説明

画像処理装置、画像処理方法および走査型電子顕微鏡

【課題】 2つの画像のパターンマッチングの成功率および精度を向上させ、しかも、測長などの検査作業の効率を低下させない画像処理装置、画像処理方法および走査型電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】 走査型顕微鏡10は、第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行なう画像処理装置4を含んで構成される。画像処理装置4は、第1の画像に基づき塗り分け画像を生成する塗り分け画像生成部41と、塗り分け画像を平滑処理して重心分布画像を生成する重心分布画像生成部42と、第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成部43と、重心分布画像と前記輪郭線線分群とに基づきマッチングスコアを算出するマッチングスコア算出部44と、前記マッチングスコアが最大になる位置を検出する最大スコア位置検出部45とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの画像のパターンマッチングを行う画像処理装置および画像処理方法、並びに、その画像処理装置を備えた走査型電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウェーハ、液晶パネル、それらの露光用マスクなどの製造工程を管理または検査するために、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM(Scanning Electron Microscope)」という)が盛んに使用されている。工程管理者は、SEMを用いて、ウェーハなどの所定の位置に形成された特定形状のパターンの寸法や、複数の特定形状のパターン間の距離などを計測し、その結果に基づき、ウェーハなどに形成された回路デバイスや製造工程の品質などを管理している。なお、このような目的に使用されるSEMは、しばしば、測長SEMと呼ばれる。
【0003】
以上のような測長SEMによる検査は、通常、自動で行われる。すなわち、測長SEMは、電子線の照射によって試料表面から放出または反射される電子量に基づき生成される試料表面の画像(以下、試料の「観測画像」という)において、所定のパターンマッチング方法に従って、あらかじめ登録された特定形状のパターン(以下、「登録パターン」という)が一致する観測画像上の位置を検出し(以下、このような位置検出を「位置照合」という)、例えば、複数の登録パターン間の距離を測長する。このとき、位置照合に使用する登録パターンとしては、通常、設計時に作成されるCAD(Computer Aided Design)データが利用される。また、パターンマッチングの方法としては、正規化相関法や一般化ハフ変換法が用いられるのが一般的である。
【0004】
ところで、検査対象となる半導体ウェーハなどにおいては、その半導体ウェーハ上に形成される構造物(所定の材質のパターン)は、それが微細であればあるほど、製造上のばらつきなどのためCADデータのパターン通りには形成されないことが多い。例えば、金属配線層の線幅は、CADデータのパターンに基づく線幅よりも大きくなることもあり、また、小さくなることもある。また、形成される層のパターンが矩形である場合には、その角は、通常、丸まって形成される。さらには、形成された層の材質によっては、その層のパターンのSEMによる観測画像は、実際に形成されたものより大きく見えたり、小さく見えたりすることもある。従って、観測画像における登録パターンに対応するパターンは、多くの場合、CADデータの登録パターンに比べると変形したものになっている。
【0005】
また、正規化相関法や一般化ハフ変換法においては、通常、試料の観測画像から抽出された輪郭線と、CADデータの登録パターンから生成された輪郭線とに基づきパターンマッチングが行われる。この場合、試料の観測画像から抽出された輪郭線は、変形していることが多いので、CADデータの登録パターンにより位置照合を行うと、充分な位置精度が得られなかったり、場合によってはパターンマッチングに失敗したりすることがある。その理由のひとつは、正規化相関法や一般化ハフ変換法のマッチングアルゴリズム自体にある。
【0006】
正規化相関法を用いて対象となる2つの画像の輪郭線のパターンマッチングをすると、正規化相関法は、両者の輪郭線を一部でも一致させようとする。そのため、正規化相関法を用いると、登録パターンは、登録パターンの輪郭線と観測画像の輪郭線との輪郭線の一致度が高い方向へ引きずられて、観測画像のパターンとマッチングする。また、その輪郭線の一致度が高い方向は、観測画像のパターンの変形具合によって変化するので、一定の方向に定まらない。そのため、正規化相関法を用いた位置照合では、充分な位置精度を得ることができない。
【0007】
また、一般化ハフ変換法も、2つの画像の輪郭線を一致させようとするマッチングアルゴリズムである。一般化ハフ変換法では、パターンの回転や、拡大、縮小を行ってパターンマッチングを行うが、そのため、マッチングがパターンの一部分(一致度が高い部分)に合わせて拡大、縮小などが行われると、他の部分で縮尺が一致しないなどの不都合が生じる。また、その縮尺は、観測画像のパターンの変形具合によって変わるので、一定の値に定まらない。従って、一般化ハフ変換法を用いた位置照合でも、充分な位置精度を得ることができない。
【0008】
特許文献1には、検査対象のウェーハなどの1つを取り、そのウェーハなどに形成されたパターンをSEMで観測した上で、その観測画像から得られるパターンを登録パターンとして再登録し、その再登録パターンに基づき、他の検査対象のウェーハなどについて、パターンマッチングを行うSEMの例が開示されている。そのSEMにおいては、登録パターンとして、CADデータのパターンでなく、検査対象の半導体ウェーハなどをSEMによって観測した観測画像から得られたパターンを利用する。そのため、登録パターンと検査対象のパターンとの形状の差が小さくなるので、パターンマッチングに失敗する確率が低減する。つまり、パターンマッチングの成功率を向上させることができる。
【特許文献1】特開2002−328015号公報(段落0053〜段落0060、図2〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示されているパターンマッチング技術の場合には、検査対象のウェーハなどに形成されたパターンをSEMで観測し、その観測画像から得られるパターンを登録パターンとして再登録する作業が余分に必要となる。その作業は、人手に頼らざるを得ず、また、検査対象のウェーハに形成される集積回路などの品種別に行う必要がある。そのため、測長などの検査作業の効率が大きく低下することになる。
【0010】
また、特許文献1では、正規化相関法など、2つの画像の輪郭線を一致させようとするマッチングアルゴリズムが用いられている。そして、登録パターンとしては観測画像から取得したものが利用されている。しかしながら、半導体などの製造工程においては、ウェーハなどに形成される層のパターンは、前記したようにどうしても変形を生じる。そのため、特許文献1の場合にも、2つの画像の輪郭線を一致させようとするマッチングアルゴリズムを用いる限りは、パターンマッチングによる位置照合の精度を向上させることができない。
【0011】
以上の従来技術の問題に鑑み、本発明の目的は、2つの画像のパターンマッチングの成功率および精度を向上させることができ、しかも、測長などの検査作業の効率の低下を伴わない画像処理装置、画像処理方法および走査型電子顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像処理装置は、第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理装置であって、前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成手段と、前記重心分布画像と前記輪郭線線分群とに基づきマッチングスコアを算出するマッチングスコア算出手段と、前記マッチングスコアが最大になる位置を検出する最大スコア位置検出手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
また、本発明の走査型顕微鏡は、前記本発明の画像処理装置を用いて観測画像と登録パターンとの位置照合を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理装置では、第1の画像について重心分布画像生成手段により重心分布画像を生成する。重心分布画像は、いわば、重心位置からの距離を示す画像であり、その明るさを示す画素値が最大(または、最小でもよい)となる画素の位置が重心となる。一方、第2の画像からは、輪郭線線分群生成手段により輪郭線線分群を生成する。続いて、マッチングスコア算出手段により、前記生成された輪郭線線分群ついて重心分布画像から求められるスコアを計算し、その総和をもってマッチングスコアとする。そして、最大スコア位置検出手段により、前記マッチングスコアが最大になる位置を検出し、その位置において、第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングが成功したと判断する。
【0014】
本発明においては、パターンマッチング対象の2つの画像は、それぞれの画像の輪郭線が一致するようにマッチングするのではなく、それぞれの画像の重心が一致するようにマッチングする。前記したように、半導体ウェーハなどに形成される構造物のパターンの変形は、主として、線幅などが大きくまたは小さくなったり、矩形の角が丸くなったりする変形である。このような変形の場合には、そのパターンの重心の位置はあまり変わらない。そのため、パターンマッチング対象の一方の画像にそのような変形があったとしても、パターンマッチングに失敗することはなく、また、高精度のパターンマッチングを行うことができるようになる。
【0015】
また、本発明の走査型顕微鏡においては、登録パターンとしてCADデータによる登録パターンを利用することができるので、特許文献1の場合において行われる登録パターンの再登録の作業は必要とされない。そのため、測長などの検査においてその効率が低下することはない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2つの画像について、パターンマッチングの成功率および精度を向上させることができ、さらには、走査型顕微鏡を用いた測長などの検査作業における効率低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図12を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る走査型電子顕微鏡(SEM)の構成を示したブロック図である。図1に示すように、SEM10は、電子銃11、電子レンズ12、偏向器13、電子検出器17などを含んで構成される鏡体1に、電子線走査制御部2、観測画像生成部3、画像処理装置4などが接続されて構成される。なお、電子検出器17と観測画像生成部3との間には、増幅器18が配置される。
【0019】
鏡体1においては、電子銃11から電子線14が出射され、試料15の表面に照射される。このとき、電子線14は、電子レンズ12によって集束され、その焦点が試料15の表面に位置するように制御される。また、偏向器13は、電子線走査制御部2によって制御され、電子線14の照射位置(焦点位置)が試料15表面の所定の領域を走査するように、電子線14の偏向を制御する。
【0020】
電子線14が試料15表面に照射されると、試料15表面からは、電子線14の反射電子および試料15の内部からのは2次電子が放出される。ここでは、反射電子および2次電子をあわせて放出電子16と呼ぶ。放出電子16は、電子検出器17によって検出され、その検出信号は、増幅器18によって増幅され、観測像信号として観測画像生成部3へ入力される。観測画像生成部3は、その入力された観測像信号をAD(Analog to Digital)変換し、変換されたディジタル信号に基づき、2次元表示画像の各画素の明るさを示す観測画像データを生成する。生成された観測画像データは、画像処理装置4に送付され、観測画像記憶部47に記憶される。
【0021】
画像処理装置4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と記憶装置とを備えたコンピュータによって構成され、CPUが記憶装置に格納されているプログラムを実行することによって、画像処理装置4の所定の機能を実現する。本実施形態においては、そのプログラムは、塗り分け画像生成部41、重心分布画像生成部42、輪郭線線分群生成部43、マッチングスコア算出部44、最大スコア位置検出部45などを含む。
【0022】
また、画像処理装置4は、さらに、パターンマッチングの基準となる登録パターンを記憶する登録画像記憶部46、観測画像生成部3で生成された観測画像データを記憶する観測画像記憶部47、試料15に形成される集積回路などのCAD画像データを記憶するCAD画像記憶部(図示せず)、観測画像やCAD画像を表示する表示装置48、LAN(Local Area Network)に接続される通信装置(図示せず)を備える。
【0023】
ここで、CAD画像データとは、試料15(集積回路、液晶、露光用マスクなど)の設計時に作成されたCADデータのうち、試料15の製造工程を経て形成される層ごとの外形を示すデータをいう。CAD画像データは、通常、設計ワークステーションなどに保管されており、検査実施時など必要に応じて設計ワークステーションなどからLANおよび通信装置を介して取得する。また、登録パターンについては、検査実施時など必要に応じて、適宜、CAD画像からその一部を切り出し、切り出したCAD画像を登録パターンとする。
【0024】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置において実行されるパターンマッチング処理のフローチャートを示した図である。画像処理装置4は、まず、登録画像記憶部46に記憶されている登録パターンの塗り分け画像を生成する(ステップS21)。一般に、集積回路などのCAD画像データは閉図形で表現されているため、登録パターンの塗り分けは、その閉図形の内側または外側を塗りつぶせばよい。
【0025】
次に、生成された塗り分け画像を平滑化し、重心分布画像を生成する(ステップS22)。この塗り分け画像の平滑化処理は、ガウスフィルタ、移動平均フィルタなどの空間フィルタや、周波数解析による高周波成分除去処理などを用いて実現することができる。なお、一般には、画像処理における平滑化処理は、画像の低周波成分による画像生成技術として知られており、従って、ステップS22の平滑化処理には、平滑効果がある他の画像処理技術を利用してもよい。
【0026】
続いて、画像処理装置4は、観測画像記憶部47に記憶されている試料15の観測画像の輪郭線を抽出し、観測画像の輪郭線線分群を生成する(ステップS23)。ここで、輪郭線線分群とは、観測画像として表示された構造物の輪郭線を直線の線分で表示したときのその線分の集合をいう。この輪郭線群を生成する処理では、例えば、ソーベルフィルタやラプラシアンフィルタなどの微分フィルタ処理により観測画像の輪郭線を強調した後、二値化処理により輪郭線を抽出し、さらに、細線化処理を施し、輪郭線線分群とする。
【0027】
次に、ステップS22およびS23でそれぞれ生成された重心分布画像および輪郭線群からマッチングスコアを算出する(ステップS24)。マッチングスコアの算出は、重心分布画像と輪郭線線分群を重ね合わせたとき、輪郭線線分群の各線分ごとに重心分布画像と重なる位置の画素の明るさを示す値(以下、「画素値」という)を取得し、取得した各線分ごとの画素値の、例えば、分散値を算出する。この場合、各線分ごとの画素値の分散値が小さいほど、登録パターンから生成した重心分布画像の重心位置と、観測画像から生成した輪郭線線分群の重心位置とは近くなる。そこで、輪郭線線分群の各線分の画素値の分散をdとして、マッチングスコアSCを式(1)により算出する。
SC=exp(−d) (1)
式(1)により、マッチングスコアSCが大きいほど登録パターンの重心位置と観測画像の重心位置が近いと判断することができる。
【0028】
次に、重心分布画像と輪郭線線分群との相対位置を変化させ、各相対位置でマッチングスコアSCを算出し、そのマッチングスコアSCが最大になる位置を最大スコア位置として検出する(ステップS25)。このようにして検出された最大スコア位置は、重心分布画像と輪郭線線分群とが位置合わせされた位置であり、従って、登録パターンと観測画像とが位置合わせされた位置である。そして、この最大スコア位置をパターンマッチングの結果とする。
【0029】
なお、以上に示したパターンマッチングの処理の説明において、重心位置の定義は、やや、あいまいではあるが、経験的には、その処理によって求められた最大スコア位置は、被検査対象のウェーハなどに形成されたパターンの変形に対して安定している。そのため、従来の正規化相関法などを用いたパターンマッチングの場合に比べ、その位置合わせ精度を確実に向上させることができる。
【0030】
また、図2では、登録パターンから重心分布画像を生成し、観測画像から輪郭線線分群を生成し、パターンマッチングを行うことを示したが、逆に、観測画像から重心分布画像を生成し、登録パターンから輪郭線線分群を生成し、パターンマッチングを行うとしてもよい。
【0031】
また、ここでは、登録パターンをCAD画像データからその一部を切り出すとしたが、観測画像からその一部を切り出すとしてもよい。その場合には、観測画像から重心分布画像を生成し、他の観測画像から輪郭線線分群を生成し、観測像どうしでパターンマッチングを行うことになる。
【0032】
また、ステップS21の塗り分け画像生成処理においては、登録パターンの閉図形を塗りつぶす際に、内側または外側のどちらを塗りつぶすかによって、画素値の大小関係が反転した重心分布画像が生成される。しかしながら、マッチングスコアSCは、式(1)に従い、輪郭線線分群の各線分の画素値の分散値により算出しているため、画素値の大小関係が反転しても各相対位置でのマッチングスコアSCの大小関係は変化しない。従って、内側または外側のいずれを塗りつぶしても、同じように、登録パターンと観測画像とのパターンマッチングを行うことができる。
【0033】
また、ここでは、輪郭線線分群を、輪郭線を構成する直線線分の集合として、パターンマッチング処理を行ったが、輪郭線線分群を、輪郭線を構成する点の集合として、パターンマッチング処理を行ってもよい。
【0034】
以下、図3〜図12においては、具体的な画像の例を用いて、以上に説明したパターンマッチング処理について説明する。
【0035】
<重心分布画像の生成の例1>
図3は、CAD画像の登録パターンから重心分布画像を生成する例を示した図である。図3において、CAD画像301は、例えば、矩形の登録パターン305を含む。このとき、登録パターン305は、通常、線分または点などの座標データの並びとして表現されるが、ビットマップ画像データで表現してもよい。このとき、座標データの並びの情報からビットマップ画像データへの変換は、容易に行うことができる。また、登録パターン305の中心位置304は、矩形の線分の座標データから容易に算出することができる。なお、登録パターン305の横方向中心線302および縦方向中心線303は、以下の説明の便宜のために図示したものであり、実際にはCAD画像301上には描画されない。
【0036】
画像処理装置4は、塗り分け画像の生成処理(ステップS21)において、登録パターン305を含むCAD画像301を塗り分け、塗り分け画像306を生成する。ここでは、登録パターン305の内側を白色で、外側を黒色で塗り分けている。次に、塗り分け画像306に対して平滑化の処理を施し、重心分布画像307を生成する(ステップS22)。重心分布画像307にも、横方向中心線310、縦方向中心線311および中心位置312を表示しているが、これらは、それぞれCAD画像301に表示されている横方向中心線302、縦方向中心線303および中心位置304に対応し、それらと同様に実際には重心分布画像307上には描画されない。
【0037】
重心分布画像307の特徴は、CAD画像301上の登録パターン305の中心位置304と座標が同一の中心位置312を中心として、画素値がなだらかに変化することである。図3において、横方向画素値プロファイル308は、重心分布画像307の横方向中心線310上での画素値プロファイルであり、縦方向画素値プロファイル309は、重心分布画像307の縦方向中心線311上での画素値プロファイルである。
【0038】
ここで、横方向画素値プロファイル308は、中心位置312で画素値の最大値313をとり、最大値313から離れるに従い画素値がなだらかに小さくなる。また、縦方向画素値プロファイル309は、中心位置312で画素値の最大値314をとり、最大値314から離れるに従い画素値がなだらかに小さくなる。なお、ここでは、画素値プロファイルを横方向中心線310および縦方向中心線311の位置を例として説明したが、中心位置312を通る直線上における画素値プロファイルは、いずれも、その画素値が中心位置312から距離が離れるに従い小さくなる。
【0039】
このように重心分布画像307は、CAD画像301の中心位置304からの距離を反映する画像である。また、重心分布画像307は、CAD画像301から生成した塗り分け画像306に対して、平滑化処理を行い、低周波成分を強調した画像であるので、CAD画像301の形状の低周波成分を反映した画像であるともいえる。
【0040】
また、マッチングスコア算出処理(ステップS24)においては、重心分布画像307の全領域で輪郭線線分群の分散値を算出可能とし、さらに、マッチングスコアの算出を可能にするため、重心分布画像307は、その画素値が全領域にわたり、なだらかに変化するように平滑化されていることが望ましい。
【0041】
塗り分け画像306に対して、平滑化処理をどれだけ行うかについては、登録パターン305の大きさと、CAD画像301、つまり、塗り分け画像306の大きさに基づき決定することができる。このとき、最小線幅315は、CAD画像301内に存在する登録パターン305の最小線幅を示したものである。最小線幅315は、CAD画像301の座標計算から最も短い線分を選び出すこと、または、すべての座標組み合わせに対して直交距離を計算することなどによって算出することができる。なお、最小線幅315は、説明の便宜上図示したものであり、実際のCAD画像301上には描画されない。
【0042】
一般に、ガウスフィルタなどの平滑化処理では平滑化の大きさは、フィルタの大きさで決めることが可能である。従って、塗り分け画像306に対して平滑化処理を行い、画素値が全領域にわたりなだらかに変化するように平滑化するためには、画像の2倍の大きさの平滑化フィルタを使用することで可能である。しかし、CAD画像301がフィルタサイズに対して微細な場合には、過剰に平滑化が行われ、CAD画像301の形状が判別できなくなることがある。この現象を防ぐためは、最小線幅315に基づき平滑化のフィルタの大きさの上限値を設定しておけばよい。
【0043】
<重心分布画像の生成の例2>
図4は、露光シミュレーションに基づき重心分布画像を生成する例を示した図である。例えば、半導体集積回路などの製造工程においては、半導体ウェーハなどに回路素子の層を形成するために露光工程が何回も適用されるが、露光工程に際しては、露光の光学的な条件などを定めるために露光シミュレーションが行われている。この露光シミュレーションにおいて重心分布画像に相当する光強度画像405が得られるので、ここでは、光強度画像405を重心分布画像として利用する。
【0044】
露光シミュレーションにおいては、登録パターン402を含んだCAD画像401を用意し、CAD画像401から露光用マスク403を生成する。露光用マスク403は、登録パターン402に対し、光学的な干渉条件などをあらかじめ加味し、形状変化を加えたパターン404を含む。そして、その露光用マスク403に対して、光を透過させたときの半導体ウェーハ上での光のエネルギー分布をシミュレーションすると、その過程において光強度画像405が生成される。なお、光強度画像405を適当な画素値で二値化すると、露光シミュレーションの結果として登録パターン402と大きさが近い矩形407を含むシミュレーション画像406が生成される。
【0045】
このようにして得られた光強度画像405は、CAD画像401の登録パターン402の中心からの距離と低周波による形状を表現したものとなっているので、光強度画像405を重心分布画像として利用することが可能である。
【0046】
<重心分布画像の生成の例3>
図5は、SEMによる観測画像に基づき重心分布画像を生成する第1の例を示した図である。図5において、SEMによる観測画像501では、構造物502がホワイトバンドと呼ばれる明るい輪郭線で囲まれているのが観察される。これは、平坦な部分よりも構造物の角から電子がより多く検出されるという物理現象の反映であり、半導体製造の検査工程などで得られるSEMの観測画像でよく見られる現象である。
【0047】
本例の場合、画像処理装置4は、まず、観測画像501上のホワイトバンドを含む構造物502について、その輪郭線の抽出処理を行い、構造物502の輪郭線504を含んだ輪郭線画像503を生成する。ここで、輪郭線の抽出処理は、既存の画像処理技術であるソーベルフィルタ、ラプラシアンフィルタを用い、さらに、二値化処理することによって行うことができる。次に、画像処理装置4は、輪郭線504で分けられた二つの領域に対して2値の画素値で塗り分けを行い、塗り分け画像505を生成する。そして、塗り分け画像505に対して平滑化処理を行うことによって重心分布画像506を生成する。
【0048】
このようにして観測画像501から生成した生成した重心分布画像506は、構造物502の中心からの距離と低周波による形状を表現したものとなっているので、SEMによる他の観測画像またはCAD画像から抽出した輪郭線線分群とのパターンマッチングが可能である。
【0049】
<重心分布画像の生成の例4>
図6は、SEMによる観測画像に基づき重心分布画像を生成する第2の例を示した図である。本例の場合にも、観測画像601には構造物602を囲むホワイトバンドが観察される。画像処理装置4は、まず、ホワイトバンドの画素値を持つ画素を周辺の画素値で埋める処理を行い、このホワイトバンドを消去し、領域画像605を生成する。
【0050】
ホワイトバンドを周辺の画素値で埋める処理は、ホワイトバンドの画素値が他の領域よりも大きいことを利用して行う。すなわち、画像処理装置4は、SEMによる観測画像601のヒストグラム603を生成し、そのヒストグラム603からホワイトバンドの画素値を判定する。ここで、ヒストグラム603の横軸は画素値を表し、縦軸はその画素値の頻度つまり画素数を表す。次に、画像処理装置4は、ヒストグラム603から画素値の閾値604を抽出し、観測画像601の画素値が閾値604より大きい画素をホワイトバンドに含まれる画素と判定する。そこで、画素値が閾値604以上と判定された画素については、その画素の最も近くにあり、かつ、閾値604以下の画素値を持つ画素で埋める処理を行う。そして、この処理を画素値が閾値604以上のすべての画素について実行することによって、領域画像605を生成する。
【0051】
続いて、画像処理装置4は、領域画像605に対して平滑処理を行うことにより、重心分布画像607を生成する。このようにして生成した重心分布画像607は、構造物602の中心からの距離と低周波による形状を表現したものになっているので、SEMによる他の観測画像またはCAD画像から抽出した輪郭線線分群とのパターンマッチングが可能である。
【0052】
<輪郭線線分群の生成の例1>
図7は、CAD画像から輪郭線線分群を生成する例を示した図である。図7に示すように、CAD画像701に含まれる矩形702などのパターンは、通常、その形状を表す外形線で表現される。すなわち、矩形702などのパターンは、画像処理装置4においては、線分または点などの座標データの並びとして表現される。そこで、画像処理装置4は、その線分または点などの座標データの並びから輪郭線線分の座標データを取得し、輪郭線線分群703を生成する。
【0053】
<輪郭線線分群の生成の例2>
図8は、SEMによる観測画像から輪郭線線分群を生成する例を示した図である。画像処理装置4は、観測画像801に対してソーベルフィルタやラプラシアンフィルタなどの微分フィルタを適用し、構造物802の輪郭線情報を強調する。そして、画像処理装置4は、二値化処理により画素値が高い画素を抽出し、細線化を行い、輪郭線線分群803を生成する。このとき、輪郭線線分群803の線分は、その始点と終点との座標データで表現する。
【0054】
<マッチングスコア算出の例1>
図9は、重心分布画像に輪郭線線分群を重ね合わせ、マッチングスコアを算出する第1の例を示した図である。図9には、輪郭線線分群を2通りの位置に変えて重ね合わせた重心分布画像901,911が示されているが、まず、重心分布画像901を用いて、マッチングスコアを算出する例につい説明する。
【0055】
画像処理装置4は、重心分布画像901の上に輪郭線線分902,904,906,908を重ね合わせ、輪郭線線分ごとに重心分布画像901に重なる位置の画素値を得る。すなわち、輪郭線線分902に対しては画素値903(a=1)、輪郭線線分904に対しては画素値905(a=3)、輪郭線線分906に対しては画素値907(a=1)、輪郭線線分908に対しては画素値909(a=3)を得る。次に、これら画素値903,905,907,909の分散値を算出し(分散値=1)、前記した式(1)に従ってマッチングスコア910を算出する(SC1=0.36)。
【0056】
次に、重心分布画像901に対して、輪郭線線分群の相対位置を変化させた場合の画像を重心分布画像911とする。画像処理装置4は、重心分布画像911の上に輪郭線線分902,904,906,908を重ね合わせ、輪郭線線分ごとに重心分布画像911に重なる位置の画素値を得る。すなわち、輪郭線線分902に対しては画素値913(a=2)、輪郭線線分904に対しては画素値915(a=2)、輪郭線線分906に対しては画素値917(a=2)、輪郭線線分908に対しては画素値919(a=2)を得る。次に、これら画素値913,915,917,919の分散値を算出し(分散値=0)、式(1)に従ってマッチングスコア920を算出する(SC2=1.0)。
【0057】
図9において、重心分布画像901の場合には、輪郭線線分902,904,906,908の中心が重心分布画像の中心からずれているため、画素値903,905,907,909にばらつきを生じる。そのため、式(1)において、その分散値dが大きくなり、マッチングスコアSCが小さくなる。一方、重心分布画像911の場合には、輪郭線線分902,904,906,908の中心が重心分布画像の中心に近いため、画素値913,915,917,919のばらつきがほとんどない。そのため、式(1)において、その分散値dが小さくなり、マッチングスコアSCが大きくなる。
【0058】
なお、マッチングスコアを算出する方法は、式(1)のように分散値に基づき算出するのではなく、線分に対応する位置の画素値の平均値に対して、平均値から一定以内の画素値の頻度をスコアとして算出する方法などを用いてもよい。また、輪郭線線分と重ね合わせたときに、その輪郭線線分の位置に対応する重心分布画像の画素値からスコアを計算するのではなく、輪郭線線分の位置に対応する重心分布画像の位置の1次微分値または2次微分値を求め、それらの分散値または平均値に基づき、マッチングスコアを算出するようにしてもよい。
【0059】
<マッチングスコア算出の例2>
図10は、重心分布画像に輪郭線線分群を重ね合わせ、マッチングスコアを算出する第2の例を示した図である。画像処理装置4は、重心分布画像1001の上に輪郭線線分1002,1004,1006,1008を重ね合わせ、輪郭線線分ごとに重心分布画像1001に重なる位置の画素値を得る。すなわち、輪郭線線分1002に対しては画素値1003(a=1)、輪郭線線分1004に対しては画素値1005(a=3)、輪郭線線分1006に対しては画素値1007(a=2)、輪郭線線分1008に対しては画素値1009(a=2)を得る。
【0060】
次に、画像処理装置4は、輪郭線線分群の輪郭線線分1002,1004,1006,1008を方向によりグループ分けを行う。ここでは、輪郭線線分1002,1004を縦方向線分群とし、輪郭線線分1006,1008を横方向線分群とする。そして、画像処理装置4は、グループごとに各々の輪郭線線分に対応する画素値の分散値を求め、マッチングスコアの算出式1010によりマッチングスコアSC3を求める。すなわち、画素値1003および画素値1005の分散値と、画素値1007および画素値1009の分散値との和に基づき、マッチングスコアSC3を算出する。
【0061】
以上のように縦方向線分群と横方向線分群とに分けて分散値を求め、マッチングスコアを算出すると、重心分布画像と輪郭線分群とが縦方向と横方向とでその形状変形の大きさが異なる場合に対しても、重心分布画像の中心位置と輪郭線線分群の中心位置とをより正しく一致させることができる。
【0062】
なお、マッチングスコアを算出する方法は、式(1)のように分散値に基づき算出するのではなく、線分に対応する位置の画素値の平均値に対して、平均値から一定以内の画素値の頻度をスコアとして算出する方法などを用いてもよい。また、輪郭線線分と重ね合わせたときに、その輪郭線線分の位置に対応する重心分布画像の画素値からスコアを計算するのではなく、輪郭線線分の位置に対応する重心分布画像の位置の1次微分値または2次微分値を求め、それらの分散値または平均値に基づき、マッチングスコアを算出するようにしてもよい。
【0063】
また、本例のように、輪郭線線分群を方向別に分離した場合にも、マッチングスコア計算式1010により分散値によりスコアの計算を行うのではなく、図9の場合と同様に、線分に対応する位置の画素値の平均値からスコアを計算してもよい。また、輪郭線線分の位置に対応する重心分布画像の位置の画素の画素値の1次微分または2次微分値を求め、それらの分散値または平均値に基づきスコアを計算してもよい。
【0064】
<輪郭線線分群と等高線画像とのパターンマッチングの例>
図11は、輪郭線線分群と重心分布画像から生成される等高線画像とのパターンマッチングの例を示した図である。画像処理装置4は、まず、重心分布画像1102を所定の画素値を閾値として二値化し、その二値化画像から輪郭線を抽出し、等高線画像1103,1105,1107を生成する。ここでは、重心分布画像1102に対して高い閾値で二値化することによって、等高線画像1103を生成し、中間の閾値で二値化することによって、等高線画像1105を生成し、低い閾値で二値化することによって、等高線画像1107を生成する。この場合、高い閾値で二値化した等高線画像1103には、小さい矩形1104が生成され、中間の閾値で二値化した等高線画像1105には、中間の大きさの矩形1106が生成され、低い閾値で二値化した等高線画像1107には、大きい矩形1108が作成される。
【0065】
次に、画像処理装置4は、所定のCAD画像または観測画像からパターンマッチング対象の輪郭線線分群1101を含んだ輪郭線画像1109を作成する。そして、輪郭線画像1109と等高線画像1103,1105,1107とに対し、正規化相関法に基づきパターンマッチングを行う。その場合、輪郭線画像1109は、その輪郭線線分群1101とできるだけ同じ大きさの矩形を有する等高線画像とパターンマッチングしたときに、最も高い正規化相関値を得ることができる。すなわち、複数の等高線画像のうち最も高い正規化相関値が得られた等高線画像の矩形は、輪郭線画像1109の輪郭線線分群1101に近く、従って、そのパターンマッチングによって位置合わせも精度よく行うことができる。
【0066】
本例を、半導体集積回路などの製造工程における露光シミュレーションで得られる光強度画像とSEMによる観測画像とのパターンマッチングに適用した場合、重心分布画像として光強度画像を用い、輪郭線線分群として観測画像から生成した輪郭線画像を用いることによって、光強度画像と観測画像との精密な位置合わせが可能となり、また、適切な閾値設定が可能となる。
【0067】
なお、本例において、パターンマッチングは、正規化相関法に限らず、正規化相関法の代わりに一般化ハフ変換法などの画像と画像を一致させるパターンマッチング方法を用いることができる。
【0068】
<重心分布画像どうしのパターンマッチングの例>
図12は、重心分布画像どうしでパターンマッチングを行う例を示した図である。本例においては、画像処理装置4は、観測画像1201から重心分布画像1202を生成する。その生成は、図5または図6に示した方法によって行うことができる。また、画像処理装置4は、CAD画像1203から重心分布画像1204を生成する。その生成は、図3または図4に示した方法によって行うことができる。
【0069】
このようにして生成された重心分布画像1202,1204に対して、画像処理装置4は、正規化相関法によるパターンマッチングを行い、相互のパターンの中心位置を算出し、その中心位置の位置合わせを行う。すなわち、この方法では、パターンマッチングと同時に位置合せができる。なお、この場合、重心分布画像1202と重心分布画像1204の中心方向への画素値の変化(勾配)を合わせておくことが必要である。
【0070】
なお、本例に示したパターンマッチングの方法は、観測画像1201とCAD画像1203との組み合わせ以外にも、観測画像と観測画像との組み合わせ、CAD画像とCAD画像との組み合わせで、中心位置を位置合わせするパターンマッチングが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係る走査型電子顕微鏡(SEM)の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理装置において実行されるパターンマッチング処理のフローチャートを示した図である。
【図3】本実施形態において、CAD画像の登録パターンから重心分布画像を生成する例を示した図である。
【図4】本実施形態において、露光シミュレーションに基づき重心分布画像を生成する例を示した図である。
【図5】本実施形態において、SEMによる観測画像に基づき重心分布画像を生成する第1の例を示した図である。
【図6】本実施形態において、SEMによる観測画像に基づき重心分布画像を生成する第2の例を示した図である。
【図7】本実施形態において、CAD画像から輪郭線線分群を生成する例を示した図である。
【図8】本実施形態において、SEMによる観測画像から輪郭線線分群を生成する例を示した図である。
【図9】本実施形態において、重心分布画像に輪郭線線分群を重ね合わせ、マッチングスコアを算出する第1の例を示した図である。
【図10】本実施形態において、重心分布画像に輪郭線線分群を重ね合わせ、マッチングスコアを算出する第2の例を示した図である。
【図11】本実施形態において、輪郭線線分群と重心分布画像から生成される等高線画像とのパターンマッチングの例を示した図である。
【図12】本実施形態において、重心分布画像どうしでパターンマッチングを行う例を示した図である。
【符号の説明】
【0072】
1 鏡体
2 電子線走査制御部
3 観測画像生成部
4 画像処理装置
10 SEM
11 電子銃
12 電子レンズ
13 偏向器
14 電子線
15 試料
16 放出電子
17 電子検出器
18 増幅器
41 塗り分け画像生成部
42 重心分布画像生成部
43 輪郭線線分群生成部
44 マッチングスコア算出部
45 最大スコア位置検出部
46 登録画像記憶部
47 観測画像記憶部
48 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理装置であって、
前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、
前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成手段と、
前記重心分布画像と前記輪郭線線分群とに基づきマッチングスコアを算出するマッチングスコア算出手段と、
前記マッチングスコアが最大になる位置を検出する最大スコア位置検出手段と、
を含んで構成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理装置であって、
前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、
前記重心分布画像に基づき複数の等高線パターンからなる等高線画像を生成する等高線画像生成手段と、
前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成手段と、
前記複数の等高線パターンと輪郭線線分群を構成する輪郭線線分とのパターンマッチングを行うパターンマッチング手段と、
を含んで構成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理装置であって、
前記第1の画像に基づき第1の重心分布画像を生成するとともに、前記第2の画像に基づき第2の重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、
前記第1の重心分布画像と前記第2の重心分布画像とのパターンマッチングを行うパターンマッチング手段と、
を含んで構成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記重心分布画像生成手段が、
前記第1の画像に基づき塗り分け画像を生成する手段と、
前記生成された塗り分け画像を平滑化する手段と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記重心分布画像生成手段が、
前記第1の画像に基づく露光用マスクを用いて露光シミュレーションを行う露光シミュレーション手段
を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータによって第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理方法であって、
前記コンピュータが、
前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成ステップと、
前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成ステップと、
前記重心分布画像と前記輪郭線線分群とに基づきマッチングスコアを算出するマッチングスコア算出ステップと、
前記マッチングスコアが最大になる位置を検出する最大スコア位置検出ステップと、
を含むステップを実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータによって第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理方法であって、
前記コンピュータが
前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成ステップと、
前記重心分布画像に基づき複数の等高線パターンからなる等高線画像を生成する等高線画像生成ステップと、
前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成ステップと、
前記複数の等高線パターンと輪郭線線分群を構成する輪郭線線分とのパターンマッチングを行うパターンマッチングステップと、
を含むステップを実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータによって第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理方法であって、
前記コンピュータが、
前記第1の画像に基づき第1の重心分布画像を生成するとともに、前記第2の画像に基づき第2の重心分布画像を生成する重心分布画像生成ステップと、
前記第1の重心分布画像と前記第2の重心分布画像とのパターンマッチングを行うパターンマッチングステップと、
を含むステップを実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記重心分布画像生成ステップは、
前記第1の画像に基づき塗り分け画像を生成するステップと、
前記生成された塗り分け画像を平滑化するステップと、
を含むことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記重心分布画像生成ステップは、
前記第1の画像に基づく露光用マスクを用いて露光シミュレーションを行う露光シミュレーションステップ
を含むことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
電子線の照射部位が試料の所定の領域を走査するように前記電子線を走査制御する電子線走査制御手段と、
前記試料に電子線が照射されたとき、前記試料の前記電子線が照射された部位から放出される電子を検出し、その検出した電子の量に基づき、前記電子線が走査した前記試料の領域の観測画像を生成する観測画像生成手段と、
少なくとも一方を前記観測画像とする第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理手段と、
を備えた走査型電子顕微鏡であって、
前記画像処理手段が、
前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、
前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成手段と、
前記重心分布画像と前記輪郭線線分群とに基づきマッチングスコアを算出するマッチングスコア算出手段と、
前記マッチングスコアが最大になる位置を検出する最大スコア位置検出手段と、
を含むことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項12】
電子線の照射部位が試料の所定の領域を走査するように前記電子線を走査制御する電子線走査制御手段と、
前記試料に電子線が照射されたとき、前記試料の前記電子線が照射された部位から放出される電子を検出し、その検出した電子の量に基づき、前記電子線が走査した前記試料の領域の観測画像を生成する観測画像生成手段と、
少なくとも一方を前記観測画像とする第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理手段と、
を備えた走査型電子顕微鏡であって、
前記画像処理手段が、
前記第1の画像に基づき重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、
前記重心分布画像に基づき複数の等高線パターンからなる等高線画像を生成する等高線画像生成手段と、
前記第2の画像に基づき輪郭線線分群を生成する輪郭線線分群生成手段と、
前記複数の等高線パターンと輪郭線線分群を構成する輪郭線線分とのパターンマッチングを行うパターンマッチング手段と、
を含むことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項13】
電子線の照射部位が試料の所定の領域を走査するように前記電子線を走査制御する電子線走査制御手段と、
前記試料に電子線が照射されたとき、前記試料の前記電子線が照射された部位から放出される電子を検出し、その検出した電子の量に基づき、前記電子線が走査した前記試料の領域の観測画像を生成する観測画像生成手段と、
少なくとも一方を前記観測画像とする第1の画像と第2の画像とのパターンマッチングを行う画像処理手段と、
を備えた走査型電子顕微鏡であって、
前記画像処理手段が、
前記第1の画像に基づき第1の重心分布画像を生成するともに、前記第2の画像に基づき第2の重心分布画像を生成する重心分布画像生成手段と、
前記第1の重心分布画像と前記第2の重心分布画像とのパターンマッチングを行うパターンマッチング手段と、
を含むことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項14】
前記重心分布画像生成手段が、
前記第1の画像に基づき塗り分け画像を生成する手段と、
前記生成された塗り分け画像を平滑化する手段と、
を含むことを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載の走査型電子顕微鏡。
【請求項15】
前記重心分布画像生成手段が、
前記第1の画像に基づく露光用マスクを用いて露光シミュレーションを行う露光シミュレーション手段
を含んで構成されることを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載の走査型電子顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−79982(P2007−79982A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267506(P2005−267506)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】