内に浮遊するトナーが噴出することになる。
【0007】
特に、近年の高速化された画像形成装置においては、現像ローラの回転数が高くて装置内の圧力上昇も大きくなるので、上述の問題は無視できないものになっている。このような場合には、現像装置を構成する部品間にシール部材を設置していても、充分にトナー飛散を抑止できない場合が多い。すなわち、トナーはその粒径が微細であるために、シール性が不充分な僅かな隙間から噴出してしまう。特に、近年の現像装置では、高画質化を目的として、より微細な小径トナーが多く用いられているため、上述の問題はさらに無視できないものになっている。
【0008】
これに対して、上述の特許文献1等に記載の技術によれば、現像装置に開口部(現像ローラが設置される開口とは異なる)を設けているので、装置内の圧力上昇を抑止する効果が期待できる。
【0009】
【特許文献1】特開2000−122418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような現像装置を備えた画像形成装置には、通常本体内の温度上昇を防止するためのファンが取り付けられている。主に冷却の対象となるのは、熱に弱い電装部品や高温の熱源となる定着装置の周囲などであるが、近年のプリントスピードの高速化に伴い、現像装置の動作中の温度上昇も無視できないものとなっている。そのため、現像の冷却のために風通しを良くしてファンから発生する気流を現像部周辺に導いたり、ファンの数や出力を増やして気流の流量を増大させることにより冷却効率を高めるなどの対策がとられている。
【0011】
このようにして画像形成装置内で現像装置周辺に強い気流を流そうとすると、本体装置内の複雑な構成と、その気流との組合せによって現像装置周辺には推測しがたい圧力勾配が発生することがある。特に特許文献1に記載のように開口部を設けて現像装置内の圧抜きを図っている構成では、その圧抜き部の気流の強さは開口部前後の圧力勾配により決定されるものであるため、開口部外側付近に強い本体気流が流れていると、その気流に引っ張られるようにして圧力勾配が発生し、開口部前後の圧力勾配と、それに伴う気流が当初の狙いよりも強くなることによって、気流に乗って流れるトナーが、フィルタ内で堰き止め切れず、通過して外部へ飛散してしまうことがある。
【0012】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置本体内の気流に応じて適切なフィルタを用い、圧抜きの機能を維持しつつもフィルタを通じてのトナー飛散を防止できる構成の現像装置と、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することを目的とする。また、本発明は、前記現像装置を備えた画像形成装置に使用される最適なトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明では以下のような手段を採っている。
本発明の第1の手段は、ファンを備えた画像形成装置に搭載され、像担持体上に形成された潜像を現像して可視像化する現像装置において、前記現像剤を担持するとともに前記像担持体に対向する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の一部を覆うとともに前記現像剤を収容するケースと、該ケースに設けられた内圧を低減させるための圧抜き用の開口部と、該開口部に設けられたフィルタを有し、前記フィルタは帯電フィルタであり、該フィルタは、前記像担持体から転写された未定着画像を担持する転写像担持体の転写面に対向した位置に設けられたことを特徴とする(請求項1)。
【0014】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記フィルタの目付量は、密度に換算して0.03g/cm以上、0.2g/cm以下であることを特徴とする(請求項2)。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段の現像装置において、前記フィルタと前記転写面との距離は5mm以上であることを特徴とする(請求項3)。
【0015】
本発明の第4の手段は、像担持体と、該像担持体に形成された静電潜像を現像して可視像化する現像装置と、前記像担持体上に形成された可視像を転写像担持体に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、前記現像装置として、第1〜3のいずれか一つの手段の現像装置を備えたことを特徴とする(請求項4)。
【0016】
本発明の第5の手段は、第4の手段の画像形成装置において、前記像担持体と前記現像装置を前記転写像担持体に対向して該転写像担持体の進行方向に複数配列し、その複数配列された現像装置のうち前記転写像担持体の進行方向の両端に位置する現像装置のいずれか一方または両方に前記フィルタを搭載したことを特徴とする(請求項5)。
また、本発明の第6の手段は、第5の手段の画像形成装置において、前記複数配列された現像装置のうち、画像形成装置本体に設けたファンに最も近い側の現像装置に前記フィルタを搭載したことを特徴とする(請求項6)。
さらに本発明の第7の手段は、第4〜6のいずれか一つの手段の画像形成装置において、前記転写像担持体は、中間転写体、あるいは前記転写手段で搬送される記録媒体であることを特徴とする(請求項7)。
【0017】
本発明の第8の手段は、画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、像担持体と第1〜3のいずれか一つの手段の現像装置を一体に備えことを特徴とする(請求項8)
また、本発明の第9の手段は、第4〜7のいずれか一つの手段の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、前記像担持体と前記現像装置を一体に備えたことを特徴とする(請求項9)。
本発明の第10の手段は、像担持体に形成された静電潜像を現像装置で現像して可視像化し、前記像担持体上に形成された可視像を転写像担持体に転写する画像形成部を備えた画像形成装置において、前記画像形成部に第8または第9の手段のプロセスカートリッジを着脱自在に備えたことを特徴とする(請求項10)。
【0018】
本発明の第11の手段は、第4〜7、10のいずれか一つの手段の画像形成装置において、前記現像装置で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする(請求項11)。
【0019】
本発明の第12の手段は、第4〜7、10のいずれか一つの手段の画像形成装置に使用され、電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られることを特徴とする(請求項12)。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、ファンを備えた画像形成装置内に設置される現像装置において、現像装置内の圧抜き用の開口部に設けられるフィルタとして、粒子捕集効率の高い帯電フィルタを採用している。これにより装置本体内の気流によって発生する圧力勾配の影響を抑制し、フィルタ内を通じてのトナー飛散を確実に防止することが可能となる。
【0021】
さらに本発明では、画像形成装置本体内に設置された複数の現像装置の中で、本体内に備え付けられたファンによる気流の影響が強い最上流(または最下流)の現像装置について、現像装置の圧抜き用のフィルタとして帯電フィルタを用い、下流側(または上流側)の現像装置に比べて粒子捕集効率の高いフィルタを採用している。これにより装置本体内の気流によって発生する圧力勾配の影響を抑制し、フィルタ内を通じてのトナー飛散を確実に防止することが可能となるプロセスカートリッジ及び、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【実施例】
【0023】
[実施例1]
図1〜図9にて本発明の第1の実施例について詳細に説明する。まず、図1及び図2により、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図であり、図2はその画像形成装置の作像部の構成例を示す拡大断面図である。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置は、画像形成部を収納した装置本体100と、その上部に設けられた排紙部(スタック部)30と、その上方に設けられた画像読取部(スキャナ部)と、装置本体100の下部に設置された給紙部26を備えている。
装置本体100内では、中間転写ユニット10の無端ベルト状の中間転写体(以下、中間転写ベルトと言う)8に対向するように、該中間転写ベルト8の進行方向に沿って各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。なお、装置本体100に設置される4つの作像部6Y、6M、6C、6Kは、作像プロセスに用いられる現像剤のトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2においては、作像部6と感光体ドラム1と1次転写バイアスローラ9とにおける符号のアルファベット(Y、M、C、K)を省略して図示する。
【0025】
図2を参照して説明すると、作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部5(現像装置)、クリーニング部2、等で構成されている。そして、感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)が行われて、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成されることになる。また、作像プロセスに引き続いて中間転写ベルト8への転写工程と、転写後のクリーニング工程が行われる。
【0026】
作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像部5、クリーニング部2は、それぞれ、画像形成装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。そして、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
なお、本実施例1では、作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像部5、クリーニング部2を、それぞれ、単独のユニットとしたが、これらを一体化して、装置本体100に着脱自在に設置されるプロセスカートリッジとすることもできる。そして、その場合は、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上する。
【0027】
図1、図2を参照して動作を説明すると、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の矢印で示す時計回り方向に回転駆動される。そして、帯電部4の位置で、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程である)。
その後、感光体ドラム1の表面は、図1に示す露光部(例えばレーザ走査方式の光書込装置)40から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される。
【0028】
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置としての現像部5との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像剤のトナーで現像されて可視像化され、所望のトナー像が形成される(現像工程である)。
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0029】
その後、感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程である)。このようにして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0030】
なお、上述した作像プロセスは、4つの作像部6Y、6M、6C、6Kで、それぞれ行われる。すなわち、作像部の下方に配設された露光部40から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成したY,M,C,Kの各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ね合わせて転写する。このようにして中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0031】
より詳しく述べると、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、図中の矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。このようにして感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0032】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。そして、中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体(例えば転写紙等の被転写材)P上に2次転写される。このようにして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0033】
ここで、装置本体100の下方に配設された給紙部26には記録媒体である転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収納されており、ここから被転写材Pが2次転写ニップに向けて搬送される。そして、2次転写ニップにおいて、上記のように被転写材P上に所望のカラー画像が転写される。
【0034】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。
その後、被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置本体100外に排出された被転写Pは、出力画像として、排紙部(スタック部)30上に順次スタックされる。このようにして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0035】
次に、図2〜図6を参照して、作像部6における現像装置5の構成・動作について、さらに詳しく説明する。図3は現像装置5の奥側部分を示す斜視図であり、図4は図3の現像装置の上側のケースを外した状態を示す斜視図である。また、図5は現像ローラ近傍の構成を示す図であり、図6は現像装置の外観と、分解した状態を示す斜視図である。
【0036】
現像部5(現像装置)は、図2〜図6に示すように、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51の下方に設置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52、現像剤収容部53、54内に配設された2つの搬送スクリュ55、56、現像剤G中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ57、現像ローラ51の上方を覆うケース50、装置外に通ずるようにケース50に設けられた開口部50a、開口部50aに設けられたフィルタ61、現像ローラ51の側方を覆うようにケース50に一体的に設けられた壁部58、等で構成される。現像剤収容部53、54内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0037】
現像ローラ51は、図3、図4に示すように内部に固設されたマグネット51bや、マグネットの周囲を回転するスリーブ51a等で構成される。また、図5に示すように現像ローラ51のマグネット51bには、P1極〜P5極の5つの磁極が形成されている。そして、5つの磁極が形成されたマグネット51bの周囲をスリーブ51aが回転することで、その回転にともない現像剤Gが現像ローラ51上(スリーブ51a上である)を移動することになる。なお、図5の現像ローラ51のマグネット51bに付した放射状の線分は、P1極〜P5極のそれぞれの磁力がピークになる位置を示すものである。
【0038】
詳しくは、現像ローラ51のP4極からP5極に至る領域では、双方の磁極が磁性体としてのキャリアに作用して、現像剤収容部53に収容された現像剤Gが現像ローラ51上に担持される。現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード52の位置で掻き取られて、現像剤収容部53に戻される。一方、ドクターブレード52との間隙を通過して現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、P1極の位置で穂立ちして、現像剤G中のトナーが感光体ドラム1上の潜像に付着する。P1極を通過してP2極に至る領域では、後述するように、現像工程後の現像剤Gを担持する現像ローラ51とケース50との間から気体(空気)が流入される。さらに、P3極からP4極に至る領域では、同極性である双方の磁極により形成される反発磁界がキャリアに作用して、現像ローラ51上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ51から脱離される。脱離後の現像剤Gは、再び現像剤収容部53に戻されて、現像剤収容部53、54内を循環する。このような一連の現像剤Gの流れが繰り返される。
【0039】
なお、P3極とP4極との極間における磁束密度は、10mT以下になるように形成されている。このように同極の反発する磁界が形成されて、極間の磁束密度が小さくなるように形成されているために、P3極を通過した現像剤は現像ローラ51から弾き飛ばされるように現像剤収容部53に落下する。これにより、現像剤収容部53に収容された現像剤の上方の気体が強い動圧を受けて、この動圧に付勢されて開口部50aから気体が効率よく排出される。ここで、開口部50aは現像剤収容部53の上方に離れて設置されているとともに、現像剤が落下する位置からずれた位置に設置されているために、現像剤の落下によって跳ね上がる現像剤が開口部50aにまで達する不具合を抑止することができる。
【0040】
ここで、現像ローラ51は、感光体ドラム1に対向する位置に設けられた現像部5の開口に、その一部が露呈するように設置されている。そして、現像ローラ51の上方には、現像ローラ51を覆うように樹脂材料等からなるケース50が設置されている。さらに、現像ローラ51の下方(現像ローラ51の回転中心を原点とした座標の水平軸よりも下側である)には、ドクターブレード52が設置されている。このようにドクターブレード52が現像ローラ51の下方に設置されることで、後述するように、現像ローラ51とケース50との間から開口部50aに至る気体の流路を、現像剤収容部53、54内の現像剤Gに遮断されることなく、確保することができる。
【0041】
現像ローラ51の上方に設置されたケース50には、壁部58と開口部50aとが設けられている。壁部58は、現像ローラ51のP2極を通過してP3極からP4極に至る領域近傍を覆うように設置されている。開口部50aは、現像ローラ51に対して壁部58を介した位置であって、現像剤Gに埋没しない現像剤収容部53の上方の位置に、装置外に通ずるように設けられている。これらによって、現像ローラ51とケース50との間から開口部50aに至る気体の流路(図5の破線矢印で示す流路である)を確保することができる。
【0042】
なお、開口部50aには、開口部50aを覆うようにフィルタ61が設置されている。フィルタ61は、発泡ウレタンや不織布等の多孔質材料からなり、装置内側から進入するトナーを捕集して空気を装置外側に通過させる。これにより、開口部50aから装置内(現像部内)の気体を排出する際に、装置外(現像部外)へのトナー飛散を防止することができる。
【0043】
また、2つの現像剤収容部53、54は、その長手方向(図2の紙面垂直方向である)の両端部を除く領域が仕切り部材によって隔絶されている。そして、現像剤収容部53、54に設置された搬送スクリュ55、56は、現像剤Gをそれぞれ相反する方向に搬送する。これにより、現像剤収容部53、54に収容された現像剤Gは、双方の現像剤収容部55、56の間を長手方向に循環することになる。
なお、一方の現像剤収容部54の上方には、トナー補給口54aが接続されている。これにより、現像剤収容部54内にトナー搬送装置からフレッシュトナーが適宜に補給される。
【0044】
このように構成された現像部5は、次のように動作する。現像ローラ51のスリーブ51aは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネット51bにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、上述したように、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
【0045】
ここで、現像部5内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像部5内のトナー消費に応じて、トナー搬送装置からトナー補給口54aを介して現像剤収容部54内に、トナーが補給される。
【0046】
現像剤収容部54内に補給されたトナーは、第2搬送スクリュ56および、第1搬送スクリュ55によって現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53、54を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
【0047】
現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム1との対向位置(現像領域である)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない、ケース50との対向面、壁部58との対向面を順次通過する。さらに、現像ローラ51上の現像剤Gは現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0048】
ここで、上述した一連の現像部5の動作において、現像部5には図2及び図5の破線矢印で示す気体の流路が形成される。
すなわち、現像ローラ51とケース50との間から流入した気体は、現像ローラ51の回転にともないケース50との対向面と壁部58との対向面とを通過して、壁部58の先端部に至る。そして、装置内に流入した気体は、壁部58の先端部を回り込んで、フィルタ61が設置された開口部50aから装置外に排出される。ここで、壁部58の先端部が現像剤Gに埋没しない位置に設置されているので、装置内に流入した気体は現像剤収容部53内の現像剤Gに遮断されることなく、開口部50aまでの流路が確保される。また、壁部58は現像ローラ表面とフィルタ61に通じる空気流路の間に庇のようにかかることで、ローラ上のキャリアが直接フィルタ61に飛散するのを防止している。さらに、壁部58の庇の先端が、反撥磁界が発生している同極のP3極とP4極の間あたりにあることで、剤離れ作用を生じせしめるあたりまで流路空間が狭く構成され、現像剤の剤離れを促進させることも可能である。
【0049】
以上説明したように、本実施例では、現像部5内において、図2及び図5の破線矢印で示す気体の流路が安定的に形成される。すなわち、現像ローラ51とその上方に設置されたケース50との間から気体を流入して、その流入した気体を現像剤収容部53に収容した現像剤Gに遮られることなく開口部50aに導きフィルタ61を介して装置外に排出している。これによって、現像部5内に浮遊するトナーを、現像部5内の気体とともに現像部5内に強制的に形成した気流に乗せて開口部50aに搬送して、フィルタ61で確実に捕集することができる。このようにして、現像部5における装置外へのトナー飛散が抑止される。
【0050】
しかしながら、現像装置外部に強い気流が存在する場合には上記とは状況が異なる。例えば本実施例の画像形成装置では、中間転写ベルト8に沿って複数配列された作像部のうち中間転写ベルト8の進行方向の最上流に位置するイエローの作像部6Yの付近の画像形成装置本体100壁部の前後2箇所にファン70(70a,70b)が設けられている。
このファン70(70a,70b)は主に露光部40を冷却するためのものであるが、作像部6Y〜6Kを冷却する役目も担っている。
ファン70(70a,70b)から発生する気流の大部分は露光部40の上部を図1中の右方向に流れていくが、一部は後方端部を回り込み、結果として図7に示すように現像装置上部を前方向に流れる気流が形成されている。
【0051】
この気流はファン70(70a,70b)に最も近い作像部6Yの周囲で強く流れており、この流れに伴う圧力勾配のため、他の作像部6M,6C,6Kに比べると、フィルタ通過前後の圧力勾配が大きくなっている。
このため、作像部6M,6C,6Kで飛散防止に最適なフィルタ61を作像部6Yに用いると、作像部6Yからはフィルタ内をトナーが一部通過して現像装置外に飛散してしまう。
従って、作像部6Yの現像装置5Yには、他の作像部の現像装置よりも通気抵抗(圧力損失)が比較的高く、粒子捕集効率の高いフィルタを設置することが望まれる。
【0052】
そこで、本実施例の画像形成装置では、中間転写ベルト8に沿って複数配列された作像部のうち中間転写ベルト8の進行方向の最上流に位置し、ファン70(70a,70b)に最も近いイエロー作像部6Yの現像装置5Yに限り、他の作像部の現像装置に使用している通常の不織布フィルタではなく、図9に示すように、帯電フィルタ62を現像装置5のケース50上部の開口部に設けたものである。
【0053】
この帯電フィルタ62は、構成する繊維の一本一本の表面が、それぞれ正負に永久分極しているため、トナーのような微粒子を静電気力によって引き付けて捕集することが出来るので、通常の不織布フィルタに比べて、トナーの捕集効率が非常に高い。
また、他のフィルタで同等の効率を得ようとすると、圧力損失が大きすぎてしまい、圧抜き効果が得られなくなってしまうものがほとんどであるが、帯電フィルタ62を用いることによって、ほぼ適切な圧力損失で、かつトナー飛散を確実に防止できることがわかった。
【0054】
帯電フィルタ62の厚さとしては、本実施例では、押しつぶしの無い状態で厚さが1〜2.5mmのものを使用している。また、内部気圧と目付量のバランスで性能が維持できるなら、2.5mm以上の厚さとすることもできる。
帯電フィルタ62の現像装置5への取り付けも、本実施例では特に上方から押さえる押さえ部材で押圧することなく、ケース50上部の空気流路の範囲外に帯電フィルタ62を両面テープ等で貼り付けているが、厚さと同様に上記のバランスが維持できるなら、上方から押さえ部材で押さえるようにすることも問題はない。また、押さえ部材は空気流路以外を押さえることで毛羽立ち部を極小化できるという効果もある。
【0055】
帯電フィルタ62を構成する材料の特性としては、電荷を保持させてクーロン力により飛散トナーを捕集する狙いから、帯電しやすい無極性高分子材料であるポリプロピレンが挙げられるが、この他にポリエステル、ポリアミド、ガラス繊維を用いることができる。本実施例では、トナー捕集性にやはり効果があるポリオレフィン系合成繊維(例えば東洋紡績株式会社製の型番EFNA60)を用いた。この繊維の径は15〜80μm程度が良好であり、本実施例ではその中心値周辺である20〜40μmのものを用いた。
【0056】
図8は帯電フィルタの目付量(密度)と圧力損失および8μm粒子を用いた捕集効率との関係を示したグラフである。
帯電フィルタの目付量と共に、圧力損失および捕集効率ともに上昇するが、目付量(密度)が0.03g/cm以下では経時でトナーが通過してしまい、0.2g/cm以上では圧抜きが不十分となり、現像ローラ側の開口部端部からのトナー飛散が発生してしまった。したがって、フィルタの目付量は密度に換算して0.03g/cm以上0.2g/cm以下が適正範囲となる。本実施例の現像装置5Yに用いた帯電フィルタ62は厚さが約1mmであったため、一般的に用いられる単位g/mとすると30〜200g/cmとなる。本実施例では60g/mのものを採用した。
なお、本実施例では帯電フィルタ62を、開口部50aの上に重ねて設置したが、それは以下の理由による。
【0057】
1.現像装置上部には中間転写ベルト8が接近しており、最上流の作像部6Y以外の作像部6M,6C,6Kでは約3mm程度のスペースしかないが、作像部6Yの上部に限っては、図9に示すように中間転写ベルト8が勾配を持って接近するエリアであるため、再近接位置でも5mm以上のスペースがある。このため帯電フィルタ62を開口部50aの上に重ねて設置しても問題ない。
2.帯電フィルタ62は薄手のものしかないため、図2のようにフィルタ61のスペースに帯電フィルタを収納するには余剰スペースを埋める部品が必要になりコストがかかる。組立性も悪い。
【0058】
上記のように、本実施例では、本体気流の影響が最も強い作像部6Yの現像装置5Yに限り、圧抜きフィルタとして帯電フィルタ62を用いることによって、作像部6Y周辺の独特の圧力勾配によるトナー飛散を防止することが可能となっている。
【0059】
[実施例2]
以上の実施例1では、中間転写ベルトを用いた中間転写方式の画像形成装置を例に上げて説明したが、本発明は中間転写方式の画像形成装置に限らず、像担持体から記録媒体に直接転写する方式の画像形成装置においても同様に実施することができる。
図10はその一例を示すカラープリンタの概略構成図であり、同図に示すように、記録媒体(転写紙等の被転写材)Pを担持搬送する転写ベルト80に対向するように、該転写ベルト80の進行方向に沿って各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。この4つの作像部6Y、6M、6C、6Kは、作像プロセスに用いられる現像剤のトナーの色が異なる以外はほぼ同一の構造であり、図2または図9に示す作像部と同様の構成である。
【0060】
すなわち、図2(または図9)を例に上げて説明すると、作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部5(現像装置)、クリーニング部2、等で構成されている。そして、感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)が行われて、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成されることになる。また、作像プロセスに引き続いて転写ベルト80上の被転写材Pへの転写工程と、転写後のクリーニング工程が行われる。
【0061】
各作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像部5、クリーニング部2は、それぞれ、画像形成装置本体200に対して着脱自在に設置できるように構成されている。そして、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換される。なお、本実施例2では、作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像部5、クリーニング部2を、それぞれ、単独のユニットとしたが、これらを一体化して、装置本体200に着脱自在に設置されるプロセスカートリッジとすることもできる。そして、その場合は、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上する。
【0062】
図2(または図9)、図10を参照して動作を説明すると、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の矢印で示す時計回り方向に回転駆動される。そして、帯電部4の位置で、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程である)。
その後、感光体ドラム1の表面は、図1に示す露光部(例えばレーザ走査方式の光書込装置)40から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される。
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置としての現像部5との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像剤のトナーで現像されて可視像化され、所望のトナー像が形成される(現像工程である)。
【0063】
一方、装置本体200の下方に配設された給紙部26には記録媒体である転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収納されており、ここから被転写材Pが給紙ローラ27でレジストローラ28に給紙され、上記の作像プロセスにタイミングを合わせて転写ベルト80に搬送される。
上記の作像プロセスは、4つの作像部6Y、6M、6C、6Kで、それぞれ行われる。すなわち、作像部の下方に配設された露光部40から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成したY,M,C,Kの各色のトナー像は、転写ベルト80で担持搬送される被転写材P上に重ね合わせて転写される。このようにして被転写材P上にカラー画像が形成される。
【0064】
より詳しく述べると、4つの転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、転写ベルト80とともに被転写材Pを感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで転写ニップを形成している。そして、転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。そして、転写ベルト80に担持された被転写材Pは、図中の矢印方向に走行して、各転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの転写ニップを順次通過する。このようにして感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、被転写材P上に重ねて転写される。
【0065】
その後、各色の画像が重ね合わせて転写された被転写材Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。その後、被転写材Pは装置外へと排出され、出力画像として、排紙部(スタック部)30上に順次スタックされる。このようにして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0066】
なお、図10に示す画像形成装置の各色の作像部6Y〜6Kの構成は図2または図9と同様であり、現像装置の構成も実施例1で説明した通りであるのでここでは詳細な説明は省略する。
【0067】
さて、本実施例の画像形成装置においても、現像部5内において、図2及び図5の破線矢印で示す気体の流路が安定的に形成されている。すなわち、現像ローラ51とその上方に設置されたケース50との間から気体を流入して、その流入した気体を現像剤収容部53に収容した現像剤Gに遮られることなく開口部50aに導きフィルタ61を介して装置外に排出している。これによって、現像部5内に浮遊するトナーを、現像部5内の気体とともに現像部5内に強制的に形成した気流に乗せて開口部50aに搬送して、フィルタ61で確実に捕集することができる。このようにして、現像部5における装置外へのトナー飛散が抑止される。
【0068】
しかしながら、現像装置外部に強い気流が存在する場合には上記とは状況が異なる。例えば図10に示す画像形成装置では、転写ベルト80に沿って複数配列された作像部のうち転写ベルト80の進行方向の最下流に位置するブラックの作像部6Kの付近の画像形成装置本体200壁部の前後2箇所にファン70が設けられている。このファン70は主に露光部40を冷却するためのものであるが、作像部6K〜6Yを冷却する役目も担っている。ファン70から発生する気流の大部分は露光部40の上部を図10中の右方向に流れていくが、一部は後方端部を回り込み、結果として図7と同様の現像装置上部を前方向に流れる気流が形成されている。
【0069】
この気流はファン70に最も近い作像部6Kの周囲で強く流れており、この流れに伴う圧力勾配のため、他の作像部6M,6C,6Yに比べると、フィルタ通過前後の圧力勾配が大きくなっている。
このため、作像部6M,6C,6Yで飛散防止に最適なフィルタ61を作像部6Kに用いると、作像部6Kからはフィルタ内をトナーが一部通過して現像装置外に飛散してしまう。
従って、作像部6Kの現像装置5Kには、他の作像部の現像装置よりも通気抵抗(圧力損失)が比較的高く、粒子捕集効率の高いフィルタを設置することが望まれる。
【0070】
そこで、本実施例の画像形成装置では、転写ベルト80に沿って複数配列された作像部のうち転写ベルト80の進行方向の最下流に位置し、ファン70に最も近いブラック作像部6Kの現像装置5Kに、他の作像部の現像装置に使用している通常の不織布フィルタではなく、図9に示すように、帯電フィルタ62を現像装置5のケース50上部の開口部に設けたものである。なお、帯電フィルタ62の構成や効果等は実施例1で説明したとおりである。
【0071】
以上のように、本実施例では、ファン70による本体気流の影響が最も強い作像部6Kの現像装置5Kに、圧抜きフィルタとして帯電フィルタ62を用いることによって、作像部6K周辺の独特の圧力勾配によるトナー飛散を防止することが可能となっている。
【0072】
以上、本発明の実施例1、実施例2を説明したが、実施例1,2の画像形成装置で用いられるような4連の作像部6Y〜6Kは、一体化してプロセスカートリッジ化することが可能であり、4連の作像部6Y〜6Kを一体に備えたプロセスカートリッジを用いることにより、メンテンス等の作業性をさらに向上することができる。また、このような4連の作像部6Y〜6Kを備えたプロセスカートリッジは、図1に示すような中間転写方式の画像形成装置と、図10に示すような直接転写方式の画像形成装置で、共通に使用することが可能である。ただし、この場合は、画像形成装置によってファン70の取り付け位置が異なるので、ファンに近い側の作像部が逆になることもある。そこで、このような場合に対応するためには、4連の作像部6Y〜6Kのうち、両端に位置する作像部6Y,6Kの現像装置5Y,5Kに、圧抜きフィルタとして帯電フィルタ62を用いるとよく、これにより確実にトナー飛散を防止することが可能となる。
【0073】
[実施例3]
次に実施例1、実施例2で説明したような画像形成装置に使用されるトナーについて説明する。
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0074】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0075】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0076】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0077】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
【0078】
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0079】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0080】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0081】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0082】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0083】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0084】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0085】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0086】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0087】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0088】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0089】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0090】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0091】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0092】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0093】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0094】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0095】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0096】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0097】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0098】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0099】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0100】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0101】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0102】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0103】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0104】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0105】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0106】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0107】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0108】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0109】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために
加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0110】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0111】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0112】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0113】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0114】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0115】
上記のように、粒径分布がシャープで帯電特性等の均質なトナーを用いれば、粒子のバラツキが少ないことにより現像容器内での帯電不均一性が解消される。従って、気流の有無にかかわらずトナー飛散しやすいトナーの数が減少するので、従来のトナーに比べてトナー飛散量を低減させることが出来る。
このようにトナーの改良によりそもそも飛散しやすいトナーの発生を低減させ、なお飛散するトナーに対しては、前述のようなフィルタを用いた排気機構による気流制御により飛散を防止する。
こうして従来に比して非常にトナー飛散の発生しにくい現像装置を得ることができるとともに、飛散したトナーによる画像の汚れや機内の汚れを防止することが出来るので、良好な画像が得られ、メンテナンス性に優れた画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の作像部の構成例を示す拡大断面図である。
【図3】現像装置の奥側部分を示す斜視図である。
【図4】図3の現像装置の上側のケースの一部を外した状態を示す斜視図である。
【図5】現像ローラ近傍の構成と磁極配置を示す図である。
【図6】現像装置の外観と、分解した状態を示す斜視図である。
【図7】図1に示す画像形成装置の要部を拡大して示す斜視図である。
【図8】帯電フィルタの目付量(密度)と圧力損失および8μm粒子を用いた捕集効率との関係を示したグラフである。
【図9】図1に示す画像形成装置のファンに近い側に配置される作像部の構成例を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の別の実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0117】
1:感光体ドラム(像担持体)
2:クリーニング部
4:帯電部
5:現像部(現像装置)
6:作像部
8:中間転写ベルト(中間転写体(転写像担持体))
9:転写バイアスローラ
10:中間転写ユニット
20:定着部
26:給紙部
27:給紙ローラ
28:レジストローラ
30:排紙部
40:露光部
50:ケース
50a:圧抜き用の開口部
51:現像ローラ(現像剤担持体)
52:ドクターブレード
53.54:現像剤収容部
55,56:搬送スクリュ
57:トナー濃度センサ
58:壁部
61:フィルタ
62:帯電フィルタ
70(70a,70b):ファン
80:転写ベルト
P:被転写材(記録媒体(転写像担持体))

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを備えた画像形成装置に搭載され、像担持体上に形成された潜像を現像して可視像化する現像装置において、
前記現像剤を担持するとともに前記像担持体に対向する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の一部を覆うとともに前記現像剤を収容するケースと、
該ケースに設けられた内圧を低減させるための圧抜き用の開口部と、
該開口部に設けられたフィルタを有し、
前記フィルタは帯電フィルタであり、該フィルタは、前記像担持体から転写された未定着画像を担持する転写像担持体の転写面に対向した位置に設けられたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記フィルタの目付量は、密度に換算して0.03g/cm以上、0.2g/cm以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の現像装置において、
前記フィルタと前記転写面との距離は5mm以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
像担持体と、該像担持体に形成された静電潜像を現像して可視像化する現像装置と、前記像担持体上に形成された可視像を転写像担持体に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記現像装置として、請求項1〜3のいずれか一つに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記像担持体と前記現像装置を前記転写像担持体に対向して該転写像担持体の進行方向に複数配列し、その複数配列された現像装置のうち前記転写像担持体の進行方向の両端に位置する現像装置のいずれか一方または両方に前記フィルタを搭載したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記複数配列された現像装置のうち、画像形成装置本体に設けたファンに最も近い側の現像装置に前記フィルタを搭載したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記転写像担持体は、中間転写体、あるいは前記転写手段で搬送される記録媒体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
像担持体と請求項1〜3のいずれか一つに記載の現像装置を一体に備えことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれか一つに記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
前記像担持体と前記現像装置を一体に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
像担持体に形成された静電潜像を現像装置で現像して可視像化し、前記像担持体上に形成された可視像を転写像担持体に転写する画像形成部を備えた画像形成装置において、
前記画像形成部に請求項8または9記載のプロセスカートリッジを着脱自在に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項4〜7、10のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記現像装置で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項4〜7、10のいずれか一つに記載の画像形成装置に使用され、電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、
少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られることを特徴とするトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−140288(P2007−140288A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336122(P2005−336122)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】