画像処理装置及びその処理方法、コンピュータプログラム、記憶媒体
【課題】色ずれ補正によるモアレ発生を抑制することを目的とする。
【解決手段】画像データを記憶する手段406と、画像形成部の像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する手段403と、露光ずれ量に基づいて、画像データの配置を変更した変更画像データを生成する手段408と、変更画像データから注目画素を選択する手段と、注目画素を含む周辺の画素を抽出する手段と、周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出する手段と、変更画像データをディザ処理する手段410と、変更画像データを誤差拡散処理する手段411と、注目画素に関連付けられた差分に基づいて、ディザ処理と、誤差拡散処理との比率を注目画素について設定する手段409と、注目画素について、ディザ処理および誤差拡散処理された変更画像データを当該比率に基づいて混合処理する手段412とを備える。
【解決手段】画像データを記憶する手段406と、画像形成部の像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する手段403と、露光ずれ量に基づいて、画像データの配置を変更した変更画像データを生成する手段408と、変更画像データから注目画素を選択する手段と、注目画素を含む周辺の画素を抽出する手段と、周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出する手段と、変更画像データをディザ処理する手段410と、変更画像データを誤差拡散処理する手段411と、注目画素に関連付けられた差分に基づいて、ディザ処理と、誤差拡散処理との比率を注目画素について設定する手段409と、注目画素について、ディザ処理および誤差拡散処理された変更画像データを当該比率に基づいて混合処理する手段412とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、モアレ発生を抑制して良好な画像を出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル化した画像データをレーザービームプリンタ等のデジタルプリンタから出力し画像を再現するデジタル複写装置等のデジタル画像処理装置は、デジタル機器の発展により、従来のアナログ画像処理装置に代わり広く普及している。
【0003】
このデジタル画像処理装置は、中間調を再現するためディザ法等のハーフトーン処理により階調再現を行う方法が一般にとられている。
【0004】
ディザ法による階調再現は、平坦部のように高周波成分が少ない部分においては良好であるが、文字・細線部においてはジャギーと呼ばれる途切れが発生することがある。そして、ディザの持つ周期が入力画像に含まれる高周波成分(特にディザの周期に近い周期的パターン)と干渉し、モアレ現象と呼ばれる周期的な縞模様が発生するという欠点があった。
【0005】
これに対し、ディザ法以外の階調再現手法として誤差拡散法がある。この方法は入力画像データの画素濃度と出力画素濃度との画素毎の濃度差(量子化誤差)を演算し、この演算結果である量子化誤差を特定の重みづけを施した後に、注目画素の周辺画素に拡散させていく方法である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
この方法には周期性がなく、高解像度な出力画像を得られるため、モアレ現象や、文字・細線部のジャギーが発生しない。
【0007】
しかし、この誤差拡散法には、出力画像に独特な縞パターン(テクスチャ)が生じる、電子写真においては画像のハイライト部やダーク部での粒状性ノイズが目立つ等の欠点があった。
【0008】
ディザ法や誤差拡散法の欠点を除去し、高品位に且つ精細に画像を再現する方法として、入力画像に対して、ディザ法と誤差拡散法の分配率を決定し、ディザ処理と誤差拡散処理を切り替える処理方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−161504号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】"An Adaptive Algorithm for Spatial Gray Scale"in society for Information Display 1975 Symposium Digest of Technical Papers,1975,36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1には、次のような問題がある。
【0012】
特許文献1の手法において、誤差拡散法の量子化レベル数が一定であると階調補正箇所の画像濃度値と該画像濃度値に対するトナー濃度の関係がリニアでないために、色ずれ補正後画像を印字すると濃度値が一定でない画像が印字されることがある。従って、このような不均一な濃度値が周期的に繰り返された場合、モアレが顕在化してしまい、良好なカラー画像が得られないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、例えば本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、像担持体と、当該像担持体に走査露光する露光部と、並びに、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有して記録媒体に画像を形成する画像形成部が、記録媒体の搬送方向に沿って複数個並設されている画像処理装置であって、前記画像形成部で形成される画像に対応する画像データを記憶する画像データ記憶手段と、前記画像形成部の前記像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する露光ずれ量記憶手段と、該露光ずれ量記憶手段に記憶された前記露光ずれ量に基づいて、前記画像データを構成する各画素の配置を変更した変更画像データを生成する生成手段と、前記変更画像データから注目画素を選択する選択手段と、前記注目画素を含む周辺の画素を前記変更画像データから抽出する抽出手段と、前記周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出し、当該差分を前記注目画素に関連付ける算出手段と、前記変更画像データをディザ処理するディザ処理手段と、前記変更画像データを誤差拡散処理する誤差拡散処理手段と、前記注目画素に関連付けられた前記差分に基づいて、前記ディザ処理と、前記誤差拡散処理との比率を前記注目画素について設定する比率設定手段と、前記注目画素について、前記ディザ処理された前記変更画像データと、前記誤差拡散処理された前記変更画像データとを前記比率に基づいて混合処理する混合処理手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記の問題点を解決するためになされるもので、複雑な処理を追加する必要なく、色ずれ補正によるモアレ発生を抑制し、且つ、ディザ法や誤差拡散法の欠点を除去して良好な画像を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における画像処理装置の断面構造図である。
【図2】本発明の実施形態における感光ドラムに走査される主走査線のずれを説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置における、コントローラおよびエンジンのブロック構成を示す構成図である。
【図4】色ずれ補正部の構成の構成を示す構成図である。
【図5】座標カウンタおよび座標変換部の構成を示す構成図である。
【図6】色ずれ量記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図7】分配率決定部、ディザ処理部、および誤差拡散処理部における接続関係の一例を示すブロック図である。
【図8】分配率決定部の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態における色ずれ補正処理の処理手順を示すフローチャートを示す。
【図10】分配率テーブルの一例を示す図である。
【図11】誤差拡散処理における量子化値を説明するための図である。
【図12】色ずれ補正量が閾値以上の場合における変更画像データの一例を示す図である。
【図13】色ずれ量が閾値以下の場合における変更画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は本実施形態における画像処理装置の断面図である。
【0018】
図示のように、本実施形態における画像処理装置は、4ドラム方式のカラーレーザビームプリンタの構造を有する。なお、4ドラム方式は、4つの感光体ドラム14(C、M、Y、K)により記録される方式を示すものである。
【0019】
この画像処理装置は、図1に示すように右側面下部に転写材カセット53が装着される。転写材カセット53にセットされた記録媒体(記録紙、透過シート等)は、給紙ローラ54を介して一枚ずつ取り出される。そして、記録媒体は、搬送ローラ対55−a、55−bによって画像形成部に給送される。画像形成部には、記録媒体を搬送する転写搬送ベルト10が複数の回転ローラによって記録媒体搬送方向(図1では右から左方向)に扁平に張設されている。画像形成部の最上流部では、記録媒体が搬送ベルト10に静電吸着される。また、このベルトの搬送面に対向して4個の感光体ドラム14−C、Y、M、Kが直線状に複数個並設されて画像形成部を構成している。ここで、記録材であるCはシアン、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Kはブラックの各色成分を示している。
【0020】
なお、画像形成部において搭載されるトナーはそれぞれ、色が異なるだけで、構造上の違いはない。したがって、以下の説明では、色成分Cについて説明する。
【0021】
C色用の画像形成部は、感光ドラム14−Cの表面を一様に帯電させる帯電器50−C、C色トナーを収納し、感光ドラム14−C上に生成された静電潜像を顕像(現像)する現像部52−C、並びに、露光部51−Cを有する。現像部52−Cと帯電器50−Cとの間には、所定の間隙が設けられている。帯電器50−Cによってその表面が均一に帯電した感光ドラム14−C上に、上記間隙を介してレーザスキャナからなる露光部51−Cからレーザ光を露光部分に対して垂直となるように走査露光すると、走査露光した部分は非露光部分と異なる帯電状態となる。これにより静電潜像が生成される。現像部52−Cは、上記の静電潜像にトナーを転移させて顕像化(トナー像化;現像)する。
【0022】
転写搬送ベルト10の搬送面を挟んで転写部57−Cが配置されている。感光体ドラム14−Cの周面上に形成(現像)されたトナー象は、対応する転写部57において形成される転写電界によって、搬送されてきた記録媒体上に電荷吸着されて、記録媒体面上に転写される。
【0023】
上記処理を、他の色成分Y、M、Kについても同様に行うことで、C,M,Y,Kの各色トナーが記録媒体に次々と転写されることになる。この後、定着器58により記録媒体上の各色トナーを熱溶融して定着させた後、記録媒体は、排紙ローラ対59−a、59−bによって機外に排出される。
【0024】
なお、上記の説明は、記録媒体上に各色成分のトナー像を転写する例に関するものである。しかし、転写搬送ベルト上に各色成分のトナー像を転写したあと、その転写搬送ベルトに生成されたトナー像を記録媒体に再度転写する(二次転写)する構成でもよい。この場合の転写ベルトを中間転写ベルトという。
【0025】
図2は、像担持体である感光ドラム14−C(M,Y,Kでも良い)に走査される主走査線のずれを説明するためのイメージ図である。図示のX軸方向が、レーザ光の走査方向と同一の方向であり、Y軸方向は、感光ドラムの回転方向(記録媒体の搬送方向でもある)と同一の方向である。X軸は、レーザ光の移動する移動量を示し、Y軸は、記録媒体に対応した露光位置を示す。
【0026】
図中の符号21で示す直線が理想的な主走査線を示す。符号22で示す曲線は、感光体ドラム14の位置精度や径のずれ、および各色の露光部51−Cにおける光学系の位置精度ずれに起因した右上がりの傾きを持ち、かつ湾曲が発生している実際の主走査線の例を示す。
【0027】
符号22で示されるような主走査線の傾き、湾曲が、何れかの色の画像形成部において存在する場合、転写媒体に複数色のトナー像を一括転写すると、色ずれが発生することになる。
【0028】
本実施形態では、主走査方向(X方向)において、走査開始位置となるポイントAを基準点として、複数のポイント(ポイントB、ポイントC、ポイントD)で、理想的な主走査線21と、実際に測定された主走査線22とのずれ量を測定する。そして、ポイントごとに複数の領域に分割し、各ポイント間を結ぶ直線(Lab、Lbc、Lcd)により、各領域の主走査線の傾きを近似する。ここで、複数の領域は、Pa-Pb間を領域1、Pb-Pc間を領域2、Pc-Pd間を領域3とする。
【0029】
従って、ポイント間のずれ量の差(領域1はm1、領域2はm2-m1、領域3はm3-m2)が正の値の場合、各領域における主走査線は右上がりの傾きを示し、負の値の場合、右下がりの傾きを示す。なお、本実施形態では、領域の数を3つとしているが、これは便宜的なものであり、この数に限定されるものではない。
【0030】
図3は、本実施形態において、走査線の傾き、湾曲により発生する色ずれを補正する色ずれ補正処理の動作を説明するためのブロック図である。
【0031】
プリンタエンジン401は、コントローラ402により生成された画像ビットマップ情報に基づいて印字処理を行う。なお、コントローラ402は、基板に収容され、装置に収容した際に、プリンタエンジン401と電気的接続されることが可能である。
【0032】
色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kは、それぞれ、対応する色について色ずれ量を記憶する記憶部である。なお、当該記憶部は、装置製造段階で各色の画像形成部における上記の色ずれ量情報を書き込み、保持する。一例としては、EEPROM等の書き込み可能な不揮発性メモリで実現できる。なお、図示では、色成分毎に色ずれ量記憶部を設けるように示しているが、記憶する情報量は十分に少ないので1つのメモリ素子で全色成分の色ずれ量を記憶するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態における色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kは、図2に示す複数のポイント(A乃至D)で測定した実際の主走査線22と、理想的な主走査線21の副走査方向のずれ量を主走査線の傾き、および湾曲を示す情報として色ずれ量情報とを記憶する。
【0034】
図6は、色ずれ量記憶部403Cに記憶される色ずれ量の情報の例を示しており、L1乃至L3、及び、m1乃至m3はそれぞれ、図2に示す関係がある。
【0035】
なお本実施形態では、色ずれ量記憶部403に、理想的な主走査線と、実際の主走査線のずれ量を記憶するようにしているが、実際の主走査線の傾き、および湾曲の特性が識別可能な情報であれば、これに限ったものではない。また、色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kに記憶される情報は、先に説明したように、製造工程において、上記色ずれ量を測定し、装置固有の情報として予め記憶されるものである。但し、本装置自体に、上記ずれ量を検出する検出機構を準備して、各色の像担持体ごとにずれを測定するための所定のパターンを形成し、上記検出機構により検出した色ずれ量を記憶するような構成でもよい。なお、色ずれ量は、像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量である。
【0036】
コントローラ402は、色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kに記憶された主走査線の色ずれ量を相殺するように、各色成分毎の画像データを補正した変更画像データを生成して印刷処理を行う。以下は本実施形態におけるコントローラ402の各コンポーネントについての説明である。
【0037】
画像生成部404は、不図示の外部装置(例えばコンピュータ装置)等から受信する印刷データ(PDLデータ、イメージデータ等)に基づいて、印刷処理が可能なラスターイメージデータとしてドット毎のRGBデータとして画像データを生成する。そして、画像生成部404は、生成した画像データを色変換部405に出力する。この処理は、公知のものであるので詳述は省略する。
【0038】
色変換部405は、この画像データにおける各RGBデータを、プリンタエンジン401において処理可能なCMYK色空間のデータ(各8ビット)に変換する。そして、色変換部405は、各色空間データを画像データ記憶部としてのビットマップメモリ406C、M、Y、Kに記憶させる。
【0039】
ビットマップメモリ406C(M、Y、Kも同様)は、印刷処理を行うラスターイメージデータをさらに記憶して、1ページ分の画像データを蓄積するページメモリを有する。但し、複数ライン分のデータを記憶するバンドメモリのいずれでもよい。説明を単純なものとするため、ここでは1ページ分のC,M,Y,Kのビットマップデータを記憶する容量を有するものとして説明する。
【0040】
色ずれ補正量演算部407C、M、Y、Kは、色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kに記憶された主走査線の色ずれ量の情報に基づいて、主走査方向の座標情報に応じた副走査方向の色ずれ補正量を補正量算出する。そして、色ずれ補正量演算部407C、M、Y、Kは、その算出結果を色ずれ補正部408C、M、Y、Kにそれぞれ出力する。なお、色ずれ補正量は、副走査方向における露光ずれ補正量である。
【0041】
この算出は、具体的には、主走査方向の座標データをx(ドット)、副走査方向の色ずれ量をy(ドット)とした場合、図3を基にした各領域の演算式に基づいている。なお、実施形態における記録解像度は600dpiとする。
【0042】
領域1:y = x * (m1 / L1) (式1)
領域2:y = m1 * 23.622 + (x - L1 * 23.622) * ((m2 - m1)/(L2 - L1)) (式2)
領域3:y = m2 * 23.622 + (x - L2 * 23.622) * ((m3 - m2)/(L3 - L2)) (式3)
ここで、L1、L2、L3は、印刷開始位置から、領域1、領域2、領域3の右端までの主走査方向の距離(単位mm)である。m1、m2、m3は領域1、領域2、領域3の右端における理想的な主走査線21と、実際の主走査線22との間の値の差分である。
【0043】
色ずれ補正部408C、M、Y、Kは、上記式1から式3により求まる主走査線の傾き、歪みによる色ずれを補正するための処理を行う。色ずれ補正部408C、M、Y、Kは、色ずれ補正量演算部407C、M、Y、Kによってドット毎に算出される色ずれ補正量に基づいて、ビットマップメモリ406に記憶されたビットマップデータの出力タイミングの調整、および画素毎の露光量の調整を行う。この調整により、転写媒体に転写したときの色ずれ(レジストレーションずれ)を防ぐことができる。
【0044】
ディザ処理部410は、変更画像データに対し、公知の多値ディザ法によるディザ処理で階調再現を行った画像データを出力する。
【0045】
誤差拡散処理部411は、変更画像データに対し、公知の多値誤差拡散法による誤差拡散処理で階調再現を行った画像データを出力する。
【0046】
分配率決定部409は、変更画像データの各画素について、ディザ処理された変更画像データと、誤差拡散処理された変更画像データとを合成する混合処理において、その配分するための比率である分配率を決定する。
【0047】
混合処理部412は、ディザ処理部410の出力データと、誤差拡散処理部411の出力データを、分配率決定部409からの分配率指示情報に従って混合処理する。混合処理された画像データは、PWM処理部413C、M、Y、Kに出力され、ここで公知のPパルス幅変調信号を生成し、各露光ユニット51−C、M、Y、Kにて走査露光が行われる。
【0048】
色ずれ補正部408C、M、Y、Kは、夫々処理する色ずれ補正量が異なるものの、構成そのものは同じであるので、ここでもC成分の色ずれ補正部408Cについて説明することとする。
【0049】
図4は、本実施形態における色ずれ補正部408Cのブロック構成を示す構成図である。
【0050】
図4に示すように、本実施形態における色ずれ補正部408Cは、座標カウンタ801、座標変換部802、ラインバッファ803、エッジパターン記憶部805、エッジ検出部806、階調補正部807から構成される。
【0051】
座標カウンタ801は、上記の式(1)−(3)に基づき、色ずれ補正処理を行う主走査方向、および副走査方向の座標を生成するために必要となる情報を座標変換部802に出力する。また、副走査方向のずれの度合(後述するように小数点以下の値)を示す情報を階調補正部807に出力する。
【0052】
座標変換部802は、座標カウンタ801からの主走査方向の座標位置データ(Xアドレス)、および副走査方向の座標位置データ(Yアドレス)を用いて、ビットマップメモリ406Cに対して読出しアクセスを行う。そして、座標変換部802は、読み出したデータ(ここではC成分データ)をラインバッファ803に出力する。
【0053】
ラインバッファ803は、3つのラインバッファ803a、803b、803cから構成され、判定画素データ(座標変換により得られたデータ)を格納する。さらに、ラインバッファ803は、注目画素データを含む3×3の画素データをウインドウとしてエッジ検出部806に出力する。
【0054】
エッジ検出部806は、入力した3×3のウインドウデータ804と、エッジパターン記憶部805に記憶されたパターンとを比較し、判定画素が文字線画等のエッジ部に属しているか否かを判定する。エッジ検出部806により注目画素がエッジ部に属していると判定した場合、判定画素Pn(x)と、主走査方向において同じ座標位置であってn+1ライン目の画素データPn+1(x)とを階調補正部807に出力する。なお、判定画素Pn(x)は、nライン目の画像データを記憶しているラインバッファ803bに格納されており、画素データPn+1(x)はラインバッファ803aに格納されている。
【0055】
階調補正部807は、入力したデータについて階調補正を行う。
【0056】
図5は、座標カウンタ801及び座標変換部802の構成を説明するための図であり、以下、具体的な動作例について説明する。
【0057】
先ず、前提として色ずれ補正量演算部407Cは、色ずれ量記憶部403Cに記憶されたmm単位の距離L1、L2、L3に基づき、L1、L2、L3に相当する水平方向(理想とする走査方向)の画素位置L1’、L2’、L3’を算出する。また、色ずれ補正量演算部407cは、各領域の色ずれ量を結ぶ直線の傾きを算出する。なお、ここでの傾きとは画素単位の傾きΔyを示す。
【0058】
図6の例の場合、傾きΔyは、
領域1:Δy1 = m1 / L1 (式4)
領域2:Δy2 =(m2 - m1)/(L2 - L1) (式5)
領域3:Δy3 =(m3 - m2)/(L3 - L2) (式6)
となる。
【0059】
図5におけるレジスタ82には、上記の画素位置L1’、L2’、L3’が格納され、レジスタ84には各領域のΔy1、Δy2、Δy3(正負の符号付き)が格納される。
【0060】
Xアドレス発生器81は、レーザ光による1スキャン分の補正データを作成する際にリセットされ、画素クロックclkをカウントする毎にビットマップメモリ406Cに対する水平方向の読出しアドレス、すなわち、Xアドレスを発生する。この結果、画素クロックclkが入力される度にXアドレスは0、1、2…と増加する。
【0061】
コンパレータ83は、Xアドレス発生器81から出力されるXアドレスの値と、レジスタL1’、L2’、L3’とをそれぞれ比較することで、現在のXアドレスが図3の領域1、2、3のいずれの範囲にあるかを判定する。そして、判定した領域を示す情報をセレクタ85に出力する。なお、判定した領域を示す情報は、3つの領域のいずれかを識別できればよいので、少なくとも2ビットの情報である。
【0062】
セレクタ85は、コンパレータ83から出力された領域を示す情報に基づいて、当該領域に対応する傾きΔy1、Δy2、Δy3を1つレジスタ84から読み出す。そして、セレクタ85は、読み出した傾きをカウンタ86に出力する。具体的には、現在のXアドレスが領域1の範囲(X≦L1’)にある場合には、Δy1を選択し、出力することになる。また、L1<X≦L2’の場合にはΔy2を選択出力し、L2’<Xの場合にはΔy1を選択出力することになる。
【0063】
カウンタ86は、まず、1回のスキャンに先立ってカウント値をリセットする。そしてカウンタ86は、セレクタ85から出力される傾きΔyを内部のレジスタ86aに累積加算し、その値をカウント値として保持する。傾きΔyは小数点を含むので、このレジスタ86aも適度のビット数を持つことになる。また、カウンタ86は、レジスタ86aの整数部分を示す情報をYアドレス発生器87に出力し、小数点以下を示す情報を階調補正部807に出力する。
【0064】
Yアドレス発生器87は、まず、1回のスキャンに先立って設定される、ビットマップメモリ406Cにおける基準Yアドレスと、カウンタ86からの整数値とを加算し、その結果をビットマップメモリ406Cに対する読出しYアドレスとして生成する。
【0065】
以上の結果、先に示した式(1)−(3)での整数のX、Yアドレスを生成し、該当する位置のC成分のデータをラインバッファ803に読込むことが可能になる。
【0066】
ここで、より具体的な例を説明することとする。今、基準Yアドレスが“100”であるとする。つまり、100回目のスキャンを行うためのデータを生成する場合である。そして、カウンタ86内のレジスタ86aに格納されている値が“0.1”であるとする。
【0067】
このとき、理想的にはビットマップメモリ406CのY座標が“100.1”の位置にある画素データを読込めば良いが、ビットマップメモリ406Cの画素位置は整数で表わされるので、Y座標“100.1”というのは存在しない。したがって、座標“100.1”は、求める画素値(階調補正後の画素値)の90%はアドレス“100”の画素値の影響を受け、残りの10%がアドレス“101”の画素値の影響を受けていると仮定する。つまり、小数点で示される値に依存した重み付け係数で階調補正後の値を算出すれば良いことになる。式で示すと、次の通りである。
【0068】
Hx,y=Cx,y * β + Cx,y+1 * α (式7)
ここでカウンタ86から出力される小数点部分の値をγで表わしたとき、
β=1−γ
α=γ (式8)
の関係にある。
【0069】
上記処理を、図4に示す階調補正部807が行う。階調補正部807は、カウンタ86から出力される小数点以下の値γを入力する。また、この階調補正部807は、判定画素のラインのデータを記憶しているラインバッファ803bから出力される注目画素のC成分データPn(x)と、ラインバッファ803aに格納されているC成分データPn+1(x)データとを入力する。そして、値γで決定される補正係数α、βを求め、先に示した重み付け平均値を算出し、それを階調補正後のデータHx,yとして出力する。
【0070】
なお、本実施形態において、1回のスキャン動作ごとに、基準となるYアドレスが“1”増加するように設定される。ここで、基準Yアドレスに対する色ずれ補正量、すなわち、オフセット量は同一であることに留意されたい。従って、座標カウンタ801(カウンタ86)からの小数点は、主走査方向の座標が同じであれば、毎回同じになる。従って、座標カウンタ801が着目しているライン位置が、階調補間する判定画素が属するライン位置と異なっていても問題は発生しない。
【0071】
次に、図7に本実施例におけるバッファ102の構成と、分配率決定部409、ディザ処理部410、誤差拡散処理部411との接続関係の一例を示す。
【0072】
バッファ102は、エッジ検出部806から出力された変更画像データであって4ライン分のデータを、セレクタ201を介してラインバッファ202a〜dに蓄積する。
【0073】
ラインバッファ202a〜dは4ラインのリングバッファを構成しており、ラインバッファ202a〜dの1つにデータを蓄積し、他の3つからセレクタ203を通して読み出しを行う。
【0074】
出力された第一ライン目の変更画像データは第一のラインバッファ202aに蓄積し、第二ライン目の変更画像データは第二のラインバッファ202bに蓄積する。
【0075】
同様に、第三、第四ライン目の変更画像データは順にラインバッファ202c、202dに蓄積する。第三ライン目の画像データが格納されると、セレクタ203はラインバッファ202a、ラインバッファ202b、ラインバッファ202cを選択し、ライン先頭より3ラインのデータを読み出して分配率決定部409に出力する。
【0076】
一方、3ラインのデータの内、中央に位置するラインのデータは注目画素であり、この注目画素は、ディザ処理部410および、誤差拡散処理部411へも入力される。
【0077】
第五ライン目の画像データは再び第一のラインバッファ202aに蓄積し、セレクタ203はラインバッファ202b、ラインバッファ202c、ラインバッファ202dを選択し、ライン先頭より3ラインのデータを読み出して分配率決定部409に出力する。
ラインバッファ202cのデータはディザ処理部410及び、誤差拡散処理部411へも入力される。以後同様に処理が行なわれる。
【0078】
このように、セレクタ203により、変更画像データから注目画素が選択され、さらに注目画素を含む周辺の画素が抽出される。
【0079】
図8は、本実施例における分配率決定部409の構成の一例を示す構成図である。
【0080】
信号線204a〜cを通してバッファ102から出力された変更画像データの一部が、バッファ301に蓄積される。
【0081】
バッファ301は、3画素分の画像データを蓄積可能な3つのシフトレジスタ301a〜cで構成される。
【0082】
従って、バッファ301は9画素分の画像データを蓄積可能である。ここで、中央に位置する画素308を注目画素とする。
【0083】
バッファ301に蓄積された9画素分の画像データは、信号線302を通じて最大濃度値検出部303及び、最小濃度値検出部304へ入力される。
【0084】
最大濃度値検出部303は、9画素分の画像データにおいて、最大の濃度値(最大値)を最大濃度値MAXとして検出する。
【0085】
最小濃度値検出部304は、9画素分の画像データにおいて、最小の濃度値(最小値)を最小濃度値MINとして検出する。
【0086】
差分濃度値検出部305は、最大濃度値MAXと最小濃度値MINとの差分を求め、差分値を差分濃度値DIFFとして算出する。
【0087】
以上の処理を信号線204a〜cに変更画像データを入力する毎に行い、注目画素308を中心とした3画素×3画素領域の最大濃度値MAX、最小濃度値MIN、差分濃度値DIFFを順次計算することができる。
【0088】
設定部306は、図10に示す分配率テーブル307に記憶される分配率テーブルA(601)または分配率テーブルB(602)を参照し、注目画素308に関連付けられた差分に基づいて分配率(比率)を設定(または比率設定)する。分配比率とは、注目画素308に対してされるディザ処理および誤差拡散処理による画素濃度値の配分比を示す。
【0089】
ここで、ディザ処理の分配率αと誤差拡散処理の分配率βは、以下の式(9)の関係にある。
【0090】
α+β = 1 (式9)
ディザ処理の分配率αと誤差拡散処理の分配率βは、分配率指示情報108として混合処理部412へ出力される。
【0091】
なお、分配率指示情報108は、ディザ処理の分配率α及び、誤差拡散処理の分配率βの2種類を出力しても良いし、ディザ処理の分配率αのみを出力し、誤差拡散処理の分配率βは、式(9)を利用し、β=1−αによって求めても良い。また、本実施例では、テーブルを参照し分配率を決定したが、例えば、数式を用いて分配率を設定するといった方法を用いても良い。
【0092】
<色ずれ補正処理>
図9は、本発明の実施形態に係る色ずれ補正処理900のフローを示すフロー図である。
【0093】
まず、S901において、設定部306は、色ずれ補正量演算部407から色ずれ補正量を取得し、取得した色ずれ補正量が閾値th以上であるか否かを判定する。色ずれ補正量が閾値th以上であれば(S901:YES)、S902に進む。色ずれ補正量が閾値th以上でなければ(S901:NO)、S903に進む。
【0094】
S902では、分配率テーブルA(601)および差分濃度値DIFFに基づいて、注目画素308における分配比率が設定される。
【0095】
例えば、注目画素308の差分濃度値DIFFが、0〜3の範囲内にある場合、ディザ法の分配率α=1.000となり、誤差拡散法の分配率β=0となる。また、注目画素308の差分濃度値DIFFが、4〜11の範囲内にある場合、ディザ法の分配率α=0.943、誤差拡散法の分配率β=0.057となる。このように、S902において、分配比率αおよびβが決定される。
【0096】
なお、S903では、分配率テーブルB(602)および差分濃度値DIFFに基づいて、注目画素308における分配比率が決定される。
【0097】
S904、S905において、注目画素についてディザ処理および誤差拡散処理が行われる。なお、ディザ処理はディザ処理部410により実行され、誤差拡散処理は誤差拡散処理部411により実行される。
【0098】
なお、S904における誤差拡散処理では、量子化値が小さい、例えば3値の量子化値を選択して処理を行う(図11の701b)。また、S905における誤差拡散処理では、9値の量子化値を選択して処理を行う(図11の701a)。このように、色ずれ補正量に応じて量子化レベル数を切り替えている。
【0099】
次に、S906において、混合処理部412は、まず、分配率決定部409から出力される分配率指示情報108と、ディザ処理部410から出力される変換画像データと、誤差拡散処理部411から出力される変換画像データとを入力する。そして、混合処理部412は、各注目画素について出力画像データの出力画素濃度値Oを以下の式10に従って決定する。
【0100】
O = α×D+β×E (式10)
ここで、Dは注目画素をディザ処理によって階調再現した画像の画素濃度値であり、Eは注目画素を誤差拡散処理によって階調再現した画像の画素濃度値である。
【0101】
また、α及びβは前述したディザ処理の分配率及び、誤差拡散処理の分配率である。
【0102】
式10によって、ディザ処理した変換画像データと誤差拡散処理した変換画像データとが分配率に従って混合処理される。
【0103】
なお、式9により、ディザ法の分配率αと誤差拡散法の分配率βの和は1であるため、混合処理を行っても画像の濃度は保存される。
【0104】
以上のように、図9に示す色ずれ補正処理により、印刷の基礎となる出力画像データが生成される。
【0105】
なお、上記処理において分配率テーブルが2種類の場合を例に説明したが、色ずれ補正量に応じて複数設定してもよい。
【0106】
<出力画像データの一例>
図12は、色ずれ補正量が閾値以上の場合における出力画像データの一例を説明するための図である。
【0107】
図12において、入力画像データ1200は、ビットマップメモリ406に記憶されているデータである。
【0108】
入力画像データ1200は、色ずれ補正部408により、例えば、画像データ1201のように変換される。さらに、画像データ1201は、各領域の上部および下部において、画像データ1202のように階調補正処理がなされてもよい。
【0109】
そして、画像データ1201は、上記色ずれ補正処理により、出力画像データ1203のように階調補正処理の濃度が保存され、段階的に誤差拡散処理からディザ処理へと切り替わることで高画質化が図られる。
【0110】
図13は、色ずれ量が閾値より小さい場合における出力画像データの一例を説明するための図である。
【0111】
入力画像データ1300は、色ずれ補正部408により、例えば、画像データ1301のように変換される。さらに、画像データ1301は、各領域の上部および下部において、画像データ1302のように階調補正処理がなされてもよい。
【0112】
そして、画像データ1301は、上記色ずれ補正処理により、出力画像データ1303のように階調補正処理の濃度が保存され、段階的に誤差拡散処理からディザ処理へと切り替わることで高画質化が図られる。
【0113】
以上の処理によって、複雑な処理を追加する必要なく、色ずれ補正によるモアレ発生を抑制し、且つ、ディザ法や誤差拡散法の欠点を除去して良好な画像を形成することが可能になる。
【0114】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、分配率決定部409が分配率テーブル307を保持していたが、分配率を演算で求めても良い。例えば、最大濃度値と最小濃度値の差分濃度値DIFFの値が一定の値までは一次関数を利用し、この一定の値以上では、いずれかの分配率を固定値にするといった構成が考えられる。テーブルで計算するよりも計算で値を算出するほうがコストを下げることが出来、低コストでかつ高画質化を図ることが出来る。
【0115】
<第3の実施形態>
誤差拡散の量子化値は3値と9値以外でも良く、色ずれ補正量と出力される画像の濃度によって決めることが可能である。
【0116】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、モアレ発生を抑制して良好な画像を出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル化した画像データをレーザービームプリンタ等のデジタルプリンタから出力し画像を再現するデジタル複写装置等のデジタル画像処理装置は、デジタル機器の発展により、従来のアナログ画像処理装置に代わり広く普及している。
【0003】
このデジタル画像処理装置は、中間調を再現するためディザ法等のハーフトーン処理により階調再現を行う方法が一般にとられている。
【0004】
ディザ法による階調再現は、平坦部のように高周波成分が少ない部分においては良好であるが、文字・細線部においてはジャギーと呼ばれる途切れが発生することがある。そして、ディザの持つ周期が入力画像に含まれる高周波成分(特にディザの周期に近い周期的パターン)と干渉し、モアレ現象と呼ばれる周期的な縞模様が発生するという欠点があった。
【0005】
これに対し、ディザ法以外の階調再現手法として誤差拡散法がある。この方法は入力画像データの画素濃度と出力画素濃度との画素毎の濃度差(量子化誤差)を演算し、この演算結果である量子化誤差を特定の重みづけを施した後に、注目画素の周辺画素に拡散させていく方法である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
この方法には周期性がなく、高解像度な出力画像を得られるため、モアレ現象や、文字・細線部のジャギーが発生しない。
【0007】
しかし、この誤差拡散法には、出力画像に独特な縞パターン(テクスチャ)が生じる、電子写真においては画像のハイライト部やダーク部での粒状性ノイズが目立つ等の欠点があった。
【0008】
ディザ法や誤差拡散法の欠点を除去し、高品位に且つ精細に画像を再現する方法として、入力画像に対して、ディザ法と誤差拡散法の分配率を決定し、ディザ処理と誤差拡散処理を切り替える処理方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−161504号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】"An Adaptive Algorithm for Spatial Gray Scale"in society for Information Display 1975 Symposium Digest of Technical Papers,1975,36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1には、次のような問題がある。
【0012】
特許文献1の手法において、誤差拡散法の量子化レベル数が一定であると階調補正箇所の画像濃度値と該画像濃度値に対するトナー濃度の関係がリニアでないために、色ずれ補正後画像を印字すると濃度値が一定でない画像が印字されることがある。従って、このような不均一な濃度値が周期的に繰り返された場合、モアレが顕在化してしまい、良好なカラー画像が得られないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、例えば本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、像担持体と、当該像担持体に走査露光する露光部と、並びに、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有して記録媒体に画像を形成する画像形成部が、記録媒体の搬送方向に沿って複数個並設されている画像処理装置であって、前記画像形成部で形成される画像に対応する画像データを記憶する画像データ記憶手段と、前記画像形成部の前記像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する露光ずれ量記憶手段と、該露光ずれ量記憶手段に記憶された前記露光ずれ量に基づいて、前記画像データを構成する各画素の配置を変更した変更画像データを生成する生成手段と、前記変更画像データから注目画素を選択する選択手段と、前記注目画素を含む周辺の画素を前記変更画像データから抽出する抽出手段と、前記周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出し、当該差分を前記注目画素に関連付ける算出手段と、前記変更画像データをディザ処理するディザ処理手段と、前記変更画像データを誤差拡散処理する誤差拡散処理手段と、前記注目画素に関連付けられた前記差分に基づいて、前記ディザ処理と、前記誤差拡散処理との比率を前記注目画素について設定する比率設定手段と、前記注目画素について、前記ディザ処理された前記変更画像データと、前記誤差拡散処理された前記変更画像データとを前記比率に基づいて混合処理する混合処理手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記の問題点を解決するためになされるもので、複雑な処理を追加する必要なく、色ずれ補正によるモアレ発生を抑制し、且つ、ディザ法や誤差拡散法の欠点を除去して良好な画像を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における画像処理装置の断面構造図である。
【図2】本発明の実施形態における感光ドラムに走査される主走査線のずれを説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置における、コントローラおよびエンジンのブロック構成を示す構成図である。
【図4】色ずれ補正部の構成の構成を示す構成図である。
【図5】座標カウンタおよび座標変換部の構成を示す構成図である。
【図6】色ずれ量記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図7】分配率決定部、ディザ処理部、および誤差拡散処理部における接続関係の一例を示すブロック図である。
【図8】分配率決定部の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態における色ずれ補正処理の処理手順を示すフローチャートを示す。
【図10】分配率テーブルの一例を示す図である。
【図11】誤差拡散処理における量子化値を説明するための図である。
【図12】色ずれ補正量が閾値以上の場合における変更画像データの一例を示す図である。
【図13】色ずれ量が閾値以下の場合における変更画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は本実施形態における画像処理装置の断面図である。
【0018】
図示のように、本実施形態における画像処理装置は、4ドラム方式のカラーレーザビームプリンタの構造を有する。なお、4ドラム方式は、4つの感光体ドラム14(C、M、Y、K)により記録される方式を示すものである。
【0019】
この画像処理装置は、図1に示すように右側面下部に転写材カセット53が装着される。転写材カセット53にセットされた記録媒体(記録紙、透過シート等)は、給紙ローラ54を介して一枚ずつ取り出される。そして、記録媒体は、搬送ローラ対55−a、55−bによって画像形成部に給送される。画像形成部には、記録媒体を搬送する転写搬送ベルト10が複数の回転ローラによって記録媒体搬送方向(図1では右から左方向)に扁平に張設されている。画像形成部の最上流部では、記録媒体が搬送ベルト10に静電吸着される。また、このベルトの搬送面に対向して4個の感光体ドラム14−C、Y、M、Kが直線状に複数個並設されて画像形成部を構成している。ここで、記録材であるCはシアン、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Kはブラックの各色成分を示している。
【0020】
なお、画像形成部において搭載されるトナーはそれぞれ、色が異なるだけで、構造上の違いはない。したがって、以下の説明では、色成分Cについて説明する。
【0021】
C色用の画像形成部は、感光ドラム14−Cの表面を一様に帯電させる帯電器50−C、C色トナーを収納し、感光ドラム14−C上に生成された静電潜像を顕像(現像)する現像部52−C、並びに、露光部51−Cを有する。現像部52−Cと帯電器50−Cとの間には、所定の間隙が設けられている。帯電器50−Cによってその表面が均一に帯電した感光ドラム14−C上に、上記間隙を介してレーザスキャナからなる露光部51−Cからレーザ光を露光部分に対して垂直となるように走査露光すると、走査露光した部分は非露光部分と異なる帯電状態となる。これにより静電潜像が生成される。現像部52−Cは、上記の静電潜像にトナーを転移させて顕像化(トナー像化;現像)する。
【0022】
転写搬送ベルト10の搬送面を挟んで転写部57−Cが配置されている。感光体ドラム14−Cの周面上に形成(現像)されたトナー象は、対応する転写部57において形成される転写電界によって、搬送されてきた記録媒体上に電荷吸着されて、記録媒体面上に転写される。
【0023】
上記処理を、他の色成分Y、M、Kについても同様に行うことで、C,M,Y,Kの各色トナーが記録媒体に次々と転写されることになる。この後、定着器58により記録媒体上の各色トナーを熱溶融して定着させた後、記録媒体は、排紙ローラ対59−a、59−bによって機外に排出される。
【0024】
なお、上記の説明は、記録媒体上に各色成分のトナー像を転写する例に関するものである。しかし、転写搬送ベルト上に各色成分のトナー像を転写したあと、その転写搬送ベルトに生成されたトナー像を記録媒体に再度転写する(二次転写)する構成でもよい。この場合の転写ベルトを中間転写ベルトという。
【0025】
図2は、像担持体である感光ドラム14−C(M,Y,Kでも良い)に走査される主走査線のずれを説明するためのイメージ図である。図示のX軸方向が、レーザ光の走査方向と同一の方向であり、Y軸方向は、感光ドラムの回転方向(記録媒体の搬送方向でもある)と同一の方向である。X軸は、レーザ光の移動する移動量を示し、Y軸は、記録媒体に対応した露光位置を示す。
【0026】
図中の符号21で示す直線が理想的な主走査線を示す。符号22で示す曲線は、感光体ドラム14の位置精度や径のずれ、および各色の露光部51−Cにおける光学系の位置精度ずれに起因した右上がりの傾きを持ち、かつ湾曲が発生している実際の主走査線の例を示す。
【0027】
符号22で示されるような主走査線の傾き、湾曲が、何れかの色の画像形成部において存在する場合、転写媒体に複数色のトナー像を一括転写すると、色ずれが発生することになる。
【0028】
本実施形態では、主走査方向(X方向)において、走査開始位置となるポイントAを基準点として、複数のポイント(ポイントB、ポイントC、ポイントD)で、理想的な主走査線21と、実際に測定された主走査線22とのずれ量を測定する。そして、ポイントごとに複数の領域に分割し、各ポイント間を結ぶ直線(Lab、Lbc、Lcd)により、各領域の主走査線の傾きを近似する。ここで、複数の領域は、Pa-Pb間を領域1、Pb-Pc間を領域2、Pc-Pd間を領域3とする。
【0029】
従って、ポイント間のずれ量の差(領域1はm1、領域2はm2-m1、領域3はm3-m2)が正の値の場合、各領域における主走査線は右上がりの傾きを示し、負の値の場合、右下がりの傾きを示す。なお、本実施形態では、領域の数を3つとしているが、これは便宜的なものであり、この数に限定されるものではない。
【0030】
図3は、本実施形態において、走査線の傾き、湾曲により発生する色ずれを補正する色ずれ補正処理の動作を説明するためのブロック図である。
【0031】
プリンタエンジン401は、コントローラ402により生成された画像ビットマップ情報に基づいて印字処理を行う。なお、コントローラ402は、基板に収容され、装置に収容した際に、プリンタエンジン401と電気的接続されることが可能である。
【0032】
色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kは、それぞれ、対応する色について色ずれ量を記憶する記憶部である。なお、当該記憶部は、装置製造段階で各色の画像形成部における上記の色ずれ量情報を書き込み、保持する。一例としては、EEPROM等の書き込み可能な不揮発性メモリで実現できる。なお、図示では、色成分毎に色ずれ量記憶部を設けるように示しているが、記憶する情報量は十分に少ないので1つのメモリ素子で全色成分の色ずれ量を記憶するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態における色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kは、図2に示す複数のポイント(A乃至D)で測定した実際の主走査線22と、理想的な主走査線21の副走査方向のずれ量を主走査線の傾き、および湾曲を示す情報として色ずれ量情報とを記憶する。
【0034】
図6は、色ずれ量記憶部403Cに記憶される色ずれ量の情報の例を示しており、L1乃至L3、及び、m1乃至m3はそれぞれ、図2に示す関係がある。
【0035】
なお本実施形態では、色ずれ量記憶部403に、理想的な主走査線と、実際の主走査線のずれ量を記憶するようにしているが、実際の主走査線の傾き、および湾曲の特性が識別可能な情報であれば、これに限ったものではない。また、色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kに記憶される情報は、先に説明したように、製造工程において、上記色ずれ量を測定し、装置固有の情報として予め記憶されるものである。但し、本装置自体に、上記ずれ量を検出する検出機構を準備して、各色の像担持体ごとにずれを測定するための所定のパターンを形成し、上記検出機構により検出した色ずれ量を記憶するような構成でもよい。なお、色ずれ量は、像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量である。
【0036】
コントローラ402は、色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kに記憶された主走査線の色ずれ量を相殺するように、各色成分毎の画像データを補正した変更画像データを生成して印刷処理を行う。以下は本実施形態におけるコントローラ402の各コンポーネントについての説明である。
【0037】
画像生成部404は、不図示の外部装置(例えばコンピュータ装置)等から受信する印刷データ(PDLデータ、イメージデータ等)に基づいて、印刷処理が可能なラスターイメージデータとしてドット毎のRGBデータとして画像データを生成する。そして、画像生成部404は、生成した画像データを色変換部405に出力する。この処理は、公知のものであるので詳述は省略する。
【0038】
色変換部405は、この画像データにおける各RGBデータを、プリンタエンジン401において処理可能なCMYK色空間のデータ(各8ビット)に変換する。そして、色変換部405は、各色空間データを画像データ記憶部としてのビットマップメモリ406C、M、Y、Kに記憶させる。
【0039】
ビットマップメモリ406C(M、Y、Kも同様)は、印刷処理を行うラスターイメージデータをさらに記憶して、1ページ分の画像データを蓄積するページメモリを有する。但し、複数ライン分のデータを記憶するバンドメモリのいずれでもよい。説明を単純なものとするため、ここでは1ページ分のC,M,Y,Kのビットマップデータを記憶する容量を有するものとして説明する。
【0040】
色ずれ補正量演算部407C、M、Y、Kは、色ずれ量記憶部403C、M、Y、Kに記憶された主走査線の色ずれ量の情報に基づいて、主走査方向の座標情報に応じた副走査方向の色ずれ補正量を補正量算出する。そして、色ずれ補正量演算部407C、M、Y、Kは、その算出結果を色ずれ補正部408C、M、Y、Kにそれぞれ出力する。なお、色ずれ補正量は、副走査方向における露光ずれ補正量である。
【0041】
この算出は、具体的には、主走査方向の座標データをx(ドット)、副走査方向の色ずれ量をy(ドット)とした場合、図3を基にした各領域の演算式に基づいている。なお、実施形態における記録解像度は600dpiとする。
【0042】
領域1:y = x * (m1 / L1) (式1)
領域2:y = m1 * 23.622 + (x - L1 * 23.622) * ((m2 - m1)/(L2 - L1)) (式2)
領域3:y = m2 * 23.622 + (x - L2 * 23.622) * ((m3 - m2)/(L3 - L2)) (式3)
ここで、L1、L2、L3は、印刷開始位置から、領域1、領域2、領域3の右端までの主走査方向の距離(単位mm)である。m1、m2、m3は領域1、領域2、領域3の右端における理想的な主走査線21と、実際の主走査線22との間の値の差分である。
【0043】
色ずれ補正部408C、M、Y、Kは、上記式1から式3により求まる主走査線の傾き、歪みによる色ずれを補正するための処理を行う。色ずれ補正部408C、M、Y、Kは、色ずれ補正量演算部407C、M、Y、Kによってドット毎に算出される色ずれ補正量に基づいて、ビットマップメモリ406に記憶されたビットマップデータの出力タイミングの調整、および画素毎の露光量の調整を行う。この調整により、転写媒体に転写したときの色ずれ(レジストレーションずれ)を防ぐことができる。
【0044】
ディザ処理部410は、変更画像データに対し、公知の多値ディザ法によるディザ処理で階調再現を行った画像データを出力する。
【0045】
誤差拡散処理部411は、変更画像データに対し、公知の多値誤差拡散法による誤差拡散処理で階調再現を行った画像データを出力する。
【0046】
分配率決定部409は、変更画像データの各画素について、ディザ処理された変更画像データと、誤差拡散処理された変更画像データとを合成する混合処理において、その配分するための比率である分配率を決定する。
【0047】
混合処理部412は、ディザ処理部410の出力データと、誤差拡散処理部411の出力データを、分配率決定部409からの分配率指示情報に従って混合処理する。混合処理された画像データは、PWM処理部413C、M、Y、Kに出力され、ここで公知のPパルス幅変調信号を生成し、各露光ユニット51−C、M、Y、Kにて走査露光が行われる。
【0048】
色ずれ補正部408C、M、Y、Kは、夫々処理する色ずれ補正量が異なるものの、構成そのものは同じであるので、ここでもC成分の色ずれ補正部408Cについて説明することとする。
【0049】
図4は、本実施形態における色ずれ補正部408Cのブロック構成を示す構成図である。
【0050】
図4に示すように、本実施形態における色ずれ補正部408Cは、座標カウンタ801、座標変換部802、ラインバッファ803、エッジパターン記憶部805、エッジ検出部806、階調補正部807から構成される。
【0051】
座標カウンタ801は、上記の式(1)−(3)に基づき、色ずれ補正処理を行う主走査方向、および副走査方向の座標を生成するために必要となる情報を座標変換部802に出力する。また、副走査方向のずれの度合(後述するように小数点以下の値)を示す情報を階調補正部807に出力する。
【0052】
座標変換部802は、座標カウンタ801からの主走査方向の座標位置データ(Xアドレス)、および副走査方向の座標位置データ(Yアドレス)を用いて、ビットマップメモリ406Cに対して読出しアクセスを行う。そして、座標変換部802は、読み出したデータ(ここではC成分データ)をラインバッファ803に出力する。
【0053】
ラインバッファ803は、3つのラインバッファ803a、803b、803cから構成され、判定画素データ(座標変換により得られたデータ)を格納する。さらに、ラインバッファ803は、注目画素データを含む3×3の画素データをウインドウとしてエッジ検出部806に出力する。
【0054】
エッジ検出部806は、入力した3×3のウインドウデータ804と、エッジパターン記憶部805に記憶されたパターンとを比較し、判定画素が文字線画等のエッジ部に属しているか否かを判定する。エッジ検出部806により注目画素がエッジ部に属していると判定した場合、判定画素Pn(x)と、主走査方向において同じ座標位置であってn+1ライン目の画素データPn+1(x)とを階調補正部807に出力する。なお、判定画素Pn(x)は、nライン目の画像データを記憶しているラインバッファ803bに格納されており、画素データPn+1(x)はラインバッファ803aに格納されている。
【0055】
階調補正部807は、入力したデータについて階調補正を行う。
【0056】
図5は、座標カウンタ801及び座標変換部802の構成を説明するための図であり、以下、具体的な動作例について説明する。
【0057】
先ず、前提として色ずれ補正量演算部407Cは、色ずれ量記憶部403Cに記憶されたmm単位の距離L1、L2、L3に基づき、L1、L2、L3に相当する水平方向(理想とする走査方向)の画素位置L1’、L2’、L3’を算出する。また、色ずれ補正量演算部407cは、各領域の色ずれ量を結ぶ直線の傾きを算出する。なお、ここでの傾きとは画素単位の傾きΔyを示す。
【0058】
図6の例の場合、傾きΔyは、
領域1:Δy1 = m1 / L1 (式4)
領域2:Δy2 =(m2 - m1)/(L2 - L1) (式5)
領域3:Δy3 =(m3 - m2)/(L3 - L2) (式6)
となる。
【0059】
図5におけるレジスタ82には、上記の画素位置L1’、L2’、L3’が格納され、レジスタ84には各領域のΔy1、Δy2、Δy3(正負の符号付き)が格納される。
【0060】
Xアドレス発生器81は、レーザ光による1スキャン分の補正データを作成する際にリセットされ、画素クロックclkをカウントする毎にビットマップメモリ406Cに対する水平方向の読出しアドレス、すなわち、Xアドレスを発生する。この結果、画素クロックclkが入力される度にXアドレスは0、1、2…と増加する。
【0061】
コンパレータ83は、Xアドレス発生器81から出力されるXアドレスの値と、レジスタL1’、L2’、L3’とをそれぞれ比較することで、現在のXアドレスが図3の領域1、2、3のいずれの範囲にあるかを判定する。そして、判定した領域を示す情報をセレクタ85に出力する。なお、判定した領域を示す情報は、3つの領域のいずれかを識別できればよいので、少なくとも2ビットの情報である。
【0062】
セレクタ85は、コンパレータ83から出力された領域を示す情報に基づいて、当該領域に対応する傾きΔy1、Δy2、Δy3を1つレジスタ84から読み出す。そして、セレクタ85は、読み出した傾きをカウンタ86に出力する。具体的には、現在のXアドレスが領域1の範囲(X≦L1’)にある場合には、Δy1を選択し、出力することになる。また、L1<X≦L2’の場合にはΔy2を選択出力し、L2’<Xの場合にはΔy1を選択出力することになる。
【0063】
カウンタ86は、まず、1回のスキャンに先立ってカウント値をリセットする。そしてカウンタ86は、セレクタ85から出力される傾きΔyを内部のレジスタ86aに累積加算し、その値をカウント値として保持する。傾きΔyは小数点を含むので、このレジスタ86aも適度のビット数を持つことになる。また、カウンタ86は、レジスタ86aの整数部分を示す情報をYアドレス発生器87に出力し、小数点以下を示す情報を階調補正部807に出力する。
【0064】
Yアドレス発生器87は、まず、1回のスキャンに先立って設定される、ビットマップメモリ406Cにおける基準Yアドレスと、カウンタ86からの整数値とを加算し、その結果をビットマップメモリ406Cに対する読出しYアドレスとして生成する。
【0065】
以上の結果、先に示した式(1)−(3)での整数のX、Yアドレスを生成し、該当する位置のC成分のデータをラインバッファ803に読込むことが可能になる。
【0066】
ここで、より具体的な例を説明することとする。今、基準Yアドレスが“100”であるとする。つまり、100回目のスキャンを行うためのデータを生成する場合である。そして、カウンタ86内のレジスタ86aに格納されている値が“0.1”であるとする。
【0067】
このとき、理想的にはビットマップメモリ406CのY座標が“100.1”の位置にある画素データを読込めば良いが、ビットマップメモリ406Cの画素位置は整数で表わされるので、Y座標“100.1”というのは存在しない。したがって、座標“100.1”は、求める画素値(階調補正後の画素値)の90%はアドレス“100”の画素値の影響を受け、残りの10%がアドレス“101”の画素値の影響を受けていると仮定する。つまり、小数点で示される値に依存した重み付け係数で階調補正後の値を算出すれば良いことになる。式で示すと、次の通りである。
【0068】
Hx,y=Cx,y * β + Cx,y+1 * α (式7)
ここでカウンタ86から出力される小数点部分の値をγで表わしたとき、
β=1−γ
α=γ (式8)
の関係にある。
【0069】
上記処理を、図4に示す階調補正部807が行う。階調補正部807は、カウンタ86から出力される小数点以下の値γを入力する。また、この階調補正部807は、判定画素のラインのデータを記憶しているラインバッファ803bから出力される注目画素のC成分データPn(x)と、ラインバッファ803aに格納されているC成分データPn+1(x)データとを入力する。そして、値γで決定される補正係数α、βを求め、先に示した重み付け平均値を算出し、それを階調補正後のデータHx,yとして出力する。
【0070】
なお、本実施形態において、1回のスキャン動作ごとに、基準となるYアドレスが“1”増加するように設定される。ここで、基準Yアドレスに対する色ずれ補正量、すなわち、オフセット量は同一であることに留意されたい。従って、座標カウンタ801(カウンタ86)からの小数点は、主走査方向の座標が同じであれば、毎回同じになる。従って、座標カウンタ801が着目しているライン位置が、階調補間する判定画素が属するライン位置と異なっていても問題は発生しない。
【0071】
次に、図7に本実施例におけるバッファ102の構成と、分配率決定部409、ディザ処理部410、誤差拡散処理部411との接続関係の一例を示す。
【0072】
バッファ102は、エッジ検出部806から出力された変更画像データであって4ライン分のデータを、セレクタ201を介してラインバッファ202a〜dに蓄積する。
【0073】
ラインバッファ202a〜dは4ラインのリングバッファを構成しており、ラインバッファ202a〜dの1つにデータを蓄積し、他の3つからセレクタ203を通して読み出しを行う。
【0074】
出力された第一ライン目の変更画像データは第一のラインバッファ202aに蓄積し、第二ライン目の変更画像データは第二のラインバッファ202bに蓄積する。
【0075】
同様に、第三、第四ライン目の変更画像データは順にラインバッファ202c、202dに蓄積する。第三ライン目の画像データが格納されると、セレクタ203はラインバッファ202a、ラインバッファ202b、ラインバッファ202cを選択し、ライン先頭より3ラインのデータを読み出して分配率決定部409に出力する。
【0076】
一方、3ラインのデータの内、中央に位置するラインのデータは注目画素であり、この注目画素は、ディザ処理部410および、誤差拡散処理部411へも入力される。
【0077】
第五ライン目の画像データは再び第一のラインバッファ202aに蓄積し、セレクタ203はラインバッファ202b、ラインバッファ202c、ラインバッファ202dを選択し、ライン先頭より3ラインのデータを読み出して分配率決定部409に出力する。
ラインバッファ202cのデータはディザ処理部410及び、誤差拡散処理部411へも入力される。以後同様に処理が行なわれる。
【0078】
このように、セレクタ203により、変更画像データから注目画素が選択され、さらに注目画素を含む周辺の画素が抽出される。
【0079】
図8は、本実施例における分配率決定部409の構成の一例を示す構成図である。
【0080】
信号線204a〜cを通してバッファ102から出力された変更画像データの一部が、バッファ301に蓄積される。
【0081】
バッファ301は、3画素分の画像データを蓄積可能な3つのシフトレジスタ301a〜cで構成される。
【0082】
従って、バッファ301は9画素分の画像データを蓄積可能である。ここで、中央に位置する画素308を注目画素とする。
【0083】
バッファ301に蓄積された9画素分の画像データは、信号線302を通じて最大濃度値検出部303及び、最小濃度値検出部304へ入力される。
【0084】
最大濃度値検出部303は、9画素分の画像データにおいて、最大の濃度値(最大値)を最大濃度値MAXとして検出する。
【0085】
最小濃度値検出部304は、9画素分の画像データにおいて、最小の濃度値(最小値)を最小濃度値MINとして検出する。
【0086】
差分濃度値検出部305は、最大濃度値MAXと最小濃度値MINとの差分を求め、差分値を差分濃度値DIFFとして算出する。
【0087】
以上の処理を信号線204a〜cに変更画像データを入力する毎に行い、注目画素308を中心とした3画素×3画素領域の最大濃度値MAX、最小濃度値MIN、差分濃度値DIFFを順次計算することができる。
【0088】
設定部306は、図10に示す分配率テーブル307に記憶される分配率テーブルA(601)または分配率テーブルB(602)を参照し、注目画素308に関連付けられた差分に基づいて分配率(比率)を設定(または比率設定)する。分配比率とは、注目画素308に対してされるディザ処理および誤差拡散処理による画素濃度値の配分比を示す。
【0089】
ここで、ディザ処理の分配率αと誤差拡散処理の分配率βは、以下の式(9)の関係にある。
【0090】
α+β = 1 (式9)
ディザ処理の分配率αと誤差拡散処理の分配率βは、分配率指示情報108として混合処理部412へ出力される。
【0091】
なお、分配率指示情報108は、ディザ処理の分配率α及び、誤差拡散処理の分配率βの2種類を出力しても良いし、ディザ処理の分配率αのみを出力し、誤差拡散処理の分配率βは、式(9)を利用し、β=1−αによって求めても良い。また、本実施例では、テーブルを参照し分配率を決定したが、例えば、数式を用いて分配率を設定するといった方法を用いても良い。
【0092】
<色ずれ補正処理>
図9は、本発明の実施形態に係る色ずれ補正処理900のフローを示すフロー図である。
【0093】
まず、S901において、設定部306は、色ずれ補正量演算部407から色ずれ補正量を取得し、取得した色ずれ補正量が閾値th以上であるか否かを判定する。色ずれ補正量が閾値th以上であれば(S901:YES)、S902に進む。色ずれ補正量が閾値th以上でなければ(S901:NO)、S903に進む。
【0094】
S902では、分配率テーブルA(601)および差分濃度値DIFFに基づいて、注目画素308における分配比率が設定される。
【0095】
例えば、注目画素308の差分濃度値DIFFが、0〜3の範囲内にある場合、ディザ法の分配率α=1.000となり、誤差拡散法の分配率β=0となる。また、注目画素308の差分濃度値DIFFが、4〜11の範囲内にある場合、ディザ法の分配率α=0.943、誤差拡散法の分配率β=0.057となる。このように、S902において、分配比率αおよびβが決定される。
【0096】
なお、S903では、分配率テーブルB(602)および差分濃度値DIFFに基づいて、注目画素308における分配比率が決定される。
【0097】
S904、S905において、注目画素についてディザ処理および誤差拡散処理が行われる。なお、ディザ処理はディザ処理部410により実行され、誤差拡散処理は誤差拡散処理部411により実行される。
【0098】
なお、S904における誤差拡散処理では、量子化値が小さい、例えば3値の量子化値を選択して処理を行う(図11の701b)。また、S905における誤差拡散処理では、9値の量子化値を選択して処理を行う(図11の701a)。このように、色ずれ補正量に応じて量子化レベル数を切り替えている。
【0099】
次に、S906において、混合処理部412は、まず、分配率決定部409から出力される分配率指示情報108と、ディザ処理部410から出力される変換画像データと、誤差拡散処理部411から出力される変換画像データとを入力する。そして、混合処理部412は、各注目画素について出力画像データの出力画素濃度値Oを以下の式10に従って決定する。
【0100】
O = α×D+β×E (式10)
ここで、Dは注目画素をディザ処理によって階調再現した画像の画素濃度値であり、Eは注目画素を誤差拡散処理によって階調再現した画像の画素濃度値である。
【0101】
また、α及びβは前述したディザ処理の分配率及び、誤差拡散処理の分配率である。
【0102】
式10によって、ディザ処理した変換画像データと誤差拡散処理した変換画像データとが分配率に従って混合処理される。
【0103】
なお、式9により、ディザ法の分配率αと誤差拡散法の分配率βの和は1であるため、混合処理を行っても画像の濃度は保存される。
【0104】
以上のように、図9に示す色ずれ補正処理により、印刷の基礎となる出力画像データが生成される。
【0105】
なお、上記処理において分配率テーブルが2種類の場合を例に説明したが、色ずれ補正量に応じて複数設定してもよい。
【0106】
<出力画像データの一例>
図12は、色ずれ補正量が閾値以上の場合における出力画像データの一例を説明するための図である。
【0107】
図12において、入力画像データ1200は、ビットマップメモリ406に記憶されているデータである。
【0108】
入力画像データ1200は、色ずれ補正部408により、例えば、画像データ1201のように変換される。さらに、画像データ1201は、各領域の上部および下部において、画像データ1202のように階調補正処理がなされてもよい。
【0109】
そして、画像データ1201は、上記色ずれ補正処理により、出力画像データ1203のように階調補正処理の濃度が保存され、段階的に誤差拡散処理からディザ処理へと切り替わることで高画質化が図られる。
【0110】
図13は、色ずれ量が閾値より小さい場合における出力画像データの一例を説明するための図である。
【0111】
入力画像データ1300は、色ずれ補正部408により、例えば、画像データ1301のように変換される。さらに、画像データ1301は、各領域の上部および下部において、画像データ1302のように階調補正処理がなされてもよい。
【0112】
そして、画像データ1301は、上記色ずれ補正処理により、出力画像データ1303のように階調補正処理の濃度が保存され、段階的に誤差拡散処理からディザ処理へと切り替わることで高画質化が図られる。
【0113】
以上の処理によって、複雑な処理を追加する必要なく、色ずれ補正によるモアレ発生を抑制し、且つ、ディザ法や誤差拡散法の欠点を除去して良好な画像を形成することが可能になる。
【0114】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、分配率決定部409が分配率テーブル307を保持していたが、分配率を演算で求めても良い。例えば、最大濃度値と最小濃度値の差分濃度値DIFFの値が一定の値までは一次関数を利用し、この一定の値以上では、いずれかの分配率を固定値にするといった構成が考えられる。テーブルで計算するよりも計算で値を算出するほうがコストを下げることが出来、低コストでかつ高画質化を図ることが出来る。
【0115】
<第3の実施形態>
誤差拡散の量子化値は3値と9値以外でも良く、色ずれ補正量と出力される画像の濃度によって決めることが可能である。
【0116】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、当該像担持体に走査露光する露光部と、並びに、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有して記録媒体に画像を形成する画像形成部が、記録媒体の搬送方向に沿って複数個並設されている画像処理装置であって、
前記画像形成部で形成される画像に対応する画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像形成部の前記像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する露光ずれ量記憶手段と、
該露光ずれ量記憶手段に記憶された前記露光ずれ量に基づいて、前記画像データを構成する各画素の配置を変更した変更画像データを生成する生成手段と、
前記変更画像データから注目画素を選択する選択手段と、
前記注目画素を含む周辺の画素を前記変更画像データから抽出する抽出手段と、
前記周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出し、当該差分を前記注目画素に関連付ける算出手段と、
前記変更画像データをディザ処理するディザ処理手段と、
前記変更画像データを誤差拡散処理する誤差拡散処理手段と、
前記注目画素に関連付けられた前記差分に基づいて、前記ディザ処理と、前記誤差拡散処理との比率を前記注目画素について設定する比率設定手段と、
前記注目画素について、前記ディザ処理された前記変更画像データと、前記誤差拡散処理された前記変更画像データとを前記比率に基づいて混合処理する混合処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記露光ずれ量は、前記走査露光方向に対して、前記走査露光が開始する位置を基準に当該位置からの距離に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記露光ずれ量と前記距離とに基づいて、露光ずれの傾きを算出する傾き算出手段と、
前記画像データにおける各画素について、前記傾きに基づいた露光ずれ補正量を算出する露光ずれ補正量算出手段と、
前記画像データにおける各画素について算出された前記露光ずれ補正量に基づいて前記各画素の配置を変更して前記変更画像データを生成する画像生成手段と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記誤差拡散手段は、前記露光ずれ補正量に応じて量子化レベル数を切り替えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記比率設定手段は、前記差分と、前記比率との関係を定めたテーブルを参照して、前記注目画素の前記比率を設定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記テーブルは、前記差分が大きくなるにつれて前記誤差拡散処理の比率が増えることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記テーブルは、前記露光ずれ補正量に応じて複数設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
像担持体と、当該像担持体に走査露光する露光部と、並びに、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有して記録媒体に画像を形成する画像形成部が、記録媒体の搬送方向に沿って複数個並設されている画像処理装置における画像処理方法であって、
前記画像形成部で形成される画像に対応する画像データを記憶する画像データ記憶ステップと、
前記画像形成部の前記像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する露光ずれ量記憶ステップと、
該露光ずれ量記憶ステップにおいて記憶された前記露光ずれ量に基づいて、前記画像データを構成する各画素の配置を変更した変更画像データを生成する生成ステップと、
前記変更画像データから注目画素を選択する選択ステップと、
前記注目画素を含む周辺の画素を前記変更画像データから抽出する抽出ステップと、
前記周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出し、当該差分を前記注目画素に関連付ける算出ステップと、
前記変更画像データをディザ処理するディザ処理ステップと、
前記変更画像データを誤差拡散処理する誤差拡散処理ステップと、
前記注目画素に関連付けられた前記差分に基づいて、前記ディザ処理と、前記誤差拡散処理との比率を前記注目画素について設定する比率設定ステップと、
前記注目画素について、前記ディザ処理された前記変更画像データと、前記誤差拡散処理された前記変更画像データとを前記比率に基づいて混合処理する混合処理ステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項1】
像担持体と、当該像担持体に走査露光する露光部と、並びに、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有して記録媒体に画像を形成する画像形成部が、記録媒体の搬送方向に沿って複数個並設されている画像処理装置であって、
前記画像形成部で形成される画像に対応する画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像形成部の前記像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する露光ずれ量記憶手段と、
該露光ずれ量記憶手段に記憶された前記露光ずれ量に基づいて、前記画像データを構成する各画素の配置を変更した変更画像データを生成する生成手段と、
前記変更画像データから注目画素を選択する選択手段と、
前記注目画素を含む周辺の画素を前記変更画像データから抽出する抽出手段と、
前記周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出し、当該差分を前記注目画素に関連付ける算出手段と、
前記変更画像データをディザ処理するディザ処理手段と、
前記変更画像データを誤差拡散処理する誤差拡散処理手段と、
前記注目画素に関連付けられた前記差分に基づいて、前記ディザ処理と、前記誤差拡散処理との比率を前記注目画素について設定する比率設定手段と、
前記注目画素について、前記ディザ処理された前記変更画像データと、前記誤差拡散処理された前記変更画像データとを前記比率に基づいて混合処理する混合処理手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記露光ずれ量は、前記走査露光方向に対して、前記走査露光が開始する位置を基準に当該位置からの距離に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記露光ずれ量と前記距離とに基づいて、露光ずれの傾きを算出する傾き算出手段と、
前記画像データにおける各画素について、前記傾きに基づいた露光ずれ補正量を算出する露光ずれ補正量算出手段と、
前記画像データにおける各画素について算出された前記露光ずれ補正量に基づいて前記各画素の配置を変更して前記変更画像データを生成する画像生成手段と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記誤差拡散手段は、前記露光ずれ補正量に応じて量子化レベル数を切り替えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記比率設定手段は、前記差分と、前記比率との関係を定めたテーブルを参照して、前記注目画素の前記比率を設定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記テーブルは、前記差分が大きくなるにつれて前記誤差拡散処理の比率が増えることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記テーブルは、前記露光ずれ補正量に応じて複数設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
像担持体と、当該像担持体に走査露光する露光部と、並びに、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有して記録媒体に画像を形成する画像形成部が、記録媒体の搬送方向に沿って複数個並設されている画像処理装置における画像処理方法であって、
前記画像形成部で形成される画像に対応する画像データを記憶する画像データ記憶ステップと、
前記画像形成部の前記像担持体上における走査露光方向に対する露光ずれ量を記憶する露光ずれ量記憶ステップと、
該露光ずれ量記憶ステップにおいて記憶された前記露光ずれ量に基づいて、前記画像データを構成する各画素の配置を変更した変更画像データを生成する生成ステップと、
前記変更画像データから注目画素を選択する選択ステップと、
前記注目画素を含む周辺の画素を前記変更画像データから抽出する抽出ステップと、
前記周辺の画素において画素濃度値の最大値と最小値の差分を算出し、当該差分を前記注目画素に関連付ける算出ステップと、
前記変更画像データをディザ処理するディザ処理ステップと、
前記変更画像データを誤差拡散処理する誤差拡散処理ステップと、
前記注目画素に関連付けられた前記差分に基づいて、前記ディザ処理と、前記誤差拡散処理との比率を前記注目画素について設定する比率設定ステップと、
前記注目画素について、前記ディザ処理された前記変更画像データと、前記誤差拡散処理された前記変更画像データとを前記比率に基づいて混合処理する混合処理ステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−109907(P2012−109907A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258824(P2010−258824)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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