説明

画像形成装置

【課題】搬送ユニットを備えた画像形成装置において装置構成の簡素化を図る。
【解決手段】搬送ユニット60には、シート搬送のための第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633A、並びに、シート検知のための第1、第2アクチュエーター64A、64Bという簡単な機械部品だけが搭載される。装置本体10側には、上記ローラーの駆動のための第1、第2モーター71M、72M、並びに第1、第2光学センサー73A、73Bが搭載される。搬送ユニット60が装置本体10に装着状態とされたとき、ローラー631A、632A、633Aへの駆動力の伝達が可能となり、また、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bも、第1、第2光学センサー73A、73Bに対して実質的に遮光片として機能する。従って、搬送ユニット60への電気的な配線は不要となり、またドロワーコネクターを設置する必要もない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して引き出し可能な、シートを搬送する搬送ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の画像形成装置においては、シートを水平方向に搬送する搬送ユニットが組み付けられる場合がある(例えば特許文献1)。その一つの典型は、定着装置が画像形成装置の装置本体の一方の側面側に配置され、シート排出トレイ若しくはシートにステイプル処理などを行う後処理装置が装置本体の他方の側面側に配置されるレイアウトを、画像形成装置が備える場合である。この場合、定着装置から搬出されるシートを排出トレイ若しくは後処理装置に向けて搬送する搬送ユニットが、装置本体に組み付けられる。
【0003】
上記搬送ユニットには、少なくともシートを搬送する機能が求められ、好ましくはシートジャムを検知する機能も求められ、加えて、ジャム処理をユーザーが容易に行うことができる利便性が要請される。このため、搬送ユニットは、シートに搬送力を与える搬送ローラーと、搬送ユニット内のシート搬送路にシートが存在するか否かを検知するシート検知センサーとが装備されると共に、ジャム処理の際に引き出しが可能に装置本体に装着される。
【0004】
従来の搬送ユニットには、上記搬送ローラーに回転駆動力を与えるモーターや、フォトインタラプターのようなシート検知センサーの本体部分が搭載されている。これらの機器には、電力供給や信号伝送のため、装置本体の電源装置や制御基板と電気的に接続する配線が不可欠である。このため、装置本体及び搬送ユニットに各々ドロワーコネクターを具備させ、搬送ユニットが装置本体に装着された状態ではドロワーコネクター同士が接続され、搬送ユニットが引き出された状態ではドロワーコネクターの接続が解除される構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−179473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の搬送ユニットによれば、そのユニットハウジングに、モーター及びシート検知センサー、並びにそれらの配線を搭載すると共に、ドロワーコネクターを設置する必要がある。このことは、画像形成装置の構成部品の増加及びコスト上昇を招来する。また、ユーザーが搬送ユニットを引き出そうとする際の、ユーザーに蓄積されている静電気の放電も問題となる。配線が搬送ユニットにまで搭載されていると、静電気は前記配線及びドロワーコネクターを経由して装置本体に進入し、装置本体内の電気機器に悪影響を与えかねない。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたものであって、搬送ユニットを備えた画像形成装置において装置構成の簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、シートを搬送経路に沿って搬送しつつ前記シートに画像形成処理を行う画像形成部を備える装置本体と、前記装置本体に引き出し可能に装着され、ハウジングと、該ハウジング内に形成され前記搬送経路の一部を構成するシート搬送路と、該シート搬送路を通過するシートに搬送力を与える搬送部材とを備えた搬送ユニットと、前記装置本体内に配置され、前記搬送部材を駆動する駆動力を発生する駆動機構と、を備え、前記搬送ユニットは、前記駆動機構が発生する駆動力を前記搬送部材に伝達する動力伝達部材を有し、該動力伝達部材は、前記ハウジングの外部に配置され前記駆動力の入力を受ける駆動入力部を具備し、前記駆動機構は、前記装置本体の前記搬送ユニットの装着位置に対応して前記装置本体側に配置され、前記駆動入力部と係合可能な駆動出力部を有し、前記搬送ユニットが前記装置本体に装着された装着状態では、前記駆動入力部と前記駆動出力部とは互いに係合し、前記搬送ユニットが前記装置本体から引き出された引き出し状態では、前記駆動入力部と前記駆動出力部との係合が解除される、ことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
この構成によれば、搬送ユニットには搬送部材だけが搭載され、搬送部材を駆動する駆動力を発生する駆動機構は装置本体側に配置される。搬送部材への駆動力の伝達は、駆動機構の駆動出力部と、搬送ユニット側に備えられる動力伝達部材の駆動入力部とが、搬送ユニットが前記装置本体に装着された状態において係合することで達成される。従って、搬送ユニットへの電気的な配線は不要となり、またドロワーコネクターの設置も不要となるので、装置構成の簡素化を図ることができる。さらに、搬送ユニットを経由する静電気の進入経路が形成されないこととなり、静電気対策上でも好ましい構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記シート搬送路にシートが存在するか否かを検知する検知部材をさらに備え、前記搬送ユニットは、前記シート搬送路に突出した第1姿勢と、前記シート搬送路を通過するシートと干渉して傾倒する第2姿勢との間で姿勢変更するシート検知片と、前記ハウジングの外部に配置され、前記シート検知片と連動して姿勢変更する揺動片と、を備え、前記検知部材は、前記装置本体の前記搬送ユニットの装着位置に対応して前記装置本体側に配置され、前記搬送ユニットが前記装着状態であるとき、前記揺動片の姿勢変更に基づきシートの存在を検知することが望ましい(請求項2)。
【0011】
この構成によれば、搬送ユニットにさらにシート検知機能を付与する場合において、搬送ユニットにはシート検知片及びこれと連動する揺動片だけが搭載され、実際に検知動作を行う検知部材は装置本体側に配置される。シートの検知動作は、搬送ユニットが装置本体に装着された状態において、前記揺動片の姿勢変更に基づき行われる。従って、シート検知にための搬送ユニットへの電気的な配線を不要とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記搬送部材は搬送ローラーであり、前記動力伝達部材は前記搬送ローラーの駆動軸であり、前記駆動入力部は前記駆動軸の端部に取り付けられた第1カップリングであって、前記駆動出力部は、前記第1カップリングと係合する第2カップリングであることは好ましい構成の一つである(請求項3)。
【0013】
この構成によれば、前記駆動入力部及び前記駆動出力部を、搬送ユニットが装置本体に装着された状態において、第1カップリングと第2カップリングとが係合し、搬送ユニットが引き出された状態では両者が離脱するというシンプルな構成とすることができる。
【0014】
また、前記検知部材は、光路の遮断に基づき状態変化を検知する光学センサーであり、前記揺動片は、前記第1姿勢又は第2姿勢のいずれかにおいて前記光路を遮断する遮光片であることは好ましい構成の一つである(請求項4)。
【0015】
この構成によれば、シンプルな構成で、搬送ユニット内のシート検知機能を構築することができる。
【0016】
上記構成において、前記画像形成部は、前記搬送経路の下流に定着装置を備え、前記装置本体は、箱形の筐体構造を備え、当該装置本体の外にシートを排出するための排出口を有し、前記定着装置は、前記装置本体の第1側面側に配置され、前記排出口は、前記装置本体の前記第1側面と対向する第2側面側に配置され、前記搬送ユニットは、前記定着装置から搬出されるシートを、前記排出口まで水平方向に搬送するものであることが望ましい(請求項5)。
【0017】
この構成によれば、当該搬送ユニットは、装置本体の第1側面側から第2側面側までシートを搬送する大型のものとなる。かかる搬送ユニットでは、通常、搬送部材(搬送ローラー)やシート検知片は複数個必要となる。従って、前記駆動機構や前記検知部材を搬送ユニットに搭載せずとも済む本発明の利点が、より顕著となる。
【0018】
上記構成において、前記搬送ユニットは、前記シート搬送路の下側ガイド面を有する下ガイド部材と、前記シート搬送路の上側ガイド面を有する上ガイド部材とを備え、前記上ガイド部材は、当該搬送ユニットの引き出し方向奥部において前記下ガイド部材に回動可能に連結され、前記搬送ユニットが前記引き出し状態であるとき、前記上ガイド部材が上方に開放可能であることが望ましい(請求項6)。
【0019】
この構成によれば、シートジャムが搬送ユニットにおいて発生した場合、ユーザーは、搬送ユニットを装置本体から引き出し、前記上ガイド部材を開くことで、容易にジャム処理を行うことができる。
【0020】
上記構成において、前記搬送経路の最下流端に配置され、シートを前記装置本体の外に排出させる排紙ローラーを備えた排紙ユニットをさらに備え、前記排紙ローラーは、前記駆動機構によって駆動される構成とすることができる(請求項7)。
【0021】
この構成によれば、搬送ユニットの搬送部材を駆動する駆動機構が、排紙ユニットの排紙ローラーの駆動用にも利用されるので、画像形成装置の装置構成を簡素化することができる。
【0022】
上記構成において、前記搬送ユニットの内部と、前記搬送経路における前記搬送ユニットの上流側と、前記搬送経路における前記搬送ユニットの下流側とに配置され、シートの有無を検知する複数のシート検知センサーと、前記駆動機構を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、シートジャム発生時に、前記シート検知センサーによるシートの検知結果に基づいて、シートの一部が前記搬送ユニットに跨って停止しているか否かを判定し、前記跨って停止している場合に、前記駆動機構により前記搬送部材を駆動させ、シートを所定量搬送させる制御を行うことが望ましい(請求項8)。
【0023】
この構成によれば、シートジャム発生時に搬送ユニット60が引き出されるに際して、搬送経路中で停止しているシートが破損されること(所謂、シートの泣き別れ)を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ドロワーコネクター等の電気部品の使用を省くことができ、搬送ユニットを備えた画像形成装置において装置構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】搬送ユニットの斜視図であって、上ガイド部材が開放されている状態を示す図である。
【図3】搬送ユニットを裏面側から見た斜視図である。
【図4】搬送ユニットが装置本体に装着されている状態を示す斜視図である。
【図5】搬送ユニットが装置本体から引き出されている状態を示す斜視図である。
【図6】搬送ユニットが装置本体から取り出された状態を示す斜視図である。
【図7】搬送ユニットを後方側から見た斜視図である。
【図8】排紙ユニットに対する駆動入力部を示す斜視図である。
【図9】排紙ユニットの拡大斜視図である。
【図10】搬送ユニットと装置本体との接続を説明するための模式的な図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として複写機を例示するが、画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0027】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートに画像形成処理を行う画像形成部30と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット60とが収容されている。
【0028】
自動原稿給送装置20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。自動原稿給送装置20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置20は上方に開けられる。自動原稿給送装置20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0029】
読取ユニット25は、装置本体10の上面の自動原稿給送装置20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
【0030】
画像形成部30は、トナー画像を生成しこれをシート上に転写する作像部31と、前記トナー像をシートに定着させる定着部36とを含む。作像部31は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0031】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0032】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0033】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。攪拌ローラーは、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラーの周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラーの周面には、磁気ローラーと現像ローラーとの間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー上のトナーは、感光体ドラム321の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
【0034】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0035】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333及びテンションローラー334を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。駆動ローラー332は中間転写ベルト331を周回させるための駆動力が付与されるローラーであり、その周面に対向して二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。なお、従動ローラー333は、中間転写ベルト331の周回に応じて従動するローラー、テンションローラー334は中間転写ベルト331に所定の張力を付与するローラーである。
【0036】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0037】
定着部36は、誘導加熱方式で加熱される定着ベルトを外周に備えた定着ローラー361と、該定着ローラー361に押圧当接されて定着ニップ部を形成する加圧ローラー362とを含む。上記二次転写部35Aにおいてトナー像が二次転写されたシートは、上記定着ニップ部を通過し、加熱及び加圧されることで、トナー像がシート表面に定着される。
【0038】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46も設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。
【0039】
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
【0040】
搬送経路50は、給紙部40から作像部31を経由して定着部36の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを作像部31に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット60の内部に備えられているシート搬送路60Pで構成されている。
【0041】
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、レジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
【0042】
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー531を備えた排紙ユニット530が、搬送ユニット60に隣接して配置されている。排紙ローラー531は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。また、図1では省略しているが、排紙ユニット530内には、排紙ローラー531が配置された水平搬送路530Aと、この水平搬送路530Aから上方に分岐してシート排出口10Eよりも上方に配置された図略のシート排出口から排紙させる分岐搬送路530Bとが備えられている(図6参照)。
【0043】
搬送ユニット60は、定着部36から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置1は、定着部36(定着装置)が装置本体10の右側面10R(第1側面)側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L(第2側面)側に配置されている。従って、搬送ユニット60は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
【0044】
搬送ユニット60は、下ガイド部材60Aと、上ガイド部材60Bとで構成されるハウジング60Hと、下ガイド部材60A及び上ガイド部材60Bの間において水平方向に延びるシート搬送路60Pとを含む。シート搬送路60Pの右端側(上流端側)には、定着部36から搬出されるシートを受け入れるための搬入口611が、シート搬送路60Pの左端側(下流端側)には、シートを排紙ユニット530へ送り出すための搬出口612がそれぞれ設けられている。
【0045】
搬送ユニット60は、装置本体10に設けられた収容空間(読取ユニット25とトナー補給部との間に設けられる空間)に、装置本体10から前方(図1の紙面の手前)に引き出し可能に装着されている。例えばシートジャムが生じた場合、ユーザーは搬送ユニット60を装置本体10から引き出してジャム処理を行う。
【0046】
以下、図2〜図10に基づいて、搬送ユニット60及びその周辺の構成を詳細に説明する。図2は、搬送ユニット60の斜視図であって、上ガイド部材60Bが開放されている状態を示す図、図3は、搬送ユニット60を裏面側から見た斜視図、図4は、搬送ユニット60が装置本体10の収容空間に装着されている状態を示す斜視図、図5は、搬送ユニット60が装置本体10から引き出されている状態を示す斜視図、図6は、搬送ユニット60が装置本体10から取り出された状態を示す斜視図、図7は、搬送ユニット60を後方側から見た斜視図、図8は、排紙ユニット530に対する駆動入力部を示す斜視図、図9は、排紙ユニット530の拡大斜視図、図10は、搬送ユニット60と装置本体10との接続態様を説明するための模式的な図である。
【0047】
図2を参照して、下ガイド部材60Aは、左右方向に延びる複数のリブ62Aを備える。これらリブ62Aの先端縁は、搬送ユニット60内を搬送されるシートの下面をガイドする下側ガイド面となる。上ガイド部材60Bも同様に、左右方向に延びる複数のリブ62Bを備え、これらリブ62Bの先端縁が上側ガイド面となる。シート搬送路60Pは、下側ガイド面と上側ガイド面とが、所定間隔をおいて対向配置されることで形成される。
【0048】
下ガイド部材60Aに対し上ガイド部材60Bは、搬送ユニット60の後端部(引き出し方向奥部)の側においてヒンジ結合部603により回動自在に連結されている。具体的には、下ガイド部材60Aの後方板602Aと、上ガイド部材60Bの後縁部602Bとが、ヒンジ結合部603により連結されている。下ガイド部材60Aは、上面開口を備える箱状の部材であり、上ガイド部材60Bがその上面開口をカバーする態様で、搬送ユニット60のハウジング60Hが形成される。上ガイド部材60Bは、下ガイド部材60Aに対して常時閉状態とされ、装置本体10に収容される。搬送ユニット60が装置本体10から引き出されると、ユーザーは、上ガイド部材60Bの前縁部601Bに突設されている取っ手604Bを持って、上ガイド部材60Bを上方へ開放することができる。
【0049】
搬送ユニット60の搬入口611側(右端側)には、デカーラ装置613が組み付けられている。デカーラ装置613は、トナー像が転写されたシートが定着部36で加熱加圧されることによって、シートが保有してしまうことがあるカール癖を矯正するための装置である。デカーラ装置613は、鉄ローラーのような剛性ローラーとスポンジローラーのような弾性ローラーとを含み、これらローラーのニップ部にシートが通過されることで、前記カール癖が矯正される。
【0050】
下ガイド部材60Aは、上述の下側ガイド面の前方部に前ブロック601Aを有する。前ブロック601Aには、上ガイド部材60Bが閉じられた状態で上述した取っ手604Bが嵌合される凹部604Aが設けられている。前ブロック601Aのさらに前方には、化粧ブロック614が取り付けられている。化粧ブロック614の左右方向の略中央部には、搬送ユニット60をユーザーが引き出す際に把持するグリップ615が備えられている。
【0051】
また、下ガイド部材60Aの右側下縁及び左側下縁には、ガイドレール616が取り付けられている(左側下縁のものは図略)。ガイドレール616は、装置本体10の側に取り付けられている図略のガイドレールを嵌め合わされ、搬送ユニット60の引き出しを案内する。
【0052】
下ガイド部材60Aには、ほぼ等間隔で左右方向に配列された、2個の単位ローラーで1組の第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633A(搬送部材)が組み付けられている。これらローラー631A、632A、633Aの一部は、下ガイド面を規定するリブ62Aの先端縁よりも上方に突出し、回転駆動力が与えられることによって、シート搬送路60Pを通過するシートに搬送力を与える。なお、上ガイド部材60Bには、これら搬送ローラー631A、632A、633Aと各々対向する位置に、搬送ローラー631A、632A、633Aと搬送ニップを形成する従動コロ631B、632B、633Bが取り付けられている。
【0053】
図3を参照して、第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633Aには、それぞれ第1、第2、第3駆動軸651、652、653(動力伝達部材)が、同軸で一体的に取り付けられている。これら駆動軸651、652、653が軸回りに回転することで、搬送ローラー631A、632A、633Aも回転する。この回転に伴い、搬送ニップを形成している従動コロ631B、632B、633Bも従動回転する。
【0054】
第2、第3駆動軸652、653の後端には、装置本体10の側に備えられている第1、第2駆動モーター71M、72M(駆動機構/図10参照)から回転駆動力の入力を受ける第1、第2ユニット側カップリング661、662(駆動入力部/第1カップリング)が取り付けられている。
【0055】
これに対し、第1駆動軸651の後端には、カップリングが取り付けられていない。カップリングに代えて、第1駆動軸651の前端には、第1ギアローラー651Eが装着されている。また、第2駆動軸652の後端にも、第2ギアローラー652Eが装着されている。これらギアローラー651E、652Eは、ハウジング60Hの前方板605Aよりも外方に突出している。内周面にギア溝を備えた無端ベルト66が、ギアローラー651E、652E間に架け渡されている。第2駆動軸652の回転力は、無端ベルト66を介して第1駆動軸651される。従って、第2駆動軸652のカップリング661に回転力が与えられると、第1駆動軸651及び搬送ローラー631Aも回転する。
【0056】
また、下ガイド部材60Aには、シート搬送路60Pにシートが存在するか否かを検知するために、第1、第2アクチュエーター64A、64Bが左右方向に間隔を置いて配置されている。第1アクチュエーター64Aは、シート搬送路60Pの上流側におけるシートジャムを、第2アクチュエーター64Bは、シート搬送路60Pの下流側におけるシートジャムを専ら検出する。
【0057】
第1アクチュエーター64Aは、シート搬送路60Pに突出した第1姿勢(図2はこの第1姿勢を示している)と、シート搬送路60Pを通過するシートと干渉して傾倒する第2姿勢との間で姿勢変更するシート検知片641Aと、後方板602A(ハウジング60H)の外部に配置され、シート検知片641Aと連動して姿勢変更する揺動片643Aと、シート検知片641Aと揺動片643Aとを連結する連結棒642Aとを含む。連結棒642Aはリブ62Aで回動自在に支持されている。第2アクチュエーター64Bも同様に、シート検知片641B、連結棒642B及び揺動片643Bを備える。
【0058】
シート検知片641Aの一部は、前記第1姿勢のとき、リブ62Aの先端縁(下側ガイド面)よりも突出する。シート搬送路60Pをシートが通過するとき、当該シートはシート検知片641Aを押下し、下側ガイド面内に没入させる。この没入の際、第1アクチュエーター64Aは、連結棒642Aの軸回りに揺動し、揺動片643Aも連動して揺動する。第2アクチュエーター64Bの動作も同様である。
【0059】
図7を参照して、第1、第2ユニット側カップリング661、662と、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bとは、搬送ユニット60のハウジング60Hの最後部を画定する後方板602Aよりも外側に突出して配置されている。この他、後方板602Aには、搬送ユニット60のアース端子67と、搬送ユニット60を位置決めするための一対のガイドピン681、682とが突設されている。
【0060】
図4〜図6を参照して、装置本体10の搬送ユニット60を受け入れる収容空間の奥部には、搬送ユニット60の後方板602Aと対向する対向壁70が備えられている。搬送ユニット60が装置本体10に装着されているとき(図4)、後方板602Aと対向壁70とは近接する。一方、搬送ユニット60が装置本体10から引き出された状態のとき(図5及び図6)、後方板602Aと対向壁70とは互いに離間する。
【0061】
対向壁70には、第1、第2本体側カップリング71、72(駆動出力部/第2カップリング)と、透過型のフォトインタラプターからなる第1、第2光学センサー73A、73B(検知部材)と、アース板74と、一対のピン孔751、752とが備えられている。さらに、図7の模式図も参照して、装置本体10には、第1、第2本体側カップリング71、72にそれぞれ連結される第1、第2モーター71M、72Mと、制御部75とが備えられている。
【0062】
第1、第2本体側カップリング71、72は、搬送ユニット60が装置本体10の所定位置に装着された装着状態で、それぞれ搬送ユニット60の第1、第2ユニット側カップリング661、662と係合する。第1モーター71M(駆動機構)は回転駆動力を発生し、その駆動力は、係合状態にある第1本体側カップリング71と第1ユニット側カップリング661とを通して第2駆動軸652に伝達される。また、上述の通り、無端ベルト66を通して、駆動力は第1駆動軸651にも伝達される。この駆動力によって、第1、第2搬送ローラー631A、632Aは回転駆動される。第2モーター72M(駆動機構)も回転駆動力を発生し、その駆動力は、係合状態にある第2本体側カップリング72と第2ユニット側カップリング662とを通して第3駆動軸653に伝達され、第3搬送ローラー633Aは回転駆動される。なお、モーター71M又は72Mの一方を省き、ベルトドライブ方式で本体側カップリング71、72に駆動力を与えるようにしても良い。
【0063】
第1、第2光学センサー73A、73Bは、シートがシート搬送路60Pを通過したか否か、若しくは、シートがシート搬送路60Pで滞留(ジャム)しているか否かを検知するセンサーであって、検査光を発生する発光素子と、前記検査光を受光する受光素子と、両素子間の光路に配置される遮光空間とを備えている。搬送ユニット60が前記装着状態であるとき、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bは、第1、第2光学センサー73A、73Bの前記遮光空間に進入可能な状態となる。
【0064】
この状態で、シートがシート搬送路60Pの上流側に差し掛かり、第1アクチュエーター64Aのシート検知片641Aがシートと干渉してホームポジションから傾倒すると、揺動片643Aも揺動して姿勢変更する。かかる姿勢変更により、揺動片643Aは第1光学センサー73Aの前記遮光空間に進入し、前記光路を遮断する。これにより、前記受光素子は検査光を受光しない状態となる。その後、シートの後端がシート検知片641Aを通過すると、シート検知片641Aは第1アクチュエーター64Aの重力バランスによって揺動し、ホームポジションに復帰する。この揺動によって、揺動片643Aは前記遮光空間から退避し、光路の遮断は解消される。以降は、前記受光素子は検査光を受光する状態となる。第2アクチュエーター64Bについても同様である。
【0065】
制御部75は、第1、第2モーター71M、72Mの動作を制御すると共に、第1、第2光学センサー73A、73Bの出力に基づいてシートの搬送ユニット60の通過態様を判定する。制御部75は、画像形成処理が作像部31で実行されると、そのシートが搬送ユニット60内に搬入されるタイミングで、第1、第2モーター71M、72Mに駆動信号を与える。これにより、第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633Aは回転駆動され、シートを搬送する。
【0066】
また制御部75は、第1、第2光学センサー73A、73Bが短時間でON(受光)−OFF(遮光)を示す信号を出力している場合、シート搬送路60Pを正常に通過したと判定する。一方、OFF(遮光)状態が所定の閾値よりも長い期間継続した場合、シート搬送路60Pにおいてシートジャムが発生したと判定する。この場合、制御部75は、操作パネル等にシートジャムの発生をユーザーに報知する情報を表示させる。
【0067】
以上の動作は、搬送ユニット60が装置本体10に対して装着状態とされている場合の動作である。これに対し、搬送ユニット60が装置本体10から引き出された引き出し状態では、第1、第2本体側カップリング71、72と第1、第2ユニット側カップリング661、662との係合は解除される。また、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bは、第1、第2光学センサー73A、73Bから離間し、もはや前記遮光空間に進入し得ない状態となる。一方で、ユーザーがジャム処理を終える等して、引き出し状態から装着状態に搬送ユニット60が復帰されると、これらも元の状態に復帰するものである。
【0068】
対向壁70には、排紙ユニット530に対する駆動力の入力機構も備えられている。図8に示すように、対向壁70の内部には、第1又は第2モーター71M、72M(図10)のいずれかから駆動力を与えられて回転する駆動ギア76が配置されている。この駆動ギア76には、排紙ユニット530に搭載されている入力ギア534(図7も参照)が歯合されている。
【0069】
図6、図8及び図9を参照して、排紙ユニット530は、搬送ユニット60内のシート搬送路60Pに直線状に連なる水平搬送路530Aと、この水平搬送路530Aから上方に分岐する分岐搬送路530Bとを含む。水平搬送路530Aには、上述の排紙ローラー531が配置されている。また、分岐搬送路530Bには、当該分岐搬送路530Bの導入口付近に配置された分岐搬送ローラー532と、分岐搬送路530Bの排紙口付近に配置された分岐排紙ローラー533とが備えられている。
【0070】
排紙ローラー531、分岐搬送ローラー532及び分岐排紙ローラー533は、それぞれシャフト531S、532S及び533Sで保持されている。これらシャフト531S、532S及び533Sの後端531E1、532E1及び533E1は、排紙ユニット530の後側板530Rで回転自在に支持され、また前端531E2、532E2及び533E2は、排紙ユニット530の前側板530Fで回転自在に支持されている。
【0071】
排紙ローラー531、分岐搬送ローラー532及び分岐排紙ローラー533は、1の駆動ギア76から与えられる回転駆動力によって回転される。排紙ローラー531、分岐搬送ローラー532のシャフト531S、532Sの後端531E1、532E1には、ローラーギアが取り付けられており、これらローラーギアと入力ギア534の小径部との間には第1ベルトギア535が架け渡されている。従って、駆動ギア76から入力ギア534へ回転力が与えられると、その回転力は第1ベルトギア535によって排紙ローラー531、分岐搬送ローラー532のシャフト531S、532Sに伝達される。これにより、排紙ローラー531及び分岐搬送ローラー532は、所定のシート送り方向に回転する。一方、分岐搬送ローラー532、分岐排紙ローラー533のシャフト532S、533Sの前端532E2、533E2にもローラーギアが取り付けられており、これらローラーギア間には第2ベルトギア536が架け渡されている。従って、分岐搬送ローラー532が回転すると、その回転力は第2ベルトギア536によって分岐排紙ローラー533のシャフト533Sに伝達される。これにより、分岐排紙ローラー533は、所定のシート送り方向に回転するものである。
【0072】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置1によれば、搬送ユニット60には第1、第2モーター71M、72M、並びに第1、第2光学センサー73A、73Bという電気部品は搭載されず、第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633A、並びに第1、第2アクチュエーター64A、64Bという簡単な機械部品だけが搭載される。ローラー631A、632A、633Aへの駆動力の伝達は、駆動軸652、653の端部に取り付けられている第1、第2ユニット側カップリング661、662と、第1、第2本体側カップリング71、72とが、搬送ユニット60が装置本体10に前記装着状態であるときに係合することで達成される。また、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bも、前記装着状態のときに第1、第2光学センサー73A、73Bに対して実質的に遮光片として機能する。
【0073】
従って、搬送ユニット60への電気的な配線は不要となり、またドロワーコネクターを装置本体10及び搬送ユニット60に設置する必要もない。これにより、画像形成装置1の装置構成の簡素化を図ることができる。さらに、電気的な配線を備えていないことで、搬送ユニット60を経由する静電気の進入経路が形成されないこととなり、静電気対策上も好ましい画像形成装置1を提供することができる。
【0074】
また、上記構成は第1、第2光学センサー73A、73Bの熱破損対策としても有用である。搬送ユニット60内のシート搬送路60Pには、定着部36において加熱されたシートが通紙される。このため、搬送ユニット60内の温度は相当な高温となる。従って、第1、第2光学センサー73A、73Bが搬送ユニット60に直に搭載される構成であると、これらセンサー73A、73Bが熱破損する場合がある。特に、胴内排紙空間に搬送ユニット60が後付けされるオプション装着の態様が取られる場合、当該搬送ユニット60の放熱対策が十分に取れない場合が多く、より熱が搬送ユニット60内にこもりがちとなる。しかし、上記構成によれば、第1、第2光学センサー73A、73Bは装置本体10の対向壁70に配置されているので、定着処理後のシートから熱の影響を受け難くすることができ、第1、第2光学センサー73A、73Bの熱破損を防止できる。
【0075】
続いて、搬送ユニット60付近でシートジャムが発生した場合に、可及的にシートを破損させることなく取り出せる工夫を施した変形実施形態について説明する。図11は、変形実施形態に係る画像形成装置1Aを示す断面図である。画像形成装置1Aの構成は、先に説明した画像形成装置1と大半が同一であるが、シートの有無を検知するために搬送ユニット60及びその近傍に第1、第2、第3、第4シート検知センサーS1、S2、S3、S4が配置されている点と、これらシート検知センサーS1、S2、S3、S4の検知結果に基づいて、いくつかの搬送ローラーを回転させる制御を行う制御部75Aが備えられている点とにおいて構成を異にしている。
【0076】
第1〜第4シート検知センサーS1〜S4としては、例えば、先に説明したアクチュエーター64A、64Bと光学センサー73A、73Bとの組み合わせからなるセンサーを用いることができる。第1シート検知センサーS1は、シートの搬送経路50において、搬送ユニット60の直上流位置に配置されている。第2及び第3シート検知センサーS2、S3は搬送ユニット60内に配置され、第2シート検知センサーS2は搬送ユニット60の搬入口611付近に、第3シート検知センサーS3は搬出口612付近に配置されている。第4シート検知センサーS4は、排出ユニット530内に配置されている。第1〜第4シート検知センサーS1〜S4は、シートの存在を検知しているときはON信号を、シートの存在を検知していないときはOFF信号を、それぞれ制御部75Aに出力する。
【0077】
制御部75Aは、シートジャムが発生した場合において、第1〜第4シート検知センサーS1〜S4の出力信号を参照し、搬送ユニット60の直上流に配置されている搬送ローラー541、搬送ユニット60の内の第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633A、及び排紙ユニット530の排紙ローラー531を適宜回転駆動させる制御を行う。この制御の目的は、シートジャム発生時に、シートの一部が搬送ユニット60に跨った状態で搬送ユニット60が装置本体10から引き出され、これによってシートが破損してしまうことを防止することにある。
【0078】
制御部75Aは、搬送ユニット60の搬入口611側から搬送ローラー541付近に跨ってシートが停止している場合、或いは、搬送ユニット60の搬出口612側から排紙ユニット530に跨ってシートが停止している場合に、搬送ローラー541、搬送ユニット60の内の第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633A、及び排紙ローラー531を回転駆動させてシートを所定量だけ搬送させ、ユニット間でシートが跨った状態を解消させる。
【0079】
制御部75Aは、第1シート検知センサーS1〜S4の出力信号の組み合わせに基づいて、次の判定を行う。
(A)センサーS1=OFF、センサーS3=OFF;シート搬送不実行
(B)センサーS1=ON、センサーS2=OFF;シート搬送不実行
(C)センサーS1=ON、センサーS2=ON;シート搬送
(D)センサーS3=ON、センサーS4=OFF;シート搬送不実行
(E)センサーS3=ON、センサーS4=ON;シート搬送
【0080】
上記(A)では、シートは搬送ユニット60の搬入口611又は搬出口612付近に滞留しておらず、搬送経路50における搬送ユニット60よりも上流側、搬送ユニット60内、或いは排紙ユニット530内に存在していることとなる。このため、搬送ユニット60をユーザーが引き出してもシート破損が発生しないので、制御部75Aは「シート搬送不実行」との判定を行い、ローラー541、631A、632A、633A、531を駆動させない。上記(B)では、搬送ユニット60の手前でシートが滞留していることになり、この場合もシート破損が発生しないので、制御部75Aは同様に「シート搬送不実行」との判定を行う。
【0081】
これに対し、上記(C)では、搬入口611から搬送ローラー541の付近に跨ってシートが滞留していることになる。この場合、制御部75Aは、少なくとも搬送ローラー541及び搬送ユニット60の内の第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633Aを回転駆動し、シートの後端が第1シート検知センサーS1の配置位置を抜けるまで(センサーS1=OFFとなるまで)、シートを搬送させる。これによりシートは、搬送ユニット60内まで送られることとなる。勿論、排紙ユニット530を抜けるまで、シートを搬送させても良い。
【0082】
上記(D)では、搬送ユニット60の内部でシートが滞留していることになり、この場合もシート破損が発生しない。このため、制御部75Aは「シート搬送不実行」との判定を行う。一方、上記(E)では、搬出口612側から排紙ユニット530に跨ってシートが停止していることになる。この場合、制御部75Aは、少なくとも第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633A及び排紙ローラー531を回転駆動し、シートの後端が第3シート検知センサーS3の配置位置を抜けるまで(センサーS3=OFFとなるまで)、シートを搬送させる。
【0083】
以上のような制御を制御部75Aが実行することで、シートジャム発生時に搬送ユニット60が引き出されるに際して、シートが破損されることが防止される。なお、シートがジャムによって蛇腹状に変形する等、搬送不能な場合(この場合、制御部75Aがシート搬送制御を実行させても、センサーS1〜S4の出力信号が変化しない)は、制御部75Aはシート搬送動作を停止させる。
【0084】
以上、本発明に係る画像形成装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、搬送ユニット60が、定着部36からシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する搬送ユニットである場合を例示した。しかし、搬送ユニット60が画像形成装置1に適用される箇所やシート搬送方向には限定はなく、画像形成装置1の適所に配置される、垂直な搬送路、先上がり又は先下がりの傾斜搬送経路、或いは湾曲した搬送経路でも良い。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
10 装置本体
10E シート排出口(排出口)
10L 左側面(第2側面)
10R 右側面(第1側面)
20 自動原稿給送装置
30 画像形成部
32 画像形成ユニット
36 定着部(定着装置)
50 搬送経路
530 排紙ユニット
531 排紙ローラー
60 搬送ユニット
60A 下ガイド部材
60B 上ガイド部材
60H ハウジング
60P シート搬送路
631A、632A、633A 第1、第2、第3搬送ローラー(搬送部材)
641A、641B シート検知片
643A、643B 揺動片
651、652、653 第1、第2、第3駆動軸(動力伝達部材)
661、662 第1、第2ユニット側カップリング(駆動入力部/第1カップリング)
71、72 第1、第2本体側カップリング(駆動出力部/第2カップリング)
71M、72M 第1、第2モーター(駆動機構)
73A、73B 第1、第2光学センサー(検知部材)
75A 制御部
S1、S2、S3、S4 第1、第2、第3、第4シート検知センサー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送経路に沿って搬送しつつ前記シートに画像形成処理を行う画像形成部を備える装置本体と、
前記装置本体に引き出し可能に装着され、ハウジングと、該ハウジング内に形成され前記搬送経路の一部を構成するシート搬送路と、該シート搬送路を通過するシートに搬送力を与える搬送部材とを備えた搬送ユニットと、
前記装置本体内に配置され、前記搬送部材を駆動する駆動力を発生する駆動機構と、を備え、
前記搬送ユニットは、前記駆動機構が発生する駆動力を前記搬送部材に伝達する動力伝達部材を有し、該動力伝達部材は、前記ハウジングの外部に配置され前記駆動力の入力を受ける駆動入力部を具備し、
前記駆動機構は、前記装置本体の前記搬送ユニットの装着位置に対応して前記装置本体側に配置され、前記駆動入力部と係合可能な駆動出力部を有し、
前記搬送ユニットが前記装置本体に装着された装着状態では、前記駆動入力部と前記駆動出力部とは互いに係合し、
前記搬送ユニットが前記装置本体から引き出された引き出し状態では、前記駆動入力部と前記駆動出力部との係合が解除される、
画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記シート搬送路にシートが存在するか否かを検知する検知部材をさらに備え、
前記搬送ユニットは、
前記シート搬送路に突出した第1姿勢と、前記シート搬送路を通過するシートと干渉して傾倒する第2姿勢との間で姿勢変更するシート検知片と、
前記ハウジングの外部に配置され、前記シート検知片と連動して姿勢変更する揺動片と、を備え、
前記検知部材は、前記装置本体の前記搬送ユニットの装着位置に対応して前記装置本体側に配置され、前記搬送ユニットが前記装着状態であるとき、前記揺動片の姿勢変更に基づきシートの存在を検知する、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記搬送部材は搬送ローラーであり、前記動力伝達部材は前記搬送ローラーの駆動軸であり、前記駆動入力部は前記駆動軸の端部に取り付けられた第1カップリングであって、
前記駆動出力部は、前記第1カップリングと係合する第2カップリングである、画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置において、
前記検知部材は、光路の遮断に基づき状態変化を検知する光学センサーであり、
前記揺動片は、前記第1姿勢又は第2姿勢のいずれかにおいて前記光路を遮断する遮光片である、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部は、前記搬送経路の下流に定着装置を備え、
前記装置本体は、箱形の筐体構造を備え、当該装置本体の外にシートを排出するための排出口を有し、
前記定着装置は、前記装置本体の第1側面側に配置され、
前記排出口は、前記装置本体の前記第1側面と対向する第2側面側に配置され、
前記搬送ユニットは、前記定着装置から搬出されるシートを、前記排出口まで水平方向に搬送するものである、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記搬送ユニットは、前記シート搬送路の下側ガイド面を有する下ガイド部材と、前記シート搬送路の上側ガイド面を有する上ガイド部材とを備え、
前記上ガイド部材は、当該搬送ユニットの引き出し方向奥部において前記下ガイド部材に回動可能に連結され、前記搬送ユニットが前記引き出し状態であるとき、前記上ガイド部材が上方に開放可能である、画像形成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記搬送経路の最下流端に配置され、シートを前記装置本体の外に排出させる排紙ローラーを備えた排紙ユニットをさらに備え、
前記排紙ローラーは、前記駆動機構によって駆動される、画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記搬送ユニットの内部と、前記搬送経路における前記搬送ユニットの上流側と、前記搬送経路における前記搬送ユニットの下流側とに配置され、シートの有無を検知する複数のシート検知センサーと、
前記駆動機構を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、シートジャム発生時に、前記シート検知センサーによるシートの検知結果に基づいて、シートの一部が前記搬送ユニットに跨って停止しているか否かを判定し、前記跨って停止している場合に、前記駆動機構により前記搬送部材を駆動させ、シートを所定量搬送させる制御を行う、画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−184108(P2012−184108A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161891(P2011−161891)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】