説明

現在位置算出装置

【課題】住所表示のためのデータ量増加を抑制する。
【解決手段】従来のカーナビゲーション装置では、住所を表示するためのポリゴンデータを利用することで車両の現在位置近傍の住所を表示している。これに対して本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、算出された車両の現在位置のリンク上の位置に基づいて、車両の現在位置近傍の住所を表示モニタ14に表示させるように構成した。これにより、住所を表示させるためのデータの容量を小さくでき、住所表示の処理を迅速化できる。特に、車両の現在位置近傍の住所を街区番号まで表示させようとすると、ポリゴンデータではデータ容量が多くなり過ぎて、住所表示の処理速度が低下してしまうが、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、迅速に住所を表示できるので、処理速度低下による違和感をユーザに与えることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置を算出する現在位置算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の現在位置を算出して表示する装置としてカーナビゲーション装置が知られている。カーナビゲーション装置には、車両の現在位置の住所を町名(たとえば霞ヶ関3丁目)まで表示するものがある(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】特許庁 標準技術集 「カーナビゲーション装置のユーザーインターフェイス」主分類1−D−1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカーナビゲーション装置では、住所を表示するためのポリゴンデータを利用することで車両の現在位置の住所を表示している。しかし、従来のカーナビゲーション装置で車両の現在位置の住所を街区番号まで表示しようとすると、ポリゴンデータのデータ量が多くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による現在位置算出装置は、表示装置に表示させる車両の現在位置を算出する現在位置算出装置であって、地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データを記憶する道路地図記憶手段と、現在位置を算出する現在位置算出手段と、少なくとも算出された現在位置のリンク上の位置に基づいて、算出された現在位置近傍の住所を表示装置に表示させる住所表示制御手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の現在位置算出装置において、住所表示制御手段は、リンク上の位置をリンクの端点からの距離として算出することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の現在位置算出装置において、リンク上の位置に対応して住所を格納する住所テーブルを有する住所記憶手段をさらに備え、住所表示制御手段は、住所記憶手段が有する住所テーブルから、算出された現在位置のリンク上の位置に対応する住所を読み込んで表示装置に表示させることを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の現在位置算出装置において、住所記憶手段は、リンク上の走行方向に応じて住所テーブルを有し、住所表示制御手段は、車両のリンク上の走行方向に対応する住所テーブルから住所を読み込んで表示装置に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、住所表示のためのデータ量増加を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜7を参照して、本発明による現在位置算出装置をカーナビゲーション装置に適用した一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態のカーナビゲーション装置の全体構成を示す図である。カーナビゲーション装置1は、車両位置周辺の道路地図を表示する機能、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能など、車両の走行に関する情報を提示する機能を兼ね備えている。カーナビゲーション装置1は、いわゆるナビゲーションあるいは道路案内などを行う装置である。
【0008】
図1において、11は車両の現在地(現在位置)を検出する現在地検出装置であり、たとえば車両の進行方位の変化量を検出するジャイロセンサ11a、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ11c、車速を検出する車速センサ11d等から成る。
【0009】
100は制御装置であり、CPU101およびその周辺回路から成る。CPU101およびその周辺回路は互いにバスで接続されている。周辺回路は、メモリ102、パラレルI/O103、A/D変換器104、シリアルI/O105、カウンタ106、グラフィックコントローラ107、画像メモリ108、地図記憶装置109等から成る。14は車室内の乗員が視認可能な位置に配設されて、地図や各種情報を表示する表示モニタである。15は乗員が車両の目的地等の入力など、各種操作入力を行うためのスイッチである。スイッチ15は、表示モニタ14の画面上に設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。スイッチ15は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたスイッチであってもよい。
【0010】
制御装置100のメモリ102は、制御プログラムを格納するROMおよび作業エリアのRAMを含むメモリである。CPU101は、メモリ102にアクセスして制御プログラムを実行し、各種の制御を行う。なお、後述する道路地図データは、地図記憶装置109から読み込まれて、メモリ102に一時的に記憶される。パラレルI/O103は、スイッチ15を構成する個別のスイッチ等が接続されるパラレルI/Oポートである。A/D変換器104は、ジャイロセンサ11aのアナログ信号をA/D変換する変換器である。シリアルI/O105は、GPSセンサ11cからのシリアル信号を受信するシリアルI/Oポートである。カウンタ106は、たとえば車軸の回転に伴って車速センサ11dから出力されるパルス信号をカウントするカウンタである。
【0011】
グラフィックコントローラ107は、CPU101から出力される表示データを、画像データとして画像メモリ(ビデオRAM)であるメモリ108に格納し、メモリ108に格納された画像データを表示モニタ14に表示するための制御を行う。CPU101から出力される表示データは、各種の文字データや道路地図などの各種の図形データなどから成る。制御装置100は、表示モニタ14の表示制御装置として機能する。
【0012】
地図記憶装置109は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データやPOI情報(Point of Interest 観光地や各種施設の情報)など各種の情報を格納する地図記憶装置であり、ハードディスク装置が用いられている。なお、地図記憶装置109は、ハードディスク装置以外にも、道路地図データが格納されたCD−ROMやDVD、その他の記録媒体、および、その読み出し装置であってもよい。
【0013】
−−−データ構成−−−
道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)、住所表示用テーブルなどから成る。地図表示用データは道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者等に推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0014】
図2(a),(b)は、地図表示用データ(道路データ)の構成を示した図である。道路データはリンク列データとメッシュコードを含み、メッシュ領域単位で格納されている。なお、リンク列データとは、一本の道路を、交差点などのノードと、ノード間のリンクとして定義したデータ構造である。メッシュ領域とは、道路地図を所定範囲毎に区分けしたときの区分けされた各領域をいう。メッシュコードの記憶領域401には、メッシュ領域を識別する番号が格納される。リンク列データの記憶領域402には、図2(b)に示すように、ノードの位置座標Xn,Ynと、ノード間のリンクの番号と、リンクをさらに短く分割する補間点の位置座標Xn,Ynとがそれぞれの領域に格納される。これらの位置座標が地図表示や現在位置算出処理の形状データとして用いられる。
【0015】
図3は、住所表示用テーブルを概念的に示す図であり、図4は、図3の住所表示用テーブルによるリンク上の位置と、表示モニタ14に表示される住所との関係を概念的に示す図である。住所表示用テーブルは、後述するように、車両の現在位置近傍の住所を表示モニタ14に表示させるためのテーブルであり、リンク端点(ノード)からの距離に対応して、リンク近傍の住所が格納されている。たとえば、リンク番号aのリンクでは、起点とするノード(起点ノード)n101からの距離が0〜8mまでの範囲について、表示モニタ14に表示させる住所として「東京都千代田区霞ヶ関3丁目4番」が紐付けされて格納されている。また、起点ノードn101からの距離が8mを超えて15mまでの範囲については「東京都千代田区霞ヶ関3丁目5番」が紐付けされて格納されている。
【0016】
なお、同じリンク番号のリンクであっても、起点ノードが異なる場合には、異なる住所が格納されている。たとえば、リンク番号aのリンクでは、起点ノードがノードn102の場合、起点ノードn102からの距離が0〜5mまでの範囲については、表示させる住所として「東京都港区赤坂1丁目1番」が紐付けられて格納されている。また、起点ノードn102からの距離が5mを超えて12mまでの範囲については、「東京都港区赤坂1丁目2番」が紐付けられて格納されている。
【0017】
−−−住居表示制度について−−−
目的地などの住所の表示方法に、日本国における住居表示制度がある。住居表示制度とは、昭和37年5月10日に交付された住居表示に関する法律に基づいて住居(住所)を表す制度であって、都道府県名および区・市町村名に続く町名と、町名毎に付された街区番号と、街区番号毎に付された住居番号とによって表示される。日本国特許庁の住所を例に説明すると、「東京都千代田区霞が関3丁目4番3号」のうち、「東京都」が都道府県名であり、「千代田区」が区・市町村名である。「霞ヶ関3丁目」が町名であり、「4番」が街区番号であり、「3号」が住居番号である。上述した住所表示用テーブルには、都道府県名から街区番号までが格納されている。
【0018】
このように構成されるカーナビゲーション装置1は、現在地検出装置11により取得した情報および地図記憶装置109に格納されている道路地図データに基づき各種のナビゲーションを行う。たとえば、制御装置100のCPU101は、車両の現在位置近辺の道路地図および車両の現在位置を表示モニタ14に表示し、経路探索によって得られた経路(推奨経路)に沿って運転者を誘導するように各部を制御する。また、カーナビゲーション装置1は、以下に述べるように、車両の現在位置近傍の住所を表示モニタ14に表示する。
【0019】
−−−現在位置近傍の住所の表示について−−−
カーナビゲーション装置1では、車両の現在位置を表示モニタ14に表示する際、CPU101は、公知のマップマッチングの手法によって車両の現在位置を周期的に算出する。このときCPU101は、前回の車両の現在位置の算出時に、道路データのリンク上で車両の現在位置とされた地点から、演算周期の間に車両が走行した距離だけリンク上を辿った位置を今回の車両の現在位置として算出する。その際、CPU101は、車両が通過したノードのうち、今回算出した車両の現在位置に最も近いノードから、今回算出した車両の現在位置までの距離を算出する。
【0020】
すなわち、CPU101は、車両が通過したノードを起点ノードとして、リンク上の車両の位置を算出する。なお、起点ノードは、リンク両端の2つのノードの内、車両が通過した方のノードが起点ノードとされる。そして、CPU101は、車両の現在位置が存在するリンクのリンク番号と、起点ノードと、リンク上の車両の位置とに基づいて、図3に示した住所表示用テーブルから車両の現在位置の住所を読み込む。CPU101は、車両の現在位置を示すマーク(カーマーク)を周辺の道路地図とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所をたとえば表示モニタ14の画面の下部に表示させる。
【0021】
たとえば、図4に示したリンク番号がaであるリンク(リンクa)上を、車両がノードn101からノードn102に向かって走行し、図5(a)に示すように、ノードn101から5m程度離れた位置が車両の現在位置として算出された場合を考える。このとき、車両の現在位置が存在するリンクのリンク番号はaとなり、起点ノードはノードn101となり、車両の起点ノードからの距離が5mとなる。CPU101は、リンク番号、起点ノード、および、起点ノードからの距離の情報に基づいて住所表示用テーブルを読みに行き、表示すべき住所として「東京都千代田区霞が関3丁目4番」を得る。そして、図5(b)に示すように、CPU101は、カーマーク142を周辺の道路地図141とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所である「東京都千代田区霞が関3丁目4番」を住所表示143として画面の下部に表示させる。
【0022】
図5(a)に示した状態から車両がさらに走行して、たとえば、図5(c)に示すように、ノードn101から12m程度離れた位置が車両の現在位置として算出された場合を考える。このとき、車両の起点ノードn101からの距離が12mとなる。上述の場合と同様に、CPU101は住所表示用テーブルを読みに行き、表示すべき住所として「東京都千代田区霞が関3丁目5番」を得る。そして、図5(d)に示すように、CPU101は、カーマーク142を周辺の道路地図141とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所である「東京都千代田区霞が関3丁目5番」を住所表示143として画面の下部に表示させる。
【0023】
また、上述した説明とは逆に、図4に示したリンク番号aであるリンク(リンクa)上を、車両がノードn102からノードn1021に向かって走行し、図6(a)に示すように、ノードn102から10m程度離れた位置が車両の現在位置として算出された場合を考える。このとき、起点ノードはノードn102となり、車両の起点ノードからの距離が510mとなる。CPU101は、リンク番号、起点ノード、および、起点ノードからの距離の情報に基づいて住所表示用テーブルを読みに行き、表示すべき住所として「東京都港区赤坂1丁目2番」を得る。そして、図6(b)に示すように、CPU101は、カーマーク142を周辺の道路地図141とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所である「東京都港区赤坂1丁目2番」を住所表示143として画面の下部に表示させる。
【0024】
図6(a)に示した状態から車両がさらに走行して、たとえば、図6(c)に示すように、ノードn102から16m程度離れた位置が車両の現在位置として算出された場合を考える。このとき、車両の起点ノードn102からの距離が16mとなる。上述の場合と同様に、CPU101は住所表示用テーブルを読みに行き、表示すべき住所として「東京都港区赤坂1丁目3番」を得る。そして、図6(d)に示すように、CPU101は、カーマーク142を周辺の道路地図141とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所である「東京都港区赤坂1丁目3番」を住所表示143として画面の下部に表示させる。
【0025】
−−−フローチャート−−−
図7は、上述した住所表示処理の動作を示したフローチャートである。車両の不図示のイグニッションキーによりアクセサリーON(ACC ON)になると、カーナビゲーション装置1の電源が入り、図7に示す処理を行うプログラムが定期的に起動される。ステップS1のサブルーチンにおいて、公知のマップマッチングの手法により車両の現在位置を算出する。ステップS1のサブルーチンの内容の詳細については説明を省略する。
【0026】
ステップS1が実行されるとステップS3へ進み、ステップS1で算出した車両の現在位置が存在するリンクの番号を読み込むとともに、車両が通過したノードのうち、ステップS1で算出した車両の現在位置に最も近いノードを起点ノードとしてステップS5へ進む。ステップS5において、ステップS3で算出した起点ノードから、ステップS1で算出した車両の現在位置までの距離を算出してステップS7へ進む。
【0027】
ステップS7において、ステップS3で読み込んだリンク番号や算出した起点ノード、および、ステップS5で算出した起点ノードからの距離に基づいて、地図記憶装置109に格納された住所表示用テーブルから表示すべき住所を読み込んでステップS9へ進む。ステップS9において、ステップS1で算出した車両の現在位置を示すカーマークを周辺の道路地図とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、ステップS7で読み込んだ住所を表示モニタ14の画面の下部に表示させてリターンする。
【0028】
上述したカーナビゲーション装置1では、次の作用効果を奏する。
(1) 従来のカーナビゲーション装置では、住所を表示するためのポリゴンデータを利用することで車両の現在位置近傍の住所を表示している。これに対して本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、算出された車両の現在位置のリンク上の位置に基づいて、車両の現在位置近傍の住所を表示モニタ14に表示させるように構成した。これにより、住所を表示させるためのデータの容量を小さくでき、住所表示の処理を迅速化できる。特に、車両の現在位置近傍の住所を街区番号まで表示させようとすると、ポリゴンデータではデータ容量が多くなり過ぎて、住所表示の処理速度が低下してしまうが、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、迅速に住所を表示できるので、処理速度低下による違和感をユーザに与えることがない。
【0029】
(2) 起点リンクからの距離を算出して、リンク上の位置を検出するように構成したので、住所表示処理が複雑化せず、迅速な表示処置が可能となる。
【0030】
(3) 表示モニタ14に表示すべき住所を住所表示用テーブルから読み込むように構成したので、データを小容量化して住所表示の処理を迅速化できる。また、従来の道路地図データに住所表示用テーブルを追加するだけでよいので、従来の道路地図データを有効利用できる。
【0031】
(4) リンク上の走行方向に応じて住所表示用テーブルの異なる部分を読み込むように構成した。すなわち、同じリンクであってもリンク上の車両の走行方向に応じて読み込む住所表示用テーブルが異なるように構成した。これにより、道路を挟む両側で住所が異なる地域でも、適切に住所を表示できる。
【0032】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、住所表示用テーブルに都道府県名、区・市町村名、町名および街区番号が格納されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、住所表示用テーブルに都道府県名や区・市町村名が格納されていなくてもよく、町名のみ、もしくは、町名および街区番号のみが格納されていてもよい。すなわち、表示モニタ14に少なくとも町名のみ、もしくは、町名および街区番号のみが表示されるように構成されていてもよい。また、住所表示用テーブルに住居番号までが格納されるように構成してもよい。
【0033】
(2) 上述の説明では、表示モニタ14に表示させる住所のすべてが住所表示用テーブルに格納されるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、従来のカーナビゲーション装置と同様に、都道府県名、区・市町村名および町名までをポリゴンデータに基づいて表示し、街区番号を上述した住所表示用テーブルを用いて表示するように構成してもよい。日本国特許庁の住所を例に説明すると、「東京都千代田区霞が関三丁目4番3号」のうち、「東京都千代田区霞が関3丁目」までをポリゴンデータに基づいて表示し、「4番」を上述した住所表示用テーブルを用いて表示するように構成してもよい。このように構成することで、街区番号までもポリゴンデータに基づいて表示させる場合と比べて、住所表示のためのデータ容量を大幅に少なくできる。したがって、住所表示のための処理速度の低下を抑止でき、ユーザに対して違和感を与えることなく現在位置近傍の住所を提示できる。また、従来のポリゴンデータを有効利用できる。
【0034】
(3) 上述の説明では、主に日本国の住居表示に基づいた住所表示について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえばアメリカ合衆国の住所表示などのように、通りの名称にハウスナンバーと呼ばれる番号が付されたものであっても、本発明は適用できる。この場合、たとえば、住所表示用テーブルは図8に示すようにストリート名とハウスナンバーを含むように構成されていてもよい。アメリカ合衆国の場合、通りを挟んで一方のハウスナンバーが偶数であり、他方のハウスナンバーが奇数であることが多いが、図8に示すように、同じリンク番号のリンクでも、起点ノードの違いによってハウスナンバーを偶数にするか奇数にするかを分けてもよい。
【0035】
(4) 上述の説明では、車両の現在位置のリンク上の位置を、起点ノードからリンク上の車両の現在位置までの距離として算出し、対応する住所表示用テーブルから表示すべき住所を読み込むように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図9(a),(c)に示すように、リンク上に住所表示のための補間点を設け、ノードおよび補間点で区切られるそれぞれの区間に表示すべき住所を紐付けしてもよい。これら各区間と表示すべき住所とは、上述したように住所表示用テーブルによって紐付けするようにしてもよい。
【0036】
図9(a),(c)の例では、ノードn101と補間点1との間の区間が「東京都千代田区霞が関3丁目4番」とされ、補間点1と補間点2との間の区間が「東京都千代田区霞が関3丁目5番」とされている。また、補間点2と補間点3との間の区間が「東京都千代田区霞が関3丁目6番」とされ、補間点3と補間点4との間の区間が「東京都千代田区霞が関3丁目7番」とされている。
【0037】
そして、図9(a)に示すように、車両の現在位置がノードn101と補間点1との間の区間に位置するものと判断されると、図9(b)に示すように、カーマーク142を周辺の道路地図141とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所である「東京都千代田区霞が関3丁目4番」を住所表示143として画面の下部に表示させる。また、図9(c)に示すように、車両の現在位置が補間点1と補間点2との間の区間に位置するものと判断されると、図9(d)に示すように、カーマーク142を周辺の道路地図141とともに表示モニタ14に重畳的に表示させ、読み込んだ住所である「東京都千代田区霞が関3丁目5番」を住所表示143として画面の下部に表示させる。
【0038】
なお、リンク上に設ける住所表示のための補間点として、地図表示用データの補間点(図2(b))を用いてもよい。
(5) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0039】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、道路地図記憶手段および住所記憶手段は、メモリ102に対応する。現在位置算出手段および住所表示制御手段は、CPU101およびメモリ102に格納された制御プログラムによって実現される。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データを記憶する道路地図記憶手段と、現在位置を算出する現在位置算出手段と、少なくとも算出された現在位置のリンク上の位置に基づいて、算出された現在位置近傍の住所を表示装置に表示させる住所表示制御手段とを備える各種構造の現在位置算出装置を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】カーナビゲーション装置1の全体構成を示す図である。
【図2】地図表示用データ(道路データ)の構成を示した図である。
【図3】住所表示用テーブルを概念的に示す図である。
【図4】図3の住所表示用テーブルによるリンク上の位置と、表示モニタ14に表示される住所との関係を概念的に示す図である。
【図5】リンク上の車両の位置と、表示モニタ14に表示される住所との関係を説明する図である。
【図6】リンク上の車両の位置と、表示モニタ14に表示される住所との関係を説明する図である。
【図7】住所表示処理の動作を示したフローチャートである。
【図8】変形例を示す図である。
【図9】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 カーナビゲーション装置 11 現在地検出装置
14 表示モニタ 100 制御装置
101 CPU 102 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示させる車両の現在位置を算出する現在位置算出装置であって、
地図上の道路を構成する各リンクのリンクデータを含む地図データを記憶する道路地図記憶手段と、
前記現在位置を算出する現在位置算出手段と、
少なくとも算出された前記現在位置の前記リンク上の位置に基づいて、算出された前記現在位置近傍の住所を前記表示装置に表示させる住所表示制御手段とを備えることを特徴とする現在位置算出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現在位置算出装置において、
前記住所表示制御手段は、前記リンク上の位置を前記リンクの端点からの距離として算出することを特徴とする現在位置算出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現在位置算出装置において、
前記リンク上の位置に対応して住所を格納する住所テーブルを有する住所記憶手段をさらに備え、
前記住所表示制御手段は、前記住所記憶手段が有する前記住所テーブルから、算出された前記現在位置の前記リンク上の位置に対応する住所を読み込んで前記表示装置に表示させることを特徴とする現在位置算出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の現在位置算出装置において、
前記住所記憶手段は、前記リンク上の走行方向に応じて前記住所テーブルを有し、
前記住所表示制御手段は、前記車両の前記リンク上の走行方向に対応する前記住所テーブルから前記住所を読み込んで前記表示装置に表示させることを特徴とする現在位置算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−203028(P2008−203028A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37819(P2007−37819)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】