説明

画像形成装置

【課題】装置を大型化することなく、トナー搬送パイプ内のトナーを低コストの空冷機構を用いて効率よく冷却する。
【解決手段】トナーボトル7内の補給用トナーを、トナー搬送パイプ61内を通じて作像ユニット3内の現像装置へ補給するトナー補給ユニット60を備え、作像ユニットの一端部を支持する第1装置本体構造体71の壁面と、この第1装置本体構造体に対して作像ユニットとは反対側に配置される第2装置本体構造体72の壁面との間に形成される空間部分Sにトナー搬送パイプを配置するとともに、その空間部分に気流を送り込むファン52を設け、このファンにより送り込まれる気流がトナー搬送パイプに当たって空間部分を通過するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体上に形成された潜像を現像手段により現像して得られるトナー像を被転写体上に転写して被転写体上にトナー像を作るための作像ユニットと、補給用のトナーを収容するトナー収容器と、トナー搬送パイプ内を通じて前記トナー収容器内のトナーを前記現像手段へ補給するトナー補給手段とを備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、通常、発熱源となる機器が内蔵されている。発熱源となる機器としては、定着装置に限らず、モータやクラッチなどの電磁機器類、制御に用いられるマイクロチップを実装した電装基板なども含まれている。このような発熱源からの熱は、画像形成装置内の温度の上昇を引き起こし、画像形成装置内に存在するトナーの凝固を招く。このようなトナーの凝固が例えば現像装置内で発生すれば、現像不良や白スジなどの異常画像を生じさせる。特に、近年では、装置の小型化や画像処理の高速化が図られ、画像形成装置内部における機器の実装密度が高まり、画像形成装置内の温度が高い傾向にある。そのため、トナーの凝固による問題が一層深刻化している。
【0003】
特許文献1には、トナーを収容する現像装置を気流により冷却する手段を備えた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置によれば、現像装置内のトナー温度を下げることができ、現像装置内で生じるトナーの凝固を抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、トナーの凝固は、現像装置内に限らず、現像装置へ補給用のトナーを搬送する上記トナー搬送パイプ内においても生じ得る。トナー搬送パイプ内でトナーの凝固が発生すると、トナー搬送パイプ内におけるトナーの流動性が悪化し、トナー搬送パイプを通じた現像装置へのトナー補給が適正に行われず、トナー補給不良を生じさせる。よって、このトナー搬送パイプ内のトナーを冷却することが望まれる。特に、トナー搬送パイプ内のトナーの冷却を低コストで実現する場合、トナー搬送パイプに気流を当てて冷やす空冷が望ましいが、ダクトを設けて気流をトナー搬送パイプに当てるような構成では冷却効率は高いものの装置の大型化を招く。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置を大型化することなく、トナー搬送パイプ内のトナーを低コストの空冷機構を用いて効率よく冷却できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体上に形成された潜像を現像手段により現像して得られるトナー像を被転写体上に転写して被転写体上にトナー像を作るための作像ユニットと、補給用のトナーを収容するトナー収容器と、トナー搬送パイプ内を通じて前記トナー収容器内のトナーを前記現像手段へ補給するトナー補給手段とを備えた画像形成装置において、前記作像ユニットの一端部を支持する第1装置本体構造体の壁面と該第1装置本体構造体に対して該作像ユニットとは反対側に配置される第2装置本体構造体の壁面との間に形成される空間部分に前記トナー搬送パイプを配置するとともに、該空間部分に気流を送り込む送風手段を設け、該送風手段により送り込まれる気流が該トナー搬送パイプに当たって該空間部分を通過するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記トナー補給手段を構成する構成部品を前記空間部分の鉛直方向上方又は下方に配置し、該送風手段により該空間部分に送り込まれた気流の流路を制限するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記作像ユニットの駆動機構を構成する構成部品を前記空間部分の鉛直方向上方又は下方に配置し、該送風手段により該空間部分に送り込まれた気流の流路を制限するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記第1装置本体構造体又は前記第1装置本体構造体は、前記作像ユニットの駆動機構を支持することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記送風手段は、前記作像ユニットの駆動機構を支持する装置本体構造体とは別の装置本体構造体に支持されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記空間部分に配置されたトナー搬送パイプの近傍に、該空間部分を流れる気流の向きを該トナー搬送パイプへ向かうように変更する気流案内手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、前記空間部分を流れる気流の流れ方向に沿って前記作像ユニットが複数配置されており、かつ、前記トナー搬送パイプが作像ユニットごとに設けられ、前記気流案内手段は、トナー搬送パイプごとに設けられ、板面に気流を当てることで前記空間部分を流れる気流の向きを変更する板状部材で構成されており、各板状部材は、気流の流れ方向下流側のものほど、気流が当たる板面を、気流の流れ方向に平行な法線をもつ仮想平面へ投影したときの投影面積が大きくなるように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6又は7の画像形成装置において、前記気流案内手段は、前記第1装置本体構造体及び前記第2装置本体構造体とは別部材で構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記トナー搬送パイプと前記作像ユニットとの連結部は、前記空間部分から隔離された位置に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記送風手段は、その送風方向が該空間部分を流れる気流の流れ方向と略一致するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、画像形成装置の2つの装置本体構造体(第1装置本体構造体と第2装置本体構造体)の壁面間に形成される空間部分にトナー搬送パイプを配置し、送風手段による気流がトナー搬送パイプに当たって当該空間部分を通過するように構成されている。本発明によれば、画像形成装置に備わった2つの装置本体構造体の壁面によって上記2つの装置本体構造体が対向する方向への気流の拡散を制限できる。よって、ダクトを用いる場合と同様に、気流を効率よくトナー搬送パイプに当てることができ、ダクトを用いる場合に近い冷却効率を実現できる。しかも、本発明においては、このような気流の拡散制限を、ダクトを用いず、画像形成装置に予め備わっている装置本体構造体を用いて実現しているので、ダクトの設置による装置の大型化を回避できる。
【発明の効果】
【0008】
以上より、本発明によれば、装置を大型化することなく、トナー搬送パイプ内のトナーを低コストの空冷を用いて効率よく冷却できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
【図2】同プリンタを前面側から見たときのフレーム構造を示す斜視図である。
【図3】同プリンタの背面側からみた装置本体の内部構造の主要部を示す斜視図である。
【図4】第2装置本体構造体を取り除いた状態における装置本体の内部構造の主要部を示す斜視図である。
【図5】第1装置本体構造体と同第2装置本体構造体との間の空間部分を第2ファンにより気流を送り込む側の斜め上方から見たときの図である。
【図6】同空間部分を鉛直方向上側から見たときの図である。
【図7】トナー搬送パイプと作像ユニットの現像装置との連結部を、第2ファンにより気流を送り込む側の斜め上方から見たときの図である。
【図8】同空間部分の一部を背面側から見たときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、画像形成装置としてのプリンタに適用した一実施形態について説明する。本実施形態は、いわゆる中間転写方式のタンデム型画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。
図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
このプリンタは、装置本体1と、この装置本体1から引き出し可能な給紙カセット2とを備えている。また、装置本体1の中央部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を形成するための作像ユニット3Y,3M,3C,3Kを装置本体1に対して着脱可能に備えている。以下、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示す。
【0011】
図1に示すように、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kは、図中矢印方向に回転する潜像担持体としてのドラム状の感光体10Y,10M,10C,10Kを備えている。感光体10Y,10M,10C,10Kは、アルミニウム製の円筒状基体と、その表面を覆う、例えばOPC(有機光半導体)感光層とから構成されている。各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kは、それぞれ、感光体10Y,10M,10C,10Kの周囲に、感光体を帯電する帯電装置11Y,11M,11C,11K、感光体に形成された潜像を現像する現像手段としての現像装置12Y,12M,12C,12K、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置13Y,13M,13C,13Kを備える。各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの下方には、感光体10Y,10M,10C,10Kに書込光Lを照射可能な光走査装置である光書込手段としての光書込ユニット4を備えている。各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの上方には、各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kにより形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト20を備えた中間転写ユニット5を備えている。また、中間転写ベルト20に転写されたトナー画像を記録材である転写紙Pに定着する定着ユニット6を備えている。また、装置本体1の上部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーを収容するトナー収容器としてのトナーボトル7Y,7M,7C,7Kが装填されている。
【0012】
上記光書込ユニット4は、光源部であるレーザーダイオードから発射させる書込光Lを偏向走査部としてのポリゴンミラーによって偏向走査し、感光体10Y,10M,10C,10K上に照射することにより、各感光体上に潜像を形成する。
上記中間転写ユニット5の中間転写ベルト20は、駆動ローラ21、テンションローラ22、及び従動ローラ23に掛け回され、所定タイミングで図中反時計回り方向に回転駆動される。また、中間転写ユニット5は、感光体10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ローラ24Y,24M,24C,24Kを備えている。中間転写ユニット5は、中間転写ベルト20上に転写されたトナー像を転写紙Pに転写する二次転写ローラ25、転写紙P上に転写されなかった中間転写ベルト20上の転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置26を備えている。
【0013】
次に、上記構成のプリンタにおいて、カラー画像を得る工程について説明する。
まず、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kにおいて、感光体10Y,10M,10C,10Kが帯電装置11Y,11M,11C,11Kによって一様に帯電される。その後、光書込ユニット4により、画像情報に基づく書込光Lが偏向走査されて感光体10Y,10M,10C,10Kの表面に潜像が形成される。感光体10Y,10M,10C,10K上の潜像は、現像装置12Y,12M,12C,12Kの現像ローラ15Y,15M,15C,15K上に担持された各色のトナーによって現像されてトナー像化される。感光体10Y,10M,10C,10K上のトナー像は、各一次転写ローラ24Y,24M,24C,24Kの作用によって反時計回りに回転駆動する中間転写ベルト20上に順次重ねて転写される。このときの各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト20上の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト20の移動方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。一次転写終了後の感光体10Y,10M,10C,10Kは、クリーニング装置13Y,13M,13C,13Kのクリーニングブラシによってその表面がクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。トナーボトル7Y,7M,7C,7Kに充填されているトナーは、必要性に応じて後述するトナー補給手段としてのトナー補給ユニットにより後述の各トナー搬送パイプ内を通って各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの現像装置12Y,12M,12C,12Kに所定量補給される。
【0014】
一方、上記給紙カセット2内の転写紙Pは、給紙カセット2の近傍に配設された給紙ローラ27によって、装置本体1内に搬送され、レジストローラ対28によって所定のタイミングで二次転写部に搬送される。そして、二次転写部において、中間転写ベルト20上に形成されたトナー画像が転写紙Pに転写される。トナー画像が転写された転写紙Pは、定着ユニット6を通過することで画像定着が行われ、排出ローラ29によって排紙トレイ8に排出される。感光体10Y,10M,10C,10Kと同様に、中間転写ベルト20上に残った転写残のトナーは、中間転写ベルト20に接触するベルトクリーニング装置26によってクリーニングされる。
【0015】
図1に示すように、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kと光書込ユニット4との間には仕切板30が設けられている。この仕切板30は、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kから漏れ出たトナーが、光書込ユニット4に降りかかるのを防ぐために設けられており、且つ、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kを装置本体1に対して着脱する際のガイドレールの役割も果たしている。この仕切板30には、光書込ユニット4から感光体10Y,10M,10C,10Kに照射される書込光Lが通るスリット35Y,35M,35C,35Kが形成されている。また、光書込ユニット4に設けられた書込光Lが出てくる開口部40Y,40M,40C,40K付近には、開口部40Y,40M,40C,40Kから作像ユニット3Y,3M,3C,3Kから漏れ出て、仕切板30で防ぎきれなかったトナーなどが光書込ユニット4の内部に入り込むのを防ぐために、防塵ガラス41Y,41M,41C,41Kが取付けられているが、より作像ユニット3Y,3M,3C,3Kから漏れ出るトナーが、開口部40Y,40M,40C,40Kから光書込ユニット4の内部に入り込むのを抑制するために、開口部40Y,40M,40C,40K上部の仕切板30を図中縦方向に曲げて形成された凸部37の側面を開口させてスリット35Y,35M,35C,35Kを設けている。これにより、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kから漏れ出たトナーは凸部37上に積もり、スリット35Y,35M,35C,35Kを通って光書込ユニット4にトナーが降り注ぎにくくなるので、開口部40Y,40M,40C,40Kを通って光書込ユニット4内にトナーが入り込むのを抑制することができる。
【0016】
図2は、本プリンタを前面側(ユーザーの立ち位置側)から見たときのフレーム構造を示す斜視図である。
この図では、フレーム構造を示すために、外装部材、作像ユニット3Y,3M,3C,3K、トナーボトル7Y,7M,7C,7K等が取り除かれた状態となっている。
図2に示すように、装置本体には、外気を取り込んで装置内部へ送り込むためのファン51,52が図2に示す装置本体の図中左側の側面に配置されている。第1ファン51が設置されている箇所は、作像ユニット3と光書込ユニット4とを装置本体内に装着した際の両者の中間あたりである。そして、第1ファン51によって発生した気流は、光書込ユニット4と仕切板30との間に形成された空間55を流れていき、その途中で仕切板30に設けられたスリット34Y,34M,34C,34Kおよびスリット35Y,35M,35C,35Kを通って、空間55側から仕切板30と作像ユニット3との間に形成された空間56側に気流の一部が送り込まれる。なお、スリット34は気流を空間55から空間56に送り込むために設けたものである。その後、空間55及び空間56の気流流れ方向端部の開放部から通り抜けた気流は、まとまって図2に示すファン53などによって装置本体外に排出される。
【0017】
図3は、本プリンタの背面側からみた装置本体の内部構造の主要部を示す斜視図である。
本実施形態において、第2ファン52は、第1装置本体構造体71と第2装置本体構造体72との間の空間部分に気流を送り込む箇所に配置されており、送風手段として機能する。第1装置本体構造体71と第2装置本体構造体72は装置本体の強度を保つために剛性の高い板金フレームで形成されている。
【0018】
図4は、第2装置本体構造体72を取り除いた状態における装置本体の内部構造の主要部を示す斜視図である。
第1装置本体構造体71は、各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの背面側端部が装置本体側に設けられた駆動機構70と連結した状態において、各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの感光体軸や現像ローラ軸等を主走査線方向(感光体軸方向)から支持する。また、第1装置本体構造体71は、装置本体側の駆動機構70を構成する各種ギヤを回転自在に軸支していて、駆動機構70を支持する。駆動機構70は、図示しない駆動源(モータ)からの駆動力を、各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの感光体10Y,10M,10C,10K、現像ローラ15Y,15M,15C,15K、中間転写ユニット5の駆動ローラ21などに伝達する手段である。
【0019】
また、第1装置本体構造体71と第2装置本体構造体72との壁面間の空間部分の鉛直方向上方には、トナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61K内を通じて各トナーボトル7Y,7M,7C,7K内のトナーをそれぞれ対応する作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの現像装置12Y,12M,12C,12Kへ補給するトナー補給手段としてのトナー補給ユニット60を備えている。トナー補給ユニット60は、現像装置12Y,12M,12C,12Kごとに、現像剤のトナー濃度が低下することを検知したときに駆動して、対応する色のトナーをトナーボトル7Y,7M,7C,7Kから当該現像装置12Y,12M,12C,12Kへ補給する公知のものである。
【0020】
本実施形態において、トナー補給ユニット60のトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kは、図4に示すように第1装置本体構造体71と第2装置本体構造体72との壁面間に形成される空間部分Sに配置される。そして、この空間部分Sに第2ファン52によって気流が送り込まれると、その気流はトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに当たって当該空間部分Sを図中右側から左側へ通過する。当該空間部分Sを図中右側から左側へ通過した気流は、図2に示したファン53などによって装置本体外に排出される。
【0021】
本実施形態において、第2ファン52によって当該空間部分Sに送り込まれる気流は、本プリンタの前後方向については、第1装置本体構造体71及び第2装置本体構造体によって気流の拡散が阻止される。よって、当該空間部分Sは気流の流路となり、トナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに効率よく気流を当てることができる。
特に、本実施形態では、トナー補給ユニット60を構成する構成部品が当該空間部分Sの鉛直方向上方に配置され、第2ファン52により当該空間部分Sに送り込まれた気流の流路を制限するので、鉛直方向上方への気流の拡散も抑制され、更に効率よくトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに気流を当てることができる。
更に、本実施形態では、駆動機構70を構成する構成部品(各種ギヤ)が当該空間部分Sの鉛直方向下方に配置され、第2ファン52により当該空間部分Sに送り込まれた気流の流路を制限するので、鉛直方向下方への気流の拡散も抑制され、より効率よくトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに気流を当てることができる。
【0022】
また、本実施形態では、第2ファン52からの気流の拡散を阻止するための第1装置本体構造体71が、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの駆動機構70も支持しているので、駆動機構70を別の装置本体構造体で支持する場合よりも部品点数が減り、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態において、第2ファン52は、駆動機構70を支持する第1装置本体構造体71とは別の装置本体構造体、詳しくは本プリンタの左側面に位置する図示しない装置本体構造体に支持されている。このように、第2ファン52を支持する装置本体構造体と駆動機構70を支持する装置本体構造体とを別体構成とすることで、第2ファン52の振動が駆動機構70に伝達されにくくなり、作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの安定した駆動の実現に寄与する。
【0023】
図5は、第1装置本体構造体71と第2装置本体構造体72との間の空間部分Sを、第2ファン52により気流を送り込む側の斜め上方から見たときの図である。
図6は、第1装置本体構造体71と第2装置本体構造体72との間の空間部分Sを、鉛直方向上側から見たときの図である。
本実施形態において、各トナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kは、図示のように、第1装置本体構造体71側に寄って空間部分Sの内部に配置されている。そのままでは、空間部分Sを流れる気流の多くがトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに当たらずに通過し、気流による冷却効率が悪い。そこで、本実施形態では、空間部分Sに配置される各トナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kの近傍に、それぞれ、当該空間部分Sを流れる気流の向きをトナー搬送パイプへ向かうように変更する気流案内手段としての板状部材であるガイド板73Y,73M,73C,73Kが設けられている。これにより、このようなガイド板73Y,73M,73C,73Kが無い場合にはトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに当たらずに空間部分Sを通過してしまう気流の一部を、トナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに当てることができる。よって、気流による冷却効率を高めることができる。
【0024】
また、本実施形態のように、気流の流れ方向に沿って複数のトナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kが並んで配置されている構成では、気流の流れ方向下流側に配置されるトナー搬送パイプほど、気流が当たりにくく、冷却効率が悪化する。
そこで、本実施形態においては、各ガイド板73Y,73M,73C,73Kを、気流の流れ方向下流側のものほど、気流が当たる板面が、気流の流れ方向に平行な法線をもつ仮想平面(図5の紙面とほぼ並行な面)へ投影したときの投影面積が大きくなるように構成している。これにより、気流の流れ方向上流側では、通過する気流の量がガイド板により妨げすぎないようにしつつ、気流の流れ方向下流側では、より多くの気流がトナー搬送パイプに当たるようにすることができる。これにより、気流の流れ方向下流側に配置されるトナー搬送パイプに対する冷却効率を高めることができる。その結果、各トナー搬送パイプ61Y,61M,61C,61Kに対してほぼ均等な冷却効率を得ることが可能となる。
【0025】
本実施形態では、各ガイド板73Y,73M,73C,73Kが第2装置本体構造体72に設けられている。この場合、各ガイド板73Y,73M,73C,73Kを第2装置本体構造体72と一体構造とすることもできるが、この場合、ガイド板73Y,73M,73C,73Kの材料や形状が、第2装置本体構造体72の材料や構造によって制限される。よって、ガイド板73Y,73M,73C,73Kを第2装置本体構造体72とは別部材で構成することで、第2装置本体構造体72の材料や構造に制限されることなく、ガイド板73Y,73M,73C,73Kを形成できる。
【0026】
図7は、トナー搬送パイプ61Yと作像ユニット3Yの現像装置12Yとの連結部を、第2ファン52により気流を送り込む側の斜め上方から見たときの図である。
なお、この図では、連結部が見えるように、一部の部材を省略してある。
本実施形態においては、図示のように、トナー搬送パイプ61Yと作像ユニット3Yの現像装置12Yとの連結部Jが、気流が流れる空間部分Sから隔離された位置に配置されている。具体的には、本実施形態では、この連結部Jが、第1装置本体構造体71を挟んで空間部分Sとは反対側(作像ユニット側)に配置されている。この連結部Jではトナーの漏れが生じるおそれがあるので、連結部Jに強い気流が当たると、トナー漏れが生じた際にトナーを機内に飛散させてしまう。本実施形態によれば、連結部Jでトナー漏れが生じたとしても、その連結部Jに第2ファン52による強い気流が当たらないので、トナー飛散が抑制される。
【0027】
図8は、空間部分Sの一部を背面側から見たときの説明図である。
本実施形態において、第2ファン52は、図中矢印Aで示す送風方向が空間部分Sを流れる気流の流れ方向(図中略左右方向)と略一致するように構成されている。これにより、第2ファン52で発生した気流を効率よく空間部分S内に流すことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 装置本体
3Y,3M,3C,3K 作像ユニット
7Y,7M,7C,7K トナーボトル
10Y,10M,10C,10K 感光体
12Y,12M,12C,12K 現像装置
20 中間転写ベルト
52 第2ファン
60 トナー補給ユニット
61Y,61M,61C,61K トナー搬送パイプ
70 駆動機構
71 第1装置本体構造体
72 第2装置本体構造体
73Y,73M,73C,73K ガイド板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2007−219398号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体上に形成された潜像を現像手段により現像して得られるトナー像を被転写体上に転写して被転写体上にトナー像を作るための作像ユニットと、補給用のトナーを収容するトナー収容器と、トナー搬送パイプ内を通じて前記トナー収容器内のトナーを前記現像手段へ補給するトナー補給手段とを備えた画像形成装置において、
前記作像ユニットの一端部を支持する第1装置本体構造体の壁面と該第1装置本体構造体に対して該作像ユニットとは反対側に配置される第2装置本体構造体の壁面との間に形成される空間部分に前記トナー搬送パイプを配置するとともに、該空間部分に気流を送り込む送風手段を設け、該送風手段により送り込まれる気流が該トナー搬送パイプに当たって該空間部分を通過するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記トナー補給手段を構成する構成部品を前記空間部分の鉛直方向上方又は下方に配置し、該送風手段により該空間部分に送り込まれた気流の流路を制限するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
前記作像ユニットの駆動機構を構成する構成部品を前記空間部分の鉛直方向上方又は下方に配置し、該送風手段により該空間部分に送り込まれた気流の流路を制限するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第1装置本体構造体又は前記第1装置本体構造体は、前記作像ユニットの駆動機構を支持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記送風手段は、前記作像ユニットの駆動機構を支持する装置本体構造体とは別の装置本体構造体に支持されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記空間部分に配置されたトナー搬送パイプの近傍に、該空間部分を流れる気流の向きを該トナー搬送パイプへ向かうように変更する気流案内手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
前記空間部分を流れる気流の流れ方向に沿って前記作像ユニットが複数配置されており、かつ、前記トナー搬送パイプが作像ユニットごとに設けられ、
前記気流案内手段は、トナー搬送パイプごとに設けられ、板面に気流を当てることで前記空間部分を流れる気流の向きを変更する板状部材で構成されており、
各板状部材は、気流の流れ方向下流側のものほど、気流が当たる板面を、気流の流れ方向に平行な法線をもつ仮想平面へ投影したときの投影面積が大きくなるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6又は7の画像形成装置において、
前記気流案内手段は、前記第1装置本体構造体及び前記第2装置本体構造体とは別部材で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記トナー搬送パイプと前記作像ユニットとの連結部は、前記空間部分から隔離された位置に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記送風手段は、その送風方向が該空間部分を流れる気流の流れ方向と略一致するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−53275(P2011−53275A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199677(P2009−199677)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】