説明

画像形成装置

【課題】低温環境下でトナー負荷が大きい場合でもクリーニング部が充分機能する画像形成装置の廃棄トナーの廃棄処理方法を提供する。
【解決手段】制御部30と、画像データから印刷ドット数を検出する処理量検出部としての演算部34と、温度検出部としての温度センサ125とを有し、制御部30は、印刷ドット数、現像部の温度、画像形成装置における各種処理の実施タイミングに基づいて廃棄トナーの廃棄処理の実施タイミングを設定し、現像部の温度に従って、廃棄トナー供給時の転写ローラ10への転写電圧を変更して、転写ベルトに転写される廃棄トナーの量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成にトナーを利用する電子写真方式の画像形成装置の構造に関し、特に、使用時間経過により劣化したトナーを廃棄する機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写装置等の画像形成装置においては印刷速度が速いこと及び印刷した画像の保存性の良いことから、電子写真方式が用いられることが多くなってきている。電子写真方式の画像形成装置には、一般的に感光体ドラムと、帯電部と、静電潜像書き込み部と、現像部と、転写部及びクリーニング部を有しており、樹脂を含む粉末状のトナーが現像剤として用いられる。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置では、帯電装置により感光体ドラムが帯電され、静電潜像書き込み装置により帯電された感光体ドラムに任意の画像の静電潜像を書き込まれ、その感光体ドラムに現像部でトナーが供給されて静電潜像が現像されてトナー像になる。そのため感光体ドラムは、トナー像を表面に担持することから像担持体とも称される。その際に、現像部の現像ローラ上には、均一厚になるようにトナーが供給される。この均一厚に供給されたトナーは、現像ローラ上から選択的に感光ドラム等の感光体ドラムに付着される。
【0004】
その後、感光体上のトナー像は、転写装置にトナーが転写可能なバイアス電圧が供給されることで、紙などの印刷媒体上に転写される。印刷媒体上に転写されたトナー像は、熱定着器により印刷媒体上に定着されて、そのトナー像が画像として定着された印刷媒体が排出される。このような処理により画像形成処理が終了する。一方、感光体上に残ったトナーはクリーニング部により掻き落とされて回収され、そのトナーは、廃棄容器に搬送されて廃棄される。
【0005】
このような画像形成装置で使用されるトナーには、印刷経路で、例えば、感光体ドラムと各ローラとの間や、他のローラ間、攪拌機構等により物理的圧力がかけられると共に、さらにその物理的圧力に伴う摩擦熱による高温状態下に置かれる。その結果、トナーは劣化し、例えば、トナーの構造が破壊されるか、他のトナーに押し付けられて一体化して大きな固まりに団粒化する。
【0006】
トナーの劣化は、使用時間の経過に従い進行するが、例えば、印刷される画像が所定値よりも高い印刷DUTY比率である場合には、画像形成に使用されるトナーの量が多くなるため、現像部内に保持されるトナーの蓄積時間は短くなり、トナー劣化の進行速度が比較的遅いことになる。それに対して、印刷される画像が所定値よりも低い印刷DUTY比率である場合には、トナーが画像形成に使用される量が少なくなるため、現像部内に保持されるトナーの蓄積時間が長くなり、印刷が実施される毎のトナー劣化の進行速度が比較的早くなる。
【0007】
劣化したトナーは、印刷画像の画像濃度を不均一にし、ドット再現性を低下させ、いわゆるかぶり等の不具合を発生させるので、除去する必要がある。しかし、例えば現像部内のトナーを1回で実施される印刷JOB処理後に全て廃棄してしまうと、トナーの消費量が増加して不経済になり、近年の環境保護の観点からも望ましくない。
【0008】
そのため、例えば、400枚の印刷JOB処理を実施する毎に1回等の定期的に、現像部内のトナーを廃棄トナーとして廃棄させる機構が知られている。廃棄トナーを廃棄する方法としては、廃棄トナーの廃棄処理が始まると、まず、印刷時のトナー供給時と同様に、トナーが現像ローラ上に均一厚に供給され、それがそのまま感光体上に均一厚で付着される。その後、転写装置にはトナーが転写されないバイアスの電圧が供給されるため、感光体上のトナーは印刷媒体上や転写ベルト上に転写されずにクリーニング部に到達して掻き落とされる。掻き落とされたトナーは、廃棄トナーとして、廃棄トナー用の回収機構により回収されて、トナーカートリッジと一体又は別途に形成された廃棄トナー容器まで搬送されて収納される(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
このような形式の従来の画像形成装置では、廃棄トナーの廃棄処理時には、感光体上に全く未転写のままに残ったトナーの全量がクリーニング部により掻き落とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−45481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、一般的に画像形成装置のクリーニング部は、低温環境下においては、例えばクリーニングブレードの弾性率の低下等により、感光体上に残ったトナーを掻き落とす能力が低下する。又、一般的に低温環境では低湿度になることが多く、その場合にはトナーの電気抵抗値が増大する。そのため、低温且つ低湿度環境下の従来の画像形成装置で、感光体上の廃棄トナーの全量をクリーニング部により掻き落とそうとする場合には、廃棄トナーの電気抵抗値の増大に伴いトナーの持つ電荷が大きくなり、感光体ドラムとトナーとの電気的結合力が増大して感光体ドラムからトナーが剥がれ難くなり、クリーニングブレードで掻き落としづらくなる。すると、クリーニング部の清掃能力が常温環境下の所定の基準能力よりも低下して、クリーニング不良が発生する場合が多くなる。その結果、掻き落とせない廃棄トナーが感光体上に残って画像形成に支障をきたす場合があるという問題が発生する。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、低温環境下でトナー負荷が大きい場合でも、廃棄トナーの量を減少させることなく、且つ、クリーニング部を大型化させることなく、クリーニング部が充分に機能する画像形成装置とその廃棄トナーの廃棄処理方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、現像剤を廃棄するときに、像担持体上に所定の現像剤像パターンを形成し、該現像剤像パターンを転写体に転写させた後に、前記像担持体に当接され該像担持体を清掃するクリーニング部で像担持体上に残存する現像剤像パターンを清掃して現像剤を廃棄する画像形成装置において、前記現像剤像パターンを前記転写体に転写させる転写部と、当該装置の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部で検出された温度に基づいて、前記転写部への転写電圧を変更する制御部と、を有し、前記制御部は、前記温度検出部で検出された温度が閾値未満の場合には、当該温度が当該閾値以上の場合に比べて、前記転写部への転写電圧を高くして前記転写体への現像剤の転写量を多くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置による廃棄トナーの廃棄処理方法では、画像形成装置の温度を検出し、検出された温度に基づき、1回のトナー廃棄処理におけるクリーニングする単位面積あたりの現像剤の量を制御するので、低温環境下によるクリーニング部のトナーのクリーニング能力の低下に対してトナー負荷が大きい場合でも、廃棄トナーの量を減少させることなく、且つ、クリーニング部を大型化させることなく、クリーニング部を充分に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す横断面図である。
【図2】(a)は図1の画像形成装置における現像部の一例の概略構成を示す横断面図であり、(b)は(a)の現像部における感光体ドラムの周辺の概略構成を拡大して示す横断面図であり、(c)は(a)の温度検出センサ部を矢印Aの方向から見たA矢視図である。
【図3】(a)は図2(a)の現像部の下部に組み合わされる廃棄トナー搬送ボックスの一例の概略構成を示す斜視図であり、(b)は(a)の廃棄トナー搬送ボックスの概略構成を拡大して示す横断面図である。
【図4】図1の画像形成装置における現像部の制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。
【図5】現像ローラ104に供給されるバイアス電圧値と感光体ドラム101上のトナーの付着量(トナー濃度、トナー厚)の関係を示す図である。
【図6】図1の画像形成装置における廃棄トナーのトナー廃棄処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電子写真方式の画像形成装置における現像部の制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。
【図8】図7の画像形成装置における廃棄トナーのトナー廃棄処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3に係る電子写真方式の画像形成装置における現像部の制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。
【図10】図9の画像形成装置における廃棄トナーのトナー廃棄処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す横断面図である。図2(a)は、図1の画像形成装置における現像部の一例の概略構成を示す横断面図であり、(b)は(a)の現像部における感光体ドラム(像担持体)の周辺の概略構成を拡大して示す横断面図であり、(c)は(a)の温度検出センサ部を矢印Aの方向から見たA矢視図である。図3(a)は、図2(a)の現像部の下部に組み合わされる廃棄トナー(現像剤)搬送ボックスの一例の概略構成を示す斜視図であり、(b)は(a)の廃棄トナー搬送ボックスの概略構成を拡大して示す横断面図である。図4は、図1の画像形成装置における現像部の制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1〜図4において、転写ベルト9は、感光体ドラム101の下方向に配置され、図1の矢印Dbの方向に移動し、通常は記録媒体13を各色の現像部15の下部に搬送して、その記録媒体13上に各現像部15のトナー像(現像剤像)を転写させる。但し、給紙不良時、色調調整時や使用開始時の設定時には転写ベルト9上に直接に各現像部15のトナーが転写される場合がある。
転写ローラ(転写部)10は、感光体ドラム101の下方向に配置され、電源部50から転写電圧が印加されることで、現像部15で感光体ドラム101上に形成されたトナー像を記録媒体(紙)13上、又は、転写ベルト9上に転写させる。
転写ベルトクリーニング部11は、転写ベルト9上のトナーをクリーニング(清掃)する。給紙不良等により転写ベルト9上にトナー107が転写(又は付着)した場合、転写ベルトクリーニング部11によりトナーがクリーニングされる。
トナー回収容器12は、転写ベルト9上をクリーニングした際のトナーが回収されて収納される。
記録媒体13は、例えば紙等のように、その表面上にトナー像が転写されて定着されることで画像が形成される媒体である。
現像部15は、感光体ドラム101にトナーを供給して静電潜像を現像してトナー像とする。現像部15には、カラー印刷に用いられるそれぞれ異なる各色のトナー107が供給されてトナー像が形成される。画像形成装置内には、各色の現像部15が横方向に4個並べられる。その現像部15内の下部では、トナーカートリッジ119から落下したトナー107が攪拌部材118の回転に伴い攪拌され、トナー供給シャフト113からトナー供給ローラ109へとトナー107が供給される。
【0019】
記録媒体トレイ16は、記録媒体13を収めるトレイである。
ホッピングローラ17は、記録媒体トレイ16から記録媒体13を1枚ずつピックアップして搬送経路に乗せる。
レジストローラ(プレッシャ)18は、記録媒体13を転写ベルト9に斜行させずに搬送する。
レジストローラ(フィード)19は、記録媒体13を転写ベルト9まで搬送する。
アイドルローラ20は、転写ベルト11の駆動を安定化させる。
ドライブローラ21は、転写ベルト11を駆動する。
定着器22は、転写ローラ(転写部)10でトナー像が転写された記録媒体13が搬送されてきて、その記録媒体13上に転写されたトナー像を、記録媒体13上に定着させる。
【0020】
また、図1の画像形成装置には示されていないが、本実施の形態の画像形成装置には、各ローラ用電源を含んで画像形成装置全体に電力を供給する電源部(後述する電源部50以外への電力供給)、画像形成装置の状態を表示する表示部、画像形成装置に操作者からの指示を入力するためのボタン、スイッチ又はキーボード等を備える操作部、画像形成装置の動作状態を監視するための、例えば、用紙位置検出センサ、温度センサ135(現像部15以外の温度検出)、湿度センサ136、濃度センサ137等各種のセンサ、等が備えられる。
【0021】
制御部30は、例えば、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成され、各部の動作を制御して画像形成処理、廃棄トナーの廃棄処理を実施する。
帯電電圧制御部31は、電源部50から入力して帯電ローラ102に印加される帯電電圧を制御する。帯電電圧制御部31には、演算部34と帯電ローラ102が接続されており、温度検出センサ部125の温度センサ131で検出された温度値を記憶部40内の帯電環境テーブル41で比較参照して判断することで帯電量を制御する。
現像電圧制御部32は、電源部50から入力して現像ローラ104に印加される現像電圧を制御する。現像電圧制御部32には、演算部34と現像ローラ104が接続されており、温度センサ131で検出された温度値を記憶部40内の現像電圧環境テーブル42で比較参照して判断することで現像ローラ104に印加される現像電圧を制御して付着量を制御する。
LED光量/点灯時間制御部33は、電源部50から入力して光源(露光部)としてのLEDヘッド103の発光の光量や点灯する時間を制御する。LED光量/点灯時間制限部33には、演算部34とLEDヘッド103のLEDが接続されており、トナー廃棄時には、温度検出センサ部125からの温度情報の入力が記憶部40内のLED光量/点灯時間環境テーブル44で比較参照して判断することによりLEDヘッド103の光量と点灯時間を決定して、廃棄トナーの廃棄処理用画像パターンの面積を制御する。
演算部34は、入力する画像データ60から少なくとも印刷ドットカウント値(印刷ドット数)を演算することで印刷JOB処理量を検出する。従って、演算部34は処理量検出部(印刷JOB処理量検出部)としても機能する。
供給電圧制御部36は、電源部50から入力してトナー供給ローラ109に印加する供給電圧を制御する。供給電圧制御部36には、演算部34とトナー供給ローラ109が接続されており、温度センサ131で検出された温度値を記憶部40内の供給電圧環境テーブル47で比較参照して判断することで付着量を制御する。
従って、本実施の形態のトナー像パターンの作成部としては、感光体ドラム101、帯電ローラ102、LEDヘッド103、現像部15及び制御部30となる。
【0022】
また、演算部34は、画像データ60の印刷ドットカウント値と印刷される用紙のサイズ(印刷可能領域)から印刷DUTY比率を計算し、その印刷DUTY比率と記憶部40の廃棄トナーDUTY閾値記憶部43の値とを比較し、閾値以上か未満かでトナー廃棄の有無を判定し、印刷DUTY比率に応じて、廃棄トナー量を決定する。本実施の形態の演算部34は、温度検出センサ部125により検出された温度が所定の温度の時に、検出された温度に応じて、感光体ドラム101上のトナー付着量が増減(温度が低いほどトナー付着量が減少)するように、現像ローラ104への印加電圧(現像(DV)電圧、現像(DV)ローラ電圧)、トナー供給ローラ109への印加電圧(供給電圧、トナー供給ローラ(SB)電圧)を決定する。
【0023】
尚、印刷DUTY比率とは、所定サイズの用紙の印刷可能領域における印刷に必要となるドット数の比率である。例えば、A4サイズの用紙の印刷可能領域に、上位装置であるホストコンピュータから送られる画像データ60に基づいて印刷に必要となるドット数の比率である。さらに具体的な例としては、600DPI相当(1インチに600個のドット)のドット数(例えば、7128×5040=35925120)を100%とした場合で、さらにA4サイズの用紙における印刷可能領域でのドット数が5388168ドットの場合、5388168×100/35925120=1.5であるので、1.5%DUTYとなる。又、印刷DUTY比率の所定値(閾値となるDUTY比率)は、トナーが使用されると新規トナーが補充されてトナーの劣化が回復することから、例えば実験等によりトナーの使用時間の経過による劣化が進まないと判断されるトナーの使用量(画像データの印刷ドット数)を求め、その場合の印刷ドット数と印刷される用紙の印刷可能領域から所定のDUTY比率を計算により求めることができる。
【0024】
また図4には示されていないが、本実施の形態の画像形成装置の制御部30の機能として、画像形成装置全体のシーケンスを制御し印刷JOB処理を実施する印刷制御部、印刷データ及び制御コマンドを受信するインターフェイス(I/F)制御部、画像データ編集メモリに記録されたイメージデータをLEDヘッド103に送り、そのLEDヘッド103を駆動するヘッド駆動制御部、定着器22に電圧を印加する定着制御部、記録媒体(用紙)13を搬送させるための搬送用モータの制御を実施する搬送モータ制御部、感光体ドラム101を回転させるための不図示の駆動モータを駆動する駆動制御部等の機能を有している。
【0025】
記憶部40は、現像部15の現像処理に必要な各種の値を、例えばテーブル形式で記憶する。各環境テーブル又は閾値41〜44、47は、温度検出センサ部125の出力値に対応した数値を予め実験で求めたものを、記憶部40に記憶させたものであり、この各環境テーブル41〜42、44、47又は閾値43に記憶された値により現像電圧を制御するものである。
帯電環境テーブル41は、画像データに対応した静電潜像を形成するための帯電量に対応する帯電ローラ102に供給する電力供給値(電圧値、供給期間)を予め記憶する。又、トナー廃棄時における、感光体ドラム101上のトナー廃棄処理用画像パターン(静電潜像パターン)を形成するための帯電量に対応する帯電ローラ102に供給する電力供給値についても記憶する。
【0026】
現像電圧環境テーブル42は、画像データに対応した静電潜像を形成するためのトナー量に対応する現像ローラ104に供給する電力供給値(電圧値、供給期間)を予め記憶する。又、トナー廃棄時に、低温時を含む各温度帯域において、感光体ドラム101上に形成する静電潜像パターンを形成するためのトナー量に対応する現像ローラ104に供給する電力供給値についても予め記憶する。
【0027】
廃棄トナーDUTY閾値記憶部43は、現像部15内のトナーを廃棄トナーとして廃棄する際の印刷DUTY比率の閾値を予め記憶する。
LED光量/点灯時間環境テーブル44は、画像データに対応した静電潜像を形成するためのLEDの照射光量と点灯時間に対応する電力供給値(電圧値、供給期間)を予め記憶する。又、トナー廃棄時に、低温時を含む各温度帯域において、感光体ドラム101上に形成する静電潜像パターンの形状(面積)についても、廃棄するトナー量に基づきトナー厚を減少させる場合は面積を増加させ、トナー厚を増加させる場合は面積を減少させるようにトナー廃棄処理用画像パターンを予め記憶する。
【0028】
又、本実施の形態の画像形成装置の記憶部40には、図4には示されていないが、インターフェイス制御部を介して入力された印刷データを一時的に記録する受信メモリ、その受信メモリに記録された印刷データを受け取るとともに、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する画像データ編集メモリを備える。
【0029】
電源部50は、転写部10に転写させるための電圧を供給すると共に、装置内の他の各部に必要とされる電圧を、必要に応じて昇圧/減圧して適切な電圧で供給する。
画像データ60は、ホストコンピュータ等の上位装置から送出された印刷するための画像データである。
【0030】
感光体ドラム101は、所定の回転速度で回転可能であり、表面に電荷を貯えることができ、露光によって表面の電荷を除去することができる。感光体ドラム101は、帯電ローラ102により帯電され、LEDヘッド103から照射された光により感光体ドラム101上に任意の画像の静電潜像が形成される。感光体ドラム101には、現像ローラ104が一定の圧力で接触しており、LEDヘッド103により形成された静電潜像に現像ローラ104からトナー107が供給されることで現像されてトナー像が形成される。本実施の形態の感光体ドラム101は、例えば、外径がφ30mm、線速が0.154m/secである。
【0031】
従って、感光体ドラム101は、帯電ローラ102で帯電された後のその表面上に、任意の画像の画像データに基づいて光源により露光させることで静電潜像が形成されて、その静電潜像が現像ローラ104でトナーにより現像されてトナー像になり、さらにそのトナー像が転写ローラ10で記録媒体13に転写され、残ったトナーがクリーニングブレード108でクリーニングされる。感光体ドラム101は、その表面上に静電潜像及びトナー像を担持するので像担持体とも称される。
【0032】
帯電ローラ102は、所定電圧を印加可能な帯電部材であり、感光体ドラム101の表面には一定の圧力で接触して、感光体ドラム101と同方向に回転可能である。帯電ローラ102は、感光体ドラム101の表面を帯電させる。
【0033】
LEDヘッド103は、LEDで構成されて感光体ドラム101の上方向に配置されており、帯電された感光体ドラム101の表面上を画像データに従って露光させることで静電潜像を形成させる。LEDヘッド103には、LED光量/点灯時間制御部33が接続されており、露光は、LED光量/点灯時間制御部33により制御される。
【0034】
現像ローラ104は、感光体ドラム101の表面上に形成された静電潜像をトナーで顕在化(現像)してトナー像にするトナー担持体である。現像ローラ104には、第1のトナー供給部材であるトナー供給ローラ109が一定の圧力で接触している。又、現像ローラ104には、トナー供給ローラ109との間に電圧差が発生するように電圧(負電圧)が印加される。その電圧差に基づき現像ローラ104には、トナー供給ローラ109からトナー107が供給される。本実施の形態の現像ローラ104は、例えば、外径がφ15.95mm、線速が0.194502m/sec、感光体ドラム101の線速に対する現像ローラ104の周速比が1.263である。
【0035】
トナー107は、カラー印刷に用いられる各色毎の現像剤である。各現像部には、それぞれ異なる色のトナー107が供給されるため、本実施の形態の画像形成装置ではカラー印刷が可能である。本実施の形態の画像形成装置は一成分現像方式による現像が実施されるため、トナー107としては一成分トナーが使用される。現像ローラ104上のトナー107は、現像ローラ104の回転に伴い現像ブレード111のところまで搬送され、現像ブレード111によりトナー層の厚さが規定された後、感光ドラム101と対向する現像領域に搬送される。その現像領域においては、トナー107が感光体ドラム101上の静電潜像の静電気力により引き付けられて感光体ドラム101に移動させられることでトナー像が形成される。
【0036】
クリーニングブレード108は、弾性体で形成されたクリーニング部材(クリーニング部)であって、そのエッジ部が感光体ドラム101の表面に一定の圧力で付勢されて接触するように配置され、通常は次回の印刷のために、トナー像が転写された後に感光体ドラム101上の表面に残ったトナーを掻き落としてクリーニングする。クリーニングブレード108は、従来は上記のように転写後の画像をクリーニングする場合が多く、トナーを廃棄するための未転写で多量のトナーが残るトナー像をクリーニングするようには設計及び製造されていないことが多い。又、クリーニング部は、その清掃能力が常温環境下において所定の基準能力、つまり、未転写のトナーをクリーニングできるように設計及び製造されていることが多い。その為、低温環境下で多量のトナー107をクリーニングする場合には、従来の構成ではクリーニング不良を発生する可能性があった。低温環境下において、クリーニング部(クリーニングブレード108)の性能が低下する理由については上記したとおりである。
【0037】
トナー供給ローラ109は、金属軸にシリコーンゴム、ウレタンゴム等の発泡弾性体によってローラ形状に形成されるスポンジ状のローラであり、表面に凹部状の複数の図示されないセルが形成されている。トナー供給ローラ109は、現像部15内のトナー107を現像ローラ104に供給する機能と、現像ローラ104上の現像されなかったトナーを表面から剥離させる機能を有している。トナー供給ローラ109は、現像ローラ104と、各周速度に一定の差を有して接触部(ニップ部)にて互いに逆方向に摺動するように回転させられ、トナー供給ローラ109には、現像ローラ104との間には電圧差が発生するように電圧(負電圧)が不図示の金属端子に印加される。その電圧差に基づきトナー供給ローラ109から現像ローラ104にトナー107が供給される。トナー供給ローラ109は、それと共に現像ローラ104の外周面の余分なトナー107を掻き取ることができる。
【0038】
現像ブレード111は、現像ローラ104上のトナー層の厚さを規定する。現像ブレード111は、トナー供給ローラ109で現像ローラ104に供給されたトナー107を一定の厚さに規制するために、現像ローラ104におけるトナー供給ローラ109の接触部の下流側(回転方向下手側)に配置される。
トナー供給シャフト113は、トナー供給ローラ109とは0.5mm〜1.0mm程度の隙間を空ける配置で、ABS等の樹脂で回転へら状部が軸に取り付けられるように形成され、トナー収納容器(カートリッジ)119から現像部15の下部内に供給されたトナー107を、へら状部の回転により崩しながら、トナー供給ローラ109に機械的にこすりつけるようにして供給する。
攪拌部材118は、トナー収納容器(以下、トナーカートリッジとも記載)119から供給されたトナー107を回転することで攪拌して、第2のトナー搬送部材113に供給する。
【0039】
トナーカートリッジ119は、現像部15の上部に配置されて、現像剤であるトナー107を収納し、その内部からトナー107を現像部15の下部に供給する。又、トナーカートリッジ119では、下部に形成された開閉自在の開口部が開放されると、その開口部を介してトナーカートリッジ119内のトナー107が所定量だけ落下して現像部15内の下部に供給される。
廃棄トナー収納部120は、トナーカートリッジ119の一部を仕切って設けられた収納容器であり、クリーニングブレード108で掻き落とされ、廃棄される廃棄トナーを収納する。
クリーニングスパイラル121は、廃棄トナー搬送部の一部であり、クリーニングブレード108で感光体ドラム101の表面上から掻き落とされたトナーを廃棄トナー搬送ボックス122に搬送する。
廃棄トナー搬送ボックス122は、廃棄トナー搬送部の一部であり、廃棄トナーをトナーカートリッジ119の上部まで搬送する機構を収容する。
トナーカートリッジ119の隔壁126は、トナーカートリッジ119における使用前のトナーの格納されるスペースと、廃棄トナー収納部120とを隔てる隔壁である。
廃棄トナースパイラル123は、廃棄トナー搬送部の一部であり、廃棄トナー搬送ボックス122の上部に搬送されてきた廃棄トナーを廃棄トナー収納部120まで搬送する。
廃棄トナー搬送ベルト124は、廃棄トナー搬送部の一部であり、クリーニングスパイラル121により搬送されてきた廃棄トナーを廃棄トナー搬送ボックス122の上部に搬送する。
【0040】
温度検出センサ部125は、現像部の温度を検出する温度検出部であり、特に、クリーニングブレード108の温度を検出して、その温度情報を、装置内の高電圧部に印加される電圧の制御テーブルを変更するためと、トナー廃棄時の各部制御用のデータとして出力する。
温度センサ131は、現像部15の温度を検出するセンサである。
固定ねじ132は、温度検出センサ部125をクリーニングスパイラル121の外周容器に固定する。
【0041】
ここで現像ローラ104とトナー供給ローラ109への印加電圧の決定方法について説明する前に、劣化したトナーを廃棄トナーとして廃棄する必要性と、本願の課題となっている低温環境下において、感光体ドラム101のクリーニング部(クリーニングブレード108)の性能が低下する理由について説明する。
【0042】
以下に、劣化したトナーを廃棄トナーとして廃棄する必要性について説明する。例えば、画像形成装置で実施される濃度補正処理の回数が、A4規格サイズ用紙を横送りで400枚に1回の割合とする。これは、印刷JOBが連続印刷JOBの場合でも、印刷動作後にOnline表示させてから再度印刷処理を実施する処理を繰り返す1ページ/JOB(1P/JOB)の場合でも同様とする。その場合で、0.3%の低い印刷DUTY比率をもつ画像を1枚印刷して、On Lineで表示させた後に、再度、1枚印字する方法で500枚印刷する場合について考える。その場合、印刷DUTY比率が低い(低DUTY)の印刷JOB処理を500枚実施するので、400枚に1回の割合である濃度補正処理の回数は1回となる。この濃度補正処理の処理時にトナーの廃棄処理も実施するようにすると、濃度補正処理が400枚に1回の割合なので、トナーの廃棄処理も400枚に1回の頻度となる。400枚印刷時の現像ローラ104の回転数は、連続印刷時に2576回転である。(但しA4:297mmの1枚の印刷時には紙間距離が25mm必要とする)
【0043】
印刷JOB処理とは、1度に実施される印刷JOBを1つとカウントする処理であり、従って、1つの連続印刷JOB処理であっても、複数枚の用紙への印刷JOB処理が連続して実施され、印刷JOB処理が各用紙間で中断されない。例えば、A4規格サイズ用紙5枚の報告書の印刷が1つの印刷JOBである場合、その5枚の用紙の印刷JOB処理間には処理の中断が無く、報告書の5枚が連続して印刷される。それに対して1枚毎の1P/JOB(又は1P/Jと記載)では、1枚の用紙への印刷JOB処理が終了する毎に印刷JOB処理が中断され、例えばOn Lineの印刷待機画面表示状態になり、印刷指示の入力により印刷が再開されて次の1枚の用紙への印刷JOB処理が実施される。1P/JOBの場合には、このような1枚毎の印刷JOB処理が繰り返される。
【0044】
濃度補正処理は、例えば、濃度補正用画像を転写ベルトに形成して、濃度センサで濃度補正用画像の濃度を読み取り、所定の値となるように現像ローラ104に印加する電圧を増減させることにより濃度補正の処理を実施する。
【0045】
特に、現像部15内のトナー量が30g以下(トナー補給表示が表示されているような状況)で画像印刷する場合、残り少ないトナーが何回も攪拌されることになるので、通常80V程度の現像ローラ104上のトナー電圧が100Vを超える事となり、残像レベルの悪化、あるいは汚れ画像を発生させる。これは、例えば、帯電量が多くなると現像ローラ104上のトナーがトナー供給ローラ109で剥がし難くなり、現像ローラ104が回転するに従い徐々にトナー層厚が厚くなる。すると現像ローラ104上の電圧が上昇して100V以上になるためである。
【0046】
残像レベルが悪化する場合とは、例えば、ベタ画像部分で構成された文字が、下流側に配置された中間調(例えば、2by2パターン等)画像部分に、現像ローラ104の周期で写り混む不具合(ポジ残ゴースト)が発生する場合である。2by2パターンとは、ドットを形成する際に、縦4ドット分、横4ドット分の16マスのうち、縦2ドット分、横2ドット分の4マスのドットを形成するものである。また、中間調画像とは、100%DUTYのパターンと、0%DUTYのパターン、即ち、白地印刷との間のDUTYの画像である。
【0047】
汚れ画像が発生する場合とは、現像ローラ104上の付着量が1部分のみ増加することにより、その部分だけ濃度が濃くなる現象が発生した場合であるか、或いは、画像が中間調の印刷の場合にトナー層厚が部分的に厚い箇所があると、その箇所だけトナーが感光体ドラム101に多く移動して濃度が濃くなり画像が汚れたように見える現象が発生した場合である。
【0048】
しかし、上記した500枚の0.3%印刷の各印刷動作の前にトナー廃棄処理すると、廃棄処理回数は499回(1P/JOB)となり廃棄処理するトナー量も増加する。実際に上記した500枚の0.3%印刷の間にトナー廃棄処理する方法で印刷を行なった場合、トナー重量が30g以下の設定においても、現像ローラ104の現像(DV)電圧の上昇は5V程度に抑えられるので残像レベルの悪化、あるいは汚れ画像の発生を防止することができる。
【0049】
表1は、感光体ドラム101のクリーニング部で採用しているクリーニングブレード108の物性値の一例を示す表である。
【表1】

【0050】
表1からは、25℃と10℃では反発弾性率(%)に差があることがわかる。より詳しくは、反発弾性率が25℃の場合は34%であるが、10℃になると14%になり、5℃では8%、0℃では4%になっている点である。つまり、クリーニングブレード108の反発弾性率は、25℃の場合に比べて10℃では半分以下になり、5℃ではさらにその半分近くまで低下する。従って表1からは、低温環境下では、クリーニングブレード108のクリーニング(トナー107の掻き落とし)能力も低下すると考えられるので、従来の構成でクリーニングブレード108を用いて多量のトナー107をクリーニングする場合には、クリーニング不良が発生する可能性があることがわかる。
【0051】
尚、反発弾性率とは、物体の衝突時に材料が吸収するエネルギーを示す指標であり、所定質量・高さの落下物を試験片に衝突させる際の、衝突時、跳ね返り時に物体が持っているエネルギーの比である。クリーニングブレード108の場合は、ゴムの振動が多いか少ないか(ゴム性)を決定する特性となる。この数値(%)が高い場合は、高温/高湿度環境下では「めくれ」や「鳴き」が増加する傾向となり、低温環境下でのクリーニング性能を高くすることができる。これは、反発弾性率を高くなる事で、ゴム自身の振動が増えエッジ噛みこみが減少してクリーニング性能が上昇するためである。低温環境下においては反発弾性率が低下するので、クリーニング性も低下する。
【0052】
以下に反発弾性率の測定方法について説明する。反発弾性率の測定方法は、JIS K 6255に規格化されており、振子を用いて、振子の落下及び反発の高さから値を算出するリュプケ式反発弾性試験と、固体円盤を用いて、固体円盤の落下及び反発の角度から値を算出するトリプソ式反発弾性試験が知られている。
【0053】
荷重Wが高さh1から落下し、ゴム材料の試験片に衝突してh2の高さに跳ね返ったとすると、ゴム材料に吸収されたエネルギーE及び反発弾性率R(%)は次式で表される。
E=W(h1−h2)
R=(h2/h1)×100
【0054】
これらの式から、落下及び反発高さを測定すれば反発弾性率を算出できる。
R=0(%)の場合には、落下物は反発することなく静止し、R=100(%)の場合には、落下物は落下開始位置と同じ位置まで反発して跳ね返ってくることを表す。また、(100 − R)%は、ゴムの内部摩擦によって熱エネルギーに変換される。
【0055】
次に、現像ローラ104とトナー供給ローラ109への印加電圧の決定方法について表2を用いて説明する。
表2は、現像ローラ104に印加される現像(DV)電圧(現像バイアス電圧)と感光体ドラム101へのトナー107の付着量の関係の一例を示した表である。
【表2】

【0056】
表2には、周囲環境温度が常温環境下となるT≧25(℃)でのトナー付着量を1とした場合のトナーの付着量が示されている。一般に現像電圧と供給電圧の絶対値を小さくすると、感光体ドラムで現像されるトナー量は減少する。従って、現像電圧、供給電圧の絶対値が小さくなるにつれて感光体ドラム上のトナー付着量も減少する。又、低温になるにつれて、単位面積あたりのトナーの付着量が減少する。トナーの付着量が減少すると、単位面積あたりのトナー廃棄量も減少する。廃棄トナー量は、トナー付着量×パターン面積で求められる。従って、パターン面積を増大しなければ常温環境下(周囲環境温度T≧25(℃))でのトナー廃棄量を確保できなくなる。本実施の形態では、表2に示すようにパターン面積を増大させて、各温度における廃棄トナー量を同じ量にしている。
【0057】
表2からは、現像ローラ104に印加される現像(DV)バイアス電圧(負電圧:現像電圧とも記載する)が負側に増大(電圧値の絶対値が増大)すれば、感光体ドラム101へのトナー107の付着量も増加することがわかる。本実施の形態では、現像ローラ104に印加される現像電圧とトナー供給ローラ109に印加される供給電圧は、例えば表2に示したように100Vの差を有するように設定される。温度検知センサ125で検知した温度に基づいて、表2に示される現像電圧と供給電圧が現像ローラ104、トナー供給ローラ109に印加される。一定の温度環境下では、感光体ドラム101上のトナー付着量は、この現像電圧と供給電圧により決めることができる。例えば、常温環境下で現像電圧が−246Vで供給電圧が−346Vであるとき、感光体ドラム101面上への単位面積あたりのトナーの付着量は0.53mg/cm2となる。
【0058】
通常、温度検出センサ部125が常温環境下である25℃以上の値を示した場合の感光体ドラム101面上への単位面積あたりのトナー付着量及び廃棄トナー量が基準として考えるので、まず常温環境下の各数値について説明する。常温環境下では、表2から現像ローラ104に印加される現像電圧が−246V、トナー供給ローラ109に印加される供給電圧が−346V、トナー付着量が0.53g/cm2であり、トナー廃棄1回にて廃棄されるトナー量は31.61mgである。この廃棄されるトナー量は、感光体ドラム101面上への単位面積あたりのトナー付着量(0.53mg/cm2)にトナー廃棄1回におけるトナー廃棄処理用画像パターンの面積(60.06cm2)を掛けて求めることができる。
【0059】
温度検出センサ部125が25℃未満10℃以上の値を示した場合、現像ローラ104に印加される電圧を−229Vとすると、この時のトナー供給ローラ109に印加される電圧は−329Vとなる。尚、25℃未満10℃以上というのは自由に設定可能な温度の範囲(閾値)であり、この温度範囲を低温環境とする。この低温環境(25℃未満10℃以上)下での単位面積あたりの感光体ドラム101への付着量は0.51mg/cm2であり、常温環境に比べて、単位面積あたりの感光体ドラム101への付着量が低下する。従って、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷を軽減させることができる。ただし、単位面積あたりの感光体ドラム101への付着量を低下させただけでは、トナー廃棄1回にて廃棄される廃棄トナー量が減少してしまうので、廃棄トナー量を常温環境の時と同じとするために、本実施の形態では単位面積あたりの感光体ドラム101への付着量に応じてトナー廃棄1回におけるトナー廃棄処理用画像パターンの面積を大きくしている。尚、トナー廃棄処理用画像パターンの面積を大きくするためには、LEDヘッド103の点灯時間を長くすればよい。例えば、常温環境である25℃以上では0.180secであったLEDヘッド103の点灯時間を0.187secに延長させることで、常温環境である25℃以上では59.64cm2であったトナー廃棄処理用画像パターンの面積を、低温環境(25℃未満10℃以上)下では61.98cm2とすることができる。
【0060】
表2では、同様にして、温度検出センサ部125が10℃未満5℃以上や、5℃未満等の、常温以下となる低温の各温度帯において現像ローラ104に印加される現像電圧の値とトナー廃棄処理用画像パターンへの付着トナー量、及び、トナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)の増加させる比率を算出して示している。10℃未満5℃以上の温度範囲では、トナー廃棄処理用画像パターンの面積を63.22cm2とするために、LEDヘッド103の点灯時間を0.191secとしている。5℃未満の温度範囲では、トナー廃棄処理用画像パターンの面積を65.85cm2とするために、LEDヘッド103の点灯時間を0.199secとしている。このように本実施の形態では、常温以下の低温の各温度帯域における現像ローラ104の現像電圧を表2に基づいて制御することで、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷を適正な値にすることができる。
【0061】
また、本実施の形態の制御部30の演算部34は、少なくとも印刷ドットカウント値、現像部の温度、画像形成装置における各種処理(画像形成装置への電源投入、装置カバーの開閉、印刷JOB処理、濃度補正処理の何れか)の実施タイミングに基づいて廃棄トナーの廃棄処理の実施タイミングを設定すると共に、印刷ドットカウント値に基づいて廃棄トナーを廃棄することを決定するための値である廃棄ドットカウント値(廃棄ドット数)を演算する。次の表3に常温環境(例えば25℃)と低温環境(例えば10℃)の各温度帯域における最大の廃棄ドットカウント値の例を示す。
【表3】

尚、詳細は後述するが、常温環境の時の単位面積あたりの廃棄トナー量を1とした場合、それに対する低温環境の時の単位面積あたりの廃棄トナー量は0.962となる。低温環境の時に廃棄するトナーの総量を、常温環境の時に廃棄するトナーの総量と同じにするために、低温環境では、表3に示したようにトナー廃棄処理用画像パターンの長さを常温環境の時の長さよりも長くする。その際に、常温環境の時の単位面積あたりの廃棄トナー量1に対して、低温環境の時の単位面積あたりの廃棄トナー量が0.962であるので、常温環境の時の廃棄トナーパターンの長さを1としたとき、低温環境の時の廃棄トナーパターンの長さは1.039(=1/0.962)とする。例えば、LEDヘッド103の長手方向のドット数が2520である場合、主走査方向のドット数を2520とし、副走査方向のドット数をライン数とした場合に上記表3のようになる。本実施の形態では、常温環境と低温環境における廃棄トナーのパターンの長さを、ライン数を調整することで実施する。ライン数の調整は、LEDヘッド103の点灯時間により調整する。
【0062】
帯電電圧制御部31、現像電圧制御部32及びLED光量/点灯時間制御部33では、演算部34で演算された廃棄ドットカウント値に従い、廃棄トナーが感光体ドラム101に供給される際のトナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)及び単位面積あたりの量を制御することで、感光体ドラム101面上に廃棄するために供給する廃棄トナーの量を制御する。
【0063】
演算部34は、温度検出センサ部(温度検出部)125が、クリーニング部108のクリーニング能力が所定の基準能力以下となる所定温度以下であることを検出した場合、廃棄トナーが感光体ドラム101に供給される際の、単位面積あたりに供給される廃棄トナーの量を減少させてトナー厚を減少させると共に、トナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)を増大させるように、帯電電圧制御部31と現像電圧制御部32とLED光量/点灯時間制御部33を制御する。
【0064】
演算部34は、画像データの印刷DUTY比率が、連続印刷を実施するとトナー電位が上昇する所定の印刷DUTY比率よりも低い場合に、廃棄ドットカウント値を演算する。
【0065】
演算部34は、廃棄ドットカウント値が演算されると、廃棄トナーの廃棄処理を、画像形成装置において次に実施される上記各種処理の立ち上がりのタイミングで実施する。
ここで、本実施の形態における画像形成装置における廃棄トナーの廃棄処理で、次に実施される各種処理について説明する。ここでの各種処理とは、トナーの廃棄を行うことができる処理であり、例えば、印刷JOB処理、画像形成装置への電源投入処理、装置カバーの開閉処理、濃度補正処理の何れかである。
【0066】
印刷JOB処理とは、既に電源は投入された状態で印刷JOBを開始する処理である。この場合の印刷JOBが開始されるまでの時間は、既に電源は投入されているので、例えば0.18秒以下等のように他の処理に比べて比較的立ち上がり時間が短く、廃棄トナーの廃棄処理に使用できる時間は少ない。
【0067】
画像形成装置への電源投入処理は、電源の投入により定着器のウォームアップが始まるので、例えば1分以下等のように印刷JOB処理に比べて比較的立ち上がり時間が長く、廃棄トナーの廃棄処理に使用できる時間は多い。
【0068】
装置カバーの開閉処理も、電源投入処理よりは少ないがカバー開閉時の定着器の温度低下を再びウォームアップする時間があるので、例えば1.2秒以下等のように印刷JOB処理に比べて比較的立ち上がり時間が長く、廃棄トナーの廃棄処理に使用できる時間は多い。尚、装置カバーの開閉処理によるウォームアップ時間は定着器の温度低下の程度により増減する。
【0069】
濃度補正処理は、500枚毎に1回のプリンタの濃度の自動補正処理であり、これも定着器の温度低下を再びウォームアップする時間があるので、例えば1.2秒以下等のように印刷JOB処理に比べて比較的立ち上がり時間が長く、廃棄トナーの廃棄処理に使用できる時間は多い。尚、濃度補正処理によるウォームアップ時間も定着器の温度低下の程度により増減し、装置カバーの開閉処理によるウォームアップ時間よりも短い。
【0070】
従って、本実施の形態の演算部34は、画像形成装置における廃棄トナーの廃棄処理が実施される上記各種処理が、比較的立ち上がり時間が長い画像形成装置への電源投入、装置カバーの開閉、又は、濃度補正処理の何れかである場合には、廃棄トナーの廃棄処理量を多くし、画像形成装置における廃棄トナーの廃棄処理が実施される上記各種処理が、比較的立ち上がり時間が短い印刷JOB処理である場合には、廃棄トナーの廃棄処理量を少なくする。
【0071】
又、演算部34は、画像形成装置において廃棄トナーの廃棄処理の実施時に次に実施される上記各種処理が印刷JOB処理であって、印刷DUTY比率が所定のDUTY比率よりも低い場合には、廃棄が必要となる廃棄トナーを次の1回の上記各種処理だけでは廃棄できなくなるので、廃棄トナーの廃棄処理を実施を、更に次に実施される上記各種処理の立ち上がりのタイミングに繰り越して廃棄トナーの廃棄処理を実施する。この処理は、廃棄が必要となる廃棄トナーを全て廃棄し終わるまで繰り返される。
【0072】
さらに、演算部34は、画像データの印刷DUTY比率が所定のDUTY比率よりも低い場合に、印刷ドットカウント値を加算処理し、画像データの印刷DUTY比率が所定のDUTY比率よりも高い場合に、印刷ドットカウント値を減算処理して累積ドットカウント値(累積ドット数)を検出して印刷JOB処理量を検出した後に、累積ドットカウント値が正の値である場合に、廃棄ドットカウント値を演算する。
【0073】
記憶部40に画像データの印刷DUTY比率が所定のDUTY比率である場合の印刷ドットカウント値を、閾値となる所定ドットカウント値(所定ドット数)として格納させておいた場合、演算部34は、累積ドットカウント値が記憶部40に格納された所定ドットカウント値(閾値)以上である場合に、廃棄ドットカウント値を演算する。
【0074】
又、演算部34は、累積ドットカウント値が廃棄ドットカウント値よりも大きい場合には、廃棄トナーの廃棄処理を、画像形成装置における複数回の上記各種処理の立ち上がり時のタイミングで実施する。
【0075】
演算部34は、温度検出センサ部(温度検出部)125が、クリーニング部108のクリーニング能力が所定の基準能力以下となる低い温度であることを検出した場合、記憶部40内の現像電圧環境テーブル42から、その検出温度に適合する現像電圧値と供給電圧値を選択し、LED光量/点灯時間環境テーブル44から低温時においてもトナー廃棄量が常温時と同様の量になるように予め計算された廃棄トナーパターンのLED光量/点灯時間を選択してトナー廃棄を実施する。演算部34は、例えば、上記の低温環境下での廃棄ドットカウント値の演算処理においては、1回の各種処理のたち上がりで廃棄される廃棄ドット数を減らし、廃棄トナーの廃棄処理が実施される回数(各種処理の立ち上がり時の廃棄処理数)を増加させる。
【0076】
次に、廃棄トナーの廃棄処理の方法について説明する。廃棄トナーの廃棄処理は以下のタイミングで実施される。
(T1)電源投入時、カバーopen/shut時
(T2)印刷JOB処理の印刷起動の立ち上がり時
(T3)濃度補正処理時(400枚/回の濃度補正処理時)
【0077】
(T1)又は(T3)の時には、それらの処理が比較的長時間の処理であり、時間的に余裕があることから、比較的大量の廃棄トナーを廃棄処理することができる。(T2)の時には、プリンタの印刷速度は落とさずに廃棄トナーを廃棄処理することになるので、(T1)又は(T3)の時に比べると、比較的少量の廃棄トナーの廃棄処理となる。
【0078】
(T1)の時には、画像形成装置の定着装置が安定するまでに数秒の時間が必要であるので、その数秒の間の任意のタイミングで廃棄トナーを廃棄処理することができる。(T2)の時には、画像処理装置に印刷指令が入力された場合、印刷JOB処理の起動時に感光ドラム104が回転を開始するが、記録媒体13が搬送されて感光体ドラム101の転写位置まで到達するのに数100msecかかるため、その間に感光体ドラム104上に廃棄トナーのトナー廃棄処理用画像パターンを作成することが可能となる。(T3)の時には、濃度補正処理用に作成するトナー像パターンと同時にトナー廃棄処理用画像パターンを作成する。
【0079】
以下に、本実施の形態の設定条件について具体的に説明する。低印刷DUTY比率の定義は、A4規格サイズ用紙1枚の印刷において、印刷ドットが1.5%以下の画像とする。A4規格サイズ用紙への印刷は、600DPI相当で換算すると、7128×5040 ドット (A4規格サイズ用紙 : 297mm×210mm)である。全点灯が100%印刷である為1.5%印刷は 107×5040 ドットとなる。
【0080】
図5は、現像ローラ104に供給されるバイアス電圧値と感光体ドラム101上のトナーの付着量(トナー濃度、トナー厚)の関係を示す図である。図5の横軸であるDBバイアス値は、トナー供給ローラ109への印加電圧(SB電圧)との電圧差が100Vである場合の現像ローラ104への印加電圧(現像(DV)電圧)を示す。縦軸は感光体ドラム101上の1平方センチメートルあたりに付着するトナーの付着量をグラム数で示している。図からは、DBバイアス値のマイナス電圧が下がるに従い、直線的に付着量が増加していることがわかる。
【0081】
図6は、図1の画像形成装置における廃棄トナーのトナー廃棄処理を示すフローチャートである。
以下に、図6を参照して本実施の形態の廃棄トナーの廃棄処理の手順について説明する。ステップS1でホストコンピュータから印刷指示が入力されると、ステップS2で先の1回で実施される印刷JOB処理(Aという印刷JOB処理:以後、印刷Aと記載)が実行された後に、先の印刷Aの画像データを図4の演算部34でドット数を計数して、その後のステップS3で先の印刷Aにおける以下の8つの値(V1〜V8)が、図4の記憶部40に記憶される。
(V1)Kのドットカウント値:LK
(V2)Yのドットカウント値:LY
(V3)Mのドットカウント値:LM
(V4)Cのドットカウント値:LC
(V5)Kのドラムカウント値(A4規格サイズに換算した値):OK
(V6)Yのドラムカウント値(A4規格サイズに換算した値):OY
(V7)Mのドラムカウント値(A4規格サイズに換算した値):OM
(V8)Cのドラムカウント値(A4規格サイズに換算した値):OC
尚、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアンの3原色でKは黒を示す。又、Lはドットカウント値、Oはドラムカウント値を示す。
ドットカウント値とは、印刷JOB処理における全印刷ドット数のカウント値であり、例えば、印刷JOB処理が5ページの印刷であれば、5ページの印刷ドット数の総和である。
ドラムカウント値とは、感光体ドラム101が各サイズの印刷時にどれだけ移動(回転)したかの値である。廃棄トナー印刷DUTY比率閾値記憶部43の値は、A4サイズの印刷をする場合の閾値である。従って、A3サイズやA5サイズの印刷時には閾値として適切でなく、それらの異なるサイズの印刷枚数をそのまま使用すると、A3サイズの場合は低DUTYと判定され、A5サイズの場合は高DUTYと判定される。ここで感光体ドラム101のドラムカウント値を使用することにより、A3サイズやA5サイズの異なるサイズの印刷枚数をA4サイズの印刷枚数に換算することができる。その結果、正しく閾値以上か未満かを判断することができる。
【0082】
図4の記憶部40に収納された廃棄トナーの印刷DUTY比率の閾値43:基準カウント値を用いて、廃棄処理が必要なドット数を演算部34で計算する。
次にステップS4で以下のKYMC各色の4つの廃棄ドットカウント値(V9〜V12)の計算を実施する。
(V9)Kの廃棄ドットカウント値:(基準カウント値−LK)×OK
(V10)Yの廃棄ドットカウント値:(基準カウント値−LY)×OY
(V11)Mの廃棄ドットカウント値:(基準カウント値−LM)×OM
(V12)Cの廃棄ドットカウント値:(基準カウント値−LO)×OC
ここまでの計算により廃棄処理に必要なドット数を求めることができる。
【0083】
ステップS5において値が正(+)、すなわち、LK、LY、LM、LCに対して基準カウント値が大きい場合(YES)には、トナー廃棄処理を実施するが、廃棄処理を実施する前にステップS6で温度センサ131の値を参照して温度が25℃以上(YES)であれば、ステップS7で記憶部40に収納されている現像電圧環境テーブル42を参照して現像ローラ104の現像電圧と廃棄ドットカウント値を決定する。温度が25℃未満(NO)であれば、廃棄ドットカウント値を決定しないでステップS8に進む。
【0084】
廃棄ドットカウント値が決定されると、ステップS8で記憶部40に収納されている廃棄可能な最大廃棄ドットカウント値2520:682と比較して値が小さければ(NO)、ステップS11でそのまま廃棄処理する。
【0085】
ステップS8で廃棄ドットカウント値が最大廃棄ドットカウント値より大きい場合(YES)には、ステップS9で最大廃棄ドットカウント値を廃棄処理した後、残りのドット数をステップS10で累積廃棄ドットカウント値に加算する。最大廃棄ドットカウント値は、ジョブ間で廃棄できる最大のドットカウント値で、本実施の形態では1718640(=2526×682)である。廃棄ドットカウント値は、次のジョブ間にて廃棄しようとするドットカウント値であり、ステップS4で計算される値(V9〜V12)である。
【0086】
ステップS5において廃棄ドットカウント値が−の場合(NO)には、ステップS12で累積ドットカウント値から廃棄ドットカウント値を減算する。
【0087】
ステップS13で減算した値が−(NO)であれば、ステップS14でトナー廃棄処理を行わずに次の印刷に移る。ステップS13で減算した値が正(YES)であれば、ステップS6に進んで以降のトナー廃棄処理を実施する。
【0088】
基準カウント値とは、廃棄トナーを廃棄することを決定するための印刷DUTY比率の閾値のことであり、本実施の形態では、1.5%の印刷DUTY比率を廃棄トナーを決定するための印刷DUTY比率の閾値としている。従って、画像データの印刷DUTY比率が107×5040ドットより小さい場合、廃棄ドット(廃棄トナーを発生させるドット)が発生していると判断する。例えば、120×5040ドットの画像データの場合、65520ドット(13×5040ドット)の廃棄ドットが発生することになる。
【0089】
つまり、ステップS5で計算した値が正の場合には、その正のドットカウント値分のトナーを廃棄処理する。基本的に、廃棄処理が必要なドットカウント値は、次回の印刷JOB処理の起動時にそのトナーを廃棄処理してしまいたいが、印刷DUTY比率が低い印刷を連続して実施した場合、1回のトナーの廃棄処理ではその廃棄トナーの全量を廃棄できない場合が発生する。その為、ドットカウント値は、積算値として累積ドットカウント値とする。
【0090】
ここで、累積ドットカウント値について説明する。基本的に廃棄処理では、先の印刷Aにおける基準カウント値との比較値が+となるドットカウント値、すなわち、基準ドットカウント値よりも印刷Aのドットカウント値が小さな値である場合に「基準ドットカウント値」−「印刷Aのドットカウント値」のドットカウント値が廃棄に必要なドットカウント値である。
【0091】
この残った+分のトナードットカウント値を積算した物が、累積ドットカウント値である。例えば、累積ドットカウント値が正の値であれば、先の印刷Aで廃棄処理が必要なくても、次の印刷Bの開始前に廃棄処理が実施される。そして廃棄処理したドットカウント値は、累積廃棄ドット値より減算される。廃棄処理では、先の印刷Aにおける基準カウント値との比較値が−となるドットカウント値、すなわち、基準ドットカウント値よりも印刷Aのドットカウント値が大きな値である場合に廃棄に必要となるドットカウント値が増加しない。「基準ドットカウント値」−「印刷Aのドットカウント値」で得られるドットカウント値は廃棄に必要なドットカウント値でないため(−値であるため)、当該得られるドットカウント値を累積ドットカウント値から減算する。
【0092】
ステップS6では、累積ドットカウント値の有無について判定し、累積ドットカウント値が有る場合にはトナー廃棄処理を実施し、廃棄処理したドットカウント値を累積廃棄ドットカウント値から減算する。累積ドットカウント値が無い場合にはトナー廃棄処理を実施せずに次ぎの印刷Bを実施する。
【0093】
ここで、実際に廃棄トナーの累積ドットカウント値が有る(残る)場合について、具体例を用いて説明する。0.3%の印刷DUTY比率の印刷を考えた場合、100%DUTY印刷では、7128×5040ドットなので、0.3%印刷DUTYでは、0.3(DUTY)×7128×5040ドット=21×5040ドットとなる。
【0094】
この場合の廃棄ドットカウント値は、107×5040 : 基準カウント値−21×5040(ドットカウント値) =86×5040 ドット が廃棄処理が必要なドット数となる。
【0095】
0.3%印刷が連続して実施されると、各印刷JOB処理には立ち上がり時間が設定されないので、トナーの廃棄処理が実施できないことになる。
この場合には、85×5040ドット×枚数分の廃棄ドットカウント値が蓄積される。
【0096】
0.3%印刷が4枚連続して実施されると、(基準カウント値の副走査値)107−(A印刷0.3%DUTYの副走査値:0.3×7128)21の減算値86と、主走査方向のドット数5040と、A4用紙が4枚の4とから、86×5040×4=1733760ドットの廃棄トナードットとなる。ここで、次の印刷JOB処理でトナーを廃棄処理する場合には、印刷JOB処理の立ち上がり時に廃棄処理できる量は、(1by1での主走査方向で廃棄可能な最大値)2520と、(副走査方向で廃棄可能な最大値)682とから、(JOB間にて廃棄できる最大値)は、2520×682=1718640ドットとなる。従って、廃棄処理した後も15120ドットの廃棄必要ドット数が残る。これが累積されて累積廃棄ドットカウント値となる。
【0097】
次に、累積廃棄ドットカウント値の必要性について説明する。トナー廃棄処理は、JOB間で実施するので、連続印刷中はトナー廃棄処理を実施することができない。そこで、トナー残量がEmpty付近で、低印刷DUTY比率の印刷を連続して実施する場合について考えてみると、トナー電圧は上昇して、その後のJOB間でトナーを廃棄処理可能最大値(MAX)分は放棄できるわけであるが、このときの印刷が100%印刷DUTY比率の1P/JOBの印刷なのか、0.1%印刷DUTY比率の1P/JOBの印刷なのかにより、廃棄処理が必要となるトナー量が異なってくる。又、低印刷DUTY比率の印刷の連続枚数が5枚と100枚では、その後に廃棄処理が必要となるトナー量に差がでてくる。以上のような状況を考慮して、廃棄処理が必要なドット数を累積することにより、廃棄処理が必要な回数を変化させることができる。
【0098】
次に、LEDヘッド103について説明する。LEDヘッド103は、1インチ当たりLED素子が600素子配列される600DPIのLEDヘッドであり、今回の発光画像は、トナーの消費量等を考慮して、印刷可能領域全面における1010発光とする(全面50%画像)。尚、1010発光とは、1列に並ぶLEDを全て光らせるのが1111発光であり、1010発光とはLEDを1つおきに光らせる場合である。
【0099】
次に、トナーの廃棄処理の各タイミングにおける最大のトナー廃棄ドットカウント値は以下のようになる。
(T1a)電源投入時
LEDドット数:2520(210mm)、 ライン数:4096(172mm)
(T2a)印刷JOB処理立ち上がり時
LEDドット数:2520(210mm)、 ライン数:682(28.6mm)
(T3a)濃度補正処理時
LEDドット数:2520(210mm)、 ライン数:4096(172mm)
【0100】
印刷間に廃棄処理が必要なドット数を2520×500とした場合、廃棄処理のパターン面積は、表2に示したように61.98/59.64≒1.039倍になるので、横:2520ドット(210mm)はそのままとして、縦:500ドット(20.96mm)×1.039=519.5ドット(21.78mm)となるようにLEDの点灯時間を増加させて廃棄処理の面積を増大させる。
【0101】
本実施の形態の画像形成装置は、上記した構成により、温度検出センサ部125が低温を検出した場合、次の印刷JOB処理の起動時に、感光体ドラム101面上に形成されるトナー廃棄処理用画像パターンへのトナーの単位面積あたりの付着量を減少させることで、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷を軽減させている。
【0102】
ここで、次の印刷JOBの起動時とは、例えば画像形成装置に印刷の命令が入力されると、画像形成装置では、トレイ16内の記録媒体13を取り出して搬送し、レジストローラの18、19のところの不図示の光学センサー等で記録媒体が検出されると画像形成作業を開始させ、感光体ドラム101上のトナー像の転写タイミングに合わせて再度、記録媒体13の搬送を再開させるが、その一連の処理において、トレイ16内の記録媒体13が取り出されてから光学センサー等で記録媒体が検出されるまでの時間を次の印刷JOBの起動時として、トナーの廃棄に利用するものである。
【0103】
また、単純に単位面積あたりの付着量を減少させると、常温環境の場合よりも廃棄トナーの量が減少することになるので、本実施の形態ではトナーの単位面積あたりの付着量を減少と同時に、単位面積あたりの付着量を減少させた分だけトナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)を大きくしている。尚、クリーニングブレード108に対する負荷とは、クリーニングブレード108による感光体ドラム101上から掻き取る単位面積あたりのトナーの量(トナー掻き取り量)であり、クリーニングブレード108まで到達する感光体ドラム101上の単位面積あたりのトナー量が多いときには、単位面積あたりのトナー掻き取り量も多くなる。
【0104】
このように本実施の形態の制御部30内の演算部34は、LEDヘッド103のLEDをその光量及び点灯時間で発光させるようにLED光量/点灯時間制限部33を制御することで、「トナー廃棄処理用画像パターン」の面積を増減させる。その場合に、温度が低いほど面積が大きくなるようにLEDヘッド103からの出力を制御する。その廃棄処理用画像パターンの面積の判断方法及び点灯時間の決定方法について説明する。
演算部34は、例えば温度検出センサ部125が検出した温度を、記憶部40内のLED光量/点灯時間環境テーブル44と比較参照して、その温度に応じた廃棄トナーの廃棄処理用画像パターンの面積を判断し、その面積に廃棄トナーを付着させるための光量及び/又は点灯時間を表2を用いて上記したように決定する。
【0105】
例えば、5℃以下の環境下の場合について説明する。検出温度から表2により現像電圧と供給電圧が決定されると、各電圧により感光体ドラム101上のトナーの付着量が常温環境下の0.53mg/cm2を基準として変わり、5℃以下の環境下では0.48mg/cm2となる。付着量が0.48となると、トナー排気量を常温環境下と同じにするためには、感光体ドラム101上の廃棄処理用画像パターンの面積を0.53/0.48=1.104倍にする必要がある。
本実施の形態では、廃棄処理用画像パターンの面積を調整を副走査方向のライン数で実施しており、LEDの点灯時間により常温環境下の表3に示したライン数684を755に変更することで調整している。
【0106】
また、本実施の形態の制御部30の演算部34は、廃棄トナーの廃棄時には、検出された温度により決定される現像電圧、供給電圧、「トナー廃棄処理用画像パターン」の面積に基づき「トナー廃棄処理用画像パターン」を形成する。演算部34は、温度が低温になるほど、トナー廃棄処理用画像パターンの濃度(トナー密度)を減少させ、クリーニングブレード108が掻き取る量(単位面積あたり)を減少させるが、それと同時にトナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)を増大させているため、印刷DUTY比率に応じた廃棄トナー量を、低温時でも温度により減少させることなく廃棄することができる。
【0107】
本実施の形態の演算部34は、クリーニングブレード108で掻き取るトナー量が多い場合でも、クリーニングブレード108による単位面積あたりのトナー掻き取り量を多くすることがなく、すなわち、クリーニングブレード108への負担を増大させることが無い。
【0108】
尚、クリーニング部能力が低下して、掻き落とせない廃棄トナーが感光体上に残って画像形成に支障をきたすという問題を避けるためには、例えば、低温で低湿度の環境下でもクリーニングできるように廃棄トナーの量を減少させることが考えられるが、廃棄トナーの量を減少させることは、上記したように廃棄トナーによる印刷画像の画像濃度の不均一の問題や、ドット再現性の低下の問題、かぶり等の不具合が発生する可能性がある。低温で低湿度の環境下では、トナーの摩擦抵抗値が増大することから考えれば、逆に、廃棄トナーの量を増加させる必要があると考えられ、廃棄トナーの量を減少させることは現実的ではない。
【0109】
又、例えば、低温環境下で負荷が大きい場合でもクリーニング部を充分に機能させるためには、クリーニングブレードやその取り付け部材等を大型化させたり圧接力を増加させて対応させることが考えられるが、一般的に画像形成装置には軽量化や小型化が求められており、ブレードの圧接力の増加は感光体ドラム面の寿命を低減させる可能性があることから、そのような仕様を採用することが困難である。
【0110】
又、本実施の形態では、低温環境下において反発弾性立が低下したクリーニングブレード108に対する負荷を軽減させつつ常温環境下と同量の廃棄トナーを廃棄するために、単位面積あたりのトナー廃棄量を減らすのと同時にトナー廃棄処理用画像パターンの面積を増大させる方法を用いているが、トナー廃棄処理用画像パターンへのトナーの付着量を変更するパラメータとしては、現像ローラ104への現像バイアス電圧を変更することに限らず、感光体ドラム101に印加する表面電圧を変更すること、あるいは、LEDヘッド103のLEDの光量を変更することにより実現することができる。
【0111】
感光体ドラム101に印加する表面電圧を変更してトナーの付着量を変更する場合、例えば、常温環境下で感光体ドラム101の表面電圧に−1000Vを印加していたものを、低温環境下になった場合には濃度を下げるために表面電圧を−1100Vとする。感光体ドラム101の表面電圧(絶対値)を増加させることにより、LEDヘッド103のLEDから同じ量の光量があたえられた場合の静電潜像の電圧を高くすることができる。静電潜像の電圧が高くなると、感光体ドラム101面上にトナーが付着する量が減り、トナー像へのトナーの付着量を減少させることができる。また、LEDヘッド103のLEDの光量を変更してトナーの付着量を変更する場合、感光体ドラム101の表面電圧が同じ(−1000V)であっても、LEDヘッド103のLEDの光量を小さくすることで、感光体ドラム101面上の静電潜像の電圧を高くすることができ、トナー像へのトナーの付着量を減少させることができる。
【0112】
このように本実施の形態の画像形成装置では、温度を検出可能な検出部材を設け、低温環境下においては、次の印刷JOB処理の立ち上げ時に実施するトナー廃棄処理におけるトナー廃棄処理用画像パターンに供給するトナーの量を減少させてトナー濃度(トナー厚)を減少させることで低温時のクリーニング不良を防止することができ、更に、それと共にパターンの面積は増大させるので、廃棄トナーの量を減らさずに廃棄処理を実施することができる。また、本実施の形態の画像形成装置では、累積廃棄ドットカウント値を演算することで複数回の印刷JOB処理立ち上げ時にわたってトナー廃棄処理を実施できるので、廃棄トナーの量が多くなっても廃棄トナーの量を減らさずに廃棄処理することができる。
【0113】
実施の形態2.
上記した実施の形態1においては、印刷JOB処理の起動時において廃棄処理される廃棄トナーは、感光体ドラム101側に廃棄処理される構成である。
通常、感光体ドラム101側のクリーニングブレード108は、転写後の画像をクリーニングする場合が多く、感光体ドラム101側で回収されるトナーの量は微量であることが多い。
【0114】
又、実施の形態1のような構成とすると、ほぼ未転写のトナーをクリーニングする回数が非常に多くなり、クリーニングブレード108の消耗量が多くなり、現像部15の使用期間が耐用年数(寿命)近くではクリーニング不良を発生させる可能性を有している。特に、低温環境下においてはクリーニング性が低下するので、クリーニングブレード108の消耗によるクリーニング不良の可能性には対策が必要である。尚、クリーニング不良を抑制するためには、クリーニングブレード108の圧接力を大きくして対策する方法も考えられるが、圧接力を大きくすることは感光体ドラム101の寿命を低減させる可能性があるため実施が難しい。
【0115】
又、実施の形態1では、温度を検出して、低温環境下では、トナー廃棄処理用画像パターンに供給するトナーの量を減少させて、低温時のクリーニング不良を防止していたが、クリーニングブレードに到達するトナーの量を減少させるためには、転写ローラで転写ベルトに感光体ドラム上のトナーの一部を転写させることで、クリーニングブレードに到達するトナーの量を減少させることも可能である。
【0116】
従って、実施の形態1においては、感光体ドラム101に作成する廃棄処理画像トナー廃棄処理用画像パターンの感光体ドラム101面上の付着量をさげることにより負荷を低減したが、本実施の形態2においては、感光体ドラム101の付着量を下げるのではなく、感光体ドラム101側にいくトナーの割合を減らすことにより、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷を低減させる。
【0117】
以下に説明する本実施の形態2では、温度検出センサ部が低温を検出した場合に、転写ローラに印加する電圧を制御することで転写ベルトに感光体ドラム上のトナーの一部を転写させ、クリーニングブレードに到達するトナーの量を減少させて、低温時のクリーニング不良を防止する場合について説明する。
【0118】
本実施の形態でもトナー廃棄処理用画像パターンを形成するが、そのトナー廃棄処理用画像パターンは、第1の実施の形態とは異なり、低温度の場合に面積を増大させることはなく、印刷DUTY比率に応じた一定面積のトナー廃棄処理用画像パターンでよい。
【0119】
本実施の形態では、温度の検出結果を転写電圧の制御に利用し、温度により転写電圧が異なるため、温度により転写ベルトに転写されるトナー量、感光体ドラムに残留するトナー量(転写効率)が変わる。具体的には、低温であるほど、転写電圧を高くして、転写ベルトに転写されるトナーを多くし、感光体ドラムに残留するトナーを減少させる。
【0120】
又、実施の形態1の廃棄処理方法では、トナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)を増大させる際の各辺の拡大方向が、印刷媒体の進行方向の辺のみであれば問題はない。しかし、感光体ドラム101の長手方向の辺を増大させる場合には、若干ではあるが、常温/高温環境下の廃棄処理におけるトナー廃棄処理用画像パターンと、低温環境下の廃棄処理におけるトナー廃棄処理用画像パターンとで差がでる可能性があるので、パターンを変更する必要がある場合が考えられる。本実施の形態では、低温環境下の廃棄処理におけるトナー廃棄処理用画像パターンを変更する必要がない廃棄処理方法について説明する。
【0121】
図7は、本発明の実施の形態2に係る電子写真方式の画像形成装置における現像部の制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。
尚、本実施の形態の画像形成装置の概略構成、現像部、廃棄トナー搬送ボックス、現像部の制御ブロックの各基本構成については実施の形態1の図1〜図4に示されており、以下では相違点のみを説明する。
【0122】
本実施の形態では、制御部30内に、画像形成装置の温度検出センサ部125からの情報に基づき、転写ローラ10に電源部50から供給される転写電圧を変更できる転写電圧制御部35が追加される。
【0123】
転写電圧環境テーブル45は、低温時を含む各温度帯域において、トナー廃棄時に、感光体ドラム101上に残すトナー像のトナー量と、転写ベルト9に転写させるトナー量に対応させて転写ローラ10に供給する電力供給値(電圧値、供給期間)を記憶する。
【0124】
転写電圧環境テーブル45も、他の環境テーブル41〜44と同様に、温度検出センサ部125の出力値に対応した数値を予め実験で求めたものを、記憶部40に記憶させたものであり、この転写電圧環境テーブル45に記憶された値により転写電圧を制御するものである。
【0125】
本実施の形態の転写電圧制御部35には、演算部34と転写ローラ10が接続されており、トナー廃棄時には、温度検出センサ部125からの温度情報の入力が記憶部40の転写電圧環境テーブル45と比較参照されることにより電圧値が決定されて、電源部50から転写ローラ10に供給される転写電圧を制御する。
【0126】
本実施の形態の転写ベルト9上には、感光体ドラム101から廃棄トナーが転写される。転写ベルト9上に転写された廃棄トナーは、転写ベルトクリーニング部11でクリーニングされ、トナー回収容器12に回収されて収納される。
【0127】
本実施の形態の演算部34では、ホストコンピュータにより送られた画像データ60から、印刷DUTY比率を計算し、記憶部40に記憶された廃棄トナー印刷DUTY比率閾値43の値と比較し、廃棄処理の有無を判定する。
本実施の形態の演算部34は、少なくとも印刷ドットカウント値、現像部の温度、画像形成装置における上記各種処理(画像形成装置への電源投入、装置カバーの開閉、印刷JOB処理、濃度補正処理の何れか)の実施タイミングに基づいて廃棄トナーの廃棄処理の実施タイミングを設定すると共に、印刷ドットカウント値に基づいて廃棄する廃棄トナーの値である廃棄ドットカウント値を演算し、その廃棄ドットカウント値に従い、転写部10に電源部50から供給される電圧を制御することで、感光体ドラム101面上に廃棄するために供給された廃棄トナーが転写部10を通過してクリーニング部108に達する量を制御する。
本実施の形態の演算部34は、温度検出センサ部(温度検出部)125が、クリーニング部108のクリーニング能力が所定の基準能力以下となる所定温度以下であることを検出した場合、廃棄トナーが感光体ドラム101に供給される際の、転写部10に電源部50から供給される電圧を増大させて廃棄トナーが転写部10を通過してクリーニング部108に達する量を減少させるように制御する。
【0128】
実際の動作について説明する。感光体ドラム101にトナー廃棄処理で画像トナー廃棄処理用画像パターンが作成された時、常温環境下であれば転写ローラ10に印加される電圧は0Vであるが、温度検出センサ部125の検出温度が25℃未満10℃以上であれば、転写ローラ10に印加する電圧を200Vとする。
【0129】
転写ローラ10に印加される電圧が0Vであればドラム側のトナー付着量は0.53mg/cm2である(転写電圧が0Vでも機械的な接触により転写側にトナーが移動する)が、200Vを印加すると0.500mg/cm2となり、感光体ドラム101側に付着するトナー量が少なくなるので、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷は軽減される。以下、同様な考え方で、各温度での転写効率を算出した温度と付着量の関係を示す表が表4である。
【0130】
【表4】

尚、転写ベルトに到達する前の感光体ドラム上のトナー付着量は0.59mg/cm2である。
【0131】
表4は、転写ローラ10に印加される転写バイアス電圧と感光体ドラム101へのトナー107の付着量の関係の一例を示した表である。表4からは、転写ローラ10に印加される正電圧が正側に増大(電圧値の絶対値が増大)すれば、逆に感光体ドラム101へのトナー107の付着量が減少していることがわかる。表4では、例えば、温度検出センサ部125が25℃以上の値を示した場合、すなわち常温環境下において、転写ローラ10に印加される電圧が0Vである場合には、その常温環境の場合の感光体ドラム101面上へのトナー付着量は0.53mg/cm2となり、転写ベルトに到達する前の感光体ドラム上のトナー付着量は0.59mg/cm2であることから感光体ドラム101面上の残存比率は89.83%である。
温度検出センサ部125が25℃未満10℃以上(自由に設定可能な閾値である)の値を示した場合、転写ローラ10に印加される電圧を+200Vとすると、この低温環境(25℃未満10℃以上)下での感光体ドラム101への付着量は0.50mg/cm2であり、転写効率は84.75%であり、トナー濃度(単位面積あたりのトナー厚)が低下するので、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷は軽減されることとなる。
【0132】
表4では、同様にして、温度検出センサ部125が10℃未満5℃以上や、5℃未満等の、常温以下の各温度帯における転写ローラ10に印加される転写バイアス電圧値とトナー廃棄処理用画像パターンへの付着量、及び転写効率を算出している。常温以下の各温度帯域における転写ローラ10の転写電圧を表4に基づいて制御することで、低温により反発弾性率が低下したクリーニングブレード108に対する負荷を適正な値にすることができる。このテーブルに基づき、各温度での転写電圧を制御してクリーニング負荷を適正な値とする。又、このときの各バイアス値は、現像バイアスが−246V、供給バイアスが−346V、表面電圧が−1000Vとする。
【0133】
図8は、図7の画像形成装置における廃棄トナーのトナー廃棄処理を示すフローチャートである。以下に、図8を参照して本実施の形態の廃棄トナーの廃棄処理の手順について説明する。ステップS1〜ステップS6までと、ステップS12〜ステップS15までと、ステップS8〜ステップS11までは実施の形態1と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0134】
ステップS5において値が正の場合(YES)には、トナー廃棄処理を実施するが、廃棄処理を実施する前にステップS6で温度センサ131の値を参照して温度が25℃以上(YES)であれば、ステップS27で記憶部40に収納されている転写電圧環境テーブル45を参照して転写ローラ10の転写電圧と廃棄ドットカウント値を決定する。温度が25℃未満(NO)であれば、廃棄ドットカウント値を決定しないでステップS8に進む。
【0135】
このように本実施の形態の画像形成装置では、低温になるほど転写電圧を高くして転写ベルト9廃棄トナーが多く移動させるため、感光体ドラム101に残ってクリーニングブレード108で掻き落とされる廃棄トナー量が減少する。そのため、クリーニングブレード108への負荷を減少させることができる。又、本実施の形態の画像形成装置の廃棄処理方法では、トナー廃棄処理用画像パターンの面積(廃棄面積)を変更する必要がないので、実施の形態1よりも簡単な方法で、低温環境時のクリーニング部の不良を防止することができる。
【0136】
実施の形態3.
実施の形態1では、累積廃棄ドットカウント値を演算することで複数回の印刷JOB処理立ち上げ時にわたってトナー廃棄処理を実施できるようにして、廃棄トナーの量が多くなっても廃棄トナーの量を減らさずに廃棄処理できるようにしたが、トナー廃棄処理量は極力少ないほうがよいので、本実施の形態の累積廃棄処理ドット計算値には上限を設けることとする。
【0137】
より詳しくは、本実施の形態の画像形成装置では、累積廃棄ドットカウント値を演算する際に、加算が連続する場合の連続加算結果と、減算が連続する場合の連続減算結果を所定値に限定する。例えば、演算部(印刷JOB処理量検出部)34における累積ドットカウント値の検出処理では、印刷ドットカウント値を加算処理させる印刷JOB処理が連続する場合には、連続して加算処理される印刷ドットカウント値の加算結果を、廃棄ドットカウント値の最大値の所定倍数値に限定し、印刷ドットカウント値を減算処理させる印刷JOB処理が連続する場合には、連続して減算処理される印刷ドットカウント値の減算結果を、廃棄ドットカウント値の最大値の所定倍数値に限定する。
【0138】
図9は、本発明の実施の形態3に係る電子写真方式の画像形成装置における現像部の制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。尚、本実施の形態の画像形成装置の概略構成、現像部、廃棄トナー搬送ボックス、現像部の制御ブロックの各基本構成については実施の形態1及び2の図1〜図4、図7、図8に示されており、以下では相違点のみを説明する。
【0139】
記憶部40内に累積廃棄ドットカウント値の上限値を記憶する累積廃棄トナーの上限値の記憶部46を設ける。累積廃棄ドットカウント値の上限値は、例えば、廃棄ドットカウント値の最大値の所定倍数値に限定した値とする。印刷ドットカウント値を減算処理させる印刷JOB処理が連続する場合の減算結果も同様な値とする。従って、演算部34は、印刷JOB処理量を検出する際の累積ドットカウント値の検出処理では、印刷ドットカウント値を加算処理させる印刷JOB処理が連続する場合には、連続して加算処理される印刷ドットカウント値の加算結果を、廃棄ドットカウント値の最大値の所定倍数値に限定し、印刷ドットカウント値を減算処理させる印刷JOB処理が連続する場合には、連続して減算処理される印刷ドットカウント値の減算結果を、廃棄ドットカウント値の最大値の所定倍数値に限定する。
【0140】
図10は、図9の画像形成装置における廃棄トナーのトナー廃棄処理を示すフローチャートである。以下に、図10を参照して本実施の形態の廃棄トナーの廃棄処理の手順について説明する。ステップS1〜ステップS9まで(ステップS27含む)と、ステップS12〜ステップS15までと、ステップS10と、ステップS11とは実施の形態2と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0141】
ステップS8で廃棄ドットカウント値が最大廃棄ドットカウント値より大きい場合(YES)には、ステップS9で最大廃棄ドットカウント値を廃棄処理した後、ステップS28で累積廃棄ドットカウント値が累積廃棄ドットカウント値の上限値(廃棄処理可能最大値(MAX)144676224ドット)より大きいか小さいかを判定する。ステップS28の判断で大きい場合(YES)には、累積廃棄処理ドット値に加算しないでステップS15の印刷Bを実施する。ステップS28の判断で小さい場合(NO)には、ステップS10に進んで、残りのドット数を累積廃棄ドットカウント値に加算する。ただし、合算した値が累積廃棄ドットカウント値の上限より大きくなる場合には、累積廃棄処理ドット値を上限値の下3桁程度をまるめた値とすることで、上限を超えた累積廃棄処理ドット値をまるめるようにてもよい。例えば、累積廃棄処理ドット値の上限144676224ドットよりも合算した値が大きい場合には、下3桁をまるめて現在の累積廃棄処理ドット値144676000ドットとする。ここで新たな印刷JOB(0.2%印刷DUTYの印刷を5枚実施)が発生した場合で、廃棄トナーの印刷DUTY比率閾値が1.5%、0.2%印刷DUTYの印刷のドット値が71850、1.5%印刷DUTY比率閾値のドット値が538877、前記両者の差の廃棄処理ドット値が467027、印刷JOBで5枚の0.2%印刷DUTY印刷時の廃棄処理ドット値が467027×5で2335135、廃棄ドットのMAXが1718640、新たな累積廃棄処理ドット値が616495とする。すると、現在の累積廃棄処理ドット値144676000ドットであるので、616495ドットを加算すると145292495ドットになる。しかし、上限値が144676224ドットなので、145292495−144676224=616271ドットの616271ドットについては廃棄されないことになる。
【0142】
以下に、実施の形態3の動作例を詳細に記載する。実施の形態1においてはトナーを廃棄処理する際に、A印刷で廃棄処理必要なドットが次のB印刷立ち上がり時の廃棄処理で全て廃棄処理できない場合、累積ドットカウント値で積算し、高印刷DUTY比率印刷後の次回印刷立ち上がり時に廃棄処理する構成とした。このような構成で、0.2%の低印刷DUTY比率印刷を500枚連続した後5%印刷DUTY比率印刷を1P/JOBで100枚印刷する場合について考える。
【0143】
低印刷DUTY比率印刷で累積された積算ドットカウント値は(1.5%ドット数−0.2%ドット数)×500233715000ドットである。5%印刷DUTY比率印刷を行なうと(5%ドット数−1.5%ドット数)1256976ドット分だけ累積ドットカウント値が減算された後、1718640ドット(印刷JOB処理起動時最大廃棄処理可能ドット数)廃棄処理される。累積ドットカウント値は、23、3715000−(1256976+1718640)=230739384ドットとなる。
【0144】
累積ドットカウント値は、上記した「本発明のトナー廃棄方法で廃棄する必要性」についての説明に記載したように、低印刷DUTY比率印刷(1.5%印刷DUTY比率より低印刷)の連続印刷による電圧上昇を解消するためには、JOBの立ち上がりにおいて、トナー廃棄処理をする必要がある。
【0145】
しかし、実際の印刷においてはユーザーの都合により印刷の形態が決められるので、連続印刷が非常に多く、JOB間でトナー廃棄処理が充分にできないことは充分に考えられる。そこで、累積廃棄処理ドットという概念で、低印刷DUTY比率印刷連続中の廃棄ドットカウント値を累積して単発印刷のJOBが多い時にトナーを廃棄処理するようなシステムとしている。
【0146】
又、低印刷DUTY比率印刷の後に高印刷DUTY比率(1.5%印刷DUTY比率より高印刷DUTY比率印刷)印刷する場合、トナーを廃棄処理するとともに、高印刷DUTY比率を印刷した分累積廃棄ドットカウント値を減算することとしている。
【0147】
それでは、実際に0.2%の低印刷DUTY比率印刷を500枚連続した後、5%印刷DUTY比率印刷を1P/JOBで100枚印刷した場合にトナーの廃棄処理回数が何回となるか計算すると、0.2%印刷DUTY比率のドットカウント値は、71850ドットである。低印刷DUTY比率の廃棄トナーの印刷DUTY比率閾値である1.5%印刷DUTY比率(1.5%印刷DUTY比率以下はトナーを廃棄処理する)のドットカウント値は、538877ドットである。
【0148】
すると、廃棄トナー量は、538877−71850=467027ドットであり、500枚連続することから、廃棄処理されずに蓄積される累積廃棄トナーカウント値は、46702ドット×500=233513280ドットである。その後、5%印刷DUTY比率で1P/JOBで100枚印刷を実施するので累積廃棄トナーカウント値は高印刷DUTY比率を印刷する分だけ減算される。5%印刷DUTY比率のドットカウント値は1796256ドットであり、1.5%印刷DUTY比率のドットカウント値は538877ドットなので減算される廃棄トナー量は1796256−538877=1257379ドットとなる。100の印刷を実施するので、減算される総量は、1247379×100=125737920ドットとなる。
【0149】
先ほど計算した累積廃棄トナードットカウント値が233513280ドットであることから、減算される量の12573920ドットを引くと107775360ドットとなる。これを1P/JOBで100枚印刷中に廃棄処理する必要がある。
【0150】
トナー廃棄回数が何回となるかを計算すると、JOB間で最大に廃棄処理できるドット数は、縦682ドット×横2520ドットで1718640ドットなので、廃棄必要ドット数10777536ドットを1718640ドットで割ると62.7となり、トナー廃棄処理は62.7回が実施されることになる。
【0151】
ここで0.2%印刷DUTY比率印刷を500枚印刷した後に、トナー廃棄処理を62.7回実施する必要があるかどうかについて検討する。0.2%印刷DUTY比率を500枚連続印刷を実施するとしても、電圧は印刷枚数に比例して上昇するのではなく、50枚程度で上昇は飽和する。このときの最大上昇電圧は約10V程度であり、この上昇した電圧を、トナー廃棄処理により下げるわけである。実際に、トナー廃棄処理が何回必要かを以下のように測定した。
【0152】
白紙印刷を500枚連続した後に、トナー廃棄処理が行われる廃棄トナーの印刷DUTY比率閾値より少し大きい値1.6%印刷DUTY比率(1.5%印刷DUTY比率以下の印刷DUTY比率であれば廃棄処理)で、1P/JOBで、200枚印刷したときに何枚目で電圧が元の値に戻るかを測定した。その結果、約80枚の印刷(80回の印刷)で電圧は元の値に戻った。この結果から、累積廃棄ドットカウント値の上限を求めた。
【0153】
通常計算で、0%の低印刷DUTY比率印刷を500枚連続した後、1.6%印刷DUTY比率印刷を1P/JOBで200枚印刷した場合にトナーの廃棄処理回数が何回となるか計算する。0%印刷DUTY比率のドット数は0ドットである。低印刷DUTY比率の廃棄トナーの印刷DUTY比率閾値である1.5%印刷DUTY比率(1.5%印刷DUTY比率以下はトナーを廃棄処理する)のドット数は538877ドットである。
【0154】
すると、廃棄トナー量は、538877−0=538877ドットであり、500枚連続することから、廃棄処理されずに蓄積される累積廃棄トナーカウント値は、538877ドット×500=269438400ドットである。その後、1.6%印刷DUTY比率で、1P/JOBで、200枚印刷を実施するので、累積廃棄トナーカウント値は、高DUTYの印刷を実施する分だけ減算される。
【0155】
1.6%印刷DUTY比率のドット数は、574802ドットであり、1.5%印刷DUTY比率のドット数は、538877ドットなので、減算される廃棄トナー量は、574802−538877=35925ドットである。200の印刷を実施するので、減算される総量は、35925×200=7185024ドット。先ほど計算した累積廃棄トナーカウント値が269438400ドットであることから、減算される量7185024ドットを引くと、262253376ドットとなる。このドットを、1P/JOBで200枚印刷中に廃棄処理する必要がある。
【0156】
トナー廃棄処理回数が何回となるかを計算すると、JOB間で最大破棄できるドット数は、171864ドットなので、廃棄必要ドット数262253376ドットを1718640で割ると152.6となり、トナー廃棄処理は152.6回実施されることとなる。
【0157】
計算上では152.6回の廃棄処理が必要であるが、実際は80回の廃棄処理で電圧は下がるのであるから、廃棄処理に必要なドット数は80×1718640(最大廃棄ドットカウント値)=137491200ドットである。0%印刷DUTY比率の連続印刷終了後に廃棄トナーの印刷DUTY比率閾値1.5%より少し高い印刷DUTY比率で1P/JOBの印刷を行い、電圧の下がる枚数を確認したので、多条件においては80回以下の枚数で回復するはずである。
【0158】
ここで、低印刷DUTY比率印刷連続において加算される累積廃棄ドットカウント値の上限値を144676224ドットと仮定する。以上の要領で決定された累積廃棄処理ドットの上限値をもとに、上述の0.2%印刷DUTY比率500枚連続後、5%印刷DUTY比率100枚連続の廃棄処理回数を再度計算すると、トナー廃棄処理の回数は11回となる。(トナー廃棄処理回数:62.7回→11回に減少)
【0159】
ここで、トナー廃棄処理回数を62.7回から11回に変更して問題ない理由を記載する。白紙印刷を500枚連続して印刷を行った後の電圧上昇について確認したところ、印刷間においては、常にトナー廃棄処理が行われているので電圧の上昇は5V程度に押さえられる。この後、トナー廃棄処理される限界値である1.8%DUTYで(トナー廃棄処理は1.7%以下)連続印刷を実施すると、約5枚程度で5Vの電圧が2〜3Vまで低下するので、(1.8%印刷DUTY比率で10枚以降連続すればトナー廃棄処理なくても電圧は徐々に低下していく)62.7回も廃棄処理する必要はない。つまり、トナー廃棄処理回数を62.7回から11回に変更しても問題はない。
【0160】
又、高印刷DUTY比率印刷を連続して実施する場合においても、電圧が下降するわけではなく、上昇しないというレベルなので、高DUTY印刷後に低印刷DUTY比率を印刷した場合、数10枚廃棄処理しない状況が続くと電圧が上昇してしまうので上限を設ける必要があることがわかる。
【0161】
このように本実施の形態では、累積廃棄ドットカウント値に上限を設けることにより、トナーの廃棄処理量を少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明はプリンタ、ファックス、コピ一機及びそれらを複合的に備える画像形成装置の現像部にも適用可能である。又、上記した実施の形態では、本発明がトナーカートリッジを用いる現像部を有する電子写真方式の画像形成装置に用いられた場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、トナーとキャリアを使用する二成分現像方式の現像部を有する電子写真方式の画像形成装置にも利用可能である。
【符号の説明】
【0163】
9:転写ベルト、 10:転写ローラ、 11:転写ベルトクリーニング部、 12:トナー回収容器、 13:記録媒体(紙)、 15:現像部、 16:トレイ、 17:ホッピングローラ、 18:レジストローラ(プレッシャ)、 19:レジストローラ(フィード)、 20:アイドルローラ、 21:ドライブローラ、 22:定着器、 30:制御部、 31:帯電電圧制御部、 32:現像電圧制御部、 33:LED光量/点灯時間制御部、 34:演算部、 35:転写電圧制御部、 40:記憶部、 41:帯電環境テーブル、 42:現像電圧環境テーブル、 43:廃棄トナーDUTY閾値記憶部、 44:LED光量/点灯時間環境テーブル、 45:転写電圧環境テーブル、 46:累積廃棄トナーの上限値の記憶部、 50:電源部、 60:画像データ、 101:感光体ドラム(像担持体)、 102:帯電ローラ(帯電部材)、 103:光源(露光部、露光部材)、 104:現像ローラ、 107:トナー、 108:クリーニングブレード、 109:トナー供給ローラ、 111:現像ブレード、 113:トナー供給シャフト、 118:攪拌部材、 119:トナー収納容器(カートリッジ)、 120:廃棄トナー収納部、 121:クリーニングスパイラル、 122:廃棄トナー搬送ボックス、 123:廃棄トナースパイラル、 124:廃棄トナー搬送ベルト、 125:温度検出センサ部、 126:トナーカートリッジの隔壁、 131:温度センサ、 132:固定ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を廃棄するときに、像担持体上に所定の現像剤像パターンを形成し、該現像剤像パターンを転写体に転写させた後に、前記像担持体に当接され該像担持体を清掃するクリーニング部で、該像担持体上に残存する現像剤像パターンを清掃して現像剤を廃棄する画像形成装置において、
前記現像剤像パターンを前記転写体に転写させる転写部と、
当該装置の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部で検出された温度に基づいて、前記転写部への転写電圧を変更する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記温度検出部で検出された温度が閾値未満の場合には、当該温度が当該閾値以上の場合に比べて、前記転写部への転写電圧を高くして前記転写体への現像剤の転写量を多くした
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
印刷JOB処理における画像の画像データから処理量として少なくとも印刷ドット数を検出する処理量検出部を有し、
前記制御部は、前記処理量検出部により検出された印刷ドット数が所定の閾値よりも少ない印刷が連続する場合は、現像剤の廃棄量を限定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
少なくとも前記印刷ドット数、前記現像部の温度、画像形成装置における各種処理の実施タイミングに基づいて前記廃棄現像剤の廃棄処理の実施タイミングを設定すると共に、
前記印刷ドット数に基づいて廃棄する廃棄現像剤の廃棄ドット数を演算し、該廃棄ドット数に従い、前記現像剤を廃棄するときの現像剤像パターンの単位面積あたりの量を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも前記転写部に転写させるための電圧を供給する電源部を有し、
前記制御部は、
少なくとも前記印刷ドット数、前記現像部の温度、画像形成装置における各種処理の実施タイミングに基づいて前記廃棄現像剤の廃棄処理の実施タイミングを設定すると共に、
前記印刷ドット数に基づいて廃棄する廃棄現像剤の廃棄ドット数を演算し、該廃棄ドット数に従い、前記転写部に前記電源部から供給される電圧を変更することで、前記廃棄現像剤が転写部を通過して前記クリーニング部に達する量を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度検出部が、前記クリーニング部の清掃能力が所定の基準能力以下となる所定温度以下であることを検出した場合、
前記廃棄現像剤が像担持体に供給される際の、前記転写部に前記電源部から供給される電圧を増大させて廃棄現像剤が転写部を通過して前記クリーニング部に達する量を減少させるように制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記画像データの印刷ドット数と印刷される用紙の印刷可能領域から印刷DUTY比率を計算し、該印刷DUTY比率がトナー劣化の進行が進まないと判断される所定のDUTY比率よりも低い場合に、前記廃棄ドット数を演算する
ことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記廃棄ドット数が演算されると、前記廃棄現像剤の廃棄処理を、画像形成装置において次に実施される各種処理の立ち上がりのタイミングで実施する
ことを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置における廃棄現像剤の廃棄処理が実施される各種処理は、前記画像形成装置への電源投入、装置カバーの開閉、印刷JOB処理、濃度補正処理の何れかであり、
前記制御部は、
前記各種処理が、比較的立ち上がり時間が長い前記画像形成装置への電源投入、装置カバーの開閉、又は、濃度補正処理の何れかである場合には、
前記廃棄現像剤の廃棄処理量を多くし、
前記各種処理が、比較的立ち上がり時間が短い印刷JOB処理である場合には、
前記廃棄現像剤の廃棄処理量を少なくする
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記画像形成装置において廃棄現像剤の廃棄処理の実施時に次に実施される処理が、印刷DUTY比率が前記所定のDUTY比率よりも低い印刷JOB処理である場合には、廃棄現像剤の廃棄処理を前記印刷JOB処理の立ち上がりで実施した後、更に次に実施される各種処理の立ち上がりに繰り越し実施する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記画像データの印刷DUTY比率が前記所定のDUTY比率よりも低い場合には、前記印刷ドット数を加算処理し、
前記画像データの印刷DUTY比率が前記所定のDUTY比率よりも高い場合には、前記印刷ドット数を減算処理して累積ドット数を検出し、
前記累積ドット数が正の値である場合に、前記廃棄ドット数を演算する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像データの印刷DUTY比率が前記所定のDUTY比率である場合の前記印刷ドット数を、閾値となる所定ドット数として格納する記憶部を有し、
前記制御部は、
前記累積ドット数が前記記憶部に格納された前記所定ドット数以上である場合に、前記廃棄ドット数を演算する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記累積ドット数が前記廃棄ドット数よりも大きい場合には、
前記廃棄現像剤の廃棄処理を、画像形成装置における複数回の各種処理の立ち上がり時のタイミングで実施する
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記温度検出部が、前記クリーニング部の清掃能力が所定の基準能力以下となる所定温度以下であることを検出した場合、
前記廃棄ドット数の演算処理において、1回の各種処理における廃棄ドット数を減らし、
前記廃棄現像剤の廃棄処理の実施回数を増加させる
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記処理量検出部における前記累積ドット数の検出処理では、
前記印刷ドット数を加算処理させる前記印刷JOB処理が連続する場合には、連続して加算処理される前記印刷ドット数の加算結果を、前記廃棄ドット数の最大値の所定倍数値に限定し、
前記印刷ドット数を減算処理させる前記印刷JOB処理が連続する場合には、連続して減算処理される前記印刷ドット数の減算結果を、前記廃棄ドット数の最大値の所定倍数値に限定する
ことを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−123521(P2011−123521A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30733(P2011−30733)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【分割の表示】特願2007−59973(P2007−59973)の分割
【原出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】