説明

画像形成装置

【課題】高い画像品質を維持しつつ、消費電力を低減させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、透明色のそれぞれに対応する5つの感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C、2030T)と、イエロー及びシアンの各潜像を形成する光走査装置2010A1と、ブラック及びマゼンタの各潜像を形成する光走査装置2010A2と、透明色の潜像を形成する光走査装置2010Tなどを備えている。そして、光走査装置2010A1及び光走査装置2010A2における各ポリゴンミラーの回転速度は、光走査装置2010Tにおけるポリゴンミラーの回転速度よりも速く、基本色に対応する感光体ドラムに形成される潜像の副走査方向における画素密度は、補助色に対応する感光体ドラム2030Tに形成される潜像の副走査方向における画素密度よりも高くなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、更に詳しくは、多色のカラー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の進歩に伴って画質に対する要求も高くなり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本4色を用いた画像形成装置に対して、色数を増加させた電子写真方式の画像形成装置が提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
これは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色トナーに、淡色のトナー(例えば、ライトシアンやライトイエロー)や、透明度の高いトナー(例えば、透明トナー)などを加えたものである。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色は基本色と呼ばれ、それ以外の色は補助色と呼ばれている。
【0004】
淡色のトナーは、出力画像の粒状性を低減させて高画質化を図るのに用いられ、透明度の高いトナーは、光沢性を向上させるのに用いられる。
【0005】
また、イエロー、マゼンタ、シアンの混色では再現が困難な色が補助色として用いられる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、環境対策の観点から、画像形成装置に対する低消費電力(省エネルギー)化への要求が高まってきた。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に開示されている画像形成装置では、補助色に対応する画像形成ステーションが増設された機器構成となり、増設した装置分、消費電力が増加していた。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その目的は、高い画像品質を維持しつつ、消費電力を低減させることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本色及び前記4色以外の少なくとも1つの補助色のそれぞれに対応する複数の像担持体と、前記複数の色に対応する複数の光源を有し前記複数の像担持体に潜像を形成する光走査装置とを備える画像形成装置において、前記光走査装置は、互いに個別に駆動される第1の光偏向器及び第2の光偏向器を含み、前記第1の光偏向器は、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて前記基本色に対応する4つの光束のうちの少なくとも1つの光束を偏向し、前記第2の光偏向器は、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて前記少なくとも1つの補助色に対応する光束を偏向し、前記第1の光偏向器における偏向反射面の回転速度は、前記第2の光偏向器における偏向反射面の回転速度よりも速いことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
これによれば、高い画像品質を維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を示す図である。
【図2】マーク位置検出器を説明するための図である。
【図3】光走査装置2010A1を説明するための図(その1)である。
【図4】光走査装置2010A1を説明するための図(その2)である。
【図5】光走査装置2010A1を説明するための図(その3)である。
【図6】光走査装置2010A1を説明するための図(その4)である。
【図7】光走査装置2010A1における光源を説明するための図である。
【図8】図7における面発光レーザ素子を説明するための図である。
【図9】光走査装置2010A2を説明するための図(その1)である。
【図10】光走査装置2010A2を説明するための図(その2)である。
【図11】光走査装置2010A2を説明するための図(その3)である。
【図12】光走査装置2010A2を説明するための図(その4)である。
【図13】光走査装置2010Tを説明するための図(その1)である。
【図14】光走査装置2010Tを説明するための図(その2)である。
【図15】光走査装置2010Tにおける光源を説明するための図である。
【図16】図15における端面発光レーザ素子を説明するための図である。
【図17】主走査位置補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】主走査位置補正処理を説明するための図(その1)である。
【図19】書込開始タイミングの調整を説明するための図である。
【図20】主走査位置補正処理を説明するための図(その2)である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、それぞれ1ドットあたりの露光時間を説明するための図である。
【図22】光走査装置2010Tの変形例を説明するための図である。
【図23】カラープリンタの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図21(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0013】
このカラープリンタ2000は、4つの基本色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)と透明色とを重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、3つの光走査装置(2010A1、2010A2、2010T)、5つの感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C、2030T)、5つのドラムクリーニング装置(2031K、2031M、2031C、2031Y、2031T)、5つの帯電装置(2032K、2032M、2032C、2032Y、2032T)、5つの現像装置(2033K、2033M、2033C、2033Y、2033T)、転写ベルト2040、定着装置2050、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、ベルトクリーニング装置2085、マーク位置検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0014】
カラープリンタ2000は、原稿の読取装置も備えており、コピー機能も有している。
【0015】
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、各感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0016】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0017】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
【0018】
感光体ドラム2030Kの表面近傍には、感光体ドラム2030Kの回転方向に沿って、帯電装置2032K、現像装置2033K、ドラムクリーニング装置2031Kが配置されている。
【0019】
感光体ドラム2030K、帯電装置2032K、現像装置2033K、及びドラムクリーニング装置2031Kは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0020】
感光体ドラム2030Mの表面近傍には、感光体ドラム2030Mの回転方向に沿って、帯電装置2032M、現像装置2033M、ドラムクリーニング装置2031Mが配置されている。
【0021】
感光体ドラム2030M、帯電装置2032M、現像装置2033M、及びドラムクリーニング装置2031Mは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0022】
感光体ドラム2030Yの表面近傍には、感光体ドラム2030Yの回転方向に沿って、帯電装置2032Y、現像装置2033Y、ドラムクリーニング装置2031Yが配置されている。
【0023】
感光体ドラム2030Y、帯電装置2032Y、現像装置2033Y、及びドラムクリーニング装置2031Yは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030Cの表面近傍には、感光体ドラム2030Cの回転方向に沿って、帯電装置2032C、現像装置2033C、ドラムクリーニング装置2031Cが配置されている。
【0025】
感光体ドラム2030C、帯電装置2032C、現像装置2033C、及びドラムクリーニング装置2031Cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0026】
感光体ドラム2030Tの表面近傍には、感光体ドラム2030Tの回転方向に沿って、帯電装置2032T、現像装置2033T、ドラムクリーニング装置2031Tが配置されている。
【0027】
感光体ドラム2030T、帯電装置2032T、現像装置2033T、及びドラムクリーニング装置2031Tは、組として使用され、透明色の画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Tステーション」ともいう)を構成する。
【0028】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0029】
光走査装置2010A1は、プリンタ制御装置2090からのイエロー画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030Yの表面に照射し、シアン画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030Cの表面に照射する。これにより、感光体ドラム2030Y及び感光体ドラム2030Cの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム2030Y及び感光体ドラム2030Cの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。
【0030】
光走査装置2010A2は、プリンタ制御装置2090からのブラック画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030Kの表面に照射し、マゼンタ画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030Mの表面に照射する。これにより、感光体ドラム2030K及び感光体ドラム2030Mの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム2030K及び感光体ドラム2030Mの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。
【0031】
光走査装置2010Tは、透明色が付加される色の画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030Tの表面に照射する。これにより、感光体ドラム2030Tの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム2030Tの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム2030Tの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。
【0032】
なお、各光走査装置の構成については後述する。
【0033】
各現像装置は、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。なお、以下では、便宜上、トナーが付着した像を「トナー画像」という。
【0034】
各トナー画像は、対応する感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。そして、各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされる。
【0035】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ(不図示)が配置されており、該給紙コロは、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2041との間隙に向けて送り出す。
【0036】
そして、転写ベルト2040上で重ね合わされたトナー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
【0037】
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
【0038】
各ドラムクリーニング装置は、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去、回収する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0039】
ベルトクリーニング装置2085は、記録紙へのトナー画像の転写後に転写ベルト2040上に残っているトナーを除去する。
【0040】
マーク位置検出器2245は、転写ベルト2040の−X側端部近傍に配置されている。
【0041】
このマーク位置検出器2245は、一例として図2に示されるように、3つの光学センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。光学センサ2245a及び光学センサ2245cは、転写ベルト2040の幅方向(Y軸方向)の両端部近傍に対向する位置に配置されている。また、光学センサ2245bは、転写ベルト2040の幅方向の中心部近傍に対向する位置に配置されている。
【0042】
各光学センサは、転写ベルト2040に向けて光を射出する光源、及び転写ベルト2040で反射された光を受光する受光素子などを有し、転写ベルト2040に転写されたマークの位置情報をプリンタ制御装置2090に通知する。
【0043】
次に、前記光走査装置2010A1の構成について説明する。
【0044】
光走査装置2010A1は、一例として図3〜図6に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの線像形成レンズ(2204a、2204b)、ポリゴンミラー2104A1、2つの偏向器側走査レンズ(2105a、2105b)、2つの像面側走査レンズ(2107a、2107b)、4枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2108a、2108b)、2つの光検知センサ(2205a、2205b)、2つの集光レンズ(2206a、2206b)、4枚の光検知用ミラー(2207a1、2207a2、2207b1、2207b2)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
【0045】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0046】
光源2200aと光源2200bは、Z軸方向からみたときに、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
【0047】
各光源は、一例として図7に示されるように、面発光レーザチップ10、該面発光レーザチップ10を保持するパッケージ部材11、面発光レーザチップ10を保護するカバーガラス14、パッケージ部材11が実装されている回路基板12、該回路基板12に実装され、面発光レーザチップ10を駆動する駆動用チップ13を有している。なお、図7では、面発光レーザチップ10とパッケージ部材11とを電気的に接続するボンディングワイヤの図示を省略している。
【0048】
面発光レーザチップ10は、一例として図8に示されるように、2次元的に配列された40個の発光部が1つの基板上に形成されている面発光レーザアレイである。各発光部の発振波長は、780nm帯である。
【0049】
40個の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔dとなるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0050】
40個の発光部は、回路基板12の配線部材を介して、駆動用チップ13と電気的に接続されている。
【0051】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0052】
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0053】
各カップリングレンズは、各光源から射出された光束に対する屈折率が約1.5である。
【0054】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
【0055】
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0056】
各開口部は、主走査対応方向の幅が約5.5mm、副走査対応方向の幅が約1.18mmの矩形状である。そして、各開口板は、開口部の中心がカップリングレンズの焦点位置又はその近傍に位置するように配置されている。
【0057】
線像形成レンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104A1の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0058】
線像形成レンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104A1の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0059】
各線像形成レンズは、第1面(入射側の面)が副走査対応方向に関して屈折力を有し、第2面(射出側の面)が主走査対応方向に関して屈折力を有するアナモルフィックレンズである。
【0060】
カップリングレンズ2201aと開口板2202aと線像形成レンズ2204aとからなる光学系は、Yステーションの偏向器前光学系である。
【0061】
カップリングレンズ2201bと開口板2202bと線像形成レンズ2204bとからなる光学系は、Cステーションの偏向器前光学系である。
【0062】
ポリゴンミラー2104A1は、Z軸に平行な軸まわりに回転する4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。ここでは、4面鏡に内接する円の半径は約7mmである。
【0063】
そして、線像形成レンズ2204aからの光束はポリゴンミラー2104A1の−X側に偏向され、線像形成レンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104A1の+X側に偏向される。
【0064】
偏向器側走査レンズ2105aは、ポリゴンミラー2104A1の−X側に配置され、偏向器側走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104A1の+X側に配置されている。
【0065】
折り返しミラー2106a及び折り返しミラー2108aは、偏向器側走査レンズ2105aを介した光束の光路を感光体ドラム2030Yに向かう方向に折り返す。
【0066】
折り返しミラー2106b及び折り返しミラー2108bは、偏向器側走査レンズ2105bを介した光束の光路を感光体ドラム2030Cに向かう方向に折り返す。
【0067】
像面側走査レンズ2107aは、折り返しミラー2108aを介した光束の光路上に配置されている。
【0068】
像面側走査レンズ2107bは、折り返しミラー2108bを介した光束の光路上に配置されている。
【0069】
そこで、ポリゴンミラー2104A1で偏向された線像形成レンズ2204aからの光束は、偏向器側走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、折り返しミラー2108a、及び像面側走査レンズ2107aを介して、感光体ドラム2030Yに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104A1の回転に伴って感光体ドラム2030Yの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030Y上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Yでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Yの回転方向が、感光体ドラム2030Yでの「副走査方向」である。
【0070】
また、ポリゴンミラー2104A1で偏向された線像形成レンズ2204bからの光束は、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、折り返しミラー2108b、及び像面側走査レンズ2107bを介して、感光体ドラム2030Cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104A1の回転に伴って感光体ドラム2030Cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030C上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Cの回転方向が、感光体ドラム2030Cでの「副走査方向」である。
【0071】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104A1から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0072】
ポリゴンミラー2104A1と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。ここでは、偏向器側走査レンズ2105aと2枚の折り返しミラー(2106a、2108a)と像面側走査レンズ2107aとからYステーションの走査光学系が構成されている。また、偏向器側走査レンズ2105bと2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)と像面側走査レンズ2107bとからCステーションの走査光学系が構成されている。
【0073】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104A1で偏向され、偏向器側走査レンズ2105aを介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、2枚の光検知用ミラー(2207a1、2207a2)と集光レンズ2206aを介して入射する。
【0074】
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104A1で偏向され、偏向器側走査レンズ2105bを介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、2枚の光検知用ミラー(2207b1、2207b2)と集光レンズ2206bを介して入射する。
【0075】
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号を出力する。前記走査制御装置は、各光検知センサの出力信号(同期検知信号)に基づいて対応する感光体ドラムでの書込開始タイミングを検出する。
【0076】
次に、前記光走査装置2010A2の構成について説明する。
【0077】
光走査装置2010A2は、一例として図9〜図12に示されるように、2つの光源(2200c、2200d)、2つのカップリングレンズ(2201c、2201d)、2つの開口板(2202c、2202d)、2つの線像形成レンズ(2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104A2、2つの偏向器側走査レンズ(2105c、2105d)、2つの像面側走査レンズ(2107c、2107d)、4枚の折り返しミラー(2106c、2106d、2108c、2108d)、2つの光検知センサ(2205c、2205d)、2つの集光レンズ(2206c、2206d)、4枚の光検知用ミラー(2207c1、2207c2、2207d1、2207d2)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
【0078】
光源2200cと光源2200dは、Z軸方向からみたときに、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
【0079】
各光源は、前述した光走査装置2010A1における各光源と同様な光源である。
【0080】
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0081】
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0082】
各カップリングレンズは、各光源から射出された光束に対する屈折率が約1.5である。
【0083】
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
【0084】
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
【0085】
各開口部は、主走査対応方向の幅が約5.5mm、副走査対応方向の幅が約1.18mmの矩形状である。そして、各開口板は、開口部の中心がカップリングレンズの焦点位置又はその近傍に位置するように配置されている。
【0086】
線像形成レンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104A2の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0087】
線像形成レンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104A2の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0088】
各線像形成レンズは、第1面(入射側の面)が副走査対応方向に関して屈折力を有し、第2面(射出側の面)が主走査対応方向に関して屈折力を有するアナモルフィックレンズである。
【0089】
カップリングレンズ2201cと開口板2202cと線像形成レンズ2204cとからなる光学系は、Kステーションの偏向器前光学系である。
【0090】
カップリングレンズ2201dと開口板2202dと線像形成レンズ2204dとからなる光学系は、Mステーションの偏向器前光学系である。
【0091】
ポリゴンミラー2104A2は、Z軸に平行な軸まわりに回転する4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。ここでは、4面鏡に内接する円の半径は約7mmである。
【0092】
そして、線像形成レンズ2204cからの光束はポリゴンミラー2104A2の−X側に偏向され、線像形成レンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104A2の+X側に偏向される。
【0093】
偏向器側走査レンズ2105cは、ポリゴンミラー2104A2の−X側に配置され、偏向器側走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104A2の+X側に配置されている。
【0094】
折り返しミラー2106c及び折り返しミラー2108cは、偏向器側走査レンズ2105cを介した光束の光路を感光体ドラム2030Kに向かう方向に折り返す。
【0095】
折り返しミラー2106d及び折り返しミラー2108dは、偏向器側走査レンズ2105dを介した光束の光路を感光体ドラム2030Mに向かう方向に折り返す。
【0096】
像面側走査レンズ2107cは、折り返しミラー2108cを介した光束の光路上に配置されている。
【0097】
像面側走査レンズ2107dは、折り返しミラー2108dを介した光束の光路上に配置されている。
【0098】
そこで、ポリゴンミラー2104A2で偏向された線像形成レンズ2204cからの光束は、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、折り返しミラー2108c、及び像面側走査レンズ2107cを介して、感光体ドラム2030Kに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104A2の回転に伴って感光体ドラム2030Kの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030K上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Kでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Kの回転方向が、感光体ドラム2030Kでの「副走査方向」である。
【0099】
また、ポリゴンミラー2104A2で偏向された線像形成レンズ2204dからの光束は、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、折り返しミラー2108d、及び像面側走査レンズ2107dを介して、感光体ドラム2030Mに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104A2の回転に伴って感光体ドラム2030Mの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030M上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Mでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030Mの回転方向が、感光体ドラム2030Mでの「副走査方向」である。
【0100】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104A2から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0101】
ポリゴンミラー2104A2と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。ここでは、偏向器側走査レンズ2105cと2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)と像面側走査レンズ2107cとからKステーションの走査光学系が構成されている。また、偏向器側走査レンズ2105dと2枚の折り返しミラー(2106d、2108d)と像面側走査レンズ2107dとからMステーションの走査光学系が構成されている。
【0102】
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104A2で偏向され、偏向器側走査レンズ2105cを介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、2枚の光検知用ミラー(2207c1、2207c2)と集光レンズ2206cを介して入射する。
【0103】
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104A2で偏向され、偏向器側走査レンズ2105dを介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、2枚の光検知用ミラー(2207d1、2207d2)と集光レンズ2206dを介して入射する。
【0104】
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号を出力する。走査制御装置は、各光検知センサの出力信号(同期検知信号)に基づいて対応する感光体ドラムでの書込開始タイミングを検出する。
【0105】
次に、前記光走査装置2010Tの構成について説明する。
【0106】
光走査装置2010Tは、一例として図13及び図14に示されるように、光源2200e、カップリングレンズ2201e、開口板2202e、線像形成レンズ2204e、ポリゴンミラー2104T、偏向器側走査レンズ2105e、像面側走査レンズ2107e、2枚の折り返しミラー(2106e、2108e)、光検知センサ2205e、光検知用ミラー2207e、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の中の所定位置に組み付けられている。
【0107】
光源2200eは、一例として図15に示されるように、端面発光レーザチップ20、該端面発光レーザチップ20を保持する保持部材21、該保持部材21が固定されている基板22、該基板22に取り付けられ、端面発光レーザチップ20を保護するキャップ部材23、該キャップ部材23に取り付けられ、端面発光レーザチップ20から射出された光束を透過させるカバーガラス24、端面発光レーザチップ20と電気的に接続され基板22から延びる複数(ここでは、12本)のリード端子25を有している。
【0108】
また、保持部材21には、バックモニタ用の受光素子(不図示)なども保持されている。
【0109】
そして、端面発光レーザチップ20は、一例として図16に示されるように、10個の発光部を有している。10個の発光部は、モノリシックに、主走査対応方向及び副走査対応方向のいずれに対しても傾斜した方向に沿って配置され、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。
【0110】
図13に戻り、カップリングレンズ2201eは、光源2200eから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0111】
開口板2202eは、開口部を有し、カップリングレンズ2201eを介した光束を整形する。開口部は、主走査対応方向の幅が約5.5mm、副走査対応方向の幅が約1.18mmの矩形状である。そして、開口板2202eは、開口部の中心がカップリングレンズ2201eの焦点位置又はその近傍に位置するように配置されている。
【0112】
線像形成レンズ2204eは、開口板2202eの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104Tの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0113】
カップリングレンズ2201eと開口板2202eと線像形成レンズ2204eとからなる光学系は、Tステーションの偏向器前光学系である。
【0114】
ポリゴンミラー2104Tは、Z軸に平行な軸まわりに回転する4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。
【0115】
偏向器側走査レンズ2105eは、ポリゴンミラー2104Tで偏向された光束の光路上に配置されている。
【0116】
折り返しミラー2106e及び折り返しミラー2108eは、偏向器側走査レンズ2105eを介した光束の光路を感光体ドラム2030Tに向かう方向に折り返す。
【0117】
像面側走査レンズ2107eは、折り返しミラー2108eを介した光束の光路上に配置されている。この像面側走査レンズ2107eは、副走査対応方向に関して正の屈折率を有するレンズである。
【0118】
そこで、ポリゴンミラー2104Tで偏向された線像形成レンズ2204eからの光束は、偏向器側走査レンズ2105e、折り返しミラー2106e、折り返しミラー2108e、及び像面側走査レンズ2107eを介して、感光体ドラム2030Tに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104Tの回転に伴って感光体ドラム2030Tの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030T上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030Tでの「主走査方向」である。また、感光体ドラム2030Tの回転方向が、感光体ドラム2030Tでの「副走査方向」である。
【0119】
偏向器側走査レンズ2105eと2枚の折り返しミラー(2106e、2108e)と像面側走査レンズ2107eとからTステーションの走査光学系が構成されている。
【0120】
光検知センサ2205eには、ポリゴンミラー2104Tで偏向され、偏向器側走査レンズ2105eを介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が光検知用ミラー2207eを介して入射する。
【0121】
光検知センサ2205eは、受光量に応じた信号を出力する。走査制御装置は、光検知センサ2205eの出力信号(同期検知信号)に基づいて感光体ドラム2030Tでの書込開始タイミングを検出する。
【0122】
なお、以下では、光走査装置2010A1と光走査装置2010A2を区別する必要がない場合は、便宜上、「光走査装置2010A」と総称する。また、ポリゴンミラー2104A1とポリゴンミラー2104A2を区別する必要がない場合は、便宜上、「ポリゴンミラー2104A」と総称する。
【0123】
本実施形態では、ポリゴンミラー2104Tの回転数を、ポリゴンミラー2104Aの回転数よりも少なくし、感光体ドラム2030Tの表面に描かれる潜像の副走査方向における画素密度を下げている。
【0124】
基本色に対応する4つの感光体ドラムの表面に描かれる潜像の副走査方向における画素密度は4800dpiである。
【0125】
ところで、ポリゴンミラーの回転数R[rpm]は、次の(1)式で求めることができる。
【0126】
【数1】

【0127】
ここで、Dは副走査方向における画素密度[dpi]、PpmはA4横換算のプリント速度[ppm]、Nはポリゴンミラーにおける偏向反射面の数、Mは発光部の数である。
【0128】
光走査装置2010Aでは、D=4800、Ppm=80、N=4、M=40であるので、ポリゴンミラー2104Aの回転数(Raとする)は、24566.9[rpm]である。
【0129】
光走査装置2010Tでは、D=1200、Ppm=80、N=4、M=10であるので、ポリゴンミラー2104Tの回転数(Rtとする)は、1535.4[rpm]である。
【0130】
このように、光走査装置2010Tでは、ポリゴンミラー2104Tの回転数を低減することで、消費電力を低減することができる。
【0131】
ここでは、回転数Rtと回転数Raの比は、1:16と整数比になっている。これにより、簡単なアルゴリズムで、副走査方向における画素密度が互いに異なる基本色と補助色とを組み合わせて画像を形成することができる。
【0132】
ところで、光走査装置2010Aと光走査装置2010Tとでポリゴンミラーの回転数が異なると、経時変化や部品特性のばらつきによって、光走査装置2010Aと光走査装置2010Tとで主走査の書き出し位置がずれてしまい、基本色と補助色との間に色ずれを生じることが考えられる。
【0133】
そこで、ここでは、主走査位置補正処理を行っている。この主走査位置補正処理は、(1)カラープリンタ2000に電源が投入されたときの初期化処理の1つとして、(2)画像形成中に予め設定された時間が経過したとき、(3)画像形成中に予め設定された画像形成枚数に達したときなどに実行される。
【0134】
本実施形態では、主走査位置補正処理は、プリンタ制御装置2090によって行われる。図17のフローチャートは、主走査位置補正処理の際に、プリンタ制御装置2090によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0135】
最初のステップS301では、光走査装置2010Tに対して、補助色のマーク(以下では、「補正マーク」という)TPtの形成を指示する。ここでは、転写ベルト2040の幅方向の両端部近傍と、転写ベルト2040の幅方向の中心部近傍とに補正マークTPtが形成される。
【0136】
次のステップS303では、光走査装置2010A2に対して、ブラックのマーク(以下では、「基準マーク」という)TPkの形成を指示する。ここでは、転写ベルト2040の幅方向の両端部近傍と、転写ベルト2040の幅方向の中心部近傍とに基準マークTPkが形成される。
【0137】
次のステップS305では、マーク位置検出器2245の出力信号から、転写ベルト2040の幅方向に関する各補正マークの位置、及び各基準マークの位置を求める。
【0138】
次のステップS307では、各基準マークの位置に対する対応する補正マークの位置のずれdをそれぞれ求める。
【0139】
次のステップS309では、最も大きいずれdの大きさ(絶対値)が、予め設定されている最大許容値D以下であるか否かを判断する。最も大きいずれdの大きさ(絶対値)が、最大許容値Dを超えていれば(図18参照)、ここでの判断は否定され、ステップS311に移行する。
【0140】
このステップS311では、上記ずれdの大きさ(絶対値)及び符号に応じて、感光体ドラム2030Tに対する主走査方向に関する書込開始タイミング、及び書込間隔を調整する。
【0141】
書込開始タイミングの調整が、一例として図19に示されている。なお、ずれdと書込開始タイミング及び書込間隔の調整量との関係は、予め実験等で求められ、プリンタ制御装置2090の不図示のメモリに格納されている。そして、主走査位置補正処理を終了する。
【0142】
なお、上記ステップS309において、最も大きいずれdの大きさ(絶対値)が、最大許容値D以下であれば(図20参照)、ステップS309での判断は肯定され、主走査位置補正処理を終了する。
【0143】
そこで、経時変化や部品特性のばらつきによる基本色と補助色の色ずれを抑制することができる。
【0144】
また、光走査装置2010Aと光走査装置2010Tとにおいて、ポリゴンミラーの回転数に差を設け、同じ画素クロックで光源を制御すると、感光体ドラム2030Tと他の感光体ドラムとの間に露光エネルギの差を生じる。一例として図21(A)及び図21(B)に示されるように、ポリゴンミラーの回転が遅い光走査装置2010Tでは、1ドットあたりの露光時間が、光走査装置2010Aよりも長くなってしまう。
【0145】
光走査装置2010Aでの1ドットあたりの露光時間をtとすると、ポリゴンミラーの回転数が1/4倍である光走査装置2010Tでの1ドットあたりの露光時間は4tとなる。そして、1ドットを形成する光エネルギは光走査装置2010AでP・t、光走査装置2010TでP・4tとなり、4倍の差が生じてしまう。
【0146】
そこで、本実施形態では、光走査装置2010Tにおける光源の1ビームあたりの光出力を、光走査装置2010Aにおける光源の1ビームあたりの光出力の1/4にすることで、1ドットを形成する光エネルギを略同じにしている。
【0147】
光走査装置2010Aでの1ビームあたりの光出力と、光走査装置2010Tでの1ビームあたりの光出力とが異なっていると、光検知センサに向かう光束の光量も光走査装置2010Aと光走査装置2010Tとでは互いに異なってくる。これは、書込開始タイミングの検出精度に悪影響を及ぼし、画像品質の低下を招く。
【0148】
そこで、光走査装置2010Tにおいて、光検知センサで受光される光束が、ポリゴンミラーと該光検知センサとの間で関与するミラーの枚数(「Mt」とする)を、光走査装置2010Aにおいて、光検知センサで受光される光束が、ポリゴンミラーと該光検知センサとの間で関与するミラーの枚数(「Ma」とする)よりも少なくし、光走査装置2010Tにおける光検知センサに入射する光束の光量と、光走査装置2010Aにおける各光検知センサに入射する光束の光量との差を小さくしている。ここでは、Mt=1、Ma=2である。
【0149】
例えば、各ミラーの反射率を0.8とすると、光走査装置2010Tでは、ポリゴンミラーで偏向された光束は、その光量が0.8倍されて光検知センサに入射する。一方、光走査装置2010Aでは、ポリゴンミラーで偏向された光束は、その光量が0.64(=0.8×0.8)倍されて光検知センサに入射する。
【0150】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るカラープリンタ2000では、ポリゴンミラー2104Aによって、本発明の画像形成装置における第1の光偏向器が構成され、ポリゴンミラー2104Tによって第2の光偏向器が構成されている。また、3つの光学センサ(2245a、2245b、2245c)によって、本発明の画像形成装置における位置検出器が構成されている。
【0151】
また、プリンタ制御装置2090によって、本発明の画像形成装置における補正装置が構成されている。
【0152】
以上、説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、透明色のそれぞれに対応する5つの感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C、2030T)と、イエロー及びシアンの各潜像を形成する光走査装置2010A1と、ブラック及びマゼンタの各潜像を形成する光走査装置2010A2と、透明色の潜像を形成する光走査装置2010Tなどを備えている。
【0153】
光走査装置2010A1は、2つの光源(2200a、2200b)、2つの偏向器前光学系、ポリゴンミラー2104A1、2つの走査光学系、2つの光検知センサ(2205a、2205b)などを備えている。
【0154】
光走査装置2010A2は、2つの光源(2200c、2200d)、2つの偏向器前光学系、ポリゴンミラー2104A2、2つの走査光学系、2つの光検知センサ(2205c、2205d)などを備えている。
【0155】
光走査装置2010Tは、光源2200e、偏向器前光学系、ポリゴンミラー2104T、走査光学系、光検知センサ2205eなどを備えている。
【0156】
そして、ポリゴンミラー2104A1及びポリゴンミラー2104A2の回転速度は、ポリゴンミラー2104Tの回転速度よりも速く、基本色に対応する感光体ドラム(2030K、2030M、2030Y、2030C)に形成される潜像の副走査方向における画素密度は、補助色に対応する感光体ドラム2030Tに形成される潜像の副走査方向における画素密度よりも高くなるように設定されている。
【0157】
この場合は、高い画像品質を維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0158】
なお、上記実施形態では、副走査方向に関して、光走査装置2010Aが4800dpiの画素密度で潜像を描き、光走査装置2010Tが1200dpiの画素密度で潜像を描く場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、副走査方向に関して、光走査装置2010Tが600dpiの画素密度で潜像を描いても良い。この場合は、更に消費電力を低減させることができる。要するに、副走査方向に関して、光走査装置2010Tで描かれる潜像の画素密度が、光走査装置2010Aで描かれる潜像の画素密度よりも低ければ良い。
【0159】
また、上記実施形態では、光検知センサで受光される光束が、ポリゴンミラーと該光検知センサとの間で関与するミラー(上記実施形態では、光検知用ミラーのみ)の枚数が、光走査装置2010Aで2枚、光走査装置2010Tで1枚の場合について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、光検知用ミラーの枚数が、光走査装置2010Aで4枚、光走査装置2010Tで2枚であっても良い。また、光走査装置2010Aで3枚、光走査装置2010Tで2枚であっても良い。要するに、各光検知用ミラーの反射率が等しい場合、光走査装置2010Aにおける光検知用ミラーの枚数が、光走査装置2010Tにおける光検知用ミラーの枚数よりも多ければ良い。これにより、光走査装置2010Aにおけるポリゴンミラーと光検知センサとの間の反射光学系の反射率を、光走査装置2010Tにおけるポリゴンミラーと光検知センサとの間の反射光学系の反射率よりも小さくすることができる。
【0160】
また、上記実施形態では、各光検知用ミラーの反射率が等しい場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置2010Aにおけるポリゴンミラーと光検知センサとの間の反射光学系の反射率が、光走査装置2010Tにおけるポリゴンミラーと光検知センサとの間の反射光学系の反射率よりも小さければ良い。これにより、光走査装置2010Tにおける光検知センサに入射する光束の光量と、光走査装置2010Aにおける各光検知センサに入射する光束の光量との差を小さくすることができる。
【0161】
また、上記実施形態では、面発光レーザチップ10が40個の発光部を有し、端面発光レーザチップ20が10個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。面発光レーザチップ10の発光部数が、端面発光レーザチップ20の発光部数よりも多ければ良い。
【0162】
また、上記実施形態では、光走査装置2010Aにおける各光源に面発光レーザが用いられ、光走査装置2010Tにおける光源に端面発光レーザが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光走査装置2010Aにおける各光源に端面発光レーザが用いられても良い。また、光走査装置2010Tにおける光源に面発光レーザが用いられても良い。
【0163】
なお、光走査装置2010Tにおける光源にLEDアレイを用いると、基本色の画像情報から、新たにLEDアレイ用の信号を生成する必要があり、各発光部の駆動回路が複雑になるとともに、コストアップを招くという不都合がある。上記実施形態のように、光走査装置2010Tにおける光源に端面発光レーザを用いた場合には、基本色の画像情報の少なくとも1つをそのまま使用することができ、各発光部の駆動回路を簡素化することができる。例えば、ブラックの上に透明色を付加する場合は、ブラックの画像情報をそのまま使用することができる。
【0164】
さらに、光走査装置2010Tにおける光源にLEDアレイを用いると、主走査方向における走査開始のタイミングを調整することが困難であるという不都合がある。
【0165】
また、光走査装置2010A1が潜像を描く感光体ドラム、及び光走査装置2010A2が潜像を描く感光体ドラムは、基本色に対応する4つの感光体ドラムの配列に応じて、適宜設定することができる。
【0166】
また、上記実施形態では、シアン→イエロー→マゼンタ→ブラック→透明色の順にトナー像が重ねられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ブラック→イエロー→マゼンタ→シアン→透明色の順にトナー像が重ねられても良い。
【0167】
また、上記実施形態では、各走査光学系に含まれる走査レンズの数が2枚の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各走査光学系に含まれる走査レンズの数が1枚であっても良いし、3枚以上であっても良い。
【0168】
また、上記実施形態では、マーク位置検出器2245が3つの光学センサを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。なお、光学センサの数が多いほうが、位置ずれを精度良く求めることができるため、精度の高い主走査位置補正を行うことができる。さらに、倍率に関しても補正が可能になる。
【0169】
また、上記実施形態では、光走査装置2010A及び光走査装置2010Tにおける1ドットを形成する光エネルギを略同じとするために、光走査装置2010Tにおける光源の1ビームあたりの光出力を、光走査装置2010Aにおける光源の1ビームあたりの光出力の1/4にする場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光走査装置2010Tにおける変調パルスのデューティを、光走査装置2010Aよりも低くして発光時間を制御することで、1ドットを形成する光エネルギを略同じにしても良い。
【0170】
また、一例として図22に示されるように、光走査装置2010Tにおいて、カップリングレンズの後段にNDフィルタ2203eを配置して光利用効率を調節し、1ドットを形成する光エネルギを光走査装置2010Aと略等しくしても良い。なお、この場合、NDフィルタは、光束に対して傾けて配置することが望ましい。これは光源への戻り光を防ぎ、光源を安定させるためである。
【0171】
また、上記実施形態では、補助色が透明色の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、ライトブラックなどの淡い色であっても良い。
【0172】
また、上記実施形態では、補助色が1色の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、補助色が、上記透明色に加えて、淡い色を含む複数の色であっても良い(図23参照)。図23では、一例として、感光体ドラム2030T1に透明色のトナー像が形成され、感光体ドラム2030T2に淡い色のトナー像が形成される。
【0173】
また、上記実施形態では、偏向器前走査レンズを通過した光束が、光検知センサに入射する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、高い画像品質を維持しつつ、消費電力を低減させるのに適している。
【符号の説明】
【0175】
10…面発光レーザチップ(面発光レーザアレイ)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010A1,2010A2,2010T…光走査装置、2030C,2030K,2030M,2030T,2030Y…感光体ドラム(像担持体)、2033C,2033K,2033M,2033T,2033Y…現像装置、2090…プリンタ制御装置(補正装置)、2104A1,2104A2…ポリゴンミラー(第1の光偏向器)、2104T…ポリゴンミラー(第2の光偏向器)、2200a,2200b,2200c,2200d,2200e…光源、2203e…NDフィルタ、2205a,2205b,2205c,2205d,2205e…光検知センサ、2207a1,2207a2…光検知用ミラー(第1の光学系)、2207b1,2207b2…光検知用ミラー(第1の光学系)、2207c1,2207c2…光検知用ミラー(第1の光学系)、2207d1,2207d2…光検知用ミラー(第1の光学系)、2207e…光検知用ミラー(第2の光学系)、2245a,2245b,2245c…光学センサ(位置検出器)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0176】
【特許文献1】特開2007−171498号公報
【特許文献2】特開2007−316313号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本色及び前記4色以外の少なくとも1つの補助色のそれぞれに対応する複数の像担持体と、前記複数の色に対応する複数の光源を有し前記複数の像担持体に潜像を形成する光走査装置とを備える画像形成装置において、
前記光走査装置は、互いに個別に駆動される第1の光偏向器及び第2の光偏向器を含み、
前記第1の光偏向器は、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて前記基本色に対応する4つの光束のうちの少なくとも1つの光束を偏向し、
前記第2の光偏向器は、複数の偏向反射面を回転軸まわりに回転させて前記少なくとも1つの補助色に対応する光束を偏向し、
前記第1の光偏向器における偏向反射面の回転速度は、前記第2の光偏向器における偏向反射面の回転速度よりも速いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記基本色に対応する像担持体に形成される像の副走査方向に関する画素密度は、前記補助色に対応する像担持体に形成される像の副走査方向に関する画素密度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記基本色に対応する像担持体に形成される像の副走査方向に関する画素密度と、前記補助色に対応する像担持体に形成される像の副走査方向に関する画素密度との比は、略整数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の像担持体に形成された各潜像を現像する現像装置と;
前記補助色で現像された像の主走査方向における位置、及び前記基本色で現像された像の主走査方向における位置を検出する少なくとも1つの位置検出器と;
前記少なくとも1つの位置検出器の検出結果に基づいて、前記補助色に対応する光源の駆動条件を補正する補正装置と;を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補助色に対応する像担持体への主走査方向の書込開始タイミングを検出するための同期検知信号を出力する光検知センサを備え;
前記補正装置は、前記書込開始タイミングを補正することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの位置検出器は、主走査方向に関して互いに異なる位置に配置された複数の位置検出器であることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数の像担持体は、それぞれ対応する色の画像情報に応じて同一の画素クロックを用いてパルス幅変調された光束で走査され、
前記基本色に対応する光束の変調パルスのデューティ比は、前記補助色に対応する光束の変調パルスのデューティ比よりも小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記補助色に対応する光束を射出する光源の光出力は、前記基本色に対応する光束を射出する光源の光出力よりも小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補助色に対応する光束の光利用効率は、前記基本色に対応する光束の光利用効率よりも小さいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記補助色に対応する光束の光路上に設けられたNDフィルタを有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の像担持体に対応して設けられ、それぞれ対応する像担持体への主走査方向の書込開始タイミングを検出するための同期検知信号を出力する複数の光検知センサと;
前記第1の光偏向器で偏光された光束を対応する光検知センサに導く第1の光学系と;
前記第2の光偏向器で偏光された光束を対応する光検知センサに導く第2の光学系と;を備え;
前記第1の光学系の光利用効率は、前記第2の光学系の光利用効率よりも小さいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記各光学系は、それぞれ反射光学系を有し、
前記第1の光学系における反射面の数は、前記第2の光学系における反射面の数よりも多いことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1の光学系における反射光学系の反射率は、前記第2の光学系における反射光学系の反射率よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記基本色に対応する光束を射出する各光源は、それぞれ同一基板上に複数の発光部が配列されている面発光レーザアレイであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−253132(P2011−253132A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128424(P2010−128424)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】